ここ数年、日本ではAgaveがブームとなっています。多肉植物の販売イベントでも、今やAgaveはあちこちのブースで取り扱われるマストアイテムと化しているようです。何が流行るか分からないものです。私は多肉植物の販売イベントで、おまけにもらったAgaveを2種類育てているくらいです。調べてみると、Agaveを中心とした小規模なイベントも、あちこちで開催されているようです。どうやら、ブームはしばらく続きそうですね。
しかし、Agaveを含むリュウゼツラン科植物は乾燥に強く、海外では暖地で野生化して増えてしまい、場合によっては手に負えない外来種となっているようです。そう言えば、リュウゼツラン科のアツバキミガヨラン(Yucca gloriosa)は寒さに強く、日本各地の砂浜で増えてしまい困っているというニュースを見たことを思い出しました。調べてみると、小笠原諸島や奄美群島などの暖地では巨大Agaveであるアオノリュウゼツラン(Agave americana)が野生化しているようです。
さて、本日は場合によっては厄介者と化すリュウゼツラン科植物の野生化の例として、Filip Verlooveらの2019年の論文、『A synopsis of feral Agave and Furcraea (Agavaceae, Asparagaceae, s. lat.) in the Canary Island (Spain)』をご紹介しましょう。
この研究は著者らのカナリア諸島のFuerteventura島、Gran Canaria島、Lanzarote島、Tenerife島での長年に渡るフィールドワークに基づいています。カナリア諸島ではリュウゼツラン科のAgaveとFurcraeaが野生化しています。観察された野生化したAgaveとFurcraeaを以下に示します。
Agave属
Agave亜属
①Section Agave
Agave americana
Agave franzosinii
②Section Ditepalae
Agave murpheyi
③Section Rigidae
Agave angustifolia
Agave fourcroydes
Agave macroacantha
Agave sisalana
Agave aff. tequilana
④Section Salmian
Agave salmiana var. salmiana
Agave salmiana var. ferox
⑨Section Vivipara
Agave vivipara

アオノリュウゼツラン Agave americana
カナリア諸島ではすべての島から知られています。

Agave angustifolia
『Botanical Museum leaflet』(1974-1976年)より、Agave pacificaとして記載。
A. angustifoliaは最も普及したアガヴェで、原産地はメキシコ北部からパナマまでです。非常に簡単に野外に逸出することで知られています。例えば、フロリダ州、南アフリカ、インド、西オーストラリア、スペイン、イタリアなどで記録されています。
Littaea亜属
①Section Heteracantha
Agave lechuguilla
Agave oteroi
②Section Inermes
Agave attenuata
④Section Littaea
Agave filifera
Furcraea属
Furcraea亜属
Furcraea foetida
Furcraea hexapetala
Furcraea selloana

Furcraea foetida
『Gartenflora』(1852年)より、Furcraea giganteaとして記載。
F. foetidaは暖地で広く栽培され帰化しています。ハワイ、マダガスカル、ニュージーランド、レユニオン島など島嶼部だけではなく南アフリカやブラジルでも報告されています。
以上が論文の簡単の要約です。
論文ではカナリア諸島で見つかったアガヴェとフルクラリアの詳細な解説があり、非常に長いものです。長すぎてすべて記事には出来ませんでした。しかし、随分な種類が逸出してしまっているようです。
カナリア諸島は温暖なためか、アガヴェが簡単に野生化してしまうようです。野外でのアガヴェ栽培が中々困難な日本からしたら羨ましいようにも思えます。ところが、アガヴェは簡単に野生化して環境に悪影響を与えてしまうため、世界中の温暖地で問題となっています。カナリア諸島では簡単にドライガーデンでアガヴェを育てられそうですが、逸出を考えたら気軽にアガヴェを育てるのも考えものかも知れませんね。
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しかし、Agaveを含むリュウゼツラン科植物は乾燥に強く、海外では暖地で野生化して増えてしまい、場合によっては手に負えない外来種となっているようです。そう言えば、リュウゼツラン科のアツバキミガヨラン(Yucca gloriosa)は寒さに強く、日本各地の砂浜で増えてしまい困っているというニュースを見たことを思い出しました。調べてみると、小笠原諸島や奄美群島などの暖地では巨大Agaveであるアオノリュウゼツラン(Agave americana)が野生化しているようです。
さて、本日は場合によっては厄介者と化すリュウゼツラン科植物の野生化の例として、Filip Verlooveらの2019年の論文、『A synopsis of feral Agave and Furcraea (Agavaceae, Asparagaceae, s. lat.) in the Canary Island (Spain)』をご紹介しましょう。
この研究は著者らのカナリア諸島のFuerteventura島、Gran Canaria島、Lanzarote島、Tenerife島での長年に渡るフィールドワークに基づいています。カナリア諸島ではリュウゼツラン科のAgaveとFurcraeaが野生化しています。観察された野生化したAgaveとFurcraeaを以下に示します。
Agave属
Agave亜属
①Section Agave
Agave americana
Agave franzosinii
②Section Ditepalae
Agave murpheyi
③Section Rigidae
Agave angustifolia
Agave fourcroydes
Agave macroacantha
Agave sisalana
Agave aff. tequilana
④Section Salmian
Agave salmiana var. salmiana
Agave salmiana var. ferox
⑨Section Vivipara
Agave vivipara

アオノリュウゼツラン Agave americana
カナリア諸島ではすべての島から知られています。

Agave angustifolia
『Botanical Museum leaflet』(1974-1976年)より、Agave pacificaとして記載。
A. angustifoliaは最も普及したアガヴェで、原産地はメキシコ北部からパナマまでです。非常に簡単に野外に逸出することで知られています。例えば、フロリダ州、南アフリカ、インド、西オーストラリア、スペイン、イタリアなどで記録されています。
Littaea亜属
①Section Heteracantha
Agave lechuguilla
Agave oteroi
②Section Inermes
Agave attenuata
④Section Littaea
Agave filifera
Furcraea属
Furcraea亜属
Furcraea foetida
Furcraea hexapetala
Furcraea selloana

Furcraea foetida
『Gartenflora』(1852年)より、Furcraea giganteaとして記載。
F. foetidaは暖地で広く栽培され帰化しています。ハワイ、マダガスカル、ニュージーランド、レユニオン島など島嶼部だけではなく南アフリカやブラジルでも報告されています。
以上が論文の簡単の要約です。
論文ではカナリア諸島で見つかったアガヴェとフルクラリアの詳細な解説があり、非常に長いものです。長すぎてすべて記事には出来ませんでした。しかし、随分な種類が逸出してしまっているようです。
カナリア諸島は温暖なためか、アガヴェが簡単に野生化してしまうようです。野外でのアガヴェ栽培が中々困難な日本からしたら羨ましいようにも思えます。ところが、アガヴェは簡単に野生化して環境に悪影響を与えてしまうため、世界中の温暖地で問題となっています。カナリア諸島では簡単にドライガーデンでアガヴェを育てられそうですが、逸出を考えたら気軽にアガヴェを育てるのも考えものかも知れませんね。
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