最近、Euphorbia confinalis subsp. rhodesiacaという、柱サボテン状のユーフォルビアを少しに見かけるようになりました。このユーフォルビアは大変美しい模様が入ります。しかし、ついこの間、川崎市にあるタナベフラワーさんで開催された多肉植物のイベントで、奈良からお越しのたにっくん工房さんからEuphorbia confinalisを購入しました。subsp. rhodesiacaと書かない以上は、これはsubsp. confinalisのことなのでしょう。これはまだ若い個体で、特徴が完全に明らかではない可能性もあり、比較は難しいかも知れません。しかし、中々情報が少なくやや難儀しましたが、多少は情報が集まりましたから列挙してみましょう。

とりあえずは、キュー王立植物園のデータベースで、現在認められている正しい学名を調べてみましょう。というのも、インターネットで検索すると「rhodesiaca」だったり「rhodesica」、あるいは「rhodesia」だったりと様々だからです。
E. confinalisの命名は割と遅く、1951年のEuphorbia confinalis R.A.Dyerです。R.A.Dyerとは、南アフリカの植物学者、分類学者であるRobert Allen Dyerのことです。ヒガンバナ科植物と多肉植物を専門としていました。
1966年には亜種rhodesiacaが命名されました。Euphorbia confinalis subsp. rhodesiaca L.C.Leachです。亜種rhodesiacaはジンバブエに分布します。L.C.Leachとは、ローデシアのアマチュア出身の植物学者であるLeslie Charles "Larry" Leachのことです。自費でスタペリア、ユーフォルビア、アロエを収集し研究しました。
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Euphorbia confinalis subsp. rhodesiaca

亜種rhodesiacaが命名されたことにより、亜種rhodesiaca以外のE. confinalisはEuphorbia confinalis subsp. confinalisとなりました。亜種confinalisはモザンビーク、ジンバブエ、南アフリカ北部州に分布します。
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Euphorbia confinalis subsp. confinalis

JSTORという論文などの電子ファイルを提供するサイトに、特徴が記されていたので見てみましょう。ただし、ここでいうE. confinalisが、亜種コンフィナリスを指しているかは不明です。もしかしたら、亜種ロデシアカを含んだ解説かも知れません。
◎E. confinalisは高さ4.5〜8(9.5)mの多肉質でトゲのある高木です。幹は単頭か数本の主枝から上向きの枝を出します。枝は長さ1〜1.5mで、3〜5稜です。稜の盾(稜の硬い部分)は、若い時は隣と離れており、やがてつながるようになります。トゲは0.5〜12mmで、すぐに脱落する葉は1mm×1mmくらいです。集散花序はトゲの2〜5mm上に水平に1〜3個あり、Cyathiaは垂直にあります。花柄は長さ2mm、集散花序の枝は長さ3mmほどです。Cyathiaは4.5〜6.5mmでカップ状の総苞があります。腺(glands)は幅2〜2.5mmで緑がかる黄色で、裂片(lobes)は1.5mm×1.5mmで丸く、深い鋸歯があります。雄花の苞葉の長さは3mmで葉状で、雄しべの長さは4〜5mmです。雌花の花被は三角形で直径3mm、花柱は長さ1.5〜3mmで途中で結合し頂端は二裂します。蒴果は深く裂け5mm×8mmで、長さ5〜8mmの反り返った枝があります。
◎Euphorbia confinalis subsp. rhodesiacaの幹は5〜6稜で、通常は枝がいくつもあります。末端の枝は4〜5稜です。トゲは強固で、長さ12mmまでです。

World of Succulentというサイトに、Euphorbia confinalis subsp. confinalisの情報があったので見てみます。サイトによると、「Labombo Euphorbia」という名前もあるようです。ここでは、両性花が指摘されています。
◎高さ9.5mまで生長するトゲのある多肉植物です。枝は単純かいくつかの枝があり、それぞれに湾曲した上向きの枝の冠があります。枝は3〜5稜で、淡い緑色から青緑色で、長さは最大1.5mmになります。トゲは対になっており、最大0.8mmです。花は小さく淡黄色で、トゲのすぐ上に3個のグループで咲きます。中央が雄花で、他2つは両性花です。

Flora of Zimbabweというサイトに亜種ロデシアカについての記述がありました。
◎多肉質のトゲのある木で、主幹はいくつかの幹のような枝に分かれており、それぞれの枝には湾曲した上向きの枝が冠されています。この亜種は5〜6本の稜、より多くの主枝、連続的なトゲにより亜種コンフィナリスと区別されます。

いくつかのサイトを見てみましたが、なにやら似たような文言が並びます。おそらくは、共通した元ネタがあるのでしょう。とはいえ、元の文章がどこから来ているのかは分かりませんが…

さて、次いでE. confinalisの分類を確認しておきましょう。まずは
アメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)のTaxonony browserで検索してみます。
subgenus Euphorbia
section Euphorbia
つまりは、ユーフォルビア属(トウダイグサ属)、ユーフォルビア亜属、ユーフォルビア節ということです。ユーフォルビア節は、柱サボテン状の多肉質なユーフォルビアのほとんどが含まれる巨大なグループです。

次に2013年に発表された『Phylogenetics, morphological evolution, and classification of Euphorbia subgenus Euphorbia』という論文を見てみましょう。この論文ではユーフォルビアの遺伝子を解析しています。論文によると、E. confinalisに近縁なユーフォルビアは、E. evansii、E. grandidens、E. ramipressa、E. tanaensis、E. tetragonaあたりのようです。

2012年の『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』という論文では、E. confinalisは1951年の『Bothalia』という雑誌の6号222ページにおいて記載されたとあります。タイプ標本は南アフリカのTransvaal、Krunger国立公園は「The Gorge Camp」において、1949年の5月20日にCodd & De Winterにより採取されたものだそうです。

まあ、こんなところでしょうか。結局、大した情報はありませんでしたね。それはそうと、柱サボテン状のユーフォルビアはE. confinalisのように斑入りのものが多いのですが、この模様は種類ごとに決まったパターンがあるわけではありません。同じ模様でも異なる種類かも知れませんし、逆に異なる模様でも同じ種類かも知れません。一番重要なポイントは花ですが柱サボテン状ユーフォルビアはある程度のサイズにならないと開花しないものもありますから、トゲや稜、幹の形などの特徴で見分ける必要があります。


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