かつて、Aloeに近縁と考えられていた、HaworthiaやGasteria、Astrolobaは、近年の遺伝的解析の結果においてもやはり近縁であることが判明しました。アロエ属自体が分解されたこともあり、このAloeに近縁な仲間をまとめてアロエ類と呼んでいます。このアロエ類の増やし方と言えば、種子をまくか葉挿しが一般的でしょう。Haworthiaは割と増えやすいので株分け出来ますし、葉挿しも容易です。Gasteriaは小型種は良く子を吹くので株分けで増やせますが、大型種は中々増えにくいものです。また、Gasteriaは葉挿しも出来ますが、難しいものもあるようです。Aloeは葉挿しは出来ません。小型種は容易に子を吹くものが多く、中型種でも割と子を吹きます。茎が伸びるものは、茎を切って挿し穂に出来ます。しかし、Aloeには子を吹かず、茎も伸びないような種もあるため、繁殖は種子によるしかないものもあります。
さて、このような増やし方をされているアロエ類ですが、バイオテクノロジー分野での培養技術についても検討がされています。本日ご紹介するのは、Arthur M. Richwineの1995年の論文、『Establishment of Aloe, Gasteria, and Haworthia Shoot Culture from Inflorescence Explants』です。この論文は、人工的な培地上でアロエ類を培養して増やすことを目的としています。早速内容を見ていきましょう。
今回、実験に使用したのはAloe 、Gasteria、Haworthiaというアロエ類です。種類としては、Aloe barbadensis、Aloe harlana、Gasteria liliputiana、Gasteria species(不明種)、Haworthia attenuata、Haworthia coarctata、Haworthia limifoliaでした。
人工培養では、不定形の細胞塊を作るカルス培養が一般的ですが、著者はシュート培養に挑んでいます。シュート培養は培養上で植物組織を培養し、茎と葉がついたシュートが出来て伸長します。シュート培養は、著者により確立した、red yucca (Hesperaloe parviflora)の花序を用いた方法を適応しています。zeatin ribosideという物質を含んだ培地に、アロエ類の未熟な花序を1cmの長さに切断して培養します。切断した花序は、薄めた塩素系漂白剤と界面活性剤に浸けて表面を滅菌しています。25℃で白色蛍光灯を当て、6週間ごとに新しい培地に移しました。
結果は8週間以内に、Aloe 2種、Haworthia3種、G. liliputianaでは、苞葉の窪みからシュートが出て来ました。12週までにG. speciesからシュートが出て来ました。
シュートは長期維持が可能で、8ヶ月維持されました。シュートは通常培地に移すだけで、植物ホルモンの添加なしでも容易に発根し、その後に土壌に植栽されました。
以上が論文の簡単な要約です。
シュート培養について、私は詳しくは知らないのですが、花茎から増やす面白い方法だと思いました。一般的に植物を増やすバイオ技術としては、カルス培養があります。このカルス培養は、葉も根もない細胞の塊を増やし、植物ホルモンを添加することにより葉や根を形成させる方法です。簡単に増やすことが出来ない洋蘭では、昔から使用されてきました。カルス培養はほぼ無限に増やせますから、非常に効率の良い方法です。しかし、不定形の細胞を爆発的に増やすせいか突然変異が起きやすく、増やせば増やすほど変異が蓄積していきます。しかし、シュート培養は大量生産には向きませんが、突然変異を起こしにくい方法です。園芸目的の生産より、希少な野生植物の増殖においてより有効な増殖方法ではないでしょうか。
そう言えば、胡蝶蘭は稀に花茎から子を吹くことがありますが、私の育てている多肉植物でも花茎から子を吹くことがありました。そもそも、花茎は子を作る能力がはじめからあるのでしょう。
Gasteria distichaですが、花茎から芽が出ています。
拡大するとちゃんと葉があります。これを挿し木すれば増やすことが出来ます。
Euphorbia globosaの花茎の先端(左上)からも、子が出来ています。
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さて、このような増やし方をされているアロエ類ですが、バイオテクノロジー分野での培養技術についても検討がされています。本日ご紹介するのは、Arthur M. Richwineの1995年の論文、『Establishment of Aloe, Gasteria, and Haworthia Shoot Culture from Inflorescence Explants』です。この論文は、人工的な培地上でアロエ類を培養して増やすことを目的としています。早速内容を見ていきましょう。
今回、実験に使用したのはAloe 、Gasteria、Haworthiaというアロエ類です。種類としては、Aloe barbadensis、Aloe harlana、Gasteria liliputiana、Gasteria species(不明種)、Haworthia attenuata、Haworthia coarctata、Haworthia limifoliaでした。
人工培養では、不定形の細胞塊を作るカルス培養が一般的ですが、著者はシュート培養に挑んでいます。シュート培養は培養上で植物組織を培養し、茎と葉がついたシュートが出来て伸長します。シュート培養は、著者により確立した、red yucca (Hesperaloe parviflora)の花序を用いた方法を適応しています。zeatin ribosideという物質を含んだ培地に、アロエ類の未熟な花序を1cmの長さに切断して培養します。切断した花序は、薄めた塩素系漂白剤と界面活性剤に浸けて表面を滅菌しています。25℃で白色蛍光灯を当て、6週間ごとに新しい培地に移しました。
結果は8週間以内に、Aloe 2種、Haworthia3種、G. liliputianaでは、苞葉の窪みからシュートが出て来ました。12週までにG. speciesからシュートが出て来ました。
シュートは長期維持が可能で、8ヶ月維持されました。シュートは通常培地に移すだけで、植物ホルモンの添加なしでも容易に発根し、その後に土壌に植栽されました。
以上が論文の簡単な要約です。
シュート培養について、私は詳しくは知らないのですが、花茎から増やす面白い方法だと思いました。一般的に植物を増やすバイオ技術としては、カルス培養があります。このカルス培養は、葉も根もない細胞の塊を増やし、植物ホルモンを添加することにより葉や根を形成させる方法です。簡単に増やすことが出来ない洋蘭では、昔から使用されてきました。カルス培養はほぼ無限に増やせますから、非常に効率の良い方法です。しかし、不定形の細胞を爆発的に増やすせいか突然変異が起きやすく、増やせば増やすほど変異が蓄積していきます。しかし、シュート培養は大量生産には向きませんが、突然変異を起こしにくい方法です。園芸目的の生産より、希少な野生植物の増殖においてより有効な増殖方法ではないでしょうか。
そう言えば、胡蝶蘭は稀に花茎から子を吹くことがありますが、私の育てている多肉植物でも花茎から子を吹くことがありました。そもそも、花茎は子を作る能力がはじめからあるのでしょう。
Gasteria distichaですが、花茎から芽が出ています。
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