ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2023年12月

いよいよ12月31日、大晦日です。今年は沢山の多肉植物のイベントか開催されました。せっかくですから、この1年のイベントを振り返ってみましょう。
調べてみたら、去年は10個の多肉植物のイベントに行っていました。しかし、今年はそれに輪をかけて沢山のイベントに参加しています。多肉植物ブームは一旦は落ち着きかけたと見せかけて、また盛り上がりを見せています。小規模なイベントを含めると、私が行けそうな範囲の南関東だけでも、かなりの数のイベントが開催されました。都合が悪かったり、体調を崩したりしたので、そのすべてに参加したわけではありませんが、それでも馬鹿みたいにアチコチ行った1年でした。大晦日ですから、今年1年の多肉植物のイベントを振り返ってみましょう。


1月
①新年のサボテン・多肉植物のビッグバザール
新年早々にあったビッグバザールです。面白い多肉植物が沢山ありました。Aloiampelos striatula v. caesia、Fouquieria leonilae、Aloe bakeri、Gonialoe sladenianaなど、アロエ系を買い込みました。

②世田谷ボロ市
古くからある骨董市のようなものですが、植物のお店も出ています。植木屋さんや、季節柄かシクラメンやシンビジュームなんかは沢山ありましたね。多肉植物の出店も少しありました。Aloe albifloraとスーパーゼブラを購入しました。

3月
③春のサボテン・多肉植物のビッグバザール

3月にもビッグバザールがありました。ユーフォルビア苗が充実しており、Fouquieria fasciculata、Euphorbia squarrosa、Euphorbia woodiiなどを購入しました。

④多肉植物BIG即売会
横浜のヨネヤマプランテイションで開催された多肉植物の即売会です。かなり変わった多肉植物が豊富で、Euphorbia bubalinaやEuphorbia weberbaueriを購入しました。帰りにコーナン港北インター店へも寄り道しました。

5月
⑤Succulent Station宮崎台

川崎にあるタナベフラワーで開催された国際多肉植物協会関連のイベントです。Haworthiopsis attenuata  f. tanba、Haworthiopsis limifolia、Euphorbia iharanaeといったあたりの多肉植物を購入しました。

⑥木更津Cactus & Succulentフェア
木更津で開催された多肉植物のイベントです。ビッグバザールとは少し出店が異なるため、ちょっと毛色の異なる多肉植物もありました。今回は、Gasteria acinacifolia、Aloe thompsoniae、Euphorbia venefica、Fouquieria splendensあたりを購入しました。

⑦神代植物公園バラフェスタ
2022年に神代植物公園で国際多肉植物協会主催の多肉植物展があり行ってきたのですが、バラフェスタが始まると言うポスターを見かけました。と言うことで、今年は多肉植物展ではなく、バラフェスタを見に行きました。実に華やかでしたね。さらに、大温室では少し時期が変わるだけで、去年とは異なる花が咲いていました。

6月
⑧6月のサボテン・多肉植物のビッグバザール

6月に開催されたビッグバザールです。このビッグバザールはかなりの出店数で、お初のお店ばかりでした。あまり見ないような多肉植物、Gasteria bicolor、Aloe florenceae、Gymnocalycium ragonesei、Euphorbia lenewtoniiあたりを購入しました。

7月
⑨多肉植物BIG即売会

ヨネヤマプランテイションで開催された今年2回目のイベントです。しかし、今回は商品があまり充実しておらず、数も種類も少なかったですね。天平丸とフリードリッヒLB2178を購入。

9月
⑩9月のサボテン・多肉植物のビッグバザール
9月にもビッグバザールがありました。今年は4回目です。Euphorbia hedyotoides、Aloe saundersiae、Aloe calcairophilaあたりを購入。

10月
⑪木更津Cactus & Succulntフェア
年2回のイベントで、去年は12月でしたが今年は10月が2回目でした。Gasteria nitidaやAloe flagilisといったあまり見ない多肉植物を購入。このイベントはユーフォルビアを多めに扱っているお店が、毎回2〜3はあるので実に私好みです。しかし、木更津は遠いので少し疲れます。年2回は私には少々きついかも知れません。

⑫Succulent Station宮崎台
今年2回目のSucculent Stationです。Haworthia parksianaと、Euphorbia lophogonaを始めとした沢山の花キリンを購入しました。安いからと買いすぎて、その後の移動に難儀しました。

⑬多肉植物BIG即売会
Succuelnt Stationの後に、大荷物を持ってヨネヤマプランテイションに向かうストロングスタイルです。青々錦Aloiampelos tenuiorと皇帝を入手。皇帝は次があるからと言う理由で3回は見逃していましたから、非常に安価で入手出来て嬉しい限りです。

11月
⑭神田神保町古本まつり
多肉植物は関係ありませんが、個人的には重要なイベントです。今年は植物関連の本を中心に狙いました。

⑮北区グリーンフェスタ2023
2日目に参加したため、出店はイマイチでした。時間の余裕がなくバタバタして直ぐに帰宅しなければなりませんでした。キッチンカーも出ていましたから、来年はゆっくりしたいものです。トゲなし花キリンのEuphorbia tardieuanaを入手。花が楽しみです。

⑯FEHN
鶴仙園で開催されたFAR EAST HAWORTHIA NETWORKと言うイベントです。Plant's Workとのコラボイベントですね。去年も開催されました。今回はAstroloba aspera、Astroloba spiralisなどを購入。よく考えたら、ハオルチアのイベントなのにアストロロバばかり購入していますね。

⑰11月のサボテン・多肉植物のビッグバザール
年内最後のビッグバザールです。今年は年5回も開催されました。Cycas sp. Thai SilverとCeraria namaquaensisを購入。珍しいものはありましたが、全体的に高額でちょっと手が出ませんでした。実生1〜2年の小苗はもうちょい安くして欲しいところです。

12月
⑱草乱祭
シマムラ園芸の奥にある温室で開催されたイベントです。アガヴェが主でしたね。私の興味があるような多肉植物はないので、1週回って撤収しました。帰りに、シマムラ園芸の店舗の方でTylecodon buchhlolzianusとEuphorbia antisyphiliticaを購入しました。後者はキャンデリラソウと呼ばれるやつです。すでに、キャンデリラソウのネタは色々調査済みですから、来年正月明けには記事に出来ますかね。

⑲東京例会
国際多肉植物協会の例会です。何とクリスマス・イブの開催でした。色々とためになる話が聴けて良かったです。帰りは遅くなりましたが。あと、会場の板橋区立熱帯環境植物館の熱帯植物の写真を撮りまくりましたから、少しずつ記事にしていきたいと思っています。そう言えば、例会前にはしゃいで写真を撮りすぎたらしく、スマホが過熱して動作が遅くなり、シャッターが中々下りなくてブレブレになっちゃいました。あと、バッテリーが10%切ったので、例会ではあまり撮影出来ませんでしたね。無念。

と言うわけで、今年のイベント一覧でした。何だかんだで去年の倍近くのイベントに出没したことになります。しかし、そろそろ室内に置く場所がないため、どうにかしないといけません。寒さに強いものは、上手いこと外に出せないか検討の余地があるかも知れませんね。
それでは皆様良いお年を。



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今年は何かと忙しく、中々本を読む時間が取れませんでした。毎月、駅ナカの書店で新書を中心に新刊を買っていますが、今年は新刊本すら消化しきれない始末です。例年は新刊本だけでは足りずに、神保町の古本まつりで購入した古書も読んでいましたが、今年はほとんど古書は読んでいません。まあ、新型コロナの流行で古本まつりも中止になり、再開された去年はタイミングが悪く参加出来ませんでしたから、例年通りなら古書が枯渇していたかも知れません。ちょうど良いような気もしますが、古本まつりは好きなのでそれに関係なく行きたいわけですけどね。

今年は多少なりともブックレビューをいくつかしましたが、基本的に植物関連の本のみです。しかし、実際には植物関連以外の本の方が沢山読んでいます。まあ、植物関連の本なんてそれほどポンポン出ませんからね。さて、そんな今年の読んだ本のベスト10です。あくまでも私の個人的な好みに過ぎませんし、すべての本を読んだわけでもありませんから、まあそれほど意味があるランキングでもありませんが、しばしお付き合い下さい。

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1位『ダーウィンの呪い』
千葉聡 / 著, 講談社現代新書
進化論とは毀誉褒貶あるもので、中々捉えどころがないものです。単に進化論と言った場合、必ずしも「ダーウィンの進化論」とは限らず、「ラマルクの進化論」だったり、他の論者の進化論であるかも知れません。そのため、一般的には様々な説がごった煮になってしまっています。ですから、ネット上などでもダーウィンの進化論ではない進化論を批判することにより、ダーウィンを否定すると言う不可思議な言説が非常に多いように思われます。意外にダーウィンの進化論を正しく理解している人は少ないのかも知れません。
さて、本書ですが、主に社会ダーウィニズムに焦点を当てています。そもそも、ダーウィンの進化論を人間の社会に当てはめるのは大きな間違いです。ダーウィンの進化論は偶然に起こることです。あくまで、その一時的な環境に適応することか進化であり、より優れたものになると言う考えではありません。ある環境に適応して進化しても、環境が変わってしまえば他の環境に適応した生物に生態的地位を奪われ、やがて絶滅するだけです。何が優れているかなど分かりませんし、環境が変われば求められる能力も異なるのです。
社会ダーウィニズムは本来のダーウィンの進化論にはない、より優れていることほど素晴らしいと言う考えを持ち込みました。それは、やがて優生学につながる危険思想です。ダーウィンの進化論のドライな科学的理論が、社会ダーウィニズムではウェットな個人の思想や願望を前面に押し出した怪しげなものに変貌しました。ある環境に対する適応ではなく、論者の理想の人間像になることが優れていると言う話にすり替わったのです。あくまで個人の思想でしかないものが、全人類の進むべき道となったと言えば、その非常識さが分かると言うものです。


2位『シィエスのフランス革命』
 山﨑耕一 / 著, NHKブックス
フランス革命と言えば、岩波ジュニア新書の『フランス革命: 歴史における劇薬』(1997年)でしょう。何冊かフランス革命の概説本を読ましたが、入手書としてこれ程優れたものはありません。しかし、その先と言うと中々に適当な本がないものです。その点、本書は実に良い本です。
フランス革命と言えばロベスピエール独裁と言われがちですが、必ずしもそうとは言えないようです。ロベスピエール以外の名前は、出て来ても中心にならず、入れ替わり立ち替わりといった感じになりがちです。しかし、本書はフランス革命の始まりから、エマニュエル=ジョセフ・シィエスを中心に経過を追っています。シィエスはフランス革命初期に出した『第三身分とは何か』と言う政治パンフレットで知られていますが、あまり著名とは言い難い人物です。しかし、政治や憲法の理論家として、フランス革命の間、活発に活動しました。テルミドール独裁では大人しくしてやり過ごし、やがて来るナポレオンの台頭に対しても代表的な政治家として対峙します。このような掘り下げにより、手垢に塗れたフランス革命史に新たな生命を吹き込み、実に豊穣な世界が提示されます。非常に優れた本です。


3位『道徳的に考えるとはどういうことか』
大谷弘 / 著, ちくま新書
新書とは何かと言うと、実は入門書だったりします。その分野に分け入り前に基本知識や、考え方の基本を学ぶことが出来ます。その点において、本書は大変優れた入門書と言えるでしょう。本書の特徴は、1つの内容の深堀りではなく、様々な問題があり様々な考えがあると言うことを、読者に提示しています。ですから、本書を読んで様々な問題が解決しそれを理解出来るとは考えない方が良いかも知れません。示された論点を、議論された著作を読んで、我々も考えてみることこそが重要なのだと思います。


4位『現代フランス哲学』
渡名喜庸哲 / 著, ちくま新書
構造主義やポスト構造主義に関する入門書は随分と読んできました。まあ、入門書を沢山読んだところで、何が分かるのだと言われてしまえばそれまでです。しかし、示された考え方には、同意するにせよ批判するにせよ、私に豊かな思想的愉悦を与えてくれます。
まず、構造主義、ポスト構造主義に関しては、決まった面子ばかりが取り上げられてしまっております。その点、本書は中心人物以外も取り上げられており、大変勉強になります。また、ポスト構造主義後の思想を詳しく概説しています。全体としてどのような思想的流れがあり、それを次世代がどのように受け取ったのか大変明示的です。哲学は完成しておらず、常に緊張し絶え間なく進んでいくものであると、改めて認識しました。最近では哲学書はあまり手に取りませんが、また勉強してみても良いかもと思わせてくれる本です。


5位『もっと菌根の世界』
齋藤雅典 / 編著, 築地書館
2020年に出版された『菌根の世界』の続刊です。前巻で取り上げられなかった部分を解説しています。植物のその大半は菌類と共生関係を結んでおり、菌根と呼ばれる構造を作ります。この菌根はあれば便利どころではなく、なくてはならないものです。その歴史も植物が地上に上陸した時点まで遡るかも知れないのです。以前に書評を書いていますから、詳しくは以下のリンクをご参照下さい。


6位『アマゾン五〇〇年』
丸山浩明 / 著, 岩波新書
アマゾンと聞けば未開な熱帯雨林を想起しますが、その世界史における歴史は古いものです。そして、ヨーロッパ諸国の欲望が渦巻いた土地でもあります。始まりとなるヨーロッパ諸国の黄金を巡る欲望は、やがて植民地支配による富の搾取へ、やがて米国が白人国家とするために黒人を廃棄するためのゴミ箱にと、実に身勝手な玩具扱いでした。全く持って散々たる有り様ですが、このような毒々しい歴史だけではなく、当たり前ですがこの後も歴史は続きます。
本書では日本人のブラジル植民についてもかなり詳細に解説されます。排日論や黄禍論により大変な苦労があったことが分かります。読んでいて、ブラジル移民を描いた北杜夫の『輝ける碧き空の下で』を思い出しました。さらに、アマゾン開拓を託され、未開のジャングルに挑んだ、通称「ゴム兵」たちの悲惨な末路も語られます。そして、収穫したゴムを運ぶ鉄道の敷設も、マラリアなどによる大変な数の犠牲者の上で、完成しました。しかし、鉄道の開通時にはすでにゴム産業は下火になり、鉄道会社は破産し沢山の死者により完成した線路は虚しくジャングルに還ったのです。


7位『大塩平八郎の乱』
藪田貫 / 著, 中公新書
大塩平八郎の乱は、大坂東町奉行所の元与力であった大塩平八郎が、飢饉に対し嘆願しても聞き入られず、それどころか大坂町奉行は米を買い漁り、将軍就任祝いに幕府に米を送るなどのあまりの無法ぶりに乱をおこしたものです。実際には大塩平八郎の乱は、直接的には大した影響はありませんでした。しかし、長く平和が続いた江戸時代の、綻びの目の始まりを告げるものだったのかも知れません。大塩平八郎の義憤は、圧政に苦しむ民草の声を真摯に聞いたものです。現代の金の問題に沸く腐敗政治家たちにも、この本を読んで襟を正して欲しいものです。


8位『「利他」の生物学』
鈴木正彦・末光隆志 / 著, 中公新書
自然界には様々な関係性が見られます。例えば、食う・食われるといった捕食関係や、餌や住処を巡るニッチ競争が代表的です。しかし、自然界には様々な共生関係もまた沢山見られるのです。本書はあらゆる生物を対象としていますが、植物に関する、虫媒花や菌根の話もあります。
人間には関係ない話だろうとお思いの方もおられるかも知れませんが、我々の細胞にはもともと細菌だったミトコンドリアがエネルギー生産を行っており、胎盤を形成する遺伝子はウイルス由来のものです。我々もまた、他の生物との共生関係なくては生まれて来なかったのだと、再確認するべきであろうと思います。



9位『海のアルメニア商人』

重松伸司 / 著, 集英社新書
これは思わぬ視点から歴史を見た本です。様々な勢力に囲まれたアルメニアは度重なる侵略を受け、アルメニア人は世界中に散らばりました。彼らは商人となり、世界中を旅して回ります。歴史の端々に無名のアルメニア商人の存在がチラチラと映りこみます。シルクロード交易からインド交易へ、やがて海路を廻り日本にまで到達しているのです。私の知の枠組みに変更を迫るような素晴らしい本でした。


10位『オットー大帝』
三佐川亮宏 / 著, 中公新書
これは中々の力作です。丹念にオットーの生涯を追っています。異民族の度重なる侵入や、度々おこる親族の反乱、3度に渡るイタリア遠征など、出来事には事欠きません。苦境は常に隣にあります。そのすべてに打ち勝ち、大帝と呼ばれるに至る長い道のりを、我々読者も辿ることになります。何故、オットー大帝は大帝と呼ばれるのか、一読をお勧めします。

最後に
さて、この1年は一応は多肉植物に塗れていましたが、あまり他に手が回らない忙しい年でもありました。そのせいで、今年は70冊程度しか読めませんでした。新刊本もまだ10冊以上積み上がったままです。今年の神田神保町古本まつりで購入した本にも、まだ手が出せていない体たらくです。来年はもう少し本を読む時間が取れると良いのですがね。


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我が弱小ブログも立ち上げてから丸2年経ちました。閲覧数は上がったり下がったりジェットコースターのように乱高下していますが、去年よりも閲覧されているようです。さて、去年も年末に我がブログの閲覧した国と地域のランキングをお示ししました。これは、グーグル・サーチコンソールの機能ですが、結局は使い方が良く分からず放置状態です。この記事のためだけに利用している状況です。今年も久しぶりにグーグル・サーチコンソールを開いて、閲覧状況を見てみましょう。

まずは、1年間の閲覧数のベスト10です。順位の横の()は去年の順位です。日本はまあ意味がありませんね。日本語のブログなので当たり前です。米国、ブラジルは順位変わらず、台湾は順位が上がって、ロシア、インド、イギリスは順位を落しました。また、去年はベスト10入りしなかった韓国、タイ、フランスがベスト10入りです。
1位(1) 日本 224186
2位(2) アメリカ合衆国 2613
3位(−) 韓国 1286
4位(5) 台湾 979
5位(3) ロシア 970
6位(6) ブラジル 789
7位(4) インド 599
8位(7) イギリス 433
9位(−) タイ 385
10位(−) フランス 299

次にアジア地域の閲覧者ランキングを見てみましょう。ただし、日本は抜いたランキングです。日本語で書かれた日本のブログですから、多いのは当たり前ですからね。ちなみに、オセアニアは少ないのでアジア地域に含めました。
アジア地域は韓国が強かったようです。しかし、ベスト10の顔ぶれはほとんど同じです。アジア地域は非常に閲覧数が多く、すでにヨーロッパ地域を追い越してしまっています。今やサボテンや多肉植物栽培の中心地はアジア地域にあると言えます。特に東南アジア地域は品種改良も盛んで、非常に伸びている市場です。温暖な気候を生かし育種は早く、もはや日本は全く敵わないですね。羨ましい限りです。
1位(5) 韓国 1286
2位(2) 台湾 979
3位(1) インド 599
4位(7) タイ 385
5位(4) インドネシア 299
6位(7) ベトナム 270
7位(6) フィリピン 266
8位(3) トルコ 225
9位(9) オーストラリア 192
10位(15) 香港 166
11位(11) マレーシア 158
12位(9)   シンガポール 110
13位(14) 中国 65
14位(17) サウジアラビア 57
15位(12) パキスタン 55
16位(13) バングラデシュ 54
17位(−)   アラブ首長国連邦 51
18位(−)   イスラエル 38
19位(−)   ニュージーランド 29
19位(16) カザフスタン 29

お次は多肉植物の本場栽培の本場、ヨーロッパ地域です。去年7位のラトビア、13位アンドラは圏外へ。しかし、ベスト10は割と安定しています。逆に言えば急成長する余地はあまりなさそうな地域です。
1位(1) ロシア 970
2位(2) イギリス 433
3位(6) フランス 299
4位(3) ドイツ 280
5位(7) イタリア 228
6位(4) ウクライナ 210
7位(9) スペイン 184
8位(8) オランダ 168
9位(10) スウェーデン 133
9位(11) ポーランド 133
11位(14) チェキア(チェコ) 80
12位(12) リトアニア 69
13位(−)   ルーマニア 66
14位(15) ブルガリア 60
15位(−)   ベルギー 51
16位(−)   ハンガリー 47
17位(−)   オーストリア 40
18位(−)   ベラルーシ 39
19位(−)   スイス連邦 35
20位(−)   セルビア 34

お次は多肉植物の自生地を含むアフリカ地域です。去年は閲覧数が10を超えたのは2カ国だけでしたから、今年は大躍進です。去年3位だったアルジェリア、5位マダガスカルは圏外へ。
1位(2) 南アフリカ 110
2位(1) エジプト 75
3位(4) モロッコ 34
4位(−) チュニジア 22
5位(6) ケニア 19
6位(−) タンザニア 15
7位(−) ガーナ 13
8位(9) エチオピア 11
9位(−) レユニオン 10
9位(−) エルサルバドル 10


最後はサボテンの自生地を含む南北アメリカ地域です。上位6位まではほぼ同じ。米国は相変わらず強いですね。
1位(1) 米国 2613
2位(2) ブラジル 789
3位(3) カナダ 220
4位(5) メキシコ 219
5位(4) アルゼンチン 199
6位(6) コロンビア 96
7位(−) パナマ 67
8位(−) チリ 61
9位(7) ペルー 58
10位(8)   エクアドル 37
11位(10) ベネズエラ 32
12位(−)   ドミニカ 26
13位(−)   ボリビア 23
14位(9)   トリニダード・トバゴ 15
15位(−)   ジャマイカ 14

中には1回だけ閲覧された国もありました。それは、ブータン、南スーダン、グレナダ、モルディブ、英領バージン諸島、ブルネイ、ベリーズ、モーリシャス、ケイマン諸島、仏領ポリネシア、ソロモン諸島、タークス・カイコス諸島、アンティグア・バーブーダ、スワジランド、ジャージー、セントルシア、南極大陸、仏領ギニア、ガイアナ、北マリアナ諸島、マーシャル諸島、マン島、トンガ、シント・マールテンなどです。日本人にはあまり馴染みがない国や地域がありますね。あと、不明な地域から48回閲覧されていますが、相変わらずよく分かりません。同じ地域からなのか、あちこちからなのかは不明です。ちなみに、
グーグル・サーチコンソールの国や地域の分類をそのまま用いていますから、ご覧の様に〇〇領✕✕のような表記もあったりします。

皆様の暮らしている国や地域は何位だったでしょうか? それを知ったところで意味はないと言われてしまえば確かにそうです。単純に私が楽しんだだけですね。しかし、去年は137ヶ国でしたが、今年は驚きの178ヶ国です。多肉植物界に多少は貢献出来ているのではないかと思います。
ひたすらデータを羅列しましたが、なんとなーく多肉植物強国が見えてくるような気がします(日本は除く)。まあ、私の個人ブログのデータに過ぎませんから、まったく普遍性などはないかも知れませんけどね。


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日曜日に国際多肉植物協会の東京例会に参加してきました。とは言え、どうしても例会に参加したかったわけではありません。以前、神代植物公園で国際多肉植物協会の多肉植物展があり何となく見に行ったのですが、神代植物公園自体が面白く、植物園の楽しさに気がついてしまったのです。それから、行けそうな範囲の植物園を探していたら、そのうちの1つが東京例会の開催地である板橋区立熱帯環境植物館だったわけです。行くならば、ついでに東京例会にも顔を出そうという算段です。

例会は12時からのようですが、10時半には開催地である板橋区立熱帯環境植物館に到着しました。早速、館内を見て回ります。豊富な熱帯の植物が沢山ありましたが、館内の様子はまたそのうち記事にまとめようと思います。写真を撮りすぎてしまい、整理するだけで時間が必要です。さて、1時間位、時間をかけてじっくりと見て、少し早いのですが館内の喫茶店で昼食を食べてから、ゆっくり会場に向かいました。


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まだ、ほとんど人がいませんでしたが、徐々に人が増えてきました。最終的30人くらいだったでしょうか。流石に年末だけに参加者は少ないのかも知れませんね。
例会には初めての参加でしたから、勝手が分かりませんでしたが、いくつか販売机が出ていたので少し見たりしました。別に何か買うつもりはなかったのですが、ミリイ交配系の花キリンが実に可愛らしいので、ついつい購入してしまいました。まあ、珍しい種類というわけではありません。かなり安いものではあります。
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リップマンジャー
小型で良く花がつく可愛らしい花キリン。

まずは、小林会長の会誌についての話がありました。会誌は節目の300号になりました。年12回で単純に割ると25年にもなります。浮き沈みはあったようで、協会は全体として赤字と黒字を繰り返して来たようです。そもそも年会費は変わらないため、会誌は赤字化しているようです。ビッグバザールの入場料などで賄っているのでしょう。某協会の某氏などは入場料で儲けを出すのはケシカランと仰っていますが、参加者が納得するならばそれで良いのだと思います。我々は自由意志で参加しているのであって、強制されているのではないのですから。
その他にも、いくつかの話がありましたが、来年の1月27日と28日に、新宿住友ビル三角広場で開催されるサボテン・多肉植物プレミアムバザールの話もありました。話は前々からあったようですが、会場費が500万円程度必要らしく見送って来たそうです。しかし、あまり利用されていないせいかは分かりませんが、向こうからイベント開催をお願いしてきた模様です。そのため会場費がタダなので、今回は入場料がなく無料で入れると言うことらしいですね。


しばらくすると、投票用紙が配られたので、品評会の出品を見て3位まで書いて投票したりしました。つくし玉は初めて見ましたから珍しく、1位に投票しました。出品者から詳しい解説もあり、有意義な話も聞けました。
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つくし玉 Bulbine bruynsii
国際多肉植物協会の会誌にも説明があるつくし玉です。寿命があるのか数年しか保たないようです。夏越し出来なかっただけかも知れないとも仰られていましたが、どうでしょうか。実生で更新しているそうです。

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Fouquieria fasciculata
紅葉が綺麗ですね。盆栽風の仕立てです。


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品評会の出品。兜が目につきますが、メセンの解説が面白く感じました。メセンは詳しくないので出品はスルーしてしまいましたが、かなりの技術があるそうです。どうにも日本で育てていると分頭して小さくなってしまいますが、本来は1〜2頭で大きく育つと言うことです。

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出品し忘れのエケベリア。かなりのサイズです。締めてより白く作るのは如何にも手間がかかりそうです。エケベリアは夏に溶かしたり冬に徒長させたりしそうで、怖くて手が出せません。

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兜はかなりの大きさです。ここらへんの事情も解説がありました。個人的には、兜は癖が強くて育て方が良くわからないサボテンです。

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少しヒトデ型。

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最後に競りがありました。この時点の写真はまだすべて揃っていないので、この後もう少し大物もありました。人数が少ないせいか競りはそれほど活発ではなく、かなりの安価で競り落とされていました。世のアガヴェ人気にも関わらず、作り込んだアガヴェが300円とかで落とされていました。最後の方はFouquieria3連発で、F. columnaris、F. fasciculata、F. purpusiiの根本が膨らんだ良型の個体が1〜2万円で落とされていました。本来ならば考えられない位安価でしたから、うっかり参加しそうになりました。しかし、冷静になって考えたら、私は苗を育てる過程が楽しいわけで、全くいらないわけです。3種類とも小苗をすでに入手済ですからね。最後にダンボール箱に入った寄付品のTillandsiaが、1つ100円で販売されていました。競りは3時くらいに終わりましたが、一足先に退場しました。総評としては、経験者の有意義な話を聴けて良かったと思います。


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我が家の多肉植物たちをご紹介してきましたが、ご紹介記事としては今年は本日が最後です。明日は今年最後の論文のご紹介で、年末は2023年のブログを振り返るつもりです。さて、今年最後の我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Pachypodium windsorii
ウィンドゥソリイの生長は割とゆっくりです。P. baroniiの変種とされてきましたが、現在は独立しています。まあ、初めて記載された時は独立種だったわけですから、独立種→バロニイの変種→独立種と言うサイクルです。相変わらず、と言うか未だに2004年のLüthyの分類が基本になっているのは気に食わないのですが、仕方ありません。パキポディウムの分類はいずれ大幅に変更される可能性が高いと思いますが、何故か新しい研究成果が少ないのでしばらくは変わらないでしょう。

231222003638824
Euphorbia moratii
今年のモラティイは猛烈に育ちました。弱々しい苗でしたが、幹の太さは3倍くらいになっています。しかし、画像検索で出てくるモラティイはピンク色の花を咲かせるものが多いようです。私のモラティイは何故か黄色系の花が咲くので、何か誤っているような気もします。しかし、検索すると黄花のモラティイと言われるものもあるようです。そこで、マダガスカルの自生地の画像も見ましたが、まさかの白花でした。これらの花色の違いはただの地域変異に過ぎないのか、何かが混同されているのか、よく分かりません。詳しく調べてみるつもりです。

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Euphorbia venefica
誰が呼んだか猛毒三兄弟が長男、E. veneficaです。非常に毒性が強いと言われています。三兄弟は命名年から、長男E. venefica、次男E. poissonii、三男E. unispinaの順番です。E. venenificaと呼ばれがちですが、これは本来はE. veneficaと命名されたのに、この名前を引用した研究者たちが何故かことごとくE. venenificaと誤記し続けたことが原因です。ちなみに、E. veneficaとE. unispinaは葉の形が異なるだけで、お互いの変異の幅と分布が重なるため区別出来ないと言われています。要するに長男と三男は同一人物だと言うのです。ただ、未だにキュー王立植物園のデータベースでは、E. unispinaは別種とされたままです。さらなる研究が待たれます。
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ちなみに、この強いトゲがポイゾニイとの違いの1つです。

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Gasteria verrucosa
非常に美しいガステリアです。ガステリアの生長は非常に遅いのですが、丈夫で育てやすい植物です。
ヴェルコサは現在ではGasteria carinata var. verrucosaとされているようです。しかし、この名前を聞くとKumara plicatilisの命名を巡るゴタゴタを思い出して少々嫌な気分になります。以下の記事の論文は非常にややこしく、読むのにも記事を書くのにも苦労しました。まあ、全部Medikusが悪いと言うことにしておきましょう。


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Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis
カフィルドゥリフテンシスは中々生長しません。しかし、H. reinwardtiiと言えば「鷹の爪」と呼ばれる硬葉系ハウォルチアです。この鷹の爪にはカフィルドィリフテンシス以外にも品種(f.)や変種(var.)はありますが、どう違うのかよく分かりません。もともとワンコインの多肉植物でしたが、どうもこのシリーズは名前が異なることが度々あるため、イマイチ信用が置けません。


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タイトルだけ見ると熱狂的な烏羽玉ファンの話かと勘違いしてしまいますが、残念ながら今回は異なります。烏羽玉はPeyoteと呼ばれ、宗教的に古くから利用されてきました。Peyoteにはメスカリンと言う幻覚成分が入っているからです。Peyoteの利用はその合法性を巡って、米国ではあれやこれやといったいざこざがありましたが、過去に記事にしたことがあります。さて、日本では烏羽玉の栽培や販売は違法ではありませんが、その成分自体は違法です。しかし、海外では烏羽玉自体が違法だったりします。と言うことで、今回は烏羽玉の幻覚作用に関する話です。ご紹介するのは、Cengiz CENGiSiZらの2016年の論文、『Mescaline abuse via peyote cactus: the first case report in Turkey』です。トルコで初めてのPeyoteの乱用に関するものです。

ある症例
症例は18歳男性患者によるものでした。患者は大麻使用のために3ヶ月の保護観察処分となり、外来病院で治療を受けていました。しかし、患者は強い不安、パニック発作、幻視の症状を訴えて入院しました。患者には活性炭の投与と腸洗浄が施され、抗不安薬が使用されました。

Peyoteの摂取
患者の状態が安定してから、詳しいアンケートを実施しました。すると、保護観察所が実施している大麻の尿検査に引っかからないように、Peyoteを摂取したと語りました。患者はシリアから持ち込んだPeyoteを粉末にして、お茶にして煎じたり巻煙草にして摂取していました。その後、インターネットで購入するようになり、Peyoteを噛んで使い始めました。
これら、トルコにおけるPeyoteを介した初めてののメスカリン乱用です。Peyoteは米国南西部とメキシコ原産地で、収穫出来るサイズに育つまでに20年程度かかる可能性があります。しかし、トルコは原産地から遠く離れ、Peyoteの栽培にも適しておらず、その使用は考えにくい薬物と言えます。

Peyoteの作用
Peyoteの誤用があった場合、激しいめまい、嘔吐、瞳孔拡張、心拍上昇、血圧上昇、激しい発汗、発熱、頭痛、筋肉の弛緩などに悩まされる可能性があります。ほとんどの場合、幻視の症状が認められます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
トルコでまさかの烏羽玉を摂取して中毒に陥る患者が出現しました。インターネットから入手したとありますが、様々な違法薬物がインターネットを介して取引されていることが分かります。もはや、物理的距離など意味をなさない時代です。なお、論文中ではシリアの内戦と関連付けられていました。曰く、シリアの内戦により大量の難民がトルコに移住し、若者同士の交流により薬物が広まったと推測しています。これは何もシリアから違法薬物が入って来たと言うことではなく、シリアとトルコの違法薬物に興味があったり違法薬物を摂取している若者たちが、交流することにより情報が交換されたと言うことなのでしょう。

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Lophophora williamsii
『Hallucinogenic plants』(1976年)より。


さて、日本では烏羽玉の栽培や販売は違法ではありません。しかし、国内の烏羽玉の成分を調べた論文では、烏羽玉や大型烏羽玉、子吹き烏羽玉からはメスカリンが検出されました。要するに、国内の烏羽玉にも幻覚成分は含まれているのです(※翠冠玉や銀冠玉からはメスカリンは検出されず)。しかし、その量が多いのか少ないのかはよく分かりません。どうもメスカリンは生長に伴い蓄積していくものらしく、ある程度大型にならないと利用には適さないようです。メスカリンが蓄積していない烏羽玉はただ苦いだけとも言われています。まあ、麻薬は駄目だよと言うことだけではなく、伝統的な利用法を知らない我々日本人は手を出さない方が良いのは間違いありません。トルコのこの若者のように病院に担ぎ込まれて、腸内洗浄される羽目に陥るかも知れませんからね。


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今日は何とクリスマス・イブです。と言っても、本日は国際多肉植物協会の東京例会に行く予定です。実は目的は例会ではなかったりしますが、それは後ほど記事にしましょう。いずれにせよ、帰宅してからは軽い大掃除をする予定で、まったくクリスマス感はありません。さて、それはともかく本日も我が家の多肉植物を少しご紹介しましょう。

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竜頭
良いトゲが出ていますが、今年はやや厳しく育て過ぎたような気もします。
Gymnocalycium quehlianumと言われていますが、正しいかどうかはよく分かりません。そう言えば、現在はG. quehlianum=G. stellatum=G. asteriumとされているようです。


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Euphorbia makallensis
去年は何故か動きが頗る悪く、老化が進行してしまいました。いわゆる、太陽光誘発樹皮形成と言うやつです。しかし、今年は生長も良く、新しい枝も出て好調です。自生地では、地際から子吹きして密なマット状に育ちますが、栽培下でも再現出来るものなのでしょうか?

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Uncarina  roeoesliana
ロエオエスリアナは早々と葉を落しました。ウンカリナは非常に丈夫な植物ですが、寒さには敏感なのかも知れませんね。今年は受け皿を敷いて、少し水が溜まるようにして育てましたが、大変良く生長しました。ウンカリナは水切れを嫌うようで、用土が乾くと直ぐに葉を落としてしまいます。普段、あまり頻繁に水やり出来ないことからの苦肉の策でしたが、上手くいって良かったです。
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今年は塊根を少し出しましたが、見事にくびれてしまっています。この地際がくびれるのは、Pachypodium succulentumや塊根性のユーフォルビアでも見られる現象です。いずれは目立たなくなりますが、見目は良くありません。今年は良く生長したため塊根は太りましたが、同時に長くなっているでしょうから、来年は植え替えてもう少し塊根を出す予定です。

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Haworthiopsis attenuata f. tanba
矮性のアテヌアタです。「十二の巻」や「松の雪」、最近良く見る「特アルバ」や「スーパーゼブラ」もアテヌアタ系ですね。葉の内側にも結節があるのがアテヌアタ系の特徴です。

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Haworthiopsis fasciata fa.vanstaadensis
こちらは矮性のファスキアタです。ファスキアタは葉の内側に結節がなく滑らかです。基本的にファスキアタは国内ではほぼ流通がありません。しかし、十二の巻をファスキアタと表記しているサイトが非常に多いため、アテヌアタ系と混同されてしまっています。この問題は海外の趣味家のフォーラムでも話題となっており、やはりアテヌアタばかりでファスキアタは中々入手が難しいようです。しかし、趣味家同士でアテヌアタとファスキアタの見分け方について、オープンに情報がやり取りされており、海外の趣味家のレベルの高さがうかがえます。国内ではアテヌアタとファスキアタの違いや混同について書かれたサイトはほとんどないように思われます。まあ、星の数ほどある販売サイトが積極的に誤りを広めてしまっていますから、こんな弱小ブログで私が主張したところで何も変わらないのでしょうね。


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自生地のサボテンは様々な形で利用されており、コチニール色素をとるためにカイガラムシをウチワサボテンで育てたり、様々に利用しているようです。自生地ではありませんが、マダガスカルでは増えたウチワサボテンのトゲを焼いてから家畜に与えているという話を聞いたことがあります。また、ウチワサボテンの中でも、Opuntia ficus-indicaなどは産業利用出来ないかと、様々な分野から研究されているようです。さて、本日はサボテンと家畜の関係について、1つの報告を見つけましたのでご紹介します。それは、Walter H. C. Pequenoの2021年の論文、『Ocular and oral lesions caused by Tacinga inamoena in sheep and goats in Northeart Brazil』です。

サボテンと家畜
ブラジル北東部にはサボテンが多数生息しており、飼料が減少する干ばつの時期には、これらのサボテンを飼料とすることは一般的です。しかし、飼料とされるサボテンは飼料に適しているか研究されておらずに、家畜の健康に与える影響は確認されていませんでした。

Tacinga inamoena
Tacingaはブラジルの半乾燥地域の固有種です。Tacingaという名前はCaatingaという地名が変形したものです。Tacinga inamoenaは高さ20〜100cmまで生長する低木です。茎は長さ8〜9cm、幅は4.5〜5.5cm、厚さ1.0〜1.2cmの楕円形です。植物は緑色からわずかに灰色がかる色合いで、直径4〜5cmの昼行性のオレンジ色の花を咲かせます。T. inamoenaにはトゲはなく、ほぼ結晶質のセルロースの小さく鋭いgloquids(芒刺)の束があります。この「微小トゲ」は、容易に剥がれてしまい、皮膚に刺さると炎症を引き起こす可能性があります。

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Tacinga inamoena
『The Cactaceae』(1919年)より。
Opuntia inamoenaとして記載。
Tacinga inamoenaは、1890年にOpuntiaとして記載され、1979年にはPlatyopuntia、そして2002年にTacingaとされました。


症例①
2019年にPocinhos市で70頭のヤギと羊が飼育されていますが、飼い主が言うには少なくとも過去5年に渡り、家畜には重篤な目の合併症が発生していたということです。これらの問題は年間を通じて観察されましたが、乾季にはより顕著になる傾向がありました。飼い主により眼病治療用の抗生物質と抗炎症薬による治療を受けていましたが効果はありませんでした。他にも、一部の家畜は過剰な唾液分泌と摂食困難が認められました。
調査したところ、21.4%の家畜に眼の病変があり、顔面、眼瞼、結膜、耳介に芒刺が確認されました。検査をすると、過剰の流涙、眼瞼炎、羞明、角膜混濁、涙液腫、角膜血管新生、角膜潰瘍が見られました。口腔病変がある個体もおり、流血、摂食困難、口臭、歯肉および舌の潰瘍がありました。
放牧地にはT. inamoenaが存在し、飼い主によると家畜はT. inamoenaの果実を食べる姿がよく見られたということです。
潰瘍性角膜炎をおこした動物には抗生物質の点眼薬を潰瘍が治癒するまで処方し、口腔病変を示した動物には、治癒するまで柔らかい飼料を与えました。

症例②
2020年にBarra de Santa Rosa市にて、ヤギと羊を含む約100頭の家畜が飼育され、飼い主は羊たちの口内炎に悩まされてきました。動物は不快な口臭があり、摂食困難になり死亡する個体もありました。やはり、乾季に重篤な症状が出るということです。
1頭は動物病院に運ばれました。食欲不振により痩せ、ボディスコア(※)は1.5でした。被毛全体から芒刺が見つかりました。口臭、過剰な唾液分泌、広範な出血性潰瘍、および触診で痛みがある圧痛がありました。舌や頬、歯茎から液体の漏出が認められました。血液検査では、貧血や低アルブミン血症が確認されました。検査では結果から見た症状の重症度から、この個体は予後が好ましくないことが考えられるため安楽死となりました。剖検では、潰瘍とびらんを伴う潰瘍性丘疹病変が上下の唇、口腔粘膜、舌、口蓋で確認されました。これらは隆起し硬く不規則で、黄色から淡褐色まで様々な色と紅斑による壊死の跡に覆われていました。病理組織学的検査により、芒刺は真皮より深い筋肉層にまで浸潤していました。

※ ) Body Condition Scoreとは、動物の脂肪の蓄積具合を数値化したもので、動物の栄養状態を把握することができる。5段階評価で3が標準で、値が小さいほど痩せており、大きいほど太っている。例えば、ボディスコア=2は、骨が浮いて見える状態。

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Tacinga inamoena
『The Cactaceae』(1919年)より。
Opuntia inamoenaとして記載。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
ラクダがトゲだらけのウチワサボテンを食べる姿をテレビで見たことがありますから、草食獣は強いなあと思っていました。しかし、ヤギや羊はウチワサボテンを食べて体調不良に陥っていますから、必ずしも平気と言うわけではないようです。この場合、芒刺が良くないようですが、普通のトゲなら問題ないとも言えません。と言うのも、Opuntia strictaと言う芒刺ではない、世界中で侵略的に増えているウチワサボテンは、ヤギの眼や消化管に障害を引き起こしているそうです。サボテンは乾燥地にあっては、水分を大量に含みますから、草食動物にとっては魅力的な植物でしょう。ですから、サボテンはトゲで身を守っているわけです。サボテンのトゲが防御に役に立っていると言う実例を知ることが出来ました。


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いよいよ、年の瀬が迫ってきました。ブログもそろそろ年末モードで、この1年を振り返ってみようと考えています。早くも年末年始休みの雰囲気になってしまい、論文もあまり読んでいません。今年はあと1つ2つご紹介出来ればといった感じでしょうか。まあ、そんな感じで緩みきってしまっていますが、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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狗奴子キリン Euphorbia knuthii
狗奴子キリンは枝はあまり伸びませんが、塊根は良く太ります。
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絡みつくような塊根が面白いですね。

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噴炎竜 Euphorbia neohumbertii
噴火竜E. viguieriと異なり、強光を嫌うようです。これでも花キリンですから、他の花キリンと並べて育てています。多肉質の見た目に反して大変水を好みます。
しかし、最近では噴炎竜の現地球すら販売されているのには呆れました。現地の特殊な環境が育成に必要で、日本で栽培すると同じ姿にならないとか、塊茎や塊根が太るのに時間がかかるとかならまだ分かります。しかし、噴炎竜のただダラダラ長く伸びた個体を入手してどうするのかよく分かりませんね。日本で育てても同じ姿になるのに不思議です。

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Haworthia herbacea
冬のハウォルチアは、室内の暗い場所に押し込まれることになります。しかし、逆に透明感が増すので、冬が一番きれいな季節かも知れません。
ヘルバケアは、どうやら原産地ではH. maculataやH. reticulataとの区別が困難とされているようです。遺伝子解析により判別する必要があると言われているようです。
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ヘルバケアはスポット状に散りばめられたように透明の窓があります。ワンコイン多肉植物でしたが、ちゃんと育てれば美しい植物です。

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綾錦 Aristaloe aristata
綾錦は非常に美しく育っています。非常に丈夫で、一年中屋外に放置してあったりするのをたまに見たりします。残念ながら、あまり顧みられない多肉植物です。かつては、Aloe aristataと呼ばれるアロエの1種でしたが、現在はアリスタロエ属となりました。1属1種の単型属です。葉の先端の長い禾や葉の内面の結節はハウォルチアとの関連を疑わせますが、実際にはアストロロバやゴニアロエ(千代田錦など)と近縁とされます。

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Fouquieria splendens
今年は倍近く枝が伸びました。それでも、他のFouquieriaの苗に比べると生長が遅いのですが、アブラムシがついて葉をやられたりしたので、その影響かも知れません。
北イタリアでF. splendensを実生から育てた人の記録によると、実生から8年で開花したそうです。冬は雨避けして氷点下で管理していたそうです。もう少し育ったら、冬も外管理しても良いかも知れません。


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ユーフォルビアは傷付くと乳液を出しますが、この乳液には毒があると言われています。しかし、実際にその毒の被害にあった人の話は聞いたことがありません。古い論文を読むと、大型の柱サボテン状になるユーフォルビアの乳液は、皮膚に着くと水膨れを引き起こすなどと書かれています。しかし、実例は依然として分かりません。過去にも調べたことはありましたが、中々良い論文を見つけ出せませんでした。論文では、どうしても化学的な話となってしまい、含まれる化合物の特定や構造式の解明など、単純な毒性は分かりませんでした。最近、サボテンのトゲを抜く方法を調べた時、医師からの報告が論文として存在することに気が付きました。なるほど、実際の症例を探せば良いのです。探し方が間違っていましたね。
と言うわけで、症例報告を見てみましょう。本日ご紹介するのは、TSK Lamらの2009年の論文、『A case report of ocular injury by Euphorbia plant sap』です。香港からの報告のようです。

乳液が目に入る事故
2008年9月にユーフォルビアの乳液が右目に入った52歳の男性が、激しい痛みのために事故救急部門を受診しました。患者は学校の庭師でしたが、Euphorbia trigonaの剪定作業中に誤って乳液が目に入ってしまいました。目は水で洗いましたが、1時間半後に持続的な痛みを訴えて病院を受診しました。

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Euphorbia trigona
『Beknopt leerboek der  plantkunde voor Nederlandsch-Indie』(1923年)より。


病院での処置
病院では直ちに局所麻酔下で生理食塩水で目を洗浄しました。右目は結膜が充血していましたが、光への反応や瞳孔のサイズ、視力には問題がありませんでした。検査では角膜びらんは見られませんでした。細菌の二次感染や合併症を防ぐために抗生物質が処方され、さらなる治療のために眼科クリニックが紹介されました。眼科クリニックでは合成副腎皮質ホルモンと抗菌剤が処方されましたが、患者は激しい痛みに2日間苦しみました。しかし、1週間後の検査では、角膜の傷跡や視力障害などの深刻な後遺症もなく、完全に回復しました。

過去の症例
ユーフォルビアの乳液により引き起こされる眼毒性は、灼熱痛、流涙、羞明、結膜炎、角膜炎、ぶどう膜炎、角膜潰瘍、角膜浮腫、角膜剥離、失明に至るまで様々な重症度があります。
過去の症例では、炎症の程度は乳液への曝露量とユーフォルビアの種類によります。E. peplusの乳液は線維性ぶどう膜炎を伴うユーフォルビア角膜炎を引き起こします。E. lathyrisの乳液ではぶどう膜炎は軽度であり、フィブリン(線維)は見られません。E. tirucalliやE. lacteaは、様々な程度のぶどう膜炎を伴う角膜炎を引き起こします。E. characiasとその亜種wulfeniiはぶどう膜炎を伴わない軽度の角膜炎のみを引き起こします。今回の症例からすると、E. trigonaは結膜損傷のみを引き起こしました。しかし、眼の炎症の重症度は、乳液の濃度と接触時間も関係しています。
一般に早期に診察と治療が行われた場合、重篤な合併症、つまり視覚障害が発生することは稀です。服薬の遵守と経過観察がしっかりと行われていれば、臨床経過は良好ですから安心して下さい。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
ユーフォルビアの乳液には毒性がありますから、扱いには注意する必要があります。特に大型のユーフォルビアを剪定する際は気をつける必要があるでしょう。しかし、小さなユーフォルビアであっても、指に乳液が少しついたりして、気付かないで目をこすってしまったりという事故は十分考えられることです。我が家にあるユーフォルビアは小さなものばかりですが、その数は10や20では済まないので、十分に気を付けたいものです。多肉植物好きとして考えさせられる事故の報告でした。


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妙に暖かい12月でしたが、いよいよ寒くなってきました。流石に暖房をつけないと室内でも肌寒い陽気です。とは言え過度な暖房は植物に良くありませんから、設定は20℃程度にしています。さて、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Euphorbia sp. nova. somalia hordio
謎の未記載種。地面を這うように育つようです。ソマリア原産と言われていますが、採取地は海岸沿いの低地らしく非常に丈夫です。情報が少なく、原産地などの情報もどこまで正しいのかは不明です。どなたか、正しい情報をお持ちの方は、ご指摘下さると助かります。

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光沢がある鮮明なストライプが非常に美しいですね。

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飛龍 Euphorbia stellata
飛龍はどうにも生長がイマイチです。塊根もあまり太っていません。何となく遮光が足りていないような気がします。


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Haworthia parksiana
小型ハウォルチアのパルクシアナです。葉の長さはせいぜい1cm 程度しかありません。軟葉系では最小クラスのようです。そう言えば、「群鮫」なる名前もあるようです。原産地では非常に希少となっているそうです。
そう言えば、「Parks」という人名からきていると誤解されていますが、どうやら異なるようです。H. parksianaは、南アフリカの公園で栽培されていたハウォルチアに「Parks 636/32」と言う表記がなされましたことに因みます。要するに、「Parks」はそのまま「公園」と言う意味しかありません。女性の人名を形容詞化する場合は「-ana」と言う語尾になりますから、この場合は謎のパークス夫人に献名されていることになります。


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Aloe fragilis
マダガスカル原産の美しい小型アロエです。模様の入り方が、何となくガステリア感があります。ワシントン条約(CITES)の附属書Iに記載されている希少種です。


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Haworthiopsis nigra IB 1284
ニグラは様々なタイプがありますが、こちらは葉が短いタイプです。葉は1cm以下と非常に小型です。ニグラの短葉タイプは、硬葉系でも最小クラスかも知れませんね。


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Haworthia rynverdii
リンベルディイの名前で入手しましたが、現在はHaworthiopsis nigra var. nigraの異名となっています。因みに、Haworthiopsis rynverdiiと言う名前はありません。ニグラ系では割と大型のタイプです。ニグラはタイプが豊富なため、集めたくなりますね。

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昨日はシマムラ園芸のイベントに参加してきました。シマムラ園芸は以前はよく行っていたのですが、最近はとんとご無沙汰でしたね。そんなシマムラ園芸では、何やら知らないうちにいくつも多肉植物などのイベントを開催していたようです。多肉植物のイベントを調べても何故か出てこなかったため、気が付きませんでした。場所はシマムラ園芸の店舗の奥にある大きい温室で開催されました。

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よくわからないまま参加しましたが、えらい混みようでした。通路に入っちゃうと動けなくなることが多々ありました。昨日はかなりの強風が吹き荒れていましたが、雲一つない快晴でしたからそれほど寒くはありませんでした。しかし、12月だというのに温室内はとんでもない暑さで参ってしまいました。

さて、内容的にはアガヴェですね。多分、7〜8割がアガヴェで、これ程アガヴェ生産者が集うイベントは初めて見ました。あと、エケベリアやビカクシダの専門店もありました。サボテンはいくつかのブースで少々あったぐらいです。晃山やヒントニーなど珍しいものもありましたが、一点もので沢山並んでいたわけではありません。ギムノカリキウムはバッテリーや鳳頭あたりの普及種と、ラフレシアリサーチさんのプロカズキアヌムくらいでしたね。まあ、そんな感じで私好みの多肉植物はありませんでしたから、早々に退散しました。

帰りに久しぶりにシマムラ園芸の店舗も見てきました。相変わらず、こちらでもアガヴェが隆盛を極めていました。アガヴェは前々から増えてきていましたが、今回はかなりアガヴェのスペースが広くなりました。しかし、手の平に収まるような、小さなサイズのグラキリウスの現地球が、沢山並べられている姿には心が痛みました。このサイズから乱獲されてしまっているのですから、もはや取り返しのつかないところまで来てしまっているということです。日本は中国とともに国際的に非難されていますから、多肉植物ファンとしてとても辛く感じました。

さて、気を取り戻して、購入品のご紹介です。
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Tylecodon buchholzianus
ティレコドンは初めてです。冬型はよくわからないので買わないようにしてきましたが、可愛らしい姿にうっかり手が出てしまいました。まあ、安かったということもあります。小型種。


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ユーフォルビア・アンチシフィリティカ
Euphorbia antisyphiliticaです。あまり見かけない米国のユーフォルビアです。キャンデリラソウと呼ばれている有名な植物ですが、国内では無名です。ですから、見つけた時は少し驚きました。USDAゾーン的にはマイナス9℃まで耐えられると言います。来年は株分けして、耐寒性を試してみたいですね。
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まるで、有星類のような白点に覆われますが、サボテンの綿毛とは異なり、こちらはロウで出来ています。昔はキャンデリラソウを煮てロウを抽出していましたが、現在ではキャンデリラソウは様々な化粧品に利用しているそうです。論文が結構ありそうですね。


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そう言えば、今日はシマムラ園芸で「草乱祭」と言う謎のイベントが開催されます。多肉植物などの即売会のようですが詳細は分かりません。今回、初の開催イベントのようです。会場はシマムラ園芸の店舗の奥にあるビニールハウスだか温室らしいのですが、何やら出店数がやたらに多い様子ですからかなり広い会場なのでしょうか? 憶測ばかりで何も分かりませんが、一応は見てくるつもりです。私にとっては、今年最後の多肉植物の販売イベントですかね。その様子は明日記事にするとして、本日も我が家の多肉植物たちをご紹介します。

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Gymnocalycium friedrichii LB 2178
言わずとも知れたLB 2178です。採取地はパラグアイのAlto Paraguay県Agua Dulceです。STO 1611と同じと言う情報もあります。
よくわからない交配種が増えてしまい、本物か否かはもはや神のみぞ知るところとなっています。最近見られる「牡丹玉 LB 2178」とか「ミハノビッチ LB 2178」などの表記は誤りです。というのも、フィールドナンバーは採取時の情報とリンクしていますから、フィールドナンバーが付けられた時の名前で呼ぶべきものなのです。G. friedrichiiは現在G. stenopleurumの異名となっていますが、将来的に学名は変わる可能性があります。いちいち変えていたら大変です。ですから、「Gymnocalycium friedrichii LB 2178」、あるいは「G. friedrichii LB 2178」以外の表記は誤りです。 特にまったくの別種扱いであるG. mihanovichii表記は意味が分かりません。

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LB 2178は独特の暗い色合いに入る鮮烈なライン、爬虫類のような質感が美しいギムノカリキウムです。また、稜が深いということが、交配種との違いだと聞いたことがあります。最近では海外のナーセリーがVoSナンバーのG. friedrichiiを日本のイベントに持ってきていますから、集めて違いを楽しむのも一興でしょう。

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緑仏塔 Euphorbia tuberculata
太く長い枝が伸びるタコものユーフォルビアです。
現在はE. caput-medusaeの異名とされていますが、育ち方は異なるように見えますし、全体的に粗い感じがします。
実はこの2種は文献資料により同種と判断されただけで、両種を比較した研究に基づいているわけではありません。将来的には変更される可能性もあります。


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Dasylirion longissimum
これはいわく付きのダシリリオンです。国内ではこのようなトゲがないダシリリオンは割と普及種で、ロンギシムムの名前で販売されます。しかし、実はこれは誤りで、正しくはD. quadrangulatumです。これは海外でも同様で、というより海外由来の輸入種子の名前が誤っているからなのでしょう。

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Dasylirion quadrangulatum
こちらはクアドラングラツムの名前で入手したダシリリオン。特徴は上のロンギシムムとまったく同じです。
この誤りはかなり複雑な経緯があります。そもそも、ロンギシムムはLemaileが採取地や標本すらない状態で記載したことが、恐らくは混乱の始まりだったのでしょう。その後、ロンギシムムとクアドラングラツムが同一種ではないかと言う議論が繰り返されましたが、ロンギシムムと呼ばれるものが2種類あることが明らかとなり、D. quadrangulatumと新種D. treleaseiに分離しました。しかし、後にD. treleaseiは破棄されD. longissimumが復元されました。現状の混乱は、恐らくですが、ロンギシムムとクアドラングラツムが同種とされた時代に、より早く命名されたロンギシムムが正しい学名であると判断されたことがあるのでしょう。
2種類の違いは、ロンギシムムは葉の根本にトゲがあり葉は光沢がある場合がありますが、対してクアドラングラツムは葉の根本にトゲはなく葉に光沢がないそうです。


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Zamia furfuracea
フルフラケアは葉が水平に拡がって場所をとるため、冬は葉を縛って家に取り込みます。例年、無遮光で育てて来ましたが、今年は葉が少し焼けてしまい、悪化する前に半日陰に移しました。今年の夏は色々と異常で、多肉植物たちにもダメージがありました。
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小苗から育ててますが、随分と立派になりました。


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多肉植物の分布域は大抵は砂漠など、あまり人が住んでいないような場所です。しかし、近年では開発により生息地が破壊される速度が加速しています。本日はそんな開発により生息地を失った、とある多肉植物の救出作戦についてご紹介します。それは、Herta Kolbergの2014年の論文、『Relocation of Adenia pechuelii (Passifloraceae) -a viable rescue option?』です。Adenia pechueliiというアデニア属の塊茎植物の移転とその後の経過についての報告です。アデニア属と言えば、Adenia glaucaやAdenia globosaなど、緑色の塊茎からつるを伸ばす植物が稀に販売されています。

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Adenia pechuelii
『Die Pflanzenwelt Afrikas, insbesondere seiner propischen Gebiete』(1910年)より。

ウラン開発の余波
世界的なエネルギー危機と市場価格の高騰により、ナミビアにおけるウラン探査と採掘が増加しています。その計画の1つとして、カナダの企業がナミブ砂漠の東端にある農場でウラン採掘が行われることになりました。予定地の環境影響評価と環境管理計画では、一般的にElephant's Footと呼ばれるAdenia pechueliiの大規模な個体群が見つかりました。1994年のIUCN基準ではA. pechueliiは絶滅危惧IB(EN)として評価されていました。A. pechueliiはナミビアの固有種で西海岸沿いの霧が発生する地域に生えます。その生態はあまり良く知られていません。

移植試験
2008年にA. pechueliiの移植が可能であるかが試験されました。掘削機で植物の周囲を掘り、その後はスコップやバールを用いて丁寧に掘り上げ、なるべく根の損傷がないように深く掘り下げました。今回の試験では無作為に60本のA. pechueliiが選ばれ、様々な処理をして採掘予定地以外でA. pechueliiが生える地域に移植されました。移植は、ただ移植しただけの場合と、殺菌剤で処理したもの、発根ホルモンで処理したもの、定期的に水やりしたものなど、複数の条件が試されました。

移植後の経過観察
移植後は定期的な経過観察を行いましたが、移植から1年後にはすべての個体が生存していました。移植から4年後においても80%にあたる48個体が生存していました。枯死した個体のほとんどは移植によるダメージではなく、野生動物による食害によるものでした。移植しなかった個体も比較のために観察していましたが、やはり野生動物による食害により枯死するものが観察されています。また、食害による枯死は小型の個体が受けやすいようです。
これは、湿潤な年が続いた後で、干ばつが起こったことにより、野生動物による食害が発生しやすくなった可能性があります。野生動物の食害を受けないで枯死した個体は、わずか1個体でした。移植によるダメージを受けた可能性のある個体だけを考慮すると、移植後の生存率は98.5%にもなります。移植は有効であると判断されました。
移植時に様々な処理を試みましたが、これらは移植後の生存率や生長量には影響がありませんでした。ただ、定期的な水やりについては、移植した年は湿潤でよく雨が降ったため、その影響を推測することが出来ませんでした。しかし、移植時の水やりは、根の安定や発根の刺激のために必要であると考えられます。

最後に
以上が論文の簡単な要約です。
A. pechueliiに関しては移植は有効なようです。移植先の環境が異なると上手くいかない場合もありますが、A. pechueliiの場合は自生地が広く、移植先が豊富にあったことが幸いしたようです。とは言え、開発が進めばA. pechueliiの生息地は減少し続けるでしょう。その時に、有効な移植先がなかったり、残された自生地に過密に移植されるようなことがなければ良いのですけどね。


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意外にもあまり寒くならず、暖かい日が続いています。一度寒くなりかけて急いで室内に多肉植物を取り込みましたが、慌てる必要はありませんでしたね。本日も我が家の多肉植物たちをご紹介します。

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逆鱗竜 Euphorbia clandestina
逆鱗竜が開花しました。地味な色合いは如何にもユーフォルビアぽいですが、花は割と大きく形も可愛らしいですね。

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Pachypodium rosulatum
ロスラツムは緩やか生長中です。グラキリウスやらカクチペス、マカイエンセはロスラツムの亜種とされていますが、ただのロスラツム(P. rosulatum subsp. rosulatum)はあまり見かけません。しかし、遺伝的にはかなり異なるようですが、それらは何故か2004年から学名がずっと同じです。

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Pachypodium rosulatum var. drakei
ドラケイは現在は認められていない学名で、ロスラツムと同種とされています。しかし、ドラケイは葉が細長く、全体的に縦長に育ち大型です。今後、subsp. rosulatumとの違いがどう出てくるのか楽しみです。

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Aloe erinacea
エリナケア充実してきましたが、非常に生長が遅いですね。根ばかり伸びて、さっぱり大きくなりません。Aloe melanacantha var. erinaceaとされることもあります。


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Haworthiopsis limifolia
硬葉系のリミフォリアです。実に渋い雰囲気です。しかし、リミフォリアは他の硬葉系と遺伝的にやや異なるとされることもありますが、論文によりまちまちです。割と気になっているのですが、続報はまだないようです。


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Fouquieria ochoterenae
オコテレナエは枝が太く育ち大柄です。枝が細く枝分かれしやすいF. fasciculataと比べると、ずんぐりした雰囲気があります。


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多肉植物には有毒なものもあります。しかし、毒性があると言うことは、人体に対して生理作用を及ぼすと言うことでもあり、民間薬として利用される可能性があります。毒性と言えばまずユーフォルビアが思いつきますが、実はBoophoneと言う巨大な球根植物も有毒であり、民間で利用されているらしいのです。詳細は知りませんでしたが、調べてみるとBoophoneが原因と思われる事件が発生しているようです。それは、Wj du Plooyらの2001年の論文、『Poisoning with Boophane disticha: a forensic case』です。タイトルではBoophaneとなっていますが、現在はBoophoneが正しい表記です。しかし、論文中では元の表記であるBoophaneですから、そのように呼びましょう。さて、Boophoneにより引き起こされた事件とは一体何なのでしょうか?

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Boophone disticha
『Curtis's botanical magazine』(1825年)より。


Boophane distichaの球根を食べると、鎮静、鎮痛、幻覚、意識喪失、非合理な行動、多弁、昏睡などの症状を引き起こします。Boophaneは悪霊を追い払い、幸運をもたらし、雨乞いに利用する目的で小屋の近くで栽培されます。
さて、事の経緯はこうです。南アフリカのヒーラー(伝統的医術者)が、ある人に魔術がかけられていると思い、魔術をかけた人物を突き止めようとしました。ヒーラーはその人にBoophane調合液150mLを飲ませました。しかし、Boophane調合液を飲んだ人は自身が襲われているという幻覚に見舞われ、拳銃を抜き無差別に発砲しました。発砲により1名が死亡し、数名が負傷しました。発砲した人物は逮捕され、Boophane調合液は分析のために南アフリカ警察法医学局に送られました。
クロマトグラフや質量分析によりBoophane調合液に含まれる化合物が同定されました。同定されたのは、アルカロイドであるBuphanidrin、Buphanine、Crinamidine、Undulatine、さらに揮発性油であるEugenolでした。さて、Buphanineにはスコポラミン同様の作用があり、制御不能な行動、幻覚、興奮、昏睡を引き起こします。Buphanidrineには麻薬性があり、幻覚作用があります。Eugenolには鎮痛作用があります。被告の不合理な行動は、Boophaneに含まれるBuphanineとBuphanidrineの摂取によるものと考えられます。ただ、この場合のEugenolの影響は不明です。


以上が論文の簡単な要約です。
伝統医学には魔術的要素があります。薬草を治療に用いるだけではなく、占いや呪術にも利用されるのです。今回の事件もまじない的な利用方法でした。
即死するような毒性ではないとはいえ、Boophoneには非常に強い作用があることが分かりました。この論文に取りあげられた事件は、Boophoneによる異常行動、興奮作用、幻覚作用が強く出た結果なのでしょう。とは言え、わざわざ球根から汁を搾らなければならないため、事故でうっかり搾り汁を飲んでしまうことはないでしょう。ですから、ただ園芸植物として栽培する分には、特に問題となるようなことは考えにくいはずです。むしろ、ユーフォルビアの方が厄介かも知れませんね。


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多肉植物関連の作業はほとんどありません。室内に取り込んだ多肉植物にたまに水やりするくらいです。逆に庭木の枝を切ったりと外作業ばかりです。あまり日中は寒くないので、正月までにはすべて終えたいところです。さて、それはそうと本日も多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Gymnocalycium esperanzae VoS 14-1791
フィールドナンバーつきのエスペランザエです。暗い肌色と黒いトゲが非常に美しいですね。
G. castellanosiiとG. bodenbenderianumの分布域の中間に自生することから、自然交雑種ではないかと言う意見もあります。トゲの色や種子の特徴はG. castellanosoniiに似ており、根の特徴や雄しべの色、中心のトゲがないことなどはG. bodenbenderianumに似ています。中間的な形状になるのではなく、形質によってきっぱり分かれているところが大変面白く感じます。


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Pachypodium brevicalyx
ブレビカリクスはまだ葉が落ちる雰囲気はありません。現在はP. densiflorumの異名とされていますが、トゲが強く葉が大きいなど、全体的に荒々しい雰囲気があります。

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Aloe saundersiae
かつてのLeptaloe saundersiaeです。草原性のアロエですが、牧畜により家畜の踏みつけなどで減少しているみたいです。
夏に花茎が出ましたが、途中で萎れてしまいました。暑かったからかも知れません。


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天守閣 ×Astrolista bicarinata
自然交雑種です。「スキンネリー」と言う名前でたまに見かけます。いわゆる、Astroloba skinneriです。しかし、TulistaとAstrolobaの交雑であるとされ、交雑属を示す「× Astrolista」とされています。交雑親はTulista pumila × Astroloba corrugataと推測されているようです。


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Euphorbia multifolia
ある程度の高地を好むと言う割に丈夫です。細長い葉は硬く丈夫です。
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幹が木質化しながら生長するようです。硬い花茎が長く残ります。


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ソテツは海外では希少で、その保護が強く叫ばれています。しかし、日本においてソテツはあまりに身近な存在ですから、そう言われてもピンと来ないかも知れません。日本に生えるソテツであるCycas revolutaは耐寒性が強いため、多少の降雪がある地域でも庭に植栽が可能です。そのため、日本中に植栽されているわけですが、本来の自生地は九州以南の暖地です。野性植物はその自生地では、人々に上手く利用されて来ました。ソテツはどのように利用されてきたのでしょうか? 本日はソテツ利用の1つ例をご紹介します。それは、Truyoshi Hashimoto & Jin Ishiiの2021年の論文、『Microclimate in the Fields with Cycas Hedges in Amami Oshima, Japan』です。奄美大島の島民がソテツとどのように付き合ってきたのか、そしてその関係性が崩れ行く現実を捉えています。

日本の農村では住宅の周囲に防風林がよく見られ、それぞれの地域の気候に適応して作られていると言われています。一方で耕作地の保護のための防風林もよく見られます。奄美諸島ではソテツが防風林として利用され、ソテツの生け垣のある畑と言う意味で、「ソテツ畑」と呼ばれています。昭和20年代に撮影された航空写真を見ると、斜面の段々畑にソテツ畑が多く見られます。しかし、現在は機械化や農地拡大が困難であることなどから放棄され、平野部のものだけが残存しています。ソテツの生け垣は高さ約2〜3mで、畑にはサトウキビ(約40%)、玉ねぎ、サツマイモ、ニンニクなどが植えられます。
アメダス(地域気象観測システム)と気象台による観測データにより気温や水蒸気圧、日照量を、また風速や風向きを計測しました。すると、ソテツ畑は約20%の防風効果が確認されました。海からの季節風による強風と塩害を防ぐために、海岸のアダンによる海岸防風林とソテツ畑による防風林に効果が認められました。しかし、幹線道路の拡張工事により、幹線道路沿いに強風が吹くようになりました。その結果、幹線道路沿いのソテツ畑からは防風効果は失われてしまいました。

以上が論文の簡単な要約です。
実はこの論文の結論は意外なもので、夏のソテツ畑は気温が上昇し高温となるため、健康に対する危険を避けるために、ソテツ畑での作業は控えたほうが良いと言うものでした。防風効果により気温や湿度が高くなりやすく、日当たりの良いソテツ畑は夏には体感温度で38〜46℃にも達すると言うことです。しかし、長くソテツ畑と付き合ってきた地元の人々からしたら、そんなことは当たり前のことであり、必要だからやっているだけですよと笑われてしまいそうですけどね。


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多肉植物を室内に取り込みましたが、何やらまた少し暖かくなったりして、未だに暖房いらずです。日中暖かいせいか、新しいトゲを出すユーフォルビアすらあります。まだまだ、多肉植物たちは休眠体制に入っていないようです。本日も適当に多肉植物をご紹介します。

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Gymnocalycium pungens
トゲが長く激しいプンゲンスです。購入時、保湿力の高い用土に植えられていたのですが、化粧砂で見えなかったため、過湿になり根をやられてしまいました。植え替えしましたが、ようやく根が張ってきたようです。まだ、グラつきますけどね。そう言えば、プンゲンスは波光竜G. schickendatziiの1タイプとされているようです。プンゲンスは刺さりやすい非常に鋭いトゲを持ちますが、波光竜はどうなんでしょうか? 比べてみたいものです。

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Euphorbia pedilanthoides
痩花キリンと呼ばれています。去年は根が貧相だったせいか、まったく動きはありませんでした。しかし、今年は赤い美しいトゲが出ました。根が充実したのでしょうね。ペディラントイデスは割と面白い花が咲きますから将来が楽しみです。まあ、花が咲くまであと何年かかるか分かりませんが…

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Fouquieria macdougalii
マクドウガリイの古い葉が黄葉してきました。今年はよく育ち、背丈が倍以上になりました。
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マクドウガリイはおかしな幹の太り方をしています。ただ、マクドウガリイを育てている方のブログを見ていたら、やはりこんな感じで太っていましたから、ありがちなことなのかも知れませんね。

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恵比寿笑い Pachypodium brevicaule
少し葉が落ちました。正木なので腐らないか心配ですが、割と順調に育っています。花はまだ咲きません。

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Tulista marginata var. mariatii
去年焦がしたので心配していましたが、今年は順調に育ちました。マルギナタはあまり売っていないこともありほっとしました。

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Gasteria excelsa
大型のガステリアであるエクケルサです。下の2枚の葉は購入時のもので、上の2枚は新しい葉です。非常に生長が遅いと言われていますが、苗の頃は割と目に見えてぐんぐん大きくなります。


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先日、我が弱小ブログのコメント欄に、非常に興味深い調査依頼がありました。何でも本来は直立して育つTrichocereus peruvianus(ブラジル柱)が、地を這ったり崖から垂れ下がったりして育つと言うのです。何か論文に記載はありませんかという、情報を求めるコメントでした。
iNaturalistと言うサイトに画像がありますが、少し枝が垂れ気味になるどころではなく、完全に下垂しているのです。果たしてこれが地域差なのか個体差なのか、これは確かに非常に不思議で気になりますね。

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Trichocereus peruvianus
『The Cactaceae』(1920年)より。


垂れ下がる柱サボテン
iNaturalistの画像を見てみましょう。
まずは、T. macrogonus ssp. peruvianusとして同定された画像から。撮影地はペルーのHuincoです。
https://www.inaturalist.org/photos/19947200
https://www.inaturalist.org/photos/19947210

次はSanta Eulalia valley, Limaから。
https://www.inaturalist.org/photos/16276022

次はHuarochiri Provinceから。
https://www.inaturalist.org/photos/62265929

最後はSan Antonio Districtから。
https://www.inaturalist.org/photos/203737730

さて、まったくもって驚くべき光景です。一応、崖地だから根を深く張れずにずり落ちながら育ち、直立出来ないだけではないかとも、無理やり考えてもみました。しかし、最後の画像では平地でも普通に倒れて育っています。直立しないで育つことは明らかです。

論文はなし
では、早速論文を検索してみました。しかし、残念ながらそのような論文はヒットせず、それどころかトリコケレウスの論文自体がほとんどない始末です。トリコケレウスは幻覚成分を含むものがあり、そのため成分について調べた論文ばかりでした。さらに言えば、論文以外の情報を調べても、やはり幻覚成分関連の怪しげなサイトばかりで辟易しました。海外のサボテン愛好家たちのフォーラムもいくつか見てみましたが、この話題は見つかりませんでした。
しかし、調べると安請け合いした都合上、何かしらの情報は見つけたいところです。そこで、まずはトリコケレウスって何?と言うところからスタートしました。実のところ、私自身トリコケレウスをよく知らないのです。一体、トリコケレウスとは何者なのでしょうか?

パンサのサボテンランドより
まずは、「パンサのサボテンランド」を見てみます。インターネットの情報は、必ずしも一次資料ではなく、あちこちからコピペしてきた引用元がわからないものばかりです。ですから、検索して出てきた画像が正しいのかなどまったく判断はつきません。その点、このサイトの画像は一次資料ですから、非常に信頼性が高いのです。以下のリンクからトリコケレウスの画像を見てみましょう。

様々なトリコケレウス。
http://www.mirai.ne.jp/~panther/cactus/Echinopsis.html
トリコケレウスの変遷について。
http://www.mirai.ne.jp/~panther/cactus/hasira_species.html?111

さて、このサイトでは、トリコケレウスの変遷についてまとめています。論点は3つでしょうか。1つはトリコケレウスがエキノプシスに合併されたことで、Trichocereus peruvianusがEchinopsis pervianaになったと言うことです。2つ目はE. peruvianaとE. pachanoiは同種であり、E. pachanoiに一本化されました。そして、3つ目がTrichocereus peruvianusとされるサボテンの様々なタイプについてです。T. peruvianusは「青緑柱」、T. pachanoiには「多聞柱」と命名されました。また、タイプが異なる「ブラジル柱」と言う由来不明なものもあります。このサイトでは、「青緑柱」=「多聞柱」=「ブラジル柱」とまとめています。いずれにせよ、トゲの強さなど非常に変異が大きいことが分かります。

キュー王立植物園より
では、現在の最新のトリコケレウス属はどうなっているのでしょうか。キュー王立植物園のデータベースを見てみましょう。トリコケレウスはエキノプシスなど様々なグループに移動したようです。しかし、未だにトリコケレウス属は健在でした。現在、認められたトリコケレウスはT. macrogonus、T. spinibarbis、T. uyupampensisの3種類です。パンサのサボテンランドによると、T. peruvianusはEchinopsis peruvianaになったのだから今更トリコケレウスは関係ないだろうと思いきや、そうもいかないのです。なぜなら、T. peruvianusは現在ではT. macrogonusの異名となっているからです。イマイチ経緯が分からないのですが、トリコケレウス→エキノプシス→トリコケレウスと変遷したのでしょうか? それよりも、気になるのは、T. peruvianus、T. pachanoiに続くT. macrogonusなる第3の学名です。少し整理します。
そもそも、異名があった場合は命名が早い名前が優先されます。記載方法に問題があったとか、すでに命名された同じ名前を別の種類につけてしまったとか、何かしらの問題がない限りはそうなります。では、同種とされる3種類はどうでしょうか? 最初の命名年を見てみます。

1850年 Cereus macrogonus
1920年 Trichocereus peruvianus
1931年 Cereus pachanoi

おやおや、これはおかしいですね。とりあえず、T. macrogonusは除いた時、T. peruvianusとT. pachanoiを比較した場合は、明らか1920年に命名されたT. peruvianusが優先されるはずです。「P. pachanoiに一本化された」とは何だったのでしょうか。よく分かりませんね。ただ、T. macrogonus=T. peruvianus=T. pachanoiとなった以上、一番命名が早いT. macrogonusが優先されることに違いはありません。ちなみに、最初はケレウス属だったりしますが、これは問題ありません。ただ、種小名が早ければ良いのです。さらに、現在T. pachanoiはT. macrogonusの変種とされているようです。


TRICHOCEREUS.NETより
ここで視点を変えて、「Trichocereus.net」と言うサイトを見てみましょう。このサイトでは崖から垂れ下がるTrichocereusのことをTrichocereus glaucusであるとしています。また、新しい名前が出て来ました。一体、どういうことなのでしょうか?

https://trichocereusnet.blogspot.com/2016/01/trichocereus-gtlaucus-echinopsis-glauca.html?m=1

一部、引用します。
「Trichocereus glaucusは、おそらくTrichocereus peruvianusの匍匐性の種と同義です。Trichocereus glaucusは高さ1.5〜2mになり、斜面や崖からぶら下がっているのをよく見かける匍匐性の種です。その特徴はTrichocereus glaucus var. pendansでより明確です。小さいうちはTrichocereus macrogonusと呼ばれるものとまったく同じように見えます。しかし、T. macrogonusは上向きに育ちますが、本種は年齢とともに曲がる傾向があります。」
ここでは、T. peruvianusの匍匐性のものはT. glaucusであると言う内容を含んでいます。このT. glaucusとは、現在のT. uyupampensisの異名となっているようです。

Trichocereus chalaensis
また、Trichocereus chalaensisとの関係についても書かれていました。
「Trichocereus glaucusはFriedrich Ritterにより記載されたペルー原産のTrichocereusです。それは、Trichocereus chalaensisと同義か何らかの形で関連している可能性があります。T glaucusは、T. chalaensisやT. fulvilanusの名前で販売されているのを時々見かけます。Trichocereus全体が混沌としており、Ritterの説明がどの植物をカバーしているのか確認することは困難です。」
どうやら、トリコケレウスの分類はかなり混乱しているようです。販売されているものも、様々な名前で流通してしまっているようです。
ちなみに、Trichocereus chalaensisのiNaturalistの画像は以下のものです。

https://www.inaturalist.org/photos/89061958

混乱する分類
トリコケレウスのほとんどの種はエキノプシスなどに属名を変更になっていますが、Trichocereus.netでは遺伝子解析により明らかになるまではその変更を信用しないと言う立場を表明しています。これは、私も思うところがあります。現在の分類は外見の類似によるものと思われますが、そもそも外見に頼る場合は重視する形質により、分類結果が異なるかも知れません。その分類方法が適切であるかは、実はよくわからないのです。現状はある特徴を持つものを集めてしまい、何でもかんでもエキノプシスになってしまった気がします。どうしても、膨れ上がったエキノプシス属は雑多な寄せ集めではないのかという疑問が浮かびます。一応、遺伝子も多少は調べられています。2012年にエキノプシス属の遺伝子解析をした論文(B.O.Schlumpberger et.al.)では、エキノプシス属はやはり雑多な寄せ集めでしかないようです。その中では、トリコケレウスも調べています。詳細は後日記事にするとして、少し抜粋します。
「Trichocereus cladeは、Echinopsis pachanoiとEchinopsis lageniformisに代表されます。トリコケレウスの標準種であるEchinopsis macrogona(T. macrogonus)は、起源不明な標本に基づいており、Echinopsis pachanoiに関係しているようです。」
トリコケレウスは他のエキノプシスからは分離出来るようです。さらに、T. macrogonusの起源についても疑惑を提示しています。T. pachanoiにまとめたパンサのサボテンランドの記述は的を得たものなのかも知れませんね。それはそうと、論文では幅広く調べるためか、T. peruvianusを始めとしたTrichocereus.netに出てくるトリコケレウスは登場しません。トリコケレウスが2種類しかないのではなく、2種類しか調べていないだけです。Trichocereus.netがエキノプシスへの合流を保留としていたことも得心がいきます。

同定は正しいか?
iNaturalistではT. peruvianusがT. macrogonus ssp. peruvianusとなっていました。しかし、この名前はデータベースには記載がありません。T. macrogonus var. peruvianusは記載されたことがありますが、データベースに記載がない名前で同定しているのは納得がいきません。そもそも、どのような根拠で同定されたのか、そのプロセスが不明です。まさかとは思いますが、その理由がT. peruvianusが分布する地域で撮影された類似種だからでは困るわけです。いくつか画像はかなり遠くから崖上を撮影していますから、同定の根拠はあまりないような気がします。種内の変異も大きいようですから、正しく同定出来ているのかは怪しく思えてしまいます。Trichocereus.netの主張が絶対に正しいとは思いませんが、iNaturalistの同定も絶対的とは言えないように思えます。

Field number
フィールドナンバーとは採取された場所が登録された植物の番号です。ですから、フィールドナンバーがついていれば、野生個体由来のものであることが分かります。iNaturalistにある崖から垂れ下がるトリコケレウスが、T.glaucusである保証はありません。ですから、フィールドナンバーつきのT. peruvianusを調べて、iNaturalistの垂れ下がるトリコケレウスの写真が撮影された場所付近で採取されたものを購入するのも手でしょう。あるいは、フィールドナンバーがついたT. glaucusを入手することも可能かも知れません。種子販売業者からの入手なら確実です。
とりあえず、T. glaucusでフィールドナンバーを調べてみると、以下の3つが出て来ました。

①KK 336
採取地: ペルー、Arequipa, Rio Tambo, 1500m
②PH 871.04
採取地: ペルー、Lomas de Chucarapi, Rio Tambo, 750m
③CS 129.3
採取地: チリ、Tasapaca Region I, West of Parcohaylla 5, 3349m

ところが、Trichocereus.netにはKK 336についての記載がありました。
「T. peruvianusやT. macrogonus、T. pachanoiと言う名前で販売されており、T. glaucusと言うラベルがついていたものも、青白いもので美しくMatucana産のT. peruvianusを思い浮かべます。」
KK 336は垂れ下がるタイプではなさそうです。フィールドナンバーつきの種子は育ててみないとわからないギャンブル性があります。育てた人の画像があれば良いのですがないかも知れません。また、垂れ下がる傾向が強いT. glaucus var. pendansもあります。ただ、こちらはチリ原産です。

FR 270a (RITT 270a)
採取地: チリ、Camaraca, 01 Tarapaca

最後に
トリコケレウスはかなり混乱しており、販売されているものもその名前は割と怪しい場合もそれなりにあるようです。様々な名義で販売されてしまい、かつ小さいうちは区別がつかないなどと書かれていますから、欲しい種類の入手も難しそうです。海外のフォーラムにおけるトリコケレウスの話題は、種類を同定して欲しいと言うものが多いのも今は納得出来ます。一応、T. glaucusと呼ばれるものがそうではないかと推測しますが、T. uyupampensisと同種とされているのは気になります。そもそも、T. uyupampensisについてよくわからないため、T. uyupampensisと呼ばれるものが倒れて育つかよく分かりません。この場合、T. glaucusと言う名前のものを入手するのが確実なのでしょう。
しかし、色々調べてはみたものの、結局のところ確実なことは何も分かりませんでした。それっぽい情報を臭わせただけですね。とは言え、すべての情報にアクセスしたとは言えないでしょうから、まだまだ情報はあるのかも知れません。私自身も勉強になりましたが、やや消化不良でモヤモヤします。何か新しい情報があればまた取り上げるかも知れません。と言うことで、今回はここまでとさせていただきます。


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すっかり寒くなりましたが、早目に室内に取り込んだ多肉植物は種類によってはまだ生長中です。本日はユーフォルビア中心に、我が家の多肉植物たちをご紹介します。

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Euphorbia guillemetii
塊根性花キリンですが、塊根は埋めてもうちょい育ててから外に出す予定です。名前は植物学者のJean L. Guillaumetに対する献名らしいので、どうやらスペルミスかも知れないと言うことです。
まあ、それはそうと少し気になりことがあります。E. guillemetiiは、E. beharensisの異名とされています。ところが、E. beharensisの名前で入手したものとは特徴が少し異なるのです。以下に拡大写真を載せます。

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このように葉は細長くトゲは短く細い形です。海外の園芸サイトではE. beharensis var. guillemetiiの名前で記載があり、トゲは長さ3〜8mmで短く、葉は長さ12mmで幅4mmであり、E. beharensisとは容易に区別出来るとしています。では、E. beharensisを見てみましょう。

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Euphorbia beharensis
非常に良いトゲが出ました。ベハレンシスの葉は幅広くトゲが非常に長く太いのが特徴です。上記の園芸サイトではトゲの長さは1〜1.5cmであるとしています。トゲの強さは当てはまります。
さて、この違いに意味はあるのでしょうか? 外見的な違いがあることは、必ずしも別種であることを示しているわけではありません。ただの個体差と考えられた場合は、別種はおろか変種とも見なされません。この場合はどうでしょうか。何か根拠となる資料があるのか調べてみるつもりです。


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Euphorbia lenewtonii
レネウトニィイは、タンザニアの高地原産と言う割に
、特に気難しくなく丈夫です。白い結節が特徴的ですね。小型種ですが、根元から叢生しますから群生させるとかなり立派になります。そう言えば、名前は植物学者であるL. E. Newtonに対する献名と言うことです。

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Euphorbia caput-medusae
本来は長く太い枝が沢山出るタコものユーフォルビアですが、我が家の個体は枝はほとんど出ませんし貧弱です。タコものは日照が強いと枝が短くなりますが、そのせいかは分かりません。まあ、まだ小さいのでこれからかも知れません。去年初めて枝が出たばかりですからね。そう言えば、天荒竜と言う名前もあるようですがあまり使われていないかも知れません。


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Dasylirion berlandieri
ダシリリオンはあまり見かけない多肉植物です。たまに目にするのはD. longissimumばかりですか、実はこれは誤りだったりします。とにかく、日本ではメジャーな多肉植物ではありません。D. berlandieriは蒼白く美しいダシリリオンです。入手出来てラッキーでした。トゲが強いので将来的に持て余しそうですけどね。

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Adenia glauca
これでも大分大きくなりました。入手した時は500円玉より少し大きいくらいの実生苗でした。
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玄関の窓に蔓をテープで貼り付けて育てます。美しい深緑色の艷やかな幹肌を維持するために、あえて半日陰で育てています。蔓は今年は1.4mになりましたが、葉が枯れてきたのでそろそろ取り込みます。
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蔓を切って暖かい室内で冬越しさせます。今後の仕立て方は悩み中です。塊根部分から直に蔓を出させるのが現地球では良く見る仕立て方です。しかし、このまま枝分かれさせながら縦に伸ばして観葉植物風に仕立てるのも面白そうですし、太い枝を半分くらいで切断して盆栽風にするのも良いかも知れません。


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サボテンのトゲは鋭いので、うっかり触ってしまいトゲが手に刺さってしまうこともあります。普通は簡単に抜けますし、細かいトゲならとげ抜き、バニーカクタスならガムテープを使った方が早いかも知れません。しかし、これは我々趣味家がちょっとだけ、ホンの数本、バニーカクタスなら数十本刺さった程度の話です。わざわざ、病院に赴く必要はないでしょう。しかし、小さい子供や、大人でもあまりに沢山のトゲが刺さったら、流石に病院で見てもらった方が良いでしょう。
さて、たまたまサボテンのトゲについて調べていたら、サボテンのトゲの抜き方についての論文があるこあとに気が付きました。しかも、生物学関連の論文ではなく、医師が実際に診た患者についての報告のようです。少し見てみましょう。

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Opuntia microdasys
『The Cactaceae』(1919年)より。


報告①
まずは、「American Journal of Diseases of Children」(アメリカ小児疾患ジャーナル)の1987年の12月号の報告である、Terry T. Martinezらの報告、『Removal of Cactus Spines From the skin』から。
「非常に細かいサボテンのトゲを皮膚から除去することは、小児患者にとって非常に苦痛です。最も効率的なのは、ピンセットでトゲの塊を取り除き、ガーゼで覆った接着剤を乾燥してから剥がしてトゲを取る方法でした。」
この報告は概要しか読めませんでしたが、接着剤は乾かすのに時間がかかりますから、子供に大人しくしてもらうのはやや難儀しそうです。

報告②
面白いのはこの報告に対する返信が、他の医師よりあったことです。それは、1988年の6月にHalim Hennesによるものです。
「Martinezらの記事を興味深く読みました。著者らはトゲを取り除く効果的な方法を発見しました。しかし、幼く大人しくしていない子供に対してピンセットの使用は難しい場合があり、接着剤の塗布と乾燥には時間がかかります。2才の女児が展示されているサボテンの上に落ちて、救急外来を訪れました。患者は左手と左前腕の1/3に複数のサボテンのトゲが刺さっていました。患者は動揺して泣き両親からの慰めも効果がありませんでした。動いてしまうため、ピンセットによるトゲの除去は失敗しました。」
残念ながら有料の論文で、概要だけで実際にどのようなに除去したのかは分かりませんでした。如何にして大人しくしてくれない子供を上手く処置したのでしょうか?

報告③
しかし、さらにこの報告に対する返信がありました。それは、1988年12月のLouis I. COOPERによるものです。
「Hennesの報告を読みました。約20年前にサンルイスオビスポ伝道所の修道女が私に勧めた治療法を提案します。粘着テープやセロハンテープを貼り付けて剥がすだけです。安全で痛みなく必要に応じて繰り返すことが出来ます。」
これは簡単です。細かいトゲならやはり粘着テープと言うのは、今もそうでしょう。


報告④
面白いことに、サボテンのトゲの抜き方については、アメリカ小児疾患ジャーナル紙の議論と同じ1988年に「The American Journal of Emergency」(アメリカ救急医学ジャーナル)に記載がありました。それは、Douglas Lindsey & Wally E. Lindseyによる『Cactus spine injuries』です。
「サボテンのトゲは損傷を引き起こし、その臨床的重要性はトゲの寸法に反比例します。SaguaroやBarrel cactusの長いトゲの場合は、トゲの破片が埋め込まれることはほとんどありません。破片が埋め込まれた場合、見つけて取り除くのは困難です。ウチワサボテンやChollaの中程度のトゲは厄介なものですが、引き抜くことで簡単に取り除くことが出来ます。Bunny ear cactusやBeavertail cactusの非常に小さなトゲは非常に厄介ですが、プロ仕様のフェイシャルジェルの乾燥膜を剥がすことで除去出来ます。」
ここでは、サボテンによりトゲが異なることも考慮されています。Saguaro(弁慶柱、Carnegiea gigantea)やBarrel cactus(Echinocactus、Ferocactus)のトゲは粘着テープよりピンセット、Bunny ear cactus(金烏帽子、Opuntia microdasys)の芒刺はピンセットより粘着テープの方が良さそうです。論文ではフェイシャルジェルを利用しています。
ちなみに、Beavertail cactusとはOpuntia basilaris、ChollaとはCylindropuntiaを指します。

報告⑤
サボテンのトゲの抜き方についての医療界隈の報告は一段落したようですが、なんと2019年に新しくサボテンのトゲの抜き方についての論文が出ました。それは、Andrew M. Fordらの『Novel Method for Remove Embedded Cactus Spines in the Emergency Department』です。簡単に見ていきます。
「低機能自閉症と先天性運動機能障害を持つ22歳の患者が、沢山のサボテンのトゲが刺さった状態で救急科を受診しました。患者は胴体と腕と下肢全体にトゲが刺さっていました。患者は意思の疎通が困難であり、患者の両親によると過去に医療関係者に対する抵抗が激しかったため、麻酔による鎮静を行いました。医療用脱毛ミットにより4人がかりでサボテンのトゲを除去しました。15分後には、脱毛ミットでは除去出来ない深さのトゲも除去しました。患者は破傷風予防薬を投与され退院しました。患者は2週間後に検査され紅斑が認められましたが、紅斑は4週間後には消失しており、追加のトゲの除去は必要ありませんでした。
刺さったトゲが少数ならピンセットで除去出来ますが、多い場合は家庭用接着剤が有効ですが乾くのに35分ほどかかります。また、粘着テープはトゲの28〜30%しか除去出来ないことが知られています。これらの方法は従順な患者ならば十分ですが、今回のケースのように好戦的な患者には不十分であることが判明しました。興奮した患者が暴れてトゲが逆により深く刺さってしまうかも知れません。」
このケースでは意思の疎通が難しく暴れる患者を対象としています。麻酔をかけていますが、それも長時間は無理でしょう。素早く取り除く必要があります。ピンセットでチマチマやるわけにはいきません。使用した医療用脱毛ミットとは、手袋のようにして使用する粘着質の道具です。粘着テープは張って剥がしてと言う一連の操作に時間がかかりますが、手袋のようにはめて使えるため、軽く手の平で叩くようにするだけで簡単にトゲが除去出来ます。

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Opuntia microdasys
『Illustrated catalog』(1934年)より。


最後に
以上が医療分野におけるサボテンのトゲの除去方法の報告です。サボテンのトゲを抜きに病院に来る人は珍しいでしょうから、標準的な治療法はなかったのでしょう。最初の話は小児に関するものでした。やはり、子供はいたずらしたりしてサボテンにぶつかったりする事故も大人よりは多そうですし、大人しくトゲを抜かしてくれないでしょう。刺さったのが1本2本ならともかく、数十本となると時間がかかりますし、化膿してしまうかも知れません。病院に診てもらうのは妥当な判断と言えます。2019年のケースは医師にとってはかなり厄介な患者ですが、医療用脱毛ミットと言う新しい武器が活躍したようです。
私などは面倒臭がって素手で植え替えをするもので、手は穴だらけで、折れたトゲが沢山皮膚に残りますが基本的に放置してしまいます。そのうち新陳代謝でいつの間にやら出て来ますから、特に問題となったことはありませんでした。しかし、化膿したり破傷風だなんて考えたこともありませんでしたね。そりゃあ、刺さらないなら刺さらない方が良いだろうと言う、当たり前の感想です。


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パキポディウムたちは割と室内に取り込むのが早かったので、あまり落葉していません。まあ、それでもだいぶ葉が減りましたが、苗により落ち具合が異なります。種類の違いか、個体差か、大きさか、その年の株の充実具合かなどなど、いくらでも理由がありそうですけどね。さて、本日も適当に目についた多肉植物たちを少しご紹介します。

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Pachypodium enigmaticum
パキポディウム苗のうち、落葉が早かったのはエニグマティクムでしたが、何故か微妙に葉が2枚だけ残りました。エニグマティクムはP. densiflorumに似ていますが、花が大きく直径6cmに達します。残念ながら我が家のエニグマティクムはまだ未開花です。
エニグマティクムはマダガスカルのナーセリーで発見されたため、P. densiflorumとP. brevicaule の交雑を疑われてました。しかし、その後に自生地が発見され、独立種として2014年に記載されました。発見当初の日本ではデンシフロラムがエニグマティクムとして販売されたこともあるそうです。我が家のエニグマティクムも、花が咲いて実はデンシフロラムだったなんてことにならなければ良いのですが…


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Agave multifilifera
ビッグバザールで1cmくらいの抜き苗をオマケでいただきました。それから1年半経ちましたが、ようやく少しだけ特徴が出て来ました。葉の縁から繊維が出て来ています。まだ繊維は少ないですが、名前も「多数の糸を持った」と言う意味ですから、正に名は体を表していますね。


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Gymnocalycium gibbosum subsp. borthii
ボルティイは丈夫で育てやすいギムノカリキウムです。地下には地上部より大きい巨大な塊根があり、如何にも乾燥に強そうですが、生長は実に緩やかです。

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観峰玉 Fouquieria columnaris
Fouquieriaの中では観峰玉だけが落葉しました。観峰玉は生育期でも葉を落としやすく、敏感な感じがします。トゲが勢いよく出ていますから育て方は間違っていないとは思うのですが、他のFouquieriaのような爆発力がありません。

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Euphorbia mlanjeana
最近良く見る巨大なユーフォルビアの挿し木苗です。今年は良いトゲが出ました。原産地では山火事が発生し、表面が焦げてあのような姿となるそうです。ですから、我が家のムランジェアナはあの独特の姿にはならないのです。


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Tulista pumila var. sparsa
スパルサがようやく我が家の環境に馴染みました。根の張りが弱かったのですが、今はガッチリ根を張って微動だにしません。


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アフリカの乾燥地にはアフリカゾウやクロサイなど、巨大な草食動物が分布します。クロサイは柱サボテン状のユーフォルビアを食べるためになぎ倒してしまうため、クロサイを保護するために導入した地域ではユーフォルビアが激減しています。アフリカゾウも木をなぎ倒してしまいますから、乾燥地の貧弱な植生にはかなりの負担がありそうです。本日はそんなアフリカゾウとバオバブの関係に焦点を当てた、Amanda Khosaらの2023年の論文、『The impact of elephants (Loxodonta africana) on the Baobab (Adansonia digitata) in a semi-arid savanna』をご紹介します。

バオバブとアフリカゾウ
アフリカゾウは樹木の生存に多大な悪影響を与えてます。樹皮を剥いだり、枝を折ったり、根こそぎにしたりします。アフリカゾウに傷付けられると、菌に感染しやすくなり、火事被害に遭いやすくなったり、シロアリなどの昆虫の被害に遭いやすくなります。バオバブの幹は柔らかいため、アフリカゾウによる被害を受けやすい樹木です。バオバブは膨大な水分を貯蔵しており、特に干ばつや乾季にはアフリカゾウが利用します。

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Baobab(Adansonia digitata)
『Field Museum news』(1936年)より。


アフリカゾウによる損傷
ジンバブエ南東部のlowveldにある2つの自然保護区を比較しました。1つはアフリカゾウがいるエリアで、もう片方はアフリカゾウがいないエリアです。アフリカゾウのいないエリアでは、バオバブの損傷は見られませんでした。しかし、アフリカゾウがいるエリアでは、損傷のないバオバブは3%に過ぎませんでした。
ただ、バオバブの単位面積当たりの個体数は、アフリカゾウのいるエリアの方が多いのですが、これはアフリカゾウとは関係がないと考えられます。バオバブは標高が低い地域に生えますが、アフリカゾウがいないエリアはいるエリアより標高が高いため必ずしも適した環境とは言えません。また、果実を食べて種子を運搬するヒヒがいないため、新たな実生が少ないことも原因である可能性はあります。ただ、バオバブの寿命の長さを考えた場合、新たな実生の少なさはそれほど問題ではないのかも知れません。

損傷の具合
観察からは、幹周りが5m(幹の直径が1.59m)以上では、アフリカゾウによる樹皮の剥ぎ取りが起きています。小さなバオバブは枝が食べられていました。しかし、大きなバオバブほどアフリカゾウの被害に遭いやすいことから、アフリカゾウは意図的に選択している可能性があります。これは、効率的に摂取するための最適化を意味します。
アフリカゾウのいるエリアでは、バオバブは食害にあっていましたが、枯死したバオバブには遭遇しませんでした。これは、バオバブの損傷に対する回復力があるためです。しかし、これはたまたま調査地域内での話しで、調査地域外ではバオバブがアフリカゾウに倒される様子を目撃しています。正しいバオバブの枯死率を知るためには、個々のバオバブの長期的なモニタリングが必要です。

アフリカゾウの影響
今回観察したアフリカゾウのいる地域のアフリカゾウの生息密度は1.5頭/平方キロメートルであり、ジンバブエ政府が推奨する0.75頭/平方キロメートルを超えています。過去の報告でも、アフリカゾウの生息密度の上昇は、森林の構造と組成を大きく変えてしまうことが知られています。バオバブの損傷跡からは、アフリカゾウの被害は過去5年間が最も被害が大きかったことと、古い時代から累積的に被害に遭っていることが分かりました。これは、1981年から2010年にかけての降雨量の平均が460mmであったのに対し、2019年は50〜200mmと少雨であったことに起因しているのかも知れません。また、アフリカゾウのいないエリアのバオバブは、幹の面積が33%大きく、樹冠が48%大きく、樹木の高さが24%高いことが分かりました。アフリカゾウによりバオバブは生長が抑制されている可能性が高いことを示しています。ジンバブエ政府は過密なアフリカゾウを移送する計画を開始しました。400頭が移送される計画で、現在101頭がザンベジ渓谷下流域に移送されています。

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Adansonia digitata
『Flora de Madagascar et des Comores』(1955年)より。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
論文ではアフリカゾウの被害にあったバオバブの写真が掲載されていますが、少し齧られているでは済みません。幹の周囲をぐるりと一周、綺麗に樹皮が剥ぎ取られています。樹皮は乾燥に耐えるためにも必要でしょうから、よくもまあ枯死しなかったものです。どれも巨大なバオバブでしたから、貯め込んだ水分で耐えたのでしょう。
しかし、アフリカゾウの数のコントロールとは難しいものなのでしょうか。本来的には増えたり減ったりしながら、適正数になるような気もしますが、何故増え過ぎてしまったりするのか、よく分かりません。近年の干ばつでバオバブに対する被害が拡大している様子ですが、それならアフリカゾウは数を減らして適正密度になるような気がします。とても不思議です。


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12月に入り寒さもいよいよ本格的になります。ユーフォルビアは寒さに弱いものも多いようですが、室内に取り込んだだけで加温はしません。変に加温すると十分な日照が確保出来ないのに生長を始めてしまいますからね。と言うわけで、本日も我が家の多肉植物をご紹介します。

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Gymnocalycium damsii
ssp. evea var. torulosum VoS 03-040
やたらに長たらしい名前のギムノカリキウムです。いわゆる麗蛇丸ですが、現在の学名はG. anisitsii ssp. damsiiです。フィールドナンバーがついている場合は、採取された時の名前で呼ぶ習わしですから、学名が変わっても変えたりはしません。しかし、学名のルールから外れたおかしな名前ですが、G. damsii ssp. eveaだのG. damsii var. torulosumだのと命名されてきた経緯から、正式な名前が確定出来なかっただけかも知れません。


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逆鱗竜 Euphorbia clandestina
逆鱗竜は苦手で、どうにも徒長しがちです。今年は何故か徒長しませんでした。よく見ると蕾が出ていますね。学名は「秘密の、隠された」と言う意味ですが、花が葉に隠されるように咲く姿から命名されたようです。花茎がなくて幹に直接つき、それなりに育つと花が固まって咲きますから少し妙な感じがします。また、自家受粉するので増やすのは簡単です。


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Haworthiopsis sordida
ソルディダは非常によく生長しましたが、まだまだ大きくなるはずです。そもそも、ソルディダはあまり見かけない硬葉系ハウォルチアでしたが、今年はあちこちのイベントで安価な小苗を見かけました。ある程度の量の種子が流通したのでしょうか?

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H. scabra v. scabra JDV 95/17
フィールドナンバーつきのスカブラです。一般に栽培される選抜品とは異なり、野性味溢れる乱れた感じがします。

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Haworthiopsis scabra
スカブラは驚くほど多様です。このようにまとまりのあるタイプもよくあります。


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Haworthiopsis scabra var. starkiana
スカブラの変種のスタルキアナで、結節がなく明るい色合いです。我が家のスタルキアナは葉が太く短いタイプです。葉が渦巻くように捻れるため、「風車」と呼ばれています。この葉が巻く性質は、乾燥時に葉が縮んで生長点を強光から守るためだと言われています。そう言えば、ネットでは独立種H. starkianaとされる事が多いようですね。

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Astroloba rubriflora
赤い花を咲かせるアストロロバです。一般にアストロロバは白い花を咲かせますから、赤花のルブリフロラはPoellnitzia属とされてきました。しかし、遺伝的にはアストロロバに含まれるようです。赤い花は鳥が好む色ですから、鳥を花粉媒介者とする鳥媒花として進化したのでしょう。しかし、そろそろその特徴的な花を拝みたいところです。



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多肉植物は様々なグループがありますが、高度に多肉化した植物はサボテンやユーフォルビアなど限られたグループだけです。私が育てていないグループでは、旧ガガイモ科(今はキョウチクトウ科)の多肉植物があります。旧ガガイモ科は詳しくないため、とりあえず思いついたHoodiaの論文を少し見てみました。すると、Hoodia gordoniiと言う種類の旧ガガイモ科植物について、何やら成分についてあれこれ調べているようでした。

植物は薬にならない
実は地元の植物に何らかの薬効成分があるのではと調べた論文と言うのは沢山あります。しかし、有効成分が含まれていたとしても、精製した成分そのものならともかく、基本的に植物自体はまったく薬にはならないものです。極微量に含まれる成分を抽出するのは非効率で、しかも大抵は化学合成薬に比べると効果はイマイチです。ですから、この手の研究は世界中で沢山行われていますが、実になったものはほとんどありません。古来より利用されてきた漢方薬のようなものならともかく、新たに薬草を探そうと言う試みは得てして上手くいかないものです。

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Hoodia gordonii
『Curtis's botanical magazine』(1878年)より。Hoodia bainiiとして記載。


Hoodiaと痩身効果
始めはHoodiaもそうだろうと思いましたが、ちょっと様相が異なるのです。普通は薬効成分がありますくらいで終わるのですが、Hoodia gordoniiについては同じような論文がいくつもあるのです。妙に思って見てみたら、何やらHoodia gordoniiには痩身効果があるかも知れないと言われているようです。そして、それがかなり期待されている様子が分かります。どういうことなのでしょうか?

誇大広告に踊らされる人々
ちょうど、その経緯を記したThomas Brendleの2020年の論文、『The Rise and Fall of Hoodia: A Lesson on the Art and Science of Nature Product Commercialization』を見つけました。概要を読むと大まかな経緯が分かりました。曰く以下の如くです。
「Hoodiaは1997年から2007年にかけて、名声が悪名に変わりました。減量効果について研究開発中であるにも関わらず、深妙な薬とされ熱心な信者に販売するビジネスが横行しました。Hoodiaを巡る誇大広告は、医薬品開発者がプロジェクトを中止し、販売業者に対する訴訟で誇大広告が何の根拠もないことが明らかになり止まりました。一方、研究開発には数百万ドルを費やされ、偽の主張を信じて多額のお金を払った人もいます。」
どうやら、Hoodia gordoniiには痩身効果は認められなかったようです。しかし、販売業者は飛びついて、痩せ薬として販売したことが分かります。

薬効はなし
Hoodia gordoniiの薬理効果を確認はなされており、例えばChrystian Araujo Pereiraらの2011年の論文、『Efficacy and toxicity of Hoodia gordonii commercial powder used to combat obesit』を流し見ると、以下のような内容でした。
「Hoodia gordoniiから配糖体P57が単離され、食欲の抑制効果について関心が高まっています。しかし、そのような効果は、市販品のH. gordonii粉末については評価も証明もされておらず、有効性や安全性を保証する科学的根拠はありません。それらを確認するために、ラットにH. gordoniiを4週間に渡り飲ませました。血液をはじめとした様々な検査の結果、期待した食欲抑制や肥満治療につながる効果は確認されませんでした。」
結局はHoodia gordoniiには痩身効果はないようです。薬として販売するためには、薬理効果や安全性を科学的に確認する必要があります。ですから、この時点で販売されていたHoodia gordonii粉末は、製剤ではなく健康食品のようなものだったのでしょう。だとしても、安全性のあやふやなものを販売してしまうことに驚きますが、そのような怪しげなものに手を出してしまう人々にも驚かされます。やはり、「痩身効果」と言う言葉は飽食の現代人を引き寄せる魔力があるようです。

Hoodia gordonii製品の氾濫
Hoodia gordoniiの流行の具合については、M. Neelika Jayawardaneの2011年の論文、『Impenetrable Bodies/Disappearing Bodies: Fat American Celebrities, Lean Indigenous People, and Multinational Pharmaceuticals in the Battle to Claim Hoodia gordonii』に詳しいので見てみましょう。
「Hoodia gordoniiを含むと言う製品は、2000年代に米国市場に氾濫しました。数十のブランドの広告は、何百万人ものアメリカ人を引き締まった魅力的な体に変えることを約束しています。Hoodiaの食欲を奪うと言う主張は、過剰な食糧爆撃が蔓延する米国の状況において、死に対する解毒剤と同じくらい強力です。」
米国においてHoodia gordonii製品が爆発的に流行したことがうかがえます。この論文のタイトルは面白くて、「Hoodia gordoniiの権利を争う太った米国のセレブ、痩せた原住民、そして多国籍製薬企業」と言うものです。有料の論文なので概要しかわかりませんが、肥え太った先進国の人間のために、痩せた原住民が収奪され、先進国の多国籍製薬企業が肥え太ると言う構図が透けて見えます。


不平等な世界
では、Hoodiaの原産地の人々はどう関わっているのでしょうか? ここでは、Saskia Vermeylenの2007年の論文、『Comtextualizing 'Fair' and 'Equitable': The San's Reflections on the Hoodia Benefit-Sharing Agreement』を見てみましょう。
「生物多様性条約(CBD)は、生物多様性の利用による利益の平等な分配を要求していますが、公平性(Fair)と平等性(Equitable)の定義はしていません。サン族が伝統的に利用してきたHoodiaについて、企業は何の事前の同意もなく特許を取得しましたが、遅ればせながら利益分配協定が締結されました。先住民族と企業の間の知識と権力の重大な不平等があり、生物多様性条約の深刻な弱点があります。」
これはよくある話です。先進国の巨大多国籍企業が開発途上国で相手が読めない契約書にサインさせて、実質的な奴隷労働をさせたりと言うことが実際にありました。そこまでいかなくても、相手は相場も知りませんし、企業側は意図的に詳細を隠すためそもそも平等な話し合いにはならないのです。また、自然物に特許を取ることは随分と図々しい話にも思えますが、例えば巨大多国籍企業が開発途上国の河に覆いをしてしまい、もともと暮らしていた住民から河の水の使用料を徴収することすらありますから、それほど驚くべきことでもないでしょう。


最後に
Hoodia gordoniiに含まれる成分に痩身効果が期待されましたが、結局は痩身効果はなかったわけです。しかし、問題は薬理効果どころか安全性すら未確認なものを誇大広告をかけて売り捌いたことです。数十のブランドがあったようですから、相当にHoodia熱が加熱したのでしょう。ある種の馬鹿騒ぎであり実に愚かな感じがしてしまいます。
しかし、このような時に流行の熱に浮かされないようにしないと、意味がないものに投資して懐が寒くなるだけではなく、健康に害がおこる可能性もあったのです。日本でも怪しげな健康食品やサプリメントがありますが、実際に何が入っていて期待される効果があるのかは確認されていないものばかりです。怪しげなサプリメントを服用したことによる肝機能障害は頻繁していますし、ステロイドなどの強力な薬品が成分に記載されずに入っているケースもよくあります。これをもって他山の石とし、よくよく考えて騙されないようにしたいものです。



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