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カテゴリ: 多肉植物

アロエ属は現在使用されている二名式学名の創始者であるCarl von Linneにより、1753年に命名された由緒正しき属名です。しかし、アロエ属の歴史を辿ると、アロエ属だったものがアロエ属ではなくなったり、逆にアロエ属ではなかったものがアロエ属となったりと、アロエ属はかなりの変化を経験して来ました。ただし、全種類のアロエを調べたわけではありませんし、一時的にアロエ属だったものに関してはほとんど調べられておりません。しかし、それでも思いもよらぬ種類がアロエとされたり、アロエ属から分離したものの後に消失した属名の多さなど、その多様な有り様にめまいがするほどです。

先ずは、アロエ属と関係する属名の年表を示します。
1753年 Aloe L.
              Agave L.
1767年 Dracaena Vand. ex L. 
1786年 Catevala Medik.
              Kumara Medik.
1809年 Haworthia Duval
              Gasteria Duval
1811年 Lomatophyllum Willd.
              Rhipidodendrum Willd.
1813年 Phylloma Ker Gawl.
1821年 Pachidendron Haw.
1824年 Bowiea Haw.
1834年 Urginea Steinh.
1838年 Drakaina Raf.
1840年 Tulista Raf.
1866年 Busipho Salib.
1883年 Notosceptrum Benth.
1905年 Chamaealoe A.Berger
1908年 Chortolirion A.Berger
1933年 Leptaloe Stapf
1939年 Aloinella (A.Berger) Lemee
1947年 Astroloba Uitewaal
1956年 Guillauminiana A. Bertrand
1993年 Lemeea P.V.Heath
2013年 Aloidendron (A.Berger)
                         Klopper & Gideon F.Sm.
              Aloiampelos
                         Klopper & Gideon F.Sm.
              Haworthiopsis G.D.Rowley
2014年 Gonialoe (Baker) 
                          Boatwr. & J.C.Manning
              Aristaloe Boatwr. & J.C.Manning

アロエ属の分離と吸収にはいくつかのパターンがありますから、いくつかの種類を例に挙げて解説します。
①古典的なアロエ類
1753年にアロエ属は誕生しましたが、この時アロエ属はあれもこれもといった状態で、様々な特徴を持つ多様な種を含むグループでした。しかし、アロエ属があまりにも様々なグループを含んでいたため、1809年に広義のHaworthiaとGasteria、1947年にはAstrolobaが独立し、アロエ属から分離しました。これらは、形態的にも生態的にも異なり、しかもHaworthia、Gasteria、Astrolobaはそれぞれの属内において非常によくまとまったグループでした。後に遺伝子解析でも支持された、妥当性のある自然な分離と言えます。
また、2013年にはHaworthiaが、Haworthia(狭義)、Haworthiopsis、Tulistaに分割されました。

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Aloe herbacea→Haworthia herbacea

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Aloe viscosa→Haworthiopsis viscosa

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Aloe pumila→Tulista pumila

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Aloe carinata→Gasteria carinata

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Aloe foliolosa→Astroloba foliolosa

②遺伝子解析によるアロエ属の分解
2013年に広義のアロエ属からAloidendronとAloiampelosが分離しました。さらに、翌2014年にはGonialoeとAristaloeが分離しました。AristaloeやGonialoeはAstrolobaやTulistaに近縁で、Kumaraは狭義のHaworthiaと近縁です。狭義のアロエはAloiampelosとは近縁ですが、他の旧アロエ属とはそれほど近縁ではありませんでした。

┏━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属

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Aloe broomii 

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Aloe plicatilis→Kumara plicatilis

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Aloe variegata→Gonialoe variegata

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Aloe aristata→Aristaloe aristata

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Aloe striatula→Aloiampelos striatula

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Aloe dichotoma→Aloidendron dichotomum

Lomatophyllum
Lomatophyllumは1811年に命名された昔からある属で、アロエ属に似た多肉植物です。一般的なアロエ属とは異なり、果肉のある果実をつけます。ただし、LomatophyllumにはDracaenaの一部が含まれていました。それらはやがてDracaenaとされ、本来のLomatophyllumのみとなりました。しかし、Lomatophyllumは種類が統合される傾向があり、例えばLomatophyllum purpureum=Lomatophyllum saundersii=Lomatophyllum rufocinctum=Lomatophyllum aloiflorum=Lomatophyllum marginatum=Lomatophyllum borbonicumとなっています。さらに、L. purpureumはDracaena marginata、Dracaena dentata、Dracaena foetidaなど、ドラセナ属とされることもありました。
しかし、Lomatophyllumは遺伝子解析の結果から、狭義のアロエ属に含まれてしまうことがわかりました。L. purpureumも現在ではAloe purpureaとされているようです。

④Chortolirion
一見して球根植物のような見た目の、Chortolirionも実はアロエ属に含まれることになりました。Lomatophyllumと同様に遺伝子解析の結果、狭義のアロエ属の一員となりました。Chortolirionは、初め広義のHaworthiaでしたがやがてChortolirionとなり、最終的にアロエ属となる経緯をたどりました。

⑤議論があったアロエ
アロエ属は一般的に赤・橙・黄色系統の花を咲かせます。しかし、Aloe albifloraは白い花を咲かせます。このことから、Aloe albifloraはアロエではない可能性があるとして、Guillauminiana albifloraという学名がつけられたことがあります。Guillauminianaは6種類あるとされました。しかし、Guillauminianaは現在認められておらず、今は存在しない属名です。Guillauminianaはアロエ属6種からなる小さなグループでした。

Aloe bowieaは、Chamaealoe africanaあるいはBowiea africanaと呼ばれたことがあります。現在ではアロエ属となり、Chamaealoeは存在しない属名です。しかし、Bowieaは蒼角殿Bowiea volubilisとして属名が残っています。ただし、気を付けなければならないのは、Bowiea africanaのBowieaは1824年にHaworthが命名した属名ですが、Bowiea volubilisのBowieaは1867年にHarv. ex Hook.f.の命名した属名ですから実は起源が異なるはずですが、何故か混同されているように見えます。
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Aloe bowiea
=Chamaealoe africana
=Bowiea africana


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Bowiea volubilis

⑥現存しない一時的な学名
アロエ属にかつて命名されていたCatevala、Pachidendron、Urginea、Drakaina、Busipho、Notosceptrum、Leptaloe、Aloinella、Lemeeaといった属名がありますが、どれも現在では使用されておりません。

女王錦Aloe parvulaは、Lemeea parvulaと命名されたこともあります。
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Aloe parvula=Lemeea parvula

Aloe alooidesは、初めはUrginea alooidesと命名された後にNotosceptrum alooidesとなり、最終的にアロエ属となりました。実はこのUrgineaは160種類程度を含んだかなり大きな属でした。しかし、現在このUrgineaはほとんどがDrimiaとなり、その他にもAloe、Albuca、Schizocarphus、Fusifilum、Austroneaなどを含んだ雑多なグループでした。NotosceptrumはAloeやKniphofiaからなる小さなグループでした。

Aloe myriacanthaは、初めはBowiea myriacanthaと命名された後にアロエ属となり、最終的にLeptaloe myriacanthaとされましたが、結局はアロエ属とされています。Leptaloeは10種類ほどのグループで、すべてアロエ属からなっています。

Aloe purpureumはLomatophyllum purpureumとされていたこと、あるいはDracaenaとする意見があったことを示しました。しかしA. purpureumは、さらにPhyllomaやDrakainaといった属名とされたこともあります。Phyllomaはアロエ属4種類からなる小さなグループでした。Drakainaというドラセナに似た属名は、Aloe purpureumとDracaena dracoの2種類からなる奇妙なグループでした。

Aloe haworthioidesは、Lemeea haworthioidesやAloinella haworthioidesと命名されたこともあります。AloinellaはA. haworthioidesのためだけに創設されたグループでした。
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Aloe haworthioides
=Lemeea haworthioides
=Aloinella haworthioides


Aloe feroxは、Pachidendron feroxやBushipho feroxと呼ばれたこともあります。Pachidendronはアロエ属5種類からなる小さなグループでした。BushiphoはA. feroxのためだけに創設されたグループでした。

Aloe humilisはCatevala humilisと命名されたことがあります。Catevalaは約60種類程度を含むグループで、アロエ属や広義のハウォルチアが混ざっていました。
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Aloe humilis=Catevala humilis

Aloe dichotomaはAloidendron dichotomumとなりアロエ属から分離しましたが、広義のアロエ属だった1811年にRhipidodendrum dichotomumとされたことがあります。Rhipidodendrumは現在のKumaraとA. dichotomumの3種類からなるグループでした。
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Aloidendron dichotomum
=Aloe dichotoma
=Rhipidodendrum dichotomum


⑦アロエとされたことがあるアガヴェ
Agave americana、つまりはあの巨大に育つことで有名なアオノリュウゼツランですが、実に不思議なことにAloe americanaと命名されたことがあります。
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アオノリュウゼツラン
Agave americana
=Aloe americana


⑧存在しないアロエ
詳細は不明ですが、「廃止」となったアロエも存在します。他のアロエなどの異名ですらなく、学名自体が廃止となったAloe asperaやAloe browniiといったものがあります。詳しい調べていませんが、廃止となった学名はこの他にもけっこうありそうです。
もしかしたら、記載情報から実際の植物にたどり着けない場合というのはまず第一に考えられます。古い記載では情報が曖昧で標本もなく、スケッチのみというパターンは実際に存在します。まあ、他にも理由はあるのかもしれません。


⑨交雑種
かつてはアロエ属であった自然交雑種も存在します。例えば、Aloe × bicarinataは現在、× Astrolista bicarinataとされています。× AstrolistaはAstroloba × Tulistaを示しています。
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× Astrolista bicarinata
=Aloe × bicarinata

 
のブログは多肉植物がメインですが、内容的には学名の来歴を追った部分が他サイトとの違いかなあと思っています。実のところ大した情報ではありませんが、そんなことでも続けていれば色々と見えてくるものがあります。例えば、ハウォルチアは昔アロエだったものが多いこととか、アロエは意外に現在無効な属名があることとか、そんなことです。これからも、論文を含め気になることが出てきましたら記事にする予定です。


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私はユーフォルビアをチマチマ集めたりしていますが、ユーフォルビア属と近縁とされるモナデニウム属にはあまり興味がありませんでした。というのも、ユーフォルビア属自体があまりにも多様で種類が多いため、モナデニウム属まで手が回らないためです。そのため、モナデニウムを調べたりもしないので、あまりイメージがありませんでした。しかし、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文を紹介する記事を書いた時に、モナデニウム属がユーフォルビア属に含まれているということを書きました。私も論文を読んで初めて知ったのですが、その際に論文に出てくる旧モナデニウム属の種類を調べたところ、その多様な姿に驚かされました。

以前の記事はこちら。
しかし、その時の論文が初めてモナデニウム属がユーフォルビア属に含まれることを明らかにした論文であるかはわかりません。まだちゃんと読んでいないのですが、2006年のPeter Burynsらの『A New Subgeneric Classhfication for Euphorbia (Euphorbiaceae) in Southern Africa Based on ITS and psbA-trnH Sequence Data』において既に述べられているみたいです。他にも根拠論文はあるかもしれませんから、もう少し調べてみるつもりです。

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幹だけではなく、葉裏の葉脈にもトゲがあるのは面白く感じます。

以前、園芸店に鉢を買いに行った際、変わった多肉植物を見つけました。手に取ると、なんとモナデニウムで、ラベルには"Monadenium magnificum"とありました。私の古いイメージではモナデニウムはM. schubeiの様な姿を想定していたので、なにやら驚いた記憶があります。私にとっては初めてのモナデニウムですが、これは非常に面白い植物だと思いました。

2013年の『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』では、E. magnificaの遺伝子解析による分子系統は以下の通りです。近縁種はタンザニア原産です。

            ┏━E. magnifica
        ┏┫
        ┃┗━E. neoarborescens 2
    ┏┫
    ┃┗━━E. neoarborescens 1
┏┫
┃┗━━━E. spectabilis

┗━━━━E. neococcinea


E. magnificaは高さ1.5~2メートルくらいになるそうですから、旧モナデニウムの中ではかなり大型になります。一応は低木扱いとなるみたいです。塊根性。

さて、上の方で述べた通りモナデニウム属はユーフォルビア属に変更となりました。学名は1940年にMonadenium magnificum E.A.Bruceでしたが、2006年にはEuphorbia magnifica Burynsとなりました。良く見ると種小名の語尾も変更されています。ラテン語では、"-um"は単数形で"-a"は複数形らしいのですが、文法上のことでしょうから残念ながら私にはさっぱりわかりません。
しかし、モナデニウム属は個性的ですから、学術的にはユーフォルビア属でもやはり区別しておきたい思いがあります。ラベルには"Monadenium magnificum"の学名を記入しています。まあ、ユーフォルビア属に変更となったことを理解していればいいことだけですから、ラベルはわかりやすさ優先です。
しかし、学名は統合したり分離したりすることもありますから、元のラベルの表記は残しておかないと、後々訳がわからなくなるかもしれません。


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かつてのHaworthia sensu lato(広義のハウォルチア属)は2013年に分割され、Haworthia sensu stricto(狭義のハウォルチア属)、Haworthiopsis、Tulistaになりました。その中でもツリスタ属はたった4種類から構成されています。その4種類とはTulista marginata、Tulista pumila、Tulista kingiana、Tulista minorです。ただし、Tulista minorはTulista minimaと呼ばれることもあります。
ここからが本題です。私には以前から疑問に思っていたことがあります。それは、T. minorとT. minimaのどちらを選択するべきかということです。どうやら、近年ではT. minorで統一する流れのようですが、その根拠が今一つわからなかったのです。なぜならば、T. minorもT. minimaも、1789年にAloe margaritiferaの変種として、スコットランドのWilliam Aitonにより命名されました。本来ならば、先に命名された種小名が優先されますが、この場合は同時に命名されています。どちらを優先すべきなのでしょうか? なぜ、T. minorが認めているのでしょうか?
しかし、なんとその答えが書かれた論文を見つけました。是非ご紹介したいのですが、その前にT. minorとT. minimaの命名年表を下記に示します。


1789年 Aloe margaritifera var. minor Aiton
              Aloe margaritifera var. minima Aiton
1809年 Haworthia minor (Aiton) Duval
1812年 
Haworthia minima (Aiton) Haw.
1821年 Apicra minor (Aiton) Steud.
1829年 Aloe minor (Aiton) Schult. & Schult.f.
1891年 
Catevala minima (Aiton) Kuntze
1997年 
Haworthia pumila subsp. minima
                                     (Aiton) Halda
2014年 
Tulista minima
              (Aiton) Boatwr. & J.C.Manning

2018年 Tulista minor
              (Aiton) Gideon F.Sm. & Molteno

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Tulista minor

さて、今日ご紹介する論文は、Gideon F. Smith, Estrela Figueiredo & Steven Moltenoによる2018年の『A new combination in Tulista, T. minor (Alooideae, Asphodelaceae)』です。
1789年にAloe margaritifera var. minorとAloe margaritifera var. minimaを命名したAitonは"minor"と"minima"を別種と認識していました。しかし、どうやら同じ論文の中で命名されたようです。この場合、先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」ではどちらを優先すべきか判断出来ません。フランスのHenri August Duvalが"minor"をハウォルチアとしたのは1809年、イギリスのAdrian Hardy Haworthが"minima"をハウォルチアとしたのは1812年ですから、ハウォルチアへの移行は3年の差があります。著者はこの事を重視しているようです。調べたところ、どちらかに正式な学名とすることを初めて公表した著者の意見が優先されるそうです。これは「第一校訂者の原理」と呼ばれます。"minor"の場合はDuvalが第一校訂者となります。よって、ツリスタ属に変更する場合でも、その基礎となる種小名は"minor"となります。

話をまとめます。著者らが主張する学名に使われる種小名"minor"は、1789年にAitonによりAloe margaritifera var. minor Aiton(※Basionym)と命名されました。1809年にDuvalによりHaworthia minor (Aiton) Duval(※Homotypic synonym)とされましたが、著者らはDuvalを第一校訂者として、H. minorを根拠とする
Tulista minor (Aiton) Gideon F.Sm. & Molteno, comb. nov.(※comb. nov.=所属が変更された)としました。ちなみに、他にも種小名"minor"を使用した異名(Homotypic synonym)として、1821年のApicra minor (Aiton) Steudel、1829年の Aloe minor (Aiton) Schult. & Schult.f.が知られています。
また、正統性がなく無効とされる異名(Heterotypic synonym)として、1789年の
Aloe margaritifera var. minima Aiton、 1812年のHaworthia minima (Aiton) Haworth、2014年のTulista minima (Aiton) Boatwright & J.C.Manningが知られています。

補記1 : 同じ著者らの2017年の論文では、ツリスタ属はT. opalinaを含め5種類としていました。しかし、今回ご紹介した2018年の論文ではツリスタ属は4種類とし、T. opalinaを認めるかは議論のあるところであるとしています。T. opalinaを認めるか否か、2017年から2018年の1年で情勢が変わったのかもしれませんね。

補記2 : "minor"は「ミノー」と読むことが一般的ですが、ラテン語の読み方では「ミノル」です。個人的な好みでラテン語読みにこだわっている関係上、「ミノル」と読ませていただきました。
そういえば、"minima"は「小さな」、"minor"は「より小さな」という意味です。初めに"minor"と"minima"を命名したAitonは、大小2つの個体を見て、大きい個体は他種より小さいから"minima"として、それより小さい個体を"minor"と命名したのでしょうかね? 名前のミステリーはまだ未解決かもしれません。



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個人的にツリスタ属が好みでチマチマ集めていますが、現在ツリスタ属は4種類なので全種類簡単に集まりました。あとは変種やフィールドナンバー付きを集めるくらいです。Haworthia pumilaとHaworthia marginataは、2013年にGordon Douglas RowleyによりTulista pumilaとTulista marginataとされました。しかしその後にGideon F.Sm & Moltenoにより2017年にはTulista kingiana、2018年にはTulista minorがツリスタ属に追加されました。そのため、海外のサイトではT. marginataやT. pumilaはツリスタ属としていても
、T. minorやT. kingianaはハウォルチア属としていることもあります。国内では残念ながらツリスタ属自体に対する認識がそもそもあまり無いのが現状で、4種類すべてがハウォルチア属としていることが多いように思われます。

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Tulista kingiana

さてそんな中、今年の7月初めにT.kingianaを入手したことにより全4種類が集まりましたが、その都度学名などの情報を調べて記事にしました。この時、学名の情報はイギリス王立植物園のデータベースを参考としましたが、その根拠は特に意識していませんでした。しかし、最近多肉植物の論文を漁っているため、キンギアナをツリスタ属とした論文を見つけました。早速読んでみたところ、何やら意外なことが書かれており、単純に属名の変更というどちらかと言えば地味な論文にしては面白い内容でしたのでご紹介します。

ご紹介する論文は2017年のGideon F. Smith, Estrela Figueiredo & Steven Moltenoによる『A new combination in Tulista, T. kingiana (Asphodeloideae, Xanthorrhoeaceae / Alooideae, Asphodelaceae)』です。早速簡単にご紹介しましょう。
2003年のTreulein et al.や2013年のGrace et al.、2014年のManning et al.によるアロエ類の系統発生研究により、Haworthia s.l.(sensu lato=広義の)は3分割されることが示されました。Haworthiaは、Haworthia s.s.(sensu stricto=狭義の)、Haworthiopsis G.D.Rowley、Tulista Rafinesqueの3グループが確立され広く受け入れられました。
このうち、Tulistaは5種類を含むと考えられています。つまり、T. marginata (Lamarck, 1783) G.D.Rowley, 2013、T. minima (Aiton, 1789) Boatwr. & J.C.Manning, 2014、T. opalina (Hayashi, 2001) Breuer, 2016、T. pumila (Linnaeus, 1753) G.D.Rowley, 2013です。しかし、5番目の種であるHaworthia kingiana Von Poellnitz, 1936については、ツリスタ属として命名はされていますが、その学名が有効ではないと言います。どういうことなのでしょうか?
2013年のG.D.Rowleyや2016年のBreuerの論文では、H. kingianaをツリスタ属としました。しかし、これらはVon Poellnitzの1936年の報告を引用してそれを基に命名しました。しかし、Von Poellnitzの1936年の報告は国際命名規約(ICN)に乗っ取ったものではありませんでした。つまり、G.D.RowleyやBreuerにより命名されたTulista kingianaは、引用元に誤りがあるため正式には認められないというのです。これは、ICNの第41.5条に基づいて有効ではないとされるそうです。
そこで著者はHaworthia kingianaが規約に乗っ取り正式に報告されたVon Poellnitz, 1937を引用して、Tulista kingiana (Poelln.) Gideon F.Sm. & Molteno, comb. nov.として新たに記載しました。
※comb.nov.=combination nova、他の所属になったことを示す。
学名の根拠となった元になった学名(Basionym)は、Haworthia kingiana Von Poellnitz, 1937で、Tulista kingiana (Poelln.) G.D.Rowley, 2013やTulista kingiana (Poelln.) Breuer, 2016は規約に従わない無効名です。

ここまでが論文の内容です。私はG.D.Rowleyが2013年にツリスタ属を復活させた時に、T. kingianaは含まれていなかったものだと勘違いしていましたが、実は命名自体はされていたわけです。しかし、このような経緯は学名を調べただけではわかりませんから、個人的には非常に面白い話でした。


補記 : 論文ではツリスタ属は5種類としていますが、現在学術的に認められているツリスタ属は4種類です。T. opalinaはT.minorの異名とされています。しかし、将来的にT. opalinaが認められる可能性はあります。
また、T. minimaは現在ではT. minorが正しい学名となっています。これについては個人的に前々から頭を悩ます問題でした。T. minorが正式な学名であることは知っていますが、その理由や根拠となると全く説明出来ないのです。そんな中、そこら辺について書かれた論文を見つけましたので、私が何にそんなに悩んでいたのかを含め明日ご紹介したいと思います。



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ダシリリオンはそもそもあまり流通していませんが、最近では実生苗がまれに販売されることもあります。そんな中、もっとも流通しているDasylirion longissimumは、じつはDasylirion quadrangulatumであるという記事を最近書きました。そもそもが海外での混乱がそのまま日本に波及した形なのですが、国内でそのことが話題に挙がることはないみたいですので、気にはなっています。

私は先ずDasylirion longissimumという名札が付いたDasylirion quadrangulatumを入手した後、正しい名札が付いたD. quadrangulatumを入手したので、結局はD. quadrangulatumを2株入手しただけでした。残念。
しかし、基本的にD. longissimum(本当はD. quadrangulatum)以外のダシリリオンはまあ見ないわけです。五反田TOCで開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールで、明らかD. quadrangulatumではないダシリリオンを見つけたので購入しました。それが、ダシリリオン・ベルランディエリです。


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葉は青白くトゲがあります。葉の断面が平たいことに注意。

ベルランディエリは葉の長さは120cmになり、葉はワックス状で青くトゲは不規則につきます。花茎は3.5メートルになるそうです。マイナス14℃に耐えるそうですから、ある程度のサイズになれば完全戸外栽培も可能でしょう。ベルランディエリは非常に美しい葉色を持ちますから、これからの生長が楽しみです。

ベルランディエリの学名は1879年に命名されたDasylirion berlandieri S.Watsonです。S.Watsonはアメリカの植物学者であるSereno Watsonです。種小名はフランスの植物学者であるJean-Louis Berlandierに対する献名です。Berlandierは1943年にメキシコのeast of MonterreyではじめてDasylirion berlandieriを発見しました。

ダシリリオンについては以下の記事もご参考までに。

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以前、笹蟹丸と紅キリンの関係について記事にしました。

この記事では、笹蟹丸Euphorbia pulvinataと紅キリンEuphorbia aggregataは同種であり、E. aggregataという学名はE. pulvinataの異名であるというものでした。
これは、海外のサイトを色々探った時に出てきた情報です。園芸サイトだけではなく、学術的な植物のデータを収集しているような幾つかのサイトでも、やはり2種は同種であるとありました。最終的には、『GBIF』(Global Biodiversity Information Facility)という学術的な情報に基いて、学名を収集しているサイトの情報を確認しました。
しかし、『World Checklist of Vascular Plants』というイギリス王立植物園が主宰するサイトの情報においては、E. pulvinataとE. aggregataはそれぞれ別種とされています。このサイトの情報は、正式な学名と異名について、出されている学術論文を参考にして検討する学術雑誌を出しており、新しい情報があれば改定されたりします。GBIFもWorld Checklist of Vascular Plantsを根拠としていますから、GBIFは情報が古いのかもしれません。

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笹蟹丸
Euphorbia pulvinata Marloth, 1910

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紅キリン
Euphorbia aggregata A.Berger, 1907 publ. 1906


ここで、疑問が湧きます。では、E. pulvinataとE. aggregataが同種であるという情報はどこから来たのでしょうか? 調べたところ、2012年に南アフリカの植物学者であるPeter Vincent Bruynsによる『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』という論文から来ているようです。驚いたことに、実は既に読んだことがある論文でした。World Checklist of Vascular Plantsでもこの論文を根拠としているユーフォルビアもありますから、内容をチェックしたことがあったのです。この論文の内容は、南アフリカに分布するユーフォルビアの種類と学名の妥当性を検討するというものです。問題のE. aggregataは"除外された名前"とされています。一体どういう意味なのでしょうか?
この論文においてE. aggregataは、E. pulvinataやE. feroxと同種ではないかを確認する必要があるとあります。あるいは、E. aggregataはカルー東部の広い範囲に分布し、E. pulvinataやE. feroxとの中間体である懸念を指摘しています。果たしてこの擬義が如何にして解消されたのかは私にはわかりませんが、とにかくこの論文のE. aggregataに関する記述は認められていません。その根拠を探して論文を探してみましたが、残念ながら見つけられませんでした。様々なサイトではE. aggregataについて異名の疑いを示してはいるものの、現在ではE. aggregataを承認する形となっています。

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勇猛閣
Euphorbia ferox Marloth, 1913

それでも気になるのは、やはりその根拠です。Bruynsの論文の当該部分を否定するならば、当然ながら議論があるはずです。しかし、よくよく考えて見ると、Bruynsの"懸念"が何らかの根拠に基づいているのか、その考え方の妥当性自体に誤りがないのかはわかりません。そもそもこの懸念が議論に値するものであるのかどうかすらわかりません。単純に妥当性なしとされただけのことかもしれません。とはいえ、それも確証はないため気になっている部分ですから、今後も論文の調査は行っていくつもりです。



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本日はヴロキイという名前の南アフリカ原産のガステリアをご紹介します。
ヴロキイは東ケープ州のHankey郊外のKouga地方に自生します。自然保護区の岩肌に生えるために保護の必要はないそうです。標高1000-1500メートルの石英質砂岩地の、ミネラル分が少ない砂質の腐食土壌がたまった岩の割れ目や隙間に生えます。pH4.1という非常に強い酸性条件で育つようです。生息地にはSenecio crassulifolius、Crassula atropurpurea、Crassula ericoides subsp. tortuosa、Adromischus maculatusなどが生えるそうです。

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Gasteria vlokii

ヴロキイは1984年に南アフリカの植物学者であるJan Vlokが、Waboomsbergの1946メートルの岩肌で発見しました。高地の湿ったフィンボス(夏に乾燥する冬の降雨地域)ではじめて発見されたガステリアということで、驚きをもって受け止められました。
ヴロキイは南アフリカの植物学者であるErnst van Jaarsveldが1987年にGasteria vlokii van Jaarsv.と命名しました。vlokiiは発見者であるJan Vlokに対する献名です。

ガステリア属は南アフリカ原産ですが、種類ごとの分布が近いものは遺伝的にも近縁であることがわかりました。以下に示すのはガステリアの遺伝子解析の結果です。ヴロキイは南アフリカ南西部のガステリアと近縁です。


┏━━━━━━━━━━G. pillansii

┃    ┏━━━━━━━━G. vlokii
┃    ┃
┃┏┫    ┏━━━━━━G. koenii
┃┃┃┏┫
┫┃┃┃┗━━━━━━G. brachyphylla
┃┃┗┫
┃┃    ┃    ┏━━━━━G. thunbergii
┃┃    ┃┏┫
┃┃    ┃┃┗━━━━━G. carinata 
┃┃    ┗┫                      var. glabra
┗┫        ┃┏━━━━━G. retusa
    ┃        ┗┫
    ┃            ┃┏━━━━G. carinata
    ┃            ┗┫
    ┃                ┃┏━━━G. langebergensis
    ┃                ┗┫
    ┃                    ┗━━━G. disticha
    ┃
    ┃    ┏━━━━━━━G. bicolor                          
    ┃┏┫                                         
    ┃┃┗━━━━━━━G. rawlinsonii                 
    ┃┃                                             
    ┗┫┏━━━━━━━G. nitida 
        ┃┃
        ┃┃         ┏━━━━G. excelsa
        ┃┃     ┏┫
        ┃┃     ┃┗━━━━G. pulchra
        ┃┃     ┃
        ┃┃┏ ┫ ┏━━━━G. ellaphieae                         
        ┃┃┃ ┃ ┃ 
        ┃┃┃ ┃ ┃    ┏━━G. polita
        ┗┫┃ ┗ ┫┏┫
            ┃┃      ┃┃┃┏━G. acinacifolia
            ┃┃      ┃┃┗┫
            ┃┃      ┗┫    ┗━G. barbae
            ┃┃          ┃
            ┃┃          ┃┏━━G. armstrongii
            ┗┫          ┗┫
                ┃              ┃┏━G. glauca
                ┃              ┗┫
                ┃                  ┗━G. glomerata
                ┃
                ┃    ┏━━━━G. croucheri
                ┃┏┫
                ┃┃┗━━━━G. loedolffiae
                ┗┫
                    ┃┏━━━━G. tukhelensis
                    ┗┫
                        ┃┏━━━G. batesiana
                        ┗┫            var. batesiana
                            ┗━━━G. batesiana
                                            var. dolomitica


ヴロキイは花の形状からは、G. glauca、G. ellaphieae、G. nitidaと近縁とされてきましたが、遺伝子解析の結果からは支持されません。

世の中には多肉植物ブームなるものが、私が知らない間にあったらしいです。しかし、その時の一時の過熱はなくなったものの、どうも多肉人口が増えたせいか多肉植物自体は以前より今の方が色々入ってきているように思います。そんな中でも、何故かガステリアは見かけません。もちろん、臥牛や恐竜は見かけますけど、それ以外の種類、しかも原種となると中々厳しいところです。私もチマチマ集めてはいますが、ガステリアは現在8種類のみです。先日のビッグバザールでも、ガステリアはほぼありませんでした。しかし、ガステリアは非常に美しいので、もう少し流行って欲しいところですね。


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硬葉系ハウォルチアはハウォルチア属のHexangulares亜属とされてきました。しかし、硬葉系ハウォルチアは2013年にGordon Douglas Rowleyによりハウォルチオプシス属とツリスタ属として、ハウォルチア属から独立しました。しかし、そのハウォルチオプシス属内部をどう分類するのかという問題も出てきました。また、遺伝子解析結果からは、思いもよらぬ難問が提出されました。そこで、本日はハウォルチオプシス属の新しい分類を提案している、2016年に発表された論文『A synoptic review and new iofrageneric classification for the genus Haworthiopsis (Xanthorrhoeaceae : Asphodeloideae)』をご紹介いたします。著者は近年のアロエ類研究を先導する、南アフリカのSean D.Gildenhuys & Ronell R.Klopperです。

Haworthia henriquesiiが2019年にハウォルチオプシス属とされましたが、論文は2016年ですからHaworthiopsis henriquesiiを含まない18種類について述べられております。
問題はコエルマニオルム(H. koelmaniorum)の立ち位置です。コエルマニオルムは分布はリミフォリア(H. limifolia)に近いものの、形態的にはテセラタ節(H. granulata、H. tessellata、H. venosa、H. woolleyi)に近いようにも見えます。しかし、下に示した遺伝子解析による分子系統では、ハウォルチオプシス属はガステリア属と姉妹群ですが、コエルマニオルムはむしろガステリア属よりもハウォルチオプシス属と離れて見えます。

            ┏━━━━━Gasteria
            ┃
            ┃        ┏━━Haworthiopsis
            ┃        ┃     Section Trifariae
            ┃    ┏╋━━Haworthiopsis
            ┃    ┃┃     Section Haworthiopsis
            ┃┏┫┗━━Haworthiopsis
            ┃┃┃         Section Haworthiopsis
            ┣┫┗━━━Haworthiopsis
            ┃┃             Section Virescentes
        ┏┫┗━━━━Haworthiopsis
        ┃┃                 Section Haworthiopsis
        ┃┣━━━━━Haworthiopsis
        ┃┃                 Section Limifoliae
        ┃┣━━━━━Haworthiopsis
        ┃┃                 Section Tessellatae
        ┃┗━━━━━Haworthiopsis
    ┏┫                     Section Attenuatae
    ┃┣━━━━━━Haworthiopsis
    ┃┃                     Section koelmaniorum
    ┃┃┏━━━━━Tulista
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━━Aristaloe
┏┫┗┫
┃┃    ┣━━━━━Gonialoe
┃┃    ┃
┃┃    ┗━━━━━Astroloba
┃┃
┃┣━━━━━━━Aloe
┃┃
┫┗━━━━━━━Aloiampelos

┣━━━━━━━━Haworthia

┣━━━━━━━━Kumara

┗━━━━━━━━Aloidendron

ハウォルチオプシスを分割していますが、ガステリア属を含めて1つのグループを形成しています。同様にツリスタ属、アリスタロエ属、ゴニアロエ属、アストロロバ属を1つのグループとしています。要するに、①ハウォルチオプシス+ガステリア、②コエルマニオルム、③ツリスタ+アリスタロエ+ゴニアロエ+アストロロバという、3群に分けられるのです。ガステリア属は非常にまとまりのあるグループなので、独立した属とされています。このように、コエルマニオルムはハウォルチオプシスとすべきか微妙な立ち位置にいます。
さらに言うならば、Trifariae節、Haworthiopsis節、Virescentes節はまとまりがありますが、Limifoliae節、Tessellatae節、Attenuatae節は必ずしも単系統にはなっていません。ハウォルチオプシス属自体のまとまりのなさがうかがえます。
ただし、慎重にも論文ではさらに詳細な解析が必要であるとしています。完全決着などではなく、現時点においての評価ということなのでしょう。
では、論文におけるハウォルチオプシス属の分類と、私の各Sectionの解説を示します。

①Section Attenuatae
・H. attenuata
・白い結節(イボ)がつくタイプです。結節の大きさや密度、白さには個体差があります。
・アテヌアタは東ケープ州に分布します。
・日本では「十二の巻」という名前の白い結節があるハウォルチオプシスが昔から販売されており、これをファスキアタとすることが多いのですが、「十二の巻」はアテヌアタ系交配種です。最近、「特アルバ」の名前で販売されている結節が目立つタイプのハウォルチオプシスはアテヌアタです。同様に結節が細かくつき繋がらない「松の雪」はやはりアテヌアタです。このように、アテヌアタ系はよく見かけますが、ファスキアタは基本的に販売しておりません。たまに専門店に並ぶくらいです。ネットでは十二の巻をファスキアタの名前で販売されていることが多いので注意が必要です。

②Section Haworthiopsis
・H. coarctata, H. fasciata, H. glauca, H.longiana, H. reinwardtii
・白
い結節(イボ)がつくタイプです。結節の大きさや密度、白さには個体差があります。白い結節を持ちロゼットを作るファスキアタ、白い結節を持ち縦長に育つコアルクタタとレインワルドティイ、結節に白くならないか結節がないグラウカ、結節がない場合もあり葉が長くなるロンギアナからなります。
・Haworthiopsis節はすべて東ケープ州に分布します。
コアルクタタをレインワルドティイに含める考え方もあります。

③Section Limifolia
・H. limifolia
・遺伝子解析では独立して見えますが、他種との関係に対する解析が不十分とのことで暫定的にリミフォリア節を設定しています。
・リミフォリアはMpumalanga州とKuwaZulu-Natal州に分布します。

④Section koelmaniorum
・H. koelmaniorum
・コエルマニオルムはLimpopo州とMpumalanga州に分布します。Limpopo州に分布するハウォルチオプシスはコエルマニオルムのみです。

⑤Section Tessellata
・H. granulata, H. tessellata, H. venosa, H. woolleyi
・テセラタは北西州と自由州唯一のハウォルチオプシスです。テセラタは北ケープ州や西ケープ州、東ケープ州にも広く分布します。グラヌラタは北ケープ州と西ケープ州に分布します。ヴェノサは西ケープ州に固有です。ウォオレイは東ケープ州に固有です。
・Tessellata節は小型で窓のあるグループです。グラヌラタはヴェノサの亜種とされてきました。同様にウォオレイはヴェノサの亜種あるいは変種とされて来ましたから、販売苗のラベルではそのような表記が多いでしょう。

⑥Section Trifariae
・H. pungens, H. nigra, H. scabra, H. viscosa
・縦長に積み重なるタイプです。ヴィスコサやニグラは三方向に葉を出して積み重なります。プンゲンスは6あるいは3方向に積み重なります。スカブラはロゼットを形成します。
・プンゲンスは東ケープ州に固有です。スカブラとヴィスコサは東ケープ州と西ケープ州に分布します。ニグラは東ケープ州と西ケープ州、さらに北ケープ州にも分布します。

⑦Section Virescentes
・H. bruynsii, H. sordida
・Virescentes節は東ケープ州に固有です。
・ブルインシイは一見して軟葉系のHaworthia retusaに似ていますが類縁関係はなく、平行進化と考えられています。

ちなみに、ハウォルチオプシス全種類の変種や異名については下記の記事にありますので、ご参照して下さい。



さて、論文の内容につきまして簡単に解説してきましたが、実は私も読んでいてモヤモヤする内容でした。まず、Tessellatae節やLimifoliae節の関係がよく分からないことです。これはさらに詳しく解析をすればわかることでしょうから今後に期待します。次にHaworthiopsis節ですが、Trifariae節やVirescentes節と入れ子状になってしまっています。どうみても、単系統ではありません。結節があるなどの特徴から分けるのは間違いなのかもしれません。

2014年のJohn C. Manning & James S. Boatwrightの
A Molecular Phylogeny and Generic Classification of Asphodelaceae Subfamily Alooideae : A Final Resolution of the Prickly Issue of Polyphyly in the Alooids?』という論文では、12種類のハウォルチオプシスの遺伝子解析をしています。ここでもコエルマニオルムはハウォルチオプシスの中には収まっていないため、下記の分子系統には入っていません。この論文では、コエルマニオルムはツリスタ+アストロロバ+アリスタロエ+ゴニアロエと姉妹群とされ、むしろハウォルチオプシスからは近縁ではありません。

┏━━━━━━━Gasteria

┃                    ┏━H. reinwardtii
┃                ┏┫
┃                ┃┗━H. nigra
┃            ┏┫
┃            ┃┗━━H. coarctata
┃        ┏┫
┃        ┃┗━━━H. glauca
┃    ┏┫
┃    ┃┣━━━━H. bryunsii
┃    ┃┃  
┃┏┫┗━━━━H. sordida
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━H. fasciata
╋┫┗┫
┃┃    ┗━━━━H. longiana
┃┃
┃┗━━━━━━H. limifolia

┃┏━━━━━━H. venosa
┗┫
    ┗━━━━━━H. attenuata

Haworthiopsis節は2つに別れます。ファスキアタとロンギアナは近縁です。残りのレインワルドティイ、コアルクタタ、グラウカは、Trifariae属のニグラと近縁です。他のTrifariae節はわかりません。Limifolia節はここでも独立しています。Tessellata節のヴェノサはアテヌアタと近縁に見えます。
ただし、この2つの論文は分離がいまいちだったり、調べた種類が少ないため、まだ確実なことは言えないでしょう。また、調べた遺伝子によっても、解析結果に若干の違いが出るようです。更なるデータの蓄積が必要でしょう。
というわけで、わかったようなわからないような結果です。はっきりしないのは残念です。しかし、コエルマニオルムはハウォルチオプシスとは近縁とは言えないという結果だけは共通します。将来、コエルマニオルムはハウォルチオプシスから独立するかもしれませんね。


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ポエルニッチア属は、かつてアストロロバ・ルブリフロラにつけられた旧・学名です。私もそのことについて何ら疑問を抱かなかったわけですが、アストロロバ属について調べていた際に衝撃的な論文を見つけてしまいました。Gideon F. Smithらが2018年に発表した『Proposal to conserve the name Astroloba against Poellnitzia (Asphodelaceae : Alooideae)』です。

DSC_0982
Astroloba rubriflora
          =Poellnitzia rubricflora

とりあえず、その内容に入る前に簡単にことの経緯を説明します。ルブリフロラは1920年にアピクラ属として命名されたアロエ類です。種小名はルブリフロラとヤコブセニアナ(ジャコブセニアナ)が命名されましたが、学名は先に命名された方が優先されますから、ルブリフロラが採用されます。下の年表はルブリフロラの学名の変遷を示したものです。現在では2000年に命名されたアストロロバ属の所属となっています。


1920年 Apicra rubriflora L.Bolus
1939年 Apicra jacobseniana Poelln.
1940年 Poellnitzia rubriflora

                    (L.Bolus) Uitewaal
1955年 Poellnitzia rubriflora
                          var. jacobseniana
                              (Poelln.) Uitewaal
1971年 Haworthia rubriflora
                                    (L.Bolus) Parr

1981年 Aloe rubriflora 
                             (L.Bolus) G.D.Rowley

2000年 Astroloba rubriflora (L.Bolus)
              Gideon F.Sm. & J.C.Manning
2013年 Tulista rubriflora
                             (L.Bolus) G.D.Rowley

さて、それではいったい何が問題かと言いますと、属名はアストロロバで良いのか? ということです。アピクラ属は現存しない属ですし、アロエやハウォルチアに関しては、遺伝子解析結果からも否定されています。Gordon Dougles Rowleyがルブリフロラを他のアストロロバと共にツリスタ属の所属としましたが、これは確かに遺伝子解析結果では近縁でしたが、アストロロバ属はまとまりのある群として独立させる意見が認められています。ここまでは問題ありません。
ポエルニッチア属は1940年にルブリフロラのためにオランダの植物学者であるAntonius Josephus Adrianus Uitewaalにより提唱されました。しかし、1947年に同じくUitewaalにより、アストロロバ属が提唱されました。Uitewaalはポエルニッチアとアストロロバを別属としました。アストロロバ属は白花で虫媒花ですが、ルブリフロラ(rubri=赤、flora=花)の名前の通り赤花で鳥媒花です。現在ではルブリフロラは鳥を引き付けるために特殊化したアストロロバと見なされています。しかし、その特殊性ゆえ、ルブリフロラをアストロロバから分離する考え方はいまだに健在のようです。しかし、遺伝子解析からはやはりアストロロバに含まれるという結果でした。
さて、次からが最大の問題です。良く考えたら、1940年に命名されたポエルニッチア属と1947年に命名されたアストロロバ属を比較した場合、ポエルニッチア属の方が早く命名されていますから、アストロロバ属は本来使用されるべき属名ではないというのです。つまりは、現在アストロロバ属とされている種はすべてポエルニッチア属とするのが正しいというわけです。私はポエルニッチア属はルブリフロラのためだけに創設されたため、ポエルニッチア属を基準とすべきとは考えませんでしたが、確かに言われてみればその通りです。何故そのことに気が付かなかったのか、私自身迂闊でした。では、今後はアストロロバ属を廃して、すべての旧・アストロロバをポエルニッチア属に移動させるべきなのでしょうか?

しかし、著者はこの考え方に否定的です。アストロロバ属は1947年の命名以降一貫して使用されてきましたし、非常にまとまりのあるグループです。論文をはじめとする世界的な文献においても定着しています。そのため、アストロロバ属をポエルニッチア属に置き換えることは、決して望ましいことではなく、命名学的な安定性の観点からも利益にはならないと述べています。やはり、ポエルニッチアという1種に対応する属名をすでに確立した学名であるアストロロバ属に対応させることは、不必要な混乱と不確実性を生じるとしています。
植物の学名はある程度は見直されており、チェックを受けています。最新のチェックでは、アストロロバ属は1995年の『World Checklist of Seed Plants』により承認されており、ポエルニッチア属は2011年の『World checklist of selected plant families published update Facilitated』によりアストロロバ属の同義語であるとしています。今後もこのように見直しは行われますから、著者の意見が認められるのか、それともアストロロバ属が消滅するのか、大変気になるところです。私も注視しついきたいと思っています。



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ツリスタ属は2016年に認められた、割と新しい分類群です。遺伝子解析の結果からは、ツリスタ属はアストロロバ属やアロエ属から別れたアリスタロエ属・ゴニアロエ属と近縁である事がわかりました。さらに、ガステリア属やハウォルチオプシス属も近縁で、ここら辺も含めと私は好きでチマチマ集めています。そんな中でもツリスタ属は4種類と少なく、産地ごとの個体差が大きくコレクションする楽しみがあります。
本日は今年の五反田TOCで開催された春のサボテン・多肉植物のビッグバザールで入手したプミラの変種オウクワエについてです。


DSC_1759
Tulista pumila(ohkuwai) GM 602
Vrede, NW of Anysberg
非常にイボ(結節)が発達しているタイプです。プミラ系の最優美種です。ラベルにはohkuwaiとありますが、正確にはohkuwaeですね。


学名の後の"GM602"は採取情報がわかるフィールド・ナンバーというもので、「採取人+採取番号」の組み合わせからなっています。早速調べてみました。

Field number : GM 602
Collector : Gregorz Matuszewski
Species : Mammillaria meiacantha
Locality : Mexico, Coahuilauila
                          (Huachichil, 2050m)
Date : 2002

なんと、サボテンの情報が出て来てしまいました。ちなみに、"GM 602.1"と"GM 602.2"もありますが、やはり情報はサボテンでした。ただし、採取人のGregorz Matuszewskiは主に北米で活動しているみたいですから、南アフリカ原産のツリスタの採取人としては違和感があります。
とりあえず、"GM"と"Haworthia"で調べると新たな情報が出てきました。

Field number : GM 408
Collecter : J. Gerhard Marx
Species : Haworthia pumila
Locality : Western Cape, South Africa

もちろん、これは"GM 602"の情報ではありませんが、単に「GM」と言った場合にはGregorz Matuszewskiの場合とJ. Gerhard Marxの場合がある事がわかりました。残念ながら"GM 602"の情報は見つかりませんでした。まあ、単純に探し方が悪いだけという可能性もあります。しかし、そもそもフィールド・ナンバーを検索できるサイトは、フィールド・ナンバーを収集しているだけで、すべてのフィールド・ナンバーが登録されているわけではありません。普通に見つからないこともあります。
また、このフィールド・ナンバーからは、他の情報も読み取れます。植物の学名が"Haworthia pumila"となっていますね。当然ながら現在では"Tulista pumila"です。間違っているようにも思えますが、フィールド・ナンバーは採取時点での学名で登録されますから、これで問題ありません。むしろ、学名が変わる度に登録情報を訂正するのは、あまりにも大変です。


さて、では後半の"Vrede, NW of Anythberg"を調べてみましょう。Anythbergは南アフリカ南西部にある地名です。NWはNorth Westですから、Anythbergの町から北西部が採取地名です。北西部にはAnythberg国自然公園がありますが、Vredeは良くわかりません。

さて、ではGM 602を採取したJ. Gerhard Marxとは何者なのでしょうか? 調べてみると、どうやら南アフリカの芸術家とのことです。しかも、ハウォルチアのコレクターで、原産地に自生するハウォルチアの美しい図版を書いています。Gerhard Marxの作出した交配種もあるようです。また、Euphorbia suppressa MarxやEuphorbia audissoui Marxの命名者としても知られています。

さて、ツリスタ属ははじめて命名された時はアロエ属で、やがてハウォルチア属が創設されるとそちらに移り、最終的にツリスタ属となった経緯がありますから、学名(異名)は最低でも3つはあることになります。しかし、産地による個体差が激しいこともあり、それらを別種として命名したりしたこともあり、沢山の異名が付けられてきました。
先ずはプミラの来歴を見てみましょう。これは、変種を含んだプミラ全体の学名です。やはり、アロエ→ハウォルチア→ツリスタという経緯です。しかし、アピクラ属とする意見もありましたが、このアピクラ属は現在は存在しない属名です。また、Aloe arachnoidesの変種とする意見もありましたが、これは現在のHaworthia arachnoideaのことです。また、マキシマという種小名が出てきますが、プミラをマキシマと呼ぶことが結構あります。しかし、マキシマの初命名はプミラの命名の51年後です。学名は先に命名された種小名が優先されるルールですから、当然ながらマキシマは認められません。

1753年 Aloe pumila L.
1789年 Aloe arachnoides var. pumila (L.) Aiton
1804年 Aloe margaritifera var. maxima Haw.
1809年 Haworthia pumila (L.) Duval
              Haworthia maxima (Haw.) Duval
1821年 Apicra maxima (Haw.) Steud.
2013年 Tulista pumila (L.) G.D.Rowley

いよいよ、変種オウクワエの登場です。2016年にHaworthia sparsaとHaworthia ohkuwaeが、プミラの変種とされました。これにより、変種スパルサ、変種オウクワエ、変種プミラが誕生しました。変種プミラは変種スパルサと変種オウクワエが出来たことにより、その2変種と区別するために出来た名前です。これはプミラに限らず、変種が出来ると自動的に区別するための変種が出来る決まりとなっています。
先ずは基調種である変種プミラの来歴を見てみましょう。いや、先程プミラの学名は見たじゃないかと思われるかもしれませんが、3変種を含んだプミラ全体に対する学名でした。変種プミラは他の変種を含まないため、Tulista pumilaとTulista pumila var. pumilaは同じではないということです。変種プミラの異名は私が確認しただけで23もありました。さすがにすべて書くのも意味がなさそうですから、代表的な異名であるマルガリティフェラ系のみの来歴を見てみましょう。
1840年にはツリスタ属を提唱した
Constantine Samuel Rafinesqueの名前が見えます。この時、ツリスタ属は認められませんでしたが、2013年にGordon Dougles Rowleyがツリスタ属を復活させました。また、この他にも、semimargaritifera系、granata系、semiglabrata系、subalbicans系、papillosa系、corallina系が存在しました。

1753年 Aloe pumila var. margaritifera L.
1768年 Aloe margaritifera (L.) Burm.f.
1811年 Apicra margaritifera (L.) Willd.
1819年 Haworthia margaritifera (L.) Haw.
1840年 Tulista margaritifera (L.) Raf.
1891年 Catevala margaritifera (L.) Kuntze

変種スパルサと変種オウクワエの学名は、最初はハウォルチア属の独立種でしたが、やがてツリスタ属となりプミラの変種とされました。

2006年 Haworthia sparsa M.Hayashi
              Haworthia ohkuwae M.Hayashi
2016年 Tulista pumila var. sparsa
                             (M.Hayashi) Breuer
              Tulista pumila var. ohkuwae
                             (M.Hayashi) Breuer

そう言えば、入手時の名札には"Tulista ohkuwai"とありました。オウクワ"エ"ではなく、オウクワ"イ"です。ネットで検索しても、販売されているものはオウクワイが多いようです。これは、種小名が人名から来ていた場合、語尾が男性なら「-i」、女性なら「-ae」をつけるためです。しかし、人名の末尾が「-a」で終わる場合は、男女関係なく「-e」をつけることになっているため、"ohkuwai"は間違いで"ohkuwae"が正しい学名となります。



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昨日に続いて、ハウォルチオプシス属の学名と異名の紹介です。

⑭Haworthiopsis scabra
                (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia scabra Haw., 1819
→Aloe scabra (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala scabra (Haw.) Kuntze, 1891

変種スカブラ
Haworthiopsis scabra var. scabra

異名
Haworthia tuberculata Poelln., 1931
→Haworthia scabra var. tuberculata
                              (Poelln.) Halda, 1997
Haworthia scabra var. johanii M.Hayashi, 2001
→Haworthia johanii (M.Hayashi) Breuer, 2010
→Haworthiopsis scabra var. johanii
                                     (M.Hayashi) Breuer, 2016

変種モリシアエ
Haworthiopsis scabra var. morrisiae
                        (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia morrisiae Poelln., 1937
→Haworthia scabra var. morrisiae
                   (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

変種スタルキアナ
Haworthiopsis scabra var. starkiana
                       (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia starkiana Poelln., 1933
→Haworthia scabra subsp. starkiana
                        (Poelln.) Halda, 1997
→Haworthia scabra var. starkiana
                 (Poelln.) M.B.Bayer, 1999

変種ラテガニアエ
Haworthiopsis lateganiae
                     (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia lateganiae Poelln., 1937
→Haworthia starkiana var. lateganiae
                 (Poelln.) M.B.Bayer, 1976
→Haworthia scabra var. lateganiae
                 (Poelln.) M.B.Bayer, 1999

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Haworthiopsis scabra

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Haworthiopsis scabra var. starkiana

⑮Haworthiopsis sordida
                  (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia sordida Haw., 1821
→Aloe sordida (Haw.)
              Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala sordida (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthia scabra var. sordida
                                    (Haw.) Halda, 1997
→Haworthia scabra subsp. sordida
                                    (Haw.) Halda, 1997

変種ソルディダ
Haworthiopsis sordida var. sordida
異名
Haworthia agavoides
                  Zantner & Poelln., 1938
→Haworthiopsis sordida var. agavoides
   (Zantner & Poelln.) Breuer, 2016

変種ラブラニ
Haworthiopsis sordida var. lavrani
                   (C.L.Scott) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia sordida var. lavrani
                                   C.L.Scott, 1981
→Haworthia scabra var. lavrani
                    (C.L.Scott) Halda, 1997
→Haworthia lavrani
              (C.L.Scott) Breuer, 2010

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Haworthiopsis sordida

⑯Haworthiopsis tessellata
                   (Haw.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia tessellata Haw., 1824
→Aloe tessellata
         (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala tessellata (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthia venosa subsp. tessellata
                                 (Haw.) M.B.Bayer, 1982
→Haworthia venosa var. tessellata
                                        (Haw.) Halda, 1997

変種テセラタ
Haworthiopsis tessellata var. tessellata

異名
Haworthia engleri Dinter, 1914
Haworthia parva Haw., 1824
→Aloe parva (Haw.)
               Schult. & Schult.f., 1829
Haworthia pseudotessellata Poelln., 1929
Haworthia pseudogranulata Poelln., 1937
Haworthia minutissima Poelln., 1939
Haworthia tessellata var. coriacea
                              Resende & Poelln., 1942
Haworthia coriacea
               (Resende & Poelln.) Breuer, 2010

変種クロウシイ
Haworthiopsis tessellata var. crousii
        (M.Hayashi) Gildenh. & Klopper,2016
異名
Haworthia crousii M.Hayashi, 2001


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Haworthiopsis tessellata

⑰Haworthiopsis venosa
               (Lam.) G.D.Rowley, 2013
異名
Aloe venosa lam., 1783
→Haworthia venosa (Lam.) Haw., 1821
→Catevala venosa (Lam.) Kuntze, 1891
Aloe recurva Haw., 1804
→Apicra recurva (Haw.) Willd., 1811
→Haworthia venosa subsp. recurva
                            (Haw.) M.B.Bayer, 1976
→Haworthia recurva (Willd.) Haw., 1812 
→Catevala recurva (Willd.) Kuntze, 1891
Aloe tricolor Haw., 1804
→Apicra tricolor (Haw.) Willd., 1811
Aloe anomala Haw., 1804
→Apicra anomala (Haw.) Willd., 1811
Haworthia distincta N.E.Br., 1876

⑱Haworthiopsis viscosa
         (L.) Gildenh. & Klopper, 2016

異名
Aloe viscosa L., 1753
→Apicra viscosa (L.) Willd., 1811
→Haworthia viscosa (L.) Haw., 1812
→Catevala viscosa (L.) Kuntze, 1891
→Tulista viscosa (L.) G.D.Rowley, 2013
Aloe triangularis Lam., 1783

変種ヴィスコサ
Haworthiopsis viscosa var. viscosa

異名
Aloe triangularis Medik., 1784
Aloe rigida Ker Gawl., 1810
Apicra tortuosa Willd. 1811
Aloe pseudotortuosa Salm-Dyck, 1817
Haworthia pseudotortuosa Haw., 1819
Haworthia asperiuscula Haw., 1819
→Aloe asperiuscula
              (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala asperiuscula
                        (Haw.) Kuntze, 1891

→Haworthia viscosa f. asperiuscula
                         (Haw.) Pilbeam, 1983
→Haworthiopsis viscosa
                        var. asperiuscula

                            (Haw.) Breuer, 2016
Haworthia concinna Haw., 1819
→Aloe concinna
            (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Haworthia cordifolia Haw., 1819
→Aloe cordifolia
          (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala cordifolia (Haw.) Kuntze, 1891
Haworthia indurata Haw., 1821
→Aloe indurata
       (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Haworthia torquata Haw., 1826 publ. 1827
→Aloe torquata 
       (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
Aloe subtortuosa
               Schult. & Schult.f., 1829
Haworthia tortuosa Sweet, 1830
Haworthia beanii G.G.Sm., 1944
→Aloe viscosa f. beanii
                        (G.G.Sm.) Pilbeam, 1983
→Haworthiopsis viscosa var. beanii
                           (G.G.Sm.) Breuer, 2016
Haworthia viscosa f. subobtusa
                          (Poelln.) Pilbeam, 1983
Haworthia viscosa subsp. derekii-clarkii
                                              Halda, 1998


変種ヴァリアビリス
Haworthiopsis viscosa var. variabilis
          (Breuer) Gildenh. & Klopper, 2016

異名
Haworthia viscosa var. variabilis
                                         Breuer, 2003
→Haworthia variabilis
                         (Breuer) Breuer, 2010
→Haworthiopsis variabilis
                          (Breuer) Zonn., 2014


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Haworthiopsis viscosa

⑲Haworthiopsis woolleyi
              (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia woolleyi Poelln., 1937
→Haworthia venosa subsp. woolleyi
                     (Poelln.) Halda, 1997
→Haworthiopsis venosa var. woolleyi
                    (Poelln.) Breuer, 2016

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Haworthiopsis woolleyi

以上がハウォルチオプシス属、全19種類です。異名が多いのは属名が変わったからだけではなく、同種に異なる学名がつけられたことが原因の1つです。それは、産地ごとの外見的な違いを別種と判断したこともあるのしょう。ただし、それが遺伝的に異なるとは限らず、環境が厳しいので育ちが悪いだけだったりもしますから、間違いも起こりやすくなります。また、記事を読んでいただけたならお分かりの様に、活発に命名されたのが1800年代と古いことがわかります。当然ながら現在と異なりネットで情報をやり取り出来ません。ですから、情報収集も不完全で遅くなります。例えば、イギリスの雑誌に発表された論文が、フランスやドイツ、アメリカに届くまでタイムラグがあります。しかも、紙の出版物ですから、世界中の学術誌をすべて収集は困難ですから、すべての論文を確認して命名することもまた困難となります。これらのことから、当時からあったであろう混乱が現在にまで及んでいたりします。非常に困った問題です。



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昨日に続いて、ハウォルチオプシス属の学名と異名の紹介です。

⑤Haworthiopsis glauca
              (Baker) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia glauca Baker, 1880
→Catevala glauca (Baker) Kuntze, 1891
→Haworthia reinwardtii var. glauca
                                   (Baker) Halda, 1997
→Haworthia reinwardtii subsp. glauca
                                   (Baker) Halda, 1997

変種グラウカ
Haworthiopsis glauca var. glauca
異名
Haworthia carrissoi Resende, 1941

変種ヘレイ
Haworthiopsis glauca var. herrei
                        (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia herrei Poelln., 1929

→Haworthia glauca var. herrei
                          (Poelln.) M.B.Bayer, 1976
→Haworthia reinwardtii var. herrei
                                 (Poelln.) Halda, 1997
Haworthia armstrongii Poelln., 1937
→Haworthia glauca f. armstrongii
                          (Poelln.) M.B.Bayer, 1976
Haworthia jacobseniana Poelln., 1937
→Haworthia glauca f. jacobseniana
                              (Poelln.) Pilbeam, 1983
Haworthia jonesiane Poelln., 1937
→Haworthia glauca f. jonesiane
                              (Poelln.) Pilbeam, 1983
Haworthia eiyae Poelln., 1937

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Haworthiopsis glauca var. herrei

⑥Haworthiopsis granulata
           (Marloth) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia granulata Marloth, 1912
→Haworthia venosa subsp. granulata
                     (Marloth) M.B.Bayer, 1976
→Haworthia scabra subsp. granulata
                             (Marloth) Halda, 1997

変種スコエマニイ
Haworthiopsis granulata var. schoemanii
                      (M.Hayashi) Breuer, 2016
異名
Haworthia schoemanii M.Hayashi, 2003

⑦Haworthiopsis henriquesii (Resende)
         Gideon F.Sm. & Vasco Silva, 2019

異名
Haworthia henriquesii Resende, 1941


⑧Haworthiopsis koelmaniorum
                        (Oberm. & D.S.Hardy)
                Boatwr. & J.C.Manning, 2014
異名
Haworthia koelmaniorum
                              Oberm. & D.S.Hardy, 1976
→Haworthia limifolia var. koelmaniorum
                (Oberm. & D.S.Hardy) Halda, 1997
→Tulista koelmaniorum
       (Oberm. & D.S.Hardy) G.D.Rowley, 2013

変種ムクムルトリイ
Haworthiopsis koelmaniorum
                   var. mucmurtryi
               (C.L.Scott) Gildenh. & Klopper, 2016

異名
Haworthia mucmurtryi C.L.Scott, 1984
→Haworthia koelmaniorum var. mucmurtryi
                (C.L.Scott) G.D.Rowley, 1999
→Tulista koelmaniorum var. mucmurtryi
                (C.L.Scott) G.D.Rowley, 2013
→Haworthiopsis mucmurtryi
                           (C.L.Scott) Zonn, 2014

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Haworthiopsis koelmaniorum

⑨Haworthiopsis limifolia
           (Marloth) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia limifolia Marloth, 1910


変種リミフォリア
Haworthiopsis limifolia var. limifolia

異名
Haworthia marlothiana Resende, 1940
Haworthia limifolia var. striata
                  Pilbeam, unknown publication
→Haworthiopsis limifolia var. striata
                               (Pilbeam) Breuer, 2016

変種ウボンボエンシス
Haworthiopsis limifolia var. ubomboensis
                           (I.Verd.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia ubomboensis I.Verd., 1941
Haworthia keithii
                  (G.G.Sm.) M.Hayashi, 2000

変種ギガンテア
Haworthiopsis limifolia var. gigantea
                (M.B.Bayer) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia limifolia var. gigantea
                                      M.B.Bayer, 1962
→Haworthia gigantea
               (M.B.Bayer) M.Hayashi, 2000

変種グラウコフィラ
Haworthiopsis limifolia var. glaucophylla
                            (M.B.Bayer) Breuer, 2010
異名
Haworthia limifolia var. glaucophylla
                                            M.B.Bayer, 2003
→Haworthia glaucophylla
                             (M.B.Bayer) Breuer, 2010

変種アルカナ
Haworthiopsis limifolia var. arcana
            (Gideon F.Sm. & N.R.Crouch)
                                 G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia limifolia var. arcana
           Gideon F.Sm. & N.R.Crouch, 2001
→Haworthia arcana
       (Gideon F.Sm. & N.R.Crouch)
                                     Breuer, 2013


⑩Haworthiopsis longiana
                 (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia longiana Poelln., 1937

→Haworthia pumila subsp. longiana
                                   (Poelln.) Halda, 1997

⑪Haworthiopsis nigra
                   (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Apicra nigra Haw., 1824
→Aloe nigra (Haw.)
               Schult. & Schult.f., 1829 
→Haworthia nigra (Haw.) Baker, 1880
→Catevala nigra (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthia venosa subsp. nigra
                                (Haw.) Halda, 1997
→Haworthia viscosa subsp. nigra
                                (Haw.) Halda, 1998

変種ニグラ
Haworthia nigra var. nigra
異名
Haworthia schmidtiana Poelln., 1929
→Haworthia schmidtiana
              var. elongata Poelln., 1938
→Haworthiopsis nigra var. elongata
                    (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
Haworthia ryneveldii Poelln., 1939
Haworthia nigra f. angustata
                         (Poelln.) Pilbeam, 1983

変種ディヴェルシフォリア
Haworthiopsis nigra var. diversifolia
                   (Poelln.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia diversifolia Poelln., 1937

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Haworthiopsis nigra

⑫Haworthiopsis pungens
                   (M.B.Bayer)
       Boatwr. & J.C.Manning, 2014
異名
Haworthia pungens M.B.Bayer, 1999
Tulista pungens (M.B.Bayer)
                           G.D.Rowley, 2013

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Haworthiopsis pungens

⑬Haworthiopsis reinwardtii
      (Salm-Dyck) G.D.Rowley, 2013
異名
Aloe reinwardtii Salm-Dyck, 1821
→Haworthia reinwardtii
                (Salm-Dyck) Haw., 1821
→Catevala reinwardtii
             (Salm-Dyck) Kuntze, 1891

変種レインワルドティイ
Haworthiopsis reinwardtii var. reinwardtii
異名
Haworthia reinwardtii var. zebrina
                                      G.G.Sm., 1944
→Haworthia reinwardtii f. zebrina
                 (G.G.Sm.) M.B.Bayer, 1977

変種ブレビクラ
Haworthiopsis reinwardtii var. brevicula
                       (G.G.Sm.) G.D.Rowley, 2013
異名
Haworthia reinwardtii var. brevicula
                                         G.G.Sm., 1944
→Haworthia brevicula
                         (G.G.Sm.) Breuer, 2010

品種オリバケア
Haworthiopsis reinwardtii f. oliviacea
            (G.G.Sm.) Gildenh. & Klopper, 2016
異名
Haworthia reinwardtii var. oliviacea
                                          G.G.Sm., 1944
→Haworthia reinwardtii f. oliviacea
                                       M.B.Bayer, 1976
→Haworthia oliviacea
                        (G.G.Sm.) Breuer, 2010
→Haworthiopsis reinwardtii var. oliviacea
                            (G.G.Sm.) Breuer, 2019

品種カルムネンシス
Haworthiopsis reinwardtii f. chalumnensis
        (G.G.Sm.) Gildenh. & Klopper, 2016
異名
Haworthia reinwardtii var. chalumnensis
                               G.G.Sm., 1943
→Haworthia reinwardtii f. chalumnensis
          (G.G.Sm.) M.B.Bayer, 1976

品種カフィルドリフテンシス
Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis
         (G.G.Sm.) Gildenh. & Klopper, 2016  
異名
Haworthia reinwardtii var. kaffirdriftensis
                               G.G.Sm., 1941
→Haworthia reinwardtii f. kaffirdriftensis
         (G.G.Sm.) M.B.Bayer, 1976

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Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis

本日はここまで。異名が非常に多いため、どうしても記事が長くなってしまいます。明日に続きます。


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多肉植物は沢山の種類があり、様々な分類群に所属します。そのため、多肉植物の種類は何種類あるのか、膨大過ぎてよく分かりません。しかし、1つのグループ=属レベルならば、調べることも可能です。
というわけで、私は今までオペルクリカリア属(Operculicarya)やダシリリオン属(Dasylirion)、フォウクィエリア属(Fouquieria)、アストロロバ属(Astroloba)について、果たして何種類あるのかを記事にしてきました。最近、ハウォルチオプシス属(Haworthiopsis)について書かれた論文を読んでいたところ、硬葉系ハウォルチアと呼ばれていたハウォルチオプシス属は18種類と書かれていました。その程度の種類なら調べられますし、論文が書かれた2016年から6年経って種類数は変わったのか興味があります。ということで、果たしてハウォルチオプシス属は何種類あるのかを、記事にしてみました。

先ずは、ハウォルチオプシス属が誕生するまでの経緯を見てみましょう。
スウェーデンのCarl von Linneによって現在使われる二名式学名というシステムが作られたのが、1753年のことでした。このときはハウォルチオプシス属はまだ存在せずに、最初はアロエ属でした。その後、1809年にフランスのHenri August Duvalによりハウォルチア属が創設され、ハウォルチオプシス属もハウォルチア属とされました。日本ではあくまで園芸上での話ですが、ハウォルチア属を軟葉系と硬葉系に分けています。軟葉系は現在のハウォルチア属で、硬葉系は現在のハウォルチオプシス属とツリスタ属に相当します。
ちなみに、1786年にドイツのFriedrich Kasimir Medikusにより創設されたカテバラ属、1811年にドイツのCarl Ludwig Willdenowにより創設されたアピクラ属という属もありましたが、アロエ属やハウォルチオプシス属の一部からなるグループでしたが、現在では存在しない属名です。
1840年にオスマン帝国生まれでアメリカで活動した
Constantine Samuel Rafinesqueがツリスタ属を提唱しましたが認められませんでした。しかし、2013年にイギリスのGordon Douglas Rowleyはハウォルチア属を解体し3属に分けました。解体されたハウォルチア属は、ハウォルチア属、ハウォルチオプシス属、ツリスタ属となり、忘れ去られていたツリスタ属は79年の年月を経てついに日の目を見ました。このとき、ツリスタ属にはアストロロバ属やハウォルチア属の一部も含まれていたので、ハウォルチオプシス属はツリスタ属とされた異名を持つ種類も存在します。現在ではツリスタ属は4種類まで減少し、含まれていたハウォルチア属はハウォルチオプシス属とされました。この時、ツリスタ属からハウォルチオプシス属への移動は、南アフリカのJames Boatwright & John C. Manningや、同じく南アフリカのSean D. Gildenhuys & Ronell R. Klopperによるものです。この南アフリカの研究者たちは、遺伝子解析という新しい武器により、次々と新しい見解を公表しており目が離せません。

ハウォルチオプシス属の経緯
1753年 Aloe L.
1786年 Catevala Medik.
1809年 Haworthia Duval
1811年 Apicra Willd.
1840年 Tulista Raf.
2013年 Haworthiopsis G.D.Rowley

それでは、いよいよハウォルチオプシス属の種類を見ていきます。最初に言ってしまうと、現在学術的に認められているハウォルチオプシス属は19種です。最新の情報では、Haworthia henriquesiiが2019年にハウォルチオプシス属とされました。これからも、ハウォルチオプシス属は増える可能性はあるのでしょうか?
また、異名もすべてを網羅できているのかは分かりませんが、できただけ盛り込みました。あと、変種に対する異名も調べました。異名が多い種類では、場合によっては異名で流通している種もあるでしょうから、自分の育てているハウォルチオプシスは正式な学名か見比べて見ると異なるかもしれません。また、学名は変更されてきた経緯からわかります通り不変のものではなく、常に見直され改定を受けるものです。この記事の一覧も、やがて古くなり通じなくなるのでしょう。


①Haworthiopsis attenuata
                     (Haw.) G.D.Rowley, 2013
異名
Aloe attenuata Haw., 1804
→Apicra attenuata (Haw.) Willd., 1811
→Haworthia attenuata (Haw.) Haw., 1812
→Catevala attenuata (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthiopsis attenuata (Haw.) 1997


変種アテヌアタ
Haworthiopsis attenuata var. attenuata

異名
Aloe redula Ker Gawl., 1807
Aloe subulata Salm-Dyck, 1822
→Haworthia subulata (Salm-Dyck) Baker, 1880
→Catevala subulata (Salm-Dyck) Kuntze, 1891
Haworthia clariperla Haw., 1827 publ. 1828
→Haworthia attenuata f. clariperla
                        (Haw.) M.B.Bayer, 1976
Aloe clariperla Schult. & Schult.f., 1829
Aloe subattenuata
        Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f., 1830
→Haworthia subattenuata
(
Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f.) Baker, 1880
→Catevala 
subattenuata
(Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f.) Kuntze, 1891
Haworthia tisleyi Baker, 1880
→Catevala tisleyi (Baker) Kuntze, 1891
Haworthia argyrostigma Baker, 1896
Haworthia britteniana Poelln., 1937
Haworthia attenuata f. caespitosa
                  (A.Berger) Pilbeam, 1983

変種グラブラタ
Haworthiopsis attenuata var. glabrata
                (Salm-Dyck) G.D.Rowley, 2015

異名
Aloe glabrata Salm-Dyck, 1834
→Haworthia glabrata
                       (Salm-Dyck) Baker, 1880
→Catevala glabrata (Salm-Dyck) Kuntze, 1891
→Haworthia attenuata var. glabrata
               (Salm-Dyck) M.B.Bayer, 2012
Aloe redula Jacq., 1804
→Apicra redula (Jacq.) Willd., 1811
→Haworthia redula (Jacq.) Haw., 1812
→Catevala redula (Jacq.) Kuntze, 1891
→Haworthia pumila subsp. redula
                                  (Jacq.) Halda, 1997
→Haworthia attenuata var. redula
                          (Jacq.) M.B.Bayer, 1999
→Haworthia attenuata var. redula
                         (Jacq.) G.D.Rowley, 2015
Aloe rugosa Salm-Dyck, 1834
→Haworthia rugosa (Salm-Dyck) Baker, 1880
→Catevala rugosa (Salm-Dyck) Kuntze, 1891

DSC_1547
Haworthiopsis attenuata

②Haworthiopsis bruynsii
          (M.B.Bayer) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia bruynsii M.B.Bayer, 1981
→Haworthia retusa var. bruynsii
                    (M.B.Bayer) Halda, 1997


③Haworthiopsis coarctata
                     (Haw.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia coarctata Haw., 1824
→Aloe coarctata
                     (Haw.) Schult. & Schult.f., 1829
→Catevala coarctata (Haw.) Kuntze, 1891
→Haworthia reinwardtii var. coarctata
                                           (Haw.) Halda, 1997
→Haworthia reinwardtii subsp. coarctata
                                           (Haw.) Halda, 1997
→Haworthiopsis reinwardtii var. coarctata
                                           (Haw.) Breuer, 2016

変種コアルクタタ
Haworthiopsis coarctata var. coarctata
異名
Haworthia greenii Baker, 1880
→Catevala greenii (Baker) Kuntze, 1891
→Haworthia coarctata var. greenii
                                  (Baker) M.B.Bayer, 1973
→Haworthia coarctata f. greenii
                                  (Baker) M.B.Bayer, 1999
→Haworthia reinwardtii var. greenii
                                          (Baker) Halda, 1997
→Haworthiopsis reinwardtii var. greenii
                                         (Baker) Breuer, 2016
Haworthia peacockii Baker, 1880
→Catevala peacockii (Baker) Kuntze, 1891
Haworthia chalwinii Marloth & A.Berger, 1906
→Haworthia coarctata f. chalwinii
               (Marloth & A.Berger) Pilbeam, 1983
Haworthia fallax Poelln., 1932
Apicra bicarinata Resende, 1937
Haworthia resendeana Poelln., 1938
→Haworthiopsis resendeana
                   (Poelln.) Gildenh. & Klopper, 2016
Haworthia fulva G.G.Sm., 1943
Haworthia baccata G.G.Sm., 1944
Haworthia musculina G.G.Sm., 1948
Haworthia coarctatoides
                                 Resende & Viveiros,1948
Haworthia coarctata f. conspicua
                        (Poelln.) Pilbeam, 1983 

変種テヌイス
Haworthiopsis coarctata var. tenuis
                        (G.G.Sm.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia reinwardtii var. tenuis
                                              G.G.Sm., 1948
Haworthia coarctata var. tenuis
                         (G.G.Sm.) M.B.Bayer, 1973
Haworthia tenuis (G.G.Sm.) Breuer, 2010
Haworthia reinwardtii var. tenuis
                                (G.G.Sm.) Breuer, 2016

変種アデライデンシス
Haworthiopsis coarctata var. adelaidensis
                           (Poelln.) G.D.Rowley, 2013

異名
Haworthia reinwardtii var. adelaidensis
                                                     Poelln., 1940
→Haworthia coarctata subsp. adelaidensis
                               (Poelln.) M.B.Bayer, 1973
→Haworthia coarctata f. bellula
                                (G.G.Sm.) Pilbeam, 1983
→Haworthia coarctata var. adelaidensis
                               (Poelln.) M.B.Bayer, 1999
→Haworthia adelaidensis
                                     (Poelln.) Breuer, 2010

DSC_1798
Haworthiopsis coarctata

④Haworthiopsis fasciata
                    (Willd.) G.D.Rowley, 2013

異名
Apicra fasciata Willd., 1811
→Haworthia fasciata (Willd.) Haw., 1821
→Aloe fasciata (Willd.)
     Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f., 1830
→Catevala fasciata (Willd.) Kuntze, 1891
→Haworthia pumila subsp. fasciata
                                      (Willd.) Halda, 1997

変種ファスキアタ
Haworthiopsis fasciata var. fasciata

異名
Aloe subfasciata
      Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f., 1830
→Haworthia subfasciata
(Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f.) Baker, 1880
→Catevala 
subfasciata
(Salm-Dyck ex Schult. & Schult.f.) Kuntze, 1891

変種ブロウニアナ
Haworthiopsis fasciata var. browniana
                (Poelln.) Gildenh. & Klopper, 2016

異名
Haworthia browniana Poelln., 1937
Haworthia fasciata f. browniana
                 (Poelln.) M.B.Bayer, 1976

DSC_1544
Haworthiopsis fasciata

どうやら記事が長過ぎるようで、文字入力時に変なタイムラグが発生するため記事を分割します。というわけで、続きます。しかし、異名が多い…



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逆鱗竜は南アフリカ原産の非常に丈夫なユーフォルビアです。ただし、引き締まった美しい姿を維持するのは中々困難なように思えます。
逆鱗竜はとにかく生長が早く、冬でも日中暖かいと生長を始めてしまいます。しかし、冬は日照が不足勝ちなので、節が伸びたようなだらしない姿になってしまいます。それだけならいいのですが、日照の多い真夏でも徒長してしまうので困っています。
一応、ホリダと同じように育てていますから、割と厳しめなはずなんですけどね。

DSC_1708
逆鱗竜の実生苗。こちらは真夏に徒長してしまいました。
幹の下部と比べて上部の鱗片が縦長になっています。無遮光で雨に当てない栽培ですが、週1回の水やりでもこうなってしまいました。それこそ、用土が完全に乾いたらではなく、限界まで水をやらない方がいいのかもしれません。


逆鱗竜の学名は1804年に命名されたEuphorbia clandestina Jacq.です。
分類学的には、ユーフォルビア属(Euphorbia)、アティマルス亜属(Subgenus Athymalus)、アンタカンタ節(Section Anthacanthae)、フロリスピナ亜節(Subsection Florispinae)、トレイシア列(Series Treisia)ということになります。トレイシア列と言えば、逆鱗竜
に良く似たE. bubalina(昭和キリン)、E. pubiplans、E. clava(式部)などが含まれます。

フロリスピナ亜節の分子系統(抜粋)
    ┏━━━━━━━━Series Meleuphorbia
    ┃
    ┃        ┏━━━━━E. pillansii
    ┃    ┏┫
    ┃    ┃┗━━━━━E. pseudoglobosa 2
    ┃┏┫
    ┃┃┃┏━━━━━E. pseudoglobosa 1
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗━━━━━E. mammillaris 2
    ┃┃
    ┣┫    ┏━━━━━E. heptagona 2
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━━E. heptagona 1
    ┃┣┫
┏┫┃┗━━━━━━E. susannae
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━━━E. clandestina
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━━E. pubiglans
┃┃
┃┃┏━━━━━━━E. bubalina 2
┃┃┃
┃┣╋━━━━━━━E. bubalina 1
┃┃┃
┃┃┗━━━━━━━E. clava
┃┃
┃┗━━━━━━━━Series Rhizanthium

┗━━━━━━━━━Series Hystrix

メレウフォルビア列(Series Meleuphorbia)とされた、E. heptagona(紅彩閣)、E. susannae(瑠璃晃)、E. pillansii、E. pseudoglobosa(稚児キリン)も分子系統では近縁であるように見えます。とても不思議です。



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パキポディウムには沢山の種類がありますが、その中でもロスラツム系は亜種が沢山あり一大グループを形成します。そんなロスラツム系の中でも亜種グラキリウスが人気で、現地球が盛んに輸入されています。最近では亜種カクチペスの実生苗も大型園芸店では、まれに販売されるようになりました。多肉植物の即売会に行けば亜種マカイエンセも入手は可能です。しかし、ロスラツムそのものである亜種ロスラツムは何故か話題に挙がりません。不思議です。まあ、単に流行りではないというだけかもしれませんけど。まあ、そんなロスラツムを入手した事もあり、とにかくそんなロスラツムについて少し調べてみました。

DSC_1718
Pachypodium rosulatum subsp. rosulatum

DSC_1719
やや縦長に育ちます。
ロスラツムの学名は1882年に命名されたPachypodium rosulatum Bakerです。マダガスカルのパキポディウムでは、一番早くに命名されました。

ロスラツムには亜種があります。
①カクチペスは1895年にPachypodium cactipes K.Schum.と命名されましたが、2004年にはロスラツム亜種のPachypodium rosulatum subsp. cactipes (K.Schum.) Lüthyとなりました。
②マカイエンセは2004年にPachypodium makayense Lavranosと命名されましたが、同年にロスラツム亜種のPachypodium rosulatum subsp. makayense (Lavranos) Lüthyとされました。
③グラキリウスは1934年にPachypodium rosulatum var. gracilius H.Perrierと命名されましたが、1999年にはPachypodium gracilius (H.Perrier) Rapan.、2004年にはPachypodium rosulatum subsp. gracilius (H.Perrier) Lüthyとされました。
④ビカラーは1997年にPachypodium bicolor Lavranos & Rapanarivoと命名されましたが、2004年にPachypodium rosulatum subsp. bicolor (Lavranos & Rapanarivo) Lüthyとされました。
⑤ベマラヘンセは2004年に命名されたPachypodium rosulatum subsp. bemarahense Lüthy & Lavranosです。

DSC_1581
Pachypodium rosulatum subsp. cactipes

DSC_1574
Pachypodium rosulatum subsp. makayense

また、ロスラツム変種ドラケイは、1907年にPachypodium drakei Costantin & Bois、1972年(publ. 1973)にはPachypodium rosulatum var. drakei (Costantin & Bois) Margr.とされました。しかし、現在はロスラツムと同種とされています。
DSC_1585
Pachypodium rosulatum var. drakei

また、かつてロスラツムの変種とされたことがあるものの、現在では独立種とされているパキポディウムもあります。
ホロンベンセは1922-1923年(publ. 1924)にPachypodium horombense Poiss.と命名されましたが、1973年にPachypodium rosulatum var. horombense (Poiss.) G.D.Rowleyとする意見もありましたが、現在では認められておりません。
また、イノピナツムは1996年にPachypodium inopinatum Lavranosと命名されましたが、1998年にPachypodium rosulatum var. inopinatum (Lavranos) G.D.Rowleyとする意見もありましたが、現在では認められておりません。


パキポディウム属の分子系統(抜粋)
            ┏━━━P. ebruneum
            ┃
            ┃┏━━P. brevicaule subsp. brevicaule
        ┏╋┫
        ┃┃┗━━P. densiflorum
        ┃┃
        ┃┗━━━P. horombense
        ┃
    ┏┫┏━━━P. inopinatum
    ┃┣┫
    ┃┃┗━━━P. brevicaule subsp. leucoxantum
    ┃┃
    ┃┗━━━━P. rosulatum subsp. bicolor
┏┫
┃┃┏━━━━P. rosulatum subsp. gracilius
┃┣┫
┃┃┗━━━━P. rosulatum subsp. cactipes
┫┃
┃┗━━━━━P. rosulatum subsp. makayense

┃┏━━━━━P. rosulatum subsp. rosulatum
┗┫
    ┗━━━━━P. rosulatum subsp. bemarahense

上の分子系統はロスラツムの近縁種の部分を抜粋し、簡略化したものです。亜種ロスラツムに最も近縁なのは亜種ベマラヘンセです。他のロスラツム亜種は異なる枝にありやや離れます。亜種マカイエンセ、亜種カクチペス、あるいは亜種グラキリウスは、もしかしたら分岐の根元にあるのかも知れず、一概にロスラツム系ではないとは言えないのかもしれません。しかし、素人目には独立種とした方が自然に思えます。さらに、亜種ビカラーに至っては、見てお分かりの通りブレビカウレ(恵比寿笑い)やデンシフロラム(シバの女王の玉櫛)に近縁に見えます。
2004年にLüthyにより、5種のパキポディウムがロスラツムの亜種とされました。それから18年たちました。そろそろ見直す時期に来ているようにも思えますが、どうでしょうかね? 



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フォウクィエリアをぼちぼち集めています。まあ、あまり熱心に探しているわけではなくて、イベントなどで苗があったら買うかもしれないくらいの勢いです。私の好きなユーフォルビアやギムノカリキウム、ハウォルチオプシスといった面々が最優先ですから、まあ後回しですね。あと、何故か私は現地球が少し苦手です。完成された現地球より、苗から育てたいという気持ちがあるからかもしれません。苗は現地球の様な迫力はありませんが、大抵の植物は苗の頃は生長著しいので、日々生長して変化していく様子を見る楽しみがあります。そんな中で、数年前はフォウクィエリアと言えば立派な現地球が売られることが多かったように思われます。しかし、最近では苗も少しずつ見かけます。特にFouquieria digdtiiやFouquieria macdougaliiはある程度は量産されているようで、苗が園芸店にもまれにですが並ぶようになりました。


Fouquieria macdougaliiは一般的には、「マクドガリー」と呼ばれているようです。例によってうるさい事を言いますが、この読み方について少し調べて見ました。私はラテン語読みで「マクドウガリイ」と読みますが、語源にさかのぼる派もいるそうなので、語源も調べて見ました。まあ、見た感じから人名だろうと思いましたがやはりそうで、砂漠植物の研究者であるD.T.MacDougalに対する献名でした。"MacDougal"は「マクドウガル」あるいは「マクドゥーガル」と読むのが一般的らしいので、語源にこだわるなら「マクドウガリー・マクドウガリイ」あるいは「マクドゥーガリー・マクドゥーガリイ」となります。

DSC_1716
Fouquieria macdougalii
葉の形がFouquieria diguetiiと異なり矢じり型で、葉柄が長く伸びます。

マクドウガリイはメキシコのソノラ砂漠に自生します。岩の多い平原や斜面、丘の中腹、溶岩地、メサ(卓状大地)、砂地といった様々な種類の土壌に生えます。
Fouquieriaを現地では"ocotillo"と呼ぶことから、Fouquieria属を"ocotillo family"と称することもあります。マクドウガリイは"Tree ocotillo"と呼ばれ、砂漠の代表的な灌木の一つです。現地ではBursera confusa、Olneya tesota、Cercidium praecox、Cercidium microphyllum、Prosopis velutina 等とともに砂漠の植生の主要構成メンバーなんだそうです。自生地にはサボテンも生えており、Lophocereus schottii、Stenocereus thurberi、Stenocereus alamosensisが見られます。

マクドウガリイの学名は1903年に命名されたFouquieria macdougalii Nashです。Nashはアメリカの植物学者であるGeorge Valentine Nashのことで、ニューヨーク植物園のキュレーターでした。Nashはバハマ、南フロリダ、ハイチで植物の調査を行いました。

そう言えば、フォウクィエリアは真っ赤な非常に目立つ花を咲かせますが、ハチドリによって受粉するそうです。そこで、思い出したのは、南アフリカではガステリアがタイヨウチョウにより受粉するということです。北アメリカとアフリカと大きく離れた場所で、それぞれの土地で花の蜜を主要な餌とすると鳥がいて、それぞれの土地でその鳥に受粉を依存する多肉植物がいるという偶然に驚かされます。フォウクィエリアとガステリア、ハチドリとタイヨウチョウはまったく近縁ではないことも自然の妙を感じさせますね。


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あれは確か2020年のことだったと思いますが、園芸店でたまたま火星人を見かけました。「火星人」とは塊根植物の名前で、本当に火星人が出没したわけではありません。私が見た火星人は、水で膨らむタイプの種まきポットに植えられていて、3cmくらいの鉢に植えられていました。火星人自体はそれほど珍しくありませんが、火星人は巨大に育ちますから、塊根が1cmくらいの小苗は初めてだったので購入しました。まあ、ワンコインだったこともありますが…
まあ、とにかく種まきポットは水はけ等もろもろ良くないので、直ぐに植え替えました。しかし、何故か大量のネジラミが蔓延っており辟易しました。

DSC_0809
今年、植え替えましたが、これは植え替え前。何故か斜めに傾いてます。

DSC_0811
根詰まりの度合いが激しく、鉢を破壊しないと抜くことが出来ませんでした。抜く時に塊根を痛めて乳液が出てしまいました。しかし、塊根が太るのが早い。
あと、ネジラミは根絶していました。


DSC_1707
現在の様子。蔓が暴れていますが、あまり勢いはありません。もう少し遮光強めにした方がいいのでしょうか?

DSC_1706
しかし、火星人の画像を検索すると、塊根の形が縦長に育ったものと、丸く育ったものとがあります。この違いは何が原因でしょうか? 良くわかりません。

火星人はかつてはガガイモ科とされていましたが、現在はキョウチクトウ科に吸収されました。科以下については良くわかりません。NCBI Taxonomy browserでは、Asclepiadoidead、Asclepiadeae、Fockeeaeとされているみたいです。これは、果たしてガガイモ亜科、ガガイモ連、フォッケア(フォクケア)亜連でいいのでしょうか? いまいち自信がありません…
ちなみに、FockeeaeはFockea属とCibirhiza属からなります。

火星人の学名は1895年に命名されたFockea edulis (Thunb.) K.Schum.です。K.Schum.はドイツの植物学者でサボテンの研究で知られるKarl Moritz Schumannのことです。サボテン同好学会(後のドイツ・サボテン学会)の会長でした。
Fockea属とされるまでの経過は以外の通りです。

1794年 Pergularia edulis Thunb.
1819年 Echites edulis (Thunb.) Thunb.
1842年 Chymocormus edulis (Thunb.) Harv.
1895年 Fockea edulis (Thunb.) K.Schum.


ちなみに、火星人には他にも異名があります。
1838年 Brachystelma macrorrhizum E.Mey.
1844年 Fockea cylindrica R.A.Dyer
1933年 Fockea glabra Decne.


Fockea属は1839年に創設されました。Chymocormus属も提唱されましたが、わずか3年差で早く命名されたFockea属が正式な属名となりました。
1839年 Fockea Endl.
1842年 Chymocormus Harv.
かつてFockea属と命名された種は18種類あるとされていたみたいですが、どんどん種が統合されて現在では6種類になりました。F. edulisは南アフリカ原産ですが、ほかの5種は南アフリカからケニアやタンザニアなどのアフリカ大陸東側に分布します。

一応、Fockea属の全種類の命名年と学名のリストを示します。
1839年 Fockea capensis Endl.
1893年 Fockea angustifolia K.Schum.
              Fockea multiflora K.Schum.
1895年 Fockea edulis (Thunb.) K.Schum.
1908年 Fockea comaru (E.Mey.) N.E.Br.
1916年 Fockea sinuata (E.Mey.) Druce




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スペクタビリスは非常に大型になるアロエです。しかし、スペクタビリスは昔から他のアロエと混同されてきました。その経緯について調べましたので、ひとつ記事とさせていただきます。2010年のKlopper & Gideon F.Sm.『Asphodelaceae : Alooideae : Reinstatement of Aloe spectabilis Reynolds』と、2021年のColin C.Walker『Aloe spectabilis - a splend South African species』というスペクタビリスについてのレビューを参照にして、ことの経緯を見てみましょう。

著名な植物学者であるAlwin Bergerは、1908年に権威のあるアロエについてのモノグラフを出版しました。これは、数十年にわたりアロエの分類の標準的な作品でした。Bergerはスペクタビリスを、Aloe ferox Mill.に含めました。しかし、1937年にGilbert Westacott Reynoldsはスペクタビリスを識別し、Bergerの見解は間違いであること、そして新種としました。つまり、Aloe spectabilis Reynoldsです。

それからなんと63年後の2000年にGlen & D.S.Hardyは、スペクタビリスをAloe marlothiiと同種であるとしました。確かにスペクタビリスはマルロシイによく似ており、分布も類似します。スペクタビリスはこのまま吸収されて消えてしまうのでしょうか?

しかし、2010年にRonell R. Klopper & Gideon F. Smithが『アロエ・スペクタビリスの復活』と称して、Aloe marlothiiとAloe spectabilisの特徴を比較しています。Klopper & Gideon F.Sm.と言えば、Aloianpelos属やAloidendron属を創設した研究者ですね。スペクタビリスとマルロシイの特徴を比較すると以下のようになります。

Aloe marlothii
花序 : 斜めから水平、30-50cm、20-30本
花柄の色 : 緑色から赤褐色
内側の花被片の頂点 : 淡~深紫色
フィラメントの伸長部 : 淡~深紫色

Aloe spectabilis
花序 : ほぼ直立、25cm前後、10-14本
花柄の色 : 暗褐色からほぼ黒色
内側の花被片の頂点 : くすんだ光沢のある黒色
フィラメントの伸長部 : オレンジ色

 花が咲かないと、マルロシイとスペクタビリスは区別出来ないと言われていますが、確かに花の特徴が決め手なようです。

DSC_0662
昨年の12月に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで、例によってラフレシア・リサーチさんで激安のAloe pegleraeを購入した際、おまけでいただいたAloe spectabilisの抜き苗です。アロエを買っておまけでアロエを貰うというのも、何やら不思議な感じがします。
直ぐ
に植え付けましたが非常に丈夫で、真冬に植えたにも関わらずあっという間に根が張ったことには驚きました

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2022年8月。葉が旋回を始めました。アロエは若い時は葉は二列性(左右に葉が並ぶ)ですが、生長すると葉はぐるぐる回りながら生えます。

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DSC_1680
トゲはかなり強いみたいです。そういえば、マルロシイは「鬼切丸」と呼ばれますが、スペクタビリスは「鬼王錦」という名前もあるそうです。サボテンでは名前に「錦」とついた場合は斑入り品種を指しますが、アロエでは斑入り品種のことではなく、斑入り品種ではなくても普通に「○○錦」という名前がつきます。

スペクタビリスは巨大アロエで、高さ5mに達します。幹は木質となりますが、有名な巨大アロエであるAloidendron属とは異なり、枝分かれせず単幹で葉は巨大になり頭でっかちな見た目になります。花は枝分かれして巨大で、鳥や昆虫の蜜源として重要です。
スペクタビリスはKwaZulu-Natalの固有種です。冬は氷点下まで下がる可能性があるそうです。面白いことに、1900年に自由州の農場にスペクタビリスが3本植えられたそうですが、現在では3万本以上に増えてしまったそうです。

今回の記事に出てくる3種類のアロエの学名と記載年について一応記しておきます。
1768年 Aloe ferox Mill.
1905年 Aloe marlothii A.Berger
1937年 Aloe spectabilis Reynolds



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ギラウミニアナはマダガスカル原産の花キリンの仲間です。花は地味で花キリン感は薄いのですが、木質の幹からトゲが出るあたりはいかにも花キリンです。私は入手してからまだ2年ですが、いまだに育て方に迷いがあります。ネットの情報では、ギラウミニアナの育て方と言いながら多肉植物の基本的な育て方が記載されており、ギラウウミニアナの育て方ではないように見受けられます。

そういえば、私は"guillauminiana"を「グイラウミニアナ」とラテン語読みしてしまいますが、なんで「ギラウミニアナ」と呼ばれているのでしょう? この種小名はフランスの植物学者であるAndré Louis Joseph Edmond Armand Guillauminに対する献名ですが、このGuillauminはフランス語ではおそらく「ギヨマン」と読むみたいですから、名前の読みかたならば「ギヨマニアナ」ですね。まあ、読み方なんて本来はどうでもいい話ですから、なんと読んでも一緒なんですけどね。以降、個人的なこだわりで、例によってラテン語読みのグイラウミニアナでいかせていただきます。

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2020年3月。園芸店で冬を越した苗で、根鉢が崩れて用土が半分くらいしかない状態でした。しかし、大特価の半額お値引き品という札に釣られて、ついつい購入してしまいました。今にして思えば危険な賭けでした。グイラウミニアナは寒さに弱いと聞きますから、そのままお亡くなりになる可能性も大でしたからね。

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2020年6月。購入時、すぐに植え替えましたが、それからわずか3ヶ月で開花しました。葉色も良く順調です。

DSC_1702
2022年8月。2年経って枝分かれしていますが、葉色の薄さが気になります。今年は異常な暑さで日差しが強すぎて多肉たちにもダメージがありましたが、おそらくはグイラウミニアナもその影響があったのでしょう。

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ただし、水やりについては良くわかりません。花キリンはやや水多めの方がいいような気もしますが、グイラウミニアナはどうでしょうか? 枝のつまった形の良いグイラウミニアナにするためには、あまりじゃぶじゃぶ水やりしない方がいいような気もしますが…

そういえば、グイラウミニアナは花キリンEuphorbia miliiの仲間と言われています。2013年にユーフォルビア属の遺伝子解析したPhylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文では、花キリン類はゴニアステマ節に分類されています。そこでは20種類ほど花キリン類を調べているようですが、残念ながらグイラウミニアナは調べていません。一応の証拠が欲しいので、マダガスカルのユーフォルビアを調べた2014年の『Insights on the Evolution of Plant Succulence from a Remarkable in Madagascar (Euphorbia)』という論文では、グイラウミニアナは噴火竜Euphorbia viguieriと近縁とあります。むしろ、近縁に見えるEuphorbia milii系とはそれほど近縁ではないようです。面白いですね。しかし、いずれにせよグイラウミニアナは花キリン類=ゴニオステマ節であることは間違いないと言えます。

グイラウミニアナの学名は1942年に命名されたEuphorbia guillauminiana Boiteauです。Boiteauはフランスの植物学者であるPierre Louis Boiteauのことです。Boiteauはマダガスカルのハンセン病療養所で働いていましたが、やがて現地語を学んだことにより、現地の伝統医療を知り薬草を研究しました。やがて、かつてマダガスカルに存在したメリナ王国の女王の親類の植物学者であるAlbert Rakoto Ratsimamangaと協力し、マダガスカルの薬草の研究所であるIMRAを設立しました。Boiteauは戦乱によりフランスに帰国しましたが、IMRAは現在も活動しているそうです。



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4月に五反田TOCであったビッグバザールでは、ユーフォルビアを中心に色々買いました。ラフレシア・リサーチさんで、白雲巒岳とコルムナリスという割と珍しいユーフォルビアを入手することが出来ました。ラフレシア・リサーチさんは毎度おまけをくれますが、この時はアガヴェの抜き苗でした。アガヴェは初めてでしたから、育て方もわかりません。とりあえず鉢に植え込んでみましたが、それから4ヶ月でまあまあ育ってきました。

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2022年4月。抜き苗。小さ過ぎて、まったく特徴が出ていません。アガヴェと言われなければわからない位です。

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2022年8月。だいぶ育ちました。ユーフォルビアとまったく同じ育て方をしていたというか、放置気味でしたが特に問題はなかったみたいです。

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全体的に蒼味がかり、中に白い筋が入っています。ムルチフィリフェラの特徴が出てきました。育つと白いフィラメントが美しい種類のようですが、あと何年かかることやら…

ムルチフィリフェラの学名は1972年に命名されたAgave multifilifera Gentryです。1992年には「乱れ雪」ことAgave filiferaの亜種とする意見、つまりAgave filifera subsp. multifilifera (Gentry) B. Ullrichもありましたが、現在では認められておりません。しかし、Agave filiferaが命名されたのは1834年ですから、ムルチフィリフェラの発見は新しい部類ですね。

そういえば、学名のmultifiliferaはラテン語で、"multi-"が「多数の」、"filifera"は「糸を持った」という意味ですから、フィラメントを沢山持っている特徴から来ているようです。一方のAgave filiferaは、ただのfiliferaですから「糸を持った」となりますが、ムルチフィリフェラの方がフィラメントが多いのでしょうか? サイズによってもフィラメントの多さは異なるように見受けられますから、実際に育ててみないとわからないかもしれません。

ムルチフィリフェラはあまり大きくならないようで、高さ30~45cmくらいみたいです。マイナス18℃くらいまでは耐えられるという情報もありますが、苗のころは何やら危険な感じがしますから冬は室内で安全策をとりたいと思います。
ムルチフィリフェラはメキシコのソノラ砂漠と、アメリカのアリゾナ州Paparito山脈の標高1000-2200mに生えると言います。寒さに強いのも、なんとなくわかる気がします。




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人は見たいものしか見ないとは、なるほど上手いことを言ったものです。私は割とアクティブに園芸店を巡ってきましたが、今まであまりダシリリオンを目にしたことはありませんでした。しかしある時、園芸店の入荷情報をチェックしていたら、ダシリリオンが入荷したというお知らせがありました。調べて見ると中々面白い植物のようです。早速、購入しましたが、それから1年と立たずにダシリリオンをさらに2種類見かけて購入するに至りました。ここでふと思ったわけです。今まで行った園芸店で、本当にダシリリオンは売っていなかったのだろうかと。興味のある多肉植物はそれなりに詳しく目がいきますが、知らない多肉植物は目に入っても素通りしていただけなのではないかと。一度、ダシリリオンに興味を持ち入手していますから、私のダシリリオンに対する感度が上がっただけかもしれません。見ているがその実は見えていなかった、そんな気がして少し気恥ずかしくなります。

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Dasylirion longissimum名義のダシリリオン。
シマムラ園芸で購入。

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Dasylirion quadrangulatum名義のダシリリオン。
五反田TOCのビッグバザールで購入。Ruchiaさんの販売している実生苗。
ともに、古い葉が少し枯れ混んだので、まだ小さな内は乾かし過ぎないようにした方がよさそうです。
まだ何者かわからない苗ですが、太い幹を持つコーデックスになります。それまでに何十年かかるかわかりませんが…


ここで気になる情報に気付きました。 国内の販売サイトでM's plantsというアガヴェなどの多肉専門店の解説では、Dasylirion longissimumの名前で販売されているダシリリオンは、実はDasylirion quadrangulatumであるというのです。具体的にはD. longissimumはトゲがあり、D. quadrangulatumにはトゲがないということです。その専門店も種子に記載された名前で販売していますが、こういう風に言われていますよという情報を教えてくれているわけです。
私の所有するダシリリオンも、間違いなのでしょうか?
しかし、国内ではまったく情報がありません。海外ではどうなのでしょう。

海外の情報を探ってみましたが、日本国内とは異なりこの問題は話題となっているようです。海外でも混乱しているみたいです。というよりも、海外で混乱状態なので、海外の種子を購入している日本国内でも同じ混乱が連鎖的に起きているといった方が正しいようです。
海外の趣味家のフォーラムでは、世界中の多肉植物ファンが盛んにやり取りをしています。そのフォーラムの中で、D. quadrangulatumの葉にはトゲがなく断面は四角形で、D. longissimumの葉にはトゲがあり断面は四角形ではないとしています。また、D. longissimumは灰色がかるという表現をされていますが、これは青白いということでしょう。

そもそも、D. quadrangulatumとD. longissimumはどうやら混同されてきたようです。海外の"LLIFLE"というサイトでは、2001年にColin WalkerがD. longissimumとD. quadrangulatumは同種であるとしたとあります。しかし、別種であるという意見もあり、論争があったようです。今でもD. longissimumとD. quadrangulatumは同種であると書いてあるサイトがあるのは、このことが原因なのでしょう。ただし、それぞれの分布域は重ならないともあります。


また、アリゾナ大学のHPを見ていたら、D. quadrangulatumはトゲがないため、植栽に向くとありました。やはり、ここでも国内の情報とは逆になっています。

"World Flora Online"というサイトでは、それぞれの詳細情報が記述されていました。
まずは、D. quadrangulatumですが、葉の基部はスプーン型で耳状のフラップがあり、葉は80~90cmくらいでトゲはないが、葉縁は細かい鋸歯状とのことです。断面は基部では菱形で先端では正方形です。葉に光沢はないそうです。
対するD. longissimumは、葉の基部はスプーン型ですが耳状のフラップはありません。葉は80~140cmくらいで、葉の基部にはトゲがあり、やはり葉縁には弱い鋸歯があります。葉は時々光沢があるそうです。


情報を色々探っていくと、どうやらその元となった論文があるみたいです。1998年に発表されたのは、アメリカの植物学者であるDavid J BoglerによるThree new species of Dasylirion (Nolinaceae) from Mexico and a clarification of the D. longissimum complex』という論文です。混乱するD. quadrangulatumとD. longissimumを再定義しているらしいのですが、有料の学術雑誌なので内容はまったくわかりません。非常に残念です。しかし、2017年に発表された『La Familia Nolinaceae en el. estado de Nuevo Leon』という論文では、1998年の論文も資料の1つとして参照としながら、D. quadrangulatumとD. longissimumのややこしい事情も解説しています。しかし、この論文はスペイン語で書かれているため、まったく読めませんでした。仕方ないので機械翻訳しましたが、専門用語が多いせいか翻訳がうまく行かなくて割とめちゃくちゃな文章でしたので、解読には大変難儀しました。

ここからは論文の内容を抜粋して紹介します。ただし、論文では色々省略して論旨だけを淡々と書いているせいかわかりにくいので、私が情報を少し足しています。
フランスの植物学者であるCharles Antoine Lemaileは1856年にD. longissimumを命名しましたが、地域情報や標本なしの栽培植物に基づいているらしく、命名に問題があるようです。さらに、アメリカの植物学者であるSereno Watsonは、1879年にD. quadrangulatumを記述しており、これは不思議なことにLemaileのD. longissimumの記述に良く適合します。
イングランドの植物学者であるSir Joseph Dalton Hookerは、1900年にD. longissimumとD. quadrangulatumの両種を認識しており、詳細な説明とイラストを残しています。また、アメリカの植物学者であるWilliam Treleaseは、1911年にD. longissimum Nomen Confusem、つまりは「混同名」を宣言しました。
しかし、アメリカの植物学者であるDavid J Boglerは1994年にD. longissimumは2種類あることを資料と個体群からレビューしました。そこで、D. quadrangulatumを種として復元し、混同名をD. longissimumに宣言して、Querétaro、Hidalgo、San Luis Potosiの個体群を新種のD. treleaseiと命名しました。しかし、1998年にBoglerはD. treleaseiを破棄し、D. longissimumを復元しました。

というわけで、D. longissimumとD. quadrangulatumは別種であり、それぞれの学名は有効なものとなっております。

さて、それでは私の入手個体はどうなのでしょうか? D. longissimum名義でも実際に販売され普及しているのはD. quadrangulatumであるというのは、ヨーロッパ、アメリカ、日本においても実情は同じです。シマムラ園芸で購入したD. longissimumはD. quadrangulatumの可能性が高そうです。輸入種子がそうなっている以上は、そのままの名前で売るならそうなるでしょう。
では、RuchiaさんのD. quadrangulatumは、逆にD. longissimumなのでしょうか? しかし、外見的特徴ではD. longissimumらしさはありません。まだ幼弱な小苗ですから、特徴が出ていない可能性もありますが、現状ではD. quadrangulatumの名札通りな気もします。しかし、そうなるとRuchiaさんはD. quadrangulatumをちゃんと認識出来ていることになります。すごいですね。

しかし、なんと言ってもまだ苗ですから、まだまだこれからです。5年10年と育てて、じっくり観察していきたいと思います。


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パキポディウム・サウンデルシイはモザンビーク、ジンバブエ、南アフリカ、スワジランドに分布するパキポディウム属の一種です。「白馬城」という名前の方が有名かもしれませんが、パキポディウムの中ではあまり流通していない種類です。やはり、パキポディウム属と言えばマダガスカル原産種がメインで、アフリカ大陸産のパキポディウムは人気はいまいちかもしれません。まあ、アフリカ大陸産でも、P. succulentumやP. bispinosumは最近園芸店でも実生苗を見かけるようになってきましたが、白馬城は残念ながら見かけませんね。私は昨年冬に五反田TOCで開催されたビッグバザールで偶然入手しました。別にパキポディウムを買いに行ったわけではないのですが、たまたまパキポディウムの苗が沢山あったのでついつい買ってしまいました。

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細かいトゲが枝に出る

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トゲは2本セットで長く伸びる。

白馬城の学名は1892年に命名されたPachypodium saundersii N.E.Br.です。1973年のにはPachypodium lealii subsp. saundersii (N.E.Br.) G.D.Rowley、つまりレアリイの亜種とする意見もありましたが、現在では認められておりません。ただし、レアリイと白馬城が近縁であることは、遺伝子解析の結果から正しいとされています。

他のアフリカ大陸産のパキポディウムであるP. succulentumやP. bispinosumとはトゲの付きかたが異なり、むしろマダガスカル原産パキポディウムに近く見えます。ただし、他のアフリカ大陸産と枝の出方は似ています。もしかしたら、南アフリカ南部産パキポディウムとマダガスカル原産パキポディウムをつなぐ存在なのかもしれませんね。



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ウンカリナ・ロエオエスリアナはマダガスカル原産の塊根植物で、一般に「ウンカリーナ・ルーズリアナ」の名前で流通しているみたいです。国内でロエオエスリアナはウンカリナ属唯一の普及種となっています。
 
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ロエオエスリアナは最大2mほどになるそうですが、我が家の個体はまだ高さ10cm位の苗です。

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塊根は地下で育ちますが、鉢底に着いてしまうと良くないので長い鉢に植え替えました。

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葉は矢じり型でビロードの様な毛に被われます。

ロエオエスリアナはマダガスカル南西部、Tolanaro地区ToliaraあるいはAnosyの2箇所の極狭い地域に自生します。海抜100~500mの石灰岩地に生える熱帯性の低木です。
生息地は狭い様ですが、観賞用に普及しており、簡単に増やすことが出来ます。種子の発芽率はあまり高くないようですが、種子は容易に得られるとのことです。

ロエオエスリアナは乾燥地の植物ですが、乾かしぎみにして育てると葉が直ぐに落ちてしまいます。乾かさないで、多肉植物として育てない方が良く育ちます。早く育てようと思えば、温かい季節だけ地植えすると良いそうです。冬は寒さに弱いので、抜き取ってそのまま植えないで新聞紙などでくるんで暖かいところに置いておけばいいそうです。私は早く育てたいとは思わないので、鉢栽培でゆっくり育てていきます。

ロエオエスリアナの学名は1996年に命名されたUncarina roeoesliana Rauhです。Rauhは国際的に著名なドイツの生物学者、植物学者、作家のWerner Rauhのことです。Rauhは毎年のようにアフリカや中南米を調査し、マダガスカルの多肉のについての著作があります。

私は"Uncarina roeoesliana"を「ロエオエスリアナ」とラテン語読みしますが、一般には「ルーズリアナ」という名前で流通しています。"roeoesli"はどう考えても「ルーズリ」とは読まないわけで、何やら不思議です。また、"roseoesliana"と誤記されているのを見たことがありますから、そこから「ローゼリアナ」→「ルーズリアナ」と変化した可能性もあります。
ちなみに、実はこの"roeoesliana"は、スイスの植物学者でマダガスカルのパキポディウム属の研究で知られる
Walter Röösliに対する献名です。ですから、この"ösli"を「ルーズリ」と読んだのかもしれません。ただし、この"ö"は"o"とはまったく別のものでOとEの中間、一般には「エー」と発音します。ですから、"ösli"は「レーズリ」が正しいので、人名の発音によるのならば「レーズリアナ」とすべきでしょう。

ここで一つ、基本的にどうでもよくて、かつ大変つまらない話をします。学名の読み方は学者でも色々です。おそらくは学会単位で派閥があり、動物系学会では英語読み、植物系学会ではラテン語読みします。正直なことを言ってしまうと、学名は生物界の情報を収集・整理・分類するためのもので、基本的に書き文字の表記のためのものです。ですから、そもそも読み方の正解はないわけで、その正統性の主張なんてずいぶんと馬鹿らしいと思ってしまいます。
私個人はラテン語読みが好みです。これは、基本的な法則がわかっていれば誰でも読むことが出来るからです。例えば、人名や地名から来ている学名は由来する元々の名前に遡って発音したくなりますが、実際のところは由来がわからなかったり、著名人ならいざ知らずあまり有名ではない学者やアマチュアの発見者に対する献名、18世紀とか古い時代の人名の発音など、発音が不明なケースは非常に多いのです。さらに、アフリカや南米などの地名の読み方、あるいは現地の人の呼び方から来ていたりする場合は、まったく読み方がわからないパターンもあります。ですから、それらを元の意味を考慮せずに読めるラテン語読みは非常に便利です。

さて、最大の問題は英語読みでしょう。英語ではない学名を英語読みするというのは、そもそも意味がわかりませんが、動物系学者は使用しています。しかし、基本的に学会に関係する学者しか読み方がわからない慣習みたいなものですから、英語読みは我々アマチュアには縁のないものです。閉じた学術世界でのみ通じる暗号なので、一般には知る方法もありません。その様なものを我々アマチュアは使う必要性は特にないように思えます。
個人的には、科学とは法則性を見つけ出し、そこから導きだされた原理・原則にのっとるものですから、ただの慣習を科学とは呼ばないのでは?という疑問があります。

しかし、既に述べましたように、学名の読み方なんてどうでもいいことです。各人が読みたいように読めばいいのです。私はラテン語読みしますが、それも所詮はただの好みの問題に過ぎません。もちろん、英語読みが好みならそれも大いに結構。ですから、他人様に対して、ラテン語読みしなさいとは口が裂けても言えません。実はということでもありませんが、園芸店や生産者さんで我々が多肉植物を購入した時に、挿してある名札に学名をカタカナで書いてあったりしますが、ある意味これが一番普及している読み方となります。まあ、別にこれでいい気もしますが。何より普及していますから、他の人に一番通じやすい読み方ですからね。私のように面倒なことをぐちゃぐちゃ考えるのも、大概間抜けな話かもしれません。


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プンゲンスは南アフリカ原産の硬葉系ハウォルチアです。この場合、"pungens"とは「突き刺す」という意味ですが、その名の通り葉の先端は鋭く尖ります。

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硬葉系なので、葉はとても硬い。

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若い時はHaworthiopsis viscosaの様に、積み重なります。生長とともにねじれていきます。

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やがてぐるぐる回りながら、螺旋状に育ちます。
5列あるいは3列といわれますが、この個体は3列が旋回しているようです。


プンゲンスは南アフリカの東ケープ州、LangkloofとJoubertinaのフィンボス(地中海性気候の灌木地帯で、冬に雨が降る)の岩の多い斜面に自生します。
自生地のプンゲンスはよく日を浴びて黄色くなっていますね。葉の先端は赤みを帯びてくるようです。


プンゲンスの学名は、はじめて命名されたのは1999年と、ハウォルチア系では意外と新しく発見された種類みたいです。最初はHaworthia pungens M.B.Bayerとされ、ハウォルチアとされました。2014年にはHaworthiopsis pungens (M.B.Bayer) Boatwr. & J.C.Manningとされました。これが、現在学術的に認められている学名です。ハウォルチオプシス属は2013年の命名されたHaworthiopsis G.D.Rowleyですから、ハウォルチオプシス属が出来てから結構早いですね。
2013年にはTulista pungens (M.B.Bayer) G.D.Rowleyも提唱されましたが、現在認められておりません。




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アロエ・ペグレラエは南アフリカ原産のアロエです。葉の枚数が増えると、葉が内側に巻いた様な独特の非常に美しい姿となります。

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昨年の冬、千葉のイベントで入手しました。アロエ苗が投げ売りされていたので、せっかくだから一鉢購入。
右下の葉は二列生(葉が左右に並ぶ)の痕跡があります。まだ若い個体です。


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2022年8月の姿。だいぶ葉の枚数が増えてきました。生長は遅いと言われますが、苗の頃は早いみたいです。

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まだ、葉が少ないので、ペグレラエらしさはありません。

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トゲは強いので注意が必要です。

ペグレラエは南アフリカのNorth West州のMagaliesbergとWitwatersbergに分布します。斜面に生えるらしいです。自生地では、Aloe marlothiiやAloe davyanaと自然交雑が起きているようです。
野生の株は非常に美しく生長が遅いため、違法採取が行われており、また開発に伴う環境破壊により急速に個体数を減らしています。絶滅危惧種に指定されており、Witwatersrand国立植物園では絶滅危惧植物プログラムの優先事項として、ペグレラエの保護活動が行われているそうです。
日本国内ではペグレラエは、実生苗がある程度は販売されているみたいですから、入手困難とまではいかないでしょう。しかし、違法採取かも知れない現地球には手を出さないことも重要です。

ペグレラエの学名は1904年に命名されたAloe peglerae 
Schönlandです。ペグレラエの名前は植物学者・自然学者のAlice Marguerite Peglerに対する献名です。Schönlandはドイツ出身のSelmar Schönlandのことです。かのPole Evansが始めた南アフリカの植物調査で主導的役割を果たしました。ちなみに、南アフリカ科学振興協会の創設メンバーとのことです。
また、Schönlandは、Euphorbia schoenlandiiやBrachystelma schonlandianumなどの植物に献名されています。


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多肉植物は手持ちの維持だけで長く離れていたので知らなかったのですが、ここ何年か多肉ブームがあったようです。すでにブームの最盛期は過ぎたようですが、多肉人口自体は増えたようです。最近は現地球だけではなく実生苗も園芸店やイベントで沢山並ぶ様になりました。
昨年はパキポディウムの小苗をじわじわ集めたりしましたが、元より全種類集めようという意図はありません。昔入手した実生デンシフロラムを長く育てていましたから、パキポディウム自体に愛着があります。園芸店やイベントでパキポディウムの可愛らしい苗を見ると、ついつい買ってしまうのです。そんなこんなで、去年入手したのが「魔界玉」こと"Pachypodium makayense"です。
マカイエンセは国内ではそれほど流通していないようで、園芸店では見かけないパキポディウムです。私は五反田TOCのビッグバザールで入手しましたが、特に探していたわけではないにも関わらずたまたま目に入ったもので、なんとも非常に幸運でした。

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魔界玉はマダガスカル南部のTulear州のMakay山に分布します。
このMakay山から、"魔界"玉と命名されたのでしょう。

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トゲは赤味を帯びます。新しいトゲはより赤味が強いのですが、古いトゲの色が抜けただけなのかもしれません。強光で赤味が増したら面白いのですがね。まだ、よくわかりません。

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意外にもパキポディウムには毒があるようですが、パキポディウム属はキョウチクトウの仲間ですから、良く考えたら当たり前のことなのかもしれません。

魔界玉の学名は2004年にはじめて命名されましたから、かなり新しい種と言えます。この時は独立種と考えられ、Pachypodium makayense Lavranosとされました。しかし、同年にロスラツムの亜種、つまりはPachypodium rosulatum subsp. makayense (Lavranos) Lüthyとされ、これが現在の正式な学名です。
しかし、遺伝子解析の結果では、魔界玉はP. rosulatum subsp. rosulatumよりもP. densiflorumやP. brevicauleと近縁とされています。今後、パキポディウム属の分類は大きく変わる可能性があります。

多肉ブームで現地球が沢山輸入されましたが、最近では国内実生苗も沢山売られています。多肉植物に力を入れている園芸店では、P. succulentumやP. bispinosumあたりはカクタス長田さんの実生苗がミニ多肉としてあったりします。五反田TOCのビッグバザールでは、P. inopinatumが沢山あって驚きました。他にもP. makayenseや新種のP. enigmaticumまで実生苗が販売されていて驚きます。流石にP. saundersiiやP. windsoliiあたりは少ないものの、入手可能です。園芸店の入荷情報をチェックして、P. brevicalyx、P. brevicaule subsp. leucoxantumあたりは入手しました。何の気なしに園芸店を覗いて見つけたのは、P.
 eburneum、P. densiflorum、P. horombense、P. rosulatumあたりです。他にも縦長に育つタイプのパキポディウムは販売されていますが、いまいち食指が動きません。当分は手持ちの管理に専念することとします。
そういえば、パキポディウム属の分類を調べた面白い論文を見つけましたから、明日の記事にする予定です。



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Fouquieriaはかつて私の憧れだった植物です。私が学生の頃、当時の最新の園芸書に記載されたFouquieriaの写真、おそらくは現地球ですが、そのあまりの美しさに驚きました。しかし、当時は国内でFouquieriaは販売されておらず、今にして想えば海外のナーセリーから個人輸入するしかない時代でした。まだ学生だった私は個人輸入なんて思い付かず、写真を見て嘆息するに留まっていました。その後は園芸趣味から離れていたのですが、近年の多肉ブームでFouquieriaも園芸店やイベントでちらほら見かけるようになりました。私は育っていく過程や、育て方の試行錯誤が楽しい方なので苗が好ましいのですが、最近の多肉ブームではどうやら現地球が多かったみたいです。しかし、ここ2年ほどは国内実生苗も少しずつ手に入るようになりました。大変喜ばしいことです。
そんな中、一番最初に入手したFouquieriaの苗が、Fouquieria diguetiiです。
そういえば、Fouquieriaはフーキエリアとかフォーキエリアとか読み方は本やサイトによりまちまちですが、私の個人的な好みで、以降はラテン語読みで'Fouquieria"は「フォウクィエリア」、"diguetii"はディグエッティーではなく「ディグエティイ」でいかせていただきます。

ディグエティイはメキシコ原産のフォウクィエリアの仲間です。P
alo Adánと呼ばれ、バハ・カリフォルニア半島の南側やソノラ砂漠に自生する、乾燥地に生える灌木です。ディグエティイは赤い筒状の大変目立つ花を咲かせますが、ハチドリが蜜を吸いに来て受粉する鳥媒花ということです。

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購入時。

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最近のディグエティイ

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育て方は自分でも良くわかっていない部分があり、試行錯誤中です。
乾燥地の灌木なので、昨年は乾かし気味にしていましたが、葉が枯れてポロポロ落ちてしまいました。まあ、直ぐに新しい葉は出てきますが長持ちしません。新しい葉が出ては枯れるを繰り返しました。そんな状態ですから、ほとんど茎は伸びませんし太くもなりません。
そんなことがありましたから、今年は水やりをほぼ毎日行っています。ただし、暑すぎるせいかそれでも乾上がってしまうみたいで、育ちはいまいちでした。仕方がないので、ハウォルチアの遮光棚に置いたところ、綺麗な葉が出てきました。とは言うもののでやはり日照不足らしく、他のフォウクィエリアは枝が伸びるもののトゲが出ないので、これは徒長が疑われます。ディグエティイは枝は伸びていませんが、やはり日照不足なのかもしれません。
他の方はどうやっているのだろうと気になってフォウクィエリアを検索すると、なんと腰水栽培している人もいるようです。ちゃんと日に当てていれば徒長はしないようです。私は根腐れが怖くて出来ませんが。しかし、砂漠の植物だろうになぜこんなに乾燥に弱いのか不思議です。フォウクィエリアは乾燥地の植物の癖に根がやたらに繊細だったりするわけで、どうやって自生地で乾燥に耐えているのでしょうかね? どうにも不思議です。
対策となるかはわかりませんが、、乾きにくくするだけなら、普通の花木を鉢栽培するみたいに、大きい鉢に用土たっぷりで植えて乾きにくくしてしまえばいいだけのことかもしれません。

フォウクィエリア属は1823年に命名されたFouquieria formosaがはじめてですが、同じく1823年にBronnia spinosa、後のFouquieria fasciculataが命名されたいます。まあ、F. fasciculataは1819年にCantua fasciculataが最初の命名でした。
ディグエティイの学名は1925年に命名されたFouquieria diguetii (Tiegh.) I.M.Johnst.です。面白いことに、ディグエティイの初命名は1899年のBronnia diguetii Tiegh.Bronnia thiebautii Tiegh.です。同年に同じ命名者に命名されていますから、2種類あると考えられたのかもしれません。種小名は命名が早いものが受け継がれますが、"diguetii"と"thiebautii"は命名はおそらく同時ですが、なぜ"diguetii"が選ばれたのかはわかりません。また、1903年に命名されたFouquieria peninsularis Nashは、ディグエティイと同種とされ、現在は異名(シノニム)とされています。


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ザミア・フルフラケアZamia furfuraceaの花芽があがってきました。花芽が伸びはじめてから咲くまでを記事にしようと思っていましたが、中々咲かないのでまだ咲きませんが記事にします。

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フラッシュも一段落し、新葉が美しい季節です。良く見ると塊根の先端が膨らんでいます。まさか、また新芽かと思いきや…

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これは蕾ですね。小苗を入手してから10年以上育てていますが、初めてのことです。植え替えした方が生長が早いのは知っていますが、5年おきくらいのタイミングでしか植え替えをしないので生長は遅いでしょうけど。

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7月16日。まだまだ小さい。

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7月24日

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8月6日。だいぶ膨らんで、茎が伸びてきました。
しかし、茎はまだ伸びる感じですから、まだまだ咲きません。とは言うものの、交配相手がいないので咲いても種は取れませんけどね。

そういえば、ソテツと言えばクロマダラソテツシジミという名前の、ソテツの若葉を食害するシジミ蝶がいます。もともとは東南アジア原産でしたが、2007年くらいから関西でも定着したみたいです。しかし、温暖化の影響かいつの間にやら、最近では神奈川、東京、埼玉、千葉あたりでも発見されています。私の所有ソテツたちもいつかやられないか心配です。
しかし、昆虫マニアの人達がその蝶を探しているみたいですが、どうやらソテツとヤシの区別がついていないらしく、近所のソテツ(どう見てもヤシ)では見られないとか書いてありました。まあ、そりゃあヤシにはつかないでしょうね。興味がない人には同じようなものなのでしょうか?




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4月に東京五反田TOCで開催された、春のサボテン・多肉植物のビッグバザールに行った際に、サピニーという名前のユーフォルビアの苗を入手しました。購入したブースの生産者さんは、大変状態の良い優れた苗を毎回持ってきてくれますから、ついつい私も毎回購入してしまいます。
さて、そんなサピニーですが、ネットで現在地してみても恐ろしいほど情報がありません。多少、販売情報はあるようですが、私の購入した苗と同サイズのサピニーが数倍の値段で売られていたりします。なんか怪しいですね。
あと、海外のネット上のフォーラムでは、サピニーは海外でも非常に珍しいみたいですね。中々ヨーロッパでも入手は困難なようです。
個人的に「サピニー」より「サピニイ」のほうがしっくりくるので、これより「サピニイ」表記で行きます。

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まだ小さい苗ですが、高さ1mほどになるそうです。

DSC_1648
トゲのある木質の茎がありますが、まだトゲは出ていません。

ネットでサピニイの画像を探していたら、ふと"猛毒三兄弟"こと、Euphorbia poissonii、Euphorbia venenifica、Euphorbia unispinaと似ている様な気がしました。そこで、分布を調べてみたら面白いことがわかりました。ポイソニイは西アフリカのギニア湾沿い、ユニスピナはギニア湾沿いから東に長くチャド・スーダンまでの西アフリカから東アフリカ、ベネニフィカは東アフリカ、サピニイは中央アフリカとなっています。分布が広いユニスピナ以外は、一部重なりながらも分布がアフリカの東部・中央部・西部にわかれているのが、分布域を拡げながら進化した様子が見受けられます。
ここで、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文を見てみます。この論文では遺伝子を解析していますが、サピニイの分子系統は以外の通りです。

             ┏━━E. sudanica
         ┏┫
         ┃┗━━E. venenifica
     ┏┫
     ┃┗━━━E. unispina
 ┏┫
 ┃┗━━━━★E. sapinii
 ┫
 ┗━━━━━E. resinifera

ユーフォルビアの全種類を調べた訳ではありませんから、ポイソニイは入っていませんがおそらくは近縁でしょう。また、調べていないだけで、他にも近縁種があるかもしれません。
さて、一番根元にあるレシニフェラは普通の柱サボテン様の多肉ユーフォルビアで、サピニイやポイソニイには似ていませんね。もしかしたら、レシニフェラ(の祖先)からサピニイ(の祖先)が進化した時に、サピニイやポイソニイの様な形態に進化したのかもしれません。
しかし、不思議なこともあります。レシニフェラはモロッコ原産ですが、この仲間がモロッコからモーリタニアやマリに分布を拡げながら進化したとすると、モーリタニアからギニア湾を通って東アフリカに達するスダニカがレシニフェラに近縁な様にも思えます。しかし、レシニフェラに一番近縁なのは中央アフリカ原産のサピニイです。地理的にずいぶん離れています。どういうことなのでしょうか?
考えられるのは2つ。1つは、
マリにも分布するポイソニイがレシニフェラとサピニイの間を埋めている可能性です。もう1つは、レシニフェラ自体がサピニイの祖先と別れたときには、モロッコではない地域に分布しており、レシニフェラに進化した際にモロッコ原産となった場合です。この謎はすべての近縁種を調査してはじめてわかるのでしょう。今後の研究に期待。

サピニイの学名は1908年に命名されたEuphorbia sapinii De Wild.です。De Wild.はベルギーの植物学者・菌類学者の
Émile Auguste Joseph De Wildemanのことです。De Wildemanはコンゴの植物相の研究で知られています。サピニイの名前は中央アフリカで植物の収集をしていたフランスの植物学者である、Adolphe Sapinに因んで命名されました。



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ツリスタ属については割としつこく記事にしていますが、ついに全種類コンプリートしました。あまり販売されていないので、あちこち探し回ってようやくのことです。とはいっても、たったの4種類なんですけどね。結局、最後に入手したのがキンギアナでした。
ツリスタ属はハウォルチア属から分離したグループで、アロエ属から独立したGonialoe(千代田錦)やAristaloe(綾錦)、さらにAstrolobaと近縁です。

アロエ類の系統図
┏━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━★Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属

キンギアナは南アフリカ原産ですが、非常に稀な植物で絶滅危惧種に指定されています。キンギアナの分布はMossel湾付近の狭い範囲で、岩の多い丘や斜面あるいは草原に生えます。違法採取や過放牧、農地開発など生息地の破壊により減少しています。

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遮光強目なので、本来の明るい色は出ていません。今年は日差しが強すぎるため、加減が難しい感じがあります。

キンギアナの特徴はなんと言っても、その明るい葉色です。ツリスタ属は強光で赤くなる傾向がありますが、キンギアナは明るい黄緑色です。キンギアナはツリスタ属らしく大型になり、18cm位になるそうです。
キンギアナは「king」+「-iana」ですが、king=王ではありません。「-iana」は人名につける女性詞ですから、この場合はKing夫人に献名されたということです。

キンギアナの学名は2017年に命名されたTulista kingiana (Poelln.) Gideon F.Sm. & Moltenoです。キンギアナは初めて命名されたのは1937年のHaworthia kingiana Poelln.ですが、1997年にはプミラの変種とされHaworthia pumila var. kingiana (Poelln.) Haldaとする意見がありました。
また、2001年に命名されたHaworthia zenigata M.Hayashi、2016年にツリスタ属とされたTulista opalina var. zenigata (M.Hayashi) Breuerの系統も現在はキンギアナと同種とされているようです。



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フォリオロサは南アフリカ原産のアストロロバです。しかし、アストロロバ自体知らないという人もいるかもしれませんが、常にマイナーなグループでかつて流行したことすらないので仕方がないことなのでしょう。そんなアストロロバですが、存在自体は昔から知られています。アロエの仲間として、アロエ属、ハウォルチア属、ガステリア属、アストロロバ属がありますよというのが、昔から図鑑に載ってた情報です。近年、アロエ属が5属に、ハウォルチア属が3属に分裂しましたが、アストロロバ属は基本的に同じです。アストロロバ属の最近のトピックは、ポエルニッチア属とされることもあるルブリフロラが、遺伝子解析によりやっぱりアストロロバ属でしたということ位ですかね。
さて、個人的にはアストロロバは大いに気に入っているわけですけれど、園芸店ではまずお目にかかれないレア多肉です。とはいっても、輸入が規制されているだとか、国内で増やせないとか栽培が難しいとか、そういう理由ではなく単純に人気がないだけです。まさに、購入する人がいなければ販売されないという、市場経済の基本原理に則ってますね。残念ながら。
しかし、そんな中、イベントで偶然見つけたアストロロバであるフォリオロサを本日はご紹介します。

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フォリオロサは南アフリカの東ケープ州Nama Karooに分布するアストロロバです。ネットではフェリオサとかフォリオサとか呼ばれることもあるようです。また、「多宝塔」とか「奔竜」という名前もあるようですが、まったく使われていません。
フォリオロサはアストロロバの中では小型で、葉はとても小さくてヒモの様に細長く育ちます。私の株は名札にわざわざ"小型"と表記してあったくらいなので、フォリオロサの中でも特に小さいタイプなのでしょうか? これからが楽しみです。

フォリオロサの学名は1947年に命名されたAstroloba foliolosa (Haw.) Uitewaalです。古い時代に命名されたハウォルチアやガステリアなどのアロエ類は最初はアロエ属とされましたが、アストロロバも同様に最初はアロエ属でした。フォリオロサの学名の変遷を年表にしてみました。

1804年 Aloe foliolosa Haw.
1811年 Apicra foliolosa (Haw.) Willd.
1812年 Haworthia foliolosa (Haw.) Haw.
1947年 Astroloba foliolosa (Haw.) Uitewaal.
1987年 Astroloba spiralis subsp. foliolosa
                               (Haw.) L.E.Groen
2013年 Tulista foliolosa (Haw.) G.D.Rowley

様々な学名が提唱されましたが、現在学術的に認められているのは、Astroloba foliolosaです。2013年のG.D.Rowleyのツリスタ属とする意見は当てずっぽうではなく、アストロロバ属とツリスタ属が遺伝的に近縁であることからツリスタ属の範囲を広くとった訳ですが、そうなるとGonialoeやAristaloeもツリスタ属に含めなくてはいけなくなるため、やや大味な分け方になるような気もします。アストロロバ属は非常に良くまとまった分類群ですから、独立した群としたほうが自然だと私は思います。



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蒼角殿は不思議な球根植物です。緑色の巨大な球根から、モジャモジャした鞭の様な葉(正確には茎で葉はないらしい)と長い蔓を伸ばします。アフリカの自生地では蔓が岩場を這うように伸びるため、"climing onion"、つまり「登攀タマネギ」という愉快な名前で呼ばれているようです。

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分球しましたが、左は蔓が真夏なのに出ていますが、右は休眠中。冬型とされますが蔓は真夏に出たりもします。同じ環境で並べて育てていても、春~夏は何故か蔓が出たり出なかったりします。不思議ですね。

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3つに別れたので、一つは独立させました。こちらも蔓が伸びてます。

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冬に目立たない緑の花が良く咲きます。

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結実。増やす予定もないので、採種はしませんでした。

ボウィエアは南アフリカの東ケープ州からリンポポ州、ジンバブエ、ザンビア、タンザニア、ウガンダ、ケニア、モザンビーク、マラウイ、アンゴラで確認されています。

蒼角殿の学名は1867年に命名されたBowiea volubilis Harv. ex Hook.f.です。
しかし、このBowiea属にはBowiea myriacantha(=Aloe myriacantha)やBowiea africana(=Aloe bowiea)など、現在ではアロエ属とされているグラスアロエを含んでいました。というより、Bowiea myriacanthaやBowiea africanaは1824年にHaworthにより命名されたものの、5年後の1829年にはアロエ属となり、一度は消滅したようです(Bowiea Haw.)。その後、1867年に蒼角殿の学名としてBowiea volubilisとして復活したわけです(Bowiea Harv. ex Hook.f.)。
今ではBowiea属は蒼角殿1種類のみですが、Bowiea属自体が蒼角殿のために創設された属です。そんな経緯のためか、1911年にOphiobostryx volubilis (Harv. ex Hook.f.) Skeels、1918年にSchizobasopsis volubilis (Harv. ex Hook.f.) J.F.Macbr.が提唱されましたが、現在では認められておりません。しかし、一度使われたBowiea 属を再利用していますから、属名を変更するのは割りと合理性があるような気もしますが…

そういえば、蒼角殿にはガリエペンシスとキリマンドスカリカという仲間がいます。ガリエペンシスは1983年にBowiea gariepensis van Jaarsv.と命名されましたが、1987年(publ 1988)にはBowiea volubilis subsp. gariepensis (van Jaarsv.) Bruryns.とされ現在ではこれが正式な学名です。ガリエペンシスは白花で蔓の色合いも異なり、別種に見えるのですがね。キリマンドスカリカは1934年にBowiea kilimandscharica Mildbr.と命名されましたが、現在ではBowiea volubilis var. volubilisと同種とされているようです。キリマンドスカリカは球根が小さいタイプです。
あと、大蒼角殿という名前も聞いたことがありますから調べて見ましたが、蒼角殿の大きいやつだとか、ガリエペンシスのことだとか色々言われているみたいです。どうやら、最近ではガリエペンシスを大蒼角殿の名前で販売しているようです。




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瑠璃晃は南アフリカ原産のユーフォルビアです。実際には「瑠璃晃」ではなくて、「スザンナエ」あるいは「ドラゴンボール」なんて名前で売られていたりします。瑠璃晃はトゲはなくイボが沢山ありますが、このイボは色々なタイプがあり、太さや密度、先端のとがり具合まで様々で多様性があります。
私もそんな瑠璃晃を育てていますが、鉢が窮屈になったので4月末に植え替えましたが、根が硬く長いため少し浮き上がった様な感じになってしまいました。仕方がないので、5月中頃に深い鉢に再度植え替えました。まあ、本来はこうもコロコロ植え替えないほうがいいわけで、生長に悪影響を与える可能性大です。しかし、我が家の瑠璃晃は意にも介さない風情です。強いですね。


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4月末。いかにも窮屈そうです。右はインターテクスツム。

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年の量がすごいです。

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実は少し浮いています。

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5月中頃に再度植え替え。

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現在の様子。

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強光を浴びて良い色合いになっています。

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そういえば、花は小さいものの結構派手に咲きます。

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開花後、一部の花柄が枯れないで残りましたが、何故か花柄の先端から子を吹いています。奇妙な増えかたですね。

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そして、再度植え替えてから1ヶ月半で鉢底から根がはみ出てきました。わざわざ縦長の鉢に植えたのに、根の生長がとても早いみたいです。

瑠璃晃と言えば、次々と子を吹いて群生するものです。しかし、我が家の瑠璃晃はほとんど子を吹かず、ほぼ単頭です。おそらくは強光と乾燥しすぎることが原因の様な気がします。しかし、面白いので子はある程度のサイズになったら外して、単頭でどこまで大きくなるか試してみるつもりです。現在、ちょうど直径6cmです。

瑠璃晃は1929年に命名されたEuphorbia susannae Marlothです。Marlothはドイツ語生まれで南アフリカで働いたHermann Wilhelm Rudolf Marlothのことです。海外のサイトを見ると、"suzannae"ではなくて"susannae"だから気を付けようみたいなことが書いてあったりします。海外では間違われやすいのでしょうか?



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最近、多肉植物栽培の大先輩とお知り合いになりまして、色々と教えていただいております。私自身はと言うと、ブログではあれやこれやと情報をひけらかしてはいますが、何せ経験が浅いもので表面的な知識ばかりで頭でっかちな部分がたぶんにあります。実際の経験豊かな先輩方にご指摘いただけると、私も非常に嬉しく勉強になります。そんな中、ラウリンソニーについて何か情報はありませんかというリクエストをいただきました。ラウリンソニーとは一体どのような植物なのでしょうか?

さて、ラウリンソニー、つまりG. rawlinsoniiはガステリア属の一種ですが、茎が長く伸びて一見してガステリアとは思えない非常に変わった姿をしています。私も図鑑で見たことはありますからその存在自体は知っていましたが、実際に見たことはありません。大型園芸店や即売会でも、まずお目にかかれないレア多肉です。
私自身、ガステリア属にかなりの興味がありますから、最近は色々と調べものをしています。そんな中、ガステリア属について書かれたいくつかの面白い論文を見つけました。そこでは、G. rawlinsoniiの立ち位置は中々面白いように思えます。

論文
2005年に出された『Taxonomy implication of genomic size for all species of the genus Gasteria Duval (Aloaceae) Plant Systematics and Evolution』という論文をまず紹介します。この論文は簡単に言うと、ガステリア属の核DNA(ゲノム)のサイズを測定しましたよというものです。種によってゲノムのサイズが異なり、面白いことにG. rawlinsoniiがもっとも小さく、次に内陸部に自生する13種がG. rawlinsoniiより大きく、さらに沿岸部に自生する5種、そして一番ゲノムサイズが大きいのはG. batesianaということです。著者はゲノムサイズが小さいG. rawlinsoniiがもっとも原始的で、そこから内陸部→沿岸部→北東部(G. batesiana)という風に分布を拡大しながら進化したのではないかと考えているようです。筆者の一人はvan Jaarsveldですが、この論文の前まではG. batesianaがもっとも原始的と考えていたそうです。
しかし、残念ながら2021年に出されたPhylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文を読むと、2005年の論文の考察は否定されています。こちらの論文は遺伝子解析の結果ですから、より正確なはずです。2021年の論文では、西部に分布するG. pillansiiがもっとも原始的で、そこから東部に向かい最先端にいるのがG. batesianaということになりました。結果的にG. rawlinsoniiはG. bicolorともっとも近縁で、G. nitidaと合わせた3種類が非常に近いグループを形成しているそうです。
まあ、2005年の論文を最初に読んだ時に、ゲノムサイズにそれほど大きな差はない様に見えました。差はありますが、非常に僅差です。G. batesianaは他のガステリアと差ははっきりあるように見えましたが、その他は微妙なところです。これは、根拠のない憶測ですが、ガステリア属の分布拡大の最前線にいるG. batesianaは適応のためにゲノムが複雑となりサイズが巨大化し、逆にG. rawlinsoniiは環境適応が完了したのでいらないゲノムを捨てたのかもしれません。

自生地
G. rawlinsoniiは南アフリカの東ケープ州Baviaanskloof山とKouga山でのみ見られるそうです。標高300~700mのミネラルの少ない日陰の多い断崖に生えます。岩の割れ目に根を伸ばして、長い茎を下に垂らして育ちます。最大1~2m程度まで伸びるということです。
しかし、本当に切り立った崖に張りつくように育ち、採取もまったく不可能なため、今のところ絶滅の心配はないようです。海外のサイトでは「自然によって十分に保護されている」という面白い書かれ方をしていました。
そういえば、土壌は弱酸性で意外と腐植土が豊富と言われています。しかし、この弱酸性というのは曲者で、酸性土壌とは別物だったりします。何せ"弱"とありますから、ほぼ中性付近と考えた方が良いでしょう。変に酸性土壌にしようとすると、上手くいかないかもしれません。
G. rawlinsoniiの生える崖にはBulbine cremnophila、Cyrtanthus montanus、Cyrtanthus labiatus、Haworthia gracilis var. picturara、Haworthiopsis viscosa、Plectranthus verticillatus、Othonna lobata、Cotyledon tomentosa、Adromischus cristatus var. zeyheri、Delorperma esterhuyseniae、Albuca cremnophilaなどが見られるとのことです。
ガステリア属は葉挿しで増やせますが、ラウリンソニーは葉挿しがあまり上手くできないと良く言われます。まったく出来ないわけではないようですが、難しいようです。これは、断崖に生えるため、取れた葉が活着出来ないからではないかと言われているみたいです。


育て方の謎
G. rawlinsoniiは国内ではまったくと言っていいほど情報がないため、海外のサイトを色々と閲覧しましたが中々育て方について参考となりそうな記事は見つけられませんでした。
ただ、G. pillansiiは茎が長く育ちますが、根元の古い葉はやがて枯れ落ちます。しかし、どうやら下葉の残り具合は様々なようです。何が違うのでしょうか?
それから、G. rawlinsoniiの沢山の写真を見ていて気が付いたのですが、仕上がりが綺麗な株は地植えが多い様な気がします。ここに育成のヒントがあるのかもしれません。もしかしたらですが、地植えだと根詰まりや土壌の酸性化が起きないため生長が早く、下葉が落ちる前に長く伸長しているのかもしれません。生長が緩やかだと、長く伸びる前に下葉が古くなってしまいますからね。原因がこれらの場合、鉢植えでは植え替えをこまめに行えばある程度は解決出来そうです。
あと、意外にも葉はやたらに深い緑色であることに気が付きました。思ったより強く遮光しているのでしょうか?  あまり遮光すると貧弱に育ってしまうかもしれませんから、これはこれで中々加減が難しそうです。
そういえば、Aloidendron dichotomum(=Aloe dichotoma)では、遮光して水多目で育てると下葉があまり落ちないで育ちますが、無遮光で乾燥させて育てると下葉は直ぐに落ちて常に先端の方だけに葉があるようになります。これも似たような現象かもしれません。

二列生
今回、G. rawlinsoniiについて海外のサイトをあちこち閲覧していた時に、やたらと"葉はdistichousである"と書かれていました。最初何のことだろう?と思いましたが、日本語では「二列生」と訳すようです。意味は、葉が互い違いに出て、左右に並ぶことだそうです。「ガステリア属の幼若植物は二列生だが、成熟するとロゼットを形成する種が多い」の様に使えます。大変便利な言葉ですね。

学名
ラウリンソニーの学名は1976年に命名されたGasteria rawlinsonii Oberm.です。Oberm.は南アフリカの植物学者であるAnna Amelia Mauve (旧姓 Obermeyer)のことです。南アフリカとローデシア(ジンバブエ)で採取した4000以上の植物をカタログ化したことで知らています。


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最近、「アロエ・プリカティリス」の名前で、まったくトゲがなく青白いアロエを目にします。"乙姫の舞扇"の名前もありますが、その名前の通り、葉は旋回しないで左右にきれいに別れて並びます。国内では割りと珍しい多肉植物でしたが、最近では実生苗が出回っていて入手は容易になってきました。
プリカティリスは2013年にアロエ属から独立し、クマラ属Kumaraとなりました。クマラ属はKumara plicatilis(乙姫の舞扇)とKumara haemanthifolia(眉刷毛錦)の2種類のみからなる分類群です。プリカティリスがアロエから分離した経緯は以下の記事をご参照下さい。

DSC_1616
Kumara plicatilis

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"fun aloe"の名前の通り扇状。"plicatilis"も「折り畳むことが出来る」という意味ですから、扇の様な見た目から来ているみたいですね。

プリカティリスは南アフリカの西ケープ州のいくつかの山に自生し、幹は高さ3~5mになります。プリカティリスの自生地はFranschhoekとElandskloofの間の地域に限定され、17の個体群がそれぞれ10km以上離れて点在するそうです。プリカティリスは水はけの良い弱酸性の岩の多い斜面に生えます。
プリカティリスはフィンボス(南アフリカの灌木植生地域。地中海性気候で冬に雨が多い海岸から山岳までの地域)に生えますが、プリカティリス以外のアロエはほとんど生えません。例外はAloiampelos commixtaやKumara haemanthifoliaです。また、海外の松やアカシアが侵入しているそうですが、それほど増えておらず現状においては、問題になってはいないようです。プリカティリスの最大の脅威は園芸用の採取ですが、それほど盛んではないのか個体数の減少は見られていません。
フィンボスではどうやら山火事が起きるみたいですが、プリカティリスの幹は燃えにくいとされています。環境に対応しているということなのでしょう。

そういえば、プリカティリスは挿し木で増やせるらしいのですが、その事と関連して面白い報告があります。Werner Voigtが2009年に、Goudiniのプリカティリスがケープハイラックスという動物による食害を受けている事を報告しています。ハイラックスはプリカティリスの幹に登り、枝を噛み砕いて水分の豊富な中を食べるそうです。この時に地面に落ちた先端部分は直ぐに根付くそうです。

プリカティリスの花には蜂や甲虫などの昆虫、さらにはタイヨウチョウが蜜を吸いにきて受粉します。昆虫とタイヨウチョウという組み合わせは、アロエ属とクマラ属の共通点ですね。

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いつの間にやら根がはみ出していました。来年は植え替えしないといけませんね。

育てた感想としては、プリカティリスは非常に丈夫で、遮光しなくても日焼けしないし、乾燥にも恐ろしく強い植物だということです。調べたところ、pH5.5~6.5という酸性土壌で育つという情報もありました。普通、酸性土壌と言った場合でも実際は弱酸性のpH6.5から中性が普通ですから、ここまで酸性に耐えられることは珍しく感じます。しかし、私は何も考えないで、適当な用土で植えていて実際に育っているわけですから、そこまでうるさくはないのでしょう。

プリカティリスの学名は2013年に命名されたKumara plicatilis (L.) G.D.Rowleyです。プリカティリスがはじめて命名されたのは1753年に命名されたAloe disticha var. plicatilis L.でした。A. distichaは現在のGasteria distichaのことです。しかし、1768年にAloe plicatilis (L.) Burm.f.と独立しました。つまりは、クマラ属になるまで200年以上アロエ属だったわけです。
これはまったくの余談ですが、Aloe distichaと命名された多肉植物は3種類あります。一つ目は1753年のAloe disticha L.で現在のGasteria disticha (L.) Haw.、二つ目は1768年のAloe disticha Mill.で現在のAloe maculata All.、最後に1785年のAloe disticha Thunb.で現在のGasteria carinata var. thunbergii (N.E.Br.) van Jaarsv.です。混乱の元なので、一応記しておきました。
プリカティリスは異名が沢山ありますが、アロエ属とされた異名は1782年にAloe linguiformis L.f.、1784年にAloe tripetala Medik.、1785年にAloe lingua Thunb.、1796年にAloe flabelliformis Salisb.が命名されています。ここでもややこしいことに、Aloe linguiformis Mill.がGasteria distichaの異名だったり、Aloe linguiformis DCがGasteria carinataの異名だったり、Gasteria distichaやGasteria carinataがかつてはAloe linguaの別の変種扱いされてきたり、なんとも複雑な経緯を辿っています。
また、プリカティリスは現在は存在しないリピドデンドルム属とされたことがあります。1811年に命名されたRhipidodendrum distichum Willd.あるいは1821年に命名されたRhipidodendrum plicatile (L.) Haw.です。リピドデンドルム属はそもそもは、Rhipidodendrum dichotomumつまりはAloidendron dichotomum(=Aloe dichotoma)とプリカティリスのために創設された属名だったりします。



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最近、ガステリアが気になって仕方ありません。まったくもって、すっかり流行りから外れた感のあるガステリアですが、だからといってその美しさや素晴らしさが減衰したなんてことはありません。そんなこんなで、じわじわガステリアを集めはじめていますが、最近記事にするようになってからは、論文も少し読んだりしています。そんな論文ですが、中々面白いことが書いてあり、特にガステリア・ピランシーの立ち位置が意外と重要かもしれないと考えさせられました。
ガステリア・ピランシーは南アフリカ西部に分布する大型のガステリアです。しかし、遺伝子解析の結果から、ピランシーはガステリア属の中でも系統的には原始的とされています。


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ピランシーの苗。

2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、何とガステリア属29種の遺伝子を解析して、系統関係を推測しています。シークエンス解析という遺伝子の配列を読む技術があるのですが、その中でもサンガー法という方法があり、そのサンガー法と新しいシークエンス技術で解析した論文です。ここでは、細かい技術的な話や系統解析の議論は省略して、最終的な結論のみを示します。種と種の関係性と、進化の道筋を示した分子系統です。

南アフリカを大まかに北西部、南西部、南部、南東部、北西部に分けると、それぞれの産地のガステリアは遺伝的に近いことが分かりました。面白いのは、ガステリア属は南アフリカの北西部で生まれて、①→②→③→④→⑤と西から東へ分布を拡げながら東進して様々な種に別れたように見えるのです。この系統の根元にある①北西部産ガステリアとはGasteria pillansiiのことです。

ガステリア属の分子系統
┏━━━━①北西部産ガステリア
┃                    (G. pillansii)
┫┏━━━②南西部産ガステリア
┃┃
┗┫┏━━③南部産ガステリア
    ┃┃
    ┗┫┏━④南東部産ガステリア
        ┗┫
            ┗━⑤北東部産ガステリア


②南西部産ガステリア
┏━━━━━━G. vlokii

┫    ┏━━━━G. koenii
┃┏┫
┃┃┗━━━━G. brachyphylla
┗┫
    ┃    ┏━━━G. thunbergii
    ┃┏┫
    ┃┃┗━━━G. carinata 
    ┗┫                      var. glabra
        ┃
        ┃┏━━━G. retusa
        ┗┫
            ┃┏━━G. carinata
            ┗┫
                ┃┏━G. langebergensis
                ┗┫
                    ┗━G. disticha

③南部産ガステリア
④南東部産ガステリア
⑤北東部産ガステリア
    ┏━━━━━━━③G. bicolor                          
┏┫                                         
┃┗━━━━━━━③G. rawlinsonii                 
┃                                             
┫┏━━━━━━━③G. nitida 
┃┃
┃┃         ┏━━━━④G. excelsa
┃┃     ┏┫
┃┃     ┃┗━━━━④G. pulchra
┃┃     ┃
┃┃┏ ┫ ┏━━━━④G. ellaphieae                         
┃┃┃ ┃ ┃ 
┃┃┃ ┃ ┃    ┏━━④G. polita
┗┫┃ ┗ ┫┏┫
    ┃┃      ┃┃┃┏━④G. acinacifolia
    ┃┃      ┃┃┗┫
    ┃┃      ┗┫    ┗━④G. barbae
    ┃┃          ┃
    ┃┃          ┃┏━━④G. armstrongii
    ┗┫          ┗┫
        ┃              ┃┏━④G. glauca
        ┃              ┗┫
        ┃                  ┗━④G. glomerata
        ┃
        ┃    ┏━━━━⑤G. croucheri
        ┃┏┫
        ┃┃┗━━━━⑤G. loedolffiae
        ┗┫
            ┃┏━━━━⑤G. tukhelensis
            ┗┫
                ┃┏━━━⑤G. batesiana
                ┗┫                      var. batesiana
                    ┗━━━⑤G. batesiana
                                               var. dolomitica

論文の内容はここまでとして、ピランシーの自生地の情報を調べて見ました。
ピランシーは"Namaqua gasteria"の名前の通り、ナマクアランドに生えます。分布で言うと、南アフリカとナミビア最西端です。ピランシーはアフリカ西岸に生える唯一のガステリアで、また冬に雨季がある地域なんだそうです。夏は40℃に達します。
ピランシーはナマクアランドの海岸の断崖から標高1000mまで見られ、低木の下や岩陰に生えます。pHは6.8~7.8ですから、どちらかと言えば弱アルカリ性で育つと言えます。
自生地では、根元から子を吹いて約150個体が密集して1mほどの塊となるそうです。
Clanwilliamの南では、Diospyros ramulosa(柿の仲間)やMontinia caryophyllacea(乾燥地の低木)の陰にピランシーは生え、Lampranthus thermarum(マツバギクの仲間)やTylecodon paniculatus("阿房宮")、Tylecodon reticulatus("万物想")、Cotyledon orbiculata、Stapelia hirsuta、Prenia pallensがともに生えます。
Port Nolloth地域のOograbies山では、ピランシーはTylecodon racemosusやTylecodon similis、Tylecodon schaeferianus("群卵")、Haworthia arachnoidea、Crassula hemisphaerica("巴")、Crassula columella、Conophytum stephaniiなどが生える、世界有数の多肉植物の産地に生えます。しかし、これだけ分布域が広く、しかも個体数が多いためまったく保護の必要はないとのことです。


ピランシーの学名は1910年に命名されたGasteria pillansii Kensitです。Kensitは南アフリカの植物学者、分類学者のHarriet Margaret Louisa Bolusです。Kensitは旧姓で、一般にはL.Bolusの略名で知られているかもしれません。L.Bolusはアフリカ多肉植物協会の副会長や南アフリカ王立協会のフェローなど歴任し、大変な業績のある人物のようです。
また、ピランシーには1929年に命名されたGasteria neliana Poellnという異名があります。
ピランシーには変種があり、2007年に命名されたGasteria pillansii var. hallii van Jaarsv.と、1992年に命名されたGasteria pillansii var. ernesti-ruschii (Dinter & Poelln.) van Jaarsv.があります。var. ernesti-ruschiiは1938年に命名された時はGasteria ernesti-ruschii Dinter & van Jaarsv.でしたが、現在はピランシーの変種となりました。
G. pillansii var. halliiは、Port Nolloth近くのOograbies山、G. pillansii var. ernesti-ruschiiはナミビア極北から知られています。



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レイストネリはナミビアとアンゴラのごく狭い地域に自生するユーフォルビアです。見た目からして地味なためか、基本的に売っていませんし、ネットの情報も国内だとほぼありません。海外のサイトでは多少の情報はありますが、それでもあまりないようです。
海外のサイトの情報だと、ナミビア北西とアンゴラ南西のKunene川付近に自生するとあります。もう少し詳しい情報はないかと調べていたら、1998年に出た『Euphorbia leistneri (Euphorbiaceae), a new species from the Kaokoveld (Namibia)』というレイストネリについて書かれた論文を発見しました。著者はR.H.Archerとあります。レイストネリは1998年に命名されたEuphorbia leistneri R.H.Archerですから、この論文がレイストネリが命名され世界に知られた第一報ということになります。ということで、この論文を簡単に紹介していきたいと思います。

DSC_1623
Euphorbia leistneri

DSC_1624
徐々に木質化していきます。

南アフリカのプレトリア国立植物園にある低木状ユーフォルビアであるE. leistneriは、ナミビアのKaokoveld北部のEpupa滝の近くで1976年にO.A.Leistner博士により収集されました。ただし、これはE. monteiroi(柳葉キリン)と間違われていたようです。レイストネリの名前は発見者のLeistner博士に対する献名です。

レイストネリの特徴は、まばらに枝分かれする低木です。葉は時計回りに螺旋状に10~20枚で、緑色の楕円形で25~30mm × 70~90mm。茎は細かい赤みを帯びた淡い緑色、葉の付け根に色素沈着があります。現地では12月から1月に開花し4月に種子を採取したとあります。花の特徴は分類学上では大変重要なので長々と解説してありますが、ここでは割愛させていただきます。

Kaokoveldは人里離れた山岳地帯で、116種の固有種あるいは固有種に近い植物が生えています。レイストネリはKunene川のEpupa滝の近くの狭い地域に非常に稀です。1997年の調査では200平方メートルの狭いエリアでしか見つからず、地元の住民に聞いても他では見たことがないとのことです。論文ではKunene川の両岸の更なる調査が必要としています。


現在、Kunene川では水力発電計画により自生地が消滅する可能性があり、今後地球上から野生のレイストネリが失われてしまうかもしれません。大変悲しいことですが、役に立たない植物より地元の人々の生活を優先するのは仕方のないことです。特にそれを遠く離れた便利な生活を享受している先進国の人間が批判することほど、地元の人々からしたら傲慢かつこれ程お門違いな話はないでしょう。もし、どうにかしたいのであれば、現地に行って保護活動をして、現地の人々が発電所開発で享受出来たはずの恩恵を、別の手段で代替するしかありません。まあ、そんな人はいませんから、どうにもならないでしょうね。


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7月初めに新羽駅(横浜)近くにあるヨネヤマプランテイションで開催されたBIG多肉植物即売会で、ゴットレベイという原種花キリンを購入しました。モジャモジャと絡み付くような細長い葉と、鮮烈な赤い花で花キリンとしても非常に特徴的です。

DSC_1503
購入時。細長い葉と赤く花が特徴。

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植え替えましたが、ようやく新しいトゲが出てきました。雨に当てない無遮光栽培。

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神代植物公園の大温室のゴットレベイの大群生株。ここまで育てるのに、どれくらいの年数がかかっているのでしょうね。右側から塊根性のウリ植物Xerosicyosの蔓が伸びてきて絡み付いていますが、蔓を少しカットするか空いている方へ誘引してあげて欲しいですね。

そういえば、ゴットレベイは花キリンですから、やはりマダガスカルの原産です。野生株は園芸用に採取されておりますが、現在個体数は問題ないレベルのようです。
ゴットレベイの学名は1992年に命名されたEuphorbia gottlebei Rauhです。Rauhはドイツの生物学者、植物学者、作家のWerner Rauhです。Rauhはアナナス科と多肉植物の専門家で、アフリカや中南米へ毎年のように調査に訪れ、アナナスやマダガスカルの植物についての本を出版しています。


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臥牛と言えばガステリアの代表格です。ガステリア自体はあまり販売していませんが、臥牛の美しい品種はまだ見る方です。そんな臥牛の学名と言えば、Gasteria nitida var. armstrongiiとして知られています。しかし、最新の論文では臥牛はニチダの変種ではないとされています。どういうことなのでしょうか?

臥牛はニチダの変種であり、ネテオニーの可能性があると言わることもあります。ネテオニーとは日本語では幼形成熟ですが、例えば昔流行ったウーパールーパーなるサンショウウオがありましたが、あれは幼生のまま育って成熟したメキシコサラマンダーです。同様に、ニチダは幼体のうちは左右に葉が並びますが、育つと葉は旋回してアロエの様なロゼットを形成します。しかし、臥牛の葉は旋回しません。よって、臥牛はニチダの幼体のまま育ったものだと言うのです。
なぜ、その様に言われるのかは定かではありませんが、ニチダとアームストロンギイは分布域が重なり、Gamtoos river付近では混在するからかもしれません。

最新の遺伝的解析による分子系統を示します。2021年に出たPhylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文です。
G. nitidaはG. rawlinsonii、G. bicolorと近縁とされます。しかし、アームストロンギイは必ずしもニチダに近縁ではないため、G. armstrongiiとして独立種とされています。そのG. armstrongiiは、G. glaucaやG. glomerataと近縁であり、G. polita、G. acinacifolia、G. barbaeと姉妹群を形成しています。


    ┏━━━━━━━G. bicolor                          
┏┫                                         
┃┗━━━━━━━G. rawlinsonii                 
┃                                             
┫┏━━━━━━━★G. nitida 
┃┃
┃┃         ┏━━━━G. excelsa
┃┃     ┏┫
┃┃     ┃┗━━━━G. pulchra
┃┃     ┃
┃┃┏ ┫ ┏━━━━G. ellaphieae                         
┃┃┃ ┃ ┃ 
┃┃┃ ┃ ┃    ┏━━G. polita
┗┫┃ ┗ ┫┏┫
    ┃┃      ┃┃┃┏━G. acinacifolia
    ┃┃      ┃┃┗┫
    ┃┃      ┗┫    ┗━G. barbae
    ┃┃          ┃
    ┃┃          ┃┏━━★G. armstrongii
    ┗┫          ┗┫
        ┃              ┃┏━G. glauca
        ┃              ┗┫
        ┃                  ┗━G. glomerata
        ┃
        ┃    ┏━━━━━G. croucheri
        ┃┏┫
        ┃┃┗━━━━━G. loedolffiae
        ┗┫
            ┃┏━━━━━G. tukhelensis
            ┗┫
                ┃┏━━━━G. batesiana
                ┗┫                     var. batesiana
                    ┗━━━━G. batesiana
                                             var. dolomitica

私が学名の根拠としている『The World checklist of Vascular Plants』によると、臥牛はGasteria nitida var. armstrongiiとなっています。しかし、その根拠は2003年の『Plants of Southern African  : an annotated checklist.』と『World Checklist of Seed Plants Database in Access G』によります。
しかし、これらは最新情報に改定を繰り返しますから、次の改定では学名が変わるかもしれませんね。
ニチダの学名は1817年に命名されたAloe nitida Salm-Dyckが最初ですが、1827年にはGasteria nitida (Salm-Dyck) Haw.となり、これが現在認められている学名です。1830ににはHaworthia nitida (Salm-Dyck) G.Donも提唱されましたが、認められておりません。
臥牛の学名は1912年に命名されたGasteria armstrongii 
Schönlandですが、1992年にはGasteria nitida var. armstrongii (Schönland) van Jaarsv.とされました。果たして最新の研究結果からG. armstrongiiが認められるのでしょうか。その場合、昔の学名に戻ることになりますね。

DSC_1614
Gasteria armstrongii GM07c-5
フィールドナンバー付き。典型的な臥牛ではありませんが、これはこれで個性的。


臥牛はJeffreys Bayと東ケープ州のGamtoos riverに分布します。臥牛はガステリアの自生地に多い崖地ではなく、小石が多い平坦あるいは丘陵地に自生するようです。自生地には、Pachypodium bispinosum、Boophone disticha、Bergeranthus glenensis、Euphorbia gorgonis、Freesia alba、Crassula tetragona subsp. acutifoliaが見られるとのことです。
しかし、臥牛は野生株は絶滅危惧IA類という最も高いレベルの危機に瀕しています。臥牛は平坦地に生えることから採取しやすく、園芸的に人気があるため盗掘の被害にあっているそうです。また、平坦地ということで、農業用地として開拓されてしまうことにより、自生地が失われています。人の生活圏と生息地が重ってしまうと、生息地が失われて危機に瀕するというのはよくある話ですが、多肉植物好きとしてはとても悲しく思います。





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フィリプシオイデスは、最近少しずつ国内でも販売されるようになってきた、ソマリア原産のユーフォルビアです。去年の冬にあった千葉のイベントで入手しましたが、購入時はトゲが弱くあまり特徴が分からない雰囲気でしたが、最近になってようやく良いトゲが出てきました。しかし、標高1300~1500mに生えるソマリアものですから、これからの暑い季節は苦手でしょうね。

IMG_20211219_173016
2021年12月。購入時。
蕾付きでしたが、全体的にトゲは弱いみたいです。


DSC_0681
花はとても小さいので、接写はこれが限界です。

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2022年7月。良いトゲが出てきました。子吹きもして、これからが楽しみです。

フィリプシオイデスの学名は1992年に命名されたEuphorbia phillipsioides S.Carterです。S.Carterはイギリスのユーフォルビア、モナデニウムを専門とする植物学者のSusan Carter Holmesです。Carterは国際ユーフォルビア協会(IES)の会長です。
そういえば、フィリプシオイデスの"-oides"は「~に似た、~の様な、~状の」という意味です。これは、「phillipsi + oides」、つまりEuphorbia phillipsiae(=Euphorbia golisana)に似ているという意味となります。フィリプシオイデスもフィリプシアエも同じソマリア原産で分布も同じです。フィリプシアエは1903年の命名ですが、どうやらフィリプシオイデスと混同され勝ちだったようです。それから89年後にようやく区別されました。

DSC_0433
Euphorbia phillipsiae
フィリプシアエのトゲは赤く、トゲが白いフィリプシオイデスとは異なります。しかし、トゲの形や生えかたは同じです。



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アロエ・ボウィエアは南アフリカ原産のアロエです。あまりアロエっぽさがない外見のボウィエアですが、記事を遡って調べてみたら、ちょうど2年前の今頃に入手したようです。入手した頃に一度記事にしておりますが、実際に栽培した所感を含め、改めて記事にしてみました。

かつてのボウィエアの記事はこちら。

アロエ・ボウィエアは一見して球根植物というか、最近流行りのケープバルブのように見えなくもありません。私もはじめて見た時に、根元はずんぐりして葉は先端が細長く伸びる姿を見て、まるでエアープランツ(Tillandsia)の様だと思いました。
それから2年間育てた結果わかったことは、強光や乾燥には耐えられるものの、そういう育て方では綺麗に育たないということです。どうもあまり強光に当てると細い葉先が枯れ混んで、アロエ・ボウィエアらしいアロエとしては風変わりな姿を観賞出来なくなります。去年はそれで失敗しましたから、今年はハウォルチアやガステリアと同じ棚で遮光気味に管理しております。葉は完全回復とはまだ言えませんが、大分良くなりつつあります。


DSC_0694
2022年1月。
葉先が枯れてしまいました。ボウィエアは細い葉が長く伸びるのが特徴なので、ややみすぼらしく見えます。


DSC_1607
2022年7月。
4月に外に出して、ハウォルチアやガステリアと並べて育ててきました。たった3ヶ月ですが、長い葉が伸びてきて少し見られるようになってきました。


アロエ・ボウィエアの学名は1829年に命名されたAloe bowiea Schult. & Schult.f.です。
最初に命名された学名はBowiea africana Haw.でした。ボウィエア属からアロエ属に移動する際、普通は種小名は引き継ぎますが、何故かAloe africanaにはなりませんでした。これは、1768年にAloe africana Mill.というアロエがすでに命名されていたからです。同じ名前は認められませんから、新たにbowieaという種小名がつけられたわけです。


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最近、ハウォルチオプシスやらアストロロバやら、いわゆるアロエ類に興味があります。詳しく知りたくなり、アロエ類についての論文を読んで紹介したりしました。

アロエ類と言えば当時ながらアロエ属とハウォルチア属、さらにはツリスタ属、アストロロバ属、ハウォルチオプシス属と手を広げてきました。そうなると、俄然ガステリア属にも興味が湧いてくるのは自然の摂理というものでしょう(?)。
さてそんな中、エラフィエアエというガステリアを入手しました。白点が密に入る、いかにもガステリアらしい美しい種類です。どのような植物なのでしょうか?

DSC_1592
Gasteria ellaphieae
エラフィエアエは画像の様に多肉質の平たい葉が左右に伸びていますが、生長すると葉が旋回してロゼットを形成するようです。これからの生長が楽しみです。


エラフィエアエの原産地は南アフリカの東ケープ州にあるKougaダム地域とのことです。私がおやっと思ったのは、先週記事にした「白雪姫」ことGasteria glomerataもやはりKougaダムと関係があるからです。そういえば、エラフィエアエの学名の命名は1991年のGasteria ellaphieae van Jaarsv.ですが、グロメラタもやはり1991年にvan Jaarsveldに命名されています。エラフィエアエ自体はvan JaarsveldがKouga地域でAloe pictifoliaを探していた時に偶然発見したようですが、この時にグロメラタも発見されたのかもしれませんね。
エラフィエアエもグロメラタと同様に、切り立った崖の斜面に生えるそうです。そして、やはりタイヨウチョウによって受粉されるというところも同様です。


グロメラタの記事はこちら。
何でも、エラフィエアエの自生地には竜城Haworthiopsis viscosaやHaworthia isabellaeが生えるということです。この様な自生地にともに生える植物の情報は興味深くもっと知りたいのですか、調べてもあまり出てこないのが現状です。いちいち論文で確認を取るのは中々手間がかかりますから難しいところです。(※古い論文は紙の出版物ですから、デジタル化されていません。ネットで探してもないことも良くあります)

しかし、ガステリア自体は昔から流通していますが、実際にはそれほど販売していませんね。要するに人気が今一つなのでしょう。ビッグバザールでも見かけたガステリアは流麗な斑入り品種、臥牛系交配種や選抜品種、あるいは恐竜ぐらいだったような気がします。ちなみに恐竜はピランシーのことだったり、ピランシー系交配種も恐竜と呼んだりもするらしく、あやふやすぎていまいち手が出せません。
ガステリアは日本でも長い歴史があり、ガステリア・ファンにより優れた品種が沢山作られてきました。しかし、私は何だかんだ言っても原種が好きなので、かつての流行にも乗れないでいます。原種はあまり入手出来ないでいますが、イベントなどでの一期一会を楽しみにしていますから、ネット販売品をかき集めたりはせず、ゆっくり集めていきたいと思っております。まあ、ネット販売品は明らかに名前が違っていたり、最近では徒長していたり腐りかけていたり、怪しげなものが多すぎることもありますけどね。いくつかの販売サイトは、記事を書くための情報収集としてサイトを見ようとしたらウイルスソフトが詐欺サイトと判断して警告を出してくる始末です。何とも困ったことです。



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以前、池袋の鶴仙園に行った降り、サボテンハウス(?)の端の方にミニ多肉があり、良く見るとユーフォルビアでした。中にEuphorbia richardsiaeがあり、これははじめて見ました。さらに"オンコクラーダ"なるユーフォルビアもあり、悩みつつも購入しました。
さて、かつてユーフォルビア属の分類を調べた事があり、こういう棒状のユーフォルビアは結構種類があり、どれも良く似ていることが分かりました。ですから、見分けがつかないのにコレクションするのもどうかという思いがあり、手を出してきませんでした。しかし、実際に育てて見ないとわからない部分もあると思い直して、購入に至りました。


DSC_1410
調べて見ると、ユーフォルビア・アルアウディイの亜種オンコクラダであることが分かりました。しかし、基本種のアルアウディイと亜種オンコクラダの違いは何かというといまいち分かりません。オンコクラダは枝が節毎に膨れるので、そこが違いなのでしょうか?
私の入手した株も良く日に当てて育てれば膨れるのでしょうか? まだ分かりません。

そういえば、オンコクラダはマダガスカル原産みたいです。ここで一つ思い付いたのは、このように棒状の形態に特殊化した多肉ユーフォルビアはマダガスカル島の固有なのではないかということです。例えば、花キリンの仲間、つまりユーフォルビア亜属ゴニオステマ節は基本的にマダガスカル原産の固有種です。オンコクラダの形態は類似種含めて、マダガスカル島で特殊化したものなのでしょうか。調べてみました。

ユーフォルビア属の分類の記事はこちら。

オンコクラダはユーフォルビア亜属デウテロカリィ節です。デウテロカリィ節はアルアウディイ、アルアウディイ亜種オンコクラダ、ケドロルム(E. cedrorum)があります。ケドロルムもマダガスカルの固有種です。なるほど、まさにマダガスカルで特殊化した様に見えます。しかし、棒状ユーフォルビアはデウテロカリィ節だけではありません。有名種はユーフォルビア亜属ティルカリ節に含まれます。

ティルカリ節と言えば、緑珊瑚=ミルクブッシュ(E. tirucalii)や形は異なりますが近縁のトナカイ角=銀角珊瑚(E. stenoclada)、硬葉キリン=ヘラサンゴ(E. xylophylloides)が有名です。ミルクブッシュは東アフリカ原産とも言われますが、生け垣などとして各地で植えられたため、世界中で野生化しており、必ずしも東アフリカ原産とは言えないようです。原産地不明とする方が良いでしょう。ヘラサンゴ、トナカイ角はマダガスカル原産です。他のティルカリ節であるE. analalavensis、E. arahaka、E. kamponii、E. enterophora、E. fiherensisはやはりマダガスカル原産です。しかし、E. gregariaは南アフリカ・ナミビア原産、ヘラサンゴに似たE. enterophoraはソコトラ島原産で、マダガスカル原産ではありません。各地で棒状に進化した可能性もありますが、マダガスカルで棒状に進化した後、各地に広がったとする方が自然です。もちろん、アフリカ大陸で棒状ユーフォルビアが誕生して、マダガスカル島に伝播して急激に種分化した可能性も存在します。

さて、外見が似ているからと言って近縁であるとは、必ずしも言えません。しかし、ともにほとんどがマダガスカル固有種であることから、デウテロカリィ節とティルカリ節は近縁である可能性は大でしょう。そういえば、ユーフォルビア亜属ブラジリエンセ節には夜光キリン(E. phosphorea)という棒状ユーフォルビアがあり、節の名前の如くブラジル原産です。さらに、ブラジリエンセ節には夜光キリンの他にも、E. attastomaやE. sipolisiiがありやはりブラジル原産です。しかし、外見上はデウテロカリィ節やティルカリ節とは、やや雰囲気が異なります。近縁関係は不明ですが、南米で特殊化したユーフォルビアかもしれません。


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生長を開始して先端が枝分かれしました。

アルアウディイのとオンコクラダの学名は1903年に命名されたEuphorbia alluaudii DrakeEuphorbia oncoclada Drakeとされました。しかし、オンコクラダは1976年にアルアウディイの亜種Euphorbia alluaudii subsp. oncoclada (Drake) F.Friedmann & Cremersとなりました。

そういえば、ミルクブッシュを緑珊瑚という風に、この手の棒状のユーフォルビアを◯◯珊瑚と呼んだりします。私は勝手に珊瑚系ユーフォルビアなんて呼んでいます。オンコクラダは私が入手したはじめての珊瑚系ユーフォルビアです。これからどう育つのか楽しみです。



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先週、Gasteria glomerataについての記事をまとめました。その記事のコメント欄で、Gasteria batesiana var. dolomiticaについてリクエストがありました。
調べてみますと中々面白いガステリアであることは分かりました。しかし、私自身はドロミチカを育てておりませんから、写真もないし記事としてはややつまらないのではと思いまして、ガステリアについて書かれた論文の軽い紹介も含め一つの記事とさせていただきます。

バテシアナとドロミチカ
さて、ドロミチカの基本情報の紹介です。しかし、ドロミチカはバテシアナの変種ですから、バテシアナについても解説します。そういえばバテシアナは「春鶯囀」なる名前がつけられていますね。
ここで一つ注意しなければならないことがあります。Gasteria batesianaは、Gasteria batesiana var. batesianaのことを言っている場合と、G. batesiana var. batesianaとG. batesiana var. dolomiticaを合わせた総称のことを言っている場合があります。学術的には単にGasteria batesianaと書いた場合は変種も全て含めた総称ですが、園芸的・あるいは趣味家がGasteria batesianaと書いた場合はvar. batesianaのことを言っています。ですから、園芸的には、春鶯囀=G. batesiana var. batesianaと、G. batesiana var. dolomiticaがあって区別しますが、var. batesianaは省略されて単にG. batesianaと表記されてしまいます。実にややこしいですね。
ですから、ここで言うバテシアナはvar. batesianaとvar. dolomiticaを合わせた解説と思って下さい。

分布域
バテシアナの分布はKwaZulu-Natal北部のTukhela (Tugela) riverの北部からLimpopo州のOlifants riverまでの内陸部の断崖の東側に自生します。実はバテシアナはガステリア属の中で最も北に自生する種であることが知られています。その中でもドロミチカはMpumalangaの切り立ったドロマイトの崖に自生しますが、ドロミチカはバテシアナの中でも自生地は最北端にあるとのことです。

ドロマイトについて
ここで一つドロマイトについて、考えたいことがあります。ドロマイトは苦灰石あるいは白雲石と呼ばれますが、苦灰石の苦(苦土)=マグネシウム、灰(石灰)=カルシウムを示しています。つまり、ドロマイトはマグネシウムとカルシウムを含んだ鉱物であるということです。ドロマイトはカルシウムを含むためアルカリ性ですが、このアルカリ性かつマグネシウムを含むという特徴はかなり重要なことに思えるのです。

畑に野菜などを作る時に石灰を撒きますが、あれは酸性に傾きすぎた土をアルカリ性で中和するためです。別に土をアルカリ性にしているわけではありません。微生物の働きで酸が出来ます。さらに、植物の根からも酸が出ますから、土はやがて酸性が強くなり、植物の栽培に適さなくなります。ですから、石灰を撒くわけです。
ただし、水田に鉄分とケイ素補給のために撒く「ケイカル」を畑に撒くと、土は何年もアルカリ性になります。しかし、土がアルカリ性だと何故か作物の出来がいまいちとなり勝ちでした。その原因は、アルカリ性だとマグネシウムの吸収が悪くなるためと考えられています。

現在戦火に見舞われているウクライナは昔から優れた穀倉地帯として有名ですが、土壌はアルカリ性です。何故、作物が育つのでしょうか。それは土壌にマグネシウムが豊富に含まれているからです。日本の土壌はミネラルが余りありませんから、マグネシウムを畑に撒けばアルカリ性でも問題なく作物は育ちます。話をまとめると、土壌がアルカリ性だとマグネシウムの吸収を阻害するものの、マグネシウムが豊富なら問題はないということです。

よって、ドロマイトはアルカリ性ですが、マグネシウムを含むためドロミチカは生育できるのではないかということです。ドロミチカの栽培はアルカリ性にした方が良いかは分かりませんが、もし石灰を撒いてアルカリ性にするならば、マグネシウムもあった方が良いいと思います。やはり、ただの石灰ではなくマグネシウムが豊富な苦土石灰が良いのではないでしょうか? 苦土石灰は苦土=マグネシウム、石灰=カルシウムですが、これは苦灰石(ドロマイト)と同じですね。調べたところ、なんと苦土石灰はドロマイトを粒状に加工したものとのことです。苦土石灰を与えることが、ドロミチカの生育にプラスになるかもしれません。


保全状況
学術調査によるとバテシアナは自生地では非常に希な植物とのことです。しかし、現地ではバテシアナは薬用植物として利用されています。詳細は書かれていませんでしたが、ただの薬草ではなく呪術的な意味合いがあるようです。アフリカには呪術医(ウイッチドクター)がおり、未だに幅を利かせていますからね。まあ、それでもバテシアナは崖に生えますから、採取できない高さにあるものは無事とのことです。いずれにせよ、珍しい植物であることは間違いありません。

新しい論文
ガステリア属は見分けるべき特徴が少なく、皆良く似ているため、学者泣かせの植物です。生長に伴い葉の形が変わったりもしますから、その分類や系統関係の推測はさらに難しいものとなっています。
2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、何とガステリア属29種の遺伝子を解析して、系統関係を推測しています。ただし、この論文は100ページを超える大部なもので、まだ全てを読めてはいません。とりあえず、バテシアナについてのみ見てみると、以下の様な系統となっています。


        ┏━━G. batesiana
    ┏┫            var. dolomitica
    ┃┗━━G. batesiana
┏┫                var. batesiana
┃┗━━━G. tukhelensis

┃┏━━━G. croucheri
┗┫
    ┗━━━G. loedolffiae

この系統図を見た時に、おやっと思いました。南アフリカの東側のガステリアの分布と、分子系統がぴったり合っているからです。南アフリカのガステリアは東側では、G. loedolffiae→G. croucheri→G. tukhelensis→G. batesiana→G. batesiana var. dolomiticaという順番で北東に並ぶように分布します。どうやら、南アフリカの南端から東側にガステリア属が分布を拡げたようです。現在、その最先端がドロミチカと言えるのかもしれません。

鳥媒花
ガステリア属は鳥に花粉を運んでもらう鳥媒花です。それは、ドロミチカも同様です。花粉を運ぶのは、蜜を吸いにくるタイヨウチョウです。ちなみに、タイヨウチョウは南アフリカに21種類いるそうです。

面白い増えかた
ドロミチカは葉先が土に触れると、なんと葉先から子を吹く性質があります。葉が反り返る形状からして、地面に葉先が触れる事が多いのかもしれません。根元からのみ子吹きするよりも、少し離れた場所に新しい株が定着すれば、分布を拡大するに当たって有利なのでしょう。

学名
バテシアナの学名は1955年に命名されたGasteria batesiana G.D.Rowleyです。ドロミチカは1999年に命名されたGasteria batesiana var. dolomitica van Jaarsv. & A.E.Wykです。命名者はともに南アフリカの植物学者であるErnst van JaarsveldとAbraham Erasmus van Wykです。 



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かつて硬葉系ハウォルチアと呼ばれていたハウォルチオプシス属は、そのほとんどの種が地味というか、大変渋い存在です。硬葉系の名の如く葉は非常に硬く、ほとんどの種は軟葉系ハウォルチアとは異なりオブツーサの様な美しい透明の窓はありません。葉にはイボがあるものが多くざらざらしており、暗い色彩だったりします。個人的には好きで、今後は軟葉系よりも硬葉系を集めたいと思っています。
しかし、ハウォルチオプシス属は軟葉系ハウォルチアと比べたら人気が今一つなせいか、入手しやすいとは言えない状況です。アテヌアタ交配種の"十二の巻"や、最近普及しているアテヌアタ(H. attenuata)の選抜品種である"特アルバ"は目にしますが、それ以外の種は普通の園芸店では難しいところです。"五重塔"(H. tortuosa)や"竜城"(H. viscosa)あたりは、もしかしたら目にすることはあるかもしれません。そんな中、"スカブラ"(H. scabra)は私もはじめて見掛けましたので驚きつつも購入しました。

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Haworthiopsis scabra
スカブラは実にハウォルチオプシスらしい存在です。細かいイボに覆われて葉の表面はざらつき、葉は尖りコンパクトなロゼットを形成します。地味ではありますが、非常に整った美しい多肉植物だと思います。

さて、スカブラの学名は2013年に命名されたHaworthiopsis scabra (Haw.) G.D.Rowleyです。最初に命名されたのは1819年のHaworthia scabra Haw.ですが、1829年にはAloe scabra (Haw.) Schult. & Schult.f.とされました。ハウォルチアは1809年にHaworthia Duvalが創設されるまでは、アロエ属であったことは珍しいことではなく良くあることです。しかし、ハウォルチア属として命名後にアロエ属とされるのはやや珍しく感じます。まあ、スカブラは質感的に小さいアロエっぽさがまったく無くはないのですが、これは当時のアロエ属の定義が異なっていただけでしょう。当然ながら現在スカブラはアロエではなくてハウォルチオプシスです。
さて、G.D.Rowleyが2013年にスカブラをハウォルチオプシス属とした時に、スカブラに3変種を認めました。つまり、Haworthiopsis scabra var. morrisiae (Poelln.) G.D.RowleyHaworthiopsis scabra var. lateganiae (Poelln.) G.D.RowleyHaworthiopsis scabra var. starkiana (Poelln.) G.D.Rowleyです。さらに、2016年にはHaworthiopsis scabra var. smitii (Poelln.) Gildenh. & Klopperが認められました。しかし、同じく2016年のHaworthiopsis scabra var. johanii (M.Hayashi) Breuerは異名とした認められておりません。まあ、今後変わるかもしれませんが。
それはそうとして、この変種たちの特徴はなんでしょうか? いまいち分かりません。スタルキアナは"風車"の名前で流通していましから分かります。風車はイボがなく肌がツルツルしているタイプです。よく日に当てると、黄色くなります。
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風車(ダルマ型)
Haworthiopsis scabra var. starkiana

変種スタルキアナ以外の変種については、ネット検索して出てきた画像が正しいのか良く分かりませんが、それが正しいとすると以下の通りです。
・変種ラテガニアエは葉が長くザラザラしない。
・変種スタルキアナは葉が短くザラザラしない。
・変種スミティイはイボはあるがツルツル。
・変種モリシアエは情報がなく良く分かりません。

変種のスタルキアナは"風車"と呼ばれますが、これは葉が螺旋状に渦巻くことに由来します。スタルキアナと同様、スカブラの葉もやや螺旋状に育ちます。その程度は個体差がありますが、それはスタルキアナも同様です。ネットでは"強螺旋"だとか、"トルネード型"なんて言われているみたいです。スカブラ系は個体差は大きいので、タイプの違いをコレクションすることも、また楽しいかもしれませんね。



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夏のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、Fouquieria ochoterenaeを入手しました。Fouquieriaはメキシコ原産の乾燥地に生える灌木です。

過去にフォークィエリアの種類についてまとめた記事はこちら。

何故かこのFouquieria ochoterenaeをオコチョロ(ocotillo)と勘違いしてしまっていました。一般的にオコチョロとはFouquieria splendensのことで、尾紅寵(おこちょう)とも呼びます。しかし、オコチョロで調べると、メキシコの砂漠に生えるFouquieriaの灌木をオコチョロと呼ぶという解説に行き当たりました。よくよく調べるとFouquieria自体が"ocotillo family"などと呼ばれていることが分かりました。要するに、地元ではFouquieriaの種を区別せずにまとめて"ocotillo"と呼んでいるらしいのです。
ですから、オコチョロ(ocotillo)とはFouquieria属の灌木の呼び名で、尾紅寵はFouquieria splendensの園芸名ということなのでしょう。
さて、どうもそういうことらしいので、我が家の"ocotillo family"を紹介します。


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Fouquieria ochoterenae
ビッグバザール購入品。生長は早いみたいです。

学名は1942年に命名されたFouquieria ochoterenae Mirandaです。

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Fouquieria formosa
今年の夏のヨネヤマプランテイションのイベント購入品。まだ、良く分かりませんが、葉質的には丈夫そうです。

学名は1823年に命名されたFouquieria formosa Kuntです。

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Fouquieria macdougalii
去年の秋のヨネヤマプランテイションのイベント購入品。丈夫みたいですが、育ちはいまいち。
学名は1903年に命名されたFouquieria macdougalii Nashです。1911年に命名されたFouquieria jaboncillo Loesは、現在はマクドウガリィと同種とされています。


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Fouquieria diguetii
2年前に入手しましたが、乾かしぎみにし過ぎて中々育ちません。
ディグエティイが最初に命名されたのは1899年で、Bronnia diguetii Tiegh.Bronnia thiebautii Tiegh.の2種類あるとされました。しかし、この2種は同種として、1925年のFouquieria diguetii (Tiegh.) I.M.Johnst.となりました。また、1903年に命名されたFouquieria peninsularis (Tiegh.) Nashは、現在は異名とされています。

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Fouquieria colummaris
観峰玉の苗。夏のビッグバザールで入手しました。葉ダニにやられて現在回復中。
観峰玉が最初に命名されたのは1863年のIdria colummaris Kelloggです。しかし、1885年にイドリア属からフォークィエリア属になり、Fouquieria colummaris (Kellogg) Kellogg ex Curranとなりました。1886年に命名されたFouquieria gigantea Orcuttは、現在は異名とされています。

フォークィエリアの育て方は、実のところ私にも良く分かっていない部分があります。実際のところ、ユーフォルビアと同じ管理をすると葉がポロポロ落ちてしまうので、どうやらあまり乾かしすぎない方が良いみたいです。さらに、私が育てているのは小さい苗ですから、ことさら乾燥には耐えられないのでしょう。しかし、それでも新しい葉は直ぐに出てきますから、丈夫ではあるみたいです。我が家の"ocotillo family"の中では古株のディグエティイはそんな経緯でここまできたものですから、あまり生長していません。今年から始めた新しい管理方法で上手く育ってくれればいいのですが…


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最近、ホームセンターなどで"インコンスタンチア"という多肉ユーフォルビアを売っていたりします。私もホームセンターで入手しました。外見上は紅彩閣とか勇猛閣に良く似ています。ネット上でも、あまり情報はないようです。
そんな折り、2012
年に発表された『Normenclature and typification of southern African species of Euphorbia Bothalia』という論文を読んでいたところ、蒼蛮閣が自然交雑種であるとあり、前にその事を記事にしました。そして、この論文にはインコンスタンチアについても記述がありましたので、ついでに記事にしてみました。

蒼蛮閣についての記事はこちら。

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インコンスタンチア
学名は一般的にEuphorbia inconstantiaとされています。論文によると、インコンスタンチアは紅彩閣とポリゴナの交雑種とされています。この論文を承けて『The World Checklist of Vascular Plants』において、インコンスタンチアの学名はEuphorbia ×inconstantiaとされるようです。自生地で自然におきた属内交雑種ですね。
さて、ではその交雑親を見てみましょう。


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紅彩閣 Euphorbia heptagona
紅彩閣の学名はヘプタゴナです。しかし、紅彩閣はE. enoplaとされることが多く、一般的にエノプラという名前で売られています。
エノプラの命名は1860年ですが、ヘプタゴナの命名は1753年です。命名は早い方が優先ですから、ヘプタゴナが正式な学名となり、エノプラは異名(シノニム)です。
ちなみに、紅キリンE. aggregataがエノプラの名前で売られることがあったみたいですが、あまり似ていません。

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紅キリン Euphorbia aggregata
紅キリンは関係ありません。

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ポリゴナ Euphorbia polygona
ホリダE. polygona var. horridaはよく売っていますが、ポリゴナはあまり見ませんね。現在ではホリダはポリゴナの変種とされています。
私のポリゴナは生長点が傷付いたため生長が止まりましたが、その代わりにやたらと仔吹きしています。

そう言われて見れば、インコンスタンチアのトゲは、形は紅彩閣ですが、ホリダのトゲの様に節くれだっています。自然交雑種というのも、割りと納得かもしれませんね。


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鶴仙園に行ったおり、非常に美しく蒼白いハウォルチアを入手しました。硬葉系ハウォルチアのヘレイです。さらに先日、横浜に行った際に大型ホームセンターで今井カクタスさんのヘレイがあったので入手しました。タイプは異なりますが、その美しさはやはり共通しています。
いったいどのような多肉植物なのでしょうか。少し調べても見ました。

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Haworthiopsis glauca var. herrei
整然として長く伸びる葉は、蒼白く非常に美しいものです。


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Haworthiopsis glauca var. herrei RIB0217
フィールドナンバー付きのヘレイ。葉は短くイボが目立つタイプ。野生株でも葉の形や長さは様々。葉の長い野生株もあります。

一般的な濃く深い緑色の植物は日陰に耐えられる性質があることが多く、それは逆に言うと強光にあまり強くない可能性があります。対して、淡い青白い色の植物は強光に強い可能性が高いのです。しかし、この場合、ヘレイはどうなんでしょうね? 硬葉系ハウォルチアは軟葉系ハウォルチアよりも、日照が強目な方が良い傾向がありますが、それでも真夏の直射日光には耐えられません。ヘレイは色的に硬葉系の中でも日照に強そうですがどうでしょうか。日照不足だと徒長するだけではなく、特徴である青白い色がきれいに出ないこともあります。青白い植物は強い光を当てれば当てるほど、太陽光線から身を守るためにワックス成分などを出して白くなります。しかし、これからの季節、ヘレイはどの程度まで日を当てるか悩みどころです。

耐寒性はどうでしょうか。とりあえず、海外のサイトでは、USDAゾーンは10a~11bとありますから、せいぜいマイナス1.1℃までしか耐えられないみたいです。あまり耐寒性は期待出来ませんね。とは言うものの、我が家のオブツーサや竜鱗は、マイナス5℃にも耐えますから、慣らせばいけるのかもしれません。

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花茎が思ったより長く伸びました。

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花はハウォルチアの仲間に典型的な緑線入り。

ヘレイの学名は2013年に命名されたHaworthiopsis glauca var. herrei (Poelln.) G.D.Rowleyです。最初に命名されたのは1929年のHaworthia herrei Poelln.ですが、1976年にはグラウカの変種Haworthia glauca var. herrei (Poelln.) M.B.Bayerとなり、最終的にハウォルチオプシスとなったわけです。
ヘレイの異名は沢山あります。
Poelln.が1937年にヘレイを複数種に分けています。つまり、Haworthia eiyae Poelln.Haworthia jacobseniana Poelln.Haworthia armstrongii Poelln.Haworthia jonesiae Poelln.です。当然ながら、現在これらは異名とされています。
そういえば、
 鷹の爪Haworthiopsis reinwardtii (Salm-Dyck) G.D.Rowleyの変種とする考え方もありました。1997年命名のHaworthia reinwardtii var. herrei (Poelln.) Haldaです。この時代はまだ鷹の爪はハウォルチオプシスではなくてハウォルチアでしたが。



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グロメラタは南アフリカ原産のガステリアです。色や模様、形にしろガステリアとしては全体的にのっぺりとしていますが、それが逆にガステリアとしては特徴的です。白っぽいからか「白雪姫」なる名前もあるようです。私は見かけた時に、あまりにもかわいらしいので衝動買いしてしまいました。

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グロメラタはというか、一般的にガステリアはやや遮光気味に育てます。それは、ガステリアの多くの種で見られる深く濃い緑色からも、強光に対する耐性のなさを予感させます。しかし、グロメラタはガステリアとしては異様に色白です。他のガステリアと比べてある程度は強い日照が必要なのではないかと、心配してしまいます。とりあえずは他のガステリアと並べて育てますが、しばらくは生育具合を注視していきたいと思います。

最近、Euphorbia clivicolaは自生地の環境破壊により絶滅が危惧されているという記事を書きました。多肉植物好きとしては、これは大変残念に思います。そんなこともあり、最近では自生地の状況が気になって仕方がありません。さて、グロメラタは果たしてどうなのでしょうか。
海外のサイトを見ていたら情報がありました。南アフリカのケープ州南東部にある、Kougaダムの一部であるKouga riverの下流に限定されるとのことです。しかし、グロメラタは標高500~700mの垂直な断崖に生えるため、自生地は人に脅かされる心配はないということです。アフリカでは多肉植物の自生地に人が住んでいますから、大なり小なり影響を受けており、こういう例は幸運な部類でしょうね。そういえば、かつてGasteria baylissianaの情報を調べたことがありますが、やはり似たような急峻地に生えるとありました。ガステリアは崖地に生えがちなのでしょうか? もう少し勉強する必要がありそうです。

そういえば、ガステリア属は鳥に受粉してもらうために、花が特殊化したということを最近論文を読んでいて知りました。グロメラタはタイヨウチョウが受粉を行うそうです。タイヨウチョウはメタリックな色彩が大変美しい小型の鳥ですが、花の蜜を吸うことに特化した鳥なんだそうです。


グロメラタの学名は1991年に命名されたGasteria glomerata van Jaarsv.です。van Jaarsv.は南アフリカの植物学者のErnest Jacobus van Jaarsveldのことです。


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先日、なにやら"クラビコーラ"なる名札が付いたユーフォルビアを入手しました。どうやら、"クラビコーラ"ではなく、クリビコラ(Euphorbia clivicola)が正しい名前のようです。原産地は南アフリカのKuwZulu-Natal、Northen Provinces、スワジランドの限られた地域だそうです。
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Euphorbia clivicola
入手時の写真ですが、園芸店で手に取った時に大きさの割りに安いなあとまず思いました。しかし
、少し調べると生長は遅いみたいですね。このサイズでも結構育てるのに結構時間がかかっていそうです。
帰宅してからまじまじと眺めると、のっぺりとしていて妙にメリハリがないというか、何だか雑な雰囲気でしたね。
どうやら、地下の大きい塊根から無数の枝を伸ばすタイプのようです。ネット検索で出てくる海外の株は、生育して沢山の枝が密集して広がり、まるで巨大なタコものユーフォルビアのようです。ちゃんと育てれば素晴らしいユーフォルビアになる可能性を秘めた種類のようです。

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地下がどうなっているのか気になって、植え替えがてら見てみることにしました。すると、根はかなり太く強い感じでした。まあ、根の量が多いので鉢はギチギチでした。
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植え替え後。右に置いた元の鉢がえらく小さく見えますね。根が太るタイプなので大きめの鉢に植えました。

クリビコラの学名は1951年に命名されたEuphorbia clivicola R.A.Dyerです。R.A.Dyerはイギリスの植物学者のTurner Thiselton Dyerのことです。Dyerは進化論で知られるチャールズ・ダーウィンと、植物分類で著名なジョージ・ベンサムの推薦でイギリス王立協会のフェローに選ばれたそうです。

最後に大変残念な情報です。
クリビコラの原産地の保全状況は非常に悪化しており、南アフリカでは絶滅危惧種に指定されています。1986年にパーシーファイフ自然保護区に1500個体ありましたが、1996年には165個体、2005年には58個体、最近の調査ではたったの10個体しか発見出来ませんでした。クリビコラはポロクワネ郊外の都市部にも自生しており、1986年には都市部に3000個体ありましたが、2005年には651個体だそうです。
自然保護区のクリビコラはアンテロープ(レイヨウ)の踏みつけや害虫、火災により減少しています。都市部のクリビコラは廃棄物の投棄やネズミの害によるものとされています。
クリビコラは多肉ユーフォルビアには珍しく雄株・雌株に分かれていない両性花だそうです。この場合、一株で種子が採れますから、生育が遅いとは言うものの繁殖は難しくないでしょう。ですから、増やすのは簡単ですから栽培品はいくらでも増やせます。しかし、栽培品と自生株は異なります。自生株は産地ごとに外見的ないし遺伝的な特徴が大なり小なり違いがあります。しかし、栽培品は産地を無視して育生されがちですから、栽培品を自然に還すことはよほど慎重でなければなりません。例えば、研究機関の栽培室で産地情報が正式に記載された系統が維持されているならば野生に還すこともできるかもしれませんが。
それと、意外にも原産地からの輸入株であっても、由来が確実とは言えないようです。自生地のナーセリーでは、園内に来る蜂などによって野生株(別種を含む)との交雑がおきているそうです。ましてや我々栽培家の育生株は、その多くは様々な産地由来の個体が交配されてきて、しかも園芸的価値が高い個体が選抜されてできたものです。野生株とはまったくの別ものでしょう。
クリビコラは野生株の園芸上の価値が高いわけではありません。ですから、盗掘による被害はないのでしょう。しかし、逆に価値がない植物は、悲しいかな中々保護対象にはなりません。自然保護区にあっても、保護活動の対象でなければ元通りにはなりません。保護活動には人も金もかかりますから、簡単には出来ません。例えば、クジラの保護活動なら億単位の寄付金が集まりますが、役に立たない地味なクリビコラの保護活動に寄付金を出す人はいませんからね。ゴリラの保護活動ですら資金が集まらず、ゴリラの研究者が観光客向けのゴリラ観察ツアーを開催して、そのお金でレンジャーを雇って保護活動しているくらいです。地味な植物となればなおのこと、その程度の資金さえ集められないでしょう。本当に難しい問題です。



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