2024年は多肉植物関連の論文を、60本程度ご紹介しました。記事にした論文は必ずしも2024年の新しいものばかりではありませんが、いくつかは2024年出版のものもありました。さて、その中でも気になるニュースがいくつかありましたから、本日は少し振り返ってみました。

①1000年前のコミフォラ種子が発芽
イスラエルの砂漠の洞窟から、約1000年前の種子が発見され、播種したところ発芽しました。まだ開花していませんが、特徴や遺伝的にはコミフォラであることが分かりました。「Sheba」と仮に命名されましたが、聖書に記述がある薬用植物の「tsuori」である可能性を指摘しています。


②新属・エキノアガベの誕生
アガヴェ属の系統解析により、Paraagave、Paleoagave、Echinoagaveを分離する提案がなされています。


③新種のユーベルマニアの発見
ユーベルマニア属の分子系統解析により、Ubelmannia nudaが分離されました。ブラジルのGerais州の原産で、遺伝的にはU. pectiniferaに近縁です。半地下生など珍しい特徴を持ちます。

https://www.cactuspro.com/forum/read.php?1,921125


④新種の多肉植物たち
★中国の浙江省より新種であるSedum xunvenseが説明されました。S. formosanumに似ていますが、いくつかの特徴と遺伝的に独立していることが確認されています。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません

https://www.researchgate.net/figure/Sedum-xunvense-YL-Xu-P-Li-sp-nov-A-Habitat-B-Population-C-Habit-D-Habit_fig3_379892287

★メキシコのMichoacanより、Echeveria sotoiが説明されました。E. gibbifloraに似ていますが、茎は細く背が高くなり、葉はより細く紫がかる灰白色にはならないことや、花のいくつもの細かい特徴が異なります。

https://mexico.inaturalist.org/taxa/1523120-Echeveria-sotoi

★メキシコのMichoacanより、Echeveria coalcomanensisが説明されました。

★メキシコのJaliscoより、Echeveria cuevasiiとEcheveria vazqueziiが説明されました。E. cuevasiiは亜低木状で中型のロゼットなどSeries NudaeのE. flammigeraと特徴を共有していますが、短枝が少なく葉が長く花序あたりの花が多いなど異なる特徴があります。E. vazqueziiはE. marianaeやE. novogalicianaと似ていますが、大きく無毛のロゼット、短い花序、Series Gibbifloraeに典型的な複数の花序からなる円錐花序を持ちます。

https://inaturalist.ca/taxa/1557251-Echeveria-vazquezii

メキシコのJaliscoより、新種であるEchinoagave nievesiorumが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

https://phytotaxa.mapress.com/pt/article/view/phytotaxa.647.2.2


★ブラジル北東部のCeara州からタキンガの新種、Tacinga mirimが説明されました。いままで、より大型のT. palmadoraと混同されてきました。

https://conexaoplaneta.com.br/blog/nova-especie-de-cacto-e-identificada-no-ceara/

★コロラド州西部からスクレロカクタスの新種、Sclerocactus dawsoniaeが説明されました。S. glaucusより小型でトゲが少なく、遺伝的にも異なります。

https://guatemala.inaturalist.org/taxa/1551384-Sclerocactus-dawsoniae

★メキシコのBajio地域からマミラリアの新種、Mammillaria ariasiiが説明されました。M. hahnianaに似ています。

https://www.inaturalist.org/taxa/1543654-Mammillaria-ariasii/browse_photos

★メキシコのSan Luis Potosi州からオプンチアの新種、Opuntia fortanelliが説明されました。

https://mexico.inaturalist.org/taxa/1538864-Opuntia-fortanelli


最後に
すべての多肉植物の論文をチェックしているわけではありませんから、あくまでも個人的な多肉植物ニュースに過ぎませんが、インパクトがあるものをチョイスしました。また、新種に関してはやはりすべてを把握しておらず、しかもアガヴェ、サボテン、エケベリア、セダムしかチェックしていません。しかし、それでも驚くべき発見がありました。近年の多肉植物の論文は遺伝子解析が基本となっており、以前より確実性が高くなっています。名前や分類がコロコロ変わる時代は終焉に近いのかも知れません。①は偶発的な発見でしたが、②は遺伝子解析による過去の分類の変更です。また、③は新種の発見ですが、④を見ただけで新種が発見され続けていることが分かります。これからも発見は続くでしょう。


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