一般的に「滝の白糸」と呼ばれているアガヴェがあります。葉縁から糸状の繊維を出す美しい植物で、国内でも昔から栽培されています。私はアガヴェは積極的に集めてはしていませんが、イベントに行った折にオマケでアガヴェの抜き苗をいただきました。名札には「Agave leopoldii」とありました。要するに「滝の白糸」です。調べてみると、Colin C. Walkerの2024年の記事、『Agave × leopoldii』を見つけました。Walkerは育てた植物についてよく記事にしていますが、自身の育てているレオポルディイが開花したため記事にしたようです。少し見てみましょう。
レオポルディイの命名
レオポルディイは1880年代半ば頃に、ロンドンのStamford HillにあるW. B. Kellock博士の自宅の庭で育てられ、キューの著名なビクトリアン・ガーデナーであるWilliam Watsonにより1893年に記載されました。名前は1893年に開催された王立園芸協会の展示会で、この植物を賞賛したベルギー国王レオポルド2世に敬意を表するために命名されました。
Agave princepsの謎
Drummond(1912)によると、Kellock氏はA. filiferaとA. princepsを交配して出来た植物であると信じていたと言います。しかし、Drummondはレオポルディイの開花した花を見て、その特徴からレオポルディイが雑種ではなく独特した種であるとし、Agave disceptataと命名しました。しかし、現在ではAgave ×leopoldiiの異名とされています。
レオポルディイの特徴
レオポルディイは、葉の縁から剥がれ落ちる繊維あるいは糸の生成を特徴とする糸状アガヴェ(filiferous agave)の1つです。これらのアガヴェは葉の縁に目立つ鋸歯を形成しません。レオポルディイは短く鋭い末端トゲを作ります。
糸状アガヴェの作る糸に対する満足するような説明はまだありません。他のアガヴェのような激しい鋸歯や末端トゲとは異なり、糸状アガヴェの繊維が草食動物の採食の妨げになる可能性は低いでしょう。
育ててみた
著者の育てているレオポルディイはかなり早く生長し、直径55cmのロゼットを形成しました。単一のロゼットを維持するために、脇芽は取り除きました。
著者の育てている糸状アガヴェの中でも、レオポルディイは最も細長い葉を持ちます。葉は繊維状で長さは45cmに達しますが、基部の幅はわずか1cmです。
著者の育てているレオポルディは、英国サボテン多肉植物協会グラスゴー支部の2つの展示会で、リュウゼツランの無制限鉢クラスで最優秀賞を受賞したと言うことです。
花の特徴
著者の育てたレオポルディイは、10年間の栽培を経て開花しました。Littaea亜属に典型的な枝分かれするない穂状の花です。花茎は高さがわずか1.35mでした。
花は2つか3つ、4つの房で咲き、最大6cmでした。花は花穂の基部から咲きはじめ、数十個の花が同時に開きます。若い花は淡い緑色で、やがて緑色が淡いピンク色に変わります。中央の縞模様はわずかに濃い緑色です。。古い花はくすんだピンク色で、中央の縞模様は濃い褐色です。
アガヴェは開花すると本体は枯れてしまいますが、長年に渡り沢山の子株を吹きました。
'Hammer Time'
Agave ×leopoldii 'Hammer Time'と言う斑入り品種があり、淡緑色の縁縞があると言うこと以外は典型的なレオポルディイに似ています。
この品種は、メキシコ旅行中にこの品種を発見したと言う、アメリカの著名な園芸家であるGray Hammerに因んで命名されました。しかし、レオポルディイはロンドンの庭園で作出された雑種であるため、メキシコに自生している植物と同じであるはずがありません。この植物は単に、Agave 'Hammer Time'とした方が適切です。
最後に
記事ではレオポルディイは、A. filiferaとA. princepsの雑種とありますが、現在はA. filiferaとA. schidigeraとの雑種とされているようです。しかし、このA. princepsと言うアガヴェが調べてもよく分かりません。由来が不明な学名でも、その旨が記されて一応名前は記載されていたりしますが、A. princepsは名前自体が見当たりません。困りましたね。
そう言えば、葉に覆輪が入るものは格別珍しいわけではありませんが、これはすべて'Hammer Time'に相当するのでしょうか? Walkerによると'Hammer Time'はレオポルディイの斑入り品種か分からないとしています。単に'Hammer Time'が野生由来株と言う記録が誤りの可能性もあるような気もしますがどうでしょうか?
さて、我が家のレオポルディイはまだまだ小さく、その最大の特徴であるフィラメントがほとんど出ていません。見られるように育つまでは、かなりの年数が必要なのでしょう。
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レオポルディイの命名
レオポルディイは1880年代半ば頃に、ロンドンのStamford HillにあるW. B. Kellock博士の自宅の庭で育てられ、キューの著名なビクトリアン・ガーデナーであるWilliam Watsonにより1893年に記載されました。名前は1893年に開催された王立園芸協会の展示会で、この植物を賞賛したベルギー国王レオポルド2世に敬意を表するために命名されました。
Agave princepsの謎
Drummond(1912)によると、Kellock氏はA. filiferaとA. princepsを交配して出来た植物であると信じていたと言います。しかし、Drummondはレオポルディイの開花した花を見て、その特徴からレオポルディイが雑種ではなく独特した種であるとし、Agave disceptataと命名しました。しかし、現在ではAgave ×leopoldiiの異名とされています。
レオポルディイの特徴
レオポルディイは、葉の縁から剥がれ落ちる繊維あるいは糸の生成を特徴とする糸状アガヴェ(filiferous agave)の1つです。これらのアガヴェは葉の縁に目立つ鋸歯を形成しません。レオポルディイは短く鋭い末端トゲを作ります。
糸状アガヴェの作る糸に対する満足するような説明はまだありません。他のアガヴェのような激しい鋸歯や末端トゲとは異なり、糸状アガヴェの繊維が草食動物の採食の妨げになる可能性は低いでしょう。
育ててみた
著者の育てているレオポルディイはかなり早く生長し、直径55cmのロゼットを形成しました。単一のロゼットを維持するために、脇芽は取り除きました。
著者の育てている糸状アガヴェの中でも、レオポルディイは最も細長い葉を持ちます。葉は繊維状で長さは45cmに達しますが、基部の幅はわずか1cmです。
著者の育てているレオポルディは、英国サボテン多肉植物協会グラスゴー支部の2つの展示会で、リュウゼツランの無制限鉢クラスで最優秀賞を受賞したと言うことです。
花の特徴
著者の育てたレオポルディイは、10年間の栽培を経て開花しました。Littaea亜属に典型的な枝分かれするない穂状の花です。花茎は高さがわずか1.35mでした。
花は2つか3つ、4つの房で咲き、最大6cmでした。花は花穂の基部から咲きはじめ、数十個の花が同時に開きます。若い花は淡い緑色で、やがて緑色が淡いピンク色に変わります。中央の縞模様はわずかに濃い緑色です。。古い花はくすんだピンク色で、中央の縞模様は濃い褐色です。
アガヴェは開花すると本体は枯れてしまいますが、長年に渡り沢山の子株を吹きました。
'Hammer Time'
Agave ×leopoldii 'Hammer Time'と言う斑入り品種があり、淡緑色の縁縞があると言うこと以外は典型的なレオポルディイに似ています。
この品種は、メキシコ旅行中にこの品種を発見したと言う、アメリカの著名な園芸家であるGray Hammerに因んで命名されました。しかし、レオポルディイはロンドンの庭園で作出された雑種であるため、メキシコに自生している植物と同じであるはずがありません。この植物は単に、Agave 'Hammer Time'とした方が適切です。
最後に
記事ではレオポルディイは、A. filiferaとA. princepsの雑種とありますが、現在はA. filiferaとA. schidigeraとの雑種とされているようです。しかし、このA. princepsと言うアガヴェが調べてもよく分かりません。由来が不明な学名でも、その旨が記されて一応名前は記載されていたりしますが、A. princepsは名前自体が見当たりません。困りましたね。
そう言えば、葉に覆輪が入るものは格別珍しいわけではありませんが、これはすべて'Hammer Time'に相当するのでしょうか? Walkerによると'Hammer Time'はレオポルディイの斑入り品種か分からないとしています。単に'Hammer Time'が野生由来株と言う記録が誤りの可能性もあるような気もしますがどうでしょうか?
さて、我が家のレオポルディイはまだまだ小さく、その最大の特徴であるフィラメントがほとんど出ていません。見られるように育つまでは、かなりの年数が必要なのでしょう。
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