アロエの多くは、長い管状の橙・赤系統の花を咲かせ、蜜を求めて訪れた鳥により受粉する鳥媒花と考えられています。また、一部のアロエは比較的短い管状の白色かクリーム色の花を咲かせますが、これらは昆虫により受粉する虫媒花とされます。

Aloe parvula

Aloe albiflora
しかし、実際に観察や受粉の確認を調査されたアロエは少ないのが現状です。過去の研究は非常に重要な知見ですが、それを証拠に未調査のアロエについて語ることは果たして出来るのでしょうか? 私は一部の結果からすべてを結論付けることは非常に危ういと思います。ですから、花粉媒介のシステムについて何か面白い論文はないか探ってみました。見つけたのが、C. Botes, P. D. Wragg, S. D. Johnsonの2009年の論文、『New evidence for bee-pollination systems in Aloe (Asphodelaceae: Aloideae), a predominantly bird-pollinated genus』です。
一般的にアロエの受粉には鳥が重要であり、蜜蜂はアロエの受粉に寄与しない、いわゆる蜜泥棒(盗蜜者)とされています。しかし、著者らは蜜蜂とアロエの関係を見直しています。論文で観察されたのは、淡いピンクがかったクリーム色の花を咲かせるAloe minimaと、明るい緑がかった黄色の花を咲かせるAloe linearifoliaです。自生地はアロエの蜜を訪れる太陽鳥が複数種分布する地域だそうです。
さて、まずは実験的にこれらのアロエの花を自家受粉させてみましたが、ほとんど種子は出来ませんでした。次にアロエを網で覆い鳥が入れない状態にした場合、蜜蜂は網目から侵入しアロエの蜜を吸いました。この場合は鳥の受粉への影響がない状態ですが、アロエは種子が出来ました。さらに、自家受粉はほとんどしないことも確認済みですから、これらのアロエは蜜蜂により受粉していることが明らかになったのです。
ということで、著者らは考えられていた以上にアロエの受粉には蜜蜂が重要かも知れないとしています。
花の特徴を調べたところ、2種類とも花は紫外線を反射しました。動物は目で捉えられる波長が異なるため、紫外線を見ることが出来る昆虫にとっては、紫外線の反射は意味があるようです。また、これらのアロエの花は揮発性物質を放っており、その香りは人間の鼻でもわかる強さです。香りはテルペノイドとベンゼノイドが主要なものでしたが、A. minimaは6種類、A. linearifoliaは実に17種類の香り物質が検出されました。実際にA. linearifoliaの方が香りは強いそうです。このような花の特徴は虫媒花の特徴とされているようです。
以上が論文の簡単な要約です。以前にも記事にしましたが、Aloe feroxの花の受粉は主に蜜を吸う専門家である太陽鳥ではなく、蜜を専門としない日和見の鳥が受粉の主体であるという面白い結果でした。この時、蜜蜂は受粉に寄与しないことが確認されています。しかし、Aloe feroxは巨大アロエであり、むしろ特殊な例かもしれません。この論文からは、多くの中型~小型アロエの受粉に蜜蜂が関与している可能性すらあるのです。今後、もっと沢山の種類のアロエの受粉について調査がなされるべきでしょう。
また、論文で調査されたクリーム色や薄い黄色などの淡い色合いで香りがある花には、一般的に蛾が訪れる蛾媒花が多い傾向があります。夜間の調査も必要ではないかと感じました。
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しかし、実際に観察や受粉の確認を調査されたアロエは少ないのが現状です。過去の研究は非常に重要な知見ですが、それを証拠に未調査のアロエについて語ることは果たして出来るのでしょうか? 私は一部の結果からすべてを結論付けることは非常に危ういと思います。ですから、花粉媒介のシステムについて何か面白い論文はないか探ってみました。見つけたのが、C. Botes, P. D. Wragg, S. D. Johnsonの2009年の論文、『New evidence for bee-pollination systems in Aloe (Asphodelaceae: Aloideae), a predominantly bird-pollinated genus』です。
一般的にアロエの受粉には鳥が重要であり、蜜蜂はアロエの受粉に寄与しない、いわゆる蜜泥棒(盗蜜者)とされています。しかし、著者らは蜜蜂とアロエの関係を見直しています。論文で観察されたのは、淡いピンクがかったクリーム色の花を咲かせるAloe minimaと、明るい緑がかった黄色の花を咲かせるAloe linearifoliaです。自生地はアロエの蜜を訪れる太陽鳥が複数種分布する地域だそうです。
さて、まずは実験的にこれらのアロエの花を自家受粉させてみましたが、ほとんど種子は出来ませんでした。次にアロエを網で覆い鳥が入れない状態にした場合、蜜蜂は網目から侵入しアロエの蜜を吸いました。この場合は鳥の受粉への影響がない状態ですが、アロエは種子が出来ました。さらに、自家受粉はほとんどしないことも確認済みですから、これらのアロエは蜜蜂により受粉していることが明らかになったのです。
ということで、著者らは考えられていた以上にアロエの受粉には蜜蜂が重要かも知れないとしています。
花の特徴を調べたところ、2種類とも花は紫外線を反射しました。動物は目で捉えられる波長が異なるため、紫外線を見ることが出来る昆虫にとっては、紫外線の反射は意味があるようです。また、これらのアロエの花は揮発性物質を放っており、その香りは人間の鼻でもわかる強さです。香りはテルペノイドとベンゼノイドが主要なものでしたが、A. minimaは6種類、A. linearifoliaは実に17種類の香り物質が検出されました。実際にA. linearifoliaの方が香りは強いそうです。このような花の特徴は虫媒花の特徴とされているようです。
以上が論文の簡単な要約です。以前にも記事にしましたが、Aloe feroxの花の受粉は主に蜜を吸う専門家である太陽鳥ではなく、蜜を専門としない日和見の鳥が受粉の主体であるという面白い結果でした。この時、蜜蜂は受粉に寄与しないことが確認されています。しかし、Aloe feroxは巨大アロエであり、むしろ特殊な例かもしれません。この論文からは、多くの中型~小型アロエの受粉に蜜蜂が関与している可能性すらあるのです。今後、もっと沢山の種類のアロエの受粉について調査がなされるべきでしょう。
また、論文で調査されたクリーム色や薄い黄色などの淡い色合いで香りがある花には、一般的に蛾が訪れる蛾媒花が多い傾向があります。夜間の調査も必要ではないかと感じました。
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