我々趣味家にとって、サボテンは育てるものであり、ある意味では観葉植物と言えます。しかし、世界では観賞用だけではなく、様々な用途に利用しています。例えば、ウチワサボテンを家畜の餌にしたり、色素をとるためにコチニールカイガラムシを育てたりします。また、ドラゴンフルーツの実は日本でも販売していることがあり、食べたことがある人もいるでしょう。しかし、それらのほとんどは近代以降のグローバル化が進んだ後の話で、まだ文化と呼べるものではないでしょう。考えてみれば、サボテンの自生地には大昔から人が暮らしており、身近な植物を利用して来ました。当然ながらサボテンも活用してきたはずです。簡潔にまとめられた論文を見つけましたので、ご紹介します。それは、Kamila Marques Pedrosaらの2018年の論文、『Traditional Techniques for the Management of Cactaceae in the Americas: The Relationship between Use and Conservation』です。
サボテンは季節的な干ばつの間に、人間の食糧、家畜の飼料、および薬として、管理の下で使用されます。サボテンは長い干ばつ期間中に人間が利用可能な数少ない水源の1つです。例えば、ブラジル北東部の内陸部にあるCaatingaサボテンの種類と個体数が最も豊富で、19属62種類が確認されています。Pilosocereus pachycladusやCereus jamacaru、Pilosocereus gounelleiは地元の人々に最も利用されているサボテンです。ブラジルの半乾燥地域の農村は家畜の飼育を主な生活手段としています。年間を通じて牧草が手に入らないので、サボテンが家畜の飼料として利用されています。
Tehuacan-Cuicatlan渓谷では、1400年前の柱サボテンの食糧としての記録があります。さらに、幻覚作用のあるメスカリンを含むPeyote(Lophophora williamsii)やSan Pedroサボテン(Trichocereus pachanoi)は非常に古くから儀式に使用されてきました。San Pedroサボテンは3000年以上に渡りアンデス山脈で宗教的な占いなどに使用されており、初期のChavin文化(紀元前900年頃)には驚くほどリアルなサボテンの絵が残されています。
サボテンのいくつかの種は伝統的に使用され、挿し木により維持できる種類が選択され、管理を受けている可能性があります。好ましい特性を意図的に選択することは、選抜されて野生型とは異なる姿になっているかも知れません。このように、地元住民が望む果実の大きさや甘さ、肉質などは選抜され、有用ではないサボテンは排除されてきたようです。
サボテンの管理は、目的の個体を保護し害虫などを排除し、有用なサボテンが拡大します。また、肥料や剪定などにより、個体数の増加を促進します。種子の播種や移植も行われています。
ブラジルでは、地域の経済や文化におけるサボテンの重要性から、サボテンの管理に関する研究が行われています。伝統的な管理技術が遺伝的変異とどう関係するのか、あるいはCereus jamacaruの栽培植物としての側面を理解しようとしています。C. jamacaruはブラジル半乾燥地域の地元住民により集中的に使用されるサボテンです。しかし、現在のサボテンの乱獲と、再生プロセスの欠如が環境問題を引き起こし、個体数の減少につながる可能性があることが指摘されています。
以上が論文の簡単な要約です。
意外と実例が少なく総論的な内容でした。しかし、論文にある伝統的なサボテン管理は重要な概念かも知れません。なぜなら、資源を管理し維持出来ると言うことは、再生可能ということだからです。人口が増えて人が外部から流入するようになると、伝統的な管理による資源では足りなくなり、焼畑や伐採による牧場化が行われ、やがて伝統的な管理方法は衰退し忘れ去られていきます。ところが、これらの開発では再生力がないため、次々と新しい土地を開拓し続ける必要があります。当然ながらそこには絶滅危惧種の希少なサボテンも沢山自生していますから、大変な脅威と言えるでしょう。ですから、人口規模を考慮した伝統的な管理方法が求められるのです。伝統的な管理方法ではすぐに規模を急拡大出来ないため、人口の爆発的な増加には適応は難しかったのでしょう。しかし、計画的に時間をかければ準備は可能なはずです。サボテンの未来のためにも、このような研究が発展することを望みます。
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サボテンは季節的な干ばつの間に、人間の食糧、家畜の飼料、および薬として、管理の下で使用されます。サボテンは長い干ばつ期間中に人間が利用可能な数少ない水源の1つです。例えば、ブラジル北東部の内陸部にあるCaatingaサボテンの種類と個体数が最も豊富で、19属62種類が確認されています。Pilosocereus pachycladusやCereus jamacaru、Pilosocereus gounelleiは地元の人々に最も利用されているサボテンです。ブラジルの半乾燥地域の農村は家畜の飼育を主な生活手段としています。年間を通じて牧草が手に入らないので、サボテンが家畜の飼料として利用されています。
Tehuacan-Cuicatlan渓谷では、1400年前の柱サボテンの食糧としての記録があります。さらに、幻覚作用のあるメスカリンを含むPeyote(Lophophora williamsii)やSan Pedroサボテン(Trichocereus pachanoi)は非常に古くから儀式に使用されてきました。San Pedroサボテンは3000年以上に渡りアンデス山脈で宗教的な占いなどに使用されており、初期のChavin文化(紀元前900年頃)には驚くほどリアルなサボテンの絵が残されています。
サボテンのいくつかの種は伝統的に使用され、挿し木により維持できる種類が選択され、管理を受けている可能性があります。好ましい特性を意図的に選択することは、選抜されて野生型とは異なる姿になっているかも知れません。このように、地元住民が望む果実の大きさや甘さ、肉質などは選抜され、有用ではないサボテンは排除されてきたようです。
サボテンの管理は、目的の個体を保護し害虫などを排除し、有用なサボテンが拡大します。また、肥料や剪定などにより、個体数の増加を促進します。種子の播種や移植も行われています。
ブラジルでは、地域の経済や文化におけるサボテンの重要性から、サボテンの管理に関する研究が行われています。伝統的な管理技術が遺伝的変異とどう関係するのか、あるいはCereus jamacaruの栽培植物としての側面を理解しようとしています。C. jamacaruはブラジル半乾燥地域の地元住民により集中的に使用されるサボテンです。しかし、現在のサボテンの乱獲と、再生プロセスの欠如が環境問題を引き起こし、個体数の減少につながる可能性があることが指摘されています。
以上が論文の簡単な要約です。
意外と実例が少なく総論的な内容でした。しかし、論文にある伝統的なサボテン管理は重要な概念かも知れません。なぜなら、資源を管理し維持出来ると言うことは、再生可能ということだからです。人口が増えて人が外部から流入するようになると、伝統的な管理による資源では足りなくなり、焼畑や伐採による牧場化が行われ、やがて伝統的な管理方法は衰退し忘れ去られていきます。ところが、これらの開発では再生力がないため、次々と新しい土地を開拓し続ける必要があります。当然ながらそこには絶滅危惧種の希少なサボテンも沢山自生していますから、大変な脅威と言えるでしょう。ですから、人口規模を考慮した伝統的な管理方法が求められるのです。伝統的な管理方法ではすぐに規模を急拡大出来ないため、人口の爆発的な増加には適応は難しかったのでしょう。しかし、計画的に時間をかければ準備は可能なはずです。サボテンの未来のためにも、このような研究が発展することを望みます。
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