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カテゴリ:植物学 > 多肉植物の新種

去年はサボテンやアロエ類の新種の情報を記事にしましたが、先日サボテンについては記事を更新しました。あれから1年に見つかった新種の情報と、いくつか抜けていた種を追加しました。
さて、一般的には論文が出た=科学的な証明がなされたと解釈されがちですが、それは正確ではありません。論文の内容はまだ仮説のようなもので、沢山の科学者が読み内容を吟味します。場合によっては試験を再試し確認されることもあります。ですから、新種についても、まだ論文で新種が説明されただけでは駄目で、他の知られている種ではないのか、記載内容は科学的に正確かが吟味されます。
去年の8月に記事を書いた時点では、まだ論文で主張されただけで新種と認められていないものもありました。というわけで、アロエ類についても最新版の記事に改訂します。以下、去年の記事のコピーです。変わった部分は【追記】としています。いくつかの新種には画像リンクを貼りました。

先日、ここ10年ちょいくらいの、サボテンの新種についての記事を書きました。サボテンは巨大なグループで分布も広く、新種が見つかる余地はまだまだありそうです。その他の多肉植物では、何と言ってもアロエは新種が見つかる可能性が高いと言えます。アロエの新種を説明した論文を探してみたので、少し見てみましょう。まあ、サボテンの時と同じく、すべての新種を調べた訳ではなく、簡単に調べて出てきたものだけです。一応、アロエと近縁なAstrolobaやHaworthia、Gasteriaと、GonialoeやAloidendronなどの旧・アロエ属についても一部の情報を追加しました。

2010年
★モザンビークから南アフリカのKwaZulu-Natalにかけての地域より、新種のAloe tongaensisが記載されました。しかし、2013年にAloidendron属に移され、Aloidendron tongaenseとなりました。
https://pza.sanbi.org/aloidendron-tongaense
【追記】南アフリカのKuwaZulu-Natal州中部から、新種のLeptaloeであるAloe nicholsiiが記載されました。
http://redlist.sanbi.org/species.php?species=2206-827

2011年
★エチオピアから4種類の新種のアロエが記載されました。Aloe benishangulanaAloe ghibensisAloe weloensisAloe welmelensisです。
https://powo.science.kew.org/taxon/77110966-1
【追記】ケニアより新種の2種類のアロエが記載されました。ケニア南西部に自生するAloe springatei-neumanniiは、Aloe wallastoniiに近縁なアロエです。ケニア北部の山地よりAloe tegetiformisが記載されました。枝分かれの多い匍匐茎を持ち、岩や土の上に密集したマット状に育ちます。
【追記】ウガンダより新種の2種類のアロエが記載されました。ウガンダ西部のアルバート湖平原に自生するAloe butiabanaと、ウガンダ東部のElgon山の尾根の断崖から下垂するAloe wanalensisです。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1417652-Aloe-butiabana

2012年
★北ソマリアから新種のAloe nugalensisが記載されました。
★マダガスカルから新種の3種類のアロエが記載されました。Aloe beankaensisAloe ivakoanyensisAloe analavelonensisです。
★ナミビアのBaynes山から新種のAloe huntleyanaが記載されました。
https://pza.sanbi.org/aloe-huntleyana
★南アフリカのMpumalngaから新種のAloe condyaeが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1239374-Aloe-condyae
★アンゴラ南西部のナミブ砂漠から新種のAloe mocamedensisが記載されました。

2014年
★マダガスカル北部から新種のAloe gautieriが記載されました。
★南アフリカのMpumalangaから新種のAloe andersoniiが記載されました。
https://pza.sanbi.org/aloe-andersonii
★南アフリカの東ケープ州から新種のAloe liliputanaが記載されました。
★南アフリカの東ケープ州から新種のGasteria loedolffiaeが記載されました。
https://pza.sanbi.org/gasteria-loedolffiae
★南アフリカの西ケープ州新種のからGasteria barbaeが記載されました。
【追記】エリトリアのナブロ山東斜面とマブラ平原より新種であるAloe montis-nabroが記載されました。散在する低木に守られた軽石上や溶岩の隙間に育ちます。

2015年
★ウガンダから新種のAloe lukeanaが記載されました。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Aloe_lukeana
★南アフリカの西ケープ州から新種のAstroloba cremnophilaが記載されました。

2017年
★マダガスカル北西部から新種のAloe belitsakensisが記載されました。
https://inaturalist.nz/taxa/746185-Aloe-belitsakensis
★マダガスカルから新種のLomatophyllum類である、Aloe maningoryensisAloe alaotrensisが記載されました。
★ケニアから新種のAloe zygorabaiensisAloe uncinataが記載されました。
★南アフリカから新種のAstroloba tenaxAstroloba robustaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/580780-Astroloba-robusta
★南アフリカの西ケープ州から新種のHaworthia grenieriが記載されました。
★南アフリカの西ケープ州から新種のGasteria koelniiが記載されました。
https://www.janvandorpe.be/gasteria/gasteria-koenii
【追記】ケニアより新種のAloe mangeaensisが記載されました。

2018年
★南アフリカのCape Provから新種のHaworthia duraHaworthia ernstiiHaworthia vitrisが記載されました。

2019年
★ソマリランドから新種のAloe sanguinalisが記載されました。
https://www.sci.news/biology/aloe-sanguinalis-06915.html

2020年
★マダガスカル東部の湿潤林から新種のAloe vatovavensisAloe rakotonasoloiが記載されました。
★南アフリカの東ケープ州から新種のGasteria visseriiGasteria camillaeが記載されました。
https://pza.sanbi.org/gasteria-camillae
【追記】ケニア南東部より新種のAloe ngutwaensisが記載されました。
【追記】インドより新種のAloe trinervisが記載されました。


2021年
★アンゴラ北西部から新種のAloe uigensis が記載されました。

2022年
★南アフリカ北部から新種のLeptaloe類であるAloe hankeyiが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/photos/272064040
【追記】南アフリカ北部州よりAloiampelos temuior  var. erntrtiiが記載されました。オレンジ色の花を咲かせます。

2023年
★アンゴラ南部からの新種としてGonialoe borealisが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載されていません。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。
【追記】ケニアより新種であるAloe nderianaが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載されていません。
【追記】ソマリランドのアカシアが優占する乾燥地で、新種であるAloe kayseiが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載されていません。


最後に
と言う訳で、近年のアロエ類の新種でした。基本的に調べたのは名前だけで、そのすべてについて画像検索はしていないため、園芸的な重要度は分かりません。ところで、1753年にAloe L.と言う学名がつけられてから270年ほど経ちますが、まだ新種が続々と発見されていることに驚きます。おそらく、これからも沢山の新種が発見されることでしょう。しかし、残念ながら自生地の破壊により絶滅の危機に瀕しているアロエも沢山あります。また、発見される前に自生地の破壊により絶滅するものも出てくるはずで、既に人知れず絶滅しているものも少なくないはずです。新種の記載は不道徳なコレクターや業者による盗掘の危険性を高めてしまいますが、自生地の保護には多少の力が働く可能性もあります。知られていなければ保護の算段すらつかないため、科学者たちの奮闘に期待したいところです。


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去年の8月にサボテンの新種について調べた記事をあげました。論文が出たばかりで、まだ新種として認定されていないものもありました。ということで、去年の記事を振り返ります。現在ではどうなっていますでしょうか。また、あれからの1年間で新たに発表された新種のサボテンはあるのでしょうか。以下、去年の記事のコピーです。変わった部分は【追記】としています。いくつかの新種には画像リンクを貼りました。

1753年にCarl von LinneがサボテンをCactus属と命名した時には、すでにヨーロッパでもサボテンが栽培されていました。それから、沢山のサボテンが命名されてきましたが、未だに新種のサボテンが見つかっています。最近見つかったサボテンはなんだろうかと思って、少し調べてみました。と言っても、すべての新種を調べた訳ではなく、検索してすぐに出てきたものだけです。しかし、それでも2010年以降に限っても、それなりの種類は見つかりました。主に論文のAbstractだけをサラッと読んだだけですから、あまり詳しい内容は分かりません。ですから、簡単に見ていきましょう。

2011年
【追記】メキシコのTamaulipas州からマミラリアの新種、Mammillaria cielensisが記載されました。しかし、現在はM. zubleraeの異名となっています、

2012年
★アルゼンチンのブエノスアイレス州からウチワサボテンの新種、Opuntia ventanensisが記載されました。しかし、現在ではOpuntia fragilisの異名とされています。

2013年
★ペルー南部からボルジカクタスの新種、Borzicactus hoxeyiが記載されました。しかし、2014年にLoxanthocereus属になり、Loxanthocereus hoxeyiとなりました。

2014年
★ペルー北部からエスポストアの新種、Espostoa cremnophilaが記載されました。
★メキシコのオアハカ州からウェベロケレウスの新種、
Weberocereus alliodorusが記載されました。【追記】2018年にSelenicereus alliodorusとする意見もありましたが、認められておりません。
★メキシコのタマウリパス州からマミラリアの新種、
Mammillaria huntianaが記載されました。しかし、現在ではM. roseoalbaの異名とされています。
【追記】メキシコのZacatecasからオプンチアの新種、Opuntia gallegianaが記載されました。
【追記】米国のアリゾナ州からオプンチアの新種、Opuntia diploursinaが記載されました。
【追記】米国のカリフォルニア州からキリンドロプンティアの新種、Cylindropuntia chuckwallensisが記載されました。
【追記】ブラジルのリオデジャネイロ州からリプサリスの新種、Rhipsalis flagelliformisが記載されました。


2015年
★アルゼンチンのコルドバ州からギムノカリキウムの新種、Gymnocalycium campestreが記載されました。
https://identify.plantnet.org/k-world-flora/species/Gymnocalycium%20campestre%20%C5%98epka/data
★メキシコ中央部でツルビニカルプスの新種、
Turbinicarpus heliaeが記載されました。 しかし、2021年にKadenicarpus属になり、Kadenicarpus heliaeとされています。
【追記】メキシコ中部からオプンチアの新種、Opuntia delafuentinaが記載されました。
【追記】メキシコのバハ・カリフォルニア州で、7種類のウチワサボテンの新種が記載されました。それは、Opuntia clarkiorumCylinderopuntia libertadensis
Cylinderopuntia waltoniorumCylinderopuntia cedrosensisCylinderopuntia alcahes var. gigantensisCylinderopuntia alcahes var. mcgilliiCylinderopuntia ganderi var. catavinensisです。このうち、3つの変種は2019年に新種を記載した著者自身により亜種に変更されています。

2017年
★エルサルバドルでディソカクタスの新種、Disocactus salvadorensisが記載されました。
★メキシコのCoahuila州からウチワサボテンの新種、
Corynopuntia deinacanthaCorynopuntia halophilaが記載されました。しかし、2018年に2種類ともGrusonia属になり、Grusonia deinacanthaGrusonia halophilaとされています。実は、Corynopuntia属は消滅し、すべてGrusonia属となっています。
【追記】ドミニカ共和国南西部のPedernales州からレプトケレウスの新種、Leptocereus demissusが記載されました。
【追記】ハイチからケレウスの新種、Cereus haitiensisが説明されました。しかし、この名前は非合法名(nom. illeg.)とされ、認められませんでした。これは、1926年にすでにC. haitiensisが命名されていたため、名前が重複してしまうことからと考えられます。ちなみに、現在ではSerrulatocereus serruliflorusの異名となっています。


2018年
★メソアメリカ地域からデアミアの新種、Deamia montalvoaeが記載されました。
★メキシコのオアハカ州からテロカクタスの新種、
Thelocactus tepelmemensisが記載されました。
https://www.thelocactus.cactus-mall.com/Species_Files/tepelmemensis.html
【追記】メキシコ原産のStenocereus griseus複合体から、Stenocereus huastecorumが分離されました。しかし、未だに未記載種となっています。
【追記】キューバ西部のPinar del Rio州のカルスト石灰岩の崖からレプトケレウスの新種、Leptocereus assurgens var. albellusLeptocereus chrysotyriusが記載されました。L. 
assurgens var. albellusは、2020年にL. assurgens subsp. albellusとなっています。また、同じく2020年にL. albellusとする意見もありました。同じく2020年にL. chrysotyriusはL. assurgens subsp. chrysotyriusとされました。

2019年
★メキシコ南部からケファロケレウスの新種、Cephalocereus parvispinusが記載されました。
https://inaturalist.ca/taxa/1133501-Cephalocereus-parvispinus
★メキシコのヌエボレオン州からツルビニカルプスの新種、
Turbinicarpus boedekerianusが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/858375-Turbinicarpus-boedekerianus

2020年
★ペルーからリマンベンソニアの新種、Lymanbensonia choquequiraensisが記載されました。
★メキシコのハリスコ州からアカントケレウスの新種、
Acanthocereus paradoxusが記載されました。
★メキシコのシナロアからコケミエアの新種、
Cochemiea thomasiiが記載されました。【追記】2021年にMammillaria thomasiiとする意見もありましたが、認められておりません。
★メキシコからマミラリアの新種、
Mammillaria breviplumosaが記載されました。しかし、現在ではM. sanchez-mejoradae subsp. breviplumosaの異名とされています。
★分類が曖昧だったEchinocereus pulchellus複合体が整理され、
Echinocereus acanthosetusEchinocereus sharpiiが新種として分離されました。
【追記】ドミニカ共和国のアンティル諸島原産のLeptocereus weingartianus複合体から、新種のLeptocereus velozianusが分離されました。また、2021年にNeoabbottia velozianaとする意見もありましたが認められておりません。


2021年
★メキシコのハリスコ州南部からアカントケレウスの新種、Acanthocereus atropurpureusが記載されました。
★メキシコのバハ・カリフォルニア半島からウチワサボテンの新種、Opuntia sierralagunensisOpuntia caboensisが記載されました。
★ドミニカ共和国やハイチに自生するPilosocereusはP. polygonusとされてきましたが、新種のPilosocereus brevispinusPilosocereus excelsusPilosocereus samanensisに分解されました。

2022年
★ニカラグアからデアミアの新種、Deamia funisが記載されました。
★メキシコのサン・ルイス・ポトシ州からマミラリアの新種、Mammillaria morentinianaが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースにはまだ記載がありません。新種であるか否か、正式に審査されるのはこれからのようです。【追記】現在、M. morentianaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1433006-Mammillaria-morentiniana
★分類が曖昧だったMammillaria fittkaui複合体を分析し、ハリスコ州原産のMammillaria arreolaeを新種として説明しました。しかし、こちらもまだキュー王立植物園に記載はありません。【追記】現在、M. arreolataはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1427658-Mammillaria-arreolae/browse_photos
【追記】メキシコのBajioからステノカクタスの自然交雑種であるStenocactus × irregularisが記載されました。

2023年
★ペルーからウチワサボテンの新種、Cumulopuntia mollispinaが説明されました。【追記】現在、C. mollispimaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
★ブラジルからパロディアの新種、Parodia flavaが説明されました。【追記】まだ未記載種のようです。
★ブラジルのリオグランデ・ド・スル州西部からパロディアの新種、Parodia hofackerianaが説明されました。【追記】現在、P. hofackerianaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。また、2023年にNotocactus hofackerianusとする意見もありましたが認められておりません。ちなみに、NotocactusはParodiaに吸収され、属としては消滅しました。
【追記】ホンジュラスのCelaque山国立公園からアカントセレウスの新種、Acanthocereus lempirensisが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1491587-Acanthocereus-lempirensis
【追記】ブラジル東部の半乾燥地からタキンガの新種、Tacinga
 paiaiaが説明されました。まだ、未記載種のようです。
【追記】メキシコのGuanajuatoからマミラリアの新種、Mammillaria monochrysacanthaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1500362-Mammillaria-monochrysacantha
【追記】ケレウス属の遺伝子を解析し、ブラジルのミナスジェライス州とバイーア州原産のCereus ingensと、ブラジル北部原産のCereus gerardiが分離されました。しかし、まだ未記載種のようです。

2024年
2024年に公表された新種は、まだ未記載種となっています。これから、審査されることになります。
【追記】ブラジル北東部のCeara州からタキンガの新種、Tacinga mirimが説明されました。いままで、より大型のT. palmadoraと混同されてきました。
【追記】コロラド州西部からスクレロカクタスの新種、Sclerocactus dawsoniaeが説明されました。S. glaucusより小型でトゲが少なく、遺伝的にも異なります。
https://guatemala.inaturalist.org/taxa/1551384-Sclerocactus-dawsoniae
【追記】メキシコのBajio地域からマミラリアの新種、Mammillaria ariasiiが説明されました。M. hahnianaに似ています。
https://www.inaturalist.org/taxa/1543654-Mammillaria-ariasii/browse_photos
【追記】メキシコのSan Luis Potosi州からオプンチアの新種、Opuntia fortanelliが説明されました。
【追記】ユーベルマニア属の分子系統解析により、Ubelmannia nudaが分離されました。ブラジルのGerais州の原産で、遺伝的にはU. pectiniferaに近縁です。半地下生など珍しい特徴を持ちます。
https://www.cactuspro.com/forum/read.php?1,921125

最後に
以上が調べた限りの最近の新種のサボテンです。検索が不十分だったのでいくつか追加しました。また、2024年にも、8月までで既に5種類もの新種のサボテンが発表されています。しかし、まだ確認段階で正式に認められるのは来年以後になるでしょう。園芸的に見るならば、ユーベルマニアの新種はかなりインパクトが大きく感じます。今後、園芸市場に出回るでしょうか?
さて、今年に発表された種は、これから検証されて、将来的に正式にデータベースに記載されていく可能性があります。せっかく調べたのですから、これからは毎年チェックしていきたいですね。



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実はサボテンや多肉植物も、毎年のように新種が発見されています。地球上のすべての土地が調査し尽くされているわけではないため、未踏の場所を調査したら新種は見つかるもののようです。さらに、詳しく研究されず、似た種類を1種類にまとめてしまっていたりもします。そのようなものは、最近になって再び研究されて整理され始めています。ここ10年ちょいの多肉植物の新種については、サボテン、アロエ、アガベ、セダムについて最近記事にしてまとめて来ました。本日はエケベリアの近年の新種について見てみましょう。論文を軽く漁っただけなので、すべての新種を網羅してはいないかも知れません。

231101214314314~2
Echeveria whitei
『Addisonia』(1925年)より。


2011年
・メキシコのMichoacanより、新種のEcheveria purhepechaが記載されました。

2012年
・メキシコのSinaloaより、新種のEcheveria cheveriaが記載されました。

2013年
・メキシコ西部のSierra de Manantlanより、新種のEcheveria yalmanantlanensisが記載されました。石灰岩の山塊Cerro de Grandeの固有種です。

2014年
・メキシコのColima火山より、新種であるEcheveria muniziiが記載されました。E. fulgensに似ています。
・メキシコ西部Colimaの石灰岩地より、新種であるEcheveria cerrograndensisが記載されました。E. fulgensと近縁と考えられます。
・メキシコのJaliscoより、新種のEcheveria marianaeが記載されました。E. novogaliciana、E. dactyliferaに似ています。

2015年
・メキシコのJaliscoより、Echeveria rulfianaが記載されました。

2016年
・メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria pistioidesが記載されました。
・メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria coruanaが記載されました。


2017年
・Echeveria pringlei var. parvaを独特させ、Echeveria fjammigeraを代替名として提案しました。しかし、この提案は認められておりません。

2019年
・メキシコのMichoacanより、新種であるEcheveria michihuacanaが記載されました。
・メキシコのGuerreroより、新種であるEcheveria xochipalensisが記載されました。
・メキシコのNevado de Colima火山より、新種であるEcheveria sonianevadensisが記載されました。


2020年
・エクアドルとペルーの国境より、既存種より2種の新種が分離されました。1つはEcheveria quitensisとされてきた中から、Echeveria cojitambensisが分離されました。もう1つはEcheveria cuencaensisと混同されてきたEcheveria tabaconasensisが分離されました。
・メキシコのSinaloaより、新種であるEcheveria coppiiが記載されました。

2021年
・ペルーのTayacaja州より、新種であるEcheveria incaicaが記載されました。E. oreophilaに似ています。
・ペルーのCastrovirreyna州より、新種のEcheveria ostolazaeが記載されました。
・メキシコのGuerreroより、新種であるEcheveria islasiaeが記載されました。
・メキシコのDurangoより、新種であるEcheveria kristeniiが記載されました。E. dactyliferaおよびE. novogalicianaに似ています。


2022年
・メキシコのOaxacaのMixteca Atla産地より、新種であるEcheveria andreaeが記載されました。

以上がエケベリアの新種たちです。意外と新種は見つかっていますし、これからも見つかる可能性が高そうです。エケベリアの分布の中心はメキシコのようですが、エクアドルでも新種が見つかっていますね。もしかしたら、メキシコ以外では調査が遅れているだけで、これからまだまだ新種が見つかるかも知れません。また、今は何と言っても遺伝子解析の時代です。エケベリアは形態学的によく似た種類が多いため、混同されている種類もありそうですから、遺伝子解析により大幅に改訂されてしまうかも知れません。これからのエケベリア研究は目が離せませんね。


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近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参考までにということで。

2011年
・メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
・メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
・メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
・メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
・Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
・メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。

2014年
・メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
・メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
・メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2016年
・メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
・コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
・メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
・メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
・メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。
・メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
・メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。


2019年
・メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。
・メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。
・メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。


2020年
・メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。
・コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。
・メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。

2021年
・メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。

2022年
・メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
・メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。
・メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。

2023年
2023年に出た論文で説明された新種は、まだデータベースへの記載はありません。これから精査されるのでしょう。
・メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。
・メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。


さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。


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Sedumは丈夫で育てやすく、寄植えやグランドカバーなど用途の幅も広く、その種類も非常に沢山あります。しかも、近年に至っても沢山の新種が発見されています。新たな調査により発見される場合もありますが、近年の特徴は遺伝子解析による新種の発見でしょう。産地ごとの微妙な違い程度と考えられて変種や亜種とされてきたものが、遺伝子解析により分離されるという報告がなされるようになりました。このように、新種の発見は大変興味深いものです。しかし、我々趣味家には中々情報が入って来ないものです。本日はそんなセダムのここ10年と少しの新種について、ごく簡単にご紹介しましょう。ただ、私もそのすべてを歩漁出来ませんから、おそらくご紹介出来たのはその一部に過ぎないかも知れません。

231005222419419~2
Sedum spp.
『Illustrations of the British flora』(1908年)より。


2010年
・米国のアイダホ州から新種であるSedum valensが記載されました。


2012年
・メキシコから新種であるSedum kristeniiが記載されました。
・メキシコとグアテマラから新種であるSedum mesoamericanumが記載されました。
・中国から新種であるSedum plumbizinicicolaが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum perezdelarosaeが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum jarochoが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum brachetiiが記載されました。


2013年
・台湾の石灰岩地から新種であるSedum tarokoenseが記載されました。
・中国から新種であるSedum kuntsunianumが記載されました。


2014年
・米国のカリフォルニア州から新種であるSedum citrinumが記載されました。
・中国から新種であるSedum spiralifoliumが記載されました。


2015年
・メキシコから新種であるSedum moniliformeが記載されました。Sedum longipesに良く似ているということです。
・メキシコから新種であるSedum piaxtlaenseが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum pyriseminumが記載されました。


2016年
・東アフリカのケニア山高地から、新種であるSedum kenienseが記載されました。


2017年
・日本の男女群島より新種であるSedum danjoenseが記載されました。Sedum formosanumとされてきましたが、遺伝子解析により別種として分離されました。
・メキシコから新種であるSedum sinforosanumが記載されました。
・中国からSedum peltatumが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。


2019年
・中国の石灰岩地から新種であるSedum lipingenseが記載されました。
・中国から新種であるSedum ichangensisが記載されました。
・台湾から新種であるSedum kwanwuenseSedum taiwanalpinumが記載されました。


2020年
・中国から新種であるSedum nanlingensisが記載されました。Sedum onychopetalumやSedum kiangnanenseに近縁とされます。
・ペルー北部から新種であるSedum hutchisoniiが記載されました。
・日本の小笠原諸島から新種のSedum mukojimenseが記載されました。Sedum boninenseから分離されました。


2022年
・メキシコから新種であるSedum dormiensが記載されました。
・日本の九州地方から沖縄に分布するSedum japonicum subsp. uniflorumあるいはSedum uniflorumとされるセダムは、Sedum ryukyuenseとされました。これは、1838年に記載されたSedum uniflorum Hook. & Arn.は、過去に同名のセダムが命名されていたため非合法名として命名され直されました。ちなみに、同名のセダムとは、1810年に命名されたSedum uniflorum Raf.(=Phedimus stellatus)です。 


2023年
2023年に出た論文で説明された新種は、まだデータベースに記載がありません。
・中国から新種とされるSedum jinglaniiが説明されました。
・中国から新種とされるSedum yangjifengensisが説明されました。
・中国から新種とされるSedum danxiacolaが説明されました。
・日本の九州地方の石灰岩地より、新種とされるSedum kawarenseが説明されました。Sedum lipingenseに近縁とされます。


231005223111688~2
Sedum bourgaei
『Addisonia』(1917年)より。


セダムは種類が多く皆よく似ていますから、種類の判別は中々困難です。意外にも日本でもまだ新種のセダムが見つかっていますが、その経緯は種の整理や分離独立といった形です。これは、日本のセダムが広く分布する種類と似ていたら、基本的に広域種の地方変異程度に考えてしまうため、このような事態となっているのでしょう。今は遺伝子解析という武器があるため、隠蔽されていた新種が見つけ出されたのです。これからも、このようなケースは増えてくることは確実ですから、場合によっては新種が次々と見つかる可能性もあります。セダムはある意味、今熱い分野なのかも知れませんね。


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先日、ここ10年ちょいくらいの、サボテンの新種についての記事を書きました。サボテンは巨大なグループで分布も広く、新種が見つかる余地はまだまだありそうです。その他の多肉植物では、何と言ってもアロエは新種が見つかる可能性が高いと言えます。アロエの新種を説明した論文を探してみたので、少し見てみましょう。まあ、サボテンの時と同じく、すべての新種を調べた訳ではなく、簡単に調べて出てきたものだけです。一応、アロエと近縁なAstrolobaやHaworthia、Gasteriaと、旧・アロエ属についても一部の情報を追加しました。

2010年
・モザンビークから南アフリカのKwaZulu-Natalにかけての地域より、新種のAloe tongaensisが記載されました。しかし、2013年にAloidendron属に移され、Aloidendron tongaensisとなりました。

2011年
・エチオピアから4種類の新種のアロエが記載されました。Aloe benishangulanaAloe ghibensisAloe weloensisAloe welmelensisです。

2012年
・北ソマリアから新種のAloe nugalensisが記載されました。
・マダガスカルから新種の3種類のアロエが記載されました。Aloe beankaensisAloe ivakoanyensisAloe analavelonensisです。
・ナミビアのBaynes山から新種のAloe huntleyanaが記載されました。
・南アフリカのMpumalngaから新種のAloe condyaeが記載されました。
・アンゴラ南西部のナミブ砂漠から新種のAloe mocamedensisが記載されました。


2014年
・マダガスカル北部から新種のAloe gautieriが記載されました。
・南アフリカのMpumalangaから新種のAloe andersoniiが記載されました。
・南アフリカの東ケープ州から新種のAloe liliputanaが記載されました。
・南アフリカの東ケープ州から新種のGasteria loedolffiaeが記載されました。
・南アフリカの西ケープ州新種のからGasteria barbaeが記載されました。

2015年
・ウガンダから新種のAloe lukeanaが記載されました。
・南アフリカの西ケープ州から新種のAstroloba cremnophilaが記載されました。

2017年
・マダガスカル北西部から新種のAloe belitsakensisが記載されました。
・マダガスカルから新種のLomatophyllum類である、Aloe maningoryensisAloe alaotrensisが記載されました。
・ケニアから新種のAloe zygorabaiensisAloe uncinataが記載されました。
・南アフリカから新種のAstroloba tenaxAstroloba robustaが記載されました。
・南アフリカの西ケープ州から新種のHaworthia grenieriが記載されました。
・南アフリカの西ケープ州から新種のGasteria koelniiが記載されました。

2018年
・南アフリカのCape Provから新種のHaworthia duraHaworthia ernstiiHaworthia vitrisが記載されました。

2019年
・ソマリランドから新種のAloe sanguinalisが記載されました。

2020年
・マダガスカル東部の湿潤林から新種のAloe vatovavensisAloe rakotonasoloiが記載されました。
・インドの砂漠から新種のAloe ngutwaensisが記載されました。
・南アフリカの東ケープ州から新種のGasteria visseriiGasteria camillaeが記載されました。


2021年
・アンゴラ北西部から新種のAloe uigensis が記載されました。

2022年
・南アフリカ北部から新種のLeptaloe類であるAloe hankeyiが記載されました。

2023年
・アンゴラ南部からの新種としてGonialoe borealisが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載されていません。

と言う訳で、近年のアロエ類の新種でした。基本的に調べたのは名前だけで、画像検索はしていないため、園芸的な重要度は分かりません。しかし、個人的にはゴニアロエの新種が気になります。ゴニアロエは3種類しかありませんから、新種の発見は大変な驚きです。とはいえ、論文が出たばかりですから、正式な学名として認められるかどうかはこれからでしょう。また、Aloe tongaensisは巨大なAloidendronの新種と言うことで、このような目立つ植物が今まで記載されていなかったのは不思議です。あと、Aloe ngutwaensisはインドからの新種と言うことですが、アロエの自然分布がインドまであることに驚きました。アロエの私の持つイメージでは、アフリカ大陸とマダガスカル、アラビア半島に少しあるくらいなものでした。まあ、これは勝手な思い込みで、調べれば簡単に分かることでしたね。

※追記
アロエの新種についての2024年バージョンの記事をあげました。そちらもご参照下さい。
https://euphorbia-obesa.com/archives/26670219.html


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1753年にCarl von LinneがサボテンをCactus属と命名した時には、すでにヨーロッパでもサボテンが栽培されていました。それから、沢山のサボテンが命名されてきましたが、未だに新種のサボテンが見つかっています。最近見つかったサボテンはなんだろうかと思って、少し調べてみました。と言っても、すべての新種を調べた訳ではなく、検索してすぐに出てきたものだけです。しかし、それでも2010年以降に限っても、それなりの種類は見つかりました。主に論文のAbstractだけをサラッと読んだだけですから、あまり詳しい内容は分かりません。ですから、簡単に見ていきましょう。

2012年
アルゼンチンのブエノスアイレス州からウチワサボテンの新種、Opuntia ventanensisが記載されました。しかし、現在ではOpuntia fragilisの異名とされています。

2013年
・ペルー南部からボルジカクタスの新種、Borzicactus hoxeyiが記載されました。しかし、2014年にLoxanthocereus属になり、Loxanthocereus hoxeyiとなりました。

2014年
・ペルー北部からエスポストアの新種、Espostoa cremnophilaが記載されました。
・メキシコのオアハカ州からウェベロケレウスの新種、
Weberocereus alliodorusが記載されました。
・メキシコのタマウリパス州からマミラリアの新種、
Mammillaria huntianaが記載されました。しかし、現在ではM. roseoalbaの異名とされています。

2015年
・アルゼンチンのコルドバ州からギムノカリキウムの新種、Gymnocalycium campestreが記載されました。
・メキシコ中央部でツルビニカルプスの新種、
Turbinicarpus heliaeが記載されました。 しかし、2021年にKadenicarpus属になり、Kadenicarpus heliaeとされています。

2017年
・エルサルバドルでディソカクタスの新種、Disocactus salvadorensisが記載されました。
・メキシコのCoahuila州からウチワサボテンの新種、
Corynopuntia deinacanthaCorynopuntia halophilaが記載されました。しかし、2018年に2種類ともGrusonia属になり、Grusonia deinacanthaGrusonia halophilaとされています。実は、Corynopuntia属は消滅し、すべてGrusonia属となっています。

2018年
・メソアメリカ地域からデアミアの新種、Deamia montalvoaeが記載されました。
・メキシコのオアハカ州からテロカクタスの新種、
Thelocactus tepelmemensisが記載されました。

2019年
・メキシコ南部からケファロケレウスの新種、Cephalocereus parvispinusが記載されました。
・メキシコのヌエボレオン州からツルビニカルプスの新種、
Turbinicarpus boedekerianusが記載されました。

2020年
・ペルーからリマンベンソニアの新種、Lymanbensonia choquequiraensisが記載されました。
・メキシコのハリスコ州からアカントケレウスの新種、
Acanthocereus paradoxusが記載されました。
・メキシコのシナロアからコケミエアの新種、
Cochemiea thomasiiが記載されました。
・メキシコからマミラリアの新種、
Mammillaria breviplumosaが記載されました。しかし、現在ではM. sanchez-mejoradae subsp. breviplumosaの異名とされています。
・分類が曖昧だったEchinocereus pulchellus複合体が整理され、
Echinocereus acanthosetusEchinocereus sharpiiが新種として分離されました。

2021年
・メキシコのハリスコ州南部からアカントケレウスの新種、Acanthocereus atropurpureusが記載されました。
・メキシコのバハ・カリフォルニア半島からウチワサボテンの新種、Opuntia sierralagunensisOpuntia caboensisが記載されました。
・ドミニカ共和国やハイチに自生するPilosocereusはP. polygonusとされてきましたが、新種のPilosocereus brevispinusPilosocereus excelsusPilosocereus samanensisに分解されました。

2022年
・ニカラグアからデアミアの新種、Deamia funisが記載されました。
・メキシコのサン・ルイス・ポトシ州からマミラリアの新種、Mammillaria morentinianaが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースにはまだ記載がありません。新種であるか否か、正式に審査されるのはこれからのようです。
・分類が曖昧だったMammillaria fittkaui複合体を分析し、ハリスコ州原産のMammillaria arreolaeを新種として説明しました。しかし、こちらもまだキュー王立植物園に記載はありません。

2023年
2023年に記載された新種は、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
・ペルーからウチワサボテンの新種、Cumulopuntia mollispinaが説明されました。
・ブラジルからパロディアの新種、Parodia flavaが説明されました。
・ブラジルのリオグランデ・ド・スル州西部からパロディアの新種、Parodia hofackerianaが説明されました。

以上が調べた限りの最近の新種です。しかし、よく考えたら新種が書かれたサイトとかありそうですね。海外ではそういうデータを集めたようなサイトも多いですし。まあ、でも論文から直に名前を抽出して、データベースと照合して、自分で確かめた内容ですから、勉強になったと思うことにしました。今年に発表された種は、これから検証されて、将来的に正式にデータベースに記載されていく可能性があります。せっかく調べたのですから、これからは注視していきたいですね。

※追記
2024年バージョンの記事を挙げましたから、そちらもご参照下さい。いくつかの情報を追加しています。
https://euphorbia-obesa.com/archives/26481044.html


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