厳しい環境に暮らすサボテンと言えども、その繁殖のためには花を咲かせ、昆虫などの花粉媒介者を呼び寄せ種子を作る必要があります。受粉と花粉媒介者の関係について、このブログでは度々記事にしています。例えば、カップ型の白い花を咲かせる柱サボテンはコウモリにより受粉するコウモリ媒花が多く、小型の花を咲かせるFerocactusはサボテンミツバチによる受粉、夜間に開花するLophocereus scottiiは蛾媒花、管状の赤い花を咲かせるOreocereus、Cleistocactus、Matucana、Denmozaなどはハチドリにより受粉する鳥媒花だったりと、サボテンは花粉媒介者も多様です。
私は個人的に受粉生物学には多大な興味があります。サボテンの種類により様々ですから、なるべく沢山の種類について知りたいところです。とはいえ、すべてのサボテンでこのような研究がなされている訳ではありませんが、少しずつ学んで行ければと考えましたおります。
と言う訳で、調べていたら鸞鳳玉(Astrophytum myriostigma)の受粉について調査した論文が見つかりました。それは、Cristian A. Martinez-Adrianoらによる2015年の論文、『Floral visitor of Astrophytum myriostigma in La Sierra El Sarnoso, Durango, Mexico』です。早速、内容を見ていきましょう。
花への訪問者の構成と豊富さは、受粉システムの理解や生態学的にも重要です。効果的な花粉媒介者の特定は希少種の保全にとっても価値が高い研究です。サボテンの多くは自家受粉しない自家不和合性です。しかし、花を訪れる動物の全てが効率的な花粉媒介者であるとは限りません。
著者らはメキシコのDurango州、Sierra El Sarnosoにおいて、鸞鳳玉の花に来た昆虫を撮影し、どのような種類が花のどこに触れたかを記録しました。この時、花の外側に来た昆虫はカウントはされましたが、花粉媒介者とは見なされません。重要なのは、蜜が目的の採蜜者、花粉を食べる採餌者、雄しべに触れた者、花の内側に来た者です。
鸞鳳玉の花に最も多く来た昆虫は、Anamboderia属の甲虫でした。タマムシの仲間のようです。花を訪れた昆虫165匹中122匹と圧倒的な数です。そのうち112匹は花粉と蜜を食べ、6匹は蜜だけを食べました。次に多いのがミツバチの仲間で21匹です。ミツバチはDiadasia olivaceaが16匹、Ancyloscelis apiformisが3匹、Augochloropsis metallicaが2匹でしたが、すべて採蜜者でした。他にもPhaedrotettixと言うトゲバッタが19匹も訪れましたが、どうやら花そのものを食べに来たようです。また、2種類のハエも計3匹来ましたが、受粉に関与していないようです。
著者らはDiadasiaと言うミツバチが鸞鳳玉の主たる花粉媒介者であると考えているようです。一般的にDiadasiaの中にはサボテンミツバチと呼ばれる種類もおり、サボテンをよく訪れるミツバチです。ちなみに、サボテンミツバチ(Diadasia rinconis)は兜丸(Astrophytum astesias)の主要な花粉媒介者とされています。
以上が論文の簡単な要約です。
論文では訪花昆虫の行動別に重要度を分けています。著者らはミツバチの採蜜行動を評価しているようです。しかし、一般的に花粉媒介者を調べる時は、受粉したかを確認することが普通です。それは昆虫と鳥、昆虫とコウモリなどネットなどを用いサイズで花を訪れることが出来ないようにしたりして、受粉率を比較します。ただ、今回はサイズで分けることが出来ません。実験室でそれぞれの昆虫を鸞鳳玉の花と同じケージなどに入れ、花を訪れた後に柱頭についた花粉を数えるなどの確認が必要かも知れませんね。
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私は個人的に受粉生物学には多大な興味があります。サボテンの種類により様々ですから、なるべく沢山の種類について知りたいところです。とはいえ、すべてのサボテンでこのような研究がなされている訳ではありませんが、少しずつ学んで行ければと考えましたおります。
と言う訳で、調べていたら鸞鳳玉(Astrophytum myriostigma)の受粉について調査した論文が見つかりました。それは、Cristian A. Martinez-Adrianoらによる2015年の論文、『Floral visitor of Astrophytum myriostigma in La Sierra El Sarnoso, Durango, Mexico』です。早速、内容を見ていきましょう。
花への訪問者の構成と豊富さは、受粉システムの理解や生態学的にも重要です。効果的な花粉媒介者の特定は希少種の保全にとっても価値が高い研究です。サボテンの多くは自家受粉しない自家不和合性です。しかし、花を訪れる動物の全てが効率的な花粉媒介者であるとは限りません。
著者らはメキシコのDurango州、Sierra El Sarnosoにおいて、鸞鳳玉の花に来た昆虫を撮影し、どのような種類が花のどこに触れたかを記録しました。この時、花の外側に来た昆虫はカウントはされましたが、花粉媒介者とは見なされません。重要なのは、蜜が目的の採蜜者、花粉を食べる採餌者、雄しべに触れた者、花の内側に来た者です。
鸞鳳玉の花に最も多く来た昆虫は、Anamboderia属の甲虫でした。タマムシの仲間のようです。花を訪れた昆虫165匹中122匹と圧倒的な数です。そのうち112匹は花粉と蜜を食べ、6匹は蜜だけを食べました。次に多いのがミツバチの仲間で21匹です。ミツバチはDiadasia olivaceaが16匹、Ancyloscelis apiformisが3匹、Augochloropsis metallicaが2匹でしたが、すべて採蜜者でした。他にもPhaedrotettixと言うトゲバッタが19匹も訪れましたが、どうやら花そのものを食べに来たようです。また、2種類のハエも計3匹来ましたが、受粉に関与していないようです。
著者らはDiadasiaと言うミツバチが鸞鳳玉の主たる花粉媒介者であると考えているようです。一般的にDiadasiaの中にはサボテンミツバチと呼ばれる種類もおり、サボテンをよく訪れるミツバチです。ちなみに、サボテンミツバチ(Diadasia rinconis)は兜丸(Astrophytum astesias)の主要な花粉媒介者とされています。
以上が論文の簡単な要約です。
論文では訪花昆虫の行動別に重要度を分けています。著者らはミツバチの採蜜行動を評価しているようです。しかし、一般的に花粉媒介者を調べる時は、受粉したかを確認することが普通です。それは昆虫と鳥、昆虫とコウモリなどネットなどを用いサイズで花を訪れることが出来ないようにしたりして、受粉率を比較します。ただ、今回はサイズで分けることが出来ません。実験室でそれぞれの昆虫を鸞鳳玉の花と同じケージなどに入れ、花を訪れた後に柱頭についた花粉を数えるなどの確認が必要かも知れませんね。
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