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カテゴリ: アガヴェ

近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参照までにということで。

2011年
・メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
・メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
・メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
・メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
・Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
・メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。

2014年
・メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
・メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
・メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2016年
・メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
・コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
・メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
・メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
・メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。
・メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
・メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。


2019年
・メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。
・メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。
・メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。


2020年
・メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。
・コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。
・メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。

2021年
・メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。

2022年
・メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
・メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。
・メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。

2023年
2023年に出た論文で説明された新種は、まだデータベースへの記載はありません。これから精査されるのでしょう。
・メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。
・メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。


さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。


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ここ数年、日本ではAgaveがブームとなっています。多肉植物の販売イベントでも、今やAgaveはあちこちのブースで取り扱われるマストアイテムと化しているようです。何が流行るか分からないものです。私は多肉植物の販売イベントで、おまけにもらったAgaveを2種類育てているくらいです。調べてみると、Agaveを中心とした小規模なイベントも、あちこちで開催されているようです。どうやら、ブームはしばらく続きそうですね。
しかし、Agaveを含むリュウゼツラン科植物は乾燥に強く、海外では暖地で野生化して増えてしまい、場合によっては手に負えない外来種となっているようです。そう言えば、リュウゼツラン科のアツバキミガヨラン(Yucca gloriosa)は寒さに強く、日本各地の砂浜で増えてしまい困っているというニュースを見たことを思い出しました。調べてみると、小笠原諸島や奄美群島などの暖地では巨大Agaveであるアオノリュウゼツラン(Agave americana)が野生化しているようです。
さて、本日は場合によっては厄介者と化すリュウゼツラン科植物の野生化の例として、Filip Verlooveらの2019年の論文、『A synopsis of feral Agave and Furcraea (Agavaceae, Asparagaceae, s. lat.) in the Canary Island (Spain)』をご紹介しましょう。

この研究は著者らのカナリア諸島のFuerteventura島、Gran Canaria島、Lanzarote島、Tenerife島での長年に渡るフィールドワークに基づいています。カナリア諸島ではリュウゼツラン科のAgaveとFurcraeaが野生化しています。観察された野生化したAgaveとFurcraeaを以下に示します。

Agave属
Agave亜属
①Section Agave 
 Agave americana
 Agave franzosinii

②Section Ditepalae
 Agave murpheyi
③Section Rigidae
 Agave angustifolia
 Agave fourcroydes
 Agave macroacantha
 Agave sisalana
 Agave aff. tequilana
④Section Salmian 

 Agave salmiana var. salmiana
 Agave salmiana var. ferox
⑨Section Vivipara

 Agave vivipara

DSC_1022
アオノリュウゼツラン Agave americana
カナリア諸島ではすべての島から知られています。


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Agave angustifolia
『Botanical Museum leaflet』(1974-1976年)より、Agave pacificaとして記載。
A. angustifoliaは最も普及したアガヴェで、原産地はメキシコ北部からパナマまでです。非常に簡単に野外に逸出することで知られています。例えば、フロリダ州、南アフリカ、インド、西オーストラリア、スペイン、イタリアなどで記録されています。


Littaea亜属
①Section Heteracantha
 Agave lechuguilla
 Agave oteroi
②Section Inermes

 Agave attenuata
④Section Littaea

 Agave filifera

Furcraea属
Furcraea亜属

 Furcraea foetida
 Furcraea hexapetala
 Furcraea selloana


230930081044384~2
Furcraea foetida
『Gartenflora』(1852年)より、Furcraea giganteaとして記載。
F. foetidaは暖地で広く栽培され帰化しています。ハワイ、マダガスカル、ニュージーランド、レユニオン島など島嶼部だけではなく南アフリカやブラジルでも報告されています。

以上が論文の簡単の要約です。
論文ではカナリア諸島で見つかったアガヴェとフルクラリアの詳細な解説があり、非常に長いものです。長すぎてすべて記事には出来ませんでした。しかし、随分な種類が逸出してしまっているようです。
カナリア諸島は温暖なためか、アガヴェが簡単に野生化してしまうようです。野外でのアガヴェ栽培が中々困難な日本からしたら羨ましいようにも思えます。ところが、アガヴェは簡単に野生化して環境に悪影響を与えてしまうため、世界中の温暖地で問題となっています。カナリア諸島では簡単にドライガーデンでアガヴェを育てられそうですが、逸出を考えたら気軽にアガヴェを育てるのも考えものかも知れませんね。


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以前、アロエとユーフォルビアについて、ワシントン条約(CITES)の附属書に記載された種を取り上げたことがあります。本日は、アメリカ大陸の主にメキシコから米国に分布するAgaveについてご紹介したいと思います。参考にしたのは、2018年に発行されたCITES2018です。早速、見てみましょう。

Agaveは250種以上からなり、うち2種類はCITESに記載されています。
・Agave parvifloraは附属書Iに記載されており、国際的な取引は禁止されています。直径15〜25cmの小型のロゼットを形成し、ワックス状にコーティングされ、白くマーキングされた濃い緑色の葉を持ちます。葉の縁には白いフィラメントがあります。花茎は高さ1.8mになり、淡い黄色の花を咲かせます。
A. parvifloraは観葉植物として栽培されます。分布はアリゾナ州南部とメキシコのソノラ砂州北部に限られるため、米国とメキシコの両方の法律で保護されています。
CITESの貿易データベースによると、A. parvifloraは生きた植物と種子が取引されています。ワシントン条約の許可した栽培場で栽培されたA. parvifloraの、主な輸出国はタイとドイツです。単に栽培個体の主な輸出国はオランダで、次がドイツとメキシコです。種子は米国から中国、日本、カナダ、オランダ、台湾、チェコ共和国へ輸出されています。


・Agave victoriae-reginaeは附属書IIに記載されています。葉は10〜15cmで、最大50cm程度の小型種です。緑色の葉の縁に沿って独特の白いマーキングがあります。葉はコンパクトな螺旋状のロゼットを形成します。花茎は高さ4mほどで、赤味がある様々な色の花を咲かせます。
A. victoriae-reginaeは観葉植物として人気があり、乾燥地の造園に利用されます。最も耐寒性が強いにも関わらず、湿潤な温帯地域での造園には適していません。
A. victoriae-reginaeの取引は人工的に繁殖させた植物で、生産量は少数です。主な輸出国はイタリア、スペイン、タイ、オランダです。


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Agave victoriae-reginae
『The Gardener's chronicle』(1875年)より


以上がCITES2018のAgaveの項目です。A. parvifloraは「姫乱れ雪」、A. victoriae-reginaeは「笹の雪」として日本でも良く知られた小型種です。Agaveはワシントン条約に記載され、国際取引が規制されている種は少ないようです。ただ、原産地における野生植物の違法採取はどの程度多く脅威なのかが気になります。
日本ではアガヴェは流行真っ盛りと言った感もありますが、タイプ違いや園芸種が人気なようで、現地球を求める動きは見られません。より強いトゲの個体を求めたり、美しい覆輪がある品種が出来たりと、園芸的にも発展しているようです。最近では特に若い人たちが積極的に実生を行っているようですが、この流れは原産地の植物の保全の観点からも推奨出来ます。


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AgaveはサボテンやOcotilloと共にメキシコの砂漠を代表する植物です。近年、日本ではAgaveが大変な人気で、観賞用に栽培されています。しかし、Agaveの利用と言えば、繊維をとるためにプランテーションで産業的に栽培されたり、テキーラの原料として畑で栽培される方が物量的には多いでしょう。このテキーラの原料となるのは、Agaveの樹液には糖分が含まれているためアルコール発酵させることが出来るからです。テキーラは醸造された酒を蒸留して、アルコール分を高くした蒸留酒です。しかし、Agaveの樹液から作られた酒は、昔から一般でも作られていたようです。南米ではトウモロコシ酒などが家庭で作られており、旅行記などを読むと度々出て来るのである程度は知っていましたが、Agaveの酒については情報があまりなく、よくわからないままでした。そこで、何か良い論文はないかと調べたところ、Agaveからとったアガヴェシロップの利用について書かれた論文を見つけました。それは、Rizwan Yargatti & Arti Muleyの2022年の論文、『Agave syrup as a replacement for sucrose: An exploratory review』です。内容はAgaveの酒についてだけのものではありませんが、利用方法の1つとして酒についても言及があったので、本日はこの論文をご紹介しましょう。

アガヴェは古くから利用されてきた
Agaveという用語は、「輝かしく立派なこと」を意味するギリシャ語に由来します。ヒスパニック以前の人々は「Metl」と呼び、スペイン人は「Maneuy」と呼んでいました。かつて、カリフォルニアのインディアンは、野菜が不足しがちな春には、Agaveが食事の45%に達したと考古学的には考えられています。
紀元前7000年〜西暦1500年の359ものcoprolite(糞石)に関する研究や、遺跡の調査によりAgaveが利用されてきたことが分かりました。アステカ文明(紀元前1300年)は、Agaveの茎から樹液(Agumiel)を使用して、pulqueという粘性のあるビールを作っていました。蒸留はメキシコ中北部を植民地化したスペイン人により導入され、現在はよりアルコール含有量が高いTequila、Miscal Bcanora、Siscalが製造されています。
遺跡からはAgaveの柔らかい部位、花茎や葉の根元などが食用とされました。硬い葉からは繊維を取りました。また、Agaveから搾り取られたシロップや、種子を焼いてから砕いて粉末にしてトルティーヤを作りました。

スペイン人襲来
15世紀と16世紀にスペイン人が襲来し、Agaveの消費と栽培が拡大しました。スペイン人は先住民にAgaveの栽培を強要しました。また、スペイン人はフィリピン人労働者を連れてきて、Agaveから蒸留酒を作りました。Agaveの消費量の拡大の一方、甘味料としての利用は、17世紀のサトウキビの導入により減少しました。

アガヴェシロップの作り方
アガヴェシロップの生産に必要な成熟度になるためには、最低でも6年はAgaveを育てなければなりません。収穫したAgaveは芯以外を取り除き、繊維を粉砕してジュースを取り、濾してカスを除きます。自然に加水分解をおこして、徐々に80℃まで温度が上がります。その後、ジュースは精製され、90℃の真空蒸発により余分な水分が除かれます。収穫されたAgaveの約10%がアガヴェシロップの製造に使用されます。
メキシコ政府はアガヴェシロップに対していくつかの法律を制定しましたが、これは主に品質などについてのもので、Agaveの種類に指定はありません。しかし、実際に利用されるAgaveは、A. tequilana、A. americana、A. potatorum、A. salminiana、A. atrovirensなどです。

アガヴェシロップの分析
様々な形で私たちは砂糖=ショ糖を摂取しています。ショ糖はお菓子やデザート、飲料の製造などに広く使用されていますが、ショ糖の大量摂取は肥満や糖尿病など様々な病気の原因にもなります。論文ではAgaveからとられたアガヴェシロップを健康的な糖分としての可能性を調査しました。
まずは、アガヴェに含まれる糖分を分析しました。A. tequilanaは、果糖(フルクトース)が71〜92 %、ブドウ糖(グルコース)が4〜15%、ショ糖(スクロース)が4%、イノシトールとマンニトールが0.31〜0.43%でした。A. salmianaは、果糖が70%以上、ブドウ糖が、25%以上、ショ糖が2%以上、イノシトールとマンニトールが0.02〜2.54%でした。

アガヴェシロップの効能
アガヴェシロップは低GI、抗酸化作用、抗菌作用により需要が高まっています。考えられる効果として、プロバイオティクスによる腸内環境の改善、抗酸化作用やミネラルの吸収、抗糖尿病、ガンの阻害作用などが挙げられています。
アガヴェネクターの代謝効果に関する研究が、若いマウスに対して行われました。アガヴェネクターとは、A. salmianaの樹液から採取される天然甘味料です。離乳34日目からアガヴェシロップおよびショ糖を与え、体重や血糖値、血中インスリン値、脂質量をモニタリングしました。結果として、アガヴェネクターは体重調節や血糖値改善、インスリン恒常性を支持しました。
Agaveは果糖が重合したフルクタンが含まれます。水溶性食物繊維として近年注目されます。アガヴェシロップはラットの体重低下に効果があり、肝臓IL-16(※)レベルの低下が観察されました。

(※) 肝臓障害を引き起こすサイトカイン。

アガヴェシロップでデザートを
論文ではアガヴェシロップを利用した料理が提案されています。詳細は省きますが、主にお菓子やデザートのショ糖をアガヴェシロップで代替、あるいは栄誉補助食品やフルクタンによるアガヴェ繊維などを利用しています。チョコレートやカップケーキ、アイスクリームなどに利用されたこともあるようです。

欠点は?
最後にアガヴェの欠点についてですが、果糖の大量摂取は銅代謝を妨げ、尿酸値の上昇などがあるとされます。また、比較的安価なコーンシロップの混入が懸念されます。

以上が論文の簡単な要約です。
論文中に出て来る低GIは近年注目されていますね。曰く、血糖値の上昇を緩やかにするのだとか言われているようです。また、水溶性食物繊維など、アガヴェシロップは健康に寄与する可能性が分かりました。ただし、とり過ぎも問題のようですから、その全てにおいてではなく、一部の食品についてアガヴェシロップが代替出来れば良いのでしょう。
今回の内容はどう考えても、野生のAgaveの話ではなく、栽培されたものの産業利用の話です。しかし、これはこれで問題があり、海外に導入されたAgaveのプランテーションを作るために土地が開発され、環境蛾破壊されていることから、あまり簡単に考えない方が良いとは思います。まあ、今回はメキシコ国内での話でしょうから、そこまでの問題ではないのでしょう。将来的にアガヴェシロップが世界中に流通していくのでしょうか?


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今年の秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールでは、ラフレシアリサーチさんのブースでGymnocalycium berchtiiを購入しました。毎度、ラフレシアリサーチさんはオマケ苗をくれますが、この時のオマケはアガヴェでした。今はなんと言ってもアガヴェ・ブームですからね。しかし、オマケまでアガヴェとは驚きます。
DSC_1761
あくまでもオマケなので、ラベルは付いてきません。撮影許可を得てから、ラベルを撮影させていただきました。まあ、撮影しとかないと何だったか直ぐに忘れちゃいますからね。

この時のオマケ苗のラベルには、"Agave leopordii"とありました。私はアガヴェには詳しくないため、ふーんと言った感じで特に感慨も湧きませんでした。しかし、このAgave leopordiiは調べてみるとよく分からないことが次々と出てきました。今日はそんな謎を秘めたアガヴェのお話です。

「滝の白糸」?
現在、"leopordii"と言った場合、学術的に有効な学名を検索すると、Agave × leopordii W.Watsonが出てきます。画像検索するとどうやら細長い葉からフィラメントを沢山出す種類のようです。日本では「滝の白糸」という名前もあるようです。これで一見落着と思いきや、なにやら気になる論文を見つけてしまいました。それは、Figueiredo & Smithの2013年の論文、『Proposal to conserve the name Agave leopordii W.Watson against A. leopordii Rafarin (Agavaceae / Asparagaceae).』です。タイトルは「Agava leopordii Rafarinに対してAgave leopordii W.Watsonを保存する提案」と言ったところでしょうか? おやおや、なんとAgave leopordii Rafarinなる学名が存在するようです。論文の内容が気になります。しかし、残念ながら公開していない論文のようで私も読めませんから内容はご紹介できないのですが、この形式の論文は過去に幾つか読んだ経験があります。大抵は命名規約についての話でしょうから、おおよその内容の検討はつきます。
それは、
おそらくはこういうことです。命名規約では先に命名された名前が優先されます。しかし、最初に命名された名前ではない学名が流通している場合もあり、後でそのことが発覚しても学名の安定のため、あるいは混乱を避けるために流通している学名を正式な学名とした方が好ましい、ということです。実際に現在の学名を調査してみましょう。

Agave × leopordii W.Watson
まず、Agave leopordii W.Watsonからです。キュー王立植物園のデータベースでは、Agave × leopordii W.Watson  nom. cons.となっています。まず、「×」が入っていますね。これは、自然交雑種であることを示しています。交配親はAgave filifera × Agave schidigeraということです。A. filiferaは「乱れ雪」、A. schidigeraは「白糸の王妃」と呼ばれているみたいです。
次に「nom. cons.」ですがこれは保存名(保留名)と言って、命名規約を厳密に適応すると使われてきた学名を変更しなければならなくなり不都合が生じたり、学名の安定性のために学名を維持することになったという意味です。どうやら思った通りのようです。

Agave leopordii Rafarin
では、Agave leopordii Rafarinとは何者でしょうか? データベースでは、Agave leopordii Rafarin nom. rej.となっています。やはり異なる人物が同じAgave leopordiiという学名をつけていたようです。しかし、こちらは「nom.rej.」とあり、これは「廃棄名」のことです。保存名がある場合に廃棄される名前ということです。
ちなみに、このAgave leopordii Rafarinは、「滝の白糸」のことではなく、「吉祥天」Agave parryi subsp. parryiの異名です。


なぜ廃棄されたのか?
命名年を見てみましょう。

1874年 A. leopordii Rafarin nom.rej.
1875年 A. parryi Engelm.
1893年 A. × leopordii W.Watson nom.cons.

話が見えてきました。まず、1874年に「吉祥天」にA. leopordii Rafarinと命名されましたが、理由は不明ながらどうやらあまり使用されなかったようです。その翌年の1875年、「吉祥天」にはA. parryi Engelm.という学名がつけられ、主にこちらが使用されてきたということなのでしょう。ですから、命名規約上ではA. leopordii Rafarinが正しいのですが、混乱を避けるなどの理由で、A. parryi Engelm.を採用しA. leopordii Rafarinは廃棄されたということでしょう。

もしA. leopordii Rafarinが採用されていたら
ここで、もしA. leopordii Rafarinが採用された場合、「滝の白糸」につけられたA. × leopordii W.Watsonは使用が出来なくなります。同じ属で同じ種小名は存在出来ませんから、命名の早いA. leopordii Rafarinが採用されますから、「滝の白糸」は名無しなってしまいます。滝の白糸には一応、1912年に命名されたAgave × disceptata J.R.Drumm.という異名がありますが、こちらが正式な学名となるのかも知れません。
しかし、いずれにせよA. parryi Engelm.にしろ、A. leopordii W.Watsonにしろ、命名より100年以上に渡り使用されてきた名前ですか、今さらの変更は混乱の元です。過去に出された論文などの文献資料にも影響を及ぼすでしょう。私も現状維持が一番わかりやすいと思います。

幻のA. americana v. latifolia Torr.
さて、同じ名前の秘密も解明されましたから、これで一安心と思いきや、余計なことに気が付いてしまいました。吉祥天A. parryi subsp. parryiの異名をなんとなく見ていたのですが、1859年に命名されたAgave americana var. latifolia Torr.という異名に違和感があります。吉祥天の正式な学名と比較してみましょう。

1859年 Agave americana var. latifolia Torr.
1875年 Agave parryi Engelm


なぜか、A. americana var. latifoliaの方が命名が早いのです。これはおかしいですね。国際命名規約にある、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」からすれば、A. americana var. latifoliaが優先されるはずです。ちなみに、Agave americanaとはいわゆる「アオノリュウゼツラン」という巨大なアガヴェのことです。吉祥天はアオノリュウゼツランの変種じゃないのだから関係ないような気もしますが、「先取権の原理」はこの場合においても未だ有効です。変種じゃなくなったならば、Agave latifolia (Torr.) ???に変更すればいいだけです。???はA. americana var. latifoliaをA. latifoliaに変更した人の名前が入ります。後は同じ名前のアガヴェがいなければいいわけです。ところがなんと同じ学名が存在するのです。それは、1859年に命名されたAgave latifolia Karw. ex Salm-Dyckです。よくみると、なんとA. americana var. latifoliaと同じ1859の命名です。これは事情がややこしいこと極まりない! さあ、困りました。同じ年の命名の場合はどうなるのでしょうか? 論文の掲載の早い順でしょうか? 良くわかりませんね。

Agave potatorum Zucc.
とまあ、以上のようにどうでも良さそうなことを考えていたのですが、すべてをひっくり返すような事実に気が付いてしまいました。なんと、Agave latifolia Karw. ex Salm-Dyckは異名で、正式な学名は1832年に命名されたAgave potatorum Zucc.だというのです。ちなみにA. potatorumは「雷神」の名前で知られています。
なにやら状況が混沌としてきました。A. latifolia Karw. ex Salm-Dyckが異名ならば、A. americana var. latifoliaをA. latifolia (Torr.) ???でも良さそうですが、何がいけないのでしょうか? もしかしたら、昔はA. latifolia Karw. ex Salm-Dyckが使われていて、A. americana var. latifoliaは使えなかった名残かも知れません。あるいは、ややこしいので単純に混乱を避けるためかも知れません。
命名規約の知識はあまりないので、これ以上はよくわかりません。今後の宿題です。

結局、どっちなの?
さて、以上のように色々と考察してきましたが、では私の所有するアガヴェはA. leopordii Rafarinでしょうか、A. × leopordii W.Watsonでしょうか。おそらくは輸入種子由来でしょうから、種子に添付されていた名前をそのままだと思います。しかし、海外の種子業者がどちらを採用しているかは、まったく予想がつきません。実物の特徴を観察してみましょう。
あまり詳しくない私にも、アガヴェにはトゲの強いタイプと繊維が出てくるタイプとがあることはわかります。どうやら、吉祥天A. parryiはトゲタイプで、滝の白糸A. × leopordiiは繊維タイプみたいですね。
DSC_2045
オマケ苗。まだ小さな苗ですから、特徴は明らかではありません。しかし、トゲはなく少しですが繊維が出てきました。なるほど、ということはこれは滝の白糸Agave × leopordii W.Watsonなのでしょう。
謎はまあまあ解けました。しかし、わからないことも沢山ありますが、取り敢えずはこんなもんでしょう。アガヴェの分類についてもよく知らないため、今後少しずつ調べていきたいと思っています。



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昨日はAgave macroacanthaの受粉を行う動物を調査する論文をご紹介しました。2000年に出されたSantiago Arizaga, Exequiel Ezcurra, Edward Peters, Felnando Ramírez de Arellano & Ernesto Vegaによる『POLLINATION ECOLOGY OF AGAVE MACROACANTHA (AGAVACEAE) IN A MEXICAN TROPICAL DESERT』という論文です。
論文は二部構成で、昨日の
第1部では重要なポリネーター(花粉媒介者)は日中の訪問者である蜂やハチドリではなく、夜間に花を訪れる蛾やコウモリであることが示されました。第2部は『II. THE ROLE OF POLLINATORS』という題名で、夜間のポリネーターである蛾とコウモリのAgave macroacanthaの花の受粉への影響を調べています。

幾つかの論文で、Agave亜属ではコウモリによる受粉が指摘され、トゲが多いAgave(主にLittaea亜属)は昆虫により受粉がなされると指摘されています。しかし、それらはコウモリが花を訪れていたという観察記録であり、昨日の第1部で見た通り花を訪れたからといって種子が出来るわけではないことを考えれば、Agaveの受粉への実際の影響力は不明瞭でした。また、夜行性の蛾の受粉への影響は、Yucca以外ではあまり詳しい調査はなされていないようです。蛾が夜間にAgaveの花を訪れているという報告はありますが、やはり受粉への寄与についてはよくわかっておりません。

調査した結果、蛾やコウモリが訪れた花に出来た果実は、コウモリが訪れた花は蛾が訪れた花の2倍以上の種子が出来ていることが確認されました。よって、Agave macroacanthaの受粉にとって最も重要なポリネーターはコウモリであることがわかりました。
さらに、Agave macroacanthaを訪れたコウモリは、Leptonycteris curasoaeとChoeronycteris mexicanaの2種類でしたが、LeptonycterisはChoeronycterisより20%も多くの種子生産に寄与しました。

近年の調査では、Leptonycterisの個体数が著しく減少しており、牧畜や農業開発、伐採による環境の悪化や、事情はよく分かりませんが洞窟での直接殺害さが要因とされています。そのため、アメリカでは絶滅危惧種に指定されています。LeptonycterisやChoeronycterisは渡り鳥のように季節的に移動するため、その行き先のどこか1つの環境が悪化すると個体数が減少し、移動した他の地域の受粉にも悪影響を及ぼす可能性があります。当然ながら、これらのコウモリに依存的な柱サボテンやアガヴェは、受粉の成功率が減少し、やがて個体数も減っていくことでしょう。

以上が論文の簡単な要約です。コウモリ媒花という面白い現象がある一方、アガヴェの未来は明るくなさそうであるという厳しく現実があります。自然の生き物は種を超えて繋がりを持って生きていますから、コウモリとアガヴェのように連鎖的な減少が起こる可能性もあります。しかも、そのような関係が判明していない生き物も沢山ありますから、いつの間にか気付かない間に崩壊しているかもしれません。あまり具体的なことは書かれていないので詳しいことはわかりませんが、自然に生えるアガヴェの美しい姿をいつまでも見られる未来であって欲しいものですね。


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アガヴェはメキシコを中心としたアメリカ大陸に分布する多肉植物です。最近は多肉植物の中でもアガヴェが非常に人気で、園芸店でも見かけることが増えましたし、都内ではアガヴェの販売イベントも開催されているようです。アガヴェは若い人に人気がありますから、イベントもフットワークが軽く、昔からあるサボテンの即売会とは隔世の感があります。
さて、私自身はアガヴェを集めるつもりはないのですが、訳あって現在2種類のアガヴェを育てています。別に購入した訳ではなく、今年の多肉植物の即売会に行った際にオマケとしていただいたものです。なんとなく育てていますが、育てている以上はアガヴェについて多少なりとも気になります。何か面白い論文はないかと調べてみました。

そんなこんなで見つけたのが、2000年に出されたSantiago Arizaga, Exequiel Ezcurra, Edward Peters, Felnando Ram
írez de Arellano & Ernesto Vegaによる『POLLINATION ECOLOGY OF AGAVE MACROACANTHA (AGAVACEAE) IN A MEXICAN TROPICAL DESERT』という論文です。論文は2部に分かれており、本日は第1部である『I. FLORAL BIOLOGY AND POLLINATION MECHANISMS』についてご紹介します。第1部はAgave macroacanthaの花を訪れる動物を調査し、その中から実際に受粉により寄与した動物を突き止めることを目的としています。

調査はメキシコのTehuac
àn市の30km南にあるZapotitlàn Salinasで1994年の5月から9月に実施されました。植生は巨大な柱サボテンであるNeobuxbaumia tetetzoが優勢な乾燥地です。雨季は夏で5月下旬から9月下旬位です。
実験は個体密度が低いため、半径5km以内の16個体のAgave macroacanthaを観察区域内に移植し、もとから自生していた16個体と合わせて計32個体としました。ちなみに、アガヴェの花茎は放っておくとヤギにすべて食べられてしまうらしく、アガヴェは柵で囲んだそうです。

A. macroacanthaの花を人工的に受粉させた場合、自身の花粉ではほとんど種子は出来なかったそうです。A. macroacanthaは自家受粉はしない植物だと言えますから、ポリネーター(花粉媒介者)に依存して繁殖していることがわかります。
A. macroacanthaの花を訪れる動物を調べたところ、日中は9種類の蜂と蝶、ハチドリが訪れました。夜間には5種類の蛾と2種類以上のコウモリが訪れました。では、日中と夜間では、どちらの訪問者が受粉のために、より寄与しているのでしょうか。
それはポリネーターが訪れた花に、ちゃんと種子が出来るのか否かで判定しました。日中のポリネーターが訪れた花は、実験的にネットをかけてポリネーターが訪れないようにした花と同じで、ほぼ種子は出来ませんでした(※まれに風で受粉することもあり、完全にゼロにはならない)。夜間にポリネーターが訪れた花は、人工的に受粉を行った花と同じで、沢山の種子が出来ました。ちなみに、
花の蜜の分泌量を調べると、どうも夜間に沢山出ているようです。ということは、A. macroacanthaの受粉にとって重要なのは夜間に花を訪れるポリネーターということになります。

ここで疑問が湧きます。なぜ、日中の受粉はことごとく失敗するのでしょうか? 著者の仮説は、日中のポリネーターである蜂はサイズが小さいことが問題ではないかとしています。例えば、1981年のHowell & Rothの論文では、Agave palmeriを訪れる蜂やハチドリは受粉に寄与するような雌しべとの接触が最小限であったことが示されました。これは、私が考えるに、蜂やハチドリは蜜の採取者としては正に専門家=スペシャリストですから、うまく蜜だけを掠めとることができるということではないでしょうか。スペシャリストはその分野においては洗練されていますから、無駄が少なくなります。私も過去の記事でアロエと太陽鳥の関係性についての論文を紹介しましたが、その時も蜜を吸うスペシャリストである太陽鳥はアロエの受粉に寄与せず、蜜の専門家ではないヒヨドリは要するに採蜜が下手なので花粉だらけになりながら蜜を吸い、アロエの受粉に寄与しているらしいのです。では、重要な夜間のポリネーターは誰なのでしょうか? 蛾は蜂と同様に小さく受粉を行うのは難しい可能性もあります。ということは、残った選択肢はコウモリということになります。コウモリによる受粉は聞きなれないかもしれませんが、柱サボテンなどはすでにコウモリ媒花が知られています。同じメキシコですから、それほどの不思議ではないでしょう。一応、論文では蛾の可能性も残しているようです。
ただし、すべてのアガヴェがコウモリ媒花というわけではなく、蛾が主体の虫媒花も知られています。著者は亜属により異なるのではないかと推測しています。

以上が論文の簡単な要約です。あまり知られていないコウモリ媒花という事実は単純な面白さがあります。また、日中の受粉への寄与が少ないことを示唆していますが、これは非常に重要なものでしょう。なぜなら、このことが解明していないと、コウモリも受粉に関与しているであろう可能性を指摘することしか出来ないのです。
明日は2部に分かれている論文の第2部についてご紹介します。


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4月に五反田TOCであったビッグバザールでは、ユーフォルビアを中心に色々買いました。ラフレシア・リサーチさんで、白雲巒岳とコルムナリスという割と珍しいユーフォルビアを入手することが出来ました。ラフレシア・リサーチさんは毎度おまけをくれますが、この時はアガヴェの抜き苗でした。アガヴェは初めてでしたから、育て方もわかりません。とりあえず鉢に植え込んでみましたが、それから4ヶ月でまあまあ育ってきました。

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2022年4月。抜き苗。小さ過ぎて、まったく特徴が出ていません。アガヴェと言われなければわからない位です。

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2022年8月。だいぶ育ちました。ユーフォルビアとまったく同じ育て方をしていたというか、放置気味でしたが特に問題はなかったみたいです。

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全体的に蒼味がかり、中に白い筋が入っています。ムルチフィリフェラの特徴が出てきました。育つと白いフィラメントが美しい種類のようですが、あと何年かかることやら…

ムルチフィリフェラの学名は1972年に命名されたAgave multifilifera Gentryです。1992年には「乱れ雪」ことAgave filiferaの亜種とする意見、つまりAgave filifera subsp. multifilifera (Gentry) B. Ullrichもありましたが、現在では認められておりません。しかし、Agave filiferaが命名されたのは1834年ですから、ムルチフィリフェラの発見は新しい部類ですね。

そういえば、学名のmultifiliferaはラテン語で、"multi-"が「多数の」、"filifera"は「糸を持った」という意味ですから、フィラメントを沢山持っている特徴から来ているようです。一方のAgave filiferaは、ただのfiliferaですから「糸を持った」となりますが、ムルチフィリフェラの方がフィラメントが多いのでしょうか? サイズによってもフィラメントの多さは異なるように見受けられますから、実際に育ててみないとわからないかもしれません。

ムルチフィリフェラはあまり大きくならないようで、高さ30~45cmくらいみたいです。マイナス18℃くらいまでは耐えられるという情報もありますが、苗のころは何やら危険な感じがしますから冬は室内で安全策をとりたいと思います。
ムルチフィリフェラはメキシコのソノラ砂漠と、アメリカのアリゾナ州Paparito山脈の標高1000-2200mに生えると言います。寒さに強いのも、なんとなくわかる気がします。




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