ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2025年08月

7月に行った小石川植物園の続きです。温室に入っています。珍しい熱帯植物が沢山ありました。


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Melaleuca cajupti subsp. cumingiana
フトモモ科ですが、オーストラリアだけではなく東南アジアに広く分布します。亜種クミンギアナは沿岸部の湿地林に生えるそうです。フトモモ科ですからブラシ状の花が咲きます。カユプテオイルと呼ばれるエッセンシャルオイルとして利用されます。

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幹肌は大変な荒れ性です。


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フトモモ Syzygium jambos
ブラシノキの仲間(Callistemon)やチョウジ(Syzygium aromaticum)などフトモモ科の植物は植物園でそれなりに見ていますが、フトモモは初めて見ました。しかし、近年のオージープランツの流行によりフトモモ科植物も見かけるようになってきました。レンブ(S. samarangense)のような面白い実がなります。


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Eupomatia bennettii
なんとびっくり、エウポマティアですよ。3種しかないエウポマティア科は分類学の本を読んでいると出てくる馴染みのない分類群でしたが、ようやく出会えました。小石川植物園ではグネツムに次ぐ驚きでした。


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ユチャ(油茶) Camellia oleifera
カメリア、つまりは椿やお茶の木の仲間です。種子から油を採るために栽培されます。中国、インドシナの原産。


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セイロンニッケイ Cinnamomum verum
いわゆる、「真のシナモン」。現在一般的に使われているのはシナニッケイ(C. cassia)ですが、セイロンニッケイの方が上質と言われています。

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シナモンの特徴的な葉。シナモンは植物園の温室では割りと見かけます。


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Schotia capitata
アフリカ南部の乾燥地に生えるマメ科の灌木。ちょうど開花していました。


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ゴレンシ Averrhoa carambola
いわゆる、「スターフルーツ」ですが、花が咲いていました。その面白い果実は夢の島熱帯植物館で鈴なりになっているのを見たことがあります。花は初めて見ました。


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植物の中には樹液にゴム質を含むものもあり、植物を傷つけるとやや粘着質な白い乳液を出します。一般的に乳液が白いのはゴムの色によるものでしょう。一部、白色ではない乳液を持つ植物もありますが、やはり白色の乳液が圧倒的多数です。多肉植物で乳液と言えばユーフォルビアですが、Fockea edulisなども乳液を出します。ということで、本日は乳液の色についての論考を取り上げましょう。参照とするのはSimcha Lev-Yudunの2014年の論文、『Why is latex usually white and only sometimes yellow, orange or red? Simultaneous visual and chemical plant defense』です。


植物の乳液とは何か
乳液は植物の化学的・物理的な防御手段として広く用いられ、傷がつくと乳管から分泌されます。乳液は複数回に渡り誕生しており、乳液を持つ植物は40科以上、2万種以上が知られています。
植物の乳液は草食動物、特に昆虫の食害から防御します。さらに、真菌や細菌からも植物を守ります。さらに、乳液は傷を塞ぐ役目もあります。乳液にはアルカロイドや強心配糖体、テルペン、消化タンパク質などの様々な生理活性物質を含みます。一般的に乳液に含まれる物質は草食動物を忌避させますが、特定の食性の節足動物などの草食動物を引き寄せることもあります。乳液は毒性だけではなく、(乳液の粘着力により)付着させて(身動き出来ずに)死滅させたり、口器を塞いで摂食を阻害したりすることはよく知られています。様々な昆虫が植物を食べる前に乳液を排出させるという事実は、乳液の防御的な役割りを示しています。この毒性と機械的防御の組み合わせにより、乳液を出す植物は多くの昆虫にとって、有毒あるいは口に合わない、さらには致命的です。特にキョウチクトウ(Nerium oleander)のような強毒性の植物は、様々な大型の草食獣に対しても毒性を示します。


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キョウチクトウ(夾竹桃) Nerium oleander
毒性の高さで有名な夾竹桃。2025年7月、小石川植物園にて。


乳液は白色が一般的
黄色やオレンジ色の乳液のCroton lechleriや、赤色の乳液のNerium indicumも存在しますが、ケシ属(Papaver spp.)やインドゴムノキ(Ficus elastica)、トウダイグサ属(Euphorbia spp.)、Calotropis proceaなどの乳液は白色です。乳液が白色なのは乳液中に分散したゴム粒子によるもので、乳液の粘着性の由来の一部でもあります。
乳液が白色であることについて、その機能に関して3つの論理的な選択肢があります。

①乳液が白色であることには意味はなく、色に由来する機能はない。
②白色以外の乳液を生産するには化学的な制約がある。
③乳液が白色であることには視覚的な利点がある。


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ケシ(芥子) Papaver somniferum
麻薬の原料となるケシも乳液を出します。芥子坊主を傷つけて出てくる乳液を集めたものが生阿片です。2025年5月、東京都薬用植物園にて。


なぜ乳液は白色なのか
乳液が黄色や赤色のものも存在するという事実は、乳液は白色に生産する固有の理由がないことを示唆します。しかし、白色の乳液は様々な植物の分類学的な系統で、何度も独立して進化してきたことから、乳液が白色であること進化の中で強く選択されてきたはずです。
乳液が白色なのは、明るい環境下である林冠部や、色盲の動物に対して、白色が視覚的な警告色として最適であるからです。白色は葉や未熟果実、茎や枝といった典型的な背景に対して視覚的に目立ちます。また、乳液は化学的防御と物理的防御のシグナルとなるため、乳液を持つ植物はミュラー型擬態の擬態環が存在する可能性もあります。

白色のシグナルは暗い色と対比すると、色盲の動物にも見ることが出来るため、色鮮やかな色彩より視覚的に有利であると考えられます。さらに、白色のシグナルは、日の出間近や日没間近、暗い林床、密林、曇り空の下など、低照度であったり様々なスペクトル環境下でも視認することが出来ます。(視覚的効果からして)多くの道路標識が白色であるは驚くべきことではありません。


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Euphorbia unispina
毒性の高さで有名なユーフォルビアの中でも、特に毒性が高いE. poissonii、E. unispina、E. veneficaは、猛毒三兄弟の名で知られます。2025年3月、筑波実験植物園にて。


乳液の物理的防御
植物の樹脂や乳液などは、昆虫をトラップし、付着した昆虫やその死骸が警告となり植物を防御する可能性があります。このような「延長された表現型」(extended phenotype)である間接的な警告行動は、草食動物に視覚的に知らせることと、その危険性を腐敗した死骸やトラップされた昆虫がストレスにより放つ揮発性物質により警告します。


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冲天閣 Euphorbia ingens 
大型のユーフォルビアは毒性が高いと言われています。2025年1月、東京農業大学バイオリウムにて。



ユーフォルビアのベイツ型擬態
ベイツ型擬態は毒がない蝶が毒蝶に擬態する擬態として提唱されました。Euphorbiaに属する多肉植物の多くは、白い乳液により保護されます。理論的には乳液による擬態も考えられます。
Euphorbiaに属する多肉植物は、緑色の組織の一部に白い色素沈着が見られ、目立つ斑入りとなります。これは、乳液が滲み出ているように見えます。


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Euphorbia robecchii
アフリカの柱サボテン状のユーフォルビアでは、このような乳液が垂れたような斑が入る種が沢山あります。


結論
乳液は主に白色であり、それは様々な光条件下で視認性を高めるためです。そのため、白い乳液は植物の防御特性に関する視覚的な警告シグナルとして機能します。乳液を防御に用いる植物は非常に多く、地理的に重複するため草食動物に対するミュラー型擬態の擬態環を提案します。また、ミュラー型擬態の擬態環同士が地理的に重複する場合、ミュラー型擬態が連鎖する可能性があります。また、様々な植物が様々なレベルの毒性を示す乳液を持つことから、乳液の嗅覚的および視覚的な警告に関して、準ミュラー型擬態、あるいは準ベイツ型擬態の擬態環がモザイク状になったネットワークが存在すると考えられます。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
ユーフォルビアに顕著な植物の乳液は、毒性とともに粘着性にも意味があるとしています。実際に鱗翅目の幼虫の口器に乳液がついて乾いたら、おそらく自力で取り除くことは難しいでしょう。これは私にとって新しい視点でした。
ミュラー型擬態に関しては、乳液=毒という図式が成り立つならば、種の違いや分類群の違いを超えて擬態環が成立するのかも知れません。また、本文のベイツ型擬態の話はわかりにくいのですが、乳液を持つ植物は様々でその毒性の強さも多様であることが想定されますが、その場合において弱毒性の乳液を持つ植物はベイツ型擬態の擬態環に守護されることになります。そして、ユーフォルビアに有りがちな白斑が、乳液を模しているという意見には驚かされました。実際に草食動物が白斑を嫌う傾向があるという報告があるため、本当に乳液を模しているかは分かりませんが、何らかの意味合いがあるのは確実でしょう。


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神代植物公園の温室の続きです。今回は入口の温室の残りとなります。いよいよ次回から食虫植物展の展示場に入ります。


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Costus lucanusianus
オオホザキアヤメ科を見るのは、新宿御苑でクスダマジンジャー(Tapeinochilos ananassae)以来です。しかし、この種は中々巨大で高さは2m以上あったでしょうか。
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面白い花の付き方です。螺旋状に咲くのでしょうか。


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Zamia furfuracea
フルフラケアにコーンが沢山出ています。

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古いものもありますが大変な勢いですね。


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バオバブ Adansonia digitata
中々の太さのバオバブです。ディギタタはアフリカ大陸唯一のバオバブで、我々がイメージするバオバブに近いかも知れません。バオバブは東京農業大学のバイオリウムでA. zaも見ています。


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Monstera deliciosa
植物園の温室につきもののデリキオサです。巨大な葉は実に見栄えしますね。
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おやおや、肉穂花序が沢山ありますね。これは要するに古い花の跡です。
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こちらが花です。花弁ではなく、いわゆる仏炎苞と言われる苞です。サトイモ科に一般的な花の構造ですが、このような巨大な仏炎苞は初めて見ました。


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今回のメインである食虫植物展の展示場に到着しました。普段は休憩所になっていますが、今回は食虫植物が満載です。内容は次回としましょう。


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7月に行った小石川植物園の続きです。いよいよ、今回から温室に入ります。


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オオシマコバンノキ(大島小判の木) Breynia officinalis
琉球、台湾、中国の原産。
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一見してなんの仲間か分からなかったのですが、これはデカいコミカンソウの仲間ですね。コミカンソウの仲間はハナホソガという蛾と共生関係を結んでおり、ハナホソガに受粉してもらい、代わりに幼虫の育成場所と餌を提供します。オオシマコバンノキではオオシマコバンノキハナホソガが受粉に関与します。つまり、オオシマコバンノキが結実していると言うことは、温室内にオオシマコバンノキハナホソガがいて受粉を行っているということです。これは、イチジクとイチジクコバチやユッカ(Yucca)とユッカガの関係と同じ絶対送粉共生の良い例ですが、温室内で実例を見ることが出来るのは良いことですね。


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グネモンノキ Gnetum gnemon
これには驚きました。オオシマコバンノキの株立に埋もれるように生えていたのですが、これは非常に珍しい植物です。グネモンはこの見た目で裸子植物で、裸子植物にも関わらず虫媒花で、甘い果実は動物が食べて種子が運ばれます。実に被子植物的な裸子植物です。グネモンノキが属するグネツム科には、グネツム属(Gnetum)、マオウ属(Ephedra)、ウェルウィキア属(Welwitschia)が含まれますが、マオウやウェルウィキアは植物園では見かけますが、グネツムは初めて見ました。



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ベニノキ Bixa orellana
ベニノキ科のベニノキですが、種子から食用色素を抽出するために栽培されるそうです。熱帯アメリカ原産。


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Medinilla magnifica
割りと見たことがある外見でしたが、メディニラは植物園の温室ではたまに見かけます。神代植物公園ではちょうど満開でシャンデリアのような大きな花穂を見ることが出来ました。フィリピン原産。ノボタン科。



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Uvaria macrophylla var. macrocarpa
バンレイシ科ですから甘い実がなります。現在はU. littoralisの異名となっています。中国南部、インドシナの原産。

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特徴的な花ですが、少し古いようです。


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ドリアン Durio zibethius
ドリアンは温室では中々結実しないと言われているようです。鉢植えではさらに困難でしょう。筑波実験植物園では見上げる高さのドリアンの樹を見ていますが、実がなっている姿はまだ見ていません。


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アジアキワタ Bombax ceiba
一般的にキワタの名前で呼ばれます。南米原産のトックリキワタ(B. speciosa)と異なり幹が膨らみません。

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幹にはトゲがあります。筑波実験植物園の個体は大きく、トゲも立派でしたね。


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8月もいつの間にやら終ってしまいます。9月はまだ残暑が厳しそうですが、それでも暑さは一段落しそうですね。


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ナツズイセン(Lycoris squamigera)が満開です。「ナツズイセン」という名前ですが、ヒガンバナの仲間です。


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H. scabra var. lateganiae
スカブラ変種ラテガニアエが開花しました。

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ざらつきが目立たず葉はやや長めです。
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花は痩せ型で2枚の花弁がよく開裂します。


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Euphorbia greenwayi
どうも根詰まりで先端が枯れがちでしたが、植え替えてからは元気でよく育っています。


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Euphorbia 'Groenefica'
ユーフォルビアの交配種のグロエネフィカですが、花が咲き続けています。花茎から新しい花茎が出るので、花が巨大化しています。


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Fouquieria formosa
フォルモサはどえらい形に育っています。流石に枝を切らないといけませんね。



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Fouquieria purpusii
生長著しいプルプシイですが、去年の3月に小さな実生苗を入手して、もうこれですから大した勢いです。

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塊茎はみるみる太くなります。


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Gymnocalycium ragonesei
ラゴネセイが開花していました。いや、何度か開花していたようなのですが、タイミングが合わず蕾と花殻ばかり見ていましたから、閉じかけですが花を久しぶりに見ました。

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サボテンは花が美しいですね。


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神代植物公園の続きです。

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Calathea musaica
緻密な美しい模様があるイモの葉。現在はGoeppertia kegeljaniiとなっています。カラテアの花はハシゴ状でゴエペルティアの花はロゼット状という違いがあるそうです。ブラジル原産。


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キバナキョウチクトウ(黄花夾竹桃)
Thevetia peruviana
キバナキョウチクトウが咲いていました。キョウチクトウより葉が繊細な感じがします。
黄色い花を咲かせるキョウチクトウ(Nerium oleander)もありますが、こちらは別属であるキバナキョウチクトウ属です。ちなみに、現在の学名はCascabela thevetiaとなっているようです。キョウチクトウとは異なり半耐寒性ですから、日本では地植えは難しそうです。キョウチクトウ同様に猛毒植物です。中南米の原産。



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ホウオウボク(鳳凰木) Delonix regia
いかにもなマメ科の葉が涼し気です。新宿御苑でも見ましたが残念ながら花はまだ見たことがありません。
ホウオウボクはマダガスカル原産ですが、沖縄など世界中の暖地に植栽されます。デロニクスは塊茎植物として販売される種もありますが、ほとんどの種は普通の樹木です。



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セイシボク(青紫木) Excoecaria cochinchinensis
なんてことがない見た目ですが、葉裏が派手な紫色です。ユーフォルビアではありませんがトウダイグサ科で乳液には強い毒性があります。



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アリアケカズラ Allamanda cathartica var. hendersonii
アリアケカズラが開花中でした。そういえば、今まで見た中では新宿御苑のアリアケカズラが見事でしたね。この変種はオオバナアリアケカズラと呼ばれ、最もよく栽培されるそうです。しかし、現在アリアケカズラには変種はなく、変種ヘンデルソニイは異名となっています。キョウチクトウ科。南米原産。


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コーヒーノキ Coffea arabica
コーヒーの実がなっていました。

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まだ熟していませんでしたが、沢山なっていました。


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パナマソウ Carludovica palmata
パナマソウは既に花は先終わり花穂が残った状態でした。
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特徴的なそうめんのような雄しべは見られませんでしたが、パナマソウ自体が割りと謎の植物なので花穂だけでも嬉しいですね。神代植物公園と夢の島熱帯植物館でもパナマソウを見ていますが、花はまだ見ていません。いつか見てみたいものです。


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小石川植物園の続きです。炎天下の7月に行きましたが、温室にたどり着くまでに1時間半は歩き回っているので、私もスマホのカメラも限界に近い感じです。特にカメラは過熱し過ぎて、強制シャットダウンを繰り返す始末です。しかも、温室に入ったせいでカメラはすっかり言うことを聞かなくなりましたが…


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いよいよ公開温室に入ります。


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ニオイシュロラン Cordyline australis
入口までの小道にユッカ、じゃなくてコルディリネがありました。室内インテリアのコルディリネのイメージと異なる巨大さと樹木感の強さに驚きます。コルディリネの屋外栽培は冬にダメージが入るイメージがありましたが、問題なく育っているようです。まあ、ニュージーランド原産なので温帯性のようですが。



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正式名称は「小石川植物園温室」。灰色の背景に白文字はちと見にくいですね。


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入口には蘇鉄が沢山。


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ホソバザミアモドキ Zamia floridana var. purshiana
フロリダナは2016年のDaniel B. Wardにより再分類が試みられています。形態学的に分布状況を加味した分類ですが、遺伝学的な解析はされていません。まあ、現在はZ. floridanaではなくZ. integrifoliaとなっており、5変種が認められています。変種プルシアナは変種インテグリフォリアの異名となっているようです。そこら辺の経緯は何度かまとめていますが、取り敢えずB. Wardの論文についての記事は以下のリンクからどうぞ。




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ヒロハザミア Zamia pumila
Z. furfuraceaですね。国内の図鑑は基本的にフルフラケアをプミラとしています。両者は実はまったく異なるのですが、Z. pumilaという名前がいわく付きなために混乱が生じているような気もします。しかし、塊茎がずいぶん細いですね。タイプが異なるのでしょうか。
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コーンが出ています。何やら小さいような気もしますが、矮性なのでしょうか。


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如何にもなフルフラケア。


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ヒメオニソテツ Encephalartos horridus
小型のホリドゥス。明らかに矮性の雰囲気がありますね。


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Dioon edule
これはなかなか見事なエドゥレ。赤銅色の新葉が美しいですね。エドゥレは生長が遅いので、それなりの年齢です。メキシコ原産。


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Hydnophytum moseleyanum
アリ植物のヒドノフィツムです。膨らんだ茎の内部は迷路状になっており、アリが住み着きます。アリノスダマはヒドノフィツムとミルメコディアがあります。フィリピン、ニューギニア島の原産。

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アリノスダマは自然と穴が空きますから、そこからアリが入ります。


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Myrmecodia tuberosa
こちらはのアリノスダマはミルメコディアです。


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動物は種により食べるものが異なりますから、当たり前ですが食べられないものも沢山あります。しかし、ペットに人間の食べものを分け与えてしまう人もいますが、本来食べるべきものではありませんから、そのような行為はペットの寿命を縮めるだけです。これは、人間は動物の中でも例外的に割りと何でも食べられるため、感覚が甘くなっているのだと思います。さて、犬のタマネギ中毒は有名ですが、ペットにはチョコレートやアボカド、さらにはブドウやナッツ類などもよろしくないとのことです。しかし、飼い主が不要なものを与えずとも、観葉植物などをペットが齧ってしまうこともあります。一般的に観葉植物はペットにとって害があるか否か不明ですから、これはよろしいことではありません。さて、本日はペットが多肉植物を食べてしまったという報告をみてみましょう。参照とするのは、Amir Rostami & Bijan Ziaie Ardestani & Shahabedin Mohyediniの2011年の論文、『Poisoning by Beaucarnea recurvata (Nolina recurvata) in a pet rabbit: a new case report』です。


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トックリラン Beaucarnea recurvata
新宿御苑(2024年10月)



トックリランの葉を食べたペットの症状
生後3カ月のウサギ(Oryctolagus cuniculus)が、急性流涎症(acute ptyalism)、無力症(lethargy)、食欲不振、被毛状態の悪化、頻呼吸の症状を呈して、テヘラン大学小動物教育病院に搬送されました。搬送される3時間前にウサギは観葉植物であるトックリラン(Beaucarnea recurvata)の葉を2枚摂取し、病状は徐々に進行しました。


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Beaucarnea recurvata
筑波実験植物園(2024年6月)


診察と処置
診察では病態学的所見は認められてませんでした。血液検査ではストレス性白血球増多が認められましたが、X線検査では胃腸障害の兆候はありませんでした。植物の毒性による症状であると暫定的に診断されました。臨床症状をコントロールするために、以下のような保存療法が行われました。
食欲不振によるケトアシドーシスをコントロールするために、乳酸リンゲル液による静脈内輸液療法と、スルファジアジン/トリメトプリム懸濁液、唾液過多のために硫酸アトロピンを投与しました。2日間の治療後に完全に回復しました。



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Beaucarnea  recurvata
東京農業大学バイオリウム(2025年1月)



ウサギと植物中毒
ウサギの治療において最も一般的な疾患の1つは中毒で、植物中毒と鉛中毒に分けられます。ウサギは他の動物にとって有毒な植物も含めて、ほとんどの植物を食べてしまいます。大抵の毒性化合物には苦味があり、大量に摂取される可能性は低いため、必ずしも死亡するとは限りません。
ウサギはragwortやcomfrey(ヒレハリソウ)などの植物に含まれるピロリジデンアルカロイドの毒に抵抗性があります。しかし、対照的にアマランサスはレモンイエローの漿液を伴う腹水が溜まります。また、トウワタの1種(Aslepias eriocarpa)により「ヘッドダウン病」(head down disease)が引き起こされます。罹患した場合、首の筋肉の麻痺や協調運動障害、低体温、流涎、荒れた毛並みが見られます。他には観葉植物のDieffenbachiaがウサギに対して有毒であることが知られています。



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神代植物公園(2025年8月)


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
基本的にペットには決まったエサ以外は与えるべきではないと私は考えています、何故なら、中毒の報告がない=安全ではないからです。人間の食べものをペットに与えた場合、一見して元気そうにしていても、肝臓や腎臓にダメージがあるかも知れません。同様に多肉植物はペットへの影響が不明なものが多いため、基本的にペットの触れる場所に多肉植物を置くべきではないでしょう。毒性の点ではユーフォルビアが有名ですが、キョウチクトウ科のパキポディウムにも強い毒性があります。私が読んだ論文ではアデニア、蘇鉄、Boophoneの毒性が確認されています。しかし、一般的に毒性がないと思われてきたベンケイソウ科の多肉植物にも、カランコエなどで毒性があるものが確認されています。ベンケイソウ科の多肉植物にはエケベリアやセダム、クラッスラ、アオエニウムなど人気のある多肉植物を沢山含みます。しかし、ペットに対する毒性は基本的に不明なため、気を付けるに越したことはありません。ペットが多肉植物をかじってしまったという話はブログやSNSなどでもたまに目にしますが、これはただの不注意では済まないでしょう。場合によっては重篤な後遺症や死亡してしまう可能性もありますし、目に見えない臓器障害が起きている可能性もあります。それらの報告はペットの心配をしている様子は薄く、あまりに軽く考えていることに驚きます。一見して何も症状がなかったとしても、ペットは苦痛を感じているかも知れません。知らなかったから仕方がないというのなら、そもそもペットを飼う資格はないでしょう。


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7月に行った小石川植物園の続きです。公開温室を目指し、外周を1周しました。


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種類は分かりませんが、ニンジンボクの仲間が開花していました。
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タイワンニンジンボク(Vitex negundo var. negundo)でしょうか。
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花は小さいのですが、美しいですね。


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トウフジウツギ(唐藤空木) Buddleja lindleyana
ブッドレアの名前で流通しているフサフジウツギ(B. davidii)は見かけますが、トウフジウツギは初めて見ました。

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フサフジウツギのように花穂が立ち上がらずに垂れるようです。


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ロウヤガキ(老爺柿) Diospyros  rhombifolia
小振りな実がなる中国原産の柿。正確には「ロウアガキ」(老鴉柿)とのこと。
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青い柿がなっていました。


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イチョウ(公孫樹) Ginkgo biloba
こちらは「精子発見のイチョウ」。1896年に平瀬作五郎によりこのイチョウの雄木から精子が発見されました。これは、入口近くにある「精子発見の蘇鉄」と並び世界的な発見です。



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「メンデルのブドウ」
遺伝学の基礎を築いたメンデルが実験に使用したブドウです。かつてメンデルが在籍したチェコの修道院を、1913年(大正2年)に小石川植物園の当時の園長が訪れ、分苗を依頼してその翌年に苗が日本に届きました。その修道院は後にメンデル記念館となりましたが、「メンデルのブドウ」は消滅していたということで、小石川植物園の「メンデルのブドウ」を里帰りさせたということです。奇妙な縁ですね。
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よく見たらまだ青いブドウの実がなっていました。種としてはヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)ですが、品種は不明のようです。


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「ニュートンのリンゴ」
ニュートンのリンゴをめぐる例の逸話が本当かどうかは分かりませんが、ニュートンの生家に植えられていたリンゴです。この「ニュートンのリンゴ」は接ぎ木により、世界中の科学施設に配布されているということです。
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小振りのまだ青いリンゴが鈴なりでした。品種は「Flower of Kent」とのこと。
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赤い良い色合いの実もありました。


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次回から公開温室に入ります。



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神代植物公園で食虫植物展が開催されるということで、行って参りました。神代植物公園は3回目ですが、前回は2023年の5月にバラフェスタの時でしたから、ずいぶん久しぶりですね。


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さて、なんと言っても8月の熱い最中ですからね。朝イチで行こうということで、なんと私が3人目の入場者でした。まだ人のいない植物園は初めてです。


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ヒマラヤスギ Cedrus deodara
温室に行く途中にヒマラヤスギがありました。植物園では巨大なヒマラヤスギをよく見かけます。ヒマラヤスギを含むCedrus属は2種からなり、もう1種は聖書に記述がある有名なレバノン杉(C. libani)です。

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ヒマラヤスギの大きな松ぼっくりがあったので撮影。


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バラ園もまだ無人。


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まあ、とにかく食虫植物展は大温室ですから、私が一番乗りでしたが、入口付近でダラダラ写真を撮っていたら、次々と後続に追い抜かれてしまいました。


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入口から既に熱帯感が漂います。


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リュウガン(竜眼、龍眼) Euphoria longana
リュウガンに実がなっていました。果実は食用。夢の島熱帯植物館でも見かけましたが、実がなっているところは初めて見ました。
ちなみに、現在の学名はDimocarpus longanです。中国南部からインド、東南アジアに広く分布します。

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果実はライチに似ていますが、果皮はリュウガンの方が滑らかです。


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ヒラミレモン Citrus × depressa
いわゆるシークァーサー。大陸産のマンダリンオレンジ(C. reticulata)と琉球原産のタニブター(C. ryukyuensis)の交配種と言われていますが、そもそもタニブターが何者であるかは私には分かりません。



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月下香 Polianthes tuberosa
いわゆるチューベローズ。ポリアンテスはアガヴェに非常に近縁です。

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花は非常に美しく、「月下香」の名前の通り夜間に香りを放ちます。夜間に香るのは、要するに蛾媒あるいはコウモリ媒だからでしょう。


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Pachira sp.
室内の観葉植物として一般的なパキラも、天井に届く高さに育っています。
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パキラの大きな果実がなっていました。


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ウスギコンロンカ Mussaenda luteola
弱く皺がよる縮緬のような花です。ウスギコンロンカはポインセチアのように花に近い葉が白くなりますが、どういうわけか白くなっていませんでした。扱い的には苞になるのでしょうか?
ウスギコンロンカの学名はMussaenda luteolaとされますが、キュー王立植物園のデータベースではPentas lanceolataの異名となっています。しかし、どう見ても異なる植物です。単純にデータベースの誤記の可能性もありますが、そもそもMussaenda luteolaという名前がウスギコンロンカに付けられたものではない可能性もあります。素人考えだと
Mussaenda flavaと同種に見えますがどうでしょうか。ちなみに、Mussaenda flavaは現在Pseudomussaenda flavaとなっています。


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Petrea volubilis
南米原産のクマツヅラ科植物。花弁に見えるのは萼で、左上のように濃く丸みのあるものが花弁です。


食虫植物展に来たのに食虫植物が登場しませんが、久しぶりの神代植物公園なので気になるものは見ていく所存です。
しかし、どうにもスマホのカメラの具合がよろしくなく、温室に入って5枚くらい撮影しただけでスマホが過熱してシャットダウンしてしまいました。基本的にこんな調子なので、時間をかけて廻った割りに撮影枚数は少な目です。そんなこんなで、しばしお付き合い下さい。


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8月に入ってからは雨が降ったりして、7月と比べるとやや涼しい日もありました。多肉植物たちも生長するでしょう。8月はこれと言ったイベントもなさそうですから、しばらくは大人しく生長を見守ります。


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Euphorbia biselegans
去年の10月に入手してから動きがなく葉が落ちるばかりでしたが、ようやく新しい葉が出てきました。



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Euphorbia hedyotoides
ヘディオトイデスは春先から地味に咲き続けていました。手持ちのユーフォルビアの中では小さく、トップクラスの地味な花です。



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H. scabra v. scabra JDV 95/17
スカブラが開花しました。

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フィールドナンバーつきですから、実にワイルド。
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花は痩せ型で緑色の縞模様が目立たず白く見えます。


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H. parksiana
最小クラスのハウォルチアであるパルクシアナも花茎を沢山伸ばしています。

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葉のサイズは非常に小さいですね。
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花茎も細く花も小型です。痩せ型というか、尖端がやや窄まる形状。


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H. chloracantha v. denticulifera
クロラカンタ変種デンティクリフェラも開花していました。

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花はやや根元が膨らむ形ですが、配色はスタンダード。
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奇妙なことに花は花茎の尖端に咲きます。しかも花茎は長く垂れる性質です。崖地などに生えているのでしょうか?



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7月に行った小石川植物園の続きです。日本庭園から北に登り一番高い場所に到着しました。鬱蒼とした針葉樹林を抜け、温室を目指します。


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この辺りは下生えが多く、獣道のような小道を藪を漕ぎながら進みます。ヤブミョウガ(藪茗荷、Pollia japonica)らしき花が咲いていました。
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ヤブミョウガらしき花。 


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セコイア Sequoia sempervirens
園内のメタセコイアと比べると、圧倒的に立派です。セコイアはメタセコイアより幹肌が荒れるので見分けるのは簡単です。


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シマサルスベリ Lagerstroemia subcostata var. subcostata
南方系のサルスベリ。琉球列島、台湾、中国の原産。準絶滅危惧種。

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樹皮は激しく剥げています。剥がれ落ちた樹皮が根元に沢山落ちています。サルスベリほど滑らかな幹肌にはなりません。


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タラヨウ(多羅葉) Ilex latifolia
モチノキ科の常緑高木。「葉書の木」として知られ、葉を傷つけると傷が黒くなるため字を書くことが出来ます。日本、中国の原産。



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モミジバスズカケノキ Platanus × acerfolia
スズカケノキ(P. orientalis)とアメリカスズカケノキ(P. occidentalis)の雑種。アメリカスズカケノキはまだ見ますが、スズカケノキは見たことがありません。そういえば、モミジバスズカケノキの学名は、Platanus × hispanicaとなっています。

巨大なスズカケノキが沢山あったのですが、ほとんど撮影していません。あまり見かけない種もあるでしょうから、次回は気を付けて見ることにします。
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樹皮は荒れていますが、割りとありますね。
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モミジバスズカケノキは樹皮が剥がれてマーブル模様になりますが、このサイズだとそうはならないようです。一般に樹皮が剥離しないのはアメリカスズカケノキの特徴です。


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ムクゲ Hibiscus syriacus
よく庭木で植栽される中国原産のハイビスカスの仲間。
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典型的なアオイ科の花。
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自重を支えられないのか、倒れながら生長しています。


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ボダイジュ(菩提樹) Tilia miqueliana
菩提樹は仏教三聖樹の1つですが、本来はクワ科のインドボダイジュ(Ficus religiosa)を指します。葉が似ているからか中国の寺院でインドボダイジュの代わりに植えられたのが、シナノキ属のボダイジュです。熱帯植物であるインドボダイジュとは異なり、ボダイジュは寒さに強いので、東アジアでも育ちます。
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葉の形や滴下尖端は似ているものの、雰囲気はだいぶ違いますね。ちなみに、インドボダイジュは植物園の温室では割りと見かける樹種で、新宿御苑の温室や夢の島熱帯植物館で見ることが出来ます。
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実がなっていました。


夢の島熱帯植物館のインドボダイジュは以下の記事をご覧下さい。


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私はサボテンやユーフォルビアなどトゲのある植物を沢山育てていますから、時としてうっかり刺されてしまうこともあります。花キリンの木質のトゲやサボテンの太いトゲならば刺さっても穴が開くだけですが、細かいトゲは途中で折れて皮膚の中に残ってしまうこともあります。私は特に化膿したという経験もありませんが、場合によっては化膿してしまうこともあるのかも知れません。さて、本日は植物のトゲに刺されてしまうことによる感染症についての話題です。参照とするのは、Simcha Lev-Yudun & Malka Halpernの2019年の論文、『Extended phenotype in action. Two possible roles for silica needles in plants: not just injuring herbivores but also inserting pathogens into their tissues』です。


トゲによる感染症とは?
植物のトゲは視覚的に警戒を喚起し草食動物が忌避する可能性があります。さらに、Halpernらは鋭利な構造を持つトゲには病原性の細菌が生息しており、そのことが草食動物から身を守る上で特別な役割りを果たしている可能性を発見しました。
イスラエルのナツメヤシの農園では、労働者の間でトゲの刺し傷に由来する細菌感染症が頻繁に発生しており、重篤なため治癒が非常に困難です。多くの農園で数百万本のトゲを電動ノコギリですべて切除する、大変費用のかかる作業が必要となりました。


トゲにいる病原菌
ナツメヤシ(デーツ、Phoenix dactylifera)の下葉から出るトゲや、common hawthorn(サンザシの仲間、Crataegus aronia)のトゲ、トゲのある低木であるthorny burnet(Sarcopoterium spinosum)とmanna tree(Alhagi graecorum)のトゲを採取し、細菌の検出を行いました。結果として、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、炭疽菌(Bacillis anthracis)、パントエア菌(Pantaea agglomerans)など、病原性が高い細菌が特定されました。
ウェルシュ菌はガス壊疽と呼ばれる筋肉の壊死を引き起こすことから、食肉細菌(flesh-eater)として知られます。炭疽菌は炭疽病を引き起こし、家畜や野生動物、そして人間にとっても急性で致命的な感染症として悪名高いものです。破傷風菌(Clostridium tetani)は破傷風を引き起こし、人間と他の動物にとって深刻な病気となります。米国やエチオピア、トルコなどの多くの国で、トゲによる障害が破傷風を引き起こしています。
また、植物のトゲによる損傷により引き起こされる化膿性炎症は、細菌だけではなく病原性真菌によっても引き起こされることを発見しました。皮下真菌症を引き起こす皮膚糸状菌は皮膚を貫通出来ませんが、トゲにより皮下組織に侵入します。



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Euphorbia lophogonaの翼状の刺塊。


トゲの病原性細菌叢
特定の植物や植物器官の表面には、微生物の生存の可能性を低下させたり上昇させたりする、化学的あるいは構造が存在する可能性があります。微生物は植物表面のバイオフィルム内で増殖します。バイオフィルムとは付着した細菌の集合体で、細菌が分泌する粘着性多糖類に囲まれています。バイオフィルムの基質内には嫌気性細菌が存在可能な無酸素状態の空隙など、様々な異なる微小環境が存在する可能性があります。Halpernらの研究結果を考慮するならば、好気性細菌だけではなく嫌気性細菌もバイオフィルム内に存在していることは明らかです。また、Halpernらの研究では、ワシントンヤシ(Washingtonia filifera)において、色鮮やかなトゲと、葉では細菌叢の構成に大きな違いがありました。


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Gymnocalycium pungensの刺は非常に鋭く皮膚を簡単に貫通します。


延長された表現型 Extended Phenotype
「延長された表現型」(拡張された表現型)とは、Dawkinsにより導入された概念です。動物の行動はその行動をとる動物の体内にある遺伝子があるかないかに関わらず、あるいは表現型が体外で発現しているか否かに関わらず、遺伝子の存在を最大化する傾向があります。例えば、Rothschildは有毒な警告色を持つ昆虫が有毒植物に集まることにより、植物のaposematism(警告するシグナル)な香りが強まり、場合によってはaposematismな色彩も強まることを説明しました。この例では、aposematismな装置は植物の部位に基づき作られたものではなく、有毒昆虫により作られた「延長された表現型」でした。
植物が微生物により草食動物から守られる場合、それは延長された表現型であると言えます。様々な病原性微生物が草食動物に感染することにより、植物は防御的な利益を得ます。このことは植物自身の延長された表現型であるだけではありません。病原性微生物は増殖と拡散のために植物を利用していることになります。植物は微生物による防御を、微生物は感染する草食動物に感染する機会を、それぞれが享受することが出来る相利共生的なシステムです。


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Aloe spectabilisの刺は派手な警告色で草食動物に己の危険性をアピールします。


同時嗅覚警告作用
細菌が感染した植物で、同時嗅覚警告作用(警告のための不快な臭いなど。simultaneous olfactory aposematism)が関与しているかは検討されてきませんでした。また、病原性微生物のバイオフィルムが誘引物質を放出することにより草食動物が訪れて病原性微生物に感染し、結果的に草食動物が減少し植物に利益をもたらす可能性もあります。
微生物の臭いに関する例では、以下のような報告があります。セイヨウハコヤナギ(Populus nigra)に感染したポプラさび病菌は、草食動物が誘引されるような香りを減少させ、草食動物の嗜好に影響を与えます。トウモロコシに感染したトウモロコシ萎黄斑ウイルスが、ウイルスを媒介するタバココナジラミを誘引する揮発性物質を放出していることが明らかとなっています。さらに、カリフォルニアの野生植物の花蜜に生息する微生物が花蜜の揮発性成分の組成を変え、花を訪れる蜂の誘引力に影響を与えることが判明しています。これらの事例から、トゲのある植物の表面に生息する微生物が、草食動物に影響を与える可能性を示唆します。


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Dasylirion seratifoliumの恐ろしい逆刺。長い葉は触れたものに絡みつきます。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
野生植物のトゲには様々な病原性微生物が生息しており、トゲに刺された草食動物に感染をもたらすであろうという驚きの内容でした。恐ろしい話ではありますが、流石に我々の身近な植物のトゲにはこれほど重大な病原性細菌はいなそうです。しかし、何らかの細菌は存在するでしょうから、植物のトゲに刺されたら患部の洗浄と消毒はやはり行った方が良いでしょう。放置した場合には患部が化膿するかも知れません。あと、皮膚にいる糸状菌が植物のトゲで体内に挿入されるという話は盲点でした。これは、糸状菌だけではなく皮膚の常在菌も挿入されることになりますから、免疫力が落ちている時は要注意かも知れませんね。
また、「延長された表現型」の概念はわかりにくいのですが、これは植物自身の有する毒やトゲなどの防御機構から範囲を拡張し、植物自身ではない微生物が防御機構に関与しているということです。外部を利用していることを以て「延長された」と言っているわけです。
さて、実は論文ではシリカ針の議論がされていましたが、割愛させていただきました。シリカ針とは植物の葉や茎に見られる珪酸質の毛のような微細な針で、キュウリの茎やオクラの実など、様々な身近な植物に見られるものです。論文のタイトルにも「
silica needles in plants」とあるからには、新規に提案された重要なものなのでしょう。しかし、論文中で検証されているわけではなく、細菌を検出したのは通常のトゲであってシリカ針ではありません。この論文では可能性を示唆しているだけです。いずれ、何らかの報告がなされるでしょうから、またその時に詳細をご紹介しましょう。


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8月に入り、相変わらず暑い日が続いています。しかし、多肉植物たちは非常に元気です。本日も我が家の多肉植物たちを少しご参照しましょう。今日は我が家では珍しいアガヴェを取り上げます。


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Agave × leopoldii
レオポルディイは少し繊維が出てきましたが、見られるようになるにはまだまだかかりそうです。水不足なのかあまり葉が増えません。葉はすこぶる繊維質ですが薄く厚みがありませんから、乾燥にあまり強くないのかも知れませんね。もっと甘やかした方が良いのでしょうか。



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Agave multifilifera
我が家では最古参のアガヴェ。とは言っても4年目ですからこんなものです。レオポルディイより小さいものの生育はよく、葉が増えて繊維が結構出てきました。葉はレオポルディイよりも多肉質。ちなみに、基本的にアガヴェは集めておらず、オマケでいただいたものです。レオポルディイも同様。


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Echinoagave albopilosa
古い葉は焼けて枯れ落ちましたが、新しい良い葉が出ています。そういえば、過去にEchinoagaveが提唱されているという指摘をしましたが、正式に認められたようです。ということで、学名はEchinoagave albopilosaとなっています。


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白葉姫性吹上
小型の姫性吹上の葉が白いタイプ。今年の1月のビッグバザールで購入しましたが、見違えるように生長しました。やはりこちらもEchinoagaveに移されています。E. striataかE. strictaかは不明。



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Echinoagave stricta 'Nana'
こちらも矮性種の「ナナ」です。A. strictaの名前で入手しましたが、A. striataとの違いはよく分かりません。ウェブ上でもかなり混乱しているようですから、少し調べてみるつもりです。


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本日は新刊案内です。「生物の科学・遺伝」という雑誌をたまに買っていますが、今回は植物に関係する内容でしたからご紹介します。今回の特集は高山植物です。巻頭の高山植物図鑑は見ていて楽しいのですが、それだけではなく最新の高山植物研究を知ることが出来ます。その内容について、私が気になった部分を少しだけご紹介しましょう。


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高山植物の受粉形式
やはり、植物の重要な形質は花でしょう。花は花粉媒介者との関係や自家受粉/他家受粉といった、繁殖のための戦略を表します。高山という特殊な環境における花の戦略とは如何なるものなのでしょうか。
高山は非常に厳しい環境で花粉媒介者も少ないことから、自家受粉するものが多いような気がしてしまいます。しかし、被子植物の平均よりも高山植物は他家受粉の比率が高いことが明らかとなっています。これは、高山植物が厳しい環境に適応するために、常に遺伝的多様性をプールする必要があるということなのでしょう。


高山植物研究最前線
さて、上記以外にも高山植物研究について様々な角度から迫っています。簡単に内容を確認しましょう。

①「総論: 高山植物の生きざまと地球温暖化の影響」
まずは総論で高山植物研究の全体を見廻します。章タイトルは例えば「寒冷環境で生き延びる知恵」、「高山植物はなぜきれいなのか?」、「地球温暖化の脅威」などどれも面白く興味深いものでした。近年は笹が増えてしまい、生態系が変わってしまっており心配されているそうです。

②「日本の高山植物はどこからきたのか?」
日本の高山植物は氷河期に南下してきた北方系の植物の遺残種と言われてきました。しかし、近年の遺伝子解析技術の発展により、思わぬことが分かったようです。どうも、日本の個体群から北方に派生したように見える種もあるというのです。これからさらなる検証が行われるようですが、実に気になる研究です。

③「あの手この手で種子を作る高山植物の花の工夫」
私が最も気にする花と花粉媒介者の関係についての話です。高山では花粉媒介者の多様性が低いようで、蜂と蝿が受粉の主役です。高山植物の花は蜂や蝿に特化しており、その形状は相手を想定したものとなっています。興味深いのはハエ媒花です。私も蝿は舐め取り型ですから、花は窄まらない開いた形状であることは知っていました。しかし、仮雄しべという偽物の雄しべがある高山植物もあり、それらは本物の雄しべ以上に目立ち花粉媒介者にアピールしています。高山植物は自家受粉しないものが多いのですが、あの手この手で受粉を目指しているわけです。

④「お花畑の彩りを創る高山の送粉者たち」
日本とニュージーランドの高山植物の比較を行っています。ニュージーランドの高山ではハエ媒花が多いということで、これはニュージーランドの地質的な成り立ちからハナバチ類が来ることが困難だったことが原因のようです。著者らはニュージーランドの花の色合いを調べ、赤色〜紫色系統の花が少なく、白色や黄色が多いなっています。おそらく、蝿が好む色合いの花が進化したのでしょう。

⑤「高山植物の生育場所はどのように決定されているのだろうか」
日本は世界屈指の降雪地帯ですから、高山植物も降雪と深い関係にあります。地形や標高により雪の積もり方は異なり、生える高山植物も異なります。あまり知られていないのは、積雪は保温効果があることです。雪の中では氷点下にはなりませんが、雪がないと地面は簡単に氷点下になってしまいます。雪の有無と植生はtrade-offの関係にあり、雪がなかなか溶けないと生育期間が短くなってしまい、雪がないと冬の地面が凍結するほどの寒さに耐えなければなりません。また、気候変動は高山植物に重大な影響を与えることが想定されますから、ドローンによる積雪量の調査も行われているそうです。

⑥「高山植物と倍数体」
遺伝子は対となった一組からなり、通常は2倍体です。しかし、遺伝子が3倍や4倍と増えてしまった状態を倍数体と言います。この倍数体は進化の原動力の1つとされており、維管束植物の約35%は倍数体であるとされています。倍数体は理論上は定着しにくいと考えられますが、これだけ倍数体が一般的ならば利点があるはずです。
さて、高緯度ほど倍数体が生じやすいと言われており、高山植物もまた倍数体が多いと言われています。しかし、必ずしもそうではなくて、コケモモは標高が高い個体群は2倍体で海岸など低地の個体群は4倍体でした。このように、考えられてきたシナリオから逸脱するものもおり、高山植物も非常に複雑な経緯を辿ってきたことが推察されます。


⑦「高山植物憧憬」
この論考では高山植物研究の黎明期の資料をあたり、報告された高山植物について述べられています。八ヶ岳、白山、立山の採取登山のメンバーとルート、見られた植物が考察されます。当時に採取された標本を見つけることができれば、生物学的に見て非常に貴重な資料となるでしょう。標本探索がなされることを期待します。


最後に
大まかな内容をダラダラ述べてまいりましたが、総評としては大変良い内容でした。高山植物研究を知る機会はほとんどないことを思えば、大変貴重な知見です。研究の進展により高山植物の進化や分布など様々なことが、過去のシミュレーションとは異なる結果を生み出しつつあります。今、正に発展中の熱い研究に触れることが出来て感動しました。私自身は山に登ることはありませんから、高山のお花畑とは無縁です。しかし、高山という特殊な環境に生きる植物は、乾燥地に生える多肉植物と同様に植物好きとしては見逃せません。また、気になる植物が増えてしまいました。いつかまた、高山植物研究のさらなる進展に触れる日が来ることを願っております。


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8月に入り夏本番です。まあ、6月から夏日でしたから、ずっと暑いのですけれどね。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。


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ハマオモト(ハマユウ)が咲いています。夜に強い甘い香りを放ちます。


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子持ちオーニソガラム
野良多肉植物の子持ちオーニソガラムは春先からずっと花茎が出続けています。そういえば、偽海葱とも呼ばれているようです。学名は一般的にはOrnithogalum caudaumとされますが、現在の学名はAlbuca bracteataとなっています。


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リップマンジャー
非常に小型の花キリン。よく花が房咲きします。



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Haworthia chloracmantha var. subglauca RIB 0099
フィールドナンバーつきのクロラカンタ変種スブグラウカが開花しました。
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このワイルドな仕上がりがたまりません。
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花は小型ですが、角張らず先がよく開裂します。


250720081813784
皇帝
Tulista系交配種の皇帝も開花。

250720081820722
去年は百輪を超える開花で、しかも花茎が次々と分岐しまだ咲くようでした。しかし、葉が痩せて干乾びてきてしまったため、慌てて花茎を切りました。
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花は根元が太く特徴的で、密につきます。しかし、去年のことがありますから、花茎は根元から切断しました。交配種なので歯止めが利かないのかも知れません。


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Uncarina roeoesliana
ロエオエスリアナは4月に植え替えましたが、花が初めて咲きました。4年ほど育てていますが、ようやく育て方が分かってきましたね。要するに大きな鉢に植えて、水を切らさないようにして、肥料をジャンジャンやればいいだけです。多肉植物というより野菜の育て方が最適です。


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7月に行った小石川植物園の続きです。一番奥の日本庭園に到着し、そこからひたすら登っていきます。しかし、これほど高低差がある植物園は珍しいですね。


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ハナズオウ(花蘇芳) Cercis chinensis
花が終わって豆が出来ています。しかし、立派なハナズオウですね。ハナズオウは地際から蘖が出てきますが、それほど密ではないので庭木で育てていると、いまひとつ樹形が締まりのない感じになりがちです。このような自然な樹形なら良さそうですが、一般家庭の庭ではあまりに場所を取りすぎますね。
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豆が房なりになっていました。


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日本庭園にはベンチがあり、ひと休憩出来ます。


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オオアメリカキササゲ(ハナキササゲ)
Catalpa speciosa
日本庭園のベンチの裏に見慣れない樹木がありました。「大」+「アメリカ」+「キササゲ」という妙な名前です。そもそもキササゲを知らないので、ササゲ?、豆?と疑問符だらけになりました。どうも、キササゲ(Catalpa ovata)というのはノウゼンカズラ科の中国原産の樹木とのことで、オオアメリカキササゲは名前の通り北米原産の高さ30mに達するキササゲです。ササゲのような長い実がなるようですが、そういえば昔沖縄に行った際に長いササゲのような実がなっている木がありましたが、あれがキササゲだったのでしょう。

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葉は大きく、明るい葉色で目を引きます。
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幹はけっこう太く立派なものでした。


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オオアメリカキササゲの奥にキョウチクトウが咲いていました。
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キョウチクトウは毒性の高さで有名ですが、花は実に美しいですね。パキポディウムと近縁なので割りと花の雰囲気は似ていますね。


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東京大学の前身である旧東京医学校本館の建物。洒落た洋館ですね。1876年に建造され、今は重要文化財です。


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庭園からひたすらに登っていきます。


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登って行くと、何やら鳥居がありました。薄暗い中、未舗装の道は狭く、道の横は沼という実に雰囲気がある情景です。
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ひっそりとした静かな空間。次郎稲荷神社です。
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お稲荷さんが祀られています。過去にはキツネではなくタヌキが住んでいたこともあるそうです。


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長い急な階段を登りきった先に東屋があり、取り敢えずひと休憩入れました。上手く写真は撮れませんでしたが、見おろしと庭園が遥か下に見えます。


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蔦が絡まるイチョウの木。


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北西部は非常に鬱蒼としており、細い林道は多少藪を漕がないといけませんでした。しかし、マダニがいそうであまり良い気はしなかったので、次回は自粛します。最近、マダニ由来の病気が増えていますからね。



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生物には何かに擬態するものもいます。とは言え、擬態と言っても様々な種類があります。分かりやすい例では、目立たないように環境に擬態(隠蔽擬態)することは一般的です。それは捕食者の目を逃れるだけではなく、環境に溶け込んで待ち伏せ型の狩りをする捕食者(攻撃擬態)もいます。複雑な擬態としては、有毒生物に似た姿となり捕食を免れるベイツ型擬態や、毒や不味などの捕食者に対し不快となるような特徴を共通した生物群が互いに似た姿をとることをミュラー型擬態と呼びます。ミュラー型擬態において似た姿をとる生物群を、擬態環(mimicry rings)と呼びます。さて、本日はトゲを持つサボテンなどの植物が、ミュラー型擬態を行っている可能性を指摘した、Simcha Lev-Yadunの2009年の論文、『Mullerian mimicry in aposematic spiny plants』をご紹介しましょう。


トゲは警告する
警告色とは、有毒あるいは危険な、不快な要素を持つ生物が、他の動物に視覚的にそれを知らせる現象です。警告色の進化は、敵が警告色の視覚シグナルを、危険である、損害を生じる、または関わることに利益がないことと関連付け、獲物として回避する能力に基づきます。警告色を持つ動物の典型的な色合いは、黄色、オレンジ色、赤色、紫色、褐色、黒色、白色の組み合わせです。多くのトゲのある植物は、防御構造であるトゲが通常はカラフルであり目立つため、それが警告色であることが提案されています。


ミュラー型擬態
視覚的に警告を示すトゲを有する植物は、ミュラー型擬態の擬態環を形成することを提唱します。擬態環の存在を考察するには、類似したシグナルと、捕食者や植物に対する草食動物の縄張りの重複の2つの要素が必要です。
ミュラー型擬態は旧世界と新世界にあり、サボテン科、リュウゼツラン(Agave)属、アロエ属、ユーフォルビア属、白いトゲを持つアカシアなどが良く研究されています。これらの植物には非常に強い形態学的類似性が見られます。サボテンには共通する2種類のトゲの目立ち方があります。1つは色鮮やかなトゲ、もう1つは茎のトゲに伴う白い斑点や、白色あるいは色鮮やかな縞模様です。これらの警告色は、アガヴェ、アロエ、ユーフォルビアのトゲにも顕著に見られます。このうち、アガヴェやアロエ、ユーフォルビアには有毒のものが含まれ、これらの種はミュラー型擬態の擬態環を形成する可能性があることを示唆します。


4つの擬態環
分布域が重複し、少なくとも一部の草食動物と分布を共有する一部のグループはミュラー型擬態の擬態環を形成します。
1つ目は北米の広い地域で分布域が重複する、サボテンとアガヴェによるものです。2つ目はアフリカのアロエやユーフォルビア、そして非常に目立つ白いトゲのアカシアによるものです。3つ目はオハイオ州南東部のトゲのある植物に共通する警告色に見られます。4つ目は近東に分布するトゲのあるキク科植物で、共通する黄色のトゲを持つ29種が発見されています。この黄色のトゲを持つ植物の一部は南ヨーロッパにも分布することから、ミュラー型擬態の擬態環は南ヨーロッパでも広く見られることは明らかです。
これらのことから、ミュラー型擬態の擬態環は植物にとって一般的であり、研究されていない多くのトゲを持つ植物もミュラー型擬態を形成している可能性が高いと結論付けました。このような擬態環は類似した色や臭気を持つ有毒植物でも形成される可能性があります。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
最近、続けてトゲの警告色についての論考をご紹介しています。サボテンやユーフォルビアの新しいトゲは派手で目立ちますが、わざわざコストをかけて色素を作っている以上は、何らかの利点がある可能性が高いでしょう。さて、そうなると、問題はミュラー型擬態です。共通して派手な目立つトゲを持つ植物群は、草食動物に対して警告色としての作用が強化される可能性があります。鮮やかなトゲを種や分類群の違いに関わらず、草食動物が鮮やかなトゲをリスクとして避ける傾向があるのならば似ていることにも意味が出てきます。1種ではなく、複数の種において共通する草食動物にネガティブな要素があれば、草食動物の教育効果も高いのでしょう。
トゲのある植は沢山ありますが、必ずしもそれらがミュラー型擬態であるわけではないでしょう。しかし、北米のサボテンやアフリカのユーフォルビアは、同じ分布域に共通する要素がある植物が集中しているのは、なかなかに面白い事実ですね。



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さて、先日開催されたUNIQUE PLANTS FESTAの購入品を植え替えてしまいましょう。やはり、見えない根の様子は気になるものです。用土の水はけも分かりませんから、冬以外ではすぐに植え替えます。ちなみに、今年の植え替えは今回で164鉢となりました


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Euphorbia razafindratsirae
なかなかよく育っており、形の良い花キリンです。

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根は豊富でしたが、私の苦手な赤玉細粒でした。
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植え替え後。プレステラ105に植えました。


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Euphorbia schimperi
Pencil-Stemのユーフォルビア。個人的には、こういう化粧砂は嫌いなんですよね。

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挿し木苗にしては根は豊富でした。しかし、用土はピートモス系で、まあ発根はしやすいのかも知れませんけれど、過湿になりやすくて苦手です。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。


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Cycas siamensis
シアメンシスは完全に埋まっていますが、塊茎はどんなものでしょうかね?

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根は非常に綺麗で、よく発達していました。塊茎もしっかりしています。
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ちゃんと珊瑚根も形成されていました。
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植え替え後。EG-135Lに植えました。塊茎は半分くらい露出させています。


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久しぶりの新刊案内と相成ります。本日ご紹介しますのは、2025年5月の新刊、千葉聡 / 著『進化という迷宮 隠れた「調律者」を追え』(講談社現代新書)です。著者は過去にも進化論の本を書いており、私も読みましたが大変良い本でした。本日は割りとダラダラと読んだ所感を述べる所存です。


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さて、本書は面白いことに、
話は著者の大学院時代からスタートしています。師事した研究者(師匠)がスティーブン・ジェイ・グールドの知り合いであることから、師匠がグールドと約束していた研究を著者が行うことになったという話です。グールドは進化論の正統派である適応主義に対し反論し、大論争を引き起こした研究者です。度々、グールドの論調と比較しながら、著者の研究が解説されます。

さて、話はいくつかの理論を軸に展開されますが、個人的に気になったのは「大進化と小進化」と「発生的制約」でした。ここでは、発生的制約について少し考えてみましょう。基本的に生物は環境に適応するものであり、如何様にも姿を変えうるのだという進化論の主張がありましたが、私は以前からずいぶんと疑わしい話だと思っていました。何故ならば、進化は基本的に既存部品を変形というか流用することにより運用しており、大抵の場合は新たな器官を創造するものではないからです。例えば、鳥やコウモリの翼は腕の変形なので、腕のない(=部品が足りない)蛇は如何に適応しても翼を進化させて空を飛ぶことは出来ないのです。あくまでも、その生物の体の基本設計の中で、可能な範囲でしか適応は起こらないということです。

さて、あまり内容についてくどくど解説するのは意味がありません。買って読んでねということで、ちょっと感想を述べましょう。著者はカタツムリの研究者ですが、奇しくもグールドもカタツムリの研究者でした。これは私も知りませんでしたが、グールドは書斎派ではなくてフィールドを好む研究者だったようです。しかし、表向きの派手な論争を呼ぶ論文や、ベストセラーになった一般書と比べると、グールドのカタツムリの論文は知られていません。グールド自身が、自分の専門分野を本に出すと、しつこくくどくど説明してしまいそうだから止めたらしいのですが、なかなか愉快なエピソードです。著者はグールドに影響を受けたりもしましたが、必ずしも信者的ではなく冷静に自身やその後の研究成果を引き合いに出し、必ずしも賛成というわけでもなくグールドの考えを考察しています。

あと、著者のフィールドワークのエピソードも楽しく、学生たちの研究も紹介されますが意外性のあるものばかりです。しかしまあ、やはり時代は遺伝子ですね。調べてみると、どうも隠蔽種が多かったり、外見の近縁が遺伝子の近縁と合わなかったりということが出てきます。私もサボテンや多肉植物の分類についても度々記事にしていますが、やはり遺伝子解析の結果は過去の分類と合わないことも良くあります。すべての生物の遺伝子が解析されたわけではありません。というか、解析された種はごくごく一部でしょう。ですから、これからも研究と解析は続きます。分類は猫の目のように変わるでしょう。

なんか関係ない話ばかりで、肝心要の本の中心議題にほとんど触れていませんね。しかし、色々と重要な考え方や事実が示されていますから、読んでみて下さい。私のブログで詳細を語るのもおかしな話でしょう。上手くまとめて説明出来ないだけというのもありますが、読んでいただきたいというのも本心です。というわけで、長くなりましたがお勧めいたします。


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8月は今のところ、これと言った多肉植物のイベントはなさそうです。まあ、あまりに暑く出掛けたくないので、ちょうど良いかも知れません。7月は割りと出掛けたので、けっこう疲れました。さて、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。


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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムは春先から咲き続けていますが、流石に暑いのかそろそろ終わりの雰囲気です。



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Euphorbia makayensis
2021年に記載された新種の花キリンであるマカイエンシスが開花しました。
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苞が小さい花です。


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Operculicarya pachypus
パキプスは大変な勢いで枝を伸ばしています。要するに、でかい鉢で乾かさないようにして肥培する方が良さそうです。

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幹が急激に太ってきました。


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Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis
カフィルドゥリフテンシスが開花しました。

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花は痩せ型。


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謎の花キリンの実生。E. ramenaの鉢に生えてきて、実生が似ていたのでラメナのような気がしていました。しかし、育ってきたら、葉の形は違うし葉に赤みがあります。特徴的にラメナとルブリフロラの雑種なのでしょう。


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こちらが、E. ramena。葉が丸く厚みがあります。


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E. francoisii crassicaulis rubrifloraと呼ばれる花キリン。要するに葉の赤みが強いE. crassicaulisのこと。葉にそれほどの厚みはありませんが、葉の形と赤みはルブリフロラに由来するものでしょう。


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相変わらず小石川植物園を歩いています。南の方にある池というか沼が点在するあたりを見ていきましょう。


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ミズカンナ Thalia dealbata
最初の池はミズカンナに埋め尽くされていました。

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花は終わっており、実がなっています。


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亀にジロリと一瞥されました。


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タイミンチク(大民竹) Pleioblastus gramineus
覆い被さるように垂れる笹。棹が非常に高密度でひとかたまりに見えます。まるで海岸に押し寄せる波のようです。ちょうどくぐれるため、竹林に入ってみました。タイミンチクはばらけて一面を覆い尽くさず、割りと集団ごとに点在するため、中は歩きやすく明るいものでした。タケノコもポツポツとありましたね。


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ホソバイヌビワの実がなっていました。名前には「ビワ」とつきますが、Ficus属ですからいわば小さなイチジクです。イチジクの仲間は共生関係にあるイチジクコバチが受粉に必要です。イチジクコバチが受粉を行い、受粉して育つ果実の中でイチジクコバチの幼虫は育ちます。ですから、熟した果実にはイチジクコバチが必ず入っています。このような、一対一の切り離せない関係を絶対送粉共生と呼びます。ちなみに、普段食用としているイチジクは、品種改良によりイチジクコバチを必要としないため、中からイチジクコバチが出てくることはありません。


絶対送粉共生の例として、ユッカとユッカ蛾を取り上げたことがあります。以下のリンクからどうぞ。


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アイグロマツ(間黒松) Pinus × densithunbergii
交配種で、組み合わせは赤松(P. densiflora) × 黒松(P. thunbergii)。葉は黒松のように太く短く、幹は赤松のように赤みがあるそうです。
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幹は赤みがかります。


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,ラクウショウ(落羽松) Taxodium distichum
いわゆるヌマスギ(沼杉)で、沼のほとりなど水辺に生える針葉樹です。緩い地盤に生えるためか、板根ほどではありませんが根元が張り出します。北米の原産。
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このような呼吸根が出ているものもありました。泥濘んでいたので、雨が降れば水がたまる場所なのでしょう。まるで、マングローブのようです、このように、樹木の形態の基本設計による制約の下、似た環境に適応した植物は収斂して似た姿となりがちです。


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メキシコラクウショウ
Taxodium distichum var. mexicanum
メキシコ原産のラクウショウ。ラクウショウの変種扱いのようです。枝がよく垂れています。やはり水辺の針葉樹ですが、ラクウショウとは異なり呼吸根はあまり出さないとのこと。ちなみに、世界一太い木で、直径は11mを超えるそうです。



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ヌマミズキ Nyssa sylvatica
ラクウショウの近くに、やはり湿地に生える樹木であるヌマミズキがありました。北米の原産。
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実がなっていました。
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マメコガネがついていました。名前とは異なり様々な植物の葉を食害します。海外ではJapanese Beetleとして有名な害虫で、日本原産の世界的な侵略的外来種です。最近、フランスに侵入したというニュースをみたばかりです。



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先週はサボテンやアガヴェ、アロエ、ユーフォルビアの色のついたトゲが、草食動物に対する警告色として働いているという論文をご紹介しました。本日は同じ著者によりトゲの色の変化に関する論文を見ていきます。それは、Simcha Lev-Yadun & Gidi Ne'emanの2006年の論文、『Color changes in old aposematic thorns, spines, and prickles』です。


トゲの警告色については、以下リンクをご参照下さい。


トゲの変化とコスト
保護器官の成熟に伴いトゲの色は変化し、目立たなくなります。例えばバラ属の植物では、枝が若く緑色の時は、黄色やオレンジ色、赤色、褐色、黒色のトゲは目立ちます。しかし、枝が緑色から褐色あるいは灰色に変わると、トゲは元の色を喪失し目立たなくなります。
このようなトゲの色の変化は一般的ですが、必須ではありません。薄い着色層が一時的であるのは、必要なのはより少ない資源であるため、トゲへの着色に対する投資の削減となります。トゲを長期間に渡りカラフルに保つためにはその分だけコストがかかります。単純にトゲを構成する素材が最初からカラフルであるという考え方もありますが、トゲは変色してもトゲの機能を失いませんし、そもそも着色層はトゲの鋭さに寄与しません。



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Euphorbia poissoniiの赤く美しいトゲも、やがて退色し目立たなくなります。


色の変化は適応的
植物が有色器官を生み出すためのコストには3種類あります。
①色素合成のための資源割り当ての必要性。
②光合成と生産性の低下。
③目立つ事による草食動物の誘引。
しかし、トゲの色の変化は適応的であり、何らかの利点をもたらしているはずです。防御対象の器官の生長や成熟に伴い、草食動物に対する脆弱性は低下します。このような、防御コストの低減は一般的です。例えば、アカシアなどの木本は、低い位置の枝のトゲは高い位置のトゲよりも長くなります。また、幼木のみ大きなトゲがあり、成熟するとトゲを失うものもあります。さらに、草食動物の食害後にトゲのサイズと数が増加することも知られています。
これらのトゲの色の変化は、広範囲な分類学的分布を示すことから、この形質は裸子植物と被子植物の両方で、おそらく視覚指向性を持つ草食動物による淘汰に応じ、繰り返し進化してきたことを示唆しています。



最後に
以上が論文の簡単な要約です。
論文で主張されていることは実にシンプルで、要するに古いトゲが変色して元のカラフルな色彩を失うのは、理に適っているというだけの話です。カラフルな色彩を維持するためには、トゲの形成後も色素を合成して補充し続ける必要があります。カラフルなトゲは警告色として草食動物にアピールすることを考えたら、カラフルなトゲの維持にも意味があるような気もしてしまいます。しかし、変色したトゲは古い幹や枝にあるわけですから、木質化していて硬く葉もないか少ないでしょう。守るべき新しい枝先には生長点があり新しい葉がつきますから、カラフルなトゲで警告を発することに意味があります。古いトゲのカラフルな色彩を維持するためにもコストがかかりますから、新しいトゲだけにコストを割くのは合理的でしょう。
そういえば、サボテンでも若い苗のうちはトゲが強く、生長するとトゲが弱くなるものもありますね。これは、草食動物の食害を受けやすいうちは強いトゲで防御し、草食動物の食害を受けにくいサイズになったらコストがかかるトゲに資源を割かなくなるということでしょう。
トゲの運用にはコストがかかり、それは食害に対するリスクとベネフィットとの関係により、最適化されて進化してきたのでしょう。


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