ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2023年04月

以前、アロエの葉の配置についてのBayerの見解を記事にしました。これは要するに二列性と三列性の話でした。

以下の記事をご参照下さい。
この時、コメント欄で「2/5葉序」ではないかというご指摘をいただきました。大変、有難いことです。
さて、この2/5葉序は葉が重ならないで、太陽光が満遍なく当たる上手い配置です。しかし、なぜこのような葉の配置となるのでしょうか? もちろん、進化の結果として適者生存の理によって、2/5葉序が選択されたのだと言ってしまえばそれまででしょう。それでも、進化は新たな機能の付加より、すでに存在するものの改変や転用が多いことを考えたら、2/5葉序も既存のシステムを利用しているような気がします。
とりあえずは、色々と広く浅く調べたところ、フィボナッチ数に行き当たりました。Wikipediaではフィボナッチ数の例としてヒマワリの花の螺旋状の構造を示しています。この螺旋状の構造は、何となく多肉植物のロゼット型を想起させます。まず、そこからスタートしましょう。

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Aloiampelosに見られる葉序。葉が回転しながら重ならないように配置されます。

さて、とは言うものの、Wikipediaに書かれた沢山の数式を眺めていたところで、残念ながら私の頭では意味がまったく分かりません。介助してくれる本が必要です。調べたところ、近藤滋による『波紋と螺旋とフィボナッチ』(秀潤社、2013年)という本を見つけました。生物の形、例えば巻き貝の巻き方、羊などの角の巻き方、シマウマや魚の縞模様など、生物界に現れる様々なパターンについて解説している本です。
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フィボナッチ数とは、連続した2項の和が次の項になる、ということらしいです。わかったようなわからないような感じですが、具体的には1、1、2、3、5、8、13、21、34、55…、という数列です。なるほど、1+2=3、2+3=5、3+5=8、5+8=13という規則ですね。
一般的に植物の花弁はフィボナッチ数が多く、パイナップルや松ぼっくりなどの螺旋構造もフィボナッチ数とされるようです。マーガレットなどのキク科植物の花の中央部分はよく見ると螺旋状で、右巻きの螺旋と左巻きの螺旋を数えると正にフィボナッチ数なのだそうです。試しに、螺旋状の構造をとるGymnocalycium saglionisとEuphorbia gorgonisで螺旋の本数を数えて見ました。
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Gymnocalycium saglionisの右巻きの螺旋は7本。フィボナッチ数ではありません。
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左巻きの螺旋は11本。うーん、フィボナッチ数ではありませんね。しかし、サボテンは稜が増えていくため、例として適切ではないかもしれません。このG. saglionisはまだ20cm程度で最大サイズではないため、稜が最大となった場合に、右巻き螺旋が8本、左巻き螺旋が13本になるのかもしれません。

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Euphorbia gorgonisの右巻きの螺旋は13本。フィボナッチ数です。
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左巻きの螺旋は8本。なんと、こちらもフィボナッチ数でした。

フィボナッチ数での葉の展開は黄金角という角度になっており、約137.507度ということです。確かにこのこの角度だと、葉が重ならないように葉が配置されます。しかし、よくよく考えたら約137.507度である必然性はないのかもしれません。なぜなら、例えば132度で葉が展開した場合、回転するようにしてつく葉が一回りして重なるのは、実に11枚後ということになります。11枚も葉があれば茎もそれなりに伸びて距離がありますし、そもそも太陽光は真上から当たるわけではありません。キク科植物の花に見られるフィボナッチ数は太陽光と何ら関係がないということを加味すると、フィボナッチ数は葉が重ならないように葉を展開するためという考え方は誤りである可能性があるのです。
著者はもっと機械的な見方をしています。植物は生長点から出る植物ホルモンにより新しい葉が生長しますが、植物ホルモンが古い葉に影響しないためにはどうしたら良いでしょうか。一つは植物ホルモンに濃度勾配がある場合、新しい葉の原基は古い葉の原基から距離があれば良いということになります。あるいは、古い葉に植物ホルモンを阻害する物質が出ているとしても、やはり同じことです。3枚前の古い原基の影響まで加味すると、影響を受けない理想的な角度は黄金角となるそうです。要するに、植物が螺旋構造を構築する際に、植物ホルモンの影響により必然的に黄金角となってしまうというのです。


本のおかげで基本的なことは分かりました。さらに調べたところ、2018年の岡部拓也の論文、『葉序の究極要因』を見つけました。論文では葉序は光合成効率には関係がないと、初めから明言されています。著者が言うには、計算上では光が当たる効率は葉序以外の要素の方が大きいということです。さらに、パイナップルや松ぼっくりなどの光合成しない器官の方が、規則性が正しく現れるということです。
さて、よく見られる葉の配列は2/5葉序と3/8葉序です。3/8葉序では葉が重なるまでに8枚の葉があり、茎を3周します。自然界に見られる開度には法則性があり、これをシンパー・ブラウンの法則と呼ぶそうです。最もよく見られる開度は1/2、1/3、2/5、3/8、5/13、8/21、13/34、21/55…、といういわゆる葉序の主列と呼ばれるものです。なにやら見覚えのある数字が並んでいますが、これは要するにフィボナッチ数です。螺旋葉序では2/5葉序でも3/8葉序でも、開度は変わらずに約137.5度です。黄金角ですね。これは、分数開度の極限値であり、137.5度は極限開度と呼ばれます。
そもそも開度が137.5度ならば、茎の伸長により主列は1/3、2/5、3/8、5/13…となるのは数学的必然です。フィボナッチ数を実現するために開度137.5度になっているのではなく、逆に開度が137.5度だから自然とフィボナッチ数になっているだけかもしれません。
とは言うものの、一般的に特定の植物に特定の葉序があるように書かれがちですが、実際には枝によって葉序が異なっていたり、同じ枝の根元と葉先では葉序が変化することもよくあることだそうです。これを、葉序転移と呼ぶそうです。

ここで面白いことが書いてありました。シンパー・ブラウンの法則のブラウンによると、ヤナギの尾状花序、スゲの穂、サトイモの肉穂花序、バンクシア、サボテン、トウダイグサ(Euphorbia)、ヒカゲノカズラの螺旋構造は例外的であるとしています。どうも、サボテンはフィボナッチ数とは関係がなさそうです。また、Euphorbiaはやはり無関係かと思いきや、Euphorbia gorgonisはばっちりフィボナッチ数でした。とはいえ、Euphorbiaと言っても広いですからね。多肉植物ではなく、草本のEuphorbiaを例に調べただけかもしれません。


開度137.5度からは様々な葉序系列が導かれますが、若い時には1/3、2/5、3/8などのより単純な葉序を経由します。いわゆる葉序転移ですが、この葉序転移にかかるコストを計算すると、開度99.5度と137.5度の時に最小となります。この事実も重要なファクターかもしれません。
また、葉は茎の維管束と繋がっていることから、維管束の配置とも関係があります。葉が縦列をなす傾向は維管束が縦に並ぶからであり、これが葉の原基のパターン形成に選択圧を及ぼすと考えられます。維管束は自由自在に出せないため、維管束の伸長が葉のつきかたを限定するのです。
葉は縦に規則的に並びますが、これが葉序の規則性を進化させる駆動力であり究極要因です。
よって、葉序は外部環境(日照)への適応ではなく、あくまで内部的な適応と考えた方が自然であるとしています。


始まりは二列性・三列性の話でしたが、2/5葉序を知ったことにより黄金角やフィボナッチ数に行き当たり、葉が重ならないからよく日が当たるという常識的な見方の否定にまで至りました。正直なところ、読んだ資料の全てを理解出来ておりませんし、内容的にも完全に証明された訳でもないように思われます。様々な可能性は示されますが、それを証明する手段がないような気もします。ただし、葉序により良く日が当たるからだという説明は、確かに間違いなのでしょう。今後、何か学術的に進展がありましたらまた記事にしたいと思います。まあ、あくまで私に理解出来る範囲の話ならばですが。


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相も変わらず植え替えをしていますが、もう4月も終わってしまいます。ここのところ、植え替えばかりしていて休みが潰れてしまい勝ちです。

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Euphorbia imperatae cv.
斑入りの花キリンです。以前はEuphorbia millii var. imperataeでしたが、最近見直されて独立種になりました。ヨネヤマプランテイションにて入手。
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根は普通ですね。
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植え替え後。冬の間も花を盛んに咲かせて楽しませてくれましたから、大きめの鉢に植えました。

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Euphorbia multifolia
最近入手したばかりですが、用土が細粒なので腐らせかねないので植え替えます。園芸店で冬を越した雰囲気がありましたから、根の状態は気になります。ファーマーズ三郷店にて入手。
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結構立派な幹がありましたね。根にも痛みもなく良い状態です。
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植え替え後。少しだけ幹を出しました。なにやら面白い形のユーフォルビアですね。

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「紅彩ホリダ」(紅ホリダ)
交雑種でEuphorbia heptagona × Euphorbia polygona var. horridaらしいです。オザキフラワーパークにて入手。

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根は大変な勢いです。
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植え替え後。ミニ多肉植物として購入した苗だった訳ですが、ずいぶんと立派になりました。丈夫で育てやすいユーフォルビアです。

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混迷閣 Euphorbia ×inconstantia
Euphorbia heptagona(異名E. enopla、紅彩閣) × Euphorbia polygonaらしいです。去年、根腐れを起こしたため、生きている枝を挿し木しました。どうなっているでしょうか? ドイト花ノ木与野店にて入手。

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おや? ほとんど根がありません。勢いがない。これは困った…
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植え替え後。今年はしっかりと根を張ってほしいです。

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ら、Euphorbia × lyttoniana
プセウドカクタスの変種あるいは品種とされることが多いみたいですが、おそらく交配種。去年から生長が止まってしまいました。

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根には問題がありませんが少ないですね。ただ、新しい根も出ているようです。
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植え替え後。新しい根が出ているため、まだ希望が持てます。今年は根を育てて、来年の生長を目指します。

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Euphorbia aerginosa
普及種です。ヨネヤマプランテイションにて入手。
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根は大変な勢いです。
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植え替え後。どんどん大きくなるでしょうから、今後どう仕立てるか悩みどころです。

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Pachypodium succulentum
「天馬空」とも呼ばれます。アフリカ大陸原産のパキポディウムです。去年は塊根が鉢を歪ませる位生長しました。鶴仙園西武池袋店にて入手。
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塊根がまた長くなっています。
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植え替え後。思い切って5号鉢に植えました。塊根を今までより少し出しましたが、枝の伸びに比べて塊根ばかり伸びてしまいます。

いやはや、植え替えは続きますが、しかしながらようやく終わりが見えてきました。いよいよラストスパートです。
植え替えの記事ばかり書いていた間、ブログのネタは貯まったかというとこれが全くで、正直なところ困っています。なかなか面白そうな論文に行き当たりません。まあ、この場合は私が面白いと思う論文ですから、書いてもほとんど読まれない記事が多かったりするんですけどね。皆が知りたい内容ではなく、私が知りたいことばかりなのでまあ仕方がないですかね。



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植え替えは続きます。残りはほとんどユーフォルビアですね。今回はサボテンも植え替えます。

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Euphorbia clandestina
「逆鱗竜」と呼ばれます。葉の落ちた跡が尖って目立つタイプです。これはビッグバザールでいただいたオマケです。
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なんと根がありませんでした。しかし、本体に腐りは入っていない模様。
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植え替え後。枯れた部分を取り除きました。まあ、オマケですから仕方がありません。E. clandestinaは丈夫なので直ぐに発根するでしょう。

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Euphorbia woodii
間延びしている感じのあるE. woodiiです。しかし、ホリダと並べて育てていたのに、こうも徒長するとは驚きです。ビッグバザールにて入手。
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根はサイズに見合った量で、まだまだです。
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植え替え後。なにやら丈夫そうです。E. flanaganiiとの関連を疑われたこともありますから、似ているのでしょう。

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Euphorbia squarrosa
「奇怪ヶ島」と呼ばれます。塊根から沢山の枝を伸ばすタイプのユーフォルビアです。ビッグバザールにて入手。

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まだまだ小さい実生苗です。塊根もこれからです。
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植え替え後。すでに生長は始まっています。今年の生長に期待しています。

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Euphorbia cap-saintemariensis
小型の花キリンです。花キリンは好きなのでついつい買ってしまいます。ビッグバザールにて入手。

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実生苗です。根はなかなか良い具合です。
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植え替え後。近縁なE. decaryiやE. boiteauiとの違いが気になります。生長していけば特徴が出るでしょうか?

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フェロシオール
碧厳玉G. catamarcenseの強棘タイプを変種ferox、さらに強い棘のタイプを変種ferociorと呼ぶみたいです。ただ、碧厳玉はかつてG. hybopleurumと呼ばれていたため、現在でもこの名前で流通しています。フェロシオールはG. hybopleurum var. ferociorと表記されることが多いようです。鶴仙園西武池袋店にて入手。
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根の張りは悪くありません。
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植え替え後。すでに生長を始めています。強いトゲを出してほしいものです。

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「鳳頭」
Gymnocalycium quehlianumの1タイプかもしれない鳳頭です。ようやく特徴が出てきました。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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塊根性です。しかし、根ジラミがいたので、根を丁寧に洗って殺虫剤をかけました。ユーフォルビアにも根ジラミはついても何故か大して増えませんが、サボテンは油断すると根ジラミだらけになってしまいます。とはいえ、サボテンに根ジラミがつくのは宿業のようなものですから、サボテンを栽培する限り根ジラミとの長い付き合いも覚悟しなければなりません。
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植え替え後。ギムノカリキウムは面白いのですが、残念ながらあまり売っていません。

という訳で、まだ植え替えは続きます。今年はすでに18回も植え替えを記事にしていますから、当ブログを見ている方も少しうんざりしているかもしれませんが、記事を書いている私が一番うんざりしていますので、どうか御容赦のほどお願い申し上げます。


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植え替えも始めてすでに1ヶ月を越え、いつの間にやら100鉢を突破しました。しかし、長く続いた植え替えもいよいよ終盤です。
さて、今回は珍しくアガヴェが登場しますが、適当に育てているのに思いの外綺麗に育っていて少し微妙な気持ちです。メイン多肉植物のユーフォルビアより上手く育っているような気がして、いやはやなんとも言えない訳でして…


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Agave multifilifera
現在大ブームのアガヴェですが、私は集めてはいません。これはビッグバザールでタダでいただいたオマケ苗です。なんとなく育てています。

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最初はこんな貧相な抜き苗でした。
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よく育ちましたね。少し特徴が出てきました。
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根の張りは良好。鉢の形になっています。
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植え替え後。さて、今年はどのくらい育つでしょうか? まあ、最大の特徴であるフィラメントが出てくるのは何年後になるかは分かりませんけど。

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Gasteria carinata
カリナタは生長が早いですね。頭が大きすぎてバランスが悪く、どうにもぐらついてしまいます。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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あっという間に大きくなりました。
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根も非常に強いですね。やはり根に勢いがあることは重要です。
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植え替え後。今年の生長にも期待出来ます。今年は初めて開花したので、来年も楽しみです。

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Fockea edulis
「火星人」と呼ばれます。1年目は鉢を破壊しないと取り出せないくらい育ちましたが、今回はどうでしょうか? 東武スカイツリーラインの北越谷駅から歩いてまあまああるシマムラ園芸にて入手。

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最近の塊根の生長は今一つでした。
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根は悪くありませんが、やや貧相です。しかし、蔓の伸びが今一つで、葉も少ないので見合った量かもしれません。
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植え替え後。根域を広くしました。根に問題がないのに蔓が伸びないのは、どうも直射日光を当てすぎたことが原因なような気もします。少し遮光が必要でしょうか…

という訳で相変わらず植え替えしていますが、どうでしょうかね。今年はあと20鉢くらいだと思いますが。いや、それよりも室内の多肉植物をまだ全て外に出せていません。またグダグダしていると終わりませんから、今週末に何とかします。


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Euphorbia flanaganiiは南アフリカ原産の多肉質なユーフォルビアです。日本では「孔雀丸」の名前があります。一般にタコもの、海外ではMedusoid Euphorbiasと呼ばれるタイプのユーフォルビアで、主頭から一過性の枝を放射状に出します。E. flanaganiiはタコものでは小型で、丈夫で育てやすい入門種となっています。タコものは基本的に普及しておらず、ある程度コンスタントに流通しているのはE. flanaganiiとE. gorgonisくらいですが、E. gorgonisはそれなりに高価なので、安価なE. flanaganiiは初めてのタコものユーフォルビアとしてはうってつけです。そんなE. flanaganiiの情報を少し調べて見ました。

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通常はこのように枝が細長く伸びます。

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一枚目と同じ株ですが、良く日に当てて締めて育てると、このように太く短い枝が出ます。

さて、まずは学名から見ていきましょう。学名は1915年の命名で、Euphorbia flanaganii N.E.Br.です。異名として、1915年に命名されたEuphorbia discreta N.E.Br.、Euphorbia passa N.E.Br.があります。この2つの異名はすべてN.E.Brownにより記載されましたが、どうやらE. flanaganiiと同じ論文で公表されています。BrownはE. flanaganiiを3種類に分けて、それぞれを別種と考えたようです。しかし、3つの名前の中で、E. flanaganiiが正統な学名とされたのは何故なのでしょうか?
国際命名規約によると、学名は早く命名された名前を優先する「先取権の原理」により正統性が決定されます。しかし、E. flanaganiiのように同時に記載された場合、その論文を引用して記述された最初の名前を正統とする「第一校訂者の原理」により決定された可能性があります。残念ながら、調べた限りではその校訂者は分かりませんでした。あるいは、単に学術的な混乱が起きかねないので、論文などで最も良く使われている学名を正統とする、というパターンもあるにはあります。


ここで、P.V.Bruynsの2012年の論文、『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』を見てみましょう。この論文は南アフリカに分布するユーフォルビアのリストを、ひたすらに列挙した面白味のないものです。ただ、初めて命名された論文、タイプ標本の情報、異名について調べられており、大変便利なものです。E. flanaganiiについてはどう書かれているでしょうか?
E. flanaganii N.E.Br., Flora capensis 5(2): 314(1915).
Type: South Africa, Cape, grassy slopes near Kei Mouth, 100' , June 1893, Flanagan…(以下略)
一行目は、E. flanaganiiは「Flora capensis」という雑誌の1915年の5号の2の314ページで、N.E.Br.により初めて記載されたことが書かれています。N.E.Br.はイギリスの植物学者であるNicholas Edward Brownのことで、特にMesembryanthemumをはじめとした南アフリカの多肉植物の研究で有名です。
以降はタイプ標本の話で詳細は割愛しましたが、「南アフリカケープのKei Mouthの近く草地の斜面100フィート」で、「1893年の6月にFlanaganが」採取したとあります。Flanaganは南アフリカの植物収集家のHenry George Flanagan(1861-1919)のことでしょうか? すると、種小名の"flanaganii"とは、Brownが標本を記載の22年前に採取したFlanaganに対して献名したということなのでしょう。

ここで、BruynsはE. flanaganiiとその類似種についてまとめています。それによると、1915年のBrownは、E. discreta、E. ernestii、E. flanaganii、E. flanksiae、E. gatbergensis、E. passa、E. woodiiを別種として認識しました。1941年のWhiteらは、E. discreta、E. passaをE. woodiiの異名としました。Brownはこれらの植物がサイズや枝の数が大きく変動することを観察しました。それにも関わらず、BrownはE. flanaganiiはE. woodiiより「はるかに短い枝」という特徴により区別しました。Whiteらは個体ごとの大きさの変動があることから、それは意味をなさないと考えました。E. woodiiは子房に長い毛がありますが、E. flanaganiiには毛がないか短いので分けられるという考え方もあります。しかし、Bruynsは毛のある個体とない個体がいるだけなので、区別する方法としては不適切であるとしています。そのため、BruynsはこれらのタコものユーフォルビアをすべてE. flanaganiiと同一種と判断しました。
しかし、以上の論考は現在認められておらず、Whiteらの主張通りE. passaとE. discreta以外はE. flanaganiiの異名となり、それ以外は独立種とされています。このBruynsの論文は便利なためかよく引用されていますが、基本的に類似した種を1つにまとめる傾向があるため、異名に関しては注意して読む必要があります。

次に「LLIFLE」というサイトの情報を見てみます。それによると、原産地は南アフリカの東ケープ州、旧・Transkeiとの境界、あるいはEast London、Komgha districts、Kei Mouth、Mazeppa Bayなどの砂地の草原に局在します。Jellyfish Head Euphorbia、Medusa's Head、Medusahoved、Green Crown、Medusa Headなどと呼ばれます。


最後に1976年の「Kakteen und andere Sukkuleten」から、David V. BrewertonによるE. flanaganiiの解説を見てみましょう。
Euphorbia flanaganiiは南アフリカに由来します。ヤコブセン博士はグループ13、PseudomedusaeのE. gorgonis、E. pugniformis、E. woodiiの仲間としました。
円錐円筒形の主幹は高さ約5cmで、イボ状で多数の枝が伸び長さ10cm、太さ6~8mm になります。
E. flanaganiiの世話はそれほど難しくありません。通常の温室で十分です。生長期は年の初めに始まります。豊富な散水を許容し、よく生長します。冬は約10℃に保ちます。しかし、あまり長い間完全に乾燥させてはなりません。枝が縮小してしまいます。もし、完全に乾燥させたなら、2~3℃あるいはそれ以下まで耐えられますが、枝は死にます。枯れ枝は鋭いナイフで取り除くことが出来ますが、保護手袋やゴーグル、作業後の手洗いをおすすめします。
自然の植物の説明やイラストはありません。光が弱く細長く育ち勝ちですが、出来るだけ日当たりのよい場所に置くべきです。また、E. flanaganiiはEuphorbia cap-medusaeと誤ってラベルされてものが頻繁に販売されています。E. flanaganiiは真夏の遮光と、冬の暖かさを必要としています。


とまあ、こんなところです。いかがでしょうか? 日本のブログでは海外の有名なサイトの翻訳をそのまま張ったものが散見されますが、今回はちょっとマニアックな情報を集めてみました。E. flanaganiiという普及種でも調べるとなかなか面白いものです。
また、E. passaとE. discretaをE. flanaganiiの異名としたWhiteらの論文が、1915年に同時に命名された3種類の中でE. flanaganiiを正統な学名とした根拠かなあとも思いましたが、確かめる術がありませんでした。それには、E. flanaganiiの名前が出てくる論文を1915年以降すべて調べなければなりませんから、素人の私には土台からして無理な話でしたね。


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今年の植え替えもすでに100鉢を超えており、ただの作業のようになってしまっています。植え替えをするロボットのような心境ですが、普段は見ることが出来ない地下部分を見ることが出来る貴重な機会です。特に育成中で埋まったままの塊根の出来は気になるところです。

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Euphorbia confinalis subsp. rhodesiaca
「白雲巒岳」の名前がある非常に美しいユーフォルビアです。ビッグバザールにて入手。

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年に問題はなさそうですが、狭いせいか変な癖がついてしまっています。
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植え替え後。少し長いプレステラに植えましたが、少し狭い感じがしないではないと言ったところです。

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Euphorbia schoenlandii
「闘牛角」と呼ばれますが、ご覧の通り鉢が小さいですね。ビッグバザールにて入手。

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根は鉢に見合った量ですね。
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植え替え後。かなりサイズアップしました。生長は良い方です。

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Euphorbia stellata
「飛竜」の名前で知られています。生長が思わしくなくて去年の春にも植え替えましたが、太い塊根が1本腐っていました。それからは割と調子が良さそうでしたが、ダメージの回復具合が気になるため、植え替えます。オザキフラワーパークにて入手。

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腐り落ちた箇所には大きな傷痕があります。しかし、すでに傷口はふさがり、新たな腐敗はありませんでした。根も豊富です。
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植え替え後。塊根の太り具合はいまいちですから、今年は肥培して太らせます。

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Euphorbia knuthii
「狗奴子キリン」と呼ばれることもありますが、あまり使われていないようです。二子玉川のプロトリーフにて入手。

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根の状態は悪くありませんが、塊根の一部が腐っていました。
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腐っていた部分。すでに皮だけになっていました。冬の間の水やりで加湿になったのかもしれません。
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しかし、新たに形成された塊根の勢いがすごいので、大したダメージにはなりません。
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プレステラ120型では浅いので、右の5号の深鉢に植え替えることにしました。
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植え替え後。相変わらず地上部分はあまり育ちません。しかし、せっかく深い鉢に植えたので、今年は塊根がどの程度まで長く育つのか楽しみです。


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3月後半から毎週コツコツ多肉植物の植え替えをしてきましたが、あっという間に1ヶ月が経ってしまいました。なんと今回で今年の植え替えは100鉢目のアニバーサリーです。いや、別に目出度いという訳ではありませんが、ちょうどいい区切りなので我が家の大物を植え替えることにしました。

記念すべき(?)100鉢目はZamia furfuraceaというメキシコ原産のソテツです。昔ホームセンターにたまたま入荷した小さな実生苗でした。ろくに植え替えもしていないのに(※2回位はした)、いつの間にやら大きくなって、去年ははじめて花を咲かせました。日本では「ザミア・プミラ」の名前で販売されていますがこれは誤りです。ここいら辺の話は記事にしていますから、以下の記事をどうぞ。

さて、それでは早速植え替えを開始します。まずは、Zamia furfuraceaから。
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冬の間は室内に取り込みましたが、葉が広がり邪魔なので縛っていました。今日から紐を取り去り自由になります。
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縛っていた紐を取りました。
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塊茎は大分大きくなりました。しかし、何故か斜めに育ってしまいます。
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花殻がまだありました。種が入っていない「しいな」があったので、どうやら雌株のようです。
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抜くのが大変そうですが、駄温鉢は底の穴を押すだけで簡単に抜けます。しかし、これは大変な根の詰まり具合。9号の朱泥鉢でも狭い感じがします。
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盆栽用のレーキでほぐしていきます。
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根が渦巻いています。長い間植え替えていないのがばれてしまいますね。
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浅い部分にサンゴ根がありました。藍藻と共生しています。Dioonの丸っこいサンゴ根と異なり、よりサンゴっぽい形です。
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根の量がすごいので、駄温鉢では少し浅いような気がします。
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縦長の10号鉢に植えることにしました。
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植え替え後。真っ直ぐに植えました。
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ぐらつきそうですから、少し深植えしました。
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今年も葉を沢山出してほしいですね。ソテツシジミにやられなければいいんですけどね。ソテツシジミは関東地方でも定着しているようですから、かなり
ビビっています。沖縄では海外のソテツにつくカイガラムシが蔓延して、ソテツが結構枯れているみたいですが、北上しないか心配です。


ソテツの害虫の記事はこちらをご参照下さい。

さて、ついでに同じザミアのZamia integrifoliaも植え替えてしまいましょう。すごい斜めに育ちました。どうにもザミアを真っ直ぐ育てるのが苦手です。ちなみに、こちらも「ザミア・フロリダーナ」という名前です販売されていますが、やはりこれも誤りで記事にしていますからご参照下さい。

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Zamia integrifolia
こちらも斜めに育ってしまいます。冬の間、植物用ランプに当てていましたが、それが原因みたいです。

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しかし、一冬でここまで斜めになるのが不思議。
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根はかなり狭い感じで、見た目より大きい鉢に植えた方が良さそうです。
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サンゴ根も出来ていました。やや青みがかっていますね。藍藻が植物用ランプで光合成していたのでしょう。
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植え替え後。真っ直ぐ植えました。取り敢えずプレステラ120に植えました。地上部よりも根が強いので、ちょっと小さいかも。

大物の植え替えが済んでほっとしました。後は小さいものばかりです。そろそろ長い長い植え替えも終わりの気配です。多肉植物の置き場所を増設予定ですが、全く進んでいません。早いところどうにかしないと、さすがに手狭です。植え替えも終わりますし何とかそちらも片付けたいと思っています。


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サボテンは種類が多く趣味家も多いせいか、多肉植物の中では割と研究されている方だと思います。しかし、残念ながら私の好きなGymnocalyciumについての論文はほとんどありません。そんな中、去年発表されたばかりのGymnocalyciumの論文を見つけました。という訳で本日はMartino P, Gurvich E.D, Las Penas M.L.の2022年の論文、『DNA CONTENT AND CYTOGENETIC CHARACTERISTIC OF Gymnocalycium quehlianum (CACTACEAE) ALONG AN ALTITUDINAL GRADIENT』をご紹介します。

植物は標高により植生が変わることは一般的なことであり、世界中で見られる普遍的な現象です。それはサボテンも同様で、標高により異なるサボテンが見られます。Gymnocalyciumもまた標高により見られる種類が異なります。Gymnocalyciumは南アメリカに固有の属であり、約50種類からなります。一般的に地理的分布は狭いとされています。
Gymnocalycium quehlianumはアルゼンチンのCordoba州に固有で、Sierra ChicaからSierra Norteまでの、標高500~1200mの山岳に生えます(Charles 2009, Gurvich et al. 2004)。G. quehlianumは灰色がかった緑色で、小さな放射状のトゲを持つ肋(ribs)、奥が赤みを帯びた白い花を咲かせます(Charles 2009, Kiesling and Ferrari 2009)。ちなみに、G. quehlianumはTrichomosemineum亜属に分類されます。

瑞昌玉、竜頭、鳳頭などはGymnocalycium quehlianumの1タイプとされます。
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「瑞昌玉」
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「竜頭」
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「鳳頭」

さて、標高の変化は環境も変動しますから、遺伝的な違いが生まれている可能性があります。一般的に標高が高くなると気温は低下し日照は弱まります。環境に適応するために起こりうることが想定されるのは倍数体とゲノムサイズの変動です。生物は一般的に二倍体です。しかし、植物はゲノムが重複して三倍体や四倍体となったものも普通に見られます。倍数体は種分化と種の多様性のパターンに影響を与える要因です。取り敢えず過去に調べられた情報では、D. quehlianumは二倍体であるDNA量は6.46pg(2C)だったということです(Das and Das 1998)。

※1pg(ピコグラム)は1mgの10億分の1の重さ。

著者らはSan Marcos SierraとCamino del Cuadradoの標高勾配に沿う4つのG. quehlianum集団を調査しました。植生は亜熱帯乾燥林から温帯草地まで様々でした。今回の調査ではG. quehlianumは二倍体でした。さらに、2Cという部分のDNA量は、標高615mで4.3pg、標高744mでは3.83pg、標高948mでは3.89m、標高1257mでは3.55pgでした(※1)。また、1998年の論文では2Cは6.46pgでしたから、今回の結果と大分異なります。しかし、これは解析方法が異なり、この論文で用いた手法は非常に感度が高く正確な値であるということです。
この
ゲノムサイズの違いは、高温や乾燥への適応である可能性があります。また、著者らは2021年にこの4つの集団では遺伝的特徴よりも生態学的特徴の変動が大きいことを報告しています。

※ 1 ) 確かに違いはありますが、これだけだと615m>948m>744m>1257mとなり、標高と関連があるとは言いがたいように思えます。しかし、DNAの他の部分(4c, 8C, Cx)を見てみると、基本的に615m>744m≧948m>1257mであることが分かります。傾向としては、低地>中間地点>高地と言えるでしょう。

以上が論文の簡単な要約となります。
このように、新たな知見が得られたことは大変喜ばしいことなのですが、それなりに問題もあります。例えば、今回は標高を指標にしていますが、同じ標高の離れた地点ではどうなっているのでしょうか? 単純に距離が離れたものは違いが大きいというだけかもしれません。では採取地点の地形を見てみましょう。採取地点同士の距離と、集団ごとの隔離具合が分かります。その結果はやや微妙なものでした。というのも、山の低地から高地までの一直線上に生える4地点をイメージしていましたが、全く異なっていたからです。615mと744mの地点は割と近く、確かに一直線上の低地と高地でした。それでも16kmほどの距離があります。744m地点から948m地点まで30kmほどの距離がありますが、山を越えた場所なのでやや比較が難しいように思えます。しかし、距離があり山向こうでも、744m地点と948m地点のDNA量は似ていました。なんとなく、標高とゲノムサイズに相関があるような気がします。何れにせよ、調査地点を増やして関係を見ないと、意味があるのは垂直距離なのか水平距離なのかは断言出来ないでしょう。


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花を咲かせる植物は花粉を作りますが、花粉は受粉して種子を作るためです。というよりも、花粉のために花があるといった方が正しいかもしれません。受粉が風任せな風媒花(杉などの針葉樹、オオブタクサ、イネ科植物など)は目立たない花を咲かせますが、昆虫を呼び寄せて花粉を運んでもらう虫媒花は、昆虫を呼び寄せるために目立つ花を咲かせるのです。
もちろん、風媒花以外の花はすべて虫媒花という訳ではありません。アフリカのタイヨウチョウや新大陸のハチドリなど花の蜜を専門とする鳥もいることから、鳥媒花も存在します。また、コウモリにより受粉する蝙蝠媒花も存在します。とは言うものの、やはり動物による花粉の媒介は、その多くが昆虫によるものと考えられています。

アフリカの鳥媒花については、こちらの記事をご参照下さい。

蝙蝠媒花については、こちらの記事をご参照下さい。

一口に虫媒花と言っても花粉を媒介する昆虫は様々です。花を訪れる昆虫と言えば蜜蜂や蝶が思い浮かびますが、それだけではなく蝿や蛾も重要なポリネーター(花粉媒介者)です。これらの花と花粉を媒介する昆虫の関係について書かれた石井博の著作、『花と昆虫のしたたかで素敵な関係 受粉にまつわる生態学』(2020年、ベレ出版)を本日はご紹介します。

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花粉を運ぶ昆虫と言えばミツバチを思い浮かべますが。これは養蜂からの発想に過ぎません。実際には狩りバチや寄生バチ、ハバチなど様々なタイプのハチが花を訪れます。その中でも重要なのはハナバチの仲間です。ハナバチは非常に種類も多く、ハナバチが訪れることが重要な意味を持つ植物も多いようです。赤・橙・黄色系統の花を咲かせるアロエにもハチは訪れますから、暖色系の赤色の花にハチが来ると思っていましたが、ハチは赤色を認識出来ないようです。まあ、アロエの花は純粋な赤色ではないので、特におかしなことではないのでしょう。また、ハチが訪れる花の色は様々で幅が広く、それほど強い傾向はないようです。まあ、ハチの種類ごとには傾向があるのかもしれませんが。
しかし、ハチの口器の形からして、筒状あるいは先端や根元がすぼまった形の花からは採蜜は出来ないでしょう。例外はあるようですが基本的には開いた花に訪れます。ハチが訪れる花には、花の中央付近の色が濃くなったり異なる色の模様が入っているものが割と多く、これを蜜標(nectar guide)と呼ぶそうです。


次はやはり花に訪れる昆虫の代表格であるチョウを見てみましょう。しかし、チョウは口器がストロー状ですから花粉に触れないで採蜜出来るような気がします。つまりは、いわゆる盗蜜者ではないのかと私は考えていました。ところが、実際にクサギではアゲハチョウが花を訪れないと、受粉効率が低下するようです。そもそも、チョウが多く訪れる花には、蝶媒とも呼べる共通する特徴があると言います。それは、花の形がラッパ状や漏斗状で、葯や柱頭が飛び出しており、花粉に粘着性があり甘い芳香があるなどです。また、赤系統の花が多い傾向もあるようです。

次は蛾についてです。ガもチョウと同じく鱗翅目の昆虫ですから、当たり前ですが採蜜します。ガもやはり蛾媒と言える花の特徴があります。夜間に咲き、花は白か緑色、あるいは薄い色、葯や柱頭が飛び出しており、花筒や距が発達しており、強くて甘い香りを持つなどです。花は白や薄い色が多いのは、薄暗くても比較的見つけやすいとあります。しかし、個人的に思うのは、暗いためガは視覚ではなく嗅覚に頼っているので、花の色が不要なだけなような気もします。

次は蝿です。ハナアブやツリアブは花に特化しており、長い口器を持つものもあります。普通のハエも花を訪れて採蜜するそうです。花虻・蝿媒の花は皿状や椀状で単純な形で、葯や柱頭、蜜腺が露出し、花色は白か黄色、薄い緑色が多く、日中に開花し香りは弱いものが多いようです。一般的にハエ目の昆虫は色を識別する能力が低いため、花色は地味なのでしょう。長い口吻を持つツリアブは花筒が長く花蜜が、奥深くにある花を好みます。そして、様々な色の花を訪れ、他のハエよりハナバチに似た傾向があるようです。
他にも、ハエはラフレシアなど腐臭がする花に引き付けられます。マムシグサなどサトイモ科植物はキノコバエを誘引するため、キノコの匂いを出しているのかもしれません。

この他にも、ハナムグリやケシキスイなどの甲虫や、アザミウマによる花粉媒介なども知られています。また、鳥媒花とコウモリ媒花も紹介されています。赤い花にはハナバチが来ないため、Fouquieriaの赤い花は昆虫ではなくハチドリだけを呼ぶ算段なのかもしれませんね。ちなみに、コウモリ媒花の花は、夜間に咲いて、白かクリーム色、緑色などで、発酵臭などの強い匂いがあったりするそうです。面白いことに、綿毛に覆われた柱サボテンであるEspostoa frutescensは、綿毛が音を吸収することにより、花の音響を際立たせていると考えられているそうです。音の反射を利用して飛ぶコウモリに対する適応なのかもしれません。他にも、ヤドカリ、トカゲやヤモリ、ネズミなどが受粉に関与するケースもあるそうです。
本の内容的には以上の話はほんのさわりで、花と昆虫の複雑な関係のディープな話が盛り沢山です。植物と昆虫が一対一の関係を築いたり、昆虫が花を選択してある個体は同じ種類の花にばかり訪れたり、植物が昆虫を騙しておびき寄せたり、逆に昆虫が花の蜜を盗んだりと様々な事象が語られます。非常に勉強になり、かつ面白い本でした。


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植え替えは続きます。しかし、すっかり暗くなってきました。露光時間を上げてもあまり明るくなりませんでした。

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Euphorbia griseola
Euphorbia richardsiaeの名前で入手しましたが、どうにも特徴が異なります。調べたところ、グリセオラでした。まあ、これは販売店が間違った訳ではなく、生産者の名札が間違っていたのです。とは言うものの、恐らく生産者は購入した種子に書かれていた名前で名札を作りますから、種子の段階で間違っていた可能性が大です。さらに言えば、種子を作った種苗家が普通にリカルドシアエだと勘違いしているのでしょう。まあ、場合によっては誤った名前の方で広く流通している種類もあるため、その誤りはさらに遡るのかもしれません。
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根は溢れんばかりでした。
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植え替え後。恐ろしい生長が早く、ミニ多肉植物として売られていたとは思えません。まだ、1年なんですけどね。

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Euphorbia groenewaldii × Euphorbia venefica
とても不思議な組み合わせの交配種です。木更津Cactus & Succulentフェアにて入手。
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根の状態も良好。
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植え替え後。上の方から枝が出てきました。一体どのように育つのやら気になりますね。

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Euphorbia columnaris
難物のコルムナリスです。夏の強光には耐えましたが根張りはどうでしょうか?
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これは非常に弱いですね。弱ってしまったというより、単純に弱いみたいです。 ビッグバザールにて入手。
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植え替え後。今年はどう育てるか考えどころです。

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Euphorbia gymnocalycioides
こちらも難物のギムノカリキオイデスですが、根が干からびた株を購入してしまいました。果たしてどうなっているのでしょうか? ビッグバザールにて入手。
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根はかなりしっかり生えていました。まだ根は少ないですが、イキイキしています。
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植え替え後。根が良いので今年の生長には期待が出来ますね。

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Aloe haworthioides
丈夫なハオルチオイデスはどうでしょうか? コーナン港北インター店にて入手。
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根は浅いみたいです。
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この根の感じだと、盆栽用の浅鉢で群生させた方が面白いかもしれません。

さあ、今週末はいよいよ大物のZamia furfuraceaの植え替えをする予定です。晴れるといいのですが。


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日曜日の植え替えの続きです。夕方になり雨が止んだので、慌てて植え替え再開しました。植え替えは3月からやっていますから、早いところ終わらせたいのですが、終わる気配がありません。

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Pachypodium saundersii
他のパキポディウムとは雰囲気が異なるサウンデルシイですが、丈夫な感じがします。ビッグバザールにて入手。
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根の張りはパキポディウムとしては普通位ですかね。
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植え替え後。マダガスカル原産種どころか、同じアフリカ大陸原産のP. bispinosumやP. succulentumとも特徴が異なりますから、今後の生長が楽しみです。

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Aloe parvula
冬に花を咲かせてくれました。生長が非常に良いので植え替えます。ビッグバザールにて入手。
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根の張りもすこぶる良好。根詰まり一歩手前です。
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植え替え後。論文ではAloe parvulaは嫌石灰植物であるとありましたから、軽石を混ぜない用土に植えました。まあ、日本は水が弱酸性なのでそこまで気にする必要はないかもしれませんが、それで生育が良くなる可能性があるならやるべきと判断しました。

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Aloe somaliensis
去年は日焼けさせてしまったソマリエンシスです。だいぶ回復しましたが、根の状態はどうでしょうか? 鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根には問題がなさそうです。しかし、アロエとしては少し根が弱いように見受けられます。
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植え替え後。株を充実させて夏に負けないようにしたいですね。

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Aloe albiflora
真冬に購入しましたが意外にも開花しました。枯れた葉が多く、断水していた雰囲気がありましたが、根の状態はどうでしょうか? 世田谷ボロ市にて入手。 
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根の状態は良好。狭い位です。やや干からびた根もありましたが。
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植え替え後。恐らくは丈夫なのでしょうから、株を充実させれば沢山の花を楽しめそうです。

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Euphorbia phillipsiae
二株目のフィリプシアエ。
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根の状態は良好です。幹が木質化して、まるで塊根のように見えますね。
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植え替え後。少し幹が見えるように植えました。写真がブレブレですが、実は日が落ちかけており暗いので、露光時間を長くして無理やり明るくして撮影しています。ですから、とにかくぶれやすいのです。

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Euphorbia × curvirama
クルビラマは去年は少し日焼けしてしまいましたが、生長はよかった部類です。ガーデンセンター横浜にて入手。
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根は控えめですが、腐ったりはしていません。
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植え替え後。相変わらずブレています。


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Euphorbia opuntioides
先端の芽が潰れてしまい、この2年は動きがありませんでした。しかし、カサブタ状の先端から新しい芽がようやく吹いてきました。ファーマーズ三郷店にて入手。
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動きがないので去年も根の状態確認のため植え替えましたが、根はしっかりしていました。今年もご覧の通り問題なしです。生長が止まると根も弱るケースが多いような気がしますから、根が育っているなら復活する可能性があります。
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植え替え後。種小名の「オプンチアのような」とは、つまりウチワサボテン(Opuntia)に似ているという意味です。見た感じは似ていませんが、育つとちゃんと平たい枝が出てくるはず。

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Euphorbia baioensis
急激に育ってから生長が止まったので、根詰まりからの根腐れしてる可能性があります。ガーデンセンター横浜にて入手。
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やはり根をやられているみたいです。
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植え替え後。取り敢えず大きめの鉢に植えました。

といった感じで、毎週植え替えに勤しんでいます。雨が降らなければ今週末に植え替えも終わりますが、なんか駄目っぽいですね。毎週終わる終わると言って終わらないので、この調子だといつの間にやら5月になってしまいそうです。


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多肉植物をそれなりの数育てていますが、温室がないので冬は室内に取り込んでいます。ミニフレーム位あっても良さそうですが、ハウォルチアやサボテンはともかく、ユーフォルビアは寒さに弱いので加温が必要です。そんなこんなで、秋の終わりと春先の多肉植物の移動は結構な重労働です。という訳で、そろそろ室内の多肉植物を外に出す時期です。しかし、雨避けのビニールをまだ張れていません。というか、風雨で冬の間にビニールがビリビリに裂けて破れてしまいました。多肉植物を外に出す前に、ビニールを切って張りまくります。

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ミニフレームかと思いきや、実は自転車用の倉庫のフレームの転用だったりします。どうにも、ちゃんとビニールを張っても雨が溜まってしまうため、ビニール紐で補強しました。

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側面にもビニールを張ります。風通しを考えて下側は空けています。

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張り終わりました。ペラペラの薄いビニールですが、2年はもってくれるはず。

そろそろ多肉植物を外に出す季節ですが、ビニールを張るのが遅れていたため、出すに出せませんでした。ということで少しだけ出しました。一度には無理ですから、ちょっとずつ出していきます。

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左にある大きい蘇鉄キリンは、冬でも雨ざらしで霜に当てましたが、全く平気で今は花を咲かせています。ユーフォルビアがすべてこれくらい寒さに強ければ楽なんですけどね。


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土曜日は1日雨降りで、植え替えが出来ませんでした。では日曜日にと思いきや、日曜日は朝から仕事で出ていました。朝から雨が降っていましたが、昼頃は晴れ渡る青空となり、午前仕事でしたから帰りにファーマーズ三郷店により、うっかりユーフォルビアを購入してしまいました。帰宅後、植え替えを開始しましたが、大変な目に遭いました。

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Euphorbia poissonii
毒性が高いと言われるポイソニイです。浅い鉢に植えたものが多いため、今年は深い鉢に植え替えています。鶴仙園西武池袋店にて入手。
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根は良く張っていました。
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植え替え後。非常に生長が良く、育てやすいユーフォルビアです。

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Euphorbia tortirama
あまり生長している感じはしませんでした。根はどうでしょうか? 木更津Cactus & Succulentフェアにて入手。
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根の張りは良好です。塊根が思ったより太っていました。
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植え替え後。塊根を出しました。今年は枝も伸びてほしいものです。

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Euphorbia knobelii
クノベリイは非常に生長が早いユーフォルビアです。確かオザキフラワーパークで購入したような記憶があります。
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根はよく張っています。鉢が狭かったみたいですね。
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植え替え後。今年の生長も期待出来ます。

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Euphorbia phillipsioides
E. phillipsiaeに似たという意味のフィリプシオイデスですが、ソマリアものにも関わらず非常に丈夫で生長も良好です。木更津Cactus & Succulentフェアにて入手。
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根張りは非常に良いですね。
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植え替え後。冬の間、3回も花を咲かせました。大変育てやすいユーフォルビアです。

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Euphorbia phillipsiae
フィリプシアエは最近生長が鈍っていました。確かサカタのタネが経営しているガーデンセンター横浜で購入したような気がします。
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しかし、根は非常に強く状態は良好です。
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植え替え後。今年はもう少し生長してくれると嬉しいのですが…

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子吹きシンメトリカ
子が少し邪魔になりつつあります。木更津Cactus & Succulentフェアにて入手。
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抜いてみたら実生が生えていました。恐らくは、両生花で自家受粉したE. knobeliiでしょうね。
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植え替え後。今後、子を外すか考えなくてはなりませんね。実生は別に植えました。

植え替えるために鉢から抜いて写真を撮っていたところ、すごい早さで空に暗雲が立ち込め始めました。すると、雷鳴がとどろき叩きつけるような土砂降りになりました。取り敢えず、抜きっぱなしには出来ませんから、ずぶ濡れになりながら植えるだけ植えました。しばらくはとんでもない雨量で雷も偉い頻度で鳴り続け、こりゃあ今日の作業はここまでかと思いました。しかし、あっという間に空が明るくなり、パラパラと雨が降る天気雨になりました。まるで、熱帯雨林のスコールのようでしたね。やがて雨も止みましたから、植え替え後の写真を撮影して植え替えを再開しました。まあ、風邪は引きましたがね。


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昨日は日曜日にも関わらず仕事でした。まあ、午前仕事でしたが、せっかくだから帰りに武蔵野線の三郷駅近くにあるファーマーズ三郷店に寄って来ました。朝は雨が降っていたのに、その後には急激に晴れ間が広がりました。
しかし、4月は園芸店の多肉植物は大概微妙な季節で、新入荷はまだで冬を越したものばかりだったりします。まあ、それでもついでですから、駅から10分ほどと大した距離でもないので散歩がてら見てきました。
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暖かくなって来たせいか、外にある花は非常に多く鮮やかでした。野菜苗も沢山あります。それはそうとして、多肉植物のコーナーを見てみます。サボテンやエケベリアはまあまああって、アガヴェは以前よりもありましたね。まあ、まだまだ冬仕様で、多肉植物はこれからでしょうね。あと、私の好きなユーフォルビアは少なくて、Euphorbia ambovombensis、Euphorbia valida(=E. meloformis)、Euphorbia obesaがあった位です。ただ、Euphorbia multifoliaというユーフォルビアが気になりました。というのも、かなり特徴的な葉の形ですが、どこかで見た覚えがあるのです。しかし、どうしても思い出せません。どうにも気になってしまい、少々高い気もしましたが、ついつい買ってしまいました。

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Euphorbia multifolia
葉の先端をカットしたような独特のフォルムです。名前はそのまま「沢山の葉」ですから分かりやすいですね。

このあと、植え替えをしたり雷雨に見舞われたりしましたが、また別記事にします。E. multifoliaが気になりますが、未だに思い出せません…


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昨日に引き続きAloe of the world: When, where and who?』という論文をご紹介しています。昨日はアロエ属が誕生した1753年から、1930年までの約180年間のアロエの歴史を見てきました。本日は1930年代から、いよいよアロエ属の権威であるReynoldsが登場します。また、2000年以降は現在も活動している研究者の名前が現れます。また、例によって、所々に※印で私が注釈を入れました。では、アロエの歴史を見てみましょう。

1931~1940年
1930年代からアロエ属研究の第一人者であるG. W. Reynoldsが登場します。N. S. PillansやB. H. Groenewaldと共にアフリカ南部から膨大な数のアロエを記載しました。アフリカ南部からReynoldsは24種類、Pillansは9種類(1種類はSchonlandと共著)、Groenewaldは6種類を記載しました。ReynoldsのライバルであったH. B. Christianは南熱帯アフリカから8種類(1種類はE. Milne-Redheadとの共著)のアロエを記載しました。
O. Stapfはグラスアロエのために新属Leptaloeを創設しました(※7)。また、A. LemeeはA. Bergerのアロエの分類におけるSection Aloinellaeを属に格上げし、Aloinella Lemeeを創設しました(※8)。
他には、J. Leandriはマダガスカルの新しいLomatophyllumを、A. A. Bullockは東熱帯アフリカ、L. Bolusはアフリカ南部、I. B. Pole Evansはアフリカ南部、C. L. Lettyはアフリカ南部、A. Guillauminはマダガスカルから、それぞれアロエを1種類記載しました。
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Aloe spectabilis Reynolds (1937年命名)

※7 ) Leptaloe属はAloe myriacanthaを5種類に分けていました。また、Aloe minima、Aloe parviflora、Aloe saundersiae、Aloe albidaが含まれていました。しかし、Leptaloe属は現在では認められていません。

※8 ) Aloinella属はAloe haworthioidesが含まれていましたが、現在では認められていません。
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Aloe haworthioides
=Aloinella haworthioides


1941~1950年
1940年代初頭にB. H. Groenewaldはアフリカ南部のアロエに関する本を出版しました。また、1940年代のReynoldsは、『The Aloes of South Africa』という画期的なアロエの本を出版するために集中したため、アフリカ南部のアロエはあまり記載されませんでした。しかし、1950年に出版されたReynoldsの本はアロエの標準的な教科書となりました。
その間に、H. B. Christianは南熱帯アフリカと東アフリカで活発に活動し、東熱帯アフリカから6種類、南熱帯アフリカから2種類(1種類はI. Verdoornとの共著)、北東熱帯アフリカから1種類のアロエを記載しました。Guillauminはマダガスカルから3種類のアロエと、Lomatophyllumを記載しました。
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Aloe descoingsii Reynolds (1958年命名)

1951~1960年
1950年代、Reynoldsはアフリカ東部と北東部、及びマダガスカルに注意を向けました。以前のReynoldsはリンポポ川の北は調査しないというChristianとの合意によりアフリカ南部に集中していましたが、1950年にChristianが亡くなったため調査範囲が広くなったのです。Reynoldsは42種類もの新種のアロエを記載しました。内訳はアフリカ南部から1種類、南熱帯アフリカから6種類、東熱帯アフリカから9種類、北東熱帯アフリカから17種類(6種類はP. R. O. Ballyとの共著)、西中央熱帯アフリカから7種類でした。
また、Christianの死後に4種類のアロエが記載されました。南熱帯アフリカから1種類、北東熱帯アフリカから1種類、東熱帯アフリカから2種類(I. Verdoornとの共著)でした。
D. M. C. DrutenはUrgineaとされていたAloe alooides (Bolus) Drutenをアロエ属としました(※9)。P. R. O. BallyとI. Verdoornは北東熱帯アフリカから1種類のアロエを記載しました。
A. Bertrandはマダガスカルのアロエのために新属Guillauminiaを提唱しました(※10)。


※9 ) Urginea属は現在Drimia属の異名とされています。Drimia、Albuca、Schizocarphus、Fusifilum、Dipcadi、Ledebouria、Prospero、Austronea、Ornithogalum、Trachyandraを含んでいた非常に雑多なグループでした。

※10 ) Guillauminia属には、Aloe albida、Aloe bakeri、Aloe ballatula、Aloe descoingsii、Aloe carcairophila、Aloe rauhiiが含まれていました。しかし、Guillauminiaは現在では認められていません。
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Aloe bakeri
=Guillauminia bakeri


1961~1970年
Reynoldsは熱帯アフリカとマダガスカルで調査を続け、1966年に『The Aloes of Tropical Africa and Madagascar』を出版しました。この本も出版から数十年に渡り標準的なアロエ属の教科書となりました。Reynoldsはマダガスカルから4種類、北東熱帯アフリカから3種類(2種類はP. R. O. Ballyとの共著)、東熱帯アフリカから4種類、南熱帯アフリカ~アフリカ南部から1種類、南熱帯アフリカから7種類、アラビア半島から1種類のアロエを記載しました。
1960年代、J. J. Lavranosはアラビア半島から6種類のアロエを記載しました。
他には、W. Rauhがマダガスカルから1種類、I. Verdoornはアフリカ南部から3種類、(1種類はD. S, Hardyとの共著)、L. C. Leachはまだ南熱帯アフリカから1種類、J. M. Bosserはマダガスカルから3種類、W. Giessはナミビアから1種類のアロエを記載しました。


1971~1980年
J. J. Lavranosはアロエ研究を続け、アフリカ南部から2種類、アラビア半島から3種類(2種類はA. S. Bilaidiと、1種類はL. E. Newtonと共著)、東熱帯アフリカから4種類(3種類はL. E. Newtonとの共著)のアロエを記載しました。
L. C. Leachは南熱帯アフリカで活発に活動し、南熱帯アフリカから10種類、北東熱帯アフリカから1種類のアロエを記載しました。
W. Maraisは2種類のLomatophyllumを記載しました。
他にはD. S. Hardyはアフリカ南部から2種類、W. Giessはナミビア、アフリカ南部から2種類(1種類はH. Mermullerとの共著)、G. D. Rowleyは北東熱帯アフリカから1種類、G. Cremersはマダガスカルから2種類、B. mathewは西中央熱帯アフリカ(コンゴ)から1種類、I. Verdoornは南部及び南熱帯アフリカから1種類、S. Carterは東熱帯アフリカから3種類(P. E. Brandhamとの共著)のアロエを記載しました。
また、この10年間でアフリカ南部のアロエに関する本は、例えば1974年のBornman & Hardy、1974年のJeppe、1974年のWest、1975年のJankowitzなどが出版されました。
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Aloe erinacea D. S. Hardy (1971年命名)

1981~1990年
H. F. GlenとD. S. Hardyはアフリカ南部のアロエ研究を開始しました。
W. Rauhはマダガスカルから2種類、J. J. Lavranosはアラビア半島から1種類と北東熱帯アフリカから1種類、L. E. Newtonは東熱帯アフリカから4種類(2種類は
H. J. Beentjeと、2種類はJ. J. Lavranosとの共著)、S. CarterとP. E. Brandhamは北東アフリカから1種類とアフリカ南部から1種類、E. J. van Jaasveldはアフリカ南部から3種類(1種類はK. Kritzingerとの共著)、J.R. I. Woodはアラビア半島で1種類、D. C. H. Plowesはアフリカ南部で1種類のアロエを記載しました。

1991~2000年
1990年代にはアフリカ南部のアロエに関する本が2冊出版(2000年のGlen & Hardyと、1996年のVan Wyk & Smith )されましたが、アフリカ南部からは新しいアロエは記載されませんでした。しかし、東アフリカのアロエ研究は増加しました。L. E. Newtonは東熱帯アフリカから8種類、北東熱帯アフリカから1種類、S. Carterは東熱帯アフリカから6種類(1種類はNewtonとの共著)、北東熱帯アフリカから1種類のアロエを記載しました。また、Sebsebe Demissewは北東熱帯アフリカから12種類(1種類はP. E. Brandham、1種類はM. G. Gilbert、1種類はM. Dioliとの共著)、J. J. Lavranosは北東アフリカから3種類(1種類はS. Carterとの共著)、マダガスカルから5種類(1種類はW. Röösliとの共著)、アラビア半島から9種類(7種類はS. Collenetteとの共著)のアロエを記載しました。
W. Rauhはマダガスカルの4種類(1種類はR. Hebding、1種類はA. Razafindratsira、1種類はR. Geroldとの共著)のLomatophyllumについて紹介しました。さらに、マダガスカルから4種類(1種類はR. D. Mangelsdorff、2種類はR. Geroldとの共著)のアロエを記載しました。

P. V. HeathはGuillauminiaを支持し、新属Leemea P. V. Heathを提唱しました(※11)。
他には、A. F. N. Ellertは南熱帯アフリカから1種類、P. FavellとM. B. MillerとA. N. Al Gifriはアラビア半島から1種類、J-B. Castillonはマダガスカルから2種類のアロエを記載している。

※11 ) LeemeaではなくLemeeaの誤記です。Aloe boiteaui、Aloe haworthioides、Aloe parvulaが含まれていました。Lemeea属は現在では認められていません。
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Aloe parvula
=Lemeea parvula


2001~2010年
L. E. Newtonは東熱帯アフリカから4種類と北東熱帯アフリカから1種類、J. J. Lavranosはアラビア半島から7種類(1種類はB. A. Mies、2種類はT. A. McCoy、1種類はT. A. McCoyとA. N. Al Gifri との共著)、北東熱帯アフリカから8種類(すべてMcCoyとの共著)、東熱帯アフリカから6種類(すべてMcCoyとの共著)、マダガスカルから17種類(8種類はMcCoy、1種類はM. Teissier、5種類はMcCoyとB. Rakouthとの共著)のアロエを記載しました。
G. F. Smithはアフリカ南部から5種類(2種類はN. R. Crouch、2種類はR. R. Klopper)を説明しました。E.
 J. van Jaasveldは8種類のアロエを説明しました。1種類はA. B. Low、3種類はA. E. van Wyk、1種類はW. Swanepoelとの共著です。

この10年最大のアロエ研究の貢献は、J-B. CastillonとJ-P. Castillonの親子でした。マダガスカルのアロエの21種類の組み合わせを説明し、5種類のアロエを記載しました。
他には、S. S. Laneは南熱帯アフリカから1種類、P. I. Forsterはマダガスカルから1種類、S. J. ChristieとD. P. HannonとN. A. Oakmanは北東熱帯ですから1種類、A. F. N. Ellertはコモロ諸島から1種類と南熱帯アフリカから2種類、S. Carterは北東熱帯アフリカから1種類と南熱帯アフリカから1種類、N. Rebmannはマダガスカルから4種類、S. J. Maraisはアフリカ南部から1種類のアロエが記載しました。B. J. M. Zonneveldはアフリカ南部から4種類のアロエを記載し、2種類は一部の研究者に認められています。
この10年間に出版されたアロエの本は、2001年のCarter、2004年のLane、2004年のSmith、2004年のRothmann、2008年のSmith & Van Wyk、2010年のCastillon & Castillonがあります。


2011年以降
2011~2013年の間には15種類のアロエが説明されています。Sebsebe Demissewは北東熱帯アフリカから4種類(1種類はTesfaye Awas、1種類はI. FriisとI. Nordalとの共著)、E. J. van Jaasveldはアフリカ南部から3種類(2種類はW. Swanepoel、1種類はP. nelとの共著)、南熱帯アフリカから1種類のアロエを記載しました。M. DioliとG. Powysは東熱帯アフリカから新種を説明しました。J-B. Castillonはマダガスカルから1種類、J-P. Castillonはマダガスカルから2種類、L. E. Newtonは東熱帯アフリカから2種類、G. F. Smithと
E. Figueiredoはアフリカ南部から2種類(1種類はN. R. Crouchとの共著)の組み合わせを公表しました。
アロエ研究の重要な2冊の本が出版されました。2011年の『The Aloe Names Book』はアロエの学名と異名につえて解説しており、同じく2011年のCarterの『Aloes: the Definitive Guide』はReynolds以来はじめて全種類のアロエを一冊の本にまとめたものです。


以上が論文の内容となります。個人的には学名関連の話が好きなので、大変面白い論文でした。しかし、この論文の後、遺伝子解析の結果によりアロエ属は解体されることになりました。2013年の論文を根拠とするAloidendron (A. Berger) Klopper & Gideon F. Sm.、Aloiampelos Klopper & Gideon F. Sm.、2014年の論文を根拠とするGonialoe (Baker) Boatwr. & J. C. Manning、Aristaloe Boatwr. & J. C. Manningがアロエ属から分離しました。また、2013年にはG. D. Rowleyにより1786年に命名されたKumara Medik.が復活しました。当然ながら、アロエ属から分離したのはごく一部でありほとんどのアロエは未だにアロエ属のままです。また、2019年に命名された新属Aloestrela Molteno & Gideon F. Sm.は、遺伝的にはどうやらAloidendronに含まれるようですが、現在はまだAloestrelaのままです。今後変わる可能性はあるのでしょうか?
このように、この論文と同時期に出た論文により、その後のアロエは一変しました。2011~2020年のアロエ属は思いもよらぬ激変を経験しました。2021年以降のアロエはどうなっていくのでしょうか?



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Carl von Linneにより1753年に二項式の学名の記述方法が提案されアロエ属が誕生しました。つまり、Aloe L.です。しかし、実際にはそれ以前からアロエの仲間はヨーロッパで知られていましたが、ラテン語による特徴の羅列により記述されていました。von Linneによる1753年の『Species Plantarum』では、GasteriaやHaworthiaもアロエ属として記載されていました。これが、アロエ属の誕生に関する話ですが、それから270年ほど経ちアロエ属も激変しました。そのアロエ属の歴史を紐解いたRonell R. Klopper & Gideon F. Smithの2014年の論文、『Aloe of the world: When, where and who?』を見つけました。アロエの歴史を見てみましょう。ちなみに、2014年以降に学名が変更されたものもありますから、※印で私が注釈を入れました。

1753~1760年
von Linneが初めてAloe L.を記載しました。この中では、Aloe variegata L.のみが現在でもアロエ属として残されています。

1761~1770年
アロエ研究に貢献した最初の人物は、1768年に『Garden Dictionary』の第8版を出版したP. Millerでした。Millerは主に南アフリカから来た新しいアロエについて説明しました。
この時期に出版されたものとしては、N. L. Burmanによる『a new combination for Aloe vera (L.) Burm.f.』と、R. Westonによる南アフリカの1種類のアロエについてでした。

1771~1780年
1761~1763年にArabia Felix(現在のイエメン)でデンマークの遠征があり、同行したP. Forsskal
により初めてアラビア半島のアロエについて説明されました。しかし、1880年代後半までアラビア半島のアロエについては何もありませんでした。
この時期には、P. Miller、C. Allioni、F. Massonにより、南アフリカのアロエがそれぞれ1種類記載されました。
また、F. K. MedikusによりKumara Medik.が記載されました。(※1)

※1 ) Aloe plicatilisは、初めvon LinneによりAloe disticha var. plicatilisとされました。しかし、Aloe distichaとは現在のGasteria distichaのことです。このことが後に問題を引き起こします。MedikusがAloe plicatilisをKumara distichaと命名してしまったのです。正しく引用するならば、Kumara plicatilisとすべきでした。MedikusはAloe plicatilisをKumara属としたつもりでしたが、規約上ではGasteria distichaをKumaraとしてしまったのです。困ったことにGasteria属の創設よりもKumara distichaの方が命名が早かったため、規約上では現在のGasteria属はKumara属とする必要があります。ただし、規約に従うと大きな混乱を招くため、変更は行わず現状維持が提言され認められています。ちなみに、Aloe plicatilisはアロエ属から独立し、Kumara plicatilisとなりました。Medikusの提唱したKumara属が正しい引用により復活したのです。
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Kumara plicatilis
=Aloe plicatilis
=Aloe disticha var. plicatilis


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Gasteria disticha
=Aloe disticha


1781~1790年
J. B. A. P. M. C. de Lamarckはモーリシャス、東アフリカ、北東アフリカから1種類ずつのアロエを記載しました。また、C. Linnaeus jnr.(von Linneの息子=Linne filius)とA. Aitonは、アフリカ南部からそれぞれ新種のアロエを1種類記載しました。

1791~1800年
アフリカ南部ではC. P. Thunberg、R. A. Salibusy、C. L. Willdenow、A. P. de Candolleが新種を記載しました。de Candolleはアフリカ南部だけではなく、熱帯アフリカ北東部やアラビア半島、モーリシャスも記載しています。しかし、この1790年代に発表された10種類のアロエは、現在では使用されていないものです。

1801~1810年
1804年にA. H. Haworthはアロエ属の新しい分類を発表しました。また、Haworthはアフリカ南部から幾つかの新種を記載しましたが、現在ではそのうち2種類だけが認められています。
de Candolle、J. B. Ker Gawler、J. A. Schultesがアフリカ南部で、Willdenowはアフリカ南部とモーリシャスで新種を記載しましたが、現在では異名扱いとなり認められていません。

1811~1820年
Haworthはアフリカ南部から2種類、Reunion島から1種類のアロエを記載しました。Willdenowはアフリカ南部とモーリシャス、W. T. Aitonはアフリカ南部、Ker Gawlerはアフリカ南部とモーリシャス、Prince J. M. F. A. H. I. von Salm-Rifferscheid-Dick (Salm-Dick)はアフリカ南部で新種を記載しましたが、これは現在認められていません。
Willdenowは新属Lomatophyllum Willd.を提唱しました。Lomatophyllum(※2)はマダガスカルとマスカレン諸島に固有の液果を持つアロエです。
Medikusは樹木状のアロエであるRhipidodendron Medik.を提唱しました(※3)。
Ker Gawlerは主にマスカレン諸島の液果アロエをPhylloma Ker Gawlとして記載しました(※4)。現在、これらの新属はアロエ属とされています。

※2 )Lomatophyllum属は現在アロエ属に含まれることになりました。遺伝子を解析したところ、Lomatophyllumとされてきた種類同士が近縁ではなかったのです。離島で進化したアロエの収斂進化ということなのでしょう。

※3 )Rhipidodendron属は、Aloe dichotomaとAloe plicatilisを含むものでした。しかし、現在では認められていません。ちなみに、Aloe dichotomaはアロエ属から独立し、Aloidendron dichotomumとなりました。Aloe plicatilisは(※1)を参照。
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Aloidendron dichotomum
=Aloe dichotoma


※4 ) Phylloma属はLomatophyllumとされていたアロエのうち2種類が該当します。Aloe purpurea(=L. purpureum)をP. aloiflorumなど3種類に分けていました。また、Aloe macra(=L. macrum)はP. macrumとされました。

1821~1830年
Haworthはアロエの重要な研究をしており、アフリカ南部から10種類の新種を記載しました。さらに、Pachydendron Haw.を提唱しました(※5)。
W. J. BurchellとSalm-Dickは、それぞれアフリカ南部から1種類の新種を記載しました。J. A. SchultesとJ. H. Schultesは共同で2つのアフリカ南部のアロエの新しい名前と新しい組み合わせを発表しました。
H. F. Link、L. A. Colla、K. Sprengelはアフリカ南部、R. Sweetはマスカレン諸島、J. A. SchultesとJ. H. Schultesはアフリカ全域で、様々な新種を記載しましたが、その多くは現在使用されていないものです。

※5 ) Pachydendronはサンゴの化石につけられた学名ですからこれは誤りです。正しくはPachidendronです。Aloe feroxとAloe africanaが含まれていました。

1831~1840年
1830年代にはアロエに関する研究や出版物はあまりありませんでした。Salm-Dickがアフリカ南部、H. W. Bojerはマダガスカルとマスカレン諸島、E. G. von Steudelはアラビア半島とアフリカ南部で新種を記載しましたが、現在は異名とされています。1837年に出版されたBojerの『Hartus Mauritianus』は、マダガスカルとマスカレン諸島のアロエを記載した初めての記録です。

1841~1870年
この30年間はアロエ属はあまり変化がありませんでした。Salm-Dickがアフリカ南部から2種類の新種を記載しました。von SteudelはPhylloma属について整理しました。R. A. Salisburyは新属Busipho Salisb.を創設しました。BusiphoにはAloe feroxが含まれていましたが、現在では認められていません。

1871~1900年
この30年間はJ. G. Bakerがアロエ研究を独占しました。Bakerは生涯に42種類の新種と20の異名を記載しました。Bakerによりソコトラ島とマダガスカルのアロエの正式な説明がなされました。アロエ研究はアフリカ南部から始まり、東アフリカから北東の熱帯アフリカにまで及びました。アロエに関する沢山の著作として、1883年の『Contribution to the Flora of Madagascar』、1896年の『Aloe to the Flora Capensis』、1898年の『Flora of Tropical Africa』などが知られています。
A. Todaroは1880年代後半から1890年初頭にかけて、熱帯アフリカの北東部と西部の4種類のアロエを説明しました。1888年から1895年の間にH. G. A. Englerは、アフリカ南部から1種類、東熱帯アフリカから4種類のアロエを記載しました。
他には、W.T. Thiselton Dyerがアフリカ南部から1種類、I. B. Balfourがマダガスカルから1種類、G. F. Scott-Elliotがマダガスカルから1種類、A. B. Rendleが東熱帯アフリカから1種類、C. E. O. Kuntzeがアフリカ南部から1種類、W. Watsonが北東熱帯アフリカから1種類を記載しています。
A. Deflersは1885年から1894年の間にアラビア半島を探検しました。Forsskal以来120年ぶりにアラビア半島でアロエが調査されました。Deflersはイエメンとサウジアラビア南部に遠征し、Aloe tomentosa Deflersを記載しました。この間にG. A. Schweinfurthは熱帯アフリカ北東部から3種類、アラビア半島から2種類のアロエを記載しました。
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Aloe somaliensis C. H. Wright ex W. Watson
(1899年命名)


1901~1910年
この10年間の最も著名なアロエ研究者はA. Bergerで、アロエ属の新しい体系とモノグラフを含む研究を行いました。Bergerはアフリカ南部から9種類(うち2種類はH. W. R. Marlothとの共著)、南熱帯アフリカから2種類、東熱帯アフリカから5種類、北東熱帯アフリカから3種類、西部及び西中央熱帯アフリカから1種類、マダガスカルから3種類、コモロ諸島から1種類のアロエを記載しました。また、Bergerは新属Chamaealoe A.Bergerを提唱しました(※6)。
S. Schonlandは1900年代にアフリカ南部のアロエを研究し、9種類の新種を記載しました。
その他には、J. G. Bakerは、H. G. A. EnglerとE. G. Gilgは南熱帯アフリカ、I. B. Balfourはソコトラ島、G. KarstenとH. Schenckは北東熱帯アフリカ、A. B. Rendleは東及び西中央熱帯アフリカ、Marlothはアフリカ南部から新種のアロエを記載しました。

※6 ) Chamaealoe属はChamaealoe africanaからなる属でした。これは現在のAloe bowieaのことです。A. bowieaは初めは1824年にBowiea africana Haw.と命名されました。しかし、Bowiea属からアロエ属に移る際に、すでにAloe africana Mill.というアロエが1768年から存在したため、Bowiea africana→Aloe africanaという移行が出来ませんでした。そのため、1829年にAloe bowiea Schult. & Schult.f.と命名されました。Chamaealoe africana (Haw.) A.Bergerは1905年に命名されましたが、現在では認められていません。
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Aloe bowiea
=Chamaealoe africana


1911~1920年
I. B. Pole Evansはアフリカ南部から14種類のアロエを記載しました。他には、S. Schonlandがアフリカ南部、A. Bergerは南部及び南熱帯アフリカ、A. B. Rendleは南熱帯アフリカから2種類、J. DecorseとH. -L. Poissonはマダガスカルから、それぞれアロエを記載しました。

1921~1930年
R. Decaryはマダガスカルから3種類のアロエと、後にアロエ属に移されたガステリアを記載しました。
1926年にマダガスカルのアロエとLomatophyllumに関する重要な本がJ. M. H. A. Perrier de la Bathieにより出版され、22種類のアロエが新たに記載されました。また、Decaryによりガステリアとされたアロエは、Aloe antandroi (Decary) Perrierとされました。Perrier de la BathieはLomatophyllumの6種類の新種を記載しました。
他には、P. Danguyがマダガスカル、E. Chiovendaは北東熱帯アフリカから2種類、E. A. J. de Willdermanは西中央熱帯アフリカ、A. Bergerはアフリカ南部、M. K. Dinterはアフリカ南部、N. S. Pillansはアフリカ南部、L. Guthrieはアフリカ南部からアロエを記載しました。

さて、記事が長くなってしまったので、一度ここで切ります。内容的にもアロエ属の権威であるReynoldsが1930年代から登場します。明日に続きます。


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花キリンは冬の間も咲き続けていたりしますが、寒さに弱いものは葉が落ちて休眠状態でした。しかし、そんな葉を落とした花キリンでも、4月に入り暖かくなるといち早く花を咲かせてくれます。ということで、今月は花キリンをピックアップしました。

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Euphorbia moratii
去年の冬に入手しましたが葉の数が倍以上となり、次々と開花しています。花色は地味ですが、花は上向きに咲くので目立ちます。

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Euphorbia cylindrifolia
寒さに強く、冬の間も咲き続けます。

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Euphorbia ambovmbensis
こちらも丈夫な塊根性の小型花キリンです。何故か未開花。

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Euphorbia tulearensis
塊根性の小型花キリンです。花は小さいのですが、冬でもよく開花します。


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Euphorbia rossii
冬の間は葉がない状態でした。最近葉が伸びてきて、いつの間にやら開花しました。花は固まって咲きます。塊根性で葉が細長い花キリンです。

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Euphorbia gottlebei
新しい葉が出てきました。細長い葉が出る花キリンですが、枝は途中で分岐しません。


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Euphorbia cap-saintemariensis
3月に入手したばかりですから、寒さにどの程度強いかは分かりません。蕾つきだったので次々と開花しています。

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Euphorbia subapoda
冬の間、少しいじけた感じで小さい葉が出たり枯れたりしていました。ようやくまともな葉が出てきましたが、心配なので根の状態を確認するために植え替えする予定です。


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Euphorbia mangokyensis
まだ入手してから生長していないため、特徴がよく分からない花キリンです。冬の間、葉はありませんでした。ようやく、少しだけ葉が出てきました。


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Euphorbia pedilanthoides
新しい葉が出てきました。枝が非常に細い花キリンです。未開花。


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Euphorbia didiereoides
葉のない状態でホームセンターで冬を越したようでしたから割と心配していましたが、新しい葉が出てきました。全体的に大柄ですが、葉もかなりのサイズみたいです。

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Euphorbia guillauminiana
葉が出てきました。これも一応、花キリンの仲間です。花は非常に地味で分かりにくいので気が付かないうちに終わっていたりします。


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Euphorbia pachypodioides
パキポディウムのような、という意味の名前を持つ花キリンです。冬の間に葉はすべて落ちました。

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Euphorbia neohunbertii
「噴炎竜」なる名前がある花キリン。強光に弱いみたいです。ちなみに、「噴火竜」とは他人のそら似で、それほど近縁ではありません。

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Euphorbia viguieri
「噴火竜」の名前がある花キリン。古い葉が落ち初めました。こちらは強光を好みます。

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Euphorbia viguieri var. capuroniana
入手したばかりですが、葉が伸び初めました。

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Euphorbia bongolavensis
冬の間は葉を落としていましたが、新しい葉が出てきました。こちらはマダガスカル原産のユーフォルビアですが、花キリンではなく灌木状となります。


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Pachypodium densiflorum
花キリンではありませんが、デンシフロルムがパキポディウムでは一番早く開花しました。


最近は植え替えばかりしていますが、いつの間にやら暖かくなってきましたから、そろそろ室内の多肉植物を出さなくてはなりません。ハウォルチアとガステリアは出したのですが、それ以外はこれからです。週末は忙しくなりそうです。


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今年の3月にザ・ガーデン本店ヨネヤマプランテイションで開催された多肉植物BIG即売会に行って参りました。家からは遠いのですが、たった1回の乗り換えで行けて、横浜市営地下鉄ブルーラインの新羽駅から降りて直ぐにありますから大変楽チンです。今年の即売会は例年より規模を拡大しており、あちこちから仕入れたようで、数だけではなく割と珍しいラインナップでした。
そこで入手したのがEuphorbia bubalina、いわゆる「昭和キリン」と呼ばれるユーフォルビアです。決してレアな種類ではありませんが、やや面白味の欠ける見た目のせいか、基本的に園芸店には並びません。

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Euphorbia bubalina

さて、何か情報はないかと調べてみましたが、役に立ちそうなものはほとんどありませんでしたね。販売サイトはまあまああるのですが、一番知りたい原産地の情報などは残念ながら見つけられませんでした。アフリカの多肉植物となるユーフォルビアに関しては、何故か論文も非常に少ないので、こういう時困ってしまいます。

とりあえず、学名について見てみましょう。学名は1860年に命名されたEuphorbia bubalina Boiss.です。異名として、1898年に命名されたEuphorbia laxiflora Kuntze、1915年に命名されたEuphorbia tugelensis N.E.Br.があります。
E. bubalinaの命名者のPierre Edmond Boisserは、スイスの植物学者で探検家でした。19世紀最大のコレクターの一人で、ヨーロッパ、北アフリカ、中東を旅して、膨大な分類学的な成果をあげました。Boisserは著名な植物学者であるde Candolleに師事していたということです。
そのBoisserが1860年の出版した『Centuria Euphorbium』を入手したので見てみました。なんと、ラテン語で植物の特徴を羅列しただけの昔ながらの記載方法でした。一応、翻訳をかけてみましたが、「直立、細長い、多肉質、円筒形…」というような形式で淡々と書かれているだけで正直よく分かりませんでした。"bubalina"という種小名の由来を知りたかったのですが、特に記載はありませんでした。残念。
ちなみに、Boisserの1860年の論文以外にも、E. bubalinaの根拠となる論文があります。それは、P.V.Bruynsの2012年の論文、『Nomenclature and typification of southern African species of Euphorbia』です。この論文は南アフリカに分布するユーフォルビアのリストを、ひたすらに列挙した面白味のないものです。ただ、初めて命名された論文、タイプ標本の情報、異名について調べられており、大変便利なものです。E. bubalinaについてはどう書かれているでしょうか?

Centuria Euphorbium: 26(1860).
Type: South Africa, Cape, among thorn-bushes near Buffelsriver, Drege 4615 (P, holo.). [Boisser(1860) cited a specimen in 'h. Bunge', so this sheet is taken as the holotype.]

一行目はBoisserが初めて記載した論文の名前と、ページと記載年ですね。二行目からは種を記載する基準となる標本(ホロタイプ)の情報です。採取地点が「Buffelsriver」なんて書いてありますね。要するに「バッファロー川」という意味でしょう。すると、「bubalina」とはバッファローを表すラテン語の「bubal」から来ているのではないでしょうか?

ちなみに、E. bubalinaは、この論文では「Euphorbia subg. Rhizanthium」とされています。要するに「Rhizanthium亜属」ですが、論文によっては「Athymalus亜属」だったりします。さて、このRhizanthium亜属(Athymalus亜属)には様々なユーフォルビアを含みます。少し詳しく見てみましょう。

2013年に発表された『
A molecular phylogeny and classification of the largely succulent and mainly African Euphorbia subg. Athymalus (Euphorbiaceae)』という論文では、Athymalus亜属の遺伝子を解析しています。その論文では、E. bubalinaはAnthacantha節(Section Anthacanthae)のFlorispina亜節(Subsection Florispinae)に分類されます。Florispina亜節には、E. obesa、E. polygona(E. horridaを含む)、E. pulvinata(笹蟹丸)、E. susannae(瑠璃晃)、E. stellispina(群星冠)、E. ferox(勇猛閣)、E. heptagona(=E. enopla, 紅彩閣)、E. bupleurifolia(鉄甲丸)などの有名種を含みます。E. bubalina自体はE. clava(式部)に近縁なようです。また、Anthacantha節には他にもMedusea亜節(Subsection Medusea)があり、名前の通りタコものユーフォルビアが含まれます。

そう言えば、キュー王立植物園のデータベースには、「Native to: Cape Provine, KwaZulu-Natal, New Zealand North」なんて書いてありました。前の2つは南アフリカの州ですが、何故かニュージーランドとあります。いや、さすがにニュージーランドは自生地ではなくて移入種ですよね。E. bubalinaを含むFlorispina亜節はどれも南アフリカ原産ですから、さすがに誤記だと思います。


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本日は大物を植え替えます。というか、まだ植え替えが終わりません。なんと鉢が尽きました。私の見積もりが甘いだけかもしれませんが…

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Aloe peglerae
いかにも窮屈な感じがします。去年は急激に育ちました。葉が多くなり水やりが少し難しい感じがします。木更津Cactus & Succulentフェアにて入手。

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根の状態は悪くありませんが、鉢底まで根がまわっていました。
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植え替え後。4号鉢から6号鉢にスケールアップしました。
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水やりしやすくなりましたね。もっと葉の枚数が増えてペグレラエらしい姿になるまでにどれくらいかかるでしょうか?

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Pachypodium densiflorum
枝が伸びまくるデンシフロルムです。花茎もビョンビョン伸びていますね。今は亡き近所にあった園芸店にて入手。

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育つのが早いというか、異様に縦長に育ちました。本によるとパキポディウムは生まれつき縦長になったり、潰れて育ったり様々な個性があるみたいです。私のデンシフロルムはただ単純に徒長しているだけではなく、苗の内から細長く縦長で、枝の角度もあまりに上向きでした。
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しかし、この感じは非常に不味い。果たして鉢から抜けるのか心配になります。
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抜けました。というか、鉢をハンマーで叩きながら、結構時間をかけてです。結構難儀しましたね。
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カチカチです。
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盆栽用のレーキを用い、熊手部分で根を崩したり、ヘラ部分で突き刺したりして徐々にほぐしていきます。
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しかし、根元の太い根の周囲はまったくほぐれずお手上げ状態です。仕方がないので、最終的にジェット水流で固まった用土を除きました。水はけが悪くなり腐っても困りますからね。
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植え替え後。10号鉢に植えました。大きすぎる気もしますが、どうせ何年もこのままなので…
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地上部が大きすぎてバランスが悪く、根が張るまでぐらつくので、しばらくは縛って固定しておきます。

そう言えば、このデンシフロルムで今年の3月末から始めた植え替えもちょうど80鉢目(たぶん)となりました。まだ、植え替えは続きますが、記念すべき(?)100鉢目はやはり我が家では大物のZamia furfuraceaを植え替える予定です。去年は初めて開花したりと頑張ってくれました。あまり植え替えをしていないので、さすがに頃合いですかね。



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植え替えはまだ続きます。まるで、果てがなく終わりがないようですが、すべてを植え替えする訳ではありません。今週末には終わらせたいところです。今回はサボテンがメインです。

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Gymnocalycium intertextum
ちょっと端に移動してしまいました。鶴仙園西武池袋店にて入手。
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根の状態は良好です。
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植え替え後。インターテクスツムはトゲが暴れていていいものです。

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Gymnocalycium gibbosum subsp. borthii
潰れた形が楽しいボルティイです。こちらも鶴仙園西武池袋店にて入手。
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塊根が非常に発達しています。地上部より根に水分を貯蔵してます。なにやら、エチゼンクラゲみたいですね。
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植え替え後。普段は見えませんが、塊根は切らずに残します。

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瑞昌玉
Gymnocalycium quehlianumらしいとされているサボテンです。木更津Cactus & Succulentフェアにて入手。
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根は非常に良いのですが、根ジラミがちょろっといました。一応、根を洗いましたが…
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植え替え後。浸透移行性殺虫剤撒いておきましたが、効果のほどは不明です。

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バッテリー
最近よく見るタイプのバッテリーです。何故か鳥についばまれてしまい傷があります。またまた、鶴仙園西武池袋店にて入手。
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塊根がありますね。
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植え替え後。バッテリーは割と異なるタイプがあり面白いギムノです。

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新鳳頭
Gymnocalycium quehlianum系とされることもあります。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根は渦巻いています。短い鉢に植えていたので曲がってしまいました。
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植え替え後。新鳳頭はまだ小さいので特徴が出るのはこれからです。

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Euphorbia robecchii
何故かE. robechchiiの名前で販売されることもあります。購入時、水を切られていたのか根が干からびていました。ビッグバザールにて入手。

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根が生えてきましたね。ご覧の通りの実生苗です。購入時には双葉がまだついていました。
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植え替え後。根は復活したので、今年は地上部が生長して欲しいものです。

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貴青玉錦 Euphorbia meloformis cv.
E. meloformis系の交配種を貴青玉と言いますが、その貴青玉の斑入りのものです。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根には問題がありません。
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植え替え後。貴青玉錦は斑入りにも関わらず非常に丈夫で、強光にもよく耐えます。どうやら、完全に葉緑体が抜けている訳ではなく、斑の下に葉緑体があって光合成をしているそうです。

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Pachypodium eburneum
去年の夏に調子を落としました。ぐらついていたので、根をやられたのは分かりますが、その原因は水のやりすぎではなく水が少なかったからみたいです。葉の生長が止まって、幹が凹んで、それから根という順番でしたからね。武蔵野線の三郷駅近くにあるファーマーズガーデンにて入手。

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ご覧の通り、元からあった根は死にました。変なところから新しい根が出ています。
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植え替え後。幹は凹むと完全に元には戻らないと言われますが、苗だからなのか完全に元通りに復活しました。新しい根は貧弱なので、まずは根を育てなければなりませんね。

私はユーフォルビアがメインでサボテンはギムノカリキウムを少々育てているだけです。昔、少しだけサボテンを育てていましたが、現在は様々な多肉植物を育てて考え方を改めました。サボテンは主根を切って細根を生やしたほうが育ちが良いとされ、私も昔はそうしていました。しかし、今は根を整理せずに植え替えしています。基本的に太い根には水や養分を吸収する働きはなく、体を大地に固定したり、地下深くまで根を張るための土台でしかありません。ですから、細根を出させた方が生育が良好なのは頷ける話です。自生地ならいざ知らず、栽培環境では太い根は不要な存在でしょう。塊根に至っては水分の貯蔵のためのものですから、栽培環境ではやはり不要な存在です。しかし、サボテンもまた多肉植物・塊根植物の1つとして捉えるならば、太い根を切らずに育てるのも野趣があり面白いのではないかと思い、あえて根を切らずに育てています。まあ、サボテンの塊根は表に出して観賞するものではありませんから、植え替えの時しか見ることが出来ませんが。まあ、私自身は早く大きく育てたいという訳でもないので、ゆっくりでも面白く育ってもらえればそれでいいのです。


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今回はハウォルチアの残りと、ツリスタ、アストロロバを植え替えます。

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Haworthiopsis glauca var. herrei RIB 0217
グラウカの変種ヘレイです。フィールドナンバーのRIBは調べても出てきませんが、RIBとはRecorded by Ingo Breuerのことみたいですね。硬葉系ハウォルチア。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根の張りはまあまあです。
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植え替え後。根がすでに出ている子を1つ外しました。硬葉系ハウォルチアはいまいち人気がありませんが、こういう青白いのは人気が出そうな気もします。

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Haworthiopsis koelmaniorum
コエルマニオルムは、遺伝子解析結果では硬葉系ハウォルチアの中でも独特の立ち位置です。窓はありますが、Haworthiopsis venosaの仲間と近縁というわけでもありません。ビッグバザールにて入手。

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根は強めです。
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植え替え後。コエルマニオルムが綺麗なのは今だけで、遮光していても常に真っ赤になり窓が分かりにくくなります。

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"Haworthia triangularis"
実在にこの名前のハウォルチアは存在しません。どうやらHaworthiopsis viscosa系みたいですね。川崎市のタナベフラワーにて入手。

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根はかなり張っていました。
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植え替え後。ちょっと日が足りていない模様です。

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Tulista minor Swellense
かつては、硬葉系ハウォルチアとされていたツリスタです。"Swellense"は採取された産地の名前で、イボ(結節)が目立ちます。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根は少ないですね。去年の生長が今一つだったせいでしょう。
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植え替え後。去年は日焼けこそしませんでしたが、少し日に当てすぎていじけてしまいました。今年は適切な日照で綺麗に育てたいものです。

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Tulista minor
こちらは一般的なタイプです。横浜のコーナン港北インター店にて入手。

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根の張りは良好。
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植え替え後。こちらの生長には問題がありません。

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Tulista marginata
マルギナタの小苗です。まだ、葉は回転していません。イボ(結節)も控えめですが、将来はどのように育つでしょうか。コーナン港北インター店にて入手。

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根には問題がなさそうです。
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植え替え後。去年はあまり動きがありませんでした。しかし、根の状態がいいので今年の生長には期待が出来ます。

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Astroloba spiralis
「ハリー」の名前で入手しました。いわゆるAstroloba halliiですが、これは裸名(nom. nud.)なので正式なものではありません。Astroloba pentagonaやAstroloba spirelaも、スピラリスで統一されました。ビッグバザールにて入手。

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根は細いものは枯れがちでした。
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植え替え後。割と大型なので鉢も見合うサイズにしました。

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Astroloba foliolosa
「フォリオサ」の名前で入手しました。間違いですがそう呼ばれがちみたいです。ビッグバザールにて入手。

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根は貧弱です。
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植え替え後。どうしても斜めに育ってしまいます。そもそも根が斜めに生えているので難しいところです。

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Astroloba rubriflora
かつてはPoellnitzia rubrifloraでした。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根はやはり貧弱。
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植え替え後。そろそろ、Astrolobaとしては異質な赤い花を見てみたいところです。

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今年のハウォルチアとツリスタ、アストロロバの植え替えはこれでおしまいです。後はユーフォルビアとアロエがまだ残っています。


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相も変わらず、終わりの見えない多肉植物の植え替えに勤しんでいます。今回はハウォルチアばかりです。

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十二の巻
Haworthiopsis attenuata系交配種です。硬葉系ハウォルチアはHaworthiopsisとなりました。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根はまずまずのところです。
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植え替え後。十二の巻はつい買ってしまいます。このようなノーマルタイプが一番形が整っています。

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Haworthiopsis attenuata
「特アルバ」という選抜タイプ。新羽駅近くのヨネヤマプランテイションにて入手。

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根の張りは良好。
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植え替え後。バンドは強いのですか姿は乱れがちです。

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Haworthiopsis fasciata DMC 05265
こちらはアテヌアタ系ではなくファスキアタです。フィールドナンバーつきです。ビッグバザールにて入手。

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根の張りは非常に良いですね。
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植え替え後。DMCナンバーはDavid Cumming氏の採取個体です。早くも花茎が伸びて来ました。

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竜城 Haworthiopsis viscosa
そう言えば、入手したのは冬で以前植え替えた時には根がほとんどありませんでしたね。硬葉系ハウォルチア。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根の張りは結構いいみたいです。
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植え替え後。これでも入手から倍くらい伸びました。

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五重の塔 Haworthiopsis tortuosa
埼玉県のシマムラ園芸にて入手。

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根の張りは良好。
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植え替え後。そう言えば、五重の塔はHaworthiopsis viscosa系の雑種と考えられており、現在はHaworthiopsis × tortuosaとなっているようです。

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Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis
「鷹の爪」(Haworthiopsis reinwardtii)の品種(form)です。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根の張りは良好。購入時にあった真下に伸びる根はすべて枯れて、新しい根と入れ変わったみたいです。
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植え替え後。2つに分けました。H. reinwardtii系は今後集めたい硬葉系ハウォルチアです。

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風車 Haworthiopsis scabra var. starkiana
Haworthiopsis scabraのざらつきがない変種です。この個体は葉が短く太ったタイプ。硬葉系ハウォルチア。鶴仙園西武池袋店にて入手。
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根は太く荒い感じがします。
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植え替え後。自生地では強光に当たり黄色くなりますが、中々日焼けが怖くて自生地の姿を再現出来ません。

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Haworthia herbacea
小さい沢山の窓と短い禾があるタイプの軟葉系ハウォルチアです。鶴仙園西武池袋店にて入手。
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根は太ったものでした。
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植え替え後。子株がいくつか出来ていますね。

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Haworthia magnifica var. notabilis JDV 87/197
Jakobus D. Venter氏の採取個体です。鶴仙園西武池袋店にて入手。

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根は割と枯れていました。
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植え替え後。子を外しました。しかし、どうにも水っぽくて葉がポキポキ折れてしまいました。現在はHaworthia maraisiiの変種Haworthia maraisii var. notabilisとなりました。

さて、植え替えはまだ続きます。しかし、ハウォルチアは鶴仙園さんばかりですが、いつ行ってもハウォルチアだらけなのでついつい買ってしまいます。


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ソテツの根にはサンゴ根と呼ばれる不思議な形状の根があります。これは何かと言えば、細菌(バクテリア)がソテツと共生関係を結んだものです。植物と細菌の共生と言えば、マメ科植物の根粒が有名です。マメ科植物の根粒は、大気中の窒素ガスを固定してアンモニアに変換することが出来ます。植物は大気中の窒素を利用出来ませんが、アンモニア態窒素は栄養分として利用可能なのです。
さて、このソテツのサンゴ根は古くから研究されてきたようですが、最新の研究成果をまとめた論文を見つけました。Aimee Caye G. Chang, Tao Chen, Nan Li & Jun Duanによる2019年の論文、『Perspectives on Endosymbiosis in Coralloid Roots : Association of Cycas and Cyanobacteria』です。なるほど、サンゴ根はそのまま「Coralloid Roots」なんですね。というより、サンゴ根という言葉自体が英語から来ているのかもしれません。
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Dioon spinulosumのサンゴ根は地際に形成されていました。

ソテツのサンゴ根と共生する細菌は、意外にも光合成をする細菌です。いわゆる、藍藻(藍色細菌、シアノバクテリア)と呼ばれている細菌で、一見して藻のように見えます。しかし、遺伝子が核膜に包まれておらず、細胞質中に浮かんでいる状態です。これを一般的に原核生物と呼び、藍藻は葉緑体の元になった細菌であると考えています。一昔前には日本でも河川や湖沼に生活排水が処理されずに垂れ流した結果、富栄養化によりアオコと呼ばれる藍藻が増殖し腐敗して異臭を放ったりしました。まあ、この富栄養化は洗剤にリンが含まれていたことが原因だったようで、現在では洗剤にリンはほぼ含まれなくなりました。
さて、わざわざ地中にある根に共生する細菌が光合成できても意味がないような気がしますが、個人的な感想ではサンゴ根は浅いところに出来やすいように思われます。なお、ソテツと共生する藍藻は主にネンジュモです。ネンジュモは緑色の珠を数珠繋ぎに連ねたような藻です。実際にサンゴ根を切って断面を見るとと外皮側に薄く緑色の層があり、藍藻が存在することが分かります。

サンゴ根の形成に先立って、プレ・サンゴ根(precoralloid roots)を形成します。この段階では藍藻は存在しないのにプレ・サンゴ根は形成されます。このプレ・サンゴ根が藍藻との共生のために形成されるものかどうかは、実はよく分かりません。他に何か機能がある可能性もあります。しかし、現実的にプレ・サンゴ根にネンジュモが感染することにより、サンゴ根が形成されるのです。
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Dioon eduleの根に形成されたサンゴ根ですが、プレ・サンゴ根あるいはサンゴ根の初期段階と思われます。

しかし、窒素ガスというのは利用しようと思うと、大変厄介な存在です。なぜなら、窒素ガスは窒素原子が2つ結合したものですが三重結合によりがっちり連結しており、様々な物質に反応を示さない不活発な分子だからです。ですから、窒素は大気の78%を占めるにも関わらず安定しており、我々が呼吸のために大量に吸い込んでも何も起こりません。しかし、ネンジュモは空気中の窒素ガスをニトロゲナーゼという酵素で、三重結合を解離させ水素と結合させて生物が利用可能な形とするのです。

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Zamia furfuraceaのサンゴ根はDioonとは形が異なります。

藍藻はいつでもニトロゲナーゼを使うわけではなく、通常は周囲に栄養分が不足している場合に使われます。この時、藍藻は普段の細胞よりわずかに大きいヘテロシスト(heterocysts)という形態になります。ニトロゲナーゼは酸素で不活性化してしまうため、細胞に厚い壁を持ったヘテロシストにより酸素を遮断出来るようです。しかし、サンゴ根ではソテツとの共生関係のためだけに、藍藻はヘテロシストを形成します。
また、藍藻はヘテロシスト以外にもいくつかの形態に変化します。運動性がありソテツの出す化学物質に反応して感染に関与すると言われているhormogoniumや、環境の悪化によりakinetesと呼ばれる胞子になります。akinetesは寒さや乾燥に強く、60年以上耐えることが出来ると言います。

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Zamia integrifolia(異名Zamia floridana)のサンゴ根は青みがかり、藍藻がいることが分かります。

2019年にはソテツ(Cycas revoluta)の根から、hormogoniumを誘導する因子(
diacylglycerol 1-palmitoyl-2-linoleoyl-sn-glycerol)を単離することに成功しているそうです。そこで、考えられるサンゴ根が形成される筋書きは以下の通りです。まず、ソテツはプレ・サンゴ根を形成し、誘導因子を分泌し移動性があるhormogoniumを誘引します。hormogoniumはプレ・サンゴ根に感染しますが、このままだと取り込まれた藍藻は窒素固定を行いません。なぜなら、窒素固定は藍藻がヘテロシストとなる必要があるからです。そこで、藍藻が感染したらhormogonium誘導因子の放出を停止し、取り込まれた藍藻はヘテロシストの形態へ移行し窒素固定を開始するのです。ちなみに、hormogonium誘導因子の放出を抑制する遺伝子が1997年に発見されているそうです。
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Cycas revoluta

以上のように様々なことが分かりつつあります。しかし、サンゴ根形成のメカニズムはいまだに分かっておらず、ソテツとネンジュモの関係も明らかとなっていない部分が沢山あります。著者らはこれらの研究には限界があるとしています。まず、感染実験が必要ですが、ソテツの生長を考えると非常に長期に渡る試験となる可能性があります。では、in vitro(試験管内)で実験するにせよ、サンゴ根の組織培養の方法を構築することから始めなければならないでしょう。
この論文自体がソテツのサンゴ根研究の成果をまとめた、ある種の一里塚のようなものです。ここから論文に記された研究の道筋をゆっくりと進展していくのか、それとも革新的な技術の開発で一気に解決してしまうのか、まあそれは都合の良すぎる話ですが、今後の研究を私もゆっくり待ちたいと思います。


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プラントハンターはヨーロッパの列強国が世界中に派遣した植物採取人たちのことです。もちろん、国家が国策として行っていたわけではなく、ヨーロッパの園芸熱の高まりにより、ヨーロッパの人々は異国の珍しい植物を入手しようとしたのです。
さて、本日はそんなプラントハンターについて書かれたAlice M. Coatsの「プラントハンター東洋を駆ける」(八坂書房、2007年)をご紹介しましょう。原版は世界中のプラントハンターについて書かれているそうですが、日本語版はその中から日本と中国を舞台にした部分のみを抜粋しています。基本的には次々とプラントハンターの人生が語られ、内容は非常に濃密です。語られるのも、日本では有名なシーボルトやケンペルだけではなく、存命中はまったくその業績が知られていなかったようなプラントハンターすら登場します。


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日本はプラントハンターが訪れた時には、すでに園芸ブームが繰り返しあったわけで、プラントハンターも植木屋が沢山あることに驚いた様子です。また、日本では何かと異国の話を聞きにくる知識人も結構いた様子もうかがえます。中には帰国したプラントハンターに植物を送り続けた日本人すら登場します。国や時代が代われど人のつながりは普遍的ですね。
さて、日本や中国からヨーロッパに渡った植物は沢山あれど、そのすべてが栽培された訳ではありません。初期は地球を半周する船旅に耐えられないものも多く、植物輸送用のミニフレームである「ウォードの箱」が開発されるまでは生き残るものはわずかでした。また、船が難破することもしばしばでした。
日本からはアジサイやアオキ、ツツジなどの花木やユリやサクラソウなどの草花を始め、非常に多くの植物が導入されました。意外にも針葉樹が何かと登場しますが、庭木としての活用が期待されたのかも知れません。また、桜は中々導入されませんでしたが、理由はよく分かりません。開花期を見逃していただけなのでしょうか?
プラントハンターは園芸植物だけを求めた訳ではなく、沢山の乾燥標本を作ってヨーロッパに送っています。それらの標本を元に学名が付けられていますから、現在でもそれらは貴重な資料です。

最近、日本でもプラントハンターと呼ばれる人がいます。しかし、テレビで放映しているところを見ると、実際に採取するために探検している訳ではなく、世界中を飛び回って買付をしているバイヤーであることが分かります。とは言うものの、昔のプラントハンターも、ほとんど都市部で植木屋などから購入するだけだった人物もいないではありません。まあ、当時はヨーロッパからアフリカ西岸を帆船で南下して、喜望峰を回り北上し、インドや東南アジアを経由して東アジアに来るだけで大変な冒険ではありました。また、中国では盗賊や海賊に悩まされ、病気になったものも多く現地で亡くなったプラントハンターもいます。中には現地民に襲撃されて命を落としたプラントハンターすらいます。昔のプラントハンターは危険をかえりみず、わずかな報酬でまったく未知の世界に飛び出した、まさに冒険家だった訳です。

この本の原版は割と古いもので初版は1969年ですから、何となく時代を感じる記述が目立ちます。例えば中国ではプラントハンターは所詮は余所者でしかないというのに、便宜を図らない中国に批判的です。しかも、侵略的なヨーロッパ列強の姿勢には無批判で、読んでいると列強に侵食される中国の方が悪いかのように感じてしまいます。どうにも西洋中心主義が色濃い雰囲気ですが、実は1990年代でも学術世界ですら生き残っていた思想ですから、時代を考慮するならば仕方がないことかもしれませんね。


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近年、花キリン類の分類が見直されつつあります。というのも、花キリン類は外見上の判別が難しく、非常に混乱したグループとされているからです。恐らく、これから花キリン類は大胆に整理されていくことになるのでしょう。さて、本日はそんな花キリンからEuphorbia cap-saintemariensisをご紹介します。
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Euphorbia cap-saintemariensis

まずは学名の話から始めましょう。初めて命名されたのは1970年のEuphorbia cap-saintemariensis Rauhでした。しかし、1984年にEuphorbia decaryi var. cap-saintemariensis (Rauh) Cremersとする意見もありました。しかし、E. cap-saintemariensisをE. decaryiの変種とすることは、Rauh & Buchlohにより批判され、一般にも認められませんでした。しかし、様々なサイトでは今でもE. decaryi var. cap-saintemariensisと呼ばれることもあるとされ勝ちですが、真相はただそう言う意見もあったというだけです。
しかし、ここで1つ解説が必要でしょう。E. decaryiの名前はどうやら混乱があったようで、現在E. decaryiと呼ばれる植物はE. boiteauiを指し、本来のE. decaryiとは現在E. francoisiiと呼ばれている植物のことなんだそうです。つまり、E. decaryi var. cap-saintemariensisという名前は、現在のE. francoisiiに対してではなく、本来のE. boiteauiに相当する植物に対する変種とされたということになります。
このように、E. decaryi、E. boiteaui、E. francoisiiを整理したのは、2016年のJ.-P.Castillon & J.-B.Castillonでした。しかし、CastillonらはE. decaryi var. cap-saintemariensisをE. boiteauiと関連付けることはせず、E. cap-saintemariensisとして独立する考え方を支持しました。2021年にはE. decaryiの近縁種を整理した
Haevermans & Hetterscheidも、E. cap-saintemariensisを独立種とする考え方を支持しています。
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Euphorbia boiteaui

2013年に発表されたBrian L.Dorseyらのユーフォルビアの遺伝子を解析した論文では、E. cap-saintemariensisはE. rossii、E. tulearensis、E. beharensisと同じグループとされています。また、E. ambovombensis、E. decaryi(=E. boiteaui)、E. cylindrifolia、E. francoisii(=E. decaryi)は同じグループで、E. cap-saintemariensisのグループとは姉妹群です。ということで、どうやらE. cap-saintemariensisは言うほどE. boiteauiに近縁ではないようです。
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Euphorbia tulearensis

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Euphorbia rossii

次に原産地の情報ですが、花キリンですから当時ながらマダガスカル原産です。E. cap-saintemariensisはマダガスカル島の最南端の岬にあるCap Sainte-Marie保護区に特有ですが、種小名が地名に由来することが分かります。生息地域は約0.9km2と非常に狭く、絶滅の危機に瀕しています。生息地は平らな石灰岩の台地で、風が吹きすさぶ嵐の多い地域です。E. cap-saintemariensisは完全な直射日光か、他の植物にまだらに覆われた半日陰で育ちます。Alluaudia comosa、Alluaudiopsis fiherensis、Aloe millotii、Crassula humbertiなどと共に育ちます。生息環境を見ると、Euphorbia decaryiより日照を好むことが分かります。
育て方を調べていたところ、面白いことが書かれていました。植え替え後もE. cap-saintemariensisが休眠状態だった場合、植え替えのダメージが回復する2週間程度経った後、40~50℃のお湯を与えると通常2~7日で休眠から覚めると言います。ショック療法みたいなものかもしれませんが、結構乱暴な方法ですね。

さて、種小名は「cap-saintemariensis」な訳ですが、「capsaintemariensis」とハイフンを入れない表記もよく見られます。正式にはハイフンを入れるようです。名前の由来である「Cap Saint Marie」は、「Cap Saint-Marie」とも表記されることもあります。学名とは逆のような気がしますが、この場合は「Cap」+「Saint-Marie」を表しています。 ですから学名では「cap」+「saintmarie」となっているのでしょう。まあ、意味的には「聖Marieの岬」ですから、分けるなら「聖Marie」と「岬」ですよね。ずいぶんとつまらないことを言ったかもしれません。


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Welwitschia mirabilisはナミブ砂漠に生える奇妙な植物です。生長点から出る2枚しかない葉が一生伸び続け、先端は枯れて葉が裂けるため、何枚も葉があるように見えたりします。ほとんど雨が降らない地域にも生えるため、1本の根が伸び続けて地下水を利用しているのだと言います。推定寿命は400~1500年と非常に長命な植物です。日本では「奇想天外」なる妙な名前もあります。
さて、Welwitschiaは砂漠の植物ですから、CAM植物ではないかと言われて来ました。これは光合成の方法に関する話です。少し解説しましょう。一般的に日本に自生する植物の多くはC3植物です。C3植物は取り込んだ二酸化炭素を、炭素が3つからなる物質に変換します。しかし、乾燥地の植物にはC4植物とCAM植物が多く、取り込んだ二酸化炭素を炭素が4つからなる物質に変換します。光合成するためには気孔を開いて二酸化炭素を取り込む必要がありますが、乾燥地では日中に気孔を開くと蒸散により水分が逃げてしまいます。ですから、C4植物やCAM植物は日中は気孔を閉じていて、夜間に二酸化炭素を取り込んでおくのです。さらに、CAM植物は取り込んだ二酸化炭素を最終的にリンゴ酸に変換して水分に溶かした状態で貯蔵することが出来ます。Welwitschiaは極端な乾燥に耐えるためにCAM植物であろうと考えることは、何らおかしなことではありません。しかし、驚くべきことにWelwitschiaはCAM植物ではなく、C3植物だということが分かりました。つまりは、光合成をするために日中気孔を開いてガス交換をして、大量の水分を蒸散により失っているのです。つまりはWelwitschiaは生長が遅く不活発な印象とは裏腹に、大量の水分を地下深くから吸い上げて、吸い上げた水分を大量に蒸散により失うかなり動的な植物なのです。


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奇想天外 Welwitschia mirabilis
(神代植物公園)


本日はWelwitschiaと菌との関係性を調査したK.M.Jacobson、P.J.Jacobson、O.K.Miller.Jr.の1993年の論文、『The mycorrhizal status of Welwitschia mirabilis』をご紹介しましょう。当ブログでは植物と菌との共生関係=菌根について度々取りあげていますが、多くの植物は菌類と共生関係を結び様々な恩恵を受けていることが明らかとなっています。極めて乾燥した地域に生える直根しかないWelwitschiaには菌類との共生は縁がないような気もします。しかし、何事も実際に確かめなければ確証は得られないものです。著者らはナミブ砂漠の7つの地域で、Welwitschiaの根を調べています。ただし、植物を傷付けない非破壊調査であるため、岩のひび割れに生えるWelwitschiaは流石にお手上げだったということです。

さて、先ほどから菌だとか菌類などと呼んできましたが、今回の調査はアーバスキュラー菌根菌を対象としています。アーバスキュラー菌根菌は植物の根の組織内に入り込んで、まるで植物の根と一体となったかのようなアーバスキュラー菌根を形成します。アーバスキュラー菌根は植物の80%以上で確認されている汎用性が高い菌根菌です。
さて、まずはW. mirabilisを調査した7つの地域について見てみましょう。1つ目(A)は浅い砂質土壌がある狭い渓谷で、Euphorbia phyllocladaなども生えていました。2つ目(B)は1つ目地域で乾燥した一年草が見らる場所です。3つ目(C)は広大な砂利の平野で、何百ものW. mirabilisが、干上がって固まった石膏からなる水路の跡に生えていました。他の植物はまばらで、ZygophyllumやArthraeruaなどが生え、枯れた一年草の残骸がありました。雨が降るとその時だけ一年草が生えるのでしょう。4つ目(D)はMessum川の南です。硬い石膏からなり、掘ると地下には岩がある状態でした。W. mirabilis以外ではZygophyllumのみが見られました。5つ目(E)はSamanab川の浅い岩だらけの水路と隣接する砂利からなる平野です。Zygophyllumが唯一の多年草です。6つ目(F)は5つ目の河川の土手で、ZygophyllumとStipagrostisが見られました。7つ目(G)は岩だらけですが、密に草に覆われていました。

全体的な特徴は7つ目以外は、Welwitschiaと他の種類の植物が2~10mも離れて生えていたことと、降雨量が0~100mmと非常に少ないことです。また、7つ目だけは降雨量が150~200mmと比較的雨が降る環境でした。
A、D、Fでは5つのサンプルでは菌根を確認出来ませんでした。また、CとEでは菌根を持たないものもありましたが、よく発達した菌根を持つものもありました。FとGはすべての個体で菌根が確認されました。
また、土壌中の菌根菌の胞子を調べたところ、W. mirabilisの菌根がない個体では胞子は見つかりませんでした。また、Gにおいては菌根がよく発達し、胞子濃度も非常に高いものでした。
W. mirabilisにどのようにして菌根菌が広まるのか、2つのシナリオがあります。1つは風で胞子が拡散する可能性です。しかし、平野部の地面は石灰質で覆われており、飛んできた胞子が定着することは難しいかもしれません。そうなると、雨が降った時だけ生える一年草の根に感染した菌根菌が由来なのでしょう。なぜなら、一年草が生えるくらい雨が降り、W. mirabilisの周囲に一年草の枯れ草がある場合にW. mirabilisに菌根が見られたからです。

以上が論文の簡単な要約となります。極めて厳しい環境に生えるW. mirabilisには、通常の手段では菌根菌も近寄ることが出来ないことが分かります。しかし、一年草が生える環境では、一年草から菌根菌がやってくるのです。しかし、極地の植物であるWelwitschiaですら、菌根を形成することがあるということに驚きます。ただ、この論文では菌根の存在を確めはしましたが、菌根菌がWelwitschiaに如何なる恩恵をもたらしているのかは、まったく不明です。とは言うものの、それを確めるにはWelwitschiaをポットに植えて人工的に菌根菌を接種したグループとしていないグループを比較する必要があります。しかし、根が極めて長いWelwitschiaのポット栽培は中々困難かもしれません。また、差がはっきりするくらい栽培するとなると、生長が遅いため非常に長期間の栽培が必要でしょう。1年ならまだしも5年10年、あるいはそれ以上となる可能性もあります。あまり、現実的とは言えないかもしれませんね。


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まだまだ植え替えは続きます。今回はちょっと大きいものもあります。

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Aloidendron ramossimumです。なにやら大きな鉢に植わってます。年末の木更津Cactus & Succulentフェアで入手しました。
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根はかなり太いですが、枯れた根も結構ありました。Aloidendron dichotomumもそうですが、根は荒い感じがします。
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植え替え後。生育は遅いので、じっくり付き合っていきたいですね。

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Dioon spinulosumですが、非常に生育が良いので植え替えます。武蔵野線の三郷駅近くにあるファーマーズガーデンで入手しました。
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根の張りが良好です。
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よく見ると、ソテツに特有のサンゴ根が出来ていました。
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植え替え後。4号鉢から6号鉢にグレードアップしました。涼しげで美しいソテツです。100年以上前にメキシコでD. spinulosumを探したCharles J. Chamberlainが絶賛したことも頷けます。

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Euphorbia fianarantsoaeです。あまり見かけない花キリンです。この前のヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会で入手しました。
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根は少ないですね。
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植え替え後。このタイプの花キリンは周年花が咲く可能性がありますから、株を充実させたいですね。

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Euphorbia viguieri var. capuronianaです。一応は花キリンです。この間のビッグバザールで入手しました。

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水はけの悪いピートモス系の用土に植えられていました。腐らせそうなので根を洗いました。
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植え替え後。Euphorbia viguieriはすでに育てていますから、どう違うのか実際に比べてみたいですね。

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昭和キリン、Euphorbia bubalinaです。ヨネヤマプランテイションで入手しました。
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根は結構下の方にありました。
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植え替え後。この仲間には失敗経験がありますから、徒長させないように育てたいものです。

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Euphorbia silenifoliaです。かなりの難物と聞きます。ファーマーズガーデンにて入手。
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根は意外としっかりしていました。
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植え替え後。3年ほど育てていますが、あまり育った実感はありません。維持していると言った方が正しいかもしれませんね。花咲かないかな…

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一般的にEuphorbia francoisiiの名前で流通している花キリンです。実はEuphorbia decaryiで、E. decaryiの名前で販売されているのはE. boiteauiということです。シマムラ園芸で入手。
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根はかなり太っています。というか、根の勢いが凄いですね。
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植え替え後。どうにも根が縦に長くなってしまいます。むしろ、長い鉢に深植えして、地中で塊根を肥らせた方が面白いかもしれませんね。


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今日も植え替えです。今回は小物ばかりです。

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Gymnocalycium andreae var. leucanthum LB15239です。フィールドナンバー付きです。鶴仙園西武池袋店にて入手。
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根はこんな感じ。太いゴボウ根がありますね。
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植え替え後。Gymnocalycium andreae(黄蛇丸)は黄花ですが、var. leucanthumはleuco=白ですから、白花ですかね?

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Euphorbia gamkensisの小苗です。しかし、用土が細かいせいか、水やりする度に苗が右に左に移動してしまいます。ビッグバザール購入品。
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根はこんな感じ。まだ苗なのでこんなもんでしょう。
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植え替え後。ちと用土の粒が大きすぎますが、細粒はないので仕方がありません、タコものらしくなるまで、あと何年かかるでしょうか?

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Pachypodium graciliusの小苗。育ったような育たなかったような…。ビッグバザール購入品。
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意外と根の張りは悪くありません。干からびそうなので、甘やかしてきました。
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植え替え後。鉢が大きすぎますが、今年は頑張って欲しいところ。

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Euphorbia greenwayiですが、手前の2本は最近伸びてきた枝です。ビッグバザール購入品。
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鉢から抜くと新しい枝が沢山出ていました。
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植え替え後。非常に美しいユーフォルビアですが、生育が旺盛で嬉しく限りです。

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Euphorbia resiniferaですが、生長が始まっています。こちらも鶴仙園西武池袋店にて入手。
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根は地上部に比べて貧相ですね。
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一緒に謎の多肉植物が生えていました。
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植え替え後。自生地ではマット状に広がりますが、再現できませんね。謎多肉はニグラの鉢に植えました。

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Euphorbia ellenbeckiiです。年末に千葉で開催された木更津Cactus & Succulentフェアにて入手。
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根は非常に繊細で絡み付くような長いものでした。あと、枝がぽろっととれてしまいました。
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植え替え後。取れた枝も植えました。

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Haworthiopsis nigra IB12484です。プラ鉢のスリットから地下茎で芽が出ていたものを独立させたものです。ですから根なしの株でした。今回は根が出たか確認します。
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抜いてみたら根がちゃんと出ていましたね。
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植え替え後。謎多肉も同居させました。

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Euphorbia caput-medusaeです。抜く前の写真を取り忘れました。これでもだいぶがっちりとしました。埼玉県のシマムラ園芸にて入手。
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植え替え後。まだ、タコものらしさはありませんが、すでに花は咲いています。今年もすでに花芽が出来ています

という訳で、ちまちま植え替えています。何だかんだで4月は植え替えで終わってしまいそうな予感があります。屋外の多肉植物置き場の整備がまったく進んでおらず、毎週やるやる言っているだけでダメですね。そう言えば、原材料の輸入の関係か資材が入手出来なくて困っています。どしたものやら…


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先週は雨で植え替えが出来なかったので、相変わらず植え替えに勤しんでいます。根の状態の確認も出来ますし、塊根の生長は割と楽しみだったりします。

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Euphorbia didiereoidesですが、先週ルームズ大正堂八王子店で購入したばかりの花キリンです。園芸店で冬を越したように感じますが、根の状態はどうでしょうか?
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意外に根の状態は悪くありませんでした。まあ、鉢が狭い感じはありますが…
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植え替え後。だいぶ用土が増えたので、これからは根を充実させていきます。しかし、花キリンにしては激しいトゲです。

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同じくルームズ大正堂八王子店で購入したばかりのユーフォルビアです。Euphorbia sp. nova. somalia hordioというラベルがありました。
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2株が植わっていました。しかし、やたらにぐにゃぐにゃ変な角度で植えられていました。挿し木なんでしょうけど、なんか大雑把な仕事です。
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植え替え後。2鉢に分けました。なんか枝が暴れ勝ちですよね。樹形を整えるのに苦労しそうです。

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Euphorbia sapiniiですが、雑草の勢いの方が激しく負けてしまっていますね。いつぞやのビッグバザールにて入手。
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抜いてみたら、なにやらマンドラゴラ感が強い塊根でした。根の先端が鉢底に当たってしまっていたようです。
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植え替え後。少しだけ出しました。いや、出す必要はなさそうですが、直ぐに根が鉢底に達してしまいそうなので。去年は葉が3枚しか出ませんでしたが、初めてトゲも出ました。今年の生長が楽しみなユーフォルビアだったりします。

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Pachypodium brevicaule、いわゆる「恵比寿笑い」です。なにやら鉢が狭く見えます。神代植物公園の多肉植物展で入手。
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根はパンパンでした。完全に根詰まりする前に植え替え出来てよかったです。
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植え替え後。他のパキポディウムより弱いようなことを言われますが、若い内は非常に丈夫です。

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Pachypodium brevicalyxですが、パキポディウム苗の中でも生長が著しいので、根の方も詰まっていそうです。確か横浜のヨネヤマプランテイションの多肉植物BIG即売会で購入したような記憶があります。
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根が完全に鉢の形になっています。
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植え替え後。今年もぐんぐん生長して欲しいですね。

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Pachypodium enigmaticumですが、標準的な生長具合です。葉は冬でも割と残りました。こちらは、ビッグバザールで入手。
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根はそれほどでもないですね。
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植え替え後。ちょっと大きめの鉢に植えました。パキポディウムの中では大きめの花が咲くエニグマティクムですがまだ未開花です。一時は偽物も出回ったといいますから、早く花を拝んでみたいところです。

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スーパーゼブラとラベルにはありますが、いわゆる「十二の巻」の選抜タイプです。Haworthiopsis attenuata系品種です。世田谷ボロ市にて入手。DSC_2442
根は貧弱でしたが、すでに動き始めています。
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植え替え後。十二の巻は正直人気がありませんが個人的には大好きなので、気になる株があればまた買ってしまうかも…

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Euphorbia tulearensisですが、葉はやたらと増えるものの幹はあんまり変わりません。鶴仙園西武池袋店で入手。
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塊根がかなり発達していました。植え替えごとに少しずつ出していきます。
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植え替え後。一気に立派になりましたね。トゥレアレンシスは(花キリンとしては)割と高額ですが、実は恐ろしく丈夫で育てやすい花キリンです。

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今回はここまで。とは言え、まだまだ植え替えは続きます。十分な数の鉢を準備したつもりが、すでに足りなくなりそうです。取り急ぎ入手しなくては…


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雪女王Aloe albifloraが開花しました。アロエの花言えば赤~橙~黄色ですから、白い花は珍しい花色です。まさかの開花でした。まさに、albi(=白)flora(=花)ですね。
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雪女王 Aloe albiflora

雪女王は今年の正月明けに世田谷ボロ市で購入しました。いかにも休眠中といった色合いで、外側の葉は枯れ混んでいました。そのため、今年は植え替えをしてしっかり株を充実させて、来年花を拝めればという腹図もりでしたから、まさかの開花です。
一般的に赤系統の花はアフリカでは鳥媒花で、アロエの花には様々な鳥蜜を求めて訪れます。ガステリアのように、赤系統で小型の花だと太陽鳥が訪れます。日本だと赤系統の花にはマルハナバチが来ますが、白花には蛾やハエが訪れます。
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女王錦 Aloe parvula

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Gasteria baylissiana

アロエ類では広義のハウォルチア(Haworthia, Haworthiopsis, Tulista)は白花で蛾が訪れます。ハウォルチアは筒状の花の形からして、蜂が訪れることはなさそうです。
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Haworthiopsis glauca var. herrei

では、肝心の雪女王はどうでしょうか? 緑色の筋が入るところなどハウォルチアに似た部分もあります。しかし、ハウォルチアより花が開くので、蜂やハエも来るだけのスペースはありそうです。とは言え、実際には匂いなどで特定の昆虫を呼び寄せる機構があったりもしますから、実際に花を訪れる昆虫を観察する必要があるでしょう。
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雪女王 Aloe albiflora


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