ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2025年03月

2月に行った筑波実験植物園の続きです。いよいよ、本来の目的である熱帯雨林温室です。ちなみに2月の訪問記事は次で終わりで、3月末に行った筑波実験植物園のつくば蘭展の記事が新たに始まります。

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去年来た時には行けなかった熱帯雨林温室に向かいます。

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入り口は階段を登った2階になります。

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入ると直ぐにCymbidium tracyanumが満開でした。実にゴージャスな花です。

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2階から見下ろす風景は、まさに熱帯雨林です。

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Vanda coelurea
美しいヴァンダ・コエルレア(セルレア)。

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Coelogyne cobbiana
こういう蘭を見ると、反射的にDendrochilumを思い浮かべてしまいますが、Coelogyneです。というか、旧・Dendrochilumはいつの間にやらCoelogyneに吸収されてしまいました。

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旧・Dendrochilumは香りの強い蘭ですから、このような形の蘭が咲いていたら匂いを嗅いでみて下さい。

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Coelogyne glumacea
典型的な旧・Dendrochilum。こちらは小型種。
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ガラス越しに沢山の蘭が栽培されています。

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ヒスイカズラが一房だけ咲いていました。本格的なシーズンはこれからのようです。

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Myrmecophila grandiflora
巨大なバルブが目を引きます。種小名の通り、大きな花が咲きます。

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Myrmecodia tuberosa
ミルメコディアは有名なアリ植物です。アリを住まわすことにより、アリに害虫を撃退してもらったり、ゴミや死骸から養分を得ることが出来ます。
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蘭と同じように樹木に付着して育つ着生植物です。どうやら、ヘゴ付けされているようです。
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根元は膨らみ、内部は迷路状の空洞があります。よく見ると、アリが入るための穴が空いていますね。

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Tecomanthe dendrophilla
ニューギニアなどに生えるノウゼンカズラの仲間。手すりにつるが絡んで、沢山の花が咲いていました。


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早いもので、もう3月も終わってしまいます。一応、鉢や用土は揃えたので、植え替えは出来ますが、今年は忙しくてなかなか進みそうもありません。いや、それよりそろそろ多肉植物たちを外に出す必要がありますが、これがなかなか大変で時間がかかります。生長期に室内栽培はもったいないので、早いところどうにかしないと…。とまあ、色々ありますが、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Aloe fleuretteana
フレウレテアナが開花しました。
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小型のアロエに典型的な配色です。

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Euphorbia waringiae
春先の陽射しが思いのほか強く、窓際の多肉植物たちは少しダメージがあるみたいです。ワリンギアエも葉が焼けてしまい、葉を落としてしまいました。しかし、置き場所を変えたところ、新しい葉が出てきました。


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Euphorbia millotii
ミロティイも新葉を展開中です。

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Euphorbia crassicaulis
クラシカウリスは冬の間もちらほら開花していましたが、暖かくなってきたせいか花がだいぶ増えました。


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2月に行った筑波実験植物園の記事の続きです。相変わらずサバンナ温室を漂っていますが、それも今回までです。実は現在筑波実験植物園で開催中のつくば蘭展を先日見てきましたから、この2月の訪問時の記事が終わったら記事にします。ただし、まだ去年見れなかった熱帯雨林温室もありますから、2月の記事はまだ続きます。

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Aloe marlothii
巨大アロエのマルロティイです。「鬼切丸」の名前で苗がホームセンターなどでも売っていますが、このように巨大に育つと思っていない人も多いでしょうね。
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この貫禄はすごいですね。

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Aloe plicatilis
プリカティリスも花茎を伸ばしています。現在はアロエ属から分離され、Kumara plicatilisとなっています。我が家のプリカティリスは分岐すらしていないので、私が生きている間に花を見ることはないでしょう。プリカティリスについては何度か記事にしています。以下の記事をご参照までに。



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Euphorbia weberbaueri
ウェベルバウエリは奇妙なPencil-Stemのユーフォルビアです。我が家のウェベルバウエリは単頭ですが、このサイズになると分岐するようですね。マダガスカルではなくエクアドル、ペルーの原産。

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Euphorbia grandidens
グランディデンスは何故か植物園でよく見かけるユーフォルビアです。新宿御苑の温室では「スミダノユキ」の名前で小型個体、東京農業大学のバイオリウムでは「ダイシキリン(大歯麒麟)」の名前でやはり小型の個体を見ましたが、この個体は非常に立派ですね。本来は樹木状に育つ大型種で、見上げる高さになりますから、これでもまだ小さいですね。


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奇想天外 Welwitschia mirabilis
もっとも珍奇な植物の1つである奇想天外ですが、初めて開花を見ました。
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花は終わっていて鮮度はありません。しかし、貴重な体験です。
Welwitschiaは驚くべきことに裸子植物で、グネツム(Gnetum)と麻黄(Ephedra)と合わせてグネツム亜綱に属します。グネツム亜綱は針葉樹と姉妹群であり、蘇鉄やイチョウとは系統的には離れているのが、なんとも面白いですね。


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Euphorbia unispina
猛毒で知られるユニスピナが開花していました。
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花は小さく地味ですが、葉がなく白い枝の先にかたまってつくため目立ちますね。

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Bombax ceiba
キワタの仲間。
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奇妙な幹肌です。

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着生サボテンが沢山吊るされている通路を抜けると、熱帯資源温室です。

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Vanilla planifolia
これがヴァニラの実です。プラニフォリアは商業的に生産されるヴァニラで、品質も良いとのこと。
しかし、ヴァニラはタイミングが悪く、花を見たことがありません。割りとあちこちの植物園で見かけてはいるのですがね。

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蕾はあるのですが、本当にタイミングが悪いですね。まあ、つくば蘭展で見ることが出来ましたが。


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少し植え替えをします。去年の秋以降に購入して植え替えをしていないものを、まず優先的に植え替えていきます。使用している用土が異なるため、なるべく早く植え替えたいのです。用土や鉢が統一されていれば、乾き具合などの把握も容易になります。さらに、やはり根の状態を確認したいということもありますからね。ちなみに、今年は今回で14鉢を植え替えました。今年は何鉢植え替えることになるでしょうか?

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Euphorbia heterodoxa
冬の間は室内の窓際に置いていましたが、春先になり陽射しが強くなったせいか、日焼けしてしまいました。しばらくは、半日陰に置いて様子見していましたが、ようやく復活してきましたが、まだ一部色が抜けてしまっています。ちなみに、去年の10月末に横浜のヨネヤマプランテイションで開催された、「多肉植物BIGフェア」にて入手しました。
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根はよく張っていましたが、鉢が小さいように感じます。
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植え替え後。プレステラ90に植え替えました。ユーフォルビアの中でも割りと面白い花を咲かせますから、早く見てみたいものですね。

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白葉姫性吹上
吹上の葉が白い矮性品種。ポット植えなので、ちゃんとした鉢に植えてやりたいところです。ちなみに、今年の1月に開催された、「新年のサボテン・多肉植物のビッグバザール」にて入手しました。

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根は結構ありました。
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植え替え後。アガヴェは生育が良いため、大きめのプレステラ105に植えました。

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Agave albopilosa
アルボピロサは冬の間も生長していましたが、根の状態はどうでしょうか。ちなみに、去年の11月に開催された、「11月のサボテン・多肉植物のビッグバザール」にて入手しました。
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太い根はありますが、根の量は少ないですね。
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植え替え後。やはり大き目のプレステラ105に植えました。現在、新属Echinoagaveが提唱されていますが、アルボピロサや吹上も含まれています。これから、Agaveから独立するのは気になりますね。

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Adenia keramanthus
アデニアも植え替えます。これは根域がかなり狭そうですね。ちなみに、去年の10月に開催された、「木更津Cactus & Succulentフェア」にて入手しました。
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根はやはり鉢のサイズで制限されていたようです。
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植え替え後。背が高いためプレステラ90ではバランスが悪いので、プレステラ105に植えました。

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Euphorbia micracantha
「怒竜頭」なる名前もあるミクラカンタです。近年、E. stellataの亜種となりましたが、その妥当性はよく分かりません。しかし、塊根植物でこの鉢のサイズですから、塊根の育ち具合が気になりますね。ちなみに、今年の1月に開催された、「新年のサボテン・多肉植物のビッグバザール」にて入手しました。
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塊根はよく育っています。思ったより地下部が大きいですね。
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植え替え後。塊根の形が真っすぐではないため、大きめのプレステラ120に植えました。


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2月に行った筑波実験植物園の続きです。去年行った時に気が付かなかったことや、変わった部分、それと花を中心にお送りします。

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Macrozamia communis
巨大な葉を持つマクロザミアですが、コーンが出ていました。

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コーンもかなりのサイズになりそうです。
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よく見たら、地面にマクロザミアのサンゴ根が露出していました。蘇鉄と共生する藍藻が窒素固定を行っているのでしょう。

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Metrosideros excelsa
ニューギニアやオセアニアなどに自生するフトモモ科植物に典型的な花です。

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Pachypodium lealii subsp. saundersii
立派な「白馬城」です。現在はP. saundersiiとして独立しています。


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Euphorbia gottlebei
ゴトレベイが咲いていました。我が家のゴトレベイも冬の間はずっと開花していましたから、環境が良ければ周年開花するのかも知れません。

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Protea cynaroides
ヤマモガシ科の奇妙な花が咲いていました。プロテアと言えば、オーストラリアを思い浮かべますが、こちらは南アフリカ原産種です。

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Grevillea hookeriana
グレヴィレアの奇妙な花が開花していました。こちらもヤマモガシ科植物です。オーストラリア原産。

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一見して松柏のようにも見えます。

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Aloe excelsa
巨大なアロエが開花していました。
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最大倍率で撮影しても、なお遠いですね。脚立に登って近くで見てみたいものです。

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Adenia heterophylla
東南アジア〜オーストラリア原産のアデニア。灌木の木陰にいくつかありました。

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こちらも同じアデニアです。

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Stephania rotunda
アデニアと思いきやステファニアでした。同じつる植物で似たような塊根ですが、表面はひび割れます。チベット、ヒマラヤ地域からインドからタイ、ラオス、カンボジアまで広く分布します。


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日本多肉植物の会が主催する「JSS春の多肉市2025 in シマムラ園芸」が、3月23日にシマムラ園芸の第二ハウスで開催されました。去年の開催に続き、今年も開催されたので見に行って来ました。

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さて、会場について言われたのが、先行入場料が500円とのこと。9時〜10時までが先行入場らしいのですが、あと10分くらいで10時なので待ちました。流石にこの時間では先行入場する意味がありませんからね。しかし、この規模の業者メインではないイベントで、先行入場する意味が私にはよく分かりません。個数が限定されたレアものがあるわけでもないのに不思議です。

そんなこんなで、入場するものの、まあ当たり前ですが、それほど珍しいものがあるわけではなく、一般的な多肉植物のラインナップです。エケベリアはあちこちにあり、アガヴェ専門ブースもあり、ハウォルチアやサボテン、ビカクシダ、ユーフォルビア、メセン、ケープバルブ、ガステリアあたりでしょうかね。BBのように現地球やらのコーデックスが並ぶ風景はありません。ただし、他のイベントに比べると、あまり混雑しないので、割りと落ち着いてゆっくり見られるはかなりの利点です。同じ会場で開催されるアガヴェ系のイベントでは、身動きがとれないくらい混雑しますからね。あれには懲りたので、あのイベントはパスします。
さて、ぐるりと一周してみるものの、まあそれほど目を引くものはありませんでした。まあ、基本的には手持ちにあるものばかりでした。最終的には去年と同じブースで硬葉系ハウォルチアを購入しました。しかも、去年も買ったアテヌアタです。同じようなものばかり集めているような気もしますが、まあ好きなものは仕方がありません。
というわけで、購入品です。

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H. attenuata v. radula MBB 6831
なんと、アテヌアタの変種ラドゥラです。初めて見ました。しかも、フィールドナンバーつき。繊細な結節が美しいですね。購入したのは、去年と同じくNiche plantsさんで、ロカリティ(採取地)データがついています。早速、QRコードを検索すると南アフリカの地図が出てきました。
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ふむふむ、Hankeyの辺りですね。しかし、このHankeyという地名はハウォルチアでは実によく出てくる名前です。

さて、今回の購入品はこれだけで、帰りにシマムラ園芸の店舗の方に寄っていきます。まあ、鉢が欲しかっただけですが。
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基本的には深型のプレステラ90が無くなりそうなので、補充したかっただけです。20個買いました。真ん中がプレステラ90ですが、左の新しく出た深型のプレステラ75があったので、20個ほど購入しました。今までは小型のハウォルチアもプレステラ90だったのですが、サイズ的にはこちらの方が合ってますよね。最後は右のEG-135Lです。試しに5個買いました。プレステラ180より深いので、塊根には良さそうです。高さは19.5cmとのこと。


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セダムやエケベリアを含むベンケイソウ科は、遺伝子を解析するとかなり入り組んだ様相を示し、旧・分類体系が通用しない可能性が出てきました。しかし、ベンケイソウ科は種類が多く、完全な系統分類を確定させることは恐ろしく困難でしょう。そんな中、新たに分離された新属も誕生しています。2016年に提唱されたChaloupkaea、2023年のJeronimoa、Chazaroa、Quetzalcoatliaといったベンケイソウ科の新属です。実は2023年の3属はすでに記事にしています。ということで、本日は残りのChaloupkaeaについて見ていきましょう。ちなみに、Chaloupkaeaは主にトルコに分布する小型のベンケイソウ科植物です。

新属・ジェロニモアについては以下の記事をどうぞ。

新属・チャザロア、ケツァルコアトリアについては以下の記事をどうぞ。

本日、参照とするのはJosef Niederleの2016年の論文、『Chaloupkaea (Crassulaceae)』です。非常に簡潔な内容、というかあまりにも説明がなく簡潔すぎるので、私の解説というか感想も併記します。まあ、私にも経緯がよくわからないため、理解出来ているのは怪しい気もしますが…


進化が完全な単系統ではなく、本質的に側系統的です。よって、't Hart(1995)が、Rosularia属の黄色い花を咲かせる小アジア種について、Prometheum属に組み換えた単系統的なアプローチを拒否します。Chrysanthae Eggli, 1988は、Sedum L.に属する分類群から分離されます。

(解説): この段落は非常に分かりにくい話です。理解出来る範囲ですと、1988年に提唱されたRosularia属内分類のSection Chrysanthae Eggliについて、独立属としますということです。さらに、このSectionのタイプであるRosularia chrysanthaについて、1995年に't HartがPrometheum chrysanthaとしましたが、著者はその提案を拒否しました。なぜなら、それは単系統的なアプローチであり、側系統的に理解すべきだからです。


よく引用されるRosularia chrysantha (Boiss.) Takht, 1953は出版されておらず、Rosularia chrysantha (Boiss. & Heldr.) Mulkidzhanjan, 1953を適切に引用する必要があります。第二に、有効な出版場所が参照に含まれていませんでした。よって、この組み合わせは命名規約に従っていません。1958年に発行されたTakhtadjianの出版物のみが有効です。

(解説): これは命名規約の話です。属名を変更する際は必ず最初に命名された名前と、命名された時の文献を引用する必要があります。その際に、異なる文献を引用してしまった場合、命名の変更は認められません。そもそも、Rosularia chrysanthaは初めて命名されたのは1849年で、Umbilicus chrysanthus Boiss. & Heldr.でした。1958年にRosularia chrysantha (Boiss. & Heldr.) Takht.とされました。Rosularia chrysantha (Boiss.) Takhtは誤りで、誤引用ということになります。ただ、1958年のTakhtadjianが有効という意味と、Mulkidzhanjanについてはよく分かりません。


Takhtajian(1958)によりRosularia chrysanthaと特定された植物は、無毛のロゼットと、細長い釣鐘型の黄色い花を持ちます。それは、Rosularia lipskyiだったかも知れません。EggilihoがRosularia aizoonを決定したのは、ありそうもないことのように思えます。

(解説): この段落の始めの文は、私には判断できかねますが、そのままの意味です。しかし、後半はよく分かりません。脈絡もなくRosularia aizoonが急に出てきたのも困りますが、命名者でもないEggilihoの決定とは何かが分かりません。しかし、調べるとRosularia aizoonは、1995年に't HartがPrometheum aizoon (Fenzl) 't Hartを提唱しましたが、これを発表した出版物の発行者がH. 't Hart & Eggliということでした。つまり、発表したのは't Hartですが、共同出版者のEggliが決定したのはありそうもないということでしょうか。ただし、それがなぜありそうもないのかは釈然とはしません。
しかし、よくよく見ると、「Takhtajian(1958)によりRosularia chrysanthaと特定された植物」をRosularia aizoonとしたことに、Section Chrysanthaeを提唱したEggliが賛成しないだろうという意味かも知れません。この場合はどうでしょうか。著者が疑うRosularia lipskyiは現在もRosulariaです。これは、果たしてSection Chrysanthaeを提唱したEggliが誤るだろうか?という疑問でしょうか。

最後に
以上が論文の内容です。
あまりに簡潔過ぎて、私にもイマイチよく意味が分からない部分がありました。また、これはチェコの論文で英語ではないため機械翻訳にかけただけですから、精度もなかなか怪しいところです。
この論文は新属を提唱していますが、何故かその旨を示す文章がありません。最後に新属による新しい組み合わせの一覧が示されるだけです。本当に簡略というか省エネ論文ですね。一応、新しい組み合わせの名前を示しておきましょう。


Chaloupkaea aizoon (Fenzl) Niederle, 2016
Basionym: Umbilicus aizoon Fenzl, 1842
≡Rosularia aizoon (Fenzl) A.Berger, 1930
≡Prometheum aizoon (Fenzl) 't Hart, 1995

https://inaturalist.lu/taxa/962952-Chaloupkaea-aizoon/browse_photos

Chaloupkaea bonorum-hominum (Niederle) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia bonorum-hominum Niederle, 2015

Chaloupkaea chrysantha (Boiss. & Heldr.) Niederle. 2016
Basionym: Umbilicus chrysantha Boiss. & Heldr., 1849
≡Rosularia chrysantha (Boiss. & Heldr.) Takht., 1958
※Rosularia chrysantha (Boiss. & Heldr.) Takht., 1953, no basyonim ref.
≡Prometheum chrysanthum (Boiss. & Heldr.) 't Hart, 1995

https://mexico.inaturalist.org/taxa/962949-Chaloupkaea-chrysantha

Chaloupkaea gigantea (Eggli) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia serpenticum (Wederm.) Muirhead var. gigantea Eggli, 1987
≡Prometheum serpenticum (Wederm.) 't Hart var. giganteum (Eggli) 't Hart, 1999
≡Rosularia gigantea (Eggli) Niederle, 2015

Chaloupkaea muratdaghensis (Kit Tan) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia muratdaghensis Kit Tan, 1989
≡Prometheum muratdaghense (Kit Tan) 't Hart, 1999

Chaloupkaea pisidica (Niederle) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia pisidica Niederle, 2015

Chaloupkaea rechingeri (C. -A. Jansson) Niederle, 2016
Basionym: Rosularia rechingeri C. -A. Jansson, 1966
≡Prometheum rechingeri (C. -A. Jansson) 't Hart, 1995

Chaloupkaea serpentinica (Werderm.) Niederle, 2016
Basionym: Umbilicus serpentinicus Werderm.,  1939
≡Rosularia serpentinica (Werderm.) Muirhead, 1972
≡Prometheum serpentinicum (Werderm.) 't Hart, 1995


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植え替えの準備をしなければいけませんが、うっかりしていてアレもコレも足りません。買いに行く時間もなさそうですから、割高ですがアマゾンで買ってしまいますかね。まあ、仕方がありません。というわけで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia ramena
ラメナは葉はすべて落ちましたが、冬の間は花がずっと咲いていました。


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Euphorbia razafindratsira
なかなか生長が思わしくなかったラザフィンドゥラトゥシラですが、去年は良い生長具合でした。冬の間もちらほら開花していましたが、新葉も出てきましたね。


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H. tessellata IB 6776
非常に美しいフィールドナンバーつきのテセラタです。花茎の伸びがゆっくりで時間がかかりましたが、ようやく開花しました。
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花は強い緑色のラインが目を引きますね。

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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸も新葉を展開中です。


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Commiphora pseudopaolii
プセウドパオリイの伸びがいいですね。しかし、どうにも形が悪いのが気になります。今年は植え替えをしますから、来年はバッサリ剪定することにしましょう。


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2月に行った筑波実験植物園の記事の続きです。前回に引き続きサバンナ温室で多肉植物を見ています。本日はサボテンがメインですね、

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刈穂玉 Ferocactus gracilis
言わずと知れた刈穂玉ですが、何か妙なものがくっついています。


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どうやら、このPilosocereus?の花殻のようですね。

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Sulcorebutia rauschii
最近、園芸店でも見かけるようになったスルコレブチアです。しかし、現在はスルコレブチアはウェインガルティアに吸収されたため、スルコレブチア属は消滅してしまいました。現在はWeingartia canigueraliiの1タイプという扱いのようです。


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赤鳳 Ferocactus stainesii
フェロカクタスの中でも、やや渋い存在の赤鳳です。良いサイズですね。なお、現在はF. pilosusとされているようです。


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Agave utahensis var. eborispina
最近人気のエボリスピナ。


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笹の雪 Agave victoriae-reginae
どうやら、新しく植えられたらしい、非常に美しい笹の雪です。このような美品を見てしまうと、ついつい欲しくなってしまいます。


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Euphorbia punicea
ジャマイカ・ポインセチアと呼ばれる樹木性のユーフォルビア。前回来た時には花はなかったので、花は初めて見ます。ジャマイカ原産。
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ポインセチア同様、赤く大きな苞が非常に目立ちます。かなりの量の蜜が出ているみたいですが、蜜源植物として重要かも知れません。花粉媒介者が気になりますね。

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サンゴアブラギリも開花中。

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Pseudobombax ellipticum
プセウドボムバクスが開花しています。見上げないとわからないため、何気なく歩いていると見過ごしてしまいそうです。
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花糸で構成された刷毛のような花です。

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ドラゴンフルーツ Hylocereus undatus
樹木状に見えますが、樹木に絡みついているだけです。ドラゴンフルーツは扱い的には登攀植物でいいのでしょうか? ちなみに、
HylocereusはSelenicereusに吸収されたため、ドラゴンフルーツの学名もSelenicereus undatusとなっています。


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3月も半ば過ぎて、多肉植物たちも生長が始まるものも出てきました。外に出してやりたいところですが、最低気温がまだ氷点下近くまで下がる日もあるようですからもう少しの我慢です。さて、本日も我が家の多肉植物たちの様子を少しご紹介しましょう。

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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムが開花しました。

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まだ花茎は2本しか出ていません。これからが本番です。

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Euphorbia bongolavensis
ボンゴラベンシスは新しく新葉が展開中です。毎年、ボンゴラベンシスは冬の間はすべて葉が落ちますが、春を感じているのでしょう。


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Euphorbia ankarensis
アンカレンシスも開花しています。まあ、特徴的にはE. denisianaっぽいわけですが。


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Commiphora mildbraedii
コミフォラも葉を出しています。特にミルダブラエディイは枝もぐんぐん伸びて勢いがあります。


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2月に行った筑波実験植物園の続けです。今回からサバンナ温室に入ります。去年の6月以来のサバンナ温室ですから、開花していたり変わっている部分もあるでしょう。

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丁度、サボテンやアガヴェの入れ替えやら、ウチワサボテンの枝の整理をしていました。枯れたら新しく植えるというより、普通に入れ替わりがあるようです。

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大きなアガヴェが植えられるのか、抜かれたのか分かりません。

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松笠団扇 Tephrocactus articulatus var. inermis
現在、T. articulatus(武蔵野)には変種は存在しないということになっているようですから、武蔵野のトゲがほとんどない変種未満の変異幅という扱いなのかも知れません。


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Opuntia debreczyi
小型のウチワサボテンですが、新しく植えられたものでしょう。そういえば、O. debreczyiはO. fragilisとO. polyacanthaの交雑種と考えられているようで、現在はOpuntia × debreczyiという交雑を示す学名となっています。

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大丸盆 Opuntia robusta
生長しすぎて倒れた大丸盆ですが、以前来た時には下敷になっていたのがラベルがありませんでしたが、新しいラベルがありました。


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王冠竜 Ferocactus glaucescens
ちょっとピンボケ。王冠竜に蕾が出ています。


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アガヴェも花茎を伸ばしています。

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朱雲 Melocactus matanzanus
ちょっと日焼け気味のメロカクタス。


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獅子頭 Thelocactus lophothele
平べったく育った獅子頭。現在ではT. rinconensisにまとめられているようです。


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翠冠玉 Lophophora diffusa
翠冠玉はなかなか自生地風でいいですね。そういえば、烏羽玉(L. williamsii)は幻覚作用のあるメスカリンを含みますが、翠冠玉や銀冠玉(L. fricii)はメスカリンを含みません。銀冠玉を烏羽玉の変種とする考えもありましたが、メスカリン一つ取ってみても違いがあるわけです。


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玉翁 Mammillaria hahniana
玉翁が開花しています。マミラリアは花冠のように開花するので楽しいですね。しかし、マミラリアは夏の蒸れに弱く、個人的には苦手です。マミラリアは群生しますから余計に蒸れやすく、しかも白毛を美しく保つとなると、私には無理ですね。

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満月 Mammillaria candida var. rosea
満月も開花中。コンパクトに群生しておりかわいらしいですね。満月は変種ロゼアとされがちですが、現在はM. candida(雪白丸)のタイプ違い程度の扱いのようです。


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1月に東京農業大学のバイオリウムという温室で、コーンが出ている立派なZamia integrifoliaを見ました。改めてZ. integrifoliaを調べて見ると、2016年に再分類が提案されており、どうやら最近その考えが採用されたようです。記事にしましたので、以下のリンクをご参照下さい。


さて、Z. integrifoliaの情報をいろいろ漁っていたところ、蘇鉄を食害するシジミチョウに関する論文を見つけました。それは、Melissa R. L. Whitakerらの2020年の論文、『Localized overabundance of an otherwise rate butterfly threatens endangered cycads』です。日本でも蘇鉄を食害するクロマダラソテツシジミ (Chilades pandava、Luthrodes pandava)が北上し関東まで進出してきましたが、論文の主役はアタラマルバネシジミ (Eumaeus atala)です。

シジミチョウの消失と再生
Eumaeus atalaというシジミチョウは、南フロリダやバハマ諸島、キューバ原産で、幼虫はZamia属の蘇鉄を食べます。かつては、フロリダで「もっとも目立つ昆虫」と呼ばれるほど一般的でしたが、唯一の食樹であるZamia integrifoliaの過剰採取が原因で、1900年代初頭に急激に減少し1930年代には絶滅したと考えられてきました。しかし、1959年にマイアミ南部で小規模な個体群が発見されました。それ以来、草の根的な保護活動により、2001年以降はフロリダ州全体で300を超える個体群が記録されています。

E. atalaの激増の謎
フロリダ州にある研究施設であり保護庭園であるMontgomery Botanical Centerには、E. atalaの大規模で永続的な個体群が生息しています。ピークシーズンには49ヘクタールの敷地内に1日で300匹を超えるE. atalaの幼虫が見つかりました。E. atalaの希少性とフロリダ州全体での再導入の進展からすると、ここまで繁殖している理由を調査する必要があります。

モンゴメリー・ボタニカルセンター
Montgomery Botanical Centerでは1932年から蘇鉄が栽培されており、新たな種が追加され続けそのコレクションは豊富で、2020年には235種の蘇鉄を栽培しています。そのうち、55種のZamiaは2838本ありました。
センターのスタッフによると、E. atalaは常に敷地内に少数存在し、季節的な増減のサイクルがあります。しかし、過去約10年間でE. atalaは繰り返し大発生し、繁殖期はより長くより頻繁になっています。E. atalaの卵と幼虫は20種以上の蘇鉄から見つかりました。

E. atalaの幼虫は群れで蘇鉄の葉を食べ、生長の遅い蘇鉄に深刻なダメージを与え、大型の蘇鉄の葉を完全に枯らしてしまうこともあります。センターのスタッフは、Z. integrifoliaを毎日検査し、手作業で卵や幼虫、蛹を取り除いています。その他のZamiaからも定期的に取り除かれます。回収したE. atalaはフロリダの他の場所の教育機関や保護活動、研究者に送られます。2019年にはセンターで2000匹を超えるE. atalaが回収され、1週間で約4〜8時間もの採取作業が必要でした。

爆発的な増殖の謎
Montgomery Botanical CenterにおけるE. atalaの豊富さは、まず敷地内にある宿主植物の豊富さに起因します。2020年、センター内には431本のZ. integrifoliaがあります。不思議なのは、センターの周辺ではE. atalaを沢山見ることがないことです。センターの周辺の住宅や公共の庭園にはZ. integrifoliaはよく見られ、近くの道路の中央分離帯や公園などに大規模に植栽されているからです。Coral Gables公共事業局によると、センターから半径11km圏内の公共スペースには、少なくとも220本のZ. integrifoliaが植栽されています。センターから1km以内にあるFairchild Toropical Gardenには、201本のZ. integrifoliaが植栽されています。E. atalaはこれらの地域でも少数ながら見られますが、センターのように爆発的な増加は聞いたことがありません。よって、宿主植物の豊富さが唯一の要因ではないのかも知れません。

なぜ増えたのか?
E. atalaの幼虫はZ. integrifolia以外の外来蘇鉄も食べるめ、宿主植物の多様性が影響している可能性があります。センターには2020年には55種のZamiaが栽培されており、フロリダ州のどの地域よりも多様性があります。種類の違いにより植物資源が一年中利用可能となるならば、継続的に繁殖出来るかも知れません。E. atalaの一齢幼虫は若くて柔らかい葉を必要とするため、若い葉に優先的に産卵します。ほとんどのZamiaが1年に1回しか葉を出さないことが、歴史的にE. atalaの繁殖周期の制約となってきた可能性がありますが、食草の多様性が高まれば新鮮な若い葉が周年利用可能になるかも知れません。
他の要因としては、成虫の蜜源やねぐら、気候変動、宿主植物の質の不均一性などが挙げられます。しかし、センター付近の家庭菜園や公共スペースには蜜源植物が豊富にあり、蜜源植物の制限が個体数の制約である可能性は低いと言えます。次に低温が与える影響はありますが、フロリダでは最低気温が上昇しています。しかし、センターだけではなく、それはフロリダ全体でも同じはずです。次に灌漑や施肥などは、植物の組織内の水分や栄養素、毒素の比率を変えてしまい、植物の栄養価に劇的な変化をもたらしている可能性があります。おそらく、センターのZamiaは栄養価が高く、化学的な防御力が低いと考えられます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
植物の保護施設で希少なシジミチョウが大発生するという、不可思議な現象についての話でした。その原因は、単純に食草が豊富であるというだけでは片付けられないようです。しかし、希少なシジミチョウが希少な蘇鉄を食害しているわけで、単純な駆除が出来ないのは困りものです。とは言え、蘇鉄も希少なため、センターの役割からして、放置も出来ません。
さて、本題のシジミチョウの爆発的な増加は、センターに特有の現象です。その理由を考察していますが、はっきりしません。まず、食草の多様性による周年性が指摘されていますが、これはある意味ありうる話かも知れません。とは言え、蘇鉄の新葉の展開は種に限らず春先になるでしょうから、種の多様性はあまり関係がないような気がします。論文では新しい葉は1年に1回とありますが、生育環境が良ければ夏〜秋にかけて追加で新葉が出ることもあります。ですから、最後に指摘されている「灌漑や施肥」はいかにも影響がありそうですね。


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先日開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールの購入品がスッポ抜けたので植え替えをしました。1鉢だけというのもあれなんで、ついでに鉢が小さいものも植え替えました。去年の秋以降の購入品で、まだ植え替えていないものです。

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Euphorbia attastoma
先日、BBで購入したアタストマが帰宅時の振動でスッポ抜けました。根が少ないのもありますが、軽石の下の用土が軽いのも原因かも知れません。まあ、何れにせよ、急いで植え替えてしまいます。

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根が少ないですね。
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植え替え後。しばらくは根を育てるのに専念します。

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Euphorbia pteroneura
こちらはプテロネウラですが、やはり用土が同じなので植え替えてしまいます。

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根はアタストマよりありました。
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植え替え後。こちらもしばらくは養生します。

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Euphorbia cuneata var. pumilans
鉢が小さい上にこの細い茎ですから、乾燥でよく葉が落ちないものだと思っていました。
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しかし、抜いてみると、塊根がありました。なるほど、塊根があるから乾燥に耐えることが出来たわけですね。
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植え替え後。塊根は埋めて太らせていきます。

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Euphorbia cryptospinosa
クリプトスピノサも鉢が小さいので植え替え。
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根はなかなか発達していました。
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植え替え後。これからどう育つか楽しみです。

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Euphorbia alluaudii subsp. oncoclada
オンコクラダも植え替え。やはり、鉢が小さいですね。
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根はかなり多く問題ないようです。
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植え替え後。最近はPencil-Stemのユーフォルビアも入手しやすくて、いい時代になりました。


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2月に筑波実験植物園に行ってました。去年に続き2回目の訪問です。今回は温室に到着したところからです。まずは、サバンナ温室へ向かいます。

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手前の熱帯資源温室ではなく、奥にあるサバンナ温室から見ていきます。サバンナ温室は以前行っており前回来た時に詳しく見ましたから、今回は開花しているものなどを中心に見ていきます。まずは、温室前のドライガーデンから。

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笹の雪 Agave victoriae-reginae
美しい笹の雪。アガヴェ人気は強刺タイプが主導していますが、最近は笹の雪も苗が出回るようになりました。


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Agave lophantha
ロファンタと言えば派手な覆輪で有名ですが、あれは選抜品種なんでしょうね。こちらは、うっすらと中央に淡い中斑が入ります。


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Yucca carnerosana
名札がよく見えなかったのですが、カルネロサナでしょうか。

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Cyrtanthus mckenii
温室の入り口脇にいくつかの鉢植えが置いてあります。前に来た時とは違うため、花期に合わせて変更しているのでしょう。
それはそうと、昔の観葉植物の図鑑(山渓カラー名鑑・観葉植物、1991年)は海外の植物園などの写真が使われていて、国内ではまったく流通していない植物ばかりでした。キルタンツスも載っていましたが、最近では一般にも流通し玄関先に鉢植えが置かれていたりします。南アフリカ原産。


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Moraea polystachya
アフリカ南部に分布するアヤメ科植物。まだ咲き始めでアヤメ科植物らしい特徴的な花の形はまだ分かりませんが、もともとIris属だったくらいですから開けば実にアヤメ的な花です。


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Lachenalia bulbifera
いわゆるケープバルブになるのでしょうか?アルブカなどに近縁な仲間。


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Androcymbium ciliolatum
これは初めて見た植物です。知りませんでした。花束のようにみっしり詰まって咲いています。現在はコルチカム(イヌサフラン)属とされているようです。つまり、Colchicum capense ssp. ciliolatumです。南アフリカ原産。

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Mandragora officinarum
いわゆるマンドラゴラ。実は1753年にCarl von Linneが命名した由緒ある学名です。花は初めて見ました。イタリアやバルカン半島あたりの原産。

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えびす笑い Pachypodium brevicaule
ここからは、温室の入り口の小スペースの植物です。主に多肉植物の鉢植えがありました。
まずは恵比寿笑い。開花が始まっています。

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パキポディウムに典型的な花。

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Haworthia cooperi
「青雲の舞」と名札にありましたが、そんな名前があることを初めて知りました。

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開花中。そういえば、我が家のH. cooperiは屋外で開花していますね。

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雷神 Agave potatorum
雷神がコンパクトな形で非常に美しいですね。
入り口の小スペースの植物もここまで。次回から温室を本格的に見ていきます。


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本来ならば植え替えは4月からなのですが、トラブルがあったので急遽植え替えをします。購入時の鉢や用土に難があった2鉢と、根詰まりの2鉢を緊急植え替えです。現状、今のままでは困りそうなものだけです。

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Cycas debaoensis
デバオエンシスの葉がカリカリに枯れてしまいました。雪が降る前までは暖かかったので、乾きやすくて干からびてしまったようです。用土は保水力か高そうでむしろ排水に難がありそうでしたが、なんといっても鉢が小さいのが問題です。これはプラステラではなく、よく小さなハオルチアとか多肉植物の苗が植えてあるやつです。
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葉は枯れましたが、葉柄は生きてる雰囲気があります。
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というわけで、抜いてみましたが根は健全でした。種子はすでに取れています。
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サンゴ根もありました。
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植え替え後。蘇鉄はこれくらいの土量は必要でしょう。復活してくれるといいのですが…

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Ibervillea tenuisecta
イベルヴィレアも元気がありません。つるも枯れがちです。
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この細粒の鹿沼が、どういうわけかものすごく乾きやすくて困っています。
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地下はかなり発達していました。割りとマンドラゴラでしたね。しかし、抜いたところ揮発性の怪し気なニオイが…。要するにネジラミが満載でしたから、流水で洗いました。しかし、流石に水が冷た過ぎてつらくて、すべて取りきれたか不安です。一応は殺虫剤をかけましたが、効果があるのかは分かりません。
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植え替え後。少し塊根を出しました。古い鉢は捨てました。

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Uncarina roeoesliana
ロエオエスリアナは去年初めてロングポットに植え替えましたが、ポットがボコボコに歪んでしまいました。
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これはひどい。根の生長が予想より激しいみたいです。
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地上部分より地下の方が発達していました。1年でここまで育つとは驚きです。
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植え替え後。ロングポットでも長さが足りないので、根を少し出さざるを得ませんでした。妙にマンドラゴラ感がありますね。

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Operculicarya pachypus
パキプスはロングポットに植えて2年ですが、やはりボコボコに変形しています。

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嫌な予感はしていましたが、鉢から抜くことが出来ませんでした。仕方がないので、ポットをハサミで切り開いて何とか抜けました。
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塊根はエグい太さ。パワータンクとか言いますが、これは芋感が強いですね。
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鉢底で根が巻いてしまっています。しかし、塊根が巻いてしまう前で良かったのかも知れません。
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植え替え後。ロングポットはもう諦めて、Richellの7号鉢に植え替えました。根域はだいぶ広くなりましたね。
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塊根の分岐点まで露出させました。Richellの7号鉢でもあまり深さに余裕がないため、浅植えして鉢底までの長さを稼ぐ作戦です。塊根はツルツルしていてオペルクリカリアらしさがなくてダサい感じがしますが、年数が経てばたぶんどうにかなるでしょう。


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さあ、ビッグバザールです。昨日はしばらく続いた悪天が嘘のように晴れ渡りました。例によって10時過ぎにTOCビルに到着したものの、まだ待機列が解消されていませんでした。開場前はどれだけ並んでいたのか想像するだけで恐ろしいですね。しかし、会場に入ると身動きが取れないほどではなく、一部の人気店を除いてスムーズに見て回ることが出来ました。しかし、現在公私ともに忙しく、疲労が抜けず基本的にぼんやりしていました。ですから、あまり熱心にというほどではなかったです。
さて、内容的にはいつもと変わりません。アガヴェの専門店には人集りが出来ており、ハウォルチアの専門店も人気です。今回は時期的なものなのかエケベリアも割と見かけました。あと、サボテンも以前と比べるとあちこちにあり、サボテン人気も出てきているようです。個人的に好きな硬葉系ハウォルチアもあちこちにあり、一時期は壊滅状態だったガステリアも豊富でしたね。今回は最近気になっているアデニアはイマイチでしたから、花キリンを探しました。花キリンはかなり豊富でしたが、手持ちにあるものばかりでした。しかし、私が入手した頃と比べるとずいぶん安くなりましたね。さて、一回りした頃合いで、Pencil-Stemのユーフォルビアを見つけたので、2種類購入しました。E. sipolisiiやE. alluaudii ssp. oncocladaもありましたから、好きな人には堪らないでしょうな。

というわけで、本日の購入品です。今回は安く済みました。いつもは買いすぎなので、この位が丁度良い気がします。購入品はどちらも新大陸産のNew World Cladeで、より一般的なマダガスカル産のOld World CladeのSection TirucaliiやSection Deuterocaliiではありません。Pencil-Stemのユーフォルビアはまだ珍しい方ですが、最近見かけるようになってきましたから、流行り始めているのかも知れません。

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Euphorbia attastoma
Section Brasiliensesは、E. sipolisiiに続いて2種類目です。ブラジル原産。

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Euphorbia pteroneura
Section Euphorbiastrumは、E. weberbaueriに続いて2種類目。この仲間は基本的に木本が多いため、多肉植物は珍しい部類です。メキシコからグアテマラの原産。

今回はささやかですが、こんなところです。しかし、なかなか面白いものを入手出来ました。次のBBは5月ですが、その前の4月には木更津Cactus & Succulentフェアが開催されます。これからのイベントが楽しみですが、その前に今年の植え替えの準備をしないといけません。今年も大量の植え替えをしないとならないでしょう。まあ、ぼちぼち頑張ります。


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なんでこんなに忙しいんだという位、バタバタしています。とは言え、疲れただの時間がないだの騒いではいるものの、9日のビッグバザールには行くつもりです。また、3/16から3/23まで筑波実験植物園で「つくば蘭展」が開催されます。できるなら行きたいのですが、体力気力が保つか分かりません…。

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Adenia venenata
ヴェネナタの葉が生え揃いました。去年の11月のビッグバザールで入手しましたが、その頃は落葉した状態でした。

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Agave multifilifera
ムルティフィリフェラは繊維が出てきてそれっぽくなってきました。2020年4月のビッグバザールで入手しましたから、もう5年目になります。最初は小さな抜き苗でしたから、これでも育ったほうです。

購入時の様子は以下の記事をご参照下さい。



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Euphorbia flanaganii
いわゆる孔雀丸です。強光に当てると太く短い良い枝が出ますが、枝の寿命が短くなります。遮光して育てると間延びしますが枝の寿命が伸びるので、こちらの方が良いのかも知れません。


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Euphorbia aphylla
「糸キリン」という名前もあるようです。アフィラはカナリア諸島の原産ですが、海沿いに生えるため耐塩性が高いとされています。このような塩生植物は少なく、植物の2%程度しか存在しないようです。



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どういうわけか無闇に忙しく、連休中も遊びに行くどころではなかったのですが、隙を見て朝イチで筑波実験植物園へ行って参りました。しかし、時間がないため、わずか90分ほどの滞在で帰宅しました。筑波実験植物園には去年の6月に行きましたが、残念ながら熱帯雨林温室はタイムオーバーで見られませんでしたから、今回は熱帯雨林温室が目的です。その前に少し冬の園内を散策しました。

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つくば植物園という気安い名前もあります。

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巨大な蘇鉄と再会。

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植物画コンクールの展示がありました。
こちらは、ドラゴンフルーツ(Hylocereus undatus)。実は花が美しいサボテンです。枝と、花、果実、種子がわかる良い絵です。


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Alluaudia procera
プロケラの絵は珍しいですね。華はありませんが、実に奇妙な植物で目を引きます。


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Cereus hildmannianus(鬼面角)
小学生の部の国立科学博物館長賞受賞作。ゴツい枝から大輪の花を咲かせます。しかし、よく特徴を捉えていますね。

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冬の植物園は淋しい感じがします。

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梅が咲いていました。
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春まであと一歩です。

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テオシント
時期的に枯れていますがこれは重要な植物で、テオシントはトウモロコシの祖先と考えられている植物です。トウモロコシは日本ではスウィートコーンや爆裂種(ポップコーン)しか見ませんが、海外では甘くないトウモロコシが一般的です。トウモロコシは小麦や米よりも生産量が多い穀物ですが、その多くは家畜の飼料とされます。日本の畜産物は海外から輸入されたトウモロコシなどの飼料に依存しているため、それを考慮すると食糧自給率は非常に低くなります。

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「垣根」を展示しています。様々な樹種による垣根が延々と続いており、実際に垣根を作る時の参考になります。

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イスノキ Distylium racemosum
イスノキはムシコブ(虫癭)が必ず出来る面白い樹種です。


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侘しい枯れたひょうたん。

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Triticum aestivum
雑草に見えますが、普通小麦(パン小麦)です。

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圃場があり様々な野菜が育成展示されていました。

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ミツマタ
開花まであと一歩といったところ。樹皮の繊維が丈夫なため、お札に使われています。

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何やらピンのようなものが沢山幹に挿してあります。イタズラかと思いましたが、ナラ枯れの予防措置をしているとのこと。筑波実験植物園でも2021年にナラ枯れ現象が発生し、原因であるカシノナガキクイムシの穿入孔に薬剤を注入しているそうです。このピンはチェックのためのものでしょうか。

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鬱蒼とした林内を進みます。

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前回は行けなかった絶滅危惧植物温室です。

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しかし、残念ながらシーズンではないようで閑散としていました。

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Garanthus alpinus(上)とGaranthus woronowii(下)
ウォロノウィイが開花中でした。スノードロップの仲間。

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さて、そんなこんなで、ようやく温室に到着。まずは、サバンナ温室の多肉植物たちがどうなっているか見てみましょう。長くなったので本日はここまで。次回に続きます。


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フロリダの代表的な蘇鉄と言えば、Zamia floridaです。しかし、フロリダナは実はZamia integrifoliaで、フロリダナは異名であるという話をたびたびしてきました。


さて、最近フロリダナ改めインテグリフォリアの学名を確認したところ、なんとインテグリフォリアが5変種に再分類されていることに気が付きました。ということで、本日ご紹介するのはDaniel B. Wardの2016年の論文、『Key to the flora of Florida - 32, Zamia (Zamiaceae)』です。フロリダに分布するザミアを分類しています。

フロリダのザミア
現在、フロリダには2種類のザミアが分布しています。1つはZamia furfuraceaで、南フロリダでは玄関先や庭に植栽され、「Cardboard Palm」(段ボールヤシ)と呼ばれている外来種です。栽培個体ではないZ. furfuraceaは2000年頃に初めて確認されました。もう1つは様々な時期に複数の学名がつけられており、Zamia pumila、Zamia integrifolia、Zamia floridanaの名前があります。

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Zamia furfuracea

ザミアの歴史
ザミアは17世紀から認識され、17世紀末からオランダで、おそらくはヨーロッパの他の地域でも、栽培されてきました。現在の国際植物命名規約 (I.C.B.N)に基づく学名は、1762年にCarl von Linneにより命名されたZamia pumilaでした。しかし、von Linneのもとに標本はなく、ライデンとアムステルダムで栽培された植物に関する記憶とメモ、他の著者の記述しかありませんでした。von Linneは種自体については、「pumila」あるいは「矮性(dwarf.)」という説明しかしませんでしたが、von Linneがオランダにいた時に知っていた大きな蘇鉄と比較したことは間違いありません。その大きな蘇鉄をvon LinneはZamia frondibus pennatis(1937)と命名し、Linne filius(Linneの息子)はZamia furfuraceaと命名しました。
Z. pumilaという名前は、個人の解釈により様々に使われてきました。1908年にEckenwalderがZ. pumilaを「伝統的に知られている一般的な西インド諸島の蘇鉄」と定義しました。このことにより、西インド諸島の蘇鉄は単一の種ということになってしまいました。タイプはJan Commelijn(1697)の図版により、細長い卵形の先細りの小葉を持つ植物で、先端は鋭く葉縁には間隔の広い鋸歯があるとしています。
しかし、Commelijnの図版に対応する標本は稀で、北米の植物標本館(オンラインによる)では見つかりませんでした。イギリスのキューガーデンにはZ. pumilaと特定される古い標本がありますが、ライデン植物園からきたようです。この標本はCommelijnの図版と特徴がよく一致します。
Commelijnは「Insulae Hispaniolae」(ドミニカ共和国、ハイチ)からきたと述べています。しかし、現在西インド諸島からはそのような特徴の蘇鉄は知られていません。しかし、Eckenwalderによりタイプに指定されたCommelijnの図版は、既知の植物の形態学的な実在により確認されており、フロリダで知られているあらゆる植物とも異なるため、Zamia pumilaという名前は適用不可能です。

インテグリフォリアとフロリダナ
Z. pumilaのタイプがフロリダが起源ではないことは明らかですが、Zamia integrifoliaとZamia floridanaはフロリダの標本に基づいて分類されています。1789年に命名されたZ. integrifoliaはフロリダ半島で栽培された植物に基づき、1868年に命名されたZ. floridanaはフロリダ半島の西海岸で収集された標本に基づいています。この2つのタイプ標本は非常に似ているため、両者の間に違いを見いだせず、単一の種を示しているとされました。
フロリダの蘇鉄に使われる名前には論争があり、先取権の原理により命名がより早いZ. integrifoliaが優先されるように見えます。しかし、Z. integrifoliaはLinne filiusが既存の利用可能な名前であるZ. pumilaを同義語として引用したため、現代の規定においては誤りであると考えられました。命名規約は同義語として引用された古い名前が、新しい分類群に使用されるべきであった場合、新しい名前は不要であり不当と規定しています。さらに、発表時に違法であった名前は、特別な措置がない限りは後に合法とはならないと規定しています。
ただし、命名規約は常設の委員会に訴えることで、規則を無効とすることを許可しています。分類学者であるD. W. Stevenson & J. L. Reveal(2011)は、種子植物特別委員会に請願しZ. integrifoliaという名前を保存するように求めました。その正当性は、Z. integrifoliaはZ. floridanaより頻繁に使用されており、その名前を保存することにより安定性が確保出来るというものでした。委員会は請願を支持し、Z. integrifoliaが正しい名前となりました。


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Zamia integrifolia

インテグリフォリアの多様性
フロリダで観察されるZ. integrifolia sensu lato(広義のインテグリフォリア)には、分類学上の注目を集めるほどの多様性があります。J. K. Small(1933)は、フロリダの蘇鉄をZ. integrifolia sensu stricto(狭義のインテグリフォリア)、Z. angustifolia、Z. silvicola、Z. umbrosaの4種に分けました。
Z. angustifolia(1789)は正当な名前で、バハマ諸島や西インド諸島の蘇鉄に正しく適応されています。しかし、SmallはZ. integrifoliaをフロリダの蘇鉄に使用してしまいました。Z. angustifoliaのコーンは短く尖った頂端を持つ暗褐色から黒色のコーンを持ち、対するZ. integrifoliaは頂端か切形か鈍く赤褐色のコーンを持ちます。Smallはコーンを観察しないで識別したようです。Z. angustifoliaと識別出来る蘇鉄は、フロリダでは知られていません。

著者は観察結果から、形態学的変異は集団内では一貫していることを確信しました。中間種も見られますが、集団全体の大部分は、数個の明確に異なる形態型に割り当てることが出来ます。これらのグループは変種として認識されます。

①変種インテグリフォリア
Zamia integrifolia var. integrifolia
Z. integrifoliaの典型は、1789年にLinne filiusが使用したタイプに基づいているいます。使用した資料(生きた植物)は、26枚の小葉と雄花を持つ1枚の葉で表されています。小葉の幅は狭く約8mmで、一様にわずかにヘラ状です。この形状は広く普及しているフロリダのザミアでは稀です。
キューガーデンの植物の正確な起源は記録されていませんが、推測することは出来ます。入植者のAndrew Turnbullにより、1767年にザミアがCharlestonのアレクサンダー・ガーデンに、後にキューガーデンのAitonに寄贈されました。Turnbullに馴染み深いSt. Augustine近郊は長年に渡る撹乱により植生は痕跡もありません。しかし、New Smyrnaのすぐ西にあるTurnbullが農奴を使って藍を育てていた畑の近くには、薄い砂地の森がありザミアが現在も繁茂しています。この植物はZ. integrifolia var. integrifoliaのtopotype(同地基準標本)として役に立つかも知れません。

②変種ウンブロサ
Zamia integrifolia var. umbrosa
       (J. K. Small) D. B. Ward, comb. nov.

Zamia umbrosa(1921)はフロリダの蘇鉄に命名された正当な名前です。この名前は一般的に無視されるか、Z. integrifoliaの異名とされてきました。
植物のコレクターが、フロリダに2つのザミアが存在することに気がついたのは20世紀初頭でした。H. J. Webber(1901)によると、1つは「フロリダ半島南部」と記載されたZ. floridanaで、もう1つは「フロリダ半島中部、特に東海岸」のZ. pumilaでした。これらは小葉の幅で区別され、3〜7mmと8〜16mmでした。明らかにWebberの分類は、現在のZ. integrifoliaとZ. umbrosaを表しています。
S. J. Newell(1989)による葉の測定による研究では、フロリダのザミアは5つの集団があるとしています。Z. umbrosaの判別は、小葉の先端と突起にあります。突起は「teeth」(歯)または「callous bumps」(角質隆起)と呼ばれています。しかし、この「teeth」は、被子植物で見られる構造とは異なり、葉脈が突出した先端部です。葉脈が葉軸がから出て葉身に入ると、葉脈同士は接続しなくなり葉縁まで平行に続きます。

③変種ブロオメイ
Zamia integrifolia var. broomei
               D . B.  Ward, var. nov.

野生で時々見られるZ. integrifoliaは、より普及している典型的なタイプの半分程度の幅が狭い小葉が特徴です。このタイプは、フロリダ半島北西部のDixie、Gilchrist、Levy、Alachuaの各郡のSuwannee川下流域でよく見られます。幅の狭い小葉をまばらに生やすこのタイプは、栽培されることは稀です。

④変種フロリダナ
Zamia integrifolia var. floridana
    (A. DC.) D. B. Ward, comb. et stat. nov.
フロリダ半島西部ではvar. integrifoliaとは異なる特徴を持つ、おそらく生息地が異なるタイプが見つかりました。より大きな球果を持ち、長さ18cm、直径8cmに達します。このような球果を持つ個体群は、ネイティブ・アメリカンの作った貝塚でのみ発見されています。典型的なZ. integrifoliaが砂地に生えるのとは対照的です。
このタイプを収集したGilbert Hulseは1830年代初頭に、フロリダ半島西海岸のTampa湾の先端にあるFort Brookeに駐在していました。Fort Brookeは牡蠣などの殻からなる広大な貝塚がありました。HulseはJohn Torreyに送った植物について、「カキ殻のベットの上」で発見されたと述べています。
しかし、フロリダ湾岸沿いに巨大な貝塚を築いたCalusa族が、西インド諸島からフロリダでは見られない品種を持ち込んだ可能性を否定するのは困難です。Calusa族はフロリダと西インド諸島の間で交易を行っていました。

この大きな球果を持つタイプに新しい名前をつけるよりも、同じであるかは不明ですが、由来のわかる名前を残し変種floridanaとする方が望ましいと思われます。

⑤変種シルビコラ
Zamia integrifolia var. silvicola
  (J. K. Small) D. B. Ward, comb. et stat. nov.

Zamia silvicola (1926)は正当な名前ですが、フロリダの蘇鉄に適用されるかは不明です。Smallは正確な出典を明らかとせずにこの種を記述し、Eckenwalderはシトラス郡の「Spanish Mound」(現在のCrystal River考古学州立公園)のコレクションをホロタイプとして特定しました。しかし、Smallは「フロリダでもっとも丈夫なザミア」と述べ、それは長さ12〜17cmと比較的長く、10〜15mmと幅が広い小葉を持ちます。このSmallの説明に一致する植物は野生でも栽培下でも知られています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
論文はフロリダ半島のザミアの判別を目的としています。フロリダにはインテグリフォリア=フロリダナとフルフラケアという2種類のザミアが見られます。フルフラケアはメキシコ原産で栽培品の逸出ですから、本来の野生のザミアはインテグリフォリア=フロリダナだけということになります。しかし、著者は観察から、フロリダのザミアがいくつかの変種に分けられると主張しています。しかし、外見的特徴や分布からの推察であり、将来的な分子系統解析による確認が望ましいような気がします。また、変種フロリダナが記載されましたが、必ずしも今までZ. floridanaと呼ばれてきたザミアを示しているとは限らないようです。


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さて、春めいた気温が続きましたが、なんと急に気温が下がり関東でも雪が降りましたね。しかし、そろそろ多肉植物たちの植え替えの準備をしなければなりません。今年もバタバタする羽目になりそうです。さて、そんなこんなで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia splendens cv.
斑入り花キリンが開花しています。おそらく矮性品種でしょう。
旧・ミリイ系の花キリンは種の判別が難しくて、私自身未だに詳細がわかっていません。しかし、2021年の論文(Haevermans et. al., 2021)によると、E. miliiは葉の先端を切断したようなものに限定し、一般的に栽培される花キリンをE. splendensとしています。つまり、様々な花色の品種が作られている花キリンは、E. miliiではないということになります。ということで、私の育てているスプレンデンスは、実はミリイなのでしょうか?

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Euphorbia ambobombensis
アンボボンベンシスらしき花キリンが開花しました。
E. suzannae-marnierae名義の花キリンですが、おそらくはアンボボンベンシスです。E. suzannae-marnieraeで検索すると、国内ではアンボボンベンシスらしき花キリンが沢山出てきます。おそらく、スザンナエ・マルニエラエの名前で種子が流通しているのでしょう。

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Euphorbia suzannae-marnierae
こちらがおそらく正しいスザンナエ・マルニエラエ。葉の細さが違いますね。

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Euphorbia rossii
ロシイもいつの間にやら開花中。花はシャープですが目立ちません。葉がE. gottlebeiのように細長く、しかも塊根も出来る属性過多な花キリンです。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事です。バイオリウムの記事は、長々とひと月もかかってしまいましたが本日で最後となります。

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ベンチの周りにオペルクリカリアの鉢が配置されています。こちらは、Operculicarya decaryi。まあ、ただの砂漠の灌木です。そういえば、オペルクリカリアはマダガスカルの植物でしたね。

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Operculicarya pachypus
コーデックス・ブームを牽引してきたパキプスです。なかなか良いサイズです。

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幹は良い具合です。

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Uncarina leandrii
そういえば、ウンカリナもマダガスカルの植物でしたね。現在、野生のウンカリナの種子を散布しているのは飼われている牛で、本来の種子散布者が存在しません。おそらくですが、ウンカリナは踏み付け種子で、果実が足に絡みついて踏まれると種子が徐々に出てきくる仕組みです。ウンカリナと近縁のHarpagophyum (※ライオンゴロシ)はトゲだらけの果実を持ちますが、これはダチョウの足に絡みつくための構造です。では、本来の種子散布者はと言うと、まあ以下の記事を読んでみて下さい。

※ ) ライオンゴロシのトゲトゲの果実について、ライオンが踏んでしまい足の裏に刺さり、取るために咥えようとして口に刺さり、餌が食べられなくなり死亡するという説が流布していますが、ただの言い伝えでしょう。「ライオンゴロシは死んだライオンの血肉を糧に育つ」と続きますが、どう考えてもファンタジーですよね。


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Uncarina grandidieri
グランディディエリはずいぶんと塊茎が発達しています。そして、ウンカリナは2本分の枝が出やすいという特徴もバッチリです。

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幹肌の荒れ具合が面白いですね。カラカサタケみたいです。

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Uncarina roeoesliana
小型種とされるロエオエスリアナも巨大。我が家のロエオエスリアナは根が鉢を歪ませるほどですが、この小さな鉢で窮屈ではないのでしょうか?

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ワオキツネザルはマダガスカル原産の原猿類。清掃中のため、キツネザルの注意がそちらに向いてしまい、なかなかこちらを向いてくれませんでした。
そういえば、ワオキツネザルがマーキングする木には好みがあり、ウンカリナが一番良いとのこと。過去に記事にしていますから、以下のリンクからどうぞ。



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Pachypodium geayi
ゲアイが何やら沢山ありますね。

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Commiphora sp.
コミフォラの樹皮がめくれています。コミフォラは薄く剥がれる樹皮を持つ種類が結構あります。まあ、それ以外の特徴を加味しても、コミフォラの種の判別は植物学者でも難しい部類です。

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Adenia stylosa
我が家にもあるスティロサですが、幹が木質化して実に立派です。我が家のスティロサは、まだ幹が緑色なので将来こうなるのかと興味深く見ました。


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Aloe descoingsii
最小のアロエの1つとされるデスコイングシイです。花茎が伸びています。バイオリウムのデスコイングシイは、割りと大型のタイプのようですね。


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Decarya madagascariensis
「ジグザグの木」と呼ばれるデカリアですが、カナボウノキ科の植物です。面白いことに、DidiereaはAlluaudiaよりDecaryaの方が近縁だったりします。

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Aloe deltoidedonta
やはりマダガスカル原産のアロエ。ストレス・カラーで真っ赤で良い感じですね。


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Alluaudia humbertii
フンベルティイもこれだけ育つと、普通の灌木のようです。

ということで、東京農業大学のバイオリウムでした。バイオリウムの温室自体はそれほどの規模ではありませんが、そのほとんどが多肉植物なので、おそろしく濃密な体験でした。普通の植物園の多肉植物の展示は、ただの1コーナーに過ぎませんからね。さて、内容的にはマダガスカルの植物が豊富でした。やはり、マダガスカル原産のキツネザルがいるからでしょうか? まあ、これだけマダガスカル原産の多肉植物を一度に見ることはありませんから、マニアックではありますが私の満足度は最高レベルです。そもそも、マダガスカルに花キリンやアデニア、Pencil-Stemのユーフォルビアなど、私の好きな多肉植物の楽園です。しかし、残念ながら季節的に葉がないものも多く、花もあまり見られませんでした。暖かい時期に、再度訪れたいものです。


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