去年、サボテンやアロエ、セダムなどのここ10年あまりに見つかった新種についてまとめた記事を書きました。今年はあれから1年でどう変わったのか、新たに見つかった新種はあるのかをポツポツと記事にしています。アガベについてもこの1年で見つかった新種はあるのか、あるいは説明された新種候補が正式に新種として記載されたのかを見ていきましょう。
ちなみに、論文が出て新種が説明されたとしても、それは新種であると著者が主張しているだけなので、まだ正式に新種として記載されたわけではありません。場合によっては既存種と同種かも知れません。ですので、論文が発表されてもすぐに新種として記載されるわけではありませんから、去年発表された新種候補たちはどうなったのか調べてみました。以下、追加した情報は【追記】と表記しております。

近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参考までにということで。


2011年
★メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
★メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
★メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
★メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
★Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
★メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。
【追記】アリゾナ州中部より、新種であるAgave verdensisAgave yavapaiensisが記載されました。種子をあまり作らず、主に栄養繁殖により増えます。

2014年
★メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
★メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
★メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2015年
【追記】メキシコのJuliscoより、新種であるPolianthes cernuaが記載されました。しかし、同2015年にAgave属に移され、Agave neocernuaとされました。

2016年
★メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
★コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
★メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
★メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
★メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。【追記】2024年にEchinoagave cremnophilaとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。
★メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
★メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。
【追記】アリゾナ州中部より、新種であるAgave sanpedroensisが記載されました。アリゾナ州の先住民族であるHohokam族が1450年頃まで栽培していた「失われた作物」であると著者は主張しています。


2019年
★メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。【追記】2024年にEchinoagave lexiiとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。

Echinoagave lexii
https://www.inaturalist.se/taxa/1525256-Echinoagave-lexii

★メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。 

Agave oteroi
https://www.inaturalist.se/taxa/1076020-Agave-oteroi

★メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruiziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。

Agave garciaruizii
https://www.inaturalist.se/taxa/1233151-Agave-garciaruizii

2020年
★メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。

Agave calciphila
https://www.inaturalist.org/taxa/1268056-Agave-calciphila

★コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。

Agave sylvesteriana
https://www.inaturalist.org/taxa/1146456-Agave-sylvesteriana

★メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plantsにより新種として記載されました。記載年は2020年ではなく2018年とされています。また、2023年にAgave属に移され、Agave arceliensisとされました。

2021年
★メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。【追記】2024年にEchinoagave crypticaとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。

Echinoagave cryptica
https://www.inaturalist.org/taxa/1525251-Echinoagave-cryptica

2022年
★メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
★メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。

Agave rosalesii
https://www.inaturalist.org/taxa/1373684-Agave-rosalesii

★メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

2023年
★メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

Agave mayo
https://www.inaturalist.org/taxa/1497655-Agave-mayo

★メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により、受け入れられず異名にもならない未配置名(unplaced names)とされています。

2024年
【追記】Agave属よりEchinoagaveParaagaveを分離する提案がなされました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
また、PolianthesやManfredaがAgave属から明瞭に分離可能であることも判明しました。このことにより、Agaveに統廃合が進んでいるPolianthesやManfredaが復活する可能性があります。

Echinoagave
https://www.inaturalist.org/taxa/1524995-Echinoagave

Paraagave
https://www.inaturalist.org/taxa/1524996-Paraagave

【追記】メキシコのJaliscoより、新種であるEchinoagave nievesiorumが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。
【追記】大雑把にAgaveへの統廃合の流れを追って見ました。割り早い時期に行われた遺伝子解析ではPolianthesやManfredaがAgaveから分離出来ないとされましたが、2024年の論文では分離されています。これは、遺伝子解析の質が上がったことも関係あるのでしょう。また、EchinoagaveとParaagaveの独立も提案されており、アガヴェ自体が大きく変わりそうです。気になるため現在論文を読んでいます。近いうちに記事に出来ればと考えております。


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