9月に行った新宿御苑の温室の続きです。乾燥地の植物ゾーンにいますが、いよいよ主役であるサボテンやユーフォルビアが登場します。

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Haworthia asperiuscuta
硬葉系ハウォルチアはHaworthiopsisとして軟葉系ハウォルチアから独立しましたが、植物園のハウォルチアは基本的にラベルはそのままです。こちらも明らかにHaworthiopsisなのですが、聞いたことがない名前です。七重宝塔という名前もあり、H. asperiusculaとと表記されている場合もあるようです。まあ、どう見てもH. viscosaかその交配種ですよね。調べてみると、正しい表記はH. asperiusculaの方で、ラベルの名前は誤記ですね。やはりと言うか、H. viscosa var. viscosaの異名でした。タイプ違いくらいのものですかね。


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スミダノユキ Euphorbia grandidens
樹木状になるユーフォルビアです。南アフリカ、スワジランド、モザンビークの原産。


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白条キリン Euphorbia leuconeura
マダガスカル原産の花キリン。花キリンにはいくつか系統がありますが、何に近縁なのでしょうか。

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幹は独特のヒビ割れによりブロック状の模様があります。

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沖天閣 Euphorbia ingens
沖天閣はアフリカの角からタンザニア、ザイールまでアフリカ大陸を横断し、そのライン以南のアンゴラと南アフリカ西部以外の恐ろしく広い地域に分布します。高さ10mを超える巨大なユーフォルビア。


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朝霧閣 Ritterocereus pruinosus
Ritterocereusは現在Stenocereusに吸収されたため、Stenocereus pruinosusとなっています。


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アオサンゴ Euphorbia tirucalli
手前の金鯱ではなく、奥にあるモサモサしたやつです。ミドリサンゴとかミルクブッシュとも呼ばれます。原産地は熱帯アフリカあるいは東アフリカと書かれていることが多いのですが、実際には世界中に移植されているため原産地は長らく不明でした。しかし、キュー王立植物園のデータベースを見てみたら、いつの間にやらマダガスカル原産となっていました。何か関係する論文が出たのかも知れません。


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Zamia pumila(誤)
こちらは近年ではすっかり普及したヒロハザミア(メキシコソテツ)ですが学名が間違っています。Z. pumilaではなくZ. furfuraceaが正しい学名です。ヒロハザミアはプミラあるいはフルフラケアと呼ばれて販売されていますが、本来はそれほど似ているわけではありません。以下のキュー王立植物園のプミラの標本を見れば、葉の形がまったく異なることがわかります。

Zamia pumila
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:270561-2/images

Zamia furfuracea
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:270522-2/images

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リュウケツジュ Dracaena draco
温室栽培だと原産地のような威容は再現出来ないようです。筑波実験植物園の個体も、やはりなかなか分岐せずに背ばかり高くなっていました。カナリア諸島原産。


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トックリラン Beaucarnea recurvata
大きなトックリランは温室に付き物ですが、基本的にサボテンと同じゾーンにありますから、あまり目立ちません。メキシコ原産。

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幹の太り具合はまあまあ。

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フイリウスバリュウゼツラン Agave angustifolia var. marginata
そういえば、
A. angustifolia var. marginata GentryとA. angustifolia var. marginata Trelがありますがどちらを示しているのでしょうか? アガヴェは詳しくないのでよくわかりません。Gentryの方はnot validly publ.とあり、正式に記載されていませんから、Trelの方ですかね。まあ、どちらもA. angustifolia var. angustifoliaの異名扱いとなっています。
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立派な幹があります。

乾燥地の植物のゾーンはここまでです。これより先は熱帯植物のゾーンがまだまだ続きます。


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