ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2024年05月

5月は多肉植物もよく動く時期でした。色々と変化があり楽しい季節ですね。

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Stephania pierrei
ピエレイが開花しました。目立たない小さな花です。一般的にはS. erectaと呼ばれているステファニアです。


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Gasteria nitida
ニティダが初めて開花しました。
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残念ながら先端はこじれてしまっています。花穂が伸びている最中に室内から室外に移動させたのが良くなかったのでしょうか。

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Gasteria baylissiana
バイリシアナが満開です。

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ガステリアは面白い植物ですがイマイチ流行りませんね。

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Dioon spinulosum
スピヌロスムは葉が2枚同時に展開中です。

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Cycas revoluta
日本のソテツ、King Sagoもフラッシュを開始しています。小さな実生苗から40年育てていますが、鉢栽培なので生長は実にゆっくりしています。

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新しい若葉が美しいですね。ソテツシジミが来ないことを願っております。


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今日も植え替えの記事です。今年の植え替えは今回で128鉢になりました。今回はツリスタを中心に植え替えます。

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Tulista pumila var. ohkuwae GM 602
自分で名前を書いていて妙に思ったのですが、GM 602と言うフィールドナンバーに付けられた名前は、Haworthia pumila v. ohkuwai、あるいは
Haworthia pumila v. ohkuwaeのような気もします。フィールドナンバーが付けられた時には、プミラはまだツリスタ属ではなかったのではないでしょうか。変種オウクワエは変種オウクワイとされがちでしたから、そこも少し怪しく思います。これは、名前が変更されてもフィールドナンバーは記録された時の名前で表記されるべきだからです。まあ、GM 602の情報が見つけられないからこのようにグダグダ言ってるわけなんですけどね。2022年6月のビッグバザールにて購入。
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根はまあ普通でした。
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植え替え後。結節が立体的で非常に特異的なプミラです。大切に育てたいですね。

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Tulista kingiana
キンギアナがストレスカラーで真っ赤になっています。キンギアナはツリスタ属の中でもなかなか入手しにくい種類です。2022年7月にコーナン港北インター店にて購入。

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根は動いています。
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植え替え後。生長は実に緩やかです。

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Tulista pumila
割と普通のタイプのプミラです。2022年7月にコーナン港北インター店にて購入。

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根は割と良好です。
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植え替え後。プミラは大型になりますから、これからどう育つのか気になります。

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Haworthiopsis glauca var. herrei
変種ヘレイの葉が長いタイプです。2022年7月にコーナン港北インター店にて購入。

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根には問題がありません。
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植え替え後。変種ヘレイはすでに3タイプ入手していますが、それぞれ個性的です。青白い美しい葉は共通していますから、見かけたらついつい買ってしまいます。

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Gasteria glauca
グラウカは入手してからまだ2枚しか葉が出ていませんが、非常に良い葉が出ていますね。2023年7月にコーナン港北インター店にて購入。
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根は浅く表面を這うようでした。
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植え替え後。海外のサイトではガステリアは浅鉢に植えると書いていたりしますが、確かにグラウカの根は浅鉢に適していそうです。

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Aloe triangularis
Haworthia triangularisの名前で入手しましたが、ある種の園芸名で、実際に命名されたのはAloe triangularisでした。これは、ハウォルチア属が出来る前はハウォルチアはすべてアロエ属だったからですが、その後ハウォルチアに属が移されませんでした。しかし、どう見てもアロエには見えないわけですが、その正体はと言うとHaworthiopsis viscosaとなります。結節がなく色の明るいタイプと言うことなのでしょう。2022年10月にタナベフラワーにて購入。

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根は強く暴れています。
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植え替え後。名前の通り三角形の均整のとれた硬葉系ハウォルチアです。


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一見して不毛にも思える崖地にも植物は生えています。かなり厳しい環境であることは想像されますが、意外にも崖に生える植物は世界中で見ることが出来ます。日本でも崖地にはシノブなどの着生性のシダ植物が沢山ついていることは珍しいことではありません。日本の環境だと多雨で湿度も高く、着生シダだけではなく、岩の亀裂や積み重なる苔を土台に様々な植物が生えてきます。海沿いの陽光を遮ることのない崖地にはツメレンゲOrostachys japonicaが生えますが、日本では崖地の乾燥に耐える多肉質な植物は稀と言えます。しかし、海外の乾燥した崖地にも多肉植物は沢山生えています。サボテンでも菊水Strombocactus disciformisなど崖にへばりつくように生えるものもあります。南アフリカではGasteriaなど崖地に生える植物は豊富です。
さて、本日は先ずは序論として、崖地に植物が生えると言うことは一体どういうことなのかを見ていきたいと思います。今回はIsaac Lichter Marckの2022年の論文、『Plant evolution on rock outcrops and cliff: contrasting patterns of diversification following edaphic specialization』を参照にしましょう。

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dadleya arizoniaca
ダドゥレヤは北米の代表的な崖地植物の1つです。

崖地の困難
植物が崖の裸岩上で育つためには、風の曝露、基質の垂直性、紫外線の増加、乾燥、土壌の水分の減少、土壌や主要栄養素の不足など、複数の課題を克服する必要があります。さらに、草食動物の増加、花粉媒介者の減少、菌根の欠如などの生物間の相互作用も生育を困難なものとしています。
裸岩への適応として考えられるのは、ストレスに強い葉(密生した毛、小さく蝋質な葉、葉が少ないなど)、狭葉性、自家和合性への移行、抗草食動物防御の強化などです。


特殊化する種子の散布
崖に生息する植物の多くは、種子散布が低下する選択を受けているようです。これは、種子散布性の喪失により、風で拡散する風散布種子や動物に付着して拡散する付着散布種子に適応しない乾燥した果実が残ります。分散性の低下の極端な例として、北アメリカ西部の岩石特化植物は異なる系統でも、果実が成熟すると花柄が後ろに曲がり、親植物の後ろの岸壁に付着するものがあります。分散性の低下は拡散された種子の生存率が低いことに起因するのかも知れません。

Trade offの関係
裸岩への適応は長い議論の末、その説明としてtrade-offが浮上しました。trade-offはある環境への適応が他の環境における生長にコストをかける場合に発生します。裸岩に生える植物の場合、裸岩における生存に有利な形質に投資したため、エネルギーコストが高く生長が遅いため、裸岩ではない環境では他の植物により排除されます。その間接的な証拠として、裸岩上に生える植物は極めてゆっくりと生長し、驚くほど長生きなものもあります。また、他の生息地では不利なタイプの特殊な根を持ちます。

多様性のパターン
過酷な環境への特化が他の過酷な環境に適応する可能性があることは昔から指摘されてきました。例えば、Daniel Axelrod(1972)はブラジルの大西洋熱帯雨林を訪れ、裸の砂岩の露頭にAcasiaやOpuntiaなどの砂漠特有の干ばつ耐性植物が生えているのを観察しました。この観察に基づいてAxelrodは、北米の砂漠植物相は密集した植生の中の乾燥した微小環境に適応した干ばつ耐性植物から派生したものであると提唱しました。

進化の罠仮説と進化の行き止まり仮説
種レベルの分子系統から、岩石特化植物は主に2つのパターンが示されています。一方では進化的に隔離された、一般的な環境に生える種に近い系統があります。例えば、monkeyflower(ハエドクソウ科)の中には、western great basin(Diplacus rupicola)とコロラド高原(Erythranthe eastwoodiae)で、それぞれ独自に進化した岩石特化植物があります。それらは、近隣に生える通常種に近縁です。これは、進化の罠(evolutionary traps)仮説と一致します。進化の罠仮説は、裸岩への適応には不可逆的な複雑な表現型の変化が必要であるため、その進化は不可逆的となってしまいます。さらに、このパターンは進化の行き止まり(dead-ends)仮説とも一致する可能性があります。岩石への特殊化は、長い時間スケールでは絶滅率が上がる危険な戦略であり、系統学的に孤立します。

群島種分化仮説と生態学的開放
他方では裸岩環境に限定された近縁種を含むものです。例としては南アフリカのマンネングサ類(ハマミズナ科)やPitcarnioid Bromeliads(パイナップル科)、北アメリカ西部のrock daisy、Holarctic温帯環境(temperate enviroment)のユキノシタ属(Saxifraga)が挙げられます。これは、群島種分化(archipelago speciation)仮説と一致します。海洋島の植物で見られる(生殖的隔離の)パターンで、地理的な岩の露頭の断片化により進化が促進されます。さらに、競合しない仮説として、生態学的開放(ecological releare)が考えられます。裸岩の固有の土壌の性質は、過酷な砂漠や冷温帯バイオームなどストレスの多い環境への生態学的移行のための強力な進化的な前触れになる可能性があります。ストレス耐性を得たことにより、競争が少ないため放散の機会が多い、他のストレス環境への移行が可能となるのです。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
本日は崖地に生える植物の基本的な生態のメカニズムをご紹介しました。後半の生態学的開放とは、個体数の増加を制限している要素から開放された場合、爆発的に個体数が増加するパターンを指します。例えばニホンオオカミの絶滅によりシカの個体数の増加に歯止めがかからないといった場合が一般的です。崖地の植物の場合は、崖地の過酷な環境に適応した結果として、その他の過酷な環境への進出が可能になるかも知れません。その他の過酷な環境は、その過酷さゆえ生態的に空白となっており競争が少ないか存在しません。そのため、その空白地に進出することができれば、一気に個体数を増やすことが出来るかも知れないのです。
ただし、あまりに特殊化した場合、後戻りは出来なくなり進化的に袋小路に陥る可能性もあります。栄養や水分などが豊富な植物の生育に適した環境は、激しい競争の世界です。素早い生長や効率的な繁殖戦略が必要となります。この競争に勝ち続けるためには、常に進化の最前線にいなくてはなりません。対して、崖地に適応した植物は、緩やかな生長や特殊化した繁殖戦略をとるため、激しい競争の世界ではあっという間に滅びてしまうでしょう。しかし、激しい競争の世界では、少しの環境の変化で優劣は簡単に入れ替わり、種の構成は猫の目のように変わるかも知れません。対する崖地の植物は、競争の少ない環境で安定したニッチを占めることが出来るのです。


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久々の最近の多肉植物の様子です。

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噴火竜 Euphorbia viguieri
初めての開花しました。


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赤城 Ferocactus macrodiscus
赤城が開花しましたが、たった1つだけです。勢いがありません。長らく植え替えていませんからね。なんだかんだで30年くらい育てていますから、我が家では付き合いの長いサボテンの1つです。まあ放置気味でしたが…

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Uncarina roeoesliana
ロエオエスリアナは調子が良さそうです。ウンカリナはでかい鉢で水をジャブジャブやって乾かないように育てています。


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パキポディウムたち。

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Pachypodium rutenbergianum
ルテンベルギアヌムもやっと葉が出てきました。パキポディウムでは一番最後でした。


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Euphorbia leistneri
レイストネリは植え替えの効果か、葉の勢いが良いですね。ナミビア原産の希少種。


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Euphorbia hofstaetteri
ホフスタエテリの新トゲは美しいですね。


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翠眉閣 Euphorbia quadranglaris
最近は「氷河」と言う名前で流通しているようです。奇しくも同じくユーフォルビアのハツユキソウも氷河と呼ばれているため、初めて
翠眉閣に「氷河」のラベルがついているのを見て混乱しました。しかし、長く花が咲いています。


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今日も植え替えの記事です。今年の植え替えは今回で122鉢になりました。

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Gasteria excelsa
エクケルサの生育は非常に緩慢です。しかし、これでも見違えるほど葉が大きくなりました。2022年4月にファーマーズ三郷店にて購入。

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根の状態は良さそうですが、非常に浅いですね。
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植え替え後。今後が楽しみなガステリアです。

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Gasteria glomerata
ダルマ型のグロメラタです。短くて丸い葉が面白いですね。2022年7月にコーナン港北インター店にて購入。

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根の状態も良好です。
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植え替え後。こういうタイプのガステリアは、浅鉢で群生させた方が良いような気もします。

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Haworthiopsis pungens
プンゲンスは名前の通り鋭く尖った葉が特徴です。去年はあまり動きはありませんでした。2022年7月にコーナン港北インター店にて購入。

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根は動いていますね。
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植え替え後。今年は動いてくれると嬉しいのですがね。

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Tulista minor
一般的にはT. minimaとされがちなミノルです。ツリスタは大型になりますが、ミノルはどうでしょうか? 今のところサイズは安定していますね。2022年7月にコーナン港北インター店にて購入。

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根は良さそうです。
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植え替え後。

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Aloiampelos  striatula var. caesia
頭が重くふらつくので植え替えます。アロエから独立したアロイアンペロスですが、どうやら寒さには非常に強いようです。2023年1月のビッグバザールにて購入。

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根は非常によく張っていました。
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植え替え後。バランスが悪いので思い切って6号鉢に植えました。


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26日に開催予定の木更津Cactus & Succulentフェアですが、何と仕事とバッティングしてしまい行けないことが確定しました。毎度、楽しみにしていましたからガッカリです。仕方がないので、昨日は休みをとって代わりに鶴仙園へ行ってきました。鶴仙園もしょっちゅう行けるわけではありませんから、これはこれで楽しみではあります。

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さて、午前中にサッと見てきましたが、温かくなりすっかり多肉植物の季節ですから、多肉植物も充実していました。エケベリアもかなり沢山ありましたし、嶺ファームのPOP UPイベントが終わった後ですがまだ沢山のパキポディウムの実生苗が並んでいました。ガステリアもかなりありましたが、残念ながら私の好みのものはありませんでした。例によっていつも少ない硬葉系ハウォルチアを物色しましたが、今回は輪を掛けて少なく、大変美しいフィールドナンバーつきのH. glauca v. herreiは過去に鶴仙園で購入したものと同じでしたから購入せず。ガステリアもエラフィエアエのフィールドナンバーつきも同様です。それでもやはり面白いものがあるのが鶴仙園です。今回は2鉢を購入。

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さて、ここからは購入品の話です。公式ブログにあったトゲなし花キリンのゲロルディイが気になっていましたが、入荷は結構前でしたからもうないかと思っていたらまだありましたね。

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E. トゲ無し花キリン ゲロルディー
Euphorbia geroldiiです。1994年の命名ですから割と新しいですね。「トゲ無し花キリン」とは言いますが、トゲがない花キリンは沢山あるので妙な感じがしますが、一般的にイメージする花キリンのトゲ無しバージョンと言う意味合いなのでしょう。

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ゲロルディイと言えばこの美しい花が特徴です。丸みがあって可愛らしいですね。

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H. tuberculata v. subexpansa
あまり聞き馴染みのないハウォルチアですが、現在はH. scabra v. scabraの異名とされています。v. scabraはこれで3タイプ目ですが、このタイプは大柄で結節も大きく個性的です。

と言うわけで鶴仙園へ行って参りました。なんだかんだで面白いものがあるのが鶴仙園の良いところです。5月は公私ともに忙しく、多肉植物のイベントはまったくいけませんでしたが、今回の鶴仙園は十分な慰めになりました。6月は少し落ち着くと良いのですがね。


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今日も植え替えです。今年の植え替えは今回で117鉢になりました。しかし、最近はイベントにも忙しくて行けないので、空いた時間にチョロっと行う植え替えの記事ばかりですね。サボテンの花も咲いているのですが、タイミングが合わず撮影出来ていません。論文も全然読んでいません。時間がまったく足りていませんね。

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Tulista marginata
ハオルチアから独立しツリスタ属となったマルギナタです。まだ旋回が始まっていないため、将来の形質は未知数な部分があります。去年は葉の根元の見えない部分にアブラムシが湧いたりしました。ダメージがあったのか生長は遅いですね。2022年7月にコーナン港北インター店にて購入。
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根は少ないもののよく動いています。今年の生長は期待できそうです。
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植え替え後。早くロゼットを作って、マルギナタらしい美しい姿を見せてほしいですね。

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Tulirta marginata
こちらは結節がないタイプのマルギナタです。まだ旋回が始まったばかりですから、それほどツリスタっぽさはありません。2022年9月に鶴仙園にて購入。
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根はまあ普通です。
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植え替え後。去年の生長は非常に良かったので、今年も期待しています。

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Gasteria ellaphieae
エラフィエアエは相変わらずお美しいですね。なんでガステリアが流行らないのか不思議です。2022年6月のビッグバザールにて購入。

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根の状態は良好です。
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植え替え後。フィールドナンバーつきのエラフィエアエは開花しましたから、こちらもそろそろ咲いてほしいところです。

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Haworthiopsis scabra
ダルマ型のスカブラです。えらくずんぐりしています。2022年7月にコーナン港北インター店にて購入。
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根は動いてません。もうちょい根が張っても良さそうですけどね。
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植え替え後。スカブラは普及種なのにあまり見かけませんね。人気がないのかも知れません。しかし、このタイプは典型的なものではありませんから、他のタイプも集めたくなります。

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Euphorbia virosa
いわゆる矢毒キリンです。鉢が小さいので植え替えます。2020年2月に鶴仙園にて購入。

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根はよく張っていました。
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植え替え後。5号鉢に植え替ました。しかしきれいに育っていますね。


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変わった見た目をしているドラゴンフルーツの果実を見かけるようになったのは、いつ頃のことだったでしょうか。20年くらい前はかなり珍しい果物だったような気がします。いつでもどこでも販売しているわけではありませんが、今ではドラゴンフルーツ自体はすごい珍しいものではなくなりました。沖縄でも栽培されているみたいですし、あまり見かけないのはあくまで需要と供給の話だからなのでしょう。

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Hylocereus undatus(上)

さて、そんなドラゴンフルーツですが、これはいわゆるサボテンの実ですが、ドラゴンフルーツは我々趣味家にとっては馴染み深いサボテンだったりします。なぜなら、ドラゴンフルーツとはいわゆる「三角柱」と呼ばれているサボテンのことだからです。葉緑体がない緋牡丹を三角柱に接ぎ木したものを皆様も見かけたことがあるはずです。まあ、三角柱は永久台木にはならず、寒さに弱く腐るのであまり台木としては人気がないかも知れません。
本日は原産地であるメキシコにおける、三角柱=ドラゴンフルーツの受粉に関する研究をご紹介したいと思います。それは、A. Valiente-Banuetらの2007年の論文、『Pollination biology of the hemiepiphytic cactus Hylocereus undatus in the Tehuacan Valley, Mexico』です。早速、見ていきましょう。

Hylocereus undatusとは?
メキシコ南部から中米北部に拡がるメソアメリカ文化では、サボテンが栽培されていました。メソアメリカ人が使用した118種類のサボテンのうち、約40種類は様々な程度で家畜化されており、現在でも先住民族により広く栽培されているものもあります。それらの中でも、半着生サボテンであるHylocereus undatusはその装飾的価値と食用となる果実のためにメキシコ全土で高く評価されています。H. undatusはメキシコ、西インド諸島、中米、南米北部の熱帯落葉樹林に自生します。また、カンボジア、コロンビア、エクアドル、グアテマラ、インドネシア、メキシコ、ニカラグア、ペルー、台湾、ベトナムで、果実生産のために栽培されており、近年ではオーストラリアやイスラエル、日本、ニュージーランド、フィリピン、スペイン、米国でも栽培されています。

Hylocereusの受粉生物学
H. undatusは作物としての重要性のため、園芸学的にあるいは生態生理学的に広く研究されています。HylocereusとSelenicereusの受粉生物学的研究のほとんどは、温室環境下で実施されています。それらの研究によると、花は夜行性で一晩だけ開花し、コウモリや大型のスズメガが訪れます。H. polyrhizusとH. costaricensisは自家不和合性であり、結実には他家受粉が必要です。過去の報告によると、H. undatusは自家受粉では自然と結実はせず、人工的に自家受粉させるとその結実率は50〜79.6%に低下します。ちなみに、他家受粉では100%結実します。一方、Selenicereus megalanthusは自家和合性があり、自然状態でも自家受粉し結実率は60〜73%、人工的に自家受粉させると結実率は100%でした。この2種類の受粉システムの違いは、自動自家受粉(自然状態での自家受粉)を妨げたり可能とする葯や柱頭の位置と形態の違いによるものでしょう。

実験方法
メキシコ中南部のTehuacan渓谷では、現地で「pitahaya」と呼ばれているH. undatusが広く栽培されており、地元の人々によると古くから栽培されてきた作物と言うことです。現在、pitahayaの果実の生産と商品化は重要な経済活動の一部です。pitahayaは茎の一部を樹木の根元に植えるだけで、家庭菜園で沢山の果実がとれます。この地域の果実生産は非常に効率的です。それは、地元の人々による植え付けによる遺伝的な影響のためか、単に自家不和合性があるためであるのかは不明です。
そこで、著者らはこの
Tehuacan渓谷で、果実における自家受粉の役割と、夜行性および昼行性の花粉媒介者の重要性を決定するために調査を実施しました。花を夜間だけあるいは日中だけ袋をかけ、花粉媒介者の訪問を制限しました。さらに、著者らの手による自家受粉させたものと、袋をかけず自由に受粉させたもの、常に袋をかけたものも試験しました。受粉した果実が成熟したら回収し、分析しました。

観察
調査地におけるH. undatusの花は約17時に開き始め、11時頃に閉じ始めました。分析した花のすべてから花蜜は検出されませんでした。花は長さ平均34.5cmで、花の先端部から蜜室までの長さは平均29.95cm、外径は平均13.6cmでした。
野外調査では3種類のコウモリが捕獲され、付着したH. undatusの花粉が調べられました。うち、2種類のコウモリは付着した花粉が豊富でした。日中にはミツバチの訪問が観察されましたが、夜間は昆虫は採取されませんでした。

結果
人工的に受粉させた自家受粉の場合は53.8%の結実率でしたが、常に袋がけした自家受粉の場合は100%の結実率でした。袋をかけない場合は100%結実しましたが、夜間だけ袋を外した場合は76.9%の結実率、日中だけ不安定を外した場合は46%の結実率でした。
人工的に受粉、あるいは袋がけした自家受粉で100%受粉したと言うことは、花粉媒介者がいなくても結実出来ると言うことです。これは、自家受粉では結実せず、人工的な自家受粉では結実率が下がるとしたWeiss et al. , 1994の結果とは異なります。イスラエルにおけるH. undatusの果実の商業生産に関する報告(1999, 2000)では、果実の生産には人工受粉が必要であるとしています。これらの違いはクローンの違いに起因する可能性があり、調査する価値があります。
Tehuacan渓谷のH. undatusの自家受粉する性質は、その商業生産にとっては重要です。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
この
Tehuacan渓谷のH. undatusの自家受粉する性質は、明らかにその果実の商業生産にとって福音となるでしょう。しかし、その性質の違い、おそらくはクローンの違いはですが、どのようにしてもたらされたのでしょうか。茎節を挿し木して増やすTehuacan渓谷の人々の長いH. undatus利用の過程で生まれたことは明らかかも知れませんが、あるいは選抜された過去が隠されているのかも知れませんね。
さて、
Tehuacan渓谷のクローンは自家受粉するため必ずしも花粉媒介者は必要ありませんが、一般的には人工受粉させるか花粉媒介者が必要です。今回の調査では夜間に花を訪れるコウモリが主たる花粉媒介者と比定されます。花蜜はないので花粉を食べに来ているのでしょう。また、H. undatusの花は夜間に開花しますが、明け方から11時位までは開いているため、ミツバチも訪れ受粉に寄与していることが分かります。果実の効率的な生産には自家受粉する性質は便利ですが、やはり他家受粉により多様な性質が現れることは、野生のH. undatusには必要なことでしょう。
最後に補足情報で終わりましょう。かつてドラゴンフルーツはHylocereus undatusなる学名で呼ばれておりましたが、近年Selenicereus undatusとなり、HylocereusはSelenicereusに吸収されてしまいました。これはHylocereusが遺伝的にSelenicereusと区別出来ないと言う研究成果に基づいています。



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相変わらず植え替えばかりしています。今年の植え替えは今回で112鉢になりました。まだまだ忙しく、土日に開催されていた北区グリーンフェスタやボタニカル横丁は断念しました。しかし、この忙しさはしばらく続きますから、イベントへの参加も難しいかも知れません。ちょうど週末に木更津Cactus & Succuletフェアが開催されますが、残念ながら不参加とあいなりました。6月のビッグバザールも参加出来るのかまだわかりませんが心配です。ビッグバザールも木更津C&Sも毎回行っていますから、流石に両方行けなくなるのは困りますね。

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Euphorbia squarrosa
いわゆる奇怪ヶ島です。入手した時は、まだ塊根が出来ていない小さな実生苗でした。塊根は出来ているでしょうか? 2023年3月のビッグバザールにて購入。

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塊根が出来ていました。根の状態も良好です。
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植え替え後。少しだけ塊根を出しました。

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Astproloba foliolosa
フォリオロサの全体的に小型のタイプです。これでも、だいぶ大きくなっています。2022年4月のビッグバザールにて購入。

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根は問題なし。
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植え替え後。フォリオロサはまっすぐ育たないことが悩みです。

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Agave × leopoldii
レオポルディイも植え替えます。繊維が少しですが出てきました。ちなみに、レオポルディイはA. filiferaとA. schidigeraの交雑種とされ、種小名はベルギー国王レオポルド2世に対する献名です。2022年9月のビッグバザールにてオマケで抜き苗をいただきました。

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根は非常に発達していました。
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植え替え後。プレステラ120に鉢増ししましたから、どんどん育ってほしいですね。育つと非常に美しいアガヴェです。

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Gasteria vlokii
ヴロキイはようやく葉が一周しました。2022年6月のビッグバザールにて購入。

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根の状態は良さそうです。
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植え替え後。実はまだ花が咲いたことがないので、来春は期待しています。

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Gymnocalycium intertextum
生長著しいインターテクスツムです。学名的には武勲丸やバッテリーとともにG. ochoterenaeではないかと言われています。2021年3月に鶴仙園にて購入。
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細根がよく発達していますが、流石に切り詰めました。
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植え替え後。今年も順調に育ってほしいですね。


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今年の植え替えは今回で107鉢となりました。しかし、去年は強風で多肉植物置き場のビニールが破け、あちこち雨漏りしてしまい、一部の多肉植物は雨水を被ってしまいました。なかなか直さずにグズグズしていたため、徒長気味のものはおそらくそれが原因かなあと思っています。

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Euphorbia clandestina
いわゆる逆鱗竜です。親株は胴切りしたのですが、時期が悪かったのか腐れてしまいました。こいつらは、その子供です。逆鱗竜は自家受粉しますから、あちこちに種子をばらまいて、アチラコチラで生えてきます。そう言えば、冬の間に開花していましたから、また種子をアチラコチラにばらまいたのでしょう。親株は2020年3月にプロトリーフにて購入。

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根元に謎の花キリンらしき実生が生えていました。
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根は非常に良いですね。
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植え替え後。まとめてしまいました。謎の実生も一緒です。

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Euphorbia susannae
いわゆる瑠璃晃です。最近はこのような疣が太いタイプではなく、細く尖るタイプが主流のようです。2020年1月にシマムラ園芸にて購入。

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根は渦巻いています。
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植え替え後。少し間延び気味ですから、今年は締めて作りたいてですね。

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Euphorbia stellispina
いわゆる群星冠です、今年の冬は花が咲きませんでしたからトゲなしです。子株も育って非常に窮屈そうです。2020年3月にプロトリーフにて購入。
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根は非常によく発達していました。子株も根を張っています。
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植え替え後。プレステラ120に植えましたから、ゆとりが出来ましたね。

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Euphorbia officinarum
いわゆる大正キリンです。かなり厳しく育てたため、日焼けしてしまいましたが、去年は逆に徒長気味です。ちょうどいい感じを見つけるのは難しいですね。それはそうと、大正キリンの学名は長らくE. echinusとされていましたが、実はE. officinarumが正しいのだと言うことになりました。しかし、最近ではE. echinusはE. officinarum subsp. echinusとなっています。詳しく調べていないので、日本で大正キリンの名前で流通しているのは、ssp. officinarumなのかssp. echinusなのかはよく分かりません。少し調べてみます。2020年1月にオザキフラワーパークにて購入。

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根はパンパンに張っていました。
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植え替え後。そのまま植えました。

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Euphorbia robecchii
まだ双葉がついた状態で入手したロベキイですが、短い根が1本あるだけでした。入手してからあまり育った感じはしません。根の状態はどうでしょうか? 2022年6月のビッグバザールにて購入。
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根はよく育っていました。
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植え替え後。根が良いので今年の生長が期待出来ます。

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大型鬼胆丸
大型鬼胆丸は縮んでしまい、イマイチ生気がありません。心配です。Gymnocalycium gibbosum var. nigrumとも書かれていましたが、九紋竜の変種であるG. borthii var. brachypbtalumとされることもあるようです。2022年10月に鶴仙園にて購入。

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ネジラミがいましたが、根は思ったよりしっかり張っていました。少し厳しくし過ぎたのでしょうか。
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植え替え後。今年は試しに甘やかしてみます。


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植物は育てていると、稀に生長点が異常になる「帯化」が起きることがあります。これは石化とも呼ばれますが、サボテンでも綴化と呼ばれ珍重されています。さて、園芸的には帯化は肥料過多が原因なのではないかと言われているようですが、その実態はよく分かりません。帯化の直接の原因は生長点の異常ですが、その異常を引き起こす原因がよく分からないのです。以前、Gymnocalycium vatteriのトゲがアレオーレではない場所から出る突然変異の報告を読んだことがあります。その報告は写真がメインで、特に考察や原因の特定がないため、記事にはしませんでした。しかし、関連論文として、サボテンの生長の異常に関するものがあったため、今回ご紹介することにしました。それは、Vladimir A. Basiukの2013年の論文、『Teratopia in Cactaceae Family: The Effect to Temperature』です。

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Ferocactus wiskizenii forma cristata
『Saguaroland Bulletin』(1954)より。

生長異常を起こすサボテン
著者の約350株のサボテンコレクションを詳しく調べ、どのような種類の生長異常が見られたかを要約しました。著者のサボテンの育成環境は、アルミニウム温室です。場所は北緯18.55°(※1)、標高は約1500mですから日射量は強いことが分かります。温室は遮光率70%のネットにより、特に午後の強い日射から守られます。日中の気温は高く軽く40℃を超え、これは夏でも冬でも起こります。また、温室のサイズが小さいことに加え、動物からサボテンを保護するために、入口は閉じ続けなければなりませんでした。小さな2つの窓は換気にはほとんど意味がありません。

※1 ) 著者はメキシコの大学に所属しています。

化学的、あるいは物理的な異常を誘発する試みは行われず、殺虫剤や肥料の過度の使用は控えられました。以上のことから、著者はサボテンに起こる生育異常を引き起こしているのは、高温の影響ではないかと考えています。

Case 1 稜の変異
約4年前にAstrophytum myriostigmaに出た2つの花芽は開花せず、数ヶ月後に不規則な形の新芽に変わりました。約1cmほどになったタイミングで切り取り、Opuntia compressaに継ぎました。その形状は1つは「複隆」、もう1つは「Lotusland」として知られるものと同じです。
悪い条件で花芽が子株に変換されることは珍しくありませんが、このような複雑な形態になることはほとんどありません。


Case 2 花芽から子株へ
Gymnocalycium baldianumで花芽が子株に変換されました。子株には萼片がありますが、次第にトゲのあるアレオーレが発達します。やがて、子株から花を咲かせました。しかし、中には新たに花芽を付けるのではなく、生長点がそのまま花芽に変化したものもありました。この場合、子株と花芽は一体化しており、はっきりした境界はありません。これは、子株が花芽に回帰し誤りを正そうとした例かも知れません。やがて開花しましたが、柱頭や雄しべの形態には異常が見られました。開花後も子株と一体化した花は落ちずに残りました。

Case 3 モンスト
Copiapoa tenuissimaやCopiapoa lauiのモンスト(monstrose)は古くから知られており、広く商品化されています。これらは接ぎ木により容易に増やせますが、通常のサボテンからどのように出現するのか観察した栽培家は非常に少数です。著者はモンストが一般的ではないEriosyce esmeraldanaでモンストの発生を観察しました。この個体は種子から育てられ、約26年経ちます。すでに2つの子株を作りましたが、3つ目は大量の羊毛状の毛に覆われて分頭を繰り返すようになりました。

Case 4 双結節
著者の育てているAriocarpus retususは、18年前に直径15cmくらいで入手しました。2007年までは異常は見られませんでしたが、それ以降は結節(疣)が2つあるいは3つに分かれています。これは、やがて例外ではなく規則となりました。

Case 5 綴化
Rebutia heliosaやRebutia rauschii、Parodia haselbergiiは生長点が帯化し始めました。

最後に
論文を読んでいて意外に思ったのは、これらの変異が遺伝的な突然変異ではないということです。綴化は物理的な生長点の障害だろうと考えていましたが、複隆やモンストも遺伝的なものではないのです。もちろん、遺伝的な変異でも突然変異体は誕生する可能性はありますから、そのすべてがそうであるとは限らないでしょう。しかし、論文のケースを見るにつけ、おそらくこのような変異体は物理的な障害の方が発生しやすいはずです。さらに、サボテンは接ぎ木により容易に増やせますから、一度変異が発生したならば無限に増やすことが出来ます。と言うことは、このような変異体を交配に用い、新たな変異体を作出することは難しいかも知れませんね。今回の論文は瓢箪から駒のような感じでしたが、サボテンの理解において意外と重要な観察がなされているように感じます。私のような趣味家にとっても非常に関心がある内容でした。


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チマチマ植え替えを続けています。なんと今年の植え替えは今回で100鉢となりました。植え替えはまだしばらくは続きそうです。

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Gymnocalycium ragonesei
ラゴネセイはあまり根がない状態で入手しましたから、ちょっと様子が気になっています。2023年6月のビッグバザールにて購入。

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根は順調に伸びていました。しかし、ほとんど根がなかったくせにネジラミが沢山いましたね。
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植え替え後。ネジラミつきの古い鉢は捨てました。

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Euphorbia poissonii
去年のポイソニイは何故か動きがおかしく、生長点が曲がってしまいました。鶴仙園にて購入。

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根が少ないですね。不調の原因なのか、その結果なのかはよく分かりません。用土の排水性に問題はなさそうでした。
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植え替え後。復活してほしいですね。

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Haworthiopsis sordida
ソルディダは割と大型になる硬葉系ハウォルチアです。まだまだ小さいですが、抜き苗で入手した時から比べるとだいぶ貫禄が出てきました。2020年9月のビッグバザールにて購入。

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根の状態は良好です。
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植え替え後。慌てずじっくり育てていきます。

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Gasteria nitida var. armstrongii GM 07c-5
臥牛っぽくない臥牛ですが、ちょっと元気がありません。2022年6月に鶴仙園にて購入。

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根はまあ悪くはありませんが、どうにも貧相な感じがします。
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植え替え後。元気を取り戻してほしいですね。


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いつの間にやら5月も折り返し地点ですが、未だにチマチマ多肉植物たちを外に出している途中です。鉢やら用土やらが足りないので、また買いに行かなければなりません。

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外の多肉植物置き場も徐々に充実してきました。

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Dioon spinulosum
スピヌロスムのフラッシュが始まりました。我が家ではZamia furfuraceaとZamia integrifoliaに続いて3種類目のフラッシュです。そう言えば、同じDioonのD. eduleはまだフラッシュしていませんね。


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Gasteria ellaphieae GM 300
エラフィエアエが開花しています。ガステリアは花が独特で可愛らしいですね。


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Haworthiopsis attenuata RIB 0060
フィールドナンバーつきのアテヌアタが開花しています。花茎は途中で2本に分岐しているのは少し珍しいですね。


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Gasteria baylissiana
バイリシアナが花茎を伸ばしています。これは楽しみです。


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松の雪 H. attenuata cv.
アテヌアタの結節が繋がらないタイプです。アテヌアタ系はファスキアタと比べると草姿が乱れがちになりがちですが、ようやく草姿がととのってきました。よく見ると新しい葉に斑が出てきました。実は斑入りだった模様です。まあ、地味斑ですけどね。

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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia
鉄甲丸は新しい葉とともに花が咲いています。鉄甲丸の開花は不定期で年に何回も咲きます。


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Euphorbia rossii
ロシイが開花しています。生長が鈍ったので今年は植え替えました。これは幸先が良いですね。


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最近、埼玉ではコーナンが攻勢をかけているようで、新たに草加松原店がオープンしたと言うことです。早速行って参りましたが、実際には草加駅に用事があったのでついでに寄っただけだったりします。
さて、このコーナンはそこそこ大きく、コーナンPROとジョーシン電気がくっついています。今回は特別に目的もないのでまあお試しです。

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外観はこんな感じ。一階がホームセンターで、二階はペットショップと家電店となっています。

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多肉植物のコーナーはこの一角だけ。反対側にはエケベリアやセダムが並びます。

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サボテンもまあまあの品揃えです。Adenia glaucaや恵比寿笑いまであります。ホムセンではやや珍しいラインナップです。

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Euphorbia ambovombensisとEuphorbia cap-saintemariensisが並んでいます。私はこれらが出回り始めた頃にさらに小さな苗を高額で購入しましたが、今ではかなり育った株が安価で出回っているようです。

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ハウォルチアのコーナーもありました。せっかく来たのですから、記念に1つ買って帰りました。オープンしたばかりなので、ホームセンターの多肉植物にしては割と状態も良さそうだったので。

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H. limifolia v. stronifera
正しい学名はHaworthiopsis limifolia var. stoloniferaです。変種ストロニフェラは現在では変種リミフォリアに含まれます。しかし、現在は異名となっているものも含め、どのような違いが注目されてきたのか気になります。


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直ぐに植え替えしました。根はまだ動いていないようです。

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植え替え後。リミフォリアはこれで4変種を入手しましたが、変種リミフォリア以外は最近の入手です。今後の生長を見ながら、その違いについても見ていきたいですね。

この日は当て所もなくフラフラと見回りましたが、ちょっとした日用品だの詰替え用の洗剤など、たんまり買い込んでしまいました。今回は駅からバスだったので荷物の多さに難儀しました。
しかし、ホームセンターにしては多肉植物もまあまあ充実していたと思います。多少珍しいものも何気なく並んだりしますから、ホームセンターも侮れませんね。



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なかなか多肉植物をすべて外に出せずにいましたが、ほとんど外に出すことができました。今年のGWは仕事だったので、少しづつしか出来ませんでしたから無駄に時間がかかりましたね。それはそうと、今年の植え替えは今回で95鉢目となりました。

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Euphorbia begardii
ベガルディイは沢山の花芽をふいています。しかし、そろそろ植え替え時ですから気にせず植え替えてしまいます。そう言えば、E. primulifolia v. begardiiの名前で入手しましたが、現在は独立種とされています。
2020年4月にファーマーズ三郷店にて購入。

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根は鉢にパンパンに詰まっていました。鉢が縦長なので、塊根が鉢の形に育ってしまいました。
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根の一部から葉が出ていたのですが、小さな塊根が出来ています。親から切り離すこともできそうです。
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植え替え後。前より塊根を少し出しましたが、今回は子株は外しませんでした。プレステラ120に植えましたから、根域は前よりだいぶ広いはずです。

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Euphorbia subapoda
スバポダは外見的にはあまり育っている雰囲気はありません。
2022年4月のビッグバザールにて購入。

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塊根はまあまあ育っていましたが、ネジラミがいたので根を洗いました。しかし、形が悪いですね。
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植え替え後。塊根を少し出しました。妙な形なので塊根の出し方に悩みます。

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怪魔玉
怪魔玉は長らく植え替えていないため、明らかに鉢とのバランスがおかしなことになっています。
2020年1月にコーナン港北インター店にて購入。

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用土はカチカチでだいぶ目減りしていますね。
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根は少ないですが、この状態で普通に育つのですから実に強健です。
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植え替え後。バランス的にはこのくらい必要ですよね。

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竜頭
竜頭も植え替えます。ちなみに、竜頭は鳳頭や瑞昌玉と同じくG. quehlianumとされているようです。
2021年1月に鶴仙園にて購入。

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思ったより根は少ないですね。育ちは悪くありませんでしたが…
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植え替え後。

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Gymnocalycium vatteri
バッテリーはどういうわけか日焼けしてしまいました。焼けたのは真夏ではなく秋口だったので、どうやら西日に当たってしまっていたようです。バッテリーは日照に弱いのにウッカリしていました。
ちなみに、バッテリーは現在ではG. ochoterenaeの一形態とされているようです。

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根の状態は悪くありません。しかし、根が絡まり古い固まった用土を抱え込んでしまい取れません。水はけが悪くなりそうなので根を洗いました。
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植え替え後。今年は気を付けます。

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Aloe humilis
フミリスもやや不調です。姿が乱れていますから、何かしらの悪いところがありそうです。
2020年2月に鶴仙園にて購入。

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根腐れ気味でした。赤玉土が砕けてしまい排水性が怪しい感じでしたね。しかし、新しい根が活発に動いていますからとりあえずは大丈夫です。
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植え替え後。植え替え前の用土はもともと排水性がイマイチなものでしたが、年数が経つと団粒構造がなくなり余計に過湿になるみたいです。特に百均の細長いプラ鉢との相性は今ひとつのようです。そんなこんなで、今はプレステラに順次切り替えています。


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かねてより、ベンケイソウ科植物の分類について幾度か記事にしてきました。遺伝子解析による分子系統の結果として分かったことは、形態と遺伝子の不一致でした。EcheveriaやGraptopetalumはSedumと分離することができません。ですから、将来的にはエケベリア属がセダム属に吸収されるか、あるいはセダム属が細分化されて新たに命名される可能性があります。さて、本日はベンケイソウ科の仲間であるクラッスラ属を中心とした分類について取り上げます。それは、Hengwa Dingらの2022年の論文、『Ten Plastomes of Crassula (Crassulaceae) and Phylogenetic Impactions』です。内容的には解析方法やゲノムの特徴、進化的な考察も含みますが、今回は分子系統のみを見てみましょう。

分子系統
ベンケイソウ科は大きく3亜科に分けられます。クラッスラ亜科はClade CrassulaからなりCrassulaのみを含みます。カランコエ亜科はClade Kalaochoeからなり、CotyledonとKalanchoeを含みます。センペルビブム亜科はClade Sempervivum、Clade Leucosedum、Clade Acre、Clade Aeonium、Clade Telephiumからなります。

      ┏━━Sempervivum亜科
  ┏┫
  ┃┗━━Kalanchoe亜科
  ┫
  ┗━━━Crassula亜科

クラッスラ亜科
クラッスラ亜科はクラッスラ属からなりますが、2つの亜属に分けられます。また、以下に示す名前は、論文で調べられた種類と言う意味で、以下のものしか含まないと言う意味ではありません。
ちなみに、Tillaeaはクラッスラ属に吸収された模様です。
Crassula亜属
C. alstonii、C. columella、C. dejecta、C. mesembrianthemopsis、C. tecta、C. mesembryanthoides、C. socialis、C. perforataからなります。
Disporocarpa亜属

C. volkensis、C. expansa ssp. fragilis、C. deltoideaからなります。

カランコエ亜科
カランコエ亜科はカランコエ属やコチレドン属からなります。一般的にAdromischusとTylecodonを含みます。

センペルビブム亜科
センペルビブム亜科は5つの分岐群(Clade)に分けられます。

  ┏━━━━Clade Telephium
  ┫
  ┃    ┏━━Clade Aeonium
  ┃┏┫
  ┃┃┃┏━Clade Acre
  ┃┃┗┫
  ┗┫    ┗━Clade Leucosedum
      ┃
      ┗━━━Clade Sempervivum

Clade Telephium
論文ではClade Telephiumは、Rhodiola+Phedimusのグループとそれ以外に分けています。論文ではRhodiolaは28種類、Phedimusは6種類と割と詳しく調べています。分子系統にオロスタキスが2箇所ありますが、①の方が本来のオロスタキスのようです。ここでは、O. minuta、O. japonica、O. fimbriataが調べられています。②の方はO. iwarenge f. magnaですが、論文ではSubsection Appendiculataと表記されていました。

      ┏━━━━Rhodiola
  ┏┫
  ┃┗━━━━Phedimus
  ┫
  ┃            ┏━Orostachys①
  ┃        ┏┫
  ┃        ┃┗━Meterostachys
  ┃    ┏┫
  ┃    ┃┃┏━Hylotelephium
  ┃┏┫┗┫
  ┃┃┃    ┗━Orostachys②
  ┃┃┃
  ┃┃┗━━━Sinocrassula
  ┗┫
      ┗━━━━Umbilicus


Clade Sempervivum
論文では調べられたのはS. tectorumだけです。ちなみに、Jovibarbaはセンペルビブム属に吸収された模様です。

Clade Aeonium
論文ではアエオニウム分岐群はAeoniumが9種類とMonanthesが4種類調べられています。アエオニウムとモナンテスはきれいに分離されているように見えます。しかし、Thibaud F. E. Messerschmidらの2020年の論文では、モナンテスは一部がAichrysonのグループに紛れ込んでいます。さらに、セダム属が数種類混入していました。

Clade Leucosedum
論文ではレウコセダム分岐群は、Rosularia alpestrisを調べただけのようです。レウコセダム分岐群はアクレ分岐群と共にセダム属の中心です。前述のThibaud F. E. Messerschmidらの2020年の論文では、セダム属にPrometheumが分離しがたい形で混入しています。ちなみに、Leucosedumはセダム属に吸収された模様です

Clade Acre
アクレ分岐群はアエオニウム分岐群と姉妹群で、レウコセダム分岐群とセンペルビブム分岐群と合わせて、1つのグループを形成します。アクレ分岐群はレウコセダム分岐群と同様にセダム属の中心ですが、論文ではPachyphytumやEcheveria、Graptopetalumがセダムに埋もれるように存在します。
★印がついたグループはセダム属を含んでいますが、レウコセダム分岐群やアエオニウム分岐群にもセダム属が含まれると言う事実は、エケベリア属やパキフィツム属、考え方次第ではアエオニウム属もすべてセダム属に含むべきではないかと言う疑念が浮かびます。もし、エケベリアやアエオニウムの名前を温存したいと考えるならば、セダム属を解体する必要があります。例えば、セダム②を本来のセダム属とし、セダム①やレウコセダム分岐群に含まれるセダム、アエオニウム分岐群に含まれるセダムはセダム属から分離させ、新たに新属とするか近縁属に属を移動する必要性があります。

  ┏━━━━━━Clade Sempervivum
  ┃
  ┫            ┏━━★Sedum①
  ┃        ┏┫
  ┃        ┃┃    ┏Graptopetalum
  ┃        ┃┃┏┫
  ┃    ┏┫┃┃┗Echeveria
  ┃    ┃┃┗┫
  ┃    ┃┃    ┗━Pachyphytum
  ┃    ┃┃
  ┃    ┃┗━━━★Sedum②
  ┃┏┫
  ┃┃┗━━━━★Clade Leucosedum
  ┗┫
      ┗━━━━━★Clade Aeonium


分類学の基本的な考え方として、以下のような3つのグループがあった場合、A、B、Cと言う3属に分けるか、A+BとCの2属に分けるか、A+B+Cで1つの属にまとめるか、いずれかになります。今回の件では、AとCがセダム属でBがエケベリア属となります。つまり、セダム属を解体するか、エケベリア属をセダム属に吸収させるかしか選択肢はないと言うことです。

      ┏━━A
  ┏┫
  ┃┗━━B
  ┫
  ┗━━━C

最後に
すでに過去の論文で、エケベリアの不安定な分類学上の位置やセダムの混乱について判明しています。ですから、今回取り上げた論文で再確認出来たことは、疑念を確証へ私の認識を変えることになりました。さて、ではなぜセダムやエケベリアは分子系統に従い再整理されないのでしょうか? しかし、そのためには変更するすべての種について、学名と異名、その記載論文、新しい名前などを列挙する必要があります。それには、セダム属が混入するベンケイソウ科の分類群についてすべて調べ、そのすべての名前を列挙する羽目になります。相当な大仕事になるでしょうから、なかなか難しいでしょう。現状のベンケイソウ科植物の分類は、喉に刺さった小骨の如く、どうにも収まりが悪く気になります。私の目の黒いうちに解決してくれると助かるのですが難しいですかね?


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さて、多肉植物を外に出しつつ植え替えもしています。今年の植え替えは今回で89鉢目になりました。

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Euphorbia pseudocactus
購入してからしばらくはまったく動きがありませんでしたが、去年は急に生長が始まりました。2020年7月にヨネヤマプランテイションにて購入。
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根の状態は良好です。しかし、これは根詰まり一歩手前といった感じがします。
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植え替え後。流石に鉢増ししました。

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Euphorbia appariciana
アパリキアナはあまり調子が上がらず、枝がイマイチ増えません。
2022年9月のビッグバザールにて購入。

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根の状態は悪くありません。
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植え替え後。今年はよく生長してほしいものです。

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Haworthia arachnoidea
アラクノイデアは思ったより育ったため、葉で蓋をした形となり、用土が乾きにくい状態です。用土の表面に藍藻が生えてますから、そうとうジメジメしているはずです。葉も生気がないので根腐れしている可能性があります。
2022年2月にシマムラ園芸にて購入。

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案の定、根腐れしていました。しかし、新しい根が勢いよく伸びています。どうやら助かりそうです。あと、下の方の葉も腐っていたので取り除きました。
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植え替え後。この鉢なら過湿にはならないでしょう。

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Euphorbia imperatae cv.
ミリイから独立したインペラタエの斑入り品種です。植物用ライトを当てすぎて日焼け気味です。
2021年11月にヨネヤマプランテイションにて購入。

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根は大変な勢いです。
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植え替え後。インペラタエもミリイと同じく一年中花を咲かせます。そろそろ枝を切りつめて、枝を増やしても良い頃合いかも知れません。枝が増えれば花も増えますからね。

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Euphorbia polygona var. horrida
ホリダは去年は動きが鈍く、根詰まり気味かも知れません。そう言えば、ホリダはポリゴナの変種とされましたが、いつの間にやらすべてポリゴナの異名となってしまいました。なので、ホリダもゼブラホリダもアノプリアも今はすべてポリゴナです。妙な話ですね。
2020年1月にシマムラ園芸にて購入。

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根の状態は良好ですが、やはり根詰まりをおこしていました。パンパンでしたね。
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植え替え後。根域が狭いのでプレステラ120に植えました。


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蘇鉄(Cycas revoluta)は我々日本人にとっては馴染みが深い植物です。蘇鉄を蘇鉄と認識していない方もおられるかも知れませんが、実は宅地を歩けば何気なく蘇鉄が植えられていたりします。蘇鉄の仲間、いわゆるCycadは世界中に分布しますが、そのほとんどは非常に数が減少し絶滅危惧種となってしまっています。ですから、日本の蘇鉄が日常に溶け込む風景は世界的には珍しい光景と言えるでしょう。しかし、この日本各地に植えられた蘇鉄は移植されたもので、その起源は辿って行けば九州以南の暖地と言うことになります。蘇鉄の葉などをフラワーアレンジメントなどの素材として一般的に流通していますが、本来の自生地での利用はいかなるものなのでしょうか。私などは沖縄で蘇鉄の種子を救荒作物として利用したと言うことぐらいしか知りません。また、一般的に蘇鉄の種子は有毒ですから、アク抜きしないといけないことも分かります。しかし、その方法はどのようなものなのでしょうか。日本では縄文時代からドングリやテンナンショウの芋をアク抜きして食べていたようですが、何か関連はあるのでしょうか。
さて、以上のような疑問に衝き動かされて調べてみたところ、Takako Ankei(安渓貴子)の2023年に論文、『Traditional Methods of Cycad Detoxification in Amami and Okinawa: Historical origins of their biocultural diversity among the island』を見つけました。非常に興味深い内容ですから、少し内容を見てみましょう。

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Cycas revoluta

蘇鉄を食べた症例
1970年代に大学生だったSさんは、初めて西表島を訪れキャンプをしました。蘇鉄の赤い実が沢山なっていたのを見て、島の子供たちに「これ食べていい?」と尋ねたところ、子供たちは「はい!」と答えたそうです。Sさんは、蘇鉄の実を割って白い胚乳を炊飯器で炊いて、夕飯に食べました。炊いた蘇鉄の実は栗のような味がしたといいます。他の食べ物が乏しかったため、Sさんは蘇鉄の実を沢山食べました。真夜中、Sさんは激しい嘔吐に見舞われましたが、幸運にも自力で島の診療所までたどり着くことが出来ました。症状は入院が必要なほど重篤ではありませんでしたが、場合によっては致命的だったかも知れません。島の子供たちに悪意はなく、蘇鉄の実は解毒しないと食べられないと言うことを知らなかったのでしょう。
Sさんはこの事件にめげずに中学校の教師として西表島に永住しました。Sさんの貴重な経験が多くのことを教えてくれます。例えば、蘇鉄の実は煮沸してもその毒性は持続すること、蘇鉄の実の味はそれが有毒であることを教えてくれないこと、症状は摂取から数時間以内に発生することなどです。Sさんは嘔吐により、蘇鉄の実を吐き戻したことから命を救われました。
第2次世界大戦の最中、沖縄諸島では蘇鉄の毒性や解毒方法を知らない日本本土から来た兵士が、蘇鉄中毒で多くの死者を出したと言います。渡嘉敷島や竹富島でそのような事例を聞いたことがあります。

蘇鉄の有毒成分
蘇鉄の有毒成分は、cycasinと言う配糖体です。腸内の微生物の酵素によりcycasinから糖が取り除かれ、methylazoxymethanolと言う生成物が出来ます。methylazoxymethanolは容易に分解し、diazomethaneとホルムアルデヒドとなります。diazomethaneは不安定で、水と二酸化炭素、窒素を分解します。ホルムアルデヒドは摂取すると急性毒性を起こします。また、methylazoxymethanolとdiazomethaneには発ガン性があります。

遺伝的要素
前田芳之は奄美で長年に渡り蘇鉄の研究と販売に携わっていたプロの庭師です。彼が蘇鉄を束ねて出荷する際に、奄美の蘇鉄の葉は曲がりにくく、宮古や八重山など南方の蘇鉄は折れてしまいました。この記述を元に、Kyoda & Setoguchi(2010)は奄美と沖縄の蘇鉄の遺伝子解析を行いました。その結果、遺伝的に2つに分けられることが分かりました。また、台湾の蘇鉄(Cycas taitungensis)と比較するとC. revolutaは遺伝的多様性が低いことが明らかとなりました。これは、第四紀の間氷期に水位の上昇により水没がおきたため、遺伝的多様性が失われたボトルネック効果によるものであると推測されます。

解毒方法
蘇鉄のデンプンの大部分は幹や種子に蓄えられますが、蘇鉄は有毒なので解毒の必要があります。有毒成分のcycasinやホルムアルデヒドは水溶性で、diazomethaneは不安定で加熱すると揮発します。したがって、解毒の手順は、(a)水へのcycasinの滲出、(b)微生物による分解、(c)水への浸出および加熱によるcycasin、ホルムアルデヒド、diazomethaneの分解と除去となります。奄美と沖縄では3種類の蘇鉄の解毒方法があることが分かりました。

①タイプA: 浸出→加熱
②タイプB: 発酵→浸出→加熱
③タイプC: 浸出→発酵→加熱


解毒法: タイプA
この方法は種子の解毒方法です。果実には繊維がほとんどないため、幹よりも粉砕しやすいからです。
解毒の手順は、種子の硬い殻を半分に割り、1〜2日間天日干しします。デンプンは乾燥して縮み殻から取り外しやすくなります。細かく砕き水に浸して有毒成分を滲出させます。水が透明になるまで、水を数回取り替えます。沈殿したデンプンを集め、布袋に入れ水を切ります。天日干ししてから保管します。
また、種子を砕かずに乾燥させてから保存することも出来ます。保管中にカビが生えることが良くありますが、地域によっては気にしません。

解毒法: タイプB
この方法は幹の解毒方法です。幹は硬い繊維と粘着性物質(viscous material)で覆われます。
蘇鉄の幹を切って半日干しとし、真菌の生長を促します。水分が多すぎると細菌が繁殖してしまい解毒出来ません。麻袋や籠に藁やバナナの葉を入れ、蘇鉄を置き葉で蓋をします。温かい条件では3〜4日以内に発酵して発熱します。カビの繁殖と心地よい香りが成功した証です。中身を半日乾燥させ、一度蓋を開けてからまた閉めます。黒カビが生え発熱は止まります。手で割ることが出来るくらい柔らかいなるまで発酵を続けます。この状態で乾燥させて長期間保存することも出来ます。きれいな水で荒い、黒カビを取り除きます。杵を使い潰し、鍋やバケツに移します。網で繊維を漉し、上澄みが透明になるまで水を3回交換します。布袋に入れて水を切り、団子にして天日干しします。タイプBは一部の地域では蘇鉄の果実にも行われています。

解毒法: タイプC
琉球王国の傑出した政治家であった蔡温の農業マニュアルに記された方法で、詳細かつ複雑なプロセスを要します。
蘇鉄の幹の外側をこすり落とし、内側の白く薄い層を削り取り集めます。7〜8日乾燥させ水に浸します。毎日水は交換し、4日ほど経ったら取り出してよく洗い、バナナの葉を敷いて俵に入れ、ススキなどで覆います。3日ほど発酵させると表面に黄色がかった油のようなものが現れます。取り出して半日ほど陽光に当てるか、曇りの場合は風にさらします。再度、俵に戻し、この過程を繰り返しと、やがて完全に腐敗した状態となります。柔らかく簡単に壊せるようになったら、柔らかい部分を集めて煮て食べるか、乾燥させて保存するか、あるいはデンプンを回収します。


救荒作物としての蘇鉄
タイプCは沖縄本島とその近辺、さらに交易路沿いに見られました。蔡温はサツマイモなどが不作の場合、飢饉に対して蘇鉄のデンプンに頼るべく、庶民に対し蘇鉄を植えるように命じました。しかし、蘇鉄中毒の可能性が高まるため、タイプCの解毒法を公的に広めました。しかし、タイプCが採用されなかった地域もあります。理由としては、単純に味の好みに関するものや、良質な鉄刃の入手が難しかった与那国などでは、硬い幹を丁寧に削るタイプCは非常に手間がかかっため、タイプB が採用されたと考えられます。

奄美の場合
奄美は薩摩藩の支配する傀儡政権であり、サトウキビ栽培が強制されました。水田のほとんどがサトウキビ畑に変わり、年貢のあまりの厳しさから住民の約半数は土地を持たないヤンチュ(債務奴隷)に転落しました。平地はサトウキビ畑となったため、斜面にサツマイモが植えられました。ヤンチュの日々の糧は、不毛の土地に生える蘇鉄に限られていました。
しかし、沖縄では非常食としてしか食べられませんが、奄美では薩摩藩からの独立後も蘇鉄が日常的に食べられてきました。そのため、沖縄では解毒方法を知らない人々の間で急性中毒が度々起こりました。

最後に
ミクロネシアではCycas micronesicaが唯一の蘇鉄ですが、グアムの先住民族であるチャモロ族は食料源として蘇鉄を利用してきた長い歴史があります。しかし、長いスペイン支配が終わると、知事は有毒である蘇鉄を食べないように指示しました。その後、住民は蘇鉄を食べなくなり、開発や害虫の侵入によりグアムの蘇鉄は絶滅しました。対して、沖縄や奄美では蘇鉄林が残り、今でも蘇鉄は蘇鉄味噌などに加工され販売されています。この2つを比較すると、消費すると減少し、消費がなければ増加すると言うものではないことが分かります。これは、蘇鉄に対する関心の有無によるものなのでしょう。関心が薄れてしまえば、減少しても失われても興味を引くことがないからです。そのすべてを根こそぎ産業利用のために消費し尽くすのではない限り、蘇鉄に対しある程度の付き合いがあり関心を示すことが、沖縄や奄美の蘇鉄を守ってきたのかも知れませんね。

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だいぶ遅れましたが、ようやくハウォルチアやアロエ以外の多肉植物を外に出す準備が整いました。しかし、一度に運び出すのは大変なので全部出すには時間がかかります。さて、そんな多肉植物たちを少しご紹介しましょう。

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Zamia furfuracea
フルフラケアは新芽が出ていましたから、早く外に出さないとと焦っていました。そう言えば、かつてはZ. pumilaの名前で流通していましたが、最近は正しい名前であるフルフラケアが使われるようになってきました。ちなみに、プミラは小葉が細長く先端が尖るため、判別は容易です。

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黄金の毛に包まれた美しい新芽。

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Zamia integrifolia
一般的にはZ. floridanaの名前で流通しているインテグリフォリアです。インテグリフォリアは若干疑義のある名前ですが、もしインテグリフォリアが使われないとしてもフロリダナよりも古くに命名された名前があるため、フロリダナが正式な学名とはなりません。こちらもフラッシュが始まりました。

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新芽の様子。幹はどうしても傾いてしまいます。

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Gymnocalycium erinaceum WR 726B
エリナケウムが開花しました。美しい花ですね。

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Gasteria ellaphieae GM 300
エラフィエアエも開花中です。

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エラフィエアエの花はそれほど胃袋型ではありませんでした。


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いよいよ今年の植え替えも終盤戦です。今年の植え替えは本日で84鉢目となりました。

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Pachypodium succulentum
スクレンツム(サキュレンタム)は去年大き目の鉢に植えましたが、冬の間に葉が緑色のままポロポロ落ちて何やら不調です。触るとぐらつくため抜いてみます。
2021年10月に鶴仙園にて購入。

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根をやられていました。細根がありません。鉢が大きすぎて多湿になってしまったのでしょうか。太い根を切断してみましたが、本体まで腐ってはいないようです。
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植え替え後。鉢が大きすぎたと見て、プレステラ120に植えました。復活してほしいですね。

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Euphorbia mlanjeana
ムランジェアナは割と生長は良好です。
2022年9月のビッグバザールにて購入。

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根の状態は良好です。
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植え替え後。同じ鉢に植えました。根が良いので、今年の生長も期待出来ます。

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Gymnocalycium prochazkianum
プロカズキアヌムは入手時に比べると、だいぶ育ったと言うかゴツくなりました。青白く美しいギムノカリキウムです。
2022年4月のビッグバザールにて購入。

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根の状態は非常に良いですね。塊根が発達しています。
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植え替え後。そのまま植えました。

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Gymnocalycium prochazkianum ssp. simile VoS 1417
フィールドナンバーつきのプロカズキアヌム亜種シミレです。
2021年11月のビッグバザールにて購入。

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根の状態は非常に良好です。やはり塊根が太くなりました。
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植え替え後。プレステラ90からプレステラ105に鉢増ししました。塊根が長く育ちすぎてしまいました。次回からは塊根を切らないと植えられないかも知れません。

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Euphorbia ferox
フェロックスも去年は勢いが落ちてしまいました。そろそろ植え替え時です。
2020年1月にコーナン港北インター店にて購入。

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根の状態は良好です。
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植え替え後。今年は勢いを取り戻してくれるはずです。


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最近は植え替え一辺倒でしたが、1ヶ月ぶりに我が家の多肉事情をご紹介します。春ですから多肉植物たちもよく動いています。

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Euphorbia waringiae
ワリンギアエが開花しました。冬の間も少し咲きましたが、花芽が一気に付いてきました。

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Euphorbia mahabobokensis
まるで枯れ木状態で入手したマハボボケンシスに葉がふきました。あっという間に葉が繁り驚きました。


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Adenia olaboensis
やはり枯れ木状態だったオラボエンシスも、非常に元気です。

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Fouquieria purpusii
プルプシイも葉がワサワサ生えてきました。Fouquieriaは種類によって割と葉の形が異なりますね。


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Euphorbia quadrangularis
クアドラングラリスがいつの間にやら開花していました。これは目立ちませんね。


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Tylecodon buccholzianus
冬の間は葉がなかったブクコルジアヌスですが、ジワジワ葉が出てきました。と言うか、この時期に葉が出るのは正解なのでしょうか?


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Euphorbia crassicaulis
クラシカウリスも花芽がアチコチから出てきています。


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Gasteria glomerata
グロメラタの花はそろそろおしまいの雰囲気です。



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一般的に「滝の白糸」と呼ばれているアガヴェがあります。葉縁から糸状の繊維を出す美しい植物で、国内でも昔から栽培されています。私はアガヴェは積極的に集めてはしていませんが、イベントに行った折にオマケでアガヴェの抜き苗をいただきました。名札には「Agave leopoldii」とありました。要するに「滝の白糸」です。調べてみると、Colin C. Walkerの2024年の記事、『Agave × leopoldii』を見つけました。Walkerは育てた植物についてよく記事にしていますが、自身の育てているレオポルディイが開花したため記事にしたようです。少し見てみましょう。

レオポルディイの命名
レオポルディイは1880年代半ば頃に、ロンドンのStamford HillにあるW. B. Kellock博士の自宅の庭で育てられ、キューの著名なビクトリアン・ガーデナーであるWilliam Watsonにより1893年に記載されました。名前は1893年に開催された王立園芸協会の展示会で、この植物を賞賛したベルギー国王レオポルド2世に敬意を表するために命名されました。

Agave princepsの謎
Drummond(1912)によると、Kellock氏はA. filiferaとA. princepsを交配して出来た植物であると信じていたと言います。しかし、Drummondはレオポルディイの開花した花を見て、その特徴からレオポルディイが雑種ではなく独特した種であるとし、Agave disceptataと命名しました。しかし、現在ではAgave ×leopoldiiの異名とされています。

レオポルディイの特徴
レオポルディイは、葉の縁から剥がれ落ちる繊維あるいは糸の生成を特徴とする糸状アガヴェ(filiferous agave)の1つです。これらのアガヴェは葉の縁に目立つ鋸歯を形成しません。レオポルディイは短く鋭い末端トゲを作ります。
糸状アガヴェの作る糸に対する満足するような説明はまだありません。他のアガヴェのような激しい鋸歯や末端トゲとは異なり、糸状アガヴェの繊維が草食動物の採食の妨げになる可能性は低いでしょう。


育ててみた
著者の育てているレオポルディイはかなり早く生長し、直径55cmのロゼットを形成しました。単一のロゼットを維持するために、脇芽は取り除きました。
著者の育てている糸状アガヴェの中でも、レオポルディイは最も細長い葉を持ちます。葉は繊維状で長さは45cmに達しますが、基部の幅はわずか1cmです。
著者の育てているレオポルディは、英国サボテン多肉植物協会グラスゴー支部の2つの展示会で、リュウゼツランの無制限鉢クラスで最優秀賞を受賞したと言うことです。


花の特徴
著者の育てたレオポルディイは、10年間の栽培を経て開花しました。Littaea亜属に典型的な枝分かれするない穂状の花です。花茎は高さがわずか1.35mでした。
花は2つか3つ、4つの房で咲き、最大6cmでした。花は花穂の基部から咲きはじめ、数十個の花が同時に開きます。若い花は淡い緑色で、やがて緑色が淡いピンク色に変わります。中央の縞模様はわずかに濃い緑色です。。古い花はくすんだピンク色で、中央の縞模様は濃い褐色です。
アガヴェは開花すると本体は枯れてしまいますが、長年に渡り沢山の子株を吹きました。


'Hammer Time'
Agave ×leopoldii 'Hammer Time'と言う斑入り品種があり、淡緑色の縁縞があると言うこと以外は典型的なレオポルディイに似ています。
この品種は、メキシコ旅行中にこの品種を発見したと言う、アメリカの著名な園芸家であるGray Hammerに因んで命名されました。しかし、レオポルディイはロンドンの庭園で作出された雑種であるため、メキシコに自生している植物と同じであるはずがありません。この植物は単に、Agave  'Hammer Time'とした方が適切です。


最後に
記事ではレオポルディイは、A. filiferaとA. princepsの雑種とありますが、現在はA. filiferaとA. schidigeraとの雑種とされているようです。しかし、このA. princepsと言うアガヴェが調べてもよく分かりません。由来が不明な学名でも、その旨が記されて一応名前は記載されていたりしますが、A. princepsは名前自体が見当たりません。困りましたね。
そう言えば、葉に覆輪が入るものは格別珍しいわけではありませんが、これはすべて
'Hammer Time'に相当するのでしょうか? Walkerによると'Hammer Time'はレオポルディイの斑入り品種か分からないとしています。単に'Hammer Time'が野生由来株と言う記録が誤りの可能性もあるような気もしますがどうでしょうか?

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さて、我が家のレオポルディイはまだまだ小さく、その最大の特徴であるフィラメントがほとんど出ていません。見られるように育つまでは、かなりの年数が必要なのでしょう。


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終わりそうと言いながら植え替えはなかなか終わりません。今年の植え替えは、本日で79鉢となりました。しかし、ようやく外の多肉植物置き場の整備が進展しました。とは言え、どういうわけかGWも仕事なので、まだ多肉植物の大半を外に出せません。いやはや困りましたね。

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Gymnocalycium gibossum ssp. borthii
ギボスム亜種ボルティイですが、去年は何故か今ひとつでした。根の状態が気になります。
2021年1月に鶴仙園にて購入。

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根が駄目ですね。以前の植え替えでは、塊根が非常に太っていましたが、すっかり痩せてしまっています。本体に腐れは入っていないようですが心配です。
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植え替え後。しばらくは経過観察します。

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Euphorbia pulvinata
いわゆる笹蟹丸ですが、植物用ライトが強すぎて葉が焼けてしまいました。
笹蟹丸は自生地では様々な用途で利用される、生活の中に溶け込んだ植物です。
2020年1月にオザキフラワーパークにて購入。

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根は非常に良いですね。
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植え替え後。根に比べて生長は鈍い気がします。

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Euphorbia cooperi
いわゆる瑠璃塔です。鉢とのバランスが悪く見えますね。
2020年2月に鶴仙園にて購入。

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根は悪くありません。しかし、やはり狭そうではあります。
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植え替え後。大きいサイズの鉢がないので、同じ鉢に植えました。来年は鉢増しします。

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Euphorbia clivicola
原産地では希少なクリビコラですが、最近少し見かけるようになりました。
今年の2月に鶴仙園にて購入。

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意外にも複数株でした。
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植え替え後。

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Fouquieria ochoterenae
去年は非常によく生長したため、鉢が小さく見えます。しかし、オコテレナエはFouquieriaの中でも特に枝振りが荒いですね。
2022年6月のビッグバザールにて購入。

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根の状態は良好です。
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植え替え後。オコテレナエは灌木ですからいずれ切り戻しますが、タイミングが難しいですね。今年、もし倍くらい伸びたら考えます。


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近年、マミラリア属とその近縁属の遺伝子解析が行われ、マミラリア属とその近縁属は大幅な改訂と整理を受けることになりました。過去に記事にしていますから、詳細は以下のリンクをご参照下さい。

以前の記事の内容を簡単にまとめると、マミラリア属はまとまりがないグループで、まとまりのある単系統のマミラリア属以外のマミラリアは、オルテゴカクタスやネオロイディアと合わせてコケミエア(Cocphemiea)となりました。さらに、エスコバリアとエンケファロカルプス、さらにコリファンタの一部がペレキフォラに吸収されました。
さて、以上のようなマミラリアとその近縁属に近縁なグループとして、ラピカクタスやツルビニカルプス、エピテランサがあります。本日はこのあたりの最新の分類についての論文をご紹介しましょう。それは、Monserrat Vazquez-Sanchezらの2019年の論文、『Polyphyly of the iconic cactus genus Turbinicarpus (Cactaceae) and its generic circumscription』です。

ツルビニカルプスの歴史
①ツルビニカルプス
1937年にTurbinicarpusが新属として記載されました。Buxbaumによると、小型でほとんどが球形または円筒形、アレオーレは疣の先端にあり、短い筒を持つ白あるいはピンク色の花、そのほとんどが裸の果皮、先端が裂ける果実、1.0〜1.9mmで黒色で疣贅状の荒い種子を持つなどの特徴を上げました。

②ギムノカクタス
Turbinicarpusは1938年にBackebergにより分割され、その一部はGymnocactusとされました。BackebergはGymnocactusを、トゲが細かい、種子が軽い、疣が細かい、花はほとんどが紫色でそうでない場合はピンク色または白色であるとしました。Glass & Foster(1977)はTurbinicarpusとGymnocactusの違いに説得力はないと述べました。しかし、現在(2019年当時)でもGymnocactusは健在です。

③ラピカクタス
1942年にBuxbaum & Oehmeにより、GymnocactusからのRapicactusの分離が提案されました。Rapicactusはくびれのある太い根を持ちます。Luthy(2003)は、Rapicactusはその種子の形態に基づく必要があると主張しました。
2000年にMosco & ZanovelloによりTurbinicarpus mandragoraを分離することが提案されましたが採用されませんでした。しかし、Luthy(2001, 2002)による詳細な分類学的研究により、均一な分類群であることが示唆されました。Luthyによると、ガラス質の白っぽい針状のトゲ、種皮が部分的に凸型の「ドーム型または円錐形から乳首状」でありRapicarpusであるとしました。

④ノルマンボケア
1969年にKladiwa & Buxbaumは、Turbinicarpus valdezianusに因んでNormanbokeaと言う属名を提案しました。Bravo-Hollis & Sanchez-Mejarada(1991)は、NormanbokeaはThelocactusと密接な関係があると結論付けました。しかし、近年の分類学ではT. valdezianusはTurbinicarpusとされています。

⑤ブラヴォカクタスとカデニカルプス
1998年にDoweldは、Turbinicarpus horrispilusとTurbinicarpus pseudomacrocheleをそれぞれTurbinicarpusから分離するために、BravocactusとKadenicarpusを提案しました。しかし、後者は採用されていません。

⑥不安定なツルビニカルプス
Turbinicarpusの一部は、NeolloydiaやSclerocactusの一部として扱われたToumeya、およびPediocactusなど他属に移されました。

遺伝子解析
この論文では遺伝子解析による分子系統により、不安定なTurbinicarpusを分析しました。ツルビニカルプス属とされてきた種は大きく3つに分割出来ることが明らかとなりました。ここではツルビニカルプスと近縁属をA、B、Cの3グループに分けて見ていきます。

      ┏━━グループC
  ┏┫
  ┃┗━━グループB
  ┫
  ┗━━━グループA


グループA【Rapicactus・Acharagma】
Turbinicarpus beguinii、T. booleanus、T. mandragora、T. subterraneus、T. zaragozaeの5種類のツルビニカルプスは単系統で、Acharagmaと種子の特徴が共通する姉妹群です。この仲間はRapicactusとしてTurbinicarpusから分離されます。Rapicarpusは種子の微細な模様や、果実が側方で開裂し、果実の粘稠度、皮下組織の同心円状の晶洞の発生など、形態学的な共通点があります。また、このグループにはObregoniaやLophophoraが含まれます。
Buxbaum & Oehme(1942)はRapicactusとNeolloydiaを近縁としましたが、分子系統では支持されません。また、RapicactusにはPediocactusには関連していません


              ┏
━Lophophora
          ┏┫
          ┃┗━Obregonia
      ┏┫
      ┃┗━
━Acharagma
  ┏┫
  ┃┗━━━Turbinicarpus①
  ┫
  ┗━━━━グループB


グループB【Mammillaria・Cochemiea】
このグループにはTurbinicarpusは含まれないため、論文では解説されません。私が最新の情報に基づいて少し補足しましょう。
ここで解析されているCumariniaは、論文ではC. odorataと表記されていましたが、Coryphanthaから分離された種です。Neolloydia odorataとされたこともあります。MammillariaはM. lentaを解析しています。また、EscobariaはE. missouriensisとE. laredoi、PelecyphoraはP. aselliformis、NeolloydiaはN. conoideaが解析されています。しかし、現在ではEscobariaはPelecyphoraに吸収されました。OrtegocactusとNeolloydiaはCochemieaに吸収されました。ちなみに、ここでは登場しないEncephalocarpusもPeclecyphoraに吸収されています。

          ┏━━Cumarinia
      ┏┫
      ┃┗━━Mammillaria
      ┃
      ┃    ┏━Escobaria
  ┏┫┏┫
  ┃┃┃┗━Pelecyphora
  ┃┗┫
  ┃    ┗━━Ortegocactus
  ┫
  ┗━━━━Neolloydia


グループC【Turbinicarpus・Kadenicarpus】
Turbinicarpusは1936年にBackebergによりStrombocactusの亜属として命名されたことから始まりましたが、1937年にBuxbaum & Backebergにより独特した属Turbinicarpusとなり、T. schmedickeanusを属の基準種に指定しました。Turbinicarpusの基準種であるT. schmedickeanusは分子系統のTurbinicarpus③に含まれ、本来のTurbinicarpusはTurbinicarpus③で、Ariocarpusの姉妹群です。Turbinicarpus②には、T. horripilusとT. pseudomacrocheleからなります。Kadenicarpusに属する2種は、それぞれDoweldにより提案されたBravocactusとKadenicarpusのタイプです。このTurbinicarpus②をTurbinicarpusから分離し、Kadenicarpusを復活させました。Anderson(1986)は、形態学的特徴からKadenicarpusの2種をNeolloydiaに含めましたが、分子系統ではこの提案を支持しません。また、Kadenicarpusは、関係が深いとされたこともあるMammillariaやNeolloydia、Pediocactus、Thelocactusと近縁ではありません。
                  
              ┏━Turbinicarpus③
          ┏┫
          ┃┗━Ariocarpus
      ┏┫
      ┃┗━━Turbinicarpus②
  ┏┫
  ┃┗━━━Strombocactus
  ┫
  ┗━━━━Epithelantha


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
論文では各属の分岐した年代や、分岐した地理的な拡散を推察していますが、長くなるため割愛させていただきました。
さて、論文ではRapicactusやKadenicarpusの復活を提案していますが、現在(2024年5月)ではそれぞれ独立した属として認められています。近年のツルビニカルプスの仲間の分類をまとめると以下のようになっています。論文の書かれた2019年当時は健在だったGymnocactusもTurbinicarpusに吸収されました。

Gymnocactus→Turbinicarpus
Normanbokea→Turbinicarpus
Bravocactus→Kadenicarpus
Ortegocactus→Cochemiea
Neolloydia→
Cochemiea
Escobaria→Pelecyphora
Encephalocarpus→Pelecyphora


ちなみに、あまり聞き慣れないAcharagmaは以下の3種からなります。ご参考までに。

Acharagma aguirreanum
 =Escobaria 
aguirreana
 =Gymnocactus 
aguirreanus
 =Thelocactus 
aguirreanus

Acharagma galeanense
 =Escobaria roseanum
                  ssp. 
galeanensis
 =Acharagma 
roseanum
                  ssp. galeanense

Acharagma roseanum
 =Escobaria 
roseana
 =Gymnocactus 
roseanus
 =Neolloydia 
roseana
 =Thelocactus 
roseanus
 =Echinocactus 
roseanus
 =Acharagma huasteca


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