サボテンが水を蓄えて多肉質な面白い姿をしているのは、当然ながら乾燥地の厳しい環境に適応した結果です。しかし、環境の厳しさとサボテンに種ごとの特徴との関係性は、あまり詳しくは分かっていないようです。そこで、6種類のギムノカリキウムについて、それぞれの自生地の降水量と形態的な特徴との関係を調査した論文をご紹介しましょう。それは、Solana B. Perottiらの2022年の論文、『Biomass Partitioning and Morphoanatomical Traits of Six Gymnocalycium (Cactaceae) Species Occurring along a Preciptatiom Gradient』です。
ギムノカリキウム属と降水量勾配
ギムノカリキウム属は南アメリカ南部原産のサボテンで、約50種が含まれます。アルゼンチン北西部の山岳地帯にもっとも豊富に生息しています。この地域は気候が非常に不均一で、湿潤した環境から非常に乾燥した環境まで様々な生態系があります。本研究の目的は、降水量勾配に沿って分布する6種のサボテンが、バイオマス分配(茎や根、トゲなどのどこに資源をどの程度分配するか)と、形態・組織学的な特徴の点でどのように異なるのかを分析することです。
生息地域の環境
調査はアルゼンチンのCatamarca州において実施されました。乾燥地帯としてMonte ecoregionから、G. pugionacanthumとG. marianaeを採取しました。半乾燥地帯としてSan Fernando del Valle de Catamarca市近郊から、G. stellatumとG. hybopleurumを採取しました。亜湿潤地帯としてEl Rodeoから、G. oenanthemumとG. baldianumを採取しました。
この乾燥地帯は年間平均降水量は380mmで平均気温は16.3℃、半乾燥地帯の年間平均降水量は460mmで平均気温は19.7℃、亜湿潤地域の年間平均降水量は500mmで平均気温は17.4℃でした。
属下分類は、乾燥地帯のG. pugionacanthumはScabrosemineum亜属、G. marianaeはGymnocalycium亜属で、半乾燥地帯のG. stellatumはTrichomosemiuneum亜属、G. hybopleurumはScabrosemineum亜属で、亜湿潤地帯のG. oenanthemumはScabrosemineum亜属、G. baldianumはGymnocalycium亜属です。
形態学的な特徴
もっとも乾燥した地域に分布するG. pugionacanthumは、非常に粗くて長く太いトゲを持ち、地下茎がもっとも長いと言う特徴がありました。さらに、乾燥地に分布するG. marianaeは高い密度のアレオーレとトゲを持っていました。
半乾燥地に分布するG. hybopleurumは、全長のほぼ半分に達する長さの紡錘根(napiform root)を持ち、中程度の密度のアレオーレ、多数の大きく幅広いトゲを持つものの、G. pugionacanthumやG. oenanthemumと比較すると少ないものでした。G. stellatumは稜(rib)がもっとも多く、地下茎は地上部の2倍に達し、トゲの数は少なく高密度のアレオーレを有していました。
G. oenanthemumは全長のほぼ半分に達する長さの主根を持ち、長くて幅広いトゲは数が多いものの、アレオーレの密度は低いものでした。G. baldianumも長い主根があり、地上部の方が短く、もっとも高密度のアレオーレを持っています。
環境とバイオマスの分配
以上のようにバイオマスをどこに振り分けるかは異なります。G. baldianumはトゲに対する割り当てが少なく、逆にG. pugionacanthumはより多く割り当てました。特に乾燥した環境に自生するG. pugionacanthumは、主根に多くを割り当てています。しかし、湿潤な環境に自生するG. baldianumは、乾燥した環境に自生するG. marinaeよりも、主根へより多くバイオマスを割り当てていました。
組織学的な特徴
表皮は種の間で、もっとも変化に富んだ組織でした。G. pugionacanthum、G. hybopleurum、G. oenanthemum、G. stellatumは、陥没した気孔と楕円形の肥厚またはクチクラの外縁を示しました。G. pugionacanthumやG. stellatumは大きなイボ状の突起、または乳頭状突起を示しますが、G. hybopleurumやG. oenanthemumはより小さいものでした。対照的に、G. marinaeやG. baldianumでは、気孔は表皮細胞と同レベルであり非常に豊富で、薄いクチクラと表皮を持っています。G. pugionacanthumは最高値の厚いクチクラと表皮、皮下組織を持ち気孔は陥没し、その特徴は乾燥した環境と一致します。
結論
著者らは環境と形態学特徴、あるいは組織学的特徴が関係していることを想定しました。しかし、実際には特徴は系統関係と関連があるように見えます。つまり、同じ亜属内の種は類似しているのです。
皮下組織の層数と細胞壁の厚さは、乾燥に対する形態と考えられています。そのため、G. pugionacanthumとG. stellatumがもっとも乾燥環境に適していると考えられます。
ギムノカリキウム属と降水量勾配
ギムノカリキウム属は南アメリカ南部原産のサボテンで、約50種が含まれます。アルゼンチン北西部の山岳地帯にもっとも豊富に生息しています。この地域は気候が非常に不均一で、湿潤した環境から非常に乾燥した環境まで様々な生態系があります。本研究の目的は、降水量勾配に沿って分布する6種のサボテンが、バイオマス分配(茎や根、トゲなどのどこに資源をどの程度分配するか)と、形態・組織学的な特徴の点でどのように異なるのかを分析することです。
生息地域の環境
調査はアルゼンチンのCatamarca州において実施されました。乾燥地帯としてMonte ecoregionから、G. pugionacanthumとG. marianaeを採取しました。半乾燥地帯としてSan Fernando del Valle de Catamarca市近郊から、G. stellatumとG. hybopleurumを採取しました。亜湿潤地帯としてEl Rodeoから、G. oenanthemumとG. baldianumを採取しました。
この乾燥地帯は年間平均降水量は380mmで平均気温は16.3℃、半乾燥地帯の年間平均降水量は460mmで平均気温は19.7℃、亜湿潤地域の年間平均降水量は500mmで平均気温は17.4℃でした。
属下分類は、乾燥地帯のG. pugionacanthumはScabrosemineum亜属、G. marianaeはGymnocalycium亜属で、半乾燥地帯のG. stellatumはTrichomosemiuneum亜属、G. hybopleurumはScabrosemineum亜属で、亜湿潤地帯のG. oenanthemumはScabrosemineum亜属、G. baldianumはGymnocalycium亜属です。
形態学的な特徴
もっとも乾燥した地域に分布するG. pugionacanthumは、非常に粗くて長く太いトゲを持ち、地下茎がもっとも長いと言う特徴がありました。さらに、乾燥地に分布するG. marianaeは高い密度のアレオーレとトゲを持っていました。
半乾燥地に分布するG. hybopleurumは、全長のほぼ半分に達する長さの紡錘根(napiform root)を持ち、中程度の密度のアレオーレ、多数の大きく幅広いトゲを持つものの、G. pugionacanthumやG. oenanthemumと比較すると少ないものでした。G. stellatumは稜(rib)がもっとも多く、地下茎は地上部の2倍に達し、トゲの数は少なく高密度のアレオーレを有していました。
G. oenanthemumは全長のほぼ半分に達する長さの主根を持ち、長くて幅広いトゲは数が多いものの、アレオーレの密度は低いものでした。G. baldianumも長い主根があり、地上部の方が短く、もっとも高密度のアレオーレを持っています。
環境とバイオマスの分配
以上のようにバイオマスをどこに振り分けるかは異なります。G. baldianumはトゲに対する割り当てが少なく、逆にG. pugionacanthumはより多く割り当てました。特に乾燥した環境に自生するG. pugionacanthumは、主根に多くを割り当てています。しかし、湿潤な環境に自生するG. baldianumは、乾燥した環境に自生するG. marinaeよりも、主根へより多くバイオマスを割り当てていました。
組織学的な特徴
表皮は種の間で、もっとも変化に富んだ組織でした。G. pugionacanthum、G. hybopleurum、G. oenanthemum、G. stellatumは、陥没した気孔と楕円形の肥厚またはクチクラの外縁を示しました。G. pugionacanthumやG. stellatumは大きなイボ状の突起、または乳頭状突起を示しますが、G. hybopleurumやG. oenanthemumはより小さいものでした。対照的に、G. marinaeやG. baldianumでは、気孔は表皮細胞と同レベルであり非常に豊富で、薄いクチクラと表皮を持っています。G. pugionacanthumは最高値の厚いクチクラと表皮、皮下組織を持ち気孔は陥没し、その特徴は乾燥した環境と一致します。
結論
著者らは環境と形態学特徴、あるいは組織学的特徴が関係していることを想定しました。しかし、実際には特徴は系統関係と関連があるように見えます。つまり、同じ亜属内の種は類似しているのです。
皮下組織の層数と細胞壁の厚さは、乾燥に対する形態と考えられています。そのため、G. pugionacanthumとG. stellatumがもっとも乾燥環境に適していると考えられます。