ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2024年07月

嵐が去ってBuddlejaが倒れたりしましたが、特に多肉植物に被害はありませんでした。硬葉系ウォルチアは次々と花茎を伸ばしていますから、少し心配しましたが。まあ、水やりができなかったので、鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia)が乾きすぎて新しい葉が縮れてしまったのは遺憾でした。多肉植物は基本的に雨よけしていますから、思わぬ誤算です。

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Euphorbia aphylla
この暑さの中、アフィラが急激に伸びています。カナリア諸島の海岸沿いの岩場に自生していますから、厳しい環境に耐えるために非常に強いのかも知れません。

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全体的に産毛に覆われていますが、生長中の先端部は特に密に生えています。

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Aloe saundersiae
サウンデルシアエが開花しました。

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一見してDychiaのように見える小型アロエです。
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可愛らしい花です。アロエにしては短い花ですが、この淡い色合いと相まって鳥媒花らしからぬ感じがしますね。虫媒花なのでしょうか?

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Aristaloe aristata
開花から2週間以上、経ちましたがまだ開花が続いています。

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この花筒の長さはいかにも太陽鳥に特化しているように見えますね。

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Euphorbia geroldii
ゲロルディイは植え替え後は中々花が咲きませんでしたが、最近はよく開花します。

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花キリンの中でも大きく丸みがあります。

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Haworthiopsis longiana
大型の硬葉系ハウォルチアのロンギアナが開花しました。

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花穂にはまだ沢山の蕾があります。
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花もやや大柄に見えます。花色はハウォルチアに典型的な配色。

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Euphorbia waringiae
ワリンギアエが非常に元気です。新しい葉を次々と出しています。

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Euphorbia suzannae-marnierae
スザンナエ-マルニエラエはよく開花します。新しい葉も出て、今後の生長が楽しみな花キリンです。


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サボテンの受粉システムは種により様々ですが、本日はアリオカルプス属に焦点を当てます。アリオカルプスの花は雌雄離熟、つまり柱頭と葯の位置が離れており、自家受粉しにくい構造になっています。では、アリオカルプスは自家不和合性なのでしょうか? と言うことで、本日はConcepcion Martinez-Peraltaらの2014年の論文、『Haw common is self-incompatibility across species of the herkogamous genus Ariocarpus?』をご紹介しましょう。

自殖を防ぐシステム
植物の有性生殖システムは花の様々な異系交配を促し、近交弱勢や適応度の低さなど自殖の悪影響を軽減すると考えられています。雌雄離熟(herkogamy)や雌雄異熟(dichogamy)は、性別を空間的・時間的に分離しますが、必ず自殖を防ぐことが出来るわけではありません。
自家不和合性(Self-incompatibility)は、自家花粉の遺伝的な認識と抑制が非常に効果的であり、もっとも効果的な自家受粉を防止するメカニズムです。少なくとも被子植物の約60%は、何らかのタイプの自家不和合性を備えています。もっとも一般的なタイプの自家不和合性は、配偶体自家不和合性(gametophytic self-
incompatibility)=GSIであり、認識は雌蕊と花粉管の相互作用によります。GSIでは花粉管の阻害が起きます。
近年、サボテンの生殖システムに関する研究は増加していますが、自家不和合性などの問題はほとんど注目されていません。自家不和合性が確認されているのは、Schlumbergera、Hatiora、Echinopsis、Hylocereus、およびSelenicereusの一部です。
自家不和合性から自家和合性に移行し自家受粉率が高まる現象は、被子植物の中でもよく見られます。これらの移行は、花粉媒介者や交配相手の不足により促進されます。

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Ariocarpus retusus
『The Cactaceae Vol. III』(1922年)より。


アリオカルプスの受粉試験
著者らは7種のアリオカルプスを、それぞれの自生地で受粉試験を行いました。成り行きに任せた自然受粉と、人工的に他家受粉あるいは自家受粉させた花を、48時間後に回収しました。同様に受粉から5〜6ヶ月後に果実を回収しました。
自然受粉あるいは人工的な他家受粉では子房に到達する花粉管が多く、自家受粉では柱頭の途中で花粉管は阻止されており、アリオカルプス属は自家不和合性であることが示されました。うち、6種類は子房にも花粉管が観察されたため、一部の遺伝子は自家和合性です。1種類は子房に自家受粉の花粉管が観察されませんでしたが、自家受粉でも果実は2%結実しました。A. kotschoubeyanusとA. agavoidesは子房に到達する自家受粉の花粉管の割合が高く、結実率も高いものでした。A. retususおよびA. trigonusは、子房に自家受粉の花粉管が到達する割合が低く、A. scaphirostrisは子房に自家受粉した花粉管はなく厳密な自家不和合性であることが分かりました。

自家不和合性から自家和合性へ
アリオカルプスでは、そのほとんどが自家不和合性であるものの、一部の遺伝子は自家受粉が可能であることが示されました。このパターンは疑似自家不和合性あるいは部分的自家不和合性として説明されます。これは、厳密な自家不和合性から自家和合性への移行を表している可能性もあります。自家和合性をもたらす突然変異は自然の集団でも比較的頻繁に起こるようです。進化論的観点からは、花粉や配偶者が制限されている環境では、部分的な自家和合性が発達する可能性があります。配偶者が少ない環境では種子が減少し、局所的な絶滅のリスクが高まるため、自家和合性が選択されるかも知れません。アリオカルプスの中でも、A. kotschoubeyanusは花粉制限されており、子房に到達する花粉管が多く、部分的自家不和合性が促進されている可能性があります。

最後に
アリオカルプスは基本的には自家不和合性であることが確認されました。自家受粉では花粉管が拒絶されるためですが、厳密な自家不和合性であるA. scaphirostris以外では稀に自家受粉により結実することもあるようです。さらに、A. kotschoubeyanusでは自家受粉による結実率が高く、自家不和合性から自家和合性への移行が起きている可能性があります。

さて、自家不和合性は植物では非常に一般的な性質です。なぜ、自家不和合性と言うシステムが選択されたのでしょうか。これは、「選択」と言う語感とは異なり植物が自身で選んだのではなく、自然選択により自家不和合性の方が有利だったのでより生き残ったと言うだけのことなのでしょう。他家受粉では、異なる遺伝子が混ざることにより遺伝子に多様性が生まれ、より環境や生存に適応的になります。それにより、様々な環境に適応するだけではなく、病原菌に対する耐性が異なる場合もよくあることです。しかし、厳しい環境に自生する植物では、水や栄養などの資源が不足するなど、他の植物では有利なシステムが不利になる、あるいはあまり意味がない場合もあります。本日ご紹介した論文では、A. 
kotschoubeyanusが受粉のシステムが変更される過程を観測しているのかも知れません。しかし、例えばOpuntia macrocentraは、自生地により自家不和合性の個体群と自家和合性の個体群が存在することが明らかとなっています。もしかしたら、アリオカルプスも個体群によっては、より進行した自家和合性への適応を持っていることも考えられます。まだサボテンの自家不和合性に関する研究は少ないようですが、これからの研究の進展を待ちたいと思います。


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早いもので、いつの間にやら7月ももうお終いです。あまりにも暑いので外出する気にならず、園芸店に行くのも面倒です。7月8月は近隣で行けそうな多肉植物のイベントもほとんどなさそうですし、9月のビッグバザールまでは大人しくしている予定です。さて、本日は暑い最中の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Haworthia parksiana
最小のハウォルチアと言われるパルクシアナが開花しました。

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謎のパークス氏に対する献名と言われていましたが、実際には公園=Parkで栽培されていた個体から発見されたと言う経緯から来ています。
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花茎も非常に細く、花も大変な小ささです。

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Zamia integrifolia(異名: Z. floridana)
フロリダソテツの今年2回目のフラッシュです。良い葉が出ています。去年はどういうわけか、新芽をシャクトリムシに食害されてしまいました。ソテツには毒があるはずなのに平気なのでしょうか? ソテツを専門とするソテツシジミなら分かるのですが…

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Pachypodium rosulatum
何の変哲もないロスラツムです。葉の勢いは良好です。


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Pachypodium drakei
ドラケイもロスラツムに負けずに葉を盛んに出しています。
ドラケイは1907年に命名されましたが、1972年にロスラツムの変種とされました。しかし、現在では亜種ロスラツム(ssp. rosulatum)に吸収されてしまいました。と言うわけで、ドラケイはいなくなったのですが、外見は異なります。まず、葉や茎が細長く、葉の先端は尖りません。ロスラツムと比べると大型になり、高さ2〜3mになります。


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Gymnocalycium schroederianum
「須黒玉」と呼ばれるギムノカリキウムです。非常に勢いがあります。


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Euphorbia debilispina
デビリスピナを盆栽風と言うか、根上がりにしてみました。

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塊根性ではありませんが、ユーフォルビアには珍しく荒れた樹皮を持っています。

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Euphorbia persistens
ペルシステンスが非常に強烈なトゲを出しています。しかし、現在ペルシステンスはE. clavigeraの異名となっていますが、特徴が異なると言う人もいます。まあそもそも、こういう捻れる系ユーフォルビアの違いがよくわからないので、私には何とも言えませんね。



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昔、神保町に行った折、今は無き鳥海書房の別館で入手したサボテンの本が出てきたので、せっかくですからご紹介しましょう。昭和37年に出版された、伊藤芳夫 / 著、『サボテン -その神秘な花-』(保育社カラーブックス)です。

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題名の通りサボテンの花に着目した本で、ふんだんにカラー写真が使われています。内容的には南米ものの花サボテンについて、その特徴や発見の経緯などを豊富な知識で縦横無尽に語っています。
南米ものの花サボテンと言えば、その代表格はRebutiaやLobivia、Echinopsisあたりでしょう。本書でもこの3属が中心です。しかし、花サボテンですから、何と言ってもその花を見たいところですが、カラーブックスですから実に美しい花を沢山見ることが出来ます。また、著者の長きにわたる属間交配の試みと、作出された新品種の紹介もありました。

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私が感心したのは「駄物礼賛の弁」と言う論です。曰く、初心者はいたずらに高級品に憧れず、作りやすく美しいものから始めた方が良いとのこと。サボテンの大家とされる人も、みな駄物から入ったのだと。まさに至言です。駄物と言ったところで、難物ではない限りは普及してしまえば駄物扱いされる定めなのですから、珍しさではなくそのサボテンが持つ美しさで評価すべきでしょう。近年、SNSなどで、密輸品と思しき黒王丸を初心者が徒長させたりする姿を見るのは、大変悲しいことです。
さて、本書の最後はサボテン全般に関する話で終わります。日本のサボテン栽培の歴史や、育て方、実生や接ぎ木の方法などが実に簡潔にまとめられています。栽培関係の話などは、現在でも通じる内容です。花サボテンは現在でもどちらかといえば脇役で、あまり言及されないことは非常に残念です。花サボテンに関する最高峰の本が昭和37年の本と言うのは困りものですが、それだけ素晴らしい本でもあると言うことでもあります。とはいえ、本書は入手が容易な部類ではありませんから、新たに花サボテン中心の良い本が欲しいところですね。


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ギムノカリキウムはいくつか開花しましたが、気がついた時にはしぼんでいて、何故かタイミングが合わず写真を撮れていません。と言うわけで、本日は特にこれといった花がないので、適当に多肉植物を見繕ってご紹介しましょう。

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Euphorbia primulifolia
プリムリフォリアの葉が生え揃いました。プリムリフォリアは葉が大きく波打ちます。まさに、「primula+folia」=「サクラソウの葉」ですね。

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塊根は葉に隠れて見えません

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Euphorbia begardii
プリムリフォリアの変種とされてきたベガルディイですが、現在は独特種です。葉は小型で波打たず、つるつるしていますから、あまりプリムリフォリアには似ていません。

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塊根はこんな感じ。

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Euphorbia subapoda
こちらもいかにもなプリムリフォリア系のスバポダです。ベガルディイよりもプリムリフォリアに似ていると言うか、中間的な雰囲気があります。

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塊根はまだ小さいので特徴はよくわかりません。

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Euphorbia knobelii
実生から育てた閃光閣ですが、初めて枝が出ました。


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Pachypodium densiflorum
実は一度花が咲いた枝ですが、花が枯れた後にまた花芽がついています。小さいうちは開花すると花茎は枯れますが、株が充実すると花茎が枯れないで同じ枝が開花を繰り返すようになります。

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一応、10号鉢に植えられたサイズです。国内実生株。

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Euphorbia pseudoglobosa
プセウドグロボサは今年の植え替えで、初めて塊根を露出させました。塊根にダメージが来ないか心配しましたが、どうやら問題なさそうです。


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Gymnocalycium pungens
プンゲンスは今までより長いトゲが出ています。これは将来が楽しみですね。そういえば、プンゲンスはG. schickendantzii ssp. 
schickendantziiに含まれてしまうことになりました。花咲かないかな。


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植物の繁殖形式は種によって異なりますが、そのすべてが明らかとなっているわけではありません。例えば、園芸的に著名なサボテンですら、実際に調査されたのは極一部です。当ブログにおいても、サボテンの繁殖に関する論文はそれなりの数を取り上げて来ました。しかし、まだ取り上げていない論文が沢山あります。と言うことで、本日はチワワ砂漠に広く分布する紫色のウチワサボテン、Opuntia macrocentraについて見ていきましょう。参照するのは、L. Eder Ortiz-Martinezらの2022年の論文、『Variability in mating strategies in a widespread cactus in the Chihuahuan Desert』です。

繁殖戦略
サボテン科の中ではウチワサボテン属(Opuntia)が最も成功し広範囲に分布する属です。ウチワサボテンはクローン性と多様な有性生殖システムを持ち、高い繁殖能力と分散能力を兼ね備えています。しかし、ウチワサボテン属のうち、繁殖に関する研究がされているようはわずか15%に過ぎず、しかもそのほとんどは1つの個体群のみの結果に基づいています。
多くの植物で自殖あるいは異系交配率が、集団間で大きな変動を示す証拠が増えています。そのため、単一の集団の研究に基づいて繁殖システムを一般化することは問題があります。
花粉媒介者(pollinator)による受粉は、場合によっては不確実で非効率的となることもあります。花粉媒介者の訪問頻度の変化は、花粉媒介者が豊富な状況では異系交配による遺伝的変異が起き、花粉媒介者が貧弱な状況なら自家受粉による生殖の保証との間にtrade-offを引き起こし、植物の交配システムの変異を促進する可能性があります。
花粉の量的あるいは質的な制限は自家不和合性でより起きやすく、自家不和合性から自家和合性への進化などの生殖システムの変化につながる可能性があります。Ariocarpus kotschoubeyanus(黒牡丹)は、厳密な自家不和合性であるAriocarpus属の中で唯一の自家和合性種です。A. 
kotschoubeyanusの自家和合性の進化は、花粉の制限、個体群密度の高さ、花粉媒介者の少なさの相互作用により説明されます。

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Opuntia macrocentra(下)
花はapproach herkogamyではないことに注意。
『The fantastic clan. The cactus family.』(1932)より


紫色のウチワサボテン
紫色のウチワサボテン(purple prickly pear)と呼ばれるOpuntia macrocentraは、チワワ砂漠とソノラ砂漠に広く分布するサボテンです。研究にはチワワ砂漠内で708km離れた2つの個体群を観察しました。1つは米国ニューメキシコ州立大学チワワ砂漠放牧地研究センター(CR)内にあり、もう1つはメキシコのDurango州Mapimi生物圏保護区(MBR)内にあります。この2つの個体群は、個体数が均衡していることが明らかとなっています。
MBRの個体群は密度、種子生産、新規加入率(recruitment rate)が低くなっています。CR個体群は混合交配システムと自律的な自家受粉、花粉媒介者の多様性の低さ(2種の蜂)、花粉媒介者の訪問頻度の低さが特徴です。しかし、MBRのO. macrocentraの生殖システムは不明です。


花への訪問者
MBRのO. macrocentraは昼行性で、ほとんどの花は1日(9:00〜20:00)しか咲かず、12:00〜13:00の間に最も花が開きます。10%未満の花は19:00に開き、夜間は閉じて、翌14:00頃まで咲くものもありました。
O. macrocentraの中から32個体を選び、5日間にわたり開花中の花を訪れる花粉媒介者を調査しました。

22時間の観察中にO. macrocentraの花には、287回の訪問者がありました。訪れたのは、8種類のハチとチョウ、ハエでした。一般に訪問頻度が高いのは、12:00〜15:00の間でした。この内、Diadasia rinconisとLasioglossum sp.の2種類のミツバチは、O. macrocentraの花への訪問の約70%を占めており、花粉媒介者であると考えられました。D. 
rinconisは大量の花粉を付着させる行動が観察されており、主な花粉媒介者であると考えられます。D. rinconisはチワワ砂漠の少なくとも17種類のウチワサボテンの主な花粉媒介者で、このハチはウチワサボテンと共進化したと考えられています。

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Opuntia macrocentra
『Transaction of the Texas Academy opsis Science』(1929-1937)より


異なる交配システム
人工受粉の結果から、MBRのO. macrocentraは絶対的異系交配であり、自家受粉しない自家不和合性であることが示唆されました。自家和合性および自殖性のCRの個体群と異なる交配システムが存在することが明らかとなったのです。
MBRとCRの個体群では、花の特徴が一部異なります。さらに、MBRの花は1日以上開花するものもあります。これは、一部の自家不和合性のサボテンに見られる特徴で、不十分な受粉率によるリスクを最低限とし、交配の機会を増やします。
MBRの個体群には雌雄離熟(※1)が確認されました。これはCRの個体群には存在しません。MBRの個体群では、柱頭が花糸の2倍以上の長さがあり突き出しています。つまり、近接性雌性受粉(※2)です。


※1 ) 雌雄離熟(herkogamy)とは、柱頭と葯の位置が離れていること。
※2 ) 近接性雌性受粉(approach herkogamy)とは、柱頭が葯の高さより上にあること。花を訪問した昆虫は花粉に触れる前に柱頭に接触する。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
同種のウチワサボテンでも、異なる個体群では繁殖システムが異なることが示されました。確かに、過去に読んだ論文では、1つの地域に生える個体群のみを調査したものばかりでした。しかし、この論文を前提とすると、1つの地域の個体群で、その種を代表してよいものか怪しくなってきました。繁殖システムの調査は、純粋に生物学的な資料の積み重ねだけではなく、植物の保護を考える上でも重要です。自生地で減少しているサボテンや多肉植物についての、このような地道な研究が増えることを願っております。


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今年の植え替えもそろそろ一旦終了ですかね。後は秋口に残りのサボテンを植え替えるのと、随時購入品を植え替えるくらいでしょうか。まあ、何だかんだで、今年の植え替えは今回で190鉢になりました。

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赤城 Ferocactus macrodiscus
赤城の勢いがないので植え替えます。

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根はまあ問題なし。
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植え替え後。同じ7号鉢に植えました。しかし、こういう形のサボテンは植えにくいですね。トゲが刺さらないのは良いのですが、真っ直ぐ綺麗に植えるのに難儀しました。

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Copiapoa hypogaea
色々失敗して団子になってしまったヒポガエア。しかし、手をかけていた時より、放置気味にしてからの方が好調なのはよくある話です。

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根は普通。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。よく開花する丈夫なサボテンですが、水を切らないとすぐに間延びしてしまいます。

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獅子王丸
実生から育てた獅子王丸。用土がカチカチなので植え替えます。
獅子王丸は古い本を見ると鬼雲丸(Notocactus  mammulosus)の変種pampeanusとされています。鬼雲丸は非常に変異が多く、別種のような異なるタイプが沢山あります。しかし、変種はなくなりすべて異名となっています。さらに、現在ではノトカクタスはパロディアに吸収されたため、Parodia mammulosaとなっています。

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実生が育っています。
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根は非常に良いですね。半分くらい切りました。
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植え替え後。プレステラ120に植えました。最近はすっかり生長が鈍っていたので、復活して欲しいものです。

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純緋玉
こちらも実生から育てている純緋玉。
国内で栽培される純緋玉はG. oenanthemumと言われていますが、実際はG. tillanumかも知れないらしいとのこと。

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根は良さそうです。やはり半分くらい切りました。
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植え替え後。プレステラ90に植えました。まだ未開花なので、早くその「純緋」の花を拝みたいものです。


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あまりにも暑くて、外作業をする気になりません。ちょっと、写真撮りに行くだけで滝のような汗をかいてしまいます。さて、そんな猛暑の最中ですが本日も我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介しましょう。

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Euphorbia gorgonis
「金輪際」などと言う名前もあるゴルゴニスですが、タコものユーフォルビアの中でも強光に強い種類です。そのため、日照はガンガン当てて、間延びしないように締めて育てていたら枝が枯れてしまいました。一応、開花中。


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Euphorbia globosa
「玉鱗宝」と言う名前もあるグロボサが、開花中です。まあ、グロボサはいつも咲いているわけですが。


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Haworthia tuberuclata v. subexpansa
ツベルクラタ変種スブエクスパンサが開花しましたしました。
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現在はHaworthiopsis scabra v. scabraの異名となっていますが、非常に個性的な姿です。
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花はほぼ白色でした。珍しいですね。花弁の内側に緑色のラインが入っていて、先端ではやや赤味がかるようです。

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Euphorbia sepulta
ソマリアもののセプルタが、暑さに負けず元気です。陵(rib)が増えて、仔を吹いています。


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Euphorbia boiteaui
いわゆるE. decaryiです。挿し木苗ですが、地下茎を取り除きじっくり育てています。

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疑似塊根が出来ています。ちょっとだけ、見られるようになってきました。

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Adenia kirkii
キルキイが沢山の蔓を伸ばしています。
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どうやら、葉の形と色は日照の強さにより変わるようです。日照が弱いと葉の幅は広く斑は少なく、日照が強いと幅は狭く斑が多くなります。


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一般的に植物の生育には適していないであろう乾燥地にも、驚くほど多様な植物が自生しています。これらの乾燥地に生える植物は、何かしらの乾燥への適応が見られます。我々が園芸植物として栽培しているサボテンや多肉植物、あるいは塊茎・塊根植物などは、体内に水分を溜め込むことにより乾燥地に適応しています。さて、このような乾燥地への適応は、どのようにして起きているのでしょうか? 当ブログでも、生態学的な見地から乾燥地への適応に迫った論文は、過去にいくつかご紹介しています。今回は視点を変えて、解剖学的な見地から塊根の成立を考えてみます。ご紹介するのは、Y. V. Aviekin, N. V. Nuzhyna, M. M. Gaidarzhyの2023年の論文、『Metamorphosis differences of caudiciform plants as an adaptation to arid conditions』です。日本では「火星人」の名前でお馴染みの塊根植物、Fockea edulisの多肉化の謎に迫っています。

キョウチクトウ科とCaudex
キョウチクトウ科(Apocynaceae)には約366属5000種以上が含まれ、5亜科に分けられます。多年生の多肉植物のグループは、Asclepiadoideae亜科、その中でもStapeliinae亜族に集中しています。このグループには30属以上が含まれ、Stapelia、Huernia、Hoodia、Pseudolithos、Orbea、Quaquaなどがあります。これらの植物の特徴は多肉質な茎を持つことで、サボテンやユーフォルビアに類似しています。樹木性、あるいはpachycaul(塊根)を持つグループは、Apocynoideae亜科のPachypodium属に代表されます。Pachypodium型のpachycaulは、Adansonia、Cyphostemma、Dendrosicyos、Dorstenia、Fouquieria、Moringaなど他属にもあります。このような多肉植物の形態を、「塊茎様多肉植物」(caudex-like succulents)と呼びます。これは、1948年にG. Rowleyにより初めて使用されました。
これらの植物は、皮層の柔組織(※1, ※2, cortex parenchyma)の生長に加え、形成層(※3)の機能により形成される「多汁質材」(juicy wood)も特徴です。形成層は導管要素(※4, tracheal element)に加え、多数の薄壁木部柔細胞(thin-walled xyleum parenchyma cells)を形成します。これらの柔細胞には皮層の柔細胞と同様に水と栄養が蓄積します。

※1 ) 皮層は茎や根の表皮と中心柱の間にある組織。主に柔細胞からなる。
※2 ) 柔組織は柔細胞からなる組織で、茎や根の皮層や髄、葉肉や果肉、地下茎をなど植物体の多くを占める。
※3 ) 形成層は茎や根の維管束の木部と師部の境にある分裂組織。細胞分裂し内側に木部、外側に師部を作り、茎や根の二次肥大生長を行い年輪を形成する。
※4 ) 導管は維管束の木部の主要部位で、根が吸収した水分を枝葉に送る。

Fockea edulis
Fockea edulisは1794年にC. ThunbergによりPergularia edulis Thunb.として記載され、1893年にK. SchumanによりFockea属が割り当てられました。F. edulisはFockea属6種類のうちの1つで、南アフリカの西ケープ州や東ケープ州の乾燥地帯、レソト王国の南部に分かれて分布します。F. edulisは多肉質な多年生半低木で、高さ0.5m、直径1mになる巨大な塊茎(tuber)を持ちます。塊茎は灰緑色で樹皮が割れて皺や突起があります。

植物のライフサイクル
Vasilivら(1978)によると、植物のライフサイクルは、潜伏期(latent)、前生殖期(pregeneration)、生殖期(generation)、老年期(senile)からなります。さらに、前生殖期は、実生(seedling)、幼植物(juvenile)、未成熟植物(immature)に分けられます。
研究はキエフ大学の植物園のコレクションから育った、F. edulisの実生、幼植物、未成熟植物を使用しました。


実生 seedling
F. edulisの種子は播種後8〜9日に発芽し、11〜13日目に種皮から実生が出てきます。子葉は多肉質ではありませんが、胚軸(※5, hypocotyl)は肥厚し円筒形で目立ちます。葉緑体は表皮に接する柔細胞にあります。
皮層の柔組織の厚みには、維管束(vascular bundles)の隣に不明瞭な乳液管(※6, latex duct)があります。また、F. edulisの実生には二次的な維管束が17〜18本あります。師管部(phloem zones)はあまり発達しておらず、一次木部の真上に位置します。


※5 ) 胚軸とは胚の主根(幼根)原基と子葉の付着部をつなぐ軸の部分。
※6 ) 乳跡(latex trace)は乳液を含んだ樹木、特にキョウチクトウ科の樹木の材に見られる、裂け目状の通路のこと。その起源は葉や脇芽に進入する維管束とされる。誤ってlatex canal、latex ductとも呼ばれることがある。

幼植物 juvenile plants
6〜7週の生長後、幼植物の兆候を示します。茎の上部は直交異方性(※7)で、断面は丸みを帯び草状(grassy)です。表皮層は壁が厚くなった立方体の細胞で、一部の表皮細胞は単純な被覆毛突起を有します。表皮の下には周皮(※12)が見られ、木質化した細胞壁を持つコルク組織細胞(※8, phellem cell)が1層と、単層のコルク形成層(※9, phellogen)、および葉緑体を持つ円筒形で薄壁のコルク皮層細胞(※10, phelloderm cell)の層で構成されます。
断面を見ると二次外皮(secondary integuments)の形成と表皮のほぼ完成な剥離が明確です。茎の基部の周皮は上部と比べて厚みが3倍あり、細胞層の数が多いだけではなく細胞のサイズも大きくなっています。皮層の柔組織はより発達し、10〜12層の大きな薄壁の等直径細胞からなります。実生と比べてサイズが大きい木部導管要素の増加により、維管束の面積が増加しています。維管束には茎の上部と比較してはるかに面積が大きい内部師部(※11)の領域があります。髄は他の部位と比較すると大幅に発達しています。


※7 ) 直交異方性(orthotropic)とは、互いに直交する3つの面に対して、弾性特性が鏡対称であること。
※8 ) コルク組織は細胞壁にコルク質を沈着した組織。
※9 ) コルク形成層は二次肥大生長を行う、茎や根の皮層に出来る後生分裂組織。分裂によりコルク組織を形成する。

※10 ) コルク形成層は、外側にコルク組織、内側にコルク皮層を形成する。
※11 ) 師部は維管束を形成する師管を中心とする部分。師管、師部繊維、師部柔組織、伴細胞からなる。同化物質(光合成産物など)の移動を行う。

未成熟植物 immature plants
F. edulisは発芽後11〜12週で成体と同様の特徴を獲得し未成熟植物に達します。幼植物と比較すると、すべての栄養器官な顕著に発達しています。茎の上部は幼植物と比較して10倍以上増加しますが、直径は2倍に過ぎません。未成熟植物では茎の上部が徐々に生長する多年生の木質部分と、植生サイクルの初めに再生する一年生の草本部分からなります。やがて、茎の木質化した部分が分岐し追加のシュートを形成します。木質化した部分の周皮(※12, periderm)の厚みは、草本部分と比較すると5倍に増加します。これは、木質化した6〜7層の細胞からなるコルク組織によります。
茎の基部は著しく発達し長さは幼植物の約2倍、直径は約4倍以上になります。表面はザラつきますが、これは周皮が厚くなり割れているからです。周皮の構造は変わりませんが、コルク組織は細胞が大きく11〜13層に増えているため厚さほぼ2倍になっています。幼植物と比較すると、皮層の柔組織の厚さは4倍以上なっています。


※12 ) 周皮は木本植物の肥大生長する茎や根の表皮下に形成される組織。コルク層、コルク形成層、コルク皮層からなり、表皮が剥離すると代わりに茎や根を保護する。

他のCaudexとの比較
以前に研究したPetopentia natalensisでは、苗木の胚軸に顕著な肥厚は見られず、活発な発達は発芽後2〜3週間に始まります。胚軸の形態は異なりますが、その発達は皮層と髄の一次肥厚の結果として起こり、同様の構成を示します。
Adenium obesumの実生の胚軸には、F. edulisやP. natalensisとは異なり、二次被覆組織が確認されています。これは、A. obesumがより厳しい環境への適応と考えられます。
これらの3種類の幼植物には、第一胚軸節(first hypocotyl internode)間の皮層と髄が活発に一次肥厚するため、多肉質の基部が形成されます。F. edulisやP. natalensisは多肉質ではない蔓を出しますが、A. obesumは茎の上部はより多肉質です。しかし、まだそれほど顕著ではありません。
未成熟植物では、茎の上部と基部が共に大きくなり、周皮が発達し根系にも顕著な変化が見られます。F. edulisやP. natalensisの茎の上部と基部は、最初の子葉節(cotyledon node)の領域で簡単に判別出来ます。A. obesumでは、維管束形成層(intervascular cambium)により通導要素の連続的なリングが形成されます。
F. edulisの太く多肉質な「ラディッシュ様の根(radish-like root)」は、木部柔組織の生長により形成されますが、P. natalensisは典型的な二次根構造が形成され、中央の大部分が木部導管(vessel xylem)により占められ柱状構造を形成します。強力な木部柔組織により「ラディッシュ様の根」が形成される点において、F. edulisとA. obesumは共通しています。

収斂適応
異なる分類群に属する3種類の植物は、茎の基部と髄の複合的な肥厚と言う形で、乾燥した気候条件への収斂適応(convergent adaptation)が見られます。この適応は多肉質の基部の大部分が土壌により保護され、水の輸送と蓄積にかかるエネルギーコストが削減されます。さらに、F. edulisとA. obesumは多肉質の根も形成します。このような根の変形は多くの多肉植物に見られ、特に原始的なサボテン(Pereskia, Pereskiopsis)で研究されてきました。J. Mauseth & J. Pateによると、研究された多くの多肉質に変形した根は、その水と栄養を貯蔵する機能は発達した木部柔組織によるものです。さらに、このような変形した根を持つ多肉植物は、ほぼすべての大陸の乾燥地域および半乾燥地域で発見されています。よって、主根の変形による多肉質化は、乾燥条件に対する収斂適応であることが分かります。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
解剖学的に実生からの生育を観察することにより、植物の多肉質化の様子を解き明かそうと言う意欲的な論文でした。異なる分類群の植物にも類似した形状の塊根・塊根が見られます。それらは、組織の発達の仕組みも基本的には同じです。乾燥した環境に適応するために結果的に類似したのは、組織の構成は同じですから、肥厚させて水分を貯蔵させるには同じ手段を取らざる得ないからなのでしょう。進化とは、何も無いところから何かを新たに生み出すというより、既存の構造を変形・転用させることだったりします。乾燥に対する進化は明らかにパターンがあり、葉や幹、根を肥大させます。ですから、まったく異なる分類群の異なる自生地の植物でも、サボテンとユーフォルビアのように驚くほど類似してくるのです。これらは収斂進化による適応、つまりは収斂適応と言えるでしょう。


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暑い日が続きますが、多肉植物たちは割りかし元気です。まあ、私が育てている多肉植物に
冬型はほとんどありませんから、遮光が適正ならばそれほど暑がりません。


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Gonialoe sladeniana
スラデニアナが開花中です。しかし、風で花穂が壁に擦れて、先端の蕾が取れてしまいました。

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基本的にはアロエ的な花ですが、G. variegataと比べると淡い色合いです。

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リップマンジャー
小型の四季咲き花キリンです。冬の間はやや日当たりが悪い場所にあったせいか、やや不調です。最近、ようやく花が咲き始めました。


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皇帝 Tulista cv.
皇帝も開花しました。ツリスタの花は初めてです。花茎は思ったより分岐するようです。

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ハウォルチア的な花ですが、やや詰まったように咲いていますね。

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Haworthia chrolacantha v. denticulifera
クロラカンタ変種デンティクリフェラも開花しました。撮影しようと棚から取り出したところ、ぶつけて花茎が折れてしまいました。しまったなあ。

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Euphorbia moratii
モラティイも開花中。大変丈夫で育てやすく、よく開花する花キリンです。しかし、E. moratiiで調べるとこんなに葉は波打っていないわけで、正体不明な花キリンです。画像検索するとE. decaryi(実際はE. boiteaui)やE. ambovombensisが出てきますが、ご覧の通り花が上向きに咲きますから違いますよね。E. cap-saintemariensisが花を含め一番似ているようですが、なんか育ち方が違うので微妙です。
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妙に寸胴に育っています。塊根と言うより、茎全体が太っています。葉が異様に詰まったように密につくのも特徴です。また、不思議なことに、小苗の時にはクリーム色の花を咲かせましたが、今の花はピンク色がかっています。

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Euphorbia geroldii
ゲロルディイが植え替え後、初めて開花しました。花キリンの中でも屈指の美しさです。


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Astroloba spiralis
花茎が出たのは初めてでしたから楽しみにしていましたが、残念ながら萎れてしまいました。


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大型鬼胆丸
何やらすっかりしぼんでしまっていた大型鬼胆丸ですが、植え替え後に甘やかしていたら復活しました。あまり厳しくしてはいけないようです。まあ、まだ小さな苗と言うこともありますが。


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Haworthiopsis longiana
ロンギアナに花茎が伸びて来ました。蕾の数がすごいですね。花茎はどれほど長く伸びるでしょうか? 楽しみです。



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長く続いた筑波実験植物園の記事も今回でラストです。乾燥地の植物を集めたサバンナ温室に長く居すぎたせいで、時間がなくなってしまいました。時間がないため、熱帯雨林温室は今回は行きませんでした。まて次回と言うことにしましょう。帰りは行きと順路を変えました。ゆっくりとはしていられないので、あちこち見られなかったのは心残りです。

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奇怪に枝を伸ばす樹木。地面に擦っていますが、気にせず枝を伸ばしていますね。

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ちょうどハンゲショウ(Saururus chinensis)が見頃でした。ハンゲショウはアジアの水辺に生えるドクダミの仲間です。小さい穂が花で、葉の一部が白く色付きます。
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それほど目立つ植物ではありませんが、一面見渡す限りのハンゲショウは見事でした。

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サワギキョウ(Lobelia sessifolia)が咲いていました。

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コウホネらしき植物。花はどうでしょうか?
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ちょっと開花していました。オゼコウホネ(Nuphar pumila v. ozeensis)と言う変種のようです。

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そういえば、あちこちにホタルブクロが咲いていましたね。

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エチゴトラノオ(Pseudolysimachion ovatum ssp. martimum)の可愛らしい花。

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オウゴンオニユリ(Lilium lancifolium v. flaviflorum)が見頃でした。

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こちらにもホタルブクロ。

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一見して食べられそうな赤い実があちこちになっていました。しかし、キンギンボク(ヒョウタンボク)の実には毒があるとのことです。
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警告標識がありました。

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ユウスゲ(キスゲ、Hemerocallis citrina v. vespertina)の儚げな花が咲いていました。
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まるで透かしのような繊細な花ですね。

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雰囲気の良い水辺。今度はゆっくり散策したいものです。

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何やらデカくて派手なキノコ。キタマゴタケかな?

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と言うことで、筑波実験植物園に行って来ました。植物のラインナップや充実ぶりは、さすが国立科学博物館の関連施設と言ったところでしょうか。しかし、今回は時間配分に失敗しました。次回はもう少しゆっくり見たいですね。まだ、回っていない場所が沢山あります。夏場はしんどそうなので、秋口に涼しくなってきたらまた来ましょうか。


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本日はこの前行ってきたヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会と、そのままハシゴしたコーナン港北インター店での購入品を植え替えました。ついでに葉が枯れた亀甲竜も植え替え。今年の植え替えは今回で186鉢になりました。

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ブロウウィンギアナム
「ブロウウィンギアナム」と言う怪しげな名前で売られていた硬葉系ハウォルチア。おそらくは、Haworthiopsis fasciata var. browniana。この手の「-ana」と「-anum」と言う間違いは良くあることですが、困ったものです。

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根の状態は非常に良好でした。
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植え替え後。結節があまり目立たないため、硬葉系の渋さがよくあらわれています。手持ちのH. fasciataはこれで3タイプになりました。

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Operuculicarya hyphaenoides
ヒファエノイデスとありますが、特徴的には異なります。ラベルによると去年の8月に播種していますから、まだ実生1年です。種類の判別は肥培してもう少し育ってからにします。

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塊根は先端が曲がりくねっています。鉢底に当たってしまっていたようです。
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植え替え後。まだ小さいのでプレステラ90にとりあえずは植えましたが、来年はロングポットに植え替えて本格的に育成を開始します。

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Euphorbia brachyphylla
ブラキフィラは葉が細い花キリンです。E. rossiiにも似ていますが、トゲの特徴が違うことは分かります。また、
E. rossiiは根元から分岐しますから、枝の出方も違いますね。
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根は豊富でしたが、鉢が小さかったようです。E. rossiiとは異なり塊根がありません。根元のトゲのない棒状の茎は実生の証ですから、挿し木苗ではありません。塊根性ではないことは明らかです。
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植え替え後。周年性ならそのうち咲きますが、ブラキフィラはどうでしょうか?

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Aloiampelos gracilis
グラキリスはいかにも窮屈そうです。

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根はパンパンに張っていました。
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植え替え後。プレステラ120に植えました。これぐらいがちょうどいいバランスですよね。根が良いので今年の生長はかなり期待出来ます。

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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
亀甲竜は今回の購入品ではなく、10年以上ちまちま育てているものです。6月末まで葉が枯れませんでしたが、ようやく葉が落ちたので植え替えます。

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根はキツキツのパンパンでした。プレステラ120でも小さいようです。
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植え替え後。先日、ヨネヤマプランテイションで試しに購入したプレステラ150に植えてみました。プレステラ150はサイズに比べて相対的に厚さがないので、手で持った時にややフニャフニャしますが、別に頻繁に移動させるわけではありませんから特に問題ありません。どうせ、根が張ってパンパンになりますし。
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しかし、500円玉くらいだった亀甲竜もずいぶんと育ちました。
 

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これはいつもの事ですが、ヨネヤマプランテイションに行った際は、コーナン港北インター店にも寄ることにしています。毎度、それほど珍しいものがあるわけではありませんが、とにかく広くて数があるため、それだけで楽しみではあります。しかしまあ、その実態は巨大なホムセンに過ぎませんから、ヘタってる多肉植物も多かったりします。購入の際は注意が必要です。

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さて、今回のコーナン港北インター店は、正直イマイチでしたね。いつもの売り場はあまり変わっておらず、レジの後ろの方に多肉植物売り場が追加されていたくらいです。それでもせっかく来たのですから、1つ買って帰りました。

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ブロウウィンギアナム
何やら聞いたことがない名前です。検索しても出てきません。まあハウォルチアと言うかハウォルチオプシスなのは間違いありません。しかし、Haworthia browingianumやらHaworthiopsis 
browingianumで調べてもヒットしません。外見的な特徴をよくよく見てみると、どうもH. fasciataに見えます。
キュー王立植物園のデータベースでH. fasciataを検索すると、変種としてvar. brownianaがあることが分かりました。ウェブ上ではf. 
brownianaとされているものです。まあ、これでしょうね。随分とマニアックなものをと言う気もします。

そういえば、昨日のヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会の記事で書き忘れたのですが、新しく出たプレステラも買っていました。私は基本的にプレステラのロングを使っていますが、サイズは90と105、120です。新しいサイズは150と180ですね。アマゾンで試しに買おうとしましたが、30個だの50個だのと妙にセット売りなので躊躇していました。単純に試しに欲しかっただけなので、使わないかも知れないものをそんなにいりませんからね。

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一番小さいのがプレステラ90ですから、かなり巨大。少しだけ背が高くはありますが、なんだかずんぐりして見えます。オペルクリカリアなどの長く伸びる塊根向きではないようです。アガヴェなどは生長に従って使えるので便利かも知れません。



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さてさて、この三連休に横浜の新羽駅近くにあるヨネヤマプランテイションにて、「多肉植物BIG即売会」が開催されましたので、早速行ってまいりました。今年は4月にも開催されましたから、今年はこれで2回目の開催です。しかし、ここ3回のBIG即売会は、個人的にはやや期待外れ感がありました。今回はどうでしょうか?

思ったより早く着いたのですが、イベント仕様で室内売り場は本来の開店前から開いていました。店内はそれほどの混雑はありませんでしたが、9時半前なのに沢山の人が来ていました。
さて、今回の多肉植物BIG即売会は割と規模が大きく、多肉植物の量も種類も豊富でした。パキポディウム苗やらアガヴェ、エケベリアといったお馴染みの多肉植物も沢山ありましたが、今回はサボテンも沢山あり晃山などやや珍しいものも並んでいました。ユーフォルビアではE. pachypodioidesやE. guillauminiana、E. tulearensisあたりは沢山並んでいました。ここらへんは、最近のイベントではお馴染みですから、もはや普及種ですね。変わったところでは、Fockea multifloraが並んでいました。珍しいですね。しかし、すぐに手に終えなくなりそうなので、今回は見送りました。

と言うわけで、ここからは購入品。
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Aloiampelos gracilis
以前、ここでA. tenuiorを購入しましたが、今回はグラキリスが売っていました。アロイアンペロスはこれで3種類目です。アロイアンペロスはアロエから独立した藪を作る植物です。ただ、アロイアンペロスはなんだか頼りないヒョロヒョロしたアロエっぽい多肉植物に過ぎないので、観賞価値はイマイチですけどね。

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ユーフォルビア ブラキフォラ
Euphorbia brachyphyllaです。一見してE. rossiiかと思いましたが、トゲが違いますね。今回初めて見た多肉植物ですが、まあ要するに花キリンです。

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Operuculicarya hyphaenoides
ヒファエノイデスとありますが、それっぽくありません。ヒファエノイデスは葉が巻いて表面がボコボコしていて特徴的ですからね。しかし、何かと言われるとよくわかりません。
さて、過去にオペルクリカリア属の見分け方を示した記事を書きましたから、記事を参考に今回のオペルクリカリアを鑑定してみましょう。


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当てはめて見ると、葉軸に翼があり葉に毛が生えていないため、O. pachypusかO. decaryiが該当します。しかし、この2種は葉に丸みがあるあり、あまり似ていません。小葉は小さいのですが、まだ苗なのでこれが最大サイズではないと考えた場合はO. capuroniiが該当します。まあ、しかし日照をガンガン当てていけば、葉の形は変わるかも知れません。今は保留としておきます。

ヨネヤマプランテイションは20分くらいで引き上げて、そのままバスでコーナン港北インター店へ向かいました。これも毎度のことです。まあせっかくここまで来たのですから、ついでと言うやつです。明日に続きます。


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さて、本日も我が家にも多肉植物たちの様子を少しご紹介しましょう。

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Aristaloe aristata
綾錦がいつの間にか、ちらほら咲いていました。綾錦はアロエ属から独立し、1属1種の単型属であるアリスタロエとなっています。


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H. limifolia v. gideonii
リミフォリア変種ギデオニイが開花しました。

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花は典型的な配色ですが、ややすぼまったような形ですね。

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Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸が開花しました。目立たない花色ですが、ユーフォルビアとしては大きい方です。


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Pachypodium rutenbergianum(中央奥)
Pachypodium windsorii(中央手前)
人気が皆無なルテンベルギアヌムは、高さ9mにもなる最大のパキポディウムですが、栽培している限りはヒョロヒョロ伸びるだけです。それでは面白くないので、伸びたら切り戻して盆栽的に仕上げるつもりです。
ウィンドゥソリイ(ウインゾリー)は、去年出た葉は黄色くなりましたが落ちずに残りました。しかし、今年は良い葉が出ています。生長が期待出来ますね。そういえば、最近ウィンドゥソリイの人気がにわかに高くなっているようです。よく理由が分かりませんが、グラキリウスだのパキプスだのの現地球が人気になりましたが、業者の次の目玉商材がウィンドゥソリイなのかも知れません。


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Pachypodium brevicalyx
ブレビカリクスの葉がなかなか出てきません。ちょっと心配です。ブレビカリクスは現在はデンシフロルムの異名となり同一種扱いとなっていますが、デンシフロルムよりも全体的に粗大な感じがします。


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Euphorbia lophogona
花キリン特有の花から次の花が出るふしぎな咲き方です。こういう咲き方は、花茎が分岐して上向きに開花するタイプの花キリンに多い気がします。


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久しぶりに植え替えの記事となります。今年の植え替えは今回で181鉢になりました。しかし、最近は多肉植物の論文の記事を書けていません。あまり良い論文を見つけ出せていないのと、今読んでいる論文が割とややこしい内容で、なかなか進まないためです。と言うわけで多肉植物の論文については、しばらくありません。あしからず。

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Euphorbia stellata
飛竜ですが、ここ数年はあまり上手くいっていません。今年も古い枝が枯れてしまいました。2020年1月にオザキフラワーパークにて購入。

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根はとても多いようにまえますが、主根から出る根は少なく、地際から出ているものばかりです。これらの根は植え込む際に邪魔になるため、カットしてしまいます。
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スッキリしましたが、勢いはないですね。
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植え替え後。冬の間に過湿になっているような気がします。置き場所を考え直します。

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Euphorbia makallensis
やや日焼け気味のマカレンシスですが、去年の生長は順調でした。根の状態はどうでしょうか? 2020年3月にプロトリーフにて購入。

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根の勢いは良好です。
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植え替え後。そのままプレステラ90に植えました。根の量からするとワンサイズ鉢を大きくしても良かったかも知れません。

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Euphorbia confinalis ssp. rhodesica
非常に美しいユーフォルビアの、コンフィナリス亜種ロデシカです。2022年4月のビッグバザールにて購入。

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根はかなり太く木質化していました。しかし、少しネジラミがいたので、根を洗いました。
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植え替え後。古い鉢はネジラミの感染源になりかねないので捨てました。

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Euphorbia suzannae-marnierae
スザンナエ-マルニエラエの名前で流通しているアンボボンベンシスです。最近、本物とおぼしきスザンナエ-マルニエラエも見かけるようになりましたが、どう見てもアンボボンベンシスにしか見えませんよね。スザンナエ-マルニエラエは葉が細長く、花が明るい色合いなので割と違いははっきりしています。2023年5月の木更津C & Sフェアにて購入。

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塊根はまだまだですね。しかし、根の張り具合は良さそうです。
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植え替え後。まだ小さいので塊根は出しません。

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Euphorbia viguieri
噴火竜も植え替えます。今年、初めて花が咲きましたが、たった一輪だけと言う侘しいものでした。2020年6月に鶴仙園にて購入。

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根は凄まじい量でした。
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植え替え後。うっかり同じ鉢に植えましたが、鉢増しすべきでしたね。


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6月に行った筑波実験植物園ですが、実はまだ少しだけ続きます。今回はいよいよ温室から出て研修展示館に向かいます。

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道すがら、公開していないバックヤード的な温室がありました。立ち入ることは出来ませんが、沢山の植物が栽培されている様子が分かります。

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研修展示館の隣にある小さい水生植物温室に入ります。入って右側はマングローブ林が再現されており、ヒルギが植えられていました。

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左側には水生植物の池があります。
こちらは、Ottelia cordataと言う東南アジア原産のトチカガミの仲間だそうです。


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ガガブタ Nymphoides indica
ガガブタは毛の生えたような面白い花がを咲かせます。名前はよく聞きますが実際に花を見たのは初めてです。


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Cyrtosperma johnstony
赤黒い葉柄が目立つ大型のサトイモ科植物です。サトイモ科植物は水辺に生えるものが割と多い植物です。

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よく見ると、赤い毛に覆われていました。毛の生え具合がそのまま模様となっているようです。

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ショウジョウヤシ
緋色が鮮やかなヤシです。名前は猩々緋から来ているのでしょう。


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水生植物温室は研修展示館に繋がっています。一階には、いくつか展示がありました。

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ラフレシアの模型。ラフレシアは木性つる植物に寄生しますから、植物園といえど簡単に栽培出来ないでしょうね。そもそも、人工的に栽培出来るのか分かりませんが。

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ショクダイオオコンニャク
こちらも模型。神代植物公園にしろ筑波実験植物園にしろ、開花期間中に行っていないので、実際に咲いているところを見たことはありません。


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こちらは、ホルマリンかアルコールかわかりませんが、浸漬された標本です。光合成しないマヤランと言う蘭で、地下で育つそうです。どうやらとても珍しい植物のようです。生態上、発見しにくいだけかも知れませんが。

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二階は研究室で、ガラス越しに見学出来ます。

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このように、絶滅の可能性のある植物が培養器を中で維持されています。植物園が研究施設でもあることを実感しました。


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本日もまた我が家の多肉植物たちを少しだけご紹介します。

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ちょうどリアトリスが咲いていました。

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Dioon edule
エドゥレの新葉が展開中です。スピヌロスムはすでに新葉の展開は終えていますから、エドゥレは割と遅めでした。


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皇帝 Tulista cv.
皇帝に初めて花茎が伸びて来ました。ツリスタはどういうわけか花茎が途中で駄目になってしまいがちで、花を見た記憶がありません。無事に開花して欲しいものです。


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魔天竜
小さい実生苗ですが良いトゲが出ていますね。生長が楽しみなギムノです。


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Euphorbia handiensis
剣光閣が盛んに開花しています。剣光閣はあまり見かけないユーフォルビアですが、とても丈夫で育てやすいユーフォルビアです。


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Fouquieria splendens
スプレンデンスも勢いのある葉が沢山出て、見違えるようです。


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Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸は葉が繁っています。夏に弱いと言われますが、実際には水切れに弱いだけな気がします。


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H. tessellata IB 6776
テセラタの花茎は駄目になってしまいました。ハオではよくあることですが残念ですね。


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Euphorbia lophogona
ロフォゴナはようやく外環境に慣れてきたみたいで、ピンクの花が咲いています。


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Haworthia chloracantha v. subglauca RIB 0099
クロラカンタ変種スブグラウカですが、相変わらず野趣あふれる素晴らしい姿を見せてくれています。


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昨日に引き続き筑波実験植物園の熱帯林の温室(熱帯資源植物温室)にいます。

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Pandanus utilis
マダガスカル原産のビヨウタコノキです。気根が沢山出ています。


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Cocos nucifera
ココヤシはちょうど実がついていました。分かりにくいので下に拡大した写真を追加。
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Etlingera elatior
トーチジンジャーです。花は生食出来るそうです。


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Clusia hilariana
白く丸い蕾が面白いクルシアはあまり馴染みがない植物ですが、フクギ属(Garcinia)やテリハボク属(Calophyllum)あたりと近縁みたいですね。

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下向きに開く花は、多肉質でしっかりとしています。

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Durio zibethinus
ドリアンはなかなかの高さですが、実はありません。何やら温室栽培だと実がつきにくいらしいですね。


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Ravenalia madagascariensis
オウギバショウ、あるいはタビビトノキと呼ばれます。板橋区立熱帯環境植物館で初めて見ましたが、こちらの方が圧倒的に巨大です。

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全体を撮ろうとしましたが、逆光で上手く撮れませんでした。しかし、たまたまですがちょっとエキゾチックな感じに。

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Heliconia caribaea
ちょうど開花していました。見上げる高さの、オウムバナの仲間です。


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Carludovica palmata
パナマソウは以前から気になっていた植物です。古い分類体系であるクロンキストや新エングラーでは、パナマソウはパナマソウの仲間と言う謎の説明があったせいですが…。


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Mesua ferrea
セイロンテツボクです。テツボクは鉄のように硬いと言われていますが、材が水に沈むことでも有名です。


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Angiopteris evecta
ナンヨウリュウビンタイの巨大な葉が通路にまで伸びていました。

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根元の塊茎も抱えるような大きさでした。周囲には子株がいっぱい育っています。

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巨大なAnthurium?Philodendron? ネームプレートはありませんでした。
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ちょうど花穂が出ていました。

これで、温室は終了です。まあ、実際にはこの熱帯林は、熱帯資源植物温室で熱帯雨林温室は別にあるのですが、時間がなくて見れませんでした。残念。


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相変わらず筑波実験植物園の温室を彷徨っていますが、いよいよ熱帯地域に移動します。長かった乾燥地も終わりです。しかし、乾燥地の温室に時間をかけすぎました。あまりゆっくり出来ませんでした。

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Cycas siamensis
アジア原産のシャムソテツですが、美しい樹形ですね。これで乾燥地の温室も終了です。


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Philodendron squamiferum
温室をつなぐ接続部にいくつか鉢がありました。こちらは、ワタゲカズラ。

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葉柄に毛が生えています。ゴワゴワしていそうですが、柔らかいそうです。

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Theobroma cacao
カカオの花が咲いていました。ここからは熱帯林に入ります。

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熱帯林の樹木は幹から花を直接咲かせるものがあります。

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Citrus limon 'Ponderosa'
赤子の頭くらいの巨大な実が沢山なっていましたが、なんと驚くべきことにレモンなんだそうです。


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鬱蒼としています。

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植物園の温室にはつきもののベニヒモノキ。

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Coccoloba pubescens
見上げたら巨大な葉がありました。ハマベブドウの仲間ですから、実は食べられそうですね。


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マンゴーのまだ青い実がなっていました。

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Musa chiliocarpa
よく見るとセンナリバナナがなっていました。

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非常に高い場所にありますから、バナナだと気がついて探さないと分かりません。ミッシリ詰まっていますが、あまり美味しくはないので主に観賞用です。

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Musa 'Morado'
アカバナナにも実がなっています。

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まだ赤くなっていません。

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Musa acuminata 'Dwarf Cavendish'
サンジャクバナナの花です。背が低いため、普段見ることがないバナナの花を間近で見ることが出来ました。
熱帯林は後編に続きます。


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最近の我が家の多肉植物たちの様子です。花キリンはあちこちで咲いていますが、まあいつものことですからまあ良いとして、少し開花あるいは開花しそうな連中をピックアップしました。

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Gasteria nitida
ニティダはすでに1本花茎が出ましたが、何だかこじれてしまい綺麗に咲きませんでした。しかし、また新しい花茎が出てきて綺麗に咲いたので良かったですね。

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ガステリアの独特の花が好きなんですよね。

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Haworthia  mucronata v. mucronata JDV 90/111
ムクロナタが開花中。
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花はポピュラーなタイプ。

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Haworthia chloracantha v. denticulifera
クロラカンタ変種デンティクリフェラにも花茎が出てきました。


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Haworthia parksiana
パルクシアナにも花茎らしきものがチョロっと見えています。


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H. limifolia v. gideonii(左)
H. tessellata IB 6776(右)
ギデオニイとテセラタが並んで花茎が出ています。


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Cycas revoluta
普通のソテツですが新しい葉が生え揃ったところです。今年もソテツシジミは付かなかったようでほっとしました。なんせ、小学生の頃に買った実生苗ですからね。思い出の品です。


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相変わらず筑波実験植物園の温室にいます。今日はマダガスカル島原産の植物を見ていきましょう。花キリンやディディエレアの仲間など非常に個性的です。

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Euphorbia geroldii
トゲなし花キリンのゲロルディイがよく開花しています。我が家のゲロルディイは、植え替えてからと言うもの、まだ花を咲かせてくれません。


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Euphorbia didiereoides
ディディエレオイデスは一見して花キリンには見えませんが、枝をみれば実に花キリンです。

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激しいトゲに覆われます。対して、我が家のディディエレオイデスはまだ分岐すらしていません。

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Euphorbia viguieri var. capuroniana
噴火竜の変種カプロニアナも巨大かつ実に太いですね。

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沢山開花していました。我が家の噴火竜は初めて一輪だけ咲いたばかりで、カプロニアナなどはまだ未開花です。

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Euphorbia pedilanthoides
枝が細いペディラントイデスも、ここまで育つと風格があります。

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幹がここまで太くなるとは驚きです。我が家のペディラントイデスはまだ爪楊枝レベルですからね。見られるようになるには、どれくらいかかるでしょうか?

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Alluaudia procera
プロケラも温室ならではのサイズです。キツネザルの飛び交うマダガスカル乾燥林を構成する代表的な植物です。


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Didierea trollii
地面を這う面白いディディエレアです。Alluaudiaに近縁なトゲトゲの灌木。


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Alluaudia dumosa
トゲのないつるつるした枝を持つドュモサですが、実に奇妙な姿の植物ですね。葉がまだないので余計に不思議な感じになっています。


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Operculicarya pachypus
人気のパキプスも剪定しないで育つと普通の灌木ですね。

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Operculicarya decaryi
デカリイが巨大に育っています。これを見ると、デカリイはちょっとコーデックスとは言うには微妙ですよね。


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Uncarina roeoesliana
ウンカリナが開花していました。ロエオエスリアナは小型の普及種です。我が家のロエオエスリアナはサイズ的には開花しても良さそうなのに、まったく開花の兆しが見えません。そういえば、ウンカリナはトゲトゲの果実がつきますが、これは足に絡まり踏みつけられることにより果実が壊れて、移動中に種子がこぼれると言う面白いものです。そして、果実が壊れるためには、踏みつける動物にはある程度の体重が必要です。ところが、マダガスカル島で大型動物と言えばキツネザルですが、足の裏が柔らかいのでウンカリナの果実を踏みつけるのは困難です。これは、絶滅した巨鳥エピオルニスが想定されています。ですから、現在は森の中に生えるウンカリナは大型のものばかりで、実生苗がまったくありません。むしろ、牛が踏みつけるため、牧場の周囲には実生苗が沢山生えているそうです。



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相変わらず筑波実験植物園の温室を彷徨っています。昨日はオーストラリアの植物でしたが、本日は多肉植物の本場である南アフリカの植物をご紹介しましょう。

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Encephalartos arenarius
「スナオニソテツ」とネームプレートには書いてありました。美しい新葉が展開していますが、何だかシダみたいですね。


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Encephalartos trispinosus
コンパクトで可愛らしいエンケファラルトスです。


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Encephalartos horridus
人気のホリドゥスも葉が混み合って美しいですね。


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Aloe ramosissima
ラモシシマ=ラモシシムムはディコトムムとは異なり低い位置からよく分岐します。現在はアロエ属から分離されAloidendron ramosissimumとなっています。


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Aloe plicatilis
プリカティリスも立派です。現在はアロエ属から分離されKumara属となっています。


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Adenia glauca
グラウカも立派です。


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Adenia globosa
グロボサは葉がすぐに脱落するため、トゲだらけの枝が繁り面白い姿になります。そういえば、多肉植物の即売会でも現地球らしき大玉は見かけますが、不思議と小さな実生苗は見た記憶がないですね。


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これは、アカンやつかも知れません。ネームプレートには「ハワーシア・ファスキアータ(十二の巻)」とありますが、まあおそらく誤りですよね。
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拡大するとこんな感じ。ファスキアタは葉の内側に結節がありませんから、これはアテヌアタ系ですね。まあ、十二の巻でしょうね。しかも、十二の巻は由来の分からない園芸品種ですから、純粋なアテヌアタかどうか分かりません。まあ、ただの結節がバンド状になる選抜品かも知れませんが。
せっかくですから、我が家のフィールドナンバー付きの由緒正しき栽培個体を見てみましょう。

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H. fasciata DMC 05265
こちらが本家本元のファスキアタです。分かりにくいのですが、葉の内側に結節はありません。ちなみに、野生由来だと結節は繋がらないことが多いように思われます。

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H. attenuata RIB 0060
こちらがアテヌアタです。葉の内側はザラザラしています。やはり、結節は繋がっておらずバンド状にはなっていません。



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7月に入りましたが、6月に行った筑波実験植物園の話の続きです。まだ、乾燥地の温室ですが、オーストラリアの植物がいくつかありました。オーストラリアの大半は乾燥地ですからね。他の大陸と地続きではないため、独自に進化した面白い植物が見られます。

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Callistemon pinifolius
ブラシノキの仲間が咲いていました。我が家にも赤い花のブラシノキがありますが、この種類は葉が非常に細長く花色も珍しいですね。

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ブラシノキはこのような面白い実がつきます。我が家でも沢山つきますが、枝にしっかりくっついており落果しません。中の種子も出てきませんが、火事になると出てくる仕様です。オーストラリアは山火事が多いため、このような変わった生態となったのでしょう。

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Banksia spinulosa
バンクシアは花が咲いていないと地味で目立たないですね。オーストラリア原産。

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バンクシアの風変わりな果実を見るのは2回目です。神代植物公園ではまだ緑色の若いB. integrifoliaを見たことがあります。バンクシアの種子も火災により飛び出すタイプです。

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Xanthorrhoea glauca
ブラックボーイは開花中ではなく、伸びているのは花がらのようです。オーストラリア原産。


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Brachychiton rupestris
ボトルツリーと呼ばれるブラキキトンも巨大です。こちらもオーストラリアの原産です。

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Cycas rumphii
立派なルンフソテツですね。がっしりとしています。オーストラリアからマレー半島の原産。


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Macrozamia communis
その美しさに息を呑むと同時に、その巨大さに圧倒されます。これも植物園の温室ならではです。しかし、自宅で育てるのはちょっと難しいですよね。オーストラリア原産。

長かった乾燥地の温室ももう終盤です。多肉植物の聖地である南アフリカとマダガスカルで最後ですかね。熱帯林の温室も楽しみです。



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以前※欄でサボテンの根の様々な働きについて、ご指摘いただいたことがあります。実に有り難いことです。しかし、なるほどこれは面白いと思い少し論文を漁ってみました。すると、アリオカルプスの根の働きについて書かれた論文を見つけました。それは、Tadao Y. Garretらの2010年の論文、『Root Contraction Helps the "Living Rock" Cactus Ariocarpus fissuratus from Lethal High Temperatures when Growing in Rocky Soil』です。

砂漠の酷暑と植物
砂漠では直射日光が強く、土壌表面の温度は70℃を超えることもあります。サボテンなどのCAM植物は日中に気孔を閉じるため、蒸散による冷却も最小限です。Lithopsなどのように小型の多肉植物は、大部分が地下に埋まるものがあり、受ける温度は低下します。しかし、サボテンは土壌と同じ高さ高さでははるかに高温となるからです。

「生きた岩」
Ariocarpus fissuratusは「生きた岩」(Living Rock)と言うあだ名が示すように、地面と同じ高さに生えます。このような小さな植物は、特に隠蔽色の場合には草食動物に見つかりにくくなるかも知れません。また、地表より下に体の多くを配置すると、蒸散による水分の損失を減らすことが出来ます。また、植物が地表より下にあると、水分が地表より長く存在する可能性が高くなり、水分の吸収が改善されるかも知れません。

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Ariocarpus fissuratus
『The Cactaceae Vol. III』(1922)より。

収縮根
収縮根はアスパラガス科やリュウゼツラン科など、多くの多肉植物にあります。サボテンではLeuchtenbergia principisやLophophora williamsii、Neomammillaria macdougali、Pediocactusなどで報告されています。A. fissuratusはその生態から収縮根を持つことが推測されますが、明らかとはされていません。

A. fissuratusの場合
A. fissuratusを栽培すると、秋〜冬と夏に主に根の収縮により地中に引き込まれました。根の収縮は夏よりも秋〜冬に大きくなりました。晩冬に90日間水やりを減らした時に最も収縮しました。A. fissuratusの原産地の冬は1.2℃になりますが、実験に使用した温室の最低気温は約5℃でした。低温と乾燥の組み合わせは、収縮のきっかけとなります。

仮説
野外で育つA. fissuratusは、根の収縮により地表面と同じ高さになります。その理由を説明ですために、
つの仮説をたてました。すなわち、より低い位置にあることにより、①水分が良好、②気温がが良好、③隠蔽効果です。

①水分が良好
低い位置にあることにより、水分の損失を減らすことが出来るかを試験しました。しかし、地上に剥き出しであるか、地表面と水平であるかは、水分の損失に関係していませんでした。Lithosでは土壌に埋め込まれている場合の方が水分の損失は少なくなります。これは、Lithosでは根が湿った土壌にあり自由に蒸散していたのに対し、A. fissuratusは乾燥しておりおそらく気孔を閉じていたからからかも知れません。いずれにせよ、A. fissuratusの根の収縮は水分の損失とは無関係です。

②気温が良好
根の収縮により適した温度に出来るかを試験しました。まず低温ですが、冬に最大の根の収縮が起きたことから可能性があります。しかし、ほとんどの場合、植物自体の方が気温より低温であることが分かりました。A. fissuratusは茎に含まれる粘液が低温に耐えるために重要で、根の収縮は関係がないと考えられます。
高温に対する根の収縮の効果は、砂質の土壌で鉢栽培した場合には、根の収縮に利点はありませんでした。つまり、地表面と水平の場合の方が高い温度(60℃)を記録したのです。しかし、岩石質がある用土の場合、わずか(56.5℃)に温度が下がりました。砂質土壌に植えられたA. fissuratusは真夏の8日間の猛暑の後に全て枯死しましたが、岩石土壌の場合は全て生き残りました。野外のA. fissuratusは根の収縮と土壌の岩石の組み合わせにより、芽を致命的な高温に達するのを防ぐことができます。

③隠蔽効果
この仮説は検証していませんが、岩の多い土壌に埋め込まれる利点は明らかです。しかし、A. fissuratusは豊富な粘液を持ち、アルカロイドによる化学的防御がなされているため、根の収縮による隠蔽は防御手段として重要ではないかも知れません。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
以前、論文を読んでいた際、鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia)はその特徴的な茎は自生地では地下に埋もれて見えないと言うことを知りました。鉄甲丸は乾燥時には縮んで地中に引っ込むと言うことです。まあ、厳しい環境に耐えるための収斂進化なのでしょう。しかし、その期待される効果は同じではないかも知れません。
さて、論文では根の収縮は温度上昇を抑える働きがあることを明らかとしました。とは言え、対して変わっていないようにも思えます。著者らはA. fissuratusの細胞の半数が死亡する温度(半数致死温度)を実験で確かめており、低温ではマイナス10.2℃、高温では56.8℃でした。すると、岩石土壌ではわずか0.3℃ではありますが、半数致死温度に達していません。逆に砂質土壌では半数致死温度より3.2℃も高く、実際に枯死してしまいました。また、白っぽい明るい色合いの土壌では光を反射しますから、温度が下がります。自生地ではそのような効果もあるかも知れません。
多少の疑問もあります。論文では夏期に高温となる温室内で試験が行われました。しかし、実際の自生地では半数致死温度に達するような環境なのでしょうか? これは自生地で確かめないと分からないでしょう。重要なのは温度の低下だけではなく、根の収縮による引き込みにより、実際にA. fissuratusの生存にどの程度の影響を受けるのかです。もしかしたら、温度の低下は起きていても生存率の向上には寄与しないかも知れません。冬期により収縮することを鑑みれば、単純に水分がないから縮んだだけで、特に意味はない可能性もあります。何かが発見されると何かしらの意味を付加したくなりますが、必ずしも意味があるとは限りません。むしろ、A. fissuratusが縮む乾燥期に水分を求めている動物からの隠蔽効果が一番重要な気もします。


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