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カテゴリ:リュウゼツランの仲間 > アガヴェ

今年の多肉植物のニュースはいくつかありますが、その重大な1つはEchinoagaveのAgaveからの独立の提案でしょう。最近、記事にしましたから、詳細は以下のリンクをご参照下さい。


さて、論文を読んだこともあり、早速11月の五反田BBでEchinoagaveとされた12種のアガヴェの1つ、Agave albopilosa=Echinoagave albopilosaを入手しました。調べて見ると、A. albopilosaは2007年に記載された割と新しい種だということです。では、何か情報はないかと調べて見たら、A. albopilosaの発見の経緯について書かれた記事を見つけました。それは、Joel Lobeの2011年のレポート、『
The True Story of Agave albopilosa』です。

メキシコへ
多くの多肉植物愛好家と同じく、著者も最近発見されたこの神秘的な植物=Agave albopilosaについて聞いていましたが、その場所は秘密にされていました。何人かの植物学者は見つける事が出来ましたが、正確な場所を教えてくれる人はいませんでした。それでも、著者は諦めませんでしたが、現地はハリケーンAlexにより道路は寸断され、橋は崩壊し、山は崩れ、洪水に見舞われていました。

自然の猛威
Huasteca渓谷への最初の訪問は失敗に終わりました。著者が到着した時には、ショベルカーが何台もの壊された車の残骸を運び始めていました。やがて雨が降り出し水位が上がってきたため、急いで引き返しました。車は滑り岩に接触しましたが、何とか通り抜ける事が出来ました。Monterreyから出るのはかなりの苦労でした。
滞在中、著者は渓谷を何度も訪れましたが、困難ばかりで何もありませんでした。崖を苦労して登るものの、Agave lechuguillaやHechtia texanaと共存する、トゲがあり激しい痛みを伴うCnidoscolus multilobus(トウダイグサ科)が自生し侵入不可能でした。石灰岩の割れ目には、Portulaca pilosaやEchinocereus reichenbachii、Mammillaria formosa、Mammillaria proliferaも見かけました。
頂上付近にはYucca rostrataの見事な群落が見えました。しかし、Agave albopilosaはありませんでした。危険な下り坂の途中では、渓谷の底にHesperaloe funiferaを見つけました。
翌日、最後の試みとして徒歩で下りました。切り立った崖の上に、Agave bracteosaやAgave victoria-regiaeなどの豊かな植生が見えました。谷にはAcanthocereus tetragonusやCylindropuntia kleiniaeを見かけました。また、Dasylirion berlandieriの赤みがかった茎は容易に判別出来ました。望遠鏡で観察したいくつかの植物は、おそらくAgave victoria-regiaeのAgave albopilosaに似た変形か、ただの交雑種でした。

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Echinoagave albopilosa
=Agave albopilosa
尖端の鉛筆の芯のようなトゲは、やがて裂けていきます。


予想外の発見者
Monterrey大学ではMarcela Goonzales Alvarez博士が生物学科の植物標本室を担当していますが、Agave albopilosaを生息地で見たことがなく、標本もありませんでした。発見者であるIsmael Cabralの記事によると、タイプ標本(Isotype)を寄贈しているはずです。Marcelaは植物標本室用の標本収集のために同行することになりましたが、A. albopilosaがHuasteca渓谷で発見されたこと以外の情報は知りませんでした。
彼女は生息地を知っているであろう研究者を紹介してくれました。その理由は、彼自身がAgave albopilosaの発見者だったからです。これには著者も当惑させられました。なぜなら、一般的に発見者とされるIsmael Cabralではなく、Agaveの分子遺伝子型判定法の発明者であるJorge Armando Verduzcoだからです。
誰もが
Ismael CabralがA. albopilosaを発見したと言いますが、VerduzcoはCabralが引用した文献には登場しません。なぜなら、Cabralは自分がA. albopilosaを発見したと言っているからです。Verduzcoを引用することは、Cabralが真の発見者ではないことを認めることになるからです。このようなことは、植物学や動物学の世界ではよく見られることで、最初の発見者になりたいということは、倫理的ではないかも知れませんが非常に人間的なことです。
Verduzcoは10年以上前に現地調査中にA. albopilosaに気が付きました。
Verduzcoはこの時、写真付きの短い記事を書き、正式な説明なしで「Victoria-montana」と名付けました。この時、若いCabralはMonterrey大学におり、博士論文に忙しくしていました。彼はVerduzcoに会い、A. albopilosaを見せてもらいました。

生長すると、尖端のトゲ部分が裂けて花が咲いたような見た目になります。(以下リンク)
http://www.llifle.com/Encyclopedia/SUCCULENTS/Family/Agavaceae/184/Agave_albopilosa

繁殖のすすめ
メキシコ人が密輸業者にすら知られている場所を秘密にしていることを不思議に思うかもしれません。さらに言えば、Agave albopilosaは主に手が届かない場所で育ち、繁殖力はかなり強く、差し迫った危険にさらされているわけではありません。いったい何が問題なのでしょうか?
A. albopilosaが知られてから10年以上経ちますが、コレクターが欲しがり入手するであろうことは当然です。なぜ、繁殖を試みなかったのでしょうか。その方が仮想的な保護より効果的です。もし、市場が密売人にとってそれほど儲かるのであれば、なぜオランダやチェコ、日本、ドイツの種苗業者のように温室を建て、種を蒔き、市場を満たさないのでしょうか。メキシコには種子や気候、土地、すべてが有利です。中国人はEchinocactus grusonii(=Kroenleinia grusonii)を幸運のサボテンと呼び、何百万本もの個体が市場に出回っています。E. grusoniiはメキシコからいつか消えるかもしれないサボテンですが、地球上から消えることはありません。万里の長城と同じように、中国には月から見えるくらい沢山のE. grusoniiがあるはずです。

最後に
以上が記事の簡単な要約です。
著者は謎めいた新種のアガヴェであるAgave albopilosaを探すために、メキシコを訪問しました。しかし、ハリケーンの到来により、著者が思わぬ苦労をする羽目になります。ハリケーンの影響と、詳細は自生地の秘匿により、結局著者はAgave albopilosaを見つけることができませんでした。
さて、この自生地の秘匿自体は、意味があることです。論文の情報を元に違法採取が行われることが明らかとなり、近年では詳細な自生地の情報は秘匿されることは珍しくありません。ただし、著者の言い分もよく分かります。CITESなどの保護政策は基本的に採取や国際的な取り引きの制限は行いますが、園芸市場における不足に対しては無力です。違法取り引きの原因は、市場において需要と供給のバランスが崩れ、飢餓感が生まれることにあります。そのことにより、違法取り引きに旨味が生まれるのです。積極的な流通が違法取り引きの旨味を潰すのは、Euphorbia susannaeなどでも確認済であり、ソテツ類では一般への流通により違法取り引きを減じる対策が進行中です。
元記事のタイトルにあるように、Agave albopilosaの記載者と発見者が実は異なるという趣旨でした。そのことはまあいいとして、気になるのは発見者のVerduzcoです。
Verduzcoはアガヴェの遺伝子についての専門家で、アガヴェには交配種が多く見られると考えているようです。Agave albopilosaも自然交雑種と考えているようですが、まだ証明されたわけではないようです。交雑種というとただの雑種のような気がしますが、実は植物にとっては進化の重要な要素の1つとされています。ウチワサボテンでは複数種が混じり合い新しい種が生まれており、これを網状進化と呼んでいるそうです。Agave albopilosaに関しては種子で繁殖していることからして、すでに独立種としての要件は満たしているのでしょう。


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アガヴェは専門外なのですが、イベントでオマケでいただいた苗を2つ育てています。そんな縁もあり、たまにアガヴェについても記事にしています。そんなこんなで本日はアガヴェについての記事です。何でも、ネイティブアメリカンがかつてアガヴェを作物として栽培していたらしいのです。詳しく見てみましょう。本日ご紹介するのは、Wendy C. Hodsonらの2018年の論文、『Hohokam Lost Crop Found: A New Agave (Agavaceae) Species Only Known from Largescale pre-Columbian Agricultural Field in Southern Arizona』です。

アガヴェ栽培と考古学
考古学者は南アリゾナの先コロンブス期の居住者であるHohokam族が、大規模なアガヴェ栽培を行っていたことを提唱してきました。数千エーカーに及ぶ岩石や岩の配列や、アガヴェの収穫と加工に用いられた特徴的な石器、アガヴェを調理するための大きな焙煎穴などの証拠があります。1500年代半ばにスペイン人がアリゾナに到着したころには、1350年頃から始まる深刻な人口減少により、Hohokamの文化や農地利用のパターンは消滅していました。

Hohokam族と農業
Hohokam族は、現在のアリゾナ州中部と南部のソノラ砂漠で農業を営んでいました。Hohokamの社会は古代の狩猟採集集団から発展し、少なくとも4000年前からトウモロコシを栽培していました。Hohokam族は紀元後300年から1450年にかけて、Gila川、Salt川、San Pedro川、Santa Cruz川、Verde川とその支流に沿って、洗練された集約的な農業システムを開発しました。
数百マイルに及ぶ大規模で複雑な灌漑用水路と溝が、氾濫原と隣接する段丘で栽培される作物に水を供給しました。段丘ではトウモロコシ、tepary beans(Phaseolus acutifolius var. acutifolius)、ヒョウタン、アマランサス、綿花を栽培していました。西暦800年までにSan Pedro川などの川沿いに儀式用の舞踏場や土塁などの公共施設を備えた大規模なHohokamの竪穴式住居の村落が広がっていました。Salt川とGila川の流域では、Hohokamの人口は灌漑用水路の延長上に広がり、川の取水口から何マイルも離れていることも珍しくありませんでした。考古学者の推定によれば、西暦1300年までにHohokamの人口は約4万人に達しており、先史時代のアメリカ南西部ではもっとも人口が集中していた地域の1つでした。

先史時代の遺構
考古学者は、アガヴェはいくつかの河川沿いの畑の乾燥した地域で栽培されていたと推測しています。しかし、先史時代の灌漑氾濫原が沖積土に埋もれたため、アガヴェが栽培されていた証拠は山岳地帯のbajada(※1)とterrace(※2)でした見られません。bajadaとterraceは遠目には自然地形に見えますが、実際には重ねた岩や整列した岩により構築されており、乾燥農業用に修正され管理された人工的な景観を示します。

(※1)bajadaは、山の正面に沿い合体した一連の扇状地から構築される。

(※2)terraceは階段状の地形のこと。

アガヴェの痕跡
平板状の石ナイフや鋭角なパルプ加工用かんな、石鎚などの特殊な石器、焙煎穴の存在は、栽培されていた作物を特定するための重要な手がかりです。これらの道具は、先史時代を通じてアガヴェの食品あるいは飲料、繊維加工のために使用されていたからです。アリゾナ州中央部と南部のHohokam遺跡からは炭化したアガヴェが発見されており、葉の基部や繊維、葉柄の断片が含まれています。植物学的に見ると2種類以上のアガヴェが栽培されていたことが示唆されます。残念ながらアガヴェの残骸は断片的すぎて種の特定はできません。研究者は、Agave murpheyiやアリゾナ州のアガヴェ、またはメキシコ原産の栽培品種のいずれかが栽培されたと考えています。さらに、これらの先史時代の遺構や道具は、A. chrysanthaやA. deserti subsp. simplex、A. palmeri、A. parryiなどのアリゾナ州南東部及び中央部に分布する野生アガヴェの自生地より低い標高で発見されています。

先コロンブス期の栽培アガヴェ
1980年代初頭、Hodgson氏ら植物学者たちはアリゾナ州とメキシコのソノラ州北部で、先史時代の栽培アガヴェを突き止めるために現地調査を開始しました。アリゾナ州中部では先史時代の畑に残存するアガヴェの個体群を発見し、A. murpheyiとA. delamateriが先コロンブス期の栽培種であることを示しました。両種は種子をほとんど生成せず、根茎を介して容易に無性生殖するなど、栽培植物に共通する特徴を持っています。形態学的変異はほとんど見られず、自然環境ではないterraceなどの考古学的な環境に関連して生育しています。2007年にParkerらによる研究では、両種ともに野生のアガヴェより遺伝的多様性が低いことがわかりました。これは、作物に期待される特徴です。

未知の栽培アガヴェ
Clark & Lyons(2012)は、San Pedro川の考古学研究書において、完新世の氾濫原を見下ろすアリゾナ州南部にあるHohokamの乾性耕作地の段丘に、生きたアガヴェが存在することを明らかにしました。農地のいくつかは60ヘクタールを超えていました。畑に生えるアガヴェの写真は注目を集めましたが、種の同定はできませんでした。HodgsonとSalywonは現地を訪れ、そのアガヴェが未記載種であることを突き止めました。

新種アガヴェの情報
Agave sanpedroensis W. C. Hodgson & A. M. Salywon sp. nov.
タイプ: アメリカ合衆国、アリゾナ州Pima郡、標高914m、ソノラ砂漠上部の低木地帯、多数の先コロンブス期のbajadaとterrace。

自生地はTortolita山脈近くの1か所で、12以下の個体群が知られています。人工的な先コロンブス期の農地でのみ発生し、自然環境には見られません。分布域には、Calliandra eriophylla(緋合歓)、Carnegiea gigantea(弁慶柱、Saguaro)、Cylindropuntia fulgida(cholla)、Ferocactus wislizeni、Fouquieria splendens、Opuntia engelmannii、Opuntia phaeacantha、Parkinsonia microphylla、Prosopis velutina(ベルベットメスキート)、Eragrostis lehmannianaが自生します。
花色はA. phillipsianaおよびA. palmeriに類似しています。A. sanpedroensisのS字型の曲がりくねった細い花序と大きく厚みのある花は、A. phillipsianaに似ています。これは側枝のある頑丈な花序があるA. palmeriとは異なります。A. sanpedroensisの厚みのある基部と芽の形の刻印がある灰緑色の葉を持ち、目立って厚みがなく芽の形の刻印がなく、より濃い緑色のA. phillipsianaおよびA. palmeriとは異なります。
高さ及び幅は50〜70cmで、ロゼットは開き、根茎は自由に分離しクローンを形成する。葉は線状披針形から線状倒披針形で、長さ44〜49cmで縁は波打ちます。縁歯は強く反り返り、時々直立または上向きになります。花は7月下旬から8月で、果実は発育初期に枯れるらしく、知られていません。
著者らは開花した花を2個体観察しましたが、果実はありませんでした。不稔のように見えますが、根茎により容易に無性生殖するため、放棄されてから何世紀にも渡り畑で生き残ってきました。A. sanpedroensisが不稔である理由はわかりません。おそらく自家和合性がなく、野生個体の分布域外で育ったため、環境が着果に合わないであるとか、人為的選択の結果として遺伝的不適合があるのかも知れません。または、無性生殖のために意図的に選抜された可能性もあります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
驚くべきことに、先史時代に栽培されていたと思しきアガヴェの新種について述べられています。おそらく不稔で種子が出来ず、シュートなどの栄養繁殖で増える特徴はいかにも栽培植物です。 気になるのはAgave sanpedroensisの出自です。栽培された元の種は何だったのでしょうか? 近隣のアガヴェの交配種でしょうか? あるいはメキシコなど他所からの移入も考えられます。単に原種は絶滅して栽培植物だけ生き残っただけかもしれません。詳細は遺伝子解析が行われていないため、わかりませんが著者らも気にしているようですから、何れ解明されるでしょう。 さて、最後にアガヴェ栽培を行う意味について考えてみましょう。アガヴェは育つのに時間がかかりますから、日常的な生活を支える栽培作物とは言えないでしょう。ある程度の生活的余剰があることが見て取れます。そして、その文化が失われたのは、Hohokamの衰退ともに失われていったのでしょう。著者らは他地域からの侵入など、外圧を示唆しています。考古学とリンクした面白い研究ですが、この研究を受けて考古学者たちがどのような考えを持つのか気になりますね。


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先日、ここ10年あまりのアガヴェの新種について、記事を書きました。その中で、今年出た論文でアガヴェから新属を分離するという話がありました。これは、一体どういうことなのでしょうか? 詳細が知りたいため、当該論文を読んでみることにしました。
ということで、本日はJ. Anthonio Vazquez-Garciaらの2024年の論文、『NEW GENERA AND NEW COMBINATIONS IN AGAVACEAE (ASPARAGALES)』をご紹介しましょう。

アガヴェの歴史
Agave属(Agave L.、リュウゼツラン属)の分類学上の位置づけと、リュウゼツラン科(Agavaceae)は歴史的に変化してきました。Bentham & Hooker(1883)およびEngler & Prantl(1988)の分類体系では、主に子房下位の特徴からアガヴェは他のユリ科植物と共にアマリリス亜綱(Amaryllidae)に分類されました。Hutchinson(1934)と長く使われてきたCronquist(1981)の分類体系では、子房の位置に関係なく多かれ少なかれ繊維状の葉を持つリュウゼツラン科に含まれてていました。しかし、YuccaとAgaveだけが独自の核型を共有していることが分かり、Agaveのような核型を持つギボウシ(Hosta)をリュウゼツラン科とする解釈や、それをただの収斂進化と見る研究者もいました。Dahlgrenら(1985)の分類体系では、化学的特徴を追加しリュウゼツラン科をYucca族(Yucceae)とAgave族(Agaveae)により減らしましたが、これは後の遺伝子解析により裏付けられています。遺伝子解析による国際的な植物分類の研究の成果であるAPGシステムでは、APG II(2003)まではリュウゼツラン科は認識されていましたが、以降はキジカクシ科(Asparagaceae)という大きな科に含まれることになりました(APG III, 2009、APG IV, 2016)。同様にAgave属はManfredaやPolianthes、Prochnyanthesなど、伝統的に形態が異なる属を含むように拡大しました(Thiede et al., 2020)。

Choritepalae節の誕生
Gentry(1982)はAgave bracteosaとAgave ellemeetianaが、トゲのない葉と明確な花冠節を持つ円盤状の花托という際立った特徴を共有していることを指摘しました。2015年にはChoritepalae節として公式化されました。Gentryはその特徴からこのグループをAgave属から分離する提案を行いました。最近の遺伝子解析では、約618万年前にA. bracteosaが広義のAgaveから早期に分離し、約425万年前にA. ellemeetianaがJuncineae節から分離したと推定されます。Juncineae節はかつてStrictaグループと呼ばれていました。

新属の分離
以前の著者らは、Agave属を単系統群として、Manfreda、Polianthes、ProchnyanthesをAgave属に含めることを提案しました。しかし、この分類では形態が異常に多様になっています。遺伝的(Jamez-Barron et.al. 2020)、形態学的、推定分岐年代の証拠から、Agave属のより正確な範囲を指定し、Echinoagave、Paraagave、Paleoagaveの3つの新属を分離します。

Agave sensu lato(広義のアガヴェ)の系統解析

          ┏━━Agave sensu stricto 
      ┏┫   (狭義のアガヴェ)
      ┃┃┏━Polianthes
      ┃┗┫ (incl. Prochnyanthes)
  ┏┫    ┗━Manfreda
  ┃┃
  ┃┃┏━━Echinoagave
  ┃┗┫
  ┫    ┗━━Paraagave
  ┃
  ┗━━━━Paleoagave


新属をAgave属から分離する目的は、より自然なあるいは単系統群に基づき、正確な分類を提供することです。また、Manfreda、Polianthes、Prochnyanthesからなる系統群は狭義のAgave属(Agave sensu stricto)とは分けられます。分類群の特徴とサンプル数を増やすことで、Manfreda、Polianthes、Prochnyanthesの間の関係をより明確に出来る可能性があります。

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Agave striata=Echinoagave striata
筑波実験植物園(2024年7月)


Agaveの分類
①Echinoagave
葉縁は微細な鋸歯状。葉は条線があり先端はカールせずにトゲがある。花は交互に均等な融合花被片を持ち筒状。
1. E. albopilosa (A. albopilosa)
2. E. cryptica (A. cryptica)
3. E. cremnophila (A. cremnophila)
4. E. dasylirioides (A. dasylirioides)
5. E. gracielae (A. gracielae)
6. E. kavandivi (A. kavandivi)
7. E. lexii (A. lexii)
8. E. petrophila (A. petrophila)
9. E. rzedowskiana (A. rzedowskiana)
10. E. strata (A. strata)
11. E. stricta (A. stricta)
12. E. tenuifolia (A. tenuifolia)

②Paleoagave
葉縁は微細な鋸歯状。葉は条線がなく先端はカールしトゲはない。花は交互に不均等な自由花被片を持つ。
1. P. bracteosa (A. bracteosa)

③Paleoagave
葉縁は微細な鋸歯状ではない。葉の先端にトゲはなく、先端は硬い。
1. P. ellemeetiana (A. ellemeetiana) 

④Agave sensu stricto
葉縁は微細な鋸歯状ではない。葉の先端にトゲがある。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
趣旨としてはアガヴェから、3つの属を分離する提案です。割りとはっきりした結果ですので、認められまる可能性は高いように思われます。個人的にはこの提案には驚きました。というのも、分離されるのがManfredaやPolianthesといったアガヴェらしからぬグループではなかったからです。Manfredaなどはアガヴェとはかなり外見上の特徴は異なりますから、アガヴェ属への統廃合には違和感を覚える人も多いでしょう。しかし、狭義のAgaveとManfreda、Polianthesは非常に近縁で、新属Echinoagaveなどと遺伝的にかなり距離があるようです。要するに、EchinoagaveやParaagave、Paleoagaveの方がManfredaなどよりも分離の要件を満たしているということです。ただ、今年発表されたばかりの論文ですから、まだ3つの新属は認められていません。今後、審査されていくでしょう。来年、「The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025. 」において新属として記載されるか、私も注視していきたいと思います。

ManfredaとPolianthes
次に気になるのはManfredaやPolianthesの今後でしょう。著者らのグループは、かつて古い時代の遺伝子解析結果を元に、ManfredaやPolianthesがアガヴェから分離出来ないことを指摘し、結果としてManfredaやPolianthesはアガヴェ属に統廃合されていきました。しかし、新しい遺伝子解析結果では、
ManfredaやPolianthesは明確に狭義のアガヴェから分離されているように見えます。ただ、サンプル数が少ないためManfredaやPolianthesとされる種のすべてで明瞭に分離が可能であるかは、まだわかりません。著者らもその点を明らかにする必要性を指摘しています。思うこととして、古い時代の遺伝子解析は精度が甘いので、大まかな傾向としては正しくても、細かい部分の信頼性には疑問がある場合もあることは薄々感じていました。といったわけで、ManfredaやPolianthesはアガヴェから分離される可能性もありますが、現時点でははっきりとしたことは言えないように思われます。今後の研究に期待しましょう。


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去年、サボテンやアロエ、セダムなどのここ10年あまりに見つかった新種についてまとめた記事を書きました。今年はあれから1年でどう変わったのか、新たに見つかった新種はあるのかをポツポツと記事にしています。アガベについてもこの1年で見つかった新種はあるのか、あるいは説明された新種候補が正式に新種として記載されたのかを見ていきましょう。
ちなみに、論文が出て新種が説明されたとしても、それは新種であると著者が主張しているだけなので、まだ正式に新種として記載されたわけではありません。場合によっては既存種と同種かも知れません。ですので、論文が発表されてもすぐに新種として記載されるわけではありませんから、去年発表された新種候補たちはどうなったのか調べてみました。以下、追加した情報は【追記】と表記しております。

近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参考までにということで。


2011年
★メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
★メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
★メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
★メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
★Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
★メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。
【追記】アリゾナ州中部より、新種であるAgave verdensisAgave yavapaiensisが記載されました。種子をあまり作らず、主に栄養繁殖により増えます。

2014年
★メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
★メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
★メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2015年
【追記】メキシコのJuliscoより、新種であるPolianthes cernuaが記載されました。しかし、同2015年にAgave属に移され、Agave neocernuaとされました。

2016年
★メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
★コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
★メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
★メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
★メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。【追記】2024年にEchinoagave cremnophilaとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。
★メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
★メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。
【追記】アリゾナ州中部より、新種であるAgave sanpedroensisが記載されました。アリゾナ州の先住民族であるHohokam族が1450年頃まで栽培していた「失われた作物」であると著者は主張しています。


2019年
★メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。【追記】2024年にEchinoagave lexiiとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。

Echinoagave lexii
https://www.inaturalist.se/taxa/1525256-Echinoagave-lexii

★メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。 

Agave oteroi
https://www.inaturalist.se/taxa/1076020-Agave-oteroi

★メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruiziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。

Agave garciaruizii
https://www.inaturalist.se/taxa/1233151-Agave-garciaruizii

2020年
★メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。

Agave calciphila
https://www.inaturalist.org/taxa/1268056-Agave-calciphila

★コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。

Agave sylvesteriana
https://www.inaturalist.org/taxa/1146456-Agave-sylvesteriana

★メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plantsにより新種として記載されました。記載年は2020年ではなく2018年とされています。また、2023年にAgave属に移され、Agave arceliensisとされました。

2021年
★メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。【追記】2024年にEchinoagave crypticaとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。

Echinoagave cryptica
https://www.inaturalist.org/taxa/1525251-Echinoagave-cryptica

2022年
★メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
★メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。

Agave rosalesii
https://www.inaturalist.org/taxa/1373684-Agave-rosalesii

★メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

2023年
★メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

Agave mayo
https://www.inaturalist.org/taxa/1497655-Agave-mayo

★メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により、受け入れられず異名にもならない未配置名(unplaced names)とされています。

2024年
【追記】Agave属よりEchinoagaveParaagaveを分離する提案がなされました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
また、PolianthesやManfredaがAgave属から明瞭に分離可能であることも判明しました。このことにより、Agaveに統廃合が進んでいるPolianthesやManfredaが復活する可能性があります。

Echinoagave
https://www.inaturalist.org/taxa/1524995-Echinoagave

Paraagave
https://www.inaturalist.org/taxa/1524996-Paraagave

【追記】メキシコのJaliscoより、新種であるEchinoagave nievesiorumが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。
【追記】大雑把にAgaveへの統廃合の流れを追って見ました。割り早い時期に行われた遺伝子解析ではPolianthesやManfredaがAgaveから分離出来ないとされましたが、2024年の論文では分離されています。これは、遺伝子解析の質が上がったことも関係あるのでしょう。また、EchinoagaveとParaagaveの独立も提案されており、アガヴェ自体が大きく変わりそうです。気になるため現在論文を読んでいます。近いうちに記事に出来ればと考えております。


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一般的に「滝の白糸」と呼ばれているアガヴェがあります。葉縁から糸状の繊維を出す美しい植物で、国内でも昔から栽培されています。私はアガヴェは積極的に集めてはしていませんが、イベントに行った折にオマケでアガヴェの抜き苗をいただきました。名札には「Agave leopoldii」とありました。要するに「滝の白糸」です。調べてみると、Colin C. Walkerの2024年の記事、『Agave × leopoldii』を見つけました。Walkerは育てた植物についてよく記事にしていますが、自身の育てているレオポルディイが開花したため記事にしたようです。少し見てみましょう。

レオポルディイの命名
レオポルディイは1880年代半ば頃に、ロンドンのStamford HillにあるW. B. Kellock博士の自宅の庭で育てられ、キューの著名なビクトリアン・ガーデナーであるWilliam Watsonにより1893年に記載されました。名前は1893年に開催された王立園芸協会の展示会で、この植物を賞賛したベルギー国王レオポルド2世に敬意を表するために命名されました。

Agave princepsの謎
Drummond(1912)によると、Kellock氏はA. filiferaとA. princepsを交配して出来た植物であると信じていたと言います。しかし、Drummondはレオポルディイの開花した花を見て、その特徴からレオポルディイが雑種ではなく独特した種であるとし、Agave disceptataと命名しました。しかし、現在ではAgave ×leopoldiiの異名とされています。

レオポルディイの特徴
レオポルディイは、葉の縁から剥がれ落ちる繊維あるいは糸の生成を特徴とする糸状アガヴェ(filiferous agave)の1つです。これらのアガヴェは葉の縁に目立つ鋸歯を形成しません。レオポルディイは短く鋭い末端トゲを作ります。
糸状アガヴェの作る糸に対する満足するような説明はまだありません。他のアガヴェのような激しい鋸歯や末端トゲとは異なり、糸状アガヴェの繊維が草食動物の採食の妨げになる可能性は低いでしょう。


育ててみた
著者の育てているレオポルディイはかなり早く生長し、直径55cmのロゼットを形成しました。単一のロゼットを維持するために、脇芽は取り除きました。
著者の育てている糸状アガヴェの中でも、レオポルディイは最も細長い葉を持ちます。葉は繊維状で長さは45cmに達しますが、基部の幅はわずか1cmです。
著者の育てているレオポルディは、英国サボテン多肉植物協会グラスゴー支部の2つの展示会で、リュウゼツランの無制限鉢クラスで最優秀賞を受賞したと言うことです。


花の特徴
著者の育てたレオポルディイは、10年間の栽培を経て開花しました。Littaea亜属に典型的な枝分かれするない穂状の花です。花茎は高さがわずか1.35mでした。
花は2つか3つ、4つの房で咲き、最大6cmでした。花は花穂の基部から咲きはじめ、数十個の花が同時に開きます。若い花は淡い緑色で、やがて緑色が淡いピンク色に変わります。中央の縞模様はわずかに濃い緑色です。。古い花はくすんだピンク色で、中央の縞模様は濃い褐色です。
アガヴェは開花すると本体は枯れてしまいますが、長年に渡り沢山の子株を吹きました。


'Hammer Time'
Agave ×leopoldii 'Hammer Time'と言う斑入り品種があり、淡緑色の縁縞があると言うこと以外は典型的なレオポルディイに似ています。
この品種は、メキシコ旅行中にこの品種を発見したと言う、アメリカの著名な園芸家であるGray Hammerに因んで命名されました。しかし、レオポルディイはロンドンの庭園で作出された雑種であるため、メキシコに自生している植物と同じであるはずがありません。この植物は単に、Agave  'Hammer Time'とした方が適切です。


最後に
記事ではレオポルディイは、A. filiferaとA. princepsの雑種とありますが、現在はA. filiferaとA. schidigeraとの雑種とされているようです。しかし、このA. princepsと言うアガヴェが調べてもよく分かりません。由来が不明な学名でも、その旨が記されて一応名前は記載されていたりしますが、A. princepsは名前自体が見当たりません。困りましたね。
そう言えば、葉に覆輪が入るものは格別珍しいわけではありませんが、これはすべて
'Hammer Time'に相当するのでしょうか? Walkerによると'Hammer Time'はレオポルディイの斑入り品種か分からないとしています。単に'Hammer Time'が野生由来株と言う記録が誤りの可能性もあるような気もしますがどうでしょうか?

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さて、我が家のレオポルディイはまだまだ小さく、その最大の特徴であるフィラメントがほとんど出ていません。見られるように育つまでは、かなりの年数が必要なのでしょう。


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近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参考までにということで。

2011年
・メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
・メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
・メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
・メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
・Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
・メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。

2014年
・メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
・メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
・メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2016年
・メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
・コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
・メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
・メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
・メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。
・メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
・メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。


2019年
・メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。
・メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。
・メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。


2020年
・メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。
・コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。
・メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。

2021年
・メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。

2022年
・メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
・メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。
・メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。

2023年
2023年に出た論文で説明された新種は、まだデータベースへの記載はありません。これから精査されるのでしょう。
・メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。
・メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。


さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。


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ここ数年、日本ではAgaveがブームとなっています。多肉植物の販売イベントでも、今やAgaveはあちこちのブースで取り扱われるマストアイテムと化しているようです。何が流行るか分からないものです。私は多肉植物の販売イベントで、おまけにもらったAgaveを2種類育てているくらいです。調べてみると、Agaveを中心とした小規模なイベントも、あちこちで開催されているようです。どうやら、ブームはしばらく続きそうですね。
しかし、Agaveを含むリュウゼツラン科植物は乾燥に強く、海外では暖地で野生化して増えてしまい、場合によっては手に負えない外来種となっているようです。そう言えば、リュウゼツラン科のアツバキミガヨラン(Yucca gloriosa)は寒さに強く、日本各地の砂浜で増えてしまい困っているというニュースを見たことを思い出しました。調べてみると、小笠原諸島や奄美群島などの暖地では巨大Agaveであるアオノリュウゼツラン(Agave americana)が野生化しているようです。
さて、本日は場合によっては厄介者と化すリュウゼツラン科植物の野生化の例として、Filip Verlooveらの2019年の論文、『A synopsis of feral Agave and Furcraea (Agavaceae, Asparagaceae, s. lat.) in the Canary Island (Spain)』をご紹介しましょう。

この研究は著者らのカナリア諸島のFuerteventura島、Gran Canaria島、Lanzarote島、Tenerife島での長年に渡るフィールドワークに基づいています。カナリア諸島ではリュウゼツラン科のAgaveとFurcraeaが野生化しています。観察された野生化したAgaveとFurcraeaを以下に示します。

Agave属
Agave亜属
①Section Agave 
 Agave americana
 Agave franzosinii

②Section Ditepalae
 Agave murpheyi
③Section Rigidae
 Agave angustifolia
 Agave fourcroydes
 Agave macroacantha
 Agave sisalana
 Agave aff. tequilana
④Section Salmian 

 Agave salmiana var. salmiana
 Agave salmiana var. ferox
⑨Section Vivipara

 Agave vivipara

DSC_1022
アオノリュウゼツラン Agave americana
カナリア諸島ではすべての島から知られています。


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Agave angustifolia
『Botanical Museum leaflet』(1974-1976年)より、Agave pacificaとして記載。
A. angustifoliaは最も普及したアガヴェで、原産地はメキシコ北部からパナマまでです。非常に簡単に野外に逸出することで知られています。例えば、フロリダ州、南アフリカ、インド、西オーストラリア、スペイン、イタリアなどで記録されています。


Littaea亜属
①Section Heteracantha
 Agave lechuguilla
 Agave oteroi
②Section Inermes

 Agave attenuata
④Section Littaea

 Agave filifera

Furcraea属
Furcraea亜属

 Furcraea foetida
 Furcraea hexapetala
 Furcraea selloana


230930081044384~2
Furcraea foetida
『Gartenflora』(1852年)より、Furcraea giganteaとして記載。
F. foetidaは暖地で広く栽培され帰化しています。ハワイ、マダガスカル、ニュージーランド、レユニオン島など島嶼部だけではなく南アフリカやブラジルでも報告されています。

以上が論文の簡単の要約です。
論文ではカナリア諸島で見つかったアガヴェとフルクラリアの詳細な解説があり、非常に長いものです。長すぎてすべて記事には出来ませんでした。しかし、随分な種類が逸出してしまっているようです。
カナリア諸島は温暖なためか、アガヴェが簡単に野生化してしまうようです。野外でのアガヴェ栽培が中々困難な日本からしたら羨ましいようにも思えます。ところが、アガヴェは簡単に野生化して環境に悪影響を与えてしまうため、世界中の温暖地で問題となっています。カナリア諸島では簡単にドライガーデンでアガヴェを育てられそうですが、逸出を考えたら気軽にアガヴェを育てるのも考えものかも知れませんね。


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以前、アロエとユーフォルビアについて、ワシントン条約(CITES)の附属書に記載された種を取り上げたことがあります。本日は、アメリカ大陸の主にメキシコから米国に分布するAgaveについてご紹介したいと思います。参考にしたのは、2018年に発行されたCITES2018です。早速、見てみましょう。

Agaveは250種以上からなり、うち2種類はCITESに記載されています。
・Agave parvifloraは附属書Iに記載されており、国際的な取引は禁止されています。直径15〜25cmの小型のロゼットを形成し、ワックス状にコーティングされ、白くマーキングされた濃い緑色の葉を持ちます。葉の縁には白いフィラメントがあります。花茎は高さ1.8mになり、淡い黄色の花を咲かせます。
A. parvifloraは観葉植物として栽培されます。分布はアリゾナ州南部とメキシコのソノラ砂州北部に限られるため、米国とメキシコの両方の法律で保護されています。
CITESの貿易データベースによると、A. parvifloraは生きた植物と種子が取引されています。ワシントン条約の許可した栽培場で栽培されたA. parvifloraの、主な輸出国はタイとドイツです。単に栽培個体の主な輸出国はオランダで、次がドイツとメキシコです。種子は米国から中国、日本、カナダ、オランダ、台湾、チェコ共和国へ輸出されています。


・Agave victoriae-reginaeは附属書IIに記載されています。葉は10〜15cmで、最大50cm程度の小型種です。緑色の葉の縁に沿って独特の白いマーキングがあります。葉はコンパクトな螺旋状のロゼットを形成します。花茎は高さ4mほどで、赤味がある様々な色の花を咲かせます。
A. victoriae-reginaeは観葉植物として人気があり、乾燥地の造園に利用されます。最も耐寒性が強いにも関わらず、湿潤な温帯地域での造園には適していません。
A. victoriae-reginaeの取引は人工的に繁殖させた植物で、生産量は少数です。主な輸出国はイタリア、スペイン、タイ、オランダです。


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Agave victoriae-reginae
『The Gardener's chronicle』(1875年)より


以上がCITES2018のAgaveの項目です。A. parvifloraは「姫乱れ雪」、A. victoriae-reginaeは「笹の雪」として日本でも良く知られた小型種です。Agaveはワシントン条約に記載され、国際取引が規制されている種は少ないようです。ただ、原産地における野生植物の違法採取はどの程度多く脅威なのかが気になります。
日本ではアガヴェは流行真っ盛りと言った感もありますが、タイプ違いや園芸種が人気なようで、現地球を求める動きは見られません。より強いトゲの個体を求めたり、美しい覆輪がある品種が出来たりと、園芸的にも発展しているようです。最近では特に若い人たちが積極的に実生を行っているようですが、この流れは原産地の植物の保全の観点からも推奨出来ます。


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AgaveはサボテンやOcotilloと共にメキシコの砂漠を代表する植物です。近年、日本ではAgaveが大変な人気で、観賞用に栽培されています。しかし、Agaveの利用と言えば、繊維をとるためにプランテーションで産業的に栽培されたり、テキーラの原料として畑で栽培される方が物量的には多いでしょう。このテキーラの原料となるのは、Agaveの樹液には糖分が含まれているためアルコール発酵させることが出来るからです。テキーラは醸造された酒を蒸留して、アルコール分を高くした蒸留酒です。しかし、Agaveの樹液から作られた酒は、昔から一般でも作られていたようです。南米ではトウモロコシ酒などが家庭で作られており、旅行記などを読むと度々出て来るのである程度は知っていましたが、Agaveの酒については情報があまりなく、よくわからないままでした。そこで、何か良い論文はないかと調べたところ、Agaveからとったアガヴェシロップの利用について書かれた論文を見つけました。それは、Rizwan Yargatti & Arti Muleyの2022年の論文、『Agave syrup as a replacement for sucrose: An exploratory review』です。内容はAgaveの酒についてだけのものではありませんが、利用方法の1つとして酒についても言及があったので、本日はこの論文をご紹介しましょう。

アガヴェは古くから利用されてきた
Agaveという用語は、「輝かしく立派なこと」を意味するギリシャ語に由来します。ヒスパニック以前の人々は「Metl」と呼び、スペイン人は「Maneuy」と呼んでいました。かつて、カリフォルニアのインディアンは、野菜が不足しがちな春には、Agaveが食事の45%に達したと考古学的には考えられています。
紀元前7000年〜西暦1500年の359ものcoprolite(糞石)に関する研究や、遺跡の調査によりAgaveが利用されてきたことが分かりました。アステカ文明(紀元前1300年)は、Agaveの茎から樹液(Agumiel)を使用して、pulqueという粘性のあるビールを作っていました。蒸留はメキシコ中北部を植民地化したスペイン人により導入され、現在はよりアルコール含有量が高いTequila、Miscal Bcanora、Siscalが製造されています。
遺跡からはAgaveの柔らかい部位、花茎や葉の根元などが食用とされました。硬い葉からは繊維を取りました。また、Agaveから搾り取られたシロップや、種子を焼いてから砕いて粉末にしてトルティーヤを作りました。

スペイン人襲来
15世紀と16世紀にスペイン人が襲来し、Agaveの消費と栽培が拡大しました。スペイン人は先住民にAgaveの栽培を強要しました。また、スペイン人はフィリピン人労働者を連れてきて、Agaveから蒸留酒を作りました。Agaveの消費量の拡大の一方、甘味料としての利用は、17世紀のサトウキビの導入により減少しました。

アガヴェシロップの作り方
アガヴェシロップの生産に必要な成熟度になるためには、最低でも6年はAgaveを育てなければなりません。収穫したAgaveは芯以外を取り除き、繊維を粉砕してジュースを取り、濾してカスを除きます。自然に加水分解をおこして、徐々に80℃まで温度が上がります。その後、ジュースは精製され、90℃の真空蒸発により余分な水分が除かれます。収穫されたAgaveの約10%がアガヴェシロップの製造に使用されます。
メキシコ政府はアガヴェシロップに対していくつかの法律を制定しましたが、これは主に品質などについてのもので、Agaveの種類に指定はありません。しかし、実際に利用されるAgaveは、A. tequilana、A. americana、A. potatorum、A. salminiana、A. atrovirensなどです。

アガヴェシロップの分析
様々な形で私たちは砂糖=ショ糖を摂取しています。ショ糖はお菓子やデザート、飲料の製造などに広く使用されていますが、ショ糖の大量摂取は肥満や糖尿病など様々な病気の原因にもなります。論文ではAgaveからとられたアガヴェシロップを健康的な糖分としての可能性を調査しました。
まずは、アガヴェに含まれる糖分を分析しました。A. tequilanaは、果糖(フルクトース)が71〜92 %、ブドウ糖(グルコース)が4〜15%、ショ糖(スクロース)が4%、イノシトールとマンニトールが0.31〜0.43%でした。A. salmianaは、果糖が70%以上、ブドウ糖が、25%以上、ショ糖が2%以上、イノシトールとマンニトールが0.02〜2.54%でした。

アガヴェシロップの効能
アガヴェシロップは低GI、抗酸化作用、抗菌作用により需要が高まっています。考えられる効果として、プロバイオティクスによる腸内環境の改善、抗酸化作用やミネラルの吸収、抗糖尿病、ガンの阻害作用などが挙げられています。
アガヴェネクターの代謝効果に関する研究が、若いマウスに対して行われました。アガヴェネクターとは、A. salmianaの樹液から採取される天然甘味料です。離乳34日目からアガヴェシロップおよびショ糖を与え、体重や血糖値、血中インスリン値、脂質量をモニタリングしました。結果として、アガヴェネクターは体重調節や血糖値改善、インスリン恒常性を支持しました。
Agaveは果糖が重合したフルクタンが含まれます。水溶性食物繊維として近年注目されます。アガヴェシロップはラットの体重低下に効果があり、肝臓IL-16(※)レベルの低下が観察されました。

(※) 肝臓障害を引き起こすサイトカイン。

アガヴェシロップでデザートを
論文ではアガヴェシロップを利用した料理が提案されています。詳細は省きますが、主にお菓子やデザートのショ糖をアガヴェシロップで代替、あるいは栄誉補助食品やフルクタンによるアガヴェ繊維などを利用しています。チョコレートやカップケーキ、アイスクリームなどに利用されたこともあるようです。

欠点は?
最後にアガヴェの欠点についてですが、果糖の大量摂取は銅代謝を妨げ、尿酸値の上昇などがあるとされます。また、比較的安価なコーンシロップの混入が懸念されます。

以上が論文の簡単な要約です。
論文中に出て来る低GIは近年注目されていますね。曰く、血糖値の上昇を緩やかにするのだとか言われているようです。また、水溶性食物繊維など、アガヴェシロップは健康に寄与する可能性が分かりました。ただし、とり過ぎも問題のようですから、その全てにおいてではなく、一部の食品についてアガヴェシロップが代替出来れば良いのでしょう。
今回の内容はどう考えても、野生のAgaveの話ではなく、栽培されたものの産業利用の話です。しかし、これはこれで問題があり、海外に導入されたAgaveのプランテーションを作るために土地が開発され、環境蛾破壊されていることから、あまり簡単に考えない方が良いとは思います。まあ、今回はメキシコ国内での話でしょうから、そこまでの問題ではないのでしょう。将来的にアガヴェシロップが世界中に流通していくのでしょうか?


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今年の秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールでは、ラフレシアリサーチさんのブースでGymnocalycium berchtiiを購入しました。毎度、ラフレシアリサーチさんはオマケ苗をくれますが、この時のオマケはアガヴェでした。今はなんと言ってもアガヴェ・ブームですからね。しかし、オマケまでアガヴェとは驚きます。
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あくまでもオマケなので、ラベルは付いてきません。撮影許可を得てから、ラベルを撮影させていただきました。まあ、撮影しとかないと何だったか直ぐに忘れちゃいますからね。

この時のオマケ苗のラベルには、"Agave leopoldii"とありました。私はアガヴェには詳しくないため、ふーんと言った感じで特に感慨も湧きませんでした。しかし、このAgave leopoldiiは調べてみるとよく分からないことが次々と出てきました。今日はそんな謎を秘めたアガヴェのお話です。

「滝の白糸」?
現在、"leopoldii"と言った場合、学術的に有効な学名を検索すると、Agave × leopoldii W.Watsonが出てきます。画像検索するとどうやら細長い葉からフィラメントを沢山出す種類のようです。日本では「滝の白糸」という名前もあるようです。これで一見落着と思いきや、なにやら気になる論文を見つけてしまいました。それは、Figueiredo & Smithの2013年の論文、『Proposal to conserve the name Agave leopordii W.Watson against A. leopoldii Rafarin (Agavaceae / Asparagaceae).』です。タイトルは「Agava leopordii Rafarinに対してAgave leopoldii W.Watsonを保存する提案」と言ったところでしょうか? おやおや、なんとAgave leopoldii Rafarinなる学名が存在するようです。論文の内容が気になります。しかし、残念ながら公開していない論文のようで私も読めませんから内容はご紹介できないのですが、この形式の論文は過去に幾つか読んだ経験があります。大抵は命名規約についての話でしょうから、おおよその内容の検討はつきます。
それは、
おそらくはこういうことです。命名規約では先に命名された名前が優先されます。しかし、最初に命名された名前ではない学名が流通している場合もあり、後でそのことが発覚しても学名の安定のため、あるいは混乱を避けるために流通している学名を正式な学名とした方が好ましい、ということです。実際に現在の学名を調査してみましょう。

Agave × leopoldii W.Watson
まず、Agave leopoldii W.Watsonからです。キュー王立植物園のデータベースでは、Agave × leopoldii W.Watson  nom. cons.となっています。まず、「×」が入っていますね。これは、自然交雑種であることを示しています。交配親はAgave filifera × Agave schidigeraということです。A. filiferaは「乱れ雪」、A. schidigeraは「白糸の王妃」と呼ばれているみたいです。
次に「nom. cons.」ですがこれは保存名(保留名)と言って、命名規約を厳密に適応すると使われてきた学名を変更しなければならなくなり不都合が生じたり、学名の安定性のために学名を維持することになったという意味です。どうやら思った通りのようです。

Agave leopoldii Rafarin
では、Agave leopoldii Rafarinとは何者でしょうか? データベースでは、Agave leopoldii Rafarin nom. rej.となっています。やはり異なる人物が同じAgave leopoldiiという学名をつけていたようです。しかし、こちらは「nom.rej.」とあり、これは「廃棄名」のことです。保存名がある場合に廃棄される名前ということです。
ちなみに、このAgave leopoldii Rafarinは、「滝の白糸」のことではなく、「吉祥天」Agave parryi subsp. parryiの異名です。


なぜ廃棄されたのか?
命名年を見てみましょう。

1874年 A. leopoldii Rafarin nom.rej.
1875年 A. parryi Engelm.
1893年 A. × leopoldii W.Watson nom.cons.

話が見えてきました。まず、1874年に「吉祥天」にA. leopoldii Rafarinと命名されましたが、理由は不明ながらどうやらあまり使用されなかったようです。その翌年の1875年、「吉祥天」にはA. parryi Engelm.という学名がつけられ、主にこちらが使用されてきたということなのでしょう。ですから、命名規約上ではA. leopoldii Rafarinが正しいのですが、混乱を避けるなどの理由で、A. parryi Engelm.を採用しA. leopoldii Rafarinは廃棄されたということでしょう。

もしA. leopoldii Rafarinが採用されていたら
ここで、もしA. leopoldii Rafarinが採用された場合、「滝の白糸」につけられたA. × leopoldii W.Watsonは使用が出来なくなります。同じ属で同じ種小名は存在出来ませんから、命名の早いA. leopoldii Rafarinが採用されますから、「滝の白糸」は名無しなってしまいます。滝の白糸には一応、1912年に命名されたAgave × disceptata J.R.Drumm.という異名がありますが、こちらが正式な学名となるのかも知れません。
しかし、いずれにせよA. parryi Engelm.にしろ、A. leopoldii W.Watsonにしろ、命名より100年以上に渡り使用されてきた名前ですか、今さらの変更は混乱の元です。過去に出された論文などの文献資料にも影響を及ぼすでしょう。私も現状維持が一番わかりやすいと思います。

幻のA. americana v. latifolia Torr.
さて、同じ名前の秘密も解明されましたから、これで一安心と思いきや、余計なことに気が付いてしまいました。吉祥天A. parryi subsp. parryiの異名をなんとなく見ていたのですが、1859年に命名されたAgave americana var. latifolia Torr.という異名に違和感があります。吉祥天の正式な学名と比較してみましょう。

1859年 Agave americana var. latifolia Torr.
1875年 Agave parryi Engelm


なぜか、A. americana var. latifoliaの方が命名が早いのです。これはおかしいですね。国際命名規約にある、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」からすれば、A. americana var. latifoliaが優先されるはずです。ちなみに、Agave americanaとはいわゆる「アオノリュウゼツラン」という巨大なアガヴェのことです。吉祥天はアオノリュウゼツランの変種じゃないのだから関係ないような気もしますが、「先取権の原理」はこの場合においても未だ有効です。変種じゃなくなったならば、Agave latifolia (Torr.) ???に変更すればいいだけです。???はA. americana var. latifoliaをA. latifoliaに変更した人の名前が入ります。後は同じ名前のアガヴェがいなければいいわけです。ところがなんと同じ学名が存在するのです。それは、1859年に命名されたAgave latifolia Karw. ex Salm-Dyckです。よくみると、なんとA. americana var. latifoliaと同じ1859の命名です。これは事情がややこしいこと極まりない! さあ、困りました。同じ年の命名の場合はどうなるのでしょうか? 論文の掲載の早い順でしょうか? 良くわかりませんね。

Agave potatorum Zucc.
とまあ、以上のようにどうでも良さそうなことを考えていたのですが、すべてをひっくり返すような事実に気が付いてしまいました。なんと、Agave latifolia Karw. ex Salm-Dyckは異名で、正式な学名は1832年に命名されたAgave potatorum Zucc.だというのです。ちなみにA. potatorumは「雷神」の名前で知られています。
なにやら状況が混沌としてきました。A. latifolia Karw. ex Salm-Dyckが異名ならば、A. americana var. latifoliaをA. latifolia (Torr.) ???でも良さそうですが、何がいけないのでしょうか? もしかしたら、昔はA. latifolia Karw. ex Salm-Dyckが使われていて、A. americana var. latifoliaは使えなかった名残かも知れません。あるいは、ややこしいので単純に混乱を避けるためかも知れません。
命名規約の知識はあまりないので、これ以上はよくわかりません。今後の宿題です。

結局、どっちなの?
さて、以上のように色々と考察してきましたが、では私の所有するアガヴェはA. leopoldii Rafarinでしょうか、A. × leopoldii W.Watsonでしょうか。おそらくは輸入種子由来でしょうから、種子に添付されていた名前をそのままだと思います。しかし、海外の種子業者がどちらを採用しているかは、まったく予想がつきません。実物の特徴を観察してみましょう。
あまり詳しくない私にも、アガヴェにはトゲの強いタイプと繊維が出てくるタイプとがあることはわかります。どうやら、吉祥天A. parryiはトゲタイプで、滝の白糸A. × leopoldiiは繊維タイプみたいですね。
DSC_2045
オマケ苗。まだ小さな苗ですから、特徴は明らかではありません。しかし、トゲはなく少しですが繊維が出てきました。なるほど、ということはこれは滝の白糸Agave × leopoldii W.Watsonなのでしょう。
謎はまあまあ解けました。しかし、わからないことも沢山ありますが、取り敢えずはこんなもんでしょう。アガヴェの分類についてもよく知らないため、今後少しずつ調べていきたいと思っています。



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昨日はAgave macroacanthaの受粉を行う動物を調査する論文をご紹介しました。2000年に出されたSantiago Arizaga, Exequiel Ezcurra, Edward Peters, Felnando Ramírez de Arellano & Ernesto Vegaによる『POLLINATION ECOLOGY OF AGAVE MACROACANTHA (AGAVACEAE) IN A MEXICAN TROPICAL DESERT』という論文です。
論文は二部構成で、昨日の
第1部では重要なポリネーター(花粉媒介者)は日中の訪問者である蜂やハチドリではなく、夜間に花を訪れる蛾やコウモリであることが示されました。第2部は『II. THE ROLE OF POLLINATORS』という題名で、夜間のポリネーターである蛾とコウモリのAgave macroacanthaの花の受粉への影響を調べています。

幾つかの論文で、Agave亜属ではコウモリによる受粉が指摘され、トゲが多いAgave(主にLittaea亜属)は昆虫により受粉がなされると指摘されています。しかし、それらはコウモリが花を訪れていたという観察記録であり、昨日の第1部で見た通り花を訪れたからといって種子が出来るわけではないことを考えれば、Agaveの受粉への実際の影響力は不明瞭でした。また、夜行性の蛾の受粉への影響は、Yucca以外ではあまり詳しい調査はなされていないようです。蛾が夜間にAgaveの花を訪れているという報告はありますが、やはり受粉への寄与についてはよくわかっておりません。

調査した結果、蛾やコウモリが訪れた花に出来た果実は、コウモリが訪れた花は蛾が訪れた花の2倍以上の種子が出来ていることが確認されました。よって、Agave macroacanthaの受粉にとって最も重要なポリネーターはコウモリであることがわかりました。
さらに、Agave macroacanthaを訪れたコウモリは、Leptonycteris curasoaeとChoeronycteris mexicanaの2種類でしたが、LeptonycterisはChoeronycterisより20%も多くの種子生産に寄与しました。

近年の調査では、Leptonycterisの個体数が著しく減少しており、牧畜や農業開発、伐採による環境の悪化や、事情はよく分かりませんが洞窟での直接殺害さが要因とされています。そのため、アメリカでは絶滅危惧種に指定されています。LeptonycterisやChoeronycterisは渡り鳥のように季節的に移動するため、その行き先のどこか1つの環境が悪化すると個体数が減少し、移動した他の地域の受粉にも悪影響を及ぼす可能性があります。当然ながら、これらのコウモリに依存的な柱サボテンやアガヴェは、受粉の成功率が減少し、やがて個体数も減っていくことでしょう。

以上が論文の簡単な要約です。コウモリ媒花という面白い現象がある一方、アガヴェの未来は明るくなさそうであるという厳しく現実があります。自然の生き物は種を超えて繋がりを持って生きていますから、コウモリとアガヴェのように連鎖的な減少が起こる可能性もあります。しかも、そのような関係が判明していない生き物も沢山ありますから、いつの間にか気付かない間に崩壊しているかもしれません。あまり具体的なことは書かれていないので詳しいことはわかりませんが、自然に生えるアガヴェの美しい姿をいつまでも見られる未来であって欲しいものですね。


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アガヴェはメキシコを中心としたアメリカ大陸に分布する多肉植物です。最近は多肉植物の中でもアガヴェが非常に人気で、園芸店でも見かけることが増えましたし、都内ではアガヴェの販売イベントも開催されているようです。アガヴェは若い人に人気がありますから、イベントもフットワークが軽く、昔からあるサボテンの即売会とは隔世の感があります。
さて、私自身はアガヴェを集めるつもりはないのですが、訳あって現在2種類のアガヴェを育てています。別に購入した訳ではなく、今年の多肉植物の即売会に行った際にオマケとしていただいたものです。なんとなく育てていますが、育てている以上はアガヴェについて多少なりとも気になります。何か面白い論文はないかと調べてみました。

そんなこんなで見つけたのが、2000年に出されたSantiago Arizaga, Exequiel Ezcurra, Edward Peters, Felnando Ram
írez de Arellano & Ernesto Vegaによる『POLLINATION ECOLOGY OF AGAVE MACROACANTHA (AGAVACEAE) IN A MEXICAN TROPICAL DESERT』という論文です。論文は2部に分かれており、本日は第1部である『I. FLORAL BIOLOGY AND POLLINATION MECHANISMS』についてご紹介します。第1部はAgave macroacanthaの花を訪れる動物を調査し、その中から実際に受粉により寄与した動物を突き止めることを目的としています。

調査はメキシコのTehuac
àn市の30km南にあるZapotitlàn Salinasで1994年の5月から9月に実施されました。植生は巨大な柱サボテンであるNeobuxbaumia tetetzoが優勢な乾燥地です。雨季は夏で5月下旬から9月下旬位です。
実験は個体密度が低いため、半径5km以内の16個体のAgave macroacanthaを観察区域内に移植し、もとから自生していた16個体と合わせて計32個体としました。ちなみに、アガヴェの花茎は放っておくとヤギにすべて食べられてしまうらしく、アガヴェは柵で囲んだそうです。

A. macroacanthaの花を人工的に受粉させた場合、自身の花粉ではほとんど種子は出来なかったそうです。A. macroacanthaは自家受粉はしない植物だと言えますから、ポリネーター(花粉媒介者)に依存して繁殖していることがわかります。
A. macroacanthaの花を訪れる動物を調べたところ、日中は9種類の蜂と蝶、ハチドリが訪れました。夜間には5種類の蛾と2種類以上のコウモリが訪れました。では、日中と夜間では、どちらの訪問者が受粉のために、より寄与しているのでしょうか。
それはポリネーターが訪れた花に、ちゃんと種子が出来るのか否かで判定しました。日中のポリネーターが訪れた花は、実験的にネットをかけてポリネーターが訪れないようにした花と同じで、ほぼ種子は出来ませんでした(※まれに風で受粉することもあり、完全にゼロにはならない)。夜間にポリネーターが訪れた花は、人工的に受粉を行った花と同じで、沢山の種子が出来ました。ちなみに、
花の蜜の分泌量を調べると、どうも夜間に沢山出ているようです。ということは、A. macroacanthaの受粉にとって重要なのは夜間に花を訪れるポリネーターということになります。

ここで疑問が湧きます。なぜ、日中の受粉はことごとく失敗するのでしょうか? 著者の仮説は、日中のポリネーターである蜂はサイズが小さいことが問題ではないかとしています。例えば、1981年のHowell & Rothの論文では、Agave palmeriを訪れる蜂やハチドリは受粉に寄与するような雌しべとの接触が最小限であったことが示されました。これは、私が考えるに、蜂やハチドリは蜜の採取者としては正に専門家=スペシャリストですから、うまく蜜だけを掠めとることができるということではないでしょうか。スペシャリストはその分野においては洗練されていますから、無駄が少なくなります。私も過去の記事でアロエと太陽鳥の関係性についての論文を紹介しましたが、その時も蜜を吸うスペシャリストである太陽鳥はアロエの受粉に寄与せず、蜜の専門家ではないヒヨドリは要するに採蜜が下手なので花粉だらけになりながら蜜を吸い、アロエの受粉に寄与しているらしいのです。では、重要な夜間のポリネーターは誰なのでしょうか? 蛾は蜂と同様に小さく受粉を行うのは難しい可能性もあります。ということは、残った選択肢はコウモリということになります。コウモリによる受粉は聞きなれないかもしれませんが、柱サボテンなどはすでにコウモリ媒花が知られています。同じメキシコですから、それほどの不思議ではないでしょう。一応、論文では蛾の可能性も残しているようです。
ただし、すべてのアガヴェがコウモリ媒花というわけではなく、蛾が主体の虫媒花も知られています。著者は亜属により異なるのではないかと推測しています。

以上が論文の簡単な要約です。あまり知られていないコウモリ媒花という事実は単純な面白さがあります。また、日中の受粉への寄与が少ないことを示唆していますが、これは非常に重要なものでしょう。なぜなら、このことが解明していないと、コウモリも受粉に関与しているであろう可能性を指摘することしか出来ないのです。
明日は2部に分かれている論文の第2部についてご紹介します。


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4月に五反田TOCであったビッグバザールでは、ユーフォルビアを中心に色々買いました。ラフレシア・リサーチさんで、白雲巒岳とコルムナリスという割と珍しいユーフォルビアを入手することが出来ました。ラフレシア・リサーチさんは毎度おまけをくれますが、この時はアガヴェの抜き苗でした。アガヴェは初めてでしたから、育て方もわかりません。とりあえず鉢に植え込んでみましたが、それから4ヶ月でまあまあ育ってきました。

DSC_0946
2022年4月。抜き苗。小さ過ぎて、まったく特徴が出ていません。アガヴェと言われなければわからない位です。

DSC_1704
2022年8月。だいぶ育ちました。ユーフォルビアとまったく同じ育て方をしていたというか、放置気味でしたが特に問題はなかったみたいです。

DSC_1705
全体的に蒼味がかり、中に白い筋が入っています。ムルチフィリフェラの特徴が出てきました。育つと白いフィラメントが美しい種類のようですが、あと何年かかることやら…

ムルチフィリフェラの学名は1972年に命名されたAgave multifilifera Gentryです。1992年には「乱れ雪」ことAgave filiferaの亜種とする意見、つまりAgave filifera subsp. multifilifera (Gentry) B. Ullrichもありましたが、現在では認められておりません。しかし、Agave filiferaが命名されたのは1834年ですから、ムルチフィリフェラの発見は新しい部類ですね。

そういえば、学名のmultifiliferaはラテン語で、"multi-"が「多数の」、"filifera"は「糸を持った」という意味ですから、フィラメントを沢山持っている特徴から来ているようです。一方のAgave filiferaは、ただのfiliferaですから「糸を持った」となりますが、ムルチフィリフェラの方がフィラメントが多いのでしょうか? サイズによってもフィラメントの多さは異なるように見受けられますから、実際に育ててみないとわからないかもしれません。

ムルチフィリフェラはあまり大きくならないようで、高さ30~45cmくらいみたいです。マイナス18℃くらいまでは耐えられるという情報もありますが、苗のころは何やら危険な感じがしますから冬は室内で安全策をとりたいと思います。
ムルチフィリフェラはメキシコのソノラ砂漠と、アメリカのアリゾナ州Paparito山脈の標高1000-2200mに生えると言います。寒さに強いのも、なんとなくわかる気がします。




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