ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2025年04月

蘇鉄は「生きた化石」と呼ばれることもあるように、起源が古く原始的な特徴を残した植物です。分類的には基本的に風媒花である裸子植物の一員です。しかし、蘇鉄類に関しては虫媒も行われていることが複数種で報告されています。日本に自生する蘇鉄(Cycas revoluta)は、雄株と雌株が近くにあれば風媒でも受粉しますが、驚くべきことにゾウムシが受粉に関与することがわかりました。風媒と言ってもせいぜい2mとのことですから、風媒花としてはあまり意味がないように思われます。本来的に風媒花は広い範囲に大量の花粉をばらまくことに意味があるわけですから、蘇鉄の花粉は拡散能力が低く、飛散する花粉の量も大したことがないのでしょう。さらに、ゾウムシは蘇鉄の花(=Corne)に産卵し、ゾウムシの幼虫は蘇鉄を食べながら育ちます。蜜や花粉で花粉媒介者を呼ぶ被子植物とは異なり、未熟な虫媒です。この中途半端は風媒と未熟な虫媒は、蘇鉄が風媒から虫媒へ移行しようとした最初の植物の1つなのではないかと想像させます。

さて、このように、植物と花粉媒介者が互いになくてはならない関係を結ぶことを送粉共生と呼びます。本日は日本の蘇鉄だけではなく、海外の蘇鉄、フロリダソテツ(Zamia integrifolia)について、送粉共生の様子を見てみましょう。ご紹介するのは、Avi Simonらの2023年の論文、『Behavior and feeding of two beetle pollinators of Zamia integrifolia (Cycadales): Rhopalotria slossoni (Coleoptera: Belidae) and Pharaxanotha floridana (Coleoptera: Erotylidae)』です。

花粉媒介者と偽装受粉
Zamia integrifolia(以下、フロリダソテツ)はフロリダ唯一のソテツ類で、国際自然保護連合連合(IUCN)のレッドリストでは準絶滅危惧種に指定されています。フロリダソテツは雌雄異株で、雄株と雌株のCorneが別の個体に出来るため、花粉媒介者が必要です。
フロリダソテツは2種類の甲虫、Rhopalotria slossoni(ゾウムシの仲間)とPharaxanotha floridana(オオキノコムシの仲間)に受粉を依存しています。花粉媒介者は雄株のCorneを訪れ産卵し、幼虫は雄株のCorneを食べて育ちます。受粉が起きるには、花粉媒介者は雌株のCorneも訪れる必要がありますが、雌株のCorneの胚珠は食物や幼虫の餌としては意味がないと考えられてきました。そのため、これは偽装受粉(deceptive pollination)であるという仮説があります。


なぜ雌株のCorneは拒否されるのか?
雌株のCorneに対する拒否は、β-Nmethylamino-L-alanine(BMAA)に対する毒素への回避行動である可能性が示唆されていました。雄株のCorneの場合はBMAAは特殊な異形細胞に隔離されており、異形細胞は昆虫の胃をそのまま通過しますが、雌株のCorneでは発達中の異形細胞が破裂しBMAAが組織内に分散します。近年の研究では、BMAAは鱗翅目昆虫の摂食障害物質にはならない可能性も示唆されています。しかし、実際の野外調査では雌株のCorneは2種類の花粉媒介者である甲虫に忌避されます。

実験
雄株のCorneと雌株のCorneの鱗片を用意し、2種類の花粉媒介者の成虫を放ちました。
ゾウムシは雄株の鱗片でより長い時間を過ごしましたが、3Dプリンタで作製した偽の鱗片を用いた場合、雄株や雌株の鱗片との有意差はありませんでした。また、ゾウムシが鱗片を食べた量においては、雄株と雌株に有意差はありませんでした。しかし、雌株の鱗片を食べた方が、実験終了時(30時間)に生存している個体が多く見られました。
オオキノコムシの場合は、鱗片上で過ごす時間に差はありませんでした。しかし、オオキノコムシは雄株の鱗片より雌株の鱗片をより多く食べていました。オオキノコムシは柔組織ではなく、鱗片表面の細かい毛を食べていました。雌株の方が摂取量が多いのは、雌株の鱗片の方がより毛が多いためかも知れません。


結論
試験結果からはフロリダソテツの花粉媒介者は雌株のCorneを利用しないという仮説に疑問を投げかけます。ゾウムシは雌株より雄株のCorneに多くの時間を費やしており、野外の行動観察の結果を裏付けています。しかし、雄株のCorneと雌株のCorneの消費量に違いはなく、野外での観察結果からの予想と矛盾します。
ゾウムシの生存率やオオキノコムシの消費量を見ると、フロリダソテツの雌株のCorneを食べることに利点があるようにも考えられます。フロリダソテツの受粉が欺瞞のみで成立するという仮説に疑問を投げかけます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
フロリダソテツは雌雄異株で花粉媒介者による受粉が必要であるということですが、これは送粉共生にあたるということでしょう。日本の蘇鉄と同じですね。しかし、釈然としないのは雌株のCorneではなく、雄株のCorneに産卵するのかということです。なぜなら、花粉媒介者が欺瞞により雄株のCorneに行き花粉が体に付着し、さらに雌株のCorneに行くことにより受粉が完了するという流れが良さそうに思えるからです。種子にならない花粉が詰まっているだけの雄株のCorneが食べられた方が、無駄がなくて良さそうな気もしますが、かと言って雌株のCorneが忌避されているため受粉の効率があまりにも悪い気もします。実験結論のやや曖昧な感じも含め、何やらモヤモヤしますね。さらに突っ込んだ研究が望まれます。



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じゃんじゃん植え替えをしていきます。植え替えていなかった購入品以外のものも植え替えて行きます。ちなみに、今回で今年の植え替えは46鉢になりました。

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Euphorbia curvirama
クルヴィラマは実によく生長していますが、流石にプレステラ90では窮屈に見えます。大きい鉢に植え替えます。ちなみに、2020年の2月にサカタのタネのガーデンセンター横浜(2023年に閉店)にて購入しました。
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上モノに比べると根は貧弱でしたが、弱っている感じはありません。深植えしていたので、根圏が狭かったのでしょう。
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植え替え後。プレステラ90でしたがプレステラ105に植えました。

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Euphorbia gottlebi
冬の間、終始咲き続けてくれたゴトゥレベイも植え替えます。ちなみに、2022年の夏にヨネヤマプランテイションにて購入しました。
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根は非常によく発達していますが、プレステラ120では窮屈そうです。
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植え替え後。プレステラ120では小さいし、縦長に育っていますからプレステラ150では持て余します。というわけで、EG-135Lに植えました。

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Cycas cairnsiana
オーストラリア原産の青い蘇鉄であるカイルンシアナは、2024年の秋のビッグバザールにて購入しましたが、まだ植え替えていませんでした。
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塊根が長く伸びています。まだ実生1年目といったところでしょうか。
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植え替え後。同じ鉢に縁までぱんぱんに用土を詰めました。蘇鉄は長い鉢が必要です。

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武勲丸
G. ochoterenae系と言われる武勲丸ですが、鉢がぱんぱんに硬くなっており根が張っていることが分かります。ちなみに、2022年のビッグバザールにて購入しました。

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根はやはりかなりの量でした。
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植え替え後。プレステラ90でしたがプレステラ105に植えました。

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Pachypodium windsorii
ウィンドゥソリィは新芽が出てきたところですが、植え替えます。ちなみに、2021年の冬のビッグバザールにて購入しました。
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根はすこぶる良いですね。
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植え替え後。根が多くプレステラ90では狭いため、プレステラ105に植えました。


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3月に筑波実験植物園で開催されたつくば蘭展の記事の続きです。今回は研修展示館の1階の展示を見ていきます。

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Vanilla borneensis
念願のヴィニラの花です。あちこちの植物園でヴァニラを見ましたが、残念ながら花は見たことがありませんでした。蘭としては割りと地味な花ですが、ボルネエンシスは白い花茎が目立ちますね。

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よく見ると可憐な花ですね。

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Vanilla planifolia
もっとも一般的なヴァニラ。残念ながら花はありませんでしたが、沢山の果実がなっていました。黒く変色した果実は、強いヴァニラの香りを放っていました。


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様々な蘭が展示されています。

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チケイラン Lyparis bootanensis
ヒマラヤから東南アジア、日本まで広く分布する竹慧蘭です。花は咲き終わったようにも見えますが、小さな花が咲いています。
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不思議な形の花です。すでに受粉しているように見えますが、まだ花が付いているのでしょうか?

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Strongyleria pannea
非常に小さな花ですが、拡大すると密な毛に覆われていました。


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Phreatia vanoverberghii
蘭好きを名乗っておいて、お恥ずかしい話ながらフレティア属は知りませんでした。「lace orchid」と呼ばれるようで、非常に小さな白い花が密につきます。面白い蘭です。


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Bulbophyllum lemniscatoides
ブルボフィルムは非常に多様かつ印象的な風変わりな花を咲かせます。目立たない小さな花が房状に垂れ下がります。花からは長い毛が出ており、風が吹くと垂れ下がった花穂が揺れます。ブルボフィルムにはこのように風で動くものがあり、花粉媒介者のハエに対するアピールとされているそうです

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Bulbophyllum acuminatum
ブルボフィルムではメジャーな形態の花です。このタイプは、根元の花弁が風でぴょこぴょこ動いたり、毛の房がついていて風でチラチラ動いたりします。まあ、大抵は著しい異臭があり、冬に締め切った部屋にあると結構臭いです。

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Bulbophyllum sp.
これは一体どういう形の花なのか、よく分かりません。基本的な蘭の花の形状からすると、目立つ3枚は萼片でしょうか?よく見ると中央に小さなリップらしき構造があるようにも見えます。

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Kandelia candel
これは蘭ではなく、水生植物温室のマングローブです。水生植物温室は研修展示館とくっついていますからね。一応寄ったら咲いていました。メヒルギの花は初めて見ました。貴重な体験です。

研修展示館の展示はかなり多く、流石に撮りきれなかったため、撮影したのは極一部です。他の蘭展ではあまり見ることがないような珍しい蘭を沢山見ることが出来ました。さて、最後は熱帯資源温室に展示された蘭を見ましょう。


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さて、4月は植え替えに専念すると決めましたから、今回も植え替えをします。購入してからまだ植え替えをしていない多肉植物が残っていますから、そちらから片付けましょう。ちなみに、今回で今年の植え替えは41鉢となりました。

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Euphorbia sipolisii
Pencil-Stemのユーフォルビアですが、まだ植え替えていないため植え替えます。ちなみに、2024年の10月に開催された木更津C&Sフェアにて入手しました。
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根の状態は良さそうです。
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植え替え後。背が高いのでバランスをとってプレステラ105に植えました。

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Euphorbia biselegans
こちらも2024年の10月に開催された木更津C&Sフェアにて入手したものです。タンザニア原産の木質となる旧・モナデニウム。

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根は問題なさそうです。
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植え替え後。プレステラ105に植えました。

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H. attenuata var. radula MBB 6831
フィールドナンバーつきのアテヌアタ変種ラドゥラも植え替えます。3月にシマムラ園芸で開催された、JSS春の多肉市で入手したばかりのものです。
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これは非常に状態が良いですね。
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植え替え後。最初プレステラ75に植えるつもりでしたが、根が多いためプレステラ90に植えました。

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Agave stricta 'nana'
妙に色味が悪い矮性の吹上です。先日、横浜にあるヨネヤマプランテイションの多肉植物BIGフェアにて入手しました。

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根は見た目よりはしっかりとありました。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。日照不足か間延びした感じがしますから、締めて育てていきます。

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Euphorbia cylindrifolia
2023年の12月頃にキリンドゥリフォリアの枝をうっかり折ってしまいました。室内とは言え真冬なので、挿し木は諦めてそのまま鉢の中に置いておいたわけです。しかし、2024年の4月に植え替えたところ、置いていただけなのに根がしっかり張っていて驚きました。というわけで、あれから1年でどうなったか見てみましょう。
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しっかり塊根が出来ています。実生苗のように1つの大きな塊根は出来ませんが、塊根の生長はかなり早そうです。
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植え替え後。生長を見込んで、プレステラ90に植えました。挿し木苗の塊根の育ち方も気になりますね。


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さて、本日も3月に筑波実験植物園で開催されたつくば蘭展の記事です。今回から研修展示館の展示を見ていきます。やはり、花のもっとも重要な役割である受粉のための、花粉媒介者との関係について取り上げられていました。

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これは、香りのある蘭で、嗅ぎ比べる企画です。カトレアのような甘い香りではなく、ややきつめの香りでした。

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Lycaste puntarenasensis
リカステは花弁が小さく萼片が大きい特徴的な花を咲かせます。リカステは交配系の大型花に見慣れているせいか、原種は逆に新鮮な感じがします。

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Miltoniopsis roezlii
ミルトニアではなくミルトニオプシスでした。ウェブ上では、黄色い花のロエズリィは変種xanthinaとされている雰囲気ですが、どうでしょうかね?

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Coelogyne cobbiana
これは、いかにもな旧・Dendrochilumですが、2021年にコエロギネ(セロジネ)に吸収されました。

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筑波実験植物園では、希少な蘭がこのように培養されて維持されています。ただのテーマパークではなく、研究施設としても重大な役割があるのです。

蘭もまた他の多くの顕花植物と同じように、花粉媒介者により受粉します。蘭に限らず、一般的には昆虫が多く、中でも花粉媒介者として汎用的なのは蜂でしょう。しかし、蜂だけではなく、蝶や蛾、ハエなどでも受粉するものもあります。さらに言えば、鳥やコウモリにより受粉する植物すらあります。蘭の多様な花粉媒介者を示す良い展示がありましたのでご紹介しましょう。
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Preptanthe rubens
こちらは、蝶により受粉するタイプの花です。このように長い距がある花は、蝶や蛾がメインターゲットです。距に溜まった蜜を吸えるのは、長い口吻を持つ鱗翅目の昆虫だけです。しかも、このように明るい色合いの花は基本的に昼咲性ですから、訪問するのは蝶ということになります。ただし、蜂は距に穴を開けて盗蜜しますが、反則技なので受粉には寄与しません。

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Dendrobium sp.
ニューギニア原産のデンドロビウム。

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鳥により受粉する鳥媒花です。鳥がクチバシを差し込める太さ長さの筒状の花です。鳥媒花の多くは赤やオレンジ色です。筒状で赤〜オレンジ系統の花を咲かせる多肉植物では、アフリカではアロエやガステリア、新大陸ではFouquieriaやCleistocactus、Oreocereus、Denmoza、Matucanaあたりも鳥媒花ですね。

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Bulbophyllum lobbii subsp. breviflorum
東南アジア原産の着生ラン。ブルボフィルムは赤褐色の花(腐肉色)が多く、腐敗したような異様な臭気を持つものが多くあります。これはハエを呼ぶためで、このような色合いの花は腐肉臭、あるいはキノコ臭を持ちます。巨大な花で有名なラフレシアやショクダイオオコンニャクも腐肉色で腐敗臭を持ちハエを呼びます。多肉植物では旧・ガガイモ科のStapeliaやBrachystelmaは強烈に臭います。


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Angraecum leonis
アングラエクム(アングレカム)は、非常に長い距を持つ白い花を咲かせます。長い距を持つ花の花粉媒介者は鱗翅目ですが、花色が白色や緑色、クリーム色の花の中には夜咲性のものがあります。この淡い色合いは、夜に咲くので花粉媒介者に色が認識されないため退化したのでしょう。つまりこれは、蝶ではなく蛾による蛾媒です。夜咲性の花は良い香りのものもあります。いつぞやの世界らん展日本大賞で、アングレカムの花の香りの香水が展示されていましたね。そういえば、Lophocereusの中には蛾媒のものがあるという記事を書いたことがあります。


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Dendrobium linawianum
中国、台湾原産のデンドロビウム。蜂により受粉します。蜂を花粉媒介者としていない花にも蜂は訪れ、蜜や花粉を集めます。日中に咲いている花なら何でも良いわけです。まあ一応、好みの花色はあるようですけどね。ただし、蜂は咲いていれば蜜がなくても花に来ますが、蜂がちゃんと花粉を媒介するとは限りません。花により適不適というものはありますからね。
そういえば、特にカトレアなどの蘭はリップの中央は濃い色合いですが、これを蜜標(nectar guide)と呼びます。花が花粉媒介者のために用意した、花の中心近くにある花蜜の目印です。


さて、つくば蘭展の企画展示はここまでです。あとは、研修展示館の1階の展示室の珍しい蘭の展示と、熱帯資源温室につくば洋蘭会の展示があります。というわけで、つくば蘭展の記事はまだまだ続きます。私のような蘭好きには堪らないイベントですね。


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性懲りもなく、またそぞろに植物園に行きたくなってしまいました。しかし、公私ともに忙しくそれどころではないので、4月は多肉植物を外に出したり植え替えしたりして大人しく過ごす予定です。というわけで、代わり映えなく本日も多肉植物をチマチマ植え替えます。ちなみに、今年の植え替えは本日で36鉢になりました。

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Euphorbia marsabitensis
あまり生長が見られないマルサビテンシスを植え替えます。ちなみに、2023年の秋に木更津C & Sフェアにて入手しました。
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あまりユーフォルビアらしさがないストレートな根でしたが、根はかなり充実しています。
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植え替え後。同じプレステラ90にそのまま植えました。今年はよく生長して欲しいものです。

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Euphorbia neorubella
ネオルベラは冬の間、長く開花していました。ユーフォルビア感がない見た目ですが、旧・モナデニウムです。Monadenium rubellumという名前の方が通りが良いかもしれませんね。ちなみに、2024年の10月にオザキフラワーパークで開催された「多肉大集合!」というイベントにて入手しました。

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塊根は非常によく発達していました。しかし、ピート主体の極めて水はけが悪い用土に植えられていました。冬の間によく腐らなかったものです。流水でよく洗い、用土を丁寧に取り除きました。
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植え替え後。塊根が大きいため、これから根が長く伸びると踏んで、EG-135Lに植えました。

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Aloe bowiea
ボウィエアは去年は地味な花を咲かせ、子株が2つ出来ました。ちなみに、ボウィエアは2020年の夏にコーナン港北インター店にて入手しました。

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根は特に問題はなさそうです。
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植え替え後。そのままプレステラ105に植えました。

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Euphorbia tulearensis
トゥレアレンシスも植え替えます。2020年の夏に鶴仙園にて入手しました。最近トゥレアレンシスはイベントでよく見かけますが、当時はそれほど流通していませんでしたね。

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根はかなり太く発達しています。
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植え替え後。トゥレアレンシスは枝の伸びは恐ろしく遅いのですが、よく開花し丈夫で育てやすい小型種です。

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Gymnocalycium ragonesei
国内実生感のあるラゴネセイです。2024年の11月に鶴仙園にて購入しましたが、植え替えはしていませんでした。

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根は問題なさそうです。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。


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3月に筑波実験植物園で開催されたつくば蘭展の続きです。本日は教育棟の企画展示の残りを見ていきます。オーストラリアの地生ランとバケツランの奇妙な生態についての展示です。写真家の故・山口進氏の蘭と昆虫の関係を捉えた素晴らしい写真の展示もありました。

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Corybas diemenicus
オーストラリアの地生ラン。1cm程度の小さな花を咲かせます。種小名の「diemenicus」は「タスマニアから来た」という意味で、タスマニアにも分布します。英名は「Stately helmet orchid」ですから、「壮麗なヘルメット蘭」という意味です。そういえば、コリバス属自体が「ヘルメット蘭」と呼ばれており、やはり皆こんな感じの花です。


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Diuris magnifica
スラリとした草姿が美しいオーストラリアの地生ラン。「large pansy orchid」の英名の通り、パンジー的な配色です。
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非常に装飾性が高い面白い花です。

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Caladenia attingens
不思議な形状の花を咲かせるオーストラリアの地生ラン。「mantis orchid」、つまり「カマキリ蘭」の意ですが、カマキリが腕を上げた姿に見えないこともありません。
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花の構造的に、花蜜があるのは①の奥ですから、昆虫は②の花弁に止まって奥に頭を突っ込むことになります。すると、③の先端にある花粉塊が昆虫の背中に付着する仕組みなのでしょう。

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Pterostylis concinna
オーストラリアの地生ラン。風変わりな花ですが、筒状の花に昆虫が潜り込むことにより受粉する仕組みなのでしょう。


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Caladenia flava
一見して蘭に見えませんが、よく見るとリップがあって、典型的な蘭の花であることが分かります。長い2枚の萼片が特徴的です。オーストラリアの地生ラン。


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Caladenia serotina
オーストラリアの地生ランで、「Christmas spider orchid」と呼ばれています。山火事の翌年によく咲くと言われていますが、山火事が起きやすいオーストラリアらしい生態です。複雑な形状の花ですが、C. attingensと同じ仕組みがあるようです。


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Caladenia varians
オーストラリアの地生ラン。花弁や萼片の先端が糸状に長く伸び、とても面白い形状です。


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Coryanthes macrocorys
いわゆる「バケツラン」と呼ばれる蘭で、特殊な形状の花が咲きます。名前の通り、リップがバケツのように水を溜めます。まさにバケツですが、この水は自身で分泌するそうです。本物を見たのは初めてです。
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花を訪れたハチが水の溜まったバケツ部分に落ちると、翅が濡れて飛び立つことが出来ず、さりとて内壁はつるつるしていて登れません。バケツランは脱出口を準備しており、その狭い通路を通過すると花粉がハチに付着します。非常に凝った仕組みですね。

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蘭を訪問するハチたち。

今回までが企画展示でした。故・山口進氏の素晴らしい写真は是非ご紹介したかったのですが、撮影禁止でしたので悪しからず。つくば蘭展は、熱帯資源植物温室や研修展示館にも展示があります。次回からは、研修展示館を見ていきましょう。


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妙に寒い日が続きましたが、しばらくは暖かい日が続くようです。多肉植物の植え替えは始まっていますが、室内の多肉植物を外に出すタイミングを見計らっています。ちなみに、今年の植え替えは31鉢目になりました。

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Gymnocalycium erinaceum WR 726B
エリナケウムが開花しています。花が終わったら植え替えをしましょう。


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Pachypodium brevicaule
恵比寿笑いが開花しました。咲いていたのになかなか撮影しなかったので、終わりかけだったようでさわったらポロリと花が落ちてしまいました。2022年に神代植物公園にて開催された多肉植物展にて購入しましたが、生長が早く植え替えは2回目です。

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鉢が歪んでおり割りときつそうでしたが、根は非常に充実しています。
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植え替え後。プレステラ90からプレステラ105に植え替えました。このままぐんぐん育って欲しいものです。

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Pachypodium rutenbergianum
2023年の3月にルームズ大正堂八王子店にて購入しましたが、根がカリカリに干からびたものを掴まされてしまいました。まあ、捨て値でしたし、根腐れではないため簡単に発根出来ますから、特に遺恨はありません。

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あれから2年経ちましたが、根は豊富でかなり太い根も発達しています。
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植え替え後。同じプレステラ105に植えました。ルテンベルギアヌムは縦にひょろひょろ伸びますが、枝を切り戻して枝分かれさせる予定です。枝がもう少し伸びてからですかね。ケヤキの盆栽の箒作りのような形を目指します。

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Pachypodium saundersii
いわゆる「白馬城」ですが、なかなか勢いがあります。ちなみに、2021の冬のBBで入手したものです。

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思ったより根が深いですね。深型のプレステラでも少し浅く感じます。
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植え替え後。今回はプレステラ120に植えましたが、その先は考えものです。急に鉢サイズを増すと、乾きにくくなるため腐りやすくもなります。丁度良い鉢は難しいものです。

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Pachypodium brevicalyx
ブレビカリクスも植え替え。かなり太っていますが、そろそろ根が詰まってくる頃合いです。生長も鈍ってきたので植え替えます。2021年の秋にヨネヤマプランテイションのイベントで入手したものです。
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根は非常に発達していました。
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植え替え後。同じプレステラ120に植えました。今年はよく生長して欲しいですね。

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Stephania pierrei
いわゆるS. erectaと呼ばれているステファニアです。2020年に東京ドームで開催された世界らん展日本大賞にて購入しましたが、芋を夏の直射日光に当ててしまい、萎びれて枯れてしまいました。しかし、芋が分球しており、地中に数mmの芋があったので、大事に育ててきました。
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抜いてみると驚きの芋の太り具合でした。
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植え替え後。明らかに鉢が小さいので、プレステラ105に植えました。微妙に芋を出しましたが、トラウマがあるので慎重に徐々に出していきます。


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日曜日に横浜にあるヨネヤマプランテイションで開催された、「多肉植物BIGフェア」に行ってきました。年に3回ほど開催されるイベントで、ここ3年ほどは欠かさず参加しています。普段通うには遠いのでイベントでしか行きませんが、思わず結構面白いものがあったりします。

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雨の予報もありましたが、雨には降られずに済みました。また、おそらく初日の土曜日は混雑したのかも知れませんが、日曜日はゆっくり見ることが出来ました。
今回のイベントは割りと珍品揃いでしたが、運悪く手持ちと被りまくってしまいました。これは残念。というより、市場に流通する前の先触れをいち早く入手しているからかも知れません。まあ、価格的にはかなりお求めやすくなっており、私は一番高い時に買ってしまっているわけで何とも言えないものがありますが仕方がありません。その時点で入手しないと、いつ入手出来るか分かりませんからね。
さて、最近は各種イベントでもサボテンの存在感が増していますが、今回はかなり良いラインナップでした。ミラクル兜やスーパー兜があり、ヒトデ型のものは欲しくなりました。また、Turbinicarpus alonsoiや昇竜丸(T. schmiedickeanus)、姫牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus  var. macdowellii)、菊水(Strombocactus disciformis)、帝冠(Obregonia denegrii)、晃山(Leuchtenbergia principis)、Ortegocactus macdougallii(2021年にCochemiea属となった)、綾波(Homalocephala texensis)など非常にバラエティがありましたね。
ユーフォルビアは豊富で、E. spanringiiやE. woodii、E. hedyotoidesなどの今まで見かけなかったあたりが、当たり前のように並んでいました。しかし、すべてBBで入手済みでしたから、今回はユーフォルビアは買いませんでした。
アガヴェは今回それほどでもなく、オテロイなどの苗があったくらいです。パキポディウム苗は沢山ありました。後はセンナやAloe zebrinaあたりが目についたでしょうか。あとは、カクタス長田苗が沢山ありましたが、ラインナップが少し変わったようです。

さて、購入品です。それほど気になるものはなかったのですが、記念に2株購入しました。

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Agave stricta 'nana'
一巡した時はなんだアガヴェかとスルーしましたが、よくよく考えるとこれは吹上の矮性品種であることを思い出しました。吹上は新属Echinoagaveへの分類が提案されていますから、気になっている存在です。

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羅星丸 Gymnocalycium bruchii
カクタス長田苗。非常に安いので購入。丁度、花の時期でした。可愛らしいトゲが痛くない小型ギムノです。

というわけで、今年もヨネヤマプランテイションのイベントに参加してきました。例年通り硅酸白土も購入し、まあまあ悪くないイベントでしたね。しかし、往復の電車賃と多肉植物の購入費用があまり変わらないという、何とも無駄が多い感じはあります。しかし、移動時間はかかりますが、乗り換え1回で駅前に店舗がありますから面倒くさくないという点は助かります。
今回は正直なところ疲労が溜まっており、今日行くか割りと悩みました。ですから、ついでにいつもは寄るコーナン港北インター店や、帰宅路にあるタナベフラワーやプロトリーフに寄るのは諦めました。というわけで、2025年初のヨネヤマプランテイションのイベントでした。



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ほぼ毎年、東京ドームで開催される世界らん展日本大賞に行っていました。しかし、プリズムホールでの開催になってからは、会場が狭く異常に混むため、今年は行きませんでした。しかし、たまたま2月に筑波実験植物園に行った折、つくば蘭展の開催を告げるポスターがありました。蘭と昆虫との関係についての展示があるようでしたから、これは見に行かないといけません。当ブログでは、普段から受粉生物学の記事を挙げていますからね。ということで、つくば蘭展の記事が始まります。
本日はヨーロッパの地生ランを取り上げます。ヨーロッパの蘭は展示会でも基本的に見かけないので、珍しいものを見ることが出来ました。特に花をメスのハチに擬態させて、オスのハチを呼び寄せるOphrys属の蘭は地味ですがとても面白い蘭です。


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蘭展の開催を告げるポスター

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入り口付近に早咲きの桜が咲いていました。この日はよく晴れて、暖かく行楽日和でした。

さて、まずは教育棟の展示から見ていきます。教育棟は小さいのですが、しっかりとした企画展示がありました。ただ、沢山の蘭を並べがちな一般的な蘭展とは異なります。やはり、教育や研究に重点を置いている筑波実験植物園ならではと言えるでしょう。


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Ophrys speculum
地中海沿岸に自生する球根性の地生ラン。オフリス属の蘭は花のリップがハチに擬態しています。雌のフェロモンまで再現しており、騙されて交尾をしにきたハチにより受粉する面白い生態を持ちます。ですから、「bee orchid」と言う呼び名も納得ですね。ちなみに、このような擬態をPouyannian擬態と呼ぶそうです。

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Ophrys tenthredinifera
やはり、地中海沿岸に自生するオフリス属の地生ランです。「Sawfly orchid」と呼ばれますが、ハバチとの関係が深いのでしょうか? 

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Ophrys fusca subsp. iricolor
こちらも地中海沿岸に自生する地生ラン。亜種イリコロルですが、意味的には「虹色の」だとか「多色の」ですが、あまりそんな感じはしませんね。

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Orchis italica
オルチス属、つまりは蘭属ですから、これは蘭につけられた最初期の属名かも知れませんね。しかも、種小名がイタリカですから、直球で「イタリアの蘭」となります。

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しかし、美しい花ですね。そういえば、イタリカのリップは人型をしていると言われ有名です。
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なんとなく人型。
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やはり、地生ランのようです。それはそうと、実に装飾的な葉ですね。

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Himantoglossum robertianum
花色はかなりバリエーションがあるようで、この個体は割りと地味なタイプのようです。球根は食べられると言いますが、どのような料理にして食べるのでしょうか?

さて、本日はヨーロッパというか地中海沿岸に自生する地生ランを見てきました。基本的にあまり見かけない蘭で、今までの蘭の展覧会でも見た記憶がありません。まあ、単純に地味なので目に入らなかった可能性もありますけどね。
Ophrys属の蘭はある程度限定された相手をターゲットにして、花を特殊化させた面白い花です。つまり、種により引き寄せるハチの種類が異なるのです。このように、花粉媒介者との関係を特殊化させた花は蘭に多く、花粉媒介者と1対1の関係になるまで特殊化したものもあります。蘭の美しい花は、花粉媒介者を引き寄せるために生まれました。ただ美しいだけではなく、その自然の生態のあり方も面白く、知ればより蘭を楽しむことが出来るでしょう。


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マダガスカルは多肉植物の宝庫で、固有種も多く種類も豊富です。花キリンはマダガスカル固有のユーフォルビアですし、ディディエレア科植物やアロエも固有種ばかりです。コーデックスも豊富で、オペルクリカリアやパキポディウムは日本でも非常に人気があります。しかし、残念ながらマダガスカルの多肉植物の多くは自生地の破壊とともに急激に失われています。
本日はマダガスカルの12種類の多肉植物について、その保全状況を調査したBako H. Ravaomanalinaらの2011年の論文、『Conservation status of some commercialized succulent species of Madagascar』をご紹介します。

多肉植物の宝庫・マダガスカル
マダガスカルの南部と南西部には多くの多肉植物が生息し、Didierea科-Euphorbiaが優勢ですが他にも様々な植物があります。生息する維管束植物の約90%は、固有種であり、その多くは希少種で、特定の狭い分布を持ちますが、植生の急速な破壊の影響によりIUCNレッドリストでは絶滅危惧種に分類されます。多肉植物はその多様性と魅力的な形から、例えばSenna meridionalisやOperculicarya属は盆栽(bonsai tree)として世界中の植物愛好家に人気があります。マダガスカルの多肉植物の国際取引は、市場の高い需要により深刻な脅威となっています。

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Operculicarya decaryi
筑波実験植物園にて。(2024年6月)

国際貿易需要植物
この研究には、国際貿易需要の高い12種類のマダガスカル固有種が選ばれました。
①Adenia firealavensis
②Adenia olaboensis
③Adenia subsessifolia
④Senna meridionalis
⑤Cyphostemma elephantopus
⑥Cyphostemma laza
⑦Cyphostemma montagnacii
⑧Operculicarya decaryi
⑨Operculicarya hyphaenoides
Operculicarya pachypus
⑪Zygosicyos pubescens
⑫Zygosicyos tripartitus

この12種類はすべて鑑賞用植物として利用されており、地元の村民が野生植物を採取し、採取人や仲買人に販売しています。その植物は地元の市場で商品化されるか、海外に輸出される前に輸送され、そのまま保管されるか業者の苗床に植えられます。採取人によると、村民はこれらの植物の鑑賞用としての価値を理解しておらず、日銭稼ぎに非常に安価で販売しているそうです。また、鑑賞用以外では、Operculicarya属は薬用植物としてや木炭としても利用されています。

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Cyphostemma laza
東京農業大学バイオリウムにて。(2025年1月)


個体数と再生数
単位面積あたりの個体数はO. pachypusがもっとも豊富でした。これは、伐採されても萌芽する能力が高いからです。O. decaryiも豊富で広く分布していました。C. elephantopusの個体数は少なく、生息地が居住地として開拓されたためです。落葉樹林に生えるC. lazaは成木が優勢で実生が少なく、新たな個体の加入に問題があります。
植物の再生能力は繁殖能力でもあります。最大の再生率はZ. pubescensの488%でした。調査した他の種の大部分は100%程度の再生率で、比較的良好でした。しかし、C. lazaで4%、C. elephantopusで19%、A. olaboensisで86%の再生率でした。これは、調査地周辺でかなりの生息地の劣化が起きているためです。


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Operculicarya pachypus
神代植物公園にて。(2023年5月)

希少植物の脅威
マダガスカルの乾燥林の主たる脅威は焼畑農業です。さらに、森林火災や過放牧は植物の再生の可能性を低下させ、残る自然林に負荷をかけています。さらに、採取された植物数と、政府が発行する収集許可証による最大数には大きな違いがあります。採取者は損傷した植物を補うためにより多くの植物を採取する傾向があり、政府による現地での管理は不十分です。
伐採や過剰な採取は、Ekodidaの落葉樹林の1カ所でのみ発見されたZ. pubescensにとって最大の脅威です。さらに、森林火災などによる人為的撹乱により生息地は大幅に減少しています。
Toliara南部のLa Table地域は深刻な撹乱を受けた地域です。調査対象のほとんどの種が分布していますが、木炭生産のための伐採など、広範囲の人為的撹乱により自然植生は大幅に減少しています。適切な地域保全政策が欠如していることが問題です。
O. decaryiやC. laza、A. olaboensisは広く分布しますが、伐採などの脅威には敏感です。A. firealavensisやZ. tripartitusは拠水林に分布しますが、このタイプの森林は急速に伐採が進んでおり、マダガスカル南部でもっとも危機に瀕している植生の1つです。


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Adenia olaboensis
東京農業大学バイオリウムにて。(2025年1月)


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
マダガスカルは固有の動植物の宝庫ですが、乱開発に歯止めがかからない状況です。分布が狭い小型アロエなどは、いくつかはすでに絶滅してしまっている可能性が指摘されているくらいです。しかし、調査もされずに消失する森林があることが残念でなりません。なぜなら、マダガスカルでは未だに新種が次々と発見されており、人知れず未知の新種が絶滅している可能性があるからです。
もどかしくはありますが、現地の人たちが炭焼きのために伐採したり、放牧のために森を焼き払うことを、我々は責めることは出来ません。なぜなら、現地の人たちは、その時を生きていくのに精一杯で、食べていくためには仕方のないことだからです。それが、将来の自身やその子供やその先の子孫の未来を食いつぶすものであってもです。
この論文は2011年ですから、書かれた時点からもう14年経ちます。状況は改善しないし悪化し続けているでしょう。果たして、有効な解決策はあるのでしょうか? 


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本日も購入してから植え替えていないものを、優先的に植え替えていきます。ちなみに、今年の植え替えは今回で26鉢になりました。

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ハナズオウが咲いて、一足早く春を告げています。

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Adenia venenata
ヴェネナタは冬の間は葉がありませんでしたが、急激に生長しています。明らかに鉢が小さいので植え替えます。ちなみに、去年の11月に開催された、11月のサボテン・多肉植物のビッグバザールにて購入しました。

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根は鉢のサイズ通りでした。
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植え替え後。勢いが良いので、これからが楽しみです。

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H. scabra
結節が強いタイプのスカブラですが、新しい葉は拗れ気味です。根に問題があるかも知れません。ちなみに、去年の11月に鶴仙園で開催されたPlant's Workさんとのコラボイベントにて購入しました。

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根には問題はなさそうです。
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植え替え後。そのままの鉢に、新しい用土で植えました。購入後の環境変化か、冬の間の環境が合わなかったのかも知れません。しばらくは様子見します。

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H. scabra v. lateganiae
変種ラテガニアエですが、上と同じスカブラには見えません。風変わりな変種です。こちらも上のスカブラと同じイベントで購入しました。

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根の状態は良好です。
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植え替え後。そのままの鉢に植えました。

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H. venosa ssp. granulata
現在はH. granulataとして独立種とされるグラヌラタも植え替えます。ちなみに、上2つと同じイベントにて購入しました。

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根はやや枯れがちかも知れません。
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植え替え後。グラヌラタはあまり見かけない硬葉系ハウォルチアですから、大事にしたいですね。

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Commiphora mildbraedii
ミルドブラエディイはやや徒長気味かも知れません。そもそも、上に伸びる性質が強そうではありますが、早く外栽培したいものです。ちなみに、去年の10月にヨネヤマプランテイションで開催された、多肉植物BIGフェアにて購入しました。
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小さい鉢でしたが、根はかなり詰まっていました。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。

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Commiphora holtziana
ボルトジアナは植え替え前の写真を撮り忘れました。根は結構ありましたね。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。コミフォラは初挑戦なので、どのように育つのか楽しみですね。


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2月に行った筑波実験植物園の記事も本日で最後です。前回は熱帯雨林温室に入り上から見ていましたが、今回は階段を降りて1階を廻りました。

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湿潤なジャングルの林床といった雰囲気です。

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キョチク(巨竹) Dendrocalamus giganteus
高さ30m、直径30cmになる世界最大の竹。そういえば、夢の島熱帯植物館ではゾウタケ(ダイマチク)という和名でしたね。

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ジャワムカゴコンニャク
Amorphophallus oncophyllus

アンダマン諸島原産の珍しいコンニャク。ちょうど、実が出来たタイミングでした。
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この茎の模様の鮮烈さは目を引きます。

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ショクダイオオコンニャク
Amorphophallus titanum

ショクダイオオコンニャクがなかなか巨大に育っています。花に遭遇したことはありませんが、集合花としては世界最大の花を咲かせます。

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Macropiper latifolium
葉を見た瞬間、ピペル(コショウ属)かと思いましたが、マクロピペルでした。しかし、マクロピペル属はピペル属に吸収されたため、現在はPiper latifoliumとなっています。
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よく見ると果穂が出ていました。いかにもピペルらしい花です。

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Rhaphidophora cryptantha
ニューギニア原産の着生アロイドです。樹の幹に着生していますが、湿潤な熱帯では着生は一般的な生態様式です。熱帯の林床は暗いので日本のように藪にはなりにくく、アロイドなど耐陰性がある植物が優先します。林床より光が欲しい植物は、つるを伸ばして登攀したり着生したりして、より高い位置で育ちます。


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Angiopteris pruinosa
リュウビンタイの仲間。このような巨大なリュウビンタイは、熱帯資源温室ではナンヨウリュウビンタイ(A. evecta)、夢の島熱帯植物館ではホソバリュウビンタイ(A. palmiformis)を見ましたが、A. pruinosa初めて見ました。

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立派な塊根があります。

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シナマンサク Hamamelis mollis
丁度、シナマンサクが満開でした。寒いこの時期(※2月末)に咲く貴重な花です。

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つくば蘭展の開催を告げるポスターがありました。ポスターで初めてイベント開催を知りましたが、これは是非行きたいですね。ということで、つくば蘭展は最終日近くに見に行きました。次回からはつくば蘭展の記事をお送りします。


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今回は調子が悪そうなハウォルチアと、去年の秋以降に購入した鉢を植え替えます。あと、暖かくなってきましたから、少しずつ多肉植物たちを外に出して行く予定です。ちなみに、今年の植え替えは20鉢になります。

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Dendrobium lindleyi
非常に乾燥に強いデンドロビウムで、毎年律儀に開花してくれます。


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H. nigra IB 1284
いくつかの硬葉系ハウォルチアが不調です。特にこの小型タイプのニグラは脇芽も枯れてしまったので、どうやら根をやられているようです。
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抜くと根がすっかりありません。用土を見てみると、鉢の底の方はかたまっていました。一応は事前に簡単に微塵抜きはしていて、植え替え後に水を大量に流してさらに微塵を抜いていたつもりなのですが、どうも微塵抜きが不十分だったようです。今は目の粗い篩をかけているので、今後は大丈夫でしょう。
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植え替え後。プレステラ90からプレステラ75にスケールダウンしました。まあ、枯れることはないでしょう。しばらくは様子見します。

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H. viscosa
ヴィスコサも同じ状態です。こちらは、外置き場の不織布が風で煽られて、引っかかってスッポ抜けてしまいました。
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植え替え後。こちらもプレステラ75に植え替えました。

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カンディカンス
謎のハウォルチア、カンディカンスもヴィスコサと同様に根がありません。学名は学術的に意味がないH. angustifolia v. candicansらしいのですが、アングスティフォリアは軟葉系でまったく似ておらず、どう見ても硬葉系で一般的にも硬葉系として扱われています。おそらくは交配種なのでしょう。

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植え替え後。プレステラ90に植えました。

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Euphorbia mitrifolmis
ミトリフォルミスは今年の1月に開催された新年のサボテン・多肉植物のビッグバザールにて入手しましたが、まだ植え替えていませんでした。ソマリアものですから、乾きにくいこの用土は不安があります。

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根はちょびっとありましたが、繊細な感じがE. gymnocalycioidesに似ていて嫌な感じがします。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。育て方はよく分かりませんから、育てながら見極めるしかありません。ソマリアものでも、E. phillipsiaeのように丈夫だと良いのですがね。

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Commiphora pseudopaolii
初めてのコミフォラですが、去年の10月にヨネヤマプランテイションで開催された、多肉植物BIGフェアにて入手した3種類のうちの1つです。コミフォラはすべて生長を開始していますが、鉢が小さいので気になっていました。
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根は鉢のサイズにあった量でしたね。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。多肉植物というか乾燥地の灌木なので、水をじゃんじゃんやって育てます。しかし、プセウドパオリイはケニア、ソマリア原産と言いますから、高地性なんでしょうか?

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Adenia stylosa
スティロサは去年の11月に開催された、11月のサボテン・多肉植物のビッグバザールにて入手しました。良さげな鉢に植えられていたのですが、抜く時に割れてしまいました。残念。
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根の状態は良好です。結構根が長いため、深い鉢が必要です。プレステラでは深型でも深さが足りなさそうです。
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植え替え後。この前、シマムラ園芸で買ったEG-135Lに植えました。試しに買いましたが、早速役に立って良かったですね。


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