ゴールデンウィーク中に東京都薬用植物園に行ってきました。お目当ては5月が見頃のケシの花です。ケシと言ってもポピーではなく、あへん法で栽培が禁止されているアヘンやモルヒネの原料となる植物です。


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ケシを栽培している区画は、厳重な二重の檻の中にあり、監視カメラで監視されています。しかし、ケシの開花期だけは外の檻の一部が開放されます。


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檻越しに見るケシ畑。


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色とりどりのケシ(Papaver somniferum)が咲いていました。こちらは「トルコ種」とありました。蜜蜂が沢山来ていましたね。


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こちらは「一貫種」。一貫種は日本で作出されたアヘン収量が多いとされる品種。


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こちらは園芸種です。


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八重咲きの園芸種。


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こちらも八重咲きの園芸種。果実である芥子坊主が沢山見えます。芥子坊主を傷つけて出てくる乳液を集めて固めたものが生アヘンです。


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アツミゲシ Papavera setigerum
日本では渥美半島で初めて見つかった帰化植物。モルヒネやコデインといったアルカロイドを含み、栽培は禁止されています。しかし、繁殖力が強いため庭や畑地に生えてきて、たまにその駆除がニュースになります。


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東京都の運営ですから、違法な植物に対する啓蒙に力を入れているようで、見分け方のパネル展示がありました。説明によると、違法なケシの葉のあまり切れ込まず、葉柄が茎を抱き込み、ほとんど毛がありません。対する違法ではないケシは、葉は深く切れ込み、葉柄は茎を抱き込まず、剛毛があるとのこと。


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モンツキヒナゲシ Papaver commutatum
こちらは、檻の外にある違法ではない園芸で利用されるケシです。「ケシ比較植物」と書いてありましたから、わざわざ比較用に栽培されているということでしょう。
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「ポピー・レディバード」や「ピエロ」の名前で流通しているそうです。


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アイスランドポピー Papaver nudicaule
シベリアヒナゲシ。一般的なポピーです。当然、違法ではありません。学名は2021年にOreomecon nudic aulisとされているようです。


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ヒナゲシ Papaver rhoeas
別名、「虞美人草」とありました。違法ではありません。


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シャーレーポピー Papaver rhoeas 'Shirley'
ヒナゲシの園芸品種。違法ではありません。


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ハナビシソウ Eschscholzia californica
Papavera属ではありませんが、「カリフォルニアポピー」と呼ばれるケシ科植物です。違法ではありません。


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アザミゲシ Argemone mexicana
「メキシカンポピー」と呼ばれる熱帯アメリカ原産のケシ科植物。葉がアザミのように激しい切り込みます。違法ではありません。



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ナガミヒナゲシ Papaver dubium
ナガミヒナゲシはここ10年ほどで爆発的に増え、あっという間に帰化した外来種です。特定外来生物には指定されていませんが、厄介な植物です。花が綺麗なため、積極的に駆除されにくいような気がします。困ったものですね。


というわけで、あへん法で規制されたケシを見ることが出来ました。東京都薬用植物園は日本国内で唯一、違法ケシを見ることが出来る植物園なんだそうです。大変、貴重な体験でした。さて、次回は「漢方薬原料植物区」に戻り、「民間薬原料植物区」、「製剤原料植物区」も見ていきます。



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