ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2024年08月

エピジェネティクスとは簡単に言うと、遺伝子を変えずにその発現を制御し、その制御が次世代に伝わりうる仕組みのことです。最近、そのエピジェネティクスに関心があり、岩波新書から出ている入門書を読み、書評の形で記事にしました。(以下、リンク参照)



しかし、エピジェネティクスのメカニズムはともかくとして、挙げられた実例の多くは動物でした。著者の関心も癌などの疾患との関連に注目しているようですが、植物のエピジェネティクスに関しては軽く触れる程度でした。そこで、改めて植物のエピジェネティクスを調べてみました。すると、近藤洋と竹能清俊の2008年の論文、『花成とエピジェネティクス』が見つかりました。簡単に内容を見ていきましょう。

バーナリゼーション
バーナリゼーション(春化)とは、種子や芽生えの時期の低温の有無が、後に成熟した個体の花成の有無に影響を与えることです。「冬の記憶」とも称されるこの現象は、典型的なエピジェネティクスです。これは、種子や芽生えの時に受けた低温が記憶され保持されることと考えることが出来ます。モデル植物であるシロイヌナズナでは、FLC遺伝子が花成を抑制する因子として働きます。その発現は長期間の低温により抑制され、低温が解除されても維持されます。このことは、FLCの発現がエピジェネティクスのメカニズムであるDNAのメチル化やヒストン修飾により制御されている可能性があります。

脱メチル化による花成
バーナリゼーションがエピジェネティクスの制御を受けているか、まずはDNAのメチル化の観点から検討されました。シロイヌナズナにメチル化を解除する脱メチル化剤を施すと、花成が誘導されることが明らかとなりました。この時、実際にFLC遺伝子の発現が低下していました。つまり、FLC遺伝子がDNAのメチル化により制御されていることが示唆されたのです。シロイヌナズナ以外のバーナリゼーションによる花成がおこる植物でも、脱メチル化剤により花成が誘導されるためある程度は普遍性があるようです。

光周的花成
多くの植物は誘導的光周期(短日、長日)により速やかに花成が誘導され、誘導された花成状態は誘導的光周期以外の環境に置かれると持続しません。そのため、光周的花成にエピジェネティクスによる制御が働くとは考えられていませんでした。しかし、絶対的短日植物であるシソ(紫蘇)の光周的花成においては異なります。短日処理を受けたシソは誘導的光周期以外の環境に置かれても、花芽を形成し続けるなど花成状態が長く続きます。このような安定した花成形成が低温にゆるバーナリゼーションと似ているため、両者に共通する制御機構が想定されることから、著者らは光周的花成にエピジェネティクスが関与するのかを検討しました。

光周的花成とエピジェネティクス
脱メチル化剤をシソの種子あるいは茎頂に処理すると、長日条件でも花成は誘導されました。茎頂に脱メチル化剤を処理した場合に、処理された部位より下の茎にも花芽が形成されました。このことは、脱メチル化剤の作用を受けた部位で、輸送可能な花成刺激が生成されたことを示します。つまり、これらのことからシソの光周的花成にエピジェネティクスが関与することが示唆されました。

次世代に伝わるか?
DNAの脱メチル化により誘導された形質は、次世代に遺伝しうることが知られています。しかし、哺乳類のDNAのメチル化は配偶子形成の時にリセットされるため、メチル化状態は遺伝するとは限りません。対する植物はDNAのメチル化により誘導された形質が遺伝するため、植物にはDNAのメチル化のリセット機構がないとされてきました。しかし、脱メチル化剤で誘導したシロイヌナズナの花成の抑制状態は遺伝しないため、少なくともエピジェネティクスな制御を受ける遺伝子に関してはリセット機構があるものと考えられます。しかし、脱メチル化剤は同時に、シソの栄養生長の抑制をもたらしますが、この栄養生長の抑制は次世代に伝わることが確認されています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。とはいえ、論文的には遺伝子の詳細な分析によるメカニズムの話が重要であり、論旨を証明する根拠なのですが、この記事では省きました。気になる方は、J-STAGEで一般にも公開されていますから、PDFをダウンロードしてみて下さい。論文は日本語で書かれた短いものです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/plmorphol1989/19and20/1/19and20_1_15/_article/-char/ja/

さて、今回は植物のエピジェネティクスの例を1つご紹介したのですが、他にも植物のエピジェネティクスに関する論文は沢山出ているようです。まだ、日本語の論文しか検索していませんが、時間があれば海外の論文も検索してみるつもりです。


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台風が来ているため、撮りためた写真でお送りします。鉢が転がりそうなのでサギソウを室内に取り込みましたが、ちょうど花が咲いています。

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サギソウ Pecteilis radiata
湿地に生える球根性の蘭。


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天平丸 Gymnocalycium spegazzinii
天平丸が元気です。南米病にビビってなかなか手が出ないでいましたが、安売りしていたので去年の夏につい買ってしまいました。しかし、この素晴らしいトゲには感心しています。


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Euphorbia millotii
ミロティイの新葉が展開しています。日が強いため、新しい葉は小型です。

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古い葉は焼けていますが、花キリンは芽と幹にダメージがなければ問題ありません。環境に合った新しい葉が出ますからね。

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Euphorbia viguieri var. caproniana
変種カプロニアナも元気です。葉が非常に大きいですね。


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Dioon edule
エドゥレが今年2回目のフラッシュです。購入時は2枚だった葉はこれで6枚になりました。エドゥレは非常に生長が遅いソテツですから、葉が増えてもなかなか大きくなりません。

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密に詰まっています。エドゥレの葉はその青白い色合いや整然と揃った小葉など、非常に美しいソテツです。大事に育てたいものです。


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以前、CAM植物について簡単にまとめた記事を書いたことがあります。CAMとは光合成の方法の1つで、蒸散を抑えるために夜間に二酸化炭素を取り込み、リンゴ酸に変換して貯蔵する仕組みです。CAMという名前は、ベンケイソウ型有機酸代謝(Crassulacean Acid Metabolism)の略ですから、エケベリアやセダムなどのベンケイソウ科植物に典型的に見られ、乾燥に強いシステムですからパイナップル科植物やサボテンなどに広く見られます。
しかし、その時の記事の内容的は、あくまでも一般的に言われていることをまとめただけに過ぎないものでした。(以下、リンク)


そこで、今回は科学者によるCAMの概観とこれからについて見ていきたいと思います。参照とするのは、Kevin R. Hultineらの2019年の論文、『New perspective on crassulacean acid metabolism biology』です。

CAM植物の特徴
CAMは維管束植物の38科400属以上見つかっており、60以上の独立した進化の起源を持ちます。CAMの起源は、過去に起きた乾燥化と大気中の二酸化炭素の減少に相関しており、地球規模の気候変動に対する進化的対応の代表的な事例です。また、CAMは茎や葉の多肉質化、水の捕捉と貯蔵、厚いクチクラとワックス沈着、低い気孔密度、高い気孔応答性などの共通の適応形質と共に進化し、これらの特徴により水の利用が限られている、あるいは断続的な厳しい環境に生息出来ます。

CAMへの進化
CAMは38科の植物で知られており、その広い系統の中の分布から、CAMは独立して複数回に渡り発生したと考えられています。最古のCAMについては、証拠が化石に残らないためよくわかりません。陸生植物のCAMは乾燥が主な要因と考えられています。それは、日中の高温と相対湿度の低ささらされる砂漠に生える多肉植物でよく見られるからです。ただし、CAMは二酸化炭素を有機酸に変換し、炭素を濃縮するメカニズムですから、利用可能な二酸化炭素が少ない環境に対する適応も想定されます。例えば、Isoetes (ミズニラ属)などの原始的な水生植物はCAM植物なのは、水中の二酸化炭素の拡散係数が低いために、CAMに進化したと考えられます。陸生植物のCAMは、大気中の二酸化炭素濃度が低下し、CAMやC4という光合成経路が有利になった更新世の氷河期に反応したものと考えられます。

CAM研究
CAMの古典的なモデルは、気孔の反転と4段階のガス交換、および生化学的活性により定義されます。しかし、これはCAMの多様性と複雑性を否定するものです。CAMに関する最近の理解の進歩は、「弱い」、「通性」、「中間」のCAM植物の限界に関する研究から得られています。多くのCAM植物がCAMをC3やC4と共に発現し、その発現は発育の段階により変化することが多く、旱魃や塩分にさらされると通性で変化することもあります。

CAMの利用
CAM植物の中でも、旧世界のユーフォルビアと新世界のサボテンの茎が多肉質な種は、密猟や地球規模の気候変動により前列のない脅威にさらされています。しかし、多くのCAM植物は将来的な食料、飼料、繊維、バイオ燃料、医薬品とされる可能性がある高い農業的価値を持ち、しかも乾燥に強い作物です。少数のCAM植物製品は、テキーラ(Agave)やパイナップル、アロエ、バニラ、果実(ウチワサボテン)など、世界的に取り引きされています。しかし、これらの種は伝統的に過小評価されており、農業的改良のための投資はほとんど行われていません。これらのCAMは、遺伝学の進歩により遺伝的改良が促進されることが期待されています。中でもAgaveはバイオ燃料の原料として高く注目されています。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
一応ですが、CAMについて簡単に解説しましょう。
日中に二酸化炭素を取り込もうと気孔を開くと、高温と乾燥により水分が失われてしまいます。しかし、CAM植物は気温が低い夜間に二酸化炭素を取り込みます。取り込んだ二酸化炭素は、リンゴ酸の形で濃縮・貯蔵されます。気体は貯蔵が難しく場所をとりますから、リンゴ酸という液体に変換するのは理にかなっています。また、貯蔵が出来るため、夜間でも暑い日には、気孔を閉じて二酸化炭素の取り込みをしないこともあります。
論文の内容についてですが、驚くべきことにCAMは複数回、独立して進化したことが示されています。つまり、植物が進化の過程で1回だけCAMを獲得し、その子孫がCAMというわけではないのです。CAMは様々なグループのあちらこちらで、それぞれ獲得されました。それなりに複雑なシステムですから、共通祖先が獲得したわけではないのことに驚かされます。洋蘭の仲間であるDendebiumでは、属内で複数回のCAMの進化があったことが報告されているそうです。
さて、CAMの研究は何をもたらすのでしょうか。まずは、希少植物の保全が挙げられます。その植物の生態や生理などを理解することは、保全計画には欠かせません。詳しい調査もなしに似た環境に植栽しても上手くいかないケースが度々見られます。やはり、事前の研究は必須なようです。次はやはり作物として利用です。CAM植物は乾燥に強いため、通常の作物が育ちにくいような環境でも栽培出来ます。例えば、トウモロコシは主に家畜の飼料として莫大な量が生産されていますが、バイオ燃料への利用がよく言われています。しかし、米国では地下水を汲み上げて強引に生産しているため、地下水の著しく減少を招いているそうです。CAM研究により、地下水を利用しないAgaveなどを利用したバイオ燃料の開発や、CAM回路自体を組み込んだ作物も将来的には可能となるかもしれません。論文では、CAMの進化は①乾燥化、②二酸化炭素の減少、③植物育種となっており、ヒトによる開発を第三のCAMの進化イベントと捉えているようです。CAM利用に関する、その期待の大きさが分かりますね。



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いよいよ台風が来ます。前回は肩透かしでしたが、今回は直撃しそうです。しかし、何やらふらふらしていていつ来るのやら。困ったものです。それはそうと、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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龍尾閣 Euphorbia griseola
龍尾閣の新芽が勢いよく伸びています。E. richardsiaeの名前で入手したユーフォルビアですが、特徴的にグリセオラでした。


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H. limifolia var. glaucophylla
グラウコフィラが開花しました。

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変種グラウコフィラは実に個性的です。
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花は典型的な色合いですが、根元が膨らみ先端がすぼまる形です。花弁の開き方が特徴的。

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Euphorbia erythrocucullata
塊根性花キリンのエリスロククラタも急成長しています。古い葉は焼けていますが、まあ問題ありません。塊根はまだ地下で養成中。

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グングン伸びています。面白い花を咲かせるようですから、楽しみですね。

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Gymnocalycium erinaceum WR 726B
エリナケウムが盛んにトゲを出しています。あまりギムノカリキウムらしくない姿ですが、種小名も「禾状トゲの」という意味ですから、まあ見たまんまです。ちなみに、「ハリネズミ」という意味であるとしているサイトが沢山ありますがこれは誤りのような気がします。ハリネズミはErinaceus属ですが、その見た目からラテン語のErinaceusがつけられただけで、元来ラテン語にハリネズミという意味はないように思われますが。

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Aloe erinacea
エリナケアもやはり外見から命名されました。そういえば、栽培されているエリナケアをウェブ上で探すと、徒長しているものが多いことに気が付きました。私は早く育てる意味がないため、非常に締めて作っていますからなかなか大きくなりません。しかし、それ故に整った姿をキープしています。



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エピジェネティクスとは、一般的に「遺伝子の配列を変えずに遺伝子を制御」する仕組みと言われていますが、これだけだと何だかわかりませんね。初めてこの言葉を聞いたのは、某ネット掲示板の書き込みで、確か「その世代が獲得した特徴が子孫に伝わる仕組み」のように言われていたように記憶しています。しかし、それはラマルクの進化論のように聞こえて、首を傾げたものです。一体どういうことなのでしょうか。まあ、知らないのなら調べたら良いではないかということで、手軽に読める新書を手にとってみました。本日は、2014年に刊行された、仲野徹 / 著、『エピジェネティクス -新しい生命像をえがく』(岩波新書)をご紹介します。

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まず、読んで直ぐに少しだけ知っている話だと気が付きました。要するにこれは、ヒストンのメチル化に関係する話ですね。それがエピジェネティクスと呼ばれていることを知りませんでした。とはいえ、私の知識はえらくぼんやりしていて、具体例と言われるとよくわかりません。一体どういうことなのでしょうか?

エピジェネティクスの仕組みは、簡単にいうとDNAやDNAを折りたたむヒストンというタンパク質がメチル化やアセチル化などの修飾・脱修飾をされると、その遺伝子がオンになったりオフになったりするということです。遺伝子は生きている間に変わりませんが、このスイッチのオン・オフは変わりうるものです。そして、そのオン・オフは次世代に伝わる可能性があります。しかし、エピジェネティクスはどうもそれほど万能なものではないようです。なぜなら、受精の際に遺伝子は脱メチル化され、一度リセットされるからです。ですから、必ずしもスイッチのオン・オフが次世代に伝わるとはいえないようです。正確には、この時にリセットされないでオン・オフが保存されるものもあるということです。

エピジェネティクスは遺伝子に依存しない仕組みのように捉えられる向きもあるようです。どちらかと言えば、遺伝子を制御する仕組みの一部と考えた方が自然かも知れません。遺伝子自体は変わりませんから、ラマルクの用不用説とも異なりますね。また、エピジェネティクスの制御は、ある遺伝的な現象に対し、それを主体的に制御しているのか、一部が関連するだけなのか、全く関与していないのか、かなり温度差があるようです。重要ではあるものの、すべての事象を説明しうるものではないということです。

エピジェネティクスの具体例としては、植物では春化現象が挙げられます。秋まき小麦を低温で処理(春化処理)すると、春まき小麦になるという現象です。これは、悪名高きルイセンコが見つけた現象です。観察された現象自体は正しいものの、解釈が間違っていました。春化処理するとその獲得形質は遺伝するとし、遺伝学や進化論を歪めてしまいました。これは、遺伝ではなく、エピジェネティクスの変化によるものだったのです。また、植物は受精の際の脱メチル化が動物のように広範に起きないとされているようです。


ここで、ラマルクの用不用説との違いを明確にしておきましょう。よくある用不用説の例として、キリンの首の長さに対する説明があります。曰く、高い場所にある枝についた葉を食べるために首を伸ばしていたら、世代を重ねる毎に徐々に首が長くなったというものです。エピジェネティクスで考えた場合、首の周囲の筋細胞のエピジェネティクスの変化でしかなく、生殖細胞のエピジェネティクスは変わっていないため、次世代には伝わりません。エピジェネティクスは生殖細胞に起きている必要があるのです。例として挙げると、飢饉が起きていた時に生まれた子供は、将来的に糖尿病などの生活習慣病になりやすいという調査の結果があります。これは、低栄養に耐えられるようにエピジェネティクスが変化した例です。この場合、生殖細胞を含めたすべての細胞にエピジェネティクスの変化があるため、次世代に伝わる可能性があります。さらに言えば、エピジェネティクスは用不用説の想定する新たに獲得した形質などではなく、既存の遺伝子が働くか働かないかというものですから、まったく異なりますね。

読んでいて驚いたのは、遺伝的には問題がなくてもメチル化の違いにより発病する病気があるなど、思いの外様々な部分に影響を及ぼしていることです。しかし、分かっている部分はまだまだ少ないようで、はっきりとしないモヤモヤした部分が残りました。エピジェネティクスが一部の病気に関わるため、例えば癌については研究が進行中です。もちろん、メチル化の制御が癌治療に有用な可能性があるからです。しかし、それも始まったばかりで、その他のエピジェネティクスについてはこれからの分野のようです。エピジェネティクスが関係していることは分かっていても、それがどれだけの重要性があるのかすら解明が難しいのです。実際にエピジェネティクスの関連が言われている現象でも、エピジェネティクスを確実に証明することはなかなか困難なようです。まあ、エピジェネティクスは仕組みの一端なのですから、エピジェネティクス以外の仕組みも合わせて理解しないと意味がないのかも知れません。
本書では植物のエピジェネティクスは扱いが少ないのですが、これは著者の専門外であるからなのか、植物のエピジェネティクス研究が進んでいないからなのかは、よくわかりません。ただ、医学研究などと比べると重要性は下がるため、それほどの進展はないであろうことが予想されます。植物のエピジェネティクスはかなり複雑なようですから、研究も難しそうです。本書によりエピジェネティクスに興味が湧きました。何か良い論文がないか調べてみます。そのうち、ブログで取り上げるかも知れません。


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.何やらまた台風が来ていますね。直撃する可能性が高そうですから、私も台風対策をしないとまずそうです。さて、本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Gymnocalycium prochazkianum subsp. simile VoS 1417
鳥についばまれてしまいました。トゲが虫に見えるのでしょうか? 以前も同じことがありましたが、困ったものです。


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Gymnocalycium intertextum
こちらは流石に鳥についばまれないであろうインテルテクスツムです。そういえば、学名の読み方ですが、私は個人的な好みでラテン語読みしていますが、一般的には英語読みとラテン語読みがチャンポンになっていたりします。この場合、英語読みだとインターテクスツムですね。


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Aloe bowiea
ボウィエアが開花しました。株が充実していますから、よく開花します。

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アロエは一般的に鳥媒花ですから、アロエの花は鳥にアピールするために赤や橙などの暖色系です。しかし、ボウィエイはご覧の通り緑色からクリーム色です。虫媒花、しかもこの地味さは蛾媒っぽいですね。雄しべや雌しべが飛び出していますから、花に潜り込むような小型の蜂は関係がなさそうです。筒状で口が狭いため、蛾の長い口吻を差し込む時に受粉するのでしょう。

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Euphorbia iharanae
イハラナエが非常に元気です。イハラナエは非常に丈夫で生長は早いようです。ちなみに、イハラナエはE. viguieri系ではなくE. neohumbertii系の花キリンです。

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葉には産毛が生えており、美しい模様があります。

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Euphorbia hofstaetteri
ホフスタエテリが活発に生長しています。

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よく見ると、根元から分岐し始めました。

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Operculicarya pachypus
パキプスは勢いがあります。まあ、おかしな形に育ちましたけど。とはいえ、パキプスは乾燥地の灌木に過ぎないので、盆栽よろしく切り戻せばいいだけです。

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ロングポットに植えてから、生長が良くなり幹も太くなりました。ポットの底から根がはみ出しているくらいですから、根もよく張っているのでしょう。


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気が付けばもう8月も終わってしまいます。今年の夏はあまりに暑くてやる気が起きず、庭や多肉植物関連のことが何も出来ませんでした。涼しくなるこれからバタバタ忙しくなりそうです。本日も我が家の多肉植物を少しご紹介します。

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Euphorbia granticola
グランティコラの実生苗ですが、今年は一気に生長しました。特徴があらわれてきました。


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Euphorbia alluaudii
アルアウディイはあまり元気がありませんでしたが、今年は生長してくれました。割と乾燥に強いタイプです。


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闘牛閣 Euphorbia schoenlandii
闘牛閣は非常に元気です。やはり闘牛閣はなるべく太く育てたいものですね。こう見えてタコものユーフォルビアの仲間です。


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Aloe pseudoparvula
「偽のパルヴラ」という不名誉な名前のプセウドパルヴラですが、少し特徴が見えてきました。とはいえ、今年6月のビッグバザールで購入したばかりですから、まだまだこれからです。


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Aloe parvula
パルヴラは2022年に入手しましたが、見違えるように生長しました。しかし、まだ当時の葉が少し残っていますね。プセウドパルヴラとあまり似ていないようにも見えますが、小さな苗のうちは区別がつかないくらい似ていました。

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根がはみ出してきました。来年は植え替えないといけませんね。


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去年の8月にサボテンの新種について調べた記事をあげました。論文が出たばかりで、まだ新種として認定されていないものもありました。ということで、去年の記事を振り返ります。現在ではどうなっていますでしょうか。また、あれからの1年間で新たに発表された新種のサボテンはあるのでしょうか。以下、去年の記事のコピーです。変わった部分は【追記】としています。いくつかの新種には画像リンクを貼りました。

1753年にCarl von LinneがサボテンをCactus属と命名した時には、すでにヨーロッパでもサボテンが栽培されていました。それから、沢山のサボテンが命名されてきましたが、未だに新種のサボテンが見つかっています。最近見つかったサボテンはなんだろうかと思って、少し調べてみました。と言っても、すべての新種を調べた訳ではなく、検索してすぐに出てきたものだけです。しかし、それでも2010年以降に限っても、それなりの種類は見つかりました。主に論文のAbstractだけをサラッと読んだだけですから、あまり詳しい内容は分かりません。ですから、簡単に見ていきましょう。

2011年
【追記】メキシコのTamaulipas州からマミラリアの新種、Mammillaria cielensisが記載されました。しかし、現在はM. zubleraeの異名となっています、

2012年
★アルゼンチンのブエノスアイレス州からウチワサボテンの新種、Opuntia ventanensisが記載されました。しかし、現在ではOpuntia fragilisの異名とされています。

2013年
★ペルー南部からボルジカクタスの新種、Borzicactus hoxeyiが記載されました。しかし、2014年にLoxanthocereus属になり、Loxanthocereus hoxeyiとなりました。

2014年
★ペルー北部からエスポストアの新種、Espostoa cremnophilaが記載されました。
★メキシコのオアハカ州からウェベロケレウスの新種、
Weberocereus alliodorusが記載されました。【追記】2018年にSelenicereus alliodorusとする意見もありましたが、認められておりません。
★メキシコのタマウリパス州からマミラリアの新種、
Mammillaria huntianaが記載されました。しかし、現在ではM. roseoalbaの異名とされています。
【追記】メキシコのZacatecasからオプンチアの新種、Opuntia gallegianaが記載されました。
【追記】米国のアリゾナ州からオプンチアの新種、Opuntia diploursinaが記載されました。
【追記】米国のカリフォルニア州からキリンドロプンティアの新種、Cylindropuntia chuckwallensisが記載されました。
【追記】ブラジルのリオデジャネイロ州からリプサリスの新種、Rhipsalis flagelliformisが記載されました。


2015年
★アルゼンチンのコルドバ州からギムノカリキウムの新種、Gymnocalycium campestreが記載されました。
https://identify.plantnet.org/k-world-flora/species/Gymnocalycium%20campestre%20%C5%98epka/data
★メキシコ中央部でツルビニカルプスの新種、
Turbinicarpus heliaeが記載されました。 しかし、2021年にKadenicarpus属になり、Kadenicarpus heliaeとされています。
【追記】メキシコ中部からオプンチアの新種、Opuntia delafuentinaが記載されました。
【追記】メキシコのバハ・カリフォルニア州で、7種類のウチワサボテンの新種が記載されました。それは、Opuntia clarkiorumCylinderopuntia libertadensis
Cylinderopuntia waltoniorumCylinderopuntia cedrosensisCylinderopuntia alcahes var. gigantensisCylinderopuntia alcahes var. mcgilliiCylinderopuntia ganderi var. catavinensisです。このうち、3つの変種は2019年に新種を記載した著者自身により亜種に変更されています。

2017年
★エルサルバドルでディソカクタスの新種、Disocactus salvadorensisが記載されました。
★メキシコのCoahuila州からウチワサボテンの新種、
Corynopuntia deinacanthaCorynopuntia halophilaが記載されました。しかし、2018年に2種類ともGrusonia属になり、Grusonia deinacanthaGrusonia halophilaとされています。実は、Corynopuntia属は消滅し、すべてGrusonia属となっています。
【追記】ドミニカ共和国南西部のPedernales州からレプトケレウスの新種、Leptocereus demissusが記載されました。
【追記】ハイチからケレウスの新種、Cereus haitiensisが説明されました。しかし、この名前は非合法名(nom. illeg.)とされ、認められませんでした。これは、1926年にすでにC. haitiensisが命名されていたため、名前が重複してしまうことからと考えられます。ちなみに、現在ではSerrulatocereus serruliflorusの異名となっています。


2018年
★メソアメリカ地域からデアミアの新種、Deamia montalvoaeが記載されました。
★メキシコのオアハカ州からテロカクタスの新種、
Thelocactus tepelmemensisが記載されました。
https://www.thelocactus.cactus-mall.com/Species_Files/tepelmemensis.html
【追記】メキシコ原産のStenocereus griseus複合体から、Stenocereus huastecorumが分離されました。しかし、未だに未記載種となっています。
【追記】キューバ西部のPinar del Rio州のカルスト石灰岩の崖からレプトケレウスの新種、Leptocereus assurgens var. albellusLeptocereus chrysotyriusが記載されました。L. 
assurgens var. albellusは、2020年にL. assurgens subsp. albellusとなっています。また、同じく2020年にL. albellusとする意見もありました。同じく2020年にL. chrysotyriusはL. assurgens subsp. chrysotyriusとされました。

2019年
★メキシコ南部からケファロケレウスの新種、Cephalocereus parvispinusが記載されました。
https://inaturalist.ca/taxa/1133501-Cephalocereus-parvispinus
★メキシコのヌエボレオン州からツルビニカルプスの新種、
Turbinicarpus boedekerianusが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/858375-Turbinicarpus-boedekerianus

2020年
★ペルーからリマンベンソニアの新種、Lymanbensonia choquequiraensisが記載されました。
★メキシコのハリスコ州からアカントケレウスの新種、
Acanthocereus paradoxusが記載されました。
★メキシコのシナロアからコケミエアの新種、
Cochemiea thomasiiが記載されました。【追記】2021年にMammillaria thomasiiとする意見もありましたが、認められておりません。
★メキシコからマミラリアの新種、
Mammillaria breviplumosaが記載されました。しかし、現在ではM. sanchez-mejoradae subsp. breviplumosaの異名とされています。
★分類が曖昧だったEchinocereus pulchellus複合体が整理され、
Echinocereus acanthosetusEchinocereus sharpiiが新種として分離されました。
【追記】ドミニカ共和国のアンティル諸島原産のLeptocereus weingartianus複合体から、新種のLeptocereus velozianusが分離されました。また、2021年にNeoabbottia velozianaとする意見もありましたが認められておりません。


2021年
★メキシコのハリスコ州南部からアカントケレウスの新種、Acanthocereus atropurpureusが記載されました。
★メキシコのバハ・カリフォルニア半島からウチワサボテンの新種、Opuntia sierralagunensisOpuntia caboensisが記載されました。
★ドミニカ共和国やハイチに自生するPilosocereusはP. polygonusとされてきましたが、新種のPilosocereus brevispinusPilosocereus excelsusPilosocereus samanensisに分解されました。

2022年
★ニカラグアからデアミアの新種、Deamia funisが記載されました。
★メキシコのサン・ルイス・ポトシ州からマミラリアの新種、Mammillaria morentinianaが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースにはまだ記載がありません。新種であるか否か、正式に審査されるのはこれからのようです。【追記】現在、M. morentianaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1433006-Mammillaria-morentiniana
★分類が曖昧だったMammillaria fittkaui複合体を分析し、ハリスコ州原産のMammillaria arreolaeを新種として説明しました。しかし、こちらもまだキュー王立植物園に記載はありません。【追記】現在、M. arreolataはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1427658-Mammillaria-arreolae/browse_photos
【追記】メキシコのBajioからステノカクタスの自然交雑種であるStenocactus × irregularisが記載されました。

2023年
★ペルーからウチワサボテンの新種、Cumulopuntia mollispinaが説明されました。【追記】現在、C. mollispimaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。
★ブラジルからパロディアの新種、Parodia flavaが説明されました。【追記】まだ未記載種のようです。
★ブラジルのリオグランデ・ド・スル州西部からパロディアの新種、Parodia hofackerianaが説明されました。【追記】現在、P. hofackerianaはThe International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants 2024.により新種として認定されました。また、2023年にNotocactus hofackerianusとする意見もありましたが認められておりません。ちなみに、NotocactusはParodiaに吸収され、属としては消滅しました。
【追記】ホンジュラスのCelaque山国立公園からアカントセレウスの新種、Acanthocereus lempirensisが記載されました。
https://uk.inaturalist.org/taxa/1491587-Acanthocereus-lempirensis
【追記】ブラジル東部の半乾燥地からタキンガの新種、Tacinga
 paiaiaが説明されました。まだ、未記載種のようです。
【追記】メキシコのGuanajuatoからマミラリアの新種、Mammillaria monochrysacanthaが記載されました。
https://www.inaturalist.org/taxa/1500362-Mammillaria-monochrysacantha
【追記】ケレウス属の遺伝子を解析し、ブラジルのミナスジェライス州とバイーア州原産のCereus ingensと、ブラジル北部原産のCereus gerardiが分離されました。しかし、まだ未記載種のようです。

2024年
2024年に公表された新種は、まだ未記載種となっています。これから、審査されることになります。
【追記】ブラジル北東部のCeara州からタキンガの新種、Tacinga mirimが説明されました。いままで、より大型のT. palmadoraと混同されてきました。
【追記】コロラド州西部からスクレロカクタスの新種、Sclerocactus dawsoniaeが説明されました。S. glaucusより小型でトゲが少なく、遺伝的にも異なります。
https://guatemala.inaturalist.org/taxa/1551384-Sclerocactus-dawsoniae
【追記】メキシコのBajio地域からマミラリアの新種、Mammillaria ariasiiが説明されました。M. hahnianaに似ています。
https://www.inaturalist.org/taxa/1543654-Mammillaria-ariasii/browse_photos
【追記】メキシコのSan Luis Potosi州からオプンチアの新種、Opuntia fortanelliが説明されました。
【追記】ユーベルマニア属の分子系統解析により、Ubelmannia nudaが分離されました。ブラジルのGerais州の原産で、遺伝的にはU. pectiniferaに近縁です。半地下生など珍しい特徴を持ちます。
https://www.cactuspro.com/forum/read.php?1,921125

最後に
以上が調べた限りの最近の新種のサボテンです。検索が不十分だったのでいくつか追加しました。また、2024年にも、8月までで既に5種類もの新種のサボテンが発表されています。しかし、まだ確認段階で正式に認められるのは来年以後になるでしょう。園芸的に見るならば、ユーベルマニアの新種はかなりインパクトが大きく感じます。今後、園芸市場に出回るでしょうか?
さて、今年に発表された種は、これから検証されて、将来的に正式にデータベースに記載されていく可能性があります。せっかく調べたのですから、これからは毎年チェックしていきたいですね。



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鶴仙園に行ったりして疲れてしまい、相変わらずぐうたらしていますが、多肉植物たちの写真は撮りました。少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia brachyphylla
7月に横浜のヨネヤマプランテイションのイベントで購入したブラキフィラですが、生長が始まりました。

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新しいトゲと葉が出ています。トゲは平たい面白い形です。

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Euphorbia delphinensis
デルフィネンシスが相変わらず開花しています。

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よく見ると結実しています。
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どうやら、雌雄同株のようです。

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Euphorbia gorgonis
ゴルゴニスも相変わらず結実していますが、よく見るとやはり雌雄同株のようです。


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Gymnocalycium prochazkianum subsp. simile VoS 1417
プロカズキアヌム亜種シミレがパンパンにふくれています。新しいトゲも出て調子が良さそうですね。

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紅彩ホリダ
紅彩閣×ホリダの交配種と言われる紅彩ホリダです。個人的には好きなんですが、人気がないらしく検索かけても、ほとんど情報がありません。普及種ですが、育てている人はあまりいないようです。


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Haworthiopsis fasciata var. browniana
ファスキアタ変種ブロウニアナが開花しています。花は随分とスリムです。蛾媒なのでしょうか? あと、花の開き方がハウォルチアにしては激しいですね。


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所用があって都内に出ることになったため、ついでに西武池袋の屋上にある鶴仙園へ行って参りました。5月以来ですから、3ヶ月ぶりのことです。台風一過の蒸し暑さの中ですが、どんな多肉植物があるのか楽しみです。

さて、本日の鶴仙園はという前に、西武池袋は全面改装のため、屋上に直通で行けずにパズルゲームのようにエスカレーターを乗り継いで向かいました。
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めちゃくちゃややこしいですね。

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なんとか、屋上に到達しましたが、公式ブログにある通りパキポディウム苗が大量に並んでいました。また、ユーフォルビア・コーナーがあり、普及種から高額な塊根まで沢山のユーフォルビアがありました。とはいえ、普及種は大抵は手持ちにあり、塊根は懐具合からちょっと遠慮しました。サボテンも見ましたが、私の好きなギムノカリキウムに変わったところはあまりなく、いつも通りといったところです。ハウォルチアは相変わらず大量にありましたが、軟葉系ばかりです。私の好きな硬葉系は、H. sordidaとH. nigraくらいでしたね。私の手持ちのニグラは小型のタイプですが、異なるタイプがあったので購入。あと、リミフォリアの変種があったのでこれも購入しました。

以下、購入品です。
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H. nigra BK596 ハマー4
このニグラはルチアさんの株ですよね。しかし、この「BK596」はフィールドナンバーでしょうか? ハウォルチアでBKは聞いたことがありませんね。「ハマー4」はもっとわかりませんけどね。


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H. limifolia v. ubomboensis
南アフリカではなくスワジランドのUbombo山の原産のリミフォリア変種です。非常に独特の外見ですね。リミフォリアには見えません。


西武池袋の食品売り場(菓子・惣菜)が何故か7階に移動するらしいという話を聞いたので、調べてみたところ衝撃の事実を知ってしまいました。なんと、全面改装で、鶴仙園のサービスを終了するというのです。まさかの、これが最後の鶴仙園かと唖然としてしまいました。しかし、鶴仙園のHPやブログにはそんな話はありません。よくよく西武池袋のHPを見ると、西武百貨店としてのサービス(アプリ、領収書など)が終了するだけで、閉店はしないのでは?という感じがします。鶴仙園のHPのお知らせでも、同じ文面でした。実際に鶴仙園の店員さんに聞いたところ、池袋の鶴仙園は営業を継続するとのこと。いやはや、焦りました。隣の観葉植物のお店は既に空になっていましたが、なんとそちらのスペースも鶴仙園の販売スペースとなるということです。かなり、広くなりますね。心配から一転して、逆に楽しみになりました。秋口になり少し涼しくなったらまた訪れるとしましょう。


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台風7号が大暴れしましたが、風は言われていたより大したことはなく、多肉植物たちにこれといった被害はありませんでした。お手製の雨よけが飛んでいくかも知れないとだいぶ心配していましたから、一安心です。さて、そんな台風一過の青空の下で撮影した、我が家の多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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矢毒キリン Euphorbia virosa
矢毒キリンの美しい新トゲが出ています。


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グロエネフィカ
交配種のグロエネフィカが次々と開花しています。


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Aristaloe aristata
1ヶ月以上咲き続けていたアリスタタの花が、いよいよ終わりの雰囲気です。

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と思ったのですが、花茎が分岐してまだ咲くみたいです。
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2014年にアロエから独立し、1属1種のアリスタロエになりました。ハウォルチア・ライクの美しいアロエ類です。

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Aloe bergerii
正体不明の謎アロエに蕾が出てきました。これで正体が分かるかもしれません。


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H. tessellata IB 6776
テセラタが開花しました。実は1度花茎が萎れてしまったので、今年2本目の花茎でした。

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フィールドナンバー付きですが、何ともいえない渋さがあります。
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花はかなり大型で、緑色が強いですね。非常に個性的です。


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サボテン栽培は日本でもそれなりに歴史がありますから、昔からサボテンの本は沢山出版されています。しかし、サボテン以外は単に「多肉植物」と称されがちで、なかなか単体では扱われて来ませんでした。ハウォルチアやエケベリアは近年の多肉植物ブームが起因となって本がでているようですが、私の好きなユーフォルビアについてはまだありませんでした。アガヴェとかエケベリアが好きな人は沢山いますが、ユーフォルビア好きで集めている人は、比べると少し珍しいかも知れません。ユーフォルビアはその種類の多さや多様性の高さなどは、多肉植物の中でも唯一サボテンに匹敵しますが、何故かそれほどの人気がありません。しかし、近年では、沢山の種類のユーフォルビアを見かけますし、珍しいユーフォルビアも流通してきました。これは、ユーフォルビア・ブームが来る前兆でしょうか? と言うことで、全ユーフォルビア・ファン待望のユーフォルビア本が出版されたので、簡単にご紹介しましょう。

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日本中のユーフォルビア・ファンが待ち望んでいたその本は、今年の7月に出版された靍岡秀明 / 著、『12か月栽培ナビNEO 多肉植物 ユーフォルビア』(NHK、趣味の園芸)です。靍岡秀明さんと言えば鶴仙園、私もお世話になっております。
さて、この趣味の園芸のシリーズは月ごとの栽培方法を指南するものですが、ユーフォルビアはどのような栽培が適しているのでしょうか。私などは、何となく試し試しというか、だましだまし栽培してきましたから、俄然プロの栽培方法には興味があります。細かい月ごとの管理が、春秋型、夏型、冬型で示されますが、正直そこまで細かく意識していなかったので、非常に参考になります。さらに、植え替えや挿し木、接ぎ木、受粉から種まき、さらには傷んだ株の仕立て直しまで、初心者が知りたい情報は大抵含んでいると思われます。
やはりと言うか、前半にあるユーフォルビア図鑑の個体の素晴らしさには圧倒されます。しかし、ユーフォルビアは種類も多く、その生活型や形態があまりにも異なるため、そのすべてが同じ属であることに改めて驚きを覚えます。ユーフォルビアを一冊の本にまとめるのは大変ですよね。

サボテンを栽培している人は昔から沢山いて、その栽培方法については割と一般化していると思います。しかし、ユーフォルビアに関しては、昔から普及種は売られていましたが、集めているのは一部の好事家くらいで、栽培方法などは個々で見つけていく雰囲気でした。ウェブ上の情報は割と怪しいものばかりですから、私も探りながらの栽培で困っていました。ですから、本書はすべてのユーフォルビア・ファンにとっての福音となるはずです。私個人としても、ユーフォルビアがより盛り上がって欲しいと考えております。まあ、ユーフォルビア・ブームが来たら珍しい種類も流通するだろうという、棚ぼたを期待してのことですが。まあ、それはさて置き、良書ですからおすすめ致します。


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本日も特にこれといった話題はありませんが、我が家の多肉植物たちを少しご紹介します。

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Euphorbia hedyotoides
この暑い中でもヘディオトイデスは実に元気です。葉が細長いユーフォルビアは何種類か育てていますが、その中でもヘディオトイデスが一番細い葉を持ちますね。

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短枝と長枝を繰り返す「ヘディオトイデス型分岐」が見られます。枝分かれは常に短枝から出て、長枝は枝分かれしません。

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Euphorbia sapinii
サピニイにようやく葉が出てきました。長らく坊主だったので心配でしたから、ほっとしましたね。


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魔界玉 Pachypodium makayense
魔界玉は葉焼けしつつも、勢いがあります。

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本体はほとんど見えませんが、赤味があるトゲが特徴的ですね。

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Euphorbia makayensis
こちらは、花キリンのマカイエンシスです。今年の生長は良好ですが、乾燥に弱く葉がすぐに巻いてしまいます。

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マカイエンシスの美しい新トゲ。

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Euphorbia woodii
タコものユーフォルビアの珍品、ウォオディイ(ウーディー)です。まだまだ小さいのですが、生長は旺盛で、かつ大変引き締まっています。将来が楽しみです。

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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸が開花し始めました。暑さに弱いようなことも言われますが、実際には極端な乾燥を嫌うだけです。水切れに注意していれば、真夏でも盛んに葉を出して開花もします。



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8月はあまりの暑さに参ってしまい、イベントはすべてパスしました。まあ、馴染みのあるイベントはなかったので特に問題はありません。新しいイベントを開拓する元気がないだけです。しかし、都内に出なくてはならない用事が出来たため、西武池袋の鶴仙園に寄ってみる予定です。まあ、そんなこんなで、本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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Euphorbia boiteaui
一般的にはE. decaryiと呼ばれている花キリンです。挿し木苗が流通していますが、この株は珍しいことに実生苗です。ちなみに、一般的にE. francoisiiと呼ばれている花キリンがE. decaryiとなっています。ボイテアウイは年間降水量が730mmの半乾燥地に生え、フランコイシイ(=デカリイ)は1600mmを越える湿潤地に自生します。


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Euphorbia guillauminiana
グイラウミニアナは暑さ知らずで、よく生長しています。グイラウミニアナはマダガスカルでも降水量が多い地域の原産ですから、他の花キリンよりも水切れを嫌います。


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孔雀丸 Euphorbia flanaganii
孔雀丸は久しぶりに調子が良さそうです。タコものユーフォルビアはみな近縁なグループですが、日照に対する好みは種ごとにまったく異なります。ゴルゴニスが日照を好むため、孔雀丸も以前は同じ環境に置いていましたが、どうしても生長不良になっていました。今年は遮光を強くしたため、枝の勢いも数も良好です。


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Euphorbia pachypodioides
パキポディオイデスは当初は育て方が分からず、他のユーフォルビアと同じ管理していたため、葉が直ぐに落ちてしまい、常に葉が1〜2枚しかない貧相な外見でした。植え替えをしてみると根が細く繊細で、とても乾燥に強いようには見えません。調べてみると、パキポディオイデスは年間降水量が1600mmを越える地域の原産なので、それなりに湿潤な環境を好むようです。


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貴青玉錦 Euphorbia melofolmis cv.
メロフォルミス系の交雑種らしき貴青玉の斑入り品種。ユーフォルビアの班入りはあまりにも整然と入るため、作り物のように見えますね。

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Haworthia maraisii var. notabilis JDV 87/197
マライシイ変種ノタビリスが開花しました。
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流石に暑いようで顔色はあまりよくありません。
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花は典型的な配色。

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今年の植え替えでは、どうにも調子が悪そうな多肉植物がいくつかありました。様子を見ていましたが、いくつかは復活の兆しがあります。忙しさにかまけて十分に手入れ出来ない私のせいではありますが、なんとか完全復活して欲しいものです。

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Euphorbia poissonii
ポイソニイは去年、急に調子を落としてしまいました。理由がわかりませんでしたが、今年植え替えたところ、根か寄生性のカビにやられていました。このカビはある程度広まってしまったようですが、殺菌剤がよく効くようで、ポイソニイも危機は脱したようです。ただ、ユーフォルビアは根をやられるとなかなか復活しない場合が多いため、カビは駆除出来ても生長が止まってしまいがちです。

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飛竜 Euphorbia stellata
飛竜は中々上手くいきません。購入時にあった脇の太い塊根が腐り、今でも深い傷跡が残ります。その後はそれ以上、腐敗は進行しませんでしたが、例によって寄生性のカビが感染してしまったようです。こちらも殺菌剤で治療中です。この寄生性のカビは、塊根ではない太い根に感染し、黒い菌核を作ります。今のとこユーフォルビアだけで、何故か同じユーフォルビアである花キリンには感染しないようです。

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Euphorbia magnifica
おそらくですが、根詰まりと言うか根腐れを起こしてしまいました。冬の間に下から枯れていったので、水やりを中止したらそれ以上は進行せず、先端だけ生きている状態で春を待っていました。その状態で少し根が出ていましたから、切断して植え込みましたが、どうやら大丈夫なようです。購入時に小さな鉢にミッチリ根が詰まっており、カチカチに固まってしまっており、ほとんどほぐせませんでした。仕方なくそのまま植え込みましたが、やはり塊部分が過湿になっていたのでしょう。

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Euphorbia gymnocalycioides
ギムノカリキオイデスは、今年の植え替えでは根がほとんどありませんでした。冬の間の植物用ランプが強すぎたようで、やや焼け気味の色合いでした。しかし、室内で様子見していたところ、色合いも良くなり触ってもぐらつかなくなりました。ちゃんと根を張ったようですね。

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大型鬼胆丸
すっかり縮んでしまいましたが復活しました。まあ、根には問題かなかったので、去年厳しくしすぎただけのようです。
一般的に大型鬼胆丸はGymnocalycium gibbosum var. nigrumとされており、というか変種ニグルムの中でも大型のタイプを大型鬼胆丸と呼んでいるらしいです。では、大型ではない鬼胆丸はというと、Gymnocalycium gibbosum var. brachypetalum、あるいはGymnocalycium brachypetalumと呼ばれます。しかし現在では変種ニグルムも変種ブラキペタルムも、
Gymnocalycium gibbosum subsp. gibbosumに含まれてしまっているようです。

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Aloe humilis
小さい鉢に植えられていたので、根詰まりからの過湿で弱っていたので植え替えました。現在は新しい葉を盛んに出しており、完全に復活したようです。

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Haworthia arachnoidea
アラクノイデアは育ちすぎて、葉で鉢に蓋をした形となってしまい、水分がまったく蒸発しない状況になってしまいました。根腐れを起こし、葉も全体的に軟弱になりましたが、植え替え後しっかり根を張ったようです。中央の新しい緑色の葉はしっかりしており、周囲の色味の悪い古い葉はぐにゃぐにゃしています。まあ、ハウォルチアは強いので多分大丈夫だろうとは思っていました。


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暑い日が続きます。水をまくだけで全身汗だくで、写真を撮るだけでも疲れてしまいます。日中に撮影していると、スマホが過熱してしまいカメラが強制停止してしまうため、夕方の明るいわずかな時間に慌てて撮影しました。

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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
亀甲竜が早くもお目覚めです。暑くよく日に当たる場所に置いたせいかもしれません。

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恵比寿笑い Pachypodium brevicaule
恵比寿笑いは、パキポディウムの中でも非常に元気です。葉が繁りすぎて本体が見えませんね。

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塊茎がよく発達しています。少し窮屈かも知れません。

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Uncarina roeoesliana
ロエロエスリアナの葉は大変勢いが良いですね。しかし、何故か花は咲かず…。

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露出させた塊根部がひび割れを起こしています。塊根の生長は順調なようです。

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Euphorbia mlanjeana
ムランジェアナがようやく動き始めました


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Pachypodium densiflorum
デンシフロルムの2番花が咲いています。今年は3番花はあるでしょうか?



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本日はちょっと変わったサボテンの論文を見つけましたので、ご紹介します。それは、N. B. Englishらの2021年の論文、『Age-growth relationships, temperature sensitivity and palaeclimate-archive potential of the threatened Altiplano cactus Echinopsis atacamensis』です。ボリビアに自生する絶滅危惧種である柱サボテン、Echinopsis atacamensis var. pasacanaについて様々な視点から研究を行っています。

pasacanaについて
南部Altiplanoでは、長寿の柱サボテンであるpasacana=Echinopsis atacamensis var. pasacanaが自生します。南Altiplanoのpasacanaは海抜2000〜4000mの、寒く(年間平均気温-0.6〜16.4℃)、乾燥した(年間降水量200mm)生息地に適応しており、地元の木材としての価値もあり絶滅危惧あるいは準絶滅危惧種と考えられています。
サボテンの生長に関して、従来は写真撮影や測定を繰り返し数年〜数十年にわたり行われてきました。しかし、pasacanaの自生地は遠隔地にあるため調査は困難で、その生態などについてほとんど知られておりません。

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Trichocereus pasacana
「The Cactaceae」(1922)より。


棘に刻まれた過去
著者らが開発したサボテンのトゲの放射性炭素同位体の測定手法により、1950年代以降のサボテンの樹齢を正確に判定することが出来ます。また、トゲの中の酸素同位体比はサボテンの茎の水分量と関係します。サボテンの茎の水分の貯蔵は、温度や降水量の変化に反応します。サボテンのトゲは降雨と旱魃による茎の膨張と収縮を記録しています。従って、サボテンのトゲは生長中の気候変動を反映しているのです。

pasacanaの樹齢
ボリビアのウユニ塩湖にあるPescado島に自生する2個体のpasacanaのトゲを解析しました。1個体は約70年にわたり年平均5.8cm生長し、もう1個体は約50年にわたり年平均8.3cm生長しました。Pescado島でもっとも背が高いpasacanaは高さ8.3mでしたが、計算上ではその樹齢は308〜430年と推定されます。また、生長率から生存曲線を描くと、1993年、1965年、1943年、1904年、1862年付近で生存率はピークとなっていました。

Altiplanoの過去
pasacanaのトゲの酸素同位体と放射性炭素同位体の比を測定すると、1953年〜2011年の間の変動は41.6〜62.5%と極端でした。しかし、降水量はその間に約6%の変動しかありませんでした。北米の柱サボテンでは、酸素同位体比は降水量と相関します。しかし、Altiplanoでは南米夏季モンスーン(SAMS)により、水の供給は安定しています。サボテンはCAM植物ですが、水分の蒸発を抑えるために夜間に気孔を開きます。そのため、蒸散は主に夜間に起こり、蒸散速度は夜間の気温と蒸気圧差により制御されます。標高約4000mの夜間の気温は冷涼ですから、気温のわずかな上昇が蒸気圧差に影響を与えます。そのため、夜間気温の高い年には、茎の水分が蒸発しトゲの酸素同位体比が上昇します。

最古のサボテン記録
この研究では462本のpasacanaの高さを測定しましたが、pasacanaが154cm、つまり約50〜60歳に達すると急激に死亡率が低下することが分かりました。降水量の増加や低気温が長く続いたり、深刻な旱魃がなかったりした場合に、新しい実生の加入が起きると考えられます。人口統計学的には、pasacanaは成熟するのに、つまりは腕が追加されるのに約100〜150年かかり、北米の柱サボテンより生長は遅いことが分かりました。また、約400歳に達する非常に長寿なサボテンで、これまでに推定された最古の記録となります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
樹木の放射性炭素同位体による年代測定は盛んに行われていますが、年輪を作らないサボテンの放射性炭素同位体による年代測定は初めて聞きました。トゲは確かに作られた時の環境に影響を受けていますから、言われてみれば納得です。
しかし、推定年齢はなんと400歳に達する可能性があると言うことに驚きます。巨大な柱サボテンであるSaguaro(弁慶柱)などは、あまり背が高くなると倒れるイメージでしたから、樹木のような長寿は予想だにしていませんでした。
さて、論文では古代の海洋気候などと関連付けた壮大な考察が続きますが、そこら辺は私の専門外と言うか、あまり興味がないので割愛させていただきました。
最後になりますが、pasacanaの学名の変遷を簡単におさらいしましょう。Echinopsis atacamensis var. pasacanaは、2021年にLeucostele atacamensis subsp. pasacanaとなっています。このpasacanaの歴史は、1885年のPilosocereus pasacanusから始まり、1894年のCephalocereus pasacanus、1920年のTrichocereus pasacana、1959年のHelianthocereus pasacanus、1974年のEchinopsis pasacana、1980年のTrichocereus atacamensis var. pasacanus、1996年のEchinopsis atacamensis subsp. pasacana、2012年のTrichocereus atacamensis subsp. pasacanusなど沢山の異名があります。複数種だと思われていたのではなく、どの分類群に該当するのかはっきりしなかったようですね。



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本日はあまり多肉植物に動きがないため、適当に撮影しました。何となく、硬葉系ハウォルチアを少しだけご紹介します。

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Haworthiopsis limifolia
普通のリミフォリアです。この場合、H. limifolia var. limifoliaと言うことになるのでしょうか? 勢いはあるのに、何故か花が咲きません。不思議。


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Haworthiopsis limifolia var. stolonifera
変種ストロニフェラは色合いが明るいだけで、だいぶ雰囲気が変わりますね。明るい色ですが、実に元気で育て方に特別な違いはなさそうです。現在は変種リミフォリアの異名とされています。


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Haworthia gideonii
ギデオニイは葉が薄いみたいで、乾燥で葉が巻いてしまいました。流石に置き場所を変えて遮光を強くしました。ちなみに、H. gideoniiと書きましたが、明らかにH. limifolia系です。しかし、ギデオニイはキュー王立植物園のデータベースにはないよくわからない名前です。Haworthia Updateと言うサイトでは、「
Haworthia gideonii Breuer(2010)、nom inval.(非公式名)」とありました。一般的にもnom. nud.(裸名)とされていますし、まあ現状は渾名のようなものかも知れません。原産は南アフリカのKomatipoortと言うモザンビークとの国境付近とのこと。小型の暗色のタイプのようですね。

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Haworthiopsis limifolia var. glaucophylla
変種グラウコフィラは明るい色合いと、結節がない滑らかな肌が特徴です。4月にホムセンで買った時には根がほとんどありませんでしたが、復活し花茎を伸ばしています。


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Haworthiopsis fasciata var. browniana
変種ブロウニアナは7月にホムセンで購入しましたが、早くも花茎を伸ばしています。ファスキアタの結節が目立たない変種ですが、思った以上に美しいですね。


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Gymnocalycium friedrichii LB 2178
タイミングが合わなくて、なかなか開花した写真が撮れません。そういえばLB 2178は有名ですが、情報を調べたことがなかったような気がします。と言うことで調べてみました。

Field number : LB 2178
Collector : C. A. Ludwig Bercht
Species : Gymnocalycium friedrichii
Locality : Agua Dulce, Alto Paraguay, Paraguay


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怪竜丸
怪竜丸に蕾がつきましたが、タイミングが合わなさそうなので、室内に入れてシャッターチャンスを狙いましたがなんかイマイチですね。ちなみに、怪竜丸はG. basiatrumに比定されているようです。



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久しぶりにダーウィンに関する新書が出版されました。2024年7月の新刊、鈴木紀之 / 著、『ダーウィン 「進化論の父」の大いなる遺産』(中公新書)です。実は進化生物学に関する本は割とでていますが、ダーウィンその人、あるいは「ダーウィンの進化論」についてはあまり語られません。本書では珍しくダーウィンの植物に関する本についても取り上げられていますから、今回記事にしてみました。

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種の起源
ダーウィンと言えば進化論を世に問うた「種の起源」が有名で、一般的に解説されるのも大抵はこの本です。しかし、意外にも大きな理論はともかく、詳細は語られないことが多いように思われます。本書ではそこに至るまでの道筋となる研究が示されます。
ダーウィンが進化論の問題点をまとめて議論している章もあり、大変興味深く読みました。なぜなら、意外にもこの時点の議論で、現代のウェブ上の進化論否定論者の批判の多くに対し、すでに回答しているからです。今日でも、ウェブ上などではラマルクやその他の進化論を批判することにより、ダーウィンの進化論を否定すると言う不可思議な言説が目立ちます。結局のところ、ダーウィンの進化論については実はよく知らないのでしょう。いみじくも、ダーウィンその人による「知識より無知のほうがより多くの自信を生み出すものだ。」と言う戒めは、未だに通用する考えでしょう。

性淘汰
本書では珍しいことに「人間の由来と性淘汰」が取り上げられています。進化論は当時のキリスト教下のヨーロッパ世界に対する重大な挑戦でした。しかし、「種の起源」では慎重に避けられていた人間の進化について、ついに語られる時が来たのです。しかし、「人間の由来と性淘汰」は、やはりダーウィンの実に独創的な理論である性淘汰について語られることが重要です。しかし、性淘汰は進化論の同士であるウォレスにすら批判されるなど、当時は理解されない理論でした。性淘汰が学術的に認められたのは、「人間の由来と性淘汰」が出版されてから約100年後であったことを思うと、ダーウィンはあまりに先駆的過ぎたのでしょう。

ダーウィンと植物
植物については専門家ではないとダーウィン自身が述べていますが、実際には6冊もの植物を研究した本を書いています。ダーウィンの植物研究についてはほとんど語られませんが、非常に重要な内容を含んでいます。
「ランの受精」では、花粉媒介者の役割りについて言及されます。実は当時の花に対する理解としては、人々を楽しませるために神が創造したとされており、花を訪れる昆虫の働きは注目されていませんでした。「ランの受精」では他家受粉のメリットについても説明されますが、「植物の受精」において自家受粉のデメリットについて徹底的に実験し検証しています。
また、「植物の運動力」では、芽の光に対する屈曲を実験により確認しています。この光の屈曲は、植物ホルモンの働きとして教科書に載る重要な現象です。ダーウィンが植物ホルモンを見つけたわけではありませんが、当時の権威の説く常識に真っ向から対立する考え方でした。後にダーウィンの方が正しいことが明らとなりましたが、徹底した実験と観察により証明するダーウィンの真骨頂ですね。


最後に
本書はダーウィンの著作について、一通り解説しています。珍しいことです。ちゃんと、ダーウィンの行った実験を1つずつ丁寧に解説された本は、実はそれほどないような気もします。ダーウィン本と言えば、その生涯や場合によってはゴシップ、あるいは社会ダーウィニズムなどへのダーウィンには責がないことへの悪影響などを綴るものもありますが、それらは個人的には偉人伝以上の価値はないと感じてしまいます。本書はあくまでも科学的な見地から解説し、科学的な価値や影響を示しています。残念なことに流言飛語に満ち誤解されたダーウィンの進化論について、正しく学べる良い機会です。皆様もこの機会に手にとってみては如何でしょうか?


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サボテンが水を蓄えて多肉質な面白い姿をしているのは、当然ながら乾燥地の厳しい環境に適応した結果です。しかし、環境の厳しさとサボテンに種ごとの特徴との関係性は、あまり詳しくは分かっていないようです。そこで、6種類のギムノカリキウムについて、それぞれの自生地の降水量と形態的な特徴との関係を調査した論文をご紹介しましょう。それは、Solana B. Perottiらの2022年の論文、『Biomass Partitioning and Morphoanatomical Traits of Six Gymnocalycium (Cactaceae) Species Occurring along a Preciptatiom Gradient』です。

ギムノカリキウム属と降水量勾配
ギムノカリキウム属は南アメリカ南部原産のサボテンで、約50種が含まれます。アルゼンチン北西部の山岳地帯にもっとも豊富に生息しています。この地域は気候が非常に不均一で、湿潤した環境から非常に乾燥した環境まで様々な生態系があります。本研究の目的は、降水量勾配に沿って分布する6種のサボテンが、バイオマス分配(茎や根、トゲなどのどこに資源をどの程度分配するか)と、形態・組織学的な特徴の点でどのように異なるのかを分析することです。

生息地域の環境
調査はアルゼンチンのCatamarca州において実施されました。乾燥地帯としてMonte ecoregionから、G. pugionacanthumとG. marianaeを採取しました。半乾燥地帯としてSan Fernando del Valle de Catamarca市近郊から、G. stellatumとG. hybopleurumを採取しました。亜湿潤地帯としてEl Rodeoから、G. oenanthemumとG. baldianumを採取しました。
この乾燥地帯は年間平均降水量は380mmで平均気温は16.3℃、半乾燥地帯の年間平均降水量は460mmで平均気温は19.7℃、亜湿潤地域の
年間平均降水量は500mmで平均気温は17.4℃でした。
属下分類は、乾燥地帯のG. 
pugionacanthumはScabrosemineum亜属、G. marianaeはGymnocalycium亜属で、半乾燥地帯のG. stellatumはTrichomosemiuneum亜属、G. hybopleurumはScabrosemineum亜属で、亜湿潤地帯のG. oenanthemumはScabrosemineum亜属、G. baldianumはGymnocalycium亜属です。

形態学的な特徴
もっとも乾燥した地域に分布するG. pugionacanthumは、非常に粗くて長く太いトゲを持ち、地下茎がもっとも長いと言う特徴がありました。さらに、乾燥地に分布するG. marianaeは高い密度のアレオーレとトゲを持っていました。
半乾燥地に分布する
G. hybopleurumは、全長のほぼ半分に達する長さの紡錘根(napiform root)を持ち、中程度の密度のアレオーレ、多数の大きく幅広いトゲを持つものの、G. pugionacanthumやG. oenanthemumと比較すると少ないものでした。G. stellatumは稜(rib)がもっとも多く、地下茎は地上部の2倍に達し、トゲの数は少なく高密度のアレオーレを有していました。
G. oenanthemumは全長のほぼ半分に達する長さの主根を持ち、長くて幅広いトゲは数が多いものの、アレオーレの密度は低いものでした。G. baldianumも長い主根があり、地上部の方が短く、もっとも高密度のアレオーレを持っています。

環境とバイオマスの分配
以上のようにバイオマスをどこに振り分けるかは異なります。G. baldianumはトゲに対する割り当てが少なく、逆にG. pugionacanthumはより多く割り当てました。特に乾燥した環境に自生するG. pugionacanthumは、主根に多くを割り当てています。しかし、湿潤な環境に自生するG. baldianumは、乾燥した環境に自生するG. marinaeよりも、主根へより多くバイオマスを割り当てていました。

組織学的な特徴
表皮は種の間で、もっとも変化に富んだ組織でした。G. pugionacanthum、G. hybopleurum、G. oenanthemum、G. stellatumは、陥没した気孔と楕円形の肥厚またはクチクラの外縁を示しました。G. pugionacanthumやG. stellatumは大きなイボ状の突起、または乳頭状突起を示しますが、G. hybopleurumやG. oenanthemumはより小さいものでした。対照的に、G. marinaeやG. baldianumでは、気孔は表皮細胞と同レベルであり非常に豊富で、薄いクチクラと表皮を持っています。G. pugionacanthumは最高値の厚いクチクラと表皮、皮下組織を持ち気孔は陥没し、その特徴は乾燥した環境と一致します。

結論
著者らは環境と形態学特徴、あるいは組織学的特徴が関係していることを想定しました。しかし、実際には特徴は系統関係と関連があるように見えます。つまり、同じ亜属内の種は類似しているのです。
皮下組織の層数と細胞壁の厚さは、乾燥に対する形態と考えられています。そのため、G. pugionacanthumとG. stellatumがもっとも乾燥環境に適していると考えられます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
著者らの想定した降水量と形態的特徴は、必ずしも相関はありませんでした。むしろ、系統関係が意味を持っているようです。これはなかなか意味深で、各種が各々で乾燥に耐えるべく進化したと言うより、各亜属が別々に乾燥に適応していった可能性を示唆するからです。
また、著者らは乾燥地帯に自生するG. pugionacanthumと、半乾燥地帯に自生するG. stellatumがもっとも乾燥に強い可能性を示しました。これはどう捉えたら良いのでしょうか。例えばですが、各種の自生地は、乾燥に耐えられる極限であるとは言えないとするのはどうでしょう。乾燥に対する耐性は、ある程度の幅があるはずです。ある一定以上の乾燥耐性があれば、割りと場所を選ばない可能性もあります。つまりは、単純に種分化する道筋で様々な環境と出会っただけで、様々な環境に出会ったからその環境に適応したわけではないと考えてはいかがでしょうか? G. pugionacanthumはその環境でもっとも上手くやれる能力があると言うだけのことです。まあ、これはただの思いつきに過ぎません。まだ、分からないことが沢山ありますから、様々な可能性がありそうです。今後の研究に期待しましょう。


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猛暑が続き私はあまり元気がありませんが、多肉植物たちは大変元気です。本日も多肉植物が開花したりしましたから、少しご紹介しましょう。

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グロエネフィカ
交配種のグロエネフィカが開花しています。E. groenewardii × E. veneficaと言う面白い組み合わせの交配種です。

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花は筒状。

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大正キリン
大正キリンが開花しました。しかし、大正キリンの学名は、一般的にはE. echinusと言われてきましたが、実はE. officinarumが正しく、E. echinusは異名となりました。しかし、近年ではE. officinarumは3亜種に分割されたようで、"echinus"の名前は亜種として復活したようです。この内、稜(rib)が少ない(5〜8本)ものが亜種echinusの特徴とされるようです。一般的に国内で普及している大正キリンは、おそらくはE. officinarum subsp. echinusなのでしょう。


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Euphorbia gorgonis
ゴルゴニスが結実しました。一般的にユーフォルビアは雌雄異株なので、結実しないはずですが…。ちょうど花が咲いているタコものユーフォルビアはありません。何と交配したのでしょうか? 近くにあるのはE. handiensisで、確かにずっと開花しています。他だと花キリンがいくつか開花していますが、果たして受粉するでしょうか? まあ、ユーフォルビアは稀に雌雄同株もあるようですから、必ずしも他家受粉とは限りませんが。


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Euphorbia rossii
ロシイは植え替えの効果か元気です。この暑い最中、開花し始めました。

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花は割と目立ちません。
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塊根は荒れた感じで実に良いですね。

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Aloiampelos striatula var. caesia
とんでもない形に育っているストリアツラ変種カエシアです。以前は棒で支えていましたが、根本が樹木化してきたので自立しましたが、頭が重いのでこうなります。

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根本から新しい芽が出てきました。藪状に育つアロイアンペロスですが、これからどのように育つが楽しみです。


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アロエやハウォルチアなどの仲間をまとめてアロエ類と呼びますが、本日はその中でも特に小さい連中をご紹介しましょう。

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Aloe descoingsii
一般的に最小のアロエと呼ばれているデスコイングシイです。理由はわかりませんが、何故か「ディスコイングシー」と読まれているようです。その方が言いやすいからでしょうか。
さて、
デスコイングシイは小さいだけで、外見的にはアロエらしいアロエです。葉には厚みがあり幅が広く、全体的に斑点があり葉縁には鋸歯があります。異なるのは、全体的に小型で、葉が幅と比べて異様に短いため、寸詰まりな外見となります。有名な割りにあまり見かけないアロエです。

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Aloe haworthioides
こちらも最小のアロエと呼ばれることがあるハウォルチオイデスです。群生して密集した塊になります。ハウォルチオイデスは、外見的にはアロエらしさはありません。あまり多肉質でもなく、葉は細長く鋸歯もありません。毛に覆われる姿はどちらかと言えばハウォルチアで、学名も「ハウォルチアに似た」と言う意味です。
ハウォルチオイデスの葉はデスコイングシイよりも長いのですが、全体的に貧相で葉の幅がほとんどないため、肉質なデスコイングシイよりも小さいように感じるのかも知れません。ちなみに、ハウォルチオイデスは偽物もあるようで、
もっと多肉質で鋸歯のあるアロエらしい姿をしています。どうやらハウォルチオイデスの交配種らしいのですが、無責任にも誤った名前で販売している人がいるようです。

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Aloe 
calcairophila
カルカイロフィラは葉は長いのですが、草体は非常に小柄です。カルカイロフィラは葉が回転しないで育ちます。アロエやハウォルチアなどのアロエ類は、小さなうちは2列性ですがやがて回転し始めます。アロエ類で生涯に渡り2列性と言うのは、割と珍しい部類です。アロエ類ではGasteria nitida v. armstrongiiなど、ガステリアは回転しないものもあります。そういえば、Kumaraは2種類とも2列性ですね。


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Haworthia parksiana
こちらは最小のハウォルチアと呼ばれるパルクシアナです。非常にコンパクトで整った美しいハウォルチアです。葉の長さ、幅、厚み共に小さいですね。

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H. nigra IB 1284
硬葉系ハウォルチア、つまりはハウォルチオプシスの最小は何でしょうか? 聞いたことがありません。硬葉系と軟葉系を区別せず、単に「最小のハウォルチア」としているからかもしれません。硬葉系ではニグラは小さい方だと思います。
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ニグラにはタイプ違いが沢山あり、サイズは様々です。右側はH. beanii IB 284ですが、現在ではニグラの異名となっていますから、タイプ違いと言うことになります。サイズ感が違いますね。

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H. woolley GM 079
ウォオレイ(ウーレイ)ですが、小柄なタイプのようで小さいままです。
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ウォオレイはヴェノサの亜種や変種とする考えもありましたが、今は独立種です。右側はH. venosaですが、やはりサイズ感の違いに驚きます。

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H. fasciata fa. vanstaadensis
矮性のファスキアタです。葉が短く詰まった外見となります。

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通常のファスキアタと比較すると、小ささが分かります。右側はH. fasciata DMC 05265。

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H. attenuata f. tanba
こちらは矮性のアテヌアタです。

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十二の巻系のスーパーゼブラと比べると、やはり葉は短いですね。

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H. scabra var. morrisiae VA 6451
こちらのモリシアエは割と小型です。花茎の細さからして、大きくならないでしょう。

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右側のH. scabraもダルマ型なので葉は短いのですが、全体的に大柄に見えます。

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H. viscosa
ヴィスコサも割と小型ですね。最近、ヴィスコサ系交配種の五重の塔(H. tortuosa)をH. viscosaの名前で販売するのが流行っているようです。皆様、お気をつけ下さいね。

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右側はH. rynveldiiですが、現在はH. viscosaの異名です。つまりはただのタイプ違いと言うことになりますが、えらく違いますね。

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H. jonesiae
ヨネシアエ(ラテン語の"jo"は"ヨ"と読みます)は、それほど小さくもありませんが、実は小さい部類です。と言うのも、ヨネシアエは現在ではH. glauca v. herreiの異名だからです。

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右側がH. glauca v. herreiですから、ヨネシアエは小型で華奢に見えます。まあ、変種ヘレイはかなりのバリエーションがありますから、右側のヘレイが典型的と言うわけでもありません。

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H. coarctata var. tenuis
テヌイスも葉は短く小さいですね。

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右側のH. coarctata IB 5850と比べると如何に小さいか分かります。

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Astro foliolosa
フォリオロサの小型のタイプです。アストロロバもアロエ類の一員です。

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Astroloba aspera
アスペラも小さいですね。ちなみに、アスペラは現在は存在しない名前で、おそらくはA. corrugataの1タイプのような気がします。1804年にHaworthが命名したAloe asperaが何だったのか、調べてもよくわからないのです。
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並べてみると、サイズ感は似ています。


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あまりにも暑い日が続くせいで、花キリンの一部は乾きすぎて葉が巻いてしまいます。塊根性ではなく葉が薄いものは、週1回の水やりでは厳しすぎるようです。

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Euphorbia f. rubrifolia
ルブリフォリアが開花しています。学名がおかしな感じですが、これは購入時のラベル情報です。一応説明しておくと、これはE. francoisiiと呼ばれてきた花キリンの仲間です。しかし、
E. francoisiiは誤りで、正しくはE. decaryiであるとされています。今までE. decaryiと呼ばれてきた花キリンはE. boiteauiとなっています。さらに、E. francoisiiからE. crassicaulisが分離され、別種となったのです。と言うことで、これはE. crassicaulisの葉が赤いタイプです。名前がコロコロ変わるので、何のforma.とするかで困ってしまったのかも知れません。

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Euphorbia crassicaulis
購入時のラベルはE. francoisii var. crassicaulisでしたが、上記のように現在は独立種です。

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草体は赤味がかりますが、花は薄緑色です。
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実生苗なので塊根があります。

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Euphorbia paulianii
パウリアニイの新葉と新トゲが美しいですね。

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幹の螺旋状の回転が始まりました。

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Gymnocalycium ochoterenae var. cinereum
キネレウムは実に均整の取れた姿です。 


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Haworthiopsis reinwardtii f. chalumnensis
鷹の爪系のカルムネンシスが開花しました。

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結節が目立ちますね。
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花は先端に近い半分だけ緑色のラインが入っています。全体的に白っぽいですね。
 
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Haworthiopsis scabra
スカブラも開花しました。

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よく日を浴びているので、実に良い色合いとなっています。
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花は典型的な形状・配色ですが、やや根元が赤味がかるようです。


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サボテンと言えば、何と言ってもそのトゲが特徴でしょう。トゲのない烏羽玉(Lophophora williamsii)や兜丸(Astrophytum asterias)などもありますが、もっとも原始的なPereskiaやLeuenbergeriaでもトゲがあるのですから、やはりサボテンはそのトゲなくして語れません。このさて、このサボテンのトゲは、やはり研究者も気になるようで、様々な角度から研究が行われています。サボテンのトゲの役割は身を守るためであろうことは直感的に分かりますが、どうもそれだけではないようです。と言うことで、本日はNayla Lujan Aliscioniらの2021年の論文、『Spine function in Cactaceae, a review』をご紹介しましょう。タイトルの通り、過去に行われたサボテンのトゲの研究を調べレビューしています。

棘の種類
サボテンは約1850種類と種数が豊富で、トゲの形態も多様性があります。棘のサイズもばらつきがあり、数mmから20cmまであります。棘は集合しているとより効果的に防御できます。棘のほとんどは針状で、断面は円形で、片側が平らになっていたり鉤状となる場合もあります。また、種により複数種の棘を持つものもあります。例えば、Oreocereus属には通常の防御棘と毛状の棘があります。刺座(アレオーレ)から生える棘の配置はパターンがあり、1つは櫛状の配置で棘は2列に並びすべて同じ大きさです。もう1つは、中心の棘、より長い棘、放射状の棘への分化です。

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Oreocereus celsianus
Pilocereus brunnowiiとして記載。
『The illustrated dictionary of gardening』(1895年)より


棘の機能
サボテンの棘の主たる機能、おそらくはより古いものは植食者に対する防御です。サボテン科は約3000万年前の地球規模の乾燥化に関連して誕生したと考えられています。乾燥した環境では、多肉質な組織は水源となります。そのような状況で、サボテンは物理的な防御として棘を発達させた可能性があります。
現在のサボテンの棘の機能の多様性は、サボテン科の進化的な放散により機能が増加したことをあらわれています。1986年にGibson & Nobelは、防御から体温調節、紫外線からの保護機能を提案しました。


文献探索
サボテンの棘の機能について書かれた論文を調査したところ、24件の研究が見つかり、39種のサボテンが分析されていました。これらの論文において、棘の機能は抗草食防御が5件、抗寄生植物防御が2件、栄養分散が3件、体温調節が11件、集水作用が4件でした。研究のうち9件は野外で実施され、8件は実験室で、7件は野外と実験室の両方で実施されました。
調査されたサボテンはそのほとんどが北米と中米(主に米国とメキシコ)で31種類にのぼり、南米では8種類に過ぎませんでした。南米には非常に過酷な、乾燥した砂漠から熱帯雨林、海抜0mから4000mを超える高さまで生息するサボテンが豊富に存在します。サボテン科はその棘が重要であるにも関わらず、棘の機能を理解するためのモデルとされたのはごく一部に過ぎません。


抗草食防御
草食動物に対する防御は、サボテン科の進化における棘の最初の機能である可能性が高いでしょう。しかし、その機能を分析した研究は少ししかありませんでした。2009年にNassar & Lev-Yadunは、ウチワサボテンの棘密度は、草食動物が食べやすい上部では高いことを発見しました。2018年にCrofts & Andersonは、サボテンの棘が草食獣の皮膚を突き刺すため、草食獣は棘の少ない新しい枝を好むことを観察しました。また、サボテンに限らず棘のある植物は、大型草食動物による採食に長期間さらされると、棘が増えることが知られています。

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ウチワサボテン(筑波実験植物園にて)

温度調節
1970年にGibbs & Pattenは、トゲが極端な高温から茎を保護し、日照のエネルギーの多くを反射および吸収していることを発見しました。2017年にDreznerは、温度が上がるとトゲの長さが長くなることを示しました。2002年のNobel & Bobichは、トゲの密度は高度が高いほど増加し、低温から茎を保護していることが分かりました。

霧収集システム
サボテンには効率的な霧収集システムを発達させたものがあります。水分はトゲの先端で凝集し、基部に移動して茎に入り貯蔵されます。いくつかの研究では、水分がトゲを伝い茎に取り込まれることが明らかとなっています。ただし、疎水性のトゲを持つ持つ種もあり、その場合は水分がトゲの表面で凝集することはありません。

抗寄生植物防御
チリにはTrichocereus chiloensisとEulychnia acidaに寄生するヤドリギである、Tristerix aphyllusが知られています。寄生植物の種子はサボテンを止まり木にする鳥の糞により散布されます。T. chiloensisは、鳥が止まり木として利用しにくくするために、大きなトゲを発達させました。現在、サボテンのヤドリギは他に知られておらず、抗寄生植物防御が確認されているのはこれだけです。

サボテンのヤドリギの画像(リンク)
https://chileanendemics.rbge.org.uk/taxa/tristerix-aphyllus-miers-ex-dc-barlow-wiens

栄養分散
ウチワサボテンの中には、トゲが動物の皮膚に引っかかり、動物の移動により分布を広げます。しかし、栄養分散の研究では、トゲを介した分散能力は示しましたが、分散そのものは評価されていません。

考えられる機能
実証されていない機能についても、いくつかの言及があります。2001年にAndersonは、トゲがカモフラージュとして機能し、草食動物から保護される可能性を提案しました。また、トゲは花粉媒介者に簡単に認識されるため、受粉の可能性が高まるかも知れません。

その他のトゲのトピック
資源割り当てと言う観点からトゲを分析した研究は、非常に少ないようです。トゲは光合成組織ではないため、コストがかかります。また、茎に陰を作ることから、光合成能力を低下させます。一部の種では、遮光作用として重要となるものもあります。

未解決なトゲのトピック
トゲがない、あるいはトゲが少ない種を分析した研究は見つかりませんでした。例えばLophophoraやAstrophytumはトゲが減少しています。Lophophoraはアルカロイドを蓄積しており、物理的防御と化学的防御のtrade-offの関係を示しています。

最後に
サボテンと言えば何と言ってもそのトゲが目立ちますが、意外にもその機能はまだ明らかとなっていない部分がまだまだあるようです。むしろ、良いトゲを出させるために心血を注いでいる趣味家の方が詳しい部分もありそうですね。それはそうと、今回の論文は末尾に「a review」とあります通り、過去の論文を探して概観したものです。私がまだ読んでいない面白そうな論文がいくつも取り上げられていましたから、機を見て記事にしたいと思います。


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気付けばもう8月で、あっという間に時間が過ぎてしまいます。暑くて何に関してもイマイチやる気が出ません。今月は私の行きたいようなイベントもなさそうなので、しばらくは大人しくしています。

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Zamia furfuracea
フルフラケアのコーンが伸びています。

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よく見たら、一部開花(?)していました。ソテツは基本的に雌雄異株なので、1株だけでは結実しません。

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Euphorbia quadranguralis
クアドラングラリスもこの暑さの中、ぐんぐん生長しています。


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Gymnocalycium damsii subsp. evea var. torulosum VoS 03-040
フィールドナンバー付きのダムシイですが、良い色合いです。選抜品ではなく野生個体由来とは思えない美しさです。しかし、亜種と変種が並ぶ奇妙な学名ですが、これはフィールドナンバーの登録情報となります。亜種エヴェアだか変種トルロスムか分からなかったので併記したのでしょうか? ちなみに、現在G. damsiiはG. anisitsii subsp. damsiiとされているようで、亜種エヴェアも変種トルロスムもG. anisitsii subsp. damsiiの異名となっています。

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Euphorbia susannae
スサンナエは割と徒長しやすいらしく、検索すると細長く徒長したものが散見されます。おそらく、室内栽培で日照不足なのでしょう。しっかり日に当て、雨よけして育てるだけで徒長は防げます。


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Euphorbia tortirama
トルティラマは枝が沢山出て勢いがあります。植え替えた効果でしょうか?


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Operculicarya sp.
植え替え後、非常によく育っています。しかし、O. hyphaenoidesの名前で入手したオペルクリカリアですが、特徴が異なるためsp.表記としています。どうやら、オペルクリカリア属は輸入種子の名前が割といい加減みたいですね。


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Euphorbia delphinensis
何故かE. delphinenseとされがちなデルフィネンシスですが、ちらほら開花しています。

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花は小さいのですが、実に可愛らしい感じがします。


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