最近、とても気になっていることがあります。以前購入したOperculicarya borealisの実生苗ですが、それが本当にO. borealisであるか良くわからなかったのです。ネットで検索すると何やらそれらしい情報は出てきますが、個人ブログの情報がどこまで正しいか良く分かりません。しかも、オペルクリカリア全種類の見分け方はまったく分からないため、ある種と特徴の一部が一致していても、同じ特徴を他の種も持っている可能性があります。具体的に言うと、O. borealisの葉には毛が生えていると言われますが、私の株にはありません。では、何かと言われると良くわからないのです。

Operculicarya borealis?
ということで、オペルクリカリアの特徴を記述した論文を見つけましたから、ご紹介しましょう。それは、Armand Randrianasolo & Porter P. Lowry IIの2006年の論文、『Operculicarya (Anacardiaceae) revisited: an updated taxonomic treatment for Madagascar and Comoro Island, with description of two new species』です。この論文では、2種類の新種を説明するために、既存の種の見分け方が記述されています。
①葉軸の翼
1. 葉軸に翼がある→②へ
2. 葉軸に翼がない→⑦へ
②小葉の最大の長さ
1. 小葉の長さは最大20mm以上
→O. capuronii
2. 小葉の長さは最大10(-15)mm
→③へ
③葉に生えた毛
1. 葉軸上に密な毛がある→④へ
2. 葉はほぼ無毛。若い葉ではまばらに
細かい毛がある。→⑥へ
④小葉の葉脈
1. 葉脈がわずかに残る
→O. hirsutissima
2. 葉脈は顕著で裏面で隆起→⑤へ
⑤葉の形
1. 小葉の先端は平らで、小葉は縁が
丸まる、葉脈の間に深い空洞
→O. hyphaenoides
2. 小葉は楕円から倒卵形、小葉の縁は
丸まらない、葉脈の間に深い空洞はない
→O. borealis
⑥枝の形
1. ジグザグの枝→O. pachypus
2. 枝はまっすぐ→O. decaryi
⑦葉柄の長さ
1. 葉柄は0.5mm以下→O. multijuga
2. 葉柄は1〜4mm→O. gummifera
では、実際に謎のオペルクリカリアの特徴を見てみましょう。

葉軸に羽がありますから②です。小葉は5〜6mmで、最大でも10mmですから③になります。さらに、葉に毛はほとんどないように見えますから⑥です。

葉の裏面にも毛がありません。葉脈も目立ちません。葉脈が目立つO. hyphaenoidesやO. borealisではないようです。

茎はジグザグにつきます。以上の特徴からは、O. pachypusということになります。どうやら、O. borealisではないようですね。GBIFの画像データでは、O. pachypusの葉脈は目立ず、O. decaryiの葉脈は主脈が目立ち、O. borealisの葉脈は側脈まではっきりとしていました。
また、O. hirsutissimaは良い画像データがないため、乾燥標本だけでは細かい特徴は良く分かりません。O. hyphaenoidesは葉が巻いて非常に特徴的です。葉軸に翼がないO. multijugaとO. gummiferaは、小葉の先端が尖ります。

Operculicarya gummifera
『Flora de Madagascar et des Comores』(1946年)より。Poupartia gummiferaとして記載。
ちなみに、2015年には同じArmand Randrianasolo & Porter P. Lowry IIによる『A new species of Operculicarya H. Perrier (Anacardiaceae) from western dry forests of Madagascar』では、9種類目となるオペルクリカリアの新種、Operculicarya calcicolaが説明されました。O. calcicolaは葉軸に羽はなく、小葉は11〜13cmで葉柄は2〜5mmです。O. gummiferaと似ていますが、小葉は3〜6.3cmです。O. calcicolaは小葉や果実、花序軸など、全体的に大型です。
Operculicarya pachypusは爪楊枝くらいの細さの苗でも非常に高額で、今まで買う気になりませんでした。しかし、安いからと何となく購入したO. borealisが、どうやらO. pachypusだったようです。まあ、多肉植物をやるならばオペルクリカリアの1つくらいは育てたいと思っていただけで、O. borealisが欲しかったというわけでもないため、逆に良かったような気もします。
ところで、このオペルクリカリアは異なった名前で販売されていたわけですが、これは名札を間違えたからではなく、おそらくは輸入種子の名札がO. borealisだったのでしょう。このように、異なる名前で多肉植物が販売されるのは珍しいことではなく、私も度々こういう多肉植物に遭遇しています。ネット販売されている多肉植物でも、名前が間違っている場合はそのほとんどが同じ間違いをしていたりしますから、供給元が同じなのかも知れません。
さて、おそらくはO. pachypusであろうという結論に至りましたが、懸念というか心残りはO. hirsutissimaです。葉軸に密な毛がないため、私のオペルクリカリアとは異なる気がしますが、確かな画像データがないのは残念です。とはいえ、基本的に流通していないO. hirsutissimaである可能性はなさそうですけどね。
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Operculicarya borealis?
ということで、オペルクリカリアの特徴を記述した論文を見つけましたから、ご紹介しましょう。それは、Armand Randrianasolo & Porter P. Lowry IIの2006年の論文、『Operculicarya (Anacardiaceae) revisited: an updated taxonomic treatment for Madagascar and Comoro Island, with description of two new species』です。この論文では、2種類の新種を説明するために、既存の種の見分け方が記述されています。
①葉軸の翼
1. 葉軸に翼がある→②へ
2. 葉軸に翼がない→⑦へ
②小葉の最大の長さ
1. 小葉の長さは最大20mm以上
→O. capuronii
2. 小葉の長さは最大10(-15)mm
→③へ
③葉に生えた毛
1. 葉軸上に密な毛がある→④へ
2. 葉はほぼ無毛。若い葉ではまばらに
細かい毛がある。→⑥へ
④小葉の葉脈
1. 葉脈がわずかに残る
→O. hirsutissima
2. 葉脈は顕著で裏面で隆起→⑤へ
⑤葉の形
1. 小葉の先端は平らで、小葉は縁が
丸まる、葉脈の間に深い空洞
→O. hyphaenoides
2. 小葉は楕円から倒卵形、小葉の縁は
丸まらない、葉脈の間に深い空洞はない
→O. borealis
⑥枝の形
1. ジグザグの枝→O. pachypus
2. 枝はまっすぐ→O. decaryi
⑦葉柄の長さ
1. 葉柄は0.5mm以下→O. multijuga
2. 葉柄は1〜4mm→O. gummifera
では、実際に謎のオペルクリカリアの特徴を見てみましょう。

葉軸に羽がありますから②です。小葉は5〜6mmで、最大でも10mmですから③になります。さらに、葉に毛はほとんどないように見えますから⑥です。

葉の裏面にも毛がありません。葉脈も目立ちません。葉脈が目立つO. hyphaenoidesやO. borealisではないようです。

茎はジグザグにつきます。以上の特徴からは、O. pachypusということになります。どうやら、O. borealisではないようですね。GBIFの画像データでは、O. pachypusの葉脈は目立ず、O. decaryiの葉脈は主脈が目立ち、O. borealisの葉脈は側脈まではっきりとしていました。
また、O. hirsutissimaは良い画像データがないため、乾燥標本だけでは細かい特徴は良く分かりません。O. hyphaenoidesは葉が巻いて非常に特徴的です。葉軸に翼がないO. multijugaとO. gummiferaは、小葉の先端が尖ります。

Operculicarya gummifera
『Flora de Madagascar et des Comores』(1946年)より。Poupartia gummiferaとして記載。
ちなみに、2015年には同じArmand Randrianasolo & Porter P. Lowry IIによる『A new species of Operculicarya H. Perrier (Anacardiaceae) from western dry forests of Madagascar』では、9種類目となるオペルクリカリアの新種、Operculicarya calcicolaが説明されました。O. calcicolaは葉軸に羽はなく、小葉は11〜13cmで葉柄は2〜5mmです。O. gummiferaと似ていますが、小葉は3〜6.3cmです。O. calcicolaは小葉や果実、花序軸など、全体的に大型です。
Operculicarya pachypusは爪楊枝くらいの細さの苗でも非常に高額で、今まで買う気になりませんでした。しかし、安いからと何となく購入したO. borealisが、どうやらO. pachypusだったようです。まあ、多肉植物をやるならばオペルクリカリアの1つくらいは育てたいと思っていただけで、O. borealisが欲しかったというわけでもないため、逆に良かったような気もします。
ところで、このオペルクリカリアは異なった名前で販売されていたわけですが、これは名札を間違えたからではなく、おそらくは輸入種子の名札がO. borealisだったのでしょう。このように、異なる名前で多肉植物が販売されるのは珍しいことではなく、私も度々こういう多肉植物に遭遇しています。ネット販売されている多肉植物でも、名前が間違っている場合はそのほとんどが同じ間違いをしていたりしますから、供給元が同じなのかも知れません。
さて、おそらくはO. pachypusであろうという結論に至りましたが、懸念というか心残りはO. hirsutissimaです。葉軸に密な毛がないため、私のオペルクリカリアとは異なる気がしますが、確かな画像データがないのは残念です。とはいえ、基本的に流通していないO. hirsutissimaである可能性はなさそうですけどね。
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コメント
コメント一覧 (2)
1年ほど前にBBでボレアリスで販売されていた方から私も買いましたが、あとでsp.株であったとの訂正がインスタでされていました。その後のイベントで本物のボレアリスを販売されていましたが、本物のボレアリスの方が葉が大きかったです。
植物おじさん
が
しました