ワシントン条約(CITES)とは、絶滅の可能性がある野生動植物の種の国際取引に関する条約です。主に野生動植物の保護を目的としています。多肉植物は様々な要因により絶滅が危惧される種が多く、ワシントン条約で取り引きが制限されているものもあります。今日はワシントン条約に関わるユーフォルビアについて見てみましょう。ちなみに、2018年発行のCITES2018を参考にしています。
ユーフォルビア属の概要
ユーフォルビア属は約2000種からなり、「spurges」の名前で知られています。草本のspurgesは世界中の温帯・熱帯に分布します。多肉植物であるspurgesは主に南アフリカと東アフリカの乾燥地帯、熱帯アジア、南北アメリカ、マダガスカルに自生します。CITESで規制されているspurgesは多肉植物のみです。
特徴
そのほとんどが1年草か多年草の草本ですが、多肉植物や木本も含まれます。すべての種類は切断すると乳液(latex)を出し、摂取すると毒性があり、皮膚には刺激性があります。多肉植物の葉は通常は少ないか落葉性です。しばしばトゲがあり、通常は対になります。花は色のついた苞葉という葉を含んだ花序からなり、派手ではありません。多くの多肉植物になるユーフォルビアはサボテンに似ています。
ユーフォルビアの利用
ユーフォルビアは世界中で利用されています。しかし、毒性があることから、食品や医薬品としての利用は制限される可能性があります。多肉植物となるユーフォルビアは、乾燥地の造園や観葉植物てして取り引きされます。各地の伝統医学である中医学、アーユルヴェーダ、ホメオパシーなどで利用されます。イボに対する薬、あるいは利尿・下剤としてE. antisyphilitica、E. candelabrum、E. lathyris、E. neriifolia、E. resinifera、E. tirucalli、E. trigonaなど、狩猟用としてE. cooperi、E. tirucalli、E. trigona、E. unispina、生きた柵(※1)としてE. tirucalli、E. miliiなどが利用されます。E. antisyphilitica(※2)から採取されるキャンデリラワックスは、ガムベース、インク、染料、接着剤、エマルジョン、ポリッシュ及び医薬品の製造に利用されます。観葉植物としてE. pulcherrima(ポインセチア)は一般的ですが、CITESでは規制されていません。

Euphorbia resinifera
(※1) おそらくは家畜を囲う柵としての利用。例えば、E. poissoniiはギニア湾沿いで家畜の囲いとして広く利用されます。
(※2) キャンデリラソウ。北米原産で鉛筆状の茎を持ち叢生します。
取り引き
CITESのデータベースによると、ほとんどの取り引きは人工繁殖させた植物であり、E. lacteaとE. miliiはタイ、オランダ、中国から輸出されています。マダガスカルの野生のユーフォルビア属(Euphorbia spp.)とE. primulifoliaは、主にフランス、米国、ドイツに輸出されています。タイと米国は人工繁殖させた附属書Iのユーフォルビアの最大の輸出国であり、最大の輸出品はE. francoisii(※3)です。抽出物などの取り引きはメキシコ原産のE.antisyphiliticaで、過去10年間で3100万kgを超えます。
(※3) 現在はE. francoisiiはE. decaryiです。今までE. decaryiと呼ばれていた植物はE. boiteauiとされています。
多肉植物のコレクターはマダガスカルから多くの矮性種、東アフリカからは新種を含む希少種を求めています。現在、コレクターに人気な種は、E. horwoodii、E. longituberculosa(※4)、E. susannae-marnierae、E. waringiae、E. bupleurifolia、E. bongalavensis(※5)、E. knuthii、E. hydrotoides、E. kondoi、E. mahabobokensis、E. razafindratsirae(※6)が含まれます。
(※4) 正式にはEuphorbia longetuberculosa。誤った学名が流通しています。

Euphorbia longetuberculosa
(※5) Euphorbia bongolavensisを指していると思われます。

Euphorbia bongolavensis
(※6) この名前は現在異名とされ、Euphorbia mangokyensisとなっています。

Euphorbia mangokyensis
附属書 I
附属書 Iがもっとも絶滅の可能性が高く規制が厳しい種です。主にマダガスカル原産の花キリンばかりです。
附属書 Iは絶滅の恐れのある種で、取り引きによる影響を受けている、あるいは受ける可能性があるものです。学術研究を目的とした取り引きは可能ですが、輸出国・輸入国双方の許可証が必要となります。以下の10種類です。

1, E. ambovombensis

2, E. cap-saintemariensis

3, E. cylindrifolia
(ssp. tuberiferaを含む)

4, E. decaryi(※3)
(var. ampanihyensis, var. robinsonii, var. spirostichaを含む)

5, E. francoisii(※3)

6, E. moratii
(var. antsingiensis, var. bemarahensis, var. multifloraを含む)
7, E. parvicyathophora
8, E. quartzicola

9, E. tulearensis
10, E. cremersii
(f. viridifolia, var. rakotozafyiを含む)
以上がCITESのユーフォルビアについてのページです。マダガスカル原産の花キリンばかりです。
しかし、現時点なことを言うと、この10種類がもっとも絶滅の可能性が高いというわけではないかもしれません。何故なら、多肉ユーフォルビアは自生地の調査がなされていないものが多く、情報不足な種も多いこからです。
さらにいえば、花キリンはコレクターに好まれるため多く取り引きされるため、ワシントン条約で規制されます。しかし、多くの多肉ユーフォルビアは原産地の開発などにより数を減らしているため、国際的な取り引きに制限をかけるワシントン条約では、その絶滅を防ぐことは出来ません。例えば、南アフリカ国内で絶滅危惧種に指定されている種などは、ワシントン条約で規制されていませんが非常に希少です。CITESのみが希少性あるいは絶滅危惧種を指し示しているわけではないことは知っておく必要があります。
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ユーフォルビア属の概要
ユーフォルビア属は約2000種からなり、「spurges」の名前で知られています。草本のspurgesは世界中の温帯・熱帯に分布します。多肉植物であるspurgesは主に南アフリカと東アフリカの乾燥地帯、熱帯アジア、南北アメリカ、マダガスカルに自生します。CITESで規制されているspurgesは多肉植物のみです。
特徴
そのほとんどが1年草か多年草の草本ですが、多肉植物や木本も含まれます。すべての種類は切断すると乳液(latex)を出し、摂取すると毒性があり、皮膚には刺激性があります。多肉植物の葉は通常は少ないか落葉性です。しばしばトゲがあり、通常は対になります。花は色のついた苞葉という葉を含んだ花序からなり、派手ではありません。多くの多肉植物になるユーフォルビアはサボテンに似ています。
ユーフォルビアの利用
ユーフォルビアは世界中で利用されています。しかし、毒性があることから、食品や医薬品としての利用は制限される可能性があります。多肉植物となるユーフォルビアは、乾燥地の造園や観葉植物てして取り引きされます。各地の伝統医学である中医学、アーユルヴェーダ、ホメオパシーなどで利用されます。イボに対する薬、あるいは利尿・下剤としてE. antisyphilitica、E. candelabrum、E. lathyris、E. neriifolia、E. resinifera、E. tirucalli、E. trigonaなど、狩猟用としてE. cooperi、E. tirucalli、E. trigona、E. unispina、生きた柵(※1)としてE. tirucalli、E. miliiなどが利用されます。E. antisyphilitica(※2)から採取されるキャンデリラワックスは、ガムベース、インク、染料、接着剤、エマルジョン、ポリッシュ及び医薬品の製造に利用されます。観葉植物としてE. pulcherrima(ポインセチア)は一般的ですが、CITESでは規制されていません。

Euphorbia resinifera
(※1) おそらくは家畜を囲う柵としての利用。例えば、E. poissoniiはギニア湾沿いで家畜の囲いとして広く利用されます。
(※2) キャンデリラソウ。北米原産で鉛筆状の茎を持ち叢生します。
取り引き
CITESのデータベースによると、ほとんどの取り引きは人工繁殖させた植物であり、E. lacteaとE. miliiはタイ、オランダ、中国から輸出されています。マダガスカルの野生のユーフォルビア属(Euphorbia spp.)とE. primulifoliaは、主にフランス、米国、ドイツに輸出されています。タイと米国は人工繁殖させた附属書Iのユーフォルビアの最大の輸出国であり、最大の輸出品はE. francoisii(※3)です。抽出物などの取り引きはメキシコ原産のE.antisyphiliticaで、過去10年間で3100万kgを超えます。
(※3) 現在はE. francoisiiはE. decaryiです。今までE. decaryiと呼ばれていた植物はE. boiteauiとされています。
多肉植物のコレクターはマダガスカルから多くの矮性種、東アフリカからは新種を含む希少種を求めています。現在、コレクターに人気な種は、E. horwoodii、E. longituberculosa(※4)、E. susannae-marnierae、E. waringiae、E. bupleurifolia、E. bongalavensis(※5)、E. knuthii、E. hydrotoides、E. kondoi、E. mahabobokensis、E. razafindratsirae(※6)が含まれます。
(※4) 正式にはEuphorbia longetuberculosa。誤った学名が流通しています。

Euphorbia longetuberculosa
(※5) Euphorbia bongolavensisを指していると思われます。

Euphorbia bongolavensis
(※6) この名前は現在異名とされ、Euphorbia mangokyensisとなっています。

Euphorbia mangokyensis
附属書 I
附属書 Iがもっとも絶滅の可能性が高く規制が厳しい種です。主にマダガスカル原産の花キリンばかりです。
附属書 Iは絶滅の恐れのある種で、取り引きによる影響を受けている、あるいは受ける可能性があるものです。学術研究を目的とした取り引きは可能ですが、輸出国・輸入国双方の許可証が必要となります。以下の10種類です。

1, E. ambovombensis

2, E. cap-saintemariensis

3, E. cylindrifolia
(ssp. tuberiferaを含む)

4, E. decaryi(※3)
(var. ampanihyensis, var. robinsonii, var. spirostichaを含む)

5, E. francoisii(※3)

6, E. moratii
(var. antsingiensis, var. bemarahensis, var. multifloraを含む)
7, E. parvicyathophora
8, E. quartzicola

9, E. tulearensis
10, E. cremersii
(f. viridifolia, var. rakotozafyiを含む)
以上がCITESのユーフォルビアについてのページです。マダガスカル原産の花キリンばかりです。
しかし、現時点なことを言うと、この10種類がもっとも絶滅の可能性が高いというわけではないかもしれません。何故なら、多肉ユーフォルビアは自生地の調査がなされていないものが多く、情報不足な種も多いこからです。
さらにいえば、花キリンはコレクターに好まれるため多く取り引きされるため、ワシントン条約で規制されます。しかし、多くの多肉ユーフォルビアは原産地の開発などにより数を減らしているため、国際的な取り引きに制限をかけるワシントン条約では、その絶滅を防ぐことは出来ません。例えば、南アフリカ国内で絶滅危惧種に指定されている種などは、ワシントン条約で規制されていませんが非常に希少です。CITESのみが希少性あるいは絶滅危惧種を指し示しているわけではないことは知っておく必要があります。
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