近年、コーデックス・ブームがありました。今はやや落ち着いてきましたが、今でも多肉植物の即売会ではコーデックスはまだ主役級です。ブーム初期に人気を牽引したのは、おそらくパキポディウムでしょう。国内では大量の現地球が売買されており、種の多様性の保護の観点からはやや不安になります。パキポディウムの国際取引はどのようになっているのでしょうか。2018年のワシントン条約(CITES)の附属書を見てみましょう。
CITESとパキポディウム
Pachypodium属は約25種類あり、そのすべてがCITESに記載されています。アフリカ大陸に約5種類あり、残りはマダガスカル原産です。マダガスカル原産のPachypodiumのうち3種類はCITESの附属書Iに記載され、他の種はすべて附属書IIに記載されています。
パキポディウム属の特徴
Pachypodiumは高さ15mまでの低木で、根元が大きく膨れます。Pachypodium namaquanum以外は枝分かれし、枝はPachypodium decaryi以外はトゲがあります。形態は木本状から枝分かれした低木、地下塊根まで多様です。マダガスカルの南の落葉性乾性林には、Pachypodium lamereiやPachypodium geayiのように、より樹木状となる傾向があります。
パキポディウムの国際取引
P. lamereiは最も多く取引されるPachypodiumで、長年栽培されています。Pachypodiumは主に野生および人工繁殖した植物が取引されます。野生の植物は主にマダガスカルから輸出されています。人工繁殖した植物の最大の輸出国はカナダですが、これは2007年に50000を超える大規模輸出があったためで、基本的にはマダガスカルと南アフリカから輸出されます。ドイツは野生の植物の最大の輸入国で、特に2015年にはP. densiflorumの951個体にも及ぶ野生植物の輸入がありました。人工繁殖した植物の主な輸入国は、ドイツと米国、スイスです。
附属書Iに記載された3種類
①Pachypodium ambongense
『Bulletin del' Academie Malgache』(1922-1923年)より。この雑誌で初めて記載されました。
②Pachypodium decaryi
『Bulletin del' Academie Malgache』(1917年)より。この雑誌で初めて記載されました。
③Pachypodium baronii
CITES2018では、P. baronii var. baroniiとP. baronii var. windsoriiが含まれます。現在では、P. baronii var. windsoriiはP. windsoriiとなり独立種とされています。
Pachypodium windsorii
人工繁殖
Pachypodiumの繁殖は種子によりますが、P. bispinosumやP. succulentumなどでは茎や根の挿し木は一般的です。ほとんどのパキポディウムは、P. lamereiに継ぎ木することも出来ます。Pachypodiumは苗床で栽培されています。また、種子はインターネット上で広く入手可能です。P. brevicauleのようないくつかの種は、アマチュアは栽培が難しく非常に生長が遅いことで知られています。
Pachypodium bispinosum
以上がCITES2018のパキポディウムについてでした。附属書Iに記載された3種(P. windsoriiを含めると4種)は、基本的に国際取引は禁止されています。それ以外のパキポディウムもすべて附属書IIに記載されていますから、国際取引には許可が必要です。
さて、日本でパキポディウムと言えばP. graciliusです。あの丸っこい現地球はやはり大人気で、割と高額であるにも関わらずコーデックスを育てる際の入口になっています。しかし、パキポディウムは安価な実生苗が広く出回るようになり、今では誰でも育てられるコーデックスの入手種としての地位を盤石としています。さらに、最近は実生にチャレンジする趣味家も増えており、種の保存の観点からも良い傾向と言えます。やはり、種から育てた植物は愛着がわきますし、完成した現地球とは異なり育っていく姿が顕著に現れますから、育てていて楽しいでしょう。私は頻繁な水やりが苦手なので、実生はおそらく(必ず)失敗するでしょうからやりません。ですから、私は多肉植物の即売会で実生苗を購入しています。多肉植物の即売会ではP. inopinatumやP. enigmaticum、P. makayenseなど、やや珍しいパキポディウムの実生苗も入手可能です。お値段的にもそれほど高くはないので、気軽に始められるので皆様も育ててみてはいかがでしょうか?
Pachypodium makayense
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CITESとパキポディウム
Pachypodium属は約25種類あり、そのすべてがCITESに記載されています。アフリカ大陸に約5種類あり、残りはマダガスカル原産です。マダガスカル原産のPachypodiumのうち3種類はCITESの附属書Iに記載され、他の種はすべて附属書IIに記載されています。
パキポディウム属の特徴
Pachypodiumは高さ15mまでの低木で、根元が大きく膨れます。Pachypodium namaquanum以外は枝分かれし、枝はPachypodium decaryi以外はトゲがあります。形態は木本状から枝分かれした低木、地下塊根まで多様です。マダガスカルの南の落葉性乾性林には、Pachypodium lamereiやPachypodium geayiのように、より樹木状となる傾向があります。
パキポディウムの国際取引
P. lamereiは最も多く取引されるPachypodiumで、長年栽培されています。Pachypodiumは主に野生および人工繁殖した植物が取引されます。野生の植物は主にマダガスカルから輸出されています。人工繁殖した植物の最大の輸出国はカナダですが、これは2007年に50000を超える大規模輸出があったためで、基本的にはマダガスカルと南アフリカから輸出されます。ドイツは野生の植物の最大の輸入国で、特に2015年にはP. densiflorumの951個体にも及ぶ野生植物の輸入がありました。人工繁殖した植物の主な輸入国は、ドイツと米国、スイスです。
附属書Iに記載された3種類
①Pachypodium ambongense
『Bulletin del' Academie Malgache』(1922-1923年)より。この雑誌で初めて記載されました。
②Pachypodium decaryi
『Bulletin del' Academie Malgache』(1917年)より。この雑誌で初めて記載されました。
③Pachypodium baronii
CITES2018では、P. baronii var. baroniiとP. baronii var. windsoriiが含まれます。現在では、P. baronii var. windsoriiはP. windsoriiとなり独立種とされています。
Pachypodium windsorii
人工繁殖
Pachypodiumの繁殖は種子によりますが、P. bispinosumやP. succulentumなどでは茎や根の挿し木は一般的です。ほとんどのパキポディウムは、P. lamereiに継ぎ木することも出来ます。Pachypodiumは苗床で栽培されています。また、種子はインターネット上で広く入手可能です。P. brevicauleのようないくつかの種は、アマチュアは栽培が難しく非常に生長が遅いことで知られています。
Pachypodium bispinosum
以上がCITES2018のパキポディウムについてでした。附属書Iに記載された3種(P. windsoriiを含めると4種)は、基本的に国際取引は禁止されています。それ以外のパキポディウムもすべて附属書IIに記載されていますから、国際取引には許可が必要です。
さて、日本でパキポディウムと言えばP. graciliusです。あの丸っこい現地球はやはり大人気で、割と高額であるにも関わらずコーデックスを育てる際の入口になっています。しかし、パキポディウムは安価な実生苗が広く出回るようになり、今では誰でも育てられるコーデックスの入手種としての地位を盤石としています。さらに、最近は実生にチャレンジする趣味家も増えており、種の保存の観点からも良い傾向と言えます。やはり、種から育てた植物は愛着がわきますし、完成した現地球とは異なり育っていく姿が顕著に現れますから、育てていて楽しいでしょう。私は頻繁な水やりが苦手なので、実生はおそらく(必ず)失敗するでしょうからやりません。ですから、私は多肉植物の即売会で実生苗を購入しています。多肉植物の即売会ではP. inopinatumやP. enigmaticum、P. makayenseなど、やや珍しいパキポディウムの実生苗も入手可能です。お値段的にもそれほど高くはないので、気軽に始められるので皆様も育ててみてはいかがでしょうか?
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