以前、テレビを見ていたら、アフリカの砂漠に謎の円形の模様が沢山出来る不思議な現象に迫っていました。この、通称「フェアリーサークル」は、シロアリが形成しているもののようです。しかし、謎のサークルは必ずしもシロアリが原因とは言えないようです。「フェアリーサークル」はサークルの縁に草が生えることにより形成されますが、そうではないサークルもあります。岩がごろごろしている地域に、細かな砂のサークルが点在しており、それは多肉植物が原因であると言います。本日は、謎の「サンドサークル(砂の輪)」を調査し、原因を特定したJ. J. Marion Meyerらの2020年の論文、『Sand circle in story landscapes of Namibia are caused by large Euphorbia schrubs』をご紹介しましょう。

ナミビアに隣接する南アフリカ北西部には、石だらけの地形の中に砂で出来た円形の「サンドサークル」が何千も見られます。サークルにはほとんど草は生えません。サークルの内側には多肉植物の残骸が見つかることもあります。この残骸は付近に分布するユーフォルビアである可能性があります。
砂漠のサークルではナミビアの「フェアリーサークル」に似ています。「フェアリーサークル」は草に囲まれた植生のない砂地のサークルです。「フェアリーサークル」はEuphorbia gummiferaの枯れた跡であると考えられています。ユーフォルビアが枯れると、跡地には有毒で粘着性な乳液が残り、裸地の再植生を妨げます。南アフリカの「サンドサークル」もユーフォルビアが生えていた跡地かも知れません。
「サンドサークル」の周囲に生えるEuphorbia gregariaを観察すると、周囲に砂が蓄積していました。E. gregariaの枝は非常に緻密で、風により飛来する砂をキャッチします。著者らはこの「サンドサークル」がE. gregariaが原因で形成された可能性について検証しました。

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Euphorbia gregaria
『Transactions of the Royal Society of South Africa』(1912年)より。


まず、サークルの内側にあった多肉植物の残骸を正式に鑑定したところ、E. gregariaであることが確認されました。次に、サークルの砂から有機溶媒を用いて成分を抽出しました。抽出物を分析したところ、E. gregariaと同一と考えられる物質が検出されました。ちなみに、E. gregariaの生えていない土壌では同成分は検出されませんでした。

気候変動により多肉植物の急速な枯死が報告されています。巨大な樹木アロエであるAloe dichotoma(=Aloidendron dichotomum)は、気温上昇や降雨量の減少により近年急速に枯死しています。「サンドサークル」は衛星写真により数と分布を数えることが出来ます。「サンドサークル」はユーフォルビアの枯れた跡なのですから、気候変動の指標として利用出来るかも知れません。


以上が論文の簡単な要約です。
テレビで見た「フェアリーサークル」はシロアリが原因ではなく、E. gummiferaの生えていた跡であるという驚きの事実がさらりと語られました。さらに、「サンドサークル」もユーフォルビアの生えていた跡であるというのです。まったく意外な帰結でした。このように一般に知られていない不思議な現象は沢山あり、まだ解明されていないものも沢山あるのでしょう。しかし、気候変動により多肉植物はダメージを受けており、この「サンドサークル」のような跡のみを残して絶滅してしまう種も出てくるかも知れません。跡のみしかない場合、その現象の原因は永久に分からなくなるでしょう。その前に、不明な現象の解明を、そして出来ることなら多肉植物が絶滅しないように出来れば良いのですがね。


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