ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2024年09月

この間行った新宿御苑の温室の続きです。今回は入り口付近の外周部のヤシの鉢植えと、熱帯雨林の林床環境っぽい部屋をご紹介しましょう。

240922094313686
トックリヤシ Hyophorbe lagenicaulis
小さな鉢植えですが、茎の基部が綺麗に徳利型になっています。モーリタニア原産。

240922094848361
トックリヤシモドキ Hyophorbe verschaffeltii
滑らかな幹肌が美しいヤシですが、まだ小さいので分かりません。モーリシャスのロドリゲス島原産の珍種。


240922094903115
ビンロウジュ Areca catechu
東南アジアでビンロウジュの実を噛む習慣があります。フィリピン原産ですが東南アジアに広く移植されています。

240922094911760
幹はこんな感じ。

240922094958211
ヤエヤマヤシ Satakentia liukiuensis
ヤエヤマヤシは八重山列島原産ですが、ヤエヤマヤシ属はヤエヤマヤシ1種しかありません。高さ25mに達する大型のヤシです。

240922095004461
根張りが強そうです。

240922095017001
アケビバナナ(ピンクバナナ) Musa velutina
ちょうどカラフルなアケビバナナの実がなっていました。耐寒性があるため、日本でも露地栽培可能らしいですね。アッサム、東ヒマラヤの原産。


240922095100630
こちらはバナナの実ができ始めています。
240922095125363
背は高くありませんが、葉は大きく通路にトンネルを作っていました。

240922095244256
ブラジルシシガシラ Blechnum brasilense
南米原産のシダ植物。ここからは半日陰のややジメジメした場所で、熱帯雨林の林床のようでした。


240922095344099
リュウビンタイも巨大でした。
240922095352229
リュウビンタイは塊状の塊根を持ちますが、これほど巨大な塊根は初めて見ました。

まだ温室は始まったばかりですが、思いの外内部は広く植物の密度が高いので、見どころが多くなかなか進めません。とはいえ、すべてを撮影出来ないので、これでもセーブしている方です。心残りはありますが、また来れば良いと思い諦めました。
続きはこの先にある空中遊歩道の様子です。ということで続きます。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

以前、草加のお祭りに行った際に色々調べたせいか、草加市民でもないのに草加のイベントがグーグルのおすすめ記事で挙がるようになりました。そんなこんなで、そうか公園で28日に何やらマルシェが開催されるという情報を得ました。とはいえ、日本でマルシェと付くイベントは、手作り小物だのオーガニック食品だのがメインで、個人的には興味がありません。たこ焼きやら焼きそばやらがない祭りなど行く価値がないというのが正直なところです。ところが場違いにも多肉植物の屋台が出るというので、ちょっくら見に行くことにしました。出店はこのあたりではアガヴェで有名なカトーエンゲーと、Cosmico plantsということです。アガヴェは興味がありませんが、もしかしたら何か面白いものがあるかも知れません。

240928104216042
イベントは中央の広場にて開催。いや広すぎますよね、これ。芝生が育ち過ぎて足が埋まってしまい歩きにくかったですね。ほぼ草原。

240928115419615
シナモンとカルダモンが効いたパンを買ってみました。非常に香りがよく美味しかったですね。

240928104218604
ポツンと園芸コーナー。なんで孤立してあるのかは不明ですがわかりやすくはあります。カトーエンゲーはやはりアガヴェでしたが、アガヴェは詳しくないため、珍しいものがあったかはよく分かりません。Cosmico plantsは初めてで何があるのはわからなかったのですが、パキポディウムの実生苗やらそこそこのサイズの灌木系コーデックス一点物まで様々でした。Trichodiademaが気になりましたが、なんと珍しいことにPencil-Stemのユーフォルビアがあったので購入しました。

240928154907733
Euphorbia alluaudii
購入品。これは、割と珍しいユーフォルビアです。しかし、名前については、ウェブ上の情報含め思うところがあります。

DSC_1410
これは以前購入した安い多肉植物のシリーズで、Euphorbia alluaudii subsp. oncocladaという名前で流通しているユーフォルビアです。しかし、その正体はEuphorbia alluaudii subsp. alluaudiiです。キュー王立植物園のデータベースで標本を確認してみましょう。

Euphorbia alluaudii subsp. alluaudii
亜種アルアウディイは枝が膨れない棒状のユーフォルビア。

https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:77168299-1/images

Euphorbia alluaudii subsp. oncoclada
亜種オンコクラダは枝が膨れます。

https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:880526-1/images

ということで、本日購入したユーフォルビアは、亜種オンコクラダですね。輸入種子の名前が間違っているというのはよくある話で、アルアウディイは海外でも情報が錯綜していますから、仕方がない部分もあります。しかし、珍しいものを入手できてラッキーでした。

さて、多肉植物のオンリーイベントは沢山ありますが、今回のようにイベントの一部に組み込まれているとなかなか情報が見つかりません。多肉植物のイベントは普段からチェックしていますが、このイベントはまったく出てきませんでした。ということで、近隣でも気がついていない方も多そうです。私は朝イチで向かいましたが、多肉植物ブースにはそれほど人が集まっていませんでしたね。人が集まるであろう昼頃はどうだったのでしょうか? イベントは盛り上がってくれるとまた開催されますから、人が来てくれた方が私も嬉しいのです。というわけで、思わぬ収穫があり大変満足なイベントでした。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

やや涼しくなり過ごしやすい日も出てきました。多肉植物たちも皆元気に生長しています。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

240921150313790
狗奴子キリン Euphorbia knuthii
狗奴子キリンは塊根は太るものの、イマイチ育ちが悪くて困っていました。ところがどういうわけか、急激に枝が伸び始めました。

240921150321924
勢いがよく太い枝です。
240921150326743
塊根の太り具合も良くなるかも知れません。

240921145937071
Gasteria ellaphieae GM 300
フィールドナンバー付きのエラフィエアエが回転し始めました。割と扁平なタイプ。

240921145926587
Gasteria ellaphieae
こちらはタイプ違いのエラフィエアエ。やはり回転が始まっています。


240921145301199
五重の塔 Haworthiopsis × tortuosa
五重の塔が非常に充実して素晴らしい姿です。五重の塔はH. viscosaの交配種とされています。


240921145312870
Haworthiopsis × pseudorigida
プセウドリギダは詳細不明の交配種とされていますが、H. viscosa系に見えます。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

今年は植物園を沢山巡るつもりでいましたが、実際には忙しくそれほど行けませんでした。今年の夏はあまりにも暑いため植物園巡りは中断していましたが、最近は涼しくなったため、再開する運びとなりました。先ずは行きやすい新宿御苑へ行って来ました。

当時は雨の予報でしたが、その代わり少し涼しく陽射しが弱く過ごしやすい感じでした。朝イチで向かいましたが、弱い雨が降ったり止んだりしていました。
新宿御苑前駅から大木戸門まで、鬱蒼とした遊歩道を歩きました。入園料は500円ですが、1日券なので出入りが可能です。天候もよろしくないので、今回は温室にターゲットを絞ることにしました。ということで、温室に向かいます。

240922093712738
巨大なヒマラヤスギ。奥に見えるのが温室。
240922093734331
ヒマラヤスギに巨大な球果、いわゆる松ぼっくりがついていました。

240922093847104
温室は熱がこもらないようにか、壁がオープンになっています。真夏の密閉された温室は地獄ですからね。

240922093904057
途中に池がありました。

240922093910885
ハスの実がなっています。
240922093917717
花は遠くに1輪だけ咲いていました。
240922093921360
蕾は濃色で美しいですね。

240922093940566
ガガブタも咲き乱れていました。

240922093950032
ミズカンナらしき大型の水生植物が開花中。
240922094000445
涼しげな花。

240922094126302
入り口付近にはカラフルなクロトンなどの鉢植えが沢山ありました。

240922094107219
入り口付近の植栽にAloe arborescnens、いわゆるキダチアロエだとか医者いらずとか呼ばれている昔から日本で栽培されているアロエが、まあまあの群落を作っています。

240922094109271
巨大なアガヴェ。

さて、ようやく温室に入ります。どのような植物が見られるでしょうか?

240922094201025
斑入りのハイビスカスがお出迎え。上から垂れ下がって低い位置で咲いていました。

240922094237764
コモチクジャクヤシ Caryota mitis
東南アジア原産の面白い形の葉を持つヤシです。これは鉢植えの小株でしたが、板橋区立熱帯環境植物館では結実する様子を見ることが出来ました。


240922094253802
Ficus umbellata
最近ホームセンターでもよく見かけるウンベラータですが、熱帯性のイチジクですからまあそれなりに巨大に育ちます。西アフリカ、ギニア湾沿いの原産。


240922094324439
プルメリア
ちょうど開花中でした。中南米、カリブ海地域の原産。


240922094340211
サンタンカモドキ Acokanthera spectabilis
アカネ科のサンタンカに似ていますが、こちらはキョウチクトウ科で毒があるようです。覚めるような鮮烈な赤。南アフリカ原産。ちなみに、現在はA. oblongifoliaと同一種とされているようです。


240922094357440
巨大なビカクシダの塊。

240922094406297
アメフリノキ Samanea saman
「Rain Tree」と呼ばれるマメ科の樹木。テレビCMでお馴染みの「この木何の木」というあれですね。中米から南米北部の原産。現在では世界中の熱帯地域に植栽されているようです。

240922094430976
花が少し咲いていました。ネムノキによく似ていますが、ネムノキ属(Albizra)ではありません。

240922094503773
Portea petropolitana
ブラジル原産のパイナップル科植物。

240922094510787
タンクブロメリアなので水が溜まってますね。
240922094528074
蕾が沢山。

240922094543072
オウコチョウ Caesalpinia pulcherrima
見上げる高さにマメ科植物の葉が拡がっています。ジャケツイバラ(蛇結茨)の仲間のようです。その美しい花が見られなかったのは残念。中米原産ですが、世界中に植栽されているようです。


240922094613250
天井にツルが張っていました。名前が分かりませんが、アリアケカズラでしょうか?
240922094616674
割りと大型の花。

240922094712474
フウリンブッソウゲ Hibiscus schizopetalus
ケニア、タンザニア原産。まるで作り物のよう。


240922094805823
Dendrochilum
デンドロキラムが沢山並べてありましたが、如何せん地味なので無視されてました。しかし、デンドロキラムは香りの良い蘭として有名なので、嗅いで見ないと勿体ないですよ。

実は温室はまだ入り口付近です。まだまだ続きます。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

最近は少し過ごしやすい日も出てきました。そろそろ、植物園巡りを再開したいですね。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

240921150114272
武勲丸
武勲丸は割りと扁平なギムノカリキウムですが、今年の生長は中々良かった模様です。プレステラ90はそろそろ限界な雰囲気ですが、鉢を触るとパンパンに膨れており植え替えの必要がありそうです。


240921145333757
Astroloba spiralis
スピラリスの勢いが良好です。別にレア物でも何でもありませんが、あまり見かけない多肉植物です。アストロロバ自体が不人気かつスピラリスが地味なこともあるのでしょうね。


240921145716357
Astroloba hallii nom. nud.
ハリイと呼ばれる白みがかる美しいアストロロバで、白亜塔と呼ばれているようですが、大変美しい葉が出ています。ハリイは正式に記載されていない裸名で、学術的には意味がありません。その正体はA. spiralisです。スピラリスには小型のスピラリス・スピレラ系(A. spiralis, A. spirella)と、大型のペンタゴナ系(A. pentagona)が見受けられますが、ハリイはペンタゴナ系の特に白いタイプを指す名前のようです。


240921144716923
Aloe fleuretteana
フレウレテアナが開花しました。

240921144731461
実にカラフルな花ですね。
240921144807791
先端が緑色というのは、少し珍しく感じます。

240921145352790
Haworthiopsis koelmaniorum
コエルマニオルムの充実ぶりがすごいですね。隙のない完全なロゼットがたまりません。


240921145412824
Haworthia chloracantha var. subglauca RIB 0099
フィールドナンバーつきのクロラカンタ変種スブグラウカですが、相変わらず野趣あふれる素晴らしさ姿を見せてくれています。軟葉系でこれほどの渋さは中々ありませんよね。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

トリコケレウスには幻覚作用があり、古来よりシャーマンが儀式に使用してきたと言われています。その成分や効果、あるいは使用について調べていたのですが、思わぬ論文を見つけました。それは、Cristian Corioらの2013年の論文、『An alkaloid fraction extracted from the cactus Trichocereus terscheckii affects fitness in the cactophilic fly Drosophila buzzatii (Diptera: Drosophilidae)』です。私はトリコケレウスは何故そのような成分を有しているのかは考えたことがありませんでしたが、論文では実験によりその謎を考察しています。

240908222108892~2
Trichocereus terscheckii
『The Cactaceae II』(1920)より。

好サボテン性害虫
南米の好サボテン性のショウジョウバエであるDrosophila buzzatiiは、ウチワサボテンの腐った枝葉に好んで卵を産みますが、CereusやEchinopsisといった柱サボテンかにも見られます。しかし、柱サボテンで飼育したハエは、生存率の低下や、サイズの小型化、発育に時間がかかるなどの特徴が見られました。ウチワサボテンと異なり柱サボテンはアルカロイドや中鎖脂肪酸、ステロールジオール、トリテルペン配糖体などの毒性化合物を生成します。
ショウジョウバエはアルゼンチンのSan Juan州で、発酵させたバナナを用いて集められました。採取地ではD. buzzatiiが繁殖し、主にOpuntia sulphureaの腐った茎につきます。次いでT. terscheckiiにもつきます。

Trichocereus terscheckiiのアルカロイド
Trichocereus terscheckiiの化学的性質については、ほとんど知られていません。そこで、T. terscheckiiの抽出物の、好サボテン性ショウジョウバエのDrosophila buzzatiiへの影響を調べました。
T. terscheckiiはショウジョウバエの採取地で採取され、成分を分析しました。分析すると
T. terscheckiiの組織には、≒0.33mg/gのアルカロイドが含まれていました。これは、T. terscheckiiには0.25〜1.2%のアルカロイドが含まれている可能性を示した過去の研究内容と一致します。

アルカロイドの影響
T. terscheckiiの成分をアルカロイドと非アルカロイドに分離し、サボテンに含まれる濃度に調製し、D. buzzatiiに与えました。T. terscheckii由来成分を与えていないコントロールと比較すると、T. terscheckiiのアルカロイドを与えたショウジョウバエの生存率は低くなりました。また、T. terscheckiiの非アルカロイド成分を与えたショウジョウバエは、コントロールより生存率が高くなりました。また、幼虫の生存率には違いが見られず、生存率の差は蛹になって以降に生じているようです。
ショウジョウバエの羽を分析したところ、アルカロイドを与えたハエの多くは羽の展開に失敗したか、異常な羽脈パターンを示しました。また、アルカロイドを与えたハエは羽が小型化していました。


240908222113937~2
Trichocereus terscheckiiの花と果実

最後に
ウチワサボテンの害虫であるDrosophila buzzatiiに対するTrichocereus terscheckiiの影響は、幼虫の成長遅延と生存率の低下でした。蛹化後に生存率が下がることから、羽化に失敗していることが考えられます。羽の小型化や異常からも、T. terscheckiiはD. buzzatiiの適した餌ではないのでしょう。ただし、ショウジョウバエの生存率が下がると言っても、それは蛹化後なのですからハエの幼虫が育ちきった後の話です。ハエは周囲のウチワサボテンからやって来ますから、生存率が低下しても食害が減少するようには思えません。ハエがT. terscheckiiを好まず産卵数が少ないなどの現象があるかなど、T. terscheckiiに有利な適応であると言えるのかを確認する必要があるかも知れません。

さて、これは蛇足なのですが、最後に少しだけ
T. terscheckiiについての話をします。他の柱サボテンと同様に、はじめに記載された時はCereusでした。1837年のことです。次いで、1920年にBritton & RoseによりTrichocereusとされました。おそらく一番使用されてきた名前でしょう。その後、TrichocereusやLobiviaをEchinopsisに統合すると言う動きがあり、T. terscheckiiも1974年にはEchinopsisとされました。しかし、近年の遺伝子解析技術により、巨大化したEchinopsis属は外見的な特徴が似ているだけで、近縁ではないものも含んだ雑多なグループであることが明らかとなったのです。肥大化したEchinopsisは徹底的に分解され、わずか20種類の小属におさまりました。T. terscheckiiも2012年にLeucosteleに分類されました。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

この間開催されたBBで購入したアデニアを植え替えました。葉を展開中ですからいじらない方が良いのですが、赤玉細粒で冬越しはしたくないため植え替えてしまいます。

240915134030824
Adenia stenodactyla
ステノダクティラは小さな葉が出始めてまだ開いていない状態です。
240915135555549
思いの外、塊根は大きかったようです。すっぽ抜けないように深植えしていた模様。ただ、塊根を大きく見せようと超浅植えでグラグラしたものを高値で売り捌くパターンが多いため、実に誠実な売り方ですね。しかし、このままだと根が鉢底についてしまっていますから、もうちょい浅植えにします。
240915140202949
植え替え後。根が少ないため、しばらくは水多めで様子見します。

240915134045859
Adenia goetzei
ゴエトゥゼイは一輪開花した後、葉が展開し始めました。花は撮影するのを忘れました。しかし、鉢があまりにも浅いので気になります。

240915135558100
根は少ないですね。塊根から出ている根も太るようです。
240915140205624
植え替え後。明らかに根域が狭かったので、これで十分に根が張れるはずです。

240915133950352
Adenia isaloensis
イソラエンシスは生長中です。化粧砂があるので下の用土が分からないのは不安です。
240915134645333
細根が割りかしありました。しかし、用土は水はけにやや難がありそうでした。
240915140209411
植え替え後。塊根はまだ埋めておきます。地際の緑色の部分が太るところなど、Adenia glaucaに少し似た雰囲気がありますね。塊根の太り方はかなり違うかもしれませんが。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

アロエや硬葉系ハウォルチアはこの暑さの中、ポツポツと開花しています。本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

240915094451826
女王錦 Aloe parvula
今年2回目の開花ですが、花はこれだけ。先端部の蕾が遮光ネットに擦れてしまったせいですね。

240915094553394
Aloe fleuretteana
フレウレテアナが花茎を伸ばしています。今年2回目です。葉も実に美しいですね、

240915094550591
開花まではもう少しかかりそうです。蕾の時点でカラフルですね。

240915094127323
Fouruieria macdougalii
マクドウガリイは今年は非常に調子が良かったのですが、葉を喰われてしまいました。姿が見えないのでヨトウムシでしょうか? まったく困ったものです。

240915094201881
マクドウガリイは根本が膨らんで、なかなか良い感じです。枝分かれもしていますから、仕立て方次第では面白い樹形になりそうです。

240915095137732
小松波(姫紅小松) Trichodiadema bulbosum
ブルボスムは育て方がよく分かりません。強光だか乾燥だか分かりませんが、一度坊主になったことがあるので、何かと甘やかしています。

240915095152699
この塊根は枝挿しでも出来るそうです。
240915095210366
一応、ほんのり多肉植物。

240915095542870
Euphorbia fianarantsoae
フィアナラントゥソアエは去年の春に購入しましたが、1年以上まったく動きがありませんでした。最近ようやく新しい葉が出始めて一安心です。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

新刊というか、気になる特集を組んでいる雑誌がありましたのでご紹介します。それは、「生物の科学 遺伝」(NTS)という雑誌のVol.78、2024年のNo. 5にあたる、特集「バラ研究最前線」です。植物園にはバラ園があるのは一般的で、シーズンにはバラ展も催されます。私も植物園へ行きますし、バラ展も楽しみました。ここで少しバラについて知っておくのも悪くないと思い、読んでみることにしました。

240918235200025~2

なんと言っても、バラの花の写真が沢山掲載されていますから、眺めているだけで楽しくはありますが、内容もなかなか興味深いものでした。まず「バラの自然史」では、野生のバラの由来と交配の歴史が語られます。次いで「バラの育種」では、国際的な育種のトレンドや、日本のバラ育種の歴史、近年の優れたバラの品種などが写真付きで解説されます。「青いバラを目指して」では遺伝子導入による青いバラの誕生について化学的に解説し、「バラのゲノム解読と遺伝子の研究」では四季咲きや八重咲きなどの原因遺伝子の特定などが解説されます。この2つのトピックは割りと専門的な内容でした。最後は「バラの香り」で、様々な香り成分があり、それらがどのような香りであるか解説されます。また、品種ごとの香りについても解説があり、バラ園で実際に香りを嗅いでみたくなりました。

さて、特集以外にも記事はありますが、気になったのは「ソテツ精子発見と池野成一郎博士」という記事で、ソテツの精子の発見の経緯が述べられています。ソテツはイチョウと同じく、種子植物でありながら精子を持つ面白い植物です。イチョウの精子発見は当時としては驚くべきニュースでしたが、ソテツの精子発見もほぼ同時期であることを初めて知りました。ソテツ好きとして、中々にして感銘を受けるものがありました。

バラを売りにしてバラ展やバラフェスタを開催する植物園は割りとあり、バラ専門のバラ園もあります。今号を読んでバラを見に行きたくなりました。とりあえずは、一番馴染みがある神代植物公園の秋のバラフェスタでしょうか? スケジュールが合えば、観て嗅いで撮影してこようと思います。知識があれば、楽しみは倍増します。皆様も本誌を手に、植物園へ行ってみるのはいかがでしょうか?


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

連休中に庭木を剪定していたら、イラガにしこたま刺されてしまいました。刺された時には激痛がありますが、むしろその後に腫れ上がって痒くなるので非常に面倒くさいですね。さて、そんな感じで少し凹んでいますが、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう

240910091429858
蘇鉄キリン
蘇鉄キリンは怪魔玉と鉄甲丸(E. bupleurifolia)の交配種と言われています。伸び過ぎてついに自重を支えきれずに、倒れてしまいました。
240910091442448
実はこの倒れている部分が主頭になります。

240915095303586
H. tuberuclata v. subexpansa
変種スブエクスパンサの花茎が分岐して、新たな蕾が出来ています。最初の花は7月末くらいでしたから、実に長く咲きますね。

240915095330003
ツベルクラタ変種スブエクスパンサは非常に渋い硬葉系ハウォルチアです。現在はH. sabra v. sabraの異名扱いとされていますが、実に個性的な姿です。よく見ると子吹きしていました。
240915095402232
開花にはもうちょっとかかりそうです。

240915095055206
Euphorbia bongolavensis
ボンゴラベンシスは生育は良好です。本来は深緑色の葉ですから、遮光をもっと強めにした方が良いのかも知れませんが、まあ特に問題はなさそうです。今は乾燥にも弱く直ぐに日焼けしてしまいますが、株が充実して根が木質化していけば強くなるのかも知れません。

240915095104308
主幹はこれでもだいぶ太くなりました。ロングポットに植えて、株を充実させた方が良いかも知れません。

240915095651336
白馬城 Pachypodium saundersii
サウンデルシイはやや徒長気味かも知れません。生育は順調なので、少し明るい場所に移動しました。


240915094323487
Aloe bergerii
これは、正体不明の謎アロエです。正体を突き止めるために開花を待っていましたが、ようやく開花したので同定してました。名前的にはベルゲリーなどというアロエは存在しません。オークションサイトに珍品だの原種だの言って出品されたことがあるみたいですが、それ以外に情報はなく胡散臭さしかありませんよね。ちなみに、一番近い名前はAloe  bergerianaですが、これはかつてChortolirion bergerianumと呼ばれていたやつで、球根性のアロエですからまったく似ていません。

240915094327367
まずは草体を画像検索すると、いくつか候補が出てきました。とりあえず、ディッキアだとか、単純に形が似てるだけでまったく特徴が異なるAloe parvulaあたりは除外します。さらに、たまたま画像で似た雰囲気に撮影されてしまったAloe bowieaあたりも除外しました。
240915094339697
花はかなり特徴的。筒型で先端まで直線的です。花茎は黄色から緑色。
240915094412398
さて、では似ている連中と比較してみましょう。

①Aloe perrieri
ペリエリはかなり似ていますが、花は釣鐘型で形状がまったく異なります。葉や花色はもっと濃いかもしれません。花茎は強い赤。


②Aloe bellatula
これはたまたま似ている画像があっただけですね。若い時に一時的に似ているようです。育つと葉は立ち上がり気味で、全体的に暗色で斑が沢山入ります。花も釣鐘型で、花茎もやや色付きます。


③Aloe thompsoniae
花の特徴から言えばトンプソニアエに当てはまります。しかし、個人的には疑義があります。なぜなら、トンプソニアエはトゲが痕跡状で、アロエらしさが薄いからです。日本のサイトでは、トンプソニアエで検索して出てくる画像の多くは、明瞭なトゲが沢山ありトンプソニアエには見えません。ちなみに、Aloe thompsoniaeと検索すると海外のサイトが中心となりますが、こちらは正しくトゲが目立たないタイプばかりです。要するに、日本国内ではトンプソニアエの名前で別物が流通している可能性があるのです。可能性としては、「トンプソニアナ×ベラツーラ」という名前で販売されている雑種かも知れません。

240608091650958
ちなみに、こちらがAloe thompsoniaeです。まったく似ていないのに、なぜ混同されたのかは謎ですね。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

いよいよ秋の植え替えのシーズンです。今年は190鉢ほど植え替えを敢行しましたが、流石に8月には中断していました。とりあえず、夏以降の購入品を植え替えてしまいましょう。私の苦手な赤玉細粒に植えられていたり、化粧砂で植え込み用土が不明だったりするので、基本的に購入品は直ぐにも植え替えたいのです。というわけで、じゃんじゃん植え替えます。

240915134010781
H. limifolia v. ubomboensis
8月に鶴仙園で購入した、スワジランド原産のリミフォリアです。私の苦手とする赤玉細粒で植えられています。
240915134633353
根はあまり動いていないようです。白いのは根ではなく地下茎で、先端が地上に出ると子株になります。
240915140216785
植え替え後。これで水はけがよくなりました。

240915134018068
H. nigra BK596
こちらも鶴仙園での購入品。化粧砂は下の用土がわからないのはあまり好かないので、直ぐにも植え替えたいところです。
240915134630684
根はあまり動いていないみたいです。やはり地下茎が出ていますね。
240915140219649
植え替え後。子株も出るように植えました。

240915133945200
Euphorbia spannringii
この間の9月のBBでの購入品。フィッシュボーンと呼ばれる塊根性ユーフォルビアです。塊根の育ち具合が気になります。
240915134640307
塊根は出来ていますね。何やら根菜感が満載です。
240915140222587
植え替え後。塊根はまだまだ小さいので埋めておきます。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

去年はサボテンやアロエ類の新種の情報を記事にしましたが、先日サボテンについては記事を更新しました。あれから1年に見つかった新種の情報と、いくつか抜けていた種を追加しました。
さて、一般的には論文が出た=科学的な証明がなされたと解釈されがちですが、それは正確ではありません。論文の内容はまだ仮説のようなもので、沢山の科学者が読み内容を吟味します。場合によっては試験を再試し確認されることもあります。ですから、新種についても、まだ論文で新種が説明されただけでは駄目で、他の知られている種ではないのか、記載内容は科学的に正確かが吟味されます。
去年の8月に記事を書いた時点では、まだ論文で主張されただけで新種と認められていないものもありました。というわけで、アロエ類についても最新版の記事に改訂します。以下、去年の記事のコピーです。変わった部分は【追記】としています。いくつかの新種には画像リンクを貼りました。

先日、ここ10年ちょいくらいの、サボテンの新種についての記事を書きました。サボテンは巨大なグループで分布も広く、新種が見つかる余地はまだまだありそうです。その他の多肉植物では、何と言ってもアロエは新種が見つかる可能性が高いと言えます。アロエの新種を説明した論文を探してみたので、少し見てみましょう。まあ、サボテンの時と同じく、すべての新種を調べた訳ではなく、簡単に調べて出てきたものだけです。一応、アロエと近縁なAstrolobaやHaworthia、Gasteriaと、GonialoeやAloidendronなどの旧・アロエ属についても一部の情報を追加しました。

2010年
★モザンビークから南アフリカのKwaZulu-Natalにかけての地域より、新種のAloe tongaensisが記載されました。しかし、2013年にAloidendron属に移され、Aloidendron tongaenseとなりました。
https://pza.sanbi.org/aloidendron-tongaense
【追記】南アフリカのKuwaZulu-Natal州中部から、新種のLeptaloeであるAloe nicholsiiが記載されました。
http://redlist.sanbi.org/species.php?species=2206-827

2011年
★エチオピアから4種類の新種のアロエが記載されました。Aloe benishangulanaAloe ghibensisAloe weloensisAloe welmelensisです。
https://powo.science.kew.org/taxon/77110966-1
【追記】ケニアより新種の2種類のアロエが記載されました。ケニア南西部に自生するAloe springatei-neumanniiは、Aloe wallastoniiに近縁なアロエです。ケニア北部の山地よりAloe tegetiformisが記載されました。枝分かれの多い匍匐茎を持ち、岩や土の上に密集したマット状に育ちます。
【追記】ウガンダより新種の2種類のアロエが記載されました。ウガンダ西部のアルバート湖平原に自生するAloe butiabanaと、ウガンダ東部のElgon山の尾根の断崖から下垂するAloe wanalensisです。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1417652-Aloe-butiabana

2012年
★北ソマリアから新種のAloe nugalensisが記載されました。
★マダガスカルから新種の3種類のアロエが記載されました。Aloe beankaensisAloe ivakoanyensisAloe analavelonensisです。
★ナミビアのBaynes山から新種のAloe huntleyanaが記載されました。
https://pza.sanbi.org/aloe-huntleyana
★南アフリカのMpumalngaから新種のAloe condyaeが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1239374-Aloe-condyae
★アンゴラ南西部のナミブ砂漠から新種のAloe mocamedensisが記載されました。

2014年
★マダガスカル北部から新種のAloe gautieriが記載されました。
★南アフリカのMpumalangaから新種のAloe andersoniiが記載されました。
https://pza.sanbi.org/aloe-andersonii
★南アフリカの東ケープ州から新種のAloe liliputanaが記載されました。
★南アフリカの東ケープ州から新種のGasteria loedolffiaeが記載されました。
https://pza.sanbi.org/gasteria-loedolffiae
★南アフリカの西ケープ州新種のからGasteria barbaeが記載されました。
【追記】エリトリアのナブロ山東斜面とマブラ平原より新種であるAloe montis-nabroが記載されました。散在する低木に守られた軽石上や溶岩の隙間に育ちます。

2015年
★ウガンダから新種のAloe lukeanaが記載されました。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Aloe_lukeana
★南アフリカの西ケープ州から新種のAstroloba cremnophilaが記載されました。

2017年
★マダガスカル北西部から新種のAloe belitsakensisが記載されました。
https://inaturalist.nz/taxa/746185-Aloe-belitsakensis
★マダガスカルから新種のLomatophyllum類である、Aloe maningoryensisAloe alaotrensisが記載されました。
★ケニアから新種のAloe zygorabaiensisAloe uncinataが記載されました。
★南アフリカから新種のAstroloba tenaxAstroloba robustaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/580780-Astroloba-robusta
★南アフリカの西ケープ州から新種のHaworthia grenieriが記載されました。
★南アフリカの西ケープ州から新種のGasteria koelniiが記載されました。
https://www.janvandorpe.be/gasteria/gasteria-koenii
【追記】ケニアより新種のAloe mangeaensisが記載されました。

2018年
★南アフリカのCape Provから新種のHaworthia duraHaworthia ernstiiHaworthia vitrisが記載されました。

2019年
★ソマリランドから新種のAloe sanguinalisが記載されました。
https://www.sci.news/biology/aloe-sanguinalis-06915.html

2020年
★マダガスカル東部の湿潤林から新種のAloe vatovavensisAloe rakotonasoloiが記載されました。
★南アフリカの東ケープ州から新種のGasteria visseriiGasteria camillaeが記載されました。
https://pza.sanbi.org/gasteria-camillae
【追記】ケニア南東部より新種のAloe ngutwaensisが記載されました。
【追記】インドより新種のAloe trinervisが記載されました。


2021年
★アンゴラ北西部から新種のAloe uigensis が記載されました。

2022年
★南アフリカ北部から新種のLeptaloe類であるAloe hankeyiが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/photos/272064040
【追記】南アフリカ北部州よりAloiampelos temuior  var. erntrtiiが記載されました。オレンジ色の花を咲かせます。

2023年
★アンゴラ南部からの新種としてGonialoe borealisが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載されていません。【追記】The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024. により新種として記載されました。
【追記】ケニアより新種であるAloe nderianaが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載されていません。
【追記】ソマリランドのアカシアが優占する乾燥地で、新種であるAloe kayseiが説明されました。まだ、キュー王立植物園のデータベースには記載されていません。


最後に
と言う訳で、近年のアロエ類の新種でした。基本的に調べたのは名前だけで、そのすべてについて画像検索はしていないため、園芸的な重要度は分かりません。ところで、1753年にAloe L.と言う学名がつけられてから270年ほど経ちますが、まだ新種が続々と発見されていることに驚きます。おそらく、これからも沢山の新種が発見されることでしょう。しかし、残念ながら自生地の破壊により絶滅の危機に瀕しているアロエも沢山あります。また、発見される前に自生地の破壊により絶滅するものも出てくるはずで、既に人知れず絶滅しているものも少なくないはずです。新種の記載は不道徳なコレクターや業者による盗掘の危険性を高めてしまいますが、自生地の保護には多少の力が働く可能性もあります。知られていなければ保護の算段すらつかないため、科学者たちの奮闘に期待したいところです。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

残暑厳しいというか、体感温度は8月よりも高く感じてしまい、外に出ると尋常ではない量の汗をかいてしまいます。そのせいで、なかなか庭の手入れなどが出来ずにおります。体調もあまりよろしくないので、今月はイベントにもいかないで大人しくしている予定です。さて、そんな暑さの中でも我が家の多肉植物たちは割りかし元気です。本日も我が家の多肉植物を少しだけご紹介します。

240910091325730
Euphorbia cylindrifolia
キリンドゥリフォリアは冬に枝を1本折ってしまいましたが、折れた枝から新芽が出てきました。しかし、この如何にも折れそうな枝ぶりはどうにかならないものでしょうか。むしろ、定期的にカットして短く分岐させた方が良いのかもしれませんね。

240910091352503
塊根はかなり太りました。

240910091552599
Euphorbia tulearensis
トゥレアレンシスは非常に丈夫な花キリンで、乾燥にも強く一年中花が咲いています。割と乾かし気味なので、中々大きくなりませんが、詰まった形にしたいのでこのままの育て方でいきます。

240910091625337
枝は中々伸びませんが、非常に太いですね。

240910091138195
Euphorbia ambobombensis
アンボボンベンシスも非常に元気です。しかし、この個体は何故か花をつけません。


240910091019931
Euphorbia subapoda
スバポダはまだ小さく葉も少ないのですが、塊根は太り始めています。


240910090041723
Euphorbia milii cv.
ミリイの白花矮性品種ですが、最近の日照の強さで葉が傷んでしまいました。半日陰に移して様子見していましたが、新しい葉が出てきて一安心です。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

そういえば、秋の植え替えはどうしようか考え中です。とりあえず、夏以降に購入した多肉植物たちは植え替える予定です。化粧砂とかあると、ちょっと水はけの悪い用土が隠されていないか怖いわけです。そのまま冬に突入すると高率で根腐れしますからね。さてさて、本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

240907133204410
Euphorbia gottlebi
ゴトレベイが非常に元気ですが、なんと先端付近で枝分かれしました。根本から盛んに分岐するタイプですから意外です。


240907133425872
Pachypodium rutenbergianum
ルテンベルギアヌムは非常によく伸びました。来年は枝の先端をカットして枝を増やしていきます。こんもりとした形に仕立てたいですね。


240910090602331
Dasylirion berlandieri
ベルランディエリは青白い葉を持つ美しいダシリリオンです。しかし、ダシリリオンはみな似ていますから、イマイチ区別がつきませんね。

240910090635693
美しい葉は逆向きのトゲだらけです。

240910090858097
Euphorbia dichroa
ディクロアが非常に元気です。地際からの枝分かれがだいぶ増えました。ウガンダ原産。


240910090242695
Ceraria namaquensis
ナマクエンシスは非常によく生長しました。思った以上に生長が早いですね。
ナマクエンシスはケラリア属とされがちですが、もともとPortulacariaでした。近年の遺伝子解析の結果ではCerariaとPortulacariaは区別出来ないことが明らかとなりました。ということで、現在の学名はPortulacaria namaquensisです。他のケラリア属もPortulacariaとなりましたから、人気があるCeraria pygmaeaもPortulacaria pygmaeaとなっています。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

食虫植物とは実に不思議なもので、その奇妙な姿や脅威的な生態には驚かされると同時に、多くの人を魅了してきました。かのチャールズ・ダーウィンもその一人です。近年、多肉植物ブームから派生して、珍奇植物やビザールプランツという名前で、多肉植物も含んだビカクシダやツツアナナスなども人気なようです。やはり、その姿の面白さから食虫植物も人気なようで、園芸書も沢山出版され、以前と比較にならないほど多種類の食虫植物が入手可能となっています。そんな中、食虫植物についての学術的な本が出版されました。2023年に刊行された、野村康之 / 著『あなたの知らない食虫植物の世界』(DOJIN選書)です。
内容的には食虫植物についての様々な事柄について、網羅したものとなっています。食虫植物の定義、捕虫方法、自生環境、蟲(昆虫など)との関係、進化、保全まで、非常は幅広く食虫植物の基本的事項はすべて学ぶことが出来ます。さて、本書を読んでいていくつか私個人が特に気になったトピックを、いくつかご紹介していきます。

240908222130273~2

多肉植物の定義
まずは食虫植物の定義についてです。これは中々難しい問題です。思い浮かぶだけでもテンナンショウやバケツラン、ハスに至るまで、昆虫を一時的に捕らえる植物はそれなりにありますが、これらは食虫植物ではありません。なぜなら、食虫植物は捕らえた昆虫などを、誘引、捕獲、分解、吸収、養分活用という要素があるからです。上に挙げた植物は、あくまでも受粉のためであり、捕らえた獲物の養分を活用していません。しかし、現存する食虫植物でも、必ずしもこれらの定義がすべて当てはまるわけではありません。必ずあるのは捕獲と吸収でしょう。分解は消化酵素を出すものもありますが、微生物などに分解を委ねるものもあり必須とは言えないようです。捕獲については食虫植物でない植物でも割りと見られます。例えば、害虫対策で粘液を出す植物がありますが、これらは捕らえた獲物を分解も吸収もしません。ただの防御手段なのです。さらに、分解もカビなどの感染症への対抗策として分解酵素を有している植物もあります。これらの特徴はきちんと検証しないと食虫植物と見誤ってしまいますが、実はこれらは重要な意味があるのかも知れません。なぜなら、食虫植物が今までなかった粘液や分解酵素を新たに作り出したと考えるより、防御手段として粘液や分解酵素を発達させていた植物が食虫植物に進化した際にそれらの機能を転用したと考えた方が自然だからです。これらの非食虫植物の共通する機能が詳しく研究されることにより、食虫植物の進化についてもさらに深く知ることが出来るかも知れません。

240622104220195
サラセニア(筑波実験植物園)

捕虫と受粉のアポリア
次に気になったのは、蟲との関係です。本書では昆虫以外の小動物を含むことから「蟲」という表現をしています。対象が食虫植物ですから、獲物としての蟲を想像してしまいます。しかし、当然ながら食虫植物も植物です。花を咲かせ受粉しなくては繁殖出来ないため、花粉媒介者としての蟲とも付き合う必要があります。ここにアポリアがあります。花を訪れた花粉媒介者が、他の花に行く前に捕虫されてしまう可能性があるのです。または、花より捕虫器に優先して引き寄せられてしまう可能性すらあります。この問題は言われて初めて気が付きましたが、確かに非常に根源的で面白い指摘でした。いくつか解決策はあるようですが、まだ完全解決とはいかないようです。とても興味深い話題でした。

DSC_0503
ウツボカズラ(神代植物公園)

最後に
食虫植物はあまり詳しいとは言えませんでしたから、本書は大変勉強になりました。しかし、この手の網羅系の本はどうしても薄口になりがちですが、本書はかなり濃厚です。この1冊ですべてが分かるとは言いませんが、重要な議題は網羅しているように思います。皆様にもご一読をおすすめします。

ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

日曜日に開催されたビッグバザールは大変な盛況で、多肉植物の質も量も豊富で、個人的には最高クラスのビッグバザールでした。今後の開催が確定している行けそうなイベントは、10月の木更津C&Sと11月の五反田BBくらいですかね。前回の木更津C&Sは残念ながら仕事でいけませんでしたから、今回は行きたいものですね。さて、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

240907133229910
Tulista pumila var. ohkuwae
変種オウクワエがストレスカラーで色付いています。均整が取れた美しいツリスタです。


240907133211302
Tulista maginata
マルギナタは一度日焼けしてしまい、復活に時間がかかりましたが、ようやく見られるようになってきました。


240907132702155
Aloe saundersiae
サウンデルシアエが花茎を伸ばしています。今年2回目の開花となります。


240907132609118
Aloe fleuretteana
2000年に記載されたフレウレテアナも、今年2本目の開花です。

240907132818664
Aloe bakeri
野生絶滅種のバケリも元気です。夏にやや弱りましたが葉の色艶が良いですね。まだ未開花なので、そろそろ花が見たいところです。


240907132226944
Aloe bergerii
謎のアロエが開花しそうです。ペリエリ系の交配種かと思いましたが、花は黄色系統ですから違うかもしれません。

240907132255581
開花した花の形が気になります。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

今年の夏は暑くて何もする気力が湧きませんでしたが、まだまだ暑い日々は続きそうです。外出はなるべく控えていたのですが、ビッグバザールが開催されるため久々の遠出です。今回も東京流通センターの開催です。しかし、次のビッグバザールからまた五反田TOCビルに戻るようです。まあ、五反田の方が行きやすいので個人的には助かりますが、結局TOCビルは存続するようですね。

昨日も朝から暑くなりましたね。いつものようにゆっくり開場後につくようにと考えていましたが、うっかり開場前についてしまいました。流通センタービルの廊下に並ぶ羽目になりましたが、まったくうっかりしていましたね。
さて、開場は前回同様にとても広く、どこがどの店だか忘れました。42店くらい出店していたようです。
BB20240908

とりあえずは、ふらふらと一周しましたが、まあ色々あったとしか言いようがありません。個人的に気になる硬葉系ハウォルチアやガステリアもまあまああり、手持ちにない変種や変わった外見のシノニムもありました。しかしながら、今回は購入せず。前回のBBでは目を皿のようにして探しても、あまりなかったアデニアが何故か今回は沢山ありました。最近、アデニアが気になっていたこともあり、いくつか購入しました。

さてさて、ここからは購入品です。記憶が定かではないのですが、確かカクタスレイズでユーフォルビアの実生苗、次にSucculent Connectionでアデニアを2種類、最後にBabyleaf plantsで追いアデニアを購入しました。ということで、なんだかんだで40分ほどで退散しました。そういえば、相変わらずオペルクリカリアは沢山見ましたが、最近はオペルクリカリア熱はすっかり冷めてしまいましたね。なんだか、輸入種子の名前が滅茶苦茶だし、オペルクリカリア属の分類表に引っかからない、よくわからない苗が出回っています。その正体は雑種かもしれないので、しばらくは買わないでおきます。

240908142931742
Euphorbia spannringii
入って右の壁際で購入。多分、卓の形からしてカクタスレイズっぽい感じがします。
しかし、これってフィッシュボーンですよね。いつの間にやら学名がついたのかと確認したら、2021年に記載されたようです。マダガスカル原産。

240908142936418
Adenia stenodactyla
Succulent Connectionのアデニア。A. kirkiiの実生が沢山ありましたが、手持ちにあるので一点物のこちらを購入。ちなみに、以前他店から購入したA. kirkii苗より安く、塊根植物と言うより安いハウォルチアとかの値段帯でした。


240908142940016
Adenia goetzei
こちらもSucculent Connectionのアデニア。このデカさで、この値段かと驚きました。人気がイマイチだからかもしれませんね。この値段でオペルクリカリアだのフォウクィエリアを買おうとしたら、爪楊枝みたいなやつしか買えませんからね。蕾が付いていますが、自家受粉して面白い実がなるといいます。楽しみですね。


240908142949788
Adenia isaloensis
最後はBabyleaf plantsでイサロエンシスの実生苗を購入。他にも気になる小型アロエやガステリア、硬葉系ハウォルチアもありましたが、今回の軍資金の関係で断念。

240908143013929
小さい塊根があります。まだ埋めておいてもいいかもしれません。

というわけで、9月のサボテン・多肉植物のビッグバザールでした。いやはや、今回は気になる多肉植物が沢山ありすぎて目移りしてしまいました。衝動的に買わずに、一回見回ってから買って良かったです。過去のビッグバザールでは、ガステリアや硬葉系ハウォルチアはないとまいどまいど愚痴を言っていたのですが今では嘘のようです。どうも、多肉植物の盛り上がりは過去最高かもしれませんね。多肉植物ブームが始まってかなり経ちますが、塊根やエケベリア、アガヴェときて、さらに盛り上がるとは思っていませんでした。かなりマニアックな多肉植物も見受けられましたから、ますますビッグバザールが楽しみになりました。次回の11月のビッグバザールは五反田TOCに戻ります。どのような多肉植物が見られるか、今から楽しみですね。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

本日はビッグバザールが開催されます。私も参加予定ですが、あまり時間が取れないので、一巡してすぐ帰る羽目になりそうです。たまにはゆっくりしたいところですが仕方がありません。

240907131741026
皇帝
皇帝はなんと1ヶ月も咲き続けています。おそらく200輪以上咲いています。しかし、まだ咲くようです。

240907131753307
ところが、流石に消耗して痩せてきてしまいました。これ以上は危険なので花茎はカットしました。

240907131529015
Euphorbia silenifolia
シレニフォリアの新葉が沢山出てきました。しかし、生長が遅いですね。


240907131935798
Zamia integrifolia
インテグリフォリアは今年は絶好調で、素晴らしい葉が出ています。一般的には、Z. floridanaの名前で流通しています。
240907131953028
よく見ると新葉が出ています。

240907131449546
Copiapoa hypogaea
黒王丸には興味がありませんが、ヒポガエアは可愛らしい感じがして好きですね。花芽があがっていますが、多分タイミングが合わなくて写真は撮れないでしょうね。今年は既に開花していましたが、やっぱり写真撮れないですね。


240907131847347
Gonialoe sladeniana
スラデニアナは根がないカット苗として入手しましたが、発根しても色味が薄く生長も鈍いものでした。あれから1年半を過ぎて、ようやく色味が濃くなり素晴らしい葉が出てきています。今年は花も咲いたので、嬉しい限りです。



ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

サボテンも生物である以上は繁殖する必要があり、そのために花を咲かせます。しかし、一口にサボテンと言ってもその繁殖戦略は様々で、花粉媒介者も昆虫だけではなくハチドリやコウモリにより受粉するサボテンもあります。当ブログでは度々サボテンの受粉様式=受粉生物学をご紹介してきました。参照とするのは、Bruno Henrique dos Santos Ferreiraらの2020年の論文、『Flowering and pollination ecology of Cleistocactus baumannii (Cactaceae) in the Brazilian Chaco: pollinator dependence and floral larceny』です。本日の主役はブラジルとその周囲に分布するヒモ状のサボテン、Cleistocactus baumanniiです。

240905011210025~2
Cleistocactus baumannii(右)
筒状の花に注目。
『The Cactaceae II』(1920年)より。


C. baumanniiは鳥媒?
サボテンはブラジルのCaatingaやChaco植生の重要な要素の1つです。サボテン科の中でも、南米のサボテンでは様々な系統で鳥媒が想定されています。Cleistocactusは鳥による受粉に極端に特化した例として挙げられますが、それは花の特徴から推測されたものでした。Cleistocactusの受粉の評価は2016年(Gorostiague & Ortega-Baes, 2016)に行われ、C. baumanniiはハチドリによってのみ受粉し、C. smaradigoflorusはハチドリとミツバチにより受粉する可能性が示されました。
C. baumanniiはアルゼンチンやブラジルでは、アオムネヒメエメラルドハチドリ(Chlorostilbon lucidus)だけが花粉媒介者であると考えられています。しかし、花を訪問する昆虫による盗蜜の影響を調査する必要があります。


盗蜜
盗蜜者(nectar robbers)は、受粉せずに花の資源(花蜜や花粉)を集める花への訪問者ですが、花を噛んだりして傷付けるなどイリーガルな方法を用います。この花の損傷は、本来の花粉媒介者の行動や、花粉の飛散距離に影響を及ぼし、結実や種子数、種子の発芽率を低下させる可能性があります。しかし、盗蜜により蜜が減少するため、本来の花粉媒介者が訪れなければならない花の数が増えるため、他家受粉が促進される可能性もあります。
花への訪問者は次のように分類されます。
①潜在的な花粉媒介者(potential pollinators)
②非花粉媒介者(non-pollinators)
③泥棒(thieves)
④強盗(robbers)
泥棒は花粉や柱頭に触れることなく、花に損傷を与えない訪問者を指します。強盗は花に損傷を与える訪問者でこれを一次強盗、一次強盗のつけた傷口を利用する訪問者を二次強盗としました。


C. baumanniiの開花
C. baumanniiは円柱柱状のサボテンで、約1.5mの枝分かれした枝を持ちますが、他の植物に支えられている場合はより高くなることもあります。明るいオレンジがかった赤い花を沢山咲かせます。研究地域ではC. baumanniiは雨期に激しく開花します。花は両性花で、昼行性、匂いはありません。花は自家不稔で、自家不和合性です。花筒の長さは平均48.19mm、直径の平均は9.25mmでした。花は1年を通じて開花し続けます。
C. baumanniiの花の寿命は約48時間です。午前6時には花冠と葯は既に開いているものの、柱頭はまだ受容性はありません。つまり、開花開始時には花は機能的に雄蕊的です。午前8時から柱頭は一部が受容状態となります。午前10時頃には葯に花粉はほとんどなくなり、翌日まで雌性期です。翌日の午後には柱頭は萎れはじめ、翌日には完全に閉じます。
C. baumanniiの花は葯と柱頭が同じ高さで並び、雌雄離熟(herkogamy)ではありません。柱頭が受容前に花粉が放出されることから部分的雄性先熟で、自家受粉を減らし柱頭が詰まるのを防ぐと考えられます。

花への訪問者
ブラジルのChacoにおいて、C. baumanniiの花には5種のハチ、2種のアリ、1種のチョウ、1種のハチドリ(C. lucidus)が訪れました。この内、ハチドリと2種のハチは頻繁に訪花し、ほとんどの月で見られました。
観察すると、ハチドリは花の前でホバリングし、クチバシを花筒に入れて、クチバシ上部と頭が葯と柱頭に接触させて採蜜していました。採蜜は2秒間続き、1つの植物につき1つの花だけを採蜜しました。
3種のハチは花粉を集めるために葯に着地し、葯と柱頭に接触しましたが、基本的に花粉泥棒でした。さらに、Xylocopa splendulaというハチは、すべての訪花で花筒に口器を突き刺して盗蜜しました。このハチは同じ植物の別の花を訪れるため、主要な蜜泥棒です。X. splendulaの残した穴には、他の種類のハチやアリが訪れ、二次的な蜜泥棒となっていました。また、このような盗蜜を受けた花は、柱頭に付着した花粉が少ないことが分かりました。さらに、X. splendulaは自家受粉と隣花受粉(geitonogamy)を促進し柱頭を詰まらせ、盗蜜により有効な花粉媒介者であるハチドリの訪問を減らしている可能性があります。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
観察によりC. baumanniiの花の花粉媒介者はハチドリであることが確認されました。さらに、ハチは有効な花粉媒介者ではなく、それどころか花粉泥棒であり蜜泥棒でもあると判明しました。自家受粉や同じ植物個体の別の花からの受粉を受ける隣花受粉も、ハチにより引き起こされ、蜜の減少によりハチドリの訪花も減ってしまいいいことがありません。論文中で柱頭が詰まると言っているのは、柱頭に沢山の自家受粉、あるいは隣花受粉してしまうと、花粉から花粉管が花柱に伸びて行きますが自家受粉はしないので受粉はせず、後に他家受粉の花粉がついても花粉管を伸ばす隙間がないということでしょう。
まとめると、
本来ならば植物の受粉が期待さるハチが、受粉を阻害する要因になっている可能性があるのです。植物と昆虫との関係も非常に複雑です。今後もサボテンや多肉植物の受粉生物学を見つけ次第取り上げていくつもりです。


ブログランキング参加中です
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

ちょっとだけ秋っぽい感じもあるこの頃ですが、多肉植物たちは生長を再開し始めました。生長が楽しみな季節です。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

240901092331929
Euphorbia fimbriata
フィンブリアタの生長が著しいですね。しかし、フィンブリアタは他のユーフォルビアにも何回も重複して命名されたいわく付きの名前です。現在はE. mammillarisの異名扱いですが、太さなど特徴が異なるとよく言われます。ちなみに、E. mammillarisとは、白樺キリンとかミルクトロンと呼ばれている白いユーフォルビアの原種のことです。


240901091656894
Euphorbia venefica
猛毒3兄弟の長男ヴェネフィカですが、新しい葉が出ています。E. venenificaと呼ばれて来ましたが、これは引用した研究者の誤記でしたが、何故か誤記の方で流通してしまいました。現在は訂正されています。E. poissoniiと似ていますが、トゲが発達するヴェネフィカとは異なります。


240901091856464
Euphorbia cap-saintemariensis
カプサインテマリエンシスも特徴的な葉を次々と出しています。E. decaryiの変種とされてきましたが、現在では独立種です。


240901092215297
Pachypodium windsorii
ウィンドゥソリイ(ウィンゾリー)が秋の成長期で、新しい葉を勢いよく出しています。パキポの中でも、特に葉色が濃く艶があって美しい種です。バロニイの変種とされることもありますが、現在は独立種です。というより、1916年に独立種として記載され、1949年にバロニイの変種とされましたから、元に戻っただけとも言えます。


240901091926166
Dioon edule
エドゥレの赤銅色の美しい新葉が展開中です。エドゥレは2000歳を超える個体もある非常に長寿のソテツです。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

アデニアは割りと古くから塊茎植物として有名ですが、一般的に知られているのはAdenia glaucaやAdenia globosaなど一部に限られます。多肉植物ブームの昨今でもあまり見かけないのは、どちらかと言えば希少だからというより、それほど人気があるわけではないからでしょう。しかし、最近アデニアも面白いと思うようになり、少し調べてみようということになりました。以前、開発に伴いアデニアを移植しようという試みを記事にしてご紹介したことがありますので、そちらもご参照下さい。


アデニアの履歴書
アデニアは主に旧世界の熱帯や亜熱帯に分布するトケイソウ科植物です。塊茎や塊根を持ち、蔓性が一般的なようです。2024年8月時点で認められているアデニア属は105種類です。
アデニア属の経歴を見てみましょう。アデニア属が初めて命名されたのは1775年のことで、スウェーデンの探検家、博物学者、東洋学者であるPeter Forsskålによるものです。つまり、Adenia Forssk.です。Forsskålはvon Linneの弟子であり、アラビア探検中にイエメンでマラリアに罹患し客死しました。31歳でした。Forsskålの原稿は植物についてはForsskålの死から12年にあたる1775年に「Flora Aegyptico-Arabica」として出版され、その中でAdeniaは新属として記載されました。ですから、アデニア属の成立はForsskålの死後になされたのです。ここからは、アデニア属の異名(Heterotypic synonyms)を見ていきましょう。
1797年 Modecca Lam.
1820年 Kolbia P.Beauv., nom. illeg.
1821年 Blepharanthes Sm.
1822年 Paschanthus Burch.
1846年 Microblepharis M.Roem.
              Erythrocarpus M.Roem.
1861年 Clemanthus Klotzsch
1867年 Machadoa Welw. ex Benth. & Hook.f.
              Ophiocaulon Hook.f., nom. illeg.
1876年 Keramanthus Hook.f. 
1888年 Jaeggia Schinz
1891年 Echinothamnus Engl. 

このような異名が生まれる原因は様々ですが、おおよそのパターンは決まっています。新種が見つかった時に既存の属としないで新属を作ったり、既に命名されている種に対して改めて命名してしまったり、既存の属から分離させて新属を創設したりです。このように後にまとめられることはよくあります。また、提唱したものの、まったく認められず使用されてこなかったものもあるかも知れません。

240622112511917
Adenia glauca Schinz, 1892
ボツワナ、南アフリカ北部州の原産。


アデニア研究最前線
さて、近年のアデニア属に対するアカデミアの興味は、どのようなものがあるでしょうか? 調べてみると、アデニアはどうも有毒なようです。その成分については昔から調べられているのですが、近年では何かに使えないかと研究がなされています。毒性があるということは、何かしらの生理活性があるということです。用法用量を工夫すれば、薬となるかも知れません。
例えば、YESSO Bogui Florianらの2022年の論文では、Adenia lobataの抽出物がラットの貧血に有効であったとしています。この抽出物のLD50(半数致死量)は5000mg/kgなので、人体には無害だとしています。
次にPacome Kouadio N' Goらの2021年の論文では、Adenia lobataがコートジボワールで伝統的に様々な慢性疾患や頭痛・歯肉炎の痛みの緩和、分娩の促進のために広く利用されていることが示されています。アデニア抽出物の抗炎症作用が試験され、伝統医学に科学的な根拠を与えました。
ピンポイントな研究もあります。例えば、Shashikala R. Inamdarらの2021年の論文では、Adenia hondala由来の成分が大腸がんと結合し増殖を阻害し、がん細胞にアポトーシス(自死)を引き起こすとしています。

もちろん、毒性も研究されております。例えば、Massimo Bortolottiらの2021年の論文では、Adenia kirkiiよりキルキリンなる植物毒素を分離しています。キルキリンはタンパク質を合成するリボソームに不可逆的な損傷を与え細胞死を引き起こします。
実はこの手の毒性だの薬理作用だのといった論文は山のようにあり、割りと新しいものをチョイスしました。というか、あまりに沢山あるため調べるのを止めました。期待されているということなのでしょう。

240505024332821
Adenia olaboensis Claverie, 1909
マダガスカル原産。2変種からなり、var. olaboensisとvar. parvaがあります。


150年ぶりの再発見
Neil R. Crouchらの2016年の論文によると、Adenia natalensisが南アフリカのKwaZulu-Natalの、Tugela川下流域で再発見されました。A. natalensisは1860年代初頭に採取され、William Tyrer Gerrardによる2つのコレクションのみが知られており、原産地は「Natal」あるいは「Natal, Zulu-land」とだけ記録されていたものです。実に150年ぶりの再発見でした。しかし、この論文では、知られていないA. natalensisのメス個体は発見されませんでした。
この発見には続報がありました。Neil R. Crouch & David G. A. Stylesの2021年の論文では、Mngeni川水系の3箇所でもA. natalensisを発見し、開花し結実したメス個体を初めて発見しました。これにより、A. natalensisの雌雄異株についての完全な説明が可能となりました。

240721223536879
Adenia kirkii (Mast.) Engl., 1891
ケニア、タンザニアの原産。1871年にModecca kirkii Mast.と記載され、後にアデニアとされました。キルキリンという毒素を含みます。


新種の発見
アデニア属も新種が発見されています。新しいものだと、Veronicah Mutele Ngumbauの2017年の論文では、ケニアとタンザニアの海岸林に生息する新種のAdenia angulosaについて説明しています。A. gummiferaに似ているとしています。また、Marc Pingnalらの2013年の論文では、コモロ諸島のMayotte島から新種のAdenia barthelatiiを説明しました。マダガスカルのアデニアに近縁なようです。
 
240622112732565
Adenia globosa Engl., 1891
エチオピア、ソマリア、ケニア、タンザニア原産。現在は3亜種、subsp. globosa、subsp. curvata、subsp. pseudoglobosaに分けられます。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

台風の進路がめちゃくちゃで、すっかり翻弄されてしまいました。雨はすごかったものの、風がなかったので多肉植物の被害がなくてほっとしました。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

240831123011906
Gymnocalycium ferocior
フェロキオルに良いトゲが出ています。まあ、まだ小苗ですが。


240831122424136
H. fasciata fa. vanstaadensis
ファスキアタの矮性種が開花しました。

240831122446972
矮性ゆえか花は小型。花弁の先端はよく開く方です。

240831122516484
H. venosa
硬葉系のヴェノサが開花しました。

240831122529009
随分と子株が増えました。
240831122555019
花は全体的に白く、先端は非常に狭いですね。

240831122805246
Aloe thompsoniae
トンプソニアエが非常に元気です。勢いがあります。小型種ですが花が美しいタイプなので、花が楽しみです。


240831123243380
Euphorbia razafindratsiae
ラザフィンドラトシラエが開花しました。この個体は生長が鈍く、しばらく動きがありませんでしたが、今年は根元から分岐するなど非常に元気です。

240831123259618
花は緑色。


ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

台風が来る来る言ってなかなか来ませんね。おかしな天気が続いていますが、雨が止んだ隙に少し撮影しました。というわけで、今日も我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

240831121557333
Euphorbia hedyotoides
今年は随分と生長しました。よく見ると開花しています。

240831121621370
初めての開花です。ユーフォルビアの花は地味ですが、ヘディオトイデスはことさら地味ですね。

240831122135521
H. coarctata IB 5850
九輪塔が咲きました。本体に比べて花茎が短いですね。

240831122158440
花はスタンダードなタイプ。

240831123021516
Euphorbia cylindrifolia
キリンドゥリフォリアは室内に取り込んだ冬の間に、うっかり枝を折ってしまいました。そのままにしておいたら根付いたのですが、何故かやたらに花が咲きます。

240831122115600
Aloe florenceae
マダガスカル原産の小型アロエ、フロレンケアエ(フローレンシー)ですが、新しい葉が勢いよく出ています。この怪し気な青白い雰囲気がたまりませんね。


240831122741913
Astroloba rubriflora
青白い繋がりでルブリフロラ。だいぶ育ったのですが、なかなか花が咲かないですね。

 
    
ブログランキング参加中です。
クリックしていただけますと嬉しく思います。

にほんブログ村 花・園芸ブログ 塊根植物・塊茎植物へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村

このページのトップヘ