動物は種により食べるものが異なりますから、当たり前ですが食べられないものも沢山あります。しかし、ペットに人間の食べものを分け与えてしまう人もいますが、本来食べるべきものではありませんから、そのような行為はペットの寿命を縮めるだけです。これは、人間は動物の中でも例外的に割りと何でも食べられるため、感覚が甘くなっているのだと思います。さて、犬のタマネギ中毒は有名ですが、ペットにはチョコレートやアボカド、さらにはブドウやナッツ類などもよろしくないとのことです。しかし、飼い主が不要なものを与えずとも、観葉植物などをペットが齧ってしまうこともあります。一般的に観葉植物はペットにとって害があるか否か不明ですから、これはよろしいことではありません。さて、本日はペットが多肉植物を食べてしまったという報告をみてみましょう。参照とするのは、Amir Rostami & Bijan Ziaie Ardestani & Shahabedin Mohyediniの2011年の論文、『Poisoning by Beaucarnea recurvata (Nolina recurvata) in a pet rabbit: a new case report』です。


トックリラン Beaucarnea recurvata
新宿御苑(2024年10月)
トックリランの葉を食べたペットの症状
生後3カ月のウサギ(Oryctolagus cuniculus)が、急性流涎症(acute ptyalism)、無力症(lethargy)、食欲不振、被毛状態の悪化、頻呼吸の症状を呈して、テヘラン大学小動物教育病院に搬送されました。搬送される3時間前にウサギは観葉植物であるトックリラン(Beaucarnea recurvata)の葉を2枚摂取し、病状は徐々に進行しました。

Beaucarnea recurvata
筑波実験植物園(2024年6月)
診察と処置
診察では病態学的所見は認められてませんでした。血液検査ではストレス性白血球増多が認められましたが、X線検査では胃腸障害の兆候はありませんでした。植物の毒性による症状であると暫定的に診断されました。臨床症状をコントロールするために、以下のような保存療法が行われました。
食欲不振によるケトアシドーシスをコントロールするために、乳酸リンゲル液による静脈内輸液療法と、スルファジアジン/トリメトプリム懸濁液、唾液過多のために硫酸アトロピンを投与しました。2日間の治療後に完全に回復しました。

Beaucarnea recurvata
東京農業大学バイオリウム(2025年1月)
ウサギと植物中毒
ウサギの治療において最も一般的な疾患の1つは中毒で、植物中毒と鉛中毒に分けられます。ウサギは他の動物にとって有毒な植物も含めて、ほとんどの植物を食べてしまいます。大抵の毒性化合物には苦味があり、大量に摂取される可能性は低いため、必ずしも死亡するとは限りません。
ウサギはragwortやcomfrey(ヒレハリソウ)などの植物に含まれるピロリジデンアルカロイドの毒に抵抗性があります。しかし、対照的にアマランサスはレモンイエローの漿液を伴う腹水が溜まります。また、トウワタの1種(Aslepias eriocarpa)により「ヘッドダウン病」(head down disease)が引き起こされます。罹患した場合、首の筋肉の麻痺や協調運動障害、低体温、流涎、荒れた毛並みが見られます。他には観葉植物のDieffenbachiaがウサギに対して有毒であることが知られています。

神代植物公園(2025年8月)
最後に
以上が論文の簡単な要約です。
基本的にペットには決まったエサ以外は与えるべきではないと私は考えています、何故なら、中毒の報告がない=安全ではないからです。人間の食べものをペットに与えた場合、一見して元気そうにしていても、肝臓や腎臓にダメージがあるかも知れません。同様に多肉植物はペットへの影響が不明なものが多いため、基本的にペットの触れる場所に多肉植物を置くべきではないでしょう。毒性の点ではユーフォルビアが有名ですが、キョウチクトウ科のパキポディウムにも強い毒性があります。私が読んだ論文ではアデニア、蘇鉄、Boophoneの毒性が確認されています。しかし、一般的に毒性がないと思われてきたベンケイソウ科の多肉植物にも、カランコエなどで毒性があるものが確認されています。ベンケイソウ科の多肉植物にはエケベリアやセダム、クラッスラ、アオエニウムなど人気のある多肉植物を沢山含みます。しかし、ペットに対する毒性は基本的に不明なため、気を付けるに越したことはありません。ペットが多肉植物をかじってしまったという話はブログやSNSなどでもたまに目にしますが、これはただの不注意では済まないでしょう。場合によっては重篤な後遺症や死亡してしまう可能性もありますし、目に見えない臓器障害が起きている可能性もあります。それらの報告はペットの心配をしている様子は薄く、あまりに軽く考えていることに驚きます。一見して何も症状がなかったとしても、ペットは苦痛を感じているかも知れません。知らなかったから仕方がないというのなら、そもそもペットを飼う資格はないでしょう。
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トックリラン Beaucarnea recurvata
新宿御苑(2024年10月)
トックリランの葉を食べたペットの症状
生後3カ月のウサギ(Oryctolagus cuniculus)が、急性流涎症(acute ptyalism)、無力症(lethargy)、食欲不振、被毛状態の悪化、頻呼吸の症状を呈して、テヘラン大学小動物教育病院に搬送されました。搬送される3時間前にウサギは観葉植物であるトックリラン(Beaucarnea recurvata)の葉を2枚摂取し、病状は徐々に進行しました。

Beaucarnea recurvata
筑波実験植物園(2024年6月)
診察と処置
診察では病態学的所見は認められてませんでした。血液検査ではストレス性白血球増多が認められましたが、X線検査では胃腸障害の兆候はありませんでした。植物の毒性による症状であると暫定的に診断されました。臨床症状をコントロールするために、以下のような保存療法が行われました。
食欲不振によるケトアシドーシスをコントロールするために、乳酸リンゲル液による静脈内輸液療法と、スルファジアジン/トリメトプリム懸濁液、唾液過多のために硫酸アトロピンを投与しました。2日間の治療後に完全に回復しました。

Beaucarnea recurvata
東京農業大学バイオリウム(2025年1月)
ウサギと植物中毒
ウサギの治療において最も一般的な疾患の1つは中毒で、植物中毒と鉛中毒に分けられます。ウサギは他の動物にとって有毒な植物も含めて、ほとんどの植物を食べてしまいます。大抵の毒性化合物には苦味があり、大量に摂取される可能性は低いため、必ずしも死亡するとは限りません。
ウサギはragwortやcomfrey(ヒレハリソウ)などの植物に含まれるピロリジデンアルカロイドの毒に抵抗性があります。しかし、対照的にアマランサスはレモンイエローの漿液を伴う腹水が溜まります。また、トウワタの1種(Aslepias eriocarpa)により「ヘッドダウン病」(head down disease)が引き起こされます。罹患した場合、首の筋肉の麻痺や協調運動障害、低体温、流涎、荒れた毛並みが見られます。他には観葉植物のDieffenbachiaがウサギに対して有毒であることが知られています。

神代植物公園(2025年8月)
最後に
以上が論文の簡単な要約です。
基本的にペットには決まったエサ以外は与えるべきではないと私は考えています、何故なら、中毒の報告がない=安全ではないからです。人間の食べものをペットに与えた場合、一見して元気そうにしていても、肝臓や腎臓にダメージがあるかも知れません。同様に多肉植物はペットへの影響が不明なものが多いため、基本的にペットの触れる場所に多肉植物を置くべきではないでしょう。毒性の点ではユーフォルビアが有名ですが、キョウチクトウ科のパキポディウムにも強い毒性があります。私が読んだ論文ではアデニア、蘇鉄、Boophoneの毒性が確認されています。しかし、一般的に毒性がないと思われてきたベンケイソウ科の多肉植物にも、カランコエなどで毒性があるものが確認されています。ベンケイソウ科の多肉植物にはエケベリアやセダム、クラッスラ、アオエニウムなど人気のある多肉植物を沢山含みます。しかし、ペットに対する毒性は基本的に不明なため、気を付けるに越したことはありません。ペットが多肉植物をかじってしまったという話はブログやSNSなどでもたまに目にしますが、これはただの不注意では済まないでしょう。場合によっては重篤な後遺症や死亡してしまう可能性もありますし、目に見えない臓器障害が起きている可能性もあります。それらの報告はペットの心配をしている様子は薄く、あまりに軽く考えていることに驚きます。一見して何も症状がなかったとしても、ペットは苦痛を感じているかも知れません。知らなかったから仕方がないというのなら、そもそもペットを飼う資格はないでしょう。
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