ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2025年01月

本日は花キリンの花を接写してみました。種類によりますが、花キリンは冬でも花を咲かせ続けますからね。タイミング悪くまだ蕾のものもありましたが、とりあえず咲いているものだけです。

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Euphorbia gottlebei
ゴトレベイは冬の間はずっと咲き続けています。この混じり気なしの鮮烈な赤色は、原種の花キリンの中でも目を引きます。

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Euphorbia lophogona
ロフォゴナは外見のゴツさとは逆に、花は淡いピンク色でかわいらしい感じです。花も大型です。蕾が沢山出ていますから、まだまだ花を楽しめそうです。

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Euphorbia makayensis
マカイエンシスも目立たない花を咲かせ続けています。苞は小さいのですが、逆に腺体が非常に目立ちます。

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Euphorbia delphinensis
デルフィネンシスは非常に小さく目立たない花を咲かせます。一年中咲き続けるタイプのようです。日照が強いと赤味が強くなりますが、冬は赤味が抜けています。

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リップマンジャー
ミリイ系の園芸品種であるリップマンジャーです。超小型種で沢山の花を咲かせます。周年開花するタイプです。

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Euphorbia decaryi
デカリイも開花中。まあ周年開花するタイプですから、それほど有り難みはありません。


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本日も東京農業大学のバイオリウムに行った記事です。なんと、まだ最初の角を曲がったところにいます。わずか数メートルの距離ですが、気になる植物が多すぎてなかなか進めません。

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Euphorbia geroldii 
トゲナシハナキリンのゲロルディイです。ハナキリン屈指の美しい花を咲かせますが、残念ながら花期ではありませんでした。マダガスカル原産。


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リュウビンタイがこんなところにもありました。

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名札がない蘇鉄。
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幹も立派。分岐しています。まあ、しかし写真だけを頼りに種別判定するのはなかなか厳しそうです。

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こちらはラフレシアの模型。

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ロウソクノキ Parmentiera cereifera
円柱状の黄色い果実からついた名前とのこと。新宿御苑でも植栽されていましたが、まだ花や果実は見たことがありません。パナマ原産。


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Ceratozamia hildae
一見して笹のように見えますが、メキシコ高地産の蘇鉄です。

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塊茎は平べったいタイプ。

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Bowenia serrulata
こちらはオーストラリア原産の希少蘇鉄。2回羽状複葉を持つ唯一の蘇鉄。ボウィエア属は2種からなる面白い蘇鉄です。

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葉は革質。
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塊茎は埋まり気味。

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見上げたらアナナスが大量に吊ってありました。

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何やらゲロルディイが大量に生えてますね。花期はさぞ華やかなことでしょう。

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Vanilla planifolia
プラニフォリアはもっとも一般名なヴァニラです。
ヴァニラはあちこちの温室で見かけていますが、未だに花は見たことがありません。中南米の原産。

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吊り鉢のアナナス。カラフルな蕾を伸ばしています。

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ミニ胡蝶蘭が開花中。

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Dendrobium nathanielis
風変わりなデンドロビウム。アッサムからマレー半島の原産。


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Haematoxylum campechianum
説明文にはロッドウッド、カンペシアボクとありましたが、他にもアカミノキ、ブラッドウッドという名前もあるようです。樹液はマヤ族が染料として利用してきました。色素成分のヘマトキシリンは、現代でも病理学や解剖学などで細胞核を染めるために利用されています。パナマ原産でマメ科ジャケツイバラ亜科。


さて、次回からは本格的に多肉植物ゾーンに入ります。というより、バイオリウムの温室はほとんど多肉植物と言っても良いぐらい多肉植物だらけです。ということで、まだまだ続きます。


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アロエはその多くの種が赤色〜黄色の花を咲かせます。それは鳥に対するアピールであり、実際にアロエの花には蜜を吸いに沢山の鳥が訪れます。つまり、アロエは鳥により花粉が運ばれて受粉する鳥媒花であるということです。しかし、小型のアロエの中には、地味で目立たない花を咲かせるものもあり、一見して鳥媒花には見えません。私の育てているAloe bowieaも緑色の小さな花をつけますから、とても気になっています。さて、アロエの受粉生物学はAloe feroxやAloe marlothiiなど大型のアロエを中心に行われており、小型アロエについてはまだまだ研究が不足しているように思われます。そこで、小型アロエの受粉生物学の嚆矢である、A. L. Hargreavesらの2008年の論文、『Aloe inconspicua: The first record of an exclusively insect-pollinated aloe』をご紹介しましょう。

アロエは花粉媒介者
アロエの多くは鳥媒花ですが、アロエの花には様々な昆虫が訪れます。もっとも一般的なのは蜂で、その一部は鳥媒花であるアロエの受粉にも貢献していますが、受粉には関係しない花粉泥棒もいます。これまでの研究では、ミツバチはアロエの花粉媒介者としては不十分であることが分かっています。しかし、過去の研究は鮮やかで大きな花を持つ「典型的」なアロエのみが対象とされてきました。
一部のアロエには、昆虫による受粉を示唆する形態学的な特徴があります。それは、Aloe albida、Aloe bowiea、Aloe minima、Aloe myriacantha、Aloe parviflora、Aloe saundersiae、Aloe inconspicua、Chortolirion angolense(=A. welwitschii)です。これらの種は高さ50cm 以下と小型で目立たず、長さ2cm未満の小さな淡い色の単花序をつけます。

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Aloe bowiea
ボウィエアの花は緑色で目立ちません。

Aloe inconspicuaの特徴
Aloe inconspicuaはKwaZulu-Natal州中部のいくつかの地域でのみ知られる小型のアロエです。高さ15cmになり、葉は多肉質ではありますが、周囲の草との区別は容易ではありません。花は高さ8〜12cmの単一の花序で、最大50個の白緑色の花が下から咲いていきます。花は雄蕊が長く、6つの葯が裂開するまで柱頭は開きません。また、花に香りはありません。

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Haworthiopsis limifolia var. glaucophylla
ハウォルチアやハウォルチオプシスの花は、小型で白色系です。


Aloe inconspicuaは自家不和合性か?
A. inconspicuaの自家不和合性の程度と、花粉媒介者への依存度を評価するため、花を布で遮断しました。実験は、①1m以上離れた植物の花粉による人工受粉、②自家花粉による人工受粉、③布で遮断し人工受粉なし(自然な自家受粉)の3群を行いました。
結果は③の人工受粉しない自家受粉では結実は見られませんでした。②の人工受粉による自家受粉ではわずか4%の結実率で、①の他家受粉では72%の結実率でした。また、自家受粉による果実には平均4個の種子がありましたが、他家受粉による果実には平均15個の種子が見られました。A. inconspicuaは大部分のアロエと同じく、自家不和合性であると考えられます。

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Aloe saundersiae
淡い色合いのサウンデルシアエの花。

花粉媒介者を探る
A. inconspicuaは開花より3日間咲き続けます。観察によると、採蜜性の鳥であるタイヨウチョウは訪花しませんでした。また、夕方に蛾を観察しましたが、やはりA. inconspicuaの花を訪れませんでした。観察期間中、A. inconspicuaの花を訪れたのは、ミツバチ(Amegilla fallax)がほとんどであり、稀に小型の蜂の訪花も観察されました。ミツバチや小型の蜂の体には大量の花粉の付着を観察しました。
観察結果からA. inconspicuaの有効な花粉媒介者はミツバチであると考えられます。A. inconspicuaが鳥媒花ではないことは、観察によるものだけではなく、花蜜量が平均0.097μLと極めて少量であることからもうかがえます。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
鳥媒花とされてきたアロエの中で、初めて虫媒花であるアロエの存在を証明した重要な論文です。アロエ類の進化を考えた場合、もっとも起源的なグループは樹木状のアロエであるAloidendronとされています。このAloidendronからAloiampelos、Kumara、Gonialoe、Aristaloeといったアロエ属から独立したグループとGasteriaは、おそらく鳥媒花でしょう。つまり、アロエ類の起源は鳥媒花であり、虫媒花はそこからの派生であると考えられます。虫媒花はHaworthia、Haworthiopsis、Tulista、Astroloba(A. rubrifloraは鳥媒花)ですが、アロエ属はその一部の種が虫媒花へ移行したのでしょう。分子系統的に見た場合、虫媒花へ移行したグループ同士は必ずしも近縁ではなく、それぞれ独立して進化したことがうかがえます。個人的な感想ですが、アロエ類の小型化が鳥媒花から虫媒花への移行をもたらしているような気がします。アロエ属は属内があまりに多様であるため、鳥媒花と虫媒花を内包しているのでしょう。


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本日も東京農業大学のバイオリウムに行った話です。バイオリウムの温室はそれほどの規模ではないものの、密度が高く多肉植物の比率が高いこともあり、なかなか進みません。思わぬ貴重な植物を見ることが出来ました。

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バオバブ Adansonia za
妙な種小名ですが、
現地では「ザー」と呼ばれており種小名はそこから来ているそうです。この個体はなんと実生30年生とのこと。マダガスカル原産のバオバブ。

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バオバブの苗もありました。

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Kalanchoe beharensis
「仙女の舞」の名前で知られる大型のカランコエ。神代植物公園でも見ましたが、見上げる高さに育ちます。大きな葉は表面がフェルト状で、「Velvet Elephant Ear」(ベルベットの象の耳)と呼ばれています。

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Kalanchoe synsepala
匍匐茎を伸ばした先に仔植物が出来て移動していくため、「Working Kalanchoe」(歩くカランコエ)と呼ばれているそうです。
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ちょうど開花中。

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謎のカランコエも開花中。

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カンナの仲間。名札がないので種は不明。
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Canna paniculataだかCanna indicaだか分かりませんが、開花中でした。
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イガイガした実もなっていました。

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コンテリクラマゴケ Selaginella uncinata
「レインボーファン」と呼ばれますが、光の当たり具合によっては虹色に輝いて見えます。鬱蒼とした場所にあったので、こんな感じですが。中国、ベトナムの原産。

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Typhonodorum lindleyanum
巨大なマダガスカルのサトイモ科植物。一見してバショウの仲間に見えます。「elephant ear」と呼ばれる由来である大きな葉が特徴。自生地では水に浸かることもあるようです。
サトイモ科植物なので地下に芋が出来ますがかぶれるため、水にさらして非常食とするようです。この水でさらしてデンプンを回収する方法は、東南アジアのサゴヤシや日本の栃の実などでも知られており、非常に古い時代から存在する方法です。


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リュウビンタイ Angiopteris lygodiifolia
温室にはつきもののリュウビンタイもなかなかのサイズ。


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温室ではよく見るタコノキの仲間。


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装飾的な革質の葉を持つシダ。

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Kalanchoe millotii
毛に覆われたマダガスカル原産の小型カランコエ。

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Kalanchoe bracteata
マダガスカル原産のシルバーリーフ。「Silver Teaspoons」(銀の匙)とも呼ばれますが、他のカランコエも同じ名前で呼ばれているようです。

さて、バイオリウムはまだまだ続きます。入り口から左折して、まだ突き当たりまで至っていません。バイオリウムは個人的に面白い植物が多く、写真ばかりとっていて本当に進みません。


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なんとなくリミフォリアか集まりつつあります。まあ、意識的に集めたのではなく、いつの間にやら増えてしまいました。こうなったら、すべての変種やタイプを集めても良いかも知れません。現在、リミフォリアの5変種中、まだ3変種しかありませんから、何れ手持ちにない変種arcanaと変種giganteaを入手したいものですね。

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Haworthiopsis limifolia var. limifolia
まずは基本種の変種リミフォリアから。変種striataや変種stoloniferaを含みます。


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Haworthia limifolia var. stolonifera Resende, 1943
変種ストロニフェラは現在は変種リミフォリアに含まれます。ハウォルチオプシスとされなかったため、表記する時はハウォルチアのままが正しいのです。


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Haworthiopsis limifolia var. glaucophylla (M. B. Bayer) G. D. Rowley, 2016
変種グラウコフィラは結節がなくやや白みががる葉が特徴です。グラウコフィラがハウォルチア時代に命名されたのは2003年ですから、割と新しい変種です。2010年にはBreuerにより独立種とする見解もあったようです。


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Haworthia gideonii Breuer, 2010. nom inval.
ギデオニィは非公式名です。リミフォリア系ですが、リミフォリアの名前がついていません。小型でより暗色のタイプのリミフォリアなのでしょう。

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Haworthiopsis limifolia var. ubomboensis (I. Verd.) G. D. Rowley, 2013
スワジランドのリミフォリア。おそろしく姿が異なるせいか、1941年に記載された時には独立種としてでした。ちなみに、変種keithiiを含みます。


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先週、東京農業大学のバイオリウムに行って来ましたが、前回はバイオリウムに併設された博物館を見て回りました。今回からはいよいよバイオリウムに向かいます。

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眠そうなスナネズミの脇の出入り口からバイオリウムの温室に入るようです。やはり、外から直に入ることは出来ないようです。

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一度、外に出ますが、Cymbidiumの花茎が伸びていました。丈夫ですね。

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屋外に少しアガヴェが並んでいました。

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農大No.1
有名な「農大No.1」と命名されたアガヴェ。1970年にカクタス長田の長田清一氏が東京農業大学の育種研究所に導入したとのことです。当時、名前が不明だったことから、日本多肉植物の会が農大から出た当時一番良いアガヴェということで、「農大No.1」と命名されたようです。現在はAgave titanotaに比定されました。

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Agave filifera ssp.
フィリフェラは「白糸の王妃」という名前で知られる、フィラメントを出すタイプのアガヴェです。しかし、バイオリウムのHPからダウンロード出来る植物の目録を見ると、「姫滝の白糸」となっていますね。姫滝の白糸はどうやら交配種とされているようで、ssp.がついているのはそういう意味なのでしょう。


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笹の雪 Agave victoriae-reginae
笹の雪は基本的にアガヴェに興味がない私でも、溜め息が出るような美しい植物です。

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吹上 Agave stricta
ストリクタ名義の吹上ですが、ストリアタかも知れません。


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温室に入ると湿度が高くムワッとした感じでした。左側に水辺があり、その前には食虫植物が並んでいました。
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マダガスカルウツボカズラ
Nepenthes madagascariensis

おそろしく小さいウツボカズラの実生。2024年の春に播種したそうです。マダガスカリエンシスはウツボカズラの中では難しい部類のようです。しかし、このサイズでもちゃんと捕虫器が出来ていることに驚きました。

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ミミカキグサ Utricularia  bifida
ミミカキグサはタヌキモの仲間で、土中に袋がある食虫植物です。


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アシナガムシトリスミレ
Pinguicula moranensis
ムシトリスミレが開花中でした。
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葉がベタベタしており、虫がトラップされます。

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ヤツマタモウセンゴケ
Drosera binata var. multifida
非常に分岐するタイプのモウセンゴケ。


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Drosera paradoxa
こういうタイプのモウセンゴケは初めて見ました。


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アフリカナガバモウセンゴケ
Drosera capensis
こちらのモウセンゴケは白花タイプとのこと。


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ビカクシダが吊るされていました。

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パパイヤ Carica papaya
なんとなくパパイヤの鉢植えがありました。
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よく見ると開花中。

バイオリウムはまだ入り口です。私は左回りで見学することにしました。左折すると、左側は水辺で右側は乾燥地帯となっています。次回は多肉植物も登場します。


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2月はこれと言ったイベントは無さそうなので、本当は植物園に行きたいところですが、忙しいので遠出はかなり厳しそうです。しばらくは大人しくしています。まあ、そんなわけで本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia opuntioides
三稜のまま育つオプンチオイデスですが、正月明けから一輪だけ咲いています。よく見ると、まだ花が咲きそうですね。

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Tulista pumila ohkuwae GM 602
プミラの変種オウクワエです。プミラ系の中では最優美なタイプでしょうね。

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Adenia glauca
今冬のグラウカはなかなか葉が落ちません。しかし、そろそろ寒さも厳しくなってきましたから、落葉する頃合いですかね。

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Euphorbia paulianii
パウリアニイは葉が落ちません。茎の回転具合がはっきりしてきました。これからが楽しみな花キリンです。

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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムはパラパラと葉は落ちるものの、まだ葉が残っています。そういえば、電気ストーブの後ろにデンシフロルムを置いていたら、真冬に開花して驚かされたこともありました。


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植物は自生地に住む人々と無関係に存在するのではなく、常に関わり合いながら存在してきました。特にその地域を象徴するような植物には、民族学的な関係の歴史や伝説があるものです。本日は「cardon」こと、Trichocereus atacamensisを取りあげます。一般に「cardon」と言えばメキシコに自生するPachycereus plingreiを指しますが、アルゼンチンのある地域では「cardon」と言えばTrichocereus atacamensisを指すということです。T. atacamensisの自生地における伝承をみてみます。ということで、参照とするのはMaria F. Barbarich & Marie E. Suarezの2018年の論文、『LOS GUARDIANES SILENCIOSOS DE LA QUEBRADA DE HUMAHUACA: ETNOBOTANICA DEL "CARDON" (TRCHOCEREUS ATACAMENSIS, CACTACEAE) ENTRE POBLADORES ORIGINARIOS EN DEPARTAMENTO TILCARA, JUJUY, ARGENTINA』です。

Humahuaca渓谷の自然と民族
「cardon」あるいは「pasacana」と呼ばれる柱サボテン、Trichocereus atacamensis(Echinopsis atacamensis)はアンデス地方の原産で、アルゼンチン北西部、ボリビア南西部、チリ北部を含むprepuna州に限定されます。アルゼンチンのJujuy州にあるHumahuaca渓谷では「cardon」は特徴的な要素で、東西の山脈により形成される南北に走る狭い回廊により構成されます。この地域は多様な民族があり、スペイン人が到着する数十年前にはインカ帝国の南端の一部でした。Humahuaca渓谷は草原と低木が優勢で、点在する低木と豊富な柱サボテンからなります。Jujuy州ではKolla族に属していると認識している人々は、先住民族の52.5%を占めています。

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Trichocereus pasacana
『The Cactaceae II』(1920)より。
T. pasacana=Leucostele atacamensis ssp. pasacana

Humahuaca渓谷のカルドン
Kolla族の協力者たちは、「cardon」という言葉を様々な意味で使用しました。「cardon」とはこの州に生息する直立あるいは燭台状の茎を持ち、大型の3種類の柱サボテンを指します。つまり、Trichocereus atacamensis、Trichocereus tarijensis 、Trichocereus terschekiiです。T. tarijensisは「cardon poco」、あるいは「poco」、「poco-poco」、T. terschekiiは「cardon de los valles」あるいは「pocoto」と呼ばれます。また、同様の生態や形態を持つ他の小型種を「cardonctions」と呼んでいます。逆にTrichocereus schickendgntziiやOreocereus trolliiは固有名詞がありません。地元住民は3種類のカルドンを明確に区別しています。T. atacamensisは直立しており、その大きさにより区別され、花が白いことからより優れているとされます。T. tarijensisはよりサイズが小さく赤い花を咲かせます。T. terschekiiは様々な場所で育ち、より多くの枝を持ちます。住民たちはT. atacamensisのトゲはより太く長いと述べています。また、標高や気候条件の違う産地ごとに特徴に違いが見られることを認識していました。

カルドンの物語
「cardon」には、人間の起源を持つという物語があります。その物語の大まかな概要は以下の如くです。Humahuaca族の王女とTukma(Tukman)の族長が恋に落ち、しかしそれはHumahuacaの社会には受け入れられませんでした。その時、族長は王女を探すために軍隊とともにHumahuaca渓谷にいました。しかし、呪いにより彼らは棒に変えられてしまい、その棒からcardonが芽生え聖地の守護者となり、その花の美しさは聖地の愛の美しさを表しています。
物語には複数のバリエーションがあり、呪いは王女の部族が族長に対して抱いていた憎しみから生じたという主張や、不適切な恋愛に対するPachamama (アンデスの古い神話の女神)からの罰であると主張する人もいます。また、これは呪いではなく、敵対した関係の中で、主人公たちを長命の植物に変えることにより、その愛を永続させることが出来たのだと信じている人もいます。さらに、改宗中に族長が王女を抱きしめたために、王女は花に族長はcardonの体になり、彼らの子供が渓谷のcardonになったという話もあります。族長が登場しない話もあります。それは、王女とその民が征服軍の脅威にさらされ、その土地から逃れPachamamaが、王女らをcardonに変えて守ったという話もあります。王女は年に1度だけ美しい花の姿で現れて世界を見つめます。


聖域の守護者
地元住民の語る物語の中でcardonは象徴的な役割を果たしています。太古の昔から今日に至るまで、その守護者としての役割は「antigales」など、神聖さを持つ場所で強調されます。「antigales」は先祖が住んでいた集落で、現在は遺跡がありその子孫たちにとって非常に重要です。この守護者としての主導的な神話や聖域だけにとどまりません。アルゼンチンからの独立のための戦いでcardonが重要であったと地元住民は誇らしげに語ります。

カルドンと自然
cardonはまだ幼植物の頃は、「churquis」(Prosopsis sp.、マメ科の樹木)や「airampos」(Opuntia spp.、ウチワサボテン)、または岩により守られます。逆にcardonは動物に隠れ場所を提供します。「choschori」(Octodontomys gliroides、マウンテン・デグー)のようなげっ歯類は巣穴を作り、果実を食べ、場合によっては茎も食べます。鳥も枝や枝と枝の間に巣を作ります。鳥はcardonの種子を運び、害虫を食べるため肯定的に捉えられています。家畜もcardonに関連しています。食糧や水が足りていない時には、ヤギやヒツジが小さなcardonを食べます。
cardon蛾(Cactoblastis bucyrus)は幼虫がcardonを食べる蛾で、過去20年で大幅に増加しています。都市化や大気汚染、農薬の使用の増加により鳥が減少によるものです。地元住民はcardonの健康状態は環境の状態を反映していると考えています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
cardonは地元住民にとって馴染み深い植物であると同時に、自分たちの出自や信仰に関わる重要かつシンボリックな植物です。記事で紹介した他にも、異なるバージョンの物語もあり、大変興味深いフォークロアでした。多肉植物は人と関わりながら文化となっている例もありますから、今後も多肉植物との関わりについても調べてもいきたいと考えております。
最後に蛇足ですが、Trichocereus atacamensisの学名が変更されているようですから少し触れておきます。2012年にT. atacamensisは意外にもLeucosteleに移されました。さらに、2021年に亜種であるL. atacamensis ssp. pasacanaが命名されています。


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1月はこれと言ったイベントもありませんから、植物園に行こうかと考えていましたが、時期的に温室メインの植物園じゃないとあまり見るものがありません。近場はだいたい行ってしまい、後は千葉とか茨城、神奈川で、結構遠いので少し躊躇していました。しかし、※欄でバイオリウムをお勧めされたので、割と近いこともあり早速行ってみました。

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東京農業大学「食と農」の博物館へ到着。隣にバイオリウムがあります。ある意味話題の隈研吾氏のデザインとのこと。

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タイの闘鶏の巨大な像が目印。

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鶏像の隣にまずまず立派な蘇鉄(Cycas revoluta)。

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野良ユッカも見上げる高さに。

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隣にバイオリウムの温室がありますが、入り口がよく分かりません。博物館側から入るとみた。

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博物館の入り口前に鶏が飼育されていました。

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チャボはこじんまりとしていて可愛いですね。正式な名前は桂矮鶏というそうです。

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こちらは東天紅。日本三大長鳴鶏。

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入り口には𦥑が沢山。

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南極飯!という企画展示がありました。

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南極の動物の剥製。

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食品サンプル作りが沢山並んでいました。南極と言えば、岩波新書の『南極越冬記』(1958年刊)を思い出します。食は単純に栄養を摂取するだけではなく、日常の楽しみの1つとしても重要です。厳しく単調な生活では娯楽が少ないですからね。

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こちらはバー。

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南極に生える植物の標本もありました。

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ススキも南極では極小です。

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企画展示の裏手にも面白い展示がありました。『有用植物図説』という明治24年(1891年)の書物。このような貴重な資料も見ることが出来ます。
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単子葉類と茸。
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大根と蕪。

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タマムシの発色を再現したチタン製品とのこと。

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こちらは、東京農業大学で誕生した特別なマウスの標本。「かぐや」と命名されたので、竹から顔を出しています。母親の遺伝子だけで生まれてきたマウスですが、通常は出来ないことが分かり特別な方法を駆使しているそうです。

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2階に上がると、鶏の剥製が沢山。尾がとんでもなく長い尾長鶏。

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様々な卵。

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酒造も、日本の農耕に関する重要な文化の1つです。

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昔の古民家が再現されていました。他にも酒樽や美しい酒器なども展示されていました。

バイオリウムに行くと言っておきながら長々と博物館を見て回りましたが、次回からいよいよバイオリウムの温室に向かいます。


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いやはや、どうにも忙しく、特に2月からはバタバタしそうです。困るのは記事にする論文を探したり読んだりする時間がろくに取れそうもないことです。まあ、仕方がありませんね。というわけで、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Ibervillea tenuisecta
メキシコ原産のウリ科植物。塊根が出来ます。

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冬でもつるを伸ばしています。

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Euphorbia heptagona
「エノプラ」の名前で販売される、いわゆる紅彩閣です。赤い新しいトゲが美しいですね。

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Euphorbia phillipsioides
いつの間にやら、フィリプシオイデスが開花直前です。蕾が沢山ついていますから、開花が楽しみです。


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Euphorbia fruticosa
フルティコサは開花してから長いですね。先始めは12月中頃でしたから、もう1ヶ月になります。


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Haworthiopsis sordida
ソルディダはこれでもだいぶ育ちました。これでも5cmくらいはあります。とはいえ、まだ貫禄はありませんね。



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昨日はアロエの命名について調査した、Estrela Figueiredo & Gideon F. Smithの2010年の論文、『What's in name: epithets in Aloe L. (Asphodelaceae) and what to call the next new species』をご紹介しました。その中では、末尾にアロエの種小名の一覧があり、名前の由来が記載されていました。ということで、せっかくですから我が家のアロエたちの由来をみてみました。

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Aloe tenuior Haw., 1825
=Aloiampelos tenuior (Haw.)
       Klopper & Gideon F. Sm. 2013
細い枝から。ラテン語の「tenuis」(細い)にちなむ。
藪状に育つアロエはアロイアンペロス属となりましたが、ヒョロヒョロと伸びるため茎は貧弱です。正に名前の通りです。


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Aloe gracilis Haw., 1825
=Aloiampelos gracilis (Haw.)
     Klopper & Gideon F. Sm. 2013

細い茎から。ラテン語の「gracilis」(細い)にちなむ。
やはりアロイアンペロスになったグリキリスですが、テヌイオルと同じく細い茎からの命名です。近縁種で同じ意味の名前は芸がありませんね。

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Aloe striatula var. caesia Reynolds, 1936
=Aloiampelos striatula var. caesia
   (Reynolds) Klopper & Gideon F. Sm. 2013

葉鞘に細い緑色の平行な線があることから。ラテン語の「striatus」(縞模様)にちなむ。

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Aloe albiflora Guillaumin, 1940
白い花が咲くことから。ラテン語の「albus」(白い)と「florus」(花が咲く)にちなむ。

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正に名前の通り白い花が咲くアロエです。アロエは暖色系が基本ですから、真白な花は珍しい部類です。

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Aloe aristata Haw., 1825
=Aristaloe aristata (Haw.)
     Boatwr. & J. C. Manning, 2014
禾のような葉の尖端から。ラテン語の「aristatus」(禾のある)ちなむ。
アリスタタはアリスタロエ属となりました。アリスタロエは1属1種の単系属です。葉は柔らかくトゲは禾状となるため、実にハウォルチア的です。


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Aloe bowiea Schult. & Schult. f., 1829
南アフリカのイギリス人園芸家で植物収集家であるJames Bowie(1789-1869)に対する献名。A. bowieaはBowieが収集しました。
James Bowieについては過去に記事にしておりますので、そちらもご参照下さい。


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Aloe pratensis Baker, 1880
牧草地にも生えることから。ラテン語の「pratensis」(牧草地に生える)にちなむ。
別に牧草地にだけ生えるわけではないみたいです。日本で流通しているプラテンシスは何だか雑種っぽい感じがします。


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Aloe thompsoniae Groenew., 1936
1924年にこの植物を採取した南アフリカのSheila Thompson博士(1930年代に活躍)にちなむ。
こちらは誤りで、著者らは後にトンプソニアエの由来を調べた論文を書いています。トンプソニアエの名前はThompson博士ではなく、動植物の収集家であるThompson夫人にちなみます。なお、Sheila ThompsonはThompson夫人の娘。過去に記事にしていますから、そちらもご参照下さい。


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Aloe fleuretteana Rauh & Gerold, 2000
マダガスカルの森林計画部長Fleurette Andriantsjlavo夫人にちなむ。


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Aloe sladeniana Pole-Evans, 1920
=Gonialoe sladeniana (Pole-Evans)
     Boatwr. & J. C. Manning, 2014

このアロエを発見した探検隊の財政的な支援者であり、イギリスの博物学者のWilliam Percy Sladen(1849-1900)にちなむ。
ゴニアロエとなったスラデニアナです。


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Aloe florenceae Lavranos & T. A. McCoy, 2004
発見者であるAlfred Razafindratsiraの妻Florence Razafindratsiraちなむ。
Razafindratsiraのファームから新種のパキポディウムであるP. enigmaticumが見つかったことがあります。


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Aloe calcairophila Reynolds, 1960
石灰地を好むことから。フランス語の「calcaire」(石灰)とギリシャ語の「philos」(友人)にちなむ。
アロエといっても様々で、A. parvulaなど嫌石灰植物もありますが、石灰岩地に生えるアロエもあります。


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Aloe haworthioides Baker, 1887
近縁であるハウォルチアに似ているから。ギリシャ語の「-oides」(似ている)に由来する。
A. aristataと同じくハウォルチア・ライクなアロエです。非常に小型で華奢なアロエです。


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Aloe humilis (L.) Mill., 1771
低成長の生息地から。ラテン語の「humilis」(適度に低い)にちなむ。
フミリスの名前の意味はよく分かりません。humilis自体は低いという意味ですから、標高とか海抜が低いということでしょうか? ニュアンスがイマイチ掴めません。


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Aloe dichotoma Masson, 1776
=Aloidendron dichotomum (Masson)
     Klopper & Gideon F. Sm. 2013

枝分かれを表す。ラテン語の「dichotomus」(二分法、二股)にちなむ。
ディコトマはアロエから独立しアロイデンドロン属となりました。A. feroxなどの巨大アロエは単頭で数メートルになりますが、アロイデンドロンは枝分かれして樹木状となります。


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Aloe variegata L., 1753
=Gonialoe variegata (L.)
      Boatwr. & J. C. Manning, 2014
斑入りの葉から。ラテン語の「variegatus」(斑入り)にちなむ。
非常に命名の起源が古いヴァリエガタですが、ヨーロッパでもっとも古くから知られているアロエの1つです。


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Aloe peglerae Schönland, 1904
南アフリカの植物学者・博物学者、植物と昆虫の収集家であったAlice M. Pegler(1861-1929)にちなむ。
ペグレラエは薄い蜜を大量に分泌することが知られており、多くのアロエと同様に鳥媒花です。しかし、ペグレラエはあまり背が高くならないせいか、鳥だけではなくネズミも蜜を舐めにくるそうです。


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Aloe plicatilis (L.) Burm. f., 1768
=Kumara plicatilis (L.) G. D. Rowley, 2013

扇形のロゼットから。ラテン語の「plicatilis」(折り畳める)にちなむ。
アロエからクマラ属となったプリカティリスですが、その名前には複雑な歴史があります。一言で説明するのは難しいので、以下の記事をご参照下さい。


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Aloe fragilis Lavranos & Röösli, 1994
傷みやすいロゼットから。ラテン語の「fragilis」(壊れやすい)にちなむ。
これは何を意味するのかはよく分かりません。葉が少し傷みやすい感じはしますか、わざわざロゼットというからには違うのでしょう。フラギリスには微妙に茎がありやや伸びながら育つため、綺麗なロゼットを維持出来ないということでしょうか?


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Aloe descoingsii Reynolds, 1958
フランスの植物学者でマダガスカルの植物多様性の専門家であるBernard M. Descoings博士(1931-)にちなむ。
最小クラスのアロエ。


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Aloe spectabilis Reynolds, 1937
外見的特徴から。ラテン語の「spectabilis」(派手な)にちなむ。
言うほど派手には見えませんが、何をもって派手と命名されたのでしょうか。スペクタビリスは高さ5mと巨大に育つからか、あるいは沢山の花を咲かせるからかも知れません。


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Aloe erinacea D. S. Hardy, 1971
トゲのある外観から。ラテン語の「erinaceus」(ハリネズミ)にちなむ。
見たまんまですね。エリナケアのトゲは硬いものの、見た目ほど痛くないトゲです。そういえば、Gymnocalycium erinaceaも同じ由来ですが、あちらはギムノカリキウムにしてはということでしょうか。


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Aloe parvula A. Berger, 1908
サイズが小さいことから。ラテン語の「parvus」(小さい)にちなむ。
小型アロエではありますが、アロエの中で格別に小さいわけではありません。

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Aloe pseudoparvula J. -B. Castillon, 2004
Aloe parvulaに似ていることから。ギリシャ語の「pseudo-」(偽の)にちなむ。
この「偽の」という名前を嫌う人もいますが、そっくりさんであることが分かりやすくて分類学的には良い名前のように感じます。


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Aloe saundersiae (Reynolds) Reynolds, 1947
Katherine Saunders(1824-1901)に対する献名。Katherine Saundersは、南アフリカのイギリス人コレクターで植物画家、ローデシアとモザンビークを探検したCharles James Renault Saunders(1857-1935)の母。
サウンデルシアエあまり多肉質ではないアロエです。献名だと名前に対するコメントが難しいですね。


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Aloe ramosissima Pillans, 1939
=Aloidendron ramosissimum
    (Pillans) Klopper & Gideon F. Sm. 2013

枝分かれが多いことから。ラテン語の「ramosus」(枝分かれした)の最上級の名詞。
ディコトマと同じくアロイデンドロンとなったラモシシマは、分岐が低い位置から始まります。


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Aloe bakeri Scott Elliott, 1891
キュー王立植物園のイギリス人植物学者、John G. Baker(1834-1920)にちなむ。
バケリは野生絶滅種のアロエです。開発により生息地ごと消滅しました。


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Aloe davyana Schönland, 1905
イギリスの植物学者で南アフリカで活動したJoseph Burtt Davy(1870-1940)にちなむ。

新宿御苑にて。

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Aloe branddraaiensis Groenew., 1940
南アフリカMpumalanga州のBranddraaiにちなむ。
神代植物公園にて。


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Aloe dorotheae A. Berger, 1906
ロンドンのMiss Dorothy Westheadにちなむ。
神代植物公園にて。


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Aloe arborescens Mill., 1768
樹木のようになることから。ラテン語の「arbor」(樹木)にちなむ。
こちらは我が家のアロエではなく、夢の島熱帯植物館の入り口近くのキダチアロエです。キダチアロエは「医者いらず」などと呼ばれ、昔から日本でも流通しているアロエです。Aloe veraが流行するまでは、アロエと言えばキダチアロエでした。屋外でも育ちますので、街路樹の根元などで野良キダチアロエはたまに見かけます。

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サボテンや多肉植物だけではなく、生物の分類やすべての研究分野において、学名というものは非常に重要なものです。野放図に各々が命名してしまえば、いったい何について研究しているのか誰にも分からなくなってしまいます。それは、我々趣味家も同じです。サボテンや多肉植物は希少なものが多く、将来的にあるいはすでに原産地では絶滅してしまった植物も、趣味家により維持されているものも少なくありません。希少な植物であるという意識と、正確な名前を維持する努力は必要でしょう。
さて、私も学名の命名法とその安定については興味があり、かなりの数の関係する記事を書いてきました。しかし、学名の由来となるとさっぱりで、単純にラテン語で特徴を示したものは分かりやすいのですが、人名由来となるとさっぱり分かりません。命名者が由来を記述していてくれたら分かりやすいのですが、学者でもない親戚に献名されていたりしたらお手上げです。というわけで、本日は学名の話です。取り上げるのは、Estrela Figueiredo & Gideon F. Smithの2010年の論文、『What's in name: epithets in Aloe L. (Asphodelaceae) and what to call the next new species』です。アロエの名前の由来について調査しています。

Aloe succotrinaの場合
学名は植物の過去と現在の分類や記述者の情報を反映しています。多くの場合、形態や地理などの情報も名前から得ることが出来ます。もちろん、その植物に常に適した名前であるとは限りません。しかし、不適切であっても名前を破棄する理由にはならず、その名前は維持される必要があります。
名前が分類学上、さらには地理的な混乱を引き起こした典型的な例として、Aloe succotrinaが挙げられます。この名前は混乱した複雑な歴史があり、200年以上にわたり誤った(由来による)名前が使われてきました。「succo trina」はソコトラ島に生息することを指すと考えられて来ましたが、実際には南アフリカにのみ自生する固有種です。「succotrina」、あるいは「socotrina」という名前は異名は、ソコトラ島固有種であるAloe perryiの葉から作られる「socotrine aloes」という薬の原料と考えられてきたから、あるいは汁が乾くと黄色くなることから「succus」(樹液)と「citrinus」(レモンイエロー)を組み合わせた合成語かも知れません。いずれにせよ、何人もの著者がA. succotrinaを誤った種と結びつけてきました。


Aloeの命名の傾向
収集したアロエの学名は933種あり、これは255年(※2010年時点)の期間に渡り命名されたものです。1851〜1860年はアロエの命名は少なく、発表された名前は1つだけ(A. microstigma)でした。最近の期間(2001〜2008年)と第一次世界大戦(1901〜1910年)および第二次世界大戦(1931〜1940年)の前の数十年はもっとも多く発表され、約300の名前が命名されました。
種小名は338がラテン語で78がギリシャ語、6がラテン語とギリシャ語の合成語でした。もっとも頻繁に使用されたのは、7回使用された「major」で、33の名前が複数回使用されています。残りのほとんどは地名や人名から派生したラテン語化されたものでした。
傾向としては、形態を示した名前がもっとも多く使用されていました。しかし、近年では形態学的特徴が使用されることは少なくなっています。これは、ラテン語の知識が失われつつあり人名や地名に基づき簡単に命名されがちであることや、外見的な特徴を示す名前がすでに使用されているからかも知れません。

生息地による名前
地理的な命名は3番目に多く、増えている命名法です。アロエ研究はヨーロッパに送られた資料に基づいていたため、標本には原産地の情報が欠けていることがよくありました。そのため、18世紀に使用された地理的な命名では、「africana」や「abbyssinica」、「arabica」など漠然としたものでした。過去10年間には地理的な命名の45%がマダガスカルに関連した名前です。

様々な名前
次のカテゴリーは他の分類群との関係性や類似性、分類群のステータスに基づく名前です。このカテゴリーで始めに登場したのは、1753年に発表された「vera」で、「真のアロエ」、つまりは商業的に真のアロエという意味でした。

16種類のアロエはその美しさ優雅さから命名されています。「amoena」、「bella」、「bellatula」、「coccinna」、「decora」、「elegans」、「elegantissima」、「grata」、「insignis」、「jucunda」、「lepida」、「pulcherrima」、「pulchra」、「speciosa」、「spectabilis」があります。ただ、このカテゴリーで利用可能な形容詞が不足している可能性があり、過去10年間で1つしか命名されていません。

アロエのアフリカでの呼び方は豊富であるのに対し、それが学名になることはほとんどありません。そのような一般名に基づく学名は6つしかなく、しかもアフリカ大陸由来のものは1つ(Aloe eru)しかありません。


形態以外の特徴による命名は少なく、過去30年記録されていません。例として、味を示すものや薬用(officinalis)、食用(edulis、esculenta)、有毒(venenosa)、石鹸(sapnaria)などです。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
種小名は植物では外見的な特徴や採取地からとられることが多いような気がしていました。しかし、africanaだのasiaticaだの大雑把な名前が古い時代のものだと気が付かされました。あと、外見的は特徴は、まあ被りますから使える名前が減っていくのは仕方がありませんね。しかも、「小さい」の意で命名したのに、後にさらに小さい種が発見されたりしますから、学名は必ずしもその特徴を効果的に示しているとは言えません。命名時には有意味であっても、やがて識別のための記号と化してしまうのでしょう。
さて、明日は実際のアロエの名前とその意味を見てみましょう。


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去年の12月に行った夢の島熱帯植物館の続きです。長く続いた記事も、本日が最終となります。建屋の周囲をぐるりと一回りして帰りました。

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巨大な切り株はマレーシアから運ばれてきたものだそうです。フタバガキ科の樹木をラワンと言いますが、日本ではラワンと言えば材の名前として流通していますね。「ショレア・アクミナティッシマ」と説明にありましたが、要するに「Shorea acuminatissima」のことです。2022年にRichetia属に移されました。

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椰子の根元に何かが絡みついています。いったい、何ものでしょうか? 気になりますね。

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2階のオーストラリア庭園から見えたカミヤツデらしき植物。

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薬草園は時期的に閑散としていましたが、アーモンド(Prunus dulcis)はまだ葉がありました。

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建物の裏に周ります。

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裏手の花壇に花が咲いていました。ウィンターセージ(Salvia semiatrata)でしょうか。メキシコの高山に生え、サボテンと一緒に生えるそうです。

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パンパスグラスがあったりします。

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海が一望出来るベンチがありました。船が沢山停留しています。

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1周回って正面に戻ってきました。立派なアコウ(Ficus superba)がありました。
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この寒い中、実が沢山ついています。
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太い幹からも直接実がなります。温室内のカカオと同じ幹生果ですね。幹生果は実に熱帯的ですが、アコウは南方系とはいえ紀伊半島以南まで自生します。
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ガジュマルやアコウなどのイチジク科植物の中には、気根を伸ばすものがあります。

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さて、反対側にもあった椰子に絡まる謎植物ですが、こちら側にもありました。
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すごい絡まりぶりです。
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実がなっていました。明らかにイチジク科植物ですが、近くにあるアコウかは分かりません。むしろ、椰子にもともと絡んだまま一緒に植栽されたような気もします。

というわけで、夢の島熱帯植物館へ行ってきた記録となります。熱帯植物を十二分に堪能しました。夢の島熱帯植物は、まず椰子が巨大でしたね。さらに、関連する植物が並んでいたりしますから、これは良い展示方法だと思いました。しかし、あらかじめ事前知識を必要としますから、詳しければより楽しむことが出来ます。冬でも加温温室のある植物園は暖かく緑に溢れています。皆様も植物園へ行ってみてはいかがでしょうか。


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本日は久しぶりに縞々バンドの硬葉系ハウォルチアを取り上げましょう。由来不明の「十二の巻」が代表的ですが、よく似たH. attenuataとH. fasciataは混同されますが、H. fasciataはあまり見かけません。しかし、このようなタイプのハウォルチア人気がありませんか、どうにも気になってついつい買ってしまうので、いつの間にやら増えてしまいました。

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十二の巻
由来がよく分からない十二の巻です。一般的にはH. fasciataとされていますが、実際にはH. attenuata系と推測されます。しかし、結節は明らかにH. attenuataの特徴を示しますが、葉の丸みはA. fasciataに似ていますね。園芸店や植物園でもH. fasciataの名前で十二の巻が販売・展示されているのは残念なことです。

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十二の巻
こちらは、ワイルドバンドの十二の巻。従来品とはバンドが異なるタイプが最近は沢山出回っています。

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特アルバ
特アルバは結節が目立つH. attenuataですが、ちゃんとH. attenuataとして販売されていますね。葉のシャープさはいかにもなH. attenuataです。

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スーパーゼブラ
スーパーゼブラは結節が密につまる選抜品種です。H. fasciataの名前で販売されますが、おそらくは十二の巻の選抜品種です。

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H. attenuata RIB 0060
こちらは野生から採取されたフィールドナンバーつきのH. attenuataです。野生個体は一般的に結節がつながりません。葉がシャープで、葉の内側にも結節があります。

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H. attenuata f. tanba
こちらはH. attenuataの矮性品種です。とはいえ、葉が太いため短く見えるだけで、意外と大きくなります。

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H. fasciata DMC 05265
こちらはフィールドナンバーつきの正真正銘のH. fasciataです。H. fasciataは葉の内側に結節がなく、H. attenuataよりも均整のとれた姿になります。割とレア。

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H. fasciata var. browniana
H. fasciataの変種ですが、画像検索で出てくる一般的なブロウニアナとはあまり似ていません。ブロウニアナの特徴はよく分かりませんが、結節がやや横長のような気がします。私の入手個体は結節が白くありませんが、結節が横長ですから一応特徴は一致しますね。

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H. fasciata fa. vanstaadensis
H. fasciataの矮性品種。こちらは全体的に小型。



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今年初の多肉植物のイベントはビッグバザールです。私にとってはもっとも寒い時期のイベントとなります。
さて、12日は天気が怪しく朝は非常に寒くなかなか布団から抜け出せませんでした。結局、五反田TOCに着いたのは10時半をまわっていましたが、流石に待機列は解消していたので、むしろちょうどよいくらいでしたね。

さて、今回のBBはどうだったでしょうか。特に目的を決めずに来たので、割りとぼんやり見て回りましたが、最近気になっているアデニアはあまりありませんでした。手持ちにあるので購入しませんでしたが、ガステリアが結構ありましたね。以前は滅多に見かけませんでしたが、多少は人気が出てきたのでしょうか? 傾向としては、エケベリアやアガヴェ、ハウォルチア、コーデックスが相変わらずメインです。小さなパキポディウム苗も沢山ありました。ユーフォルビアも非常に豊富で、私の手持ちにない種類ばかりでした。サボテンも以前と比べるとあちこちにありました。
そういえば、Echinoagaveが提案されていますが、前回のBBで上手く1株しかないA. albopilosaを入手しましたが、今回はどういうわけかあちらこちらで見かけましたね。とはいえ、すでに入手済ですから、今回は同じくEchinoagaveとされる吹上を探しました。吹上はおそらく5株ほどあったと思います。事前に配布された配置図が少し違うようでしたから店名はよく分かりませんでしたが、入って左側の窓際のブースで吹上を購入しました。ただの吹上ではなく、「姫吹上」とありました。姫とつくことからして、小型なのでしょう。まあ、そちらの方が私の好みですから良かったですね。次にラフレシアリサーチを覗いて、珍しいユーフォルビアを2つ購入。そういえば、珍しいことにラフレシアリサーチにEuphorbia antsoがありました。E. antsoを見たのはこれで2回目です。安かったのですが、欲しいかと聞かれるとただの灌木なので微妙な感じがします。温室に地植えとかならよさそうですけどね。

さて、そんなこんなで購入品です。名前はラベル表記のママです。

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白葉姫性吹上
吹上の矮性品種のようです。白葉とありますから、より白いタイプなのでしょう。
吹上については調べたのですが、よく分かりません。A. strictaあるいはA. striataとされますが、混同されているようです。日本ではほとんど問題視されていませんが、海外では結構議論になっているみたいですね。
海外のサイトでは、A. strictaの葉は黄緑色や緑色、灰緑色で断面は四角で丸みを帯びることもあり長さ35cm程度で鋭いトゲがあり、葉はやや湾曲しておりもっとも葉が密に詰まったアガヴェとのことです。A. striataの葉はやや平らで長さ60cm程度になり、尖端のトゲが長いようです。ただ、サイズなどには幅があり、花の特徴が最大の違いのようです。今度、詳しく調べてみることにしましょう。
さて、問題はまだあり、姫性とは何かです。矮性品種には昔からあるやや小型の「姫吹上」と非常に小型の「ナナ」がありますが、「ナナ」はA. stricta 'Nana'とされますが、特徴的にはA. striataのような気がします。「姫吹上」はよく分かりません。昔の吹上は大きかったとよく聞きますがこれは実はA. striataで、それより小型なA. strictaを姫吹上と命名したなんてことはないでしょうか? まあただの想像です。しかし、私の入手した個体は、A. striataっぽい雰囲気がありますが、まだ小さいため特徴は明らかではないかも知れません。


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Euphorbia mitriformis
何やら気になる外見のユーフォルビアでしたが、なんとソマリアものでした。要するに標高1000mを超える高地性です。なんとなく顔つきがE. phillipsiaeに少し似ていますね。


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怒竜頭 Euphorbia micracantha
とんでもない名前の塊根性ユーフォルビア。どうやら、2022年に飛竜(E. stellata)の亜種になったようです。飛竜の平たい枝に対し怒竜頭は角柱型の枝が出ます。しかし、名前を変更したBruynsは詳しい根拠もなく学名のリスト上で安易に名前を変更してきますから、どの程度正しいのかは分かりません。

というわけで2025年最初の多肉植物のイベント、新年のサボテン・多肉植物のビッグバザールでした。現状、1月2月は特にこれと言ったイベントは無さそうですから、どこか植物園に行くつもりです。次のイベントは3月のBBですかね? 


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エケベリアやセダムなどの多肉植物はベンケイソウ科に含まれます。そんなベンケイソウ科を調べて見ると、聞いたことがない属がいくつかありました。うち、3属は2023年に新設された新属でした。1つは、エケベリアともパキフィツムともつかない不思議な植物を、新属ジェロニモア(Jeronimoa)として独立させました。ジェロニモアについてはすでに記事にしていますから、以下のリンクをご参照下さい。


というわけで、本日は2023年に新設された残りの2属について、Jose Antonio Vázquez-Garciaらの2023年の論文、『Chazaroa Y Quetzalcotilia, DOS GENEROS NEVOS SEGREGADOS RESPECTIVAMENTE DE Echeveria Y Graptopetalum (Crassulaceae, Saxifragales)』を見ていきます。

エケベリア属の分解
近年の分子研究はエケベリアが単系統ではないことを明らかにしています。これは、系統発生学的なアプローチを含む、再検討と再定義が必要です。Cruz-Ropez(2019)らは、Urbinia属を再確立し、
OccidentalesやPaniculatae、Valvataeなどのエケベリアの列(Series)がGraptopetalumとより近縁であることを示しました。このことは、Moran (1963)の観察を裏付けものです。E. valvataはValvata列を代表する種ですが、重花弁ではない弁つきの花弁と萼片を持つため、エケベリアとは区別されると主張しています。さらに、直立した萼片や孤立したCincino花序(※1)、密に重なり合う苞葉など、Pachyphytumに近縁です。
以上のことにより、系統発生学的、形態学的、地理的証拠に基づき、分子系統的に分離が高い支持を得ているクレード、さらに非常に特徴的な形態を示す2つの分類群を新属として分離することが適切であると考えています。

※1 ) 集散花序で、枝が同じ平面上に配置されず螺旋状となる。

新属チャザロア
Chazaroaはエケベリア属とは形態的に異なります。エケベリアの属内分類であるNudaeやSpicatae、Racemosae、Mucronataeは0か1個の小苞に囲まれ独立したCincinoを持つ芯花(※2)がありますが、Chazaroaは各花が2つの苞小節で囲まれた穂状花序または総状花序を持ちます。エケベリア属内分類のCiliataeは無毛のものがありますが、Chazaroaは有毛です。エケベリア属内分類のUrceolataeやLongistylaeは五角形の花冠の側面は平らか溝がありますが、Chazaroaは五角形あるいは円筒形の花冠の側面は少し丸みを帯びています。エケベリア属内分類のSecundaeやChloranthae、Pruinosae、Angulatae、Occidentales、Thyrsiflorae、Gibbifloraeとは花弁が弁状か非弁状かが異なります。
Chazaroaはリュウゼツランなどの研究者であるMiguel J. Chazaro-Basanezに献名されます。


※2 ) 花の中央部分。雌蘂と雄蕊を合わせた部分。

Chazaroaには以下の3種類が含まれます。
①Chazaroa calycosa
 =Echeveria calycosa
https://inaturalist.lu/taxa/1494950-Chazaroa-calycosa

②Chazaroa valvata
 =Echeveria valvata
https://inaturalist.lu/taxa/1494948-Chazaroa-valvata

③Chazaroa yalmanantlanensis
 =Echeveria yalmanantlanensis
https://www.inaturalist.org/taxa/1494949-Chazaroa-yalmanantlanensis

新属ケツァルコアトリア
Quetzalcoatliaはメキシコ西部に集中して分布し、全種が半径101km以内の範囲にあります。
Quetzalcoatliaは複雄性(通常は10雄花)であり、単雄性(5雄花、まれに4雄花、6雄花、8雄花)であるGraptopetalumとは異なります。また、Quetzalcoatliaは葉がピンク色か紫色であることが多いことなどが異なります。Quetzalcoatliaに含まれる3種類は、分子系統解析では高度に支持された系統群を示し、Graptopetalumとは弱く関連があります。


Quetzalcoatliaには以下の6種類が含まれます。
①Quetzalcoatlia glassii
 =Graptopetalum glassii
https://www.inaturalist.org/taxa/1496056-Quetzalcoatlia-glassii

②Quetzalcoatlia kristenii
 =Graptopetalum kristenii
https://www.inaturalist.org/taxa/1496057-Quetzalcoatlia-kristenii

③Quetzalcoatlia pentandra
 =Graptopetalum pentandrum
https://www.inaturalist.org/taxa/1496059-Quetzalcoatlia-pentandra

④Quetzalcoatlia rosanevadoensis
 =Graptopetalum rosanevadoense

⑤Quetzalcoatlia superba
 =Graptopetalum superbum
https://www.inaturalist.org/taxa/1496062-Quetzalcoatlia-superba

⑥Quetzalcoatlia trujilloi
 =Graptopetalum trujilloi
https://www.inaturalist.org/taxa/1496063-Quetzalcoatlia-trujilloi

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
EcheveriaからChazaroaを、GraptopetalumからQuetzalcoatliaを分離・独立させました。この論文にしろ、Jeronimoaにしろ2023年に同じグループによる研究です。いずれも論文内でエケベリアなどのベンケイソウ科植物の再編の必要性を指摘しています。これは、ベンケイソウ科植物の遺伝子を解析した複数の研究結果に基づいており、やはりエケベリアやセダムが単系統ではないという結果は共通しています。私も過去に記事にしていますから、以下のリンクをご参照下さい。



以上のようにベンケイソウ科植物の再編は必然ですが、著者らの新設した3属はその始まりなのかもしれません。しかし、本丸であるセダムの膨大な種の整理にはどれだけの時間が必要なのか分かりません。少しずつ整理されていくのでしょうか。また、何か進展がありましたら記事にしたいと思います。


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いよいよ、12日は五反田TOCでビッグバザールが開催されますね。行けたら覗いて来ます。ということで、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介します。

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Euphorbia resinifera
「白角キリン」と呼ばれるユーフォルビア。少し焦がしましたが、去年は元気でよく育ちました。
モロッコ原産ですが、花はミツバチの採蜜にとって非常に重要で、蜂蜜が特産品ということです。

250108234627108
Euphorbia guillauminiana
去年のグイラウミニアナはなかなか良い生長具合でした。12月近くまで屋外で断水していたため葉は落ちましたが、室内に取り込んで水やりしたら葉が出てきました。とはいえ、これから寒くなるでしょうから、生長するほどではないでしょうね。


250108234838514
Euphorbia imperatae cv.
インペラタエの斑入り品種。今までは剪定してきませんでしたが、今年は枝を切り詰める予定です。剪定を繰り返せば枝が増えて、花が沢山咲きますからね。そういえば、インペラタエは2021年にミリイの変種から独立しました。


250108234020581
Gymnocalycium pungens
プンゲンスは良いトゲが出ています。プンゲンスはギムノの中でも、かなり刺さりやすいトゲを持ちます。ちなみに、プンゲンスは現在はG. schickendantzii ssp. schickendantziiの異名扱いとされています。


250108235523160
Adenia goetzei
ゴエトゥゼイは冬でも元気につるを伸ばしています。どうやら巻きついたりしないタイプのつるのようです。


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2025年になってしまいましたが、去年の12月に行った夢の島熱帯植物館の記事の続きです。イベントホールに置かれた大量の鉢植えを見学中です。

241201102928575
インドセンダン Azadirachta indica
「ニームノキ」としかラベルにありませんでしたから、何かと思ったらどうやらインドセンダンのことでした。伝統医療に使用する「ニームオイル」を採取するなど、生活に利用されているそうです。

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クッカバラ
小型のセロームのようなフィロデンドロン。しかし、ラベルには「クッカバラ」とだけありましたが、実に奇妙な名前です。「クッカバラ」とは「Kookaburra」、つまり「ワライカワセミ」のことです。学名はPhilodendron Kookaburraと書かれがちですが、そのような学名のフィロデンドロンはありません。調べると、P. xanaduであるとも書かれていました。しかし、P. xanaduはブラジル原産で、オーストラリア原産のワライカワセミとイメージが合いません。オーストラリアで流行った的なことが書いてあるサイトもありましたが、ちょっと怪しく感じてしまいました。そもそも、「Philodendron Kookaburra」で検索しても日本語のサイトしかヒットしない時点で、日本で売る際に業者が勝手につけた名前のような気がします。

241201102811705
ブシュカン Citrus medica 'Sarcodactylis'
いわゆる「仏手柑」で、人の手のような不思議な形の実がなる柑橘類です。ラベルにはシトロン(C. medica)の品種のように書かれていますが、現在はレモンの1種とされています。つまり、「Citrus × limon」です。レモンは交雑種で、C. maxima(ザボン) × C. medica(シトロン) × C. reticulata(マンダリンオレンジ)ということです。
そういえば、高知県では柚子やスダチのような小型の柑橘である「ぶしゅかん」があるそうで、ややこしいですね。こちらは区別のためにひらがな表記なのだとか。


241201102753924
ヒロハケンチャヤシ Howea forsteriana
キュー王立植物園のサイトでは、解説ではLord Howe島原産とあるのに、分布欄にはNorfolk島原産とありました。どちらが正しいのでしょうか。


241201102731424
サトウヤシ Arenga pinnata
砂糖を採るために商業的に栽培される椰子ですが、プランテーションに向かないようです。東南アジアの原産。
241201102741758
幹はやたらにゴツいですね。

241201102707672
サンジャクバナナ Musa acuminata 'Dwarf Cavendish'
矮性バナナですが鉢栽培されています。そういえば、筑波実験植物園でサンジャクバナナの花を見ました。学名はマレーヤマバショウ(M. acuminata)の園芸品種です。現在流通しているバナナはほとんどが「Cavendish」ですが、正確にはサンジャ
クバナナはその矮性品種ということになります。以前の食用バナナの主流だった「Gros Michel」がパナマ病で壊滅的なダメージを受けたことにより、耐病性に優れていたためCavendishが選ばれました。次点で形やサイズ、運搬中に変色しないなど、必ずしも味で選ばれたわけではないため、CavendishはGros Michelより味が落ちるとされているようです。

241201102511609
センニンカズラ
センニンカズラと呼ばれるものには2種類あり、葉色が明るく光沢があるPhilodendron bipennifoliumと、葉色が灰緑色で光沢が弱いPhilodendron panduriformeがあるとされているそうです。この個体はP. bipennifoliumということになるのでしょうか?


241201102458660
タンクブロメリアが開花しています。Aechmeaでしょうか?

241201102450966
コモチクジャクヤシ Caryota mitis
コモチクジャクヤシは特徴的な葉を持ちます。新宿御苑でも鉢植えのコモチクジャクヤシを見ましたが、やはり地植えの板橋区立熱帯環境植物館が素晴らしいですね。かなり巨大で2階の空中歩道から房なりの果実を見ることが出来ました。


241201102427002
ラベルがないので名前が分かりませんが、毛に覆われた茎からするとワタゲカズラ(Philodendron squamiferum)でしょうか?

241201102356557
美しいタンクブロメリアです。

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トックリラン Beaucarnea reculvata
温室ではよく見るトックリランです。地植えの方が迫力が出ますね。筑波実験植物園の群生展示は見事でした。
一般的にはNolina reculvataとされてきましたが、現在はBeaucarneaに統合されました。ちなみに、ラベルのNolina reculnataは誤記。


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タイヘイヨウグルミ Inocarpus fagifer
太平洋諸島に広く分布するマメ科植物。クルミの仲間ではありませんが、有毒な種子は加工することにより食用となります。


241201102250073
今回で温室は終了です。後は夢の島熱帯植物館の周囲をぐるりと1周して帰りました。次回でラストです。


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新年明けて、多肉植物の初売りがチラホラ開催されたようですが、私用がありいずれも行けませんでした。どうやら、2025年の初イベントはビッグバザールになりそうです。
さて、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。


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Adenia keramanthus
樹木タイプのアデニアですが、新しい葉が出ています。

250106012723209
Commiphora mildbraedii
ミルドブラエディイも葉を出しています。同時に3種類のコミフォラを入手しましたが、ミルドブラエディイだけ元気です。

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Euphorbia lophogora
ロフォゴナは一番花から二番花が出ています。花キリンではよく見る花茎の分岐方法です。花から花が出ているようで奇妙に見えますが、花弁に見えるものは苞なので、蕾に一番近い苞葉の脇芽と考えるならばそれほど不思議なことではありません。

250106013849536
Aloe florenceae
フロレンケアエは葉が増えて、いよいよ美しい姿を見せてくれています。
2004年にマダガスカルで発見された小型アロエ。

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怪竜丸
怪竜丸は生育良好です。少し窮屈そうですね。怪竜丸はGymnocalycium basiatrumに比定されるギムノカリキウム。



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2024年は多肉植物関連の論文を、60本程度ご紹介しました。記事にした論文は必ずしも2024年の新しいものばかりではありませんが、いくつかは2024年出版のものもありました。さて、その中でも気になるニュースがいくつかありましたから、本日は少し振り返ってみました。

①1000年前のコミフォラ種子が発芽
イスラエルの砂漠の洞窟から、約1000年前の種子が発見され、播種したところ発芽しました。まだ開花していませんが、特徴や遺伝的にはコミフォラであることが分かりました。「Sheba」と仮に命名されましたが、聖書に記述がある薬用植物の「tsuori」である可能性を指摘しています。


②新属・エキノアガベの誕生
アガヴェ属の系統解析により、Paraagave、Paleoagave、Echinoagaveを分離する提案がなされています。


③新種のユーベルマニアの発見
ユーベルマニア属の分子系統解析により、Ubelmannia nudaが分離されました。ブラジルのGerais州の原産で、遺伝的にはU. pectiniferaに近縁です。半地下生など珍しい特徴を持ちます。

https://www.cactuspro.com/forum/read.php?1,921125


④新種の多肉植物たち
★中国の浙江省より新種であるSedum xunvenseが説明されました。S. formosanumに似ていますが、いくつかの特徴と遺伝的に独立していることが確認されています。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません

https://www.researchgate.net/figure/Sedum-xunvense-YL-Xu-P-Li-sp-nov-A-Habitat-B-Population-C-Habit-D-Habit_fig3_379892287

★メキシコのMichoacanより、Echeveria sotoiが説明されました。E. gibbifloraに似ていますが、茎は細く背が高くなり、葉はより細く紫がかる灰白色にはならないことや、花のいくつもの細かい特徴が異なります。

https://mexico.inaturalist.org/taxa/1523120-Echeveria-sotoi

★メキシコのMichoacanより、Echeveria coalcomanensisが説明されました。

★メキシコのJaliscoより、Echeveria cuevasiiとEcheveria vazqueziiが説明されました。E. cuevasiiは亜低木状で中型のロゼットなどSeries NudaeのE. flammigeraと特徴を共有していますが、短枝が少なく葉が長く花序あたりの花が多いなど異なる特徴があります。E. vazqueziiはE. marianaeやE. novogalicianaと似ていますが、大きく無毛のロゼット、短い花序、Series Gibbifloraeに典型的な複数の花序からなる円錐花序を持ちます。

https://inaturalist.ca/taxa/1557251-Echeveria-vazquezii

メキシコのJaliscoより、新種であるEchinoagave nievesiorumが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

https://phytotaxa.mapress.com/pt/article/view/phytotaxa.647.2.2


★ブラジル北東部のCeara州からタキンガの新種、Tacinga mirimが説明されました。いままで、より大型のT. palmadoraと混同されてきました。

https://conexaoplaneta.com.br/blog/nova-especie-de-cacto-e-identificada-no-ceara/

★コロラド州西部からスクレロカクタスの新種、Sclerocactus dawsoniaeが説明されました。S. glaucusより小型でトゲが少なく、遺伝的にも異なります。

https://guatemala.inaturalist.org/taxa/1551384-Sclerocactus-dawsoniae

★メキシコのBajio地域からマミラリアの新種、Mammillaria ariasiiが説明されました。M. hahnianaに似ています。

https://www.inaturalist.org/taxa/1543654-Mammillaria-ariasii/browse_photos

★メキシコのSan Luis Potosi州からオプンチアの新種、Opuntia fortanelliが説明されました。

https://mexico.inaturalist.org/taxa/1538864-Opuntia-fortanelli


最後に
すべての多肉植物の論文をチェックしているわけではありませんから、あくまでも個人的な多肉植物ニュースに過ぎませんが、インパクトがあるものをチョイスしました。また、新種に関してはやはりすべてを把握しておらず、しかもアガヴェ、サボテン、エケベリア、セダムしかチェックしていません。しかし、それでも驚くべき発見がありました。近年の多肉植物の論文は遺伝子解析が基本となっており、以前より確実性が高くなっています。名前や分類がコロコロ変わる時代は終焉に近いのかも知れません。①は偶発的な発見でしたが、②は遺伝子解析による過去の分類の変更です。また、③は新種の発見ですが、④を見ただけで新種が発見され続けていることが分かります。これからも発見は続くでしょう。


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今日も去年の12月に行った夢の島熱帯植物館の続きです。今回はイベントホールの鉢植えを堪能しました。

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リュウガン Dimocarpus longan
いわゆる「龍眼」で、果実は中華料理や漢方に利用されます。ちなみに、ラベルには「Euhoria longan」とありましたが、これは「Euphoria」の誤記ですね。さらに、Euphoria longanは現在はDimocarpus longanの異名とされています。

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果実が見られないのは残念。

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Macadamia integrifolia
マカダミアナッツの1種で、4種類あるマカダミアナッツの中でインテグリフォリアはもっとも一般的な種です。オーストラリア原産。

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インテグリフォリアは新宿御苑でも見かけましたが、果実を見たのは初めてです。

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Chamaedorea oblongata
幅が広く薄い美しい葉を持つ中米原産の椰子。ちょうど果実がなっていました。


241201103144792
キンキジュ Pithecellobium dulce
「Pithecelebium dulce」とラベルにありましたが、これは誤記です。中南米の原産ですが、世界中の熱帯で栽培されます。「金亀樹」と書くらしいですね。

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見るからにマメ科の植物。豆は食用とのこと。
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通常は白花です。園芸品種でしょうか?

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パキラ Pachira
100均でもお馴染みのインテリア植物ですが、育つと普通に樹木として育ちます。ラベルには「パキラ」としかありませんでしたが、パキラ属は54種ありますから種の判別は困難です。ただし、日本で流通しているのはカイエンナッツ(P. aquatica)が一般的のようです。しかし、P. aquaticaとされて栽培される植物は、実際にはP. glabraであるという情報もあります。ここらへんはよく分かりませんね。
カイエンナッツの果実は食用とされることもありますが、有毒なソラニンが含まれており食用が禁止されている地域もあるようです。

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パキラと言えど育つと高さ20m程度にはなるので、幹も実に立派です。

241201103023931
ソーセージノキ Kigelia africana
新宿御苑でも見かけましたが、5〜10kgにもなるソーセージ型の果実がぶら下がる奇妙な姿はまだ見たことがありません。熱帯アフリカに広く分布します。


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バンレイシ(シャカトウ) Annona squamosa
バンレイシの樹を見たのは初めてです。「釈迦頭」の由来となった特徴的な果実は、まだ見たことはありません。中米原産。

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幹はかなり立派でした。高さ3〜8mとなるようですから、すでに開花している株かも知れません。

イベントホールはまだ続きます。


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寒くなって来ましたが、日中は何だか暖かい感じですね。室内の多肉植物たちも割と生長しがちです。本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia opuntioides
オプンティオイデスが初開花しました。なぜか、特徴である扁平な形になりません。そういえば、オプンティオイデスは多肉ユーフォルビアには珍しくアンゴラ原産ですね。


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鳳頭
鳳頭は入手時はまだ特徴がはっきりしていませんでしたが、ようやくそれっぽくなって来ました。そういえば鳳頭や瑞昌玉、竜頭あたりはGymnocalycium quehlianumとされているらしいのですが、今はどうなっているかよく分かりません。しかし、G. stellatumやG. asteriasはG. quehlianumの異名とされているのは変わりないようです。


250103231944806
武勲丸
武勲丸は実に扁平に育っています。そういえば、武勲丸やバッテリーはGymnocalycium ochoterenaeとされています。


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Aloe calcairophila
カルカイロフィラはだいぶ育ち、葉の枚数が増えて見栄えが良くなってきました。アロエには珍しく葉がロゼットにならず、二列性のまま育つ小型種。

250103234504677
Agave albopilosa
新属である
Echinoagaveへの移動が提案されているアガヴェです。冬でも新しい葉が出ています。よく見ると葉縁に微細な鋸歯がありますね。尖端のトゲはやがて繊維が解けて毛の束のようになります。まだ小さいので特徴があらわれるのはいつの日になるでしょうか?

250104000053281
Fouquieria diguetii
ディグエティイは寒くなり、水を切り気味でも葉が良く出ています。Fouquieriaは苗のうちは水が切れるとすぐに葉が落ちてしまいますが、根が木質化してきたせいか葉が落ちませんね。


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さてさて、絶賛正月中ですが、何事もないかの如く、去年の12月始めに行った夢の島熱帯植物館の続きを記事にします。前回はメインの大温室が終わり、食虫植物の温室を廻ったところまででした。食虫植物温室の反対側のドアを開くと、屋外のオーストラリア庭園となっています。2階にありますから空中庭園ですね。

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池がありましたが、12月ですから少し淋しい感じかも知れません。

241201115421354
ところが、まさかの屋外のサラセニア。サラセニアは寒さも平気そうです。

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ギョリュウバイ Leptospermum scoparium
寒い中、ギョリュウバイが咲いていました。ギョリュウバイはミツバチの蜜源として重要で、蜂蜜はマヌカハニーと呼ばれています。


241201115637783
Banksia integrifolia
何気なくバンクシアがありました。屋外でも育つものなのですね。インテグリフォリアは神代植物公園の温室で見たことがありますが、ここの個体の方が立派です。
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葉はこんな感じ。
241201115650310
葉裏は白。
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果実が出来ています。火事に会うと種子が飛び出す仕掛けです。オーストラリアの乾燥地は火事がつきものですからね。植物も適応した生態を持ちます。
241201115912155
運良く花が咲いていました。初めてみましたね。ラッキーでした。

241201115946469
1階に植えられた樹木の林冠がちょうど見えます。
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毛に覆われた蕾が見えます。たぶん、カミヤツデ(Tetrapanax papyrifer)ですよね。中国南部、台湾の原産。

241201120110799
さて、建物に戻りイベントホールに到着しました。ここが終点です。鉢植えの植物が沢山並んでいました。

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2階から見下ろすと、何やら気になる植物があります。
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リュウケツジュ Dracaena draco
リュウケツジュは温室栽培すると、枝分かれしないで単幹になりがちです。しかし、珍しいことにこの高さで枝分かれしています。カナリア諸島原産。


241201103813567
パラワンヤシ(マニラヤシ) Adonidia merrillii
スッキリした樹形の美しい椰子です。ボルネオ、フィリピンの原産。

241201103746614
オオミノトケイソウ Passiflora quadrangularis
いわゆるパッションフルーツです。特徴的な花が見られなくて残念。ブラジル、コロンビア原産。

241201103717982
タヒチモンビン Spondias dulcis
果実は食用です。ニューギニア周辺の原産。

241201103728654
ちょうど実がありました。果実は緑色のうちに落ちて、その後に黄金色に熟すそうですから、まだ未熟ですね。どのような味なのでしょうか?

241201103645010
斑入りのパキラが美しいですね。

さて、本日はここまでとしましょう。イベントホールの植物たちはまだ沢山ありました。続きます。


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新年明けましておめでとうございます。
本日は元旦ですが、いつも通り我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。ダシリリオンとハウォルチアをいくつか室内に取り込みました。


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大晦日まで野外に置いていたダシリリオンを取り込みたした。大丈夫そうな気もしますが、まだ若い苗なので一応です。しかし、ダシリリオンはこう見ると、本当に見分けがつきませんね。

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Dasylirion longissimum
国内でロンギシムムの名前で流通しているダシリリオンは、実はクアドラングラツムです。これは海外でも事情は概ね同じで、学術的にも混同されてきました。しかし、ロンギシムムは葉の根元にもトゲがあるということです。

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Dasylirion quadrangulatum
こちらはビッグバザールで購入したクアドラングラツム。上記のロンギシムムとされたダシリリオンと特徴的に同じです。

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Dasylirion berlandieri
ベルランディエリは葉が平らで強いトゲがややまばらにあります。


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Dasylirion serratifollum
セラティフォルムは葉が巻いて断面がC形になります。トゲも密につくようです。

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H. nigra BK 596
割りと一般的なニグラ。しかし、この渋さが好きなんですよね。


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H. beanii IB 284
ベアニイはH. viscosa var. viscosaのタイプ違いで、現在はvar. viscosaに含まれます。かなり大型で割りと滑らかな肌を持ちます。


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H. tessellata IB 6776
テセラタの大型のタイプ。実にワイルドな仕上がりです。


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H. scabra var. morrisiae VA 6451
スカブラ変種モリシアエ。明るい肌色と短葉が特徴的ですね。

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H. tuberculata var. subexpansa
H. scabra var. scabraに含まれます。しかし、素晴らしい結節が目を引きますね。


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H. koelmaniorum
コエルマニオルムは非常に充実しています。

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Aloiampelos
A. tenuior(左)とA. gracilis(右)も室内に取り込みました。A. striatulaは寒さに強いので外に出しっぱなしですが、この2種はよくわかりません。A. tenuiorは葉が薄いので霜にやられそうな気もします。


我がブログも丸3年が経過し、書いた記事はなんと1024記事になりました。今年も良い記事が書けるよう努めますので、皆様今年もよろしくお願い申し上げます。


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