2010年以降の多肉植物の新種について、以前より記事にしています。サボテンやアガヴェ、アロエ、エケベリア、セダムの5分類群について、年1回記事を更新してきました。これらは、種類が豊富なため新種も割りと頻繁に見つかるため、それだけで記事になるのです。しかし、大変種類が多く私が好きなユーフォルビアに関しては躊躇していました。なぜなら、ユーフォルビアは多肉植物ではないものの方が多く、乾燥地ではない世界中から新種の報告がなされているからです。基本的に多肉植物の新種の記事なので、多肉植物だけを選別したいのですが、ユーフォルビアの新種を検索すると、コニシキソウタイプやトウダイグサタイプの草本についての論文が出てきてしまいます。しかも、有料論文で読むことが出来ない場合、説明も画像がないためいちいち画像を探して確認する必要がありますし、最近見つかったものなどは画像を検索してもヒットしないものすらあります。というわけで、ユーフォルビアは避けてきたのですが、今年は重い腰を上げて調べてみることにしました。ちなみに、コニシキソウやトウダイグサの仲間にも葉が多少多肉質なものもありましたが、大抵は1年草ですから割愛しました。


2012年
★ブラジル東部Bahia州より、新種のEuphorbia flavianaが記載されました。Chamaesyce亜属Crossadenia節に属し、E. teresに似ていますが細長く輪生枝があります。


2013年
★ボリビアより新種のEuphorbia riinaeが記載されました。Chamaesyce亜属Crossadenia節Ephedropeplus亜節に属し、ブラジル原産のE. gymnocladaに関連しています。 

★ソコトラ島より新種のEuphorbia marie-cladieaeを記載されました。E. socotranaに近縁です。

https://www.inaturalist.org/taxa/1036960-Euphorbia-marie-cladieae


2017年
★インドのアーンドラ・プラデーシュ州より、新種のEuphorbia venkatarajuiが記載されました。Euphorbia亜属で、E. gokakensisやE. caducifoliaに似ています。


2018年
★マダガスカル北東部より、新種のEuphorbia longitubicinicyathiumが記載されました。Euphorbia亜属Euphorbia節に属し、形態的にはマダガスカル東海岸に分布する無棘種であるE. geroldiiやE. robivelonae、E. thualsianaに近縁です。大型で生長がよく、長いトランペット型の莢を持ちます。
https://www.inaturalist.org/taxa/886486-Euphorbia-longitubicinicyathium

★ブラジルのミナス・ジェライス州、Espinhaco山脈の一部であるMontevideo山脈より、新種のEuphorbia tetrangularisが記載されました。ribが4つあります。分子系統においては、Euphorbia亜属Brasilienses節に属しています。

★アフリカ南部のユーフォルビアが整理され、南アフリカよりMedusea亜節のEuphorbia willowmorensis、ナミビア南部よりEsula節のEuphorbia corneliae、ナミビアよりEuphorbia節のEuphorbia otavibergensisが記載されました。

https://inaturalist.lu/taxa/1068293-Euphorbia-willowmorensis/browse_photos


2019年
★ナミビア北部オタビ山脈とその周辺より、新種のEuphorbia otavimontanaが説明されました。棘のある多肉質な低木です。アンゴラ西部に分布するE. ingenticapsaに近縁であると考えられます。
→現在は2018年に記載されたE. otavibergensisの異名となっています。



2020年
★ソマリランドのカル・マドウ山脈西部より、新種のEuphorbia buqensisが記載されました。Euphorbia亜属Euphorbia節に属します。先端が二股に分かれ、単棘を持ちます。E. margaretaeに近縁であると考えられます。

★モザンビーク中央部より、新種のEuphorbia pseudocontortaが記載されました。Euphorbia亜属に属する小型の低木で、E. contortaに近縁です。



2021年
★ソマリア中部より、新種のEuphorbia elburensisが記載されました。Euphorbia亜属Euphorbia亜節に属します。アフリカの角に特徴的な形態を持ちます。

★インドのマハラシュトラ州より、新種のEuphorbia lakshminarasimhaniiが記載されました。Euphorbia亜属Euphorbia亜節に属します。

★インドのマハラシュトラ州より、新種のEuphorbia sahyadricaが記載されました。Euphorbia亜属に属します。E. nivuliaに近縁ですが、低木状で短い葉柄、容易に視認出来る側脈を持つ楕円形の葉などの特徴があります。

★マダガスカルより新種のEuphorbia agatheaeが記載されました。Euphorbia亜属Pervilleanae節に属します。外見はE. denisiiに似ています。樹木状で光沢があり剥離する樹皮があります。

★マダガスカルより新種のEuphorbia atimovataeが記載されました。E. denisiiと類似しており混同されてきました。

★マダガスカルより新種のEuphorbia fuscocladaが記載されました。Euphorbia亜属Goniostema節に属します。E. splendensと比較すると、枝が太く樹皮は暗赤褐色で葉柄があるなど特徴が異なります。

★マダガスカルより新種のEuphorbia kalambatitrensisが記載されました。Euphorbia亜属Goniostema節に属します。E. splendensに似ていますが、葉がはるかに大きく葉身が狭いなど特徴が異なります。

★マダガスカルより新種のEuphorbia linguiformisが説明されました。Euphorbia亜属Goniostema節に属します。細長い舌状の葉が、茎に密着して下向きにつきます。
→草本性のユーフォルビアであるE. linguiformis Mc Vaughが1961年に既に命名されており、この名前はnom. illeg.です。同年に同命名者により、Euphorbia linguifoliaと命名され直しました。

★マダガスカルより新種のEuphorbia mahaboanaが記載されました。Euphorbia亜属Denisophorbia節に属します。E. rangovalensisに分岐パターンが似ていますが、葉が広卵形で沿岸部に分布するなど特徴が異なリます。

★マダガスカルより新種のEuphorbia makayensisが記載されました。Euphorbia亜属Goniostema節に属します。E. psammiticolaやE. leandrianaに似ていますが、若いトゲが細く柔軟で直ぐに消失するなど特徴が異なります。

★マダガスカルより新種のEuphorbia parvimedusaeが記載されました。Euphorbia亜属Goniostema節に属します。E. subapodaに似ていますが、より頑丈で球根状の基部を持つトゲと、目立つ中脈がある細長く鋭い葉を持つなど特徴が異なります。多肉質の茎と塊根があります。

★マダガスカルより新種のEuphorbia spannringiiが記載されました。Euphorbia亜属Goniostema節に属します。葉に広範囲に明るい白色の斑入りで、根は多肉質です。由来不明の「Fishbone euphorbia」として知られていました。

★マダガスカルよりGoniostema節の非公式グループ「Euphorbia perrieri group」に分類される、Euphorbia multibrachiataEuphorbia perrierioidesが記載されました。共に塊茎があり、脱落性のトゲがあります。E. perrieriは大型で枝分かれは少ないのですが、E. multibrachiataは小型で基部からよく分岐します。E. perrierioidesは全体的に軟弱で、E. perrieriとはCyathiumの色が異なり、E. paulianiiとはCyathiumが非常に小さいことで区別されます。

★マダガスカルよりGoniostema節の非公式グループ「Euphorbia rubrostriata group」に分類される、Euphorbia graciliramulosaEuphorbia rigidispinaEuphorbia tsihombensisが記載されました。E. graciliramulosaはE. rubrostriataより小型で基部より3本以上の主茎が出ます。E. rigidispinaは葉裏が赤くE. hofrtaetteriに似ますが、草丈が低く枝が非常に細く区別されます。低木状で斜向します。


2022年
★インドのアーンドラ・プラデーシュ州より、新種のEuphorbia raviiが記載されました。Euphorbia亜属Euphorbia節に属します。E. caducifoliaと近縁です。


2024年
★インドのマハラシュトラ州より、新種のEuphorbia duerriiが記載されました。Euphorbia亜属Euphorbia節に属します。E. sahyadricaに近縁ですが、花柄の形状や蒴果の特徴により区別されます。

★Euphorbia neriifolia complexの解明が行われました。現地調査しタイプ標本の確認、文献や標本を調査した結果、様々な植物がE. neriifoliaとしてまとめられていました。Euphorbia neriifolia complexから、西インド原産の新種として、Euphorbia yadaviiEuphorbia paschimiaが分離されました。


2025年
★インドのデカン高原南端より、新種のEuphorbia paraikalliが説明されました。E. susan-holmesiaeに近縁ですが、幅広い節や密集した輪生枝、最大6枚のribかあり、葉はより大きく、分布も異なります。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

★インドのNilgiri山脈とBilirangan山脈より、新種のEuphorbia costatalataが説明されました。E. tortilisに近縁ですが、最大5枚のribや、より長く螺旋状ではない節、花の特徴などから区別されます。
まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。


最後に
以上が近年のユーフォルビアの新種です。とは言え、簡単に調べただけですから、漏れている新種も沢山あるでしょう。毎年、更新してデータを追加していくスタイルなため、初年度の今年は色々と大目に見てやって下さい。
さて、内容をざっと見てみますと、マダガスカルの花キリン(Goniostema節)を中心とした新種が目立ちます。花キリンは見た目が似ているものが多いため混同されがちで、最近整理が進んでいます。この流れはまだ続いていくでしょう。また、マダガスカルの植物は分布がスポット的なため、まだまだ新種が見つかる可能性があります。次に意外にもインドのユーフォルビアの新種が目立ちます。あまり知られていませんが、柱サボテン状のユーフォルビアはインドにも分布します。インドのユーフォルビアは研究が進んでいなかったのか、ここ数年で次々と新種が発表されています。まだ市場では見かけませんが、いずれインドのユーフォルビアもイベントなどで販売されていくでしょう。
2021年はユーフォルビアの整理が大幅に進展しましたが、来年はどうでしょうか? 新たなユーフォルビアの発見を楽しみにしています。


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