久しぶりの新刊案内と相成ります。本日ご紹介しますのは、2025年5月の新刊、千葉聡 / 著『進化という迷宮 隠れた「調律者」を追え』(講談社現代新書)です。著者は過去にも進化論の本を書いており、私も読みましたが大変良い本でした。本日は割りとダラダラと読んだ所感を述べる所存です。

さて、本書は面白いことに、話は著者の大学院時代からスタートしています。師事した研究者(師匠)がスティーブン・ジェイ・グールドの知り合いであることから、師匠がグールドと約束していた研究を著者が行うことになったという話です。グールドは進化論の正統派である適応主義に対し反論し、大論争を引き起こした研究者です。度々、グールドの論調と比較しながら、著者の研究が解説されます。
さて、話はいくつかの理論を軸に展開されますが、個人的に気になったのは「大進化と小進化」と「発生的制約」でした。ここでは、発生的制約について少し考えてみましょう。基本的に生物は環境に適応するものであり、如何様にも姿を変えうるのだという進化論の主張がありましたが、私は以前からずいぶんと疑わしい話だと思っていました。何故ならば、進化は基本的に既存部品を変形というか流用することにより運用しており、大抵の場合は新たな器官を創造するものではないからです。例えば、鳥やコウモリの翼は腕の変形なので、腕のない(=部品が足りない)蛇は如何に適応しても翼を進化させて空を飛ぶことは出来ないのです。あくまでも、その生物の体の基本設計の中で、可能な範囲でしか適応は起こらないということです。
さて、あまり内容についてくどくど解説するのは意味がありません。買って読んでねということで、ちょっと感想を述べましょう。著者はカタツムリの研究者ですが、奇しくもグールドもカタツムリの研究者でした。これは私も知りませんでしたが、グールドは書斎派ではなくてフィールドを好む研究者だったようです。しかし、表向きの派手な論争を呼ぶ論文や、ベストセラーになった一般書と比べると、グールドのカタツムリの論文は知られていません。グールド自身が、自分の専門分野を本に出すと、しつこくくどくど説明してしまいそうだから止めたらしいのですが、なかなか愉快なエピソードです。著者はグールドに影響を受けたりもしましたが、必ずしも信者的ではなく冷静に自身やその後の研究成果を引き合いに出し、必ずしも賛成というわけでもなくグールドの考えを考察しています。
あと、著者のフィールドワークのエピソードも楽しく、学生たちの研究も紹介されますが意外性のあるものばかりです。しかしまあ、やはり時代は遺伝子ですね。調べてみると、どうも隠蔽種が多かったり、外見の近縁が遺伝子の近縁と合わなかったりということが出てきます。私もサボテンや多肉植物の分類についても度々記事にしていますが、やはり遺伝子解析の結果は過去の分類と合わないことも良くあります。すべての生物の遺伝子が解析されたわけではありません。というか、解析された種はごくごく一部でしょう。ですから、これからも研究と解析は続きます。分類は猫の目のように変わるでしょう。
なんか関係ない話ばかりで、肝心要の本の中心議題にほとんど触れていませんね。しかし、色々と重要な考え方や事実が示されていますから、読んでみて下さい。私のブログで詳細を語るのもおかしな話でしょう。上手くまとめて説明出来ないだけというのもありますが、読んでいただきたいというのも本心です。というわけで、長くなりましたがお勧めいたします。
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さて、話はいくつかの理論を軸に展開されますが、個人的に気になったのは「大進化と小進化」と「発生的制約」でした。ここでは、発生的制約について少し考えてみましょう。基本的に生物は環境に適応するものであり、如何様にも姿を変えうるのだという進化論の主張がありましたが、私は以前からずいぶんと疑わしい話だと思っていました。何故ならば、進化は基本的に既存部品を変形というか流用することにより運用しており、大抵の場合は新たな器官を創造するものではないからです。例えば、鳥やコウモリの翼は腕の変形なので、腕のない(=部品が足りない)蛇は如何に適応しても翼を進化させて空を飛ぶことは出来ないのです。あくまでも、その生物の体の基本設計の中で、可能な範囲でしか適応は起こらないということです。
さて、あまり内容についてくどくど解説するのは意味がありません。買って読んでねということで、ちょっと感想を述べましょう。著者はカタツムリの研究者ですが、奇しくもグールドもカタツムリの研究者でした。これは私も知りませんでしたが、グールドは書斎派ではなくてフィールドを好む研究者だったようです。しかし、表向きの派手な論争を呼ぶ論文や、ベストセラーになった一般書と比べると、グールドのカタツムリの論文は知られていません。グールド自身が、自分の専門分野を本に出すと、しつこくくどくど説明してしまいそうだから止めたらしいのですが、なかなか愉快なエピソードです。著者はグールドに影響を受けたりもしましたが、必ずしも信者的ではなく冷静に自身やその後の研究成果を引き合いに出し、必ずしも賛成というわけでもなくグールドの考えを考察しています。
あと、著者のフィールドワークのエピソードも楽しく、学生たちの研究も紹介されますが意外性のあるものばかりです。しかしまあ、やはり時代は遺伝子ですね。調べてみると、どうも隠蔽種が多かったり、外見の近縁が遺伝子の近縁と合わなかったりということが出てきます。私もサボテンや多肉植物の分類についても度々記事にしていますが、やはり遺伝子解析の結果は過去の分類と合わないことも良くあります。すべての生物の遺伝子が解析されたわけではありません。というか、解析された種はごくごく一部でしょう。ですから、これからも研究と解析は続きます。分類は猫の目のように変わるでしょう。
なんか関係ない話ばかりで、肝心要の本の中心議題にほとんど触れていませんね。しかし、色々と重要な考え方や事実が示されていますから、読んでみて下さい。私のブログで詳細を語るのもおかしな話でしょう。上手くまとめて説明出来ないだけというのもありますが、読んでいただきたいというのも本心です。というわけで、長くなりましたがお勧めいたします。
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