ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2022年07月

臥牛と言えばガステリアの代表格です。ガステリア自体はあまり販売していませんが、臥牛の美しい品種はまだ見る方です。そんな臥牛の学名と言えば、Gasteria nitida var. armstrongiiとして知られています。しかし、最新の論文では臥牛はニチダの変種ではないとされています。どういうことなのでしょうか?

臥牛はニチダの変種であり、ネテオニーの可能性があると言わることもあります。ネテオニーとは日本語では幼形成熟ですが、例えば昔流行ったウーパールーパーなるサンショウウオがありましたが、あれは幼生のまま育って成熟したメキシコサラマンダーです。同様に、ニチダは幼体のうちは左右に葉が並びますが、育つと葉は旋回してアロエの様なロゼットを形成します。しかし、臥牛の葉は旋回しません。よって、臥牛はニチダの幼体のまま育ったものだと言うのです。
なぜ、その様に言われるのかは定かではありませんが、ニチダとアームストロンギイは分布域が重なり、Gamtoos river付近では混在するからかもしれません。

最新の遺伝的解析による分子系統を示します。2021年に出たPhylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文です。
G. nitidaはG. rawlinsonii、G. bicolorと近縁とされます。しかし、アームストロンギイは必ずしもニチダに近縁ではないため、G. armstrongiiとして独立種とされています。そのG. armstrongiiは、G. glaucaやG. glomerataと近縁であり、G. polita、G. acinacifolia、G. barbaeと姉妹群を形成しています。


    ┏━━━━━━━G. bicolor                          
┏┫                                         
┃┗━━━━━━━G. rawlinsonii                 
┃                                             
┫┏━━━━━━━★G. nitida 
┃┃
┃┃         ┏━━━━G. excelsa
┃┃     ┏┫
┃┃     ┃┗━━━━G. pulchra
┃┃     ┃
┃┃┏ ┫ ┏━━━━G. ellaphieae                         
┃┃┃ ┃ ┃ 
┃┃┃ ┃ ┃    ┏━━G. polita
┗┫┃ ┗ ┫┏┫
    ┃┃      ┃┃┃┏━G. acinacifolia
    ┃┃      ┃┃┗┫
    ┃┃      ┗┫    ┗━G. barbae
    ┃┃          ┃
    ┃┃          ┃┏━━★G. armstrongii
    ┗┫          ┗┫
        ┃              ┃┏━G. glauca
        ┃              ┗┫
        ┃                  ┗━G. glomerata
        ┃
        ┃    ┏━━━━━G. croucheri
        ┃┏┫
        ┃┃┗━━━━━G. loedolffiae
        ┗┫
            ┃┏━━━━━G. tukhelensis
            ┗┫
                ┃┏━━━━G. batesiana
                ┗┫                     var. batesiana
                    ┗━━━━G. batesiana
                                             var. dolomitica

私が学名の根拠としている『The World checklist of Vascular Plants』によると、臥牛はGasteria nitida var. armstrongiiとなっています。しかし、その根拠は2003年の『Plants of Southern African  : an annotated checklist.』と『World Checklist of Seed Plants Database in Access G』によります。
しかし、これらは最新情報に改定を繰り返しますから、次の改定では学名が変わるかもしれませんね。
ニチダの学名は1817年に命名されたAloe nitida Salm-Dyckが最初ですが、1827年にはGasteria nitida (Salm-Dyck) Haw.となり、これが現在認められている学名です。1830ににはHaworthia nitida (Salm-Dyck) G.Donも提唱されましたが、認められておりません。
臥牛の学名は1912年に命名されたGasteria armstrongii 
Schönlandですが、1992年にはGasteria nitida var. armstrongii (Schönland) van Jaarsv.とされました。果たして最新の研究結果からG. armstrongiiが認められるのでしょうか。その場合、昔の学名に戻ることになりますね。

DSC_1614
Gasteria armstrongii GM07c-5
フィールドナンバー付き。典型的な臥牛ではありませんが、これはこれで個性的。


臥牛はJeffreys Bayと東ケープ州のGamtoos riverに分布します。臥牛はガステリアの自生地に多い崖地ではなく、小石が多い平坦あるいは丘陵地に自生するようです。自生地には、Pachypodium bispinosum、Boophone disticha、Bergeranthus glenensis、Euphorbia gorgonis、Freesia alba、Crassula tetragona subsp. acutifoliaが見られるとのことです。
しかし、臥牛は野生株は絶滅危惧IA類という最も高いレベルの危機に瀕しています。臥牛は平坦地に生えることから採取しやすく、園芸的に人気があるため盗掘の被害にあっているそうです。また、平坦地ということで、農業用地として開拓されてしまうことにより、自生地が失われています。人の生活圏と生息地が重ってしまうと、生息地が失われて危機に瀕するというのはよくある話ですが、多肉植物好きとしてはとても悲しく思います。





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フィリプシオイデスは、最近少しずつ国内でも販売されるようになってきた、ソマリア原産のユーフォルビアです。去年の冬にあった千葉のイベントで入手しましたが、購入時はトゲが弱くあまり特徴が分からない雰囲気でしたが、最近になってようやく良いトゲが出てきました。しかし、標高1300~1500mに生えるソマリアものですから、これからの暑い季節は苦手でしょうね。

IMG_20211219_173016
2021年12月。購入時。
蕾付きでしたが、全体的にトゲは弱いみたいです。


DSC_0681
花はとても小さいので、接写はこれが限界です。

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2022年7月。良いトゲが出てきました。子吹きもして、これからが楽しみです。

フィリプシオイデスの学名は1992年に命名されたEuphorbia phillipsioides S.Carterです。S.Carterはイギリスのユーフォルビア、モナデニウムを専門とする植物学者のSusan Carter Holmesです。Carterは国際ユーフォルビア協会(IES)の会長です。
そういえば、フィリプシオイデスの"-oides"は「~に似た、~の様な、~状の」という意味です。これは、「phillipsi + oides」、つまりEuphorbia phillipsiae(=Euphorbia golisana)に似ているという意味となります。フィリプシオイデスもフィリプシアエも同じソマリア原産で分布も同じです。フィリプシアエは1903年の命名ですが、どうやらフィリプシオイデスと混同され勝ちだったようです。それから89年後にようやく区別されました。

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Euphorbia phillipsiae
フィリプシアエのトゲは赤く、トゲが白いフィリプシオイデスとは異なります。しかし、トゲの形や生えかたは同じです。



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アロエ・ボウィエアは南アフリカ原産のアロエです。あまりアロエっぽさがない外見のボウィエアですが、記事を遡って調べてみたら、ちょうど2年前の今頃に入手したようです。入手した頃に一度記事にしておりますが、実際に栽培した所感を含め、改めて記事にしてみました。

かつてのボウィエアの記事はこちら。

アロエ・ボウィエアは一見して球根植物というか、最近流行りのケープバルブのように見えなくもありません。私もはじめて見た時に、根元はずんぐりして葉は先端が細長く伸びる姿を見て、まるでエアープランツ(Tillandsia)の様だと思いました。
それから2年間育てた結果わかったことは、強光や乾燥には耐えられるものの、そういう育て方では綺麗に育たないということです。どうもあまり強光に当てると細い葉先が枯れ混んで、アロエ・ボウィエアらしいアロエとしては風変わりな姿を観賞出来なくなります。去年はそれで失敗しましたから、今年はハウォルチアやガステリアと同じ棚で遮光気味に管理しております。葉は完全回復とはまだ言えませんが、大分良くなりつつあります。


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2022年1月。
葉先が枯れてしまいました。ボウィエアは細い葉が長く伸びるのが特徴なので、ややみすぼらしく見えます。


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2022年7月。
4月に外に出して、ハウォルチアやガステリアと並べて育ててきました。たった3ヶ月ですが、長い葉が伸びてきて少し見られるようになってきました。


アロエ・ボウィエアの学名は1829年に命名されたAloe bowiea Schult. & Schult.f.です。
最初に命名された学名はBowiea africana Haw.でした。ボウィエア属からアロエ属に移動する際、普通は種小名は引き継ぎますが、何故かAloe africanaにはなりませんでした。これは、1768年にAloe africana Mill.というアロエがすでに命名されていたからです。同じ名前は認められませんから、新たにbowieaという種小名がつけられたわけです。


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最近、ハウォルチオプシスやらアストロロバやら、いわゆるアロエ類に興味があります。詳しく知りたくなり、アロエ類についての論文を読んで紹介したりしました。

アロエ類と言えば当時ながらアロエ属とハウォルチア属、さらにはツリスタ属、アストロロバ属、ハウォルチオプシス属と手を広げてきました。そうなると、俄然ガステリア属にも興味が湧いてくるのは自然の摂理というものでしょう(?)。
さてそんな中、エラフィエアエというガステリアを入手しました。白点が密に入る、いかにもガステリアらしい美しい種類です。どのような植物なのでしょうか?

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Gasteria ellaphieae
エラフィエアエは画像の様に多肉質の平たい葉が左右に伸びていますが、生長すると葉が旋回してロゼットを形成するようです。これからの生長が楽しみです。


エラフィエアエの原産地は南アフリカの東ケープ州にあるKougaダム地域とのことです。私がおやっと思ったのは、先週記事にした「白雪姫」ことGasteria glomerataもやはりKougaダムと関係があるからです。そういえば、エラフィエアエの学名の命名は1991年のGasteria ellaphieae van Jaarsv.ですが、グロメラタもやはり1991年にvan Jaarsveldに命名されています。エラフィエアエ自体はvan JaarsveldがKouga地域でAloe pictifoliaを探していた時に偶然発見したようですが、この時にグロメラタも発見されたのかもしれませんね。
エラフィエアエもグロメラタと同様に、切り立った崖の斜面に生えるそうです。そして、やはりタイヨウチョウによって受粉されるというところも同様です。


グロメラタの記事はこちら。
何でも、エラフィエアエの自生地には竜城Haworthiopsis viscosaやHaworthia isabellaeが生えるということです。この様な自生地にともに生える植物の情報は興味深くもっと知りたいのですか、調べてもあまり出てこないのが現状です。いちいち論文で確認を取るのは中々手間がかかりますから難しいところです。(※古い論文は紙の出版物ですから、デジタル化されていません。ネットで探してもないことも良くあります)

しかし、ガステリア自体は昔から流通していますが、実際にはそれほど販売していませんね。要するに人気が今一つなのでしょう。ビッグバザールでも見かけたガステリアは流麗な斑入り品種、臥牛系交配種や選抜品種、あるいは恐竜ぐらいだったような気がします。ちなみに恐竜はピランシーのことだったり、ピランシー系交配種も恐竜と呼んだりもするらしく、あやふやすぎていまいち手が出せません。
ガステリアは日本でも長い歴史があり、ガステリア・ファンにより優れた品種が沢山作られてきました。しかし、私は何だかんだ言っても原種が好きなので、かつての流行にも乗れないでいます。原種はあまり入手出来ないでいますが、イベントなどでの一期一会を楽しみにしていますから、ネット販売品をかき集めたりはせず、ゆっくり集めていきたいと思っております。まあ、ネット販売品は明らかに名前が違っていたり、最近では徒長していたり腐りかけていたり、怪しげなものが多すぎることもありますけどね。いくつかの販売サイトは、記事を書くための情報収集としてサイトを見ようとしたらウイルスソフトが詐欺サイトと判断して警告を出してくる始末です。何とも困ったことです。



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以前、池袋の鶴仙園に行った降り、サボテンハウス(?)の端の方にミニ多肉があり、良く見るとユーフォルビアでした。中にEuphorbia richardsiaeがあり、これははじめて見ました。さらに"オンコクラーダ"なるユーフォルビアもあり、悩みつつも購入しました。
さて、かつてユーフォルビア属の分類を調べた事があり、こういう棒状のユーフォルビアは結構種類があり、どれも良く似ていることが分かりました。ですから、見分けがつかないのにコレクションするのもどうかという思いがあり、手を出してきませんでした。しかし、実際に育てて見ないとわからない部分もあると思い直して、購入に至りました。


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調べて見ると、ユーフォルビア・アルアウディイの亜種オンコクラダであることが分かりました。しかし、基本種のアルアウディイと亜種オンコクラダの違いは何かというといまいち分かりません。オンコクラダは枝が節毎に膨れるので、そこが違いなのでしょうか?
私の入手した株も良く日に当てて育てれば膨れるのでしょうか? まだ分かりません。

そういえば、オンコクラダはマダガスカル原産みたいです。ここで一つ思い付いたのは、このように棒状の形態に特殊化した多肉ユーフォルビアはマダガスカル島の固有なのではないかということです。例えば、花キリンの仲間、つまりユーフォルビア亜属ゴニオステマ節は基本的にマダガスカル原産の固有種です。オンコクラダの形態は類似種含めて、マダガスカル島で特殊化したものなのでしょうか。調べてみました。

ユーフォルビア属の分類の記事はこちら。

オンコクラダはユーフォルビア亜属デウテロカリィ節です。デウテロカリィ節はアルアウディイ、アルアウディイ亜種オンコクラダ、ケドロルム(E. cedrorum)があります。ケドロルムもマダガスカルの固有種です。なるほど、まさにマダガスカルで特殊化した様に見えます。しかし、棒状ユーフォルビアはデウテロカリィ節だけではありません。有名種はユーフォルビア亜属ティルカリ節に含まれます。

ティルカリ節と言えば、緑珊瑚=ミルクブッシュ(E. tirucalii)や形は異なりますが近縁のトナカイ角=銀角珊瑚(E. stenoclada)、硬葉キリン=ヘラサンゴ(E. xylophylloides)が有名です。ミルクブッシュは東アフリカ原産とも言われますが、生け垣などとして各地で植えられたため、世界中で野生化しており、必ずしも東アフリカ原産とは言えないようです。原産地不明とする方が良いでしょう。ヘラサンゴ、トナカイ角はマダガスカル原産です。他のティルカリ節であるE. analalavensis、E. arahaka、E. kamponii、E. enterophora、E. fiherensisはやはりマダガスカル原産です。しかし、E. gregariaは南アフリカ・ナミビア原産、ヘラサンゴに似たE. enterophoraはソコトラ島原産で、マダガスカル原産ではありません。各地で棒状に進化した可能性もありますが、マダガスカルで棒状に進化した後、各地に広がったとする方が自然です。もちろん、アフリカ大陸で棒状ユーフォルビアが誕生して、マダガスカル島に伝播して急激に種分化した可能性も存在します。

さて、外見が似ているからと言って近縁であるとは、必ずしも言えません。しかし、ともにほとんどがマダガスカル固有種であることから、デウテロカリィ節とティルカリ節は近縁である可能性は大でしょう。そういえば、ユーフォルビア亜属ブラジリエンセ節には夜光キリン(E. phosphorea)という棒状ユーフォルビアがあり、節の名前の如くブラジル原産です。さらに、ブラジリエンセ節には夜光キリンの他にも、E. attastomaやE. sipolisiiがありやはりブラジル原産です。しかし、外見上はデウテロカリィ節やティルカリ節とは、やや雰囲気が異なります。近縁関係は不明ですが、南米で特殊化したユーフォルビアかもしれません。


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生長を開始して先端が枝分かれしました。

アルアウディイのとオンコクラダの学名は1903年に命名されたEuphorbia alluaudii DrakeEuphorbia oncoclada Drakeとされました。しかし、オンコクラダは1976年にアルアウディイの亜種Euphorbia alluaudii subsp. oncoclada (Drake) F.Friedmann & Cremersとなりました。

そういえば、ミルクブッシュを緑珊瑚という風に、この手の棒状のユーフォルビアを◯◯珊瑚と呼んだりします。私は勝手に珊瑚系ユーフォルビアなんて呼んでいます。オンコクラダは私が入手したはじめての珊瑚系ユーフォルビアです。これからどう育つのか楽しみです。



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先週、Gasteria glomerataについての記事をまとめました。その記事のコメント欄で、Gasteria batesiana var. dolomiticaについてリクエストがありました。
調べてみますと中々面白いガステリアであることは分かりました。しかし、私自身はドロミチカを育てておりませんから、写真もないし記事としてはややつまらないのではと思いまして、ガステリアについて書かれた論文の軽い紹介も含め一つの記事とさせていただきます。

バテシアナとドロミチカ
さて、ドロミチカの基本情報の紹介です。しかし、ドロミチカはバテシアナの変種ですから、バテシアナについても解説します。そういえばバテシアナは「春鶯囀」なる名前がつけられていますね。
ここで一つ注意しなければならないことがあります。Gasteria batesianaは、Gasteria batesiana var. batesianaのことを言っている場合と、G. batesiana var. batesianaとG. batesiana var. dolomiticaを合わせた総称のことを言っている場合があります。学術的には単にGasteria batesianaと書いた場合は変種も全て含めた総称ですが、園芸的・あるいは趣味家がGasteria batesianaと書いた場合はvar. batesianaのことを言っています。ですから、園芸的には、春鶯囀=G. batesiana var. batesianaと、G. batesiana var. dolomiticaがあって区別しますが、var. batesianaは省略されて単にG. batesianaと表記されてしまいます。実にややこしいですね。
ですから、ここで言うバテシアナはvar. batesianaとvar. dolomiticaを合わせた解説と思って下さい。

分布域
バテシアナの分布はKwaZulu-Natal北部のTukhela (Tugela) riverの北部からLimpopo州のOlifants riverまでの内陸部の断崖の東側に自生します。実はバテシアナはガステリア属の中で最も北に自生する種であることが知られています。その中でもドロミチカはMpumalangaの切り立ったドロマイトの崖に自生しますが、ドロミチカはバテシアナの中でも自生地は最北端にあるとのことです。

ドロマイトについて
ここで一つドロマイトについて、考えたいことがあります。ドロマイトは苦灰石あるいは白雲石と呼ばれますが、苦灰石の苦(苦土)=マグネシウム、灰(石灰)=カルシウムを示しています。つまり、ドロマイトはマグネシウムとカルシウムを含んだ鉱物であるということです。ドロマイトはカルシウムを含むためアルカリ性ですが、このアルカリ性かつマグネシウムを含むという特徴はかなり重要なことに思えるのです。

畑に野菜などを作る時に石灰を撒きますが、あれは酸性に傾きすぎた土をアルカリ性で中和するためです。別に土をアルカリ性にしているわけではありません。微生物の働きで酸が出来ます。さらに、植物の根からも酸が出ますから、土はやがて酸性が強くなり、植物の栽培に適さなくなります。ですから、石灰を撒くわけです。
ただし、水田に鉄分とケイ素補給のために撒く「ケイカル」を畑に撒くと、土は何年もアルカリ性になります。しかし、土がアルカリ性だと何故か作物の出来がいまいちとなり勝ちでした。その原因は、アルカリ性だとマグネシウムの吸収が悪くなるためと考えられています。

現在戦火に見舞われているウクライナは昔から優れた穀倉地帯として有名ですが、土壌はアルカリ性です。何故、作物が育つのでしょうか。それは土壌にマグネシウムが豊富に含まれているからです。日本の土壌はミネラルが余りありませんから、マグネシウムを畑に撒けばアルカリ性でも問題なく作物は育ちます。話をまとめると、土壌がアルカリ性だとマグネシウムの吸収を阻害するものの、マグネシウムが豊富なら問題はないということです。

よって、ドロマイトはアルカリ性ですが、マグネシウムを含むためドロミチカは生育できるのではないかということです。ドロミチカの栽培はアルカリ性にした方が良いかは分かりませんが、もし石灰を撒いてアルカリ性にするならば、マグネシウムもあった方が良いいと思います。やはり、ただの石灰ではなくマグネシウムが豊富な苦土石灰が良いのではないでしょうか? 苦土石灰は苦土=マグネシウム、石灰=カルシウムですが、これは苦灰石(ドロマイト)と同じですね。調べたところ、なんと苦土石灰はドロマイトを粒状に加工したものとのことです。苦土石灰を与えることが、ドロミチカの生育にプラスになるかもしれません。


保全状況
学術調査によるとバテシアナは自生地では非常に希な植物とのことです。しかし、現地ではバテシアナは薬用植物として利用されています。詳細は書かれていませんでしたが、ただの薬草ではなく呪術的な意味合いがあるようです。アフリカには呪術医(ウイッチドクター)がおり、未だに幅を利かせていますからね。まあ、それでもバテシアナは崖に生えますから、採取できない高さにあるものは無事とのことです。いずれにせよ、珍しい植物であることは間違いありません。

新しい論文
ガステリア属は見分けるべき特徴が少なく、皆良く似ているため、学者泣かせの植物です。生長に伴い葉の形が変わったりもしますから、その分類や系統関係の推測はさらに難しいものとなっています。
2021年に出た『Phylogeny of the Southern African genus Gasteria duval (Asphodelaceae) based on Sanger and next generation sequencing data』という論文では、何とガステリア属29種の遺伝子を解析して、系統関係を推測しています。ただし、この論文は100ページを超える大部なもので、まだ全てを読めてはいません。とりあえず、バテシアナについてのみ見てみると、以下の様な系統となっています。


        ┏━━G. batesiana
    ┏┫            var. dolomitica
    ┃┗━━G. batesiana
┏┫                var. batesiana
┃┗━━━G. tukhelensis

┃┏━━━G. croucheri
┗┫
    ┗━━━G. loedolffiae

この系統図を見た時に、おやっと思いました。南アフリカの東側のガステリアの分布と、分子系統がぴったり合っているからです。南アフリカのガステリアは東側では、G. loedolffiae→G. croucheri→G. tukhelensis→G. batesiana→G. batesiana var. dolomiticaという順番で北東に並ぶように分布します。どうやら、南アフリカの南端から東側にガステリア属が分布を拡げたようです。現在、その最先端がドロミチカと言えるのかもしれません。

鳥媒花
ガステリア属は鳥に花粉を運んでもらう鳥媒花です。それは、ドロミチカも同様です。花粉を運ぶのは、蜜を吸いにくるタイヨウチョウです。ちなみに、タイヨウチョウは南アフリカに21種類いるそうです。

面白い増えかた
ドロミチカは葉先が土に触れると、なんと葉先から子を吹く性質があります。葉が反り返る形状からして、地面に葉先が触れる事が多いのかもしれません。根元からのみ子吹きするよりも、少し離れた場所に新しい株が定着すれば、分布を拡大するに当たって有利なのでしょう。

学名
バテシアナの学名は1955年に命名されたGasteria batesiana G.D.Rowleyです。ドロミチカは1999年に命名されたGasteria batesiana var. dolomitica van Jaarsv. & A.E.Wykです。命名者はともに南アフリカの植物学者であるErnst van JaarsveldとAbraham Erasmus van Wykです。 



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かつて硬葉系ハウォルチアと呼ばれていたハウォルチオプシス属は、そのほとんどの種が地味というか、大変渋い存在です。硬葉系の名の如く葉は非常に硬く、ほとんどの種は軟葉系ハウォルチアとは異なりオブツーサの様な美しい透明の窓はありません。葉にはイボがあるものが多くざらざらしており、暗い色彩だったりします。個人的には好きで、今後は軟葉系よりも硬葉系を集めたいと思っています。
しかし、ハウォルチオプシス属は軟葉系ハウォルチアと比べたら人気が今一つなせいか、入手しやすいとは言えない状況です。アテヌアタ交配種の"十二の巻"や、最近普及しているアテヌアタ(H. attenuata)の選抜品種である"特アルバ"は目にしますが、それ以外の種は普通の園芸店では難しいところです。"五重塔"(H. tortuosa)や"竜城"(H. viscosa)あたりは、もしかしたら目にすることはあるかもしれません。そんな中、"スカブラ"(H. scabra)は私もはじめて見掛けましたので驚きつつも購入しました。

DSC_1595
Haworthiopsis scabra
スカブラは実にハウォルチオプシスらしい存在です。細かいイボに覆われて葉の表面はざらつき、葉は尖りコンパクトなロゼットを形成します。地味ではありますが、非常に整った美しい多肉植物だと思います。

さて、スカブラの学名は2013年に命名されたHaworthiopsis scabra (Haw.) G.D.Rowleyです。最初に命名されたのは1819年のHaworthia scabra Haw.ですが、1829年にはAloe scabra (Haw.) Schult. & Schult.f.とされました。ハウォルチアは1809年にHaworthia Duvalが創設されるまでは、アロエ属であったことは珍しいことではなく良くあることです。しかし、ハウォルチア属として命名後にアロエ属とされるのはやや珍しく感じます。まあ、スカブラは質感的に小さいアロエっぽさがまったく無くはないのですが、これは当時のアロエ属の定義が異なっていただけでしょう。当然ながら現在スカブラはアロエではなくてハウォルチオプシスです。
さて、G.D.Rowleyが2013年にスカブラをハウォルチオプシス属とした時に、スカブラに3変種を認めました。つまり、Haworthiopsis scabra var. morrisiae (Poelln.) G.D.RowleyHaworthiopsis scabra var. lateganiae (Poelln.) G.D.RowleyHaworthiopsis scabra var. starkiana (Poelln.) G.D.Rowleyです。さらに、2016年にはHaworthiopsis scabra var. smitii (Poelln.) Gildenh. & Klopperが認められました。しかし、同じく2016年のHaworthiopsis scabra var. johanii (M.Hayashi) Breuerは異名とした認められておりません。まあ、今後変わるかもしれませんが。
それはそうとして、この変種たちの特徴はなんでしょうか? いまいち分かりません。スタルキアナは"風車"の名前で流通していましから分かります。風車はイボがなく肌がツルツルしているタイプです。よく日に当てると、黄色くなります。
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風車(ダルマ型)
Haworthiopsis scabra var. starkiana

変種スタルキアナ以外の変種については、ネット検索して出てきた画像が正しいのか良く分かりませんが、それが正しいとすると以下の通りです。
・変種ラテガニアエは葉が長くザラザラしない。
・変種スタルキアナは葉が短くザラザラしない。
・変種スミティイはイボはあるがツルツル。
・変種モリシアエは情報がなく良く分かりません。

変種のスタルキアナは"風車"と呼ばれますが、これは葉が螺旋状に渦巻くことに由来します。スタルキアナと同様、スカブラの葉もやや螺旋状に育ちます。その程度は個体差がありますが、それはスタルキアナも同様です。ネットでは"強螺旋"だとか、"トルネード型"なんて言われているみたいです。スカブラ系は個体差は大きいので、タイプの違いをコレクションすることも、また楽しいかもしれませんね。



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夏のサボテン・多肉植物のビッグバザールで、Fouquieria ochoterenaeを入手しました。Fouquieriaはメキシコ原産の乾燥地に生える灌木です。

過去にフォークィエリアの種類についてまとめた記事はこちら。

何故かこのFouquieria ochoterenaeをオコチョロ(ocotillo)と勘違いしてしまっていました。一般的にオコチョロとはFouquieria splendensのことで、尾紅寵(おこちょう)とも呼びます。しかし、オコチョロで調べると、メキシコの砂漠に生えるFouquieriaの灌木をオコチョロと呼ぶという解説に行き当たりました。よくよく調べるとFouquieria自体が"ocotillo family"などと呼ばれていることが分かりました。要するに、地元ではFouquieriaの種を区別せずにまとめて"ocotillo"と呼んでいるらしいのです。
ですから、オコチョロ(ocotillo)とはFouquieria属の灌木の呼び名で、尾紅寵はFouquieria splendensの園芸名ということなのでしょう。
さて、どうもそういうことらしいので、我が家の"ocotillo family"を紹介します。


DSCPDC_0003_BURST20220718092510290_COVER
Fouquieria ochoterenae
ビッグバザール購入品。生長は早いみたいです。

学名は1942年に命名されたFouquieria ochoterenae Mirandaです。

DSC_1599
Fouquieria formosa
今年の夏のヨネヤマプランテイションのイベント購入品。まだ、良く分かりませんが、葉質的には丈夫そうです。

学名は1823年に命名されたFouquieria formosa Kuntです。

DSC_1600
Fouquieria macdougalii
去年の秋のヨネヤマプランテイションのイベント購入品。丈夫みたいですが、育ちはいまいち。
学名は1903年に命名されたFouquieria macdougalii Nashです。1911年に命名されたFouquieria jaboncillo Loesは、現在はマクドウガリィと同種とされています。


DSC_1601
Fouquieria diguetii
2年前に入手しましたが、乾かしぎみにし過ぎて中々育ちません。
ディグエティイが最初に命名されたのは1899年で、Bronnia diguetii Tiegh.Bronnia thiebautii Tiegh.の2種類あるとされました。しかし、この2種は同種として、1925年のFouquieria diguetii (Tiegh.) I.M.Johnst.となりました。また、1903年に命名されたFouquieria peninsularis (Tiegh.) Nashは、現在は異名とされています。

DSC_1590
Fouquieria colummaris
観峰玉の苗。夏のビッグバザールで入手しました。葉ダニにやられて現在回復中。
観峰玉が最初に命名されたのは1863年のIdria colummaris Kelloggです。しかし、1885年にイドリア属からフォークィエリア属になり、Fouquieria colummaris (Kellogg) Kellogg ex Curranとなりました。1886年に命名されたFouquieria gigantea Orcuttは、現在は異名とされています。

フォークィエリアの育て方は、実のところ私にも良く分かっていない部分があります。実際のところ、ユーフォルビアと同じ管理をすると葉がポロポロ落ちてしまうので、どうやらあまり乾かしすぎない方が良いみたいです。さらに、私が育てているのは小さい苗ですから、ことさら乾燥には耐えられないのでしょう。しかし、それでも新しい葉は直ぐに出てきますから、丈夫ではあるみたいです。我が家の"ocotillo family"の中では古株のディグエティイはそんな経緯でここまできたものですから、あまり生長していません。今年から始めた新しい管理方法で上手く育ってくれればいいのですが…


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最近、ホームセンターなどで"インコンスタンチア"という多肉ユーフォルビアを売っていたりします。私もホームセンターで入手しました。外見上は紅彩閣とか勇猛閣に良く似ています。ネット上でも、あまり情報はないようです。
そんな折り、2012
年に発表された『Normenclature and typification of southern African species of Euphorbia Bothalia』という論文を読んでいたところ、蒼蛮閣が自然交雑種であるとあり、前にその事を記事にしました。そして、この論文にはインコンスタンチアについても記述がありましたので、ついでに記事にしてみました。

蒼蛮閣についての記事はこちら。

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インコンスタンチア
学名は一般的にEuphorbia inconstantiaとされています。論文によると、インコンスタンチアは紅彩閣とポリゴナの交雑種とされています。この論文を承けて『The World Checklist of Vascular Plants』において、インコンスタンチアの学名はEuphorbia ×inconstantiaとされるようです。自生地で自然におきた属内交雑種ですね。
さて、ではその交雑親を見てみましょう。


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紅彩閣 Euphorbia heptagona
紅彩閣の学名はヘプタゴナです。しかし、紅彩閣はE. enoplaとされることが多く、一般的にエノプラという名前で売られています。
エノプラの命名は1860年ですが、ヘプタゴナの命名は1753年です。命名は早い方が優先ですから、ヘプタゴナが正式な学名となり、エノプラは異名(シノニム)です。
ちなみに、紅キリンE. aggregataがエノプラの名前で売られることがあったみたいですが、あまり似ていません。

DSC_1528
紅キリン Euphorbia aggregata
紅キリンは関係ありません。

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ポリゴナ Euphorbia polygona
ホリダE. polygona var. horridaはよく売っていますが、ポリゴナはあまり見ませんね。現在ではホリダはポリゴナの変種とされています。
私のポリゴナは生長点が傷付いたため生長が止まりましたが、その代わりにやたらと仔吹きしています。

そう言われて見れば、インコンスタンチアのトゲは、形は紅彩閣ですが、ホリダのトゲの様に節くれだっています。自然交雑種というのも、割りと納得かもしれませんね。


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鶴仙園に行ったおり、非常に美しく蒼白いハウォルチアを入手しました。硬葉系ハウォルチアのヘレイです。さらに先日、横浜に行った際に大型ホームセンターで今井カクタスさんのヘレイがあったので入手しました。タイプは異なりますが、その美しさはやはり共通しています。
いったいどのような多肉植物なのでしょうか。少し調べても見ました。

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Haworthiopsis glauca var. herrei
整然として長く伸びる葉は、蒼白く非常に美しいものです。


DSC_1538
Haworthiopsis glauca var. herrei RIB0217
フィールドナンバー付きのヘレイ。葉は短くイボが目立つタイプ。野生株でも葉の形や長さは様々。葉の長い野生株もあります。

一般的な濃く深い緑色の植物は日陰に耐えられる性質があることが多く、それは逆に言うと強光にあまり強くない可能性があります。対して、淡い青白い色の植物は強光に強い可能性が高いのです。しかし、この場合、ヘレイはどうなんでしょうね? 硬葉系ハウォルチアは軟葉系ハウォルチアよりも、日照が強目な方が良い傾向がありますが、それでも真夏の直射日光には耐えられません。ヘレイは色的に硬葉系の中でも日照に強そうですがどうでしょうか。日照不足だと徒長するだけではなく、特徴である青白い色がきれいに出ないこともあります。青白い植物は強い光を当てれば当てるほど、太陽光線から身を守るためにワックス成分などを出して白くなります。しかし、これからの季節、ヘレイはどの程度まで日を当てるか悩みどころです。

耐寒性はどうでしょうか。とりあえず、海外のサイトでは、USDAゾーンは10a~11bとありますから、せいぜいマイナス1.1℃までしか耐えられないみたいです。あまり耐寒性は期待出来ませんね。とは言うものの、我が家のオブツーサや竜鱗は、マイナス5℃にも耐えますから、慣らせばいけるのかもしれません。

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花茎が思ったより長く伸びました。

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花はハウォルチアの仲間に典型的な緑線入り。

ヘレイの学名は2013年に命名されたHaworthiopsis glauca var. herrei (Poelln.) G.D.Rowleyです。最初に命名されたのは1929年のHaworthia herrei Poelln.ですが、1976年にはグラウカの変種Haworthia glauca var. herrei (Poelln.) M.B.Bayerとなり、最終的にハウォルチオプシスとなったわけです。
ヘレイの異名は沢山あります。
Poelln.が1937年にヘレイを複数種に分けています。つまり、Haworthia eiyae Poelln.Haworthia jacobseniana Poelln.Haworthia armstrongii Poelln.Haworthia jonesiae Poelln.です。当然ながら、現在これらは異名とされています。
そういえば、
 鷹の爪Haworthiopsis reinwardtii (Salm-Dyck) G.D.Rowleyの変種とする考え方もありました。1997年命名のHaworthia reinwardtii var. herrei (Poelln.) Haldaです。この時代はまだ鷹の爪はハウォルチオプシスではなくてハウォルチアでしたが。



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グロメラタは南アフリカ原産のガステリアです。色や模様、形にしろガステリアとしては全体的にのっぺりとしていますが、それが逆にガステリアとしては特徴的です。白っぽいからか「白雪姫」なる名前もあるようです。私は見かけた時に、あまりにもかわいらしいので衝動買いしてしまいました。

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グロメラタはというか、一般的にガステリアはやや遮光気味に育てます。それは、ガステリアの多くの種で見られる深く濃い緑色からも、強光に対する耐性のなさを予感させます。しかし、グロメラタはガステリアとしては異様に色白です。他のガステリアと比べてある程度は強い日照が必要なのではないかと、心配してしまいます。とりあえずは他のガステリアと並べて育てますが、しばらくは生育具合を注視していきたいと思います。

最近、Euphorbia clivicolaは自生地の環境破壊により絶滅が危惧されているという記事を書きました。多肉植物好きとしては、これは大変残念に思います。そんなこともあり、最近では自生地の状況が気になって仕方がありません。さて、グロメラタは果たしてどうなのでしょうか。
海外のサイトを見ていたら情報がありました。南アフリカのケープ州南東部にある、Kougaダムの一部であるKouga riverの下流に限定されるとのことです。しかし、グロメラタは標高500~700mの垂直な断崖に生えるため、自生地は人に脅かされる心配はないということです。アフリカでは多肉植物の自生地に人が住んでいますから、大なり小なり影響を受けており、こういう例は幸運な部類でしょうね。そういえば、かつてGasteria baylissianaの情報を調べたことがありますが、やはり似たような急峻地に生えるとありました。ガステリアは崖地に生えがちなのでしょうか? もう少し勉強する必要がありそうです。

そういえば、ガステリア属は鳥に受粉してもらうために、花が特殊化したということを最近論文を読んでいて知りました。グロメラタはタイヨウチョウが受粉を行うそうです。タイヨウチョウはメタリックな色彩が大変美しい小型の鳥ですが、花の蜜を吸うことに特化した鳥なんだそうです。


グロメラタの学名は1991年に命名されたGasteria glomerata van Jaarsv.です。van Jaarsv.は南アフリカの植物学者のErnest Jacobus van Jaarsveldのことです。


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はっきりしない梅雨明けの後、急な強光でユーフォルビアが日焼けしたりしましたが、元気なものは元気です。パキポディウムはまだ苗ばかりですが、動きが遅くて心配させられましたが、ようやく動き始めました。そんな、多肉たちの近況をレポートします。

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Euphorbia caput-medusae
枝なしの苗でしたが、はじめて枝が出たり花が咲いたり忙しい模様。


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Euphorbia sapinii
ずっと葉が一枚で心配していましたが、最近の猛暑でも平気そうでした。葉が寝てきたのでおやっ?と思いましたが、2枚目の葉が伸びてきたようです。よかった。


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Aloe spectabilis
去年の冬にあった千葉のイベントで、ラフレシアリサーチさんが配っていたおまけの抜き苗。冬の植え付けでしたが直ぐに根付きました。暖かくなって、いよいよ葉が旋回し始めました。まだ苗で小さいのですが、かなりの大型になる種のようです。


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Euphorbia primulifolia var. begardii
ずっと花が咲き続けています。たしか、5月中旬位から葉がない状態で咲きはじめて、葉が出ても咲きっぱなしです。


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Euphorbia leistneri
去年は前年の古い葉が落ちないで新葉も出なかったので心配でしたが、今年は新しい葉が次々と伸びて一安心しました。


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Euphorbia procumbens
地味に開花中。

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Dischidia vidalii
(=Dischidia pectinoides)
開かない花が沢山咲き続けてきましたが、勝手に結実したようです。

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Fouquieria colummaris
観峰玉の苗ですが、ハダニが出てすっかり葉をやられてしまいましたが、新しい葉が沢山出てきました。弱そうな雰囲気でしたが、意外と丈夫なのかも。


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Pachypodium enigmaticum
葉が中々出なくてやきもきしましたが、ようやく葉が出揃ってきました。


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Pachypodium makayense
脇芽ばかり伸びて上が坊主状態が続いたので、生長点をやられたのかと思いましたが、どうやら無事な様子。


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Pachypodium eburneum
去年はパキポディウムの苗を結構買いましたが、春先からの動きが悪くてもやもやし通りでした。エブルネウムもようやく動き始めました。


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Pachypodium rosulatum
ロスラツムは大変元気。

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Pachypodium breviacalyx
ブレビカリクスは動きは遅かったものの、葉が出てからは早いみたいです。


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Pachypodium horombense
ホロンベンセは葉の勢いがすごい。


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Pachypodium brevicaule subsp. leucoxantum
白花恵比須笑いは大分生長しましたが、葉の出はいまいち。今年は植え替えたので、今後の生長に期待。


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Pachypodium cactipes
太るばかりのカクチペスですが、今年の葉の伸びはいまいち。


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Pachypodium saundersii
白馬城はマダガスカル原産パキポディウムとも他の南アフリカ原産パキポディウムとも違った独特の雰囲気がありますね。動き始めてからは早いみたいです。


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Pachypodium succulentum
どうにも、鉢が変形するレベルで根詰まりをおこして葉が落ちてから、あまり良くない感じはあります。植え替えたので、まあこれからでしょう。


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Pachypodium windsolii
ウィンドソリィ(ウインゾリー)は動きも早く、生長も勢いがあります。それにしてはお高いのは何故なのか?


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Pachypodium rosulatum var. drakei
葉ばかり伸びますが、将来どのような形に育つのでしょうか?ちなみに、最近ではドラケイはロスラツムの変種ではなくて同種とされているようです。

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Pachypodium bispinosum
地下部分が太りすぎて根詰まりしていないか、やや心配です。


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Pachypodium brevicaule
神代植物公園の多肉植物展で入手した恵比須笑いですが、非常に元気です。


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Pachypodium densiflorum
デンシフロルム自体が丈夫なのとでかいこともあり、非常に元気です。花も春先からずっと咲き続けています。


そういえば、パキポディウムと言えば、マダガスカル原産の種をロスラツムにまとめる考え方もあるようです。よく言われるのは、グラキリウス、カクチペス、エブルネウム、マカイエンセ、イノピナツム、場合によってはブレビカウレあたりはロスラツムの変種扱いされたりします。しかし、現状ではロスラツム系は変種ではなくて亜種扱いが、どうも認められる傾向みたいです。分子系統を調べた論文もありますから、そのうち記事にしてみようかと考えています。


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先日、なにやら"クラビコーラ"なる名札が付いたユーフォルビアを入手しました。どうやら、"クラビコーラ"ではなく、クリビコラ(Euphorbia clivicola)が正しい名前のようです。原産地は南アフリカのKuwZulu-Natal、Northen Provinces、スワジランドの限られた地域だそうです。
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Euphorbia clivicola
入手時の写真ですが、園芸店で手に取った時に大きさの割りに安いなあとまず思いました。しかし
、少し調べると生長は遅いみたいですね。このサイズでも結構育てるのに結構時間がかかっていそうです。
帰宅してからまじまじと眺めると、のっぺりとしていて妙にメリハリがないというか、何だか雑な雰囲気でしたね。
どうやら、地下の大きい塊根から無数の枝を伸ばすタイプのようです。ネット検索で出てくる海外の株は、生育して沢山の枝が密集して広がり、まるで巨大なタコものユーフォルビアのようです。ちゃんと育てれば素晴らしいユーフォルビアになる可能性を秘めた種類のようです。

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地下がどうなっているのか気になって、植え替えがてら見てみることにしました。すると、根はかなり太く強い感じでした。まあ、根の量が多いので鉢はギチギチでした。
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植え替え後。右に置いた元の鉢がえらく小さく見えますね。根が太るタイプなので大きめの鉢に植えました。

クリビコラの学名は1951年に命名されたEuphorbia clivicola R.A.Dyerです。R.A.Dyerはイギリスの植物学者のTurner Thiselton Dyerのことです。Dyerは進化論で知られるチャールズ・ダーウィンと、植物分類で著名なジョージ・ベンサムの推薦でイギリス王立協会のフェローに選ばれたそうです。

最後に大変残念な情報です。
クリビコラの原産地の保全状況は非常に悪化しており、南アフリカでは絶滅危惧種に指定されています。1986年にパーシーファイフ自然保護区に1500個体ありましたが、1996年には165個体、2005年には58個体、最近の調査ではたったの10個体しか発見出来ませんでした。クリビコラはポロクワネ郊外の都市部にも自生しており、1986年には都市部に3000個体ありましたが、2005年には651個体だそうです。
自然保護区のクリビコラはアンテロープ(レイヨウ)の踏みつけや害虫、火災により減少しています。都市部のクリビコラは廃棄物の投棄やネズミの害によるものとされています。
クリビコラは多肉ユーフォルビアには珍しく雄株・雌株に分かれていない両性花だそうです。この場合、一株で種子が採れますから、生育が遅いとは言うものの繁殖は難しくないでしょう。ですから、増やすのは簡単ですから栽培品はいくらでも増やせます。しかし、栽培品と自生株は異なります。自生株は産地ごとに外見的ないし遺伝的な特徴が大なり小なり違いがあります。しかし、栽培品は産地を無視して育生されがちですから、栽培品を自然に還すことはよほど慎重でなければなりません。例えば、研究機関の栽培室で産地情報が正式に記載された系統が維持されているならば野生に還すこともできるかもしれませんが。
それと、意外にも原産地からの輸入株であっても、由来が確実とは言えないようです。自生地のナーセリーでは、園内に来る蜂などによって野生株(別種を含む)との交雑がおきているそうです。ましてや我々栽培家の育生株は、その多くは様々な産地由来の個体が交配されてきて、しかも園芸的価値が高い個体が選抜されてできたものです。野生株とはまったくの別ものでしょう。
クリビコラは野生株の園芸上の価値が高いわけではありません。ですから、盗掘による被害はないのでしょう。しかし、逆に価値がない植物は、悲しいかな中々保護対象にはなりません。自然保護区にあっても、保護活動の対象でなければ元通りにはなりません。保護活動には人も金もかかりますから、簡単には出来ません。例えば、クジラの保護活動なら億単位の寄付金が集まりますが、役に立たない地味なクリビコラの保護活動に寄付金を出す人はいませんからね。ゴリラの保護活動ですら資金が集まらず、ゴリラの研究者が観光客向けのゴリラ観察ツアーを開催して、そのお金でレンジャーを雇って保護活動しているくらいです。地味な植物となればなおのこと、その程度の資金さえ集められないでしょう。本当に難しい問題です。



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2014年に出た『
A Molecular Phylogeny and Generic Classification of Asphodelaceae Subfamily Alooideae : A Final Resolution of the Prickly Issue of Polyphyly in the Alooids?』という論文の紹介です。昨日は、アロエ属、ハウォルチア属、クマラ属について解説しました。今日はその続きです。

アストロロバ属とツリスタ属
アストロロバ属は硬葉系ハウォルチア=ハウォルチオプシスの縦長に変形したパターンに見えますから、ハウォルチオプシスの中から出てきたグループに思えます。同様にツリスタ属もハウォルチオプシスの中の1グループに思えます。しかし、実際にはアストロロバもツリスタもハウォルチオプシスとは近縁ではあるものの、ハウォルチオプシスと姉妹群を形成するのはガステリア属であり、アストロロバとツリスタは旧アロエ属のゴニアロエ属やアリスタロエ属と姉妹群を形成することが分かりました。
ガステリア属やアストロロバ属は非常によくまとまったグループです。対してゴニアロエ属やアリスタロエ属は、やや不確実とみられています。ポエルニッチア属をアストロロバ属に含めるという考え方と同様に、ゴニアロエ属とアリスタロエ属をツリスタ属に含めるべきであるという意見もあるようです。
アストロロバ属の花は特異的で、他グループと明らかに異なるます。さらに、ポエルニッチア属とされることもあるAstroloba rubrifloraは、アストロロバとしては特異的な花ですが、鳥媒花として特殊化したアストロロバとされます。
ハウォルチオプシス属は3つのグループがあるように見えます。コエルマニオルムは葉緑体と核の遺伝子解析結果が異なり、やや混乱した結果です。しかし、花の構造の類似性からハウォルチオプシス属に含めるとしています。


    ┏━━━━Gasteria
    ┃
┏╋━━━━Haworthiopsis①
┃┃
┃┗━━━━Haworthiopsis②

┫┏━━━━Haworthiopsis koelmaniorum
┃┃
┃┃        ┏━Tulista
┃┃    ┏┫
┗┫    ┃┗━Gonialoe
    ┃┏┫
    ┃┃┗━━Aristaloe
    ┗┫
        ┗━━━Astroloba

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Astroloba spiralis

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Haworthiopsis koelmaniorum

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Tulista kingiana

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Tulista minor(=Tulista minima)

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Gonialoe variegata(=Aloe variegata)

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Aristaloe aristata(=Aloe aristata)

ガステリア属
ガステリア属は非常にまとまりのあるグループです。花は赤系統で、まさにgaster=胃のような形の花が咲きます。ガステリア属の特異的な花は、受粉を鳥が行うために特化した形のようです。植物分類学では花の形態を指標としてきましたが、アロエ類の分類には使えないようです。アロエ属は鳥と昆虫が受粉しますが、ハウォルチア属は昆虫による受粉へ、ガステリア属は逆に昆虫媒花から鳥媒花に回帰したグループです。
ガステリア属は最近手をだし始めたばかりですが、手持ちのG. carinataやG. pillansiiは分子系統の根元にあり、あるいはやや原始的な種なのかもしれません。根元から先の分類は、一例に並んでいてあまり系統関係をみれていないようです。短期間に進化した可能性があります。

ガステリア属の分子系統
                ┏━Gasteria disticha
            ┏┫
            ┃┗━Gasteria polita
        ┏┫
        ┃┗━━Gasteria doreeniae
        ┃
        ┃┏━━Gasteria obliqua
        ┣┫
        ┃┗━━Gasteria rawlinsonii
        ┃
        ┃┏━━Gasteria glauca
        ┣┫
        ┃┗━━Gasteria glomerata
        ┃
        ┃┏━━Gasteria pulchra
        ┣┫
        ┃┗━━Gasteria tukhelensis
        ┃
        ┣━━━Gasteria acinacifolia
    ┏┫ 
    ┃┣━━━Gasteria nitida var. armstrongii
    ┃┃
    ┃┣━━━Gasteria batesiana
    ┃┃
    ┃┣━━━Gasteria ellaphieae
    ┃┃
┏┫┣━━━Gasteria excelsa
┃┃┃
┃┃┗━━━Gasteria vlokii
┃┃
┫┃┏━━━Gasteria carinata
┃┗┫
┃    ┗━━━Gasteria croucheri

┗━━━━━Gasteria pillansii


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Gasteria pillansii

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Gasteria glomerata

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Gasteria ellaphieae

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Gasteria vlokii

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Gasteria carinata

ハウォルチオプシス属
ハウォルチオプシス属はガステリア属の姉妹群です。葉緑体の遺伝子解析ではH. koelmaniorumはアストロロバ属やツリスタ属に近縁な様にみえますが、核の遺伝子解析ではH. venosaに近縁となっています。今後、さらに詳細な解析が必要でしょう。
白いイボを持つH. fasciataやH. attenuataから、白いイボを持ち縦長に伸びるH. reinwardtii(鷹の爪)やH. coarctata(九輪塔)が進化してきたのではないかと思っていましたが、必ずしもそうではないことが分かりました。それどころか、非常によく似たH. fasciataとH. attenuataは、葉緑体の遺伝子解析でも核の遺伝子解析でも、ハウォルチオプシス属の中ではそれほど近縁ではないことが分かりました。個人的には大変な驚きです。

ハウォルチオプシス属の分子系統
┏━━━━━━━Gasteria

┃                    ┏━Haworthiopsis reinwardtii
┃                ┏┫
┃                ┃┗━Haworthiopsis nigra
┃            ┏┫
┃            ┃┗━━Haworthiopsis coarctata
┃        ┏┫
┃        ┃┗━━━Haworthiopsis glauca
┃    ┏┫
┃    ┃┣━━━━Haworthiopsis bryunsii
┃    ┃┃  
┃┏┫┗━━━━Haworthiopsis sordida
┃┃┃
┃┃┃┏━━━━Haworthiopsis fasciata
╋┫┗┫
┃┃    ┗━━━━Haworthiopsis longiana
┃┃
┃┗━━━━━━Haworthiopsis limifolia

┃┏━━━━━━Haworthiopsis venosa
┗┫
    ┗━━━━━━Haworthiopsis attenuata


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Haworthiopsis reinwardtii f. kaffirdriftensis

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Haworthiopsis fasciata

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Haworthiopsis attenuata

最後に
ここまで長々とアロエ類の分類について、論文の内容を私の要らん感想を交えながら解説してきました。しかし、実を言えばこの論文が最終的な解答ではないのかもしれません。この論文では5つの遺伝子を調べていますが、遺伝子によっては種の系統関係が異なる結果となっています。遺伝子解析も万能ではありません。もっと沢山のデータを蓄積し、過去のデータとの整合性を高める努力が必要です。現在でも研究は進行しているのでしょうし、最新情報に更新され続けていくのでしょう。この論文も議論があるのでしょうし、再試験によるチェックも受けるでしょう。
しかし、種同士の関係性はまだしも、全体的な属同士の系統関係はほぼ判明したと言っても良いのではないでしょうか。部分的に怪しい部分はありますが、かつての分類体系に戻ることはないでのしょう。

さて、遺伝子解析によるアロエ・ハウォルチアの分類について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか? いいや、こんなものは認めんという方もおられるかもしれませんが、一つの考え方として提示させていただきました。善かれ悪しかれ、興味を持っていただけたのでしたら誠に幸いです。
これからも、面白い論文を見つけましたら、ぼちぼち紹介していきたいと思います。




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かねてより、私のブログでことあるごとに、アロエ属やらハウォルチア属やらが再編されて、ゴニアロエ属だのクマラ属だのハウォルチオプシス属だのツリスタ属が分離して云々と聞かれてもいないのにうるさく書いてきました。しかし、いったい何の根拠があってそんなことを言っているのか疑問に思う方も、もしかしたらおられるかもしれません。まあ、どうでも良いと言われてしまいそうですが…

遺伝子を調べる
私がその根拠としているのは、2014年に出た『A Molecular Phylogeny and Generic Classification of Asphodelaceae Subfamily Alooideae : A Final Resolution of the Prickly Issue of Polyphyly in the Alooids?』という論文です。適当に訳すと「ツルボラン科アロエ亜科の分子系統学と一般分類 : アロエ類における多系統の厄介な問題の最終的な解決?」といったところでしょうか。要するにアロエ類(アロエやハウォルチア、ガステリアなどの仲間の総称)の遺伝子を調べて、その近縁を解析しているわけです。

内容について見てみましょう。冒頭は解析した遺伝子について述べられています。遺伝子解析というと全ての遺伝子を調べる様に思えますが、実はそうではなくて特定の遺伝子の配列のみを調べるのです。この論文では、光合成に関わる葉緑体の4つの遺伝子と、細胞核の1つの遺伝子を解析しているようです。1つの遺伝子では不確実ですが、複数の遺伝子解析の結果が符合すれば確実性が増します。もしかしたら、調べる対象の得手不得手をカバーする目的もあるのかも知れません。


吸収された分類群
アロエ類は伝統的にアロエ属、ハウォルチア属、ガステリア属、アストロロバ属に分けられてきました。さらに、ロマトフィルム属とコルトリリオン属、さらにポエルニッチア属を認める考え方もあります。

1, ロマトフィルム Lomatophyllum
ロマトフィルムは1811年に命名されました。マダガスカル周囲の島嶼部に分布し、果実が多肉質であることでアロエから区別されました。調べた限りではロマトフィルム属とされたことがあるのは28種類でした。しかし、そのうち3種類はドラセナ(Dracaena)で、6種類は同一種とされています。現在ではアロエ属とされています。


2, コルトリリオン Chortolirion
コルトリリオンが最初に命名されたのは1908年です。コルトリリオンは一見して球根植物の様な外見をしています。花はハウォルチアに良く似ていて、19世紀に命名された種は、実際にハウォルチアとされました。
が確認したコルトリリオンは6種ですが、現在は全てアロエ属とされています。調べた限りではChortolirion angolenseはAloe welwitschii、Chortolirion subspicatumはAloe subspicata、Chortolirion latifoliumはAloe jeppeae、Chortolirion bergerianum=Chortolirion stenophyllum=Chortolirion tenuifoliumはAloe bergerianaとされているようです。

アロエの分子系統
ロマトフィルムやコルトリリオンは、アロエ属の中に組み込まれています。L. anivoranoensisのとなりにA. haworthioidesがありますが、となりに書いてあるから、より近縁というわけではありません。A. haworthioidesなどは兄弟姉妹みたいなもので、今はまだ誰が兄で誰が弟かは分かりません。さらに細かく調べれば、それも分かるかもしれません。アロエ属に絞って解析した論文があるかもしれませんから、見つけたらまた記事にします。
※アロエ属全種類を調べてはいません。
                        ┏ ━Aloe nubigena
                        ┃
                    ┏╋━Aloe kniphofioides
                    ┃┃
                    ┃┗━Aloe ecklonis
                    ┃
                    ┣━━Aloe fouriei
                    ┃
                    ┣━━Aloe challisii
                    ┃
                    ┣━━Aloe vossii
                    ┃
                ┏╋━━Aloe verecunda  
                ┃┃
                ┃┣━━Aloe ferox
                ┃┃
                ┃┣━━Aloe thraskii
                ┃┃
            ┏┫┣━━Aloe excelsa
            ┃┃┃
            ┃┃┣━━Aloe arborescens
            ┃┃┃
            ┃┃┗━━Aloe saundersii
            ┃┃
            ┃┗━━━Aloe petricola
            ┃
            ┃┏━━━Aloe reynoldsii
            ┃┃
            ┃┣━━━Aloe striata
            ┣┫
            ┃┣━━━Aloe kouebokkeveldensis
            ┃┃
            ┃┗━━━Aloe buhrii
            ┃
            ┃    ┏━━Aloe brevifolia
            ┃┏┫
            ┃┃┗━━Aloe lineata
            ┣┫
            ┃┗━━━Aloe chabaudii
            ┃
            ┃┏━━━Aloe succotrina
            ┃┃
        ┏╋┫┏━━Aloe glauca
        ┃┃┃┃
        ┃┃┗┫┏━Aloe microstigma
        ┃┃    ┗┫
        ┃┃        ┗━Aloe pictifolia
        ┃┃
        ┃┃┏━━━Aloe spicata
        ┃┣┫
        ┃┃┗━━━Aloe lutescent
        ┃┃
    ┏┫┣━━━━Lomatophyllum anivoranoensis
    ┃┃┃                  (=Aloe anivoranoensis)

    ┃┃┣━━━━Aloe haworthioides
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe comosa
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe rupestris
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe angelica
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe vryheidensis
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━━Aloe hereroensis
    ┃┃┃
    ┃┃┗━━━━Aloe munchii
    ┃┃
┏┫┗━━━━━Chortolirion angolense
┃┃                                  (=Aloe angolense)

┃┃┏━━━━━Aloe chortolirioides
┃┃┃
┃┃┣━━━━━Aloe propagulifera
┃┃┃
┃┃┣━━━━━Aloe alooides
┃┃┃
┃┣╋━━━━━Aloe albida
┫┃┃
┃┃┣━━━━━Aloe perfoliata
┃┃┃
┃┃┣━━━━━Aloe dewinteri
┃┃┃
┃┃┗━━━━━Aloe arenicola
┃┃
┃┗━━━━━━Aloe melanacantha

┗━━━━━━━Aloe pearsonii

3, ポエルニッチア Poellnitzia
ポエルニッチアは最初に命名されたのは1940年です。ポエルニッチアはただ1種類のPoellnitzia rubrifloraがあり、赤系統の花を咲かせます。アストロロバに良く似ていますが、アストロロバはみな白花ですから、ルブリフロラ(rubri=赤い、flora=花)は特異的です。2000年にルブリフロラをアストロロバとする意見があり、現在ではルブリフロラはAstroloba rubrifloraが正式な学名です。しかし、未だにポエルニッチアを認める立場の研究者もいるそうです。
この論文ではルブリフロラはアストロロバに吸収されています。何でも、ルブリフロラは鳥が受粉を行っており、花はそれに合わせて変化したもののようです。

DSC_0982
Poellnitzia rubriflora
=Astroloba rubriflora


アストロロバの分子系統
アストロロバはポエルニッチアを含め、非常によくまとまったグループです。アストロロバはツリスタ+アリスタロエ+ゴニアロエと姉妹群を形成します。
    ┏━━━Gonialoe
    ┃
┏┫┏━━Tulista
┃┗┫
┃    ┗━━
Aristaloe
┃       
┫        ┏━Astroloba corrugata
┃    ┏┫
┃┏┫┗━Astroloba herrei
┃┃┃
┗┫┗━━Astroloba foliolosa
    ┃
    ┗━━━Poellnitzia rubriflora
                   (=Astroloba rubriflora)


分離した分類群
既存の分類群に吸収されたというか、元の鞘に戻ったものがいる一方、分離されたものもあります。先ずはアロエ属から分離した、アリスタロエ属、ゴニアロエ属、クマラ属、アロイアンペロス属、アロイデンドロン属です。さらに、ハウォルチア属から分離したハウォルチオプシス属とツリスタ属があります。
近縁関係でいうと、クマラ属とハウォルチア属、アストロロバ属とアリスタロエ属とゴニアロエ属とツリスタ属、ハウォルチオプシス属とガステリア属はそれぞれグループを形成しています。
私が思うに、アロエ類の進化は葉が柔らかいアロイデンドロン属からアロエ属までと、葉が硬いアストロロバ属からガステリア属があるという風に理解しています。アロエ属には葉が柔らかいものと硬いものとがあり、アロエ属から別れたグループ(アストロロバ、アリスタロエ、ゴニアロエ、ツリスタ、ハウォルチオプシス、ガステリア)の葉はみな硬いということに、進化的な意味があるような気がします。

アロエ類の系統図
┏━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━
Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━Gonialoe属
            ┃┃    ┗┫
            ┗┫        ┗━
Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━Gasteria属


クマラ属とハウォルチア属
クマラ属とハウォルチア属は近縁です。ここでいうハウォルチアは軟葉系ハウォルチアのことで、硬葉系ハウォルチアと呼ばれたハウォルチオプシス属とツリスタ属を含みません。クマラ属はかつてアロエ属でしたが、アロエ属とは系統的に離れています。クマラ属とハウォルチア属はともにイボやトゲがないグループです。
顕花植物の分類は基本的に花の構造により行われてきました。しかし、ハウォルチア型の花はハウォルチア属、ハウォルチオプシス属、コルトリリオン属(=アロエ属)で共通していますから、これらは系統的に近縁と考えられてきました。しかし、分子系統解析の結果から、ハウォルチア型の花はそれぞれ独立して進化したことが分かりました。花の蜜成分の含有量においても、異なるという報告もあり、花の類似は収斂進化の結果なのかもしれません。ハウォルチア型の花は昆虫媒花の結果として進化したようです。
クマラ属はKumara plicatilis(=Aloe plicatilis)とKumara haemanthifolia(=Aloe haemanthifolia)がありますが、この2種を比較するとやや離れています。とは言うものの、
他のアロエ属と比較した場合には近縁ですから、この2種がまとまったグループであることは間違いないのでしょう。もしかしたら、過去に2種の間を埋めるような絶滅種がいたのかもしれません。

ハウォルチア属の分子系統
                    ┏━Haworthia bayeri
                    ┃
                ┏╋━Haworthia cymbiformis
                ┃┃
                ┃┗━Haworthia cooperi
                ┃
                ┃┏━Haworthia semiviva
                ┃┃
            ┏┫┣━Haworthia mucronata
            ┃┃┃
            ┃┗╋━Haworthia lockwoodii
            ┃    ┃
        ┏┫    ┣━Haworthia arachnoidea
        ┃┃    ┃
        ┃┃    ┗━Haworthia decipiens
        ┃┃
        ┃┗━━━Haworthia marxii
        ┃
        ┃┏━━━Haworthia mirabilis
        ┃┃
        ┃┣━━━Haworthia herbacea
        ┃┃
        ┣╋━━━Haworthia reticulata
        ┃┃
        ┃┣━━━Haworthia retusa
        ┃┃
        ┃┣━━━Haworthia mutica
        ┃┃
        ┃┗━━━Haworthia maculata
        ┃
        ┃┏━━━Haworthia truncata
        ┃┃
        ┣╋━━━Haworthia zantneriana
        ┃┃
        ┃┣━━━Haworthia vlokii
        ┃┃
    ┏┫┗━━━Haworthia outeniquensis
    ┃┃
    ┃┃┏━━━Haworthia chloracantha
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━Haworthia pygmaea
    ┃┃┃
    ┃┣╋━━━Haworthia variegata
    ┃┃┃
    ┃┃┣━━━Haworthia floribunda
    ┃┃┃
    ┃┃┗━━━Haworthia emelyae
    ┃┃
    ┃┗━━━━Haworthia wittebergensis
    ┃
    ┗━━━━━Haworthia blackburniae


DSC_0889
Haworthia mucronata

DSC_0848
Haworthia herbacea

DSC_0767
Haworthia arachnoidea

DSC_1423
Haworthia cooperi

DSC_0621
Kumara plicatilis
=Aloe plicatilis


記事が長くなったので、2つに分けます。


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去る昨年の12月、"クラビラマ"なる名札の付いたユーフォルビアについて記事にしました。この時の記事は単純に育ってきたぞ、というだけの内容でしたが、その後わかったことがありましたから記事にしました。


事の経緯は、2020年の2月にふらふらと多肉植物に引き寄せられて、ガーデンセンター横浜に遊びにいった時の事です。何やら見慣れない多肉植物があったので購入しましたが、上述の如く"クラビラマ"という名前のユーフォルビアでした。
調べると、これはEuphorbia curviramaであり、"蒼蛮閣"なる名前もあることがわかりました。まあ、その時は、"クラビラマ"というよりは、"クルビラマ"だよなぁなんて思ったりしましたが。

DSC_1548
蒼蛮閣 

しかし、2012年に発表された『Normenclature and typification of southern African species of Euphorbia Bothalia』という論文を見ていたら、中々面白いことが書いてありました。何でも、クルビラマは属内交雑種と考えられているとあります。これは、誰かが交配してできた園芸品種ではなくて、原産地で自然と交雑が起きているということのようです。交雑の親は、Euphorbia caerulescensEuphorbia triangularisとされています。これを根拠として、『The World Checklist of Vascular Plants』は、クルビラマの学名をEuphorbia ×curvirama R.A.Dyerとしています。「×」は交配を示す記号です。

いやはや、知らないことばかりで困ってしまいますね。いや、私が無知なだけかもしれませんが、探すと新しい論文が沢山出ていて目が滑ります。これからも、ちまちま情報を集めて記事にしていきたいと考えております。




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ハウォルチアには柔葉系と硬葉系があるとされてきました。柔葉系ハウォルチアにはオブツーサなど、葉に透明な窓がある柔らかくみずみずしいタイプで、こちらはその可愛らしさからか大人気です。逆に硬葉系ハウォルチアは葉が非常に硬く透明の窓がないものも多く、地味でどちらかと言えばマニアックな存在でした。
ところが、2013年にイギリスの植物学者である
Gordon Douglas Rowleyが、ハウォルチア(Haworthia)から硬葉系ハウォルチアを分離しハウォルチオプシス(Haworthiopsis)としました。2014年には遺伝子解析によりRowleyの主張は正しいことが確認されました。遺伝子解析による分子系統によると、ハウォルチアとハウォルチオプシスは同じ"アロエ類"ではあるものの、それほど近いわけではないようです。硬葉系ハウォルチア=ハウォルチオプシスは、意外なことにむしろガステリアに近いことがわかりました。

アロエ類の系統図
┏━━━━━━━━━Aloidendron属

┫    ┏━━━━━━━Kumara属
┃┏┫
┗┫┗━━━━━━━Haworthia属
    ┃
    ┃┏━━━━━━━Aloiampelos属
    ┃┃
    ┗┫┏━━━━━━Aloe属
        ┃┃
        ┗┫    ┏━━━━Astroloba属
            ┃    ┃
            ┃┏┫┏━━━Aristaloe属
            ┃┃┃┃
            ┃┃┗┫┏━━Gonialoe属
            ┗┫    ┗┫
                ┃        ┗━━Tulista属
                ┃
                ┃┏━━━━Haworthiopsis属
                ┗┫
                    ┗━━━━Gasteria属


昔からある"十二の巻"
さて、上記の如く激変があったばかりのハウォルチオプシスですが、それで人気が出るわけでもなく、相変わらず目立たない存在です。そんなハウォルチオプシスの中でも昔から"十二の巻"はよく知られていす。今でも多肉植物の寄せ植えに入っていたりします。しかし、十二の巻はあまり上等と思われていないせいか、また丈夫なこともあり、室内に置かれて徒長している姿が多い様に思われます。十二の巻を単独でキレイに育てようとする人はあまりいない気がします。
DSC_1549
十二の巻

さて、ネットで軽く十二の巻を検索すると、Wikiにしろネット植物図鑑にしろ、あるいは個人ブログにおいても、だいたい同じ内容が書いてあります。曰く「十二の巻はHaworthia fasciata(ファスキアータ)」、そして「南アフリカのケープ州の原産」だそうです。ところが、これらは全て間違いです。実は何度かブログ内でそう主張してきたわけですが、そこは悲しいかな弱小ブログの悲しい性ゆえ世間に知れ渡ることはありませんでした。仕方がないので、主張を強化する多肉植物が増える度に、記事を繰り返し書くことになった次第です。

ファスキアタと比べてみよう!
多肉植物、特にハウォルチアは原産地で採取された個体の系統を維持・保存した株が存在します。その証がフィールドナンバーです。フィールドナンバーは、例えば、H. fasciataを購入したら、ラベルに「JAA1262」と表記してあったとしましょう。JAAはJean Andre Audissouという採取した人名の略で、1262はその採取人が採取した1262番(1262地点)の植物という意味です。フィールドナンバーの情報は調べることができます。JAA1262なら、「E. of Hankey, South Africa」という採取地点の情報と、「24/07/2009」という採取年月日が分かります。年月日はイギリス式なので、「日/月/年」ですね。このように、人為的に交配していない野生株が入手可能なのです。

さて、そういうわけで、「十二の巻」ではなくて「H. fasciata」の名前で購入した株をご紹介しましょう。まずは、鶴仙園で入手した「H. fasciata 
DMC05265」です。

DSC_1550
Haworthiopsis fasciata DMC05265
十二の巻と良く似ています。白いイボがまばらですが、これは個体差がありますから、見分け方にはなりません。むしろ、十二の巻はこの白いイボが目立つ様に選抜を受けてきたので、違うのは当然でしょう。では、並べて比べてみましょう。

DSC_1546
左が十二の巻で、右がファスキアタ
見分け方はあるのでしょうか?
実はあります。というより、海外ではファスキアタはあまり入手出来ないようで、ファスキアタと良く似ていて普及しているアテヌアタ(H. attenuata)との見分け方が、趣味家の間でも議論されているのです。
ファスキアタの最大の特徴は葉の内側です。ファスキアタの葉は内側に白いイボがありませんが、アテヌアタは葉の内側に白いイボがあります。実際に見てみましょう。

DSC_1552
ファスキアタの葉の内側には白いイボはありません。

DSC_1551
対して十二の巻は、葉の内側に白いイボがあります。
なるほど、これは分かりやすい違いです。ここで疑問がわきます。では、十二の巻とは何者なのでしょうか?

アテヌアタと比べてみよう!
ここまでの流れでお察しの通り、恐らくは十二の巻はアテヌアタ系統です。海外の話題でありました通り、ファスキアタと良く似ていて、葉の内側に白いイボがあるのは、つまりアテヌアタということになります。
アテヌアタと比べてみましょう。

DSC_1541
左は"特アルバ"の名前で売られているアテヌアタです。白いイボが強いアテヌアタの選抜個体です。

DSC_1542
葉の内側はやはり白いイボがあります。やはり、十二の巻はアテヌアタ系統のようです。

十二の巻は交配種?
十二の巻は特徴から見て、アテヌアタ系統です。しかし、長年ファスキアタとされてきました。純系のアテヌアタとして系統は維持されて来たのでしょうか? 近縁種と交配していないかは分かりませんが、市販されている十二の巻は、生産者さんにより結構違いがあります。株分けによるクローン株なら、そこまで違いは出ないはずですから、ある程度は交配されていてもおかしくはない気がします。もちろん、アテヌアタの異なるタイプの間で交配されてきた可能性もあります。しかし、由来がまったくわからないことだけは確かです。

付記
最近入手した株を付記として示しておきます。
DSC_1544
左はHaworthiopsis fasciata fa.vanstaadenensis
右はHaworthiopsis fasciata DMC05265

DSC_1545
やはり、ファスキアタの葉の内側には、白いイボはありません。

DSC_1547
左はHaworthiopsis attenuataの特アルバ
右は松の雪


DSC_1511
松の雪はHaworthiopsis attenuataの白いイボが繋がらずばらつくタイプ。イボは写真では見にくいですが、葉の内側にもつきます。


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梅雨明け後、急に炎天下となり遮光する前に、多肉たちはダメージ食らってしまいました。私は例年特に真夏でも遮光はしない主義なのですが、私のメイン多肉のユーフォルビアは、太く引き締まった姿に育って欲しいからです。しかし、今年は梅雨明けから太陽光がMAXだったせいか、多肉たちも対応出来なかったみたいです。平気なやつは平気なんですけどね。一応、不織布をかけました。いや、不織布なんて光の透過率が95%か97%あたりだったと思うので、遮光率は数%しかないので、焼石に水というかおまじないレベルですけどね。遮光ネットなんぞないので、緊急避難措置という奴です。ないよりはマシくらいなものですが。一応、あかん感じの奴はハウォルチアの棚に移動させました。そこまで鬼ではありませんから。

DSC_1476
Euphorbia cylindrifolia
暑さは平気なようで、花が咲きまくっています。

DSC_1475
Euphorbia tulearensis
ツアレンシスも元気。ノーダメージで花を咲かせまくっています。お高くて小さいのに意外と図太い奴なんです。

DSC_1518
アンボボンベンシスは葉を全てやられました。枝が一つで、葉が少なく中々生長しないのに、どうするのさといった感もありましたが、ここは移動させずに様子見しました。強光に耐える新葉が出てくることを期待しましたが、意外と早く回復中。

DSC_1472
花キリンは周年元気です。

DSC_1477
Euphorbia caput-medusae
本当に小さい枝がまだないタコものユーフォルビアでしたが、炎天下の中でも元気に枝を伸ばし始めました。

DSC_1531
Aloe somaliensis
ソマリエンシスはがっつり葉をやられました。葉色的にあまり強光は駄目だろうと予測しておくべくでした。アロエは大丈夫だろうという油断が招いた悲劇です。


DSC_1474
Aloe polyphylla
葉が巻いて外葉が枯れ始めました。ポリフィラは水多めがいいみたいですね。乾燥しすぎて、葉がペラペラです。

DSC_1473
Euphorbia phillipsioides
ソマリアものですが、意外に元気。仔を吹いて、新トゲは強くなっています。


DSC_1465
Euphorbia fruticosa
元気に開花中。花は砂糖菓子みたい。

DSC_1521
Euphorbia procumbence
真っ赤になりながらも元気。花芽が出ています。


DSC_1534
Euphorbia franaganii
孔雀丸は開花中ですが、枝はほぼなくなりました。


DSC_1535
Euphorbia inermis
九頭竜は大ダメージです。タコものユーフォルビアでも反応は様々。


DSC_1523
Euphorbia neohumbertii
葉色が危険信号を出しています。


DSC_1524
Euphorbia viguieri
上記のE. neohumbertiiに近い仲間ですが、こちらは元気一杯。


DSC_1525
Haworthiopsis koelmaniorum
軽い遮光下のハウォルチア棚にありますが、ヤバめな色合い。これ以上の強光は駄目かもしれません。


DSC_1527
Euphorbia colummaris
割りと危険なソマリアもの。とりあえずは大丈夫そうです。


DSC_1532
Euphorbia bupleulifolia
鉄甲丸は何故か花が咲き始めました。今年で2回目です。


DSC_1533
Operculicarya borealis
オペルクリカリアは小苗でも平気。


DSC_1526
Fouquieria colummaris
観峰玉の苗ですが、葉色が悪くなり日焼けしたと思いきや、なんとハダニでした。焦らせてくれます。しかし、先のビッグバザールでの購入時にはハダニはいなかったので、メイド・イン・我が家のダニなんでしょうかね? 発生源を探さないと無限湧きしかねません。


基本的にユーフォルビアやアロエは今まで遮光して来なかったので、ユーフォルビアがダメージ喰らっているのをみて、流石に慌てました。しかし、直ぐに対処出来ないあたりはいかにも素人ですね。これに反省してどうにかしなければ…
※素直に遮光ネットを張ればいいだけなんですけどね。




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去年の冬のTOCビッグバザールで購入した"闘牛角"を紹介します。南アフリカ原産のユーフォルビアで、枯れた枝が残り荒々しい風貌となります。野生株のその堂々とした姿は、まさに多肉ユーフォルビアの王様にふさわしい姿と言えます。
分類はトウダイグサ(ユーフォルビア)科トウダイグサ(ユーフォルビア)属リザンチウム亜属アンタカンタ節ですが、いわゆるタコものとかメデュソイドとか呼ばれる奴です。

DSC_1470
闘牛角

タコものユーフォルビアは一般的にやや遮光気味に育てた方が綺麗に仕上がります。あまり日照が強いと枝があまり伸びず、枝の寿命が短いことから枝の数も少なくなり何となくみすぼらしい見た目になり勝ちです。
しかし、闘牛角は枯れた枝が残り、トゲの様に見えるところが最大のポイントです。あまり枝が伸びると、枝が枯れた時にトゲに見えず荒々しい風貌を再現出来ません。枝が短いと鋭い尖った形となり、美しい闘牛角となります。
DSC_0593
購入時。細い枝がひょろひょろ伸びています。これでは、いいトゲになりません。

そういえば購入時、カイガラムシが付いていました。ミリ単位のサイズのなんかかさぶたみたいな奴です。特に殺虫剤は使わず、つまようじで毎週ちまちま除去しました。これがマミラリアとか本体に手が出せないタイプのサボテンだったらそんなことは出来ないでしょうけれど、大抵のユーフォルビアは形的に物理攻撃が有効だったりします。すぐにいなくなりました。簡単簡単。

闘牛角は多肉ユーフォルビアには珍しい冬型ということですから、耐寒性はまあまああるのかもしれませんが、多肉ユーフォルビアの定めとして冬の完全屋外栽培は難しいでしょう。逆に暑さには弱く真夏は水を切りたくなりますが、ユーフォルビアは完全断水すると根が弱るのである程度は水やりは必要です。

さて、闘牛角の学名は1904年(1904 Publ. 1905)に命名された、Euphorbia schoenlandii Paxです。Paxはドイツの植物学者であるFerdinand Albin Paxのことです。
そういえば、闘牛角には歓喜天というそっくりさんがいて、亜種あるいは変種と考える場合もあるそうですが、現在では別種とされています。歓喜天は枯れた枝が残らないなどの違いがあります。ちなみに、歓喜天の学名は1800年に命名されたEuphorbia fasciculata Thunb.ですが、実は闘牛角より100年以上も命名が早い大先輩だったりします。




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最近、ギムノカリキウムのうち、平べったく育つ瑞昌玉、竜頭、武勲丸、バッテリーといったあたりについて、情報をまとめて来ました。

G. quehlianumについて
G. ochoterenaeについて

今回は怪竜丸についてです。怪竜丸は昔から国内でも流通しているギムノカリキウムの一種です。ただし、その出自などは謎に包まれています。


DSC_0547
怪竜丸

快竜丸?怪竜丸?
ネットでは怪竜丸あるいは快竜丸の名前で売られていますが、混同されているパターンと、区別されているパターンがあります。
ここでは、まず「優型ギムノを守る会」という、1961~1978年にかけて存在した会の会誌を参照にしてみます。
「快」竜丸は戦前からG. bodenbenderianumの学名で栽培されてきましたが、肌も明るい色でトゲは立ち上がり、鳳頭に近い雰囲気があります。鉄冠という呼び方もあります。
「怪」竜丸は戦後にG. bodenbenderianumの学名で輸入されてきた個体に付けられた名前です。肌は暗くトゲは張り付くように付きます。会誌では快竜丸Bタイプ=怪竜丸ということです。
私の所有個体は「怪」竜丸の方ですね。


園芸名と学名の関係
輸入されてきた時は、G. bodenbenderianumでしたが、本やサイトにより異なる学名がついている事があります。
ギムノフォトプロムナードの記事によると、G. bodenbenderianumは守殿玉に当てられ、怪竜丸にはG. basiatrumが当てられています。欧州の種子販売リストでは、G. bodenbenderianumとG. basiatrumが業者により混在しているみたいです。

DSC_1492
守殿玉

しかし一番の問題は、怪竜丸が分類学上の種を示してはいないということです。輸入されたある特徴を持ったタイプに怪竜丸の名前がついただけで、ある種類全体についた名前ではないからです。
原種や亜種、変種にそれぞれ園芸名がつけられることは良くあることです。しかし、怪竜丸がG. basiatrumの1タイプであるとして、G. basiatrumという種全体を怪竜丸と呼ぶことは出来ないからです。なぜなら、G. basiatrumとして採取された個体が、全て怪竜丸の特徴を持っているわけではないからです。
あくまで、怪竜丸はG. basiatrumの1タイプについた名前でしかないということです。
DSC_1496


学名
怪竜丸の学名は2014年に命名されたG. basiatrum F.Berger, Amerh. & Sedlmeierで、守殿玉の学名は1929年に命名されたGymnocalycium bodenbenderianum (Hosseus ex A.Berger) A.Bergerです。
G. bodenbenderianumは異名が多く私が確認しただけで実に24もありました。有名どころのみを列挙してみます。

1959年 G. triacanthum Backeb
1962年 G. occultum Frick ex 
Schütz
    →1996年 G. stellatum subsp. occultum
                         Frick ex H.Till & W.Till

    →2008年 G. occultum
                   (Frick ex H.Till & W.Till) H.Till

1966年 G. kozelskyanum Schütz
    →1991年 G. riojense subsp. kozelskyanum
                         
Schütz ex H.Till & W.Till
1966年 G. moserianum Schütz
    →2008年 G. intertextum f. moserianum
                                                  J.G.Lamb.

1966年 G. asterium var. paucispinum Backeb.
    →1975年 G. stellatum var. paucispinum
                                 (Backeb.) R.Strong
    →1991年 G. riojense subsp. paucispinum
                           Backeb. ex 
H.Till & W.Till
    →2008年 G. paucispinum
                   (
Backeb. ex H.Till & W.Till) H.Till
1982年 G. piltziorum Schütz
    →1991年 G. riojense subsp. piltziorum 
                                  Schütz ex H.Till & W.Till
1991年 G. riojense Frick ex H.Till & W.Till

最後に
ここのところ、G. quehlianum、G. ochoterenae、G.bodenbenderianum、G. basiatrumといった、分類学的にも混乱している割りと似た連中についてまとめて来ました。あとは、G. ragoneseiくらいでしょうか。とりあえずは、この一連のシリーズも終了です。もし、新たに異なるタイプを入手しましたら、改めて記事にはするかもしれません。

そういえば、最近ではサボテンは多肉植物に押されぎみで、イベントではその主役の座を明け渡したように思われます。
しかし、サボテンは代表的な多肉植物で本来は多肉植物の1つなのに、「サボテン・多肉植物」という風にある種の特別扱いをされてきたわけで、さしずめサボテンは多肉植物の王様です。それは、サボテンは種類が多く、他の多肉植物と比べて日本に入ってきた時期が早かったため、広く普及したことなどがあげられます。
しかし、近年の多肉植物ブームでサボテンは大分影が薄くなったのは様々なサボテン以外の多肉植物も次々と日本に入ってきたことが理由でしょう。
とは言うものの、若い人も含めて明らかに多肉植物ファンは増えていますから、関連してサボテンに興味を持つ人もいるはずです。なんだかんだ言って、実の所ではサボテン人口も増えている様な気もします。
まあ、私は流行りどころに疎く、流行りに上手く乗れないので、不人気種ばかり追いかける羽目に陥り勝ちですけどね。



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土曜日にヨネヤマプランテイションのBIG即売会に行きましたが、5分で済ませて店を出て直ぐに横浜市営バスに飛び乗りました。その足でコーナン港北インター店へ向かうためです。
ここのコーナンはデカイ温室があり多肉植物の豊富さでは有名ですから、せっかく新羽まできたのですから、はしご酒ならぬはしご多肉、あるいは追い多肉です。さて、折本町なるバス停で降りて、ヤナセの横の道を進むと直ぐに温室が見えます。なんと10時ちょいに到着。ほぼ開店時間ですね。

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相変わらず多肉コーナーは広いのですが、ミニ多肉が非常に豊富です。しかし、そういう目立つ多肉の陰にある、何やら薄暗い一角にハウォルチアがありました。私が気になるのは、硬葉系ハウォルチアと呼ばれる連中です。ひっそりとレア多肉が並んでいて、しばし硬直していました。素晴らしいラインナップで、あれもこれも欲しくなってしまいますが、資金に難があり色々諦めました。残念…、とか言いつつもめちゃくちゃ買いましたけどね! 一点一点は安いのですが、沢山買ったので、金額はそれなりにいってしまいました。いやぁ、困った。
さて、なんだかんだで会計を済ませ、バスに飛び乗りました。ここでも滞在時間は10分くらいです。今日は午後に所用があったのでスピード勝負でした。


本日の購入品はこちら。
今回購入した硬葉系ハウォルチアは、全て今井カクタスさんの苗のようです。調べたところ木更津の生産者さんみたいですが、珍しい多肉を品質良く安価で販売しており好感が持てます。ぜひとも、御贔屓にしたいところです。
※例によって名前はラベル表記のママです。


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プミラ
プミラ(Tulista pumila)は産地により変異幅が大きく、私はこれで3株目。違いを楽しんでいます。

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ミニマ
ミニマと呼ばれることのほうが多いのですが、正確にはミノル(Tulista minor)です。私の所有株はSwellensという地域で採取された特殊個体なので、ノーマルなミノルは素直に嬉しいです。

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瑞閣
瑞閣とありますが、正確には瑞鶴ですね。いわゆるマルギナータ(Tulista marginata)です。まだ小さいので、葉が旋回する前でかわいいですね。個体や産地でイボの様子が異なりますから、将来が楽しみです。我が家のマルギナータと違うと面白いのですが、どうでしょう? まだわかりませんね。

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キンギアナム
キンギアナムではなくキンギアナです。しかし、キンギアナ(Tulista kingiana)ははじめて見ました。これで、ツリスタ属4種類コンプリートです。というか、今日1日で揃ってしまいました。今まで、目を皿の様にしてイベントで探し回っていた過去の自分の苦労は何だったのか…

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スカブラ
Haworthiopsis scabraです。硬葉系ハウォルチアのざらつきだとか、ソリッド感が好きです。


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松の雪
綺麗な名前ですが、いわゆるアテヌアタ(Haworthiopsis attenuata)のイボが繋がらず、細かく散るタイプの名称です。イボが繋がるタイプは"特アルバ"の名前でよく売ってますよね。

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プンゲンス
Haworthiopsis pungensです。ざらつかないタイプの硬葉系ハウォルチアは強光で黄色くなるものもあります。いい色です。


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ヘレイ
Haworthiopsis glauca var. herreiのことです。葉が長くシャープで美しい。実は鶴仙園でフィールドナンバー付きのヘレイをすでに入手しており、今回はタイプがだいぶ異なるので購入しました。ちょうど記事を書くところだったので、ジャストタイミングでした。

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ピランシー
割りと大型になるガステリア、Gasteria pillansiiです。まだ小苗ですから、今後の生長が楽しみです。


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グロメラータ
Gasteria glomerataです。なんか妙にかわいいので買ってしまった…


コーナン港北インター店は遠いので中々行けませんが、行くと何かしら珍しいものがあるので毎回楽しくもあります。
しかし、年甲斐もなくはしゃぎすぎましたね。ヨネヤマプランテイションのBIG即売会と合わせて買いすぎました。金ないです…

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私はどうにも情報収集が下手で、いつも多肉イベントに気が付かずいつの間にやら終わっていたなんてことがよくあります。大抵は多肉好きな方々のブログを見て、えぇ!やってたの?と毎回驚いて落ち込みます。次回の開催情報のパンフレットを記事に貼ってくれているブロガーさんもいて、自力で見つけられない私はありがたすぎて拝んでしまうレベルです。最近、インスタの告知だけとかあまり大々的に宣伝しない多肉イベントが多く、年間の多肉イベントをまとめたネット記事にも載らなかったりします。首都圏の多肉イベントについて、本当に開催を教えて欲しいのですよ。
まあ、私がなんだかんだで把握しているのは、TOCのビッグバザールくらいなもので、今年もいくつかの多肉イベントを心ならずもスルーしてしまいました。 しかし、今回は非常に珍しく気が付きました。7/9-7/10にザ・ガーデン本店ヨネヤマプランテイションで行われる多肉多肉のBIG即売会です。今月はイベントもないし、鶴仙園で散財する遊びをする予定でしたが中止して、昨日行って来ました。
そういえば、ヨネヤマプランテイションは3月にも多肉植物の即売会がありましたが、オトンナなど冬型が多かった様な印象でした。さて、今回はどうでしょうか?

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ヨネヤマプランテイションのスタッフブログではカクタス長田さんの苗が沢山入っていますとありますが、ポスターを見るとコーデックスも豊富な感じがしてこれは期待してしまいますね。
カクタス長田さんの苗は園芸店でもお馴染みで、私がたまに行くシマムラ園芸でも沢山並べられています。ですから、ある種見慣れてはいますが、たまにラインナップをガラリと変えてくることがあり油断なりません。今回はどうでしょうか? 面白い多肉が入っていればいいのですが…

さて、ヨネヤマプランテイションへ私は電車で向かいます。ヨネヤマプランテイションは横浜市営地下鉄ブルーラインの新羽駅のすぐ近くですから、電車で行くには非常に便利です。
営業時間は9時半からということになっています。しかし、前回の即売会では9時半前に到着したものの、すでに開場しており、しかも入場制限がかかっていて入り口で少し並びました。ですから、今回は新羽駅に9時15分くらいに着くようにしました。あまり早く来て長く並ぶのも面倒なので、まあこれくらいがちょうどいい様な気がしますが、入場制限で5分くらい並びました。
入場すると、多肉コーナーは相変わらず激混みですが、私の大好物のユーフォルビアがターゲットです。ユーフォルビアのみを見るようにして、素早くお値段をチェックしました。図鑑を穴が空くほど見ているので、見た瞬間にそれ(ユーフォルビア)とわかります。その中で持っていない種類をゲットしたのです。まあ、焦らなくてもなくならないでしょうけど。しかし、次の予定がありますから、5分で選んで会計を済ませました。

今回の即売会は、やはり夏らしくコーデックスも沢山ありました。もはやお馴染みのパキポディウムに加えて、ドルステニアやアデニアあたりもありましたね。流行りのアガヴェ、オペルクリカリアの苗もありました。あとは珍しくタンクブロメリアがかつて見たことがないレベルで沢山並んでおり、これはファンにはたまらないでしょうね。パキポディウムは苗をじわじわ集めていますが、今回は完全に無視しました。じっくり見ている時間がないもので。
さて、問題のユーフォルビアですが、バリダやオベサは沢山ありましたが、出色なのはグイラミニアナですかね。沢山並んでいて、少し珍しい光景でした。最近よく見る群星冠もありました。しかし、面白いものも入手出来て概ね満足です。

さてさて、最後に購入品の紹介です。
※名前はラベルのママ表記しています。

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ゴットレベイ
Euphorbia gottlebeiです。葉が非常に細い花キリンです。有名種ですが園芸店でははじめて見ました。神代植物公園の大温室にゴッドレベイの大群生株があって見るだけでしたが、まさか入手出来るとは。
花キリン類は丈夫で、花も綺麗で良く咲くので、多肉植物ブームとは関係なく元より人気花木です。まあ、原種系は多肉ブームのおかげで流通しているわけですけどね。

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ユーフォルビア・クラビコーラ
妙な名前だと思い調べても中々出てこなかったのですが、どうやらEuphorbia clivicolaのようです。クラビコーラというよりクリビコラのほうが自然な気がします。まあ、"cola"を「コーラ」と読みたくなる気持ちはよく分かります。
外見的になんか大雑把な感じがしていいですね。実に多肉ユーフォルビアらしい。このサイズ感で何故か激安でしたが、育生時間考えたら儲けにならない気もしますが。まあ、余計なお世話かもしれませんがね。私は安く入手できて嬉しいからいいわけですけど。何ででしょうかね? 確かにいかにも人気が出ない雰囲気はしますが…


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フォーキエリア・フォルモーサ
Fouquieria formosaです。フォークィエリアは4種類育てていますから、これで5種類目です。フォークィエリア属は調べた限りでは11種類くらいあるみたいですけど、国内で入手出来るフォークィエリアはあと何種類ですかね? 別にコンプリートを目指していませんが、あれば気になって買っちゃいます。


私は昨日行って来ましたが、即売会は本日も絶賛開催中です。皆様もお手隙ならば、即売会を覗いてみては如何でしょうか? 面白い多肉が沢山見られることは請け合いです。



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先日の夏のサボテン・多肉植物のビッグバザールで武勲丸を入手しました。武勲丸の学名はGymnocalycium ochoterenaeと言われています。しかし、ギムノカリキウム・バッテリーやインターテクスツムの学名もGymnocalycium ochoterenaeであると言われることがあります。どういうことなのでしょうか?
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武勲丸

先週、瑞昌玉の学名がGymnocalycium quehlianumかもしれないね、くらいの内容について記事にしました。そこで、G. quehlianumに近縁とされるG. ochoterenaeについても調べたわけで、ちょうど良く武勲丸を入手したこともあり記事にしてみました。

園芸名と学名の関係
武勲丸はギムノカリキウム属のサボテンです。しかし、ギムノカリキウムはギムノカリキウム属内の交雑が簡単にできることから、昔から趣味家の間でも交配が行われてきました。そのため、由来のわからない交配種が溢れ、どれが元々の交雑していない株かわからなくなるという悲劇が起こりました。これは、特に武勲丸、バッテリー、怪竜丸、瑞昌玉、竜頭あたりで顕著だったかのかもしれません。これらは、元々良く似ていて判別が難しい部類だからです。そのため、趣味家の集まりで各種の特徴を抽出して、その特徴を持つ系統の維持が行われました。これ自体は素晴らしい事なのですが、特徴を維持するために結果的に選抜が行われたとも言えます。本来、実生すると純系の株でも子株の特徴にはばらつきが出ます。ある程度の幅があるのが当たり前なのです。しかし、選抜が行われると園芸上好ましい特徴を持つ株以外は淘汰されるため、その種が本来持つ多様性を失わせてしまいます。とはいえ、この系統維持が行われなかったら、ギムノカリキウムは由来不明の交雑種ばかりになっていたかもしれませんから、感謝しなくてはなりません。

この選抜が行われてきた武勲丸たちは、現在学名がわからなくなっています。というのも、園芸名は輸入されてきたある特徴を持つ株に付けられ、しかも選抜されてきた結果だからです。原産地の野生株はかなりの変異幅があり、日本の選抜株と照合はなかなか難しいのです。そもそも、輸入されてきた現地球には学名が付けられてきているはずですが、実はそれも怪しいかもしれません。当時と現在では学名はかなり変わっていますから、業者によりあるいは時代により、様々な学名で呼ばれていた可能性があります。実際に現在の海外の有名種子業者の学名も業者によりまちまちで、同じ種を異なる学名で呼んでいるという事実があります。ただし、現状では武勲丸はオコテレナエ(G. ochoterenae)とされているようです。それがどれほど正しいかは、良くわかりません。
学名は1936年に命名されたGymnocalycium ochoterenae Backeb.です。

バッテリーとインターテクスツム
The World Checklist of Vascular Plants』によるとバッテリーとインターテクスツムは、やはりG. ochoterenaeとされています。ただし、Gymnocalycium quehlianumと同様にまだレビュー中とされているようです。G. ochoterenae全体としてはバッテリーやインターテクスツムは異名扱いですが、バッテリーやインターテクスツムの個別の詳細情報を見ると、未だに"Not Accepted"となっていないようです。まだ別種、あるいは亜種や変種扱いとされる目は残っているのかもしれません。

バッテリーは1950年に命名されGymnocalycium vatteri Buinigとされましたが、1993年にGymnocalycium ochoterenae subsp. vatteri (Buining) Papschとされ、これがAcceptされた名前です。

インターテクスツムは1987年に命名されGymnocalycium intertextum Backeb. ex H.Tillとされ、これがAcceptされた名前です。1993年にはGymnocalycium bodenbenderianum subsp. intertextum (Backeb. ex H.Till) H.Tillという学名もありますが、インターテクスツムはG. bodenbenderianum系ではなくG. ochoterenae系とされたので認められておりません。どうやら、インターテクスツムはかつてGymnocalycium sp. Hig.と呼ばれていたものらしいです。

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バッテリー
一本トゲのイボが目立たない古いタイプ。

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バッテリー
強刺でトゲは3本、平たく育ちイボが目立つ最近のタイプ。

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インターテクスツム

現状では武勲丸とバッテリー、インターテクスツムは同じG. ochoterenaeで、兄弟というかG. ochoterenaeの変異の幅に収まってしまうとされています。しかし、確実な証拠がない状態ですから、いつ変更となるかわかりませんし、その可能性は十二分にあります。場合によっては、近縁とされるG. quehlianumやG. bodenbenderianum、G. basiatrumあたりも交えて大幅に再編されることすら考えられます。
とりあえず、これでG. quehlianumとG. ochoterenaeについては解説しましたから、近日G. bodenbenderianumについても無駄に長い話をしようと思っております。



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ツリスタをご存知ですか?
ツリスタ属Tulistaは2013年にハウォルチアから分離されて出来ました。かつてはハウォルチアの中でも硬葉系ハウォルチアと呼ばれる仲間の一員でした。しかし、ツリスタ属自体が新しいこともあり、それほど浸透しておりません。今でもハウォルチアとして販売されています。そんな、ツリスタについて調べてみましたので、ご紹介します。

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Tulista minor 
      (Aiton) Gideon F.Sm. & Molteno
※swellens


ツリスタ収集中
そんなツリスタですが、ツリスタ属自体が有名ではないのと、ハウォルチア時代から元々人気があったわけではないので、ネット検索してもあまり情報はありません。「ツリスタ」で検索すると、まず釣りのゲームが出て来てしまうほどです。むしろ、"Tulista"で検索して海外のサイトを見た方が情報が出て来ます。
私はかつて硬葉系ハウォルチアと呼ばれていたハウォルチオプシスHaworthiopsisとツリスタTulistaは個人的に大好きで、じわじわ集めています。特に渋いツリスタはあまり販売していないこともあって、出会ったら優先的に購入するようにしています。
しかし、ツリスタは残念ながら大人気というわけではないので、入手が中々困難です。まあ、ネットで探せば入手可能でしょうが、私はあえてネットでの多肉植物の購入に制限をかけていて、イベントや園芸店で直接見て手にしたものだけを購入することにしています。これは、実際に見ないと品質がとかネット詐欺がとかではなく、ネット通販に手を出したら際限なく買ってしまいそうだからです。そうでなくても置き場が狭いのに、買うだけ買って育てられないでは困りますから。とはいえ、イベントで実物を手にとって見るのがとても楽しくて好きだからということも大事な理由ですけどね。

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Tulista marginata
                (Lam.) G.D.Rowley


ツリスタの復活
ツリスタは基本的にはじめに命名された時はアロエで、次はハウォルチアとされ、最後にツリスタという経緯をたどってきました。それぞれの属の創設年は以下の通りです。
1753年 Aloe L.
1809年 Haworthia Duval
1840年 Tulista Raf.
では、1840年にツリスタが誕生したのかというと、実のところ異なります。ツリスタ属の命名者であるRaf.は、オスマン帝国生まれでアメリカで活動し、独学で多くの動植物を命名したConstantine Samuel Rafinesqueのことです。しかし、Rafinesqueの業績は生前アカデミアで評価されませんでした。ですから、ツリスタ属は1840年に提唱されたものの、認められていなかったのです。この忘れ去られたツリスタを復活させたのが、ハウォルチオプシスをハウォルチアから独立させたGordon Dougles Rowleyです。Rowleyはサボテン・多肉植物を専門とする、イギリスの植物学者兼作家です。Rowleyは2013年にハウォルチアからハウォルチオプシスとツリスタを分けましたが、Rafinesqueが命名されたものの認められなかったツリスタを復活させました。
Rafinesqueがツリスタを命名した時に、どのような種を含んでいたのかはよくわかりませんが、Tulista margaritifera=Tulista pumilaは確認しています。ただ、Rowleyはツリスタ属をかなり幅広く採用したようで、旧アロエ属であるGonialoe3種とAristaloe1種、さらにHaworthiopsis(当時はHaworthia)7種、Astroloba7種を含んでいました。しかし、当時ツリスタとされたハウォルチオプシスのうち2種類と後に追加された2種類だけが、現在では正当なツリスタ属所属とされております。

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Tulista pumila var. ohkuwae
                       (M.Hayashi) Breuer


ツリスタの遺伝子解析
2014年に出た『A Molecular Phylogeny and Generic Classification of Asphodelaceae Subfamily Alooideae : A Final Resolution of the Prickly Issue of Polyphyly in the Alooids?』という論文では、アロエやハウォルチアの遺伝子解析を行っています。論文によると、ツリスタ属はゴニアロエ属(千代田錦)、アリスタロエ属(綾錦)、アストロロバ属に近いとされています。G.D.Rowleyがツリスタ属にゴニアロエやアリスタロエ、アストロロバを入れたのは、それほど検討違いではなかったというか、どの範囲までがツリスタ属かというどこで線を引くかという問題に過ぎないのかもしれません。
この論文ではツリスタはまだハウォルチアとして扱われていますが、T. marginata、T. kingiana、T. pumilaはよくまとまったグループとなっています。ツリスタはハウォルチア(軟葉系ハウォルチア)とはそれほど遺伝的に近くはなく、Tulista + Gonialoe + Aristaloe + Astrolobaというグループと、Gasteria + Haworthiopsis(硬葉系ハウォルチア)のグループが姉妹群を形成しています。この論文自体、なかなか面白い内容なので、そのうち記事にしてご紹介できればと考えております。


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Tulista pumila
                 (L.) G.D.Rowley

ツリスタの学名
現在認められているツリスタ属に所属する種は、4種類です。命名が早い順に見ていきましょう。

プミラ Tulista pumila
プミラの学名は1753年に命名されたAloe pumila L.から始まります。最初はアロエ属とされました。まあ、しかしツリスタ、ハウォルチオプシス、アストロロバあたりは、属が創設されるまではアロエ属の所属されるのというのは良くある話です。アロエ属の創設が1753年ですから、プミラはアロエの創設メンバーでした。1789年には、Aloe arachnoides var. pumila (L.) Aitonという学名もありましたが、どの程度浸透して認められた学名であるかはわかりません。ちなみに、Aloe arachnoidesとは、現在のHaworthia arachnoideaのことです。
さらに、1809年にはHaworthia pumila (L.) Duvalとされました。アロエからハウォルチアに移動しましたが、なんと1809年はハウォルチア属の創設の年です。プミラはアロエ属に続いて、ハウォルチア属の創設メンバーでもあるわけです。
そして、2013年にはついにTulista pumila (L.) G.D.Rowleyと命名されました。お察しのように、プミラはツリスタ属でもその創設メンバーです。

ちなみに、プミラには2つの変種が認められております。2006年に命名されたHaworthia sparsa M.HayashiHaworthia ohkuwae M.Hayashiがあり、現在ではいずれもプミラの変種とされています。つまり、2016年に命名されたTulista pumila var. sparsa (M.Hayashi) BreuerTulista pumila var. ohkuwae (M.Hayashi) Breuerです。
 
プミラには異名が沢山あり、代表的なものとしてマルガリティフェラ系とセミグラブラタ系、セミマルガリティフェラ系があります。
マルガリティフェラ系は、1753年にAloe pumila var. margaritifera L.としてプミラの変種とされました。しかし、1768年にはAloe margaritifera (L.) Burm.f.とされ独立しましたが、1811年にApicra margaritifera (L.) Willd.、1819年にはHaworthia margaritifera (L.) Haw.、1840年にTulista margaritifera (L.) Raf.、1891年にはCatevala margaritifera (L.) Kuntzeとされましたが、現在ではプミラと同一種とされています。


②マルギナータ Tulista marginata
マルギナータの学名は1783年に命名されたAloe marginata Lam.から始まります。1891年にはCatevala marginata (Lam.) Kuntze、1938年にはHaworthia marginata (Lam.) Stern、そして最終的には2013年命名のTulista marginata (Lam.) G.D.Rowleyとなりました。

マルギナータには異名があり、代表的なものとしてアルビカンス系とヴィレスケンス系があります。アルビカンス系は、1804年のAloe albicans Haw.、1811年のApicra albicans (Haw.) Willd.、1812年のHaworthia albicans (Haw.) Haw.です。ヴィレスケンス系は1821年のHaworthia virescence Haw.、1829年のAloe virescence (Haw.) Schult. & Schult.f.です。


③ミノル(ミノー) Tulista minor
ミノルの学名は1789年に命名されたマルガリティフェラ(=プミラ)の3つの変種として始まりました。つまり、1789年に命名されたAloe margaritifera var. minor AitonAloe margaritifera var. minima AitonAloe margaritifera var. majorです。
ミノル系は1809年にはHaworthia minor (Aiton) Duval、1821年にはApicra minor (Aiton) Steud.1829年に命名されたAloe minor (Aiton) Schult. & Schult.f.、そして2018年にTulista minor (Aiton) Gideon F.Sm & Moltenoとされました。

実はミノル以外もしばらくは独立種として、ミノルと平行して学名は変遷しました。
ミニマは1812年にはHaworthia minima (Aiton) Haw.、1891年にはCatevala minima (Aiton) Kuntze
1997年にはHaworthia pumila subsp. minima (Aiton) Halda
2014年にはTulista minima (Aiton) Boatwr. & J.C.Manningとされました。
マイヨル(マジョール)は1809年には、Haworthia major (Aiton) Duvalとされたました。しかし、ミニマもマイヨルも、ミノルと同種であるとして異名となりました。

ミノルにはその他にも沢山異名がありますが、有名な所ではマキシマとオパリナがあります。
マキシマは1804年にAloe margaritifera var. maxima Haw.、1809年にはHaworthia maxima (Haw.) Duval、1821年にApicra maxima (Haw.) Steud.となりました。
オパリナは2001年にHaworthia opalina M.Hayashi、2016年にはTulista opalina (M.Hayashi) Breuerとなりました。

※ミノルとかマイヨルとか読み方に違和感があるかもしれませんが、学名はラテン語ですからラテン語読みしています。悪しからず。

④キンギアナ Tulista kingiana
キンギアナは1937年に命名されたHawortha kingiana Poelln.から始まりました。1997年にはプミラの変種とするHaworthia pumila var. kingiana (Poelln.) Halda、そして2017年にTulista kingiana (Poelln.) Gideon F.Sm & Moltenoとなりました。

ちなみに、2001年に命名されたHaworthia zenigata M.Hayashiは、2016年にTulista opalina var. zenigata (M.Hayashi) Breuerとされましたが、現在ではゼニガタはキンギアナに含まれると考えられているようです。

旧・ツリスタの構成員
2013年にG.D.Rowleyがツリスタ属を復活させた時、アストロロバやハウォルチオプシスも混じっていました。今ではツリスタの所属ではありませんが、その時の構成員を紹介します。
2013年 
Astroloba rubriflora, Astroloba bullulata, Astroloba congesta, Astroloba corrugata, Astroloba foliolosa, Astroloba herrei, Astroloba spiralis, Haworthiopsis koelmaniorum, Haworthiopsis pungens, Haworthiopsis viscosa, Aristaloe aristata
2014年 ゴニアロエを追加
Gonialoe variegata, Gonialoe dinteri, Gonialoe sladeniana


終わりに
いかがでしょうか。たった4種類のツリスタ属にもこれだけの歴史があるのです。それを沢山の研究者たちが、長い年月意見を戦わせてきたわけです。
ちなみに、学名の中でアピクラ属やカテバラ属という属名が出て来ますが、これらは現在は使用されない幻の学名です。学術史に埋もれた旧学名にも様々なドラマがあったのかもしれません。
地味で人気があるとは言えない多肉植物でも、調べると思う以上に色々なことがわかります。こういう多肉植物の楽しみかたもあるのです。ホームセンターや百均で買ったミニ多肉にも、長く複雑な研究史があるのかもしれません。皆さんも一つ調べてみてはいかがでしょうか?



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峨眉山は交配で生まれたとされている多肉ユーフォルビアです。一応、鉄甲丸 × 瑠璃晃と言われていますね。本当かなぁ?

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2020年1月、購入時。
"Euphorbia gabisan"というラベルはちょっと面白いですね。いや、それは学名ではなくて園芸名です。どちらかと言えば、普通に漢字で「峨眉山」と書いてくれた方がわかりやすい気もします。

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2021年12月、植え替えて室内へ。
だいぶ大きくなりました。2020年の春に一度植え替えたのですが、今年の11月に部屋に取り込む際に一回り大きい鉢に植え替えました。鉢からえらいはみ出たので、植え替えの時期ではないのに仕方なく…。
まあ、峨眉山は丈夫なので大丈夫でしょう。

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2022年6月。
もう鉢からはみ出してます。これは始末に終えない。これって無限に拡大していくパターンかな? そうしたら植え替えするほど元気になって、拡がるんじゃないかということに気がつきました。正直、スペースの問題もありますから、仔をある程度は整理して形を保つのも1つの手でしょう。
峨眉山は丈夫だから問題ないかもしれませんが、増えすぎた仔が鉢に蓋をする形になってしまい、根本が蒸れやすくなり腐る可能性も出てきます。昔、群生するタイプのマミラリアでかなりの大群生株に育てていて調子に乗っていたら、実際にこれをやらかしたことがあります。
そういえば仔は全部外し、中心の親株だけの単頭で大きくしようとしているブログを過去に見たことがあります。本来は群生するのが
峨眉山の特徴というか見所ですが、見せ所を自分で開拓するやり方は思いの外面白く感じました。見習って1つ仔を外して単頭栽培してみてもいいかもしれません。

そう言えば、私がよく見るLLIFLEという海外のサイトでは、峨眉山はEuphorbia cv.Cocklebur、あるいはEuphorbia ×japonicaと言われているようです。日本で作られた品種であることは海外でも知られているようで、日本が誇る代表的なユーフォルビア品種と言えます。
通称はCocklebur(オナモミ)、Pineapple(パイナップル)だそうです。まあ、わからないでもない感じがします。


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峨眉山の親疑惑① 鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia

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峨眉山の親疑惑② 瑠璃晃 Euphorbia susannae

一応、峨眉山は鉄甲丸と瑠璃晃の交配種と言われていますが、実際のところはわかりません。それが別に間違っているのと主張しているわけではなく、確かめる手段がないだけです。遺伝子を調べればわかりますが、ただの一園品種(しかもユーフォルビア)を調べてくれる研究者はいないでしょうから。
現在、入手できる峨眉山は仔をおろして増やされたものでしょう。その場合、ソメイヨシノが上野公園の1本の桜の枝を継ぎ木して増やしたように、流通している峨眉山はクローンかもしれません。なぜ、クローンで増やすかというと、交配するごとに微妙に遺伝子の混ざり具合が変わりますから、外見も1個体ごとに違いが出るからです。実際、見かける峨眉山はみな見た目は均一です。まあ、峨眉山の場合は実生しなくても簡単に増やせるから、という理由がクローンがメインである原因なのでしょう。例えば、パキポディウムの恵比寿大黒なんかは枝を挿し木というわけにもいきませんから実生するわけですが、個体ごとの多様性は大ですよね。まあ、パキポディウムは交配しなくても実生は見た目的にかなり差があるみたいですけどね。



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一般にオブツーサと呼ばれる、みずみずしいハウォルチアをよく見ます。しかし、クーペリだとかトルンカタとか呼ばれることもあります。学名も色々呼ばれています。ネットでもかなり混乱しているようですが、調べた私も調べるほど混乱してしまいます。

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私の育てている謎のハウォルチア。一般的にオブツーサと呼ばれています。おそらくはクーペリ系な様な気もしますが…

オブツーサはどうやら調べて見ると最低2つの系統があるようです。
1, cymbiformis系
この系統は1809年に命名されたHaworthia cymbiformis (Haw.) Duvalの系統です。1825年に命名されたHaworthia obtusa Haw.は現在では認められていない学名ですが、H. cymbiformisの変種として1880年にHaworthia cymbiformis var. obtusa (Haw.) Bakerとされました。これがオブツーサと呼ばれるものの正体です。

2, cooperi系
この系統は1870年に命名されたHaworthia cooperi Bakerの系統です。クーペリの変種として1999年に命名されたHaworthia cooperi var. truncata (H.Jacobsen) M.B.Bayerがあり、これもオブツーサと呼ばれたりします。このトルンカタは1955年にはHaworthia obtusa f. truncata H.Jacobsenとされたのが始めですから、ややこしい話です。
また、最近オブツーサ様のハウォルチアを"ikra"と呼ぶことがありますが、これは2010年に命名されたHaworthia ikra Breuerです。これもトルンカタの異名とされています。


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Haworthia cooperi
クーペリの先端が丸くなったものがトルンカタ。


現在では認められていませんが、Haworthia obtusa f. truncata H.Jacobsenなる学名もあったくらいで、非常に混乱していることは間違いないようです。正直なところ見分けはつかないし、売られているオブツーサはcymbiformis系かcooperi系か、私にはわかりません。
私もハウォルチアは勉強中ですので、これ以上はよくわかりません。調べた分だけさらに混乱するばかりです。見分け方を知る詳しいことをご存知の方はいないでしょうか? 本当に教えていただきたいものです。


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最近、ハウォルチアが気になっていて、ハウォルチア、ハウォルチオプシス、ツリスタを集めてきました。そこから派生してアストロロバ、そしてついにはガステリアに手を出し始めたわけです。とは言うものの、ガステリアはそこいら辺で売っていないので実にもやもやしていました。そこで、池袋の鶴仙園に突撃して、ついにガステリア・カリナタを入手したわけです。
ガステリア・カリナタは南アフリカ原産のガステリアです。非常に多様性が大きく、外見は個体差があります。しかし、美しい…


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Gasteria carinata

アロエはまだ小さい苗では、葉がガステリアの様に左右に並びます。そしてある程度育つと、葉が旋回をはじめて、やがてロゼットを形成します。Gasteria carinataも若いうちは左右に葉が並びますが、ある程度大きくなると葉が旋回を始めます。私の入手個体は旋回を始めたばかりみたいです。ガステリアの葉は一般的に肉厚ながらも扁平形ですが、カリナタは成熟するとキールが出来て断面が三角形になります。

ガステリア・カリナタは原産地では灌木の陰に生えるということですので、強光線には耐性はなさそうです。
ガステリアの耐寒性は一般的にあまり高くないと言われますが、冬でも戸外で放置されているガステリアを見かけますから意外と耐寒性は高いような気もします。海外のサイトを見ると、アメリカのハーディネスゾーンであるUSDAゾーンは9b~11bということですので、最大マイナス3.9℃程度には耐えられるとされているようです。


カリナタの学名は1809年に命名されたGasteria carinata (Mill.) Duvalです。1768年にはAloe carinata Mill.でしたが、ガステリア属に移動しました。
詳細な情報がない学名として、Gasteria retusa (VanJaarsv.) VanJaarsv.があります。
変種は2つあり、1992年に命名されたGasteria carinata var. verrucosa (Mill.) VanJaarsv.は、Aloe verrucosaと呼ばれていたものです。日本では白青竜と呼ばれています。1998年に命名されたGasteria carinata var. thunbergii (N.E.Br.) VanJaarsv.は、かつてGasteria thunbergiiと呼ばれていたものです。

それはそうとして、Gasteria carinata var. carinataの異名は沢山というか40以上あるみたいですが、調べても経緯がわからない学名(異名)が多くて困惑しています。異名は非常に多いわりに、各々の関係性がいまいち掴めず情報も少ないとなると、中々調べるのも困難です。
一例ですが、Gasteria angulata (Haw.) DuvalGasteria angulata (Willd.) Haw.という2つの同じ名前の異名があったりします。最初の方はHaworthが命名したアングラタをDuvalがガステリア属としたという意味で、後ろの方はWilldenowが命名したアングラタをHaworthがガステリア属としたという意味でしょう。ややこしいというか、意味がわかりませんね。これの正解は、Aloe angulata Willd.Gasteria angulata
 (Willd.) Haw.Aloe lingua var. angulata Haw.Gasteria angulata (Haw.) Duvalということらしいです。これは非常に面倒臭いのでこれ以上は深入りしませんが、とてつもなく暇だという方は暇つぶしに調べてみてはいかがでしょうか。
それはそうとして、異名の多さは外見上の変異幅が広いということを示していると考えられます。カリナタは非常に美しいガステリアですから、様々なタイプをコレクションしてみても面白いかもしれませんね。



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アノプリア(Euphorbia anoplia)は、緑のジグザグ模様が特徴的なユーフォルビアです。
しかし、アノプリアは謎の多い植物でもあります。


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アノプリア

一般的には、Euphorbia anopliaと言われておりますが、Gbifで学名検索してみるとポリゴナの変種とあります。実はホリダがポリゴナの変種であるという論文が2014年に出て、多くの趣味家を驚かせました。しかし、私はポリゴナとホリダが同じ寄生植物に寄生されるなど共通点が多いので、それほどの驚きはありませんでした。
現在のポリゴナ系のアクセプトされた学名は11変種あります。しかし、残念ながら流通している様々なタイプのポリゴナやホリダの園芸品種が、どの変種にあたるのかはよくわかりません。あるいは、流通している品種はポリゴナやホリダの選抜品種あるいは交配系なのかもしれません。

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すごい勢いで仔吹きします。

ポリゴナの学名は1803年に命名されたEuphorbia polygona Haw.です。1860年にはホリダが命名されEuphorbia horrida Boiss.とされましたが、2014年にEuphorbia polygona var. horrida (Boiss.) D.H.Schnabelとなりました。同様にアノプリアは1923年にEuphorbia anoplia Stapfと命名されましたが、2013年にEuphorbia polygona var. anoplia (Stapf) D.H.Schnabelとされました。


アノプリアはポリゴナの兄弟みたいなものですね。と言うよりも、どちらかと言えばホリダに似ている気がします。
海外ではジグザグ模様からか、ジッパープラントなんて呼ばれているようです。南アフリカ原産と書かれていたり、タンザニア・ジッパープラントという名前からタンザニア原産だとか言われたりしております。
ただし、調べても栽培品しかないようで、自生地の写真はまったくありませんでした。

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仔を外して植え付けましたが、高さ2cmくらいで花が咲き仔を吹きます。すでに成熟しているということなのでしょうか。

アノプリアの形態をよくよく観察してみます。ホリダと比較して、全体に小型でトゲもほとんどなく、白粉もありません。これは、栽培品の中から出現した突然変異の矮性品種なのではないかということです。
学術標本も、野生株の標本もない様子です。現時点においては、ポリゴナ系(というよりホリダ)の品種なのだろうと私は考えております。


ホリダについての記事はこちら。


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 私のメイン多肉はユーフォルビアですから、やはりユーフォルビアばかり集めていますが、実はサボテンも少しずつ集めています。どうにも、ギムノカリキウムGymnocalyciumの扁平な連中がどうにも気になってしまうのです。とは言うものの、TOCのビッグバザール等のイベントにせよ園芸店にせよ、今やサボテンは少数派。今やエケベリアやコーデックス、アガヴェの天下です。ビッグバザールと言えど平べったいギムノカリキウムでは、やはり怪竜丸やバッテリーばかりで、それ以外には中々お目にかかる機会はありません。
そんな中、ルートを調べて園芸店を徒歩でハシゴするという、暇人特有のばかばかしい遊びをしていた時に、侘しい冬の園芸店のビニールハウスに"瑞昌丸"なる名札がついた謎のギムノカリキウムと出会ったのです。


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ラベルには"瑞昌丸"とありましたが、まあ瑞昌玉でしょう。サイズはまだ小さいため、最終的なトゲの強さはまだわかりません。ネットで瑞昌玉を探すと、たまにこのタイプが見つかります。
購入時は非常に弱トゲでしたが、新トゲは明らかに強くなっています。トゲはイボにあまり張り付かず、あまり瑞昌玉らしくありません。ただし、トゲの色は根本が赤く先端が白い典型的な配色。
肌は濃い緑色で、一般的に強光線に弱いとされる色です。実際、購入時に日焼けしてしまい、我が家の環境に慣れるまで1年かかりました。


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次に千葉のイベントでサボテン専門のブースがあり、典型的な瑞昌玉があったので購入しました。
トゲはあまり強くないのですが、太く短いトゲがイボに張り付くように生える典型的な瑞昌玉。ただし、トゲに赤みがないタイプ。肌は艶消し状で緑色は淡い。

学名の謎
さて、瑞昌玉の学名について一席ぶつつもりだったのですが、これが中々どうして難しいのです。そもそも、日本のギムノカリキウムの園芸名と学名がリンクしていないという問題があります。これはややこしいのですが、事の経緯を説明します。
ここでは、仮想のギムノカリキウムとしてAという学名があったとしましょう。このAは産地によりいくつものタイプがあったとしましょう。しかし、これは良くあることなのですが、それぞれのタイプの間の産地には中間的な特徴を持つ個体も存在します。この時に、ある1タイプが日本へ輸入されてきました。このタイプに瑞昌玉という園芸名がつけられました。大抵、Aのある特徴を見て"瑞昌玉"としますから、種子を採った時に園芸上好ましい特徴が出たものを選抜していきます。
しかし、現在地のAは必ずしも園芸上選抜された瑞昌玉とは特徴が一致しないわけです。つまり、瑞昌玉はAの一部ですが、Aの様々なタイプを瑞昌玉とは言えないのです。

さらに言うと、瑞昌玉はGymnocalycium stellatum var. kleinianumあるいはGymnocalycium quehlianum var. kleinianumと言われていますが、実際にはどの学名にあたるのかよく分からないというか、そうではないかと言われているだけなのかもしれません。
まあ、それだけで済めばいいのですが、実際には原産地の瑞昌玉と瑞昌玉と近しいとおぼしき仲間についての学名、G. stellatumG. quehlianumG. asteriumG. bodenbenderianumG. riojenseといったギムノカリキウムは皆良く似ており学術的にも混乱しています。

G. quehlianumに統一?
The World Checklist of Vascular Plants』 によると、1925年に命名されたGymnocalycium stellatum (Speg.) Speg.1957年に命名されたGymnocalycium asterium A.Cast.は、1926年に命名されたGymnocalycium quehlianum (F.Haage ex H.Quehl) Vaupel ex Hosseusの異名としているようです。しかし、よく読むとレビュー中とあります。まだまだ議論があるようです。
そういえば、瑞昌玉だけではなく、竜頭や鳳頭、新鳳頭もG. quehlianumではないかと言われています。単純な個体差を園芸品種として固定したに過ぎないのでしょうか?

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竜頭

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鳳頭

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新鳳頭

論文
2011年に『MOLECULAR PHYLOGENY OF GYMNOCALYCIUM (CACTACEAE) : ASSESSMENT OF ALTERNATIVE INFRAGENETIC SYSTEMS, A NEW SUBGENUS, AND TRENDS IN THE EVOLUTION OF THE GENUS』というギムノカリキウムの系統を調査した論文が出ました。その論文ではフィールドナンバー付きの原産地で採取された株を用いて遺伝子を解析していますが、瑞昌玉が所属すると考えられるTrichomosemineum亜属で示されているのはGymnocalycium quehlianumとGymnocalycium bodenbenderianumだけです。しかし、これは2種類しか調べていないというより、G. stellatumやG. asterium、G. riojenseを学名として認めずに2種に統合しているように思えます。まあ、それほど沢山の株を調べたわけではないようですが。
※論文ではGymnocalycium ochoterenaeが扱われておりませんが、ただ調べていないだけなのか、G. ochoterenaeを認めていない立場なのかはよくわかりません。

遺伝子解析と定規
一般的な話ですが、遺伝子解析する場合はすべての塩基配列を調べているわけではありません。大抵は数種類の遺伝子を解析します。目的によりますが、様々な植物で調べられていて実績がある遺伝子がチョイスされがちです。実は各遺伝子は同じスピードで変異しているわけではなく、変異速度は遺伝子ごとに異なります。例えば、重要な遺伝子ほど変異しにくくなります。これは葉・茎・根などの基本構造や代謝機能を司る遺伝子は、もし変異が入ってしまうと変異の種類によっては生育出来ないので、子孫に変異が伝わることがないからです。ただし、重要な遺伝子でも変異が入っても問題がない場合もありますが、いずれにせよ変異が入りにくい傾向があります。逆に変異が入りやすいのは、重複した遺伝子です。遺伝子のミスコピーにより同じ遺伝子が2つになることがあります。この場合、重複した遺伝子の片方があればその機能を果たすことができますから、もう一つは機能的にいらないので凄まじい勢いで変異が入ります。実はこれが新しい機能を持った新しい遺伝子の進化を引き起こすきっかけだったりします。
それぞれの遺伝子の変異速度は計算できますから、変異が早い遺伝子、変異が遅い遺伝子をある種の定規として目的により選択します。短期間に進化した、例えばここ1000万年で進化したグループに単位が大きい定規(変異の遅い遺伝子)で解析しても違いを捉えられないでしょうし、逆に何億年単位の進化を調べるのに短い定規(変異の早い遺伝子)で解析しても測定出来ません。
ですから、ギムノカリキウムの系統を調べた論文では、恐らくはギムノカリキウム属全体を調べるのに適した長さの遺伝子が定規としてチョイスされているはずです。しかし、進化の末端である、まさに今進化している種分化を見るためには、もっと短い定規が必要です。G. quehlianumの類縁種は急激に拡散して進化した、割りと新しい種と見なされています。つまり、現在は長い定規で計ったので、G. quehlianumとされる種の園芸上では区別されている個体差を判別出来ていないということになります。ですから、短い定規による測定が出来ていない以上、すべてがG. quehlianumとすることはまだ出来ないのです。もしかしたら、まだ細分化される可能性はありそうです。

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瑞昌玉の花

G. quehlianumの経緯
果たして瑞昌玉の学名がG. quehlianumにあたるのかどうかわかりませんが、今は一応そうであると仮定して学名の経緯を見てみます。しかし、G. quehlianumの学名はかなり混乱しており、実にややこしいことになっています。
1925年 Gymnocalycium stellatum
                                          (Speg.) Speg.

1926年 Gymnocalycium quehlianum
      (F.Haage ex H.Quehl) Vaupel ex Hosseus

1957年 Gymnocalycium asterium A.Cast.
このうちG. quehlianumに集約されました。学名は命名が早いものが優先されますが、一見すると1925年に命名されたG. stellatumになりそうな気がします。しかし、G. quehlianumは1899年にEchinocactus quehlianum F.Haage ex H.Quehlとして命名され、1926年にギムノカリキウム属に移動しました。ですから、G. quehlianumが一番早い命名なので、これが正式な学名となっています。
ややこしいのはここからで、例えばG. occultum=G. stellatum subsp. occultum=G. bodenbenderianumだったり、G. stellatum var. zantnerinum=G. quehlianum var. zantnerinum=G. quehlianumだったりします。このように、G. quehlianum、G. stellatum、G. bodenbenderianum、G. asteriumあたりは、どれかがどれかの亜種や変種として捉えられて来た経緯があります。本当にややこしいのですね。

学術的にもまだレビュー中ですからまだはっきりしたことは言えません。しかし、中々こういうある種の"役に立たない(=産業利用しにくい=金にならない)"タイプの研究は中々進展しない傾向があります。ただの一趣味家に過ぎない私などからしたら、いつの日か研究が進み整理されることを願うしかありませんけどね。



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先日、五反田TOCで開催された夏のサボテン・多肉植物のビッグバザール前に、うっかり鶴仙園で散財したわけですが、はじめてみたユーフォルビアを入手しました。その名も"E. リカルドシアエ"というマラウイ原産のユーフォルビアです。

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Euphorbia richardsiae

多肉ユーフォルビアは南アフリカからエチオピアまでのインド洋側に多いように見受けられます。花キリンはマダガスカル島原産ですが、多くの多肉ユーフォルビアは南アフリカ原産です。さらに、南アフリカ周辺の、モザンビーク、スワジランド、レソトあたりもまああります。
マラウイはモザンビーク、タンザニア、ザンビアに囲まれた内陸国家ですが、やはりインド洋側です。しかし、やはりマラウイはユーフォルビア原産国としては珍しい方です。

しかし、国内外含めてリカルドシアエはあまり情報がありません。あまり、育てている人がいないのかもしれませんね。まあ、レアというわけではないけれど、特に人気がありわけではないから売れないので生産者も作らないという、多肉ユーフォルビアにはよくあるパターンなのでしょう。ですから、レアでもないのにあまり手に入らないというこの手のユーフォルビアは、普及種以外の宿命として今後の一期一会を期待するしかありませんね。


リカルドシアエの学名は1977年に命名されたEuphorbia richardsiae L.C.Leachです。L.C.Leachはローデシアの植物分類学者のLeslie Charles "Larry" Leachのことです。



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バイオエンシス(Euphorbia baioensis)は、ある意味ではホリダなどよりサボテン感が強いユーフォルビアです。サボテンの金紐の仲間にも見えますが、ケニアに自生するユーフォルビアです。
バイオエンシスという名前ですが、流行りのバイオテクノロジーではなくて、バイオエンシスが初めて発見されたケニアのベイオ山(Mount Baio)から来ているようです。


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痩せた悲しい姿。
2020年2月に購入しましたが、ホームセンターで日を浴びることが出来ずに、随分と貧相になっていました。哀れに思い購入しましたが、根腐れはしていない様なので、植え替えて遮光せずに育ててきました。


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2020年11月、復活!
バイオエンシスは非常に丈夫ですので、上の9ヶ月後の写真を見ていただけるとわかりますが、簡単に復活しました。地面から仔も吹いてきましたので、上部はカットの後に挿し木して、姿を整えても良いかもしれません。

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2022年6月。仔が沢山吹いてきましたから、窮屈なので植え替えました。小さい鉢に植えていましたから、根詰まり気味で明らかに生長が鈍っていました。

バイオエンシスを簡単に調べてみると、あまり情報はありませんが、海外のサイトではUSDAゾーンが10b~11bとありました。10bで1.7~4.4℃ですから、耐霜性はないようですね。冬は室内栽培が無難です。
※USDAゾーンはアメリカで作物が育つ気温を示した温度マップです。非常に便利なので、観葉植物などの育成にも利用されています。


バイオエンシスの学名は1982年に命名された、Euphorbia baioensis S.Carterです。S.Carterはユーフォルビアとモナデニウムの専門家であるSusan Carter Holmesのことです。なんでも、国際ユーフォルビア協会(IES)の会長なんだそうです。



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