ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2024年10月

先日、ここ10年あまりのアガヴェの新種について、記事を書きました。その中で、今年出た論文でアガヴェから新属を分離するという話がありました。これは、一体どういうことなのでしょうか? 詳細が知りたいため、当該論文を読んでみることにしました。
ということで、本日はJ. Anthonio Vazquez-Garciaらの2024年の論文、『NEW GENERA AND NEW COMBINATIONS IN AGAVACEAE (ASPARAGALES)』をご紹介しましょう。

アガヴェの歴史
Agave属(Agave L.、リュウゼツラン属)の分類学上の位置づけと、リュウゼツラン科(Agavaceae)は歴史的に変化してきました。Bentham & Hooker(1883)およびEngler & Prantl(1988)の分類体系では、主に子房下位の特徴からアガヴェは他のユリ科植物と共にアマリリス亜綱(Amaryllidae)に分類されました。Hutchinson(1934)と長く使われてきたCronquist(1981)の分類体系では、子房の位置に関係なく多かれ少なかれ繊維状の葉を持つリュウゼツラン科に含まれてていました。しかし、YuccaとAgaveだけが独自の核型を共有していることが分かり、Agaveのような核型を持つギボウシ(Hosta)をリュウゼツラン科とする解釈や、それをただの収斂進化と見る研究者もいました。Dahlgrenら(1985)の分類体系では、化学的特徴を追加しリュウゼツラン科をYucca族(Yucceae)とAgave族(Agaveae)により減らしましたが、これは後の遺伝子解析により裏付けられています。遺伝子解析による国際的な植物分類の研究の成果であるAPGシステムでは、APG II(2003)まではリュウゼツラン科は認識されていましたが、以降はキジカクシ科(Asparagaceae)という大きな科に含まれることになりました(APG III, 2009、APG IV, 2016)。同様にAgave属はManfredaやPolianthes、Prochnyanthesなど、伝統的に形態が異なる属を含むように拡大しました(Thiede et al., 2020)。

Choritepalae節の誕生
Gentry(1982)はAgave bracteosaとAgave ellemeetianaが、トゲのない葉と明確な花冠節を持つ円盤状の花托という際立った特徴を共有していることを指摘しました。2015年にはChoritepalae節として公式化されました。Gentryはその特徴からこのグループをAgave属から分離する提案を行いました。最近の遺伝子解析では、約618万年前にA. bracteosaが広義のAgaveから早期に分離し、約425万年前にA. ellemeetianaがJuncineae節から分離したと推定されます。Juncineae節はかつてStrictaグループと呼ばれていました。

新属の分離
以前の著者らは、Agave属を単系統群として、Manfreda、Polianthes、ProchnyanthesをAgave属に含めることを提案しました。しかし、この分類では形態が異常に多様になっています。遺伝的(Jamez-Barron et.al. 2020)、形態学的、推定分岐年代の証拠から、Agave属のより正確な範囲を指定し、Echinoagave、Paraagave、Paleoagaveの3つの新属を分離します。

Agave sensu lato(広義のアガヴェ)の系統解析

          ┏━━Agave sensu stricto 
      ┏┫   (狭義のアガヴェ)
      ┃┃┏━Polianthes
      ┃┗┫ (incl. Prochnyanthes)
  ┏┫    ┗━Manfreda
  ┃┃
  ┃┃┏━━Echinoagave
  ┃┗┫
  ┫    ┗━━Paraagave
  ┃
  ┗━━━━Paleoagave


新属をAgave属から分離する目的は、より自然なあるいは単系統群に基づき、正確な分類を提供することです。また、Manfreda、Polianthes、Prochnyanthesからなる系統群は狭義のAgave属(Agave sensu stricto)とは分けられます。分類群の特徴とサンプル数を増やすことで、Manfreda、Polianthes、Prochnyanthesの間の関係をより明確に出来る可能性があります。

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Agave striata=Echinoagave striata
筑波実験植物園(2024年7月)


Agaveの分類
①Echinoagave
葉縁は微細な鋸歯状。葉は条線があり先端はカールせずにトゲがある。花は交互に均等な融合花被片を持ち筒状。
1. E. albopilosa (A. albopilosa)
2. E. cryptica (A. cryptica)
3. E. cremnophila (A. cremnophila)
4. E. dasylirioides (A. dasylirioides)
5. E. gracielae (A. gracielae)
6. E. kavandivi (A. kavandivi)
7. E. lexii (A. lexii)
8. E. petrophila (A. petrophila)
9. E. rzedowskiana (A. rzedowskiana)
10. E. strata (A. strata)
11. E. stricta (A. stricta)
12. E. tenuifolia (A. tenuifolia)

②Paleoagave
葉縁は微細な鋸歯状。葉は条線がなく先端はカールしトゲはない。花は交互に不均等な自由花被片を持つ。
1. P. bracteosa (A. bracteosa)

③Paleoagave
葉縁は微細な鋸歯状ではない。葉の先端にトゲはなく、先端は硬い。
1. P. ellemeetiana (A. ellemeetiana) 

④Agave sensu stricto
葉縁は微細な鋸歯状ではない。葉の先端にトゲがある。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
趣旨としてはアガヴェから、3つの属を分離する提案です。割りとはっきりした結果ですので、認められまる可能性は高いように思われます。個人的にはこの提案には驚きました。というのも、分離されるのがManfredaやPolianthesといったアガヴェらしからぬグループではなかったからです。Manfredaなどはアガヴェとはかなり外見上の特徴は異なりますから、アガヴェ属への統廃合には違和感を覚える人も多いでしょう。しかし、狭義のAgaveとManfreda、Polianthesは非常に近縁で、新属Echinoagaveなどと遺伝的にかなり距離があるようです。要するに、EchinoagaveやParaagave、Paleoagaveの方がManfredaなどよりも分離の要件を満たしているということです。ただ、今年発表されたばかりの論文ですから、まだ3つの新属は認められていません。今後、審査されていくでしょう。来年、「The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2025. 」において新属として記載されるか、私も注視していきたいと思います。

ManfredaとPolianthes
次に気になるのはManfredaやPolianthesの今後でしょう。著者らのグループは、かつて古い時代の遺伝子解析結果を元に、ManfredaやPolianthesがアガヴェから分離出来ないことを指摘し、結果としてManfredaやPolianthesはアガヴェ属に統廃合されていきました。しかし、新しい遺伝子解析結果では、
ManfredaやPolianthesは明確に狭義のアガヴェから分離されているように見えます。ただ、サンプル数が少ないためManfredaやPolianthesとされる種のすべてで明瞭に分離が可能であるかは、まだわかりません。著者らもその点を明らかにする必要性を指摘しています。思うこととして、古い時代の遺伝子解析は精度が甘いので、大まかな傾向としては正しくても、細かい部分の信頼性には疑問がある場合もあることは薄々感じていました。といったわけで、ManfredaやPolianthesはアガヴェから分離される可能性もありますが、現時点でははっきりとしたことは言えないように思われます。今後の研究に期待しましょう。


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イベント続きですが、週末には神田神保町古本まつりに行く予定です。うっかり忘れていましたね。しかし、天気予報は雨続きですから開催されるのは心配です。さて、めっきり涼しくなってきましたが、多肉植物たちはどんな感じでしょうか? 本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia gottlebei
ゴトレベイの花が沢山咲いています。枝も増えましたから、これから毎年花が増えてくれるでしょうか。楽しみですね。


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Aristaloe aristata
アリスタタは沢山の花を咲かせましたが、何と2本目の花茎が伸びて開花し始めました。


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Pachypodium horombense
ホロンベンセが非常に元気ですが、どういう訳か花が咲きません。


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H. jonesiae
ヨネシアエはおそらくH. glauca var. herreiの1タイプです。全体的に小型で華奢な感じがします。


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Euphorbia pachypodioides
パキポディオイデスは早くも葉が落ちています。根が細く繊細なせいかすぐに葉を落としてしまうので、管理が面倒ではあります。ある程度のサイズになれば、根が太くなりそれなりに強くなるのでしょうか?


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雪女王 Aloe albiflora
雪女王が非常に充実しています。早くも花茎が伸びてきました。

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「雪女王」にしろ「albiflora」にしろ、アロエらしからぬその白い花を冠した名前です。


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たまたまですが、グーグルの記事にオザキフラワーパークの多肉植物のイベントが出てきました。オザキフラワーパークは過去に2回ほど行ったことがありますが、ブログを始める前ですから、だいぶ昔の話です。オザキフラワーパークは家からだと、行き方がやや面倒くさいのですが、イベントに合わせて久しぶりに覗いてみることにしました。

さて、「多肉大集合!」という名前で行われた土日のイベントでしたが、イベントの規模的にはまあまあでしたね。ただ、柱サボテンや大型ユーフォルビアなど、インテリア向きの見栄えする大株も多数入荷するところなどは一般的なイベントとは異なりますね。

多肉大集合スクエアポスター_アートボード-1-1260x1260

2階にエスカレーターで上がると、眼前に多肉植物が並んでお出迎えしてくれます。まあ、いろいろとありましたが、チタノタ系などアガヴェが沢山並んでいました。私は詳しくないのでよくわかりません。あと、人気のサンセベリアの小型種や筒アナナスも並んでいました。その他はユーフォルビアやPachypodium cactipes、Dorstenia gigasのなどの苗などもありました。ここでは、久しぶりに見たMonadenium rubellumが一鉢あったので購入しました。

同時開催で観葉植物のフェアもやっていて、ビカクシダとアロイド、いわゆるサトイモ科植物が大量にありましたね。アロイドは最近流行の兆しがあるようで、素晴らしい斑入りの植物が流通しています。ここには、着生サボテンの吊り鉢も沢山ありました。

最後にメインの売り場である一番奥の売り場ですが、見上げる高さのFicusなどで鬱蒼としており、まるで植物園の温室のようでした。コバンボダイジュの苗まであり、今は何でも売っているのだなあと驚きました。多肉植物のコーナーなそれなりのスペースを貰っていて、割りと多様でした。気になったのはTrichodiademaで、T. bulbosumだけではなく、T. stellatumやT. densumもありました。しかし、Trichodiademaはブルボスムを育てていますが、イマイチ育ち方が分かっていません。集めるのはまだ早いかもしれませんね。亀甲竜やPachypodium graciliusの小苗が大量にあり、よくあるミニ多肉もまあそれなりにありました。あと、何やらサンゴアブラギリが沢山ありましたが、需要はあるのでしょうか? サボテンも普及種を中心にそれなりにありました。「ロフォフォラ」とだけ表記されたサボテンが沢山ありましたが、何だか不思議です。他にはKumara plicatilis(Aloe plicatilis)やらガガイモ科植物もありました。Dioon supinulosumやFouquieria formosaあたりのややマニアックな連中もありました。ここでは、Cycas debaoensisを購入。巨大なミルクブッシュやボトルツリーを見ながら、プレステラ150と一緒に会計を済ませました。


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Cycas debaoensis
最近、割りと見かけるデバオエンシスですが、毎度気にしつつも見送ってきました。しかし、今回は奮発して購入しました。というのも、Dioon supinulosumのように普及種になってくれたら良いのですが、Dioon eduleのように一時期大量に実生苗が流通して打ち止めのパターンもあるためです。今後、流通してくれたら安くなるかもしれませんが、わかりませんからね。まあ、そんな講釈をたれつつ、流通して値が下がる前のバカ高いAloe erinaceaやらEuphorbia tulearensisを買ってしまった前科があるわけですが…

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Monadenium rubellum
ちらほらピンクの花が咲いているルベルムです。以前から気になってはいましたが、なんとなく手を出していませんでした。今回は塊根がなかなか良い形でしたから購入を決めました。モナデニウムはユーフォルビアに吸収されましたから、ルベルムも現在はEuphorbia rubellum、ではなくEuphorbia neorubellaとなっています。

先週のヨネヤマプランテイションの即売会、木更津C&Sに行ったばかりなのに、またイベントに行ってしまいました。しかし、久しぶりのオザキフラワーパークは多肉植物以外も割りと見るべきものが沢山あって面白かったですね。


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最近はめっきり涼しくなってきました。多肉植物を見るのに適した季節ですが、蚊が多くて敵いません。蚊に血を吸われつつ写真を撮りましたので、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Portulacaria namaquensis
去年の11月にBBで購入しましたが、下の画像が購入時なので、1年の間に実によく生長しました。ちなみに、Ceraria属はPortulacaria属に吸収されて消滅しました。
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2023年11月、BB

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Euphorbia makayensis
去年の5月に木更津C&Sで購入しましたが、下の購入時の画像と比べるとまるで違う植物のようです。よく育ちました。最近、初めて花芽が出てきました。これは楽しみですね。2021年に記載された新種です。
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2023年5月、木更津C&S

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Fouquieria purpusii
今年の3月にBBで購入したプルプシイですが、実によく育ちました。下の画像は購入時のものです。しかし、えらく曲がっていますね。
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2024年3月、BB

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Haworthia chloracantha var. denticulifera
2月の始めに鶴仙園にて購入したクロラカンタ変種デンティクリフェラです。周囲の子株が育ち見事な群生株になりました。


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H. venosa subsp. woolleyi GM 079
2年前の鶴仙園のイベントで購入しましたが、ほとんどサイズ感は変わっていないですね。小型のタイプなのでしょうか?



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去年、サボテンやアロエ、セダムなどのここ10年あまりに見つかった新種についてまとめた記事を書きました。今年はあれから1年でどう変わったのか、新たに見つかった新種はあるのかをポツポツと記事にしています。アガベについてもこの1年で見つかった新種はあるのか、あるいは説明された新種候補が正式に新種として記載されたのかを見ていきましょう。
ちなみに、論文が出て新種が説明されたとしても、それは新種であると著者が主張しているだけなので、まだ正式に新種として記載されたわけではありません。場合によっては既存種と同種かも知れません。ですので、論文が発表されてもすぐに新種として記載されるわけではありませんから、去年発表された新種候補たちはどうなったのか調べてみました。以下、追加した情報は【追記】と表記しております。

近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参考までにということで。


2011年
★メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
★メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
★メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
★メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
★Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
★メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。
【追記】アリゾナ州中部より、新種であるAgave verdensisAgave yavapaiensisが記載されました。種子をあまり作らず、主に栄養繁殖により増えます。

2014年
★メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
★メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
★メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2015年
【追記】メキシコのJuliscoより、新種であるPolianthes cernuaが記載されました。しかし、同2015年にAgave属に移され、Agave neocernuaとされました。

2016年
★メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
★コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
★メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
★メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
★メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。【追記】2024年にEchinoagave cremnophilaとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。
★メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
★メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。
【追記】アリゾナ州中部より、新種であるAgave sanpedroensisが記載されました。アリゾナ州の先住民族であるHohokam族が1450年頃まで栽培していた「失われた作物」であると著者は主張しています。


2019年
★メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。【追記】2024年にEchinoagave lexiiとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。

Echinoagave lexii
https://www.inaturalist.se/taxa/1525256-Echinoagave-lexii

★メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。 

Agave oteroi
https://www.inaturalist.se/taxa/1076020-Agave-oteroi

★メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruiziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。

Agave garciaruizii
https://www.inaturalist.se/taxa/1233151-Agave-garciaruizii

2020年
★メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。

Agave calciphila
https://www.inaturalist.org/taxa/1268056-Agave-calciphila

★コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。

Agave sylvesteriana
https://www.inaturalist.org/taxa/1146456-Agave-sylvesteriana

★メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plantsにより新種として記載されました。記載年は2020年ではなく2018年とされています。また、2023年にAgave属に移され、Agave arceliensisとされました。

2021年
★メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。【追記】2024年にEchinoagave crypticaとしてアガヴェ属から独立する提案がなされております。

Echinoagave cryptica
https://www.inaturalist.org/taxa/1525251-Echinoagave-cryptica

2022年
★メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
★メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。

Agave rosalesii
https://www.inaturalist.org/taxa/1373684-Agave-rosalesii

★メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

2023年
★メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

Agave mayo
https://www.inaturalist.org/taxa/1497655-Agave-mayo

★メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により、受け入れられず異名にもならない未配置名(unplaced names)とされています。

2024年
【追記】Agave属よりEchinoagaveParaagaveを分離する提案がなされました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。
また、PolianthesやManfredaがAgave属から明瞭に分離可能であることも判明しました。このことにより、Agaveに統廃合が進んでいるPolianthesやManfredaが復活する可能性があります。

Echinoagave
https://www.inaturalist.org/taxa/1524995-Echinoagave

Paraagave
https://www.inaturalist.org/taxa/1524996-Paraagave

【追記】メキシコのJaliscoより、新種であるEchinoagave nievesiorumが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。
【追記】大雑把にAgaveへの統廃合の流れを追って見ました。割り早い時期に行われた遺伝子解析ではPolianthesやManfredaがAgaveから分離出来ないとされましたが、2024年の論文では分離されています。これは、遺伝子解析の質が上がったことも関係あるのでしょう。また、EchinoagaveとParaagaveの独立も提案されており、アガヴェ自体が大きく変わりそうです。気になるため現在論文を読んでいます。近いうちに記事に出来ればと考えております。


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最近の購入品を植え替えるために赤玉土をアマゾンで注文しましたが、何故か到着予定日を過ぎても発送されていないため、キャンセルしました。在庫有り商品だったのに一体何だったのやら。おかげで今年最後の植え替えが出来ませんでした。流石にもう11月ですから、これからの植え替えはなかなか厳しいですよね。最近の購入品は用土が不明ですから、乾き具合が分からないので冬に根腐れする可能性があります。困りました。まあ、仕方がありませんね。さて、そんなこんなでグダグダしていますが、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia tardieuana
トゲナシ花キリンのタルディエウアナですが、勢いは良いものの残念ながら花は咲きませんでした。同じトゲナシ花キリンであるE. geroldiiはよく開花したので、こちらも楽しみにしていました。来年は咲いてくれるでしょうか?


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Euphorbia boiteaui
こちらは挿し木のボイテアウイです。根や主幹が太ってきて、少し見られるようになってきました。


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Euphorbia boiteaui
同じボイテアウイですが、こちらは実生苗です。葉が茂り見えませんが、自然と塊根ができます。しかし、上の挿し木苗と比べると、葉の形が結構違いますよね。これは、挿し木と実生の違いではなく、産地の違いによるタイプ違いに過ぎないような気もします。


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孔雀丸 Euphorbia flanaganii
去年まではよく陽を当てていたので、太く短く締まった枝が出ていました。しかし、枝は割りと短命で、なんとなくみすぼらしい姿となってしまいます。今年は遮光強めにしたところ枝は間延びしましたが、枝の本数は圧倒的に増えました。


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Agave × leopoldii
レオポルディイは2022年の秋のBBで、オマケでいただいた抜き苗でした。発根からスタートしましたが、去年は色味が悪く目立った生長は見られませんでした。しかし、今年は葉が次々と出て色味も良くなりました。新しい葉は繊維が出て特徴が出てきましたね。


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Fouquieria fasciculata
今年のファスキクラタは、相変わらず枝が伸びるだけでした。幹はなかなか太りません。

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太る気配なし。


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9月に行った新宿御苑の温室の記事が未だに続いていますが、今日で最後となります。温室を出て、温室の近辺を少しうろついて帰りました。

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パパイヤ
日本だとパパイヤは寒さで冬に枯れてしまいますが、温室だと枯れないため巨大に育ちます。

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まだ実は小さいですね。

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チェリモヤ Annona cherimoya
昔一度だけチェリモヤの果実を食べたことがありますが、
完熟するとねっとりとして非常に甘く、大変美味でした。それ以降は交配種のアテモヤしか入手出来ていません。

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コバンボダイジュ Ficus delioides
小型のボダイジュというかイチジクの仲間。実物は初めて見ました。

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小さな実が沢山なっていました。

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ウツボカズラ Nepenthes × mixta
温室につきもののウツボカズラです。


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ウコン Curcuma longa
運良くウコンの花が咲いていました。いわゆるターメリックです。


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Aristolochia gigantea
奇怪な花で知られるアリストロキアの花が咲いていました。ギガンテアは去年の5月に神代植物公園で初めて見ましたから、これで2回目の出会いです。

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蕾もまた異様な感じがしますね。そういえば、アリストロキアは腐肉臭や糞便臭などを放ちハエを呼びます。ギガンテアは花弁は柑橘系の香りを放ち、花筒は腐臭を放つそうです。今回は開いた花が高い位置にあったので、残念ながら確認できませんでした。
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アリストロキアにありがちなコルク質のヒビ割れた幹。

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Coelogyne guamense
通路の壁には沢山の蘭がぶら下げてありましたが、時期が悪く咲いていたのはコエロギネ(セロジネ)だけでした。

ここで温室を出ましたが、風が非常に強くなっており、温室の入り口に並べてある鉢植えが倒れていました。帰り道、看板やら傘立てやらみんなひっくり返っていましたから、大した暴風でしたね。

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ヤタイヤシ Butia yatay
ヤタイヤシは耐寒性が強く日本でも野外栽培可能なヤシです。とはいえ、それなりのサイズになりますから、庭に植える人もそうはいないでしょう。

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実が沢山なっています。
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芝生には熟した果実が落ちていました。

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アオノリュウゼツラン
巨大なアオノリュウゼツランですが、このようにのびのびとした場所に植えられず、狭い場所に寄せ植えされがちですよね。
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花茎が伸びていました。右は枯れた過去の花茎です。
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よく見ると花は終わっていて、実がなっていますね。そういえば、今年はリュウゼツランの花が咲いたというニュースが沢山ありましたが、実際のところそれほど珍しい現象ではないような気がします。逆に話題になったから、あちこちで取り上げられただけではないでしょうか。あと、実はアオノリュウゼツランではないリュウゼツランは結構あちこちで咲いていますから、気にして見ると意外と目に入るものです。

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ソテツ Cycas  revoluta
立派なソテツの群生株がありました。奄美大島のソテツは外来のカイガラムシにより、相当やられてしまっているようです。場合によっては壊滅もあり得るかも知れません。これといった対抗手段がないのが、歯痒いところです。

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コーンが出た跡がありました。

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Bauhinia forficata
外にもバウヒニアがありました。これで遭遇したバウヒニアは3種類になります。

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一輪だけ咲いていました。大型の花です。

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穏やかに見えますが、暴風が吹き荒れています。

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帰りに駅付近にある、& Sandwich.のBLTCEサンドを購入。すごいボリューム。

というわけで、新宿御苑の温室を堪能してきました。実に9回に渡りしつこく記事にしましたが、これでも加減したほうです。残念ながら一日天気が怪しかったこともあり、温室以外はほとんど見ていませんが、まあまた行けば良いことです。撮影していない植物もまだまだありますからね。とはいえ、もう11月になってしまいます。今年の植物園巡りはこれで最後かも知れません。来年、春になったら再開しましょう。


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2日連続で多肉植物のイベントに出て、少し疲れてしまいました。土曜日は横浜、日曜日は木更津と、まあ移動時間が長いこと。しばらくは大人しくしていましょう。ということで、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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イヌサフランがちらほら咲いています。香辛料のサフランと異なり、こちらは猛毒です。

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Euphorbia brachyphylla
7月に開催されたヨネヤマプランテイションのイベントで購入したブラキフィラですが、初めて開花しました。

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予想していなかった緑色の花です。

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Euphorbia bubalina
ブバリナも開花が始まりました。まだ開きかけですが、ユーフォルビアとしては割りと大型の花を咲かせます。まあ、大きいのは花弁ではなく苞ですけどね。

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Euphorbia longetuberculosa
ロンゲツベルクロサも葉が出てきました。実生苗なので直根が1本しかなくグラついていましたが、側根が出たのかグラつかなくなりました。


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H. tessellata IB 6776
テセラタIB 6776は幾度も花を咲かせ好調でしたね。IB 6776はテセラタの中でも風変わりな外見です。


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Aloe thompsoniae
トンプソニアエが非常に元気で、良い葉が出ています。


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白磁盃 Aloe pratensis
白磁盃が非常に元気。しかし、国内で販売されている白磁盃は、何だかA. humilisの血が入っているような気がしますが、どうでしょうかね?


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新天地 Gymnocalycium sagrionis
新天地は季節に関係なくトゲを出している気がします。冬でも新トゲ出していますよね。


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こちらは野良多肉のH. cooperiらしきハウォルチア。周年野外栽培というか割りと放置気味です。非常に丈夫で、増えたり根詰まりおこして枯れたりして、勝手に更新しているようです。
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花はやや根元が膨らんだ形で、色は全体的に白っぽいですね。放置していても花はよく咲きます。

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士童 Frailea castanea
こちらは野良サボテンの士童です。同じく周年野外栽培かつ雨ざらしです。雑草も取りませんが、真夏は良い遮光になっているみたいです。勝手に増えて更新しています。



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土曜日は横浜のイベントに行ったのに、日曜日は木更津のイベントです。何故か集中しますね。木更津C&Sは今年2回目ですが、前回は仕事があり行けませんでした。ですから、今回は是が非でもと楽しみにしておりました。
さて、朝から天気はあまりよろしくない感じでした。昨日は30℃を超えたのに、今日の朝は肌寒く感じました。今回も東京駅にあるバスターミナル東京八重洲から、高速バスで木更津にあるかずさアカデミアホールに向かいます。

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曇り模様のレインボーブリッジ。

高速バスはすこぶる順調で、9時半頃には到着しました。それからは、ゆっくり1時間ほどかけて見て回りましたが、卓の数が毎度増えていますね。お客さんの入りも上々といったところでしょうか。高速バスも混雑していました。

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今回の木更津C&Sの傾向は、かなり多彩でした。木更津C&Sの傾向というより、多肉植物業界自体が全体的に多様化していますよね。今回はサボテンや筒アナナスの専門店もあり、ユーフォルビア、アロエ、コーデックス全般、アガヴェ、メセン、エケベリアなど何でもある感じがします。パキプスやパキポディウムの可愛らしい苗も沢山ありました。
さて、今回の木更津C&Sはユーフォルビア中心に購入しました。まずはBabyleaf Plantsでアデニア、その後に2店舗でユーフォルビアなどを4つ購入し、最後にラフレシアリサーチで激安のコミフォラ苗を購入しました。
ということで、以下購入品です。
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Adenia keramanthus
大柄なアデニア苗。我が家のアデニアはつる性が高いものばかりですが、こちらは樹木としての性質が強そうです。全体的に産毛が生えています。原産地はソマリア、ケニア、タンザニア。

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Euphorbia biselegans
(Monadenium elegans)
買ってから気が付きましたが、このユーフォルビアはあちこちにあり、安い実生があったんですよね。わざわざ育った株を買ってしまい失敗しました。まあ、サイズからすると、激安だとは思いますが。旧・モナデニウムですが、すでにE. elegansという名前のインド原産の雑草があるため、モナデニウムからユーフォルビアに移行する際に「2」を表す「bis-」を接頭につける羽目になりました。タンザニア原産。

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Euphorbia cryptospinosa
棒状(Pencil-stem)のユーフォルビア。マダガスカルや南米が有名ですが、このような形状のユーフォルビアは世界中に存在します。原産地はエチオピア、ソマリア、ケニア。

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Euphorbia cuneata var. pumilans
一見して何の仲間だかわかりませんでしたが、どうやらAthymalus亜属のようです。Athymalus亜属はE. balsamiferaが有名ですが、基本的に多肉植物ではありませんね。E. cuneataはSection Lyciopsisのようです。ケニア、タンザニア原産。

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Euphorbia sipolisii
ブラジル原産。Section Brasiliensisは初めてです。

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Commiphora aff. orbicularis
オルビクラリス類似種と言っていますが、若干怪し気な雰囲気を醸し出していますね。

今回の木更津C&Sは、私の好きなユーフォルビアが非常に豊富で、まさかのユーフォルビア・ブームの到来かと思わせるくらいでした。私も目移りしてしまい、だいぶ悩みましたが、ちょいと変わりどころをチョイスしました。最近、気になっているアデニアも入手出来て大変満足度が高いイベントでした。次のイベントは五反田TOCに戻ったビッグバザールですかね。

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帰りは晴れて陽射しが強くなりました。


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毎度お馴染み、横浜のヨネヤマプランテイションで開催された多肉植物BIG即売会、いや名称が変更されたのか「多肉植物BIGフェア」となりましたが、まあとにかく行って参りました。
朝イチで行きましたが、まあまあの人の入りでした。今回はファームの名前ごとの売り場となっていましたね。

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さて、今回はかなり盛大で、入荷先が違うせいか種類もまた多様でした。お馴染みのアガベやパキポディウム苗、ユーフォルビア、アロエ、あとサボテンも結構ありましたね。普通にホルスティーが売っていてちょっと驚きました。オトンナも出てきています。さて、まず気になったのはソテツです。様々なサイズのDioon spinulosumが沢山ありました。また、Cycas angustifoliaは非常に高額、Cycas debaoensisは買える値段でしたが、明日もイベントがあるため今回は断念しました。あと、何種類かのつる性の塊根植物の苗がまとめて並べられていました。やたらマニアックなものも普通に入手可能になったものですね。一通り見た後に何やら目立たない灌木の小苗があったので、よくよく見たらコミフォラでした。最近、コミフォラの論文の記事をあげたこともあり、ついつい買ってしまいました。まあ、コミフォラは多肉植物でもコーデックスでもないような気もしますが、えらく安かったのでうっかりです。コミフォラは流通量が少ないせいか、今回のような小苗は初めて見ました。珍しいですね。

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Commiphora mildbraedii
エチオピア、ケニア、タンザニア原産。


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Commiphora holtziana
ボルトジアナは現在はC. katafの異名となっているようです。東アフリカからアラビア半島の原産。

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Commiphora pseudopaulii
ケニア、ソマリア原産。

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Euphorbia heterodoxa
以前、イベントでヘテロドクサとウェベルバウエリが並べて売られていて、ウェベルバウエリを買ったらヘテロドクサの名札がついていたことがありました。ということは、あのときのヘテロドクサにはウェベルバウエリの名札がついていたのでしょうか? というしょうもない思い出があるヘテロドクサですが、あまり見かけないタイプのユーフォルビアです。久しぶりに見たので購入しました。ブラジル原産。カクタス広瀬株。
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開花中でした。

今年は国際多肉植物協会のイベントであるSucculent Stationがなかったので、タナベフラワーに行っていません。ヨネヤマプランテイションの帰りに寄ろうかと思いましたが、明日は木更津のイベントに行くつもりなので、無理はしないことにしました。イベント開催という口実がないと遠出は億劫になってきました。来年はイベントが復活しないですかね? ということで、ヨネヤマプランテイションで開催された多肉植物BIGフェアでした。いつもと違う変わりどころを入手出来て非常に良かったです。

【緊急】
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入り口の前に並んでいた観葉植物の中に立派なソテツがありましたが、びっちりとカイガラムシがついていました。ちょっと頭をかすめたのですが、現在進行形で奄美大島などで外来カイガラムシ、通称CASが猛威を振るっております。奄美大島では苗などを島外に送らないようにという注意喚起がなされています。このカイガラムシがCASではないことを願っております。もし、これがCASならば関東一円に拡がってしまう可能性もあります。まあ、このカイガラムシがCASである確証はありませんが、個人的にCAS感染株を小包でやり取りした場合には検知不可能ですから、どちらにせよCASの本土上陸は防ぎようがありません。時間の問題でしょうね。ソテツは食用に加工はされてはいるものの、基本的には食糧作物ではありませんから、それほど本腰を入れて対策される可能性は低いでしょう。何やら憂鬱な気分になってしまいました。


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9月に行った新宿御苑の温室の続きです。植物園の記事は人気がありませんが、個人的には植物園は面白くて仕方がないので記事は終わりません。

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サガリバナ Barringtonia racemosa
残念ながら花期が終わってしまっています。一夜花。アフリカ東岸・マダガスカルからインド、東南アジア、ニューギニア、オーストラリアまでと非常に分布が広い植物ですが、種子が海流に乗って広まるタイプのようです。日本でも奄美大島以南に自生します。湿地の植物。

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樹の下には沢山の花がらが落ちていました。タイミング的には散ったばかりかも知れません。
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探したら一輪だけ咲いていました。沢山あるのは雄しべです。

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スイレンがひっそりと咲いていました。

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名前のわからない巨大なイモが何気なくあったりします。

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滝の裏側を通ります。

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Dichorisandra thyrsiflora
Blue Gingerの蕾が膨らんできています。ジンジャーと言うものの実際にはツユクサ科植物です。ブラジル原産。


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ヒシガタホウライシダ Adiantum trapeziforme
実に目を引く大型のアジアンタム。別名シシガタホウライシダ。中南米の原産。
ちなみに、A. trapeziformeという名前は3種のシダ植物に命名された名前です。ヒシガタホウライシダはCarl von Linneが1753年に命名したものですが、1762年に命名されたA. trapeziformeはAsplenium marinum var. marinum、1786年に命名されたA. trapeziformeはAdiantum cunninghamiiの異名となっています。この2種の
A. trapeziformeという名前は"sensu auct."、つまりは本来指定された植物と異なる植物に使用されてきたようです。

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フイリソシンカ Bauhinia variegata
バウヒニアは板橋区立熱帯植物館で見たB. purpureaに続いて2種類目。世界中の熱帯域で栽培されています。インド、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム、中国南部の原産。キュー王立植物園のデータベースでは何故かパナマも自生地となっていますが、どうなんでしょうね?
未だにバウヒニアの花は見たことがありませんでしたが、温室の外のバウヒニアが開花していました。次回の記事でご紹介します。


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ベニマツリ Rondeletia odorata
実にまとまりの良い一見して作り物のような紅茉莉の花が咲いていました。キューバ原産。

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マカダミア Macadamia integrifolia
ひっそりと目立たない場所にマカダミアがありました。インテグリフォリアはもっとも一般的なマカダミアのようです。板橋区立熱帯植物館ではM. tetraphyllaがありましたがいずれもまだ小さな樹です。マカダミアの実がなりそうな成木にはまだ出会えていません。オーストラリア原産。

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ゴレンシ Averrhoa carambola
いわゆるスターフルーツです。断面が星形になる面白い果実がなりますが、要するに巨大なカタバミの実です。しかし、カタバミの樹というと不思議な感じがしますね。インドネシア原産ですが、東南アジア一帯や南米で栽培されます。

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ゴレンシの葉。

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タビビトノキ Ravenala madagascariensis
オウギバショウが正式な名前のようですが、タビビトノキが一般的です。植物園の温室にはつきもののようで、これで3回目の出会いです。オウギバショウという名前ですが、バナナの仲間ではなくゴクラクチョウカの仲間のようです。マダガスカル原産。


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Osmoxylon lineare
ウコギ科のオスモキシロンが開花していました。1月に行った板橋区立熱帯植物館でも花を見たので、これで2回目です。あまり馴染みがない植物ですが、温室では一般的なのでしょうか? フィリピン原産。

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お菓子のような面白い花です。


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最近Yahooニュースで、イスラエルの洞窟からおよそ1000年前のコミフォラの種子が発見され、播種したところ発芽したという記事があがりました。日本でも古代蓮の例がありますが、古い時代の埋蔵種子の復活はなかなかロマンがあります。コミフォラ自体は日本人にはあまり馴染みがありませんが、近年では多肉植物ブームにより非常に高価ではありますがチラホラ見かけるようになりました。コミフォラは日本では観葉植物の域を出ませんが、海外では意味合いが異なります。何せ聖書に出てくる没薬とは、コミフォラやボスウェリアの樹脂のことだからです。

しかし、記事を読んでみても、どうも今ひとつ頭に内容が入ってきませんでした。例えば、「学者による種レベルの解析に必要な繁殖物質がつくられていないからだ」とか、何やら不自然な文章でよく意味がわかりません。これはおそらく、植物の分類や種の同定は花が基準になっていますから、未開花だと種の同定が難しいですよという意味でしょうか。わかりにくいので、元の論文をよんでみることにしました。ということで、Sarah Sallonらの2024年の論文、『Characterization and analysis of a Commiphora species germinated from an ancient seed suggests a possible connection to species mentioned in the Bible』をご紹介しましょう。

コミフォラとは
Commiphoraは乳香(Frankincense)や没薬(Myrrh)が豊富なブルセラ科の仲間で、主にアフリカ、マダガスカル、アラビア半島に分布します。この仲間の生産する芳香性樹脂やオレオレジンのために、経済的および民族植物学の観点から評価されてきました。オレオレジンが民族医療に用いられている25種のコミフォラのうち、C. gileadensisは「ユダヤバルサム(Judean Balsam)」または「ユダヤの香油(Balm of Gilead)」の候補であると考えられてきました。ユダヤバルサムは死海流域のオアシスで少なくとも1000年以上に渡り独占的に栽培されてきました。古代ユダヤのもっとも重要な輸出品であり、その芳香性と経済的な意味合いで高く評価されてきました。しかし、ユダヤバルサムは9世紀までに姿を消し、その正体について論争が続いています。候補であるC. gileadensisは記述された形態との違いや、南レバント(イスラエル、パレスチナ、ヨルダン)にコミフォラが発見された遺跡がなく、今日においても在来のコミフォラは存在しないことから、異論の余地があります。

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Balsamodendrum opobalsamum
 =Commiphora gileadensis
「Medical plants.」(1880年)より。


古代の種子の復活
1986年から1987年にかけて実施されたユダヤ砂漠北部の洞窟の考古学調査の際に、正体不明の種子が発見されました。種子の放射性炭素年代では、西暦993年から1202年と推定されます。種子は大学に保管され、2010年に温室で播種されました。謎の種子は播種より約5週間後に発芽しました。
「Sheba」というあだ名をもらった苗は、コミフォラ属に典型的な形態学的特徴を示しました。現在は実生より14年経ち、高さは約3mになりました。樹皮は淡い緑がかった褐色で薄くシート状に剥がれ、その下は濃い緑色です。また、12月から4月までの涼しい時期には落葉し、樹皮を傷つけると透明のオレオレジンが少量出ます。しかし、葉や樹皮、樹脂からは、香りはほとんどありませんでした。「Sheba」はまだ開花していないため、現時点では種を判別する材料がありません。


遺伝子解析
「Sheba」と他のコミフォラ属109種との分子系統解析を行いました。「Sheba」は種が多く広範囲に分布するSpinescens cladeに含まれる、南アフリカ原産のコミフォラであるC. angolensis、C. neglecta、C. tenuipetiolataの姉妹種であることが判明しました。Spinescens cladeにはトゲのあるタイプと、商業的にオレオレジンが採取されるコミフォラのほとんどを含みます。
しかし、約200種知られるコミフォラのうち109種しか解析していないため、既存種と一致するものがあるかわかりません。そのため、ラテン語の学名を決定することができません。

仮説1 Judean Balsam
著者らは「Sheba」は古代に栽培されていた「ユダヤバルサム」あるいは「ユダヤの香油」の候補なのではないかと考えました。ユダヤバルサムのオレオレジンは古代ユダヤのもっとも貴重な商品であり、ローマ帝国に輸出されたオレオレジンは香水やお香、白内障の治療、防腐剤、解毒剤、儀式に用いられました。
死海地域のオアシスで栽培されていたユダヤバルサムは、古代ユダヤ特有のものとされています。しかし、その原産地であるとは考えられておりません。StrabonやJosephus Flaviusなどの古代の評論家は、その起源をエチオピア、エリトリア、南アラビアの一部を含む、古代Saba王国としています。古代Saba王国は香木やスパイス貿易への関与が知られています。南アラビアとイスラエル王国の交易は年代的にこの時代まで遡ることができます。ユダヤバルサムがユダヤに導入されたのは、紀元前10世紀、または紀元前8世紀のアッシリアによるイスラエル征服後であることが示唆されます。しかし、その経済的重要性にもかかわらず、ユダヤバルサムは「真のバルサム」(true Balsam)と共に9世紀までには姿を消しています。エジプトのヘリオポリスにあるAyn Shams (Matariyya)の庭園にのみ残り、ユダヤ原産とされる不稔株(sterile strain)が16世紀まで栽培されていたと言われています。

Judean Balsamとは?
ユダヤバルサムの同定は長い間、議論の的となってきました。18世紀以来、C. gileadensisがユダヤバルサムのもっとも有力な候補と考えられてきました。C. gileadensisは一般的に「ギレアドの香油」として知られ、アラビア半島と北東熱帯アフリカ原産の低木です。古代からユダヤバルサムの画像はほぼ残っていませんが、6世紀に描かれたモザイク画では、3葉の低木状の茂みがユダヤバルサムのプランテーションを表していると考えられています。しかし、Balanites aegypticaを含むいくつかの樹脂を生産する樹木もユダヤバルサムの候補です。また、C. gileadensis以外にも芳香性樹脂を目的に栽培されるC. africana、C. schimperi、C. habessinica、C. wightiiも候補です。
「Sheba」の葉や樹脂の化学成分の分析ではコミフォラの主要な芳香成分は検出されず、燃やしても揮発性の芳香成分は検出されませんでした。よって、「Sheba」は商業的な利用はされておらず、ユダヤバルサムではないと考えられます。

仮説2 "tsuori"
「Sheba」の成分分析では、創傷治癒や抗炎症、抗菌、抗ウイルス、肝臓保護、抗腫瘍活性があるとされる化学成分が検出されており、「Sheba」がその芳香目的ではなく医療などに利用されていた可能性があります。聖書には樹脂の抽出物である「tsuori」が記載されており、治癒に関連する貴重な物質であると考えられています。ちなみに、「tsuori」には芳香性があるという記述はありません。
聖書の「tsuori」は、紀元前18〜16世紀(中期青銅時代)の聖書資料(創世記)と、紀元前7〜6世紀(鉄器時代II)の文献(エレミア書)で言及されており、長い間議論の的となってきました。「tsuori」をユダヤバルサムと同一視する意見もありますが、それを証明する証拠は不十分です。聖書に登場する「tsuori」はおそらくは地元に分布し、死海・ヨルダン地溝帯のGilead地域と関連付けられます。古代のGilead地域は山岳の豊かな森林で、その下には肥沃は谷なあり、歴史を通じて集中的に耕作されてきました。「Sheba」もまた死海・ヨルダン地溝帯の洞窟で発見されています。
薬効成分のうち、五環性トリテルペノイドはC. confusaとC. holziannaで検出されています。「Sheba」の葉や茎には、皮膚軟化作用、抗酸化作用、保湿作用、抗腫瘍作用などが確認されている多価不飽和脂肪酸であるスクアレンが高濃度(30%)に含まれています。「Sheba」の樹脂から検出された糖脂質化合物は他には報告がありません。


「Sheba」の謎
著者らは「Sheba」が聖書に記述された「tsuori」である可能性を指摘しました。さらに、著者らは何故「Sheba」がユダヤ砂漠の洞窟に埋もれていたのかを考察しています。
コミフォラの果実を鳥が食べたり、種子を小型のげっ歯類が埋めて備蓄することが分かっています。発見された種子が少ないことからも、動物により運ばれ埋蔵された可能性は否定できません。しかし、人為的に種子が洞窟に保管されていた可能性も依然として存在します。
西暦9世紀にこの地域からユダヤバルサムが姿を消してしばらく経った時期には、かなりの政治的、社会的動乱が起こりました。動乱は初期ファーティマ朝とセルジューク朝の争い、1099年の第1回十字軍の到来、12世紀初頭に建国されたエルサレム王国の領土拡大のための戦争を経て、1289年のエルサレム王国の崩壊まで続きました。地元住民と支配者との戦闘や経済的困難から、この時期のユダヤ砂漠のいくつかの洞窟を織物など地元の物品の安全な保管場所として利用していた考古学的な証拠があります。しかし、他の遺物がほとんどないことから、住居としては使用されていなかったことが示唆されます。
おそらく商業と関係があった「Sheba」の生き残りから採れた種子は、洞窟に隠すほど貴重だったのかも知れません。この遺跡からは、銅器時代(紀元前5千年紀)の人骨、紀元前1世紀から4世紀のナツメヤシの種子、ローマ時代の遺跡などが見つかっています。


再びのJudean Balsam
もし、外来種とされるユダヤバルサムがコミフォラ属であったならば、在来の「Sheba」などを台木として接ぎ木されていた可能性もあります。その場合、C. gileadensisとの違いや、時代ごとにユダヤバルサムの記述が変化する謎が説明できます。例えば、「ザクロに似た背の高い木」(紀元前4世紀、テオプラストス)、「小さな低木サイズの木」(1世紀、ストラボン)などです。これらの変化は、何世紀にもわたる栽培化によるC. gileadensisの栽培品種であると説明されてきましたが、接ぎ木による穂木の活力低下により矮性化が引き起こされた可能性があります。接ぎ木は台木による種子中絶(abortion)や種無し果実を引き起こす単為結果(parthenocarpy)と関連するため、ユダヤバルサム栽培に関連する発掘現場からコミフォラの種子が発見されない理由かも知れません。接ぎ木は、紀元前1800年頃に開発され、紀元前5世紀までにギリシャに定着し、ローマ時代には一般化しており、紀元前4世紀からその支配下にあったユダヤ農民には馴染みがあった可能性が高いと言えます。接ぎ木の利点として、死海地域のストレスの多い乾燥貧栄養状態への適応、土壌の病原菌、土壌のpH、塩分、干ばつ、洪水などのストレスへの耐性の向上が挙げられます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
聖書が啓典宗教にとって重要な意味を持つことは、皆様よくご存知のことと思いますが、対するこだわりは思った以上です。例えば、聖書に登場する植物だけをまとめたマニアックな本ですら昔から沢山出版されているくらいです。古代の洞窟から発見された種子「Sheba」がコミフォラとわかった時は、研究者たちも色めき立ったことでしょう。「Sheba」は重要かつ謎多きユダヤバルサムの可能性すらありましたが、残念ながら「Sheba」からは芳香成分は検出されませんでした。著者らは治癒に関連する「tsuori」である可能性を考えています。しかし、直接的な証拠はなく、今後の発掘調査に期待する感じでしょうか。
さて、論文では遺伝子解析をしていますが、種の同定にまで至っておりません。現実的にすべての種との比較はなかなか難しいでしょう。この論文で外見的特徴による同定がなされていないのは、葉や茎だけでは種の判別が難しいからということのようです。植物の同定は花が重要なため、「Sheba」は未だに開花していないため同定できません。「Sheba」の開花のニュースを待つしかなさそうです。


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出かけたいのは山々なのですが、最近は妙に忙しく多肉植物を見ている時間すらなかなか取れません。今週末は木更津でイベントが開催され行く予定ではありますが、疲労でダウンしてしまうかも知れません。さて、多肉植物たちにもチラホラ花芽が見え始めていますが、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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闘牛角 Euphorbia schoenlandii
闘牛角の花が完全に開きました。両性花なんですかね?


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Euphorbia hofstaetteri
ホフスタエテリの花が色付いてきました。徐々に紅い模様が入ります。


241014163333612
リップマンジャー
小型の花キリンのリップマンジャーですが、非常に元気でよく開花しています。剪定を繰り返して花を増やしたいですね。


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H. triangularis
トリアングラリスがなかなか美しい仕上がり。このH. triangularisは学術的に記載された名前ではなく、古い時代にAloe triangularisと命名された植物を、ハウォルチア属に移したものです。要するに園芸名で、その正体はH. viscosaとされているようです。


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H. rynveldii
リンヴェルディイはもう少し日当たりよくしても良さそうです。


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Aloidendron ramosissimum
ラモシシムムは今年はよく生長しました。


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こちらは周年、屋外栽培しているオブツーサです。cymbiformis系かcooperi系かわかりませんが、とにかく丈夫で手間いらずです。


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9月に行った新宿御苑の温室の続きです。多肉植物が沢山あった乾燥地のゾーンが終わり、熱帯のジャングルに入ります。

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タイヨウフウトウカズラ Piper postelsianum
特に外見的に目についたわけではありませんが、ピペル属、つまりはコショウの仲間なので気になりました。小笠原諸島の母島の固有種。自生個体はわずか1個体しかない絶滅危惧種。


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サポジラ Manilkara zapota
chicle、つまりチューインガムの意味で呼ばれる高木。樹皮にラテックスが豊富でチューインガムの原料となります。完熟果は柔らかく甘みが強く、干し柿に似ていると言われています。中米周辺の原産。


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タコノキ Pandanus boninensis
タコノキに実がなっていました。小笠原諸島の原産。

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気根が伸びて幹を支えます。海岸線に生えるため、砂地でも倒れない工夫でしょうか。
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足下にも実が転がっていました。

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ムユウジュ Saraca asoca
いわゆる、無憂樹。仏教三大聖樹の1つで、釈迦が生まれた場所にあった木とされているようです。マメ科植物。インド、スリランカ、ヒマラヤ地域の原産。


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インドボダイジュ Ficus religiosa
こちらも仏教三大聖樹で、釈迦が悟りを開いた場所にあった木とされています。熱帯のイチジクなので、気根が沢山出て、1個体で広大な面積を占有したりします。

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インドボダイジュの葉は先端が細長く伸びています。これを滴下尖端と呼び、雨だれが高率良く流れ落ちるのだと言われているようです。

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カカオノキ Theobroma cacao
筑波実験植物園では幹から直接咲く奇妙な花を見ることが出来ましたが、カカオの実がなっているのははじめて見ました。南米北部の原産。

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デイコ Erythrina indica
非常に分布が広いマメ科植物。台湾や中国南部からニューギニア、オーストラリア北部、東南アジアからインド、アッサム、そしてマダガスカルとタンザニアまでが自然分布とされているようです。要するに、海流に乗ってインド洋から東南アジア、ミクロネシアやメラネシアに拡がったということなのでしょうか。ちなみに現在ではE. variegataに含まれます。和名はデイコだったりデイゴだったりします。


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ロウソクノキ Parmentiera  cereifera
幹から直接花を咲かせる幹花性ですが、残念ながら花は咲いていませんでした。細長い面白い実をつけるので、いつか見てみたいものです。パナマ原産。


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Tacca chantrieri
東南アジアに広く分布するタシロイモの仲間。クロバナタシロイモという名前もあるようです。奇怪な花でよく知られています。

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中国南部に自生するT. chantrieriは観察してもそれらしい花粉媒介者が訪れないため、どのように繁殖しているのか分かっていません。そういえば、神代植物公園でも花を見ています。

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ショウベンノキ Turpinia ternata
幹を切ると水が沢山出るところから、この酷い和名がついたらしいのですが…。四国以南の日本から台湾に分布。ちなみに、現在の学名はStaphylea ternataとなっています。


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何やら巨大なイモ。こういうサトイモ科植物は沢山種類があるため、よくわかりません。

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オオハマオモト Crinum asiaticum var. sinicum
タイワンハマオモトとも呼ばれる大型のハマオモト。

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タイミングよく花が咲いていました。見上げる高さ。我が家にもハマユウ(ハマオモト、C. asiatica v. japonicum)がありますが、サイズ感が違います。


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めっきり冷え込む日も出てきました。雨が多いのは困りますが、まあ仕方がありません。そろそろ、多肉植物たちのこの1年の生長を確認する頃合いかも知れません。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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闘牛角 Euphorbia schoenlandii
闘牛角は枯れた枝が長く残り、荒々しいトゲに覆われた姿になります。一見してバリダの花柄の跡に似ていますが、闘牛角はタコものユーフォルビアなので、ゴルゴニスや孔雀丸の枝と同等なものです。

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よく見ると花が咲いていました。

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閃光閣 Euphorbia knobelii
実生の閃光閣が非常に元気です。3分頭しましたが、これは今年生長した分です。


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Agave multifilifera
ムルティフィリフェラはあまり大きくはなりませんでしたが、今年は強光に当てて非常に締めて育てました。以前、植え替えた時に、葉が軟弱で根元からポキポキ折れてしまい難儀しました。しかし、現在は触ると非常に硬くがっしりしています。


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Aloe pseudoparvula
プセウドパルヴラは生長が良く、青白い葉が非常に美しいですね。全体的に扁平なロゼットでしたが、葉な立ち上がり少しだけA. parvulaに似てきました。


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Gasteria bicolor
このビコロルは元々葉が長いタイプではありますが、流石に徒長気味ですかね。同じ環境に置いていても、ビコロルとG. verrucosaだけ徒長している感かあります。


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H. glauca v. herrei RIB 0217
フィールドナンバーつきのヘレイです。株分けしたというか、植え替え時に外れてしまったやつです。今年は結構育ちましたね。


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逆鱗竜 Euphorbia clandestina
これはいけません。たぶん赤ダニです。とりあえずベニカXをかけましたが、ダニにどれだけ効くかわかりません。殺ダニ剤を作らないといけないかも知れませんね。



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去年の10月に、2010年以降に発見されたセダムについての記事を書きました。本日はあれから1年経って、当時は論文が出ただけで正式に記載されていなかった新種がどうなったのでしょうか。答え合わせの時間です。さらには去年の記事からは漏れていた種もいくつか追記しました。新たな情報には【追記】と表記してあります。あと、いくつかスペルミスもあったので修正しました。

Sedumは丈夫で育てやすく、寄植えやグランドカバーなど用途の幅も広く、その種類も非常に沢山あります。しかも、近年に至っても沢山の新種が発見されています。新たな調査により発見される場合もありますが、近年の特徴は遺伝子解析による新種の発見でしょう。産地ごとの微妙な違い程度と考えられて変種や亜種とされてきたものが、遺伝子解析により分離されるという報告がなされるようになりました。このように、新種の発見は大変興味深いものです。しかし、我々趣味家には中々情報が入って来ないものです。本日はそんなセダムのここ10年と少しの新種について、ごく簡単にご紹介しましょう。ただ、私もそのすべてを歩漁出来ませんから、おそらくご紹介出来たのはその一部に過ぎないかも知れません。

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Sedum spp.
『Illustrations of the British flora』(1908年)より。


2010年
★米国のアイダホ州から新種であるSedum valensが記載されました。


2012年
★メキシコから新種であるSedum kristeniiが記載されました。
★メキシコとグアテマラから新種であるSedum mesoamericanumが記載されました。
★中国の鉛・亜鉛鉱山地域から新種であるSedum plumbizincicolaが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum perezdelarosaeが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum jarochoが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum brachetiiが記載されました。


2013年
★台湾の石灰岩地から新種であるSedum tarokoenseが記載されました。
★中国から新種であるSedum kuntsunianumが記載されました。


2014年
★米国のカリフォルニア州から新種であるSedum citrinumが記載されました。
★中国から新種であるSedum spiralifoliumが記載されました。


2015年
★メキシコから新種であるSedum moniliformeが記載されました。Sedum longipesに良く似ているということです。
★メキシコから新種であるSedum piaxtlaenseが記載されました。
★メキシコから新種であるSedum pyriseminumが記載されました。
【追記】フランスとイタリアの狭い地域から、新種であるSedum aquilanumが記載されました。イベリアとモロッコの固有種であるS. nevadensisであると考えられてきましたが、新たな調査により新種であることが判明しました。


2016年
★東アフリカのケニア山高地から、新種であるSedum kenienseが記載されました。


2017年
★日本の男女群島より新種であるSedum danjoenseが記載されました。Sedum formosanumとされてきましたが、遺伝子解析により別種として分離されました。
★メキシコから新種であるSedum sinforosanumが記載されました。
★中国からSedum peltatumが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。


2019年
★中国の石灰岩地から新種であるSedum lipingenseが記載されました。
★中国から新種であるSedum ichangensisが記載されました。
★台湾から新種であるSedum kwanwuenseSedum taiwanalpinumが記載されました。


2020年
★中国から新種であるSedum nanlingenseが記載されました。Sedum onychopetalumやSedum kiangnanenseに近縁とされます。
★ペルー北部から新種であるSedum hutchisoniiが記載されました。
★日本の小笠原諸島から新種のSedum mukojimenseが記載されました。Sedum boninenseから分離されました。
【追記】日本の宮古島から新亜種であるSedum formosanum subsp. miyakojimaenseが記載されました。基準種であるS. formosusと比較したところ、多年性で多結実性、側腋枝を持つなど異なる特徴があります。


2022年
★メキシコから新種であるSedum dormiensが記載されました。
★日本の九州地方から沖縄に分布するSedum japonicum subsp. uniflorumあるいはSedum uniflorumとされるセダムは、Sedum ryukyuenseとされました。これは、1838年に記載されたSedum uniflorum Hook. & Arn.は、過去に同名のセダムが命名されていたため非合法名として命名され直されました。ちなみに、同名のセダムとは、1810年に命名されたSedum uniflorum Raf.(=Phedimus stellatus)です。 


2023年
★中国から新種とされるSedum jinglaniiが説明されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。
★中国から新種とされるSedum yangjifengenseが説明されました。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。
★中国から新種とされるSedum danxiacolaが説明されました。
【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。
★日本の九州地方の石灰岩地より、新種とされるSedum kawaraenseが説明されました。Sedum lipingenseに近縁とされます。
【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。

2024年
【追記】中国の浙江省より新種であるSedum xunvenseが説明されました。S. formosanumに似ていますが、いくつかの特徴と遺伝的に独立していることが確認されています。しかし、まだキュー王立植物園のデータベースには記載がありません。

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Sedum bourgaei
『Addisonia』(1917年)より。


セダムは種類が多く皆よく似ていますから、種類の判別は中々困難です。意外にも日本でもまだ新種のセダムが見つかっていますが、その経緯は種の整理や分離独立といった形です。これは、日本のセダムが広く分布する種類と似ていたら、基本的に広域種の地方変異程度に考えてしまうため、このような事態となっているのでしょう。今は遺伝子解析という武器があるため、隠蔽されていた新種が見つけ出されたのです。これからも、このようなケースは増えてくることは確実ですから、場合によっては新種が次々と見つかる可能性もあります。セダムはある意味、今熱い分野なのかも知れませんね。

【追記】
そういえば、セダムを含むベンケイソウ科の分類は、ここ10年ほどの研究成果により大きな転換期を迎えています。遺伝子工学の発展により進化関係を類推出来る分子系統解析の精度が高まり、ベンケイソウ科植物についてもいくつかの研究がなされています。その成果によると、セダムとされてきた植物は実はまとまりがなく、多系統であることが判明したのです。今までの分類はあくまでも外見的な特徴によるものでしたが、その分け方が必ずしも妥当なものではなかったということです。しかし、セダム属はあまりにも種類が多いため、そのすべてを解析することはなかなか困難で、かつベンケイソウ科全体の改変が必要なことから、分類の変更はなされていません。しかし、研究が進めばベンケイソウ科は改変される可能性が高いでしょう。その時、エケベリア属など馴染みのある名前が統合されて無くなるかも知れません。どのように分類されていくのか、注意深く見守っていきたいと思います。


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9月に行った新宿御苑の温室の続きです。乾燥地の植物ゾーンにいますが、いよいよ主役であるサボテンやユーフォルビアが登場します。

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Haworthia asperiuscuta
硬葉系ハウォルチアはHaworthiopsisとして軟葉系ハウォルチアから独立しましたが、植物園のハウォルチアは基本的にラベルはそのままです。こちらも明らかにHaworthiopsisなのですが、聞いたことがない名前です。七重宝塔という名前もあり、H. asperiusculaとと表記されている場合もあるようです。まあ、どう見てもH. viscosaかその交配種ですよね。調べてみると、正しい表記はH. asperiusculaの方で、ラベルの名前は誤記ですね。やはりと言うか、H. viscosa var. viscosaの異名でした。タイプ違いくらいのものですかね。


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スミダノユキ Euphorbia grandidens
樹木状になるユーフォルビアです。南アフリカ、スワジランド、モザンビークの原産。


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白条キリン Euphorbia leuconeura
マダガスカル原産の花キリン。花キリンにはいくつか系統がありますが、何に近縁なのでしょうか。

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幹は独特のヒビ割れによりブロック状の模様があります。

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沖天閣 Euphorbia ingens
沖天閣はアフリカの角からタンザニア、ザイールまでアフリカ大陸を横断し、そのライン以南のアンゴラと南アフリカ西部以外の恐ろしく広い地域に分布します。高さ10mを超える巨大なユーフォルビア。


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朝霧閣 Ritterocereus pruinosus
Ritterocereusは現在Stenocereusに吸収されたため、Stenocereus pruinosusとなっています。


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アオサンゴ Euphorbia tirucalli
手前の金鯱ではなく、奥にあるモサモサしたやつです。ミドリサンゴとかミルクブッシュとも呼ばれます。原産地は熱帯アフリカあるいは東アフリカと書かれていることが多いのですが、実際には世界中に移植されているため原産地は長らく不明でした。しかし、キュー王立植物園のデータベースを見てみたら、いつの間にやらマダガスカル原産となっていました。何か関係する論文が出たのかも知れません。


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Zamia pumila(誤)
こちらは近年ではすっかり普及したヒロハザミア(メキシコソテツ)ですが学名が間違っています。Z. pumilaではなくZ. furfuraceaが正しい学名です。ヒロハザミアはプミラあるいはフルフラケアと呼ばれて販売されていますが、本来はそれほど似ているわけではありません。以下のキュー王立植物園のプミラの標本を見れば、葉の形がまったく異なることがわかります。

Zamia pumila
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:270561-2/images

Zamia furfuracea
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:270522-2/images

240922101414119
リュウケツジュ Dracaena draco
温室栽培だと原産地のような威容は再現出来ないようです。筑波実験植物園の個体も、やはりなかなか分岐せずに背ばかり高くなっていました。カナリア諸島原産。


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トックリラン Beaucarnea recurvata
大きなトックリランは温室に付き物ですが、基本的にサボテンと同じゾーンにありますから、あまり目立ちません。メキシコ原産。

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幹の太り具合はまあまあ。

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フイリウスバリュウゼツラン Agave angustifolia var. marginata
そういえば、
A. angustifolia var. marginata GentryとA. angustifolia var. marginata Trelがありますがどちらを示しているのでしょうか? アガヴェは詳しくないのでよくわかりません。Gentryの方はnot validly publ.とあり、正式に記載されていませんから、Trelの方ですかね。まあ、どちらもA. angustifolia var. angustifoliaの異名扱いとなっています。
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立派な幹があります。

乾燥地の植物のゾーンはここまでです。これより先は熱帯植物のゾーンがまだまだ続きます。


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ちらほらとサボテンの展示会が開催されており、週末に行く予定でしたが、仕事が忙しく疲労で外出する気になりませんでした。残念ですが仕方がありません。無理してまで行くものではありませんからね。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia gottlebei
ゴトレベイが開花しました。意外にも花キリンは地味な色合いの花が多いため、ゴトレベイの花は覚めるような美しさがあります。


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Euphorbia hofstaetteri
ホフスタエテリも開花しています。まだ苞が開き始めといったところで、紅色の模様はこれからもっとはっきりするはずです。


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Euphorbia decaryi
いわゆる、Euphorbia francoisiiです。E. decaryiと言われてきた花キリンが実はE. boiteauiであり、E. decaryiはE. francoisiiと言われている花キリンのことだったということです。ただし、フランコイシイ系は交配が盛んに行われてきた経緯から、以下のクラシカウリスも含め原種ではないかも知れません。

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どうにもまっすぐ育ちませんでした。塊根も滅茶苦茶な形です。そういえば、不思議と枝分かれしません。

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Euphorbia crassicaulis
一般的にはE. francoisii var. crassicaulisと呼ばれている花キリンですが、現在は独立種とされています。

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塊根の太り具合は良好です。枝分かれが激しいですね。

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Euphorbia crassicaulis f. rubrifolia
一般的にはE. francoisii var. crassicaulis f. rubrifoliaという怪し気な名前で取引される花キリンです。要するにクラシカウリスの葉がより赤いタイプというだけの話です。
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塊根の太り具合はイマイチですね。どちらかと言えば、クラシカウリスというよりデカリイ(旧フランコイシイ)なのかもしれません。


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9月に行った新宿御苑の温室の続きです。まだ多肉植物ゾーンにいます。気になる植物が多く、なかなか進みません。

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青々錦 Aloe tenuior
青々錦が雑草のように蔓延っていました。ちなみに、青々錦はアロエ属から独立し、現在ではAloiampelos tenuiorになっています。アロイアンペロスは非常に丈夫で藪状になるアロエ類です。南アフリカ原産。


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Aloe davyana
ネームプレートには「ホシフリュウゼツ」とありましたが、どうやら「星斑竜舌」と書くようです。アロエっぽくない名前ですが、もしかしたら命名が古いのかも知れませんね。南アフリカ原産。


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Macrozamia pauli-guilielmi
日本ではマクロザミアは滅多に見かけないため、非常にレア感があります。オーストラリア原産の小型ソテツ。

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葉は非常に繊細で実に優美。

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不動剣 Agave horrida
なんだか間延びしたような形ですが、選抜品でなければこんなものなのでしょうか。メキシコ原産。


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Cycas sp.
キカスの不明種。大型で見上げる高さで、実に立派。

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幹も太く貫禄があります。

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Bursera fagaroides
コーデックスとして栽培されるブルセラ・ファガロイデスですが、地植えにするとただの灌木ですね。鉢植えのものは盆栽的な楽しみ方なのでしょう。米国からメキシコの原産。


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ススキノキ Xanthorrhoea preissii
あまり目立たないため注目されませんが、ススキノキは乾燥地を模した温室ではよく見かける植物です。神代植物公園や筑波実験植物園でも植栽されてましたね。オーストラリア原産の1属1種の珍種です。

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幹の葉をカットした跡が面白いですね。

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ハナキリン Euphorbia milii var. sprendens
ハナキリンの大株がありました。これは変種スプレンデンスですが、ミリイ系はすべてハナキリンの和名でいいのか気になります。

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ちらほら花が咲いていました。

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ヒメオニソテツ Encephalartos horrida
人気のエンケファラルトスですが、サイズはまだまだですね。筑波実験植物園の個体よりは大きそうですが、神代植物公園の個体は実に巨大で別種のようでした。


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シャムソテツ Cycas siamensis
シャムソテツは樹形が非常に整い美しいソテツです。実に見栄えしますね。今まで見た中では筑波実験植物園のシャムソテツが最優美でしたね。



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烏羽玉の仲間、つまりはペヨーテは幻覚作用を持つアルカロイドを含み、アメリカでは先住民が宗教的な意味合いで古くから利用してきました。南米ではTrichocereusの仲間をSan Pedroと呼び、やはりその幻覚作用を利用してきました。しかし、San Pedroはペヨーテほど一般的ではないせいか、あまり良い論文を見つけ出せずにいましたが、ようやく見つけ出せたので記事にします。
本日ご紹介するのは、Marlene Dobkinの1968年の論文、『Trichocereus pachanoi -A Mescaline Cactus Used in Folk Healing in Peru』です。ペルーの民間療法を調査した民族学的な研究です。言い訳になりますが、論文の出版が1968年と非常に古く、文字が掠れてよく読めない部分が多々ありましたので、内容的に不正確な訳があるやもしれないということはご了承いただきたいところです。

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San Pedro (Trichocereus pachanoi) at Cataluco, near Huancabamba.
「Botanical Museum leaflets, Harvard University v.29」(1983年)


魔術的治療の調査
著者は1967年の夏に、リマの北約500マイルにある沿岸のメスティソの村で調査を行いました。Lambayeque県にある小さな農業コミュニティでは、100人以上の男性と3人の女性が、Trichocereus pachanoiの使用により病気の診断と治療に取り組んでいます。著者は病気に対する信念体系と、薬物と魔術について調査しました。

魔術的な治療
ペルーの沿岸農民は病気について、その経験則的な病因は認識しているものの、病気の根本原因を超自然的なものとしています。なので、経験的な治療は評価されていますが、魔術や祈祷が優先しあくまでも補助的なものです。病気の原因は聖地や墓、遺跡から発せられる蒸気や空気によると信じられます。
医療施設やバランスの取れた食事がなく、衛生設備も劣悪なため、病気からくる不安を抱えた住民は民間療法士(folk healer)であるmesaに相談します。夜通しの治療の儀式で、療法士と患者はSan Pedroで作った薬を飲みます。薬の作用がある間に療法士は病気の原因を占い、病人に投与する薬草を処方します。患者は村内だけではなく、友人や親戚から紹介され、遠く離れた地域からも訪れます。

処方
すべての療法士は治療の儀式でTrichocereus pachanoiを利用しますが、添加物や儀式にはバリエーションがあります。療法士の中には、下剤作用と不眠効果を高めるCondorillo(Lycopodium sp.、ヒカゲノカズラ類)、Misha(Datura arborea、キダチチョウセンアサガオ)、Hornamo(未確認)を加える場合もあります。ある療法士によると、Mishaは特に衰弱している患者に大量に与えると死に至る可能性があるということです。San Pedroとその添加物は吐気および激しい嘔吐を引き起こしますが、これは病人から不純物を取り除き浄化させるために重要であると考えられています。療法士は患者の体の大きさや病気の性質、罹患期間の長さに基づいて投薬量を決定します。一般的にサボテンは細かく切り刻まれ、水に入れてエッセンスだけが残るまで数時間煮られます。治癒の力は療法士が使用する物質に宿ると信じられています。

儀式
以下は著者がVallesecoで観察したある治療儀式の様子です。
バスで4時間ほど離れた町から3人の患者がやって来ました。儀式は夜間に行われ、人工的な照明は一切使われませんでした。
助手を務める治療師の弟子は、タバコと水の混合物を嗅ぎタバコとして吸い込みました。治療師はスペイン語で主の祈りに始まる、かなりメロディアスで心地良いな歌を歌い始めました。その後は、ラテン語とケチュア語の混じる自然な詩が続きました。歌にはガラガラの役目を果たすヒョウタンによるリズミカルな伴奏がありました。約1時間の歌唱の後に、San Pedroのエッセンスがカップに注がれ、その効果を高めるためにカップは石や剣、磨かれた棒により軽く叩かれました。
時折、患者と治療師、助手は外に出て催吐作用のある薬を吐き出しました。聖母マリアと神に祈りを捧げながら、さらに歌は続きました。時折、歌は治療師が病人に与えるであろう助けを朗読しました。患者は順番に立ち上がり、助手は装飾のある剣を患者の足の間に置き、患者に柄をつかませました。助手は嗅ぎタバコとして鼻にタバコをくわえ、剣を患者の体のあちこちに、十字を描くように擦り付けられました。
治療師は患者の症状とその問題について話し合い、完了すると歌を再開しました。やがて、助手が立ち上がり、空中に水を撒き、剣で空気を切り、「悪霊」(evil spirits)を追い払いました。別のタイミングで治療師は磨かれた石のいくつかを擦り合わせ、夜の暗闇の中に火花を飛ばしました。夜が明け、最後に一連の歌が歌われ儀式は終了しました。


その解釈
治療師たちはサボテンの効果が続くと、患者を苦しめている病気の性質についての洞察が得られると主張しています。石(herbal stone)を打つことで刺激されるビジョンは治療師たちの誇りであり、処方のための情報源です。治療師たちは病気を取り除く象徴として、病人にかける何らかの物体、あるいは小さなモルモット(cuye)を使用します。
治療師たちが用いる儀式の多くはローマ・カトリックの信仰と融合しており、実際の儀式にもカトリックの典礼がそのまま取り込まれています。カトリック教徒が多数を占めるこの土地では、馴染みのあるラテン語の祈りも唱えられます。祈りは様々なカトリックの聖人に向けられ、病人のためにとりなしてくれるように懇願されます。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
普段あまり読まない内容ですから、割りと新鮮な気分で読めました。しかし、San Pedroは激しい嘔吐を伴うため、その使用は極めて宗教的な目的に限定せざる得ないようにも思われます。ペヨーテはドラッグとして法的に規制されている国もありますが、San Pedroはどうでしょうか? 抽出成分ならいざ知らず、サボテンを食べたり煮出した汁を飲んだけでは、ただただ苦しいだけでしょう。やはり、その豪華で美しい花を楽しむのが一番ですよね。


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9月に行ってきた新宿御苑の温室の続きです。ここからは乾燥地のゾーンで、いよいよ多肉植物が登場します。

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ドラゴンフルーツ Hylocereus undatus
何やら断崖から垂れ下がるサボテンがあるなあと思ったらドラゴンフルーツでした。面白い展示方法です。ちなみに、2017年にSelenicereusとなりました。中米原産ですが、世界中で食用の果実を目的に栽培されています。

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気根が岩にしっかりと着生しています。

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玉つづり Sedum morganianum
これは上手い生態展示ですね。メキシコ原産。


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Haworthia herrei
代表的な青白い硬葉系ハウォルチアのヘレイですが、現在はHaworthiopsis glauca var. herreiとなっています。様々なタイプがあり、割と外見は異なります。


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アヤミノ × Gastrolea beguinii
タイミングよく開花中でした。
Aloe aristata × Gasteria carinataらしいのですが、アロエとガステリア交配なら× Gasteraloeなのではと思いました。調べてみたところ、× Gasteroleaは有効に出版されていないとあり、やはり× Gasteraloeが正しいようです。ただし、交配親であるAloe aristataがアロエ属から独立しAristaloe aristataとなったため、2019年に× Aristeria属とされています。ということで、現在の名前は「× Aristeria beguinii」です。


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吉祥天 Agave parryi var. huachucensis
一般的にはパリイ系全体を吉祥天と呼びがちで、変種パリイも変種トルンカタも吉祥天と呼ばれたりしますが、何が正しいのかはよくわかりません。


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虎の巻 Gasteria gracilis
KwaZulu-Natal原産と言われているグラキリスですが、現在では由来のわからない種とされています。詳細は不明ですが、タイプ標本がないだとか、記載時の種と現在のグラキリスと呼ばれているものが同一種かわからないだとかが考えられますが、要するに謎の植物ということです。


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朧月 Graptopetalum paraguayense
グラプトペタルムは確かに茎が長く伸びますが、こういう展示は初めて見ました。本来は岩の割れ目に生えるそうですから、これが正しい姿なのかも知れません。


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十二の巻 Haworthia fasciata
残念なことに園芸品種である十二の巻にファスキアタの名札がついていました。これは筑波実験植物園でもそうでしたね。十二の巻はおそらくはH. attenuata系と思しき交配種ですから、ファスキアタではありません。ハウォルチアの栽培品は園芸品種や優良選抜品の掛け合わせが多いので、野生個体とはまったく異なる姿だったりします。植物園の役割からして、園芸種以外ならばフィールドナンバーつきの野生由来の個体を展示すべきではないかと思いますが如何でしょうか。


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王犀角 Stapelia gigantea
ヒトデのような形の異様な雰囲気の花を咲かせる王犀角ですが、残念ながらまだ蕾でした。

乾燥地のゾーンはまだまだ始まったばかりです。続きます。


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多肉植物たちも秋の生長期に入り、見ていて楽しい季節です。そんな我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Euphorbia hedyotoides
ヘディオトイデスの勢いが止まりません。分岐しまくっています。

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実は相変わらず地味な花も咲いていたりします。

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Euphorbia silenifolia
シレニフォリアに新しい葉が沢山出てきました。

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塊茎はなかなか大きくなりません。

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Adenia olaboensis
オラボエンシスは相変わらずといった感じがありますが、幹は太く成りつつあるようです。

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幹が割れてきました。太くなっている証拠ですね。

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Fouquieria splendens
スプレンデンスは何故か夏の間は葉を落としてしまい、完全に休眠状態でした。他のFouquieriaは元気なのに不思議です。しかし、ようやく葉がお目見えです。枯れなくて一安心しました。


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Euphorbia spannringii
スパンリンギイは最近植え替えましたが、新しい葉がもりもり出ています。将来が楽しみな塊根性ユーフォルビアです。



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9月に行った新宿御苑の温室の記事の続きです。不定期に記事にしていますが、今回は林床っぽいフロアの続きから、空中遊歩道へ行き高い位置から見た温室の状況です。

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クスダマジンジャー(マツカサジンジャー)
Tapeinochilos ananassae
名前の通り面白い花を咲かせる植物ですが、ジンジャーとありますがショウガ科ではなくホオザキアヤメ科です。まあ、ショウガ科に近縁ではあるようですが。オーストラリア北東部、ニューギニアの原産。

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何とも言えない形状ですが、実に目立ちます。

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シナニッケイ Cinnamomum cassia
いわゆるシナモンですが、シナモンとして利用される5種のうちもっとも一般的とのことです。そういえば、板橋区立熱帯植物館で大きなセイロンニッケイは見たことがあります。
しかし、このCinnamomum cassiaという名前には問題があり、インド原産のNeolitsea cassiaの異名でもありnom. illeg.です。現在、シナニッケイはCinnamomum burmanni (ジャワニッケイ、インドネシアン・シナモン)と同一種とされています。中国南部から東南アジアの原産。

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ソーセージノキ Kigelia africana
ソーセージノキは熱帯アフリカに広く分布するノウゼンカズラ科植物です。長く垂れた花柄の先に、重さ5〜10kgにもなる巨大なソーセージ型の果実を沢山つけます。観葉樹としては非常に面白い植物ですが、残念ながら果実は見られませんでした。


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ヒカゲヘゴ Cyathea lepifera
背の高いヘゴも空中遊歩道から見ることが出来ます。

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下から見上げるのではなく、横から見るヘゴの葉は非常に装飾的で美しいものです。
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鱗片に覆われた新芽が見えます。

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ホウオウボク Delonix regia
マダガスカル原産のマメ科植物。熱帯地方で広く植栽されており、日本では沖縄で見ることが出来ます。その花の美しさで有名ですが、残念ながら今回は花は見られませんでした。


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ベニラタンヤシ Latania lontaroides
ベニラタンヤシが大きな美しい葉を広げています。レユニオン島原産。


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上から林床の熱帯植物を見ることが出来ます。サトイモ科やらパイナップル科やら。

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鬱蒼としています。

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崖から水が滴る小さな滝がありました。

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何やら細く垂れ下がる植物に花が咲いています。Russeliaでしょうか? 名札がないので分かりません。

さて、空中遊歩道を渡ったらいよいよ乾燥地の植物たちの登場です。続きます。


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今年の秋はサボテンや多肉植物の展示会がいくつか催されるようです。私も時間が合えば行ってみるつもりです。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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閃光閣 Euphorbia knobelii
クノべリイは冬の間に植物用ランプで焼けてしまい、模様があやふやかつ全体的に黄色くなり、生長が止まってしまいました。しかし、徐々に色味が戻り最近ようやく生長を再開しました。


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龍尾閣 Euphorbia griseola
グリセオラが非常に元気で、グングン伸びています。グリセオラは何故かE. richardsiaeの名前で販売されているようです。


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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
亀甲竜もだいぶ蔓が伸びてきましたね。しかし、火星人(Fockea edulis)の蔓と絡んでしまい、外すのに難儀しました。メタルラックに絡ませた方が管理が楽なので、室内に移動させます。

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丸みがあって可愛らしい亀甲竜です。

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Pachypodium enigmaticum
どういう訳か、エニグマティクムの葉が落葉しています。幹は健全ですが地下が心配です。グラついてはいないようですが…


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Euphorbia venefica
猛毒3兄弟のヴェネフィカが元気です。黄色いのは去年の葉ですが、新しい葉はより立派ですね。


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Euphorbia geroldii
トゲなし花キリンのゲロルディイが開花しています。まあ、夏の間はずっと開花していたのですが、相変わらずの美しさです。



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花の受粉に関わる話は面白く、私も度々記事にしています。例えばサボテンで言えば、昆虫だけではなくハチドリやコウモリも花粉媒介者として受粉に寄与しています。花の受粉様式は恐ろしく多様で、花粉媒介者だけではなく、雌雄異株と雌雄同株、雌雄異熟、雌雄離熟など、様々な用語が飛び交います。しかし、受粉した後の話、つまり結実して種子が散布される植物の繁殖ではとても重要な部分は、何故か受粉と比較すると論文も少なく感じます。この部分は重要かつ面白いため、以前から気になっていました。ところが驚くべきことに、動物による種子散布に関する本が出版されたのです。それは、総勢18人の研究者による2024年9月の新刊、『タネまく動物』(文一総合出版)です。様々な動物の様々な種類の植物の種子散布について語られます。その中の一部のトピックを少しご紹介しましょう。

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植物の種子散布は、ホウセンカやユーフォルビアのように種子をはね飛ばしたり、タンポポの綿毛がついた種子が風で運ばれたりと、必ずしも動物が種子散布に関与するわけではありません。しかし、全体的に見れば、植物の種子散布は動物に依存していると言っていいはずです。もっとも一般的な動物による種子散布は被食散布でしょう。果実を食べた動物が糞として種子を動き回りながら散布するのです。この図式は割りと一般的にも知られていますが、一部の昆虫も被食散布を行っていることは私も初めて知りました。しかも、まだまだ未開拓な分野のようです。研究されていないだけで、あるいは昆虫による種子散布は特殊な事例ではなく、一般化するかもしれません。また、果実を食べた動物を肉食動物が食べて、肉食動物の糞から2次的に種子が散布されるという話には驚きました。確かに言われて見れば、そのようなことは日常的に起こっているのでしょう。

種子散布の様式は実に多様です。私は果実ではなく種子そのものを食べる動物のことをすっかり失念していました。ですから、大型動物の糞に含まれる大量の種子を、ネズミが持ち去るという話には驚かされました。もちろん、種子を食べられてしまいますから、持ち去られた種子は発芽しません。場合によっては冬のために種子を隠して忘れてしまうこともあるかもしれません。しかし、確実なのは糞虫が糞の下に穴を掘って、種子ごと糞を埋めてしまうことです。このように、動物に食べられて糞として散布されて終わりではないのです。まったく、生態系の複雑さには驚かされます。

被食散布の次によく知られているのは付着散布でしょう。オナモミやセンダングサなど鉤爪などで動物の体毛に付着して運ばれるものや、粘着質なものもあるようです。しかし、付着散布はそれだけではなく、海洋鳥には付着種子ではない雑草の種子も付着しており、島を越えて種子が散布されています。さらに、驚いたのはカナリア諸島の猛禽類の話で、捕獲した獲物を調べると様々な種子が見つかったということです。カナリア諸島には複数の島に分布するEuphorbia canariensisと1つの島にしか分布しないEuphorbia handiensisという2種類のサボテン様ユーフォルビアが生えています。E. canariensisの種子は付着種子ではないのに複数の島に分布し、E. handiensisは1つの島にしか分布しない謎は、もしかしたらこのあたりに解決の鍵があるのかも知れませんね。

さて、本書は動物による種子散布に特化した稀有な読み物と言えます。研究者の手による本にも関わらず、初学者にも分かりやすく誰でも読める難易度となっています。しかし、それでも研究された内容は鋭く、まったく知らなかった話も多く大変勉強になりました。このようなニッチな分野を扱った本はあまりないため、このような本が出版されたことを嬉しく思います。普通に読み物としても面白い本ですから、ぜひ多くの方に手にとっていただきたいと思います。おすすめします。


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