ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2025年02月

なんとなくソテツ類の苗が気になったので、本日は我が家のソテツ苗をご紹介しましょう。我が家では苗じゃない蘇鉄は、Cycas revolutaとZamia furfuraceaだけで、あとは未熟な苗に過ぎません。蘇鉄は生長が遅いので、私が生きている間にコーンを見ることが出来るか分かりません。

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Zamia integrifolia
インテグリフォリアはずいぶんと葉が増えて、小葉の多い充実した葉が出ています。しかし、東京農業大学のバイオリウムで、分頭してコーンが沢山出ている充実した株を見ましたから、まだまだこれからですね。

バイオリウムのインテグリフォリアの記事は以下のリンクからどうぞ。



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葉は増えましたが、塊根はなかなか大きくなりません。そういえば、インテグリフォリアはZ. floridanaと呼ばれてきましたが、正しくはインテグリフォリアだったという話はたたびたびしています。しかし、なんと2016年にインテグリフォリアは5変種に分けられることになり、その1つがZ. integrifolia var. floridanaとなりました。つまりは、Z. floridanaはZ. integrifoliaの異名ではなく、Z. integrifolia var. floridanaの異名となったということです。詳細について調べていますからそのうち記事にします。お楽しみに

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Dioon edule
エドゥレは生長が遅いことで知られる蘇鉄です。入手してから3年目ですが、葉はかなり充実してきました。

エドゥレについては、過去に記事にしていますからそちらもどうぞ。入手時の初々しいエドゥレの画像もあります。


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Cycas cairnsiana
カイルンシアナはオーストラリア原産の青みがかる美しい蘇鉄です。まだ入手したばかりで植え替えもしていません。せっかく入手したので、そのうち詳しく調べてみます。

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Dioon spinulosum
スピヌロスムは割りと生長が早い蘇鉄です。とは言え、葉ばかり増えるのは他と同じ。非常に大型になる蘇鉄です。スピヌロスムの原産地を探検した100年以上前のレポートを記事にしたことがあります。以下のリンクからどうぞ。

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Cycas debaoensis
中国原産の希少蘇鉄であるデバオエンシスです。育つと3回羽状複葉となり、一見して蘇鉄には見えません。まあ、まだまだ小苗なので特徴ははっきりしませんが。デバオエンシスは詳しく調査されています。過去に記事にしていますからそちらもどうぞ。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事の続きです。いよいよ終盤です。今回は私の好きな花キリンやアデニアがメインです。基本的にマダガスカルの雰囲気。

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Euphorbia beharensis var. guillemetii
E. guillemetiiとされたこともありましたが、現在ではE. beharensisの異名となっています。グイレメティイはベハレンシスよりトゲが短いようですが、それが種を分けるほどの特徴であるかは別問題です。マダガスカル原産。

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スマホが過熱してしまいカメラのシャッター速度が遅いので、ズレてしまいました。

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Euphorbia gottlebei
今回行ったバイオリウムの写真の中では、これがベストショットですかね。日の当たり具合もたまたまですが良くて、まるで海外の野生植物のグラビアのような写り具合です。名札の「Euphorbia gottelebei」は誤記。マダガスカル原産。


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Euphorbia fianarantsoae
これは見事なフィナラントゥソアエですね。我が家の個体はなぜかあまり綺麗に育ちません。マダガスカル原産。


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Adenia perrieri
巨大なペリエリ。ペリエリを検索するとよく壷形の植物がヒットしますが、実際にはこんな感じです。マダガスカル原産。


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緑の太鼓 Xerosicyos danguyi
緑の太鼓はつる植物ですが、枝は硬く直線的に伸びるため巻き付いたりせず、巻きひげもありません。乾燥地の塊根植物によくある地面に放射状につるを這わせるタイプと思っていました。しかし、これだけ木質化した幹が伸びるなら、葉を他の植物に引っ掛けて登攀するのかも知れません。マダガスカル原産のウリ科植物。


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Euphorbia stenoclada
「トナカイ角」と呼ばれるマダガスカルのユーフォルビア。一見して違う植物に見えますが…

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葉を見れば一目瞭然。実はマダガスカルのPencil-Stemのユーフォルビアで、Section Tirucalliに属しミルクブッシュに近縁です。
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松柏のような荒れた幹肌。

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Cyphostemma laza
ブドウ科の塊茎植物。巨大に育っています。やはりマダガスカル原産。


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Xerophyta dasylirioides
あまり聞き慣れない植物ですが、なんとタコノキ目の植物とのこと。マダガスカルの乾燥地に生えるようです。美しい花を咲かせる植物とのことで、いつか見てみたいものです。


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Adenia olaboensis
アデニアはつる植物が多いのですが、オラボエンシスは割りと樹木性が強いタイプです。我が家のオラボエンシスは、まだほとんど木質化していない小苗です。しかし、時期的に塊根植物は葉がないものが多く、見分けがつけにくいですね。マダガスカル原産。


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Aloe cyrtophylla
キルトフィラが赤くなっています。日を当てると赤くなるタイプのアロエは、寒さも相まってこの時期は一番美しい季節です。名札の「Aloe cytophylla」は誤記でしょう。マダガスカル原産。


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Adenia digitata
ディギタタはアフリカ大陸に広く分布するアデニアです。塊根を見た限りではつる性が高そうです。



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今年の1月に東京農業大学のバイオリウムという施設に行って参りました。沢山の植物が見られましたが、何気なくリプサリスが開花していました。リプサリスは小型の着生サボテンですが、その小さな花を見た時に花粉媒介者が気になりました。たぶん虫媒花、まあ蜜蜂だろうとは思いました。しかし、所詮は私の憶測などは意味がありませんから、調べてみることにしました。
というわけで、本日はリプサリスの花粉媒介者を調べたCristiane Martins & Leandro Freitasの2018年の論文、『Functional specialization and phenotypic generalization in the pollination system of an epiphytic cactus』をご紹介しましょう。その前に簡単に用語を解説しておきます。生態学にはジェネラリストとスペシャリストという概念があります。植物の受粉に関する場合なら、ジェネラリストは様々な花粉媒介者の訪問を受けて受粉する植物や、様々な種類の花を訪問する花粉媒介者を指します。スペシャリストは特定の花粉媒介者に対して特殊化した花を持つ植物や、特定の植物に特化した花粉媒介者がそれにあたります。


ジェネラリストはスペシャリストに向かうか?
受粉システムがスペシャリストに向かう傾向があるという見解がありますが、ジェネラリストが一般的であるという研究から異議を唱えられてきました。植物と花粉媒介者の相互作用は、植物と花粉媒介者の一対一の関係による絶対的スペシャリストという極端の場合から、特定の花粉媒介者に依存しない条件的ジェネラリストまで勾配があるという理解に至っております。

サボテンの受粉生物学と着生サボテン
サボテン科には約1500種が含まれ、その花序や受粉システムも多岐に渡ります。サボテンの受粉には、蜂や蝶、蛾、コウモリ、ハチドリなど、様々な動物と関係を結んでいます。サボテン科のほとんどは他家受粉であり、有性生殖のために花粉媒介者に依存しています。
「サボテン」と聞くと砂漠や半乾燥地帯の柱サボテンを思い浮かべますが、新熱帯の湿潤林では着生サボテンが重要な構成要素となっています。着生サボテンはサボテン科の約10%を占め、ヒロケレウス連(Hylocereeae)とリプサリス連(Rhipsalideae)に限定されています。着生サボテンの受粉生物学に関する知識は乏しく、逸話的な報告や、Weberocereus tunillaのコウモリによる受粉(Tschapka et.al. 1999)に限られています。

リプサリスについて
リプサリスは37種から構成され、86%がブラジルの固有種です。リプサリスには3つの亜属、Rhipsalis、Erytrorhipsalis、Calamorhipsalisからなります。Rhipsalis neves-armondiiはブラジルの太平洋岸森林に生息するCalamorhipsalis亜属の着生種で、花はリプサリスで最大ですが長さ2cm未満です。果実は紫色の液果で様々な鳥を引き寄せます。

R. neves-armondiiの調査
この研究は、2014年の3月と4月に、ブラジル南東部のSerra dos Orgaos国立公園(PARNASO)の大西洋岸森林の標高約1000mの残存地において実施されました。PARNASOはリプサリスの多様性がもっとも高く少なくとも18種類が確認されている大西洋岸森林の中にあります。気候は熱帯性中温帯で、夏は穏やかで、冬の乾季は短いものです。R. neves-armondiiの開花は雨季の終わりの3月と4月におこり、周囲で確認された10種類のリプサリスのうちこの時期に咲いたのはR. neves-armondiiだけでした。

Rhipsalis neves-armondiiの花(外部リンク、rhipsalis.com)
https://www.rhipsalis.com/species/neves-armondii.htm

花粉媒介者
R. neves-armondiiの花を訪れたのは主に蜂で、3科14種の蜂が確認されました。R. neves-armondiiの花にはアンドレニアエ科、ミツバチ科、ハナバチ科の蜂が訪花したため、ジェネラリストによる受粉システムが示唆されます。R. neves-armondiiの花の表現型は花粉や蜜に容易にアクセス出来るため、様々な花粉媒介者が収集可能であると考えた場合はジェネラリストとして分類されます。しかし、その訪問頻度はそれを裏付けているわけではありません。柱頭と葯に触れたのは3種類の在来性の小型ハチとセイヨウミツバチ(Apis millifera)のみで、その訪問頻度の高さから少数種類のハチに依存しており、生態的、機能的に特殊化を伴う受粉システムを示しています。花の資源にアクセスするための障壁がないことが、ジェネラリストとしての指標ではない可能性を示唆しています。

自家受粉
花にネットをかけて花粉媒介者から断絶したり、人工的に自家受粉させたりしましたが、R. neves-armondiiは自家不稔性で絶対的他家受粉でした。人工的な自家受粉による種子は、無視できるほど少ないものでした。ネットをかけた自発的な自家受粉では種子は出来ませんでした。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
自家受粉しないための仕組みとして、例えば雄蕊と雌蕊の高さが違う(雌雄離熟)、雄蕊より雌蕊の成熟時期が異なる(雌雄異熟)、雄花と雌花がある(雌雄異花)など様々な段階があります。しかし、R. neves-armondiiの花は雄蕊も雌花も短く、両性花であり、雌雄同熟です。非常に単純な形態の花ですから、形態学的な自家受粉の回避ではないようです。内部に何かしらの仕組みがあるのでしょう。

メインのジェネラリストとスペシャリストの話はわかりにくいのですが、この場合は絶対的ではないためどうしても相対的な説明になってしまうからでしょう。絶対的なスペシャリストでは、花の形状が特殊化し特定の花粉媒介者しか訪問出来ません。対するR. neves-armondiiの花はあまりにも一般的な形状です。サイズや日中に開花することから、蜂をターゲットにしていることは分かりやすい話です。ただし、一般的な形状であるからこそ、受粉に関与しない、あるいは非効率的な花粉媒介者も訪問することになります。論文を読む限りは、絶対的ではないもののスペシャリストの傾向はあるようですが、特殊化していないがゆえにスペシャリストであることがマスクされてしまっているのかも知れませんね。


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三連休はなんだかんだで忙しく、あちこち行きたかったのですがどうにも無理でした。仕方がないので、空いた時間に筑波実験植物園に90分ほど滞在するという弾丸ツアーを開催しました。まあ疲れたわけですが、そのうち記事にします。さて、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Euphorbia geroldii
ゲロルディイが満開です。去年の暖かい時期にはこんなに咲きませんでしたが、なぜかこの寒い最中に咲いています。

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ゲロルディイの花は大きく形も良いですね。

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Fouquieria splendens
スプレンデンスは去年は暖かい時期にイマイチで、休眠がちでした。しかし、冬の間はフォウクィエリアで一番調子が良さそうです。

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Euphorbia moratii
葉が茂り過ぎて何だかよくわからないのは、周年そうです。以前は水やりが困難でしたが、今はプラステラ120に植え替えてので余裕です。

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Gonialoe sladeniana
スラデニアナは冬の間も新しい葉が出ています。肉厚で良い葉ですね。


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相変わらず今年の1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事です。本日はソーセージノキや海外の珍しい蘇鉄、花キリンなどを見ていきます。

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ソーセージノキ Kigelia pinnata
ソーセージノキは新宿御苑でも見ましたが、こちらの方が巨大です。重さ5〜10kgにもなる巨大なソーセージのような形の実をつけます。そういえば、新宿御苑のソーセージノキはK. africanaでしたが、こちらはK. pinnataです。調べてみると、Kigelia属はK. africanaの1種類からなる単型属で、亜種としてssp. africanaとssp. moosaがあるそうです。K. pinnataはssp. africanaの異名とのことです。

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白いコルク層が発達した太く立派な幹。まだ特徴的な果実を見たことがありませんが、このサイズなら流石に結実するでしょう。いつか見てみたいものです。

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オオバシダソテツ Stangeria eriopus
一見して大型のシダに見えますが、南アフリカ原産の蘇鉄の仲間。ラベルでは種小名が「eryopus」となっていましたが、これはただの誤記でしょう。学名は現在では話者がいないラテン語が中心だったりしますから、スペルミスは仕方がありません。私もよく間違っています。
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コーンが出ていました。日本で蘇鉄といえば、日本の蘇鉄を含むCycasや、最近流通しているZamiaやDioonが少しあるくらいです。スタンゲリアは非常に珍しいですね。

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こちらは別個体のS. eriopus。蘇鉄の中でも、小葉に中央脈と平行脈があるのはスタンゲリアだけの特徴です。
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こちらもコーンが出ていました。スタンゲリアはS. eriopusの1種類からなる単型属です。

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Sansevieria perrotii var. katana
一見してVandaかと思いましたが、なんとサンセヴィエリア(サンスベリア、サンセベリア)とのことです。一般的に流通しているサンセヴィエリアは地下茎や匍匐茎ですが、このように茎が立ち上がる種は東アフリカに多いそうです。
それはそうと、サンセヴィエリアは遺伝的にはドラカエナ(ドラセナ)に含まれることが明らかとされており、S. perrotiiも2018年にDracaena perrotiiとされているようです。

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Euphorbia cylindrifolia
キリンドゥリフォリアがえらい茂りようです。いったいどういう形なのかよくわかりません。

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こちらもキリンドゥリフォリアですが、塊根が見えますね。

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Euphorbia cap-saintemariensis
カプサイシンテマリエンシスも枝が長く伸びています。こちらも塊根性の花キリンです。

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Euphorbia francoisii(E. decaryi)
フランコイシイは異名で、デカリイが正しい名前です。名札にも()で表記がありました。


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Euphorbia decaryi
こちらは旧・デカリイでしょうか? 要するにE. boiteaui。


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Euphorbia decaryi var. spirosticha(E. spirosticha)
スピロスティカは茂り過ぎて何だかわからない状態です。


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Euphorbia decaryi var. durispina
ドゥリスピナも葉しか見えませんね。ドゥリスピナは由来不明の植物として、E. decaryi var. durispinaの名前で園芸市場に流通していましたが、後に自生株と思われる個体が発見され2021年に論文になり新種として発表されました。私が当該論文を記事にした2023年当時はまだ正式に新種として記載されていませんでしたが、新たに確認したところ「Euphorbia durispina Haev. & Hett., 2021」として記載されました。つまりは、「The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025」が更新されていたわけです。何が変わったのか確かめるのが楽しみですね。


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もう、2月も後半で日も長くなってきましたが、寒波が来ているそうで今が寒さの底かも知れません。3月になれば三寒四温で徐々に暖かくなりますから、多肉植物たちももう少しの辛抱です。では、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Haworthia beanii IB 284
ベアニイはH. viscosa v. viscosaの異名となっていますが、非常に大型です。一般的に連想するヴィスコサとはあまりにもかけ離れた姿に驚きます。

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Euphorbia silenifolia
一応、難物とされているらしいシレニフォリアです。入手よりすでに5年経ちますが、外見的な変化が乏しいですね。根があまり強くない気がしますが、上手く管理していれば一年中葉を出します。


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Euphorbia begardii
E. purimulifolia var. begardiiとして購入しましたが、2021年に独立種となりました。ベガルディイはほとんど葉がありませんが、秋の終わり頃に早々と落葉したE. purimulifoliaと比べると保った方です。


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Haworthia chloracantha var. denticulifera
クロラカンタ変種デンティクリフェラは非常に元気です。クロラカンタ系は、軟葉系ハウォルチアの中では硬葉系ハウォルチアや小型アロエに似た風格があります。あまり見かけませんが集めたくなりますね。


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Haworthia chloracantha var. subglauca RIB 0099
こちらもクロラカンタ系の変種スブグラウカ。フィールドナンバーつきで、特有のワイルドさが非常に良いですね。


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本日も1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事です。写真を撮りまくったせいでスマホが加熱してしまい、シャッター速度が落ちてブレるはズレるは、終いには強制シャットダウンする始末です。シャッター速度が遅いので、何も写っていない写真が沢山ありました。せっかく行ったのにもったいない話です。本日は一番奥の蘇鉄の鉢植えを中心に見ていきましょう。

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Haworthiopsis reinwardtiiでしょうか。ワイルドな仕上がりです。

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Haworthia tortuosa
トルトゥオサは実は由来のよくわからない植物で、H. viscosa系の交配種が疑われていますが、それも確かな話ではありません。明らかに硬葉系ハウォルチアの交配種ということで、現在の学名はHaworthiopsis × tortuosaとなっているようです。


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Poellnitzia rubriflora
ポエルニトゥズィア(ポエルニッチア)は、特殊化したアストロロバです。結節がなく白い粉を吹き、花は赤く鳥媒花と、ことごとくアストロロバらしさがありませんが、遺伝的には明らかなアストロロバです。特徴の違いからポエルニトゥズィアとされてきましたが、現在はAstroloba rubrifloraとなっています。


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Haworthiopsis viscosa
3方向に揃った典型的なヴィスコサです。しかし、よく育っていますね。


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Gasteria excelsa
シャッター速度が落ちているせいで、撮影位置がズレてしまいました。ガステリアは思いのほか大型になるものもあります。エクケルサも大型種ですね。しかし、ガステリアは生長が遅く、見られるようになるまでにかなりの時間がかかります。我が家のエクケルサはプレステラ90のサイズで、まだ2列性のままです。

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亀甲竜(Dioscorea elephantpes)もなかなか立派。丸みがあり膨らんだ形が、少し珍しいですね。

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リクガメがいたので、亀甲竜の下に写真を置いておきます。

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Macrozamia miquelii
ラベルには「ホソバオニザミア」とありました。オーストラリア原産の蘇鉄。細長い小葉と暗い葉色が美しいですね。


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Zamia floridana
ザミアの中では普及種のフロリダナです。小型種ですが、分頭して立派な株ですね。ちなみに、フロリダナの名前で流通していますが、現在はZ. integrifoliaが正しい学名です。そこら辺はかなり込み入った事情がありますから、以下の過去記事をご参照下さい。




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コーンが出ています。

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Ceratozamia hildae
笹のようなメキシコ原産の蘇鉄。「bamboo cycad」という名前は正に見た目通り。ラベルには「pollination 99」、「planted 00」とありましたから、1999年に受粉して2000年に出来た種子を播種したということでしょうか。つまりは今年で25歳の個体です。違法採取により自生地では減少しているかなりの希少種のようですから、実生で繁殖する努力は重要なことです。

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塊茎はこんな感じ。
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笹の葉のような葉。

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Dioon merolaeでしょうか? ラベルがほぼ消えかけていて少しあやふやです。ディオーンはメキシコ原産の蘇鉄です。

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Cycas apoa
ラベルには「ニューギニアソテツ」とありましたが、ニューギニア島の固有種です。

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幹はなかなか立派です。

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葉はすらりとしていて涼し気ですね。

バイオリウムももう終盤です。後はキツネザルの飼育スペースの前だけです。しかし、残念なことにキツネザルの飼育スペースは清掃中で、キツネザルはあまり見れませんでした。ということで続きます。


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植物は程度の差はあれど、そのほとんどが有毒です。なぜならば、植物は動けないため、昆虫やカビなどの外敵と戦うために有毒な化学物質を作るからです。そのため、野生の植物は苦味や渋味が強いことが一般的です。一部の植物は幻覚作用を持ち、大麻やケシ、コカノキなどが知られています。そして、それらの植物は宗教的儀式などで古代から使用されてきました。この幻覚作用をもたらす物質もまた、害虫に対するものであるとされるものがあります。
さて、前置きが長くなりましたが、本日は幻覚作用で有名なペヨーテ(Lophophnra williamsii)、日本では烏羽玉の名前で知られるサボテンの話題です。参照とするのは、S. Sreeremyaの2019年の論文、『Spineless Cactus as Hallucinogen』です。難解さがまったくない割りと気軽な内容ですから、さらっと読んでましょう。

ペヨーテとは?
Lophophora williamsiiは「peyote」あるいは「peyotl」として知られるサボテンの1種で、メキシコ中部から米国のテキサス北部の砂漠に自生します。伝統的な利用は古く、5700年以上に渡りインフルエンザや関節痛、歯痛、腸疾患、糖尿病、蛇やサソリの毒、皮膚病、失明、神経衰弱、ヒステリー、喘息の治療に広く利用されてきました。ペヨーテはメスカリンの幻覚作用により、ネイティブ・アメリカン教会の儀式でも使用されています。

※ネイティブ・アメリカン教会(アメリカ先住民教会)とペヨーテの関係については以下の過去記事をご参照下さい。

その利用
ペヨーテは米国では宗教的目的以外では禁止されていますが、英国では生体、あるいは乾燥した植物が合法的に販売されています。主に生、あるいは乾燥した植物をカプセルやお茶として摂取されます。ペヨーテの摂取でほとんどの使用者が経験するのは、幻覚、意識と知覚の変化、「呼吸圧」や筋肉の緊張などの身体的反応、苦味による吐き気や嘔吐です。
使用方法を詳しく見てみましょう。根から切り離された「ボタン」(peyote button)を乾燥させます。ボタンは噛むか、水に浸して液体を摂取することもできます。ボタンは粉末に挽いて、大麻やタバコなどの葉と一緒に吸うこともあります。
成分のメスカリンは、粉末や錠剤、カプセル、あるいは液体として経口摂取されます。使用者は300〜600mg(ボタン3〜6個分)を摂取します。効果は投与後、1〜3時間以内に現れ、10〜12時間で徐々に消えていきます。
メスカリンはサイズ、環境、来期感、性格、薬物使用歴により、使用者間で異なる知覚、認知、感情を生み出します。メスカリンの唯一の長期的効果は、妄想性統合失調症に類似した長期精神病状態です。

身体的影響
①しびれ、緊張、不安、反射神経の急速化、筋肉の痙攣と脱力、運動協調障害、めまい、震え、瞳孔の拡大。
②血圧と心拍数の上昇。
③激しい吐き気と暴力。
④食欲不振。
⑤体温の上昇と発汗。
⑥悪寒と発汗。

心理的影響
①鮮明な心象とぼやけた歪んた視界。
②共感覚。音楽を見たり、色を聞いたりする。
③空間と時間の知覚の変化。
④喜び、高揚感、パニック、極度の不安、恐怖。
⑤身体感覚の歪み。体が重く感じたり、無重力感がある。
⑥感覚の強調。より明るい色彩、より鮮明な視覚、増強された聴覚、際立つ味覚。
⑦集中や注意力の維持。集中や思考の困難。
⑧現実感の喪失、過去の経験と現在の融合。
⑨些細な考えや経験、物への執着。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
過去の情報をまとめた非常に読みやすい論文でした。ペヨーテを摂取した時の詳しい状態が述べられています。ペヨーテの使用による副作用や後遺症についてはよくわかっていません。これは副作用や後遺症が少ないからではなく、一般的に流通しているドラッグより流通量や患者数が少なく、研究されることも稀だからでしょう。大抵の向精神薬は何らかの副作用や後遺症がありますから、ペヨーテもまた何かしらの副作用や後遺症があるはずです。ネイティブ・アメリカン教会もペヨーテを使用していますが、使い方も慣れているでしょうし、麻薬中毒患者のように常習していない儀式的な使用だからそれほどの問題は起きないのかも知れません。使い方を誤れば怖いのは、ペヨーテもその他のドラッグと同じです。以下の過去記事では、ペヨーテにより急性中毒により救急搬送された例を取り上げています。



日本ではペヨーテの成分であるメスカリンは違法ですが、植物自体は違法ではありません。園芸目的で一般的に栽培されています。いくら栽培されているとは言え、大量生産されているわくではありませんから、継続的な摂取は非常に困難でしょう。まあ、日本で危険をおかしてまでペヨーテを摂取しようとする人はいないでしょう。


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2月もいつの間にやら、半ばを過ぎてしまいました。相変わらず忙しく、記事を書く時間がなかなかとれません。気になるイベントもないので、本来はあちこち行きたいところですが難しいですね。ということで、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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Euphorbia neorubella
ネオルベラが開花しました。Monadenium rubellum名義で流通しているユーフォルビアです。モナデニウム属がユーフォルビア属に吸収されたため、現在モナデニウムはすべてユーフォルビアとなりました。しかし、旧・モナデニウムはSection Monadeniumとしてまとまりのあるグループとされています。

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小さいのですが紅色でかわいらしい花です。

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Pachypodium brevicaule
いわゆる「恵比寿笑い」と呼ばれるパキポディウムです。かなり育ちましたが、何より塊茎の厚みが増しました。
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これは花芽でしょうかね? まだわかりません。

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Haworthiopsis koelmaniorum
コエルマニオルムが開花しています。

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緑色が強い花です。

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Adenia karamanthus
カラマントゥスはアデニアの中でも特に元気です。冬の間にずいぶんと葉が増えました。


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Aloe pseudoparvula
プセウドパルブラは去年の6月のBBで入手しましたが、冬まで短い期間に大変充実しました。非常に美しいアロエです。


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本日も東京農業大学のバイオリウムに行った時の記事です。ようやく折り返し地点まで来ましたが、なんと温室に入ってから2時間近く経過しています。見るべきものが多すぎて、なかなか進めません。

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右手にホリダと言うか、Euphorbia polygona系の鉢植えなどユーフォルビアが並んでいました。ここが突き当たりで、右に曲がります。

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Euphorbia grandidens
ダイシキリン(大歯麒麟)と呼ばれる南アフリカ・モザンビーク原産のユーフォルビア。高さ10mほどの樹木状になります。新宿御苑でも見ましたが、「スミダノユキ」とありました。まあ、和名というより園芸名みたいなものなのでしょう。


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Euphorbia ingens
チュウテンカク(沖天閣)と呼ばれる大型のユーフォルビア。アフリカ中央部〜南部に広く分布します。今まで見たチュウテンカクの中では最大クラスです。


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面白い花が開花していました。おそらくVeltheimiaという球根植物。少しアロエの花に似ていますね。

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Aloe ramosissima
2013年にアロエ属から分離しアロイデンドロン属となりました。現在の学名は、Aloidendron ramosissimumです。アロイデンドロンは樹木状に育つ巨大なアロイ類です。ラモシシムムは低い位置から分岐が始まるアロイデンドロンども珍しいタイプです。そういえば、近年少し苗が流通し始めているようです。今まで見た中では、筑波実験植物園の個体がなかなか見応えのあるサイズでした。


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Aloe graminicola
エチオピア、ケニア原産のアロエ。現在はA. lateritia v. graminicolaとされているようです。しかし、A. lateritiaを検索すると斑が縞状に入るアロエが出てきますが、A. lateritia v. graminicolaだと検索結果が不安定でよくわかりません。

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Aloe striata
慈光錦とも呼ばれる南アフリカ原産のアロエ。そういえば、ミニ多肉植物として苗が一時期流通していたことがありましたね。


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Haworthia truncata
いわゆる玉扇と呼ばれる有名なハウォルチア。石がゴロゴロしているような場所では、隠蔽効果があります。窓のあるハウォルチアは、窓だけ地上に露出させて、葉のほとんどが地中に埋まります。


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Haworthia maughanii
万象も同じ雰囲気の展示。現在は、H. truncata v. 
maughaniiとされているようです。よって、玉扇はH. truncata v. truncataを指します。

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Haworthia picta
派手なピクタも白い石の中では目立ちませんね。そういえば、ピクタはH. emelyae v. emelyaeの異名扱いになっていますね。

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十二の巻 Haworthia attenuata
十二の巻をアテヌアタとしているのは珍しいことですが、正しい理解だと思います。伝統的に十二の巻=ファスキアタとされてしまっており、筑波実験植物園や新宿御苑でも十二の巻をファスキアタとしていました。ただし、十二の巻はアテヌアタにしては葉に丸みが強く、整った草姿はアテヌアタらしくはありません。結局、十二の巻は由来不明の交配種なのでしょう。


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Haworthia attenuata
こちらはアテヌアタらしいアテヌアタ。


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Aloe humilis
一般的に流通しているフミリスは結節が過剰ですが、おそらく選抜品種なのでしょう。しかし、このフミリスはあまりにも結節が少なく、フミリスらしくはありません。



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寒い最中で雪が降るだとか寒波がくると言われていますが、室内の多肉植物の一部は早くも春を感じているようです。本日はそんな我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムの花茎が伸びてきました。今年は例年より早く感じます。


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H. tessellata IB 6776
テセラタも花茎を伸ばし始めました。テセラタより早くコエルマニオルムはすでに咲きそうなのですが、咲いたらまた記事にします。


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Euphorbia micracantha
怒竜頭と呼ばれる塊根性ユーフォルビアも、枝をグングン伸ばしています。ミクラカンタは2022年に飛竜(E. stellata)の亜種である、E. stellata subsp. micracanthaとされています。飛竜とは枝が扁平か角柱かという違いがあります。

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Euphorbia phillipsioides
フィリプシオイデスが開花しています。フィリプシオイデスは咲き始めたらかなり長い期間咲き続けます。


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Euphorbia geroldii
トゲなし花キリンのゲロルディイも開花し始めました。日照不足か花色は優れませんが、ゲロルディイの花は大きく美しいので嬉しく感じます。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事の続きです。バイオリウムの植物は半分以上が多肉植物ですが、すでに多肉植物ゾーンに入っています。本日はディディエレア科やアロエ、ユーフォルビアなどマダガスカルの固有種が集められている場所でした。

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Euphorbia leucodendron
レウコデンドロンはE. alluaudiiと同種とされます。マダガスカルのPencil-StemのユーフォルビアはSection Tirucalliが多いのですが、E. alluaudiiはSection Deuterocalliです。E. hedyotoidesを含むSection Denisophorbiaや花キリンの仲間であるSection Goniostemaの姉妹群です。

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Alluaudia humbertii
アルアウディアはマダガスカルの乾燥地帯に生えるトゲだらけの灌木です。フンベルティイは初めて見ました。枝が繊細ですね。


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Didierea trollii
アルアウディアと同じディディエレア科のディディエレアです。トロリイは太い枝が特徴的ですね。筑波実験植物園でも見ました。

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Euphorbia xylophylloides
いわゆるヘラサンゴと呼ばれる奇妙なユーフォルビア。こちらはSection Tirucalliです。


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Aloe vaombe
マダガスカル原産の巨大アロエ。高さ5mほどになるそうです。


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Aloe deltoideodonta var. ruffingiana
変種ルフィンギアナは、現在は亜種esomonyensisとされているようです。


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Alluaudia comosa
コモサはなかなか良い太さです。

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トゲはかなり強いですね。

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Dracaena draco
いわゆるリュウケツジュ。まだまだ幼樹です。マカロネシアに生える威容は温室では再現は難しいようです。なかなか枝分かれしないようで、筑波実験植物園のリュウケツジュは巨大でしたが、まったく迫力はありませんでしたね。


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Encephalartos trispinulosus
ミツトゲオニソテツと呼ばれるエンケファラルトス。青白い葉が美しい蘇鉄です。
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幹は丸くてかわいらしいですね。

バイオリウムの温室の通路の突き当たりまで来ました。あとは、一番奥とベンチのあるキツネザルの飼育スペースの正面が残るのみです。


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サボテンの中でも小型で着生するリプサリスは特殊な存在です。サボテンは基本的に南北アメリカ大陸の原産ですが、リプサリスはそれすら逸脱していますから、サボテンの進化や生態を考える上でも面白い存在です。
さて、今年の1月に東京農業大学のバイオリウムに行った際、リプサリスやハティオラが吊り鉢で吊るされていました。しかし、皆よく似ており、一見しただけでその分類が厄介なことは容易に察せられます。さらに言うならば、リプサリスの進化や近縁属との関係が気になります。ということで、リプサリスについて少し調べて見ました。本日はその分類について見ていきましょう。参照とするのは、Alice Calventeらの2011年の論文、『Molecular phylogeny of tribe Rhipsalideae (Cactaceae) and taxonomic implications for Schlumbergera and Hatiora』です。リプサリスとその近縁属を遺伝子解析による分子系統を示しています。

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Rhipsalis

リプサリスの旧分類
サボテン亜科内の分類は長年にわたり大幅な変更がなされており、リプサリス連(Rhipsalideae)にも影響を及ぼしています。リプサリス連とヒロケレウス連(Hylocereeae)には絶対着生サボテンが含まれるため、密接に関係していると考えられてきました。そのため、リプサリス連だったいくつかの属がヒロケレウス連の属に統合されたため、属レベルの分類に不確実性が生じてしまいました。いくつかの属はその分類をめぐり議論となっています。ここで、過去の代表的なリプサリスの分類を見ていきます。

①Britton and Rose(1923)
すべての着生サボテンを、玉サボテンや柱サボテンとともにケレウス族(Cereeae)としました。リプサリス亜族(Rhipsalidanae)にはErythrorhipsalis、Rhipsalidopsis、Pfeiffera、Acanthorhipsalis、Pseudorhipsalis、Lepismium、Hatiora、Rhipsalisが含まれ、エピフィルム亜族(Epiphyllanae)にはZygocactus、Epighyllanthus、Schlumbergera、Epiphyllum、Disocactus、Chiapasia、Eccremocactus、Nopalxochia、Wittiaが含まれます。

②Buxbaum(1970)
リプサリスの仲間を、NyctocerinaeやHylocereina、Epiphyllinae、Disocactinaeと共にヒロケレウス族(Hylocereeae)に配置しました。リプサリス亜族をPfeifferae(Pfeiffera、Acanthorhipsalis)、Schlumbergerae(Erythrorhipsalis、Hatiora、Rhipsalidopsis、Schlumbergera、Zygocactus)、Rhipsales(Rhipsalis、Lepismium)に分割しました。

③Barthlott and Taylor(1995)
Rhipsalis属(Rhipsalis亜属、Erythrorhipsalis亜属、Calamorhipsalis亜属、Epallagogonium亜属、Phyllarthrorhipsalis亜属)、Hatiora属(Hatiora亜属、Rhipsalidopsis亜属)、Schlumbergera属、Lepismium属(Lepismium亜属、Pfeiffera亜属、Ophiorhipsalis亜属、Acanthorhipsalis亜属、Lymanbensonia亜属、Houlletia亜属)からなります。


④Doweld(2001)
Rhipsalidanaeを2つの亜族で分けます。

RhipsalidinaeはNothorhipsalis(=Houlletia)、Lepismium、Erythrorhipsalis、Rhipsalis(Calamorhipsalis亜属、Phyllarthrorhipsalis亜属、Cereorhipsalis亜属、Rhipsalis亜属)、Hatioraからなります。
RhipsalidopsidinaeはEpiphyllanthus、Rhipsalidopsis、Epiphyllopsis、Rhipsaphyllopsisからかなります。
さらに、Barthlott and Taylor(1995)によりRhipsalideaeに分類されていたいくつかの仲間をHylocereeaeに移動し、3亜属に分けました。それは、Pfeifferinae(Pfeiffra、Acanthorhipsalis、Lymanbensonia)、Schlumbergerinae(Schlumbergera、Schlumbergopsis、Pseudozygocactus、Schlumbergeranthus、Schlumberphyllum、Schlumsocactus)、Hylorhipsalidinae(Ophiorhipsalis、Hylorhipsalis)です。

⑤Huntら(2006)
Barthlott and Taylor(1995)と同じ分類を採用しましたが、Lepismium亜属のPfeiffraやAcanthorhipsalis、Lymanbensonia、さらにはHoulletiaの一部をRhipsalideaeから除外しました。

⑥Nyffeler(2002)
サボテン科全体の分子系統(Nyffeler, 2002)では、RhipsalideaeとHylocereeaeは分けられることが示唆されました。この枠組みは。Hylocereeaeの近縁種として出現したPfeiffra(Acanthorhipsalisを含む)を除き、Barthlott and Taylor(1995)によるRhipsalideaeの構成を裏付けています。

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Hatiora

分子系統による分類
分子系統による分類では、Rhipsalideaeの単系統性が裏付けられました。また、これらの属分類はHuntら(2006)の分類と概ね一致しています。違いは側系統が示唆されていたHatioraとSchlumbergeraです。かつてRhipsalidopsisに含まれていたHatiora①はSchlumbergeraに移され(※1)、HatioraはHatiora②の3種類に縮小されます。
 
━━Calymmanthium substerile

┣━━━Pfeiffra

┃  ┏Hatiora①
┃    ┏┫
┃ 
┃┗Schlumbergera
┫    
   
┃    ┣━Hatiora②

┃┏┫
┃┗━Lepismium
┗┫
 ┗━━Rhipsalis

※1 ) ハティオラ①(H. rosea、H. gaertneri)は現在ではRhipsalidopsisに相当します。スクラムベルゲラにはHatiora epiphylloidesが含まれますが、現在ではSchlumbergera luteaとされています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
リプサリスやハティオラ、スクラムベルゲラ(シュルンベルゲラ)、レピスミウムの遺伝子解析を分子系統しました。この論文以前は外見的特徴による分類であり、分子系統もサボテン科全体の分類を明らかとするためのものでした。各属の関係性が明らかとなっただけではなく、リプサリスの属内分類も明らかとしています。
リプサリスは主に5群からなるようです。分子系統の根元にある起源的な「floccosa group」は、R. dissimilis、R. floccosa、R. trigonaからなります。次に分岐したのはCalamorhipsalis亜属で、R. puniceodiscus、R. neves-armondiiからなります。次に3つの群に分岐しています。1つはR. paradoxa、2つ目はErythrorhipsalis亜属でR. cereuscula、R. pulchra、R. pilocarpa、R. clavataからなります。3つ目は「Core Rhipsalis」でR. lindbergiana、R. olivifera、R. crispata、R. micrantha、R. elliptica、R. russellii、R. cereoides、R. pachyptera、R. teres、R.

baccifera、R. mesembryanthemoidesからなります。とはいえ、全種類を解析したわけではないでしょう。属内分類はまだすべてが明らかになったとは言えないかも知れませんね。


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一部の多肉植物は外に出しっぱなしです。しばらく水を切っていましたが、2ヶ月ぶりくらいに水をやりました。というわけで、屋外の多肉植物の様子を見てみます。

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オブツーサも水を切っているため、痩せて透明感がありませんね。しかし、非常に丈夫なため、霜が降りた程度ではびくともしません。

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ソテツキリンの葉は紅葉していますが、まだ枯れていません。ソテツキリンは耐寒性が強いので、氷点下でも平気です。

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Euphorbia antisyphilitica
いわゆるキャンデリラソウと呼ばれる、北米の乾燥地に生えるユーフォルビアです。USDAゾーンを確認するとマイナス9度まで耐えられるようですから、今年は屋外での越冬を試してみました。現状、割りと平気そうです。


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Haworthia cooperi
少し混みすぎている感じはありますが、こちらも元気。

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株分けした個体は根詰まりしていないせいか、非常に元気。
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なんと開花中でした。

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ハウォルチアやガステリアは屋外で放置していますが、見たところダメージはなさそうです。春まであと一歩、頑張って欲しいですね。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事の続きです。入り口から左側の通路を進んでいますが、通路の右側、つまり温室の中央部を見ていきましょう。手前にはアロエ、奥にはディディエレア科植物が沢山ありました。

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Aloe capitata var. quartziticola
マダガスカル原産のアロエ。まあまあのサイズ。花茎の跡がありますね。


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Erythrophysa aesculina
マダガスカル原産の乾燥地の灌木。

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幹肌はなかなか良い荒れ性。別にコーデックスという風ではありませんが、なぜかそんな扱いをされているような気がします。
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ムクロジ科植物ですが、遺伝子解析によりカエデ科やトチノキ科もムクロジ科に含まれることになりました。旧・ムクロジ科、要するにムクロジ亜科はリュウガンやレイシ、ランブータンなどを含む巨大なグループです。

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なかなか良いサイズのAlluaudiaですが、名前がわかりません。
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枝が繊細なのでA. proceraではないでしょう。A. humbertiiでしょうかね?

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トゥアールソテツ Cycas thouarsii
ケニア、タンザニア、モザンビーク、マダガスカル原産の大型の蘇鉄。分布がマダガスカルとアフリカ大陸の海を挟んだ両側というのは、種子が海流散布されているのでしょうか。海岸沿いにも生えて種子は水に浮くそうですがどうでしょうかね?

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根元から脇芽が出ていました。

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Lomatophyllum sp.
あまりロマトフィルム感が薄いのですが、ロマトフィルムとのこと。株立ちしているからでしょうか。ロマトフィルムは通常のアロエとは異なり、果実はジューシーな果肉を持ちます。しかし、近年の遺伝子解析によりロマトフィルムとされてきた種同士は必ずしも近縁ではないことが明らかとなりました。そのため、ロマトフィルム属はアロエ属に吸収されてしまいました。では、なぜロマトフィルムが漿果を持つのでしょうか。ロマトフィルムの分布するマダガスカル周辺の小島の環境に適応した収斂進化なのかも知れませんね。


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Aloe rauhii
マダガスカル原産の小型アロエ。美しい斑が入ります。ラウヒイはワシントン条約(CITES)の付属書Iに記載されている、国際的な取り引きが規制されている植物です。検索して出てくる画像はかなりバリエーションがあり、変異幅が大きいのか雑種が混じっているのかはわかりません。

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特徴的な幹を持つ灌木。ボトルツリーでしょうか?
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葉はあまりボトルツリーらしくありませんが、どうでしょうね?

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Aloe helenae
マダガスカル原産の高さ4mになる大型アロエ。長い葉が特徴と言いますが、それほどでもありませんね。



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いよいよ寒くなってきましたが、関東でも雪が降るとか降らないとか怪し気な感じではあります。2月は忙しく身動きが取れなさそうです。それはそうと、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia bongolavensis
ボンゴラベンシスはほぼ葉が落ちました。寒さに敏感なようです。あまり大きくせず、枝が密に混んだコンパクトな樹形にしたいのですが、上手くいくでしょうか?

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Euphorbia debilispina
去年のデビリスピナはなかなか良い生長具合でした。根上がり風に仕立てていますが、特に問題はないようです。

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Gymnocalycium pseudoquehlianum
プセウドクエフリアヌムはやや日焼け気味です。しかし、プセウドクエフリアヌムは由来不明のサボテンで、原産地なども不明です。正式に記載されておらず、おそらく園芸名のようなものでしょう。つまりは、nom. nud.です。G. artigasに似ているような気もします。

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Pachypodium windsorii
ウィンドゥソリイは乾かし気味なせいか葉がすべて落ちました。パキポディウムの実生は個体差が割りとあるため、様々な形の苗が出現します。この個体は下部から枝が出るタイプのようです。


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Astroloba foliolosa
小型タイプのフォリオロサです。アストロロバはアロエに近縁な面白い植物ですが、まったく人気がなく販売されることも稀です。最近はBBでも見かけませんね。


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1月に東京農業大学のバイオリウムに行って来ましたが、本日もバイオリウムの温室を記事にします。入って左の壁際にサボテンが地植えされていました。

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Dasylirion longissima
ダシリリオンはなぜか植物園では見かけませんが、バイオリウムのダシリリオンは良いサイズですね。ちなみに、「longissima」という種小名は誤りで、正確には「longissimum」ですね。しかし、このロンギシムムという名前はいわく付きで、本当にロンギシムムかどうかは確認しなければなりません。
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D. longissimumは葉の根元には鋸歯があり、全体的に葉縁に弱い鋸歯があります。根元はよく見えませんが、鋸歯は見受けられません。おそらくは、この植物はDasylirion quadrangratumであると考えられます。実はこの2種は標本がなかったことから混同されてきた歴史があり、海外でもD. quadrangratumはD. longissimumの名前で流通しています。そのため、海外からD. longissimumの種子や苗を取り寄せると、基本的にD. quadrangratumが届くことになります。

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キリンウチワ Pereskiopsis velutina
一見してサボテンに見えませんが、サボテンの仲間です。とはいえ、コノハサボテンではなく、なんとウチワサボテンの仲間です。ちなみに、名札に誤りがあり、「Peireskiopsis」となっていましたが、ただの誤記でしょう。さて、P. velutinaはP. diguetiiと同種とされ、現在はP. diguetiiが正しい学名です。

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Calibanus hookeri
非常に丈夫で日本でも屋外で放置されても平気です。ちなみに、カリバヌス属はベアウカルネア属に吸収されて今は存在しません。ということで、現在はBeaucarnea hookeriとなっています。過去にそのあたりを記事にしていますから、以下のリンクをご参照下さい。


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塊茎はひび割れています。生長は非常に遅いと聞きます。

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晃山 Leuchtenbeigia principis
晃山は1属1種の珍種です。サボテンらしからぬ形状から、「Agave cactus」なる呼び名もあるそうです。最近は割りと流通してきたようで、大型園芸店でもたまに見かけるようになりました。しかし、この晃山はトゲが暴れていて、実にワイルドですね。


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金鯱 Kroenleinia grusonii
大型温室ではお馴染みの金鯱です。なかなか良いサイズでした。金鯱は長らくEchinocactusでしたが、2014年に新属であるKroenleiniaとして独立しました。しかし、遺伝子解析による分子系統では、金鯱はFerocactusであることが確認されています。今後、名前が変更される可能性があります。

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すでに開花年齢のようです。
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生長点が潰れたのか、激しく分頭しています。

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ホホバ Simmondisia chinensis
ホホバは化粧品などに利用されるメキシコの乾燥地の灌木です。筑波実験植物園でも見ましたね。

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ホホバの葉。

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サボテンの骨格。柱サボテンは枯れてもこのような材が残るため、現地では建築にも使われていました。

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Euphorbia milii
ハナキリンが咲いていました。まあ、ミリイ系は一年中咲いていますけどね。


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Euphorbia milii var. longifolia
ミリイの変種です。「longifolia」、つまりは「長い葉」ですから、葉の形が違います。また、全体的に細長く育つ感じがします。ちなみに、変種ロンギフォリアは2020年にEuphorbia betrokanaとして独立種となりました。ミリイ系ハナキリンは皆よく似ているため、まとめられる傾向がありましたが、近年では徐々に再分類されているようです。

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変種ロンギフォリア=ヴェトロカナの花。

いよいよ多肉植物が増えてきました。なんとここからは、基本的にすべて多肉植物です。これはたまりませんね。というわけで続きます。


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高度に多肉質となる多肉植物と言えばサボテンやユーフォルビアが代表的ですが、現在はキョウチクトウ科に含まれることとなった旧・ガガイモ科植物もサボテン様の外見となるものがあります。現状、私はコレクションという意味合いではあまり興味がないのですが、その存在自体は気になります。というわけで、本日は旧・ガガイモ科の中からスタペリアを取り上げましょう。参照とするのは、Colin C. Walkerの2020年の記事、『Stapelia engleriana the "iceberg" species from southern Africa』です。著者が育てているStapelia englerianaについて解説しています。

Stapeliaについて
スタペリア属はアフリカに28種類があります。アンゴラ南部、ザンビア南部、モザンビークにも分布しますが、特にナミビアと南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエは多様性が高くなっています。広く分布する種もありますが、ほとんどは非常に限られた地域に自生します。
スタペリアの特徴は、多肉質な4稜の茎を持ち、普通は直立し、細かい毛が生えていますが稀に毛がないものもあります。スタペリアの花は直径2cmのS. similisから、巨大なS. giganteaまであります。S. giganteaの中には最大40cmに達する巨大な花を咲かせるものもあり、すべての顕花植物の中でも大きな部類です。

Stapelia englerianaの履歴
Stapelia englerianaは、ドイツのコレクターであるRudolf Schlecher(1872-1925)が、ベルリンのDahlemにある植物園・博物館で見つけた生きた植物に基づいて初めて記述されました。S. englerianaの名前は、当時の館長であるAdorf Englerに捧げたものです。Schlecherはアフリカを広く旅しましたが、野生のS. englerianaを採取していないようです。現在、S. englerianaは南アフリカの西ケープ州に広く分布していることが知られています。

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Stapelia engleriana
『The Flowering plants of South Africa』(1932)より。


Stapelia englerianaの特徴
S. englerianaは開花していない時でも、確実に判別出来る特徴的な種です。茎はかなり太く断面は短い結節のある4角形です。この植物に特有なのは、茎が匍匐性から根茎性であることです。この特徴は同じ旧・ガガイモ科のStapeliopsis saxatilisにのみ見られます。この特徴から、著者は「iceberg」(氷山)のスタペリアと表現しました。これは、植物の大部分が地下に隠されているという意味です。花もスタペリアの中では特有です。花は直径2cmと小型ですが、下向きの花の裂片が折り畳まれているため、ボタンのように見えます。このような特徴の花の花粉媒介者は何者で、どのように受粉するのか気になりますが、今のところ文献上では不明です。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
スタペリアと言えば、星型の奇妙な毒々しい花が特徴です。しかし、S. englerianaは花弁が反り返り、スタペリアの中でも独特の花を咲かせます。著者が言うように、この独特の形状は受粉に何らかの影響があるのでしょうか? そもそも、スタペリアの基本的な受粉様式も私は知らないので、少しずつ調べていきたいと思います。

最後にS. englerianaの名前の変遷に触れておきましょう。1905年に初めて命名された名前がStapelia engleriana Schltr.でした。1982年にはTromotriche engleriana (Schltr.) L. C. Leach、2017年にCeropegia engleriana (Schltr.) Bruynsという名前も提案されています。


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いつの間にやら2月になってしまいました。東京でも雪が降るかもなんて言っていましたが、結局は降りませんでした。2月が寒さの底でしょうから、多肉植物たちも今月を乗り越えればといったところですね。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Adenia venenata
去年の11月のBBで入手しましたが、葉がない状態でした。真冬にも関わらず新しい葉が出てきました。アデニアは寒さに弱い傾向にありますから、今年は暖冬なのでしょう。


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Gasteria disticha
胡蝶蘭を育てていると、花茎から新しい個体が出来ることがあります。ガステリアでも同じことが起きたので、挿し木してみました。しかし、芽がまだ小さいうちに外してしまったのでなかなか根付きませんでしたが、ようやくしっかりしてきました。


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Euphorbia sipolisii
多肉質なユーフォルビアと言えばアフリカ原産ですが、シポリシイを含むSection Brasiliensisは南米原産です。あまり見かけないタイプのユーフォルビアですが、仲間を集めたくなりますね。

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Euphorbia columnaris
ソマリアもので希少なコルムナリスですが、難物としても有名です。通常は接ぎ木で維持されます。2022年4月のBBで入手してから3年間、自根で維持してきました。しかし、育った感じがあまりありませんが、しぼんだりもしていません。まあ気長に付き合っていきます。


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Gymnocalycium damsii var. torulosum VoS 03-040
陽に当てすぎて赤くなってしまいました。場所を移動して様子見していましたが、新しいトゲを出しているのでとりあえずは一安心です。


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1月に行った東京農業大学のバイオリウムの記事の続きです。まだ、全体の1/4も進んでいません。本日は入って左側の壁側に吊るされた着生サボテンを見ていきます。

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Rhipsalis sp.
着生サボテンのリプサリスの仲間が沢山吊るされていました。リプサリスはアメリカ大陸以外にも分布を広げた変わったサボテンです。実は着生サボテンに関してはあまりよく知らないため、リプサリスを含めて今度詳しく調べてみます。


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垂れ下がるリプサリス。ブラジルなどの密林では、リプサリスなどの着生サボテンが樹木に沢山着いてます。

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猿恋葦 Hatiora salicornoides
有名な着生サボテンの珍種です。サボテン要素があまりにも無くて驚きます。ちなみに、名札には「Hatiora sarcoinioides」とありますが、これは誤りで正しくは「Hatiora salicornoides」です。詳しくは知りませんが、誤った名前の方で流通しているそうです。


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リプサリスが沢山吊るされていましたが、名前がわかりません。外見的によく似た種が多いので、詳しくない私では残念ながら判別出来ません。

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リプサリスの小さな花。

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こちらには実がありました。リプサリスは実も見どころの1つです。

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こちらもリプサリス。多毛で特徴的です。Rhipsalis pilocarpaでしょうか。
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リプサリスにしては大型で美しい花です。

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Zamia furfuracea
フルフラケアが分頭しています。フルフラケアはなぜか誤ったZamia pumilaというまったくの別種の名前で呼ばれがちです。バイオリウムと神代植物公園は正しい名前でしたが、残念ながら新宿御苑では誤った名前でした。ちなみに、本物のZ. pumilaは行った植物園では見たことがありません。

 
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モクキリン(杢麒麟) Pereskia aculeata
ペレスキアはサボテン科植物の現存するもっとも起源的な属の1つです。しかし、2013年にペレスキアからLeuenbergeria属が分離され、こちらの属の方がより起源的であることが分かりました。
ペレスキアやレウエンベルゲリアと言った、いわゆるコノハサボテンの仲間はサボテンの進化を考える上でとても重要です。人気があるとは言い難いコノハサボテンですが、研究機関の付属施設としては教育的な意味合いもあり割りと大切な展示です。

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サボテン科植物には見えません。

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トックリラン Beaucarnea recurvata
トックリランは剪定されていました。背が高くなりますからね。仕方がありません。

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しかし、塊茎は樹皮が荒れ味がある形。そういえば、トックリランと言えば筑波実験植物園の群生展示が見事でした。

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大型のアガヴェ。まあ、流石にA. americanaではないでしょう。

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ちょうどアガヴェの花が終わったところでした。

さて、バイオリウムはまだ続きます。次回からはユーフォルビアやアロエ、ディディエレア科の多肉植物が登場します。


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