我がブログでは、多肉植物の2010年以降の新種を列挙した記事を毎年記事にしております。もちろん、全ての多肉植物を取り扱えるわけではなく、基本的に種数が多い、サボテンやアガヴェなどのグループを記事にしています。ベンケイソウ科の中ではエケベリアとセダムの新種についてそれぞれ記事にしていますが、ベンケイソウ科には他にもカランコエやアエオニウムなどポピュラーなグループもあります。ということで、エケベリアとセダム以外のベンケイソウ科植物の新種について記事にしてみました。


内容に入る前にベンケイソウ科の分類についてまとめておきます。とは言え、これは大まかな目安みたいなものです。ベンケイソウ科の分類は係争中の案件のため、未だ定説はなくこれからも変わる可能性が高い分類群です。
①クラッスラ亜科
 1, クラッスラ連
  →Crassula(218種)、Tillaea(→Crassula)
②カランコエ亜科
 1, カランコエ連
  →Adromiscus(29種)、Kalanchoe(177種)、
   Tylecodon(50種)、Cotyledon(19種)
③センペルビブム亜科
 1, テレフィウム連
  →Hylotelephium(28種)、Kungia(2種)、
   Meterostachys(1種)、Orostachys(12種)、
   Sinocrassula(17種)、
 2, ウンビリクス連
  →Umbilicus(16種)、Chiastophyllum(1種)、
   Pseudosedum(14種)、Rhodiola(75種)、
   Phedimus(19種)
 3, センペルビブム連
  →Petrosedum(13種)、Sempervivum(51種)、
   Jovibarba(→Sempervivum)
 4, アエオニウム連
  →Aeonium(38種)、Aichryson(16種)、
   Monanthes(18種)、Hypagophytum(1種)、
   Perriersedum(1種)、Greenova(→Aeonium)
 5, マンネングサ連(セダム連)
  →Sedum(488種)、Rosularia(23種)、
   Prometheum(3種)、Sedella(→Sedum)、
   Dudleya(51種)、Lenophyllum (7種)、
   Villadia(29種)、Echeveria(206 種)、
   Graptopetalum(16種)、Pachyphytum(25種)、
   Thompsonella(8種)、Pistorinia(4種)、
   Cremnophila(3種)、Chaloupkaea(8種)、
   Chazaroa(3種)、Jeronimoa(1種)、
   Quetzalcoatlia(6種)、Afrovivella(1種)


2010年
★中国四川省西部より、新種であるRhodiola wenchuanensisが記載されました。


2011年
★南アフリカの北ケープ州の砂岩の断崖から、新種であるCrassula fragarioidesが記載されました。白い花の背側にある付属品物や赤紫色の葉にある半透明で球状の毛状突起により、C. clavataやC. namaquensis subsp. comptonii、C. elegansと区別されます。
https://inaturalist.nz/taxa/582917-Crassula-fragarioides


2012年
★バハ・カリフォルニアより新種であるDudleya crassifoliaが記載されました。
https://inaturalist.lu/taxa/926017-Dudleya-crassifolia


2013年
★スペインのカナリア諸島のラ・パルマ島より、新種であるMonanthes subrosulataが記載されました。
https://ecuador.inaturalist.org/taxa/1199359-Monanthes-subrosulata


2014年
★ベトナム北部より新種であるSinocrassula vietnamiensisが記載されました。


2015年
★南アフリカより新種であるCotyledon luteaが説明されましたが、この名前はUmbilicus luteusの旧名であることから認められませんでした。また、Crassula ovataの異名でもあります。→Cotyledon adscendens(2016)、Cotyledon xanthantha(2017)参照。
★南アフリカより新種であるCotyledon gloeophyllaが記載されました。
★青海チベット高原より、新種であるRhodiola daochengensisRhodiola tricarpaが記載されました。
★アゾレス諸島のサンタマリア島より、新種であるAichryson santamariensisが記載されました。
https://inaturalist.nz/taxa/976072-Aichryson-santamariensis
★メキシコのJulisco州より、新種であるVilladia ramireziiが記載されました。
★トルコより新種であるRosularia giganteaRosularia bonorum-hominumが記載されました。しかし、2016年にRosulariaから新属Chaloupkaeaが分離され、Chaloupkaea pisidicaChaloupkaea bonorum-hominumとされました。



2016年
★2015年にCotyledon luteaとして説明されたものの、名前が既に使用されていたため使用出来ない非合法名であったことから、新たにCotyledon adscendensとして再度説明されました。しかし、C. adscendensは1949年に既に別種に記載された名前であり、再び非合法名となり認められませんでした。→Cotyledon lutea(2015)、Cotyledon xanthantha(2017)参照。
★南アフリカのナマクワランド北部より、新種であるTylecodon florentiiが記載されました。赤みがかる砂岩の崖の上部に固有です。
https://www.inaturalist.org/taxa/595838-Tylecodon-florentii
★インド北西部より、新種であるRhodiola sedoidesが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/991837-Rhodiola-sedoides
★バハ・カリフォルニアより新種であるDudleya hendrixiiが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/926018-Dudleya-hendrixii
★新属ChaloupkaeaがRosulariaから分離され、Chaloupkaea pisidicaChaloupkaea bonorum-hominumとされました。


2017年
★南アフリカの石英質砂岩土壌からなるサバンナより、新種であるKalanchoe waterbergensisが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/588238-Kalanchoe-waterbergensis
★2015年にCotyledon lutea、2016年にCotyledon adscendensと命名されるも非合法名として却下されたCotyledonは、新種であるCotyledon xanthanthaとして記載されました。
https://ecuador.inaturalist.org/taxa/582859-Cotyledon-xanthantha
★南アフリカより新種であるCotyledon eggliiが記載されました。サバンナの急峻な崖や岩場に生え、蛇紋岩質土壌に生える独特の多肉質の低木です。C. orbiculata var. oblongaと似ていますが、楔形の葉を持ち腺毛がまばらに生え、花冠が水平に広がるなど異なる特徴があります。
https://www.inaturalist.org/taxa/582854-Cotyledon-egglii
★南アフリカより新種であるTylecodon celatusが記載されました。隠蔽性の矮性落葉植物で、黄緑色の花を咲かせます。砂岩室に生育します。T. suffultusやT. similisと近縁です。
https://uk.inaturalist.org/taxa/595833-Tylecodon-celatus
★グラン・カナリア島より、新種であるAichryson roseumが記載されました。


2018年
★メキシコのQueretaro州北西部より、新種であるPachyphytum rogeliocardenasiiが記載されました。石灰岩の岸壁で発見されました。形態的にP. garciaeと似ています。
https://www.inaturalist.org/taxa/746131-Pachyphytum-rogeliocardenasii
★メキシコのGuanajuato州より、新種であるPachyphytum confusumが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1121868-Pachyphytum-confusum


2019年
★南アフリカより新種であるCotyledon tanquanaが記載されました。C. orbiculata var. orbiculataと似ていますが、楔状の腺毛がある鈍緑色の葉と、短い鈍赤色の花は花冠筒部が水平に広がるなどの違いがあります。
https://pza.sanbi.org/cotyledon-tanquana
★メキシコのGuanajuato州、サンタ・バルバラ山脈より、新種であるPachyphytum viscidumが記載されました。茎と葉に粘着性があり、葉が濃い緑色で全身に蝋がない、花は淡いピンク色です。P. brevifoliumやP. hookeriと近縁である可能性があります。
https://www.inaturalist.org/taxa/1073991-Pachyphytum-viscidum


2020年
★中国広東省より、新種であるPhedimus yangshanicusが記載されました。石灰岩の岩盤または丘陵に生育します。
https://inaturalist.lu/taxa/1373318-Phedimus-yangshanicus
★メキシコのSinaloa州より、新種であるGraptopetalum sinaloensisが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/965178-Graptopetalum-sinaloensis
★メキシコのNuevo Leon 州より、新種であるPachyphytum huastecanumが記載されました。形態学的にはP. hookeriに近縁ですが、より短い茎が異なります。


2021年
★南アフリカのクワズールー・ナタール州より、新種であるCrassula stylesiiが記載されました
https://www.biodiversity4all.org/taxa/1618199-Crassula-stylesii
★マダガスカル北東部より、新種であるKalanchoe darainensisが記載されました。
★マダガスカル南部ナモロナ渓谷より、新種であるKalanchoe torrejacqiiが記載されました。
★南アフリカより新種であるKalanchoe benbothaeが記載されました。
★メキシコのJulisco州より、新種であるGraptopetalum rosanevadoensisが記載されました。しかし、2023年に新属Quetzalcoatliaとして分離され、Quetzalcoatlia rosanevadoensisとされました。



2022年
★マダガスカル北部の中高度湿潤常緑林より、新種であるKalanchoe apiifoliaが記載されました。
★インドのケララ州西ガーツ山脈南部のマティケッタン・ショラ国立公園より、新種であるKalanchoe  dineshiiが記載されました。形態的にはK. bhideiに類似しますが、高さ30〜40cmと小型であることや、葉の茎への付着具合や萼片の形状から区別されます。
https://www.inaturalist.org/taxa/431182-Kalanchoe-dinklagei
★南アフリカより新種であるKalanchoe gideonsmithiiが記載されました。K. rotundifoliaやK. decumbensと近縁ですが、花を含むほとんどの部位が青紫色を帯びる点で区別されます。
★中国より新種であるSinocrassula jiaozishanensisが記載されました。
★青海チベット高原より、新種であるRhodiola yushuensisが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/991826-Rhodiola-yunnanensis
★青海チベット高原より、新種であるRhodiola wangiiRhodiola namlingensisが記載されました。
★韓国より新種であるPhedimus daeamensisが記載されました。
★メキシコのMichoacanより、新種であるGraptopetalum kristeniiが記載されました。しかし、2023年に新属Quetzalcoatliaとして分離され、Quetzalcoatlia kristeniiとされました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1496057-Quetzalcoatlia-kristenii
★メキシコ西部より、新種であるGraptopetalum trujilloiが記載されました。しかし、2023年に新属Quetzalcoatliaとして分離され、Quetzalcoatlia trujilloiとされました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1496063-Quetzalcoatlia-trujilloi
★2013年に記載されたメキシコ原産のEcheveria yalmanantlanensisが、新属Chazaroaとして分離され、Chazaroa yalmanantlanensisとされました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1494949-Chazaroa-yalmanantlanensis


2023年
★南アフリカ原産のCrassula expansaの新しい亜種である、Crassula expansa subsp. stellataが記載されました。
★南アフリカより新種であるKalanchoe deliaeが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1543400-Kalanchoe-deliae
★南アフリカのクワズール・ナタール州より、新種であるCotyledon mckayiが記載されました。花がC. nielsiiに似ています。
★メキシコのバハ・カリフォルニア州セドロス島より、新種であるDudleya delgadilloiDudleya cochimianaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1472009-Dudleya-josedelgadilloi

https://www.inaturalist.org/taxa/1445983-Dudleya-cochimiana/browse_photos

★バハ・カリフォルニアより新種であるDudleya josedelgadilloiDudleya reidmoranii subsp. reidmoraniiDudleya reidmoranii subsp. cascadaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1472009-Dudleya-josedelgadilloi

https://www.inaturalist.org/taxa/1472010-Dudleya-reidmoranii-cascada


★メキシコのOaxaca州より、新種であるGraptopetalum irmasoniaeが記載されました。
★Graptopetalum属より新属であるQuetzalcoatlia属が分離されました。Quetzalcoatlia grassiiQuetzalcoatlia kirsteniiQuetzalcoatlia pentandraQuetzalcoatlia rosanevadoensisQuetzalcoatlia superbaQuetzalcoatlia trujilloiが記載されました
https://www.inaturalist.org/taxa/1496056-Quetzalcoatlia-glassii?ch=1

https://www.inaturalist.org/taxa/1496057-Quetzalcoatlia-kristenii?ch=1

https://www.inaturalist.org/taxa/1496059-Quetzalcoatlia-pentandra?ch=1

https://www.inaturalist.org/taxa/1496062-Quetzalcoatlia-superba?ch=1

https://www.inaturalist.org/taxa/1496063-Quetzalcoatlia-trujilloi?ch=1


★メキシコのDurango州より新種であるPachyphytum odamが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1516898-Pachyphytum-odam


2024年
★南アフリカの南ケープ州から、新種であるCrassula inopinaが説明されました。まだ、正式に記載されておりません。
★南アフリカより新種であるKalanchoe steyniaeが記載されました。
★中国の四川省から、新種であるSinocrassula ganluoensisが記載されました。



2025年
★南アフリカのドラケンスバーグ北部、ムプマランガの断崖から、新種とされるCrassula turpiniaeが説明されました。まだ、正式に記載されておりません。
★マダガスカル西部のTsingy de Bemaraha国立公園より、新種であるKalanchoe luteolaKalanchoe manambolensisが説明されました。まだ、正式に記載されておりません。
★中国の四川省から、新種であるSinocrassula obliquifoliaが説明されました。まだ、正式に記載されておりません。
★中国の四川省から、新種であるSinocrassula holotrichaが説明されました。まだ、正式に記載されておりません。
★中国より新種であるSinocrassula adpressaが説明されました。まだ、正式に記載されておりません。

★南フランスより新種であるSempervivum druentianumが説明されました。まだ、正式に記載されておりません。
★メキシコのGuanajuato州より、新種であるPachyphytum meyraniiが説明されました。萼片より大キナ黄色の花弁を持ちます。完全な黄色の花弁は、パキフィツムで初めてとなります。まだ、正式に記載されておりません。
★メキシコのGuanajuato州より、新種であるPachyphytum angustiflorumが説明されました。まだ、正式に記載されておりません。



以上がエケベリアとセダム以外のベンケイソウ科植物の新種です。傾向としては、種数の多いクラッスラ(218種)やカランコエ(177種)だけではなく、シノクラッスラ(17種)やグラプトペタルム(16種)、パキフィツム(25種)などの少数属でも新種が次々と発見されていることです。このように、新種は次々と発見されていますし、これからも新種は発見されていくでしょう。2025年に限っても、私の調べた限りだけでも8種類、エケベリアとセダムも含めれば24種の新種が見つかっていますが、これらは本当に新種に値するのか、これから審査されることになります。2026年に果たして新種として正式に記載されるのか、また来年も記事にしたいと思います。



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