塊茎・塊根植物をコーデックスと呼びますが、近年の多肉植物ブームの一旦はコーデックスの奇妙な姿が目を引いたと言うこともあるでしょう。コーデックスでは、初期はパキポディウムが、最近はオペルクリカリアが人気のようです。そんな中、ドルステニアもメインストリームにはなりませんが、割りかし人気があるようで、多肉植物の販売イベントがあれば苗がかなりの割合で見られます。Dorstenia foetidaなどは、もはや普及種と呼んでも良いかも知れません。さて、本日はそんなドルステニアについてのお話です。長きに渡り正式の記載されず、裸名で呼ばれていたドルステニアがあると言います。その発見の経緯などを辿った、Alain Rzepeckyの2016年の論文、『Dorstenia horwoodii Rzepecky sp. nov. from nudum to novum, a fortyish year hiatus』をご紹介します。
70年代後半以来、小さく装飾的な葉を持つドルステニアが一部の愛好家にコレクションされて来ました。このドルステニアは、ドルステニア研究に貢献した故Frank (Francis) K. Horwood(1924-1987年)に因み、一般的にはDorstenia horwoodiiとして知られています。Horwoodはは1974年に2本の論文を提出し、片方は1970年にJohn J. LavranosとRenato Bavazzanoが収集した資料を用い、D. horwoodiiを描いています。この植物は、ソマリア北東部のNugaal州Eylの北東約5kmの石灰岩の台地で、岩の割れ目に生えているのが見つかりました。
1973年には、Horwoodは友人であるLavranosに同行し、現地で新しい植物を得て栽培することに成功しました。1985年にも、Lavranosに加え、Susan Carter、Seymour Lindenと共にEyl東の高原で観察を行いました。しかし、L. E. Newtonにより行われた植物標本の整理により、1959年にイギリスの昆虫学者であるChristopher Francis Hemmingにより同地域での収集がなされたことがわかりました。次のような注記がありました。「俗名Bogoh-uched。巨大な岩の上の小さな穴や隙間に生える、2インチまでの小さな植物。」HemmingのコレクションはDorstenia crista Englとして寄託されました。D. cristaは1989年にBerg & HijimanによりD. foetidaの異名とされました。
D. horwoodiiはD. foetidaを思い起こしますが、特徴は異なります。D. horwoodiiは高さ6cmで直径8cmの半球状の茂みを作ります。枝は短く、時間経過と共に灰色となり、密集し幅は5〜6mmです。葉は直ぐに落葉し、数は少なく枝先に集まります。
以上が論文の内容となります。
D. horwoodiiは古くに発見されていたにも関わらず学術的に正式な記載をされず、裸名として長きに渡りコレクターに知られて来ました。しかし、2016年のこの論文により正式に記載がなされました。そして、D. horwoodiiの名前は認められました。キュー王立植物園のデータベースにも名前があり、以下のように記されています。
Dorstenia horwoodii Rzepecky
First published in Cact. Succ. J. (Los Angeles) 88: 68 (2016)
This species is accepted
The native range of this species is Somalia. It grows primarily in the desert or dry shrubland biome.
D. horwoodiiのように裸名で呼ばれる多肉植物も沢山ありますが、このように正式に記載されるケースは稀なような気がします。しかも、発見の経緯まで丁寧に追っています。一般的に裸名がついた多肉植物は園芸目的の違法採取や栽培植物が起源であるため、自生地が不明なものが多く、学術的な記載が困難なのでしょう。
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70年代後半以来、小さく装飾的な葉を持つドルステニアが一部の愛好家にコレクションされて来ました。このドルステニアは、ドルステニア研究に貢献した故Frank (Francis) K. Horwood(1924-1987年)に因み、一般的にはDorstenia horwoodiiとして知られています。Horwoodはは1974年に2本の論文を提出し、片方は1970年にJohn J. LavranosとRenato Bavazzanoが収集した資料を用い、D. horwoodiiを描いています。この植物は、ソマリア北東部のNugaal州Eylの北東約5kmの石灰岩の台地で、岩の割れ目に生えているのが見つかりました。
1973年には、Horwoodは友人であるLavranosに同行し、現地で新しい植物を得て栽培することに成功しました。1985年にも、Lavranosに加え、Susan Carter、Seymour Lindenと共にEyl東の高原で観察を行いました。しかし、L. E. Newtonにより行われた植物標本の整理により、1959年にイギリスの昆虫学者であるChristopher Francis Hemmingにより同地域での収集がなされたことがわかりました。次のような注記がありました。「俗名Bogoh-uched。巨大な岩の上の小さな穴や隙間に生える、2インチまでの小さな植物。」HemmingのコレクションはDorstenia crista Englとして寄託されました。D. cristaは1989年にBerg & HijimanによりD. foetidaの異名とされました。
D. horwoodiiはD. foetidaを思い起こしますが、特徴は異なります。D. horwoodiiは高さ6cmで直径8cmの半球状の茂みを作ります。枝は短く、時間経過と共に灰色となり、密集し幅は5〜6mmです。葉は直ぐに落葉し、数は少なく枝先に集まります。
以上が論文の内容となります。
D. horwoodiiは古くに発見されていたにも関わらず学術的に正式な記載をされず、裸名として長きに渡りコレクターに知られて来ました。しかし、2016年のこの論文により正式に記載がなされました。そして、D. horwoodiiの名前は認められました。キュー王立植物園のデータベースにも名前があり、以下のように記されています。
Dorstenia horwoodii Rzepecky
First published in Cact. Succ. J. (Los Angeles) 88: 68 (2016)
This species is accepted
The native range of this species is Somalia. It grows primarily in the desert or dry shrubland biome.
D. horwoodiiのように裸名で呼ばれる多肉植物も沢山ありますが、このように正式に記載されるケースは稀なような気がします。しかも、発見の経緯まで丁寧に追っています。一般的に裸名がついた多肉植物は園芸目的の違法採取や栽培植物が起源であるため、自生地が不明なものが多く、学術的な記載が困難なのでしょう。
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