植物にとって花は繁殖のために重要です。それは、サボテンや多肉植物も同様です。そのため、最近はサボテンの受粉に関する論文をいくつかご紹介して来ました。しかし、繁殖のためには受粉して終わりではなく、種子を作りばら撒かなくてはなりません。せっかく出来た種子がただ親植物の根元に落ちるだけでは、あまり意味はありません。あまりにも近いと、親植物と光や養分の競争をしなくてはならないからです。また、繁殖は個体を増やす目的があります。ですから、ある程度は離れた場所に運ばれて、分布を拡大出来れば最良です。ですから、種子に綿毛をつけて風で飛ばされたり、細かいトゲや毛を生やして動物の毛に付着して遠くに運ばれたりします。しかし、種子がどれだけ発芽可能な場所に運ばれるかも重要です。例えば、エライオソーム(Elaiosome)という養分をつけた種子は、蟻により種子が蟻の巣に運ばれます。蟻の巣の中は湿っているため、種子が発芽しやすい環境です。乾燥地に生えるサボテンは、種子が地下に運ばれるということは非常に意味があるでしょう。しかし、エライオソームがないサボテンもあります。種子の散布はどのように行われているのでしょうか? エライオソームがないサボテンの種子散布はどのように行われているのでしょうか? 本日はKatielle Silva Brito-Kateivas & Michele Martins Correaの2012年の論文、『Ants interacting with fruits of Melocactus conoideus Buining & Brederoo (Cactaceae) in southwestern Bahia, Brazil』をご紹介します。

Melocactus intortus
Melocactus communisとして記載。
M. conoideusの良い図譜がなかったので、代わりにM. intortusを示しました。発達した花座に注目。
『Verhandlungen des Vereins zur Beforderung des Gartenbaues in den Koniglich Preussischen Staaten』(1827年)より
Melocactus conoideusは、石英砂利で出来たわずか10キロ平方メートルの面積に生えます。しかし、土木工事用に砂利が採掘されているため、数を減らしています。M. conoideusは絶滅危惧種に指定されていますが、その生態は詳しく調査されておりません。著者らはM. conoideusの種子の分散を調査することが、今後の種の保全のための計画において有用な情報を提供することが期待されます。
研究はブラジルのBahia州Vitoria da ConquistaにあるSerra do Periperi公園で実施されました。6月〜10月は乾燥し、11月〜3月に雨が降ります。植生は季節性の森林とステップ状サバンナの混合からなります。
M. conoideusは長さ17〜21mmの果実を一年中生産し、4月が生産のピークです。果実は多肉質で赤〜ピンクで、花座(cephalium)内で発達します。果実は熟すと花座から露出します。果実には黒い小さな種子があり、おそらくはトカゲや蟻により分散されると考えられています。
調査らはお互いに最低10m以上離れた同程度のサイズの30個体のサボテンを観察しました。M. conoideusの花座から落ちた果実に対し、7種類の蟻が集まりました。花座から落ちた果実のうち、60個の果実にをマーキングして追跡しました。60個のうち23個が蟻に来ました。蟻のうち3種類は種類散布に適した行動を示しました。
以上が論文の簡単な要約となります。
蟻による種子の散布は、エライオソームが関与します。しかし、エライオソームを持たない種子も蟻により種子が分散されることが分かります。種子ではなく、蟻が運搬出来る小さな果実も意味があるようです。
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Melocactus intortus
Melocactus communisとして記載。
M. conoideusの良い図譜がなかったので、代わりにM. intortusを示しました。発達した花座に注目。
『Verhandlungen des Vereins zur Beforderung des Gartenbaues in den Koniglich Preussischen Staaten』(1827年)より
Melocactus conoideusは、石英砂利で出来たわずか10キロ平方メートルの面積に生えます。しかし、土木工事用に砂利が採掘されているため、数を減らしています。M. conoideusは絶滅危惧種に指定されていますが、その生態は詳しく調査されておりません。著者らはM. conoideusの種子の分散を調査することが、今後の種の保全のための計画において有用な情報を提供することが期待されます。
研究はブラジルのBahia州Vitoria da ConquistaにあるSerra do Periperi公園で実施されました。6月〜10月は乾燥し、11月〜3月に雨が降ります。植生は季節性の森林とステップ状サバンナの混合からなります。
M. conoideusは長さ17〜21mmの果実を一年中生産し、4月が生産のピークです。果実は多肉質で赤〜ピンクで、花座(cephalium)内で発達します。果実は熟すと花座から露出します。果実には黒い小さな種子があり、おそらくはトカゲや蟻により分散されると考えられています。
調査らはお互いに最低10m以上離れた同程度のサイズの30個体のサボテンを観察しました。M. conoideusの花座から落ちた果実に対し、7種類の蟻が集まりました。花座から落ちた果実のうち、60個の果実にをマーキングして追跡しました。60個のうち23個が蟻に来ました。蟻のうち3種類は種類散布に適した行動を示しました。
以上が論文の簡単な要約となります。
蟻による種子の散布は、エライオソームが関与します。しかし、エライオソームを持たない種子も蟻により種子が分散されることが分かります。種子ではなく、蟻が運搬出来る小さな果実も意味があるようです。
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