Euphorbia multifoliaは南アフリカ原産のユーフォルビアです。最近、入手しましたが、意外と情報がありません。論文も見つかりませんでした。仕方がないので公的なデータベース含め情報を少し漁ってみました。

Euphorbia multifolia
種小名は「multi+folia」で、意味は「沢山の+葉」です。
調べて出てくるのは販売サイトばかりで、肝心のE. multifolia自体の情報はあまり得られませんでした。ただし、LLIFLE というサイトに多少の情報がありました。少し見ていきましょう。
南アフリカの西ケープ州、Karoo南部のLadimithとPrince Albert、KleinとGroot SwarbergからLaingsburgの範囲に分布します。5つの個体群がありますが、一般にアクセス出来ない場所に生えるため、さらに多くの生息地がある可能性があります。Nama KarooとSucculent Karooに局地的に生え、高い標高を好み、山の斜面、急な崖、岩上でSenecio haworthiiとともに見られます。夏に葉を落とすこともあれば落とさないこともあります。しかし、干魃がおこると葉を落とします。
E. multifoliaはトゲのない多年生の多肉質な低木で、高さ15cm(〜30cm)くらいでクッション状に育ちます。E. eustaceiとよく似ていますが、E. multifoliaの葉はより細く先端が切断されたかのように見えることから区別できます。

葉の先端はまるでカットされたようです。
次に、南アフリカ国立生物多様性研究所(Southern African National Biodiversity Institute)の「Red List of South African Plants」を見てみましょう。2007年5月30日のJ.H.Vlok & D.Raimondoの生息地の調査によると、5つの亜集団がありますが、生息地は一般にアクセス出来ないため、さらに多くの亜集団が存在する可能性があります。どうやら、LLIFLEの記述の一部はここから来ているようですね。ちなみに、LLIFLEにある生息地の情報もこのサイトから来ているみたいです。
アクセスしやすい地域に生えるものはコレクターによりすでにかなり失われていますが、個体群の大半は容易に行くことが難しい急な崖に生えるため、違法採取によりE. multifoliaが大幅に減少したり絶滅する可能性は低いということです。
さて、続いてキュー王立植物園のデータベースで検索してみると、1941年にEuphorbia multifolia A.C.white, R.A.Dyer & B.sloaneと命名され、異名はないようです。また、「Succ. & Euphorb.: 962(1941)」において初めて記載されたらしいのですが、残念ながら当該論文を見つけることは出来ませんでした。
しかし、データベースが根拠とした資料になにやら見覚えがあります。P.V.Bruynsの2014年の論文、『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』です。この論文は、南アフリカのユーフォルビアについて、命名者や命名年、タイプ標本についてなど、学名の根拠となる情報が収集されたものです。私もブログで度々利用させて貰っています。
タイプ標本はHerreが1939年の8月にLaingsburgからLadismithに向かう30マイルで採取したようです。Whiteら(1941年)は、同じ産地でSmithとHerreがE. multifoliaを採取し、Smithの標本をタイプ標本に指定しました。しかし、Smithの標本が失われたため、Herreの標本がレクトタイプ(※)に指定されています。
※ ) 命名される時の基準となるホロタイプが指定されていなかったり失われた際に、新たに指定されるタイプ標本。
では、E. multifoliaの分類はどうでしょうか。とりあえず、アメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)のTaxonony browserで検索してみます。
Euphorbia subgen. Athymalus
Euphorbia sect. Anthacanthae
Euphorbia subsect. Florirpinae
Euphorbia ser. Hystrix
要するに、E. multifoliaは、ユーフォルビア属、アティマルス亜属、アンタカンタ節、フロリスピナ亜節、ヒストリクス列に分類されるということです。
ヒストリクス列にはE. bupleurifolia、E. loricata、E. multifolia、E. oxystegiaが含まれます。意外にも鉄甲丸(E. bupleurifolia)に近縁なようですね。
とまあ、とりあえずはこんなものです。大した情報はありませんでしたが、意外にもかなり厳しい環境に生えるようです。情報はないなりに、一応は調べてみるものですね。
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Euphorbia multifolia
種小名は「multi+folia」で、意味は「沢山の+葉」です。
調べて出てくるのは販売サイトばかりで、肝心のE. multifolia自体の情報はあまり得られませんでした。ただし、LLIFLE というサイトに多少の情報がありました。少し見ていきましょう。
南アフリカの西ケープ州、Karoo南部のLadimithとPrince Albert、KleinとGroot SwarbergからLaingsburgの範囲に分布します。5つの個体群がありますが、一般にアクセス出来ない場所に生えるため、さらに多くの生息地がある可能性があります。Nama KarooとSucculent Karooに局地的に生え、高い標高を好み、山の斜面、急な崖、岩上でSenecio haworthiiとともに見られます。夏に葉を落とすこともあれば落とさないこともあります。しかし、干魃がおこると葉を落とします。
E. multifoliaはトゲのない多年生の多肉質な低木で、高さ15cm(〜30cm)くらいでクッション状に育ちます。E. eustaceiとよく似ていますが、E. multifoliaの葉はより細く先端が切断されたかのように見えることから区別できます。

葉の先端はまるでカットされたようです。
次に、南アフリカ国立生物多様性研究所(Southern African National Biodiversity Institute)の「Red List of South African Plants」を見てみましょう。2007年5月30日のJ.H.Vlok & D.Raimondoの生息地の調査によると、5つの亜集団がありますが、生息地は一般にアクセス出来ないため、さらに多くの亜集団が存在する可能性があります。どうやら、LLIFLEの記述の一部はここから来ているようですね。ちなみに、LLIFLEにある生息地の情報もこのサイトから来ているみたいです。
アクセスしやすい地域に生えるものはコレクターによりすでにかなり失われていますが、個体群の大半は容易に行くことが難しい急な崖に生えるため、違法採取によりE. multifoliaが大幅に減少したり絶滅する可能性は低いということです。
さて、続いてキュー王立植物園のデータベースで検索してみると、1941年にEuphorbia multifolia A.C.white, R.A.Dyer & B.sloaneと命名され、異名はないようです。また、「Succ. & Euphorb.: 962(1941)」において初めて記載されたらしいのですが、残念ながら当該論文を見つけることは出来ませんでした。
しかし、データベースが根拠とした資料になにやら見覚えがあります。P.V.Bruynsの2014年の論文、『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』です。この論文は、南アフリカのユーフォルビアについて、命名者や命名年、タイプ標本についてなど、学名の根拠となる情報が収集されたものです。私もブログで度々利用させて貰っています。
タイプ標本はHerreが1939年の8月にLaingsburgからLadismithに向かう30マイルで採取したようです。Whiteら(1941年)は、同じ産地でSmithとHerreがE. multifoliaを採取し、Smithの標本をタイプ標本に指定しました。しかし、Smithの標本が失われたため、Herreの標本がレクトタイプ(※)に指定されています。
※ ) 命名される時の基準となるホロタイプが指定されていなかったり失われた際に、新たに指定されるタイプ標本。
では、E. multifoliaの分類はどうでしょうか。とりあえず、アメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)のTaxonony browserで検索してみます。
Euphorbia subgen. Athymalus
Euphorbia sect. Anthacanthae
Euphorbia subsect. Florirpinae
Euphorbia ser. Hystrix
要するに、E. multifoliaは、ユーフォルビア属、アティマルス亜属、アンタカンタ節、フロリスピナ亜節、ヒストリクス列に分類されるということです。
ヒストリクス列にはE. bupleurifolia、E. loricata、E. multifolia、E. oxystegiaが含まれます。意外にも鉄甲丸(E. bupleurifolia)に近縁なようですね。
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