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カテゴリ:多肉植物 > アロエ

アロエ属は現在使用されている二名式学名の創始者であるCarl von Linneにより、1753年に命名された由緒正しき属名です。しかし、アロエ属の歴史を辿ると、アロエ属だったものがアロエ属ではなくなったり、逆にアロエ属ではなかったものがアロエ属となったりと、アロエ属はかなりの変化を経験して来ました。ただし、全種類のアロエを調べたわけではありませんし、一時的にアロエ属だったものに関してはほとんど調べられておりません。しかし、それでも思いもよらぬ種類がアロエとされたり、アロエ属から分離したものの後に消失した属名の多さなど、その多様な有り様にめまいがするほどです。

先ずは、アロエ属と関係する属名の年表を示します。
1753年 Aloe L.
              Agave L.
1767年 Dracaena Vand. ex L. 
1786年 Catevala Medik.
              Kumara Medik.
1809年 Haworthia Duval
              Gasteria Duval
1811年 Lomatophyllum Willd.
              Rhipidodendrum Willd.
1813年 Phylloma Ker Gawl.
1821年 Pachidendron Haw.
1824年 Bowiea Haw.
1834年 Urginea Steinh.
1838年 Drakaina Raf.
1840年 Tulista Raf.
1866年 Busipho Salib.
1883年 Notosceptrum Benth.
1905年 Chamaealoe A.Berger
1908年 Chortolirion A.Berger
1933年 Leptaloe Stapf
1939年 Aloinella (A.Berger) Lemee
1947年 Astroloba Uitewaal
1956年 Guillauminiana A. Bertrand
1993年 Lemeea P.V.Heath
2013年 Aloidendron (A.Berger)
                         Klopper & Gideon F.Sm.
              Aloiampelos
                         Klopper & Gideon F.Sm.
              Haworthiopsis G.D.Rowley
2014年 Gonialoe (Baker) 
                          Boatwr. & J.C.Manning
              Aristaloe Boatwr. & J.C.Manning

アロエ属の分離と吸収にはいくつかのパターンがありますから、いくつかの種類を例に挙げて解説します。
①古典的なアロエ類
1753年にアロエ属は誕生しましたが、この時アロエ属はあれもこれもといった状態で、様々な特徴を持つ多様な種を含むグループでした。しかし、アロエ属があまりにも様々なグループを含んでいたため、1809年に広義のHaworthiaとGasteria、1947年にはAstrolobaが独立し、アロエ属から分離しました。これらは、形態的にも生態的にも異なり、しかもHaworthia、Gasteria、Astrolobaはそれぞれの属内において非常によくまとまったグループでした。後に遺伝子解析でも支持された、妥当性のある自然な分離と言えます。
また、2013年にはHaworthiaが、Haworthia(狭義)、Haworthiopsis、Tulistaに分割されました。

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Aloe herbacea→Haworthia herbacea

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Aloe viscosa→Haworthiopsis viscosa

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Aloe pumila→Tulista pumila

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Aloe carinata→Gasteria carinata

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Aloe foliolosa→Astroloba foliolosa

②遺伝子解析によるアロエ属の分解
2013年に広義のアロエ属からAloidendronとAloiampelosが分離しました。さらに、翌2014年にはGonialoeとAristaloeが分離しました。AristaloeやGonialoeはAstrolobaやTulistaに近縁で、Kumaraは狭義のHaworthiaと近縁です。狭義のアロエはAloiampelosとは近縁ですが、他の旧アロエ属とはそれほど近縁ではありませんでした。

┏━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属

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Aloe broomii 

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Aloe plicatilis→Kumara plicatilis

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Aloe variegata→Gonialoe variegata

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Aloe aristata→Aristaloe aristata

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Aloe striatula→Aloiampelos striatula

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Aloe dichotoma→Aloidendron dichotomum

Lomatophyllum
Lomatophyllumは1811年に命名された昔からある属で、アロエ属に似た多肉植物です。一般的なアロエ属とは異なり、果肉のある果実をつけます。ただし、LomatophyllumにはDracaenaの一部が含まれていました。それらはやがてDracaenaとされ、本来のLomatophyllumのみとなりました。しかし、Lomatophyllumは種類が統合される傾向があり、例えばLomatophyllum purpureum=Lomatophyllum saundersii=Lomatophyllum rufocinctum=Lomatophyllum aloiflorum=Lomatophyllum marginatum=Lomatophyllum borbonicumとなっています。さらに、L. purpureumはDracaena marginata、Dracaena dentata、Dracaena foetidaなど、ドラセナ属とされることもありました。
しかし、Lomatophyllumは遺伝子解析の結果から、狭義のアロエ属に含まれてしまうことがわかりました。L. purpureumも現在ではAloe purpureaとされているようです。

④Chortolirion
一見して球根植物のような見た目の、Chortolirionも実はアロエ属に含まれることになりました。Lomatophyllumと同様に遺伝子解析の結果、狭義のアロエ属の一員となりました。Chortolirionは、初め広義のHaworthiaでしたがやがてChortolirionとなり、最終的にアロエ属となる経緯をたどりました。

⑤議論があったアロエ
アロエ属は一般的に赤・橙・黄色系統の花を咲かせます。しかし、Aloe albifloraは白い花を咲かせます。このことから、Aloe albifloraはアロエではない可能性があるとして、Guillauminiana albifloraという学名がつけられたことがあります。Guillauminianaは6種類あるとされました。しかし、Guillauminianaは現在認められておらず、今は存在しない属名です。Guillauminianaはアロエ属6種からなる小さなグループでした。

Aloe bowieaは、Chamaealoe africanaあるいはBowiea africanaと呼ばれたことがあります。現在ではアロエ属となり、Chamaealoeは存在しない属名です。しかし、Bowieaは蒼角殿Bowiea volubilisとして属名が残っています。ただし、気を付けなければならないのは、Bowiea africanaのBowieaは1824年にHaworthが命名した属名ですが、Bowiea volubilisのBowieaは1867年にHarv. ex Hook.f.の命名した属名ですから実は起源が異なるはずですが、何故か混同されているように見えます。
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Aloe bowiea
=Chamaealoe africana
=Bowiea africana


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Bowiea volubilis

⑥現存しない一時的な学名
アロエ属にかつて命名されていたCatevala、Pachidendron、Urginea、Drakaina、Busipho、Notosceptrum、Leptaloe、Aloinella、Lemeeaといった属名がありますが、どれも現在では使用されておりません。

女王錦Aloe parvulaは、Lemeea parvulaと命名されたこともあります。
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Aloe parvula=Lemeea parvula

Aloe alooidesは、初めはUrginea alooidesと命名された後にNotosceptrum alooidesとなり、最終的にアロエ属となりました。実はこのUrgineaは160種類程度を含んだかなり大きな属でした。しかし、現在このUrgineaはほとんどがDrimiaとなり、その他にもAloe、Albuca、Schizocarphus、Fusifilum、Austroneaなどを含んだ雑多なグループでした。NotosceptrumはAloeやKniphofiaからなる小さなグループでした。

Aloe myriacanthaは、初めはBowiea myriacanthaと命名された後にアロエ属となり、最終的にLeptaloe myriacanthaとされましたが、結局はアロエ属とされています。Leptaloeは10種類ほどのグループで、すべてアロエ属からなっています。

Aloe purpureumはLomatophyllum purpureumとされていたこと、あるいはDracaenaとする意見があったことを示しました。しかしA. purpureumは、さらにPhyllomaやDrakainaといった属名とされたこともあります。Phyllomaはアロエ属4種類からなる小さなグループでした。Drakainaというドラセナに似た属名は、Aloe purpureumとDracaena dracoの2種類からなる奇妙なグループでした。

Aloe haworthioidesは、Lemeea haworthioidesやAloinella haworthioidesと命名されたこともあります。AloinellaはA. haworthioidesのためだけに創設されたグループでした。
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Aloe haworthioides
=Lemeea haworthioides
=Aloinella haworthioides


Aloe feroxは、Pachidendron feroxやBushipho feroxと呼ばれたこともあります。Pachidendronはアロエ属5種類からなる小さなグループでした。BushiphoはA. feroxのためだけに創設されたグループでした。

Aloe humilisはCatevala humilisと命名されたことがあります。Catevalaは約60種類程度を含むグループで、アロエ属や広義のハウォルチアが混ざっていました。
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Aloe humilis=Catevala humilis

Aloe dichotomaはAloidendron dichotomumとなりアロエ属から分離しましたが、広義のアロエ属だった1811年にRhipidodendrum dichotomumとされたことがあります。Rhipidodendrumは現在のKumaraとA. dichotomumの3種類からなるグループでした。
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Aloidendron dichotomum
=Aloe dichotoma
=Rhipidodendrum dichotomum


⑦アロエとされたことがあるアガヴェ
Agave americana、つまりはあの巨大に育つことで有名なアオノリュウゼツランですが、実に不思議なことにAloe americanaと命名されたことがあります。
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アオノリュウゼツラン
Agave americana
=Aloe americana


⑧存在しないアロエ
詳細は不明ですが、「廃止」となったアロエも存在します。他のアロエなどの異名ですらなく、学名自体が廃止となったAloe asperaやAloe browniiといったものがあります。詳しい調べていませんが、廃止となった学名はこの他にもけっこうありそうです。
もしかしたら、記載情報から実際の植物にたどり着けない場合というのはまず第一に考えられます。古い記載では情報が曖昧で標本もなく、スケッチのみというパターンは実際に存在します。まあ、他にも理由はあるのかもしれません。


⑨交雑種
かつてはアロエ属であった自然交雑種も存在します。例えば、Aloe × bicarinataは現在、× Astrolista bicarinataとされています。× AstrolistaはAstroloba × Tulistaを示しています。
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× Astrolista bicarinata
=Aloe × bicarinata

 
のブログは多肉植物がメインですが、内容的には学名の来歴を追った部分が他サイトとの違いかなあと思っています。実のところ大した情報ではありませんが、そんなことでも続けていれば色々と見えてくるものがあります。例えば、ハウォルチアは昔アロエだったものが多いこととか、アロエは意外に現在無効な属名があることとか、そんなことです。これからも、論文を含め気になることが出てきましたら記事にする予定です。


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スペクタビリスは非常に大型になるアロエです。しかし、スペクタビリスは昔から他のアロエと混同されてきました。その経緯について調べましたので、ひとつ記事とさせていただきます。2010年のKlopper & Gideon F.Sm.『Asphodelaceae : Alooideae : Reinstatement of Aloe spectabilis Reynolds』と、2021年のColin C.Walker『Aloe spectabilis - a splend South African species』というスペクタビリスについてのレビューを参照にして、ことの経緯を見てみましょう。

著名な植物学者であるAlwin Bergerは、1908年に権威のあるアロエについてのモノグラフを出版しました。これは、数十年にわたりアロエの分類の標準的な作品でした。Bergerはスペクタビリスを、Aloe ferox Mill.に含めました。しかし、1937年にGilbert Westacott Reynoldsはスペクタビリスを識別し、Bergerの見解は間違いであること、そして新種としました。つまり、Aloe spectabilis Reynoldsです。

それからなんと63年後の2000年にGlen & D.S.Hardyは、スペクタビリスをAloe marlothiiと同種であるとしました。確かにスペクタビリスはマルロシイによく似ており、分布も類似します。スペクタビリスはこのまま吸収されて消えてしまうのでしょうか?

しかし、2010年にRonell R. Klopper & Gideon F. Smithが『アロエ・スペクタビリスの復活』と称して、Aloe marlothiiとAloe spectabilisの特徴を比較しています。Klopper & Gideon F.Sm.と言えば、Aloianpelos属やAloidendron属を創設した研究者ですね。スペクタビリスとマルロシイの特徴を比較すると以下のようになります。

Aloe marlothii
花序 : 斜めから水平、30-50cm、20-30本
花柄の色 : 緑色から赤褐色
内側の花被片の頂点 : 淡~深紫色
フィラメントの伸長部 : 淡~深紫色

Aloe spectabilis
花序 : ほぼ直立、25cm前後、10-14本
花柄の色 : 暗褐色からほぼ黒色
内側の花被片の頂点 : くすんだ光沢のある黒色
フィラメントの伸長部 : オレンジ色

 花が咲かないと、マルロシイとスペクタビリスは区別出来ないと言われていますが、確かに花の特徴が決め手なようです。

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昨年の12月に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで、例によってラフレシア・リサーチさんで激安のAloe pegleraeを購入した際、おまけでいただいたAloe spectabilisの抜き苗です。アロエを買っておまけでアロエを貰うというのも、何やら不思議な感じがします。
直ぐ
に植え付けましたが非常に丈夫で、真冬に植えたにも関わらずあっという間に根が張ったことには驚きました

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2022年8月。葉が旋回を始めました。アロエは若い時は葉は二列性(左右に葉が並ぶ)ですが、生長すると葉はぐるぐる回りながら生えます。

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トゲはかなり強いみたいです。そういえば、マルロシイは「鬼切丸」と呼ばれますが、スペクタビリスは「鬼王錦」という名前もあるそうです。サボテンでは名前に「錦」とついた場合は斑入り品種を指しますが、アロエでは斑入り品種のことではなく、斑入り品種ではなくても普通に「○○錦」という名前がつきます。

スペクタビリスは巨大アロエで、高さ5mに達します。幹は木質となりますが、有名な巨大アロエであるAloidendron属とは異なり、枝分かれせず単幹で葉は巨大になり頭でっかちな見た目になります。花は枝分かれして巨大で、鳥や昆虫の蜜源として重要です。
スペクタビリスはKwaZulu-Natalの固有種です。冬は氷点下まで下がる可能性があるそうです。面白いことに、1900年に自由州の農場にスペクタビリスが3本植えられたそうですが、現在では3万本以上に増えてしまったそうです。

今回の記事に出てくる3種類のアロエの学名と記載年について一応記しておきます。
1768年 Aloe ferox Mill.
1905年 Aloe marlothii A.Berger
1937年 Aloe spectabilis Reynolds



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アロエ・ペグレラエは南アフリカ原産のアロエです。葉の枚数が増えると、葉が内側に巻いた様な独特の非常に美しい姿となります。

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昨年の冬、千葉のイベントで入手しました。アロエ苗が投げ売りされていたので、せっかくだから一鉢購入。
右下の葉は二列生(葉が左右に並ぶ)の痕跡があります。まだ若い個体です。


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2022年8月の姿。だいぶ葉の枚数が増えてきました。生長は遅いと言われますが、苗の頃は早いみたいです。

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まだ、葉が少ないので、ペグレラエらしさはありません。

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トゲは強いので注意が必要です。

ペグレラエは南アフリカのNorth West州のMagaliesbergとWitwatersbergに分布します。斜面に生えるらしいです。自生地では、Aloe marlothiiやAloe davyanaと自然交雑が起きているようです。
野生の株は非常に美しく生長が遅いため、違法採取が行われており、また開発に伴う環境破壊により急速に個体数を減らしています。絶滅危惧種に指定されており、Witwatersrand国立植物園では絶滅危惧植物プログラムの優先事項として、ペグレラエの保護活動が行われているそうです。
日本国内ではペグレラエは、実生苗がある程度は販売されているみたいですから、入手困難とまではいかないでしょう。しかし、違法採取かも知れない現地球には手を出さないことも重要です。

ペグレラエの学名は1904年に命名されたAloe peglerae 
Schönlandです。ペグレラエの名前は植物学者・自然学者のAlice Marguerite Peglerに対する献名です。Schönlandはドイツ出身のSelmar Schönlandのことです。かのPole Evansが始めた南アフリカの植物調査で主導的役割を果たしました。ちなみに、南アフリカ科学振興協会の創設メンバーとのことです。
また、Schönlandは、Euphorbia schoenlandiiやBrachystelma schonlandianumなどの植物に献名されています。


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最近、「アロエ・プリカティリス」の名前で、まったくトゲがなく青白いアロエを目にします。"乙姫の舞扇"の名前もありますが、その名前の通り、葉は旋回しないで左右にきれいに別れて並びます。国内では割りと珍しい多肉植物でしたが、最近では実生苗が出回っていて入手は容易になってきました。
プリカティリスは2013年にアロエ属から独立し、クマラ属Kumaraとなりました。クマラ属はKumara plicatilis(乙姫の舞扇)とKumara haemanthifolia(眉刷毛錦)の2種類のみからなる分類群です。プリカティリスがアロエから分離した経緯は以下の記事をご参照下さい。

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Kumara plicatilis

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"fun aloe"の名前の通り扇状。"plicatilis"も「折り畳むことが出来る」という意味ですから、扇の様な見た目から来ているみたいですね。

プリカティリスは南アフリカの西ケープ州のいくつかの山に自生し、幹は高さ3~5mになります。プリカティリスの自生地はFranschhoekとElandskloofの間の地域に限定され、17の個体群がそれぞれ10km以上離れて点在するそうです。プリカティリスは水はけの良い弱酸性の岩の多い斜面に生えます。
プリカティリスはフィンボス(南アフリカの灌木植生地域。地中海性気候で冬に雨が多い海岸から山岳までの地域)に生えますが、プリカティリス以外のアロエはほとんど生えません。例外はAloiampelos commixtaやKumara haemanthifoliaです。また、海外の松やアカシアが侵入しているそうですが、それほど増えておらず現状においては、問題になってはいないようです。プリカティリスの最大の脅威は園芸用の採取ですが、それほど盛んではないのか個体数の減少は見られていません。
フィンボスではどうやら山火事が起きるみたいですが、プリカティリスの幹は燃えにくいとされています。環境に対応しているということなのでしょう。

そういえば、プリカティリスは挿し木で増やせるらしいのですが、その事と関連して面白い報告があります。Werner Voigtが2009年に、Goudiniのプリカティリスがケープハイラックスという動物による食害を受けている事を報告しています。ハイラックスはプリカティリスの幹に登り、枝を噛み砕いて水分の豊富な中を食べるそうです。この時に地面に落ちた先端部分は直ぐに根付くそうです。

プリカティリスの花には蜂や甲虫などの昆虫、さらにはタイヨウチョウが蜜を吸いにきて受粉します。昆虫とタイヨウチョウという組み合わせは、アロエ属とクマラ属の共通点ですね。

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いつの間にやら根がはみ出していました。来年は植え替えしないといけませんね。

育てた感想としては、プリカティリスは非常に丈夫で、遮光しなくても日焼けしないし、乾燥にも恐ろしく強い植物だということです。調べたところ、pH5.5~6.5という酸性土壌で育つという情報もありました。普通、酸性土壌と言った場合でも実際は弱酸性のpH6.5から中性が普通ですから、ここまで酸性に耐えられることは珍しく感じます。しかし、私は何も考えないで、適当な用土で植えていて実際に育っているわけですから、そこまでうるさくはないのでしょう。

プリカティリスの学名は2013年に命名されたKumara plicatilis (L.) G.D.Rowleyです。プリカティリスがはじめて命名されたのは1753年に命名されたAloe disticha var. plicatilis L.でした。A. distichaは現在のGasteria distichaのことです。しかし、1768年にAloe plicatilis (L.) Burm.f.と独立しました。つまりは、クマラ属になるまで200年以上アロエ属だったわけです。
これはまったくの余談ですが、Aloe distichaと命名された多肉植物は3種類あります。一つ目は1753年のAloe disticha L.で現在のGasteria disticha (L.) Haw.、二つ目は1768年のAloe disticha Mill.で現在のAloe maculata All.、最後に1785年のAloe disticha Thunb.で現在のGasteria carinata var. thunbergii (N.E.Br.) van Jaarsv.です。混乱の元なので、一応記しておきました。
プリカティリスは異名が沢山ありますが、アロエ属とされた異名は1782年にAloe linguiformis L.f.、1784年にAloe tripetala Medik.、1785年にAloe lingua Thunb.、1796年にAloe flabelliformis Salisb.が命名されています。ここでもややこしいことに、Aloe linguiformis Mill.がGasteria distichaの異名だったり、Aloe linguiformis DCがGasteria carinataの異名だったり、Gasteria distichaやGasteria carinataがかつてはAloe linguaの別の変種扱いされてきたり、なんとも複雑な経緯を辿っています。
また、プリカティリスは現在は存在しないリピドデンドルム属とされたことがあります。1811年に命名されたRhipidodendrum distichum Willd.あるいは1821年に命名されたRhipidodendrum plicatile (L.) Haw.です。リピドデンドルム属はそもそもは、Rhipidodendrum dichotomumつまりはAloidendron dichotomum(=Aloe dichotoma)とプリカティリスのために創設された属名だったりします。



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アロエ・ボウィエアは南アフリカ原産のアロエです。あまりアロエっぽさがない外見のボウィエアですが、記事を遡って調べてみたら、ちょうど2年前の今頃に入手したようです。入手した頃に一度記事にしておりますが、実際に栽培した所感を含め、改めて記事にしてみました。

かつてのボウィエアの記事はこちら。

アロエ・ボウィエアは一見して球根植物というか、最近流行りのケープバルブのように見えなくもありません。私もはじめて見た時に、根元はずんぐりして葉は先端が細長く伸びる姿を見て、まるでエアープランツ(Tillandsia)の様だと思いました。
それから2年間育てた結果わかったことは、強光や乾燥には耐えられるものの、そういう育て方では綺麗に育たないということです。どうもあまり強光に当てると細い葉先が枯れ混んで、アロエ・ボウィエアらしいアロエとしては風変わりな姿を観賞出来なくなります。去年はそれで失敗しましたから、今年はハウォルチアやガステリアと同じ棚で遮光気味に管理しております。葉は完全回復とはまだ言えませんが、大分良くなりつつあります。


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2022年1月。
葉先が枯れてしまいました。ボウィエアは細い葉が長く伸びるのが特徴なので、ややみすぼらしく見えます。


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2022年7月。
4月に外に出して、ハウォルチアやガステリアと並べて育ててきました。たった3ヶ月ですが、長い葉が伸びてきて少し見られるようになってきました。


アロエ・ボウィエアの学名は1829年に命名されたAloe bowiea Schult. & Schult.f.です。
最初に命名された学名はBowiea africana Haw.でした。ボウィエア属からアロエ属に移動する際、普通は種小名は引き継ぎますが、何故かAloe africanaにはなりませんでした。これは、1768年にAloe africana Mill.というアロエがすでに命名されていたからです。同じ名前は認められませんから、新たにbowieaという種小名がつけられたわけです。


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私のメイン多肉植物であるユーフォルビアについて、その学名の命名者を調べてみたりしました。多肉ユーフォルビアと同様に、ハウォルチアやアロエの仲間はアフリカ原産なので、命名者も古いものは重なる部分があります。
そこで、最近気になって集めているアロエ類についても、学名の命名者を調べて見ようということになりました。ここで言うアロエ類とは、アロエ属Aloe・ハウォルチア属Haworthia・ガステリア属Gasteria・アストロロバ属Astrolobaのことです。これらは遺伝子解析の結果から、近縁なグループと認められました。
さらに言うと、アロエ属Aloeとハウォルチア属Haworthiaは細分化されて、それぞれの属の近縁性も再編されています。アロエ属Aloeは、アロエ属Aloe、アロイデンドロン属Aloidendron、アロイアンペロス属Aloiampelos、ゴニアロエ属Gonialoe、アリスタロエ属Aristaloe、クマラ属Kumaraに分けられました。ハウォルチア属Haworthiaも、ハウォルチア属Haworthiaとハウォルチオプシス属Haworthiopsis、さらにツリスタ属Tulistaに分けられました。よって、これにガステリア属Gasteriaとアストロロバ属Astrolobaを含めた11属がアロエ類のメンバーということになります。

アロエ類の系統図
┏Aloidendron属
┃    ┏Kumara属
┃┏┃
┗┃┗Haworthia属
    ┃┏Aloiampelos属
    ┗┃┏Aloe属
        ┗┃    ┏Astroloba属
            ┃┏┃┏  Aristaloe属
            ┃┃┗┃┏Gonialoe属
            ┗┃    ┗┃
                ┃        ┗Tulista属
                ┃┏Haworthiopsis属
                ┗┃
                    ┗Gasteria属


①アロエ属 Aloe
アロエ属は1753年に命名された
Aloe L.です。LはスウェーデンのCarl von Linneのことです。現在の二名式学名は1753年にリンネが「Species Plantarum」を出版し提唱しました。ですから、その1753年に命名されたアロエ属は実に由緒正しき属名と言えます。
アロエ属から分かれた属の命名年と命名者は以下の通り。クマラ属Kumaraだけ命名が古いのですが、これはアロエ属が解体された時に、過去に命名されて認められなかった属であるクマラ属Kumaraを引っ張り出してきたからです。

1753年 Aloe L.
1786年 
Kumara Medik.
2013年 Aloidendron (A.Berger)
                       Klopper & Gideon F.Sm.

              Aloiampelos
                       Klopper & Gideon F.Sm.
2014年 Gonialoe (Baker) 
                        Boatwr. & J.C.Manning

              Aristaloe Boatwr. & J.C.Manning

新しく別れた属に所属する種は、すべて新しく命名され直されました。ですから、命名者もそれぞれの属の創設者になっているため、単純でやや面白みがありません。

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Aloe arborescens Mill.

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Gonialoe variegata
          (L.) Boatwr. & J.C.Manning


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Aloiampelos striatula 
        (Haw.) Klopper & Gideon F.Sm. 

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Aloidendron dichotomum
          (Masson) Klopper & Gideon F.Sm.


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Kumara pulicatilis (L.) G.D.Rowley

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Aloe parvula (A.Berger) P.V.Heath

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Aloe polyphylla Pillans

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Aristaloe aristata
         (Haw.) Boatwr. & J.C.Manning


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Aloe erinacea D.S.Hardy

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Aloe humilis (L.) Mill. 

②アストロロバ属 Astroloba
アストロロバ属は1947年に命名された
Astroloba Uitewaalです。Uitewaalはオランダの植物学者である、Adrian Joseph Antoon Uitewaalのことです。アストロロバ自体がアロエだったりハウォルチアだったりハウォルチオプシスだったりしたため、基本的にはアストロロバ属創設者のUitewaalが命名者となっています。

1947年 Astroloba Uitewaal

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Astroloba rubriflora
       (L.Bolus) Gideon F.Sm. & J.C.Manning


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Astroloba spiralis (L.) Uitewaal

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Astroloba foliolosa (Haw.) Uitewaal


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マダガスカル原産のアロエ・ハウォルチオイデス(Aloe haworthioides)の花が咲きました。
ハウォルチオイデスは小型で華奢、トゲもなくて毛に覆われていて、アロエと言うよりも一見してハウォルチア(Haworthia, ハオルシア)と勘違いしそうになりますが、立派なアロエの仲間です。
2020年に購入。


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小さくて分かりにくいですが、一応咲いています

前から気にはなっていたのですが、ネット販売されているハウォルチオイデスにはアロエ・デスコイングシィ(Aloe descoingsii)との交配種が混在している様です。交配種は葉の幅が広く多肉で、アロエ感が強いのですぐに分かります。
交配種であると表示して販売するならまだしも、交配種をハウォルチオイデスとして販売するのは大問題です。偽物を掴まされない様に気を付けたいものです。


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Aloe haworthioides

ハウォルチオイデスは非常に丈夫で、弱々しい見た目に反して乾燥にも強いアロエです。マダガスカルでは完全に雨が降らない乾期がある地域に分布しますから、乾燥に強いのも納得です。逆にあまり頻繁に水をやると根腐れの原因にもなりますから、気を付けなければなりません。
ハウォルチアとは異なりそこはやはりアロエ、遮光なしの強光線にも耐えます。
ハウォルチオイデスはあまり耐霜性がないようですから、冬は室内栽培です。
ハウォルチオイデスは、根本から仔を次々と吹きます。あまり混むようなら株分けするか、面積のある鉢に植え替えします。


ハウォルチオイデスの学名は1887年に命名された、Aloe haworthioides Bakerです。
一見してアロエに見えないこともあり、アロエ属ではないという考え方もあります。1939年に命名されたAloinella haworthioides (Baker)  Lemee、1993年に命名されたLemeea haworthioides (Baker) P.V.Heathがありますが、現在学術的に認められている学名ではありません。
よって、ハウォルチオイデスは命名されて130年以上たった今もアロエ属の一員です。


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女王錦は昔から知られている有名なアロエです。しかし、園芸店やホームセンターではあまり販売していません。
女王錦はアロエではやや珍しいマダガスカル原産です。

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女王錦 Aloe parvula
柔らかくしなやかなアロエで、トゲは触っても柔らかく、どちらかと言えば肉イボです。
そういえば、こういうソフト系のアロエは寒さに弱い傾向があり、霜にあたると氷ってしまい駄目になりやすいので注意が必要です。

学名は1908年に命名されたAloe parvula A.Bergerです。異名として1926年に命名されたAloe semperviroides H.Perrierがありますが、女王錦と同種として認められていません。また、アロエらしさがないせいか、女王錦は1994年にLemeea属とされ、Lemeea parvula (A.Berger) P.V.Heathとする考え方もありますが、現在では認められていません。


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アロエ属は2014年に解体され、アロエ属、アロイアンペロス属、アロイデンドロン属、アリスタロエ属、ゴニアロエ属、クマラ属に別れました。アロエ属以外は詳しくないので、アロイデンドロン属、クマラ属、アリスタロエ属を入手して調べてきました。やはり、画像だけではダメで、実際に手にとって育ててみないとわからないことが沢山あります。そこで、次はゴニアロエ属を知りたいという訳です。

ゴニアロエ属では千代田錦が有名で、日本でも昔から知られています。昔は小さな花屋さんにもミニ観葉植物として苗がよく売っていたものです。しかし、最近はあまり目にすることはありません。多肉ブームにも関わらず、まあ人気がないということなのでしょう。

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千代田錦
昔はこんな立派な千代田錦は見た記憶がありません。デカイ。
ゴニアロエ属は3種類が認められていますが、みな葉が三方向に伸びます。ゴニアロエの「goni」は「角度」を示しています。千代田錦の葉の固さはアリスタロエ属に雰囲気が似ています。
ゴニアロエ属は実際の分類学では、硬葉系ハウォルチアの一部であったツリスタ属、旧アロエ属のアリスタロエ属、そしてアストロロバ属が一つのまとまったグループを作ります。

千代田錦は1753年にAloe variegata L.から始まります。アロエ属はリンネにより1753年に設立されたので、千代田錦はアロエ属の設立メンバーです。
その他にも1804年に命名されたAloe punctata Haw.、1928年に命名されたAloe ausana Dintrがありますが、現在では千代田錦と同種とされています。
さらに、2014年にGonialoe variegata (L.) Boatwr. & J.C.Manning、さらにはTulista variegata (L.) G.D.Rowleyが命名されました。しかし、現在の学術的に認められている学名は、Gonialoe variegataとなっております。


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アロエ・ポリフィラは珍しいレソト産のアロエです。レソト王国は南アフリカ共和国の国内に存在する山岳国家です。アロエ・ポリフィラは「ソロモン王の碧玉扇」という、あまり使われない名前もあります。
アロエ・ポリフィラは"Spiral aloe"の英名の様に、生長すると葉が螺旋状に並ぶ様に育ちます。
また、"Basutoland aloe"の呼び名もありますが、こちらはレソトの独立前の名前から来ています。

アロエ・ポリフィラは海抜2000~2500m、場合により3000m以上に自生します。自生地の冬は雪に覆われるため寒さには強いのですが、暑さは苦手としているようです。海外の園芸サイトを見ていても、腐りやすいとあります。特に葉の間に水が溜まることが、腐敗の原因になるようです。

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購入時には葉で鉢の用土が全く見えない状態でした。当然、水やりをするときに上からかけることになるので、このままでは腐ってしまいます。また、用土が見えないので、乾きにくい状態です。要するに風通しが最悪。すぐに植え替えました。
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根は沢山あるようですが…
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枯れた根を取り除くと、たったこれだけ。
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植え替え後の状態。用土が見えるように大きめの鉢に植えました。用土が多いと乾きにくい様な気もしますが、風通しが良ければ購入時よりも湿気が溜まらないので、こちらのほうがいいはず…

アロエ・ポリフィラの学名は、1934年に命名されたAloe polyphylla Pillansです。Pillansは南アフリカの植物学者であるNeville Stuart Pillansのことです。



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綾錦はかつてアロエ属とされていましたが、現在はアリスタロエ属となりました。アリスタロエ属は綾錦ただ1種だけの、1属1種の分類群です。硬葉系ハウォルチアと呼ばれていた種は、現在ではハウォルチオプシス属とツリスタ属になりましたが、アリスタロエ属はゴニアロエ属、ツリスタ属、アストロロバ属と近縁です。
ホソバキダチロカイという現在では使われることのない古の名前もあります。

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綾錦

綾錦の学名は1825年に命名された、Aloe aristata Haw.から始まります。
1829年にAloe longiaristata Schult. & Schult.f.、1934年にはAloe ellenbergeri Guillaminという学名もつきましたが、これはAloe aristataと同種であるとして認められておりません。
旧アロエ属が、アロエ属・ゴニアロエ属・アリスタロエ属・アロインペロス属・アロイデンドロン属・クマラ属に分かれました。その時、つまりは2014年に綾錦はAristaloe aristata (Haw.) Boatwr. & J.C.Manningとなりました。
なんと、初めて命名されてから189年もアロエ属だった訳です。
ちなみに、2013年にはTulista aristata (Haw.) G.D.Rowleyも提唱されていますが、現状認められておりません。他のツリスタ属とは著しく特徴が異なりますが…

海外のサイトを見ていると、綾錦は南アフリカ・レソト原産で、マイナス7℃まで耐えられるとあります。私も綾錦は基本的に冬でも屋上栽培ですが、氷点下にも耐えています。やはり、かなり寒さには強い様です。しかも、夏の暑さにも強いので大変丈夫で育てやすい多肉植物です。



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APG分類体系
アロエとハウォルチアは昔から近縁であるとされてきました。実際に植物分類学では花の構造を重視しますが、それによるとアロエ、ガステリア、ハウォルチア、アストロロバは良く似ています。
アロエの仲間はユリ科、アロエ科、ススキノキ科と変遷しました。
しかし、遺伝子解析により植物を分類しようというプロジェクトが世界中の植物学者の協力の元、APG分類体系という形で結実しました。データを蓄積しバージョンアップを重ね、1998年にAPG l、2003年にAPG ll、2009年にAPG lll、2016年にAPG lVが公表されています。

アロエはツルボラン科
APG分類体系(APG lll)によると、アロエはツルボラン科に含まれます。ツルボラン科はキスゲ亜科、ススキノキ亜科、ツルボラン亜科に別れます。
このうち、アロエはツルボラン亜科に分類されます。
キスゲ亜科はカンゾウを含むヘメロカリスが代表です。ススキノキ亜科はブラックボーイが有名です。ツルボラン類には多肉植物のブルビネや、球根植物でアロエに良く似た花をつけるシャグマユリが知られます。
ツルボラン科全体では、オーストラリア固有種が非常に多いことが特徴です。それ以外の種はアフリカ原産が主で、アロエ類もアフリカ原産です。

ツルボラン科の系統図
    ┏キスゲ亜科
┏┃
┃┗ススキノキ亜科

┃                                 ┏ツルボラン類
┗ツルボラン亜科 ━┃
                                     ┗アロエ類

アロエ類の誕生
このAPG分類体系により、やはりアロエとハウォルチアは近縁であることがわかりました。しかし、アロエ属の中でも木質の茎を持ち大型になるものはアロイデンドロン属Aloidendron、トゲがなくロゼット型にならないクマラ属Kumara、トゲはなく硬く平たいロゼットをつくるアリスタロエ属Aristaloe、トゲはなく硬く三角形のゴニアロエ属Gonialoe、茎がひょろひょろと伸びて分岐し草むら状態となるアロイアンペロス属Aloiampelosとなり、アロエ属から分離し独立しました。
ハウォルチア属はかつて園芸上では、軟葉系と硬葉系が区別されていました。このうち軟葉系をハウォルチア属として、硬葉系は分離・独立しました。硬葉系はほとんどがハウォルチオプシス属Haworthiopsisとなり、一部がツリスタ属Tulistaとされました。
この旧アロエ属6属、旧ハウォルチア属3属、アストロロバ属Astroloba、ガステリア属Gasteriaを含めて、これを『アロエ類』と呼んでいます。

アロエ類の系統図
┏アロイデンドロン属(旧アロエ属)
┃    ┏クマラ属(旧アロエ属)
┃┏┃
┗┃┗ハウォルチア属(旧ハウォルチア属)
    ┃┏アロイアンペロス属(旧アロエ属)
    ┗┃┏アロエ属(旧アロエ属)
        ┗┃    ┏アストロロバ属
            ┃┏┃┏  アリスタロエ属(旧アロエ属)
            ┃┃┗┃┏ゴニアロエ属(旧アロエ属)
            ┗┃    ┗┃
                ┃        ┗ツリスタ属(旧ハウォルチア属)
                ┃┏ハウォルチオプシス属(旧ハウォルチア属)
                ┗┃
                    ┗ガステリア属


葉の硬さと進化
アロエ類の系統を見ていて最初に気付くのは、葉の硬さです。系統図の根元に近いアロイデンドロン属、クマラ属、ハウォルチア属、アロイアンペロス属は葉が柔らかく、アロエ属は葉が柔らかいものと硬いものがいます。
アストロロバ属、ゴニアロエ属、ツリスタ属、ハウォルチオプシス属、ガステリア属は葉が硬く、系統図でも一つのグループとしてまとまっています。
アロエ属が系統図の葉の柔らかいグループと硬いグループの中間にあり、葉の柔らかい種類と硬い種類を含むことは進化を考える上で重要な気もします。この葉の硬さは、アロエ属から出てきた形質なのでしょう。

トゲとイボの進化
アロエ類ではトゲやイボ、ノギ(禾)があるものが多いことも特徴です。クマラ属はトゲなどはなく、ハウォルチア属にもトゲはありません。クマラ属とハウォルチア属はトゲを失う進化をしたグループなのかもしれません。ハウォルチアはトゲのかわりにノギと呼ばれる柔らかい突起がありますが(全くないものもある)、これは恐らくはトゲの変形なのでしょう。毛の様に長くなるノギもあり、ハウォルチア属はトゲを特殊化したグループと言えます。
葉が硬いアストロロバ属、ゴニアロエ属、ツリスタ属、ハウォルチオプシス属、ガステリア属にはトゲがありません。明らかにひとまとまりのグループを形成しています。ツリスタ属とハウォルチオプシス属は肉イボを持ちますが、それぞれが独自に進化して手に入れた形質のようです。ツリスタ属は半透明のイボで、ハウォルチオプシス属は白い不透明なイボを持ちます。

ロゼットの進化
APG分類体系を知るまでは、ガステリア属の様な形からロゼット型のアロエが進化したのではないかと考えていました。なぜなら、アロエ属は小さく若いうちはロゼットを形成せず、ある程度大きくなってから葉が旋回し始めて、ロゼット型となります。これは進化の道筋を繰り返している様に見えたのです。「個体発生は進化を繰り返す」みたいな話と思ったりしましたが、残念ながら異なるようです。
そもそも、系統的に近いツルボラン類やススキノキ亜科は、ガステリアの様な形ではないのですから、当たり前の話と言えばそうです。

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アロエ・ソマリエンシスを入手しました。
1月に鶴仙園池袋店に行った時に、たまたまアロエ・ソマリエンシスが目に入ったものの購入しませんでした。しかし、どうしても気になって家でソマリエンシスを調べている内に、ああ買えばよかったと後悔しました。
そんなこんなで、鶴仙園池袋店で1ヶ月ぶりにアロエ・ソマリエンシスと再会を果たした訳です。まあ、別個体なんですけどね。
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アロエ・ソマリエンシス
冬なので縮んで葉が丸まっています。春になってその美しい葉を楽しめる日が楽しみです。
そう言えば、ホームセンターでもソマリエンシスの名前で売られているアロエがあるみたいなんですけど、若干の怪しさがあるようです。どうやら、ホームセンターのソマリエンシスらしきアロエは、白斑がまばらで白色というより半透明で、茎があって縦長に育つみたいですね。なるほど、それはアロエ・ソマリエンシスではないですね。交配種なのでしょう。

さて、そんなアロエ・ソマリエンシスですが、名前の通りソマリア原産です。ソマリア原産の多肉植物は、一般的にソマリアものと呼ばれ、難易度が高いと言われています。アロエ・ソマリエンシスも、アロエの中では夏の直射日光を避けたほうが安全と言われています。しかし、そこは丈夫なアロエ属だけあって暑さでへたることはなさそうです。
原産地では海抜700~1700mの、岩場の斜面やアカシア-コミフォラ低木地帯に生えているそうです。ソマリアのコミフォラとか、恐ろしくて育てられませんね。

学名は1899年に命名された、Aloe somaliensis C.H.Wright ex W.Watsonです。W.Watsonはイギリスの植物学者・園芸家であるWilliam Watsonのことですが、C.H.Wrightはイギリスの植物学者であることしかわかりません。あまり情報がないみたいです。


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アロエ・エリナケアは南アフリカ原産のアロエです。非常に生長が遅く、開花するサイズまで育てるのはなかなか大変です。


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2020年2月

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2022年2月。生長は遅い。
ストレスがあると赤くなります。低温や乾燥、強光線などですが、こういうストレスを与えないときれいな形に育ちません。
根がはみ出して来たので、今年植えかえる予定です。


アロエ・エリナケアの学名は1971年に命名され、Aloe erinacea D.S.Hardyとなっています。
また、1980年に唐錦Aloe melanacantha A.Bergerの変種としてAloe melanacantha var. erinacea (D.S.Hardy) G.D.Rowleyとする意見もあるようです。
国内外の趣味サイトでは、アロエ・エリナケアは唐錦の変種とされていることが多い様です。しかし、NCBI(アメリカ国立生物工学情報センター)やGbif(地球規模生物多様性情報機構)という公的機関のデータベースでは、Aloe erinaceaとされています。PubMedでエリナケアを検索すると、2021年末にアロエ属の遺伝子解析方法について検討している論文が出ていますが、そこでもAloe erinaceaと表記されています。 
生物は外見が似ているから近縁種であるとは限らないということは、近年の遺伝子解析により判明してきた事実です。しかし、唐錦とエリナケアは明らかに近縁だとは思いますが、現時点においては唐錦の変種ではなく、独立種としても良いのではないでしょうか。当然、研究が進み単独種と見なされなくなる可能性もありますが、あくまでも可能性の話です。


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アロエ・ディコトマ
かつて、最大のアロエと言えばアロエ・ディコトマでした。アロエ・ディコトマは樹齢80年以上生きて、高さ7mを越えて育ちます。まさに、世界最大のアロエです。
ただし、現在はアロエ属は分割されて、アロエ・ディコトマはアロイデンドロン属の所属となりました。それでも、旧・アロエ属と旧・ハウォルチア属、アストロロバ属、ガステリア属をまとめたアロエ類のなかでは、やはり最大種であることには変わりありません。

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2020年11月。小苗を購入しました。名札はアロエ・ディコトマでした。まだ、ディコトマらしさはありませんね。
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2022年1月末。特徴である幹が少しだけ見えてきました。力強い根張りにも目が行きます。

和名は?
そう言えば、アロエは○○錦という名前が多くあります。サボテンでは最後に「錦」がつくと斑入り品種のことなんですけど、アロエでは斑入りとは関係なく「錦」が使われています。アロエ・ディコトマも、皇滋錦なる名前もありますが、まったく使われていませんね。同様に矢筒の木タカロカイも流通していない名前です。
英語ではQuiver treeで「震えの木」の意味で、サン族が矢筒を作るからだという説明がされていますが、何でそれが「震えの木」に繋がるのかは良くわかりません。

学名の変遷
アロエ・ディコトマは、1776年にAloe dichotoma Massonとして命名されました。ちなみに、1804年に命名されたAloe ramosa Haw.は、ディコトマと同種であるとして、この学名は使用されておりません。
また、1811年にRhipidodendrum dichotomum  (Masson) Willd.とする考え方もありました。学名はラテン語なので、rhipidoは扇、dendrumは樹木のことです。つまり、「扇状の樹木」の意味です。割りと特徴をとらえていますが、ディコトマをアロエ属から独立させる意見は主流派にはならなかった様です。使われていない学名です。
最終的には、2013年に遺伝子解析により、アロエ・ディコトマはアロエ属から独立し、Aloidendron dichotomum (Masson) Klopper & Gideon F.Sm.となりました。

生態
ディコトマの自生地はナミビアから南アフリカにかけてです。
花穂は巨大で、鳥やヒヒが蜜を求めて訪れるそうです。自生地ではハタオリドリがディコトマに巣を作って、異様な見た目になります。
若いツボミは食べられるそうで、アスパラガスの様な味らしいのですが、果たして本当なのか気になります。確かめようがないので、どうしようもないのですが。私のディコトマに花芽が着くのは、果たして何十年後の話なのか…。まあ、無理でしょうけど。


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アロエ・フミリスは昔から知られていたアロエです。日本では帝王錦と呼ばれ、英語ではDwarf hedgehog aloe(小さいハリネズミアロエ)だとかSpider aloe(蜘蛛アロエ)と呼ばれているようです。
栽培の歴史が古いためか、アロエ・フミリスは様々な名前で呼ばれてきました。あまり流通しなかったローカルな学名を含めると20以上の学名がつけられてきたようです。そんな、アロエ・フミリスの歴史を少しだけたどってみました。

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帝王錦 Aloe humilis

アロエ・フミリスに学名がついたのは、実に1753年に遡ります。現在のすべての生物につけられる二名式の学名を作った、かのカール・フォン・リンネが命名しました。その時の学名が、Aloe perfoliata var. humilis L.でした。この時点では、アロエ・フミリスはアロエ・ペルフォリアタの変種とされました。
さらに、1771年にスコットランドの植物学者であるフィリップ・ミラーにより、Aloe humilis (L.)Mill.として独立しました。この学名が現在の正式な名称として認定されています。

しかし、その間にアロエ・フミリスは様々な研究者によって異なる学名が与えられることになりました。
主なものを挙げると以下の通りです。情報があまりないものもあります。
Aloe verrucosospinosa All.(1773年)
Aloe virens Haw.(1804年)
Aloe echinata Willd.(1809年)
Aloe incurva
Aloe macilenta
Aloe subtuberculata
Aloe suberecta (Aiton)Haw.
Aloe tuberculata
この他にも、様々な変種や亜種が提案されましたが、現在ではすべて認められておりません。

さらに、過去にはCatevala humilisという学名がつけられています。このCatevala属は硬葉系ハウォルチア、現在ではハウォルチオプシスと呼ばれる群につけられていた学名です。つまり、アロエ・フミリスは硬葉系ハウォルチアに分類されたこともあったのです。確かに、トゲというには弱々しく柔らかい肉イボは、現在のハウォルチオプシス属やツリスタ属によく似ています。
また、アロエ・フミリスはハウォルチア属に所属したこともあります。ひとつはHaworthia fasciata var. armataです。Haworthia fasciataの変種とされたのです。全体の形や大きさ、増えて群生するなど共通点が多いというのは確かです。Haworthia feroxと命名されたこともあったようです。

そう言えば、Aloe humilis Blankoという学名が、1837年に現在のアロエ・ベラにつけられたこともあったようです。しかし、アロエ・フミリスのAloe humilis (L.)Mill.は1771年と早いため、重複する後でつけられたアロエ・ベラのAloe humilis Blankoは却下されています。

この様に複数の名前がつけられてしまう理由は、いくつかあります。アロエ・フミリスに限らず、こうしたことはあることなので、一般論として解説します。
まず、同じ種類をいろんな人が新種として報告してしまうことがあります。この場合、発表の早い名前が優先となりますが、それらが同じものを示しているのか中々わからないことも多いようです。産地に簡単にいけないような場合や、個体数が少なくて採取か難しい場合に特に起こりやすいパターンです。しかも、産地ごとに個体差があれば、余計に判別が困難となります。
次に、個体差が大きい場合、それぞれのタイプが別種とされることがあります。同様に個体差を変種、あるいは亜種としてしまうこともあります。しかし、ある産地の1個体から採取した種子を蒔いたときに、かなりの個体差が出ることもよくあります。ですから、見た目の違いが即、別種であるとは言えませんし、変種や亜種であるとは限りません。
最後に所属があやふやな場合があります。ある仲間の中でも特殊な形態や生態である場合、他の分類群に入れられたり、独立した群として扱われることもあります。

どうでしたか? アロエ・フミリスにも初めて学名がつけられてから、200年以上の歴史があるのです。その後の紆余曲折は、まさにアロエ・フミリスにも歴史あり、でしょう。アロエ・フミリスは現在では遺伝子解析によりアロエ属であることが確定しましたが、アロエ・フミリスの様な一般的なアロエのイメージから逸脱した種類は植物学者たちも頭を悩ませてきたのです。
以上、アロエ・フミリスの歴史でした。


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アロエ・ボウィエアはアロエ感が薄い南アフリカ原産のアロエです。一見してチランドシアの様な、あるいはランの塊茎の様な不思議な形状をしています。トゲも弱々しい肉イボが少しありますが、アロエっぽさはあまりありません。

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Aloe bowiea(2020年7月、購入時)
ホームセンターで買いましたが、3980円と超高価でした。丈夫で簡単に仔を吹くだろうに…

アロエ・ボウィエアはもともとアロエとは考えられていませんでした。最初は1824年にBowiea africanaとされて登録されました。Bowieaといえば蒼角殿が1867年にBowiea volubilisとして登録されました。アロエ・ボウィエアが蒼角殿と同じ仲間とされていたというのは面白いですね。

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蒼角殿 Bowiea volubilis

その後、1829年にAloe bowieaとする考え方が出ました。この時点で、アロエかアロエではないか、という議論があったのでしょう。

1905年にBowiea africanaを正当として、Chamaealoe africanaに変更されました。これは、アロエ属ではないけれど、アロエに近いという立ち位置になったのでしょう。ちなみに、Chamaealoeの「chamae」は、「小さい」、「低い」という意味です。英訳するとドワーフ・アロエと言ったところでしょうか。

その後、結局のところAloe bowieaが正式な学名となりました。似た特徴のものをまとめる傾向があり、同じ花の特徴があればすべてアロエ属とされました。

しかし、遺伝子解析の結果を元に、アロエ属は解体される運びになりました。
綾錦がAristaloe、乙姫の舞扇がKumara、千代田錦がGonialoe、ディコトマがAloidendronになりアロエ属ではなくなったので、ボウィエアは?と思いましたが、相変わらずアロエ属のままのようです。アロエ・ボウィエアは何だかんだと変遷をたどったものの、結局のところアロエ属で落ち着きました。

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乙姫の舞扇(Kumara plicatilis)は、かつてアロエとされていました。現在はクマラ属の所属です。

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2020年3月、プロトリーフガーデン購入

去る2020年の3月の話です。コーナン港北インターガーデン店で激安の鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia)を買って、そのままザ・ガーデン本店ヨネヤマプランテーションで訳あり品の半額以下のギウラミニアナ(Euphorbia guillauminiana)をゲットした帰りに、気分がいいので二子玉川のプロトリーフガーデンに寄ってみました。そこでやはり激安の乙姫の舞扇をゲットしました。時期的に売れ残りの叩き売りなんでしょうね。決して条件が良い訳ではない環境で一冬過ごしているので、へたっている可能性が大なのでおすすめはしません。実際、ギウラミニアナは葉が出てくるか賭けでしたし。

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2021年12月

二夏過ごして結構大きくなりました。写真ではあまり変わらない様に見えますが、古い外側の葉がの大きさからして生長は歴然です。しかし、乙姫の舞扇の特徴である美しい幹が見られるのは、だいぶ先になりそうです。
クマラ属には眉刷毛錦(Kumara haemanthifolia)という難物種がおり、夏に涼しく育てないとあっという間に根が腐るらしく、断水してもダメらしいです。その点、乙姫の舞扇は丈夫で、無遮光で夏も元気に育ちます。葉の表面はブルームで被われており、青白く見えて非常に美しいものです。このように白っぽい見た目の植物は強光線に耐えるものが多いです。逆に日陰に生える植物は濃い緑色だったりします。

さて、アロエの仲間は大幅に分類が変更になった植物です。遺伝子解析によりアロエ属とハウォルチア属が解体されてしまいました。もちろんアロエ属もハウォルチア属も健在ですが、アロエ属は6属になりハウォルチア属は3属に分割されました。旧アロエ属6属と、旧ハウォルチア属3属、ガステリア属、アストロロバ属を加えて系統関係か再構築されております。
意外なことに、ハウォルチア属は旧ハウォルチア属の他2属と近縁ではなく、クマラ属と近縁なんだそうです。

┏アロイデンドロン属(旧アロエ属)
┃    ┏クマラ属(旧アロエ属)
┃┏┃
┗┃┗ハウォルチア属(旧ハウォルチア属)
    ┃┏アロイアンペロス属(旧アロエ属)
    ┗┃┏アロエ属(旧アロエ属)
        ┗┃    ┏アストロロバ属
            ┃┏┃┏  アリスタロエ属(旧アロエ属)
            ┃┃┗┃┏ゴニアロエ属(旧アロエ属)
            ┗┃    ┗┃
                ┃        ┗ツリスタ属(旧ハウォルチア属)
                ┃┏ハウォルチオプシス属(旧ハウォルチア属)
                ┗┃
                    ┗ガステリア属


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獅子錦(Aloe broomii) は南アフリカ原産のアロエ。
花は苞に隠れて見えず、1.5mに達する長大な緑の花序が伸び、その様子からsnake aloeと呼ばれているそうです。残念ながら、まだ開花したことはありません。

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完全屋外栽培(2月)

獅子錦はトゲがとても強いのが特徴です。一見して全体がトゲに被われているわけではないので、トゲも大したことが無いようにも見えます。しかし、トゲの角質化が著しく、その固さと鋭さではアロエでもトップクラスだと思います。枯れた葉を取り除こうとして、ざっくり手を切ってしまったこともあります。

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凶悪な赤いトゲ

あと、傷付くと粘り気の強い褐色の汁を大量に出します。この汁がタイルに染みて、しばらく色が落ちなかったくらい強烈でした。
海外のサイトで情報を探っていたところ、この汁についての記述がありました(Plantz Africa)。
なんでも、煮汁を使ってダニを殺したり、消毒に用いたり、羊の耳の治療に用いたりするらしいです。なんか、煮汁を馬に与えると、血液が苦くなってダニが落ちるって書いてありますけど、馬は苦くないのか気になります。

普通、アロエは霜に当たると凍ってしまい、溶けた時にブヨブヨになって死んでしまいますが、獅子錦は耐霜性があるので霜に当たっても平気です。
我が家の獅子錦は霜避けもしないで、通年完全屋外栽培です。さすがに、古い葉を中心に葉先が痛みますが、氷点下でも枯れません。非常に丈夫です。


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