近年、小型のコーデックスであるCeraria pygmaeaが結構人気があるようです。見た感じからして、いかにもスベリヒユ科ですが、その後整理されディディエレア科ポルツラカリア亜科とされています。これは、Alluaudia、Didierea、Poutulacaria、Ceraria、Decaryaなどが非常に近縁であるということを受けてのことです。その根拠となったのは、Peter V. Bruynsらの2014年の論文、『Phylogenetic relationships in the Didiereaceae with special reference to subfamily Portulacarioideae』です。遺伝子解析の結果を見てみましょう。私が少し解説を加えます。ちなみに、ディディエレア科はサボテン科に近縁で、3つの亜科に分けられます。
┏━━ディディエレア亜科
┏┫
┃┗━━カリプトロテカ亜科
┏┫
┃┗━━━ポルツラカリア亜科
┫
┗━━━━サボテン科
ディディエレア亜科
カリプトテカ亜科
ディディエレア亜科は、Alluaudia属、Didierea属、Decarya属、Alluaudiopsis属からなります。それぞれ単系統で綺麗に分かれていますが、Decarya属だけはDidierea属に組みこまれています。DidiereaとDecaryaが非常に近縁であることは意外でした。Alluaudia属は、A. comosa(Didierea comosa)、A. dumosa(Didierea dumosa)、A. ascdndens(Didierea ascendens)、A. humberii(Alluaudia decaryi)、A. procera(Didierea procera)、A. montagmaciiからなります。Didierea属は2種類あり、D. madagascariensis(D. mirabilis)とD. trolliiからなります。Decarya属はD.madagarcariensis(Alluaudia geayi)のみの単型属です。Alluaudiopsis属は、A. marnierianaとA. fiherenensisからなります。
また、カリプトテカ亜科のCalyptrotheca属もここに示しました。Calyptrotheca属は2種類あり、C. somalensisとC. taitensis(C. stuhlmannii)からなります。
Alluaudia
┏A. comosa
┏┫
┃┗A. dumosa
┏┫
┃┗━A. ascendens
┏┫
┃┗━━A. humbertii
┃
┏┫┏━━A. procera
┃┗┫
┃ ┗━━A. montagnacii
┃ Didierea
┃ ┏━━D. madagasacriensis
┏┫┏┫
┃┃┃┗━━D. trollii
┃┗┫ Decarya
┃ ┗━━━D. madagascariensis
┃ Alluaudiopsis
┏┫┏━━━━A. marnieriana
┃┗┫
┃ ┗━━━━A. fiherenensis
┏┫ カリプトテカ亜科
┃┗━━━━━━C. somalensis
┫
┗━━━ポルツラカリア亜科

Alluaudiaの葉の比較
『Adansonia』(1961年)より。
上段がA. procera、中段かA. ascendens、下段がA. motagnacii。

Alluaudia ascdendens

Alluaudia humbertii

Alluaudia procera
『Flora de Madagascar et des Comores』(1963年)より。

Calyptrotheca(右)
『Die Vegetation de Erde』(1915年)より。
右上はC. somalensis、右下はC. stuhlmannii(C. taitensisの異名)。

Didierea trollii
『Adansonia』(1961年)より。
ポルツラカリア亜科
ポルツラカリア亜属はPoutulacaria属とCeraria属からなります。以下に見るように、Poutulacaria属とCeraria属が分離出来ません。実はCeraria pygmaeaはもともとはPoutulacaria pygmaeaとして記載され、その後に殊更の根拠もなくCeraria属に移された経緯があります。分離の基準はそれほどはっきりしていなかったのかも知れません。ちなみに、C. namaquensisも初めはPoutulacariaとして記載されています。
┏━P. armiana
┏┫
┃┗━C. namaquensis
┏┫
┃┗━━C. longipedunculata
┃
┏┫┏━━C. fruticulosa
┃┗┫
┃ ┗━━C. pygmaea
┏┫
┃┗━━━━C. carrissoana
┫
┗━━━━━P. afra

Poutulacaria afra(上)
『The flora of South Africa with synoptical tables of the genera of the higher plants』(1913年)より。

Poutulacaria namaquensis
=Ceraria namaquensis
『Annals of botany』(1912年)より。
Ceraria gariepinaとして記載。
Poutulacaria属とCeraria属を分離出することが出来なず、明らかに1つのまとまりのあるグループとなっています。つまり、Poutulacaria、あるいはCerariaに統一する必要があるのです。学名は先に命名された方が優先されるという「先取権の原理」に従います。この場合は、1912年に命名されたCeraria H.Pearson & Stephansより、1787年に命名されたPoutulacaria Jack.が優先されるのです。つまり、今までCeraria属とされてきた5種類はPoutulacaria属となります。キュー王立植物園のデータベースでも、すでにCeraria属はPoutulacaria属の異名とされています。Ceraria属は消滅してしまいました。Ceraria pygmaeaもPoutulacaria pygmaeaに変更されています。
ちなみに、ポルツラカリア亜科はアンゴラから南アフリカに分布していますが、カリプトテカ亜科は東アフリカ原産、ディディエレア亜科はマダガスカル原産です。系統樹の分岐を見ると、アフリカ南西部からアフリカ東部、そしてマダガスカルに到達したように見えます。サボテン科との近縁性からは、アフリカ大陸と南アメリカがかつて1つだったころまで、共通祖先は遡るのかも知れませんね。
さて、このような属レベルの変更は、遺伝子解析が発展したため、これからも続くのでしょう。今後も出来る限りこのような変更について、ご紹介出来ればと考えております。
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┃┗━━カリプトロテカ亜科
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┃┗━━━ポルツラカリア亜科
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┗━━━━サボテン科
ディディエレア亜科
カリプトテカ亜科
ディディエレア亜科は、Alluaudia属、Didierea属、Decarya属、Alluaudiopsis属からなります。それぞれ単系統で綺麗に分かれていますが、Decarya属だけはDidierea属に組みこまれています。DidiereaとDecaryaが非常に近縁であることは意外でした。Alluaudia属は、A. comosa(Didierea comosa)、A. dumosa(Didierea dumosa)、A. ascdndens(Didierea ascendens)、A. humberii(Alluaudia decaryi)、A. procera(Didierea procera)、A. montagmaciiからなります。Didierea属は2種類あり、D. madagascariensis(D. mirabilis)とD. trolliiからなります。Decarya属はD.madagarcariensis(Alluaudia geayi)のみの単型属です。Alluaudiopsis属は、A. marnierianaとA. fiherenensisからなります。
また、カリプトテカ亜科のCalyptrotheca属もここに示しました。Calyptrotheca属は2種類あり、C. somalensisとC. taitensis(C. stuhlmannii)からなります。
Alluaudia
┏A. comosa
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┃┗A. dumosa
┏┫
┃┗━A. ascendens
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┃┗━━A. humbertii
┃
┏┫┏━━A. procera
┃┗┫
┃ ┗━━A. montagnacii
┃ Didierea
┃ ┏━━D. madagasacriensis
┏┫┏┫
┃┃┃┗━━D. trollii
┃┗┫ Decarya
┃ ┗━━━D. madagascariensis
┃ Alluaudiopsis
┏┫┏━━━━A. marnieriana
┃┗┫
┃ ┗━━━━A. fiherenensis
┏┫ カリプトテカ亜科
┃┗━━━━━━C. somalensis
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┗━━━ポルツラカリア亜科

Alluaudiaの葉の比較
『Adansonia』(1961年)より。
上段がA. procera、中段かA. ascendens、下段がA. motagnacii。

Alluaudia ascdendens

Alluaudia humbertii

Alluaudia procera
『Flora de Madagascar et des Comores』(1963年)より。

Calyptrotheca(右)
『Die Vegetation de Erde』(1915年)より。
右上はC. somalensis、右下はC. stuhlmannii(C. taitensisの異名)。

Didierea trollii
『Adansonia』(1961年)より。
ポルツラカリア亜科
ポルツラカリア亜属はPoutulacaria属とCeraria属からなります。以下に見るように、Poutulacaria属とCeraria属が分離出来ません。実はCeraria pygmaeaはもともとはPoutulacaria pygmaeaとして記載され、その後に殊更の根拠もなくCeraria属に移された経緯があります。分離の基準はそれほどはっきりしていなかったのかも知れません。ちなみに、C. namaquensisも初めはPoutulacariaとして記載されています。
┏━P. armiana
┏┫
┃┗━C. namaquensis
┏┫
┃┗━━C. longipedunculata
┃
┏┫┏━━C. fruticulosa
┃┗┫
┃ ┗━━C. pygmaea
┏┫
┃┗━━━━C. carrissoana
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┗━━━━━P. afra

Poutulacaria afra(上)
『The flora of South Africa with synoptical tables of the genera of the higher plants』(1913年)より。

Poutulacaria namaquensis
=Ceraria namaquensis
『Annals of botany』(1912年)より。
Ceraria gariepinaとして記載。
Poutulacaria属とCeraria属を分離出することが出来なず、明らかに1つのまとまりのあるグループとなっています。つまり、Poutulacaria、あるいはCerariaに統一する必要があるのです。学名は先に命名された方が優先されるという「先取権の原理」に従います。この場合は、1912年に命名されたCeraria H.Pearson & Stephansより、1787年に命名されたPoutulacaria Jack.が優先されるのです。つまり、今までCeraria属とされてきた5種類はPoutulacaria属となります。キュー王立植物園のデータベースでも、すでにCeraria属はPoutulacaria属の異名とされています。Ceraria属は消滅してしまいました。Ceraria pygmaeaもPoutulacaria pygmaeaに変更されています。
ちなみに、ポルツラカリア亜科はアンゴラから南アフリカに分布していますが、カリプトテカ亜科は東アフリカ原産、ディディエレア亜科はマダガスカル原産です。系統樹の分岐を見ると、アフリカ南西部からアフリカ東部、そしてマダガスカルに到達したように見えます。サボテン科との近縁性からは、アフリカ大陸と南アメリカがかつて1つだったころまで、共通祖先は遡るのかも知れませんね。
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