先日開催された「9月のサボテン・多肉植物のビッグバザール」にて、Euphorbia hedyotoidesという塊根植物を入手しました。私が入手したのは非常に小さな実生苗ですが、育つと塊根から伸びる細長い枝と、細長い葉が面白い多肉植物です。E. hedyotoidesを詳しく調べてみようとしましたが、中々調べる時間が取れないため安直に論文を探したところ簡単に見つかったので、では記事にしようということになりました。その論文は、Wernner Rauhの1992年の論文、『The growth-form of Euphorbia hedyotoides N.E.Br. (syn. E. deceriana Croiz.)』です。

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Euphorbia hedyotoides N.E.Br.

E. hedyotoidesの発見
マダガスカル南部のAmbosaryとFort Dauphinの、Didierea科の茂みには、Euphorbia hedyotoidesが見られます。1934年にL. Croizat によりEuphorbia decarianaとした記載されましたが、Leandri(1962)によると1909年にN. E. BrownによりEuphorbia hedyotoidesとしてすでに記載されていると言うことです。Euphorbia hedyotoidesはアフリカではゴム用(caoutchouc)植物として栽培されており、N. E. Brownは旧ドイツ領東アフリカのAmaniにあるManboの植物に因んでいると説明しています。

塊根と異形根
E. hedyotoidesは、高さ1〜1.5mの低木で、大きな塊根が地下にありサッカーボールくらいの大きさになる可能性があります。塊根は胚軸と一次根が膨れたものです。E. hedyotoidesは異形根性(※1)で、塊根は水を貯蔵し、塊根の上部にある側根は水を吸収します。側根は地表から数ミリメートル下に広がっています。

(※1) 異形根性(heterorhizy): 同じ個体で明らかに形態の異なる根を持つこと。

短枝と長枝
若い段階では、一次枝が高さ20〜30cmほど長く伸びます。枝の先端は短枝(brachyblast)となり、そこから放射状に新たな長枝が出て来ます。短枝は徐々に生長し、数年で3〜5cmとなります。葉は一番若い短枝から出ます。


E. hedyotoidesの花は雌雄異株ですが、稀に雌雄同株も見られます。
E. hedyotoidesの花(cyathia)は非常に小さく、ほとんどが単独につきます。花には短い葉柄があり、2つの緑がかる苞葉(cyathophyll)に包まれています。総苞(involucrum)は非常に小さく高さと厚みは2mmで、緑色の腺(grand)は直立し1mmほどです。


分類
E. hedyotoidesの分類は不明です。Leandri(1962)は、E. neohumbertiiやE. viguieriを含むEuphorbia lophogoraグループに分類しましたが、これは間違いです。著者はE. hedyotoidesをE. elliotiiと共に同じ新しいグループとすることを提案します。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
E. hedyotoidesは奇妙な枝分かれをするようですが、Rauhはこれを「hedyotoides型分岐」と呼んでいるようです。しかし、E. hedyotoidesの短枝の画像を見ていたら、何やら見覚えがあることに気が付きました。E. bongolavensisの短枝と良く似ているのです。
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Euphorbia bongolavensisの短枝(枝の先端の模様が入った部分)

Thomas Haevermansの2006年の論文では、E. hedyotoidesやE. bongolavensisを含むグループを、「pyrifoliaグループ」としており、狭義のsection Denisophorbiaに含まれるとしています。やはり、E. millotiiやE. bongolavensisも同じグループに含まれるようです。

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Euphorbia bongolavensisの「hedyotoides型分岐」
短枝から数本の長枝が出て、その長枝の先端には新しい短枝が形成されます。


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