去年のクリスマス・イブに国際多肉植物協会の東京例会に出席しました。とは言うものの、実はメインの目的は植物園にあります。最近、植物園に行こうとアチコチ調べていたのですが、例会の会場は板橋区立熱帯環境植物館でしたから、ちょうど両方行けるので一挙両得だったのです。と言うわけで、去年の年末に行った板橋区立熱帯環境植物館の体験記です。長くなるので、記事は何分割かにします。
板橋区立熱帯環境植物館は焼却炉の熱で暖かくしている施設です。暖房要らずで温室を加温出来ますから、熱帯植物の栽培には最適です。
私も図鑑でしか見たことがない沢山の熱帯植物を見ることが出来ました。写真はもう大量に撮りましたから、ちょっとずつ記事にしていくつもりです。
入口。この日は小中学生が無料の日でした。中に入ると子供が結構いましたね。
地下一階からスタートしますが、最初の部屋は水槽が並ぶミニ水族館になっていました。
クラゲもいました。
淡水フグ。中々出て来てくれませんでした。
ナイフフィッシュを直に見たの初めてです。
オウギバショウ Ravenala madagascariensis
さて、階段を登ると、いよいよ熱帯林の温室が始まります。階段近くには大きなオウギバショウがありました。タビビトノキと呼ばれることが多いですよね。まだ小さいので、本来の美しい姿ではありません。
ヒトデカズラ Philodendron selloanum
葉柄の跡が独特で良く目立ちます。あまりヒトデカズラとは呼ばれず、セロームの名前でよく観葉植物にされます。茎は自立しないので、地面をニョロニョロ数メートル這っていました。本来は樹木の幹に寄りかかって育つ登攀植物ですよね。
しかし、ネットではP. selloumと言う名前で流通していますが、実際にはP. selloanum、つまり「セロアヌム」です。さらに言えば、現在の正式な学名はP. bipinnatifidumだったりしますが、あまり知られていないように思われます。
セロームの葉
地植えのせいか葉も巨大です。
ウナズキヒメフヨウ Malvaviscus penduliflorus cv.
メキシコからコロンビア原産のアオイ科植物。下向きに花が咲くことから、「頷き」と命名されてようです。1日花なので、上手くタイミングが合いませんでした。本来は赤花です。また、フヨウと言っても、Hibiscusではありません。
アダン Pandanus odoratissimus
いわゆるタコノキの仲間です。トカラ列島以南の海岸沿いに生えます。命名年からするとP. odoratissimusは1801年とかなり早いのですが、「nom.illeg.」、つまり命名規則の誤用があると言うことで、現在は保留名です。そのため、1804年に命名されたP. utilisがアダンの学名になっています。
アダンの気根
アダンは枝や幹から気根を出して、地面に付くと根を張り独特の見た目になります。
マカダミアナッツ Macadamia tetraphylla
誰も行かない階段脇にマカダミアナッツの鉢がありました。実がならないと目がいかないかも知れません。しかし、一般的にマカダミアナッツはM. integrifoliaとされていますが、こちらはM. tetraphyllaです。マカダミア属は4種類あるわけですが、皆同じようにマカダミアナッツとして食用になるのでしょうか?
オヒルギ Bruguiera gymnorhiza
マングローブを形成する樹種の1つです。あまり目にする機会はありませんよね。
上からオヒルギを見ていたら、巨大淡水エイであるヒマンチュラ・チャオプラヤが見えました。上からも見られることを知らない方も多そうです。
他の樹木を突き破ってそそり立つ巨大なヤシの木がありました。ヤシはまったく分からないので、名前は分からず。
キンカチャ Camellia chrysantha
中国原産の照葉樹。カメリア属ですから椿やお茶の仲間ですね。椿の原種には黄色系の色素がないため、大分騒がれたようです。しかし、残念ながら寒さに弱く日本では庭で育てられません。実はお茶としても利用されてきたようです。どのような風味なのでしょうか? ちなみに、現在の学名はC. petelotiiとなっています。
バニラ Vanilla
高額な香辛料ベスト3に入るバニラですが、熱帯のランの実から取れます。バニラのあの黒いつぶつぶは種子だったりします。種類は分かりませんが、バニラ属は100種類以上ありますから、私には判別出来ません。一般的なV. planifoliaと言うことになるのでしょうか?
バニラは蔓性で天井まで伸びています。
ムラサキモクワンジュ Bauhinia purpurea
熱帯温室はとにかく見上げると様々な発見があります。マメ科らしき面白い葉の樹木がありました。ムラサキソシンカと言う名前の方が一般的なようですね。
面白い形の葉。若い葉は食用とされ、酸味が強いそうです。
ハスノハギリ Hernandia
これがハスノハギリかと少し興奮しました。そのせいかブレブレになってしまいました。H. nymphaeifoliaだったでしょうか。忘れてしまいました。ハスノハギリは南方系の海岸植物です。遺伝子解析によるAPG分類体系がほぼ完成しましたため調べていたのですが、ハスノハギリ科は身近に近縁種がないので、いつか見てみたいと思っていました。
モモタマナ Terminalia catappa
暖地の樹木ですが、果実が浮くので海流に乗って分布を広げるのです。ヤシやマングローブと同じですね。東南アジアの熱帯林について書かれた本には良く登場する木です。
Osmoxylon lineare
初めて見た知らない植物です。ヤツデと同じウコギ科植物と言うことです。葉の切れ込みが激しいですね。
開花中でした。
実は以上の植物は、順路の始まり付近に植えられていたものだけです。かなりの密度で沢山の熱帯植物が植えられていました。ですから、同じ場所に10分以上ウロウロしていましたから、大分不審者風だったかも知れません。
板橋区立熱帯環境植物館はそれほど大きな施設ではありませんが、注意して見れば実に面白いものです。それなりに人は入っていたにも関わらず、私のように立ち止まり観察したりラベルを確認する人は見かけませんでした。実に勿体ないことです。植物園は事前知識があるとより楽しむことが出来ます。知らなければただの風景ですが、知っていればそこは宝の山になります。熱帯林について書かれた本やら図鑑やらを2、3冊読むだけで世界が一変します。皆様も植物園に出かけてみては如何でしょうか?
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板橋区立熱帯環境植物館は焼却炉の熱で暖かくしている施設です。暖房要らずで温室を加温出来ますから、熱帯植物の栽培には最適です。
私も図鑑でしか見たことがない沢山の熱帯植物を見ることが出来ました。写真はもう大量に撮りましたから、ちょっとずつ記事にしていくつもりです。
入口。この日は小中学生が無料の日でした。中に入ると子供が結構いましたね。
地下一階からスタートしますが、最初の部屋は水槽が並ぶミニ水族館になっていました。
クラゲもいました。
淡水フグ。中々出て来てくれませんでした。
ナイフフィッシュを直に見たの初めてです。
オウギバショウ Ravenala madagascariensis
さて、階段を登ると、いよいよ熱帯林の温室が始まります。階段近くには大きなオウギバショウがありました。タビビトノキと呼ばれることが多いですよね。まだ小さいので、本来の美しい姿ではありません。
ヒトデカズラ Philodendron selloanum
葉柄の跡が独特で良く目立ちます。あまりヒトデカズラとは呼ばれず、セロームの名前でよく観葉植物にされます。茎は自立しないので、地面をニョロニョロ数メートル這っていました。本来は樹木の幹に寄りかかって育つ登攀植物ですよね。
しかし、ネットではP. selloumと言う名前で流通していますが、実際にはP. selloanum、つまり「セロアヌム」です。さらに言えば、現在の正式な学名はP. bipinnatifidumだったりしますが、あまり知られていないように思われます。
セロームの葉
地植えのせいか葉も巨大です。
ウナズキヒメフヨウ Malvaviscus penduliflorus cv.
メキシコからコロンビア原産のアオイ科植物。下向きに花が咲くことから、「頷き」と命名されてようです。1日花なので、上手くタイミングが合いませんでした。本来は赤花です。また、フヨウと言っても、Hibiscusではありません。
アダン Pandanus odoratissimus
いわゆるタコノキの仲間です。トカラ列島以南の海岸沿いに生えます。命名年からするとP. odoratissimusは1801年とかなり早いのですが、「nom.illeg.」、つまり命名規則の誤用があると言うことで、現在は保留名です。そのため、1804年に命名されたP. utilisがアダンの学名になっています。
アダンの気根
アダンは枝や幹から気根を出して、地面に付くと根を張り独特の見た目になります。
マカダミアナッツ Macadamia tetraphylla
誰も行かない階段脇にマカダミアナッツの鉢がありました。実がならないと目がいかないかも知れません。しかし、一般的にマカダミアナッツはM. integrifoliaとされていますが、こちらはM. tetraphyllaです。マカダミア属は4種類あるわけですが、皆同じようにマカダミアナッツとして食用になるのでしょうか?
オヒルギ Bruguiera gymnorhiza
マングローブを形成する樹種の1つです。あまり目にする機会はありませんよね。
上からオヒルギを見ていたら、巨大淡水エイであるヒマンチュラ・チャオプラヤが見えました。上からも見られることを知らない方も多そうです。
他の樹木を突き破ってそそり立つ巨大なヤシの木がありました。ヤシはまったく分からないので、名前は分からず。
キンカチャ Camellia chrysantha
中国原産の照葉樹。カメリア属ですから椿やお茶の仲間ですね。椿の原種には黄色系の色素がないため、大分騒がれたようです。しかし、残念ながら寒さに弱く日本では庭で育てられません。実はお茶としても利用されてきたようです。どのような風味なのでしょうか? ちなみに、現在の学名はC. petelotiiとなっています。
バニラ Vanilla
高額な香辛料ベスト3に入るバニラですが、熱帯のランの実から取れます。バニラのあの黒いつぶつぶは種子だったりします。種類は分かりませんが、バニラ属は100種類以上ありますから、私には判別出来ません。一般的なV. planifoliaと言うことになるのでしょうか?
バニラは蔓性で天井まで伸びています。
ムラサキモクワンジュ Bauhinia purpurea
熱帯温室はとにかく見上げると様々な発見があります。マメ科らしき面白い葉の樹木がありました。ムラサキソシンカと言う名前の方が一般的なようですね。
面白い形の葉。若い葉は食用とされ、酸味が強いそうです。
ハスノハギリ Hernandia
これがハスノハギリかと少し興奮しました。そのせいかブレブレになってしまいました。H. nymphaeifoliaだったでしょうか。忘れてしまいました。ハスノハギリは南方系の海岸植物です。遺伝子解析によるAPG分類体系がほぼ完成しましたため調べていたのですが、ハスノハギリ科は身近に近縁種がないので、いつか見てみたいと思っていました。
モモタマナ Terminalia catappa
暖地の樹木ですが、果実が浮くので海流に乗って分布を広げるのです。ヤシやマングローブと同じですね。東南アジアの熱帯林について書かれた本には良く登場する木です。
Osmoxylon lineare
初めて見た知らない植物です。ヤツデと同じウコギ科植物と言うことです。葉の切れ込みが激しいですね。
開花中でした。
実は以上の植物は、順路の始まり付近に植えられていたものだけです。かなりの密度で沢山の熱帯植物が植えられていました。ですから、同じ場所に10分以上ウロウロしていましたから、大分不審者風だったかも知れません。
板橋区立熱帯環境植物館はそれほど大きな施設ではありませんが、注意して見れば実に面白いものです。それなりに人は入っていたにも関わらず、私のように立ち止まり観察したりラベルを確認する人は見かけませんでした。実に勿体ないことです。植物園は事前知識があるとより楽しむことが出来ます。知らなければただの風景ですが、知っていればそこは宝の山になります。熱帯林について書かれた本やら図鑑やらを2、3冊読むだけで世界が一変します。皆様も植物園に出かけてみては如何でしょうか?
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