ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

カテゴリ:植物学 > 植物図鑑

和名 : キダチアロエ(木立アロエ)
別名 : キダチロカイ(木立蘆薈)
学名 : Aloe arborescens Mill. 1768  

DSC_0066
神奈川県 横浜市 鶴見区 (2月)

DSC_0027
埼玉県 草加市 (1月)

基本情報
南アフリカ原産。高さ1-2mとなり、分枝して叢生する。葉の縁は角質三角のトゲが密につく。
「医者いらず」の名前で、火傷、切り傷、虫刺され、胃腸薬として民間薬として利用された。明治初期に渡来した。


アロエ属の変遷
アロエ属はかつてユリ科に所属していたが、アロエ科とされることもあった。しかし、雑多な寄せ集め群であった巨大グループであるユリ科が解体されたことにより、アロエ属も新設のツルボラン科の所属となった。その間にアロエ科、ススキノキ科などの所属とされたこともあった。
さらに、アロエ属そのものも解体されてしまった。ハウォルチア属Haworthiaも解体されて、アロエ属が分解されて出来た属と、ハウォルチア属が分解させて出来た属と、ガステリア属Gasteria、アストロロバ属Astrolobaを含めて、アロエ類として再編成されることとなった。興味深いことに、旧アロエ属同士よりもハウォルチア属とクラマ属(旧アロエ属)が系統的に近いなど、旧アロエ属は内部でまとまりがある分類群ではなかったことが判明した。


和名
木質の茎があるアロエの意。
別名はアラビア語でアロエを示すロエを、漢字で蘆薈と表記したところ、誤ってロカイと読んでしまったことによる。


学名
Aloeは古いアラビア語のalloeh (苦味がある)に由来する。  

Millは、スコットランドの園芸家、植物学者のPhilip Millerの略。


分類
 新エングラーの分類体系(Melchior,1964)
    単子葉植物綱、ユリ目、ユリ科

2, クロンキストの分類体系(Cronquist,1981)
    ユリ綱、ユリ亜綱、ユリ目、アロエ科

3, マバリーの分類体系(Mabberley, 2008)
    モクレン綱(被子植物)、単子葉類、キジカクシ目、ツルボラン科

4, APG IV (2016)
    単子葉類、キジカクシ目、ツルボラン科


ツルボラン科 Asphodelaceae
ツルボラン亜科 Asphodeloides
アロエ類
1, アロエ属 Aloe
    キダチアロエ、アロエ・ベラ、青鰐、など
2, アロイデンドロン属 Aloidendron
    ディコトマム
3, ガステリア属 Gasteria
    臥牛
4, ハウォルチア属 Haworthia
    玉扇、万象
5, クマラ属 Kumara
    乙姫の舞扇
6, ゴニアロエ属 Gonialoe
    千代田錦
7, アリスタロエ属 Aristaloe
    綾錦
8, アストロロバ属 Astroloba
9, アロイアンペロス属 Aloiampelos
10, ツリスタ属 Tulista




和名 : シロザ(白藜)
別名 : シロアカザ
学名 : Chenopodium album L. 1753

和名 : アカザ(藜)
学名 : Chenopodium giganteum D.Don
異名 :
  Chenopodium album var. centrorubrum Makino 1910
  Chenopodium centrorubrum (Makino)Nakai 1936

DSC_0320
シロザとアカザ(収穫後の畑地)

基本情報
高さ150cmほどになる1年草。茎は直立して上部で分枝して円錐花序をつける。花季は8-10月で黄緑色で小型。若い葉には白い粉がつく。
荒れ地に生える先駆植物で、畑地やゴミ集積地に普通。好窒素性植物。
世界中の温帯から熱帯に分布。日本でも全国で見られる。

よく似たアカザは、若葉が紅紫色となりシロザより大型。好窒素性植物。中国原産と考えられるが、古い時代に帰化した可能性がある。シロザの変種とされることが多い。


和名
白いアカザの意。


学名
L.は二名式の学名を考案したスウェーデンのカール・フォン・リンネ(Carl von Linne)の略。Linnaeusと表記されることもある。D.Donはスコットランドの植物学者David Donの略。Makinoは日本の植物学の父と呼ばれる牧野富太郎のこと。Nakaiは日本の植物分類学者の中井猛之進のこと。

シロザは1753年にリンネにより登録された。
アカザは1910年に牧野により、シロザの変種として登録された。しかし、Gbifのアクセプトされた学名はシロザの変種ではなく、C.giganteumとされている。登録年はわからないが、Donの生没年が1799-1841年なので、牧野の発表より早いことになる。
また、1936年に中井がC.centrorubrumとしたが、これもGbifではシノニム(異名)とされる。

ただ、GbifでもC.giganteumの詳細な情報が皆無で、曖昧なところがある。むしろ、C.centrorubrumとしての情報は多少存在する。また、C.giganteumはタカサゴムラサキアカザと呼ばれ、ツリースピナッチの名前で食用とされる。本当に同じ種を表しているのだろうか。
アカザがシロザの変種であるか否かはあやふやと言える。最新の遺伝子解析により系統関係の研究が望まれる。

ちなみに、日本の植物図鑑ではシロザの変種、var. centrorubrum、あるいはC.centrorubrumと表記されることが多い。


分類
エングラーの分類体系(Melchior,1964)
    双子葉植物綱、古生花被植物亜綱、アカザ目、アカザ科

2, クロンキストの分類体系(Cronquist,1981)
    モクレン綱、ナデシコ亜綱、ナデシコ目、ヒユ科

3, マバリーの分類体系(Mabberley, 2008)
    モクレン綱(被子植物)、真正双子葉類、中核真正双子葉類、ナデシコ目、ヒユ科

4, APG IV (2016)
    真正双子葉類、キク上群、ナデシコ目、ヒユ科


ヒユ科  Amaranthaceae(アカザ科を含む)
1, アカザ属 Chenopodium(旧アカザ科)
    シロザアカザ、など
2, ホウレンソウ属 Spinacia(旧アカザ科)
    ホウレンソウ
3, ホウキギ属 Kochia(旧アカザ科)
    コキア(ホウキギ、ホウキグサ)
4, ケイトウ属 Celosia
    ケイトウ、ヤリゲイトウ
5, ヒユ属 Amaranthus
    アマランサス(センニンコク)、ハゲイトウ、ヒユ
6, フダンソウ属 Beta(旧アカザ科)
    サトウダイコン(テンサイ)
7, イソフサギ属(センニチコウ属) Gomphrena
    センニチコウ
8, アタリソウ属 Dysphania(旧アカザ科)
    アタリソウ
9, アッケシソウ属 Salicornia(旧アカザ科)
10, ツルノゲイトウ属 Alternanthera
    アルテルナンテラ・レインキー
など




和名 : ムサシアブミ(武蔵鐙)
学名 : Arisaema ringens (Thunb.) Schott 1832
旧名 : Arum ringens Thunb. 1794

07-04-22_15-21

基本情報
高さ60cmほどの多年草。葉は大型で3小葉。4月に開花し、雌雄異株。花は肉穂花序で、仏炎苞に包まれる。果実は液果で赤色で、種子は3個。
東アジア原産。関東以西の海岸に近い湿った林内に群生する。


和名
武蔵国で造られた鐙に似ていることから。


学名
Arisaemaはギリシア語でaris (Arumの1種) + haima (血)。Arumに近い、あるいはある種の葉の斑点に由来すると言われる。

Thunb.はスウェーデンのツンベルグ(Carl Peter Thunberg)の略。ツンベルグはリンネの弟子で、鎖国下の日本の出島に滞在したことがある。Schottはオーストリアのスコット(Heinrich Wilhelm Schott)の略。オーストリアのブラジル探検に同行した。サトイモ科植物の研究者。

1794年にツンベルグが学名を登録し、1832年にスコットがArum属からArisaema属に移動させた。なので、(Thunb.) Schottという表記となる。


分類
1, 新エングラーの分類体系(Melchior,1964)
    単子葉植物綱、サトイモ目、サトイモ科

2, クロンキストの分類体系(Cronquist,1981)
    ユリ綱、ヤシ亜綱、サトイモ目、サトイモ科

3, マバリーの分類体系(Mabberley, 2008)
    モクレン綱(被子植物)、単子葉類、オモダカ目、サトイモ科

4, APG IV (2016)
    単子葉類、オモダカ目、サトイモ科


サトイモ科 Araceae(ウキウキ科を含む)
サトイモ亜科
1, テンナンショウ属 Arisaema
    ムサシアブミ、ウラシマソウ、マムシグサ、
    ユキモチソウ、など
2, サトイモ属 Colocasia
    サトイモ(タロイモ、ヤツガシラ、ハスイモ)
3, コンニャク属 Amorphophalus
    ヤマコンニャク、ショクダイオオコンニャク
4, クワズイモ属 Alocasia
    クワズイモ
5, フィロデンドロン属 Philodendron
6, シンゴニウム属 Syngonium
7, ハイモ属 Caladium
    カラディウム(カラジューム)
8, ヒメカイウ属 Calla
    カラー
9, オランダカイウ属 Zantedeschia
    カラー(オランダカイウ)
10, ボタンウキクサ属 Pistis 
    ウォーターレタス(ボタンウキクサ)
11, ハンゲ属 Pinellia
    カラスビシャク、オオハンゲ
12, アヌビアス属 Anubias
    アヌビアス・ナナ
13, クリプトコリネ属 Cryptocoryne
など



和名 : アオツヅラフジ(青葛藤)
別名 : カミエビ
学名 : Cocculus oribiculatus (L.) DC. 1817
異名 : Cocculus trilobus (Thunb.) DC. 1818
旧名 : Menispermum oribiculatus L. 1753

DSC_0479


DSC_0480
2020年12月、茨城県つくば市

基本情報
低地の山野に生える、つる性落葉低木。林縁に普通。東アジア原産で、日本では北海道渡島半島以南に分布。
茎は有毛で左巻き。葉は互生、広卵形で全縁、または浅く3裂する。7-8月に黄白色の円錐花序をつけるが、小さく目立たない。雌雄異株。11-12月頃に、ブルームでおおわれた6-7mmの 藍黒色の果実をつける。種子は渦巻状。

ツヅラフジ(オオツヅラフジ、Sinomenium acutum)と似ているが、全体的に大型。葉は無毛で、5-7裂。関東以西に分布。


和名
青いツヅラフジの意。ツヅラフジのツヅラとは、単につるあるいはつるで編んだ籠の意。フジは藤から、ツル植物であることを示す。

別名のカミエビは、神エビの意。エビは、エビヅルの意。エビヅルとは、葉裏の赤紫の毛をエビに例えて、エビのツル植物の意。


学名
Cocculusはギリシア語のkokkos (液果)に由来する。

L.は学名を考案したスウェーデンのカール・フォン・リンネ(Carl von Linne)の略。Linnaeusと表記されることもある。Thunb.はスウェーデンのツンベルグ(Carl Peter Thunberg)の略。ツンベルグはリンネの弟子で、鎖国下の日本の出島に滞在したことがある。DC.はスイスのカンドル(Augstin Pyrame de Candolle)の略。

アオツヅラフジの場合、1753年にリンネがMenispermum oribiculatusとして登録したが、1817年にカンドルが、アオツヅラフジをMenispermum属からCocculus属に移した。なので、(L.) DC.と表記されている。
さらに、ツンベルグがアオツヅラフジをCocculus trilobusと命名したものを、1818年にカンドルがCocculus oribiculatusと同種であるとした、ということ。

まとめると、リンネの命名したM.oribiculatusが一番早い命名だったのでoribiculatusはこの時点で固定されて以後変更はされない。なので、ツンベルグの命名したtrilobusは異名となる。カンドルはアオツヅラフジの所属を正しCocculus属に移動させて、ツンベルグのtrilobusをoribiculatusと統一した。

ちなみに、アクセプトされた学名はC.oribiculatusだが、異名であるC.trilobusのほうが多く使用される傾向がある。図鑑でもC.oribiculatusと表記されることも、C.trilobusと表記されることもある。


分類
1, 新エングラーの分類体系(Melchior,1964)
    双子葉植物綱、古生花被植物亜綱、キンポウゲ目、ツヅラフジ科

2, クロンキストの分類体系(Cronquist,1981)
    モクレン綱、モクレン亜綱、キンポウゲ目、ツヅラフジ科

3, マバリーの分類体系(Mabberley, 2008)
    モクレン綱(被子植物)、真正双子葉類、キンポウゲ目、ツヅラフジ科

4, APG IV (2016)
    真正双子葉類、キンポウゲ目、ツヅラフジ科


ツヅラフジ科 Menispermaceae
コウモリカズラ亜科
Pachygone連
1, アオツヅラフジ属 Cocculus
    アオツヅラフジ、イソヤマアオキ、など
2, Haematocarpus属
3, Hyperbaena属
4, Pachygone属









      



このページのトップヘ