昨日はマダガスカルのユーフォルビアの形態と乾燥条件などの関係についての論文をご紹介しました。Margaret Evanceらの2014年の論文、「Insights on the Evolution of Plants Succulent from Remarkble Radiation in Madagascar (Euphorbia)」です。実はこの論文ではマダガスカルのユーフォルビアの系統関係についても調べられています。興味深い内容ですので、系統関係を見てみましょう。ちなみに、その植物が生える地域の降水量も添えました。育てる際の参考になるかも知れません。

Section Goniostema
Goniostema節は一般に花キリンと呼ばれ、花卉として様々な園芸品種が流通しています。その多くは木質化した枝から葉を出し、トゲがあるものも多く、塊根性のものもあります。論文では5つのクレードに分けており、それはlophogona clade、milii clade、primurifolia clade、boissieri clade、thuarsiana cladeです。

①lophogona clade
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Euphorbia moratii 降水量1320mm

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Euphorbia didiereoides 降水量856mm

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Euphorbia gottlebei 降水量674mm

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Euphorbia rossii 降水量717mm

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Euphorbia pedilanthoides 降水量1540mm

②milii clade
milii cladeは塊根性花キリンを沢山含みます。なお、E. miliiは命名の由来が不明であり、正確にはどの種類を示しているか分かっていませんでした。しかし、2022年の論文によると、葉の先端を切ったような形の花キリンがE. miliiであるとしています。今までE. miliiとされてきた、様々な色の花を咲かせ楕円形の葉を持つ、よく栽培される花キリンはE. splendensとなっています。

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Euphorbia tulearensis 降水量387mm

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Euphorbia cylindrifolia 降水量874mm

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Euphorbia ambovombensis 降水量559mm

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Euphorbia cap-saintemariensis 降水量422mm

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Euphorbia decaryi 降水量730mm
※現在は、E. boiteauiとなっています。


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Euphorbia francoisii 降水量1607mm
※現在は、E. decaryiとなっています。

③primulifolia clade
この論文では、E. primulifoliaは産地によって、かなり遺伝的に異なることが分かりました。Horombe原産のE. primulifoliaはmilii cladeのE. waringiaeに近縁で、Isalo原産のE. primulifoliaもやはりmilii cladeでした。
E. primulifolia var. primulifoliaは降水量1376mm、Horombe原産のE. primulifoliaは降水量847mm、Isalo原産のE. primulifoliaは降水量792mmとかなりの違いがあります。


④boissieri clade
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Euphorbia viguieri 降水量1324mm

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Euphorbia guillauminiana 降水量1565mm

⑤thuarsiana clade
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Euphorbia neohumbdrtii 降水量1434mm

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Euphorbia ankarensis 降水量1486mm
※=E. denisiana var. ankarensis

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Euphorbia pachypodioides 降水量1627mm

Section Denisoforbia
Denisophorbia節は、葉や茎は多肉質ではなく低木状です。E. hedyotoides(降水量708mm)やE. mahabobokensis(降水量757mm)は塊根を持ちます。 
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Euphorbia bongolavensis 降水量1500mm

Section Deuterocalii
Deuterocalii節は緑色のやや多肉質な茎をもつ棒状の植物です。E. alluaudiiやE. cedrorum(降水量396mm)があります。
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Euphorbia alluaudii 降水量780mm

昨日解説したように、やはり塊根性のものはより乾燥地に生える傾向は確かなようです。私もこの論文は非常に勉強になりました。例えば、E. pachypodioidesはあれほど高度に茎が多肉化しており、大量の水分を貯蔵していますから乾燥に強いと考えていました。しかし、E. pachypodioidesはかなり降水量が多い地域に自生していました。確かに、私はユーフォルビアは乾かし気味に育てていますが、E. pachypodioidesは葉を落としがちでしたし、今年は植え替えましたが思った以上に細根で如何にも乾燥に弱そうでした。これからは、水やりを多めに育てたいと思います。逆を言えば、塊根性のものは乾かし気味にする必要があるかも知れません。


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