ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

カテゴリ: ユーフォルビア

昨年の秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、「ユーフォルビア・ペディラントイデス」という名前の花キリンを入手しました。調べてみましたが、海外や論文を含めたいした情報はありませんでした。仕方がないので、学名について調べてみました。

DSC_1765
Euphorbia pedilanthoides

ペディラントイデスの学名は、1921年に命名されたEuphorbia pedilanthoides Denisです。しかし、実は最初に命名されたのは1887年で、Pedilanthus lycioides Bakerでした。Pedilanthusはユーフォルビア属と同じトウダイグサ科の植物で、すぼまった形のほとんど開かない花が咲きます。代表的な種類は「ダイギンリュウ」の名前で知られています。ペディラントイデスは最初Pedilanthusとされたのは、特徴的な花の形状がよく似ているからでしょう。しかし、それ以下の特徴はあまりにも花キリンです。
ここで一つ疑問がわきます。Pedilanthus lycioidesがユーフォルビア属に移動したならば、学名はEuphorbia lycioidesとなるのが通常でしょう。しかし、何故かEuphorbia pedilanthoidesとされているのです。もしやと思って、試しにEuphorbia lycioidesを調べてみたら、なんとEuphorbia lycioides Boiss.というブラジル原産のユーフォルビアが出てきました。ペディラントイデスは花キリンですから、当然ながらマダガスカル原産です。つまりはまったくの別種です。しかも、このEuphorbia lycioidesは1860年の命名で、なんとPedilanthus lycioidesよりも命名が早いのです。命名が早い方が優先されますから、Euphorbia lycioidesを使うわけにはいかなかったのです。というわけで、ユーフォルビアとなるにあたり新たに命名し直したということなのでしょう。ちなみに、種小名の'pedilanthoides'とは、「Pedilanthusに似た」という意味ですね。

ペディラントイデスには「痩花キリン」という名前もあります。枝が細い所から来ているのでしょうか。読み方ですが、幾つかのサイトでは「ソウカキリン」とありました。しかし、「痩せた」+「花キリン」でしょうから、「痩花+キリン」は読み方としては少しおかしな気もしますが、まあ所詮は園芸名なので問題がないと言えば問題がないのでしょう。
そういえば、根元の幹が少し太ってやや塊茎状となるようですが、小さく目立ちませんね。本来は枝が枝分かれして長く伸び灌木状になりますから、盆栽のような枝を切り詰めながら育てればコーデックスとして扱えるかもしれません。

ペディラントイデスは花キリンですが、花キリンはユーフォルビア属ユーフォルビア亜属Old world  Clade IIのSection Goniostemaに所属します。花キリンにも幾つかのグループがありますが、ペディラントイデスはE. horombensis、E. didiereoides、E. croizatii、E. lophogona、E. milliiなどと近縁です。

ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

昨年末に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで、低木状のユーフォルビアであるバルサミフェラ(Euphorbia balsamifera)を購入しました。バルサミフェラはあまり見かけないユーフォルビアでしたが、最近のイベントではポツポツ見かけるようになりました。国内ではあまり流通していませんから、割と高価です。しかし、私のバルサミフェラは現在室内栽培しているとは言うものの、明け方はかなり冷え込むにも関わらず新しい葉を盛んに出しています。思ったより丈夫みたいですから、値段も徐々に落ち着いていくでしょうね。

_20230119_013547
Euphorbia balsamifera

そんなバルサミフェラですが、非常に分布が広く生息域が分断されて距離があることが知られています。そのため、伝統的にアフリカ北部に広く分布するE. balsamifera subsp. balsamiferaと、アフリカの角~アラビア半島原産のE. balsamifera subsp. adenensisに分けられてきました。しかし、実際にはsubsp. adenensisは種として独立し、Euphorbia adenensisとなりました。

実はここからが本題です。どうやら、バルサミフェラにはまだ謎が隠されているようなのです。というわけで、本日ご紹介するのはRichard Riinaの2020年の論文、『Three sweet tabaibas instead of one : splitting former Euphorbia balsamifera s. l. and resurrecting the forgotten Euphorbia sepium』です。
論文のタイトルの後半は、「広義のEuphorbia balsamiferaを分割し、忘れられたEuphorbia sepiumを復活させる」ということですから、バルサミフェラからE. sepiumを分離するということです。さて、この「広義(s.l.=sensu lato)のバルサミフェラ」とは何かですが、ここではE. adenensisやE. sepiumを含んだバルサミフェラを示しています。逆にE. adenensisやE. sepiumを含まないバルサミフェラは「狭義(s.s.=sensu stricto)のバルサミフェラ」と呼んでいます。

一度述べていますが、広義のバルサミフェラはアフリカの角~アラビア半島はアフリカ北西部~西部などの個体群と分布に距離がありました。そのため、広義のバルサミフェラについて、各地からサンプリングして遺伝子を解析しました。その結果を示します。

┏━━━━E. sepium

┃            ┏E. adenensis
┗━━━┫
                ┗E. balsamifera s.s.

まずは、広義のバルサミフェラが3つに分割できるということが分かります。狭義のバルサミフェラはモロッコ、西サハラ、カナリア諸島の原産です。驚くべきことに、アフリカ北西部に分布する狭義のバルサミフェラに近縁なのは、分布の離れたE. adenensisでした。しかし、最大の驚きは狭義のバルサミフェラやアデネンシスと遺伝的に距離がある種があったのです。論文ではこの種を、昔命名されたものの忘れ去られていたE. sepiumを適用しました。実はこのセピウムは、アルジェリア、ベニン、ブルキナファソ、中央アフリカ、チャド、コンゴ、ガンビア、ガーナ、ギニア、リベリア、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル、トーゴ、西サハラと非常に分布が広く、かつて広義のバルサミフェラの分布の大半を占めています。

ここで疑問が浮かびます。広義のバルサミフェラは三分割されたとは言うものの、非常に近縁であることは間違いありません。では、どのような道筋で進化したのでしょうか。通常ならば、狭義のバルサミフェラ→セピウム→アデネンシスか、アデネンシス→セピウム→狭義のバルサミフェラが一番分かりやすいでしょう。または、広義のバルサミフェラの広い分布域から、徐々に3種類に分かれたというシナリオもあるでしょう。しかし、予想外にも狭義のバルサミフェラとアデネンシスが近縁ですから、上のシナリオはすべてご破算です。例えば、昔は狭義のバルサミフェラあるいはアデネンシスの分布が今より広く隣接していたとか、狭義のバルサミフェラとアデネンシスの間の空白に絶滅した未知の種が存在したとか、考えられるシナリオは沢山あります。

バルサミフェラの学名についてまとめましょう。
バルサミフェラは、1789年にEuphorbia balsamifera Aitonと命名されました。1887年に命名されたEuphorbia adenensis Deflersは、1965年にはEuphorbia balsamifera subsp. adenensis (Deflers) P.R.O.Bally、つまりはバルサミフェラの亜種とされましたが、地理的な隔離などによりやがて独立種により戻されました。また、1911年に命名されたEuphorbia rogeri N.E.Br.は、1938年にEuphorbia balsamifera var. rogeri (N.E.Br.) Maire1948年にはEuphorbia balsamifera subsp. rogeri (N.E.Br.) Guinea とする意見もありましたが、E. rogeriはE. balsamiferaと同種とされています。しかし、1911年に命名されたEuphorbia sapium N.E.Br.は、1938年にEuphorbia balsamifera subsp. sepium (N.E.Br.) Maireとされてきましたが、再びEuphorbia sepiumに戻り、広義のバルサミフェラは3種類に分割されることになったのです。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

昨年末に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアで、Euphorbia ellenbeckiiという名前のユーフォルビアを入手しました。どのような多肉植物なのでしょうか? 少し調べてみました。

DSC_2060
Euphorbia ellenbeckii

Monadenium ellenbeckii
取り敢えず「エレンベッキー」で検索すると、出てくるのはMonadenium ellenbeckiiですね。正直、これは中々面白いことになったと感じました。というのも、遺伝子解析の結果からモナデニウムはユーフォルビアに吸収されてしまいました。ということは、Monadenium ellenbeckiiはEuphorbia ellenbeckiiになるのかというと、おそらくは違うでしょう。何故なら、すでにユーフォルビアには同じ種小名のEuphorbia ellenbeckiiがいるからです。データベースを見てみると、M. ellenbeckiiは2006年にEuphorbia bisellenbeckiiに変更されました。やはり、同姓同名は許されないということです。新しい種小名は、ellenbeckiiに'bis'を追加しただけではあります。この'bis'は「2回」とか「2度」という意味ですから、すでに存在するEuphorbia ellenbeckiiに2を追加した「エレンベッキー2」みたいな割と安直な名前です。
しかし、海外のサイトではすでにこのE. bisellenbeckiiは普通に使われていますが、日本国内ではほぼ流通していない名前です。以前から思っていましたが、日本は情報が遅いですよね。こういう部分でもガラパゴス化しているのは困ったものです。私の弱小ブログではじめて日本で紹介された情報がかなりあるということに、若干うんざりしてしまいます。


Euphorbia ellenbeckii
愚痴はほどほどにして、E. ellenbeckiiを見てみましょう。エレンベッキーは1903年に命名されたEuphorbia ellenbeckii Paxです。特に異名などはないみたいです。原産地はエチオピア、ケニア、ソマリアですから、ちょうどアフリカの角にあたる部分ですね。
E. ellenbeckiiがはじめて記載された論文はPax in A. Engler, Botanische Jahrbücher für Systematik, Pflanzengeschichte und Pflanzengeographie 33 : 285 (1903)ということです。古いので探してもないでしょうけど、一応は探してみます。ごく稀に、古い論文を画像データとして公開されていることもあるからです。
どうやら、E. ellenbeckiiは根元から叢生するタイプみたいですが、枝は再分岐せずに15cmくらいになるようです。トゲは螺旋状につき、最大1.5cmくらいでサイズは様々ということです。花は黄色がかったピンク。ソマリアやタンザニアの原産と聞いて高地産と思いましたが、標高150mに分布するといいますからそれほど育て方に難はないかもしれませんね。


さて、現在得られる情報はこの程度です。正直、情報不足は否めません。日本国内の情報はほぼゼロに近いのですが、海外の情報もどうにも今一つですね。ヒットするのは販売サイトばかりです。育て方もよくわかりませんが、取り敢えず分布が近いソマリア原産のEuphorbia phillipsioidesを参照にして育てるつもりです。E. phillipsioidesはソマリアものですが暑さにも強く、強光にも割と耐えます。もし、日焼けの徴候があれば遮光を強目にすれば良いだけです。間延びした姿にはしたくありませんから、なるべく日に当てて水も絞って詰まった株に育てたいものです。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

紅彩閣というユーフォルビアがありますが、本日はその紅彩閣についてのお話です。まあ、たいした話ではありませんが。
この紅彩閣はホームセンターでも売っている普及種で、昔から国内で流通しています。いわゆるサボテンもどきの扱いでした。多肉ユーフォルビアはだいたいそんな扱いでしたけどね。よく枝が出ますが、その枝を挿し木すれば簡単に増やせます。
さて、そんな紅彩閣は園芸店では「エノプラ」という名札が付いていることが多いようです。これは、学名のEuphorbia enoplaから来ています。しかし、このE. enoplaは園芸界では使われていますが、学術的にはほとんど使用されていないことをご存知でしたか?
例えば、地球規模生物多様性情報機構に登録された標本や画像といった学術情報において、E. enoplaの使用はわずか6.4%しかありません。では、どのような名前が使われているかと言うと、Euphorbia heptagonaです。このE. heptagonaは学術情報の実に91.4%を占めています。
他のソースも見てみましょう。まず、原産国である南アフリカの絶滅危惧種のリスト(Red List)では、E. enoplaではなくてE. heptagonaでした。さらに、アメリカ国立生物工学情報センターのデータベースを見ても、やはりE. heptagonaとなっています。もはや、エノプラの名前はただの俗称、良くて園芸名でしかありません。

では、なぜE. enoplaではなくてE. heptagonaとされているのでしょうか? その理由を解説しましょう。まず大事なこととして、生物の学名にはルールがあるということです。各々が勝手に名前をつけて勝手に使用していいものではありません。すべては国際命名規約の定めたルールに従っています。
E. heptagonaの場合は、
先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」で簡単に説明がつきます。紅彩閣は過去に複数の学名がつけられてきました。年表をお示ししましょう。

1753年 E. heptagona L.
1858年 E. desmetiana Lem.
1860年 E. enopla Boiss.
1907年 E. morinii A.Berger
1915年 E. atrispina N.E.Br.


以上のように、E. enoplaの前に2回命名されています。一番早いのはE. heptagonaですね。E. enoplaより100年以上前に命名されたEuphorbia heptagona L.こそが正しい学名なのです。ここいら辺の情報は、2012年に出されたP.V. Bruynsの論文、『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』をご参照下さいませ。

というわけで、紅彩閣の正式な名前はE. heptagonaでありE. enoplaは誤りです。また、最初に命名された学名があまり使用されずに忘れ去られていて、別の学名が使用されてきた場合もあります。その場合は名前を本来の正しい学名に戻すと混乱のもとになりますから、よく使われる学名を保存名(保留名、nom.cons.)として正式な学名とし、使われない本来の学名を廃棄名(nom.rej.)として使わない処置をしたりします。しかし、E. enoplaに関しては、あくまでも園芸上の使用でしかなく、学術的に使用されてきたという経緯はありません。ですから、今後学術的にEuphorbia enoplaが使用されることはないとお考え下さい。

DSC_2065
紅彩閣 Euphorbia heptagona L.



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

現代医学が幅を利かせているように思われる昨今ですが、未だに世界中で薬草が現役で使用されています。先端医療が行き届いていないという事実もありますが、それだけではないでしょう。伝統的な風習にも関係があります。多肉植物も医療目的で使われることがありますが、なんと驚くべきことに毒があることで有名なユーフォルビアが薬草として利用されていると言うのです。特に世界中で帰化しているEuphorbia tirucalliは薬草として世界中で栽培されています。また、アフリカでも様々なユーフォルビアが薬草として使われていますが、猛毒の矢毒キリンすら薬草なのですから驚かされます。

DSC_1714
矢毒キリン Euphorbia virosa

さて、本日はその矢毒キリンのベナン共和国における薬草としての利用方法について調査した、Gbodja Houehanou, Francois Gbesso, Jhonn Logbo, Jacques EvrardCharles Aguia Dahoによる『Variability between Socio-culture Groups and Generations of Traditional Knowledge of Euphorbia poissonii Pax in Benin』という論文です。

世界保健機関(WHO)によると、発展途上国の世界人口の約65~80%は、貧困と現代医学へのアクセスの困難から薬草に依存しているとしています。アフリカでは薬草は先祖代々の慣習であり、人口の80%近くが薬草を利用しています。薬草の知識は主に口伝による世代間の伝承によります。
この調査はベナン共和国のSavalou市において、Mahi族とNago族のE. virosaの利用方法を調査しました。調査は112人に対する個別インタビューによるものです。Savalouはスーダン - ギニアのサバンナ植生と湿潤熱帯の移行帯に位置しています。岩の多い土壌はE. virosaの生育には適した環境です。現地ではE. virosaは庭や畑で栽培されます。
調査の結果によると、成人のMahiや若いNagoはE. virosaを単純に毒として利用し、成人と老人のNagoは薬用とする傾向があります。また、老人のMahiはE. virosaを魔術的な医療として利用する傾向があります。しかし、統計学的には薬用あるいは毒としての利用が重要でした。調査ではE. virosaの21の用途が明らかとなりました。葉、樹皮、茎、乳液が特定の病気や症状に対して治療目的で使用されました。体の一部あるいは創傷による腫れ、麻疹、サソリ刺されなどの治療においてMahi社会では重要な用途でした。また、成人女性及び老人(女性)、若い男性のMahiは葉を使用する傾向があり、成人男性のNagoと老人Mahiは乳液、老人Nagoと若い女性Mahiは樹皮をより使用する傾向があります。


以上が論文の簡単な要約となります。
矢毒キリンの名前の通りE. virosaは毒性が高いことで知られています。しかし、それはベナンにおいても同様で、E. virosaは毒性が高いと正しく認識されているようです。それでも薬用に用いるのは、強力に人体に作用するからでしょう。それは必ずしも良い作用ばかりではないかも知れませんが…。とはいえ、E. virosaの乳液にはおそらくは未知の化合物も含まれているはずで、すでに抽出された化合物であっても薬理作用は完全に解明されてはいないはずです。このような伝統医療の解明と活用法については、まだ様々な可能性を秘めているように思えます。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


南アフリカは多肉植物の宝庫で、その多様はアフリカでも他の追随を許しません。ユーフォルビアやアロエと言えば南アフリカかマダガスカルですし、ガステリアやハウォルアと言えば断然南アフリカでしょう。そんな多肉植物の楽園である南アフリカですが、大型の樹木のようなユーフォルビアがあちらこちらに生えています。そんな樹木状ユーフォルビアについて書かれた記事を見つけました。

本日ご紹介するのは、Sean Gildenhuysの2006年の記事、『The three most abundant tree Euphorbia species of Transvaal (South Africa)』です。
表題にあるTransvaalとは南アフリカの北部4州であるLimpopo州、Mpumalanga州、Gauteng州、North-West州にあたる地域をかつてはそう呼んでいました。このTransvaal原産のユーフォルビアは割と希少なものが多く、Euphorbia barnardii、Euphorbia clivicola、Euphorbia knoblii、Euphorbia waterbergensis、Euphorbia zoutpansbergensisは分布域が狭く個体数も少ないことが知られています。しかし、記事では分布が広く個体数が非常に多い3種類のユーフォルビアが取り上げられています。その3種類とは、Euphorbia cooperi var. cooperi、Euphorbia ingens、Euphorbia tirucalliで、どこにでも生えるためこの3種類で構成された地域もあります。この3種類は樹木状で大型となります。


Euphorbia cooperi var. cooperi
日本では瑠璃塔の名前で知られているユーフォルビアです。
学名はE. cooperiを英国に紹介した植物収集家・栽培家のThomas Cooperに対する献名です。1900年にThomas Cooperの義理の息子であるN.E.Brownは、王立植物園で栽培されている双子葉植物リストに適切な説明もなくE. cooperiを命名しました。1907年にA.Bergerは多肉ユーフォルビアのハンドブックを出版し、E. cooperiについて適切な説明を付加しました。そのため、現在の学名はE. cooperi N.E.Br. ex A. Bergerとなっています。N.E.Brownが最初に命名したものの、命名規約の要件を満たしていないため、要件を満たしたA.Bergerの名前も入っているわけです。しかし、残念ながらA.BergerのハンドブックのE. cooperiのイラストは間違っていてE. ingensが書かれています。また、Thomas Cooper自体がE. ingensとE. cooperiを混同していたようです。

さて、E. cooperi var. cooperiは約10mほどの高さになります。根元から分岐せずに、枝は上部に固まってつきます。枝は分節構造が積み重なるため、クビレが生じます。
E. cooperi var. cooperiは南アフリカに広く分布し、KwaZulu-Natal、スワジランド、North-West州、Mpumalanga、Limpopo州からモザンビーク、ジンバブエ、ボツワナまで見られます。Limpopo州のPenge地区に固有のE. grandialataと混同される可能性がありますが、E. grandialataの方がトゲが長く、E. cooperiとは異なり花序に柄があります。
E. cooperi var. cooperiの乳液は非常に毒性が高く、皮膚に触れるだけで激しい痛みを引き起こし、水ぶくれや失明の可能性すらあります。E. cooperiの原産地では、E. cooperiの乳液を加熱して「鳥もち」を作り水辺の枝に塗って鳥を捕まえます。また、漁にも使われるそうです。

DSC_1890
瑠璃塔 Euphorbia cooperi

Euphorbia ingens
日本では沖天閣の名前で知られているユーフォルビアです。
E. cooperi var. cooperiと時折見られるのが、Euphorbia ingensです。種小名は「巨大な」という意味で、枝が頑丈で重いことを差します。E. ingensは1831年にJ.F.Dregeにより発見され、1843年にE.Mayerにより記載されました。
E. ingensは高さ10mになり多くの枝を持つ樹木状ユーフォルビアです。E. ingensはKwaZulu-Natal、スワジランド、Mpumalanga、Gauteng、North-West州、Limpopo州、モザンビーク、ジンバブエに自生します。南アフリカにはE. ingensの近縁種はいませんが、より北部ではE. candelabrum、E. kamerunicaなどの近縁種が数種類あります。E. ingensは非常に広範囲に分布するため変動に幅があり、変種あるいは新種が分離される可能性もあります。
Transvaalのユーフォルビアの中でもE. ingensの乳液は非常に毒性が高く、皮膚への刺激性が高く火傷を引き起こします。目に入ると失明の危険性があります。ただし、地元の人は下剤(※)として利用していると言います。また、乳液は潰瘍や癌に効果があるとされているそうです。

E. ingensは材木としても利用されます。E. ingensは生長が早く干魃に強く、Limpopo州ではよく使われます。また、E. ingensは非常に頑丈な生垣として植栽されます。

※記事には詳しく書いてありませんが、おそらくは駆虫薬でしょう。砂糖を入れると書いてありましたが、おそらくかなり希釈するはずです。

Euphorbia tirucalli
日本ではミルクブッシュや緑サンゴなどの名前で知られているユーフォルビアです。
E. tirucalliは樹木状ユーフォルビアの中でも最も有名で、おそらく最も普及しています。E. tirucalliは世界中で帰化しており、その起源は定かではありません。南アフリカでは、東ケープ州からMpumalanga、North-West州、Limpopo州に分布します。E. tirucalliはトゲのない円筒形の枝が分岐する独特のフォルムの植物で、近縁種の多くはマダガスカル原産です。

E. tirucalliは1753年にCarl von Linneにより命名されましたが、タイプはインドで栽培されていた個体から作成されました。このインドのE. tirucalliはモザンビークに立ち寄った初期のポルトガル人によりもたらされた可能性があります。ただ、それ以前にすでに導入済みだったのかもしれません。種小名はインドの住民の呼び方から来ています。
E. tirucalliは低木状から高さ10mに達することもあります。E. tirucalliの乳液はやはり危険ですが、アフリカやインドでは生垣にされてきました。虫の駆除や矢毒、E. tirucalliの乳液を米と煮て鳥もちを作ります。また、乳液は不妊症やインポテンツに効果があるとされ飲まれることがありますが、これは流石に危険性が高く致命的となりかねないようです。さらに、多くの病気(淋病、梅毒など)や癌、イボなどの治療に役立つとされています。
E. tirucalliの乳液の抽出物は石油の代替品として研究され肯定的な結果が得られているそうです。また、乳液をゴムの代用品として使用されましたが低品質です。
E. tirucalliは様々な美しい園芸品種が作られており、挿し木で簡単に増やせることもあり南アフリカでは造園用として盛んに利用されています。


以上が簡単な要約となります。
しかし、毒性の高いユーフォルビアの乳液を薬としようというだけでとんでもないなあと思ってしまいます。しかし、現代の薬自体が毒から作られてきたという事実があります。毒というのは人体に強く作用していることから、作用が分かれば用法容量次第で薬となるのです。E. tirucalliは世界中に生えているせいか、乳液の中の有効成分を解析した沢山の論文が出ています。しかし、逆を言えばユーフォルビアは化学成分の論文ばかりで、植物自体についての論文が少ないのは残念です。知りたいことは山程あるわけですが…



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


多肉植物好きとして以前から気になっていることがあります。それはホリダ(Euphorbia polygona var. horrida)が、自生地では寄生植物に寄生されているというのです。現在、ホリダはポリゴナ(Euphorbia polygona)の変種とされていますが、やはりポリゴナも同じ寄生植物に寄生されると言いますから、やはりホリダとポリゴナは近縁なのだろうと感じました。しかし、論文を探ってみると購入しないと読めないものしかなく、半ば諦めかけていました。しかし、最近ホリダについて色々調べていた際、多肉ユーフォルビアに寄生する寄生植物について書かれた論文を見つけました。今まで調べて読めなかった論文とは異なり、ホリダについて書かれた部分は極僅かでしたが、しかし貴重な情報を得られることは大変な僥倖です。

本日ご紹介するのはMaik  Vesteの2007年の論文、『Parasitic flowering plants on Euphorbia in South Africa and Namibia』です。早速内容に入りましょう。
南アフリカとナミビアには67種類の寄生植物が知られており、23種類は茎に寄生し、44種類は根に寄生します。主に樹木を寄生先(宿主)としていますが、Aloidendron dichotomumやCotyledon、Lampranthusなどの多肉植物を宿主とするものもあります。多肉植物ではユーフォルビアの寄生植物で高い多様性が見られます。

まずは根に寄生する寄生植物から見ていきましょう。
ヒドノラ属はアフリカ南部ではHydnora africanaとHydnora tricepsが見られ、ユーフォルビアだけを宿主としています。Hydnora africanaはケープ半島からナミビアのNama Karoo、東は東ケープ州まで広く分布します。対してHydnora tricepsは希少です。植物学者のJohann F. Dregeは1830年にNamaqualandのOkip近くでH. tricepsを発見し標本を採取しました。しかし、Johann Visserが1988年にNamaqualandで再発見するまで忘れ去られていました。分布はNamaqualandとナミビア南部の狭い地域からのみ知られています。H. tricepsはEuphorbia dregeanaに寄生し、他のユーフォルビアが近くに生えていてもE. dregeanaにのみ寄生します。Namaqualandの北西にあるPort NollothではE. dregeanaの10%、ナミビア南部では0.5%以下の寄生率であると推定されています。
Hydnoraは地下で育ち葉がないため、見つけることは中々困難です。しかし、腐敗臭を放つ異様な姿の肉質な花が、地面から地上に出て来て咲きます。悪臭は受粉のためにハエを呼んでいるのかもしれません。果実は食用となり甘味があり、南アフリカ北部のKhoi族は伝統的に利用しています。

次に茎に寄生する寄生植物を見てみましょう。
樹木の枝に寄生するヤドリギはアフリカ南部の乾燥地帯でも一般的です。寄生植物は決まった宿主に寄生しますが、中には相手をあまり選ばない種類もあります。Tapinanthus oleifoliusはAcacia、Aloe、Citrus、Ficus、Rhus、Tamarixや他の種類の寄生植物にすら寄生します。このT. oleifoliusは矢毒キリン(Euphorbia virosa)にも寄生することが知られています。

DSC_1893
矢毒キリン Euphorbia virosa

最小のヤドリギはViscum minimumで、2~3枚の葉を持ち数ミリメートルしかありません。Little Karooから東ケープまで分布します。
1981年にVisserはV. minimumが、ほぼ独占的にEuphorbia polygonaとEuphorbia polygona var. horridaに寄生することを報告しました。実験レベルでは他の28種類のユーフォルビアにも寄生させることに成功しています。しかし、野生状態では分かりません。


_20221215_195230
ホリダ
Euphorbia polygona var. horrida(神代植物公園)

以上が論文の簡単な要約です。
ホリダに寄生する植物がいるという話を聞いた時に、驚くとともに非常に興味深く感じました。私は何故かホリダの根に寄生するのだろうと、勝手に思い込んでいました。それがまさか幹に数ミリメートルのゴミみたいなヤドリギがゴマを散らしたようにくっついているとは、予想値にしませんでした。
このように、論文を読むたびに新鮮な驚きがあります。多肉植物の意外性は、私の想像を上回るものがあります。これからも多肉植物の謎を調べて行きたいと思います。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


最近、ムランジーナという名前のユーフォルビアが多肉植物に力を入れている園芸店などに並ぶようになりました。巨大な塊根のようなものから細い枝が複数伸びる不思議な姿です。
実はこのムランジーナを見た時に、これが何なのかよく分かりませんでした。というのも、大型の多肉ユーフォルビアは幹が樹木のように硬くなりますが、ムランジーナはどうもそのようには見えません。胴切りして頭から子を吹かせたわけでもなく、木質化した幹から緑の枝を伸ばしています。どうすればこのような姿に育つのか疑問でした。ですから、初見では塊根だと勘違いしたわけです。しかし、論文を調べてみると、どうも塊根ではなく幹ということで、しかもその異様な幹が形成される理由がわかりました。というわけで、ムランジーナとは一体何者なのか論文を見てみましょう。

DSC_1762
Euphorbia mlanjeana
おそらく挿し木苗ですので、特徴的な幹は見られません。

本日ご紹介するのはJoachim Thiede, Pastor Theo Peter Campbell-Barker, Philip E. Downs & Bruce J. Hargreavesの2016年の論文、『A review of Euphorbia mlanjeana L.C.Leach (Euphorbiaceae) : its habitats on Mount Mulanje(Malawi) and new localities in Mozambique』です。

論文の内容はマラウイのMulanje山に分布するE. mlanjeanaが、モザンビークにも分布していますというものです。新たな産地の報告ですね。しかし、それだけではなく、E. mlanjeanaの命名の経緯や生態も詳しく述べられています。詳しく見てみましょう。

マラウイはマラウイ湖から西に伸びるアフリカ南東部の内陸国です。タンザニア、ザンビア、モザンビークと隣接しています。マラウイの多肉植物は約120種類が知れていますが、ジンバブエの約318種類やケニアの約380種類と比較するとかはり少なく感じます。単純に国土面積が狭いからではなく、国の大部分が標高1500m以上に位置し、気温は低く降雨量もかなり多いということです。
マラウイの植生で興味深いのはMulanje山塊で、植物の多様性が高く約69の固有分類群が知れています。E. mlanjeanaもMulanje山に分布します。"mlanjeana"はMulanje山に由来しますが、よく見ると"u"が抜けています。これは、イギリスの植民地時代の綴りの誤りで、E. mlanjeana命名当時は"u"がないMlanje山と呼ばれていたことが原因です。
E. mlanjeanaは標高1000~1980mの露出した花崗岩の斜面や平らな岩肌に生えます。

E. mlanjeanaのは1973年にL.C.Leachにより命名されましたが、不思議な幹の謎がその時点で言及されていました。どうやら、E. mlanjeanaの自生地は乾燥した草が頻繁に山火事を起こし、E. mlanjeanaは数年しか枝が存続しないように見えると述べています。要するに、家火事により幹の表面は焼け焦げて枝は枯れますが、そのうち細い枝がまた出て来て、しかしまた火事が起きて…、という繰り返しがあの異様な姿を作り出したのです。思いもよらぬ自然現象によるものでした。実生からの栽培では火事に合いませんから、現地球のような姿には育たないそうです。

長い間、E. mlanjeanaはMulanje山でのみ知られる固有種でしたが、Bruynsは2003, 2005, 2006年に2種類の新種の報告の中で、モザンビークの2つの山岳地帯に生えるE. mlanjeanaについてさりげなく言及しました。モザンビークのRibaue山脈とNamuli山塊です。

さて、以上が簡単な論文の要約です。
まさか山火事が関係しているとは思いもよらず、大変な驚きでした。しかし、最近急に輸入されるようになりましたが、もともと個体数がそれほど多くなかったかわけで、これだけの野生株が山掘りされていることはかなり不安です。タンザニアからも輸入があると聞きますから、さらに新産地が見つかったのかも知れません。しかし、山火事という偶然が長い時間をかけて作り出した自生株が急激に失われていくのかも知れません。大変悲しいことです。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


サボテンや多肉植物は乾燥に耐えるために、水分を蓄えるために厚みのある葉、太い根、太い幹など様々な適応が見られます。その中でも高度に多肉化したものとして、サボテン科が非常に有名です。そのため、サボテンは、特に大型の柱サボテンの幹の構造と光合成や貯水の関係性については研究が行われています。
しかし、その種類の多さや多様性ではサボテンと双璧をなすトウダイグサ(ユーフォルビア)科については、その手の研究は行われて来ませんでした。アフリカには沢山の種類の柱サボテン状の巨大なユーフォルビアが自生しますが、ユーフォルビアの幹の構造についての研究した論文を見つけました。それは、2018年のP. W. Rundel, K. J. Esler, T. W. Rundelによる『Canopy architecture and PAR absorption of Euphorbia cooperi in the Matobo Hills, Zimbabwe』という論文です。今回の論文で調査しているEuphorbia cooperiは、日本では「瑠璃塔」の名前で知られています。私も苗を入手して育てています。

DSC_1890
瑠璃塔 Euphorbia cooperi

大型の柱サボテンは、幹にひだ(稜)があります。一般的に水分を貯蔵するだけなら断面は円に近い方が有利でしょう。しかし、乾燥地に生えるサボテンが常に過不足なく水分を貯めているわけではありません。乾季が続けば水分が抜けていき縮み、雨が降ればパンパンに水分を吸収して膨れるわけです。この時に、水分の増減による収縮と膨張を稜が、アコーディオンのように柔軟に調整しているとされています。良く似た姿のユーフォルビアはどうでしょうか?

E. cooperiは10mに達する、沢山の枝が出る樹木状ユーフォルビアです。分布も広く、南アフリカのKwaZulu-Natal、スワジランド、North-West州、Mpumalanga、Limpopo州からモザンビーク、ジンバブエ、ボツワナ、ザンビア、タンザニアにまで及びます。
E. cooperiは幹の上部で沢山枝分かれします。著者が観察したE. cooperiは4稜でしたが、5稜の集団もありました。断面は四角形ではなく、稜の間が凹んだ形でした。E. cooperiは段を重ねるように育ち、円錐形を重ねたような珍しい形になります。
柱サボテン
と柱状ユーフォルビアの違いは、ユーフォルビアの強く木質化した幹と柔軟性のなさです。また、サボテンは稜が浅く断面は円に近くなりますが、ユーフォルビアは稜が深く3~6稜と多様性があります。また、調査したE. cooperiの枝の平均年齢は15歳で、大型の個体では28年ものの枝もありました。

調査はジンバブエ西部のMatobo丘陵の標高1199m地点で行われました。E. cooperiには変種がありますが、調査したのはE. cooperi var. cooperiです。現地はMatobos Batholithと呼ばれる隆起した地形で、ジンバブエと南アフリカの古代の花こう岩からなります。E. cooperiは他の樹木が生えない岩だらけの斜面を好みますが、開けた落葉樹林でも見かけます。E. cooperiは、E. confinalis、E. griseola、Combretum imberbe、Commiphora marlothii、Ficus thonningiなどと共に自生します。
Matobo丘陵は、夏に雨季があり冬は乾燥します。雨季は11月から翌5月まで続き、その間に年間降水量の87%の雨が降ります。雨季の平均最高気温は10月と11月に29~30℃、平均気温は14~15℃です。冬は日中の平均最高気温は21℃ですが、夜は4℃まで下がります。

E. cooperiの幹は木質化するため光合成出来ません。しかし、大型の個体は多くの枝があるために、光合成出来る表面積は非常に大きくなります。調査した133個体の中で最大のものは、合計120mの枝長と43.5m2の光合成面積がありました。E. cooperiはサイズが大きいほど表面積も大きく、表面積が大きい分だけ水分損失が大きくなります。しかし、サイズが大きいほど体積が増すことから貯水量が大きくなり、水分損失をカバーしていることが考えられます。
次に稜がある意味です。枝の周囲の長さと断面積の比率をモデル化して、計算上の水分損失と光合成面積を算出しました。もし稜がない場合、つまり枝の断面が四角形だと、生長により貯水量は増えますが光合成面積は増えませんでした。しかし、稜がある場合は生長により体積あたりの表面積が増加しました。
若いE. cooperiは干魃に敏感である可能性がありますが、生長に従い体積が増して蒸散による水分損失率が最小となり干魃に非常に強くなります。

以上が論文の簡単な要約となります。
理屈は少し分かりにくく、大変申し訳なく思います。これでもかなり要点だけの抽出で簡素化していますが、私の理解力と文章力の限界が原因です。
さて、E. cooperiは古い幹は木質化しますが、この木質化した幹は当然ながら光合成には寄与しません。しかも、大型になるにつれ木質化は進行します。一見して大型化は光合成の効率を下げますが、E. cooperiは沢山の枝を出すことにより光合成の効率を高めているのです。しかも、稜を持つことにより表面積を増加させて、さらに光合成の効率を上昇させています。
しかし、表面積の増加は蒸散による水分損失の増加を招きます。この場合、断面が円に近いほうが貯水量が増加し水分損失率は減少しますから、稜の溝が深いと水分損失率は上昇するでしょう。ただし、これは光合成効率と水分損失率のバランスの話であって、ゼロか百かというものではないでしょう。E. cooperiの場合は、生長につれ太くなる幹は木質化しますから光合成せず蒸散も起こらないでしょう。ですから、木質化した幹は水分の貯蔵という意味では優れています。

乾燥地に生える植物は環境に適応するために、様々な戦略を取っています。その中でも、乾燥への適応度が特に高いサボテンとユーフォルビアで、その大型化に伴い柱状の類似した形状と稜による光合成効率の上昇など、非常に似ていることは不思議です。サボテンはアメリカ大陸で多肉ユーフォルビアはアフリカ大陸と地理的にも離れており、分類も近縁ではありません。それでも、これだけの共通点があるのは、サボテンやユーフォルビアの選んだ道が乾燥に対する最適解であったということを示しているのかも知れません。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


最近、Euphorbia handiensisという珍しいユーフォルビアを入手しました。E. handiensisはカナリア諸島のごく限られた地域でしか見ることが出来ません。しかし、カナリア諸島と言えばEuphorbia canariensisというユーフォルビアが有名です。普及種ですし、名前にカナリアと入っているくらいですから、カナリア諸島を代表する植物の一つでしょう。
日本では「墨キリン」なる名前もつけられているよう。私も墨キリンの苗を入手して3年になりますが、墨キリンは丈夫で育てやすいユーフォルビアです。


DSC_2011
墨キリン Euphorbia canariensis

本日ご紹介するのは、論文ではなくてポスターです。この場合におけるポスターとは何か、説明が必要でしょう。あらゆる学問には学術誌と学会があります。論文は学術誌に載りますが、学会では舞台上の発表とポスター発表とがあります。ポスター発表はポスターが並んだ会場で、ポスターの前で他の研究者に説明したり質問に答えたりします。というわけで、本日はそんなポスターを解説していきます。2021年に発表された、Albert J. Coello, Pablo Vargas, Emilio Cano, Richard Riina & Mario Fernandez-Mazuecosの『Biogeography and phylogeography of Euphorbia canariensis reveal alternative colonization patterns in the Canary Island』です。

E. canariensisはカナリア諸島に広く自生します。カナリア諸島は海底火山の噴火により出来た、7つの島からなる群島です。東側の島が古く、ハワイのように新しい島が次々と出来て海底プレートに乗って移動し、やがて海底に沈むというサイクルがあるようです。カナリア諸島の海底に沈んだ島は白亜紀に形成されたようです。

E. canariensisの遺伝子を解析したところ、意外なことがわかりました。E. canariensisは、同じくカナリア諸島に分布するE. handiensisや、カナリア諸島に地理的に近いモロッコ原産のE. officinarum(大正キリン、異名E. echinus)とは遺伝的に近縁ではありませんでした。E. handiensisはE. officinarumに近縁であることが確認され、アフリカ大陸からの伝播が行われたことが想定されます。
面白いのは、E. canariensisは東南アジア原産のE. epiphylloidesとE. sessilifroraに近縁でした。もちろん、これは東南アジアからカナリア諸島にダイレクトに伝播したことを示しているわけではありません。E. canariensisはE. officinarumからではなく、アジアと共通する祖先から進化したと考えるほうが妥当で、著者はアフリカやアラビア半島を経由していることを想定しています。ただし、調べた種類が少ないので、これ以上の想定は困難でしょう。
DSC_1983
剣光閣 Euphorbia handiensis

DSC_0689
大正キリン Euphorbia officinarum

以上がポスターの主な内容でした。ポスターなので内容は簡潔です。まだまだ詳細はわかりませんが、指針は得られたのではないでしょうか。
さて、個人的には色々と気になることはあります。例えば、E. canariensisはカナリア諸島に広く分布しているのに、E. handiensisは1つの島の狭い地域にしか生えないのは何故でしょうか? また、ユーフォルビア自体が種子を動物に運んでもらう機構はありませんが、それでもE. canariensisはあちこちの島に分布していることは少し不思議です。火山の噴火により出来た島ですから、昔は陸続きで伝播したというわけでもありません。ユーフォルビアの種子が風で島を渡ることはないでしょうから、例えば泥ごと鳥の足についたまま移動することはあるかもしれません。しかし、そうなるとE. handiensisの分布の謎がより難題になってしまいます。まったく、謎はつきません。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


先日、五反田TOCで開催された冬のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、Euphorbia handiensisという園芸店では見かけないユーフォルビアを入手しました。
DSC_1983
Euphorbia handiensis

早速、何か良い論文はないか調べてみました。
最近では多肉植物の論文をよく読んでいるのですが、残念ながら多肉ユーフォルビアについてはほとんどありません。やはり、多肉ユーフォルビアは南アフリカ原産のものが多いです。南アフリカの多肉植物を研究する学者は、アロエやガステリアについては研究していますが、不思議なことにユーフォルビアの論文はあまり書きません。そんな傾向がありましたから、あまり期待せずに調べたところ、論文があっさりと見つかりました。カナリア諸島がスペイン領でヨーロッパの学者がアクセスしやすいからでしょうか?

さて、まずは研究者が書いた植物の簡単な紹介といった体の記事を見てみましょう。2004年のManuel V. Marrero GomezとEduardo Carque Alamoの『Euphorbia handiensis Burchard』です。
E. handiensisは多肉質な低木で、トゲのあるサボテン状の外観で、高さ1mほどになります。トゲは2~4cmで、8~14本の稜があります。花は黄緑色で赤みがかります。カナリア諸島の原産です。
E. handiensisはFuerteventura島の固有種ですが、南部のJandia半島に追いやられています。
個体群は構成も良く、比較的豊富に幼苗があります。伝統的に危機的とされてきましたが、ここ数年は安定して増加しています。しかし、部分的には家畜による被害と、違法採取が行われています。

次に2022年のMarco Critiniの論文、『Euphorbia handiensis in Barranco de Gran Valle : an endangered Fuerteventura endemic』をご紹介します。
E. handiensisは1912年にOscar Burchardにより記載されました。当時、E. handiensisは非常に一般的でしたが、植物の違法採取と海岸付近の急速な都市化で減少しました。現在、約9の地域に分布します。2004年に
Manuel V. Marrero GomezとEduardo Carque Alamoは回復していると報告(※1本目の解説の記事)がありましたが、少なくとも1つの地域では異なるようです。
著者は2021年8月にBarranco de Gran Valleを訪れました。標高100~150mの谷の下部で沢山のE. handiensisを観察しました。しかし、平行して走る2本の道路沿いには、E. handiensisがありませんでした。道路脇のE. handiensisは悪質な植物泥棒が、車で来て簡単に盗むことが出来ます。また、外来種のリスが種子を食べている可能性と、放牧されているヤギが環境を荒らしている可能性もあります。また、種子に寄生する昆虫の存在により、再生が行われないことも考えられます。
Barranco de Gran ValleのE. handiensisは先行きが不透明です。自然公園内にも関わらず、違法採取とヤギの過放牧が行われています。自然公園内のヤギの放牧の禁止と、違法採取を減らすためにトラックの侵入禁止などの措置を講じる必要があります。

以上がE. handiensisについての情報です。
2004年の報告の楽観的な調子と比べて、それから18年後の報告はやや悲観的です。違法採取は日本でも山野草や高山植物でも大変な問題となっており、世界中で貴重植物を悩ませる難題です。家畜の被害もやはり世界中で砂漠化や貴重な植物の食害がおきていて大問題となっています。日本でも小笠原諸島などで野生化したヤギが小笠原の固有の植物を食害し、それらの植物を食べる動物が激減しています。また、植物がなくなり土壌がむき出しになり、土が海に流出してサンゴ礁が枯死する被害も出ています。これらは中々うまい解決策がないため、基本的に後手後手になりがちです。
いずれにせよ、E. handiensisは世界でもカナリア諸島の1つの島の一部地域でしか見られない大変貴重なユーフォルビアです。E. handiensisが野生で群生する素晴らしい光景は世界で1つしかないのですから、失われてしまわないことを願っております。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


マカレンシス(Euphorbia makallensis)はエチオピア原産のユーフォルビアです。マカレンシスは安価なミニ多肉が園芸店に並ぶこともある普及種ですが、どういうわけがほとんど情報がありません。元より国内のサイトにはたいした情報はないのですが、割と海外のサイトでは詳しい情報が得られることが多いと感じています。しかし、マカレンシスはそれも見つけられませんでした。以前、情報がないということと、学名についてのみの薄い記事を書いたことがあります。
しかし、ネットの情報がダメなら論文を読めばいいのです。しかし、意外とユーフォルビアの論文ってないんです。いや、検索すると沢山出てくるのですが、多肉植物ではないユーフォルビアの論文がほとんどです。しかも、大抵はヨーロッパのユーフォルビアの化学成分についてのもので、アフリカ原産のユーフォルビアは有名な種類について調べても、出てくる論文がない場合が多いと感じています。
そんな中、マカレンシスについて書かれた論文を見つけました。Trevor Wilson & Neil Munroによる2019年の論文、『Euphorbia makallensis Carter, a northern Ethiopia cushion-forming Euphorbia of very limited distribution』です。

1973年、エチオピアのTigray州は繰り返される干魃と飢饉に見舞われました。エチオピア皇帝Haile Selassieの甥である州知事のRas Mengesha Seyoum殿下は、イギリス大使を通じて財政的・技術的な支援を求めました。先ずはイギリスのコンサルタント会社により、Tigrayの植生、土壌、地形が調査されました。農地の開発のためには情報が必要だったのでしょう。
1974年から1975年にエチオピアの開発調査の過程で、小規模な農地の近くにクッション状の植物が発見されました。これが後のマカレンシスです。マカレンシスはトラックで移動する際にはただの岩だと思われていましたが、突如として花を咲かせました。植物は採取され、Addis Ababaの国立植物標本館に持ち込まれました。採取されたのは標高2293m地点でした。数週間後、キュレーターにより新種と判断されました。
標本はイギリスのキュー王立植物園にも送られ、採取地点の調査や、研究のために栽培も行われました。
マカレンシスはIgre Hariba村の近くの約4平方kmの狭い範囲に限定されていました。自生地は標高2260~2385mのAcacia etbaicaと希にEuclea schimperiが疎らに生える、石灰岩を含む玄武岩の岩場と急な丘の中腹でした。

マカレンシスの1975年の栽培の試みは失敗しましたが、キュー王立植物園では成功し、1981年に新種Euphorbia makallensis S. Carterとして記載されました。Carterはマカレンシスは、ソマリア北部とアラビア半島に自生するクッション状ユーフォルビアに関連性があるように見えると述べました。マカレンシスは4稜(希に5稜)で、一見してモロッコ原産のE. resinifera(白角キリン)に似ています。
マカレンシスはTigray中央に限定的と考えられていましたが、2011年に著者のN. Munroは標高2323mにあるHawzenの南、元のグループから北に75kmで、新たな野生のマカレンシスを発見しました。このグループは砂岩由来の土壌に育っていました。

2018年11月初旬、著者の二人はマカレンシスの2つの自生地に赴きました。Igre Hariba村の近くのグループはその分布やサイズに変化はないようでした。Hawzenのグループは開花しているものもありました。マカレンシスの自生地では5月と6月に乾季が終わり、11月の降雨の後に開花します。
マカレンシスは限られた自生地に生えますが、減少している様子はありませんでした。付近の農地とも分かれており、どうやら邪魔にはならないため、農地開発の影響は考えなくても良さそうです。

以上が論文の簡単な解説です。
一般の情報が少ないマカレンシスですが、少し情報が得られました。瓢箪から駒ではありませんが、農地の調査から新種の発見というやや珍しい経緯でした。しかし、マカレンシスは原産地がエチオピア高地ですから、夏の暑さを嫌うのかもしれません。エチオピア高地産と言えばEuphorbia gymnocalycioidesですが、難物として知られています。マカレンシスはE. gymnocalycioidesほどではないにしろ、注意が必要である可能性もあります。普及種ではありますが、思ったより趣深いユーフォルビアなのかもしれません。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


先日、五反田TOCで開催された冬のサボテン・多肉植物のビッグバザールへ行って来ました。ビッグバザールでは安目のユーフォルビアやらアロエやらを購入したわけですが、調べてもよく分からないユーフォルビアがありました。以外の記事に書きましたが、公的なデータベースに記載がなかったのです。
そのユーフォルビアの名前は、Euphorbia longituberculosaと言います。ネットで検索すると、国内外のE. longituberculosaの、まあ多くは販売サイトですが割と出てきます。しかし、イギリスのキュー王立植物園のデータベースを検索すると、何故かヒットしません。何かおかしいと思い、E. longituberculosaの論文を検索したところ、『New Euphorbia species Related to E. longituberculosa Boiss』という論文が出てきました。しかし、残念なことに有料の雑誌ですから内容はわかりません。とはいえ、E. longituberculosaという学名が論文で使用されたものであることは確かです。

取り敢えず、データベースに"Euphorbia long"と入れてみます。すると、学名の候補が出てきました。上から、Euphorbia longecornuta、Euphorbia longepetiolata、Euphorbia longeramosa、Euphorbia longetuberculosa…、はいありましたね。どうやら、Euphorbia longituberculosaではなく、Euphorbia longetuberculosaが正しい学名のようです。"longi"ではなく、"longe"でした。
なんでこんなことをしたかと言うと、以前カタカナで書かれた名札がついたユーフォルビアを購入した際、カタカナの名前ではネット検索にすら引っ掛からないので、先ずはスペルを調べるところから始めました。その時の方法がうまくいきました。

DSC_1985
Euphorbia longetuberculosa

しかし、ネット検索では"longi"の方の学名だと沢山ヒットしますが、"longe"の方の学名ではあまりヒットしません。"longi"の学名の方が一般的なようです。しかも、学術論文ですら間違えているとなると、単純な販売業者の記入ミスではないのでしょう。
まあ、論文で誤った学名が使用された挙げ句、その誤った学名が流通してしまった例(Euphorbia venenificaは誤りで、正しくはEuphorbia venefica)もありますから、研究者でも間違うことはあるのでしょう。しかし面白いのは、この論文がKew Bulletinというキュー王立植物園の雑誌で、しかも著者は国立ユーフォルビア協会(IES)の会長であるSusan Carterという事実でしょう。

学名は1862年に記載されたEuphorbia longetuberculosa Hochst. ex Boiss.です。Titymalus braunii Schweinf.という異名もありますが、記載は1863年と1年遅い命名でした。命名規約は命名は早い方が優先しますから、実に惜しかったですね。
命名者はFerdinand von HochstetterとPierre Edmond Boissierです。
E. longetuberculosaはジブチ、エチオピア、ケニア、オマーン、ソマリア、イエメンの原産です。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


ユーフォルビアが好きでチマチマ集めていますが、一鉢一鉢をじっくり見る機会も少なく、いつの間にか育っていたりします。私は基本的に放任栽培で、週1回の水やり以外なにもしません。寒くなってきて多肉植物たちを室内に取り込みましたから、ここぞとばかりにじっくり観察しています。購入時に撮影した画像があったので、生長の具合を比べて見ました。

DSC_0111
2020年2月、鶴仙園西武池袋店にて購入。
墨キリン Euphorbia canariensis
多肉ユーフォルビアでは珍しいカナリア諸島原産。多肉ユーフォルビアは南アフリカからアフリカ東側が多く、北西部の原産種は少ないですよね。とはいえ、墨キリンは普及品ですから国内では珍しくありませんが。


DSC_1889
現在の墨キリン。すっかり大きくなりました。姿が乱れにくいことが墨キリンの特徴です。しかし、渋い色合いです。

DSC_0045
2020年1月、コーナン港北インター店にて購入。
勇猛閣 Euphorbia ferox
トゲが強いユーフォルビアです。普及種ですが美しい種類。しかし、普及種ゆえ軽視されているのか、あまり育てている人の報告を聞かないことは少し残念です。


DSC_1662
現在の勇猛閣。トゲも強さを増し、枝も増えて良い仕上がりです。ちゃんと育てれば普及種だって良いものはあります。

DSC_0014
2020年1月、オザキフラワーパークにて購入。
白樺キリン Euphorbia mammillaris cv.
鱗宝の斑入り品種。ミルクトロンの名前で販売されています。ご覧の通り小さいミニ多肉でした。

DSC_1898
現在の白樺キリン。だいぶ育ちました。白樺キリンにしてはまあまあ太く育ったのではないでしょうか? これだけ斑が入っているにも関わらず、強光に強いので遮光しません。ヒョロヒョロした姿には育てたくありませんからね。

DSC_0203
2020年3月、コーナン港北インター店にて購入。
Euphorbia 
 submamillaris f.pfersdorfii
ホームセンターの環境では限界といった雰囲気でした。

DSC_1974
現在のプフェルスドルフィイ。
すっかり生長して復活しました。下部はかさぶた状でこれ以上は太らないので、ある程度伸びたら切り返して挿し木しますかね。仕立て直しです。


DSC_0406
2020年6月、鶴仙園西武池袋店にて購入。
Euphorbia tulearensis
葉が少なく、薄く縮れが弱い感じです。


DSC_1849
現在のトゥレアレンシス。葉の枚数が増えて、厚みを増し縮れが激しくなっています。枝を伸ばさないで、こんもりと育てたいものです。

_20221119_192918
2020年6月、鶴仙園西武池袋店
貴青玉錦 Euphorbia meloformis cv.
非常に美しい斑入り。すごい珍しいというわけでもないのに、非常にお高いユーフォルビアです。


DSC_1661
現在の貴青玉錦。子を吹きました。だいぶ大きくなっときたので、子ははずしても良いかもしれません。非常に丈夫です。

DSC_0012
2020年1月、オザキフラワーパーク
紅彩ホリダ E. heptagona × E. horrida
ホリダと紅彩閣の交配種。ミニ多肉として苗を購入しました。


DSC_1917
現在の紅彩ホリダ。太く育ちましたが、子に埋もれ勝ちになっています。

いやぁ、だいぶ育ちましたね。せいぜい2年くらいですから、たいしたことはありませんが…
ただ大きくするだけではなく、そろそろ仕立て直し必要があるかもしれませんね。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


Euphorbia susannaeは南アフリカ原産のユーフォルビアです。日本では実生苗が大量に出回っているため、すでに普及種として安価で入手可能です。瑠璃晃なる名前も付けられており、園芸店で販売されているE. susannaeに差してある名札によく書かれています。
しかし、驚くべきことに、E. susannaeは絶滅が危惧されている希少な植物であるというのです。
E. susannaeを普及種だと思っている我々日本人からすると、実に意外な話です。

DSC_1880
瑠璃晃 Euphorbia susannae
強い日照を浴びて赤みが増しています。E. susannaeは栽培下では子を盛んに吹いて群生します。しかし、私は栽培条件を厳しくしているため、あまり子を吹きません。現在、直径6cmですが、偏平な形を維持しています。


DSC_1881
子株に花が咲いています。下の葉は雑草なので気にしないように。

さて、本日ご紹介するのはLaaiqah Jabar, Stefan John Siebert, Michele Franziska Pfab, Dirk Petrus Cilliersの2021年の論文、『Population biology and ecology of the endangered Euphorbia susannae Marloth, an endemic to the Little Karoo, South Africa』です。

論文は南アフリカのE. susannaeの自生地を調査することにより、生息環境と個体数の把握を目的としています。南アフリカの希少植物はあまり調査がなされていないため、先ずはその実態を把握するための研究と言えます。
調査によると、E. susannaeはLangebergの北麓に8亜集団が確認されました。分布の東西の幅は、わずか32kmでした。また、集団が道路などのインフラにより分断されてしまっている自生地もありました。調査では野生のE. susannaeの全個体数をカウントしておりますが、なんとE. susannaeの野生株はわずか1845個体に過ぎないことが明らかになりました。保護区域内は良いてして、人が立ち入りやすい区域では盗掘による被害が以前より知られていたそうです。また、牛の踏みつけによる損傷も観察されました。

E. susannaeの自生地は石英からなる砂利と石からなる白い土壌です。何でも、太陽光線を反射することにより土壌の温度を下げる効果があるそうです。
また、E. susannaeの3/4は日陰で生長していることが明らかになりました。その多くは低木の下で、Haworthia arachnoideaとともに育ちます。低木は茂みを作るキク科のDicerothamnus(Elytropappus) rhinocerotisが多いようです。


E. susannaeの花に訪れるのは、その86%はアリでした。E. susannaeはアリにより受粉する虫媒花である可能性が高いとされているようです。また、甲虫類(7%)やハエ(7%)もE. susannaeの花に訪れていました。少し気になったのは、ここでいう「ハエ」はハナアブを含むのかどうかです。論文では、ただ"flies"とあるだけですが、こういう英語の機微はよくわかりません。
ユーフォルビアは一般的に種子が成熟すると、種子を遠くに撥ね飛ばします。それはE. susannaeも同様で、0.6~2.5m以内に種子を飛散させるそうです。しかし、種子に綿毛をつけて風で飛ばしたり、鳥などの動物に運んでもらう他の植物の戦略と比較すると、E. susannaeの種子の分散距離は短いと言えます。これは、親株の近くの方が生育できる環境である確率が高いからかもしれません。乾燥地域の厳しく環境では、例えば低木の下の日陰以外では実生が育たない可能性が大きいでしょう。要するに、種子の落ちる場所はどこでもいいわけではないということです。
また、種子にはelaiosome(種子に着いている栄養分でアリはelaiosome欲しさに種子ごと巣に運ぶ)がないとされていることから、myrmecochory(アリによる二次散布)の可能性は低いと言われていますが確認はされていないようです。アリが地下にある巣に運んでくれると、自動的に地中に埋められることとなり、地上よりも涼しく湿った環境で発芽することができる可能性が高くなります。


どうやら、カナダとアメリカからE. susannaeが大量に世界市場への大量輸出があったようです。これは、あまりに大規模だったため、著者は組織培養による増殖の可能性があるとしています。他の方法ではここまで急激な増殖は難しいとしています。そのため、ここ10年で違法採取は緩和したと見られています。やはり、実生にしろ組織培養にしろ、大量に生産されて普及してしまえば、わざわざ違法採取株を購入する必要がなくなります。市場価格も低下しますから、違法採取の旨味も減じることでしょう。

論文の内容は以上です。今回の調査で、野生での絶滅が危惧されるE. susannaeは2000個体を切る危機的な状況であることが明らかとなりました。しかも、保護されている環境にあるのは、わずか20%に過ぎないこともわかりました。野生生物が現在置かれている状況を先ずは把握しないと、効果的な保護活動は難しいものとなります。そのため、非常に精度の高いこの調査は大変価値が高いものでしょう。貴重な野生のE. susannaeが絶滅しないことを切に願っております。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


Euphorbia apparicianaは今年の9月に開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで購入しましたが、その時の記事で「見た瞬間、南米産のユーフォルビアであることがわかりました。独特の雰囲気があります。おそらくは、ユーフォルビア亜属New World Cladeのブラジリエンセス節なのでしょう。」だなんていい加減なことを言いました。しかし、E. apparicianaの画像を検索すると、まるでリプサリスのように枝分かれしながら横に拡がって育つ姿となることがわかりました。私は購入時の姿のまま直立して育つと早合点してしまったので、ユーフォルビア亜属だと思ってしまったわけです。しかし、この育ちかたからするとユーフォルビア亜属ではありません。では、E. apparicianaは分類学上どの位置にいるとされているのでしょうか?

DSC_1882
Euphorbia appariciana

調べてみると、どうやらChamaesyce亜属のようです。しかし、困ったことに私はChamaesyce亜属に詳しくありません。過去に調べて記事にしたのは、柱サボテン状のユーフォルビアや花キリンなど、多肉ユーフォルビアの大半を含むEuphorbia亜属と、タコものやオベサ、ホリダなどを含むRhizanthium亜属でした。残りのEsula亜属やChamaesyce亜属の大半は多肉植物ではない草本で、雑草や山野草が多いため論文は見つけていたものの、読んでいませんでした。
その論文は2012年のYa Yang, Ricarda Riina, Jeffery J. Morawetz, Thomas Haevermans, Xavier Aubriot & Paul E. Berryの『Molecular phylogenetics and classification of Euphorbia subgenus Chamaesyce (Euphorbiaceae)』です。Chamaesyce亜属のユーフォルビアは学名を見ても馴染みがないので、よくわかりません。というわけで、内容は詳しく読んでいないのですが、とりあえずChamaesyce亜属の遺伝子解析による系統図では、E. apparicianaはChamaesyce亜属Section Crossadenia(クロサデニア節)、Subsection Apparicianae(アパリキアナ亜節)とのことです。Crossadenia節の分子系統を示しましょう。


Section Crossadenia 
    ┏━━☆Subsection Appariciana
━┫
    ┃┏━◇Subsection Gueinziae
    ┗┫
        ┗━▽Subsection Sarcodes

        ┏━━━━☆E. flaviana
    ┏┫
    ┃┗━☆E. appariciana
    ┃
━┫    ┏━━━◇E. gueinzii
    ┃    ┃
    ┃    ┃        ┏━▽E. gymnoclada
    ┗━┫        ┃
            ┃    ┏┫        ┏▽E. sarcodes
            ┃    ┃┗━━┫
            ┗━┫            ┗▽E. goyazensis
                    ┃
                    ┃    ┏▽E. lycioides
                    ┗━┫
                            ┃    ┏━▽E. sessilifolia
                            ┗━┫
                                    ┗▽E. crossadenia

Gueinziae亜節のE. gueinziiだけは南アフリカ原産の塊根植物ですが、それ以外はブラジル原産です。Crossadenia節はE. appariciana以外も面白そうな種類がありそうです。気になったので調べてみるとCrossadenia節について書かれた論文を見つけました。2016年のOtávia Marques, Inês Cordeiro & Ricarda Riinaの『Lovers of sandy habitats and rocky outcrops : Euphorbia section Crossadenia』です。

論文のタイトルにありますように、Crossadenia節は砂質あるいは岩質の過酷な環境を好みます。まずは、このCrossadenia節の話から始めましょう。
Crossadenia節はスイスのPierre Edmond Boissierが1862年に提案しました。この時、E. gymnocladaをタイプ種(分類群を作るための代表種)として確立しました。この時のCrossadenia節は5種類で、E. goyazensis、E. gymnoclada、E. lycioides、E. sarcodes、E. sessilifoliaでした。このうち、E. goyazensis、E. gymnoclada、E. lycioides、E. sarcodesはBoissierが1860年に命名されました。E. sasessilifoliaはBoissierが1862年に命名しています。ただ、命名者はKlotzsch ex Boissとなっており、はじめドイツのJohann Friedrich 
Klotzschにより発表されたが、何かしらの要件を満たしていなかったために、BoissierによりKlotzschを引用して正式に発表したということなのでしょう。
その後、1923年にドイツのFerdinand Albin PaxとKäthe HoffmannによりE. crossadeniaが、1989年にブラジルのCarlos Toledo RizziniによりE. apparicianaが命名されました。さらに、2008年にはM. Machado & HofackerによりE. teresが、そして2012年にはE. flavianaがCarn-Torres & Cordeiroにより命名されました。2013年にV. W. SteinmによりE. riinaeが命名されています。E. riinaeはボリビア原産ですが、それ以外はブラジル原産です。

Appariciana亜節は3種(E. appariciana, E. flaviana, E. teres)、Ephedropeplus亜節は7種(E. crossadenia, E. goyazensis, E. gymnoclada, E. lycioides, E. sarcodes, E. sessilifolia, E. riinae)です。Ephedropeplus亜節とはSarcodes亜節の同義語です。Ephedropeplus亜節は1874年の命名、Sarcodes亜節は2012年の命名ですから、Ephedropeplus亜節が優先されます。

Crossadenia節の特徴はPencil-stem、つまりは棒状の茎を持ちます。Appariciana亜節は脱落性の葉と鋸歯状付属体、5つのシアチアル腺があります。Ephedropeplus亜節はよく発達した葉と4つのシアチアル腺、線毛付属体があります。ただし、E. gymnocladaはEphedropeplus亜節ですが、例外的に5つのシアチアル腺を持ちます。
Crossadenia節の中でE. apparicianaだけはリブ付きの茎を持ちます。つまりは、茎の断面が歯車状となっているのです。
DSC_1884
Euphorbia apparicianaの特殊な茎

ブラジルのセラード(Cerrado、熱帯サバンナ、強酸性の赤土地帯)やCaating地域(トゲのある低木が生える半乾燥熱帯林)に自生するCrossadenia節は3種類(E. appariciana, E. crossadenia, E. gymnoclada)です。E. apparicianaとE. crossadeniaは絶滅危惧種、E. gymnocladaは危急種です。このうち、一般に栽培されているのはE. apparicianaだけです。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


ユーフォルビア属は傷付くと乳液を出しますが、この乳液には毒性があります。この乳液が肌につくと炎症、ひどいと水ぶくれを引き起こすと言われています。ただし、ユーフォルビアの毒性は種類により異なります。ユーフォルビアの中でも特に毒性が強いと言われるのが、Euphorbia poissonii、Euphorbia venenifica、Euphorbia unispinaの、誰が呼んだか「猛毒三兄弟」です。猛毒三兄弟は円筒形の木質化するもあまり太くならない茎を持ち、先端から多肉質の葉を出します。海外では"Cylindrical Euphorbia"なんて呼ばれています。しかし、このEuphorbia venenificaという学名と、Euphorbia unispinaとの関係性については議論があるようです。

DSC_1865
Euphorbia poissonii

本日ご紹介するのは、2020年にOdile Weber、Ergua Atinafe、Tesfaye Awas & Ib Friisの発表した『Euphorbia venefica Tremaux ex Kotschy (Euphorbiaceae) and other shrub-like cylindrically stemmed Euphorbia with spirally arranged single spines』です。
まず、エチオピアを調査してE. venenificaを探しました。さらに、世界中の大学や博物館に収蔵されている標本や資料を調査しました。
資料によると、フランスの写真家、建築家のPierre Tr
émauxがスーダンでE. venenificaと思われるユーフォルビアを発見し、1853年にEuphorbia mamillaris Trémauxと命名しました。しかし、E. venenificaは適切に命名されずかなりの混乱を経験したようです。Euphorbia mamillarisは1753年に命名されたEuphorbia mammillaris L.とmが入らないだけの同名であり混同される可能性があります。1857年にKotschyはE. venenificaに対する新しい情報と説明を提供しました。この時のドイツ語の説明では、Euphorbia veneficaという学名がつけられていました。これは命名規約の要件を満たしたものであり、Euphorbia venenificaと呼ばれている植物は、Euphorbia venefica Trémaux ex Kotschyが正しい学名であるとしています。しかし、その後はSchweinfurth(1862 & 1867, 1873)やBrown(1911)は、E. veneficaではなくE. venenificaと表記しています。
国際命名規約ではタイプミスや正書法の誤りの修正を除いて、元の綴りを保持する必要があるとしています。E. veneficaもE. venenificaも、毒を表す"venenum"というラテン語に基づいています。
ただし、E. veneficaに綴り上の誤りはなく、E. venenificaへの変更は命名規約上は認められないということです。上記のことからE. venenificaについては、ここからはE. veneficaと呼ぶことにします。

さて、Cylindrical Euphorbiaには、E. venefica、E. unispina、E. poissonii、E. sapinii、E. darbandensisが知られています。このうち、E. sapiniiとE. darbandensisは資料が不十分なため、論文では扱われておりません。また、E. veneficaに一見類似したE. sudanicaとE. pagonumは、茎のコルク質があまり発達しないなど、E. veneficaと明らかに特徴が異なります。著者は特徴が一致するE. venefica、E. unispina、E. poissoniiについて、その違いを詳しく調べています。

まず、E. veneficaとE. unispinaは、葉の形に違いがあるとされています。しかし、著者の調べた限りでは、どうやら葉の形の違いはE. veneficaの個体ごとの変異幅の範囲に収まってしまうと言います。E. veneficaは東アフリカ、E. unispinaはギニア湾沿いから東アフリカまで広く分布します。しかし、どちらかと言えば東アフリカと西アフリカで葉の形が異なるのではないかと述べています。つまりは、今まで言われてきたE. veneficaとE. unispinaの特徴は、どうやら当てはまらないということになります。よって、E. veneficaとE. unispinaは区別出来ない以上は、これらは同種であるというのが著者の主張です。

では、E. veneficaとE. poissoniiの関係はどうでしょうか。E. poissoniiの際立った特徴として、トゲがないことがあげられます。また、若い苗ではまれにトゲが見られることもあるそうです。ただし、1992年のNewtonのレビューでは、トゲの有無によるものではなく、大きい緑色のCyathia(Euphorbia特有の杯状の花)を持つものをE. poissonii、小さく赤色のCyathiaを持つものをE. unispinaとしました。ところが、Cyathiaの色は乾燥標本にすると色褪せてしまうため、過去の標本で確認出来ませんでした。
また、雄花が赤くなることがあると趣味家に指摘されることがあるそうです。また、実際の植物のCyathiaの観察では、種類ごとの共通した特徴は見られませんでした。
さて、やや混沌としてきましたが、E. poissoniiに関する歴史を振り返ります。1969年にRauhは植物園で行われた発生形態学的研究により、E. poissonii、E. venefica、E. unispina、E. sapinii、E. darbandensisは、同一種内であっても葉の形状とトゲの形成にはバリエーションがあるとしています。したがって、これらをE. venenifica(=E. venefica)の変種と見なすことを提案しました。2004年にArbonnierはRauhの結論に同意して、E. venefica、E. unispinaをE. poissoniiと同種であるとしました。しかし、
先に命名された学名を優先するという「先取権の原理」からすると、これは誤りです。E. veneficaは1857年、E. unispinaは1911年、
E. poissoniiは1902年の命名ですから、命名が一番早いE. veneficaとされるべきです。
ただし、著者は詳細にE. veneficaとE. poissoniiの特徴を比較検討した結果、特徴が異なることを明らかにしました。よって、E. veneficaとE. poissoniiは別種とすべきとしております。

E. venefica
・トゲはよく発達し長さ8mmまで。
・果実の小花柄は5mm以内。

E. poissonii
・トゲは若い苗の時はあるが、成体では全くないか未発達。
・果実の小花柄は5mm以上。

以上が論文の内容となります。著者の主張をまとめますと、E. venenificaという学名は誤りで、正しくはE. venefica、②E. veneficaとE. unispinaは同種であり、E. veneficaとすべきである、③E. veneficaとE. poissoniiは別種、ということになります。このうち、①と③は認められていますが、②はこれからかもしれません。イギリス王立植物園のデータベースでは以下のようになっていました。


Euphorbia venefica
                  Trémaux ex Kotschy, 1857
    異名 : Euphorbia mamillaris 
                   Trémaux, 1853
               ※nomen illegitimum
・Euphorbia unispina N.E.Br., 1911
・Euphorbia poissonii Pax, 1902

ちゃんと、E. venenificaはE. veneficaとなっていますが、E. unispinaは健在です。また、E. mamillarisは
nomen illegitimum=非合法名とされております。

最後にE. poissoniiについて、私の所有苗を観察してみます。
DSC_1875
葉の付け根に2~3mmの小さなトゲがありますが、脆くて直ぐに脱落してしまいます。生長すると出なくなるのでしょうか。

DSC_1877
若い葉は先端が平らで、頂点は少し尖ります。

DSC_1878
成熟した葉は先端がやや凹みます。

まとめ : 猛毒三兄弟の長男はE. venenificaと呼ばれがちでしたが、本名はE. veneficaでした。次男はE. poissoniiです。三男E. unispinaは長男E. veneficaと同一人物でした。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村



Euphorbia robecchiiはエチオピア、ケニア、ソマリア、タンザニア原産のユーフォルビアです。
購入時だけ何故か名札にはEuphorbia robechchiiとありました。少し検索すると"robechchii"という名前で販売されていることが多いようです。どうやら、販売されている種子に"Euphorbia robechchii"とラベルされているようで、生産者さんも種子の情報通りに名前を書いているのでしょう。
さて、学名は1897年に命名されたEuphorbia robecchii Paxです。Paxはドイツの植物学者のFerdinand Albin Paxのことです。異名としては、1911年(publ. 1912)に命名されたEuphorbia pimeleodendron Paxや、1916年に命名されたEuphorbia ruspolii Chiov.が知られています。
DSC_1459
Euphorbia robecchii

しかし、Euphorbia robecchiiを調べてもあまり情報がありません。まあ、園芸的に重要ではないので仕方がないことです。要するに流行りではないのでしょう。とは言うものの、これだけの内容だと記事としてはあまりにも寂しい気がしますから、論文を漁ってみました。すると、いつもとは毛色の異なる面白い論文がありました。
本日ご紹介するのは、スイスのB.P.O.Ballyの1954年の論文『TREE-EUPHORBIA AS TIMBER TREES』です。今から70年近く前の貴重な写真もありましたから、せっかくなので掲載しました。

早速内容に移りましょう。
熱帯アフリカに自生する大型のユーフォルビアは、幹が木質化して樹木のように育ちます。このような大型のユーフォルビアはいわゆる「燭台の木」(Candelabrum Trees)と呼ばれますが、経済的な価値はないと考えられています。

しかし、現地では昔からユーフォルビアを様々な用途で利用されてきました。乾燥させた枝は火を運ぶのに使われました。「燭台の木」の枝は一度火が着くと、何時間もくすぶり続けるということです。また、キクユ族(Kikuyu)は「燭台の木」の髄を強壮剤や肥育剤として利用します。乳液は水で薄めて人や牛の駆虫薬として使用されます。ただし、ユーフォルビアの乳液には大なり小なり毒性がありますから、危険性は当然ながらあります。その毒性を利用して、実際に矢毒や漁にも利用されているくらいです。

乳液にはゴムの原料となるラテックスが含まれています。第二次世界大戦中、日本のアジア侵攻によりヨーロッパではゴム不足となりました。そのため、代替品としてユーフォルビアからゴムを得ようと分析されたことがあります。しかし、ゴムの含量には問題ありませんでしたが、ゴムだけを分離する事が当時は技術的に困難だったとのことです。

しかし、経済的に重要なユーフォルビアが2種類あります。ひとつはエリトリアに膨大な個体数を誇るEuphorbia abyssinicaです。
DSC_1823
Euphorbia abyssinica
アビシニカは高さ40フィート(約12.2m)に達し、太く真っ直ぐな材が取れます。イタリア人は「柔軟で平行な繊維」を持つE. abyssinicaの材がマッチ製造に適していることを発見し、国内消費用だけではなく、輸出用のマッチも製造していました。また、材の削りかすやおが屑などの廃棄物をパルプ化して、強い茶色の紙が作られています。
ただし、残念なことにE. abyssinicaは非常に生長が遅く、伐採後の植樹がなされていないため、いずれ資源が枯渇するのは時間の問題です。

ソマリアの沿岸地域では背が高くなるEuphorbia robecchiiが豊富に生えています。幹は木質化しますが、上部で枝分かれした枝も木質化するため、一見して普通の樹木のように見えます。
DSC_1820
Euphorbia robecchii

川のほとりに沿ってイタリア人の運営する巨大なバナナのプランテーションがあり、その運搬のために木箱が必要でした。しかし、アフリカで木材を得るのは困難でしたから、E. robecchiiの材が用いられました。


DSC_1821
切り出されたE. robecchiiの幹

Euphorbia robecchiiの乳液は刺激性が高く毒性が強いことが知られています。極少量でも炎症を引き起こし、皮膚に水ぶくれが出来ると言います。そのため、E. robecchiiを伐採する前に火で樹皮を焦がして、乳液を取り除く必要があります。


DSC_1822
E. robecchiiの材から作られた木箱

E. robecchiiの材は乾燥させてからカットし、木箱を作ってバナナを詰めます。木箱に入ったバナナは船で運ばれて行きます。
E. robecchiiはソマリアだけではなく、ソマリランドやタンザニアにも広く分布する事から、資源として有望です。

以上が論文の要約となります。もちろん、現在はこのような使われ方はしていないでしょう。しかし、現地の古くからの民間利用は今でもなされているのでしょう。
この論文は著者の意図したことではないでしょうが、結局はヨーロッパ諸国が植民地でいかに金を儲けるか、産業利用の可能性についての内容となっています。まあ、著者はあくまで研究者ですから、ただありのままを報告しているに過ぎませんから、実際にはプランテーション経営やユーフォルビアの産業利用とは縁がないとも言えます。
しかし、これは実際にあったことで、小さなことですが歴史の1ページであることは間違いありません。この論文が電子ファイルとして保存されていることを今は喜ぶべきなのでしょう。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


ギムノカリキオイデスはエチオピア原産のユーフォルビアです。名前の通りまるでサボテンのGymnocalyciumの様な姿をしています。一般に栽培難易度は高く、自根での栽培は困難とされているようです。ですから、一般的には他のユーフォルビアに継木して育てます。ギムノカリキオイデスは継木で育てると、生育は良く普通に育てることが出来ます。
私の入手したギムノカリキオイデスは、おそらくは継木株由来のカキコで、干からびた貧弱な根しかありませんでした。今年の6月の五反田TOCのビッグバザールで購入しましたが、しばらくは発根管理していて最近ようやく根が多少張ったかな? くらいの感覚です。おそらくは、これからは根の状態に右往左往させられる予感がないではないと言ったところでしょうか。


DSC_1819
Euphorbia gymnocalycioides

しかし、ギムノカリキオイデスは何故そこまで難易度が高いのか気になります。とりあえずは、ギムノカリキオイデスに関する論文を漁ってみました。というわけで本日ご紹介するのは、ギムノカリキオイデスを新種として初めて報告したM. G. Gilbert & Susan Carterの1984年の論文『A Cactus-like Euphorbia from Ethiopia』です。

1929年にChiovendaは、Euphorbia turbiniformisを記述する際に、2つの標本を引用しました。それは、ソマリアの北東海岸近くと、もうひとつはエチオピア南部のSidamo地方です。ソマリアの標本は1966年にBallyがレクトタイプ(正模式標本が指定されていない、正模式標本が行方不明、正模式標本が複数種含まれていた場合に選出される選定基準標本)としたものと特徴はほぼ一致します。レクトタイプの標本は1924年の採取でしたが、1969年にタイプ標本の採取地の南南西150km地点でLarvanosにより再発見されて1971年に報告されました。Ballyがソマリアの標本をE. turbiniformisのレクトタイプとして指定しましたが、エチオピアの標本(=後のE. gymnocalycioides)には名前がありませんでした。しかし、1982年にエチオピアの植物収集のための遠征隊により再発見されましたが、残念ながら持ち帰った植物は枯れてしまいました。1年後、別の遠征隊が同じ地域を訪れ4個体の植物を持ち帰りました。それらはすべて栽培に成功し、そのうち1個体が開花しました。その開花個体の情報に基づいて論文は書かれたとのことです。

 E. gymnocalycioidesは標高1350mのAcacia-Commiphoraのブッシュがある地域で発見され、開けたキツネノゴマ科の特にBarleriaの低木の下で育ちます。同じような環境でEuphorbia actinocladaがみられ、ブッシュのある地域ではEuphorbia glochidiataがみられました。
この地域の降水量は4~5月と11~12月にピークがあるはっきりとした二峰性でした。栽培するにあたっては、春・秋型として扱うのが最善かもしれません。多くの東アフリカの多肉植物と同様に、夏に休眠期間があります。

E. gymnocalycioidesはE. turbiniformisとは明らかな別種ですが、この2種は特徴から見て近縁と考えられます。また、E. gymnocalycioidesはアフリカ北東部やソマリアに、特徴の類似したユーフォルビアが分布します。Euphorbia columnarisやEuphorbia phillipsiae、Euphorbia mosaica、Euphorbia horwoodiiはE. gymnocalycioidesと特徴に連続性があるとしています。つまり、似ている部分と異なる部分があり、上記の種の間で遠近があるということです。E. gymnocalycioidesはトゲを失う方向性に向かったものということになります。

さて、とりあえず論文を読んだ感想てしては、ギムノカリキオイデスは高地性で、夏に暑がるタイプのようです。ソマリアものと同じ扱いということでしょう。しかし、私もソマリアものはE. columnarisやE. phillipsiae、E. phillipsioidesなどはなんだかんだで育てていますが、実のところ育て方はよく分かりません。日本で夏に涼しくというのは難しいので断水したくなりますが、ユーフォルビアは完全断水をすると根にダメージがあるため、断水はしたくないですね。E. phillipsiaeあたりは少し遮光するだけで夏を越しますし、E. phillipsioidesは遮光し過ぎると形が崩れやすいのであまり遮光しない方が良いみたいです。このように、一口にソマリアものと言えど結構育て方に違いがありますから、ギムノカリキオイデスについても悩みどころです。とりあえずは、真夏だけ強目に遮光する形にしようと考えています。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


玉鱗宝Euphorbia globosaは南アフリカ原産のユーフォルビアです。玉を重ねるように育ち独特の姿となります。先月五反田TOCで開催された秋のサボテン・多肉植物のビッグバザールで購入しましたが、ユーフォルビアの中ではやや珍しい部類と言えます。しかし、玉鱗宝自体を見たのは初めてではなく、何度か園芸店で見かけていました。しかし、どうも玉鱗宝は徒長しやすいらしく、新しい球が針のように細長くなってしまっていました。そのため、なかなか手が出せずにいたのですが、ようやく徒長していない玉鱗宝を入手することが出来ました。
DSC_1807
玉鱗宝
Euphorbia globosa

そういえば、Euphorbia pseudoglobosaという玉鱗宝と似た育ち方をする種類もあります。"pseudo-"はラテン語で「偽の」という意味ですから、玉鱗宝Euphorbia globosaに似ているという意味ですね。しかし、E. pseudoglobosaは、玉鱗宝ほどきれいな球形にはなりません。表面に凹凸が少なくツルツルした玉鱗宝と比べて、E. pseudoglobosaはイボが目立ちます。見分けるのは難しくありません。
DSC_1323
Euphorbia pseudoglobosa

玉鱗宝の学名は、1826年に命名されたEuphorbia globosa (Haw.) Simsです。玉鱗宝はユーフォルビアでは珍しく、初めて命名された時はユーフォルビアではありませんでした。初めて命名された時は、1823年のDactylanthes globosa Haw.でした。このDactylanthesは現存しない属名ですが、Dactylanthes hamata(=Euphorbia hamata)、Dactylanthes patula(=Euphorbia patula)、Dactylanthes tuberculata(=Euphorbia tuberculata)を含んでいました。また、1859年にはMedusea globosa (Haw.) Klotzsch & Garcheという学名がつけられたこともあります。Meduseaもまた現存しない属名で、主にタコものユーフォルビア(メドゥソイド)を含んだグループでした。
DSC_1767
花は特徴的です。

1906年にはEuphorbia glomerata A.Bergerと命名されましたが、これは認められておりません。しかし、属名の変更ならいざ知らず、A.Bergerの命名より83年も前に命名された玉鱗宝にわざわざ新たに学名をつけたのは何故なのでしょうか? 今から100年以上前の話でインターネットもありませんから情報が得にくかったのかもしれません。この場合、最低1959年のMedusea globosaとした論文を読んでいる必要がありますが、印刷された関係論文をすべて集めるのは中々困難だったことは想像に固くありません。まあ、単純に別種と考えて新たに命名しただけの可能性もありますが、このような経緯は学名からだけではわかりませんからどうにも気になってしまいます。1906年のA.Bergerの論文を読めばいいだけなのですが、古いもの故に誰かが紙の印刷物を電子ファイルにして公開してくれていないと読むことは出来ません。

E. 
glomerataの情報はイギリス王立植物園によるもので、その記載は"Sukkul. Euphorb.:104(1906)"によるものです。一応、期待しないで探してみたところ、なんと当該論文が画像ファイルでアップされていました。親切な人ありがとう。学術誌のタイトルは"Sukkulenta Euphorbien"で、Alwin Bergerが執筆しているもののようです。内容はドイツ語なので良くわかりませんが、とりあえず104ページを見てみます。すると、何故か見出しは太字で"E. globosa Sims"とあります。なんだ、A.Bergerは玉鱗宝についてよく知っているじゃあないですか。しかも、その後ろに"Dactylanthes globosa Haw."、"E. glomerata Hort."とありました。学名の変遷までばっちり抑えています。しかし、良く見るとE. glomerata Hort.とあります。これは、Hort.が命名したE. glomerataを異名として、A.Bergerが記載したように見えます。では、なぜ一般的にはE. glomera Hort.ではなく、E. glomera A.Bergerとされているのでしょうか。大変不思議です。もしかしたら、Hort.の記載に何か問題があったのでしょうか? わかりませんが、A.Bergerがこの学術誌を正式な形で報告したということに意味があるのかもしれませんが、憶測ばかりで何もわかりません。私はここでギブアップです。

さて、当該論文には1906年当時の玉鱗宝の写真が記載されています。こういうものは滅多に目にするものではないでしょう。せっかくですから当時の写真を掲載してみました。

DSC_1810
Sukkulenta Euphorbien,1906 : Alwin Berger
大型の株です。100年以上前の現地球でしょうか?




ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


私はユーフォルビアをチマチマ集めたりしていますが、ユーフォルビア属と近縁とされるモナデニウム属にはあまり興味がありませんでした。というのも、ユーフォルビア属自体があまりにも多様で種類が多いため、モナデニウム属まで手が回らないためです。そのため、モナデニウムを調べたりもしないので、あまりイメージがありませんでした。しかし、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文を紹介する記事を書いた時に、モナデニウム属がユーフォルビア属に含まれているということを書きました。私も論文を読んで初めて知ったのですが、その際に論文に出てくる旧モナデニウム属の種類を調べたところ、その多様な姿に驚かされました。

以前の記事はこちら。
しかし、その時の論文が初めてモナデニウム属がユーフォルビア属に含まれることを明らかにした論文であるかはわかりません。まだちゃんと読んでいないのですが、2006年のPeter Burynsらの『A New Subgeneric Classhfication for Euphorbia (Euphorbiaceae) in Southern Africa Based on ITS and psbA-trnH Sequence Data』において既に述べられているみたいです。他にも根拠論文はあるかもしれませんから、もう少し調べてみるつもりです。

DSC_1629

DSC_1627

DSC_1628
幹だけではなく、葉裏の葉脈にもトゲがあるのは面白く感じます。

以前、園芸店に鉢を買いに行った際、変わった多肉植物を見つけました。手に取ると、なんとモナデニウムで、ラベルには"Monadenium magnificum"とありました。私の古いイメージではモナデニウムはM. schubeiの様な姿を想定していたので、なにやら驚いた記憶があります。私にとっては初めてのモナデニウムですが、これは非常に面白い植物だと思いました。

2013年の『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』では、E. magnificaの遺伝子解析による分子系統は以下の通りです。近縁種はタンザニア原産です。

            ┏━E. magnifica
        ┏┫
        ┃┗━E. neoarborescens 2
    ┏┫
    ┃┗━━E. neoarborescens 1
┏┫
┃┗━━━E. spectabilis

┗━━━━E. neococcinea


E. magnificaは高さ1.5~2メートルくらいになるそうですから、旧モナデニウムの中ではかなり大型になります。一応は低木扱いとなるみたいです。塊根性。

さて、上の方で述べた通りモナデニウム属はユーフォルビア属に変更となりました。学名は1940年にMonadenium magnificum E.A.Bruceでしたが、2006年にはEuphorbia magnifica Burynsとなりました。良く見ると種小名の語尾も変更されています。ラテン語では、"-um"は単数形で"-a"は複数形らしいのですが、文法上のことでしょうから残念ながら私にはさっぱりわかりません。
しかし、モナデニウム属は個性的ですから、学術的にはユーフォルビア属でもやはり区別しておきたい思いがあります。ラベルには"Monadenium magnificum"の学名を記入しています。まあ、ユーフォルビア属に変更となったことを理解していればいいことだけですから、ラベルはわかりやすさ優先です。
しかし、学名は統合したり分離したりすることもありますから、元のラベルの表記は残しておかないと、後々訳がわからなくなるかもしれません。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


以前、笹蟹丸と紅キリンの関係について記事にしました。

この記事では、笹蟹丸Euphorbia pulvinataと紅キリンEuphorbia aggregataは同種であり、E. aggregataという学名はE. pulvinataの異名であるというものでした。
これは、海外のサイトを色々探った時に出てきた情報です。園芸サイトだけではなく、学術的な植物のデータを収集しているような幾つかのサイトでも、やはり2種は同種であるとありました。最終的には、『GBIF』(Global Biodiversity Information Facility)という学術的な情報に基いて、学名を収集しているサイトの情報を確認しました。
しかし、『World Checklist of Vascular Plants』というイギリス王立植物園が主宰するサイトの情報においては、E. pulvinataとE. aggregataはそれぞれ別種とされています。このサイトの情報は、正式な学名と異名について、出されている学術論文を参考にして検討する学術雑誌を出しており、新しい情報があれば改定されたりします。GBIFもWorld Checklist of Vascular Plantsを根拠としていますから、GBIFは情報が古いのかもしれません。

DSC_1726
笹蟹丸
Euphorbia pulvinata Marloth, 1910

DSC_1528
紅キリン
Euphorbia aggregata A.Berger, 1907 publ. 1906


ここで、疑問が湧きます。では、E. pulvinataとE. aggregataが同種であるという情報はどこから来たのでしょうか? 調べたところ、2012年に南アフリカの植物学者であるPeter Vincent Bruynsによる『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』という論文から来ているようです。驚いたことに、実は既に読んだことがある論文でした。World Checklist of Vascular Plantsでもこの論文を根拠としているユーフォルビアもありますから、内容をチェックしたことがあったのです。この論文の内容は、南アフリカに分布するユーフォルビアの種類と学名の妥当性を検討するというものです。問題のE. aggregataは"除外された名前"とされています。一体どういう意味なのでしょうか?
この論文においてE. aggregataは、E. pulvinataやE. feroxと同種ではないかを確認する必要があるとあります。あるいは、E. aggregataはカルー東部の広い範囲に分布し、E. pulvinataやE. feroxとの中間体である懸念を指摘しています。果たしてこの擬義が如何にして解消されたのかは私にはわかりませんが、とにかくこの論文のE. aggregataに関する記述は認められていません。その根拠を探して論文を探してみましたが、残念ながら見つけられませんでした。様々なサイトではE. aggregataについて異名の疑いを示してはいるものの、現在ではE. aggregataを承認する形となっています。

DSC_1662
勇猛閣
Euphorbia ferox Marloth, 1913

それでも気になるのは、やはりその根拠です。Bruynsの論文の当該部分を否定するならば、当然ながら議論があるはずです。しかし、よくよく考えて見ると、Bruynsの"懸念"が何らかの根拠に基づいているのか、その考え方の妥当性自体に誤りがないのかはわかりません。そもそもこの懸念が議論に値するものであるのかどうかすらわかりません。単純に妥当性なしとされただけのことかもしれません。とはいえ、それも確証はないため気になっている部分ですから、今後も論文の調査は行っていくつもりです。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


逆鱗竜は南アフリカ原産の非常に丈夫なユーフォルビアです。ただし、引き締まった美しい姿を維持するのは中々困難なように思えます。
逆鱗竜はとにかく生長が早く、冬でも日中暖かいと生長を始めてしまいます。しかし、冬は日照が不足勝ちなので、節が伸びたようなだらしない姿になってしまいます。それだけならいいのですが、日照の多い真夏でも徒長してしまうので困っています。
一応、ホリダと同じように育てていますから、割と厳しめなはずなんですけどね。

DSC_1708
逆鱗竜の実生苗。こちらは真夏に徒長してしまいました。
幹の下部と比べて上部の鱗片が縦長になっています。無遮光で雨に当てない栽培ですが、週1回の水やりでもこうなってしまいました。それこそ、用土が完全に乾いたらではなく、限界まで水をやらない方がいいのかもしれません。


逆鱗竜の学名は1804年に命名されたEuphorbia clandestina Jacq.です。
分類学的には、ユーフォルビア属(Euphorbia)、アティマルス亜属(Subgenus Athymalus)、アンタカンタ節(Section Anthacanthae)、フロリスピナ亜節(Subsection Florispinae)、トレイシア列(Series Treisia)ということになります。トレイシア列と言えば、逆鱗竜
に良く似たE. bubalina(昭和キリン)、E. pubiplans、E. clava(式部)などが含まれます。

フロリスピナ亜節の分子系統(抜粋)
    ┏━━━━━━━━Series Meleuphorbia
    ┃
    ┃        ┏━━━━━E. pillansii
    ┃    ┏┫
    ┃    ┃┗━━━━━E. pseudoglobosa 2
    ┃┏┫
    ┃┃┃┏━━━━━E. pseudoglobosa 1
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗━━━━━E. mammillaris 2
    ┃┃
    ┣┫    ┏━━━━━E. heptagona 2
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━━E. heptagona 1
    ┃┣┫
┏┫┃┗━━━━━━E. susannae
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━━━E. clandestina
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━━E. pubiglans
┃┃
┃┃┏━━━━━━━E. bubalina 2
┃┃┃
┃┣╋━━━━━━━E. bubalina 1
┃┃┃
┃┃┗━━━━━━━E. clava
┃┃
┃┗━━━━━━━━Series Rhizanthium

┗━━━━━━━━━Series Hystrix

メレウフォルビア列(Series Meleuphorbia)とされた、E. heptagona(紅彩閣)、E. susannae(瑠璃晃)、E. pillansii、E. pseudoglobosa(稚児キリン)も分子系統では近縁であるように見えます。とても不思議です。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


2013年に発表された『A molecular phylogeny and classification of the largely succulent and mainly African Euphorbia subg. Athymalus (Euphorbiaceae)』という論文の紹介の続きです。今日はアンタカンタ節の残り3亜節、メデュセア、ブセウデウフォルビウム、ダクティランテスを紹介します。メデュセア亜節はいわゆる「タコもの」で、ユーフォルビアの中でも特に変わった姿をしています。

Subgenus Athymalusの分子系統
            ┏━━★Section Anthacanthae
        ┏┫
        ┃┗━━Section Balsamis
        ┃
    ┏┫┏━━Section Somalica
    ┃┃┃
    ┃┗┫┏━Section Crotonoides
┏┫    ┗┫
┃┃        ┗━Section Lyciopsis
┃┃
┫┗━━━━Section Pseudacalypha

┗━━━━━Section Antso

Section Anthacanthaeの分子系統

    ┏━━★①Subsection Medusea
    ┃
┏┫┏━★②Subsection Pseudeuphorbium
┃┗┫
┫    ┗━★③Subsection Dactylanthes

┃┏━━Subsection Florispinae
┗┫
    ┗━━Subsection Platycephalae

①Subsection Medusea
分子系統を見て感じるのは、種数の割に分岐が少ないことです。これは、メデュセア亜節が最近分岐したからかもしれません。論文はアティマルス亜属のそれぞれ節の関係性、あるいはアンタカンタ節の中の亜節の関係性を見ることを目的としていますから、種ごとの分離はいまいちとなることもあります。例えるなら、大きい定規で測ってみるものの、目盛りが大きすぎて細かい部分は測れないようなものです。
メデュセア亜節は、その姿から「タコもの」とか「メデュソイド」などと呼ばれます。

E. namaquensisは南アフリカ原産の亜低木で
太い幹から短い枝が伸びて枯れて残ります。E. namibensisはナミビア原産で、「蛮童子」と呼ばれます。太い幹から多肉質の枝を伸ばします。E. filiferaは南アフリカ原産で、「魔女の簪」と呼ばれます。太い幹から多肉質の枝を伸ばし、先端からは細長い葉を出します。E. caput-medusaeは南アフリカ原産で、「天荒竜」と呼ばれます。大型のタコもので、太く長い多肉質の枝を伸ばします。
DSC_1568
荒天竜 Euphorbia caput-medusae

E. restitutaは南アフリカ原産で、縦長に育ち細い多肉質の枝を伸ばします。E. fasciculataは南アフリカ原産で、「歓喜天」と呼ばれます。「闘牛角」と似ていますが、枯れ枝はやがて脱落します。E. schoenlandiiは南アフリカ原産で、「闘牛角」と呼ばれます。棍棒状に育ち、枯れた枝が長く残ります。
DSC_1497
闘牛角 Euphorbia schoenlandii

E. braunsiiは南アフリカ、ナミビア原産で、「仏面キリン」と呼ばれます。塊根から卵型の多肉質の枝が群生し、枯れた花柄が残ります。E. crassipesは南アフリカ原産で、「倶利伽羅玉」と呼ばれます。縦長に育つタコものです。E. deceptaは南アフリカ原産で、「緑鬼王」と呼ばれます。枝の短いタコものです。E. flanaganiiは南アフリカ原産で、「孔雀丸」と呼ばれます。細い多肉質の枝を伸ばす小型のタコものです。
DSC_0446
孔雀丸 Euphorbia flanaganii

E. hypogaeaは南アフリカ原産で、「螺髪竜」と呼ばれます。細長いイボに被われた縦長の多肉植物で、先端から葉を出します。E. procumbensは南アフリカ原産で、枝が長く伸びるタコものです。E. anbipolliniferaは南アフリカ原産で、小型のタコものです。E. breviramaは南アフリカ原産で、小型で枝が短いタコものです。E. haliiは南アフリカ原産で、縦長に育つ鱗片状の幹を持ちたす。葉は細長い鞭のようです。E. aridaは南アフリカ原産で、「白仏塔」と呼ばれます。タコものですが、下部が木質化して縦長に育ちます。E. davyiは南アフリカ原産で、「蛇鱗丸」と呼ばれます。小型のタコもので、塊根性です。E. esculentaは南アフリカ原産で、「閻魔キリン」と呼ばれます。太く枝を出す大型のタコものです。E. friedrichiaeは南アフリカ、ナミビア原産で、「白鬼塔」と呼ばれます。棍棒状の幹から尖った短い枝を伸ばし、枯れた後残ります。E. melanohydrataは南アフリカ、ナミビア原産で、「多宝塔」と呼ばれます。短い枝が密につきます。E. multicepsは南アフリカ原産で、「多頭キリン」と呼ばれます。本体が見えないほど丸い枝が密につきます。E. dregeanaは南アフリカ原産で、棒状で枝分かれしてブッシュ状となります。

                ┏━E. namaquensis 2
            ┏┫
            ┃┗━E. namibensis
        ┏┫
        ┃┗━━E. filiflora
    ┏┫
    ┃┗━━━E. caput-medusae 2
    ┃
    ┃┏━━━E. caput-medusae 1
┏╋┫
┃┃┗━━━E. restituta
┃┃
┃┃┏━━━E. fasciculata
┃┗┫
┃    ┗━━━E. schoenlandii

┃        ┏━━E. braunsii
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━E. crassipes 1
┃┏┫
┃┃┗━━━E. decepta 2
┃┃
┃┃┏━━━E. flanaganii
┣┫┃
┃┣╋━━━E. hypogaea 2
┃┃┃
┃┃┗━━━E. procumbens
┃┃
┃┗━━━━E. albipollinifera

┃┏━━━━E. brevirama
┣┫
┃┗━━━━E. crassipes 2

┃┏━━━━E. hallii
┣┫
┃┗━━━━E. namaquensis 1

┣━━━━━E. arida

┣━━━━━E. braunsii

┣━━━━━E. clavarioides

┣━━━━━E. davyi 2

┣━━━━━E. davyi 1

┣━━━━━E. esculenta

┣━━━━━E. friedrichiae

┣━━━━━E. hypogaea 1

┣━━━━━E. melanohydrata

┣━━━━━E. multiceps 2

┃┏━━━━E. multiceps 1
┗┫
    ┃┏━━━E. decepta 1
    ┗┫
        ┗━━━E. dregeana

②Subsection Pseudeuphorbia
③Subsection Dactylanthes

プセウデウフォルビア亜節は高度に多肉化した低木です。
E. celataは南アフリカ、ナミビア原産で、塊根性でわずかに地上に枝を出します。E. quadrataは南アフリカ、ナミビア原産で、やや幹が太る低木です。E. hamataは南アフリカ、ナミビア原産で、「鬼棲木」と呼ばれます。幹が太り、多肉質の枝を伸ばす低木です。E. pedemontanaは南アフリカ原産です。E. gariepinaは南アフリカ、ナミビア、アンゴラ原産で、「鬼ヶ島」と呼ばれます。多肉質の枝は枝分かれしてブッシュ状となります。E. indurescensはアンゴラ原産です。E. monteiroiは南アフリカ、ナミビア、アンゴラ、ジンバブエ、ボツワナ原産で、「柳葉キリン」と呼ばれ、棍棒状の幹を持ち細長い葉を出します。
E. lignosaは南アフリカ、アンゴラ、ナミビア原産で、多肉質の枝は叢生します。

ダクティランテス亜節は、塊根あるいは地下根茎です。
E. bruynsiiは南アフリカ原産です。E. patulaは南アフリカ原産で、短い多肉質の枝が密集します。E. polycephalaは南アフリカ原産で、塊根から多肉質の枝を伸ばします。E. globosaは南アフリカ原産で、球状の多肉質の枝を重ねます。E. wilmaniaeは南アフリカ原産で、現在ではE. patula subsp. wilmaniaeとされています。「海蜘蛛」と呼ばれることもあります。E. pseudotuberosaは南アフリカ、ボツワナ原産で、やや多肉質の葉を出します。E. trichadeniaは南アフリカ、ナミビア、アンゴラ、ボツワナ、スワジランド、ジンバブエ原産で、塊根から葉を出します。
  
                ┏━━E. celata 1
            ┏┫
            ┃┗━━E. quadrata
        ┏┫
        ┃┃┏━━E. hamata 1
        ┃┗┫
        ┃    ┗━━E. pedemontana
        ┃
        ┃    ┏━━E. gariepina
        ┃    ┃
┏②┫┏╋━━E. indurescens
┃    ┃┃┃
┃    ┣┫┗━━E. monteiroi
┃    ┃┃
┃    ┃┗━━━E. lignosa
┃    ┃
┃    ┃┏━━━E. celata 2
┃    ┗┫
┃        ┗━━━E. hamata 2

┃                ┏━E. bruynsii
┃                ┃
┫            ┏╋━E. patula
┃            ┃┃
┃            ┃┗━E. polycephala
┃            ┃
┃        ┏╋━━E. globosa
┃        ┃┃
┃        ┃┣━━E. wilmaniae 1
┃    ┏┫┃
┃    ┃┃┗━━E. wilmaniae 2
┃    ┃┃
┗③┫┗━━━E. pseudotuberosa
        ┃
        ┗━━━━E. trichadenia


最近、ユーフォルビアの系統分類①~⑨という記事を書きましたが、情報が不足していました。その不満があった部分について、ユーフォルビアの系統分類⑩~⑫という形で追加で記事にすることが出来て、モヤモヤとしていた心残りが消えました。一安心です。しかし、また論文を見つけてしまったら記事にするかも知れないなんて考えていたら、なんと情報が少なかったカマエシケ亜属の系統分類について書かれた論文を見つけてしまいました。しかし、カマエシケ亜属は基本的に草本で多肉植物ではありません。世界中に分布しますが、主に雑草とされるものが多く、記事を書く私も楽しくありませんが、記事を読む方々もおそらくは楽しくはないでしょう。というわけで、カマエシケ亜属についての記事化は断念しました。
DSC_1732
日本の代表的なカマエシケ亜属のユーフォルビアであるコニシキソウ。コンクリートの隙間やひび割れから生えてくる、踏みつけに強い雑草。

多肉植物については、最近パキポディウム属とアロエ類(アロエ属、ハウォルチア属、ガステリア属等)、ユーフォルビア属の系統分類を調べた論文を紹介してきました。しかし、多肉植物はまだまだ沢山の種類があり所属する分類群も多岐にわたります。論文もそれぞれの分類群を調べたものがあります。もし、面白い論文を見つけましたら、また記事にしていきたいと思います。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


2013年に発表された『A molecular phylogeny and classification of the largely succulent and mainly African Euphorbia subg. Athymalus (Euphorbiaceae)』という論文紹介の続きです。今日は、アンタカンタ節についてですが、記事が長くなりすぎるため、2つに分けました。フロリスピナ亜節とプラティケファラ亜節についてですが、この2つは姉妹群である程度まとまったグループのようです。

Subgenus Athymalusの分子系統
            ┏━━★Section Anthacanthae
        ┏┫
        ┃┗━━Section Balsamis
        ┃
    ┏┫┏━━Section Somalica
    ┃┃┃
    ┃┗┫┏━Section Crotonoides
┏┫    ┗┫
┃┃        ┗━Section Lyciopsis
┃┃
┫┗━━━━Section Pseudacalypha

┗━━━━━Section Antso

Section Anthacanthaeの分子系統
    ┏━━Subsection Medusea
    ┃
┏┫┏━Subsection Pseudeuphorbium
┃┗┫
┫    ┗━Subsection Dactylanthes

┃┏━━★Subsection Florispinae
┗┫
    ┗━━★Subsection Platycephalae

Subsection Florispinaeの分子系統
Subsection Florispinaeは有名な多肉ユーフォルビアが沢山含まれます。ホリダや紅彩閣のようにトゲのあるもの、花柄が残りトゲのように見えるバリダ、トゲがなく高度に多肉化したオベサ、多肉化した茎から大きな葉を伸ばす鉄甲丸、塊根から多肉質の茎を出す稚子キリン、塊根から多肉質ではない葉を出すシレニフォリアなど形態は様々です。基本的には南アフリカ原産で、乾燥に耐えるために高度に多肉化しています。

E. pentagonaは「大王閣」と呼ばれ、南アフリカ原産です。トゲのあるサボテンのような多肉植物で、高さ3mになり叢生します。E. pulvinataは「笹蟹丸」と呼ばれ、レソト、スワジランド原産です。高さ1.5mの叢生してクッション状となります。紅キリンE. aggregataと笹蟹丸は同種とされる向きもありましたが、現在ではそれぞれ独立種とされているようです。
DSC_1726
笹蟹丸 Euphorbia pulvinata

E. meloformisは南アフリカ原産の、枯れた花柄が残りトゲのように見える球状の多肉植物です。E. meloformisの亜種あるいは変種として、有名なバリダはE. meloformisに吸収されました。ちなみに、「貴青玉」はE. meloformis系と言われる由来不明の交配種です。
DSC_0444
Euphorbia meloformis

E. cumulataは南アフリカ原産で、トゲのあるサボテンのような多肉植物で叢生します。E. mammillarisは「鱗宝」と呼ばれ、南アフリカ原産です。まばらにトゲのあるサボテンのような多肉植物で叢生します。ちなみに、鱗宝の白化個体を「白樺キリン(ミルクトロン)」と呼び、こちらの方がよく見かけます。
DSC_0671
白樺キリン(ミルクトロン) Euphorbia mammillaris cv.

E. obesa subsp. symmetricaは南アフリカの球状の多肉植物で、現在はオベサの亜種ではなくE. symmetricaとして独立しました。E. obesa subsp. obesaは南アフリカ原産の多肉植物です。この場合のsubsp. obesaはsubsp. symmetricaと区別するための名前ですが、subsp. symmetricaが亜種ではなくなった以上はsubsp. obesaも役目を終えました。現在はただのE. obesaです。
DSC_1387
Euphorbia obesa

E. feroxは「勇猛閣」あるいは「金碧塔」と呼ばれ、南アフリカ原産です。トゲのあるサボテンのような多肉植物ですが、トゲが強いことが特徴です。
DSC_1013
勇猛閣 Euphorbia ferox

E. jansenvillensisは南アフリカ原産で、トゲはありませんが、多肉質で叢生します。E. tubiglansと同種とされることもあるようです。E. polygonaは南アフリカ原産で、変種ホリダE. polygona var. horridaの方が有名です。大なり小なり白い粉に被われ、トゲのある太い幹を持つ多肉植物です。
DSC_1664
ホリダ Euphorbia polygona var. horrida

E. stellispinaは「群星冠」と呼ばれ、南アフリカ原産です。独特の先端が星形の花柄が特徴です。
DSC_0816
群星冠 Euphorbia stellispina

E. pillansiiは南アフリカ原産の多肉植物で、E. meloformis系交配種と呼ばれる「貴青玉」によく似ています。枯れた花柄が残りますが、先端で分岐します。E. pseudoglobosaは「稚児キリン」と呼ばれ、南アフリカ原産です。楕円を重ねたように育ち、塊根性です。
DSC_1323
稚児キリン Euphorbia pseudoglobosa

E. heptagonaは「紅彩閣」と呼ばれ、南アフリカ原産です。一般的にはE. enoplaと呼ばれていますが、E. heptagonaが正式な学名です。トゲがあり、叢生します。
DSC_0716
紅彩閣 Euphorbia heptagona

E. susannaeは「瑠璃晃」と呼ばれ、南アフリカ原産です。トゲはなく球状でやがて群生します。
DSC_1620
瑠璃晃 Euphorbia susannae

E. clandestineは「逆鱗竜」と呼ばれ、南アフリカ原産です。棍棒状のトゲのない多肉植物で、頂点から細長い葉を出します。E. pubiplans、E. bubalina(昭和キリン)、E. clava(式部)、E. multifolia、E. loricata(炉裡火)は共に南アフリカ原産で、逆鱗竜によく似ています。
DSC_0186
逆鱗竜 Euphorbia clandestine

E. bupleurifoliaは「鉄甲丸」と呼ばれ、南アフリカ原産です。鱗片状の多肉質の茎から葉を出します。
DSC_1532
鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia

E. tuberosaは「鬼縮」あるいは「羊玉」と呼ばれる塊根性植物で、南アフリカ原産です。E. sileniforiaは南アフリカの塊根植物で、細長い葉を出します。
DSC_0824
Euphorbia sileniforia

                                ┏━E. pentagona
                            ┏┫
                            ┃┗━E. pulvinata
                        ┏┫
                        ┃┗━━E. meloformis 1
                    ┏┫
                    ┃┣━━━E. cumulata
                ┏┫┃
                ┃┃┗━━━E. mammillaris 1
                ┃┃
                ┃┗━━━━E. meloformis 2
                ┃
                ┃┏━━━━E. obesa
                ┣┫                     subsp. obesa
                ┃┗━━━━E. obesa 
            ┏┫                          subsp. symmetrica
            ┃┗━━━━━E. ferox
        ┏┫
        ┃┗━━━━━━E. jansenvillensis 1
        ┃
    ┏┫        ┏━━━━E. polygona 2
    ┃┃    ┏┫
    ┃┃    ┃┗━━━━E. polygona 1
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━━E. stellispina
    ┃┗┫
    ┃    ┗━━━━━━E. jansenvillensis 2
    ┃
    ┃        ┏━━━━━E. pillansii
    ┃    ┏┫
    ┃    ┃┗━━━━━E. pseudoglobosa 2
    ┃┏┫
    ┃┃┃┏━━━━━E. pseudoglobosa 1
    ┃┃┗┫
    ┃┃    ┗━━━━━E. mammillaris 2
    ┃┃
    ┣┫    ┏━━━━━E. heptagona 2
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━━E. heptagona 1
    ┃┣┫
┏┫┃┗━━━━━━E. susannae
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━━━E. clandestina
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━━E. pubiglans
┃┃
┃┃┏━━━━━━━E. bubalina 2
┃┃┃
┃┣╋━━━━━━━E. bubalina 1
┃┃┃
┃┃┗━━━━━━━E. clava
┃┃
┃┃    ┏━━━━━━E. tuberosa 2
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━━━E. tuberosa 1
┫┗┫
┃    ┗━━━━━━━E. silenifolia

┃    ┏━━━━━━━E. multifolia
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━━E. loricata 2
┣┫
┃┗━━━━━━━━E. loricata 1

┣━━━━━━━━━E. bupleurifolia

┗━━━━━━━━━E. oxystegia

系統の分岐を見ていると、思いもよらぬことがあります。例えば、勇猛閣E. ferox、大王閣E. pentagona、笹蟹丸E. pulvinataはトゲがあり叢生する生態の共通性から、近縁であることはわかります。しかし、やはり良く似た紅彩閣E. heptagonaとは特に近縁ではなく、E. obesaやE. meloformisの方が近縁という驚くべき結果でした。また、紅彩閣E. heptagonaは瑠璃晃E. susannaeと近縁というのも不思議ですね。

そう言えば、E. jansenvillensisは2個体を調べていて、それぞれの位置は離れているように見えます。しかし、良く見ると両個体とも分岐の根元にあり、実は近縁であることがわかります。これはむしろ図の配置とか書き方の問題です。
困惑するのは鱗宝E. mammillarisの立ち位置です。鱗宝も2個体を調べていますが、完全に異なる枝に乗っています。これは大変な驚きで、解析の分離が良くなかったという理由でなければ、鱗宝は2種類あることになります。

E. pillansiiはバリダというか、E. meloformis系交配種と言われる貴青玉に良く似ていますが、なんと稚児キリンと近縁とあります。共通点がないようにも思えますから、面白い結果です。


Subsection Platycephalaeの分子系統
半多肉植物で高さ9mまでの低木、あるいは塊根植物です。ボツワナとジンバブエから西アフリカとエチオピアまで、サハラ以南に分布します。
E. omarianaはエチオピア原産で、塊根性(?)です。E. platycephalaはマラウイ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産の塊根植物です。E. grantiiはブルンジ、ルワンダ、タンザニア、ウガンダ、ザイール、ザンビア原産の樹木です。

    ┏━E. omariana
┏┫
┃┗━E. platycephala

┗━━E. grantii


そう言えば、フロリスピナ亜節は形態的に4グループに分けられてきました。E. multifolia、E. loricata、E. bupleurifolia、E. oxystegiaはSeries Hystrixとされてきましたが、分子系統でもまとまったグループです。塊根性のE. tuberosaとE. sileniforiaはSeries Rhizanthiumですが、分子系統でも近縁です。外見的に良く似たE. clandestine、E. bubalina、E. pubiplans、E. clavaはSeries Treisiaですが、特徴の異なる旧来はSeries MeleuphorbiaとされたE. heptagona、E. susannae、E. pillansii、E. pseudoglobosaも分子系統では近縁です。それ以外の種はSeries Meleuphorbiaですが、同じ枝に乗っており、ある程度まとまったグループです。
というわけで、旧分類はおおよそは正しいみたいですが、異なる部分も出て来ているようです。

本日はここまでです。明日はタコものと呼ばれるSubsection Meduseaを中心にご紹介します。



にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村



私はユーフォルビアが好きでチマチマ集めていますが、とにかくユーフォルビアは種類が多く多様なので、今一つ掴み所がないような気がしていました。ではユーフォルビアとは何かと聞かれると、具体的な種類を挙げてみだり、毒があります位しか言えないことに気が付きました。そこで、最近ではユーフォルビアについた書かれた論文を少しずつ読んだりしています。
先週、というか8月22日から30日までの9日間に渡り、ユーフォルビアについての論文の長い紹介をしました。この時紹介したのは、2013年に発表された『
Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文でした。

ただし、この論文はユーフォルビア節(柱サボテン状のユーフォルビア)を中心としたものでしたから、園芸店でよく目にするホリダE. polygona var. horridaや瑠璃晃E. susannae、オベサE. obesa、孔雀丸E. flanaganiiなどのユーフォルビアについては、わずか4種類を調べただけでした。ですからこの部分、つまりはリザンチウム亜属について調べた論文を探していました。
それが、2013年に発表された『A molecular phylogeny and classification of the largely succulent and mainly African Euphorbia subg. Athymalus (Euphorbiaceae)』という論文です。調べているのは、Subgenus Athymalus、つまりアティマルス亜属です。この場合のSubgenus Athymalus=Subgenus Rhizanthiumのことです。学者によりAthymalusだったりRhizanthiumだったりしますが、この論文ではAthymalusを採用しています。
さて、今日からこの論文の内容を何回かに分けて紹介しようと思います。「ユーフォルビアの系統分類」はその⑨の続きとして、その⑩というナンバリングから開始したいと思います。

では、実際の論文の内容を見てみましょう。
Subgenus Athymalusは約150種で、ほとんどが多肉植物ですが樹木もあります。旧世界の乾燥地に限定して分布します。ほとんどがサハラ以南のアフリカ原産で、マカロネシアと西アフリカ、いくつかはアラビア半島、マダガスカル、23種はアフリカの角付近に固有、72種は南部アフリカ原産です。そのうち、60種は南アフリカの固有種ということです。この論文では、Subgenus Athymalusのうち88種類について、核リボソームITSと葉緑体のndhF領域を分析しました。

Subgenus Athymalusの分子系統
            ┏━━Section Anthacanthae
        ┏┫
        ┃┗━━★⑥Section Balsamis
        ┃
    ┏┫┏━━★⑤Section Somalica
    ┃┃┃
    ┃┗┫┏━★④Section Crotonoides
┏┫    ┗┫
┃┃        ┗━★③Section Lyciopsis
┃┃
┫┗━━━━★②Section Pseudacalypha

┗━━━━━★①Section Antso

一応、用語を説明しておきますが、"Subgenus"は「亜属」のことで、ユーフォルビア属はEsula亜属、Athymalus(=Rhizanthium)亜属、Chamaesyce亜属、Euphorbia亜属にわかれます。"Section"とは「節」をあらわしますが、属の下には亜属、節、亜節、列、亜列と小分類があります。「列」は"Series"ですが、今回の論文では出てきません。

系統図を見るとわかりますが、Section Antsoが根元にあります。Section Somalica、Section Crotonoides、Section Lyciopsisは一つのグループを形成します。Section Anthacanthaeは非常に多様で、5亜節からなります。本日はAnthacanthae節以外について解説させていただきます。


            ┏━━━━━Section Anthacanthae
            ┃
            ┃                ┏E. larica
            ┃            ┏┫
            ┃            ┃┗E. masirahensis
        ┏┫        ┏┫
        ┃┃        ┃┗━E. rubrisemminalis
        ┃┃    ┏┫
        ┃┃    ┃┃┏━E. balsamifera
        ┃┃    ┃┗┫            subsp. adenensis
        ┃┗⑥┫    ┗━E. balsamifera
        ┃        ┃                    subsp. balsamifera
        ┃        ┗━━━E. meuleniana
        ┃
    ┏┫            ┏━━E. hamaderoensis
    ┃┃            ┃
    ┃┃        ┏╋━━E. marie-cladieae
    ┃┃        ┃┃
    ┃┃┏⑤┫┗━━E. socotrana
    ┃┃┃    ┃
    ┃┃┃    ┗━━━E. scheffleri
    ┃┃┃
    ┃┃┃            ┏━E. benthamii
    ┃┗┫        ┏┫
    ┃    ┃        ┃┗━E. crotonoides
    ┃    ┃┏④┫
    ┃    ┃┃    ┣━━E. caperonioides
    ┃    ┃┃    ┃
    ┃    ┃┃    ┗━━E. insarmentosa
    ┃    ┃┃
    ┃    ┗┫        ┏━E. cuneata
    ┃        ┃    ┏┫
    ┃        ┃    ┃┗━E. smithii
┏┫        ┃    ┃
┃┃        ┗③┫┏━E. bongensis
┃┃                ┃┃
┃┃                ┗╋━E. matabelensis
┃┃                    ┃
┃┃                    ┗━E. oatesii
┃┃
┃┃            ┏━━━E. acalyphoides
┫┃        ┏┫
┃┃        ┃┗━━━E. species
┃┃    ┏┫
┃┃    ┃┗━━━━E. hadramautica
┃┗②┫
┃        ┗━━━━━E. longituberculosa

┗━━━━━━①━E. antso


①Section Antso
E. antsoはマダガスカル原産の、半多肉質の樹木です。高さ4-15mとなり、時にわずかに塊茎状となります。

②Section Pseudocalypha
Section Pseudocalyphaはほとんどの種が北東アフリカとアラビア半島原産です。多肉植物を含みます。
E. acalyphoidesはアンゴラ、チャド、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ケニア、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、タンザニア、イエメンの原産です。一年草または亜低木ということです。E. speciesは何のことを言っているのか良くわかりません。"species"はそのまま「種」という意味ですから種小名としては違和感があります。E. hadramauticaはエチオピア、オマーン、ソマリア、ソマリア、イエメンの原産です。ケニアには移入された可能性があります。多肉質の亜低木で、多肉質の幹から波打つ葉を出し、まるでドルステニアのようです。E. longituberculosaは、確かにその名前で流通していますが、『World Checklist of Vascular Plants』ではヒットしません。おそらくは、E. longetuberculosaのことを言っているものと推測します。E. longetuberculosaはジブチ、エチオピア、ケニア、オマーン、ソマリア、イエメンの原産です。多肉質の茎から枝分かれする細い枝を伸ばします。

③Section Lyciopsis
Section Lyciopsisは高さ0.1-5mの低木が多く、北東アフリカとアラビア半島に分布します。
E. cuneataはベナン、チャド、ジブチ、エジプト、エリトリア、エチオピア、ケニア、ギニア、モザンビーク、ナイジェリア、オマーン、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、タンザニア、トーゴ、イエメンの原産です。細い幹の樹木ですが、塊根があります。E. smithiiはオマーン原産の樹木です。E. bongensisはケニア、ルワンダ、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビアの原産の塊根植物です。E. matabelensisはアンゴラ、ボツワナ、ケニア、マラウイ、モザンビーク、ソマリア、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産の樹木です。E. oatesiiはザンビア、ジンバブエ原産の塊根植物です。

④Section Crotonoides
Section Crotonoidesは高さ0.5-1.5mの一年草で、茎はたまに木質またはわずかに多肉質です。東アフリカ原産です。
E. benthamiiはアンゴラ、マラウイ、ナミビア、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産の一年草です。E. crotonoidesはアンゴラ、ボツワナ、エチオピア、ケニア、マラウイ、モザンビークナミビア、南アフリカ、スーダン、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産の一年草です。E. caperonioidesとE. insarmentosaはナミビア原産ですが、情報がありません。

⑤Section Somalica
0.2-8mの樹木で、東アフリカ原産です。
E. hamaderoensisはソコトラ原産ですが、情報がありません。E. marie-cladieaeはソコトラ原産の樹木です。E. socotranaはソコトラ原産の樹木です。E. scheffleriはエチオピア、ケニア、タンザニア、原産の樹木です。ソマリアでは移入された可能性があります。

⑥Section Balsamis
E. laricaはイラン、オマーン、イエメンの原産で、多肉質の棒状の茎を持つ植物(Pencil-stem)で、枝分かれして叢生します。E. masirahensisは調べたところ、現在ではE. laricaと同種とされているようです。E. rubrisemminalisはイエメンの亜低木で、Pencil-stemとされています。E. balsamifera subsp. adenensisは現在では、E. adenensisとして独立しました。オマーン、サウジアラビア、ソコトラ、ソマリア、スーダン、イエメン原産の半多肉植物です。幹が太る。E. balsamifera subsp. balsamiferaはカナリア諸島、モロッコ、西サハラ原産で幹が太る。E. meulenianaはイエメン原産の低木です。E. laricaとE. rubrisemminalisは良く似たPencil-stemですが、非常に系統的に近縁です。葉は非常に小さいのですが、葉の大きいE. balsamiferaやE. meulenianaから進化した可能性があります。

前の論文では園芸店で見る有名種がなかったことから、今回の論文はそこを紹介すると言っておきながら、今日の内容はどうにもそぐわない感じになってしまいました。しかし、切のいいところでまとめようとすると、どうしてもこうなってしまいます。どうか、ご容赦の程を。
明日はオベサやホリダ、バリダ、笹蟹丸などのお馴染みのユーフォルビアが登場します。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


ギラウミニアナはマダガスカル原産の花キリンの仲間です。花は地味で花キリン感は薄いのですが、木質の幹からトゲが出るあたりはいかにも花キリンです。私は入手してからまだ2年ですが、いまだに育て方に迷いがあります。ネットの情報では、ギラウミニアナの育て方と言いながら多肉植物の基本的な育て方が記載されており、ギラウウミニアナの育て方ではないように見受けられます。

そういえば、私は"guillauminiana"を「グイラウミニアナ」とラテン語読みしてしまいますが、なんで「ギラウミニアナ」と呼ばれているのでしょう? この種小名はフランスの植物学者であるAndré Louis Joseph Edmond Armand Guillauminに対する献名ですが、このGuillauminはフランス語ではおそらく「ギヨマン」と読むみたいですから、名前の読みかたならば「ギヨマニアナ」ですね。まあ、読み方なんて本来はどうでもいい話ですから、なんと読んでも一緒なんですけどね。以降、個人的なこだわりで、例によってラテン語読みのグイラウミニアナでいかせていただきます。

DSC_0202
2020年3月。園芸店で冬を越した苗で、根鉢が崩れて用土が半分くらいしかない状態でした。しかし、大特価の半額お値引き品という札に釣られて、ついつい購入してしまいました。今にして思えば危険な賭けでした。グイラウミニアナは寒さに弱いと聞きますから、そのままお亡くなりになる可能性も大でしたからね。

DSC_0324
2020年6月。購入時、すぐに植え替えましたが、それからわずか3ヶ月で開花しました。葉色も良く順調です。

DSC_1702
2022年8月。2年経って枝分かれしていますが、葉色の薄さが気になります。今年は異常な暑さで日差しが強すぎて多肉たちにもダメージがありましたが、おそらくはグイラウミニアナもその影響があったのでしょう。

DSC_1703
ただし、水やりについては良くわかりません。花キリンはやや水多めの方がいいような気もしますが、グイラウミニアナはどうでしょうか? 枝のつまった形の良いグイラウミニアナにするためには、あまりじゃぶじゃぶ水やりしない方がいいような気もしますが…

そういえば、グイラウミニアナは花キリンEuphorbia miliiの仲間と言われています。2013年にユーフォルビア属の遺伝子解析したPhylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文では、花キリン類はゴニアステマ節に分類されています。そこでは20種類ほど花キリン類を調べているようですが、残念ながらグイラウミニアナは調べていません。一応の証拠が欲しいので、マダガスカルのユーフォルビアを調べた2014年の『Insights on the Evolution of Plant Succulence from a Remarkable in Madagascar (Euphorbia)』という論文では、グイラウミニアナは噴火竜Euphorbia viguieriと近縁とあります。むしろ、近縁に見えるEuphorbia milii系とはそれほど近縁ではないようです。面白いですね。しかし、いずれにせよグイラウミニアナは花キリン類=ゴニオステマ節であることは間違いないと言えます。

グイラウミニアナの学名は1942年に命名されたEuphorbia guillauminiana Boiteauです。Boiteauはフランスの植物学者であるPierre Louis Boiteauのことです。Boiteauはマダガスカルのハンセン病療養所で働いていましたが、やがて現地語を学んだことにより、現地の伝統医療を知り薬草を研究しました。やがて、かつてマダガスカルに存在したメリナ王国の女王の親類の植物学者であるAlbert Rakoto Ratsimamangaと協力し、マダガスカルの薬草の研究所であるIMRAを設立しました。Boiteauは戦乱によりフランスに帰国しましたが、IMRAは現在も活動しているそうです。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日に引き続きOld World Clade II②の、Section Euphorbiaを解説します。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━★Old World Clade II②

Old World Clade II②の分子系統
                    ┏━★Section Euphorbia VI
                ┏┫
                ┃┗━★Section Euphorbia V
            ┏┫
            ┃┗━━━Section Euphorbia IV
        ┏┫
        ┃┗━━━━Section Euphorbia III
    ┏┫
    ┃┗━━━━━Section Euphorbia II (アジア原産種)
┏┫
┃┗━━━━━━Section Euphorbia I

┗━━━━━━━Section Monadenium

Old World Clade II②
Section Euphorbia V
Section Euphorbia Vはアフリカ大陸東側の南部に分布するグループです。基本的には根元から叢生する柱サボテン状の多肉植物で、トゲがあり幹は多肉質です。
E. ledieniiは「蛮鬼閣」と呼ばれることもあり、南アフリカ原産です。E. curiviramaは「蒼蛮閣」と呼ばれ、南アフリカ原産です。実はE. curiviramaは自然交雑種とされていて、学名はEuphorbia ×curiviramaと表記します。交雑親は、Euphorbia caerulercens × Euphorbia triangularisとされているようで、系統的に近い種同士で交雑がおきたことがわかります。E. caerulercensは南アフリカ原産ですが、ガイアナに移入されているとのことです。E. triangularisは「大纏」と呼ばれ、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産です。E. keithiiはモザンビーク、スワジランド原産です。E. perangustaは南アフリカ原産です。E. limpopoanaは南アフリカ、ジンバブエ、モザンビーク、ボツワナ原産です。E. avasmontanaは「角キリン」あるいは「婆羅門閣」と呼ばれ、南アフリカ、ナミビア原産です。E. ammakは「大戟閣」と呼ばれ、サウジアラビア、イエメン原産です。分布がE. ammakだけ離れていますが、系統的にも他の種とは距離があります。昨日解説したSection EuphorbiaIVのE. fruticosaなどアラビア半島原産のユーフォルビアと近縁なのかもしれません。


    ┏━━━━━━Section Euphorbia VI
    ┃
    ┃                ┏━E. ledienii
    ┃            ┏┫
    ┃            ┃┗━E. curvirama
    ┃        ┏┫
    ┃        ┃┗━━E. caerulercens 1
┏┫    ┏┫
┃┃    ┃┃┏━━E. triangularis
┃┃    ┃┗┫
┃┃┏┫    ┗━━E. caerulercens 2
┃┃┃┃
┃┃┃┗━━━━E. keithii
┃┗┫
┫    ┃    ┏━━━E. perangusta
┃    ┃┏┫
┃    ┃┃┗━━━E. limpopoana
┃    ┗┫
┃        ┗━━━━E. avasmontana

┗━━━━━━━E. ammak

Section Euphorbia VI
Section Euphorbia VIはアフリカ東側から南部原産。柱サボテン状で、根元から叢生するタイプが多いようです。
E. grandicornisは「キリン冠」と呼ばれ、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド原産です。E. pseudocactusは「春駒」と呼ばれ、南アフリカ原産です。E. breviarticulataはエチオピア、ケニア、ソマリア、スーダン、タンザニア、ウガンダ原産です。E. pseudoburuanaはケニア、タンザニア原産です。E. bougheyiはモザンビーク原産です。E. busseiはケニア、タンザニア原産です。E. brevitortaはケニア原産です。E. lividifloraはマラウイ、モザンビーク、タンザニア、ジンバブエ原産です。E. cooperiは「瑠璃塔」と呼ばれ、ボツワナ、南アフリカ、マラウイ、モザンビーク、スワジランド、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産です。E. groenewaldiiは南アフリカ、モザンビーク原産で塊根性です。E. enormisは南アフリカ原産で塊根性です。E. cactusはエリトリア、エチオピア、オマーン、サウジアラビア、スーダン、イエメン原産です。E. fractiflexaはサウジアラビア、イエメン原産ですが、スーダンは移入の可能性があります。E. longispinaはエチオピア、ソマリア原産です。E. エチオピア、ケニア、ソマリア、タンザニア原産ですが、ジブチは移入の可能性があります。

                           
                                    ┏━E. grandicornis 2
                                ┏┫
                                ┃┗━E. pseudocactus
                            ┏┫
                            ┃┗━━E. grandicornis 1
                        ┏┫
                        ┃┗━━━E. breviarticulata
                    ┏┫
                    ┃┗━━━━E. pseudoburuana
                    ┃
                    ┃        ┏━━E. bougheyi
                ┏┫    ┏┫
                ┃┃    ┃┗━━E. bussei 1
                ┃┃┏┫
                ┃┃┃┗━━━E. brevitorta
            ┏┫┗┫
            ┃┃    ┗━━━━E. bussei 2
            ┃┃
        ┏┫┗━━━━━━E. lividiflora
        ┃┃
        ┃┗━━━━━━━E. cooperi
    ┏┫
    ┃┃┏━━━━━━━E. groenewaldii
    ┃┗┫
┏┫    ┗━━━━━━━E. enormis
┃┃
┃┃┏━━━━━━━━E. cactus
┃┗┫
┫    ┗━━━━━━━━E. fractiflexa

┃┏━━━━━━━━━E. longispina
┗┫
    ┗━━━━━━━━━E. robecchii

以上でPhylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介は終了となります。なんと9日間に渡り長々と論文の内容を紹介し続けた記事でした。また、論文に出てくる学名を検索して、原産地などを調べるのは思った以上に時間がかかり、記事を書くのも中々に疲れました。とりあえずは書き終わってほっとしていますが、まだ気掛かりはあります。それは、初日に紹介したリザンチウム亜属です。リザンチウム亜属は、オベサやホリダなど園芸店でよく見かけるユーフォルビアの大半が含まれます。しかし、論文ではたった4種類を調べたに過ぎないのです。この論文のメインがユーフォルビア亜属なので仕方がないでしょう。しかし、タコものユーフォルビアや鉄甲丸、瑠璃晃など有名なユーフォルビアが出てこないことは、流石に不満があります。ですから、リザンチウム亜属について調べたところ、割とあっさり論文が見つかりました。しかし、記事にするにはそれなりに労力がいりますから、少し間を空けます。解説を挟むのに、色々と調べる時間も必要ですからね。という訳でそのうち続きを記事にしようと思います。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


2013年発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日に引き続きOld World Clade II②の、Section Euphorbiaについて解説します。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━★Old World Clade II②

Old World Clade II②の分子系統
                    ┏━Section Euphorbia VI
                ┏┫
                ┃┗━Section Euphorbia V
            ┏┫
            ┃┗━★Section Euphorbia IV
        ┏┫
        ┃┗━━★Section Euphorbia III
    ┏┫
    ┃┗━━━Section Euphorbia II (アジア原産種)
┏┫
┃┗━━━━Section Euphorbia I

┗━━━━━Section Monadenium

Old World Clade II②
Section Euphorbia III
Section Euphorbia IIIは、○、■、◇の3つに分けて解説します。

○このグループは、基本的に塊根から多肉質でトゲのある枝を伸ばすタイプです。
E. stellataは「飛竜」の名前で知られ、国内でもそこそこ流通しています。南アフリカ原産で、枝は平たい形です。E. micracanthaは「怒竜頭」と呼ばれ、南アフリカ原産です。E. persistentifoliaはザンビア、ジンバブエ原産です。E. griseolaは「龍尾閣」と呼ばれ、ボツワナ、マラウイ、モザンビーク、ザンビア、ザイール、ジンバブエに広く分布します。柱サボテン状で、枝分かれしてブッシュを作ります。E. deciduaは「蓬莱島」と呼ばれ、マラウイ、タンザニア、ザンビア、ザイール、ジンバブエ原産です。E. fanshaweiはザンビア原産です。

■このグループは、柱サボテン状で巨大に育ちます。幹は木質化し、盛んに枝分かれしてします。
E. ingensは「沖天閣」の名前で知られ、高さ12mになります。アンゴラ、ボツワナ、ブルンジ、エリトリア、エチオピア、ケニア、南アフリカ、マラウイ、モザンビーク、ルワンダ、ソマリア、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ザイール、ジンバブエに広く分布します。E. abyssinicaは「巒岳」の名前で知られ、高さ9mになります。ジブチ、エリトリア、エチオピア、ソマリア、スーダン原産。

◇このグループは、柱サボテン状ですが先端付近に大きな葉をつけ、枝は分岐します。
E. desmondiiはカメルーン、チャド、ガーナ、ニジェール、ナイジェリア原産です。E. drupiferaは高さ12-22mになるそうです。ベナン、中央アフリカ、チャド、コンゴ、ガボン、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、リベリア、ニジェール、ナイジェリア、シエラレオネ、トーゴ、ウガンダに広く分布します。


            ┏━━━━━Section Euphorbia V, VI
        ┏┫
        ┃┗━━━━━Section Euphorbia IV
        ┃
        ┃                ┏━○E. micracantha
        ┃            ┏┫
        ┃            ┃┗━○E. stellata
    ┏┫        ┏┫
    ┃┃        ┃┗━━○E. persistentifolia
    ┃┃    ┏┫
    ┃┃    ┃┗━━━○E. griseola
    ┃┃┏┫
┏┫┃┃┗━━━━○E. decidua
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━○E. fanshawei
┃┃
┃┃┏━━━━━━■E. ingens
┃┗┫
┫    ┗━━━━━━■E. abyssinica

┃    ┏━━━━━━◇E. desmondii
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━◇E. drupifera 2
┗┫
    ┗━━━━━━━◇E. drupifera 1

Section Euphorbia IV
Section Euphorbia IVは、◎、▲、▽、●の4つに分けて解説します。
◎このグループは、根元から分岐して小さい多肉質のブッシュを作ります。
E. clivicolaは南アフリカ、スワジランド原産です。短い太い枝を沢山伸ばします。E. lenewtoniiは、タンザニア原産です。E. ambroseaeはマラウイ、モザンビーク原産で、細長く伸びます。あまり情報がないようです。E. cuprispinaはケニア原産で、細い枝が枝分かれします。E. parciramulosaはサウジアラビア、イエメン原産で、アラビア半島に進出した種類です。太い柱サボテン状で叢生します。大型。

▲このグループは柱サボテン状です。E. heterospinaはケニア、ウガンダ原産で、高さ3.5mになります。E. heterochromaはケニア、タンザニア原産で、細長く伸びて分岐します。高さ2mになるそうです。E. elegantissimaはタンザニア原産で細長く伸びます。

▽このグループは、木質の幹から大きな葉を頂点につけます。あまり枝分かれはしません。
E. sudanicaはトゲのある幹を持ちます。ブルキナファソ、チャド、ギニア、コートジボワール、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、スーダン、トーゴに広く分布します。E. venenificaはトゲのない幹を持ちます。チャド、スーダン、エチオピア、エジプト原産で、高さ2-5mになるそうです。E. unispinaはトゲのある幹を持ち、高さ3mになります。ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、チャド、コンゴ、ガーナ、コートジボワール、マリ、ナイジェリア、スーダン、トーゴ原産です。E. sapiniiはトゲのある幹を持ちます。カメルーン、中央アフリカ、チャド、ガボン、ザイール原産です。E. resiniferaは「白角キリン」と呼ばれ。モロッコ原産です。高さ2mのクッション状で、葉のありません。柱サボテン状です。

●このグループは、トゲがあり柱サボテン状ですが、それほど大きくなりません。
E. fruticosaはサウジアラビア、イエメン原産で、高さ70cmになります。E. seibanicaはイエメン原産です。E. classeniiはケニア原産で、細長く60-90cmほどになります。


                    ┏━━━◎E. clivicola
                ┏┫
                ┃┗━━━◎E. lenewtonii
            ┏┫
            ┃┗━━━━◎E. ambroseae
        ┏┫
        ┃┃┏━━━━◎E. cuprispina
        ┃┗┫
        ┃    ┗━━━━◎E. parciramulosa
        ┃
        ┃            ┏━━▲E. heterospina 1
    ┏┫        ┏┫
    ┃┃        ┃┗━━▲E. heterochroma 1
    ┃┃    ┏┫
    ┃┃    ┃┗━━━▲E. heterospina 2
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━━▲E. elegantissima
    ┃┗┫
    ┃    ┗━━━━━▲E. heterochroma 2
    ┃
┏┫                    ┏━▽E. sudanica 3
┃┃                ┏┫
┃┃                ┃┗━▽E. venenifica
┃┃            ┏┫
┃┃            ┃┗━━▽E. sudanica 1
┃┃        ┏┫
┃┃        ┃┗━━━▽E. sudanica 2
┃┃    ┏┫
┫┃    ┃┗━━━━▽E. unispina
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━━▽E. sapinii
┃┗┫
┃    ┗━━━━━━▽E. resinifera

┃    ┏━━━━━━●E. fruticosa
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━●E. seibanica
┗┫
    ┗━━━━━━━●E. classenii

本日はここまでです。明日はいよいよこの長い論文紹介のラストです。Section Euphorbia V, VIはよく市販されている柱サボテン状のユーフォルビアが沢山含まれています。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade II②の、Section Monadeniumについて解説しました。本日はSection Euphorbia、つまりはユーフォルビア列となります。Section Euphorbiaはその多くがアフリカ大陸産ですが、アジアにも分布します。この論文はこのSection Euphorbiaについては割と細かく調べていますから、扱われる種類が多いため、便宜的に6分割して解説します。ただし、この分割方法は私が記事を書くための都合上のものですから、学術的に意味があるものではありません。
本日はSection Monadeniumとの分岐点に近い、Section Euphorbia IとSection Euphorbia IIについて解説します。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━★Old World Clade II②

Old World Clade II②の分子系統
                    ┏━Section Euphorbia VI
                ┏┫
                ┃┗━Section Euphorbia V
            ┏┫
            ┃┗━━Section Euphorbia IV
        ┏┫
        ┃┗━━━Section Euphorbia III
    ┏┫
    ┃┗━━━━━★Section Euphorbia II
    ┃                             (アジア原産種)
┏┫
┃┗━━━━━━★Section Euphorbia I

┗━━━━━━━Section Monadenium

Old World Clade II②
Section Euphorbia I
Section Euphorbia Iは基本的にはアフリカ大陸産です。2つのグループに分けられる様に見えますから、●と◇に分けて解説します。

●このグループはアフリカ南部の原産です。外見は若いうちは柱サボテンのように見えますが、やがて幹は木質化して多肉質の枝を沢山伸ばします。自生地ではかなり大型になるものもあります。
E. evansiiは南アフリカ、スワジランド原産です。E. grandidensは南アフリカ、モザンビーク原産で、「隅田の雪」と呼ばれます。E. ramipressaはマダガスカル原産で、枝は平たく多肉質です。E. tanaensisはケニア原産で、高さ30mになるそうです。「タナガワトウダイグサ」と呼ばれることもあります。E. confinalisはスワジランド原産で、亜種のE. confinalis subsp. rhodesiacaは「白雲巒岳」の名前で知られています。E. tetragonaは南アフリカ原産で、E. trigonaとは別種です。

◇このグループはアジア系の原産です。
E. abdelkuriはソコトラ島原産で、トゲのない柱状の多肉植物です。E. laceiはアジア原産で、ラオス、ミャンマー、フィリピン、タイ、マレーシアに分布します。インドでは本来の自生地ではない移入種として分布します。

        ┏━━━━Section Euphorbia III, IV, V, VI
    ┏┫
    ┃┗━━━━Section Euphorbia II
    ┃
    ┃            ┏━●E. evansii
    ┃        ┏┫
┏┫        ┃┗━●E. grandidens
┃┃    ┏┫
┃┃    ┃┗━━●E. ramipressa
┃┃┏┫
┃┃┃┃┏━━●E. tanaensis
┃┃┃┗┫
┃┗┫    ┗━━●E. confinalis
┫    ┃
┃    ┃┏━━━●E. sekukuniensis
┃    ┗┫
┃        ┗━━━●E. tetragona

┃┏━━━━━◇E. abdelkuri
┗┫
    ┗━━━━━◇E. lacei

Section Euphorbia II
Section Euphorbia IIは基本的にはアジア産です。2つのグループに分けられる様に見えますから、◎と▲に分けて解説します。

◎このグループは、若いうちはモナデニウムに似ています。葉は多肉質ではなく、多肉質の太ったトゲのない幹を持ちます。
E. nivuliaはバングラデシュ、インド、ミャンマー、パキスタン、スリランカに分布します。E. neriifoliaはインド、イラン、ミャンマー、パキスタン、ベトナムに分布します。中国やインドネシア、東南アジアの島嶼部などに移入されているようです。「キリン角」とも呼ばれます。この、E. nivuliaとE. neriifoliaは分子系統が入り交じっています。解析の精度が低いせいなのか、遺伝的に交雑しているのか、隠蔽種があるのかはわかりません。
E. caducifoliaはインド、パキスタン原産です。根元より分岐して巨体なブッシュ状になります。多肉質の茎にはトゲがあり、葉は目立ちません。E. tekeはアフリカ大陸産で、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザイールに広く分布します。

▲このグループは、一見して柱サボテン様のトゲのあるタイプです。葉は目立ちません。
E. antiquorumはインド、バングラデシュ、カンボジア。マレーシア、パキスタン、スリランカ、タイ、ベトナムに広く分布します。E. lacteaはスリランカ原産ですが、移入種としてカリブ海地域やハワイ、南アジア、太平洋島嶼部などに広く見られます。綴化した斑入りのE. lacteaが継木されて「マハラジャ」などの名前でよく売られています。E. vajraveluiはインド原産です。


                    ┏━◎E. nivulia 2
                ┏┫
                ┃┗━◎E. neriifolia 1
            ┏┫
            ┃┗━━◎E. nivulia 1
        ┏┫
        ┃┗━━━◎E. nivulia 3
    ┏┫
    ┃┗━━━━◎E. neriifolia 2
┏┫
┃┃┏━━━━◎E. caducifolia
┃┗┫
┃    ┗━━━━◎E. teke

┃            ┏━━▲E. sp. 16
┫        ┏┫
┃        ┃┗━━▲E. sp. 15
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━━▲E. antiquorum 1
┃┏┫
┃┃┃┏━━━▲E. antiquorum 2
┗┫┗┫
    ┃    ┗━━━▲E. lactea
    ┃
    ┗━━━━━▲E. vajravelui

今日解説したのは、Section Euphorbiaの分子系統の根元にある2グループですが、アフリカ原産種とアジア原産種があります。どのように分布を拡大して進化したのでしょうか? その道筋を考えてみたいと思います。
Section EuphorbiaはSection Monadeniumと姉妹群ですが、Section MonadeniumもSection Euphorbia Iもアフリカ原産ですから、Section Euphorbiaはアフリカ大陸が起源で間違いないでしょう。Section Monadeniumの多くは、ケニアを中心としたアフリカ大陸東岸のインド洋側です。Section Euphorbia Iの◇印は最初に分岐したグループですが、E. abdelkuriはアラビア半島沖のソコトラ島、つまりはインド洋側の分布ですから、Section Monadeniumとの共通祖先がいたケニア付近から北上した様に見えます。同じく◇印のE. laceiは本格的に熱帯アジアに進出しています。この◇印のグループが、Section Euphorbia IIのアジア進出の契機なのでしょうか? 
あるいは、Section Euphorbia IIはアジア原産ですが、◎印のE. tekeのみがアフリカ原産ですから、そこから来ている可能性もあります。

さて、本日はここまでです。明日はSection Euphorbiaの続きです。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade II①の残り、Section Denisophorbia、Section Deuterocalli、Section Rubellaeについて解説しました。本日はSection Monadeniumについてです。
Section Monadeniumは、かつてはユーフォルビア属に近縁なモナデニウム属として独立していましたが、ユーフォルビア属に吸収されました。しかし、それでもSection Monadeniumはまとまった群として存在します。
とはいえ、現在でもモナデニウムはユーフォルビア属ではなく、モナデニウム名義で販売されていますから、論文の内容は我々趣味家には縁のない話かもしれません。むしろ、モナデニウムがユーフォルビアとして販売された場合、それはそれでややこしいので、販売名はモナデニウム名義でいて欲しいと思ってしまいます。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━★Old World Clade II②

Old World Clade IIの分子系統
    ┏━Section Euphorbia(Old World Clade II②)

┫┗━★Section Monadenium(Old World Clade II②)

┗━━Old World Clade II①

Old World Clade II② 
Section Monadeniumは主にアフリカ大陸産で、東アフリカのケニアを中心にタンザニア、エチオピアに多いようです。
ここで注意が必要なのは、モナデニウム属がユーフォルビア属へ移動した際、名前が変更になった種が多いことです。ですから、モナデニウムを育てていても、どれがどれやらわからないもかもしれません。残念ながら、論文ではモナデニウム属時代の学名は併記しておりません。ですから、解説部分で旧・学名も示します。


Section Monadeniumの分子系統
┏━━━━Section Euphorbia

┫    ┏━★Section Monadenium I 
┃┏┫
┗┫┗━★Section Monadenium II
    ┃
    ┗━━★Section Monadenium III

①Section Monadenium I
Section Monadenium Iは一見して最低4グループあります。○、▲、◎、■の記号でグループ分けしました。

○モナデニウムに特有の緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出すタイプが多いようです。E. rhizophora以外はこういうタイプです。
E. kimberleyana(=Monadenium kimberleyanum)はあまり情報はありません。E. lugardiae(=Monadenium lugardiae)はボツワナ、ザンビア、モザンビーク、スワジランド、南アフリカ原産。E. schubei(=Monadenium schubei)はタンザニア原産です。E. guentheri(=Monadenium guentheri)はケニア原産です。E. heteropoda(=Monadenium heteropodum)はあまり情報がありません。E. rhizophora(=Monadenium rhizophorum)はケニア原産で、塊根性で多肉質の茎を伸ばします。E. succulenta(=Monadenium succulentum)はケニア、タンザニア、ウガンダ原産です。

▲このグループはすべて塊根性です。
E. neomontana(=Monadenium montanum)はケニア、タンザニア原産です。E. neostolonifera(E. stoloniferum)はケニア原産です。E. neorubellae(=Monadenium rubellum)はケニア原産です。E. invenusta(=Monadenium invenustum)はケニア原産です。E. pseudolaevis(Monadenium laeve)はタンザニア、マラウイ原産です。

◎このグループのうち3種類はモナデニウム特有のタイプで系統的にも近縁です。他の3種類は緑色の棒状の多肉植物と塊根植物です。
E. pseudostellata(=Monadenium stellatum)はソマリア原産で、
緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。E. bisellenbeckii(=Monadenium ellenbeckii)はエチオピア、ケニア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。E. neoreflexa(=Monadenium reflexum)はエチオピア、ケニア原産で、緑色の太った多肉質を持ち、茎の頂点に大きな葉を出します。
E. lindenii(=Monadenium lindenii)はソマリア原産で、棒状の多肉質の茎を持ちます。E. major(=Monadenium majus、=Monadenium erubescens)はエチオピア、ソマリア原産で、塊根性の多肉植物です。E. neovirgata(=Monadenium virgatum)はケニア原産で、棒状の多肉質の茎を持ちます。


■一番根元はE. pseudotrinervis(=Monadenium trinerve)はケニア原産の塊根のある多肉植物です。

                        ┏━○E. kimberleyana
                    ┏┫
                    ┃┗━○E. lugardiae
                ┏┫
                ┃┗━━○E. schubei
            ┏┫
            ┃┃┏━━○E. guentheri
            ┃┗┫
        ┏┫    ┗━━○E. heteropoda
        ┃┃
        ┃┃┏━━━○E. rhizophora
        ┃┗┫
        ┃    ┗━━━○E. succulenta
        ┃
        ┃        ┏━━▲E. neomontana
    ┏┫    ┏┫
    ┃┃    ┃┗━━▲E. neostolonifera
    ┃┃┏┫
    ┃┃┃┗━━━▲E. neorubella
    ┃┗┫
    ┃    ┃┏━━━▲E. invenusta
    ┃    ┗┫
    ┃        ┗━━━▲E. pseudolaevis
    ┃
┏┫        ┏━━━◎E. pseudostellata
┃┃    ┏┫
┃┃    ┃┗━━━◎E. bisellenbeckii
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━◎E. neoreflexa
┃┃┃
┃┗┫    ┏━━━◎E. lindenii
┫    ┃┏┫
┃    ┃┃┗━━━◎E. major
┃    ┗┫
┃        ┗━━━━◎E. neovirgata

┃┏━━━━━━■E. pseudotrinervis
┗┫
    ┗━━━━━━■E. sp. 13

②Section Monadenium II
Section Monadenium IIは2つのグループがあるように見えます。◇、●の記号でグループ分けしました。

◇このグループは多肉植物ではない低木が多いようです。旧・モナデニウム属だけではなく、旧・Synadenium属も入ります。
E. bicompacta(=Synadenium compactum)はエチオピア、ケニア、エリトリア、ルワンダ原産の低木です。E. pseudomollis(=Synadenium molle)はケニア、タンザニア原産の低木です。E. umbellata(=Synadenium umbellatum、=Synadenium grantii)はスーダン、ブルンジ、タンザニア原産の低木です。E. neospinescensはトゲのあるコーデックスで、一見してパキポディウムのようです。E. neogossweileri(=Monadenium gossweileri、=Endadenium gossweileri)はアンゴラ原産の低木です。

●このグループはタンザニア原産でトゲのあるグループです。
E. magnifica(=Monadenium magnificum)はタンザニア原産で、トゲのある緑色の幹を持ちます。E. spectabilis(=Monadenium spectabile)はタンザニア原産で、トゲのある緑色の幹を持ちます。E. neococcinea(=Monadenium coccineum)はタンザニア原産で塊根性です。

                ┏━━◇E. bicompacta
            ┏┫
            ┃┗━━◇E. pseudomollis
        ┏┫
        ┃┗━━◇E. umbellata
    ┏┫
    ┃┃┏━━◇E. torrei
    ┃┗┫
┏┫    ┗━━◇E. neospinescens
┃┃
┃┗━━━━◇E. neogossweileri

┃            ┏━●E. neoarborescens 2
┃        ┏┫
┫        ┃┗━●E. magnifica
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━●E. neoarborescens 1
┃┏┫
┃┃┗━━━●E. spectabilis
┗┫
    ┗━━━━●E. neococcinea

③Section Monadenium III
E. neogracilis(=Monadenium gracile)はタンザニア原産で塊根性です。

Section Monadeniumは以上です。しかし、ユーフォルビア属は多様ですが、モナデニウムはSection Monadenium内でも様々な姿をとります。大変面白いグループです。
さて、明日はついにSection Euphorbiaです。本論文はSection Euphorbiaを中心に調べていますから、割と種数が多くなっています。




ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村



2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade IIのSection Goniostemaについて解説しました。本日はSection Denisophorbia、Section Deuterocalli、Section Rubellaeについてです。Section DenisophorbiaとSection Deuterocalliは花キリン類Section Goniostemaから出てきたグループですが、Section RubellaeはOld World Clade II全体の根元にあるグループです。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━★Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②

Old World Clade IIの分子系統
    ┏━━━━━Old World Clade II②
    ┃
    ┃            ┏━★Section Denisophorbia
    ┃        ┏┫ 
┏┫        ┃┗━★Section Deuterocalli
┃┃    ┏┫
┃┃┏┫┗━━Section Goniostema I
┃┃┃┃
┫┗┫┗━━━Section Goniostema II
┃    ┃
┃    ┗━━━━Section Goniostema III

┗━━━━━━★Section Rubellae

Old World Clade II①
①Section Denisophorbia
②Section Deuterocalli
・Section Denisophorbia
E. hedyotoidesは太い塊根から細いトゲのない枝を伸ばします。葉は細長い。あとは、すべて未記載種のようです。

・Section Deuterocalli
Section Deuterocalliは緑色の棒状の多肉質な枝を伸ばすタイプで、この論文ではE. famatamboay、E. alluaudii、E. cedrorumを調べています。
今回、論文を読みながら色々調べたのですが、ユーフォルビア属はSection Deuterocalliのようなタイプの多肉植物が、あちこちのグループで現れるということです。以前、私はE. alluaudiiなどのマダガスカル原産の種とE. phosphorea(夜光キリン)のような南米原産の種は形状は似ていても分布が異なり、また外見的特徴も異なるように見えましたから、別グループなのではないかと考察しましたが、どうやら正解だったようです。E. phosphoreaはNew World Cladeですから、Old World Clade IIのE. alluaudiiとはまったく近縁ではありません。
さらに、どちらかと言えばSection Deuterocalliによく似た同じマダガスカル原産のE. tirucalli(ミルクブッシュ)はOld World Clade Iですから、やはりそれほど近縁ではありませんでした。私は近縁と考えていましたが、どうも他人のそら似だったようです。他にも、あちこちのグループで類似の形態が見受けられます。これは、ユーフォルビア属が多肉植物化するときに、進化しやすい方向性なのでしょう。


            ┏━E. sp. 14
        ┏┫
    ┏┫┗━E. sp. 11
    ┃┃
    ┃┗━━E. hedyotoides
┏┫
┃┃    ┏━E. sp. 9
┃┃┏┫
┃┗┫┗━E. sp. 10
┃    ┃
┫    ┗━E. sp. 8

┃    ┏━E. famatamboay
┃┏┫
┗┫┗━E. alluaudii
    ┃
    ┗━━E. cedrorum

③Section Rubellae
Section Rubellaeは、E. rubellaとE. brunelliiを調べています。E. rubellaやE. brunelliiは太い塊根からトゲのない短い枝が出ます。葉は頂点にのみつきます。E. rubellaはエチオピア原産で、E. brunelliiはエチオピア、ケニア、スーダン、ウガンダ原産です。

本日はここまでです。明日はSection Monadeniumについて解説させていただきます。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はOld World Clade Iについて解説しました。本日はOld World Clade IIについて解説しますが、論文で扱われている種類が多いため分割します。本日はSection Goniostemaについてです。Section Goniostemaとは、いわゆる花キリンの仲間です。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus Esula

┫┏━━━━━Subgenus Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━★Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②


Old World Clade IIの分子系統
    ┏━━━━━Old World Clade II②
    ┃
    ┃            ┏━Section Denisophorbia
    ┃        ┏┫ 
┏┫        ┃┗━Section Deuterocalli
┃┃    ┏┫
┃┃┏┫┗━━★Section Goniostema I
┃┃┃┃
┫┗┫┗━━━★Section Goniostema II
┃    ┃
┃    ┗━━━━★Section Goniostema III

┗━━━━━━Section Rubellae

Old World Clade II①
Section Goniostemaは花キリンの仲間です。花を観賞するために販売される花キリンE. milii系の品種はよく見かけますが、他の花キリンの仲間である噴火竜E. viguieriや筒葉チビ花キリンE. cylindrifoliaとの関係はどうなっているのか以前から気になっていました。

①Section Goniostema I
・E. viguieri系
E. viguieriは他の花キリン類とは離れた位置にあります。E. viguieriは「噴火竜」と呼ばれ、強いトゲがあり大きな葉は頂点にのみつきます。一見似ているE. neohumbertiiや
E. caproniiとは、それほど近縁ではありません。

・E. milii系
E. milii系の枝は、8種類が調べられました。E. miliiとよく似たE. lophogonaは、見た目通りE. miliiに近縁です。E. miliiは「花キリン」、E. lophogonaは「摩利支天」と呼ばれます。ともに、目立つ花を咲かせます。lophogonaのトゲは弱く突起物のようなものです。E. croizatiiはE. milii系の花を咲かせますが、トゲは非常に強いようです。E. didiereoidesはトゲは強く見た目はE. milii系ですが、花は小さく集合しややE. viguieriのようです。E. pedilanthoidesは塊根性でトゲのある細い枝からやや細長い葉を出します。花は小さくあまり開かないので、E. viguieriによく似ています。E. caproniiは一見してE. viguieriに似た強いトゲと大きな葉を持ちますが、枝は長く伸びてよく分岐します。花は集合しますが、苞はE. miliiほどではありませんが開いてやや目立ちます。E. horombensisは一見してE. miliiを大型にしたような姿です。苞も丸みがありよく目立ちます。

※ちなみに、"aff." という表記が見られますが、これは「特定の種あるいは亜種に類似するが、重要な分類形質の一部が明らかに一致しないことから、未記載種の可能性が高い場合に属名と種小名の間に挿入する用語」とのことです。今回は私に"aff."を判定する能力がないため、"aff."がついた種の解説は割愛させていただきます。

・E. tulearensis系
系統の根元にあるE. beharensisは塊根性で、トゲのある枝を長く伸ばします。かなり特殊な葉の出し方をします。E. tulearensisは塊根性でトゲはなく、縮れた葉を持ちます。E. ambovombensisやE. decaryiによく似ていますが、系統的には姉妹群ではあるものの、意外にも同じ枝に乗っていません。E. rossiiはトゲのある枝から非常に細長い葉を出します。苞は大きく目立ち、一見してE. milii系に見えますが、E. tulearensisに近縁です。E. capsaintemariensisは塊根性で、縮れた葉を出します。

・E. cylindrifolia系
E. cylindrifolia系は塊根性でトゲはありません。E. cylindrifolia以外は葉が縮れます。


        ┏━━━━━━━━Section Denisophorbia
    ┏┫
    ┃┗━━━━━━━━Section Deuterocalli
┏┫
┃┗━━━━━━━━━E. viguieri

┃                                ┏━E. aff. retrospina
┃                            ┏┫
┃                            ┃┗━E. horombensis
┃                        ┏┫
┃                        ┃┗━━E. capuronii
┃                    ┏┫
┃                    ┃┗━━━E. sp. 17
┃                ┏┫
┫                ┃┗━━━━E. aff. mahafalensis
┃            ┏┫
┃            ┃┗━━━━━E. pedilanthoides
┃        ┏┫
┃        ┃┗━━━━━━E. didiereoides
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━━━━━━E. croizatii
┃┏┫
┃┃┃┏━━━━━━━E. lophogona
┃┃┗┫
┃┃    ┗━━━━━━━E. milii
┃┃
┃┃            ┏━━━━━E. capsaintemariensis 1
┗┫        ┏┫
    ┃        ┃┗━━━━━E. capsaintemariensis 2
    ┃    ┏┫
    ┃    ┃┃┏━━━━━E. rossii
    ┃    ┃┗┫
    ┃┏┫    ┗━━━━━E. tulearensis
    ┃┃┃
    ┃┃┗━━━━━━━E. beharensis
    ┃┃
    ┗┫        ┏━━━━━E. ambovombensis
        ┃    ┏┫
        ┃    ┃┗━━━━━E. decaryi
        ┃┏┫
        ┃┃┗━━━━━━E. cylindrifolia
        ┗┫
            ┗━━━━━━━E. francoisii

②Section Goniostema II
③Section Goniostema III

・Section Goniostema II
Section Goniostema IIはトゲのない群です。E. geroldiiは「トゲナシハナキリン」と呼ばれ、E. milii以上に丸みがある目立つ苞があります。E. alfrediiは太い幹から大きな葉を出します。

・Section Goniostema III
Section Goniostema IIIは太い幹に強いトゲがあり、葉は頂点にのみつきます。E. neohumbertiiは「噴炎竜」と呼ばれ、E. viguieriと対のように見られますが、それほど近縁ではありません。E. iharanaeはE. neohumbertiiによく似ています。


            ┏━Section Denisophorbia
        ┏┫
        ┃┗━Section Deuterocalli
    ┏┫
    ┃┗━━Section Goniostema①
┏┫
┃┃┏━━E. geroldii
┃┗┫
┃    ┗━━E. alfredii

┃    ┏━━E. neohumbertii 1
┃┏┫
┃┃┗━━E. neohumbertii 2
┗┫
    ┗━━━E. iharanae

そういえば、Euphorbia guillauminhanaはこの論文では調べていないようですが、花の形状や枝振りからすると、おそらくはE. miliiに近いのでしょう。また、地ムグリ花キリンE. primulifoliaの仲間はどうでしょうか? まだわからない部分があります。Section Goniostemaについて、詳細を調べた論文があるかもしれませんから、そのうち調べてみようかと思います。
明日はOld World Clade IIの内、Section MonadeniumとSection Euphorbia以外のその他のグループについて解説します。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村



2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はPacific CladeとNew World Cladeについて解説しました。本日はOld World Clade Iについて解説します。ちなみに、Old World Clade Iはマダガスカル原産で、幹が棒状の多肉植物であるSection Tirucalli、未記載種が多く低木のSection Pervilleanae、他にSection Pachysanthaeからなります。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus. Esula

┫┏━━━━━Subgenus. Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus. Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━★Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②

Old World Clade I
Old World Clade Iはすべてマダガスカル原産です。

    ┏━Section Tirucalli
┏┫
┫┗━Section Pervilleanae

┗━━Section Pachysanthae

①Section Pachysanthae
Section PachysanthaeはSection TirucalliやSection Pervilleanaeの根元にある分類群です。
E. mandraviokyは木本で幹は太りコーデックスのようになります。


②Section Pervilleanae
未記載種が多いようです。E. intisyは茎は棒状の多肉植物ですが、それ以外の種は樹木で光沢のある葉を持ち、一見してユーフォルビアに見えません。

                ┏━E. sp. 12
            ┏┫
            ┃┗━E. sp. 6
        ┏┫
        ┃┗━━E. sp. 5
    ┏┫
    ┃┃┏━━E. sp. 3
    ┃┗┫
    ┃    ┗━━E. sp. 4
┏┫
┃┃    ┏━━E. sp. 2
┃┃┏┫
┃┗┫┗━━E. randrianjohanyi
┃    ┃
┃    ┗━━━E. tetraptera

┃        ┏━━E. sp. 7
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━E. pervilleana
┃┏┫
┗┫┗━━━E. rauhii
    ┃
    ┗━━━━E. intisy

③Section Tirucalli
Section Tirucalliは基本的に多肉質の棒状の植物です。E. tirucalli(ミルクブッシュ、緑サンゴ)、E. xylophylloides(硬葉キリン、ヘラサンゴ)、E. stenoclada(トナカイ角)など有名種は入手しやすい種類です。
E. arahakaは4つの株を見ていますが、E. arahaka 4はやや遺伝的に離れています。それ以外にも、全体的に分離が甘いように見えます。


                            ┏━E. arahaka 4
                        ┏┫
                        ┃┗━E. kamponii
                    ┏┫
                    ┃┗━━E. stenoclada 1
                ┏┫
                ┃┗━━━E. tirucalli
            ┏┫
            ┃┗━━━━E. decorsei
            ┃
            ┃            ┏━E. enterophora 2
            ┃        ┏┫
            ┃        ┃┗━E. arahaka 3
        ┏┫    ┏┫
        ┃┃    ┃┗━━E. arahaka 1
        ┃┃┏┫
        ┃┃┃┗━━━E. arahaka 2
    ┏┫┗┫
    ┃┃    ┗━━━━E. xylophylloides 2
    ┃┃
    ┃┃┏━━━━━E. xylophylloides 1
    ┃┗┫
┏┫    ┗━━━━━E. enterophora 1
┃┃
┃┃    ┏━━━━━E. fiherenensis 1
┃┃┏┫
┃┃┃┗━━━━━E. fiherenensis 2
┃┗┫
┫    ┗━━━━━━E. stenoclada 2

┃        ┏━━━━━E. arbuscula
┃    ┏┫
┃    ┃┗━━━━━E. damarana
┃┏┫
┃┃┗━━━━━━E. dhofarensis
┗┫
    ┗━━━━━━━E. gummifera

ユーフォルビア属の分類体系は、まだまだ続きます。明日はOld World Clade IIのSection Goniostemaについてです。いわゆる花キリンの仲間となります。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村




2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文の紹介です。昨日はSubgenus. Esula、Subgenus. Rhizanthium、Subgenus. Chamaesyceについて解説しました。本日はPacific CladeとNew World Cladeについて解説します。ちなみに、Pacific Clade(太平洋分岐群)はオセアニアを中心とした島嶼部に、New World Clade(新世界分岐群)はアメリカ大陸の原産です。

ユーフォルビア属の分子系統
┏━━━━━━Subgenus. Esula

┫┏━━━━━Subgenus. Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━Subgenus. Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━★Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━★New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②

Pacific Clade
Section Pacificae
Pacific Cladeはオーストラリアからハワイに12種類が分布します。Pacific CladeはNew World Cladeの根元にありますから、Pacific Cladeの分布する太平洋の島嶼部からアメリカ大陸へ分布を拡げたことが推測されます。


この論文で解析されたPacific Cladeは5種類です。
・E. haeleeleanaはハワイ原産で、高さ13mに達する木本です。
・E. boophthonaはオーストラリア原産で、立ち上がりやや多肉質の茎を持ちます。
・E. plumerioidesはビスマルク諸島、フィジー、ジャワ、小スンダ諸島、ニューギニア、フィリピン、クイーンズランド、ソロモン諸島、スラウェシ、オーストラリアと広く分布します。細い木質の茎からプルメリアに似た葉を出します。
・E. steveniiはオーストラリア原産で、やや立ち上がり分岐する多肉質の茎に小さな葉を持ちます。
・E. sarcostemmoidesはオーストラリア原産で、叢生してやや多肉質な茎を持ちます。


            ┏━E. haeleeleana
        ┏┫
        ┃┗━E. boophthona
    ┏┫
    ┃┗━━E. plumerioides
┏┫
┃┗━━━E. stevenii

┗━━━━E. sarcostemmoides

New World Clade
New World Cladeはアメリカ大陸産のユーフォルビアです。遺伝子解析の結果では種の分離能があまり良くないということですが、これはNew World Cladeが短期間に進化した可能性を示しています。
New World Cladeはあまり有名な種類は少なく、Section Brasiliensesの夜光キリンなど、流通しているのは極一部です。

                        ┏━Section Brasilienses
                    ┏┫
                    ┃┗━Section Stachydium
                ┏┫
                ┃┗━━Section Crepidaria
                ┃
            ┏┫┏━━Section Nummulariopsis
            ┃┗┫
        ┏┫    ┗━━Section Portulacastrum
        ┃┃
        ┃┗━━━━Section Calyculatae
    ┏┫
    ┃┃    ┏━━━Section Euphorbiastrum
    ┃┃┏┫
    ┃┗┫┗━━━Section Mesophyllae
┏┫    ┃
┃┃    ┗━━━━Section Lactifluae
┃┃
┫┃┏━━━━━Section Cubanthus
┃┗┫
┃    ┗━━━━━Section Tanquahuete

┗━━━━━━━Pacific Clade

①Section Brasilienses
Section BrasiliensesとSection Stachydiumは近縁で、ともに中米・南米に分布します。しかし、Section Stachydiumは草本ですが、Section Brasiliensesは多肉植物です。
E. attastomaとE. phosphoreaの分離が出来ていません。急激に分化した場合など解析の精度が落ちる可能性もあります。ただし、隠蔽種と言って外見上では同じでも、遺伝的には差がある場合もありますから、さらなる詳細な研究が望まれます。

・E. attastomaはブラジル原産で、棒状の多肉植物。
・E. phosphoreaは「夜光キリン」と呼ばれ、現在地では菌の作用で発光すると言われます。ブラジル原産で棒状の多肉植物。
・E. sipolisiiはブラジル原産で、棒状の多肉植物です。枝は角ばる。


                ┏━E. attastoma1
            ┏┫
            ┃┗━E. phosphorea1
        ┏┫
        ┃┗━━E. sipolisii
    ┏┫
    ┃┃┏━━E. phosphorea2
    ┃┗┫
┏┫    ┗━━E. attastoma2
┃┃
┫┗━━━━Section Stachydium

┗━━━━━Section Crepidaria

②Section Stachydium
Section Brasiliensesと姉妹群を形成し、ともに中・南米原産です。基本的に草本で、多肉植物ではありません。

・E. heterodoxaはブラジル原産の草本。
・E. lagunillarumはブラジル原産の草本。
・E. comosaはアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、ベネズエラ原産の草本。


    ┏━━━Section Brasilienses
    ┃        
┏┫    ┏━E. heterodoxa
┃┃┏┫
┃┗┫┗━E. lagunillarum
┫    ┃
┃    ┗━━E. comosa

┗━━━━Section Crepidaria

③Section Crepidaria
Section Crepidariaは基本的に北米原産で、木本が多いのですが、一部多肉質となるものもあります。多肉質の茎を持つ種は、あまり高度に多肉化せずにブッシュ状となります。

・E. cymbiferaはメキシコ原産の棒状の多肉植物です。
・E. lomeliiはメキシコ原産の棒状の多肉植物です。
・E. bracteataはメキシコ原産の多肉植物です。
・E. calcarataはメキシコ原産の木本です。
・E. finkiiはメキシコ原産ですが、情報がありません。
・E. personataはコスタリカ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア原産で、細長い棒状の植物です。論文では"Pencil-stem"と表現されています。
・E. tithymaloidesはフロリダ、メキシコから熱帯アメリカの原産で、2m前後の低木です。庭木として植栽されます。


    ┏━━━━━Section Brasilienses
┏┫
┃┗━━━━━Section Stachydium

┃                ┏━E. cymbifera
┃            ┏┫
┃            ┃┗━E. lomelii
┃        ┏┫
┫        ┃┗━━E. bracteata
┃    ┏┫
┃    ┃┃┏━━E. colligata
┃    ┃┗┫
┃┏┫    ┗━━E. calcarata
┃┃┃
┗┫┗━━━━E. finkii
    ┃
    ┃┏━━━━E. personata
    ┗┫
        ┗━━━━E. tithymaloides

④Section Nummulariopsis
⑤Section Portulacastrum
⑥Section Calyculatae

Section Nummulariopsisは分岐の基部は北米原産ですが、その大半が中・南米原産です。基本的に草本のようです。Section PortulacastrumはここではE. germainiiのみですが、中・南米原産の草本です。Section CalyculataeはここではE. xylopodaとE. calyculataを解析していますが、北米原産の木本です。
Section Calyculataeが分岐の基部にありますから、北米から分化が始まったような気もします。しかし、分布を拡大しながら種分化した場合、元の地域で絶滅が起きた可能性もあります。そうなると、群のもともとの起源地域はわからないということになります。Section Nummulariopsisの起源地域は北米で中・南米へ分布を拡大したように思えます。しかし、Section Portulacastrumは中・南米原産ですから難しいところです。あるいはアメリカ大陸を縦横無尽に南北に分布を拡大してきたのかもしれません。


Section Nummulariopsis
・E. caespitosaはアルゼンチン、ウルグアイ原産の草本。
・E. portulacoidesはアルゼンチン、ボリビア、チリ、ウルグアイ原産の草本です。
・E. elquiensisはチリ原産。
・E. elodesはブラジル原産の草本です。
・E. peperomioidesはブラジル原産の草本です。
・E. thinophilaはチリ原産の塊根性植物です。
・E. papillosaはアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ原産の草本です。
・E. telephioidesはフロリダ原産の草本です。
・E. rosescensはフロリダ原産の草本です。

Section Portulacastrum
・E. germainiiはチリ原産。一見してスベリヒユPortulaca様の多肉質の草本。

Section Calyculatae
・E. calyculataはメキシコ原産の木本。
・E. xylopodaはメキシコ原産の木本。


            ┏Section Brasilienses
        ┏┫
        ┃┗Section Stachydium
    ┏┫
    ┃┗Section Crepidaria
    ┃
    ┃                                    ┏━E. caespitosa
    ┃                                ┏┫
    ┃                                ┃┗━E. portulacoides 1
    ┃                            ┏┫
    ┃                            ┃┗━━E. portulacoides 2
    ┃                        ┏┫
    ┃                        ┃┗━━━E. portulacoides 4
    ┃                        ┃
    ┃                    ┏┫    ┏━━E. portulacoides 3
    ┃                    ┃┃┏┫
    ┃                    ┃┗┫┗━━E. sp. 1
    ┃                    ┃    ┃
    ┃                ┏┫    ┗━━━E. elquiensis
    ┃                ┃┃
    ┃                ┃┃┏━━━━E. elodes
    ┃            ┏┫┗┫
    ┃            ┃┃    ┗━━━━E. peperomioides
    ┃            ┃┃
    ┃        ┏┫┗━━━━━━E. thinophila
    ┃        ┃┃
    ┃    ┏┫┗━━━━━━━E. papillosa
┏┫    ┃┃
┃┃┏┫┗━━━━━━━━E. telephioides
┃┃┃┃
┃┗┫┗━━━━━━━━━E. rosescens
┃    ┃
┫    ┗━━━━━━━━━━E. germainii
┃                  (Section Portulacastrum)

┃┏━━━━━━━━━━━E. xylopoda
┃┃              (Section Calyculatae)
┗┫
    ┗━━━━━━━━━━━E. calyculata
                      (Section Calyculatae)

⑦Section Euphorbiastrum
⑧Section Mesophyllae
⑨Section Lactifluae

Section Euphorbiastrum、Section Mesophyllae、Section Lactifluaeは近縁です。基本的に中・南米原産で低木が多いようです。

Section Euphorbiastrum
・E. pteroneuraはメキシコからグアテマラ原産で、「破魔の矢」あるいは「旋風キリン」と呼ばれています。幹は棒状で分岐する多肉植物です。
・E. hoffmannianaはコスタリカ原産の木本?です。
・E. dussiiはカリブ海のウィンドワード諸島原産。
・E. weberbaueriはエクアドル、ペルー原産の、分岐する棒状の多肉植物。
・E. laurifoliaはコロンビア、ボリビアのアンデス山脈原産の木本です。

Section Mesophyllae
・E. sinclairianaはボリビア、ブラジル、ケイマン諸島、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ドミニカ共和国、エクアドル、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、プエルトリコ原産の木本?

Section Lactifluae
・E. lactifluaeはチリ原産の灌木。



                         ┏━E. pteroneura
                     ┏┫
                     ┃┗━E. hoffmanniana
                 ┏┫
                 ┃┗━━E. dussii
             ┏┫
             ┃┗━━━E. weberbaueri
         ┏┫
         ┃┗━━━━E. cestrifolia
     ┏┫
     ┃┗━━━━━E. laurifolia
┏ ┫
┃ ┗━━━━━━E. sinclairiana

┗━━━━━━━E. lactiflua

⑩Section Cubanthus
⑪Section Tanquahuete

Section Cubanthusはカリブ海地域の島嶼部に分布します。Section Tanquahueteは北米原産ですが、Section Cubanthusとは木本であることは共通します。

Section Cubanthus
・E. umbelliformisはキューバ、ドミニカ共和国、ハイチ原産。
・E. gymnonotaはバハマ原産の木本。
・E. puniceaはジャマイカ原産の木本。「ジャマイカ・ポインセチア」の名前で知られる。
・E. cubensisはキューバ原産。
・E. podocarpifoliaはキューバ原産の木本。赤い目立つ花を咲かせる。
・E. helenaeはキューバ原産の木本。赤い目立つ花を咲かせる。
・E. muniziiはキューバ原産。

Section Tanquahuete
・E. tanquahueteはメキシコ原産の、高さ10mになる。


            ┏━E. umbelliformis
        ┏┫
        ┃┗━E. gymnonota
    ┏┫
    ┃┃┏━E. punicea
    ┃┗┫
    ┃    ┗━E. cubensis
┏┫
┃┃    ┏━E. podocarpifolia
┃┃┏┫
┃┗┫┗━E. helenae
┫    ┃
┃    ┗━━E. munizii

┗━━━━E. tanquahuete

明日は、続けてOld World Clade Iについて解説します。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村


いまいち人気はありませんが、私はユーフォルビアが好きでチマチマ集めています。しかし、ユーフォルビアは非常に多様で、一見して同じユーフォルビアに見えない種類が含まれています。ユーフォルビアとはどのような植物なのでしょうか?

ユーフォルビアは日本にも生えている雑草だったり、メキシコのポインセチア、南米では大木、アフリカではサボテンの様な多肉植物、マダガスカルの花キリン、ヨーロッパの観賞用のカラーリーフ、もちろんアジアやオーストラリアにも自生しています。つまりは世界中に広く分布しています。
そして、その生態も様々です。ユーフォルビアは乾燥地に生えるものが多いのですが、アジアやヨーロッパに自生するものは多肉植物ではなくその多くは草本です。乾燥に対応して水分を蓄えるために多肉質になった種でも、サボテンのように茎が太ったものだけではなく、塊根が発達したもの、塊根からサボテンのような多肉質の茎を伸ばすものもあります。とにかく、ユーフォルビアはあらゆる可能性を追及した様な植物です。
考えて見ると、例えばサボテンも様々な形態です。木のようなモクキリン、森林サボテン、ウチワサボテン、ハシラサボテン、さらにはAstrophytum caput-medusaeやAriocarpusの様な特殊化したものもあります。しかし、これらは同じサボテン科ですが、所属する属は別々です。しかも、ハシラサボテンと言っても沢山の属にわかれています。では、ユーフォルビアと言えば、なんと1属、ユーフォルビア属だけで成立しているのです。形がどれだけ異なっても、やはりユーフォルビア属の一部です。とても不思議に思います。
ただし、ユーフォルビア属はCyathiumという特徴的なカップ状の花が共通します。この構造は発生学的には花と花序の中間と見なされるそうです。難しいのは、この花の構造とユーフォルビア属内の分類がうまくリンクせず、曖昧であるということです。


私は最近、多肉植物の論文を探して紹介する記事を書いています。そこで、ユーフォルビアについても論文を探してみました。しかし、ユーフォルビア属は巨大な分類群で、しかも世界中に分布し形態も様々なので、調べると沢山の論文がヒットします。あまりに多いので、逆に目当ての内容の論文を探すのに難儀する位です。
そんなこんなで見つけたのが、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文です。この論文を紹介しますが、なんと言っても約2000種を含むと言われるユーフォルビア属そのものを解析したものですから、その内容も盛りだくさんです。とてもではないですが、一つの記事に収まらりません。というわけですので、いくつかに分割して記事にしようかと思います。

ついでに述べておきますが、以前「ユーフォルビア属の分類」と称して、3つの記事を書いたことがあります。しかし、この記事はNCBI(アメリカ国立生物工学情報センター)のTaxonomy browserに集積されたデータを吸いだしただけで、特に根拠を示しておりませんでした。ですから、その根拠を示すとともに、私の解説も適宜しながら進めさせていただきます。


さて、まずは序文ではこの論文がユーフォルビア661種を調べたものであること、核リボソームの遺伝子であるITSと葉緑体の遺伝子であるmatK、ndhFを解析したことが述べられております。本論から外れるので、テクニカルな話は割愛させていただきます。ここでは、とりあえず見取図的な大まかな分子系統をお示しします。本日は、Subgenus. Esula、Subgenus. Rhizanthium、Subgenus. Chamaesyceを解説します。

┏━━━━━━★Subgenus. Esula

┫┏━━━━━★Subgenus. Rhizanthium
┃┃
┃┃┏━━━━★Subgenus. Chamaesyce
┗┫┃
    ┃┃    ┏━━Pacific Clade
    ┗┫┏┫
        ┃┃┗━━New World Clade
        ┗┫
            ┃┏━━Old World Clade I
            ┗┫
                ┃┏━Old World Clade II①
                ┗┫
                    ┗━Old World Clade II②


エスラ亜属 Subgenus. Esula
エスラ亜属は約480種を含みます。

ユーフォルビアとは日本語でトウダイグサと呼びます。つまりは、ユーフォルビア属=トウダイグサ属なのです。この、トウダイグサは「灯台草」ではなくて「燈台草」です。この場合の「燈台」とは、背の高い台に油を注いだ皿を置いて、明かりを灯す器具のことを示します。時代劇でよく見かけるやつです。このトウダイグサの命名のきっかけは、トウダイグサE. helioscopiaから来ています。トウダイグサは本州以南の日当たりの良い荒れ地や畑地に生える二年草です。椀状の苞葉から黄色い花が出る形状を燈台に見立てているということです。トウダイグサ属の命名に関わる「トウダイグサ」はエスラ亜属に属します。

そういえば、最近園芸店で良く見かける草花として販売されるユーフォルビアは大抵エスラ亜属です。栽培されるのは主にヨーロッパ原産種で、花壇に植栽される花、あるいはカラーリーフで、多肉植物ではありません。有名な種類は、E. cyparissias、E. polychroma、E. myrsinites、E. amygdaloides、E. characiasなどがあります。

この論文では、4種類のエスラ亜属を解析しています。ずいぶん数が少ないのですが、これは各分類群の位置関係を調べるためですから、仕方がないことです。また、エスラ亜属はまとまりのある分類群ですから、沢山調べる必要性はないのかもしれません。
簡単に種の解説をします。
・E. orthocladeはマダガスカルの草本?のようですが、詳細はよくわかりません。
・E. aphyllaは「糸キリン」の名前で知られる棒状の茎を持つ多肉植物で、カナリア諸島原産です。海岸にも生えることから、耐塩性があります。
・E. helioscopiaは燈台草のことです。雑草。
・E. hirsutaは地中海沿岸に生える草本です。地中海沿岸とは必ずしもヨーロッパだけを示すわけではありませんから、トルコや北アフリカにも広く分布します。

        ┏━E. orthoclade
    ┏┫
┏┫┗━E. aphylla
┃┃
┫┗━━E. helioscopia

┗━━━E. hirsuta

リザンチウム亜属 Subgenus. Rhizanthium
リザンチウム亜属は、園芸店でお馴染みの多肉ユーフォルビアを沢山含んでいます。ホリダ、オベサ、タコものとも呼ばれるMedusoid、その他コーデックスもあります。約200種類あると言われています。この論文ではたった4種類を調べただけですから、今後リザンチウム亜属の詳細を調べた論文をもし見つけたら今後記事にしたいと思います。

代表的な種は、サボテンに似たホリダE. polygona var. horrida、勇猛閣E. ferox、紅彩閣E. heptagona、オベサE. obesa、バリタE. meloformis subsp. valida、笹蟹丸E. pulvinata、瑠璃晃E. susannaeなど、あるいはタコものとも言われる孔雀丸E. flanaganii、闘牛角E. schoenlandii、閻魔キリンE. esculenta、荒天竜E. caput-medusae、E. deceptaなど、さらにはコーデックスの鉄甲丸E. bupleurifolia、E. tricadenia、E. silenifolia、鬼笑いE. ecklonii、鬼縮E. tuberosaなどが知られています。他にも玉鱗宝E. globosa、式部E. clava、逆鱗竜E. clandestina、昭和キリンE. bubalina、鬼棲木E. hamata、柳葉キリンE. monteiroi、E. loricata、E. multifolia、E. gariepina、E. lignosa、E. cuaneta、E. bongensis、E. longituberculosa、E. balsamifera、E. socotrana、E. platycephalaがあります。

この論文で扱われたリザンチウム亜属は4種類です。簡単に種の解説をします。
・E. gariepinaは「鬼ヶ島」と呼ばれることもある、アンゴラやナミビア、南アフリカ原産の叢生する多肉植物です。
・E. bongensisは南スーダンからザンビア原産の塊根性の多肉植物です。
・E. hadramauticaはアラビア半島南部、エチオピア、ソマリア原産の、棍棒状の幹から縮れた葉を出す多肉植物です。
・E. horridaは南アフリカ原産のサボテンのような多肉植物です。ホリダは現在ではE. polygona var. horridaとされています。

        ┏━E. gariepina
    ┏┫
    ┃┗━E. bongensis
┏┫
┫┗━━E. hadramautica

┗━━━E. horrida

カマエシケ亜属 Subgenus. Chamaesyce
カマエシケ亜属は約600種を含みます。ニシキソウの仲間で世界中に自生します。日本ではコニシキソウE. maculataやその近縁種が雑草として良く見られますが、ポインセチアE. pulcherrimaもカマエシケ亜属です。他にはカラーリーフとして栽培されるE. cotinifolia、花壇に植えられるハツユキソウE. marginataが有名です。

この論文で扱われたカマエシケ亜属は7種類です。簡単に種の解説をします。
・E. tannensisはオーストラリアやニューカレドニア、バヌアツ原産です。詳細は不明。
・E. planticolaはオーストラリア原産詳細は不明。
・E. aequorisは南アフリカ原産で、叢生して分岐する棒状の多肉植物です。
・E. spineaは「魔針殿」とも呼ばれる南アフリカとナミビア原産の多肉植物で、叢生して先端が尖ります。
・E. cotinifoliaはメキシコから熱帯アメリカ原産で、観葉植物として育てられる低木。多肉植物ではありません。
・E. guiengolaはメキシコ原産で、花を目的に栽培されます。茎はやや多肉質かもしれません。
・E. plagianthaはマダガスカル原産の木本。松のような細長い葉を伸ばします。

        ┏━E. tannensis
    ┏┫
    ┃┗━E. planticola
┏┫
┃┃┏━E. aequoris
┃┗┫
┫    ┗━E. spinea

┃    ┏━E. cotinifolia
┃┏┫
┗┫┗━E. guiengola
    ┃
    ┗━━E. plagiantha

本日はここまでです。明日はPacific CladeとNew World Cladeを解説します。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村




4月に東京五反田TOCで開催された、春のサボテン・多肉植物のビッグバザールに行った際に、サピニーという名前のユーフォルビアの苗を入手しました。購入したブースの生産者さんは、大変状態の良い優れた苗を毎回持ってきてくれますから、ついつい私も毎回購入してしまいます。
さて、そんなサピニーですが、ネットで現在地してみても恐ろしいほど情報がありません。多少、販売情報はあるようですが、私の購入した苗と同サイズのサピニーが数倍の値段で売られていたりします。なんか怪しいですね。
あと、海外のネット上のフォーラムでは、サピニーは海外でも非常に珍しいみたいですね。中々ヨーロッパでも入手は困難なようです。
個人的に「サピニー」より「サピニイ」のほうがしっくりくるので、これより「サピニイ」表記で行きます。

DSC_1647
まだ小さい苗ですが、高さ1mほどになるそうです。

DSC_1648
トゲのある木質の茎がありますが、まだトゲは出ていません。

ネットでサピニイの画像を探していたら、ふと"猛毒三兄弟"こと、Euphorbia poissonii、Euphorbia venenifica、Euphorbia unispinaと似ている様な気がしました。そこで、分布を調べてみたら面白いことがわかりました。ポイソニイは西アフリカのギニア湾沿い、ユニスピナはギニア湾沿いから東に長くチャド・スーダンまでの西アフリカから東アフリカ、ベネニフィカは東アフリカ、サピニイは中央アフリカとなっています。分布が広いユニスピナ以外は、一部重なりながらも分布がアフリカの東部・中央部・西部にわかれているのが、分布域を拡げながら進化した様子が見受けられます。
ここで、2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文を見てみます。この論文では遺伝子を解析していますが、サピニイの分子系統は以外の通りです。

             ┏━━E. sudanica
         ┏┫
         ┃┗━━E. venenifica
     ┏┫
     ┃┗━━━E. unispina
 ┏┫
 ┃┗━━━━★E. sapinii
 ┫
 ┗━━━━━E. resinifera

ユーフォルビアの全種類を調べた訳ではありませんから、ポイソニイは入っていませんがおそらくは近縁でしょう。また、調べていないだけで、他にも近縁種があるかもしれません。
さて、一番根元にあるレシニフェラは普通の柱サボテン様の多肉ユーフォルビアで、サピニイやポイソニイには似ていませんね。もしかしたら、レシニフェラ(の祖先)からサピニイ(の祖先)が進化した時に、サピニイやポイソニイの様な形態に進化したのかもしれません。
しかし、不思議なこともあります。レシニフェラはモロッコ原産ですが、この仲間がモロッコからモーリタニアやマリに分布を拡げながら進化したとすると、モーリタニアからギニア湾を通って東アフリカに達するスダニカがレシニフェラに近縁な様にも思えます。しかし、レシニフェラに一番近縁なのは中央アフリカ原産のサピニイです。地理的にずいぶん離れています。どういうことなのでしょうか?
考えられるのは2つ。1つは、
マリにも分布するポイソニイがレシニフェラとサピニイの間を埋めている可能性です。もう1つは、レシニフェラ自体がサピニイの祖先と別れたときには、モロッコではない地域に分布しており、レシニフェラに進化した際にモロッコ原産となった場合です。この謎はすべての近縁種を調査してはじめてわかるのでしょう。今後の研究に期待。

サピニイの学名は1908年に命名されたEuphorbia sapinii De Wild.です。De Wild.はベルギーの植物学者・菌類学者の
Émile Auguste Joseph De Wildemanのことです。De Wildemanはコンゴの植物相の研究で知られています。サピニイの名前は中央アフリカで植物の収集をしていたフランスの植物学者である、Adolphe Sapinに因んで命名されました。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村





瑠璃晃は南アフリカ原産のユーフォルビアです。実際には「瑠璃晃」ではなくて、「スザンナエ」あるいは「ドラゴンボール」なんて名前で売られていたりします。瑠璃晃はトゲはなくイボが沢山ありますが、このイボは色々なタイプがあり、太さや密度、先端のとがり具合まで様々で多様性があります。
私もそんな瑠璃晃を育てていますが、鉢が窮屈になったので4月末に植え替えましたが、根が硬く長いため少し浮き上がった様な感じになってしまいました。仕方がないので、5月中頃に深い鉢に再度植え替えました。まあ、本来はこうもコロコロ植え替えないほうがいいわけで、生長に悪影響を与える可能性大です。しかし、我が家の瑠璃晃は意にも介さない風情です。強いですね。


DSC_1016
4月末。いかにも窮屈そうです。右はインターテクスツム。

DSC_1017
年の量がすごいです。

DSC_1018
実は少し浮いています。

DSC_1335
5月中頃に再度植え替え。

DSC_1620
現在の様子。

DSC_1619
強光を浴びて良い色合いになっています。

DSC_0470
そういえば、花は小さいものの結構派手に咲きます。

DSC_1621
開花後、一部の花柄が枯れないで残りましたが、何故か花柄の先端から子を吹いています。奇妙な増えかたですね。

DSC_1622
そして、再度植え替えてから1ヶ月半で鉢底から根がはみ出てきました。わざわざ縦長の鉢に植えたのに、根の生長がとても早いみたいです。

瑠璃晃と言えば、次々と子を吹いて群生するものです。しかし、我が家の瑠璃晃はほとんど子を吹かず、ほぼ単頭です。おそらくは強光と乾燥しすぎることが原因の様な気がします。しかし、面白いので子はある程度のサイズになったら外して、単頭でどこまで大きくなるか試してみるつもりです。現在、ちょうど直径6cmです。

瑠璃晃は1929年に命名されたEuphorbia susannae Marlothです。Marlothはドイツ語生まれで南アフリカで働いた
Hermann Wilhelm Rudolf Marlothのことです。海外のサイトを見ると、"suzannae"ではなくて"susannae"だから気を付けようみたいなことが書いてあったりします。海外では間違われやすいのでしょうか?



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村









レイストネリはナミビアとアンゴラのごく狭い地域に自生するユーフォルビアです。見た目からして地味なためか、基本的に売っていませんし、ネットの情報も国内だとほぼありません。海外のサイトでは多少の情報はありますが、それでもあまりないようです。
海外のサイトの情報だと、ナミビア北西とアンゴラ南西のKunene川付近に自生するとあります。もう少し詳しい情報はないかと調べていたら、1998年に出た『Euphorbia leistneri (Euphorbiaceae), a new species from the Kaokoveld (Namibia)』というレイストネリについて書かれた論文を発見しました。著者はR.H.Archerとあります。レイストネリは1998年に命名されたEuphorbia leistneri R.H.Archerですから、この論文がレイストネリが命名され世界に知られた第一報ということになります。ということで、この論文を簡単に紹介していきたいと思います。

DSC_1623
Euphorbia leistneri

DSC_1624
徐々に木質化していきます。

南アフリカのプレトリア国立植物園にある低木状ユーフォルビアであるE. leistneriは、ナミビアのKaokoveld北部のEpupa滝の近くで1976年にO.A.Leistner博士により収集されました。ただし、これはE. monteiroi(柳葉キリン)と間違われていたようです。レイストネリの名前は発見者のLeistner博士に対する献名です。

レイストネリの特徴は、まばらに枝分かれする低木です。葉は時計回りに螺旋状に10~20枚で、緑色の楕円形で25~30mm × 70~90mm。茎は細かい赤みを帯びた淡い緑色、葉の付け根に色素沈着があります。現地では12月から1月に開花し4月に種子を採取したとあります。花の特徴は分類学上では大変重要なので長々と解説してありますが、ここでは割愛させていただきます。

Kaokoveldは人里離れた山岳地帯で、116種の固有種あるいは固有種に近い植物が生えています。レイストネリはKunene川のEpupa滝の近くの狭い地域に非常に稀です。1997年の調査では200平方メートルの狭いエリアでしか見つからず、地元の住民に聞いても他では見たことがないとのことです。論文ではKunene川の両岸の更なる調査が必要としています。


現在、Kunene川では水力発電計画により自生地が消滅する可能性があり、今後地球上から野生のレイストネリが失われてしまうかもしれません。大変悲しいことですが、役に立たない植物より地元の人々の生活を優先するのは仕方のないことです。特にそれを遠く離れた便利な生活を享受している先進国の人間が批判することほど、地元の人々からしたら傲慢かつこれ程お門違いな話はないでしょう。もし、どうにかしたいのであれば、現地に行って保護活動をして、現地の人々が発電所開発で享受出来たはずの恩恵を、別の手段で代替するしかありません。まあ、そんな人はいませんから、どうにもならないでしょうね。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村




7月初めに新羽駅(横浜)近くにあるヨネヤマプランテイションで開催されたBIG多肉植物即売会で、ゴットレベイという原種花キリンを購入しました。モジャモジャと絡み付くような細長い葉と、鮮烈な赤い花で花キリンとしても非常に特徴的です。

DSC_1503
購入時。細長い葉と赤く花が特徴。

DSC_1608
植え替えましたが、ようやく新しいトゲが出てきました。雨に当てない無遮光栽培。

DSC_1228
神代植物公園の大温室のゴットレベイの大群生株。ここまで育てるのに、どれくらいの年数がかかっているのでしょうね。右側から塊根性のウリ植物Xerosicyosの蔓が伸びてきて絡み付いていますが、蔓を少しカットするか空いている方へ誘引してあげて欲しいですね。

そういえば、ゴットレベイは花キリンですから、やはりマダガスカルの原産です。野生株は園芸用に採取されておりますが、現在個体数は問題ないレベルのようです。
ゴットレベイの学名は1992年に命名されたEuphorbia gottlebei Rauhです。Rauhはドイツの生物学者、植物学者、作家のWerner Rauhです。Rauhはアナナス科と多肉植物の専門家で、アフリカや中南米へ毎年のように調査に訪れ、アナナスやマダガスカルの植物についての本を出版しています。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村





フィリプシオイデスは、最近少しずつ国内でも販売されるようになってきた、ソマリア原産のユーフォルビアです。去年の冬にあった千葉のイベントで入手しましたが、購入時はトゲが弱くあまり特徴が分からない雰囲気でしたが、最近になってようやく良いトゲが出てきました。しかし、標高1300~1500mに生えるソマリアものですから、これからの暑い季節は苦手でしょうね。

IMG_20211219_173016
2021年12月。購入時。
蕾付きでしたが、全体的にトゲは弱いみたいです。


DSC_0681
花はとても小さいので、接写はこれが限界です。

DSC_1610
2022年7月。良いトゲが出てきました。子吹きもして、これからが楽しみです。

フィリプシオイデスの学名は1992年に命名されたEuphorbia phillipsioides S.Carterです。S.Carterはイギリスのユーフォルビア、モナデニウムを専門とする植物学者のSusan Carter Holmesです。Carterは国際ユーフォルビア協会(IES)の会長です。
そういえば、フィリプシオイデスの"-oides"は「~に似た、~の様な、~状の」という意味です。これは、「phillipsi + oides」、つまりEuphorbia phillipsiae(=Euphorbia golisana)に似ているという意味となります。フィリプシオイデスもフィリプシアエも同じソマリア原産で分布も同じです。フィリプシアエは1903年の命名ですが、どうやらフィリプシオイデスと混同され勝ちだったようです。それから89年後にようやく区別されました。

DSC_0433
Euphorbia phillipsiae
フィリプシアエのトゲは赤く、トゲが白いフィリプシオイデスとは異なります。しかし、トゲの形や生えかたは同じです。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村




以前、池袋の鶴仙園に行った降り、サボテンハウス(?)の端の方にミニ多肉があり、良く見るとユーフォルビアでした。中にEuphorbia richardsiaeがあり、これははじめて見ました。さらに"オンコクラーダ"なるユーフォルビアもあり、悩みつつも購入しました。
さて、かつてユーフォルビア属の分類を調べた事があり、こういう棒状のユーフォルビアは結構種類があり、どれも良く似ていることが分かりました。ですから、見分けがつかないのにコレクションするのもどうかという思いがあり、手を出してきませんでした。しかし、実際に育てて見ないとわからない部分もあると思い直して、購入に至りました。


DSC_1410
調べて見ると、ユーフォルビア・アルアウディイの亜種オンコクラダであることが分かりました。しかし、基本種のアルアウディイと亜種オンコクラダの違いは何かというといまいち分かりません。オンコクラダは枝が節毎に膨れるので、そこが違いなのでしょうか?
私の入手した株も良く日に当てて育てれば膨れるのでしょうか? まだ分かりません。

そういえば、オンコクラダはマダガスカル原産みたいです。ここで一つ思い付いたのは、このように棒状の形態に特殊化した多肉ユーフォルビアはマダガスカル島の固有なのではないかということです。例えば、花キリンの仲間、つまりユーフォルビア亜属ゴニオステマ節は基本的にマダガスカル原産の固有種です。オンコクラダの形態は類似種含めて、マダガスカル島で特殊化したものなのでしょうか。調べてみました。

ユーフォルビア属の分類の記事はこちら。

オンコクラダはユーフォルビア亜属デウテロカリィ節です。デウテロカリィ節はアルアウディイ、アルアウディイ亜種オンコクラダ、ケドロルム(E. cedrorum)があります。ケドロルムもマダガスカルの固有種です。なるほど、まさにマダガスカルで特殊化した様に見えます。しかし、棒状ユーフォルビアはデウテロカリィ節だけではありません。有名種はユーフォルビア亜属ティルカリ節に含まれます。

ティルカリ節と言えば、緑珊瑚=ミルクブッシュ(E. tirucalii)や形は異なりますが近縁のトナカイ角=銀角珊瑚(E. stenoclada)、硬葉キリン=ヘラサンゴ(E. xylophylloides)が有名です。ミルクブッシュは東アフリカ原産とも言われますが、生け垣などとして各地で植えられたため、世界中で野生化しており、必ずしも東アフリカ原産とは言えないようです。原産地不明とする方が良いでしょう。ヘラサンゴ、トナカイ角はマダガスカル原産です。他のティルカリ節であるE. analalavensis、E. arahaka、E. kamponii、E. enterophora、E. fiherensisはやはりマダガスカル原産です。しかし、E. gregariaは南アフリカ・ナミビア原産、ヘラサンゴに似たE. enterophoraはソコトラ島原産で、マダガスカル原産ではありません。各地で棒状に進化した可能性もありますが、マダガスカルで棒状に進化した後、各地に広がったとする方が自然です。もちろん、アフリカ大陸で棒状ユーフォルビアが誕生して、マダガスカル島に伝播して急激に種分化した可能性も存在します。

さて、外見が似ているからと言って近縁であるとは、必ずしも言えません。しかし、ともにほとんどがマダガスカル固有種であることから、デウテロカリィ節とティルカリ節は近縁である可能性は大でしょう。そういえば、ユーフォルビア亜属ブラジリエンセ節には夜光キリン(E. phosphorea)という棒状ユーフォルビアがあり、節の名前の如くブラジル原産です。さらに、ブラジリエンセ節には夜光キリンの他にも、E. attastomaやE. sipolisiiがありやはりブラジル原産です。しかし、外見上はデウテロカリィ節やティルカリ節とは、やや雰囲気が異なります。近縁関係は不明ですが、南米で特殊化したユーフォルビアかもしれません。


DSC_1558
DSC_1559
生長を開始して先端が枝分かれしました。

アルアウディイのとオンコクラダの学名は1903年に命名されたEuphorbia alluaudii DrakeEuphorbia oncoclada Drakeとされました。しかし、オンコクラダは1976年にアルアウディイの亜種Euphorbia alluaudii subsp. oncoclada (Drake) F.Friedmann & Cremersとなりました。

そういえば、ミルクブッシュを緑珊瑚という風に、この手の棒状のユーフォルビアを◯◯珊瑚と呼んだりします。私は勝手に珊瑚系ユーフォルビアなんて呼んでいます。オンコクラダは私が入手したはじめての珊瑚系ユーフォルビアです。これからどう育つのか楽しみです。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと、嬉しく思います。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村




最近、ホームセンターなどで"インコンスタンチア"という多肉ユーフォルビアを売っていたりします。私もホームセンターで入手しました。外見上は紅彩閣とか勇猛閣に良く似ています。ネット上でも、あまり情報はないようです。
そんな折り、2012
年に発表された『Normenclature and typification of southern African species of Euphorbia Bothalia』という論文を読んでいたところ、蒼蛮閣が自然交雑種であるとあり、前にその事を記事にしました。そして、この論文にはインコンスタンチアについても記述がありましたので、ついでに記事にしてみました。

蒼蛮閣についての記事はこちら。

DSC_1602
インコンスタンチア
学名は一般的にEuphorbia inconstantiaとされています。論文によると、インコンスタンチアは紅彩閣とポリゴナの交雑種とされています。この論文を承けて『The World Checklist of Vascular Plants』において、インコンスタンチアの学名はEuphorbia ×inconstantiaとされるようです。自生地で自然におきた属内交雑種ですね。
さて、ではその交雑親を見てみましょう。


DSC_0716
紅彩閣 Euphorbia heptagona
紅彩閣の学名はヘプタゴナです。しかし、紅彩閣はE. enoplaとされることが多く、一般的にエノプラという名前で売られています。
エノプラの命名は1860年ですが、ヘプタゴナの命名は1753年です。命名は早い方が優先ですから、ヘプタゴナが正式な学名となり、エノプラは異名(シノニム)です。
ちなみに、紅キリンE. aggregataがエノプラの名前で売られることがあったみたいですが、あまり似ていません。

DSC_1528
紅キリン Euphorbia aggregata
紅キリンは関係ありません。

DSC_1529
ポリゴナ Euphorbia polygona
ホリダE. polygona var. horridaはよく売っていますが、ポリゴナはあまり見ませんね。現在ではホリダはポリゴナの変種とされています。
私のポリゴナは生長点が傷付いたため生長が止まりましたが、その代わりにやたらと仔吹きしています。

そう言われて見れば、インコンスタンチアのトゲは、形は紅彩閣ですが、ホリダのトゲの様に節くれだっています。自然交雑種というのも、割りと納得かもしれませんね。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しいことになると思われます。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村





先日、なにやら"クラビコーラ"なる名札が付いたユーフォルビアを入手しました。どうやら、"クラビコーラ"ではなく、クリビコラ(Euphorbia clivicola)が正しい名前のようです。原産地は南アフリカのKuwZulu-Natal、Northen Provinces、スワジランドの限られた地域だそうです。
DSC_1504
Euphorbia clivicola
入手時の写真ですが、園芸店で手に取った時に大きさの割りに安いなあとまず思いました。しかし
、少し調べると生長は遅いみたいですね。このサイズでも結構育てるのに結構時間がかかっていそうです。
帰宅してからまじまじと眺めると、のっぺりとしていて妙にメリハリがないというか、何だか雑な雰囲気でしたね。
どうやら、地下の大きい塊根から無数の枝を伸ばすタイプのようです。ネット検索で出てくる海外の株は、生育して沢山の枝が密集して広がり、まるで巨大なタコものユーフォルビアのようです。ちゃんと育てれば素晴らしいユーフォルビアになる可能性を秘めた種類のようです。

DSC_1564

DSC_1565
地下がどうなっているのか気になって、植え替えがてら見てみることにしました。すると、根はかなり太く強い感じでした。まあ、根の量が多いので鉢はギチギチでした。
DSC_1566
植え替え後。右に置いた元の鉢がえらく小さく見えますね。根が太るタイプなので大きめの鉢に植えました。

クリビコラの学名は1951年に命名されたEuphorbia clivicola R.A.Dyerです。R.A.Dyerはイギリスの植物学者のTurner Thiselton Dyerのことです。Dyerは進化論で知られるチャールズ・ダーウィンと、植物分類で著名なジョージ・ベンサムの推薦でイギリス王立協会のフェローに選ばれたそうです。

最後に大変残念な情報です。
クリビコラの原産地の保全状況は非常に悪化しており、南アフリカでは絶滅危惧種に指定されています。1986年にパーシーファイフ自然保護区に1500個体ありましたが、1996年には165個体、2005年には58個体、最近の調査ではたったの10個体しか発見出来ませんでした。クリビコラはポロクワネ郊外の都市部にも自生しており、1986年には都市部に3000個体ありましたが、2005年には651個体だそうです。
自然保護区のクリビコラはアンテロープ(レイヨウ)の踏みつけや害虫、火災により減少しています。都市部のクリビコラは廃棄物の投棄やネズミの害によるものとされています。
クリビコラは多肉ユーフォルビアには珍しく雄株・雌株に分かれていない両性花だそうです。この場合、一株で種子が採れますから、生育が遅いとは言うものの繁殖は難しくないでしょう。ですから、増やすのは簡単ですから栽培品はいくらでも増やせます。しかし、栽培品と自生株は異なります。自生株は産地ごとに外見的ないし遺伝的な特徴が大なり小なり違いがあります。しかし、栽培品は産地を無視して育生されがちですから、栽培品を自然に還すことはよほど慎重でなければなりません。例えば、研究機関の栽培室で産地情報が正式に記載された系統が維持されているならば野生に還すこともできるかもしれませんが。
それと、意外にも原産地からの輸入株であっても、由来が確実とは言えないようです。自生地のナーセリーでは、園内に来る蜂などによって野生株(別種を含む)との交雑がおきているそうです。ましてや我々栽培家の育生株は、その多くは様々な産地由来の個体が交配されてきて、しかも園芸的価値が高い個体が選抜されてできたものです。野生株とはまったくの別ものでしょう。
クリビコラは野生株の園芸上の価値が高いわけではありません。ですから、盗掘による被害はないのでしょう。しかし、逆に価値がない植物は、悲しいかな中々保護対象にはなりません。自然保護区にあっても、保護活動の対象でなければ元通りにはなりません。保護活動には人も金もかかりますから、簡単には出来ません。例えば、クジラの保護活動なら億単位の寄付金が集まりますが、役に立たない地味なクリビコラの保護活動に寄付金を出す人はいませんからね。ゴリラの保護活動ですら資金が集まらず、ゴリラの研究者が観光客向けのゴリラ観察ツアーを開催して、そのお金でレンジャーを雇って保護活動しているくらいです。地味な植物となればなおのこと、その程度の資金さえ集められないでしょう。本当に難しい問題です。



ブログランキング参加中です。
クリックして頂けますと嬉うございます。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村





去る昨年の12月、"クラビラマ"なる名札の付いたユーフォルビアについて記事にしました。この時の記事は単純に育ってきたぞ、というだけの内容でしたが、その後わかったことがありましたから記事にしました。


事の経緯は、2020年の2月にふらふらと多肉植物に引き寄せられて、ガーデンセンター横浜に遊びにいった時の事です。何やら見慣れない多肉植物があったので購入しましたが、上述の如く"クラビラマ"という名前のユーフォルビアでした。
調べると、これはEuphorbia curviramaであり、"蒼蛮閣"なる名前もあることがわかりました。まあ、その時は、"クラビラマ"というよりは、"クルビラマ"だよなぁなんて思ったりしましたが。

DSC_1548
蒼蛮閣 

しかし、2012年に発表された『Normenclature and typification of southern African species of Euphorbia Bothalia』という論文を見ていたら、中々面白いことが書いてありました。何でも、クルビラマは属内交雑種と考えられているとあります。これは、誰かが交配してできた園芸品種ではなくて、原産地で自然と交雑が起きているということのようです。交雑の親は、Euphorbia caerulescensEuphorbia triangularisとされています。これを根拠として、『The World Checklist of Vascular Plants』は、クルビラマの学名をEuphorbia ×curvirama R.A.Dyerとしています。「×」は交配を示す記号です。

いやはや、知らないことばかりで困ってしまいますね。いや、私が無知なだけかもしれませんが、探すと新しい論文が沢山出ていて目が滑ります。これからも、ちまちま情報を集めて記事にしていきたいと考えております。




ブログランキング参加中です。
皆様の清き1クリックが、ブログを書く原動力となります。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村




去年の冬のTOCビッグバザールで購入した"闘牛角"を紹介します。南アフリカ原産のユーフォルビアで、枯れた枝が残り荒々しい風貌となります。野生株のその堂々とした姿は、まさに多肉ユーフォルビアの王様にふさわしい姿と言えます。
分類はトウダイグサ(ユーフォルビア)科トウダイグサ(ユーフォルビア)属リザンチウム亜属アンタカンタ節ですが、いわゆるタコものとかメデュソイドとか呼ばれる奴です。

DSC_1470
闘牛角

タコものユーフォルビアは一般的にやや遮光気味に育てた方が綺麗に仕上がります。あまり日照が強いと枝があまり伸びず、枝の寿命が短いことから枝の数も少なくなり何となくみすぼらしい見た目になり勝ちです。
しかし、闘牛角は枯れた枝が残り、トゲの様に見えるところが最大のポイントです。あまり枝が伸びると、枝が枯れた時にトゲに見えず荒々しい風貌を再現出来ません。枝が短いと鋭い尖った形となり、美しい闘牛角となります。
DSC_0593
購入時。細い枝がひょろひょろ伸びています。これでは、いいトゲになりません。

そういえば購入時、カイガラムシが付いていました。ミリ単位のサイズのなんかかさぶたみたいな奴です。特に殺虫剤は使わず、つまようじで毎週ちまちま除去しました。これがマミラリアとか本体に手が出せないタイプのサボテンだったらそんなことは出来ないでしょうけれど、大抵のユーフォルビアは形的に物理攻撃が有効だったりします。すぐにいなくなりました。簡単簡単。

闘牛角は多肉ユーフォルビアには珍しい冬型ということですから、耐寒性はまあまああるのかもしれませんが、多肉ユーフォルビアの定めとして冬の完全屋外栽培は難しいでしょう。逆に暑さには弱く真夏は水を切りたくなりますが、ユーフォルビアは完全断水すると根が弱るのである程度は水やりは必要です。

さて、闘牛角の学名は1904年(1904 Publ. 1905)に命名された、Euphorbia schoenlandii Paxです。Paxはドイツの植物学者であるFerdinand Albin Paxのことです。
そういえば、闘牛角には歓喜天というそっくりさんがいて、亜種あるいは変種と考える場合もあるそうですが、現在では別種とされています。歓喜天は枯れた枝が残らないなどの違いがあります。ちなみに、歓喜天の学名は1800年に命名されたEuphorbia fasciculata Thunb.ですが、実は闘牛角より100年以上も命名が早い大先輩だったりします。




ブログランキング参加中です。
クリックしてたもれ。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村





峨眉山は交配で生まれたとされている多肉ユーフォルビアです。一応、鉄甲丸 × 瑠璃晃と言われていますね。本当かなぁ?

DSC_0010
2020年1月、購入時。
"Euphorbia gabisan"というラベルはちょっと面白いですね。いや、それは学名ではなくて園芸名です。どちらかと言えば、普通に漢字で「峨眉山」と書いてくれた方がわかりやすい気もします。

DSC_0610
2021年12月、植え替えて室内へ。
だいぶ大きくなりました。2020年の春に一度植え替えたのですが、今年の11月に部屋に取り込む際に一回り大きい鉢に植え替えました。鉢からえらいはみ出たので、植え替えの時期ではないのに仕方なく…。
まあ、峨眉山は丈夫なので大丈夫でしょう。

DSC_1447
2022年6月。
もう鉢からはみ出してます。これは始末に終えない。これって無限に拡大していくパターンかな? そうしたら植え替えするほど元気になって、拡がるんじゃないかということに気がつきました。正直、スペースの問題もありますから、仔をある程度は整理して形を保つのも1つの手でしょう。
峨眉山は丈夫だから問題ないかもしれませんが、増えすぎた仔が鉢に蓋をする形になってしまい、根本が蒸れやすくなり腐る可能性も出てきます。昔、群生するタイプのマミラリアでかなりの大群生株に育てていて調子に乗っていたら、実際にこれをやらかしたことがあります。
そういえば仔は全部外し、中心の親株だけの単頭で大きくしようとしているブログを過去に見たことがあります。本来は群生するのが
峨眉山の特徴というか見所ですが、見せ所を自分で開拓するやり方は思いの外面白く感じました。見習って1つ仔を外して単頭栽培してみてもいいかもしれません。

そう言えば、私がよく見るLLIFLEという海外のサイトでは、峨眉山はEuphorbia cv.Cocklebur、あるいはEuphorbia ×japonicaと言われているようです。日本で作られた品種であることは海外でも知られているようで、日本が誇る代表的なユーフォルビア品種と言えます。
通称はCocklebur(オナモミ)、Pineapple(パイナップル)だそうです。まあ、わからないでもない感じがします。


DSC_0198
峨眉山の親疑惑① 鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia

DSC_0470
峨眉山の親疑惑② 瑠璃晃 Euphorbia susannae

一応、峨眉山は鉄甲丸と瑠璃晃の交配種と言われていますが、実際のところはわかりません。それが別に間違っているのと主張しているわけではなく、確かめる手段がないだけです。遺伝子を調べればわかりますが、ただの一園品種(しかもユーフォルビア)を調べてくれる研究者はいないでしょうから。
現在、入手できる峨眉山は仔をおろして増やされたものでしょう。その場合、ソメイヨシノが上野公園の1本の桜の枝を継ぎ木して増やしたように、流通している峨眉山はクローンかもしれません。なぜ、クローンで増やすかというと、交配するごとに微妙に遺伝子の混ざり具合が変わりますから、外見も1個体ごとに違いが出るからです。実際、見かける峨眉山はみな見た目は均一です。まあ、峨眉山の場合は実生しなくても簡単に増やせるから、という理由がクローンがメインである原因なのでしょう。例えば、パキポディウムの恵比寿大黒なんかは枝を挿し木というわけにもいきませんから実生するわけですが、個体ごとの多様性は大ですよね。まあ、パキポディウムは交配しなくても実生は見た目的にかなり差があるみたいですけどね。



ブログランキングに参加中です。
下のバナーをクリックしついただけますと、ブログ作成の励みになります。皆様、よろしくお願い申し上げます。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村








アノプリア(Euphorbia anoplia)は、緑のジグザグ模様が特徴的なユーフォルビアです。
しかし、アノプリアは謎の多い植物でもあります。


DSC_0500
アノプリア

一般的には、Euphorbia anopliaと言われておりますが、Gbifで学名検索してみるとポリゴナの変種とあります。実はホリダがポリゴナの変種であるという論文が2014年に出て、多くの趣味家を驚かせました。しかし、私はポリゴナとホリダが同じ寄生植物に寄生されるなど共通点が多いので、それほどの驚きはありませんでした。
現在のポリゴナ系のアクセプトされた学名は11変種あります。しかし、残念ながら流通している様々なタイプのポリゴナやホリダの園芸品種が、どの変種にあたるのかはよくわかりません。あるいは、流通している品種はポリゴナやホリダの選抜品種あるいは交配系なのかもしれません。

DSC_1467
すごい勢いで仔吹きします。

ポリゴナの学名は1803年に命名されたEuphorbia polygona Haw.です。1860年にはホリダが命名されEuphorbia horrida Boiss.とされましたが、2014年にEuphorbia polygona var. horrida (Boiss.) D.H.Schnabelとなりました。同様にアノプリアは1923年にEuphorbia anoplia Stapfと命名されましたが、2013年にEuphorbia polygona var. anoplia (Stapf) D.H.Schnabelとされました。


アノプリアはポリゴナの兄弟みたいなものですね。と言うよりも、どちらかと言えばホリダに似ている気がします。
海外ではジグザグ模様からか、ジッパープラントなんて呼ばれているようです。南アフリカ原産と書かれていたり、タンザニア・ジッパープラントという名前からタンザニア原産だとか言われたりしております。
ただし、調べても栽培品しかないようで、自生地の写真はまったくありませんでした。

DSC_1464
仔を外して植え付けましたが、高さ2cmくらいで花が咲き仔を吹きます。すでに成熟しているということなのでしょうか。

アノプリアの形態をよくよく観察してみます。ホリダと比較して、全体に小型でトゲもほとんどなく、白粉もありません。これは、栽培品の中から出現した突然変異の矮性品種なのではないかということです。
学術標本も、野生株の標本もない様子です。現時点においては、ポリゴナ系(というよりホリダ)の品種なのだろうと私は考えております。


ホリダについての記事はこちら。


ブログランキングに参加中です。
1クリックが力となります。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村






先日、五反田TOCで開催された夏のサボテン・多肉植物のビッグバザール前に、うっかり鶴仙園で散財したわけですが、はじめてみたユーフォルビアを入手しました。その名も"E. リカルドシアエ"というマラウイ原産のユーフォルビアです。

DSC_1482
Euphorbia richardsiae

多肉ユーフォルビアは南アフリカからエチオピアまでのインド洋側に多いように見受けられます。花キリンはマダガスカル島原産ですが、多くの多肉ユーフォルビアは南アフリカ原産です。さらに、南アフリカ周辺の、モザンビーク、スワジランド、レソトあたりもまああります。
マラウイはモザンビーク、タンザニア、ザンビアに囲まれた内陸国家ですが、やはりインド洋側です。しかし、やはりマラウイはユーフォルビア原産国としては珍しい方です。

しかし、国内外含めてリカルドシアエはあまり情報がありません。あまり、育てている人がいないのかもしれませんね。まあ、レアというわけではないけれど、特に人気がありわけではないから売れないので生産者も作らないという、多肉ユーフォルビアにはよくあるパターンなのでしょう。ですから、レアでもないのにあまり手に入らないというこの手のユーフォルビアは、普及種以外の宿命として今後の一期一会を期待するしかありませんね。


リカルドシアエの学名は1977年に命名されたEuphorbia richardsiae L.C.Leachです。L.C.Leachはローデシアの植物分類学者のLeslie Charles "Larry" Leachのことです。



ブログランキング参加中。
よろしゅうな。
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村







バイオエンシス(Euphorbia baioensis)は、ある意味ではホリダなどよりサボテン感が強いユーフォルビアです。サボテンの金紐の仲間にも見えますが、ケニアに自生するユーフォルビアです。
バイオエンシスという名前ですが、流行りのバイオテクノロジーではなくて、バイオエンシスが初めて発見されたケニアのベイオ山(Mount Baio)から来ているようです。


DSC_0072
痩せた悲しい姿。
2020年2月に購入しましたが、ホームセンターで日を浴びることが出来ずに、随分と貧相になっていました。哀れに思い購入しましたが、根腐れはしていない様なので、植え替えて遮光せずに育ててきました。


DSC_0434
2020年11月、復活!
バイオエンシスは非常に丈夫ですので、上の9ヶ月後の写真を見ていただけるとわかりますが、簡単に復活しました。地面から仔も吹いてきましたので、上部はカットの後に挿し木して、姿を整えても良いかもしれません。

DSC_1481
2022年6月。仔が沢山吹いてきましたから、窮屈なので植え替えました。小さい鉢に植えていましたから、根詰まり気味で明らかに生長が鈍っていました。

バイオエンシスを簡単に調べてみると、あまり情報はありませんが、海外のサイトではUSDAゾーンが10b~11bとありました。10bで1.7~4.4℃ですから、耐霜性はないようですね。冬は室内栽培が無難です。
※USDAゾーンはアメリカで作物が育つ気温を示した温度マップです。非常に便利なので、観葉植物などの育成にも利用されています。


バイオエンシスの学名は1982年に命名された、Euphorbia baioensis S.Carterです。S.Carterはユーフォルビアとモナデニウムの専門家であるSusan Carter Holmesのことです。なんでも、国際ユーフォルビア協会(IES)の会長なんだそうです。



ブログランキング参加中です。
バナーをクリックしてね!
にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村











このページのトップヘ