基本的に植物は受粉のために花粉媒介者を必要とします。しかし、共通する花粉媒介者に頼った場合、花粉媒介者が競合してしまう可能性があります。しかし、ある論文では3種類の開花期の異なるサボテンが、上手く花粉媒介者の競合を避け、花粉媒介者に1年中資源を提供し支えていることが示されています。その論文の解説は以下の記事をご参照下さい。
さて、本日はギムノカリキウムの開花期について詳しく調べた研究をご紹介します。それは、Melisa A. Giorgisらの2015年の論文、『Flowering phenology, fruit set and seed mass and number of five coexising Gymnocalycium (Cactaceae) species from Cordoba mountain, Argentina』です。
この研究はアルゼンチンのCordoba州、Sierras Chicas山脈の標高1200メートルの東斜面で実施されました。Cordoba州の山々には約17種類のギムノカリキウムが生息しそのほとんどが固有種です。山脈には5種類のギムノカリキウムが局所的には共存しています。
Gymnocalycium亜属
①G. bruchii

『Latest news from cactus land』(1953年)より。
Johnson Cactus Gardenのカタログ。
②G. capillense
Trichomosemineum亜属
③G. quehlianum

『Succulent news』(1956年)より。
Johnson Cactus Gardenのカタログ。
Scabrosemineum亜属
④G. monvillei

『The Cactaceae』(1922年)より。
⑤G. mostii

『The Cactaceae』(1922年)より。
以上のギムノカリキウムは自家不和合性で自家受粉しません。主な花粉媒介者はミツバチです。花の寿命は2〜3日です。種子は約5週間で成熟し、Elaiosomeにより蟻に運ばれます。
開花が最も早いのはG. bruchiiでした。G. bruchiiの開花が減り始める頃に、入れ替わるようにG. quehlianumが開花のピークを迎えました。G. quehlianumの開花期は長く、他のギムノカリキウムの開花期の最後まで緩やかに減少しながら開花し続けました。G. quehlianumの次は、G. monvilleiとG. mostiiの開花のピークを迎えます。G. monvilleiは急激なピークを迎え、短期間で開花を終えました。対するG. mostiiは、ピークはG. monvilleiと同時期でしたが、一度下がってからやや盛り返し、最後まで咲き続けました。最後にG. capillenseが咲きましたが、開花数は少ないものでした。G. capillaenseの開花のピークは、G. monvilleiの花が急激に減少している頃で、G. mostiiの開花の谷間にあたります。G. capillenseの開花期は短く、花が減少し始めるとG. mostiiの開花が盛り返し、G. quehlianumの開花も少ないものの続きます。
種子の成熟期間を考慮すると、開花が早い種類は種子が大きく、開花が遅い種類は種子が小さいと考えられます。しかし、実際には開花が最も早いG. bruchiiと開花が最も遅いG. capillenseの種子が大型でした。
しかし、開花が遅いG. capillenseは結実率が低く、時期的に生育期の終わりであることから、気温の低下により成熟期間が短かすぎる可能性があります。また、生育期の始まりと終わりの時期は、気候条件により花粉媒介者の活動が低下していることも考慮する必要があります。
また、開花期が2番目に早く長い期間開花するG. quehlianumは、開花数が最も多く結実数も非常に多いものでした。しかし、G. quehlianumは出来る種子の数に比べ、個体数は他のギムノカリキウムよりも少ないものでした。これは、実生の生存率などによるものかも知れません。
以上が論文の簡単な要約です。
5種類のギムノカリキウムは、開花時期は多少重なるものの、そのピークは基本的には遷り変わるものでした。ある程度、花粉媒介者の競合を避けるメカニズムがあるようです。しかし、G. monvilleiとG. mostiiの開花期のピークはほぼ重なりますが、G. monvilleiは短い時期に大量開花することにより、花粉媒介者を独占的に引き寄せているのかも知れません。対するG. mostiiは開花期間が長く、他のギムノカリキウムと競合しながらも、トータルでは必要な結実数を確保しているのかも知れません。
開花時期が早いG. bruchiiや開花時期が遅いG. capillenseは、競合を避ける戦略ですが、花粉媒介者が少ないというリスクを背負うことになります。生態系は基本的に全部取りは出来ず、常にtrade-offの関係にあります。あれもこれもは難しいのです。
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さて、本日はギムノカリキウムの開花期について詳しく調べた研究をご紹介します。それは、Melisa A. Giorgisらの2015年の論文、『Flowering phenology, fruit set and seed mass and number of five coexising Gymnocalycium (Cactaceae) species from Cordoba mountain, Argentina』です。
この研究はアルゼンチンのCordoba州、Sierras Chicas山脈の標高1200メートルの東斜面で実施されました。Cordoba州の山々には約17種類のギムノカリキウムが生息しそのほとんどが固有種です。山脈には5種類のギムノカリキウムが局所的には共存しています。
Gymnocalycium亜属
①G. bruchii

『Latest news from cactus land』(1953年)より。
Johnson Cactus Gardenのカタログ。
②G. capillense
Trichomosemineum亜属
③G. quehlianum

『Succulent news』(1956年)より。
Johnson Cactus Gardenのカタログ。
Scabrosemineum亜属
④G. monvillei

『The Cactaceae』(1922年)より。
⑤G. mostii

『The Cactaceae』(1922年)より。
以上のギムノカリキウムは自家不和合性で自家受粉しません。主な花粉媒介者はミツバチです。花の寿命は2〜3日です。種子は約5週間で成熟し、Elaiosomeにより蟻に運ばれます。
開花が最も早いのはG. bruchiiでした。G. bruchiiの開花が減り始める頃に、入れ替わるようにG. quehlianumが開花のピークを迎えました。G. quehlianumの開花期は長く、他のギムノカリキウムの開花期の最後まで緩やかに減少しながら開花し続けました。G. quehlianumの次は、G. monvilleiとG. mostiiの開花のピークを迎えます。G. monvilleiは急激なピークを迎え、短期間で開花を終えました。対するG. mostiiは、ピークはG. monvilleiと同時期でしたが、一度下がってからやや盛り返し、最後まで咲き続けました。最後にG. capillenseが咲きましたが、開花数は少ないものでした。G. capillaenseの開花のピークは、G. monvilleiの花が急激に減少している頃で、G. mostiiの開花の谷間にあたります。G. capillenseの開花期は短く、花が減少し始めるとG. mostiiの開花が盛り返し、G. quehlianumの開花も少ないものの続きます。
種子の成熟期間を考慮すると、開花が早い種類は種子が大きく、開花が遅い種類は種子が小さいと考えられます。しかし、実際には開花が最も早いG. bruchiiと開花が最も遅いG. capillenseの種子が大型でした。
しかし、開花が遅いG. capillenseは結実率が低く、時期的に生育期の終わりであることから、気温の低下により成熟期間が短かすぎる可能性があります。また、生育期の始まりと終わりの時期は、気候条件により花粉媒介者の活動が低下していることも考慮する必要があります。
また、開花期が2番目に早く長い期間開花するG. quehlianumは、開花数が最も多く結実数も非常に多いものでした。しかし、G. quehlianumは出来る種子の数に比べ、個体数は他のギムノカリキウムよりも少ないものでした。これは、実生の生存率などによるものかも知れません。
以上が論文の簡単な要約です。
5種類のギムノカリキウムは、開花時期は多少重なるものの、そのピークは基本的には遷り変わるものでした。ある程度、花粉媒介者の競合を避けるメカニズムがあるようです。しかし、G. monvilleiとG. mostiiの開花期のピークはほぼ重なりますが、G. monvilleiは短い時期に大量開花することにより、花粉媒介者を独占的に引き寄せているのかも知れません。対するG. mostiiは開花期間が長く、他のギムノカリキウムと競合しながらも、トータルでは必要な結実数を確保しているのかも知れません。
開花時期が早いG. bruchiiや開花時期が遅いG. capillenseは、競合を避ける戦略ですが、花粉媒介者が少ないというリスクを背負うことになります。生態系は基本的に全部取りは出来ず、常にtrade-offの関係にあります。あれもこれもは難しいのです。
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