ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2023年10月

以前、テレビを見ていたら、アフリカの砂漠に謎の円形の模様が沢山出来る不思議な現象に迫っていました。この、通称「フェアリーサークル」は、シロアリが形成しているもののようです。しかし、謎のサークルは必ずしもシロアリが原因とは言えないようです。「フェアリーサークル」はサークルの縁に草が生えることにより形成されますが、そうではないサークルもあります。岩がごろごろしている地域に、細かな砂のサークルが点在しており、それは多肉植物が原因であると言います。本日は、謎の「サンドサークル(砂の輪)」を調査し、原因を特定したJ. J. Marion Meyerらの2020年の論文、『Sand circle in story landscapes of Namibia are caused by large Euphorbia schrubs』をご紹介しましょう。

ナミビアに隣接する南アフリカ北西部には、石だらけの地形の中に砂で出来た円形の「サンドサークル」が何千も見られます。サークルにはほとんど草は生えません。サークルの内側には多肉植物の残骸が見つかることもあります。この残骸は付近に分布するユーフォルビアである可能性があります。
砂漠のサークルではナミビアの「フェアリーサークル」に似ています。「フェアリーサークル」は草に囲まれた植生のない砂地のサークルです。「フェアリーサークル」はEuphorbia gummiferaの枯れた跡であると考えられています。ユーフォルビアが枯れると、跡地には有毒で粘着性な乳液が残り、裸地の再植生を妨げます。南アフリカの「サンドサークル」もユーフォルビアが生えていた跡地かも知れません。
「サンドサークル」の周囲に生えるEuphorbia gregariaを観察すると、周囲に砂が蓄積していました。E. gregariaの枝は非常に緻密で、風により飛来する砂をキャッチします。著者らはこの「サンドサークル」がE. gregariaが原因で形成された可能性について検証しました。

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Euphorbia gregaria
『Transactions of the Royal Society of South Africa』(1912年)より。


まず、サークルの内側にあった多肉植物の残骸を正式に鑑定したところ、E. gregariaであることが確認されました。次に、サークルの砂から有機溶媒を用いて成分を抽出しました。抽出物を分析したところ、E. gregariaと同一と考えられる物質が検出されました。ちなみに、E. gregariaの生えていない土壌では同成分は検出されませんでした。

気候変動により多肉植物の急速な枯死が報告されています。巨大な樹木アロエであるAloe dichotoma(=Aloidendron dichotomum)は、気温上昇や降雨量の減少により近年急速に枯死しています。「サンドサークル」は衛星写真により数と分布を数えることが出来ます。「サンドサークル」はユーフォルビアの枯れた跡なのですから、気候変動の指標として利用出来るかも知れません。


以上が論文の簡単な要約です。
テレビで見た「フェアリーサークル」はシロアリが原因ではなく、E. gummiferaの生えていた跡であるという驚きの事実がさらりと語られました。さらに、「サンドサークル」もユーフォルビアの生えていた跡であるというのです。まったく意外な帰結でした。このように一般に知られていない不思議な現象は沢山あり、まだ解明されていないものも沢山あるのでしょう。しかし、気候変動により多肉植物はダメージを受けており、この「サンドサークル」のような跡のみを残して絶滅してしまう種も出てくるかも知れません。跡のみしかない場合、その現象の原因は永久に分からなくなるでしょう。その前に、不明な現象の解明を、そして出来ることなら多肉植物が絶滅しないように出来れば良いのですがね。


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2020年に『菌根の世界 菌と植物のきってもきれない関係』(築地書館)という本が出版されました。菌根とは植物と菌類が共生関係を結び形成されるものです。菌根自体は昔から知られており、私も90年代には図鑑の簡単な説明があり、存在自体は知っていました。しかし、私の認識としては、一部の植物にだけ関係する特殊な事例だと勘違いしていました。その後、菌根は特殊なものではなく、樹木から雑草まで普遍的にどこにでも存在することを知りました。『菌根の世界』を読んでから菌根について興味がわき、多肉植物と菌類の関係を調べ、サボテンやWelwitschiaが菌根を形成していることを確認した論文を記事にしたことがあります。菌根は植物と菌類の間で栄養のやり取りがあるわけですが、それだけではなく、特殊な環境に生える植物は、乾燥耐性や強酸性・強アルカリ性土壌への耐性は菌根の形成が担っていたりもするのです。

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さて、前置きばかり長くなりましたが、『菌根の世界』の続刊が出ました。『もっと菌根の世界 知られざる根圏のパートナーシップ』(築地書館)です。前巻でカバーしきれなかった部分、ツツジ科植物のエリコイド菌根やトリュフに代表される地下性菌、葉緑体がなく光合成せずに菌類に依存する腐生植物など非常に魅力的なラインナップです。厳密には菌根とは異なるかも知れませんが、DSEというカビが植物と共生していることなどは私も初めて知りました。非常に勉強になります。ただ、部分的にはかなり専門的な内容も含まれます。私は経歴的にある程度は分かりましたが、それでも実験のイメージがまったくつかない話もありました。まあ、簡単に図解するだけで、何となく理解が出来なくもないような気もしました。
それはそうと、植物と菌類の共生は欠かさざるえないものであることは明らかでしょう。本書を読んでいてまず関心したのは、植物の遷移と共生菌との関係です。山火事や崖崩れ、火山の噴火など様々な要因で、植生がリセットされた崩壊地が生まれます。崩壊地には生長の早い一年草が生え、腐植質が溜まれば松などの先駆的な樹木も生えて来るでしょう。温暖多雨な日本では、割と早く森林となりますが、樹種は移り変わって行きます。これを遷移といいますが、実は植物と共生する菌類の種類も遷移していくということを、初めて知りました。さらに、崩壊地に生える草の近くに樹木の実生が生えるのは、草の根の菌根菌が樹木の実生の根と繋がっているからであるというのです。偶然に樹木の種子の芽生えた根の近くに菌根菌の胞子があったり、風で偶然に胞子が飛んでくることを期待することは難しいことでしょう。資源の量からしても、すでに発達した菌根にアクセス出来るということは、大変なメリットです。まさに、森林は菌根菌あって初めて成立しているのです。

植物の進化史は、水中の植物が上陸したことは、非常に大きな出来事でした。それは、動物が上陸するに際して、すでに陸上に植物があったから可能であったことは明らかです。その植物も上陸初期は非常に未熟な根しか持っていなかったことが化石から明らかとなっています。おそらくは、上陸初期の植物はすでに菌類と共生関係を結んでおり、未熟な植物の根の代わりをしていたのでしょう。遺伝子解析の結果からは、菌根菌の一部は植物の上陸した時期にはすでに存在していたことが推定されています。そうなると、動物が上陸出来たのは植物のおかげで、植物が上陸出来たのは菌根のおかげということになります。我々人類が誕生したのは、遠因を辿ると植物と菌根が共生関係を結んだ時点まで行き着くとも言えるかも知れませんね。


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新種の記載や訂正、種を分けたり統合したりと、分類学により植物は命名され分類されます。近年では遺伝子解析が盛んに行われ、思わぬ植物同士が近縁だったり、外見上はそっくりで見分けがつかない隠蔽種が明らかとなったりと、分類学は非常に隆盛を極める分野となっています。そんな分類学ですが、種の登録に際しては、その植物の基準を示すためのタイプ標本を指定する必要があります。タイプ標本は博物館や大学に収蔵され、他の種と比較したり分類のために活用されます。
さて、本日ご紹介するのはGideon F. Smithらの2023年の論文、『Plant poaching in southern African is aided by taxonomy: Is a return to Caput bonae spei inevitable?』です。学術的に重要なタイプ標本ですが、悪用され多肉植物を危機に曝す原因となっているというのです。いったい、どういうことなのでしょうか?

密猟者の情報源
1970年代に南アフリカ国立植物研究所の前身である植物研究所で、植物標本のラベル情報が電子ファイルとして配布され始めました。やがて、データベースは拡張され、研究者は大規模なデータベースに容易にアクセス可能となり、計り知れない恩恵をもたらしました。また、一部の出版物はオープンアクセスにより、誰でも閲覧可能となりました。しかし、このような多肉植物の自生地の情報を、密猟者も閲覧し容易に自生地を見つけ出し収奪することも可能となりました。この予期せぬ出来事に対し、議論し抵抗するための提案を行います。

違法採取の急増
南アフリカの多肉植物は何世紀にも渡り植物愛好家を魅了してきました。最も注目すべきは、Aloe、Haworthia、Euphorbia、Crassula、Aizoaceae(メセン)で、園芸取引のために栽培されて来ました。しかし、栽培には時間がかかり、正規の繁殖方法では国際市場の需要を満たすことが出来ない場合もあります。
新型コロナの流行はロックダウンなど、人々の生活に様々な影響を与えました。一部の地域ではパンデミック中に趣味としてガーデニングや造園が流行り、植物の需要が増加しました。同時にロックダウン中は植物の密猟の増加がおきました。密猟者はソーシャルメディアを通じて植物の自生地付近の住民に連絡し、植物の入手を依頼することがあります。雇用機会が限られた田舎の失業者は、安価な報酬で密猟に手を貸してしまいます。南アフリカの多肉植物の違法採取、つまり密猟は巨大な違法産業に発展しており、押収された植物の数は毎年250%以上増加しています。過去3年間で150万本以上の野生植物が違法に密猟されたと推定されます。近年の例では、2022年11月に163万点もの植物を所持していた外国人が逮捕されています。

情報の秘匿
正確な産地情報を広めないことで植物の保全を支援する取り組みが実施されています。南アフリカ生物多様性研究所(SANBI)のデータベースでは、希少な植物については情報が隠蔽されており、研究者などが学術的な用途で申請し許可を受けた場合のみ情報を得ることが出来ます。しかし、密猟者が自由にアクセス可能な、タイプ標本のラベルや文献に記載された産地情報は依然として存在しています。

「CAPUT BONAE SPEI」への回帰
初期の南アフリカの植物の採取者は、採取地を単純に「Cput bonae spei」あるいは「Cpu. b. spei」、「Cabo bona spei」、「CBS」などと表記しました。これらはすべて「喜望峰」を意味します。初期の探検家たちは地図や地名の情報が少ない中で採取されたためです。後にこれらの古い情報の精査には時間がかかり、2世紀以上経てもわかっていない部分があります。
新種が公表されると直ちに密猟されてしまいます。違法採取による多肉植物の危機に際して、新種の発見を隠す傾向が出て来ました。植物が希少であるほど、絶滅に瀕しているほど、植物は価値が上がり密猟者の利益になります。「原産地: 喜望峰」という大昔の地理情報の記載方法へ回帰するしかないのでしょうか?


提案
密猟者の視線を躱すためには、産地情報が秘匿される必要があります。正確な産地情報は標本ラベルには記載せず、データベース上で管理し標本と関連付けられます。また、オンラインで入手可能であるラベルのスキャン画像は、地域情報はブロックします。さらに、正確な産地情報はオンラインではオープンアクセス出来ません。
しかし、これらの措置は分類学を始めとする多くの研究者の研究能力に悪影響を与えるでしょう。それでも、自然遺産が消失しないように、このような措置は免れません。


最後に
以上が論文の簡単な要約です。
最近の論文では、GPSで得た非常に精度の高い位置情報が記載されることも珍しいことではありません。現状、産地情報の秘匿はほとんどの論文では行われておらず、学術データを介した違法採取は引き続き拡大し続けるのでしょう。研究者たちの地道な学術的な努力が、卑しい密猟者の違法な金儲けに使われてしまうのは、大変皮肉でかつ悲しいことです。



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植物の繁殖にとって花は重要です。しかも、花の受粉様式は非常に多様で、花粉媒介者の相互作用など非常に複雑なメカニズムが存在し、その全容が明らかとなっているとは言えません。さらに、受粉後の種子散布については、それ以上に調べられていないように感じられます。最近では私もそのあたりが気になっており、ポツポツと少しずつ記事にしてきました。本日はアロエの種子に関する話です。それは、C. T. Symesの2011年の論文、『Seed dispersal and seed banks in Aloe marlothii (Asphodelaceae)』です。
アロエの種子には羽があって風で運ばれると言われますが、実際にはどうなのでしょうか? また、発芽せずに土壌中で環境が良くなるまで待つ「貯蔵種子」(Seed bank)は存在するでしょうか? 

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Aloe marlothii
『Curtis's botanical magazine』(1913年)より。


Aloe marlothiiは、南アフリカの草原とサバンナに広く分布する、冬に開花する多肉植物です。多くの個体は、岩の多異北向きの斜面や山岳地帯に生えます。A. marlothiiは最大6mに達する大型のアロエで、乾燥した冬に豊富な蜜を出すことから、様々な鳥のエネルギー源として重要です。よって、A.marlothiiは鳥により受粉しますが、その種子の散布についてはほとんど知られていません。
調査地のSuikerbosrand自然保護区は、標高1600〜1700mで、数百から数千のA. marlothiiが生育しています。自然保護区では、落雷などにより火災が発生することがあります。2003年9月におそらく送電線のアーク放電により発火し、自然保護区の西側の一部、約349ヘクタールが焼失しました。自然保護区内のアロエ林は激しく燃え、約1ヘクタールのアロエが死滅しました。その後、焼失地域には4mほどの枯れたアロエの茎が残り、雑草が生い茂りました。この焼失地域で、アロエの再定着を監視しました。
しかし、新しいアロエの苗は、焼失地域の外側に生えるアロエが開花した後にのみ出現しました。さらに、焼失地域の土壌を採取して温室内で貯蔵種子の発芽試験を行いましたが、貯蔵種子の発芽は1本しかありませんでした。焼失地域の外側に生えるアロエが開花した後には、焼失地域から採取された土壌の発芽試験では実生が生えて来ました。
つまり、A. marlothiiには貯蔵種子は基本的にないということが分かります。さらに、焼失地域外から種子が運ばれていることが分かります。A. marlothiiに良く似ているA. feroxは、高さ3mの高さから羽のある種子が30mも飛散すると言うことですから、焼失地域の発芽した種子は、ほとんどが焼失地域外から飛散してきたものなのでしょう。アロエの種子は柔らかく保護膜はほとんどなく、発芽は春の最適な環境次第と考えられます。条件が悪ければ発芽しませんが、種子の寿命が短いため翌年に発芽する可能性はほとんどありません。

以上が論文の簡単な要約です。
過去の研究では、他の種類のアロエの種子の寿命は1年とは言えないことが判明しています。しかし、A. marlothiiは貯蔵種子を持ちません。何故なのでしょうか? 少し考えてみます。
A. marlothiiのような巨大アロエは蓄積した資源量が多いため、毎年大量の種子を生産してばらまくことになります。わざわざ、耐久性のある種子を作る意味がないのかも知れません。ところが、火災に見舞われやすい地域であると言うことを考えると、貯蔵種子があった方が有利な気もします。しかし、長距離に拡散可能な種子であることから、わざわざ貯蔵種子を準備する必要はないのかも知れません。

しかし、火災の発生源は送電線のアーク放電による可能性があるとのことで、故意ではないとは言え人為的なものです。しかし、現在A. marlothiiのような巨大アロエの最大の敵は、火災ではないようです。近年、各地の自然保護区では、サイなどの希少動物の再導入が行われています。希少なアフリカゾウやクロサイが増えていることは素晴らしいことですが、まったく問題が起きていないわけではありません。これらの大型草食動物の採食によりA. marlothiiは急激に減少しています。一度崩れた生態系のバランスは、簡単にはもとには戻らないということかも知れませんね。


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多肉植物の生息地は、開発によりその生息が脅かされています。多肉植物は分布が狭く、特殊な環境にのみ生えるものも多いことから、多くの多肉植物が絶滅の危機に瀕しています。保護活動によりこれらの多肉植物を救うことは出来るのでしょうか?
本日は希少な多肉植物を救うための保護活動に目を向けます。Stefan Siebert & Frances Siebertの2022年の報告である、『Beating the boom: The fight to save a tiny succulent』をご紹介しましょう。小型のメセンであり、野生では非常に希少なFrithia humilisの保護活動の顛末です。


妖精の象の足
「妖精の象の足」(Faily elephant feet)と呼ばれるFrithia humilisは、南アフリカの固有種です。Gauteng州とMpumalanga州の境界にまたがる約600平方キロメートルの範囲の、岩盤上に乗った砂利の隙間にのみ生えます。非常に特殊な土壌条件が必要です。乾燥しわずか2cmしかない浅い土壌は、珪岩砂と腐植質からなり、0.5cmの珪岩砂利に覆われている必要があります。しかし、残念なことに南アフリカの発電所に供給される石炭が採掘される石炭鉱床は、F. humilisの分布と重なります。すでに、鉱山開発などによりF. humilisは生息地の半分以上を失っています。

救出作戦
新しい石炭鉱山の開発予定地に、4000個体に及ぶF. humilisが発見されました。しかし、南アフリカの政策により、この希少植物を他の土地に移植しなくてはなりませんでした。そのため、時間が限られる中、適切な代替地を探し出し、2009年に移植が敢行されました。移植が終わると、本来の自生地は採掘のため、すぐに爆破されてしまいました。

挫折と行き詰まり
救出活動以来、移植先を定期的に監視しました。当初、移植したF. humilisの生存と繁殖は有望に見えました。確かに、移植当初はネズミによる減少がありました。ところが、個体数が大幅に減少し始めたのは、2017年以降でした。著者らはこれは個体数が少ないことから、遺伝的多様性の低下により自家受粉が増えたからではないかと考えました。
著者らは移植先における花粉媒介者の数や訪問頻度、開花や結実について調査しましたが、これらの指標は他の自生地と変わりがありませんでした。つまり、種子や実生の数が少ないわけではないということです。

保護の難しさ
F. humilisは土壌ごと移植されたため、貯蔵種子(Seed bank)からの発芽が期待されました。実際に移植後に実生が出現し、それは2013年まで続きました。そして、干ばつ後の2017年以降、減少が始まりました。それ以降、観察により花の数、成体の植物数、実生苗の数は減少し続けています。
F. humilisのような特殊な土壌に生える植物は、数十億年かけて形成された生息地に、数百万年かけて適応してきました。単純に移動させたら、新しい生息地で繁栄することを期待することは出来ません。一度介入したならば、監視を続け生息地の維持のために投資する必要があります。最終的には、自生地には手を加えずに残しておく必要があります。


最後に
以上が報告の簡単な要約です。
保護活動は失敗に終わりました。これだけ文明が発達した現代においても、未だ自然とはあまりに未知であり、まったくコントロールが効かない存在であることを改めて実感しました。
しかし、F. humilisを育てるのはそれほど難しくないと思った方もおられるでしょう。これは、当然ながら自然環境下は栽培環境とはまったく異なるからです。自然環境下では植え替えも施肥も、水やりや遮光も出来ないのですから、自然と育って増えてくれるのを期待するしかありません。まったく同じ自然環境を用意することはあまりに難しいでしょう。やはり、自然環境ごと保全することが肝要ということなのでしょう。


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購入した多肉植物の植え替えの続きです。ひたすら花キリンを植え替えました。

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Euphorbia millotii
鉢のサイズは問題なさそうですが、私は赤玉細粒は苦手で、上手く水分のコントロールが出来ません。

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根の張りは良好です。
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植え替え後。少し大きめのプレステラ105に植えました。

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Euphorbia guillemetii(E. beharensis)
鉢のサイズは良さそうですが、塊根に根がついているため、浅植えされてそうです。

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根は割と貧相でした。塊根を見せるために浅植えしたのは間違いなさそうです。
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植え替え後。まだ塊根を出さなくてもいいかなと思ったので、塊根は埋めてしまいました。サイズ的にプレステラ90で十分。

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Euphorbia erythrocucullata
ひょろひょろした花キリンです。枝が細いので、枝分かれさせて混んだ樹形にする方が良いでしょうか?

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意外にも塊根性でした。しかし、塊根が丸まってしまっているので、露出させるのは難しそうです。
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植え替え後。塊根は露出させませんでした。塊根の形が悪いので、根をもう少し下方向に伸ばしたいところです。塊根があるためやや大きめにプレステラ105に植えました。

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Euphorbia delphinensis
これは流石に鉢が小さいですよね。

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根は渦巻いていて中々ほぐせませんでした。
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植え替え後。プレステラ120でも大き過ぎるということはなさそうです。

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Euphorbia fuscoclada
ちょっとバランスが悪そうです。風が強い我が家ではすぐに倒れてしまいます。

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根の張りはやや少ない感じでした。
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植え替え後。とりあえずは、プレステラ105に植えました。

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Euphorbia lophogona
葉が非常に大きいため、頭が重たそうですね。

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根の張りは良好です。
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植え替え後。プレステラ120に植えました。外見的に似ているE. viguieri系ではなく、かと言ってE. neohumbertii系でもないようです。遺伝子解析では意外にもE. miliiに近縁なようです。花は確かにそんな感じですが。

ということで、これにて購入品の植え替えは終了です。寒くなって来ましたから、今年の植え替え自体がこれで最後ですかね。それよりも、多肉植物たちを室内に取り込まなくてはなりませんが、まったく進んでいません。植物用ランプやらタイマーやら室内の準備すらまだなのですから、いささか慌てています。しかし、何かと忙しくて手が回りません。困ったものです。


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先日、多肉植物の即売会をハシゴしたわけですが、もう寒くなりつつあるにも関わらず、購入品の植え替えを強行しました。また、何故か強風が吹き荒れ、軽い遮光用に張っていた不織布がビリビリに破れてしまい、鉢を巻き込んで倒してしまいました。仕方がなく、こちらも植え替えと言うか植え直しです。

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Haworthia parksiana
Succulent Station 宮崎台の購入品。鉢のサイズも合っているので植え替える必要はなさそうですが、根の状態が気になります。

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根は良く張っていました。
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植え替え後で。あまり変わっていませんが、用土を統一することにより、感想具合をコントロールしやすくなります。

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Haworthia chloracantha v. subglauca RIB 0099
こちらもSucculent Station 宮崎台の購入品。

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こちらも根の状態は良好です。
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植え替え後。フィールドナンバーつきですから、あまり過保護にならないように育てたいですね。

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皇帝
ヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会の購入品。皇帝は少し窮屈そうに見えます。
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根の張りは良好ですが、やはり窮屈でした。
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植え替え後。バランス的にはこんなものでしょうか?

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青々錦 Aloiapelos tenuior(Aloe tenuior)
こちらもヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会の購入品。フニャフニャの鉢に植えられていました。

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やはり根の張りは良好です。
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植え替え後。本来Aloiampelosはヤブ状に育ちますが、どう育てるか悩みどころです。

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この2鉢はひっくり返したやつです。
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Haworthiopsis viscosa
ヴィスコサは完全にすっぽ抜けたので、植え替えました。何故か根はかなり貧相でしたね。

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Gasteria pillansii
ピランシィは根の張りが良いため、ひっくり返っても抜けませんでした。ですから、用土を足しただけで済みました。


というわけで、植え替えの第1弾でした。花キリンを沢山買いましたから、そちらも植え替えましたが、明日記事にします。
実は未だに室内に多肉植物を1つも取り込んでいません。それなりに数があるため、そろそろ始めないとあっという間に冬になってしまいます。とりあえず、パキポディウムと小型の花キリンは室内に取り込みました。早く何とかしなくては…

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サボテンは古い根元の方が褐色になり硬くなってしまいます。これは、太陽光が原因で樹皮が形成されているということのようです。ただ、樹皮形成はサボテンにはよろしくないことのようで、樹皮形成が多くなり過ぎるとサボテンは枯れてしまいます。この太陽光による樹皮形成は柱サボテン状になるユーフォルビアにも見られる現象です。本日は、南アフリカのユーフォルビアの樹皮形成について研究した、Lance S. Evans & Lauren Scelsaの2014年の論文、『Sunlight-induced bark formation on current-year stem of Euphorbia plants from South Africa』をご紹介します。

2011年のEvans & Abelaは、南アフリカの20種類のユーフォルビアで、サボテンに起きるものと同一に見える樹皮形成を確認しました。ただ、サボテンは古い茎に樹皮が形成されるのに対し、ユーフォルビアでは新しい茎でも形成されます。この研究は樹皮形成の仕組みを理解し、なぜ種類により樹皮形成の度合いが異なるのかを解明することを目的としています。
南アフリカに自生する15種類のユーフォルビアを調査した結果、樹皮形成率は高い順から、E. enopla(12.0%)、E. clandenstina(10.0%)、E. schoenlandii(10.0%)、E. clava(9.0%)、E. heptagona(8.9%)、E. tuberculata(7.8%)、E. fimbriata(6.2%)、E. horrida(6.2%)、E. knobelii(6.1%)、E. hottentota(5.5%)、E. tetragona(5.0%)、E. triangularis(4.6%)、E. avasmontana(0.0%)、E. virosa(0.0%)、E. cooperi(0.0%)でした。

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Euphorbia enopla(樹皮形成率12.0%)

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Euphorbia schoenlandii(樹皮形成率10.0%)

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Euphorbia virosa(樹皮形成稜0.0%)

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Euphorbia cooperi(樹皮形成率0.0%)

樹皮形成は太陽光がより当たる側で発生しました。調査したユーフォルビアを比較すると、樹皮形成率が高い種は稜(rib)がなく、樹皮形成率がなかった種は強い稜がありました。これは、稜があるとくぼんだ谷間が出来ることから、陰が形成されます。そのため、稜がある種類は樹皮形成が起きにくいと考えられます。
また、表面のクチクラの厚みを調査しましたが、種類によるクチクラの厚みの違いは、樹皮形成のしやすさとは相関がありませんでした。

ユーフォルビアの太陽光による樹皮形成は、表面組織の損傷により誘発されます。ただし、E. tetragonaやE. triangularisの幹に形成されるコルク層は、古い茎に形成されるもので、太陽光による樹皮形成とは関係がないようです。太陽光による樹皮形成は表皮細胞が関わりますが、コルクを形成したりはしません。

以上が論文の簡単な要約です。
内容としては、深い稜がある場合には、山と谷が出来て陰が出来ることから、樹皮は形成されにくい傾向があるというものでした。この場合の樹皮とは、大型になる柱サボテン状ユーフォルビアの、古い幹が木質化していく過程とは異なります。しかし、この太陽光による樹皮形成は、どうやらサボテンとメカニズムは同じようなのですが、サボテンは古い組織に出来るのにユーフォルビアは新しい組織に出来るのは何故でしょうか? また、太陽光による樹皮形成は表面細胞の損傷が原因ですから、要するに樹皮形成しにくい種はより強い太陽光に耐えられるということです。では、樹皮形成しにくい種は強い太陽光を浴びていて、樹皮形成しやすい種は陰になるような場所に生えるのでしょうか? 最適環境が異なるように思えます。実際の自生地の環境との比較が見てみたいところです。


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タナベフラワーで開催された「Succulent Station 宮崎台」が開催され行って参りましたが、続けてヨネヤマプランテイションで開催された「多肉植物BIG即売会」に行って来ました。「Succulent Station 宮崎台」の様子は昨日記事にしましたから今日はその続きです。
大量の花キリンを購入したため、割と邪魔でしたがヨネヤマプランテイションに着いて驚きました。なんと、タナベフラワーにあった花キリンがすべてではありませんが、いくつかあったのです。なんだ、こっちで買えば良かったと思いましたが、値段を見て驚きました。結構お高い、というかこちらが通常の値段ですかね。ヨネヤマプランテイションを先に来なくて良かったです。荷物が多くてもこちらが正解でした。いやはや、良かった良かった。

さて、前回の多肉植物BIG即売会では多肉植物は数も種類も、おまけにお客も少なかったわけですが、今回は割と力が入っていました。お客さんも開店直後でもないのに、割と入っていました。内容的にはアガベやエケベリアなどは相変わらずありましたが、私が気になったのはアロエです。他にもサボテンもそこそこあり、黒王丸や黒牡丹なんかもありました。
アロエは目立たないところにありましたが、あまり見ない種類ばかりでしたね。とはいえ、タナベフラワーで暴れすぎたため、そもそも沢山は買えません。荷物がこれ以上増えると、帰りは電車ですから流石につらいのです。泣く泣く2つだけ購入して帰りました。


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青々錦 Aloe tenuior
地味なアロエですが、現在はアロエ属から分離・独立し、アロイアンペロス属となっています。つまり、Aloiampelos tenuiorです。しかし、アロイアンペロスは非常に丈夫ですが、鑑賞価値は今ひとつなため、販売されることは稀ですね。

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皇帝
Tulista系、というかT. marginata系と思しき非常に優れた交配種です。今までも2回ほど目にしてはいたのですが、割と高額で手が出ませんでした。今回はかなり安かったので即決でした。皇帝は中々入手機会も少ないため、嬉しい偶然でした。


というわけで、ヨネヤマプランテイションの「多肉植物BIG即売会」でした。2連戦はいささか疲れましたが、今回はかなりの大収穫でしたから、疲れも吹き飛びますね。正直、今回はビッグバザールより安いくらいでしたから、見た目の物量ほど散財していません。まあ、正直なところ、置く場所が怪しいわけですが…


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川崎市にあるタナベフラワーにて21日と22日に開催された、「Succulent Station 宮崎台」に行って参りました。前回は5月に開催されましたから、約半年ぶりの訪問です。さて、21日と22日は横浜のヨネヤマプランテイションで「多肉植物BIG即売会」も開催されていますから、なんと続けて両方に行こうというワガママプランです。移動時間がかかりますから早く行こうということで、タナベフラワーの開園時間ちょうどに到着しました。
着くとちょうど開園するところでしたが、タナベフラワーの駐車場に待機列が出来ていました。そう言えば、駐車場が使えないと言う事でしたが、待機列のためだったみたいです。私も最後尾に並びましたが、整理券は70番でしたね。イベントの規模からすると大変な熱気です。季節柄、オトンナや亀甲竜などの冬型多肉がかなりありました。もちろん、パキポディウムやアガベ、エケベリア、ハウォルチアなどの多肉植物も沢山ありました。今回も以前と同様、たにっくん工房とタナベフラワーで購入しました。

まずは、たにっくん工房から。まあ、相変わらず様々な多肉植物が並んでいました。とにかく、種類が多いのが嬉しいところです。今回はハウォルチアを購入。かなりの安価で、大型園芸店と比べると場合によっては半額以下でしたね。

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Haworthia parksiana
ざらついた肌は軟葉系っぽくないですね。最も小型のハウォルチアと言われているそうです。


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Haworthia chloracantha v. subglauca RIB 0099
見た瞬間、フィールドナンバーつきだろうと思いました。選抜された栽培品とは異なり葉先が枯れたりしますが、野趣溢れる姿は独特の美しさがあります。

続けて、タナベフラワーの温室内を見て回りました。相変わらず、1棟はエケベリアやセダムなどで、1棟はハウォルチアが中心、1棟はサボテンやパキポディウムなど雑多な多肉植物がありました。前回は硬葉系ハウォルチアを購入しましたが、今回は花キリンが沢山あったので購入しました。サイズの割にかなり安いなあといった感想です。
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ユーフォルビア・デルフィエンセ
Euphorbia delphinensisです。葉が特徴的で詰まった樹形ですね。


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ユーフォルビア・フスコクラダ
Euphorbia fuscocladaです。2021年に記載されたばかりの新種です。どのような花が咲くでしょうか?


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ユーフォルビア・グイレメティー
塊根性の花キリンのEuphorbia guillemetiiです。現在、Euphorbia beharensisの異名となっています。しかし、ビッグバザールで入手したE. beharensisの挿し木苗は、葉の形が違います。今回入手した方が一般的なようです。


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ユーフォルビア・エリスロククラータ
Euphorbia erythrocucullataです。何やら面白い形の花を咲かせるようです。


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ユーフォルビア・ミロッティー
Euphorbia millotiiです。のっぺりとした幹肌が特徴です。


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ユーフォルビア・ロフォゴナ
Euphorbia lophogonaです。ロフォゴナは以前から気になっていた花キリンです。

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このように、トゲがペラペラの紙のようです。花キリンなどの専門家であったLeandriの著作の図譜を見てから、欲しかった花キリンです。
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花は意外にもスタンダードなタイプでした。

さて、なんだかんだで1時間近く居座ってしまい予定より遅れましたが、田園都市線とブルーラインを乗り継いで新羽駅に到着しました。ヨネヤマプランテイションにはどのような多肉植物があるでしょうか? しかし、花キリンがかさばるため、電車での移動中は正直邪魔でしたね。先にヨネヤマプランテイションに行くべきだったかと思いましたが、実は結果的にこの順番で良かったのです。その顛末は明日、記事にします。

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ヤリゲイトウか綺麗でした。


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以前、Gymnocalycium esperanzaeを調べていた時に、論文に面白いことが書かれていました。G. esperanzaeは、G. castellanosiiとG. bodenbenderianumとの自然交雑種である可能性があるというのです。その時の記事は以下のリンクをご参照下さい。


問題はG. esperanzaeは一時的に出来た雑種ではなく、すでに交雑親から独立しているように見えることです。論文でも、植物は自然交雑による種分化は珍しいことではなく、進化の原動力の1つであると書かれていました。交雑が進化に関係するということは、私も気になってはいたのですが、中々調べるところまでは行きませんでした。しかし、最近になりサボテンの自然交雑種に関する論文を見つけました。それは、Xochitl Granados-Aguilarらの2021年の論文、『Unraveling Reticulate Evolution in Opuntia (Cactaceae) From Southern Mexico』です。タイトルは訳すと、「メキシコ南部のウチワサボテンの網状進化の解明」となります。「網状進化」とは何なのでしょうか?

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Opuntia pilifera
『The Cactaceae』(1919年)より。


交雑は植物の約40%で発生し、その中でもウチワサボテンなど特定のグループにより頻繁に発生します。この論文では、ウチワサボテンの約12%が分布するにも関わらず、ほとんど調査されていないメキシコ南部のTehuacan-Cuicatlan渓谷において、ウチワサボテンの交雑種を遺伝子解析により調査しました。著者らの研究グループは、Opuntia tehuacanaはOpuntia piliferaとOpuntia huajuapensisの中間的な特徴を持つことから、交雑種ではないかと考えていますが、仮説が検証されたことはありませんでした。

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Opuntia velutina(右上)
『The Cactaceae』(1919年)より。

著者らはTehuacan-Cuicatlan渓谷とその周辺地域から、9種類のウチワサボテンを採取しました。複数の遺伝子を解析したところ、以下のような交雑が推測されました。

O. pilifera①=O. decumbens+O. depressa
O. pilifera②=O. decumbens+O. velutina
O. tehuacana=O. decumbens+O. huajuapensis
O. decumbens=O. tehuantepecana+O. depressa
O. velutina①=O. tehuantepecana+O. depressa
O. velutina②=O. tehuantepecana+O. decumbens

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Opuntia decumbens
『The Cactaceae』(1919年)より。


ウチワサボテンは生殖障壁が弱いため、自然交雑種は一般的です。研究に用いたウチワサボテンの開花期は春で、地理的に近い種の間では交雑が起きる可能性があります。一般的に受粉は主にミツバチにより行われますが、Tehuacan-Cuicatlan渓谷ではミツバチより長距離を移動するハチドリも受粉に関与している可能性があります。
さて、肝心のO. tehuacanaに関してですが、交雑親と考えられるO. huajuapensisは開花期が重なります。ハチドリが両方の種に訪れるため、受粉の可能性があります。しかし、共通の特徴はあるものの、交雑により予想されるような中間形質は確認されませんでした。もう片方の交雑親と当初は考えられていたのはO. piliferaですが、遺伝子解析では交雑の証拠はありませんでした。共通する特徴より異なる特徴が多く、中間形質もないため、O. piliferaが交雑親であるというシナリオは破棄されます。交雑の仕方からは、交雑親はO. decumbensが疑われます。しかし、すべてのO. tehuacanaからO. decumbensが関与しているわけではないことが判明しており、特定の遺伝子のみが移入しており、雑種種分化は発生していないことが推測されます。

以上が論文の簡単な要約です。
論文中に出てきた生殖障壁とは、交雑してしまう可能性のある近縁種同士が受粉しないような仕組みのことです。例えば、簡単な例では花の時期が異なるだとか、地形的に隔離されているとかです。やや複雑になると、花の色や形が異なり、訪れる花粉媒介者が異なる場合には交雑は起きません。しかし、Tehuacan-Cuicatlan渓谷では、ウチワサボテンが20m四方に4種類も存在するという高密度な状態でした。しかも、開花期も重なり花粉媒介者も共通します。
著者らは調べた遺伝子が少ないため、すべての交雑を検出出来たわけではないとしています。しかし、遺伝子情報からの推測方法については私には良くわからなかったため、上手く解説出来ませんでした。どうも、「網状進化」とは単純な交雑ではなく、複数種の遺伝子が混じり合って形成される、正に網状の交雑が起きているようです。しかし、論文自体は網状進化の一部を解明しただけで、すべてを解明したわけではなさそうです。実際には本当に網の目のように複雑に絡むような進化を辿ったのかも知れませんね。


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近年、多肉植物で最も盛り上がっているのはAgaveでしょう。「サボテン・多肉植物のビッグバザール」でも、Agaveの専門店が出店するようになり、あちこちでAgaveを出しています。多肉植物に強い園芸店でもAgaveはコーデックスに代わる目玉となっています。いつまでAgaveブームが続くのかは分かりませんが、流行っているオテロイ(Agave oteroi)は2019年に記載されたばかりの新種であることを考えたら、まだまだ盛り上がる要素は出てくるかも知れませんね。さて、そんなAgaveですが、オテロイの例にあるように新種が見つかっています。ここ10年と少しのAgaveの新種を見てみましょう。ちなみに、最近のAgaveに関する論文をざっと漁っただけなので、漏れもあるでしょうし、Abstractを流し読みしただけなので何かしらの間違いがあるかも知れません。まあ、ご参考までにということで。

2011年
・メキシコのバハ・カリフォルニアから、新種のAgave turneriが記載されました。
・メキシコ南部から、新種のManfreda justosierranaManfreda umbrophilaManfreda verhoekiaeが記載されました。しかし、2012年にはAgave属に移され、それぞれAgave justorierranaAgave umbrophilaAgave verhoekiaeとされました。


2012年
・メキシコ西部のmanantlanicola山脈の高地から、新種であるAgave manantlanicolaが記載されました。
・メキシコのJulisco州から、新種であるAgave temacapulinensisが記載されました。Agave wocomahiと近縁と考えられます。


2013年
・Agave gypsophilaを再評価し、Agave abisaiiAgave andreaeAgave kristeniiAgave pablocarrilloiが分離されました。
・メキシコのVeracruzより、新種であるAgave jimenoiが記載されました。

2014年
・メキシコのバハ・カリフォルニアのVizcaino半島から、新種のAgave azureaが記載されました。Agave vizcainoensisに近縁と思われます。
・メキシコ西部のQueretaroから、新種のAgave doctorensisが記載されました。Agave montium-sancticaroiに似ています。
・メキシコのOaxacaより、新種であるPolianthes alboaustralisが記載されました。しかし、2015年にはAgave属に移され、Agave alboaustralisとされました。

2016年
・メキシコ西部より、新種であるPolianthes quilaeが記載されました。しかし、2017年にはAgave属に移され、Agave quilaeとされました。

2017年
・コロンビアから新種であるAgave paxが記載されました。
・メキシコ西部より、新種であるManfreda occidentalisが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave occidentalisとされました。

2018年
・メキシコのVeracruz中央海岸より、新種であるAgave maria-patriciaeが記載されました。
・メキシコのOaxaca南東部より、新種であるAgave cremnophilaが記載されました。
・メキシコ西部のSierra del  Surより、新種であるManfreda santana-micheliiが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave santana-micheliiとされました。
・メキシコのMichoacan州より、新種であるPolianthes venustulifloraが記載されました。しかし、2019年にはAgave属に移され、Agave venustulifloraとされました。


2019年
・メキシコのTmaulipas州より、Agave lexiiが記載されました。Agave tenuifoliaやAgave striataに似ています。
・メキシコのOaxaca北中部より、新種であるAgave oteroiが記載されました。
・メキシコ西部のChorros del Varal州立保護区より、新種であるAgave garciaruziiが記載されました。Agave angustiarumおよびAgave imppressaに関連するようです。


2020年
・メキシコのOaxaca南部から、新種であるAgave calciphilaが記載されました。Agave angustiarumやAgave ghiesbreghtii、Agave huehuetecaに似ています。
・コロンビアから新種であるAgave sylvesterianaが記載されました。
・メキシコのGerrero州から、新種であるManfreda arceliensisが説明されました。しかし、この種は認められておりません。

2021年
・メキシコのTamaulipas州の湿った渓谷で、新種であるAgave crypticaが記載されました。Agave tenuifoliaと混同されてきたようです。

2022年
・メキシコ西部のBalsas盆地から、新種であるAgave internilloensisが記載されました。Agave gypsicolaに似ていますが、新種は葉が1mを超える大型種です。
・メキシコのOaxaca州西部より、新種であるAgave rosalesiiが記載されました。Agave ellemeetiana var. subdentataより分離されました。
・メキシコのJaliscoより、新種であるAgave martaelenaeAgave servandoanaが説明されました。しかし、データベースへの記載はまだのようです。

2023年
2023年に出た論文で説明された新種は、まだデータベースへの記載はありません。これから精査されるのでしょう。
・メキシコのSinaloaより、新種であるAgave mayoが記載されました。Agave schidigeraと共通する特徴があります。
・メキシコ原産のPolianthes montanaから、Polianthes aarodrigueziiが分離されました。


さて、Agaveの新種を漏れはあるかも知れませんが、大体の種類は収集出来たのではないでしょうか。ここでは、ManfredaやPolianthesが入っていますが、2000年代後半から2010年代前半にかけてManfredaやPolianthesがAgaveに含まれることが遺伝子解析により明らかになりました。そのため、ManfredaやPolianthesは徐々にAgaveへ改名されていきました。しかし、その最中でも新種は相変わらずManfredaやPolianthesと命名され続けたようですね。まあ、結局はAgaveに訂正されてしまいましたが。


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ソテツは地球上で最も危機に瀕している植物グループと言われます。しかし、日本では国内産のソテツ(Cycas revoluta)が庭木や鉢植えとして一般的に利用されていますから、珍しいという感覚は持ちにくいかも知れませんが、海外では自生地の都市開発や違法採取によりソテツは急激に数を減らしています。本日は国際自然保護連合(IUCN)のソテツに対する評価と保護計画について書かれた2003年の『Status Survey and Conservation Action Plan, Cycad』より、ソテツの貿易と持続可能な利用についてまとめられた第7章、J. S. Donaldsonらの「Cycads in Trade and Sustainable Use of Cycad Population」をご紹介しましょう。

ソテツの利用
ソテツは各地で伝統的に利用されてきました。いくつかの文化では、おそらく先史時代からソテツは利用されています。また、有毒のソテツから食品を調製する技術を、異なる文化がそれぞれ独自に開発しました。
19世紀から20世紀にかけて、ソテツを取り巻く環境は激変しました。例えば、1845年頃からZamia integrifoliaからデンプンを抽出するために、フロリダに製粉所が設立され、週に8000〜12000本のZ. integrifoliaが採取されました。都市化による生息地の破壊と相まってZ. integrifoliaは激減し、ソテツの製粉産業は1925年までに完成に崩壊しました。同様にオーストラリアで1921年にMacrozamia communisを用いて操業を開始しましたが、こちらは技術的な理由で失敗しました。

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Zamia integrifolia
(=Zamia floridana)


伝統医学や呪術のためのソテツの利用は様々な地域で続いており、人口増加により採取が激化しています。1994年の報告によると、南アフリカの2つの市場では毎月3000以上のStangeria eriopusが取引されていると言います。本来、農村部の人々は近隣に生えるソテツを利用しており、それは持続的に利用可能なものでした。しかし、ソテツを都市部に供給するために、人々が遠距離から採取に訪れるようになりました。

園芸植物としてのソテツ
1983年から1999年までに大量のCycasとBoweniaの葉が取引されました。これはフラワーアレンジメントでの使用で、主要な輸出国は日本でした。しかし、これは栽培植物由来のもので、野生植物に対する悪影響の証拠はありません。
20世紀のソテツの貿易パターンの劇的な変化は、園芸植物としての需要によりもたらされました。Cycas revolutaなどCycas属のソテツは、日本、中国、ベトナム、インドなどの国で、装飾用植物として何世紀にも渡り使用されてきました。しかし、都市造園やコレクターに由来する大規模な採取は、20世紀後半に発生しました。野生のソテツの採取が個体数の減少の主要な原因の1つと考えられていますが、その取引や野生植物への影響は分析されていません。

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Cycas revoluta

造園用としてのソテツ
都市造園用として利用されるソテツは少なく、利用されるのは主にCycas revolutaとZamia furfuraceaです。C. revolutaは広く栽培されており、野生植物の採取はありません。Z. furfuraceaはメキシコで大量に採取され、月に40トンが米国に輸入されたという報告があります。しかし、現在はZ. furfuraceaはメキシコと米国で広く栽培されており、野生植物の採取は不必要かつ違法採取は逆に不経済となっています。また、Cycas taitungensisなどの種は、大規模な植栽により人気が高まっています。
ソテツは造園用植物として優れていますが、植栽用にはある程度の大きさある植物が求められます。栽培植物では需要に答えられないため、野生植物の市場が生まれています。中国では多数のCycas panzhihuaensisとCycas hongheensisが採取され、タイではCycas litoralisが採取されています。南アフリカではカジノ開発のために、植栽用に300本を超えるEncephalartos altensteiniiが採取されました。
また、都市部の庭師は必ずしも特定の種を探しているわけではないため、野生植物を採取したり、わざわざ野生由来の植物を探したりはしません。

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Zamia furfuracea

ソテツ愛好家
植物のコレクターは、苗床から植物を購入し、他のコレクターと植物を交換し、愛好会などに入り植物や情報を交換します。コレクターはアクセス可能な地域のソテツの種子を採取したり、野生由来植物の可能性のある希少種を購入することはあるかも知れません。しかし、一般的にコレクターが珍しくソテツを探すために、それほどの時間とお金を費やすことはほとんどありません。
ただ、コレクションに多大な投資をしているコレクターもおり、野生由来の植物の取引に手を出していることもあります。しかし、野生植物の市場は犯罪シンジケートが関与しており、結果として組織犯罪に加担していることになります。


ソテツと貿易
1983年から1999年の貿易データによると、この期間中に5000万を超えるソテツの種子と、1300万の生きたソテツが、ワシントン条約(CITES)締結国から輸出されました。日本は最も重要なソテツの輸出国で、ソテツの種子輸出の90%近くを、生きたソテツの65%を占めています。C. revolutaとZ. furfuracea以外のソテツの取引は少ないものの、これは報告がされていないことによります。また、野生植物の少なさから考えると、かなり多くのEncephalartosが取引されています。現在でも絶滅危惧種のソテツが違法取引が続いており、CITESだけでは違法取引を食い止めることが出来ません。そのため、CITESは保全ツールの1つに過ぎないと見なさなければならず、合法的な取引のためにソテツの需要を満たすための行動が必要です。

ソテツの人工繁殖
ソテツを人工繁殖による大規模な商業生産することが可能ならば、ソテツの需要を人工繁殖したソテツで埋めることが出来るかも知れません。現在、種子繁殖が最も実用的な方法です。しかし、人工繁殖の場合、ソテツは雌雄異株であるため花の時期が合わなかったり、特定の花粉媒介者がいることなどから、種子が勝手に出来ません。最近の研究では、花粉は0℃で最大2年間は50%の生存率が維持出来ることが判明しており、雌雄の花が揃わなくても受粉が可能かも知れません。

最後に
以上が第7章の簡単な要約です。
ソテツはその減少が進行してしまっており、対策が急務です。すでに悠長にCITESに頼る段階ではないようです。サボテンや多肉植物では、趣味家たちはCITESは必要としながらも、CITESに物足りなさを感じているようです。趣味家たちは、珍しいサボテンや多肉植物の人工繁殖を積極的に行い、市場の需要を満たすことにより、野生植物の違法取引を減らせると考えています。しかし、ソテツでは趣味家ではなくIUCNが人工繁殖の推進を提唱しています。よくよく考えて見れば、この人工繁殖の推進はソテツの研究者により考えられたもののような気がします。なぜなら、ソテツの育て方や増やし方に関する論文がいくつも出されているからです。これは植物の研究としては珍しい部類ですね。
さて、ソテツの輸出の大半が日本からということでした。日本でCycas revolutaが庭木とされるのは、近年の流行ではなく、かなり昔からの話です。古い民家では、玄関先に背丈よりも高いC. revolutaが植えてあったりしますが、野生植物由来ではなく何十年もかけて大きくなったものです。そもそも、植木屋にはかなりの大きさのC. revolutaが植えられていますからね。ソテツはある程度のサイズになると脇芽が吹いてきますから、脇芽を発根させた鉢植えが沢山流通しています。日本ではC. revolutaはどこにでもあり、誰でも簡単に入手出来ますが、世界のソテツの希少性からすると珍しいことかも知れません。


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Pereskia属はサボテンらしからぬ姿のサボテンで、通常の樹木状で葉があり、全体的に特に多肉質ではありません。ただ、強い棘と美しい花がサボテンとの繋がりを感じさせます。Pereskiaは一般的には杢キリンだとかコノハサボテンと呼ばれますが、サボテン愛好家にもあまり人気はなさそうです。
さて、このPereskiaはサボテン科の進化を考える上で重要とされます。というのも、サボテンは本来は多肉質ではなく、Pereskiaのような多肉植物ではない姿から多肉質に進化したと考えられるからです。
そんなPereskiaはどうも単系統ではないと考えられているようです。2013年にPereskiaは単系統ではないという考えが示され、新属Leunenbergeriaが提唱されました。そこら辺の事情をまとめたJoel Lodeの2019年の論文、『Leunenbergeria, a new genus in Cactaceae』をご紹介しましょう。しかし、新種どころではなく、新属とは驚かされます。

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Leunenbergeria autumnalis(左右)
『The Cactaceae』(1919年)より。Pereskia tititachaとして記載。


PereskiaはSchumann(1890)とBuxbaum(1969)によりサボテン科の最も祖先的な分類群と考えられました。2002年のNyffelerの分析でも、Pereskiaはサボテン科の基底であることは示されましたが、単系統ではないとされました。2005年のButterworth & Wallaceの分子解析では、Pereskiaは単系統ではなく側系統群であることが示されました。2005年にEdwardsらは、Pereskiaの遺伝子解析を行いました。Pereskiaでは唯一コスタリカに分布するP. lychnidifloraと、Pereskia属のタイプ種であるP. aculeataとは、Pereskia属を分けなければならないレベルで遺伝的に距離がありました。2005年のCrozierの分子研究では、Pereskia属は急速に分岐した可能性を指摘しました。2007年にMarlon Machadoは、形態学的および解剖学的な特徴から、Pereskiaは2つのグループに分割出来るとしました。2008年にButterworth & Edwardsは、Pereskiaが側系統群であることを確認しましたが、GorelickはPereskiaの側系統の中に、Maihuenia、ウチワサボテン亜科、カクタス亜科が埋め込まれてしまっており、混乱し続けていることを指摘しました。

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Leunenbergeria zinniiflora(右)
『The Cactaceae』(1919年)より。Pereskia zinniaefloraとして記載。

そして、2008年のNyffelerらと2010年のNyffeler & Eggliは、Pereskiaは南アメリカ北部からメキシコまでの北部クレードと、ブラジル南部から南方の熱帯および亜熱帯南アメリカの南部クレードに分けることが出来ることを示しました。南部クレードは樹皮の形成が遅れており、茎に気孔があります。北部クレードは樹皮が早く形成され茎に気孔があります。

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Leunenbergeria gamacho
『The Cactaceae』(1919年)より。Pereskia gamachoとして記載。


以上が論文の簡単な要約です。
論文中の用語ですが、単系統とは系統的な子孫からなるまとまりがあるグループです。側系統とは簡単に言えばまとまりのないグループです。論文ではPereskiaを2分割しました。名前のなかった南部クレードには、著者が2013年にLeunenbergeria属を提唱しました。属名はPereskiaの著名な研究者であったLeunenbergerから来ているようです。
また、本文中に「Pereskiaの側系統の中に、Maihuenia、ウチワサボテン亜科、カクタス亜科が埋め込まれてしまっており…」とありますが、分かりにくいため簡単に説明します。例えば、2005年のEdwardsの『Basal cactus phylogeny: implications of Pereskia (Cactaceae) paraphyly for transition to the cactus life form』では、以下のような分子系統が示されました。

              ┏━カクタス亜科
          ┏┫
    ┃┗━Maihuenia
      ┏┫
      ┃┗━━
ウチワサボテン亜科
  ┏┫     
  ┃┗━━
Pereskia
  ┫
  ┗━━━
Leunenbergeria

カクタス亜科は柱サボテンや玉サボテンを含む巨大なグループです。見方としては、カクタス亜科とMaihueniaは姉妹群で、カクタス亜科+Maihueniaとウチワサボテン亜科は姉妹群、それらとPereskiaは姉妹群なのです。つまり、カクタス亜科からPereskiaまでを一塊と捉えることも可能なため、そのような表現となっているのです。

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Leunenbergeria zinniiflora
『The Cactaceae』(1919年)より。Pereskia cubensisとして記載。


Pereskiaから独立してLeunenbergeriaとなったのは8種類です。以下に示します。
①L. aureiflora
②L. bleo
③L. gamacho
④L. lychnidiflora
⑤L. marcanoi
⑥L. portulacifolia
⑦L. quisqueyana
⑧L. zinniiflora


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今週末、21日と22日に横浜のヨネヤマプランテイションで「多肉植物BIG即売会」が開催されます。ヨネヤマプランテイションは横浜市営地下鉄ブルーラインの新羽駅の駅のすぐ近くです。今年の3月のBIG即売会は非常に多種多様で数も多かったのですが、7月のBIG即売会は割と規模が小さなものでした。今回はどうでしょうか?

①2021年11月
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Pachypodium brevicalyx
すっかり貫禄が出たブレビカリクスです。現在はP. densiflorumの異名扱いですが、よりずんぐりと育つようです。

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Fouquieria macdougalii
面影がなくなるくらい育ちました。去年は乾かし気味でしたからあまり育ちませんでしたが、今年は乾かさないようにしたら良く育ちました。

②2022年3月
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Pachypodium rosulatum var. drakei
枝分かれしました。P. rosulatumと同種とされていますが、ドラケイは葉や枝がより細長く育ちます。

③2022年7月
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Fouquieria formosa
すでに倍以上の長さとなりました。水を切らすと、葉先が枯れ込んでしまいます。

④2023年3月
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Euphorbia fianarantsoae
葉が出ただけで、あまり育った感じはありません。オーソドックスな非塊根性花キリンとして育てましたが、どうにも今一でした。

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昭和キリン Euphorbia bubalina
ブバリナは徒長しやすいと考え、日照は強めにしました。結果として綺麗に育っていますね。

⑤2023年7月
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天平丸 Gymnocalycium spegazzinii
南米病が怖くて手を出して来ませんでしたが、非常に安かったため試しに購入しました。とりあえず、今のところは問題はないようです。


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今年の秋は多肉植物の即売会が沢山あります。すべては行けませんが、なるべく行けるものは行く予定です。来週の21日と22日に、神奈川のタナベフラワーで「Succulent Station 宮崎台」が開催されます。いくつかの多肉植物・サボテンの専門店が集まるようです。
タナベフラワーは、東急田園都市線の宮崎台駅南口から、徒歩10分くらいです。今年の5月にも開催されましたが、その時の記事で会場までの道順を示したので、以下の記事をご参照下さい。


開催時間は9時から16時。21日と22日で一部店舗が入れ替わります。

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さて、「Succulent Station 宮崎台」は私は過去2回行っていますから、今回は3回目です。今回は何があるか楽しみですが、過去の購入品の育ち具合を見てみましょう。上が購入時で下が現在です。

①2022年10月
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紫翠(殿) Haworthiopsis resendeana
大分、生長して立派になりました。九輪塔系の短葉で結節が白くならないタイプです。


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星の林 Haworthiopsis reinwardtii var. archibaldiae
みっしりと詰まった美しい形に育っています。鷹の爪系。


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春鶯囀 Gasteria batesiana
分かりにくいのですか、大分大きくなっています。葉の模様が綺麗に出ています。


2023年5月
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翠眉閣 Euphorbia quadrangularis
倍以上のサイズに急成長しました。E. confinarisの名前で入手しました。E. confinaris ssp. rhodesiacaを入手済でしたから、比較のために購入しましたが誤りだったようです。しかし、グランカクタスの佐藤勉さんの図鑑では、ssp. rhodesiacaの写真はE. quadrangularisらしきものなんですよね。誤った輸入種子が蔓延しているのでしょうか?

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Haworthia attenuata f. tanba
子が吹いてきました。アテヌアタの矮性品種。今はHaworthiopsisです。

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Haworthiopsis limifolia
リミフォリアも盛んに子を吹いています。

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Euphorbia iharanae
非常に育ちが良いですね。E. neohumbertii系ですが、E. neohumbertiiより丈夫で強光や乾性に強いみたいです。


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最近は基本的にサボテンと多肉植物の論文をご紹介してきましたが、花と受粉に関する話題に興味があり積極的に取り上げてきました。しかし、最近は種子の行方にも興味が出て来ました。論文を漁っていたところ、「Serotiny」なる用語に出会いました。「Serotiny」とは、成熟した種子がすぐに散布されず、親個体に長く残る現象を指します。有名な植物はオーストラリアのバンクシアで、種子は火事により加熱されないと出て来ません。調べると、一部のサボテンも「Serotiny」であると言うのです。一体どういうことなのでしょうか?
本日はそんな「Serotiny」であるサボテンについて調査した、Edward M. Petersの2009年の論文、『The adaptive value of cued seed dispersal in desert plants: Seed retention and release in Mammillaria pectinifera (Cactaceae), a small globose ca cactus』をご紹介しましょう。

Mammillaria pectiniferaは直径3〜4cmの球形のサボテンで、メキシコのPuebla州Tehuacan Valleyの固有種です。土壌は保水力が高くアルカリ性です。M. pectiniferaは環境破壊や違法取引などにより絶滅が危惧されており、ワシントン条約(CITES)では附属書Iに含まれ国際取引が制限されています。メキシコ政府の絶滅危惧種リストにも記載されています。

M. pectiniferaの櫛状のアレオーレには白い棘があり、日照を和らげています。果実は白っぽい液果で、すぐに果実ごと種子が放出されることもあれば、サボテンのイボの中に埋め込まれたまま7〜8年かけて徐々に種子を放出する場合もあります。
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Mammillaria pectinifera(右)
『The Cactaceae』(1922年)より。Solisia pectiniferaとして記載。


著者らは、M. pectiniferaを2年間観察しました。1年目はエルニーニョ現象の影響により非常に乾燥し、2年目はラニーニャ現象により比較的雨が多い時期でした。乾燥した1年目は果実が放出されることはなく、埋め込まれた果実から種子がこぼれました。雨が多かった2年目は、新しい果実の21.5%は放出されました。2年目は実生が増え、苗の定着率も1年目の5倍に達しました。
また、温室内で水やりの量をコントロールすると、与えた水が多いほど果実の放出が多くなりました。年間降水量1000mm以上を想定したシミュレーションでは、ほぼすべての果実が放出されました。
M. pectiniferaの保持される種子の存在は、これが貯蔵種子(seed bank)として機能していることを示唆します。苗の死亡率が高い植物では、乾燥などの悪質な環境を避ける戦略かも知れません。それは、乾燥した年と雨が多い年の比較や、降水量をシミュレーションした実験からも伺えます。

以上が論文の簡単な要約です。
乾燥していたら種子をなるべく放出せず、雨が多ければ種子を放出するという賢い戦略です。雨が多い年には実生の生存率は上がります。乾燥した年に種子を放出するリスクを減らす意味もあります。M. pectiniferaは降水量をスイッチとしたSerotinyと言えるでしょう。
さて、論文ではサボテンのSerotinyは小型の球形サボテンで、現在25種類が確認されているそうです。Serotinyとされたのは、Mammillaria、Coryphantha、Dolichothele、Neobesseya、Echinocactus、Aztekium、Lophophora、Obregonia、Ariocarpus、Pelecyphoraに含まれていました。Serotinyはサボテンの中に、割と広く存在するようです。Mammillaria、Coryphantha、Obregonia、Pelecyphoraは遺伝的にも非常に近縁なため何となく分かりますが、それほど近縁ではなさそうなものもあります。乾燥に対する戦略として有効なため、分類群のあちこちで進化したのでしょうか? サボテン科全体の遺伝子解析は調べていないため断言出来ません。また、調べないといけないことが増えてしまいました。


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近年、プラスチックごみの残留が環境問題となっています。特にマイクロプラスチックと呼ばれる微細なプラスチックが動物に大量に摂取されており、その影響が心配されています。環境問題に関心がなくても、マイクロプラスチックを食べた動物を食べているであろう我々人類への影響がまだ分からないことから、この問題には無関心ではいられないはずです。
さて、論文を検索していたら、たまたまマクロプラスチックなる言葉に出会いました。マイクロプラスチックの「マイクロ」はその微小なサイズを表しているわけですが、マクロプラスチックの「マクロ」とはなんでしょうか? 一般的にはマクロは「巨大な」と言った意味合いですが、「巨大なプラスチック」とはなんでしょうか? というわけで、本日はLuca Gallitelli & Massimiliano Scaliciの2023年の論文、『Can macroplastics affect riparian vegetation blooming and pollination? First observations from a temperate South-European river』をご紹介しましょう。

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セイヨウニワトコ Sambucus nigra
ニワトコ属。薬草として知られているようです。
『Illustriertes Handbuch der Laubholzkunde』(1907年)より。


著者らはイタリア中部を流れるAniene川の河畔で、マクロプラスチックの植物の受粉に対する影響を観察しました。論文では、マクロプラスチックとは、0.5cm以上のサイズのプラスチックを指しています。
河川は都市部から来るプラスチックを海へ運びます。しかし、河畔の植生がプラスチックの一部を捕まえて閉じ込めてしまうと考えられています。このようなプラスチックの影響は今まで調べてられて来ませんでした。

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トネリコバノカエデ Acer negundo
Acerとはカエデ属のことです。沢山の品種(form)があると考えられて来ました。生長が早く丈夫なので世界中で街路樹として利用されますが、見栄えはイマイチ。
『Gartenflora』(1893年)より。


著者らは、冬の終わりの河畔植生の開花期間中に調査を実施しました。また、この時期は大雨と冬の洪水が起きるため、河畔植生にプラスチックごみがより集積します。調査地の代表的な河畔植生として、Sambucus nigra、Acer negundo、Robinia pseudoacaciaを選択しました。調査地では河畔植生の枝に434個ものプラスチックごみが付着し、芽や花の生長を許さない状態でした。観察では、ミツバチやマルハナバチなど58匹の花粉媒介者が、13本のS. nigra、24本のA. negundo、21本のR. pseudoacaciaの花を訪れました。全体としては、52個(18.6%)の花がマクロプラスチックごみにより覆われていたため、花粉媒介者が利用出来ませんでした。プラスチックごみに覆われていた割合は、S. nigraで28%、A. negundoで19%、R. pseudoacaciaで13%でした。

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ニセアカシア Robinia pseudoacacia
ハリエンジュ属。日本でもハリエンジュの名前で街路樹として利用されています。ちなみにマメ科なので豆がなります。
『Illustriertes Handbuch der Laubholzkunde』(1907年)より。


以上が論文の簡単な要約となります。
さて、これらのことから何が言えるでしょうか? 著者らは、まず河畔の生態系に対する影響を挙げます。河畔植生は、水質に対する改善効果などがあるとされます。プラスチックが芽を覆い、植物の生長に悪影響を及ぼします。また、花が減ることにより植生だけではなく、花を訪れる花粉媒介者にも影響が出る可能性もあるのです。
また、マイクロプラスチックが花とハチミツが検出されたという報告があります。マイクロプラスチックはマクロプラスチックごみが発生源の1つでしょう。しかし、これはミツバチにも、それを食べる人間にも何かしらの影響があるかも知れません。
しかし、驚いたのは論文に掲載された河畔の写真です。河畔の樹木の枝に大量のゴミがぶら下がる光景は、まるでゴミで作った汚いクリスマスツリーのようです。ここまで大量にゴミが河川に流されているとは思いませんでした。まあ、日本の都市部の河川はヘドロが溜まった小汚いドブと化していますから、偉そうなことは言えませんけどね。



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Elaiosomeとは種子についた栄養分のことですが、その栄養分を目的にアリが種子を巣穴に運ぶことが知られています。このようなアリにより拡散される種子を、Myrmecochory種子と呼びます。このような、MyrmecochoryやElaiosomeについて興味があったのですが、中々良い論文が見つかりませんでした。しかし、CaatingaのMyrmecochoryについて書かれた論文を見つけました。それは、Inara R. Lealらの2007年の論文、『Seed Dispersal by Ants in the Semi-arid Caatinga of North-east Brazil』です。
生物の多様性が高い地域をホットスポットと呼びますが、サボテンにもホットスポットが存在します。ブラジルの半乾燥地域にあるCaatingaの森も、サボテンのホットスポットの1つです。この論文ではサボテンだけではなく、様々なMyrmecochory植物について調査されています。

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Jatropha mutabilis
「Das Pflanzreich」(1910年)より。J. obtusifoliaとして記載。


著者らはCaatingaのXingo'地域でアリにより散布される種子を3年間にわたり調査しました。アリによる種子の散布は、Xingo'地域の樹木の1/4を占めていましたが、Elaiosomeがついた「真のMyrmecochory」は樹木の12.8%でした。
Myrmecochoryは、Elaiosomeを持つ種子を含み、仮種皮(Aril)や偽仮種皮(Arillode)、種枕(Caruncle)を持つ種子からなります。Elaiosomeのついた種子はアリにより巣穴に運ばれ、Elaiosomeは取り除かれ種子はゴミ捨て場や巣穴の入口に捨てられます。Myrmecochoryは、火災が多かったり、土壌の栄養が貧弱な地域に良く見られるとされます。アリの巣穴は栄養分が蓄積し、火災から守られるためです。

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Opuntia palmadora(右上)
「The Cactaceae」(1919年)より。


アリにより運搬された種子は、2つのタイプがありました。1 つは核果(Drupe)や液果(Berry)などの肉質の果実を持つタイプで、非Myrmecochoryです。つまりは、アリによる種子の運搬に特化していないものです。このタイプの植物は14種類が確認されました。2つめは仮種皮や種枕、肉質種皮(Sarcotesta)を含む、13種類のMyrmecochory種子でした。真のMyrmecochoryはトウダイグサ科植物の種枕を持つ11種でした。トウダイグサ科のJatropha mollissimaやCnidoscolus quercifoliusの種子は、ほとんどのアリ(10種類)を引き付けました。種子を運搬する主要なアリは7種類が確認されましたが、その平均分散距離は409.2〜538cmであり、自然に種子が落下したよりも広く拡散されます。
Myrmecochory種子はアリの運搬に特化していますが、非Myrmecochory種子でもアリにより運搬されます。非Myrmecochory種子は、本来運搬する動物が運搬して落とした種子も、二次的にアリが運搬しています。よって、Caatingaの森ではアリが種子散布者として重要な役割を果たしていることを示唆しています。

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Manihot carthagensis subsp. glayiovii
「Rubber and rubber planting」(1879-1915年)より。M. glazioviiとして記載。


以上が論文の簡単な要約です。
種子をアリに運搬された植物は27種類ありましたが、うち11種類がトウダイグサ科と圧倒的です。やはり、真のMyrmecochory種子はアリに特化しているということなのでしょう。今回観察されたトウダイグサ科植物は、Cnldoscolus属、Croton属、Jatropha属、Manihot属でした。次に多いのが、サボテン科で液果をつけます。観察されたサボテン科はCereus jamacaru、Melocactus bahiensis、Opuntia palmadora、Pilosoceus gounelleiの4種類でした。
果実には種類があり、何かしらの方法で動物を引き寄せ、種子の拡散を手伝わせます。例えば、液果は動物に食べられて消化管で果肉が除去され、糞の中に種子だけが残ります。果肉にはアブシシン酸など発芽を抑制する植物ホルモンが含まれるため、果実を動物に食べられることが重要です。親木の近くに果実が落ちただけでは発芽せず、動物により食べられて運搬された時に初めて発芽可能となるという上手い仕組みです。どうやら、Elaiosomeを持つ種子も、Elaiosomeの除去が発芽率を上昇させるようで、やはりアリにより運搬されElaiosomeを取り除かれる必要があります。論文中ではメロカクタスの果実もアリにより運搬されたようですが、メロカクタスの本来の種子散布者はトカゲです。トカゲに食べられなかった果実は地面に落ちて、アリにより運搬されるのです。
植物を栽培したり鑑賞する最大の目的は、おそらく花でしょう。植物にとっても花は繁殖のための要ですから重要です。ですから、花の受粉は生態学的にも重要で、沢山の論文が出ており私も度々記事にしています。しかし、受粉後の種子の拡散も、植物にとっては重要なイベントであるはずです。以上のように、種子の拡散は植物により種類があり、その拡散方法も様々です。私も興味がありますから、少しずつ調べてみるつもりです。

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Cereus jamacaru
「The Cactaceae」(1920年)より。


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最近、とても気になっていることがあります。以前購入したOperculicarya borealisの実生苗ですが、それが本当にO. borealisであるか良くわからなかったのです。ネットで検索すると何やらそれらしい情報は出てきますが、個人ブログの情報がどこまで正しいか良く分かりません。しかも、オペルクリカリア全種類の見分け方はまったく分からないため、ある種と特徴の一部が一致していても、同じ特徴を他の種も持っている可能性があります。具体的に言うと、O. borealisの葉には毛が生えていると言われますが、私の株にはありません。では、何かと言われると良くわからないのです。

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Operculicarya borealis?

ということで、オペルクリカリアの特徴を記述した論文を見つけましたから、ご紹介しましょう。それは、Armand Randrianasolo & Porter P. Lowry IIの2006年の論文、『Operculicarya (Anacardiaceae) revisited: an updated taxonomic treatment for Madagascar and Comoro Island, with description of two new species』です。この論文では、2種類の新種を説明するために、既存の種の見分け方が記述されています。


①葉軸の翼
 1. 葉軸に翼がある→②へ
 2. 葉軸に翼がない→⑦へ
②小葉の最大の長さ
 1. 小葉の長さは最大20mm以上
         →O. capuronii
 2. 小葉の長さは最大10(-15)mm
  →③へ
③葉に生えた毛
 1. 葉軸上に密な毛がある→④へ
 2. 葉はほぼ無毛。若い葉ではまばらに
  細かい毛がある。→⑥へ
④小葉の葉脈
 1. 葉脈がわずかに残る
  →O. hirsutissima
 2. 葉脈は顕著で裏面で隆起→⑤へ
⑤葉の形
 1. 小葉の先端は平らで、小葉は縁が
  丸まる、葉脈の間に深い空洞
  →O. hyphaenoides
 2. 小葉は楕円から倒卵形、小葉の縁は
  丸まらない、葉脈の間に深い空洞はない
  →O. borealis
⑥枝の形
 1. ジグザグの枝→O. pachypus
 2. 枝はまっすぐ→O. decaryi
⑦葉柄の長さ
 1. 葉柄は0.5mm以下→O. multijuga
 2. 葉柄は1〜4mm→O. gummifera
 
では、実際に謎のオペルクリカリアの特徴を見てみましょう。
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葉軸に羽がありますから②です。小葉は5〜6mmで、最大でも10mmですから③になります。さらに、葉に毛はほとんどないように見えますから⑥です。

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葉の裏面にも毛がありません。葉脈も目立ちません。葉脈が目立つO. hyphaenoidesやO. borealisではないようです。

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茎はジグザグにつきます。以上の特徴からは、O. pachypusということになります。どうやら、O. borealisではないようですね。GBIFの画像データでは、O. pachypusの葉脈は目立ず、O. decaryiの葉脈は主脈が目立ち、O. borealisの葉脈は側脈まではっきりとしていました。
また、O. hirsutissimaは良い画像データがないため、乾燥標本だけでは細かい特徴は良く分かりません。O. hyphaenoidesは葉が巻いて非常に特徴的です。葉軸に翼がないO. multijugaとO. gummiferaは、小葉の先端が尖ります。


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Operculicarya gummifera
『Flora de Madagascar et des Comores』(1946年)より。Poupartia gummiferaとして記載。


ちなみに、2015年には同じArmand Randrianasolo & Porter P. Lowry IIによる『A new species of Operculicarya H. Perrier (Anacardiaceae) from western dry forests of Madagascar』では、9種類目となるオペルクリカリアの新種、Operculicarya calcicolaが説明されました。O. calcicolaは葉軸に羽はなく、小葉は11〜13cmで葉柄は2〜5mmです。O. gummiferaと似ていますが、小葉は3〜6.3cmです。O. calcicolaは小葉や果実、花序軸など、全体的に大型です。

Operculicarya pachypusは爪楊枝くらいの細さの苗でも非常に高額で、今まで買う気になりませんでした。しかし、安いからと何となく購入したO. borealisが、どうやらO. pachypusだったようです。まあ、多肉植物をやるならばオペルクリカリアの1つくらいは育てたいと思っていただけで、O. borealisが欲しかったというわけでもないため、逆に良かったような気もします。
ところで、このオペルクリカリアは異なった名前で販売されていたわけですが、これは名札を間違えたからではなく、おそらくは輸入種子の名札がO. borealisだったのでしょう。このように、異なる名前で多肉植物が販売されるのは珍しいことではなく、私も度々こういう多肉植物に遭遇しています。ネット販売されている多肉植物でも、名前が間違っている場合はそのほとんどが同じ間違いをしていたりしますから、供給元が同じなのかも知れません。
さて、おそらくはO. pachypusであろうという結論に至りましたが、懸念というか心残りはO. hirsutissimaです。葉軸に密な毛がないため、私のオペルクリカリアとは異なる気がしますが、確かな画像データがないのは残念です。とはいえ、基本的に流通していないO. hirsutissimaである可能性はなさそうですけどね。


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先日、千葉で開催された木更津C&Sフェアで購入した多肉植物たちを植え替えました。使用している用土が異なりますから、乾燥の具合を上手くコントロールできないため、真冬でもない限りは植え替えたくなります。特に化粧砂がある場合は、下の用土が不明なのが怖いところです。ピートなどの腐植質が多かったり、非常に粒の細かい用土だと、私の水やり感覚だと根腐れしてしまいがちです。

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Euphorbia dichroa
化粧砂がありますが、下の用土は割と水はけは良さそうでした。

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どうやら挿し木苗のようで、新しい細い根しかありませんが、勢いは良いみたいです。
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植え替え後。すぐに窮屈になりそうですから、プレステラ90で鉢増ししました。


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Euphorbia marsabitensis
こちらは明らかに鉢が小さいので、植え替えは必須です。

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根の状態は普通。
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植え替え後。バランスが良くなりました。


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Euphorbia razafindratsirae
排水は良さそうな用土でしたから、植え替えは必要なさそうです。しかし、根の状態は気になるところです。

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非常に根は発達していました。
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植え替え後。元の鉢でも良かったのですが、根域は広い方が良いのでプレステラ90に変えました。


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Euphorbia paulianii
バランスが悪く(風が強い我が家では)、倒れてしまいそうです。

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根はパンパンで限界でしたね。
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植え替え後。思い切ってプレステラ120に植えました。バランス的にこれくらいは必要な気がします。


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Aloe fragilis
こちらも化粧砂が気になりますが、用土は水はけは良さそうでした。
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根の発達も良く、動いています。
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植え替え後。


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Gasteria nitida
ガステリアは根が太く強いので、かなり窮屈になっていると予想。

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予想通り、根が鉢いっぱいに広がっていました。
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植え替え後。プレステラ105に植えました。ガステリアの花が好きなので、早く見たいですね。冬に咲くでしょうか?


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近年、海外のソテツが販売されているのを、たまに目にします。よく見るのは、メキシコ周辺に分布するZamiaやDioonです。しかし、多肉植物の即売会ではEncephalartosも販売されていたりすることもあります。Encephalartosは希少かつ高額で、販売に制限があり、取引には国の許可が必要なソテツです。それほど一般的なソテツではないでしょう。国内で販売されるEncephalartosはE. horridusですが、Encephalartosは実は沢山の種類があります。本日はそんなEncephalartosの進化と分布について見てみましょう。参考とするのは、Ledile T. Mankgaらの2020年の論文、『On the origin and diversification history of the African genus Encephalartos』です。

Encephalartosは約65種類からなるアフリカの固有種です。しかし、Encephalartosのうち45種類はアフリカ南部に分布し、中央アフリカで5種類、西アフリカは1種類、北アフリカには分布しないなど、その分布には偏りがあります。この謎を解決するために、遺伝子解析と地理的な拡散の経路の分析を行いました。

以下の系統図は、遺伝子解析の結果から近縁な9グループの関係性を示します。ある程度、分布地域ごとにまとまりがあることが分かります。ちなみに、論文ではアフリカ西部とはベナン、ガーナ、ナイジェリアのギニア湾沿いの国で、アフリカ中央部とはコンゴ共和国、アフリカ東部とはタンザニア、ケニア、ウガンダ、スーダン、アフリカ南部とはザンビア、南アフリカ、モザンビーク、スワジランド、マラウイを指しています。


                        ┏━━A
                          ┏┫ (アフリカ中央部)
                          ┃┗━━B
                      ┏┫  (アフリカ東部等)
                      ┃┗━━━C
                  ┏┫ (アフリカ東部・南部)
                  ┃┗━━━━D
              ┏┫  (アフリカ東部・南部)
              ┃┗━━━━━E(アフリカ南部)
          ┏┫
          ┃┗━━━━━━F(アフリカ南部)
      ┏┫
      ┃┗━━━━━━━G
  ┏┫      (アフリカ東部・南部)
  ┃┗━━━━━━━━H(アフリカ南部)
  ┫
  ┗━━━━━━━━━I(アフリカ南部)

それぞれのグループに含まれる、解析されたEncephalartosを示します。

グループA(アフリカ中央部原産)
E. marunguensis、E. schmitzii、E. poggei、E. schanijesii、E. laurentianus

グループB(アフリカ東部・西部・中央部原産)
E. equatorianus(アフリカ東部原産)、E. bubalinus(アフリカ東部原産)、E. barteri(アフリカ西部原産)、E. macrostrobilus(アフリカ東部原産)、E. ituriensis(アフリカ中央部原産)、E.whitelockii(アフリカ東部原産)、E. tegulaneus(アフリカ東部原産)、E. septentrionalis(アフリカ東部原産)

グループC(アフリカ東部・南部原産)
E. hildebrandtii(アフリカ東部原産)、E. sclavoi(アフリカ東部原産)、E. kisambo(アフリカ東部原産)、E. turneri(アフリカ南部原産)、E. gratus(アフリカ南部原産)
 
グループD(アフリカ東部・南部原産)
E. ferox(アフリカ南部原産)、E. mackenziei(アフリカ東部原産)

グループE(アフリカ南部原産)
E. manikensis、E. concinnus、E. chimanimaniensis、E. pterogonus、E. munchii、E. dolomiticus、E. nubimontanus、E. eugene-maraisii、E. dyerianus、E. cupidus、E. middleburgensis、E. cerinus

グループF(アフリカ南部原産)
E. inopinus、E. umbeluziensis、E. villosus、E. aplanatus、E. caffer、E.ngoyanus
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Encephalartos caffer
「Tijdschrift voor natuurlijke geschiedenis en physiologie」(1838年)より。Encephalartos brachyphyllusとして記載。


グループG(アフリカ南部・東部原産)
E. hirsutus(アフリカ南部原産)、E. delucanus(アフリカ東部原産原産)

グループH(アフリカ南部原産)
E. paucidentatus、E. heenanii、E. lebomboensis、E. aemulans、E. senticosus、E. relictus、E. transvenosus、E. natalensis、E. msinganus、E. woodii、E. altensteinii、E. lehmannii、E. latifrons、E. arenarius、E. horridus、E. trispinosus、E. princeps、E. longifolius
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Encephalartos horridus(左下)
「Tijdschrift voor natuurlijke geschiedenis en physiologie」(1838年)より。Encephalartos nanusとして記載。


 グループI(アフリカ南部原産)
E. ghellinckii、E. humillis、E. leavifolius、E. brevifoliolatus(絶滅種)、E. lanatus、E. friederici-guilielm、E. cycadifolius


以上が論文の簡単な要約となります。
実際に論文では、分岐年代などを考察していますが、ここでは割愛させていただきます。
さて、系統図を見ると、アフリカ南部がEncephalartosの起源地に見えます。アフリカ南部からアフリカ東部、アフリカ東部からアフリカ中央部とアフリカ西部という道筋をたどりながら進化したのかも知れません。
過去の遺伝子解析の結果からは、不思議なことにEncephalartosは同じアフリカ大陸原産のStangeriaに近縁ではありません。むしろ、Encephalartosはオーストラリア原産のLepidozamia、Macrozamia、Boweniaに近縁です。おそらく、アフリカ大陸とオーストラリアが繋がっていた時に、共通祖先が伝播したのでしょう。ペルム紀から三畳紀にかけて存在したパンゲア大陸では、南極大陸をはさんでアフリカ大陸とオーストラリアがありました。南極大陸からも植物の化石が見つかっていますが、Encephalartosとオーストラリアのソテツの共通祖先の化石が見つかっているのか気になるところです。それはそうと、アフリカ大陸と南極大陸の結合部は、現在のアフリカ南部であることも何やら意味深です。
ソテツの進化と伝播はどのような筋道を辿ったのでしょうか? これからも関係ありそうな論文を読んでいくつもりです。良い論文がありましたら、ご紹介出来ればと考えております。


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昨日は木更津にあるかずさアカデミアホールで開催された、「木更津Cactus&  Succulentフェア」に行ってまいりました。私はこのイベントに行くのは4回目になります。毎回、東京駅から高速バスで向かいますが、今回も同様です。昨日はアクアラインが渋滞で20分ほど遅れました。まあ、すぐに売れてしまうようなものは買いませんから、特に問題はありません。
今回は出店も多く、海外のブースもいくつかありました。私は安いユーフォルビアを探しましたが、割とありましたね。ビッグバザールとはラインナップが異なるため、割と楽しめました。ギムノカリキウムが割とありましたが、今回はユーフォルビアが豊富だったので断念しました。エケベリアはあまりありませんでしたが、アガヴェの抜き苗(輸入品?)は沢山ありましたね。
さて、肝心の購入品についてです。


1つ目は、前回はE. ramenaやE. makayensisなどの花キリンを購入したところと多分同じブースです。今回も安いユーフォルビアが沢山あったので、ついつい沢山購入。(安かった)
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Euphorbia dichroa
ウガンダ原産のユーフォルビア。根元から細い枝が叢生するみたいです。


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Euphorbia marsabitensis
ケニアの山地に生えるようです。サイズ感はちがいますが、タンザニア原産のE. lenewtoniiと少し似た雰囲気があります。

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Euphorbia razafindratsirae
以前、挿し木苗を入手して育てていますが、実生苗があったので購入。何故かE. razafindratsiraeの名前で流通していますが、現在ではE. mangokyensisが正式な学名です。マダガスカル原産の塊根性花キリン。


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Euphorbia paulianii
マダガスカル原産の花キリンです。E. perrieri var. elongataと呼ばれることもあります。



2つ目は、前回アロエを購入したBaby leaf plantsさんです。今回もアロエが沢山ありましたね。
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Gasteria nitida
臥牛Gasteria nitida var. armstrongiiは見かけても、Gasteria nitidaは見ないですよね。G. nitidaと変種armstrongiiは分布は重なりますが、遺伝的には近縁ではないようです。

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Aloe flagilis
正確にはAloe fragilisです。マダガスカルの小型アロエ。


こういうイベントでは、多肉植物に力を入れているような大型園芸店でも見かけないような、面白い植物を見ることが出来ます。今回は花キリンに期待していましたが、やはり色々あって嬉しい限りです。珍しいアロエも入手しました。今回は中々満足感が高い即売会でしたね。
これからも、忙しくなければ、なるべく多肉植物のイベントに参加したいと思っています。以上、木更津C&Sフェアでした。


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メロカクタスは育てたことはありませんが、発達した花座が非常に特徴的なため、ひと目見たら忘れられないサボテンです。私もそれなりに興味があり、メロカクタスの論文を記事にしたことがあります。その論文では、地面に落ちたメロカクタスの果実は、アリが巣に運んだりと、アリが種子の拡散に関与しているというものでした。しかし、論文では何やら気になることが書いてあり、とても気になっていました。曰く、「メロカクタスの果実はトカゲが食べるが…」と、話の前置きとしてさらりと書かれていたのです。どうにもトカゲとサボテンの実が頭の中で結びつかず、長らく疑問に思っていました。そこで、本日はその宿題を片付けるために、メロカクタスの実を食べるトカゲについて書かれた論文を見てみましょう。それは、Vanessa Gabrielle Nobrega Gomesらの2021年の論文、『Endangered globose cactus Melocactus lanssensianus P. J. Braun depends on lizards for effective seed dispersal in the Brazilian Caatinga』です。

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Melocactus spp.
花座から飛び出した果実に注目。

『The Cactaceae』(1922年)より。

Melocactus lanssensianusはブラジルのCaatingaの花崗岩の露頭に固有のサボテンです。M. lanssensianumは国際自然保護連合(IUCN)レッドリストで、絶滅危惧種(EN)に分類されています。また、違法取引が大きな脅威であり、ブラジルのレッドリストでも絶滅危惧種に指定されています。そのため、M. lanssensianumの生態を研究することは、その保護活動のために重要です。
M. lanssensianumはすべての月で果実をつくりました。果実生産のピークは、乾季と雨季の双方でありました。


著者らの観察では、M. lanssensianumには2種類のトカゲが訪れ、果実を食べました。訪れたのは雑食のトカゲである、全長20cmになるTropidurus semitaeniatusと、全長35cmになるTropidurus hispidusでした。T. semitaeniatusはサボテンを登るか、果実めがけてジャンプして、果実を食べました。また、T. semitaeniatus同士で果実を求めて争いが観察されました。T. hispidusは二足歩行で直立し、サボテンに登らずに果実を食べました。
著者らはサボテンの周囲5mに落ちたトカゲの糞を集め、中の種子を数えました。T. semitaeniatusの20個の糞から122個の種子を、T. hispidusの9個の糞から10個の種子が見つかりました。種子の散布は、75%以上がT. semitaeniatus、24%がT. hispidusにより行われてました。
T. semitaeniatusの糞から採取された種子は約85%の発芽率を示しました。これは、実験的に果肉を除去しなかった種子の発芽率41%よりも高い確率でした。


Melocactusは一般に管状の花を咲かせ、ハチドリにより受粉します。しかし、M. lanssensianumは観察期間中で一度も開花せずに結実しました。これは、閉花受粉(Cleistogamy)であり、未開花のまま自家受粉します。この繁殖戦略は、環境ストレスが高い場合や花粉媒介者が少ない生息地に対する適応である可能性があります。

以上が論文の簡単な要約です。
トカゲがメロカクタスの種子散布者であるというのは、中々面白い事実です。閉花受粉が環境や花粉媒介者に関係するかも知れないことも分かりました。一年中果実が生産されるのは、閉花受粉するからであることが分かります。気になっていたことを調べただけですが、大変勉強になる論文でした。


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いよいよ明日は木更津Cactus & Succulentフェアが開催されます。今までは5月と12月の開催でしたが、今回は何故か10月の゙開催です。多肉植物ブームの恩恵でしょうか? 木更津C & Sはビッグバザールとはラインナップが少し異なりますから、なにか面白いものがあるかも知れません。
今日は過去の木更津C & Sの購入品の育ち具合を見てみましょう。ちなみに、上が購入時で下が現在の姿です。

①2021年12月
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Euphorbia tortirama
枝がねじれるタイプのユーフォルビア。1年目はほとんど動きませんでしたが、今年になってようやく枝が伸び始めました。


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Euphorbia clavigera
帰宅時の振動で抜けてしまいました。冬に植え替えをする羽目になったせいか、去年は調子が悪そうで心配しました。今年になりようやく復活の兆しが見えてきました。


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Operculicarya borealis
プレステラに植えてあったわけですが、塊根がむき出しかつ鉢底についてしまっていました。そのため、去年の春にプレステラの深型に植え替えました。しかし、今年の春に植え替えたら、塊根が鉢底に当たってしまい、いかにも窮屈そうでした。仕方がないので、見た目は悪いのですがロングポットに植えました。何故か伸びた枝が垂れていますが、生長自体は良好です。


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Aloe peglerae
ペグレラエはかなり葉が充実して混んできました。原産地では貴重なアロエですが、国内では実生苗が出回っていますから入手は割と簡単です。


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Aloe spectabilis
こちらは、おまけで貰ったスペクタビリスです。見違えるように育ちましたね。しかし、これは巨大アロエですから、いずれ手に負えなくなるかも知れません。


②2022年12月
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グロエネフィカ
E. groenewardii × E. veneficaという面白い交配種です。生長中は葉がついたままなのは、E. veneficaに似ています。育ちはいいですね。


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Dioon edule
エドゥレは非常に生長が遅いことが知られている、非常に長寿な新大陸産ソテツです。今年植え替えましたが、新しい葉が2枚出ました。


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Euphorbia balsamifera
バルサミフェラは、ちょうど良い環境がまだ見つかっていません。今は水多めで、かなり遮光して育てています。



③2023年5月
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Euphorbia granticola
グランティコラは新しい強いトゲが生えてきました。まだ、入手から数ヶ月ですから、これからが楽しみです。


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Euphorbia venefica
E. venenificaと呼ばれがちなベネフィカですが、有名な割にはあまり見かけませんね。猛毒3兄弟はみな似ていますが、どうもE. poissoniiとE. unispinaは同種の可能性があるようです。しかし、ベネフィカは葉の特徴がまったく異なりますね。

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Euphorbia ramena
小さな葉がついていましたが、今は強い大きな葉が沢山出ました。トゲではなく、赤褐色の毛が出る不思議なユーフォルビアです。


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Fouquieria splendens
枝が勢い良く伸びました。Fouquieriaの中ではF. columnarisと並んで葉が繊細で傷みやすいようです。

さて、私は木更津C & Sにはまだ3回しか行っていませんが、まだ始まって日が浅いイベントです。出店も徐々に増えているようで、自分の中ではビッグバザールに次ぐ多肉植物即売会となっています。明日は一般参加でゆっくり行くつもりです。
明日のイベントの様子は明後日に記事にする予定です。お楽しみに。


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Sedumは丈夫で育てやすく、寄植えやグランドカバーなど用途の幅も広く、その種類も非常に沢山あります。しかも、近年に至っても沢山の新種が発見されています。新たな調査により発見される場合もありますが、近年の特徴は遺伝子解析による新種の発見でしょう。産地ごとの微妙な違い程度と考えられて変種や亜種とされてきたものが、遺伝子解析により分離されるという報告がなされるようになりました。このように、新種の発見は大変興味深いものです。しかし、我々趣味家には中々情報が入って来ないものです。本日はそんなセダムのここ10年と少しの新種について、ごく簡単にご紹介しましょう。ただ、私もそのすべてを歩漁出来ませんから、おそらくご紹介出来たのはその一部に過ぎないかも知れません。

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Sedum spp.
『Illustrations of the British flora』(1908年)より。


2010年
・米国のアイダホ州から新種であるSedum valensが記載されました。


2012年
・メキシコから新種であるSedum kristeniiが記載されました。
・メキシコとグアテマラから新種であるSedum mesoamericanumが記載されました。
・中国から新種であるSedum plumbizinicicolaが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum perezdelarosaeが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum jarochoが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum brachetiiが記載されました。


2013年
・台湾の石灰岩地から新種であるSedum tarokoenseが記載されました。
・中国から新種であるSedum kuntsunianumが記載されました。


2014年
・米国のカリフォルニア州から新種であるSedum citrinumが記載されました。
・中国から新種であるSedum spiralifoliumが記載されました。


2015年
・メキシコから新種であるSedum moniliformeが記載されました。Sedum longipesに良く似ているということです。
・メキシコから新種であるSedum piaxtlaenseが記載されました。
・メキシコから新種であるSedum pyriseminumが記載されました。


2016年
・東アフリカのケニア山高地から、新種であるSedum kenienseが記載されました。


2017年
・日本の男女群島より新種であるSedum danjoenseが記載されました。Sedum formosanumとされてきましたが、遺伝子解析により別種として分離されました。
・メキシコから新種であるSedum sinforosanumが記載されました。
・中国からSedum peltatumが説明されました。しかし、キュー王立植物園のデータベースには記載がありません。


2019年
・中国の石灰岩地から新種であるSedum lipingenseが記載されました。
・中国から新種であるSedum ichangensisが記載されました。
・台湾から新種であるSedum kwanwuenseSedum taiwanalpinumが記載されました。


2020年
・中国から新種であるSedum nanlingensisが記載されました。Sedum onychopetalumやSedum kiangnanenseに近縁とされます。
・ペルー北部から新種であるSedum hutchisoniiが記載されました。
・日本の小笠原諸島から新種のSedum mukojimenseが記載されました。Sedum boninenseから分離されました。


2022年
・メキシコから新種であるSedum dormiensが記載されました。
・日本の九州地方から沖縄に分布するSedum japonicum subsp. uniflorumあるいはSedum uniflorumとされるセダムは、Sedum ryukyuenseとされました。これは、1838年に記載されたSedum uniflorum Hook. & Arn.は、過去に同名のセダムが命名されていたため非合法名として命名され直されました。ちなみに、同名のセダムとは、1810年に命名されたSedum uniflorum Raf.(=Phedimus stellatus)です。 


2023年
2023年に出た論文で説明された新種は、まだデータベースに記載がありません。
・中国から新種とされるSedum jinglaniiが説明されました。
・中国から新種とされるSedum yangjifengensisが説明されました。
・中国から新種とされるSedum danxiacolaが説明されました。
・日本の九州地方の石灰岩地より、新種とされるSedum kawarenseが説明されました。Sedum lipingenseに近縁とされます。


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Sedum bourgaei
『Addisonia』(1917年)より。


セダムは種類が多く皆よく似ていますから、種類の判別は中々困難です。意外にも日本でもまだ新種のセダムが見つかっていますが、その経緯は種の整理や分離独立といった形です。これは、日本のセダムが広く分布する種類と似ていたら、基本的に広域種の地方変異程度に考えてしまうため、このような事態となっているのでしょう。今は遺伝子解析という武器があるため、隠蔽されていた新種が見つけ出されたのです。これからも、このようなケースは増えてくることは確実ですから、場合によっては新種が次々と見つかる可能性もあります。セダムはある意味、今熱い分野なのかも知れませんね。


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10月に入り、日中はともかく朝晩は急に涼しくなりました。昼夜の寒暖差は多肉植物にとっては良い環境です。どんどん生長して欲しいものです。本日はそんな10月はじめの多肉植物たちをご紹介しましょう。

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Haworthia obtusa
まずはハウォルチアから。オブツーサは暑さにも負けず、パンパンに膨らんでいます。
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オブツーサは半野良で、冬も屋外に出しっぱなしですが、いつの間にやら増えてしまいます。

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Tulista pumila
結節が密につくプミラです。非常に好調です。以下、しばらくはツリスタが続きます。


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Tulista kingiana 
キンギアナは赤味が強くなりやや怪しげな雰囲気ですが、日焼けの兆候はありません。根の張りも非常に良く、ガッチリしています。暑さがストレスだっただけかも知れません。


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Tulista marginata
マルギナタの結節がないタイプです。まだ、回転し始めたばかりですから、あまりツリスタっぽい葉ではありません。しかし、順調に育っていいます。


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Tulista pumila var. ohkuwae GM 602
フィールドナンバーつきのプミラ、しかも最優美と言われる変種ohkuwaeです。結節が非常に目立ちますね。生長は緩やかです。


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Tulista minor
ミノルも生長は緩やかです。


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Tulista minor "swellense"
優れた固有産地のスウェレンセですが、これは大変まずい色合いです。触るとフニャフニャでした。

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これは駄目な感じです。中心までやられてしまいました。去年に一回焦がしてしまい、それから色味も悪く調子が戻りませんでしたが、復活出来なかったようです。残念。

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Euphorbia boiteaui
こちらは、珍しい実生のボイテアウイです。一般的にはE. decaryiの名前で知られています。挿し木だとグングン枝が暴れるように育ちますが、実生だと生長は緩やかで、自然に締まった形となるようです。


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Euphorbia cap-saintemariensis
聖マリー岬固有の小型花キリンです。論文の情報では生息地の降水量はかなり少ないということでしたから、水はかなり絞りました。しっかりと日を当てたこともあり、新しい葉はかなり厚みがある多肉質になりました。


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Euphorbia ambovombensis
アンボボンベンシスは何故か花が咲きません。塊根の根元から新しい枝が出ました。生長自体は良好なので、良く分かりませんね。


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Euphorbia ellenbechii
春に植え替えたら、根元の枝がポロッと取れてしまいました。仕方がないので挿しておいたのですが、どうやらしっかりと根を張ったようです。


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Pachypodium rutenbergianum
挿し木苗。せっかく出た根がホームセンターでカリカリに乾いてしまっていましたが、捨て値だったので買いました。すぐに根を張り、葉を沢山出しました。

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よく見ると、幹が太って割れてきています。ルテンベルギアヌヌムは棒状に細長く伸びるようですが、ある程度太るなら、枝を切り戻しながら枝を増やす盆栽作りにしてみるのはどうでしょうか。マダガスカルのパキポディウムは枝が太いため、基本的に切り戻すのはためらいますが、ルテンベリゲアヌムは枝も細いため盆栽作りには適しているかも知れません。ケヤキの盆栽のように仕立てたら面白いような気がします。


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サボテンの外敵とはなんでしょうか? ほとんどのサボテンはトゲに覆われており、簡単には草食動物に食べられることはないでしょう。アフリカでは、トゲだらけのアカシアの枝をキリンが食べたり、やはりトゲだらけのユーフォルビアをサイが食べたりしています。しかし、アメリカ大陸には大型の草食動物は少なく、ある程度のサイズがあるのは、ヘラジカ、バイソン、リャマ、アルパカ、グアナコ、カピバラ、マーラくらいなものでしょうか。
サボテンの分布を考えると、可能性があるのはグアナコくらいかも知れませんが、サボテンをむしゃむしゃ食べられる感じはしません。ラクダはサボテンを食べたりするらしいので、ラクダの仲間であるグアナコは食べるかも知れません。ちなみに、ラクダは中央アジアの砂漠にフタコブラクダが、アフリカから中東にはヒトコブラクダが分布します。いずれにせよ、ラクダが食べるサボテンは野生化したもので、おそらくはウチワサボテンでしょう。流石にラクダでもFerocactusを食べることは難しいような気もします。
話が脱線しました。サボテンを食べる動物については後で論文をあたるとして、本日の話題はサボテンを食べる外来種が観察されたという論文についてです。その論文は、Felipe S. Carevic & Ermindo Barrientosの2022年の論文、『Efectos de la introduction de fauna aloctona (Canis familiaris) en ecosistenmas aridos: estudio de caso en cactaceae endemics』です。


チリ北部の固有の植物相では、外来動物の影響はあまり評価されていません。著者らはAtacama州のFreirinaにあるサボテン集団に対する外来動物の被害を評価しました。自生するサボテンのうち調査したのは、Copiapoa coquimbanaとEriosyce napina、Eriosyce subgibbosaの3種類です。この論文で問題とされる外来動物とは、まさかの野良犬です。何が起こっているのでしょうか。

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Copiapoa coquimbana(下)
『The Cactaceae』(1922年)より。

著者らの観察により、驚くべきことに野良犬がサボテンを齧っていることが分かりました。もちろん、頭から齧りついたわけではなく、掘り返して根の方からサボテンの内側を上手く齧っているようです。3種類のサボテンでは、そのほとんどでC. coquimbanaが野良犬による被害を受けました。調査期間に被害を受けたサボテンは、VeranoではC. coquimbanaが12個体、E. napinaが3個体、E. subgibbosaが2個体、InviernoではC. coquimbanaが15個体、E. napinaが3個体、E. subgibbosaが2個体でした。
以前の研究では、Copiapoaは水分と糖分が他のサボテンよりも豊富であるとされており、水分の補給源としてより魅力的なのかも知れません。また、著者らはEriosyceは斜面や岩の隙間に生えるため、野良犬がアクセス出来ない可能性もあるとしています。


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Eriosyce napina(右)
『The Cactaceae』(1922年)より、Malacocarpus napinaとして記載。

以上が論文の簡単な要約です。
犬がサボテンを齧るという思わぬ出来事が発見されたわけですが、それ以上にトゲをこのような形で克服していることにも驚きました。そして、当然ながら野良犬は野生のサボテンにかなりの悪影響を与える新しいファクターとなってしまいました。非常に残念なことです。ただし、サボテンの保護を考えた時に、このような地道な知見が役に立つはずですから、今後に繋げていけたら素晴らしいですね。


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今年の正月明けに開催されたサボテン・多肉植物のビッグバザールで、珍しく多肉植物の種子が色々と販売されていました。面白いので、ついついソテツの種子を購入しましたが、すっかり忘れていて播種したのは3月に入ってからでした。その後、中々芽が出ない中、水やりも忘れがちになっていましたが、なんと5月に入ってようやく根が出て来ました。それから葉が出るまで、さらに時間がかかりましたが、無事に葉が展開して一安心していました。
赤玉単用で播種したので、来年は植え替える必要があるかと考えていましたが、鉢底から根がはみ出してしまいぐらつくため、急遽植え替えることにしました。


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Cycas nongnoochiae
発芽するまではラップを張って乾かさないようにしたため、種子のサイズを考慮して用土は浅く敷いてありましたが、これが後に問題となります。


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太い根がはみ出しており、安定感がありません。

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しかし、鉢底のスリットより根が太いため、鉢を壊しましたが、スリットに根が食い込んでくびれていたため、根が裂けてしまい結局は切断する羽目になりました。

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切断された根のすぐ上に細根がありました。しかし、位置的には、鉢底用の石粒の層に伸びていました。栄養や水分を吸うのは細根ですから、これでは困るわけです。まあ、しばらくは種子からの養分で育つのかも知れませんけど。

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植え替え後。用土を赤玉単用から配合用土に変え、鉢の上まで入れました。以前よりやや浅植えしています。
播種1年目ですから、まだまだこれからです。どう育っていくのか楽しみにしています。しかし、根太いを切断したダメージが影響しなければ良いのですがね。


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ここ数年、日本ではAgaveがブームとなっています。多肉植物の販売イベントでも、今やAgaveはあちこちのブースで取り扱われるマストアイテムと化しているようです。何が流行るか分からないものです。私は多肉植物の販売イベントで、おまけにもらったAgaveを2種類育てているくらいです。調べてみると、Agaveを中心とした小規模なイベントも、あちこちで開催されているようです。どうやら、ブームはしばらく続きそうですね。
しかし、Agaveを含むリュウゼツラン科植物は乾燥に強く、海外では暖地で野生化して増えてしまい、場合によっては手に負えない外来種となっているようです。そう言えば、リュウゼツラン科のアツバキミガヨラン(Yucca gloriosa)は寒さに強く、日本各地の砂浜で増えてしまい困っているというニュースを見たことを思い出しました。調べてみると、小笠原諸島や奄美群島などの暖地では巨大Agaveであるアオノリュウゼツラン(Agave americana)が野生化しているようです。
さて、本日は場合によっては厄介者と化すリュウゼツラン科植物の野生化の例として、Filip Verlooveらの2019年の論文、『A synopsis of feral Agave and Furcraea (Agavaceae, Asparagaceae, s. lat.) in the Canary Island (Spain)』をご紹介しましょう。

この研究は著者らのカナリア諸島のFuerteventura島、Gran Canaria島、Lanzarote島、Tenerife島での長年に渡るフィールドワークに基づいています。カナリア諸島ではリュウゼツラン科のAgaveとFurcraeaが野生化しています。観察された野生化したAgaveとFurcraeaを以下に示します。

Agave属
Agave亜属
①Section Agave 
 Agave americana
 Agave franzosinii

②Section Ditepalae
 Agave murpheyi
③Section Rigidae
 Agave angustifolia
 Agave fourcroydes
 Agave macroacantha
 Agave sisalana
 Agave aff. tequilana
④Section Salmian 

 Agave salmiana var. salmiana
 Agave salmiana var. ferox
⑨Section Vivipara

 Agave vivipara

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アオノリュウゼツラン Agave americana
カナリア諸島ではすべての島から知られています。


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Agave angustifolia
『Botanical Museum leaflet』(1974-1976年)より、Agave pacificaとして記載。
A. angustifoliaは最も普及したアガヴェで、原産地はメキシコ北部からパナマまでです。非常に簡単に野外に逸出することで知られています。例えば、フロリダ州、南アフリカ、インド、西オーストラリア、スペイン、イタリアなどで記録されています。


Littaea亜属
①Section Heteracantha
 Agave lechuguilla
 Agave oteroi
②Section Inermes

 Agave attenuata
④Section Littaea

 Agave filifera

Furcraea属
Furcraea亜属

 Furcraea foetida
 Furcraea hexapetala
 Furcraea selloana


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Furcraea foetida
『Gartenflora』(1852年)より、Furcraea giganteaとして記載。
F. foetidaは暖地で広く栽培され帰化しています。ハワイ、マダガスカル、ニュージーランド、レユニオン島など島嶼部だけではなく南アフリカやブラジルでも報告されています。

以上が論文の簡単の要約です。
論文ではカナリア諸島で見つかったアガヴェとフルクラリアの詳細な解説があり、非常に長いものです。長すぎてすべて記事には出来ませんでした。しかし、随分な種類が逸出してしまっているようです。
カナリア諸島は温暖なためか、アガヴェが簡単に野生化してしまうようです。野外でのアガヴェ栽培が中々困難な日本からしたら羨ましいようにも思えます。ところが、アガヴェは簡単に野生化して環境に悪影響を与えてしまうため、世界中の温暖地で問題となっています。カナリア諸島では簡単にドライガーデンでアガヴェを育てられそうですが、逸出を考えたら気軽にアガヴェを育てるのも考えものかも知れませんね。


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Aloe florenceaeが開花しました。マダガスカル中部原産のアロエで、2004年に新種として記載された割と新しい種類です。 
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本体のサイズからしたら、花茎はとても長いですね。

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Aloe florenceaeの花は、花茎の先端に固まってつきます。しかし、なんとも微妙な色合いの花です。アロエは鳥により受粉する鳥媒花と言われますが、アロエ研究は大型アロエが中心で、アロエの受粉には謎が沢山あります。かつて、小型アロエであるAloe minimaとAloe linearifoliaは、ミツバチにより受粉することを明らかにした論文をご紹介したことがあります。
以下な記事をご参照下さい。

では、このAloe florenceaeの花を訪れる花粉媒介者はなんでしょうか? この場合、花が小さい筒状なので、タイヨウチョウが蜜を吸いに来る可能性はあります。しかし、花の色合いは淡く、赤系が多い鳥媒花らしくはありません。
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花の形を見てみましょう。白に緑色のラインがあるのは、ハウォルチアに似ています。ハウォルチアは虫媒花ですから、Aloe florenceaeも虫媒花かも知れません。まあ、サイズはこちらのほうが大きくはあります。問題は花の長さで、Aloe florenceaeの花は長さが2.5cmもあります。しかも、先端がすぼまるため、ミツバチではやや難しそうです。ここで、他の過去記事を見てみましょう。
この記事でご紹介した論文では、Tritoniopsis revolutaという植物は根元が筒状の花を咲かせます。筒状の部分の長さは産地により14〜84mmと差があり、最大71mmに及ぶ口吻を持つナガテングバエが花粉を運ぶと言われていました。しかし、ナガテングバエは数が少なく毎年の発生数は安定しません。詳しく調べると、短い花はミツバチにより受粉していることが分かりました。ミツバチの口吻は最大8.6mmでした。花に頭を潜り込ませれば、なんとか蜜を吸えそうです。
では、Aloe florenceaeはどうかと言うと、長さが2.5cmもあり、先端がすぼまるため頭を潜り込ませることも難しいように思えます。相当口吻が長くないと蜜を吸うことは出来ないでしょう。しかし、ミツバチは種類により口吻の長さが異なるはずです。知っている中では、口吻の長いシタバチという仲間がいますが、調べてみるとアメリカ大陸原産のようです。マダガスカル島に口吻の長いミツバチがいるかは分かりませんが、中々厳しそうです。
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青白く美しいアロエです。小さいため、まだ咲かないと思っていました。

ここで、試しに匂いを嗅いでみました。すると、なんと甘い香りがします。一般的に花の匂いは鳥を呼びません。匂いがあり色が薄い花は蛾が訪れる花の可能性が高いとされています。確かに蛾であるならば長い口吻で蜜を吸うことが可能です。
長い口吻の蛾と言えば、キサントパンスズメガがまず思い起こされます。進化論で知られるかのチャールズ・ダーウィンは、長い距(蜜が溜まる部分)を持つマダガスカル原産の蘭(Angraecum)の標本を見て、この花の蜜を吸える長い口吻を持つ蛾がいることを予言しました。それから、40年以上経ち、なんとマダガスカルから28cmの口吻を持つキサントパンスズメガが発見されたのです。つまり、長い口吻を持つ蛾は存在し、しかもマダガスカルにいるのです。もちろん、キサントパンスズメガは蘭の長い距に対応していますから、Aloe florenceaeの花粉媒介者ではないでしょう。しかし、長い口吻を持つ蛾、それもおそらくホバリング出来るスズメガの仲間がAloe florenceaeの花粉媒介者である可能性があります。
さて、記事を書いているうちに、Aloe florenceaeの新しい花が日が落ちた頃にまた1つ開花しました。夕方以降に開花するというも、夜に訪れる花粉媒介者をターゲットとしているからでしょう。そして、花の香りも昼よりも強くなっています。これは、夜間のほうが香りが強いのか、新しい花ほど香りが強いのかは分かりません。しかし、いずれにせよ、夜に花粉媒介者を呼び寄せていることは明らかでしょう。いよいよ蛾媒である可能性が高まりましたね。
というわけで、根拠のない怪しげな当て推量をダラダラと書き連ねましたが、確認方法はないわけではありません。野外で花を夜の間撮影して、蛾が来るか確かめれば良いのです。まあ、現在は撮影機材がないので出来ませんし、Aloe florenceaeの花の匂いに日本の蛾が引き寄せられるかも分かりません。しかし、最終的にはマダガスカルの自生地でAloe florenceaeの花に来た花粉媒介者を観察し、実際に受粉して種子が出来るかを確認しないとならないでしょう。これは出来そうにありませんから、研究者の頑張りに期待するしかありませんけどね。


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