ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2022年02月

群星冠は南アフリカ原産のトゲが特徴的な多肉ユーフォルビアです。名前の通り星の冠を被った様な姿に魅力があります。
ちょうど、今年の正月位からツボミが綻んできましたので、開花からその美しいトゲが出るまでを追ってみました。


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1月3日。つぼみが膨らんできました。
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1月10日。花が咲き始めました。
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1月22日。花茎が伸びてやや赤味を帯びてきました。萼が尖ってきています。これが将来のトゲになります。
※下のほうのトゲが細いことにも注目。

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1月30日。トゲが急激に伸び始めました。雄しべは枯れ落ち始めています。
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2月11日。トゲが伸びて立派になりました。相対的に花は目立ちません。花は枯れかけています。
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2月26日。強いトゲが出ています
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子株からもトゲが出ていてかわいらしい。

群星冠は寒暖差の激しい地域に自生しており、夏は45℃、冬はマイナス5℃になるそうです。そのため、基本的に寒さに弱い多肉ユーフォルビアの中では、例外的に耐寒性があります。しかし、割りとお値段は高めでしたから、私は戸外栽培する勇気はありません。
さて、群星冠はその個性的なトゲが最大の鑑賞ポイントですが、このトゲは基本的に花の時期だけに出るものです。おそらくは、開花は1年に一回なのでしょう。バリダの様に開花し続ければ良いのですが、そうではないのでどうしてもトゲがまばらに生えています。
解決策は簡単で、トゲが出てから次のトゲが出るまで、あまり生長させなければよいのです。つまり、なるべく強い光に当てて、乾燥気味に管理し、肥料も少なめという育て方です。上から3枚目の画像を見ると、下のほうのトゲは細いことがわかります。これは販売時からあったトゲです。私が育てはじめてから出た上のほうの太く強いトゲは、硬く締めて育てた証です。生長は遅くなりますが、強いトゲに覆われた美しい群星冠に育てられるはずです。


群星冠の学名は1826年(publ. 1827)に命名された、Euphorbia stellispina Haw.です。Haw.はイギリスの昆虫学者・植物学者・甲殻類学者であるAdrian Hardy Haworthのことです。フランスの植物学者であるHenri August Duvalはハウォルチア属(Haworthia)を創設しましたが、これはHaworthに対する献名として命名されました。
また、1915年に命名されたEuphorbia astrispina N.E.Br.という学名もあります。しかし、こちらは同種であるとされて現在では認められていない学名です。


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朝晩は冷えますが、日中は暖かい日も多くなってきました。多肉植物も春を感じたのか、ポツポツ動き始めています。
冬の間に入手した多肉植物は植え替えをしておりませんでしたから、天気もよろしいので植え替えをしてみました。
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必要な用土と鉢。
グランカクタスさんの推奨用土の改造版を作ります。
まあ、改造したからこっちのほうがいいわけではありません。単純に好みの問題です。
赤玉土 8
鹿沼土 4
軽石 2
バーク堆肥 2
くん炭 1
ゼオライト 1 
マグアンプK 少々

去年の使い終わった堆肥の袋は丈夫なので取って置きました。その空袋に材料を入れて混ぜれば完成です。

第一弾
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ハウォルチアとかアロエの仲間、ユーフォルビアが大半です。抜いて古い用土を落とし、少し乾かします。
買った多肉植物をわざわざ植え替えする理由は、主に3つあります。
①根の状態チェック
根の状態は抜かないとわかりません。多肉植物は葉に水分を貯めておけるので、根がやられても直ぐにはしおれたり枯れたりしません。根が腐っているのに水やりすれば悪化しますから、根の状態チェックは必要です。
また、種まきポットを利用する生産者さんも結構います。これは発芽には便利ですが、多肉植物栽培には適さない材料です。ですから、生産者さんはある程度育ったら、ポットごと大きい鉢に赤玉土で植え込んだりします。そういう株は、根元に種まきポットが残っていたりします。ポット内の根は加湿で枯れていますから、ポットカスはすべて取り除きます。
場合によってはお店での管理が良くないと、鉢の中がカビが発生することもありますから、注意が必要です。
②用土
使われている用土が異なると、乾燥の具合が分かりにくいものです。慣れた用土なら乾き具合は何となく推測できるようになります。
また、鉢ごとに用土が異なると、乾き具合が鉢ごとに異なり管理が難しくなります。
③鉢
鉢もサイズや高さにより、乾燥具合が異なります。根の大きさや、植物の性質により決めます。
私は鉢の再利用はしません。必ず廃棄して、新しい鉢を使用しています。ネジラミとかカビとかバイラス病とか、まあいろいろ厄介なので。

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第一弾は終了。
ダシリリオン・ロンギシムムは根元に水が溜まると腐りますから、浅植えしました。あと、鉢底にカビが発生している鉢が一鉢ありました。また、竜城は根がありませんでした。まあ、これは腐敗していませんから、問題ありません。暖かくなってきましたから、心配しなくてもそのうち生えてくるでしょう。
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火星人の鉢がぐらぐらするので、鉢底を見てみると…
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根が盛大にはみ出しています。最早、抜くことも出来ませんから、鉢を壊して取り出します。
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植わっていた見た目より、塊根は大きいようです。
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オペルクリカリア・ボレアリスは抜いたところ、なんか予想と異なる感じでした。塊根、というか本当に芋。

第二弾
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新規購入サボテンと、生長して窮屈になったユーフォルビアの植え替えです。
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植え替え完了。
ユーフォルビア・フィリプシアエは二株が一鉢に植えていたので、二鉢に分けました。花は咲きましたが、鉢がぎゅうぎゅうで生長が鈍っていたので。ユーフォルビア・バイオエンシスは根元から子株が出たのはいいのですが、かなり窮屈だったので、鉢を一回り大きくしました。ギムノカリキウム・バッテリーは何故か生長とともに、端に移動してしまいます。徐々に動くという不思議。根の形でそうなっているような気もしますが謎です。やはり植え替えました。


かがんだ姿勢でいたせいか腰が痛いので、本日はこれで終了。
生長して窮屈になった多肉植物はまだありますから、また順次植え替えしていきます。鉢を買わなくては…


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硬葉系ハウォルチアとされていたプミラとマキシマは同種とされていて、どちらが正式名称なのかを巡って論争があったそうです。とあるブログによると、プミラではなく、マキシマが正式名称とのことです。その根拠は、マキシマが先に命名されたからだそうです。
私が入手したプミラについて調べている最中だったので、興味深く読ませていただきました。しかし、疑問点も浮かびました。

プミラが先かマキシマが先か
まず、プミラとマキシマがハウォルチア属とされたのは、1809年のことでした。
Haworthia pumila (L.) Duval
Haworthia maxima (Haw.) Duval
勘のいい人はすでにお気付きになったと思いますが、これって「プミラのほうが命名早くない?」ということです。

解説します。学名は「属名」+「種小名」から成り立ちますが、そのあとに「命名者の略号」をつけます。命名者を書かないことも多く、略しても構いません。ここから少しややこしいのですが、「属名」が変更になることが割りとあります。実は違う仲間だったとか、新しい属として独立したりという場合です。この時、「種小名」は基本的に変わらずに継承されます。この時の命名者はどうなるでしょうか? 正解は併記する、です。つまり、「(種小名の命名者)+属名変更者」という風に、種小名の命名者を括弧で表記するのです。

プミラの場合は、はじめての命名においては、アロエ属とされました。これは、硬葉系ハウォルチアにおいては良くあることです。なぜなら、この時点でハウォルチア属は存在しないからです。アロエ属は1753年に創設、ハウォルチア属は1809年に創設されました。
さて、種小名の命名者に注目してみましょう。プミラの命名者は(L.)、学名の仕組み自体を作ったCarl von Linneのことです。つまりは、Aloe pumila L.ですが、これは1753年に命名されましたが、これはLinne自身によりアロエ属が創設された年です。よって、プミラの命名は考えうる限り、最も早いものでしょう。

では、マキシマはどうでしょうか。マキシマはHaworthia maxima (Haw.) Duvalです。マキシマはHaw.、つまりはAdrian Hardy Haworthが命名しています。もとをたどると、Aloe margaritifera var. maxima Haw.のようで、これは1804年の命名です。ちなみに、Aloe margaritiferaプミラの異名(シノニム)です。

まとめると、命名年はプミラが1753年、マキシマは1804年であり、プミラのほうが先に命名されました。よって、正統性ならマキシマではなくプミラとなります。Haworthの命名がLinneよりも早いことがあり得ないことを知っていれば、マキシマよりプミラのほうが命名が早いこともまた明白という訳です。
ただし、これで終わらないのが、なんとも厄介な話です。

プミラとマキシマは別種
プミラとマキシマは同一種と見なされてきたので、プミラ・マキシマ論争があったわけです。しかし、近年の研究では、マキシマはプミラ系ではなく、minor系であることが判明しました。つまり、Tulista minor(=Haworthia minor)です。そうであるとすると、今度はミニマ・マキシマ論争となってしまいます。
しかし、以下の記事により、マキシマではなくminorが正式名称です。

ツリスタ属の誕生
さらに、硬葉系ハウォルチアは、ハウォルチオプシス属とツリスタ属になりました。ツリスタ属は、Tulista kingianaTulista pumilaTulista minorTulista marginataの4種類が提唱されています。現状において、オパリナやマキシマは正式な学名として認められておらず、ともにT. minorと同一種とされます。まあ、今後変わっていく可能性はありますが。


個別のツリスタ属の記事はこちら。


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プミラは最大のツリスタで、高さ25cm以上となります。しかし、面白いことにプミラはラテン語ですが、英訳すると"dwarf"、つまりは矮性という意味です。矮性はあまり大きくならない性質のことですが、大きく育つのに不思議な命名です。なぜ、プミラの名前がついたのでしょう?
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Tulista pumila

始まりはアロエ属
プミラがはじめて命名されたのは1753年のことで、Aloe pumila L.とされました。L. は学名の創設者のCarl von Linneですから、プミラは実に由緒正しい学名と言えます。さらに、1753年はアロエ属の創設された年ですから、プミラはアロエ属の創設メンバーだったのです。プミラは最初はアロエに分類されていた訳です。ですから、命名された時にアロエにしては小さいということで、プミラと命名されたのでしょう。

ハウォルチア属からツリスタ属へ
プミラはとにかく様々な学名がつけられたことが知られています。現在では存在しないApicraCatevala属とされたりもしました。しかし、正統性のある学名は、アロエ属→ハウォルチア属→ツリスタ属の系統です。まず、1809年にHaworthia pumila (L.) Duvalとなりました。1809年はDuvalがハウォルチア属を創設した年ですから、プミラはアロエ属だけではなく、ハウォルチア属の創設メンバーでもあったわけです。この時点で、その名前によらずプミラは巨大ハウォルチアとなってしまいました。
最終的には、2013年にプミラはツリスタ属となりました。Tulista pumila (L.) G.D.Rowleyが現在認められている学術的に正式な学名です。
ツリスタ属4種類の中では、やはり最大の種ということですから、やはり大きいのに小さいというちぐはぐな学名ではあります。


変種margaritiferaとは?
1753年にAloe pumila var. margaritifera L.という変種が命名されています。しかし、1768年には独立種となり、Aloe margaritifera (L.) Burm. f. とされました。そして、最終的には1819年にHaworthia margaritifera (L.) Haw. となりました。
しかし、margaritiferaは現在ではプミラと同一種とされて、使用されていない学名です。プミラのタイプの一つに名前がつけられただけだったのでしょう。

変種minorとは?
1789年にAloe margaritifera var. minor Aitonが命名されました。しかし、後にこちらはプミラとは別種とされました。1809年のHaworthia minor (Aiton) Duval 、2018年にはTulista minor (Aiton) Gideon F.Sm & Moltenoとされました。
ミノー(マイナー)に関する詳細は以下の記事をどうぞ。


変種maximaとは?
Aloe margaritiferaに対して変種マキシマが命名されました。1804年に命名されたAloe margaritifera var. maxima Haw. です。しかし、1809年にハウォルチア属が創設されたことにより、Haworthia maxima (Haw.) Duval となり、margaritiferaの変種ではなくなりました。
ここからがややこしいのですが、マキシマとプミラが同一種であるという考え方が出てきました。ここは何やら論争があったようですが、最終的にはマキシマはプミラではなく、ミノー(マイナー)と同一種とされるに至りました。
プミラ・マキシマ論争についてはこちらをどうぞ。


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他のツリスタ属の記事はこちら。






アエルギノーサが開花しました。多肉ユーフォルビアではお馴染みの小さく地味な花です。まあ、色的には目立つほうかもしれませんが。
アエルギノーサはこれも多肉ユーフォルビアでは一般的な南アフリカ原産です。高さは普通は30cmほどらしいです。思いの外、コンパクトに育つ様です。


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開花中のアエルギノーサ。トゲが柔らかいのが特徴で、触ると簡単に曲がってしまいます。

学名は1935年に命名されたEuphorbia aerginosa Schweickです。Schweickは、ドイツの植物学者であるHerold Georg Wilhelm Johannes Schweickerdtのことです。Schweickerdtはドイツで生まれた翌年に両親が南アフリカに移住したため、南アフリカで育ちました。やがて、ドイツに留学して研究者となり、南アフリカの植物を研究しました。最後は南アフリカに帰って来て亡くなった様です。


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スキンネリーはアストロロバ属に属するアロエ類です。アストロロバ属はロゼットが縦に積み上がった形をしています。最新の研究では、アストロロバはアリスタアロエ・ゴニアロエ・ツリスタに近いそうです。
スキンネリーは天守閣という、あまり使われない名前もあるみたいです。

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スキンネリー

スキンネリーは、1908年にAloe skinneri A.Bergerと命名されました。アストロロバ属が提唱されたのが1947年なので、最初はアロエ属とされました。
1919年にはApicra × bicarinata Haw.も提唱されました。このアピクラ属は現在は存在しない属ですが、種小名のビカリナタは継承されました。
"×" は交配種、あるいは交雑種を示しています。スキンネリーは原産地で発見された自然交雑種ではないかと考えられています。ただし、どの時点で交雑種と考えられたのかは良くわかりません。今言えることは、スキンネリー系ビカリナタ系の学名が共に使われたということだけです。ビカリナタは1825年にアロエ属とされ、つまりはAloe × bicarinata (Haw.) Spreng.です。
1943年には、Haworthia × skinneri (A.Berger) Resendeが提唱され、ハウォルチア属ではないかという考え方もありました。
前述の様に、1947年にはアストロロバ属が提唱されました。Astroloba Uitewaalです。Uitewaalにより、Astroloba bicarinata (Haw.) UitewaalAstroloba × skinneri (A.Berger) Uitewaalとされました。なぜ、同じ種に2つの学名がついたのか、詳しい事情はわかりません。単純に2種類あると考えられていただけかもしれません。
遅ればせながら、1971年にはビカリナタがハウォルチア属とする、Haworthia × bicarinata (Haw.) Parrもありました。
スキンネリーはAstroloba × Haworthiaであると考えられることから、1983年に× Astroworthia skinneri (A.Berger) Pilbeamとされました。実はこの学名が学術的に最も良く使われた名前となります。また、ビカリナタも1973年に× Astroworthia bicarinata (Haw.) G.D.Rowleyと命名されています。
スキンネリーの交雑親は、Astroloba corrugataHaworthia pumilaであるとされました。
しかし、交雑親のプミラはツリスタ属とされたため、2017年には× Astrolista bicarinata (Haw.) Molteno & Figueiredoとされました。この学名が現在学術的に認められている名前となります。
しかし、なぜスキンネリー系ではなくビカリナタ系なんでしょうか。先に命名された名前が優先というルールからしたら、スキンネリー系が正当でしょう。交雑種として最初に命名されたのが、ビカリナタ系だったからかもしれません。

今後は、スキンネリーと呼んでしまうと語弊があるため、ビカリナタ(ビカリナータ)と呼ぶべきなのでしょう。しかし、スキンネリーの名前で流通していますし、過去の名前の変遷が激しいので、やや躊躇われます。天守閣の名前が流通していれば簡単なんですけどね。スキンネリーになろうがビカリナタになろうが、「天守閣」で通じてしまいますから。


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ミニマを入手しましたので、少し調べてみました。
ラベルには「T. ミニマ」とあります。このTはツリスタ(Tulista)を示します。ただし、このツリスタ属を巡ってはややこしい問題があり、未解決な部分があります。

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ミニマ

ミニマはAloe margaritiferaの変種、Aloe margaritifera var. minor Aitonとして、1789年に命名されました。硬葉系ハウォルチアではお馴染みの、アロエ→ハウォルチア→ハウォルチオプシスorツリスタという定番の型を踏襲しています。このAloe margaritiferaとは、現在のTulista pumilaのことです。
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Tulista pumila

ここから、ミニマの学名は2系統に分かれます。上に挙げたminor系統とこれから述べるminima系統です。minima系統は、1812年にHaworthia minima (Aiton) Haw.と命名されました。minor系統も1809年に、Haworthia minor (Aiton) Duvalとハウォルチアとされました。
さらに、21世紀になり硬葉系ハウォルチアの内、数種類が新設のツリスタ属に移動しました。当初はTulista pumilaの変種として命名された位ですから、ミニマもツリスタ属とされました。つまり、Tulista minima (Aiton) Boatwr. & J.C.Manningは2014年、Tulista minor (Aiton) Gideon F.Sm & Moltenoは2018年の命名です。

ちなみに、Haworthia maximaTulista pumilaと同種であるとされておりましたが、正しい学名の提供を目的としてイギリスのキュー王立植物園が中心となって進められている「World checklist of Selected Plant Families」によると、プミラではなくminorと同一種とされています。マキシマがはじめて命名されたのは、1804年にAloe margaritifera var. maximaでした。ですから、1789年の命名であるminorが優先されます。
さらに、Tulista opalina (M. Hayashi) Breuerは、やはりminorに含まれるとされています。こちらも、2001年にHaworthia opalina M. Hayashiとして2001年の命名ですから、やはりminorが優先されます。

ここまで経緯を説明しておいて何ですが、現在認められているミニマの学名は、Haworthia minor (Aiton) Duvalとされています。しかし、どう見てもハウォルチア(軟葉系ハウォルチア)には見えません。ミニマも今後はツリスタ属とされていくのでしょう。

2022年6月追記。
未だにH. minorとされているとしましたが、古い情報が更新されていなかっただけのようです。2018年にTulista minor (Aiton) Gideon F.Sm. & Moltenoとされており、晴れてツリスタ属の一員となりました。めでたしめでたし。



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鉄甲丸は南アフリカ原産の多分ユーフォルビアです。マツカサの様な本体から柔らかい葉が伸びる不思議な見た目で、非常に人気があります。原産地では薬用とするために、乱獲されて非常に減っているそうで心配です。
鉄甲丸はリザンチウム亜属アンタカンタ節フロリスピナ亜節ヒストリクス列に分類されます。ヒストリクス列はEuphorbia loricataやEuphorbia multifoliaといったあまり見ない種類の仲間となります。

我が家の鉄甲丸は育てかたを間違ったせいで、おかしなことになっています。我が家では、多肉ユーフォルビアに関しては基本的に遮光しません。鉄甲丸もホリダなどと並べて育てた結果、葉が全て枯れ落ちました。新しい葉が出ても、すぐに日焼けして枯れてしまいます。そのため、この1年というもの、まったく葉がない松ぼっくり状態でした。葉がなくても光合成してそうなので、枯れはしないだろうとたかをくくっていた部分はあります。まあ、でもさすがに懲りたので、今年は遮光することにします。夏場の蒸れに弱く通風が大事ては聞いていましたが、ここまで強光線を苦手とするとは思いませんでした。
鉄甲丸の生態写真を海外の研究機関のデータベースで見ましたが、岩場の割れ目のやや陰になった場所や、乾燥した草原で他の草に埋もれる様に生えている様子です。なるほど、直射日光を嫌う訳です。


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2022年2月。久しぶりに葉が出てきました。室内の植物用ライトを当てていますが、真下に置いていないせいか、葉のダメージはないようです。

鉄甲丸の学名は1797年に命名されたEuphorbia bupleurifolia Jacq.です。Jacq.はオランダ生まれの植物学者である、Nicholaus Joseph Freidherr von Jacquinのことです。Jacquinは神聖ローマ帝国の皇帝フランツ1世の命により西インド諸島や中央アメリカへ派遣され、珍しい植物・動物・鉱物の収集を行いました。
また、異名として1812年に命名されたTithymalus bupleurifolia (Jacq.) Haw.、1862年に命名されたEuphorbia proteifolia Boissがありますが、現在では認められていない学名です。


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オペルクリカリアはマダガスカル原産のウルシ科の植物です。オペルクリカリア・パプキスはコーデックスとして有名です。私もオペルクリカリア属を入手したので、オペルクリカリア属について調べてみました。
オペルクリカリア属は現在、9種類あります。


オペルクリカリア属はマダガスカルの植物専門のフランスのJoseph Marie Henry Alfred Parrier dela Bâthieが、1944年に提唱した属名です。学名では、Operculicarya H. Perrierと表記されます。
1944年にH.Perrierは3種類のオペルクリカリア属を命名しました。しかし、そのうちの1種類であるOperculicarya monstruosa H.Perrierは、1962年にCommiphora monstruosa (H.Perrier) Capronとなり、オペルクリカリア属から外されました。

1944年
 O. decaryi H.Perrier
 O. hyphaenoides H.Perrier
1975年
O. gummifera (Sprague) Capron
 ※
Poupartia gummifera Spragueは旧学名
1995年
O. pachypus Eggli
O. borealis Eggli
O. hirsutissima Eggli
2006年
O. multijuga Randrian. & Lowry
O. capuronii Randrian & Lowry
2015年 
O. calcicola Randrian & Lowry

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オペルクリカリア・ボレリアリス
オペルクリカリア・ボレリアリスは、あまり流通していない種類の様です。
1995年にOperculicarya borealis Eggliと命名されました。Eggliはスイスの植物学者・ノンフィクション作家のUrs Eggliのことです。Eggliはクラッスラ、サボテン、スベリヒユの専門家です。
オペルクリカリア・ボレリアリスはオペルクリカリア属の中でも寒さに弱いそうです。生長はかなり遅いらしく、なかなか太くなりそうにありません。




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タコものユーフォルビアの代表格、カプトメデューサを入手しましたので、少し調べてみました。

一般的にカプトメデューサの名前で流通していますが、天荒竜という名前もあるようです。すごい名前は多肉ユーフォルビアではお馴染みですが…
小種名である"caput-medusae"は、「メデューサの頭」の意味です。英語ではMedusa's-headですから、そのままですね。タコものユーフォルビアをメデュソイドと呼ぶように、名前からしてカプトメデューサは代表的な種なように思えますが、なぜかあまり売っていない様です。入手しやすいタコものは、金輪際(E. procumbens、※E. gorgonisはシノニム)、孔雀丸(E. franaganii)、九頭竜(E. inermis)あたりですが、何が違うのかわかりません。生長が遅いとか、タコものらしい姿になるまで時間がかかるとか、何か理由があるのでしょう。


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まだ小さな苗でメデューサの様な枝は出ていません。これからの生長が楽しみです。
ユーフォルビア属内分類は、当然の如くリザンチウム亜属アンタカンタ節のメドゥセア亜節です。しかし、メドゥセア亜節=タコものユーフォルビアの系統関係はどうなっているんでしょうね。気になります。

カプトメデューサの学名は、1753年に命名されたEuphorbia caput-medusae L.が正式名称です。かのカール・フォン・リンネが命名した由緒正しき多肉ユーフォルビアです。
1797年には、Euphorbia tuberculata Jacq.、1915年にはEuphorbia marlothiana N.E.Brと命名されましたが、カプトメデューサと同種であるとされ、現在では認められていない異名(シノニム)として扱われています。
ただし、Euphorbia tuberculataは緑仏塔の学名です。カプトメデューサは枝が垂れるくらい長く伸びますが、緑仏塔は枝が短く上向きに立ち上がります。現在、緑仏塔はカプトメデューサと同種であるというのが学術的な公式見解ですが、将来的には別種となる可能性もあります。今後の研究に期待しましょう。
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緑仏塔


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アロエ・ソマリエンシスを入手しました。
1月に鶴仙園池袋店に行った時に、たまたまアロエ・ソマリエンシスが目に入ったものの購入しませんでした。しかし、どうしても気になって家でソマリエンシスを調べている内に、ああ買えばよかったと後悔しました。
そんなこんなで、鶴仙園池袋店で1ヶ月ぶりにアロエ・ソマリエンシスと再会を果たした訳です。まあ、別個体なんですけどね。
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アロエ・ソマリエンシス
冬なので縮んで葉が丸まっています。春になってその美しい葉を楽しめる日が楽しみです。
そう言えば、ホームセンターでもソマリエンシスの名前で売られているアロエがあるみたいなんですけど、若干の怪しさがあるようです。どうやら、ホームセンターのソマリエンシスらしきアロエは、白斑がまばらで白色というより半透明で、茎があって縦長に育つみたいですね。なるほど、それはアロエ・ソマリエンシスではないですね。交配種なのでしょう。

さて、そんなアロエ・ソマリエンシスですが、名前の通りソマリア原産です。ソマリア原産の多肉植物は、一般的にソマリアものと呼ばれ、難易度が高いと言われています。アロエ・ソマリエンシスも、アロエの中では夏の直射日光を避けたほうが安全と言われています。しかし、そこは丈夫なアロエ属だけあって暑さでへたることはなさそうです。
原産地では海抜700~1700mの、岩場の斜面やアカシア-コミフォラ低木地帯に生えているそうです。ソマリアのコミフォラとか、恐ろしくて育てられませんね。

学名は1899年に命名された、Aloe somaliensis C.H.Wright ex W.Watsonです。W.Watsonはイギリスの植物学者・園芸家であるWilliam Watsonのことですが、C.H.Wrightはイギリスの植物学者であることしかわかりません。あまり情報がないみたいです。


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すっかり雪も溶けて暖かくなりましたので、鶴仙園池袋店に行って来ました。1月にも行った訳ですが、ブログの入荷情報を見ていたらまた行きたくなってしまいました。

最近はハウォルチアの仲間が気になりますので、冬の鶴仙園は正にパラダイスです。

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晴れ渡る西武池袋店の屋上。
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(お値段的に買えない)大きい多肉がお出迎え。
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何だかんだで、一時間近く居座ってじっくりと見させていただきました。
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購入品は4点。どちらかと言えば、渋いラインナップかもしれません。名前は、付いていたラベルの表記のままです。詳細は後ほど。
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ビスコーサ

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T. ミニマ

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スキンネリー

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アロエ・ソマリエンシス


帰りに駅構内で開催中の東北物産展で、何やら色々と買いました。1月に鶴仙園に来たときにも、北陸物産展をやっていてラーメンを買ったりしましたが…
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ブリの味噌煮缶はあまり見ない気がします。


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原産地の南アフリカでは、spinnekopnes(クモの糸)、papierrosie(紙のバラ)と呼ばれる、アラクノイデアを入手しました。ハウォルチアの仲間です。
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アラクノイデア
こういうトゲやイボではないハウォルチアを、ノギ系ハウォルチアと呼ぶそうです。ノギは漢字で「禾」と書きますが、これは稲などの穀物に生える毛のことです。禾の様な毛が生えることからついた名前でしょう。
さて、アラクノイデアは葉が増えて密になると、ノギに覆われて、まるで羽毛に包まれている様に見えます。「クモの糸」の名前の理由もわかります。

学名は1753年にAloe pumilaの変種として、Aloe pumila var. arachnoidea L.と命名されました。(Aloe pumilaは、Haworthia pumila、最終的にTulista pumilaとなりました。アラクノイデアとはまったく似ていません。)
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Tulista pumila

アロエの仲間とする考えは続いて、1768年にAloe arachnoidea (L.) Burm.f.、1785年にはAloe arachnoides Thunbとする意見もありました。
アラクノイデアは1786年にCatevala arachnoidea (L.) Medik.、1811年にApicra arachnoidea (L.) Willd.とされましたが、Catevala属とApicra属はともに今は存在しない幻の属です。
1809年にHaworthia arachnoidea (L.) Duvalとしてハウォルチア属の単独種になりました。これが現在の正式学名です。
Duvalはフランスの医師・植物学者のHenri Augusta Duvalのことです。Duvalは1809年にHaworthia属とGasteria属を提唱した人物です。


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アロエ・エリナケアは南アフリカ原産のアロエです。非常に生長が遅く、開花するサイズまで育てるのはなかなか大変です。


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2020年2月

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2022年2月。生長は遅い。
ストレスがあると赤くなります。低温や乾燥、強光線などですが、こういうストレスを与えないときれいな形に育ちません。
根がはみ出して来たので、今年植えかえる予定です。


アロエ・エリナケアの学名は1971年に命名され、Aloe erinacea D.S.Hardyとなっています。
また、1980年に唐錦Aloe melanacantha A.Bergerの変種としてAloe melanacantha var. erinacea (D.S.Hardy) G.D.Rowleyとする意見もあるようです。
国内外の趣味サイトでは、アロエ・エリナケアは唐錦の変種とされていることが多い様です。しかし、NCBI(アメリカ国立生物工学情報センター)やGbif(地球規模生物多様性情報機構)という公的機関のデータベースでは、Aloe erinaceaとされています。PubMedでエリナケアを検索すると、2021年末にアロエ属の遺伝子解析方法について検討している論文が出ていますが、そこでもAloe erinaceaと表記されています。 
生物は外見が似ているから近縁種であるとは限らないということは、近年の遺伝子解析により判明してきた事実です。しかし、唐錦とエリナケアは明らかに近縁だとは思いますが、現時点においては唐錦の変種ではなく、独立種としても良いのではないでしょうか。当然、研究が進み単独種と見なされなくなる可能性もありますが、あくまでも可能性の話です。


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ダシリリオン・ロンギシマムを入手しました。
一見して、ススキノキ科のブラックボーイ(Xanthorrhoea)と似ていますが、ダシリリオンはキジカクシ科となります。また、ブラックボーイはオーストリア原産ですが、ダシリリオンはメキシコ原産です。
ダシリリオンはキジカクシ科のスズラン亜科で、スズラン亜科にはトックリラン(Beaucarnea)、Nolina、ドラセナ(Doracaena)、サンスベリア(Sansevieria)、ヤブラン(Liliope)、ジャノヒゲ(Ophipogon)などが含まれます。また、ダシリリオン(Dasylirion)は11種類あるそうです。
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ダシリリオン・ロンギシマム

育て方は、海外のサイトによると、「水遣りを多くすると早く育つが、頭に水をかけるとすぐに腐る」とあります。どうやら雨には当てないほうが安全な様です。
霜にも強いらしく、マイナス10度くらいまでは耐えられるとのことです。とはいえ、入手時期的に今急に外に出したら、寒暖差でダメージがありそうです。やはり、秋から徐々に慣らすのが耐寒性を高めるコツでしょう。成株は寒さに強くても、苗は寒さに弱いパターンも多いので、ある程度のサイズになるまでは冬は室内で管理するつもりです。
恐ろしく生長が遅いブラックボーイよりも、ダシリリオンのほうが圧倒的に生長が早い様です。早く特徴である美しい幹をみたいものです。

学名は1856年にDasylirion longissimum Lem.と命名されています。Lem.は、フランスの植物雑誌編集者・植物画家・植物学者であるCharles Antoine Lemaireのことです。Lemaireはサボテンの研究で知られています。


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去る2020年2月、鶴仙園池袋店で多肉ユーフォルビアの瑠璃塔を購入しました。分岐して高さ6mを越える、南アフリカ・スワジランド原産のユーフォルビアです。特段珍しくないのですが、国内だと植物園などでしか目にしない様な気がします。まあ、大きく育ちますから、温室地植え向きということもあって、一般的に育てたい人があまりいないのでしょう。
英語名はCandelabra treeで、分岐する様子からついた名前でしょう。
瑠璃塔はユーフォルビアなので傷付くと有毒の乳液を出しますが、アフリカでは瑠璃塔の毒を利用して魚を取るそうです。魚がマヒするらしいのですが、それを食べても大丈夫なんですかね?
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2020年2月。鶴仙園さんで購入。
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2020年5月
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2020年11月

そう言えばネット情報では、4~6稜とありますが、私の瑠璃塔は8稜なんですよね。柱状多肉ユーフォルビアは似ている種類が多く、何かと混同されがちなのであてになりませんが。
柱状多肉ユーフォルビアでも墨キリンの様に真っ直ぐ育つものもありますが、瑠璃塔は季節変化により太さが変わります。そのため、細いところと太いところがあって、大きくなると段々が出来て不思議な見た目になります。
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2022年2月。段差が出来ます。

学名はEuphorbia cooperi N.E.Br. ex A.Bergerです。N.E.Br. ex A.Bergerの"ex"は、命名がN.E.Br.で発表したのがA.Bergerであることを示します。命名された年も、"1907 publ. 1906"となっているのもその事情を示しているのでしょう。
N.E.Br.はイギリスの多肉植物の分類学者であるNicholas Edward Brownのことで、A.Bergerはドイツの植物学者・園芸家であるAlwin Bergerのことです。


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五重の塔はハウォルチオプシスに属する多肉植物です。しかし、調べると同じハウォルチオプシスの竜城と混同されているみたいです。学名も混乱している様子ですから、まとめてみました。
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五重の塔 Haworthiopsis tortuosa

和名の混乱
「五重の塔」は葉が縦に積み重なって行きますが、良く似た「竜城」と混同されることもあるようです。「竜城」は葉の生える向きが揃っていて、上から見ると三角形です。対して、「五重の塔」は葉が旋回して、ロゼットがズレながら縦に積み重なる様に伸びます。

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竜城 Haworthiopsis viscosa
※葉の向きが揃っていることに注意。


学名
ネットで検索すると、五重の塔はHaworthia tortuosaとされている様です。そこで、Haworthia tortuosaの来歴を調べてみました。
まず、1804年にAloe tortuosa Haw.と命名されたのが最初みたいです。Haw.は、イギリスの昆虫学者・植物学者・甲殻類学者であるAdrian Hardy Haworthです。Haworthia属という学名自体が、Haworthに対する献名みたいですね。
1812年にはHaworthia tortuosa (Haw.) Haw.と、Haworthによりアロエからハウォルチアに移されました。また、1891年にはCatevala tortuosa (Haw.) Kuntzeも提唱されました。
さらに、遺伝子解析により、2016年にはHaworthiopsis tortuosa (Haw.) Gildenh. & Klopperとされました。アロエ属→ハウォルチア属→ハウォルチオプシス属という移動は、硬葉系ハウォルチアの経歴の良くあるパターンです。

さて、ここからが問題です。
実は1896年にHaworthia tortuosa (Haw.) Bakerという命名があります。しかも、これはAloe tortuosa Haw.から来ている学名です。実はこちらは竜城の学名なのです。海外でも混同があったのかもしれません。しかし、この学名は認められませんでした。

竜城の正式な学名の系統は、学名の考案者であるスウェーデンのカール・フォン・リンネが18世紀に命名した、
Aloe viscosa L.から始まりました。やはり、硬葉系ハウォルチアの辿る道は同じで、1812年にHaworthia viscosa (L.) Haw.、そして最終的には2016年にはHaworthiopsis viscosa (L.) Gildenh. & Klopperとなりました。
硬葉系ハウォルチアにありがちなのですが、1811年にApicra viscosa (L.) Willd.、1891年にCatevala viscosa (L.) Kuntzeという命名もありました。1783年にはAloe triangularis Lam.という異名もありました。さらに、2013年にはなんと竜城をツリスタ属であるとする、Tulista viscosa (L.) G.D.Rowleyという学名もありますが、現在は認められていません。


ややこしいので、まとめます。
「五重の塔」は、Haworthiopsis tortuosa、「竜城」はHaworthiopsis viscosaとなりました。 

大混乱
日本のネットでは、五重の塔と竜城は混同されがちで、しかも学名も混同されてしまっています。五重の塔の説明にH. viscosaとあったり、五重の塔の説明に竜城の画像が貼られていたりと、大混乱の様相を呈しています。
私の解説が混乱を静める一助となれば良いのですが…


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久々にシマムラ園芸へ行ってきました。
晴れて気持ちの良い天気でしたから、東武線の北越谷駅からゆっくり散歩がてらです。
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シマムラ園芸と言えば、エケベリアなどのベンケイソウ科多肉が豊富なことで有名です。また、シマムラ園芸名物となった檻に入れられたオペルクリカリア・パプキス(盗難事件があった)も元気な様子でした。
発根済みグラキリウスが沢山、割りと大きい(その分超高価)エンケファラルトス・ホリダスもありました。

多肉スペースはかなり広くて、目の保養になりました。本日の購入品は以下の通り。名前はラベルのまま。
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カプトメデューサ

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アラクノイデア

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五重塔

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ダシリリオン・ロンギシマム

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フォークィエリア
観峰玉でお馴染みのコーデックス 、フォークィエリアに関するお話です。
フォークィエリアは多肉・コーデックスのブームで、目にする機会も増えているのではないでしょうか。そんなフォークィエリアですが、最近は観峰玉以外の種類も見かけるようになりました。私もその流れで、2種類ほど苗を入手しました。そこで、早速調べてみると、なんと現時点でフォークィエリア属として学術的に認められている種類はたったの11種類なんだそうです。この程度なら、フォークィエリア属の来歴を調べるのも簡単そうです。
とりあえずは、命名された年を基準に年表にしてみました。旧学名や学術的に認められていないシノニム(異名)も入っています。

1819年 Cantua fasciculata(=F. fasciculata) ※旧学名
1823年 Bronnia spinosa(=F. fasciculata) ※異名
              Fouquieria formosa
1848年 Fouquieria splendens
1863年 Idria columnaria(=F. columnaris) ※旧学名
1885年 Fouquieria columnaris(観峰玉)
1886年 Fouquieria gigantea(=F. columnaris) ※異名
1899年 Bronnia diguetii(=F. diguetii) ※旧学名
1903年 Fouquieria peninsularis(=F. diguetii) ※異名
              Fouquieria fasciculata
              Fouquieria macdougalii
1909年 Fouquieria purpusii
1911年 Fouquieria jaboncillo
                                       (=F. macdougalii) ※異名
              Fouquieria burragei
1925年 Fouquieria diguetii
1939年 Fouquieria shrevei
1942年 Fouquieria ochoterenae
1961年 Fouquieria leonilae

分類
フォークィエリアは現在の分類体系では、ツツジ目フォークィエリア科フォークィエリア属とされています。フォークィエリア科はフォークィエリア属のみで構成される、1科1属の分類群です。フォークィエリア科はハナシノブ科に近いとされています。ハナシノブ科と言えば、その代表格はフロックスでしょう。芝桜もフロックスに含まれます。
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Fouquieria macdougalii

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Fouquieria diguetii

自生地
フォークィエリアは乾燥地に生えていますが、幹や根が太るいわゆるコーデックスの特徴を示す種類は、F. columnaris(観峰玉)やF. purpusii、F. fasciculata位です。それ以外の種類は幹は太らず、メキシコの砂漠を含む乾燥地の灌木として自生しています。
ですから、育て方、楽しみかたは色々ありそうです。一つは、あくまでもコーデックスとして育てるパターンです。伸びる枝を切り詰めながら幹を太らせます。言わば盆栽的な作り方です。パキポディウムの天馬空なんかと同じような仕立てかたとなります。
他には、自生地の様に灌木として背が高く育てて、豪華な花を楽しむというのもアリでしょう。まあ、この場合は場所をとりますから、誰でも出来るわけではありませんが。

育て方
実は、というほどのことではないのですが、私はフォークィエリアの育て方が良くわかりません。私はフォークィエリアを多肉ユーフォルビアと一緒に育てています。しかも、多肉ユーフォルビアに合わせた育て方です。要するに、真夏でも無遮光で、水も絞って硬く作っています。そのせいが、葉がすぐに枯れ落ちてしまいます。葉が枯れて新しい葉が出てを繰り返していますから、生長はすこぶる遅いのです。観峰玉など幹が太るもの以外は、生長はそれほど遅くはないはずなんですけどね。
今は寒いので室内に取り込んでいますけど、私は冬でもフォークィエリアは休眠させないので、水遣りに関してちょっとした実験をしています。それは、用土の表面が乾いた位のタイミングで水遣りするというだけです。週1回の水遣りを2回にしただけなんですけどね。多肉植物の冬の水遣りは難しくて、水遣りの後になかなか乾かないと根が傷んで腐ったりすることがあります。ですから、私は扇風機で2~3日で乾くようにしています。恐らくそれもフォークィエリアには良くないでしょう。考えてみると根本的な問題は用土が乾きすぎることにあるのですから、今年の植え替えでは乾きにくい用土をかんがえなくてはならないでしょう。


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閃紅閣は一般的にはフルティコーサの名前で知られる多肉ユーフォルビアです。紅海を挟んだサウジアラビアとイエメンの原種です。アラビア半島まで分布している多肉ユーフォルビアは割りと珍しいみたいです。

生長記録
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閃紅閣。2020年、購入時の写真。
あまり状態が良くないのか、少し痩せた感じがします。トゲは目立ちますが良くみるとまばらです。

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2022年1月。良く日に当てたのでどっしりとして貫禄が出てきました。全体的に大きくなったため、相対的にトゲは目立ちません。仔も増えて大きくなりました。

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花は黄色。

栽培方法
一般論として、万年青や椿の様に濃い緑色の植物は、日陰でも良く育ちます。多肉植物では濃い緑色のものは日焼けしやすい傾向があります。これは絶対ではありませんが、注意するに越したことはありません。また、白い粉を吹いていると、強光線から防御する働きもありますから、自生地は日照が強い地域なのだろうと推察します。そう考えると、閃紅閣は明るい緑色で、肌は白い粉に覆われていますから、強い日照が必要でしょう。ですから、真夏でも遮光せずに育ててきました。先細りせずに太くなったのは、健全な栽培の証拠です。
水は用土が乾ききるまでは、あげないほうが安全でしょう。これだけ高度に多肉化していますから、水の遣り過ぎで根腐れしてしまうことのほうが怖く感じます。
多肉ユーフォルビアは全般的に寒さに弱いので、冬は室内に取り込んだほうが良いでしょう。ただし、冬でも明るい窓際に置いて、よく日に当てたほうが良いようです。室内が暖かければ生長してしまいますから、日照不足で徒長してしまいます。生長が止まった場合でも、室内の日陰に置いていた場合、春になって外に出すと急激に日焼けしてしまうこともあるため、やはりなるべく日照は確保するべきと言えます。

2つのタイプがある?
閃紅閣の学名はフルティコーサの呼び方通り、Euphorbia fruticosaなのですが、調べてみるととても不思議なことがあります。フルティコーサで検索すると、上の写真の様な姿の個体が出てきます。しかし、Euphorbia fruticosaで検索すると、国内のサイトはフルティコーサで検索した場合と変わらないのですが、海外のサイトを見ると様相が一変します。まったく上の写真と異なるのです。海外ではEuphorbia fruticosaは強いトゲが一列に並んでびっしりと生えているのです。到底、同種には見えません。一体どういう事なのでしょうか?
検索を続けてわかったことは、私の所有株はEuphorbia fruticosa var. inermisと呼んでいるサイトもあるということです。inermisとはなんでしょうか?
inermisはラテン語で、「○○のない」という意味です。この場合は「武器のない」という意味から派生して、「トゲのない」という意味なのでしょう。そう言えば、九頭竜はEuphorbia inermisですが、まさにトゲはありません。ということは、私の写真の個体はEuphorbia fruticosaのトゲがない変種ということになります。ただし、写真を見ると普通にトゲがあるということが気がかりです。


共通点と差異
ここで一旦整理しましょう。
すべての共通点は、肌に白い粉を吹いてやや青白く見えることです。

フルティコーサと検索して出てくるのは、①トゲはないかまばら、②稜の頂点は丸い、③稜は厚い、④稜のイボ状の頂点にトゲが生える、の四点です。トゲ以外はほぼ同じに見えます。
海外のサイトのEuphorbia fruticosaは、①トゲは強く密、②稜の頂点は鋭角、③稜は薄い、④トゲは一列に隙間なく並ぶ、の四点です。
私の写真は、まさに①トゲはまばら、②稜の頂点は丸い、③稜は厚い、④稜のイボ状の頂点にトゲが生える、とフルティコーサで検索をかけた場合と同様です。
var. inermisのトゲについては、個体差の範囲内なのかもしれません。なぜなら、トゲ以外の特徴にまったく違いが無いからです。むしろ、トゲの強い原種との差のほうが、圧倒的に大きく見えます。学名の「トゲのない」は、原種と比較した場合にはトゲがあってもまばらなので、そこを表現したのではないでしょうか。
まとめると、日本のサイトのものは、Euphorbia fruticosa var. inermisで、海外のサイトに多いのはEuphorbia fruticosaの原種であるということです。

閃紅閣と閃光閣
閃紅閣のことを、「閃紅閣/閃光閣」と表記されることもあるようです。しかし、閃光閣はEuphorbia knobeliiに付けられた名前です。閃光閣はその名前の通り、稲妻の閃光の様な模様が入ります。
では、閃紅閣はどうでしょうか? フルティコーサにはパッと見では紅色の要素はありません。花も黄色です。新しいトゲは赤いのですが、それほど目立つわけではありません。紅海沿岸に原産地があることに因んだ可能性もありますが、これ以上は良くわかりません。
とりあえず言えることは、フルティコーサに「閃光」要素は、おおよそ見当たらないということだけです。

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閃光閣

学名について
閃紅閣の学名はEuphorbia fruticosa Forssk.で1775年に命名されました。Forsskはフィンランドの探検家・東洋学者・博物学者である、Peter Forsskålのことです。Forsskålはリンネの弟子で、調査地のイエメンでマラリアで亡くなったそうです。1763年、31歳のことでした。
Forsskålが亡くなってから12年後に、Forsskålの調査と研究成果をまとめたFlora Aegyptiaco-Arabica」が出版されました。Euphorbia fruticosaもこの本により、命名され新種として登録されました。
気を付けたいのは、1847年に命名されたEuphorbia fruticosa Edgew.という学名です。こちらは、Euphorbia cuneataというコーデックスの異名です。当然ながらこちらは学術的に認められている学名ではありません。ややこしいのですが、間違わない様にしましょう。

さて、日本で流通している閃紅閣は、Euphorbia fruticosa var. inermisであると想定しました。しかし、このvar. inermisは学術的に登録された名前ではないようです。詳細な情報がありません。単純に学術的な研究がなされていないだけかもしれませんが、あるいは園芸種である可能性もあります。栽培品の中からトゲが疎な突然変異が生まれることは、あり得ることです。多肉ユーフォルビアでは、ポリゴナ/ホリダ系のアノプリアが恐らくは矮性のトゲ無し変異種ですから、可能性はありそうです。



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九頭竜はタコものと呼ばれる多肉ユーフォルビアの一種です。まだ、属内分類はわかっていませんが、恐らくはリザンチウム亜属アンタカンタ節のメドゥセア亜節であろうと考えられます。
タコものユーフォルビアは割りと入手が難しいのですが、九頭竜は国内生産されているお陰で入手しやすくなっています。

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2020年1月、購入時。
小さい本体から太い長い枝が伸びています。
九頭竜はタコものと言われるユーフォルビアの中でも、かなり大型になるそうです。

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2020年11月。枝も増えてきました。

九頭竜は真夏でも遮光せずに育てていますが、それで日焼けをしたことはありません。ただし、冬に室内に取り込んで植物用ライトを当てると、何故か日焼けしてしまいます。植物用ライトの波長が合わないのか、生長が止まっているからなのかわかりませんが、枝が赤くなったあと、白く色が抜けてしまいます。ライトから少し離して置くことで対処していますが、なんとも不思議な話です。

九頭竜の学名は、Euphorbia inermis Mill.です。1768年にスコットランドの植物学者・園芸家のPhilip Millerにより命名されました。なんと、200年以上前のことです。
また、まったく使用されていないシノニム(異名)として、1902年に命名された、Euphorbia viperina A.Bergerがあります。

そう言えば九頭竜の変種として、var. huttonaeや var.  laniglansが知られています。
var. huttonaeは1915年にEuphorbia huttoniae N.E.Br.として命名されました。しかし、九頭竜と良く似ていますから、1941年に九頭竜の変種扱いとされ、Euphorbia inermis var. huttonae (N.E.Br) A.C.White, R.A.Dyer & B.Sloaneとされました。さらに、1950年には九頭竜とは別種であるとして、Euphorbia susperans Nel ex A.G.J.Herreと命名され直しました。九頭竜と別種であることは認められましたが、先に命名された名前が優先されるルールがありますから、結局はEuphorbia huttoniae N.E.Brが正式な学名と認められております。
次にvar. laniglansですが、当初はEuphorbia esculenta Marlothとして1908年に命名されました。しかし、1915年に九頭竜の変種として、Euphorbia inermis var. laniglans N.E.Brとされましたが、やはりこちらも九頭竜とは別種であると認められて、Euphorbia esculenta Marlothが正式な学名です。
どちらも、ぐるぐる回ってスタート地点に帰ってきてしまった感じがします。



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飛竜は南アフリカ原産の多肉ユーフォルビアです。
地上は平たい形の多肉質でトゲが並び、地下は大きい塊根があります。
塊根は自生地では本来地下に埋まっているものですが、栽培する時は鑑賞用に露出させます。

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2020年1月、購入時の写真です。初めて行ったオザキフラワーパークで入手しました。春に植え替えました。

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2022年2月の姿です。
塊根は小さい様に見えますが、見えているのは頭の部分だけで、ほぼ埋まっていて見えません。亀甲竜などのイモと同様、塊根は埋めておいたほうが早く大きくなります。とは言うものの、私は塊根を埋めて大きくしたかった訳ではありません。飛竜の塊根は日焼けしやすいと言われているため、日焼けが怖くて塊根を出せなかっただけです。特に埋まっていた塊根を初めて出した年は、恐らく日焼けしやすいでしょう。植え替えの度に少しずつ、様子を見ながら露出部分を増やして行こうかと考えています。


飛竜の学名は1799年に命名されたEuphorbia stellata Willd.です。Willd.は、ドイツの植物学者・薬剤師・植物分類学者のCarl Ludwig Willdenowのことです。Willdenowは植物地理学の創始者とされており、博物学者のフンボルトの師だそうです。
また、飛竜はシノニム(異名)が沢山あります。1827年に命名されたEuphorbia squarrosa Haw. 、1860年に命名されたEuphorbia micracantha Boiss. 、あまり使われた形跡がない1855年に命名されたEuphorbia mamillosa Lem.の3つが異名の代表格です。これ以外にも異名はいくつかあるみたいですが、ほぼ使われたこともなく、まったく学術的に認められたことがない学名です。命名は早いほうが正当なので、Euphorbia stellataが正式な学名です。



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アンボボンベンシスは、マダガスカル原産のユーフォルビアです。いわゆる花キリンの仲間(ゴニオステマ節)で、その中でもデカリィやキリンドゥリフォリア、トゥレアレンシスに近いことは花の形状が共通するのでわかります。
アンボボンベンシスは塊根を持ち、葉が縮れるのが特徴です。

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2020年3月、購入時の写真です。今は亡きファーマーズガーデン西新井で入手した一鉢。

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2022年2月の姿。生長は非常に緩やかです。
購入時と比較すると、枝が低く這うように伸びています。塊根も丸味を帯びてきました。
何より葉の厚みが増して、葉の縮れが強くなりました。この葉の厚みと縮れが、健全な生長の証です。
アンボボンベンシスは日照不足になると、特徴である葉の縮れが無くなり、葉は薄くなってペラペラになってしまいます。なるべく日に当てて、間延びしてひょろひょろにした株にならない様にしたいものです。

アンボボンベンシスは生長は遅いものの、非常に丈夫です。私は遮光せず、週1回の水遣りで育てています。
冬は寒さに弱いので室内栽培です。室温が10度程度を保てるのならば、葉は落ちません。その場合、冬でも生長してしまいますから、どうしても日照不足になってしまいます。私のアンボボンベンシスは、冬は植物用ライトを当てていますから問題ありませんが、用土が乾きづらいのでミニ扇風機で風を当てて2~3日で乾くようにしています。

さて、アンボボンベンシスという長く読みづらい名前ですが、これは原産地の地名であるAmbovombeから来ています。アンボボンベンシスの自生状況は、Alluaudia-Didierea林に生えるみたいです。AlluaudiaやDidiereaはトゲトゲの灌木で、キツネザルが飛び回っている場所ですね。
学名はEuphorbia ambovombensis Rauh & Razaf.です。1987年の命名なので、割りと発見されたのは新しい方ですね。Rauhは、ドイツの生物学者・植物学者・作家のWerner Rauh のことです。そう言えば、トゥレアレンシスもキリンドゥリフォリアもRauhによるものでした。
Razaf.は、Alfred Razafindratsiraのことで、マダガスカルで園芸農園を営む園芸家とのことです。なんでも、2014年に新発見されたパキポディウム・エニグマティクムが、初めて見つかったのがRazafindratsiraの農園の所有株だったそうです。


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