ユーフォルビア・オベサ・ドットコム

2022年01月

トゥレアレンシスは、分類学的に花キリンに近いユーフォルビアです。葉は縮れた風となり密につきます。枝はあまり伸びずにコンパクトで形良くまとまりまるマダガスカル原産の人気種です。

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2020年6月、購入しました。
葉も少なく、非常に弱々しい感じです。
2021年の春に植え替えました。

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2022年1月。
日照強めで育てたため、特徴である葉の縮れ具合がいい感じです。植え替えの効果か、葉も増えました。

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反対側。幹も太ってきて、やや貫禄が出てきました。間延びしないように、日照強めで水を辛めにして育てていきたいと思っています。
花は一年中咲いていますが、小さく地味な色合いなせいもあり、目立ちません。

おそらく、トゥレアレンシスはデカリィに含まれていたのだと思います。つまり、学名はEuphorbia decaryi Guillauminです。デカリィは1934年に命名されています。
1978年にカプ-サインテマリエンシスの枝の短い変種と見なされました。学名は、Euphorbia cap-saintemariensis var. tulearensis Rauhです。Rauhは、ドイツの生物学者・植物学者・作家のWerner Rauh のことで、かなりの大物学者みたいです。世界中で調査していたようですが、専門はアナナスと多肉植物で、マダガスカルの植物に関する研究書を書いています。調査地は1950年:モロッコ、1954年:ペルー、エクアドル、1956年:ペルー、1959/1960:マダガスカル、タスマニア、ケニア、1961年:アフリカ、マダガスカル、1963年:マダガスカル、コモロ、1964年:南アフリカ、1966年:メキシコ、1967年:ペルー、1968年:南アフリカ、1969年:マダガスカル、コモロ、1970年:メキシコ、ペルー、1971年:アメリカ、1973年:エクアドル、ガラパゴス諸島ペルー、ブラジル、1974年:メキシコ、1975年:ブラジル、コロンビア、エクアドル、ペルー、パナマ、1976年:ペルー、ボリビア、チリ、1977年:米国グアテマラ、コスタリカ、パナマ、1978年:インドネシア、パプアニューギニア、フィリピン、1979年:南アフリカ、ナミビア、1980年:メキシコ、ペルー、エクアドル、1981年:ブラジル、1982年:米国、パナマ、ドミニカ共和国、1983年:エクアドル、ペルー、アルゼンチン、1984年:ベネズエラ、ドミニカ共和国、パナマ、1985年:アメリカ、メキシコ、ペルー、1986年:ブラジル、1994年:マダガスカルと膨大です。旅に生きた学者と言えます。
1988年にトゥレアレンシスは、Euphorbia tulearensis (Rauh) Rauhと、Rauh自身の手で単独種として独立しました。


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ソフォラ・プロストラタはニュージーランド原産の低木です。
枝がジグザグに伸びるので、ジグザグの木(マダガスカルのディデイエレア科植物)に似ていますが、ソフォラはマメ科植物です。

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Sophora prostrata Buchanan, 1883 publ. 1884
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数年育てていますが、幹はなかなか太くなりません。まあ、元々つまようじくらいの細さだったので、だいぶ太くなったとも言えます。
これは、‘Little Baby’の名前で売られていたものです。わざわざ品種を作る必要もなさそうですが、ただの商品名かもしれません。

海外の趣味家はかなり肥培しているみたいなので、堆肥をてんこ盛りにして水多目で育てたほうがいいかもしれません。
戸外で越冬できるか試してみましたが、枝先がだいぶ枯れてしまいました。完全戸外栽培はなかなか厳しい模様です。大きくなれば耐寒性もあがるかもしれませんが。

ソフォラ属=クララ属です。クララとはクサエンジュのことで、結構毒性が高いようです。ソフォラ・プロストラタはどうなんでしょうかね?


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アロエ・ディコトマ
かつて、最大のアロエと言えばアロエ・ディコトマでした。アロエ・ディコトマは樹齢80年以上生きて、高さ7mを越えて育ちます。まさに、世界最大のアロエです。
ただし、現在はアロエ属は分割されて、アロエ・ディコトマはアロイデンドロン属の所属となりました。それでも、旧・アロエ属と旧・ハウォルチア属、アストロロバ属、ガステリア属をまとめたアロエ類のなかでは、やはり最大種であることには変わりありません。

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2020年11月。小苗を購入しました。名札はアロエ・ディコトマでした。まだ、ディコトマらしさはありませんね。
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2022年1月末。特徴である幹が少しだけ見えてきました。力強い根張りにも目が行きます。

和名は?
そう言えば、アロエは○○錦という名前が多くあります。サボテンでは最後に「錦」がつくと斑入り品種のことなんですけど、アロエでは斑入りとは関係なく「錦」が使われています。アロエ・ディコトマも、皇滋錦なる名前もありますが、まったく使われていませんね。同様に矢筒の木タカロカイも流通していない名前です。
英語ではQuiver treeで「震えの木」の意味で、サン族が矢筒を作るからだという説明がされていますが、何でそれが「震えの木」に繋がるのかは良くわかりません。

学名の変遷
アロエ・ディコトマは、1776年にAloe dichotoma Massonとして命名されました。ちなみに、1804年に命名されたAloe ramosa Haw.は、ディコトマと同種であるとして、この学名は使用されておりません。
また、1811年にRhipidodendrum dichotomum  (Masson) Willd.とする考え方もありました。学名はラテン語なので、rhipidoは扇、dendrumは樹木のことです。つまり、「扇状の樹木」の意味です。割りと特徴をとらえていますが、ディコトマをアロエ属から独立させる意見は主流派にはならなかった様です。使われていない学名です。
最終的には、2013年に遺伝子解析により、アロエ・ディコトマはアロエ属から独立し、Aloidendron dichotomum (Masson) Klopper & Gideon F.Sm.となりました。

生態
ディコトマの自生地はナミビアから南アフリカにかけてです。
花穂は巨大で、鳥やヒヒが蜜を求めて訪れるそうです。自生地ではハタオリドリがディコトマに巣を作って、異様な見た目になります。
若いツボミは食べられるそうで、アスパラガスの様な味らしいのですが、果たして本当なのか気になります。確かめようがないので、どうしようもないのですが。私のディコトマに花芽が着くのは、果たして何十年後の話なのか…。まあ、無理でしょうけど。


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パキポディオイデスは、一見してパキポディウムに見えますが、実はユーフォルビアの仲間です。名前は「パキポディウムに似た」という意味です。
分類的には、花キリンが所属するトウダイグサ亜属のゴニオステマ節です。花の雰囲気からは、噴火竜などに近いのかもしれません。マダガスカル原産。

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2020年2月、購入時。葉はまだない。

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2020年4月、美しい葉が出てきました。

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パキポディウムの苗たちに混ぜると一見似ています。

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2022年1月末。良いトゲが出ています。

そう言えば、私のパキポディオイデスはいつも葉の枚数が少ないんですよね。新しい葉が一枚出ると、古い葉が一枚落ちる感じです。おそらくは、水を切りすぎているのでしょうけれど、蒸れて腐る心配があるため、なかなか水多目って出来ないんですよね。困った…

学名は、Euphorbia pachypodioidesで、1942年の命名です。1946年にEuphorbia antankaraという名前もつけられましたが、これはE. pachypodioidesと同じものだったため、異名とされました。正式な学名はEuphorbia pachypodioides Boiteauです。
Boiteauは、フランスの植物学者のPierre Louis Boiteauのことです。ボワトーは軍役でマダガスカルに渡ったあと、マダガスカルのハンセン病療養所で働き、マダガスカルの伝統医学の薬草研究を行ったそうです。


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バッテリーはギムノカリキウム属のサボテンです。春秋の壺という、あまり使われない園芸名もあります。
バッテリーと言えば下向き一本トゲが有名ですが、三本トゲもあります。というよりも、最近は三本トゲの強刺タイプが人気な様です。


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上の写真は、三本トゲの強刺タイプです。
同じサイズでそっくりなものが沢山あったので、同じ親の実生なのでしょう。これは、平たく育ち、稜が目立ちます。実は一本トゲの個体もあったですが、購入しませんでした。なぜなら、バッテリーは生長するとトゲの本数が変化するかもしれないからです。
一本トゲが三本トゲになるだけではなく、三本トゲが一本トゲになるかもしれません。育ててみないと確実なことは言えません。

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次は、一本トゲのタイプです。
あまり平たくなく、稜が目立たちません。トゲは立ち気味でしたが、育てるうちに寝てきました。
このように、バッテリーにはタイプの違いが結構あります。同じ実生から、三本トゲと一本トゲが出てきます。さらに、稜の形も様々です。コレクションするのに、これは楽しみがいがあります。

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さて、バッテリーの育てかたですが、トゲの強さの割に強光を嫌うそうです。まあ、ギムノカリキウム属自体その様な傾向がありますし、平べったく育つギムノカリキウムは灌木の根本に半分埋まって育ちますから、強光を避けるのは当然かもしれません。さらに、バッテリーは夏に弱いとされている様です。
私は真夏でも、特に遮光はしないで育てていますが、今のところ特に日焼けなどの問題は起きていません。もしかしたら、温室やビニールハウスで、夏に蒸れてしまうことが良くないのかもしれません。風通しがあればいける旧・硬質系ハウォルチアのツリスタ属なんかと同じ可能性もあります。

バッテリーの学名は良くわかりません。Gymnocalycium vatteriと命名されたのが、1950年のことです。さらに、1993年にはGymnocalycium ochoterenae subsp. vatteriとなり、これが学術的には一番浸透して使われている学名です。しかし、最近では武勲丸Gymnocalycium ochoterenaeの1タイプに過ぎないという考え方もあるようです。まあ、結局のところ、はっきりしないというのが現状です。更なる研究成果を期待するしかありません。まあ、園芸的にはバッテリーで通じるのでそれほど困りませんけど。


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新天地は日本でも昔から栽培されているギムノカリキウム属のサボテンです。ギムノカリキウム属としてはよくあるアルゼンチン原産となります。

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新天地 Gymnocalycium saglionis

新天地はギムノカリキウム属の中でも大型の種類です。私が育てている新天地は直径20cm程度ですが、30cm以上になるそうなのでまだまだ大きくなりそうです。1cmくらいのミニサボテンを購入して、約30年でここまで育ちました。無遮光で霜にも当てっぱなし、丈夫なのをいいことに植え替えもろくすっぽしない有り様なので、生長も遅そうです。

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良く見ると、新しいトゲが出ています。写真は2022年の1月末のものなので、真冬に戸外で生長中ということになります。これは、ゲゲゲの仙太郎さんのHPで解説されています。何でも、春と夏はトゲは動かないで球体が太っていって、秋からトゲが出てくるとのことです。なんとも不思議な感じがします。
そう言えば、新天地は割りと色々なタイプがある、というより個体差が結構あるみたいですね。

新天地は最初、フランスの園芸家のジャック・フィリップ・マルタン・セルスにより、Echinocactus saglionis Celsと命名されました。セルスは徴税人でしたが、フランス革命により職を追われ、何故か園芸家として大成功を納めた人物のようです。人生何があるかわかりませんね。
その後、アメリカの植物学者・分類学者のナサニエル・ロード・ブリトンと、同じくアメリカの植物学者であるジョセフ・ネルソン・ローズが、1922年に新天地をギムノカリキウム属に移しました。つまり、Gymnocalycium saglionis (Cels) Britton & Roseです。ローズはサボテンの専門家で、ブリトンと組んでサボテンに関する論文や図鑑を書いています。

そう言えば、海外のサイトをダラダラ見ていたら、G. saglionisの実をジャムにして食べるなんて書いてありましたが、国内でやってみた人っているんでしょうかね? なかなか面白そうです。


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英語でSea onion、日本では子持ちオーニソガラムの名前で知られているバルブを紹介します。

子持ちオーニソガラムはバルブ類、つまりは球根植物です。ただし、チューリップなどの球根と異なり球根は土に埋まらず、親球根から仔球根が出来てそれがポロポロ落ちて増えます。薄皮の内側に仔が出来て、薄皮が剥がれると仔球根が出てくる様子から、Pregnant Onion、つまり妊娠中のタマネギと言われることもあるようです。
何故かネットではヨーロッパ原産と書かれることもありますが、南アフリカ原産です。一応、ケープバルブと呼べないこともない気がします。

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上の写真の様に、仔球根が親球根からポロポロ落ちます。

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落ちた仔球根は転がった先で、根と芽を出して育ちます。乾燥に強いので、生着率は高いようです。

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転がった先で育ち、また仔球根を出して増えます。

さて、育て方ですが、これは物凄く簡単です。
地植えして放置でOK。霜に強く、雪が積もっても平気です。
以前は鉢栽培していたのですが、生長が早くよく増えるので、根詰まりを起こしやすいためやや面倒でした。
ただ、路地栽培は簡単で良いのですが、どんどん増えて手に終えなくなる感じはあります。

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増えすぎて困ります。

最後に学名についてです。
Ornithogalum caudatumとされがちですが、正式な学名は異なります。その経緯を解説します。
まず、1777年にオランダのニコラウス・フォン・ジャカンが、Ornithogalum longibracteatumと命名したのが最初のようです。ジャカンは神聖ローマ皇帝のフランツ1世により西インド諸島の調査を行った人物で、モーツァルトの友人とのことです。ちなみに、グランカクタスの佐藤勉さんが書いた『世界の多肉 3070種』ではこの学名を採用しているみたいで、和名は海ネギとなっています。ただし学名はOrnithogalum lonqibracfcatumと盛大な誤植があります。
1789年にジャカンにより、学名はOrnithogalum caudatumに変更されました。同年、スコットランドの植物学者であるウィリアム・エイトンにより、やはりO. caudatumとされました。
その後、1794年にスウェーデンの植物学者・博物学者・医学者であるカール・ペーテル・ツンベルクにより、Ornithogalum bracteatumとされました。ツンベルクは二名式学名の提唱者であり現代分類学の祖であるカール・フォン・リンネの弟子であり、鎖国下の日本にも来て出島に滞在しました。ツンベルクに献名されて命名された日本の植物の学名も沢山あり、種小名がthunbergiiとあるユキヤナギ、ハルリンドウ、タブノキ、クロマツ、ユウスゲなどがあります。
2009年に遺伝子解析の結果を踏まえ、Ornithogalum属からAlbuca属に移動となりました。つまり、Albuca bracteataです。この学名は、ツンベルクの学名を正当として命名されました。ですから表記上、Albuca bracteata (Thunb.) J.C.Manning & Goldblattが正式名称です。J.C.Manning & Goldblattは、南アフリカの植物学者であるジョン・チャールズ・マニングとピーター・ゴールドブラットのことです。


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本日は特徴的な模様が入る多肉ユーフォルビアの、閃光閣を紹介します。

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閃光閣 Euphorbia knobelii

上の写真は2020年1月に購入した時のものです。ご覧の通り、沢山あるミニ多肉のひとつとして園芸店で売っていました。ですから、それほど珍しいものではありません。ただし、こういう多肉は売れ筋というわけではないため、生産者さんもいつも育てているわけじゃありません。そのため、常にお店で売っているものではないので、一期一会だったりします。

購入時の名札には、クノベリーとだけありました。そこで、グランカクタスの佐藤勉さんが書いた『世界の多肉植物 3070種』を紐解いてみると、E. knobliiとあります。ただし、海外のサイトやGbifでは、E. knobeliiとあり、こちらが正当な学名となります。本の名前は単純な誤記でしょう。

さて、閃光閣は南アフリカで発見されましたが、学名はEuphorbia knobelii Lettyとあります。よって、命名者はCythna Lettyです。Lettyは南アフリカの植物画家の女性です。看護士として従事したあと、アロエ属の研究で有名なかのポール=エバンスの元で働いていたようです。E.knobeliiが正式に登録されたのは、1934年のことです。
そう言えば、原産地では家畜の踏みつけにより、環境が荒らされているみたいですね。栽培が簡単なので絶滅はしないでしょうけど、多肉の生育する自然環境が保全されない現状を悲しく思います。

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2022年1月

だいぶ成長しましたが、さすがに窮屈になってきたので、一つずつ分けて植えたほうが良さそうです。
多くの多肉ユーフォルビアと同じく、寒さにはあまり強くありません。霜には耐えられないので、注意します。関東地方では氷点下になるので、屋外栽培は難しいでしょう。
一年を通じて特に遮光はしていませんが、少し遮光したほうがいいといっている人もいるみたいです。まあ、冬に室内に取り込みますがどうしても太陽光が弱いので、春に室外に出した時に日焼けしやすくはなりますね。私は植物用ライトで冬も生長させているので、それは心配する必要はないみたいです。
それはそうと、ネットではえらい高額で取引されているみたいです。私は298円で買ったわけですが…


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植物とは何でしょうか?
光合成をする?葉緑体がある?動かない?きれいな花を咲かせる?
まあ、植物に対する印象は人様々でしょう。
しかし、光合成、葉緑体、動かない、花というこれらの特徴は、残念ながら植物全体に共通するものではありません。実は植物の学術的な定義ははっきりと決まっています。それは、『葉緑体の一次共生』、これだけです。

葉緑体があれば植物?
葉緑体を持ち光合成をする生物を見回しますと、陸上植物だけではなく、単細胞のものも沢山あります。例えば、葉緑体を持つ繊毛虫、葉緑体を持つ鞭毛虫、葉緑体を持つアメーバなどです。一見してまったく似ていないのに、何故か皆葉緑体を持ち光合成をするのです。とても不思議です。
そして、これらは全て植物とされてきました。しかし、結局はこれらはそれぞれ別の分類群として分けられることになりました。共通点である葉緑体は関係ないことになりました。なぜでしょうか?

ここで、ひとつ例え話をしましょう。
例えば、あなたの体に葉緑体を移植したとします。そうなった場合、あなたは「植物」でしょうか?
いいえ、違います。あなたは 「人間」です。正確に言えば、葉緑体を移植された「人間」でしょう。大事なのは器である人体の方であって、後で追加されただけの葉緑体ではないからです。

こんな簡単な事がなかなかわかりませんでした。そのため、光合成をする生物はまったく似ていなくても、植物とされてきました。しかし、それは仕方がない部分もあったのです。なぜなら、葉緑体という複雑な細胞内小器官が、それぞれ別に進化したとは考えられないからです。しかも、葉緑体自体はどれも似通っているので、一度の進化により獲得されたはずです。では、これらの生物はどのように葉緑体を獲得したのでしょうか?


マーギュリスの細胞内共生説

アメリカの生物学者であるリン・マーギュリスが、葉緑体、ミトコンドリア、鞭毛に関して、細胞に細菌が共生しやがて細胞内小器官となったとする「細胞内共生説」を唱えました。葉緑体やミトコンドリアがかつての共生体ではないかという説は過去にもありましたが、進化の道筋を示して定式化し、広く普及させたのはマーギュリスです。そう言えば、細胞内共生説から発想された「パラサイト・イヴ」という小説もありましたね。

さて、葉緑体やミトコンドリアは、細胞核とは別に独自の遺伝子を持っており、細胞とは独立して増えます。あと、あまり重視されない傾向がありますが、葉緑体とミトコンドリアは脂質二重膜で出来ています。細胞内小器官は細胞核以外は脂質一重膜ですから、葉緑体とミトコンドリアの特異性がわかります。細胞自体が脂質二重膜に包まれていますが、それは細菌の細胞も同じで、かつて細菌だった葉緑体とミトコンドリアも脂質二重膜に包まれているのは当然のことです。

植物は3種類

葉緑体を持ち光合成をする生物のうち、植物として認められたのは、灰色植物、紅色植物、緑色植物だけです。植物は単細胞の原生動物に藍藻が共生して、やがて細菌内小器官になりました。藍藻とは光合成する細菌(バクテリア)です。この藍藻を直接取り込んで葉緑体とした、つまり一次共生したグループを植物と呼ぶのです。

1, 灰色植物は単細胞の鞭毛を持つ、小さな分類群です。葉緑体は原始的で、藍藻によく似ています。

2, 紅色植物はいわゆる紅藻のことで、アサクサノリなど食用になるものもあります。他には寒天をとるテングサやオゴノリ、サラダに入っている赤いギザギザした形のムカデノリ、味噌汁にいれるフノリなどが有名です。

3, 緑色植物は陸上植物である種子植物、シダ植物、コケ植物が含まれます。ただし、単細胞で鞭毛で泳ぐプラシノ藻、ボルボックスやイカダモなどを含む緑藻、大型になるアオサや車軸藻なども含まれます。


謎の脂質四重膜
単細胞の葉緑体を持つ生物を詳細に調べた結果、面白いことがわかりました。葉緑体がなんと脂質四重膜に包まれていたのです。これは、一体どういう事なのでしょうか?
さらに調べてみると、四重膜の間にヌクレオモルフと命名された核の残骸がクリプト藻やクロララクニオン藻の仲間で見つかりました。これは葉緑体の遺伝子ではありません。植物の細胞核のなごりです。つまり、四重膜の内側二枚は葉緑体由来で、外側二枚は植物の細胞膜由来ということです。
これは、植物(原生動物+藍藻)を細胞内に取り込んで、藍藻ではなく植物を葉緑体としたグループです。つまりは二次共生です。
藍藻を葉緑体としたのではなく、原生動物が植物(原生動物+藍藻)を取り込んで光合成をしているため、これらは植物と見なされません。また、これらの生物は、遺伝子解析の結果から互いに近縁ではなく、様々な分類群に別れることが判明しました。

原生生物+紅藻
植物を取り込んだ二次共生生物のうち、紅色植物をセレクトしたグループです。つまりは、原生動物+紅色植物です。

1, クリプト藻は単細胞で鞭毛を持ち遊泳します。葉緑体は四重膜でヌクレオモルフがあります。

2, ハプト藻は単細胞で鞭毛を持ちますが、ハプトネマという不思議な器官を持っています。ハプトネマを移動や食作用に使用します。また、円石という奇妙な形のカルシウムの殻を持つものがあります。葉緑体は脂質四重膜を持ちます。

3, 渦鞭毛藻は不思議な鞭毛を持ち、赤潮の原因となります。葉緑体は脂質三重膜を持ちますが、これは四重膜が減少して出来たのかもしれません。光合成をしないで捕食性あるいは寄生性のものが、半数の種類を占めます。

4, 不等毛藻は3回分岐する特殊な鞭毛を持つグループです。葉緑体は脂質四重膜を持ちます。代表的なものは、珪藻土の原料となる珪藻や、昆布などの褐色の大型海藻を含む褐藻があります。

ハプト藻とクリプト藻は、星の砂で知られる太陽虫とともに、ハクロビアに分類されます。
渦鞭毛藻は繊毛虫やマラリア原虫とともに、アルベオラータに分類されます。
不等毛藻はストラメノパイルに分類され、菌や原生動物のようなグループも含みます。

原生生物+緑藻
こちらは、原生生物が緑藻を二次的に取り込んで葉緑体としたグループです。

1, ユーグレナ藻は、いわゆるミドリムシの仲間です。鞭毛があり泳ぎます。葉緑体は脂質三重膜で、ヌクレオモルフがあります。最近、健康食品でユーグレナというものがありますが、これもミドリムシが原料です。

2, クロララクニオン藻は、アメーバ状の光合成生物です。葉緑体は脂質四重膜で、ヌクレオモルフがあります。また、葉緑体から巨大なピレノイドが突出しており、見分けることは簡単です。

ユーグレナ藻は睡眠病をひきおこすトリパノゾーマてともに、エクスカバータに分類されます。
クロララクニオン藻は、リザリアに分類されます。

分類学の大転回
生物界の分類の最初は、動くもの=動物、動かないもの=植物でした。やがて、顕微鏡の発明により微生物が発見されて、プランクトンや細菌の分類学上の位置についても考察されました。ホイタッカーの五界説では、細菌が原核単細胞段階で最も原始的、派生した原生生物が真核単細胞段階、そこから真核多細胞段階の植物・菌・動物が現れたとしています。次にマーギュリスの細胞内共生説を受けて、イギリスのキャバリエ=スミスにより、分類群の細分化が進められました。
さらに、アメリカのカール・ウーズにより、生物は真正細菌・古細菌・真核生物の3つに分けられるという3ドメイン説が出ました。
真核生物の分類も刷新されて、単細胞と多細胞、葉緑体の有無は無視した体系が作られました。例えば、動物は菌類とまとめられてオピスコンタとされるなど、8つの分類群に大別されています。よって、灰色植物・紅色植物・緑色植物をまとめてアーケプラスチダ(植物)とされ、他の光合成生物はエクスカバータ、ハクロビア、アルベオラータ、ストラメノパイル、リザリアに振り分けられました。ここいら辺の話も面白いので、そのうちまとめてみたいと思っています。


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ユーフォルビア属の分類の最後です。
エスラ亜属、ニシキソウ亜属、リザンチウム亜属に続く4つ目の亜属である、トウダイグサ亜属です。多肉ユーフォルビア、コーデックスを沢山含みます。

トウダイグサ(ユーフォルビア、エウフォルビア)亜属  Subgenus. Euphorbia
約500種類。22節に分類。
柱サボテン状の多肉ユーフォルビアは、全てユーフォルビア節です。花キリンの仲間はゴニオステマ節になります。また、かつてのモナデニウム属はユーフォルビア属になりましたが、ユーフォルビア亜属モナデニウム節です。それ以外の節では、細長い棒状のやや多肉状のものがあります。

1, ブラジリエンセ節 Sect. Brasilienses
夜光キリン (E. phosphorea)、アタストマ (E. attastoma)、シポリシィ (E. sipolisii)があります。

2, デニソフォルビア節 Denisophorbia
ボンゴラベンシス (E. bongolavensis)は最近見ますが、デニソフォルビア節は節から枝分かれるのが特徴です。多肉ではありません。
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ボンゴラベンシス Euphorbia bongolavensis

3, クバンツス節 Sect. Cubanthus
3-1, クバンツス亜節 Subsect. Cubanthus
ジャマイカ・ポインセチア (E. punicea)は低木で、ポインセチアの様に苞が赤く色づきます。

4, ユーフォルビア(エウフォルビア)節 Sect. Euphorbia
ユーフォルビア属最大の多肉ユーフォルビアが含まれるグループです。
アエルギノーサ (E. aerginosa)、矢毒キリン (E. virosa)、大正キリン (E. officinarum=E. echinus)、飛竜 (E. stellata)、ポイゾニィ (E. poissonii)、鯨髭キリン (E. polyacantha)、カナリエンシス (E. canariensis)、狗奴子キリン (E. knunthii)、ツルビニフォルミス (E. turbiniformis)、ラクテア (Euphorbia lactea)など、多肉ユーフォルビアの多くがユーフォルビア節に所属します。
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アエルギノーサ Euphorbia aerginosa

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矢毒キリン Euphorbia virosa

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大正キリン Euphorbia officinarum(E. echinusはシノニム)

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飛竜 Euphorbia stellata

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ポイゾニィ Euphorbia poissonii

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鯨髭キリン Euphorbia polyacantha

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カナリエンシス Euphorbia canariensis

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狗奴子キリン Euphorbia knunthii

5, ゴニオステマ節 Sect. Goniostema
いわゆる花キリンの仲間で、木質の幹があり、花期には苞が色づくものがあります。塊茎や塊根を持つものもあります。
代表的な種類は花キリン(E. millii)です。近い仲間に塊根性花キリンのロッシィ(E. rossii)があります。苞が下向きにつくチビ花キリン (E. decaryi)、筒葉チビ花キリン (E. cylindrifolia)、トゥレアレンシス (E. tulearensis)。太い茎から大きな葉が出る噴炎竜 (E. neohumbertii)、噴火竜 (E. viguieri)、パキポディオイデス (E.  pachypodioides)。他にはギウラミニアナ (E. guillauminiana)、プリムリフォリア (E. primulifolia)などがあります。
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花キリン Euphorbia millii f.

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ロッシィ Euphorbia rossii

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筒葉チビ花キリン Euphorbia cylindrifolia

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トゥレアレンシス Euphorbia tulearensis

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左 : 噴火竜 Euphorbia viguieri
右 : 噴炎竜 Euphorbia neohumbertii

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パキポディオイデス Euphorbia pachypodioides

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プリムリフォリア変種ベガルディイ
          Euphorbia primulifolia var. begardii

6, ルベラ節 Sect. Rubellae
ブルネリィ (E. brunellii)、ルベラ (E. rubella)はコーデックス。

7, ヌムラリオプシス節 Sect. Nummulariopsis
ティノフィラ (E. thinophila)は塊根性。

8, クレピダリア節 Sect. Crepidaria
ブラクテアタ (E. bracteata)、コアルコマネンシス (E. colcomanensis)があります。

9, エウフォルビアストゥルム節 Sect. Euphorbiastrum
破魔の矢 (E. pteroneura)があります。

10, モナデニウム節 Sect. Monadenium
旧モナデニウム属。
多肉のものと、塊根ものがあります。

11, ティルカリ節 Sect. Tirucalli
トナカイ角 (E. stenoclada)、緑珊瑚=ミルクブッシュ (E. tirucalli)、硬葉キリン=ヘラサンゴ (E. xylophylloides)、アナララベンシス (E. analalavensis)、アラハカ (E. arahaka)、アルブスクラ (E. arbuscula)、エンテロフォラ (E. enterophora)、フィヘレネンシス (E. fiherenensis)、グレガリア (E. gregaria)、カンポニィ (E. kamponii)があります

12, ペルヴィレアナ節 Sect. Pervilleanae
インシティ (E. insity)があります。

13, パキフィカ節 Sect. Pacificae
サルコステモイデス (E. sarcostemmoides)があります。

14, デウテロカリィ節 Deuterocalli
アローディイ=アルアウディイ (E. alluaudii)、ケドロルム (E. cedrorum)があります。

ユーフォルビア属の属内分類は以上ですが、まだ所属がわかっていない種類もあります。例えば、ギムノカリキオイデスE. gymnocalycioidesはまだわかっていません。ギムノカリキオイデスは、オベサやバリタの仲間なのか、ツルビニフォルミスの仲間なのか、気になる所です。


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ユーフォルビア属の分類の続きです。
エスラ亜属、ニシキソウ亜属に続く3つ目の亜属である、リザンチウム亜属です。多肉ユーフォルビア、コーデックスを沢山含みます。

リザンチウム亜属 Subgenus. Rhizanthium
約200種類。7節に分類されています。
多肉ユーフォルビアを含みます。多肉なのは主にアンタカンタ節で、ホリダや鉄甲丸、タコものユーフォルビア、鬼笑いのようなコーデックスも含みます。
また、バルサミス節、リキオプシス節はコーデックスを含みます。

1, アンタカンタ節 Sect. Anthacanthae
アンタカンタ節は5亜節に分類されます。多肉ユーフォルビアは全ての節に見られますが、フロリスピナ亜節、メドゥセア亜節が有名種を含みます。

1-1, ダクティランテス亜節 Subsect. Dactylanthes
玉鱗宝 (E. globosa)、トリカデニア (E. tricadenia)があります。

1-2, フロリスピナ亜節 Subsect. Florispinae
4列に分類されます。

1-2-1, ヒストリクス列 Series.Hystrix
鉄甲丸 (E. bupleurifolia)、ロリカタ (E. loricata)、ムルチフォリア (E. multifolia)があります。
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鉄甲丸 Euphorbia bupleurifolia

1-2-2, リザンチウム列 Series. Rhizanthium
シレニフォリア (E. silenifolia)、鬼笑い (E. ecklonii)、鬼縮 (E. tuberosa)があります。
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シレニフォリア Euphorbia silenifolia

1-2-3, メレウフォルビア列 Series. Meleuphorbia
勇猛閣 (E. ferox)、紅彩閣 (E. heptagona=E. enopla)、ポリゴナ (E. polygona)、オベサ (E. obesa)、瑠璃晃 (E. susannae)、笹蟹丸 (E. pulvinata)、鱗宝 (E. mammillaris)、バリダ (E. meloformis subsp. valida)などがあります。
良く見るミルクトロン (白樺キリン)は、鱗宝の突然変異種です。
また、まだ詳細は調べられていませんが、ホリダはポリゴナの変種なので、やはりメレウフォルビア列でしょう。
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勇猛閣 Euphorbia ferox

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紅彩閣 Euphorbia heptagona(E. enoplaはシノニム)

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オベサ Euphorbia obesa

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瑠璃晃 Euphorbia susannae

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ホリダ Euphorbia polygona  var. horrida

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白樺キリン Euphorbia mammillaris f.

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笹蟹丸 Euphorbia pulvinata

1-2-4, トゥレイシア列 Series. Treisia
式部 (E. clava)、逆鱗竜 (E. clandestina)、昭和キリン (E. bubalina)があります。
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逆鱗竜  Euphorbia clandestina

1-3, メドゥセア亜節 Subsect. Medusea
いわゆるタコものユーフォルビアです。
金輪際 (E. procumbens=E. gorgonis)、孔雀丸 (E. flanaganii)、閻魔キリン (E. esculenta)、デセプタ (E. decepta)、荒天竜 (E. caput-medusae)、闘牛角 (E. schoenlandii)などがあります。
ガムケンシス (E. gamkensis)やフスカ (E. fusca)はまだ詳細はわからないようですが、明らかにメドゥセア亜節でしょう。
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金輪際  Euphorbia procumbens(E. gorgonisはシノニム)

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孔雀丸 Euphorbia flanaganii

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闘牛角 Euphorbia schoenlandii

1-4, プラティケファラ亜節 Subsect. Platycephala
コーデックスのプラティケファラ (E. platycephala)があります。

1-5, プセウデウフォルビウム亜節 Subsect. Pseudeuphorbium
コーデックスの鬼棲木 (E. hamata)、ガリエピナ (E. gariepina)、リグノサ (E. lignosa)、柳葉キリン (E. monteiroi)が含まれます。

2, バルサミス節 Sect. Balsamis
バルサミフェラ (E. balsamifera)があります。

3, リキオプシス節 Sect. Lyciopsis
ボンゲンシス (E. bongensis)、クネアタ (E. cuneata)があります。

4, プセウダカリファ節 Sect. Pseudacalypha
ロンギツベルクロサ (E. longituberculosa)があります。

5, ソマリカ節 Sect. Somalica
ソコトラナ (E. socotrana)があります。

続きます。



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ユーフォルビア属(=トウダイグサ属)は、4つの亜属に分けられます。
一般に生物の分類の階層は、界・門・綱・目・科・属・種となりますが、属と種の間の階層もあります。
属の下には、亜属Subgenus、節Sectio、亜節Subsectio、列Seriesがあります。ただし、属以下は細かく分類を分けるためにつけられるので、必ずあるという訳ではありません。
ユーフォルビア属の属以下の階層は、トウダイグサ(ユーフォルビア)亜属、リザンチウム亜属、ニシキソウ亜属、エスラ亜属の4つに大別されます。

エスラ亜属 Subgenus. Esula
約480種類。21節に分類されます。
栽培されるのは主にヨーロッパ原産種で、花壇に植栽される花、あるいはカラーリーフです。非常に特徴的なので、ある種異様な感じがして目立ちます。基本的には多肉ユーフォルビアは含みません。
有名な種類は、エスラ節のE. cyparissias、ヘリオスコピア節のE. polychroma、ミルシニテス節のE. myrsinites、パテルレス節のE. amygdaloides、E. characiasなどがあります。

ニシキソウ亜属 Subgenus. Chamaesyce
約600種類。15節に分類されます。
ポインセチアが有名ですが、ニシキソウの仲間は種類が多く世界中に生えています。日本では小さく地味なコニシキソウが雑草としてあちこちに生えています。
有名な種類は、アレクトロクトルム節のカラーリーフのE. cotinifolia、E. marginata (ハツユキソウ)、E. leucocephala (白雪姫は園芸種)、ポインセチア節のE. pulcherrima (ポインセチア)があります。日本ではアニソフィルム節のヒペリキフォリア亜節のE. maculata (コニシキソウ)がよく目にします。
Frondosae節には、多肉ユーフォルビアのE. leistneriがあります。

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Euphorbia leistneri


ユーフォルビア亜属とリザンチウム亜属は、多肉ユーフォルビアが多いので、ページを分けました。


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私は多肉ユーフォルビアが好きで育ててきましたが、育てる中でとても不思議に感じた事があります。それは、多肉ユーフォルビアのトゲは、花が咲いた時の花柄であると良く言われている事です。本当でしょうか?

花とトゲの関係を語る際に、使われる代表的な例はバリダでしょう。
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Euphorbia valida
バリダのトゲは花柄の枯れた跡です。上の画像は枯れた跡で図鑑でもお馴染みの姿。下は花が咲いている所です。確かに、バリダではトゲは花が咲かないと出来ません。

しかし、次のこれはどうでしょうか?
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キリン冠 Euphorbia grandicornis
木質のトゲが連なるようにつきます。しかし、花が咲いていなくても、トゲは出ます。逆に、花は咲いても花柄は残りませんしトゲも出ません。キリン冠では、花とトゲに何の関係も無いのです。
実はこういった例は沢山ある、というよりも花とトゲが関係無いことの方が圧倒的に多いのです。
花キリン類や多くの柱状ユーフォルビアなど私の栽培している多肉ユーフォルビアは、ほとんど花とトゲは無関係です。

実はこの違いはユーフォルビアの分類に関係があるような気がします。
ユーフォルビア属は、エスラ亜属、リザンチウム亜属、ニシキソウ亜属、トウダイグサ亜属の4つに分けられます。多肉ユーフォルビアは、主にトウダイグサ亜属とリザンチウム亜属に所属します。

リザンチウム亜属のアンタカンタ節フロリスピナ亜節メレウフォルビア列には、E.ferox、E.mammillaris、E.polygona、E.meloformis、いわゆるバリダやホリダ、群星冠E.stellispinaも含みます。
トゲは、バリタは枯れ枝っぽい感じがしますが、ホリダや群星冠はプラスチックの様な質感です。
必ずしも花の時期にトゲが出るわけではありませんが、トゲが花の時期だけ出たりするものもあります。バリダ、群星冠は花柄が残るタイプで、花が咲かないとトゲは出来ません。ホリダは花は関係なくトゲが出ますが、花が咲いた時にトゲとなり残るものの他に、完成したトゲの先から急に花が咲いたりします。

トウダイグサ亜属のゴニオステマ節はいわゆる花キリンの仲間、トウダイグサ節は柱サボテン状のユーフォルビアは全て含まれます。
トゲは木質かガラス質で、花と関係なくトゲが出ます。花もトゲの先に咲くわけではありません。
恐らく、トウダイグサ亜属のトゲは花柄ではなく、托葉が変化したものなのかもしれません。

ユーフォルビアの属内分類は、あまり一般に知られていない様なので、今後まとめてみたいと思います。



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2020年の3月にザ・ガーデン本店ヨネヤマプランテーションへ行きましたが、その時に恵比寿笑いの白花種を購入しました。
ラベルには小さくレウコキサンツムとあります。恵比寿笑いの亜種です。学名は、Pachypodium brevicaule subsp. leucoxanthumです。

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2020年3月
購入時。まだ、恵比寿笑いらしさのない小苗です。用土がカチカチでしたから、すぐに植え替えました。

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2020年11月
なんとなく、恵比寿笑い感が出てきました。葉はもりもり出て、他のパキポ苗より元気なくらいでした。11月なので葉はだいぶ落ちています。

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2021年9月
だいぶ太ってきました。葉色がいまいちで、少し肥料不足かもしれません。

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2022年1月
すっかり葉は落ちました。今年、植え替え時かも知れません。
そろそろ花が見たいところです。

他のパキポディウムの記事はこちら。



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紅彩閣はホームセンターなどでも売っている、ある意味で一番馴染みのある多肉ユーフォルビアかも知れません。黄色トゲやモンスト品種などもよく見かけます。学名のEuphorbia enoplaから、エノプラという名前で売られていることも多いようです。
さて、紅彩閣と良く似た多肉ユーフォルビアが何種類か存在するので、見分け方を含め紹介します。

紅彩閣
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紅彩閣 Euphorbia heptagona
細長く育ち、どんどん枝分かれしていきます。新しいトゲは柔らかく、触れるとすぐに乳液が出ます。多肉ユーフォルビアの中でも、トップクラスに乳液が出やすい種類でしょう。
エノプラの名前は1860年にスイスの植物学者のPierre Edmond Boissierが、Euphorbia enoplaと命名したことに因みます。しかし、実際には1753年にカール・フォン・リンネがEuphorbia heptagonaと命名しておりますので、先命権によりヘプタゴナが正式名称です。エノプラは、あくまで異名(シノニム)です。
ネット販売では、紅彩閣=エノプラ=紅キリンと表記されていますが、紅キリンは全くの別種なので注意が必要です。

紅キリン
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紅キリン Euphorbia pulvinata
エノプラ表記で売られていることもあるそうですが、あまり似ていませんね。紅キリンは丸みがあって、トゲはまばらで弱めです。縦に伸びるより、枝分かれしてマット状に広がります。
紅キリンは一般的にEuphorbia aggregataですが、Euphorbia pulvinataが正式名称です。pulvinataは一般に笹蟹丸の学名とされていますが、紅キリンと笹蟹丸は同種のタイプ違いとされているそうです。ですから、両者共にEuphorbia pulvinataなのです。

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笹蟹丸 Euphorbia pulvinata


勇猛閣
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勇猛閣 Euphorbia ferox
最近では単にフェロックスの名前で売られていることが多いみたいですね。トゲはとても強く、全体的に大柄です。紅彩閣と違い、新しいトゲは暗い色合いであまり柔らかくありません。
勇猛閣はEuphorbia aggregata var. feroxと呼ばれることもあり、紅キリンと近縁とされます。また、Euphorbia alternicolor、あるいはEuphorbia aggregata var. alternicolorという異名もあります。

混迷閣
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混迷閣 Euphorbia inconstantia
あまり特徴がなく、見分けにくようにも思えますが、実は割りとはっきりとした見分け方があります。新しいトゲの色合いが複雑に移り変わり、非常にカラフルです。
一般的にはインコンスタンチアの名前で売られているようです。混迷閣、蒼鬼塔、蒼竜塔などの名前がありますが、全く流通していない気がします。多肉ユーフォルビアでは、◯◯閣は良く見ますが◯◯塔は大型の柱サボテンっぽい種類につけられ勝ちですから、個人的には混迷閣を押したいところです。
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様々な色合いの新トゲ

アエルギノーサ
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アエルギノーサ Euphorbia aeruginosa
細長く育ちます。トゲの根本が特徴的なので、見分けるのは簡単です。

紅ホリダ
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紅ホリダ Euphorbia hybrid.
ホリダEuphorbia horridaと紅彩閣の交配種を紅彩ホリダというので、紅ホリダも同じかもしれません。
割りと大柄で、肌にうっすらと白い粉を吹くので判別可能です。


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アロエ・フミリスは昔から知られていたアロエです。日本では帝王錦と呼ばれ、英語ではDwarf hedgehog aloe(小さいハリネズミアロエ)だとかSpider aloe(蜘蛛アロエ)と呼ばれているようです。
栽培の歴史が古いためか、アロエ・フミリスは様々な名前で呼ばれてきました。あまり流通しなかったローカルな学名を含めると20以上の学名がつけられてきたようです。そんな、アロエ・フミリスの歴史を少しだけたどってみました。

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帝王錦 Aloe humilis

アロエ・フミリスに学名がついたのは、実に1753年に遡ります。現在のすべての生物につけられる二名式の学名を作った、かのカール・フォン・リンネが命名しました。その時の学名が、Aloe perfoliata var. humilis L.でした。この時点では、アロエ・フミリスはアロエ・ペルフォリアタの変種とされました。
さらに、1771年にスコットランドの植物学者であるフィリップ・ミラーにより、Aloe humilis (L.)Mill.として独立しました。この学名が現在の正式な名称として認定されています。

しかし、その間にアロエ・フミリスは様々な研究者によって異なる学名が与えられることになりました。
主なものを挙げると以下の通りです。情報があまりないものもあります。
Aloe verrucosospinosa All.(1773年)
Aloe virens Haw.(1804年)
Aloe echinata Willd.(1809年)
Aloe incurva
Aloe macilenta
Aloe subtuberculata
Aloe suberecta (Aiton)Haw.
Aloe tuberculata
この他にも、様々な変種や亜種が提案されましたが、現在ではすべて認められておりません。

さらに、過去にはCatevala humilisという学名がつけられています。このCatevala属は硬葉系ハウォルチア、現在ではハウォルチオプシスと呼ばれる群につけられていた学名です。つまり、アロエ・フミリスは硬葉系ハウォルチアに分類されたこともあったのです。確かに、トゲというには弱々しく柔らかい肉イボは、現在のハウォルチオプシス属やツリスタ属によく似ています。
また、アロエ・フミリスはハウォルチア属に所属したこともあります。ひとつはHaworthia fasciata var. armataです。Haworthia fasciataの変種とされたのです。全体の形や大きさ、増えて群生するなど共通点が多いというのは確かです。Haworthia feroxと命名されたこともあったようです。

そう言えば、Aloe humilis Blankoという学名が、1837年に現在のアロエ・ベラにつけられたこともあったようです。しかし、アロエ・フミリスのAloe humilis (L.)Mill.は1771年と早いため、重複する後でつけられたアロエ・ベラのAloe humilis Blankoは却下されています。

この様に複数の名前がつけられてしまう理由は、いくつかあります。アロエ・フミリスに限らず、こうしたことはあることなので、一般論として解説します。
まず、同じ種類をいろんな人が新種として報告してしまうことがあります。この場合、発表の早い名前が優先となりますが、それらが同じものを示しているのか中々わからないことも多いようです。産地に簡単にいけないような場合や、個体数が少なくて採取か難しい場合に特に起こりやすいパターンです。しかも、産地ごとに個体差があれば、余計に判別が困難となります。
次に、個体差が大きい場合、それぞれのタイプが別種とされることがあります。同様に個体差を変種、あるいは亜種としてしまうこともあります。しかし、ある産地の1個体から採取した種子を蒔いたときに、かなりの個体差が出ることもよくあります。ですから、見た目の違いが即、別種であるとは言えませんし、変種や亜種であるとは限りません。
最後に所属があやふやな場合があります。ある仲間の中でも特殊な形態や生態である場合、他の分類群に入れられたり、独立した群として扱われることもあります。

どうでしたか? アロエ・フミリスにも初めて学名がつけられてから、200年以上の歴史があるのです。その後の紆余曲折は、まさにアロエ・フミリスにも歴史あり、でしょう。アロエ・フミリスは現在では遺伝子解析によりアロエ属であることが確定しましたが、アロエ・フミリスの様な一般的なアロエのイメージから逸脱した種類は植物学者たちも頭を悩ませてきたのです。
以上、アロエ・フミリスの歴史でした。


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十二の巻は昔からホームセンターや小さな花屋さんでも、サボテンの寄せ植えの中にひっそりと入って売られて来ました。そんな十二の巻は硬葉系ハウォルチアの代表格とされてきましたが、現在では硬質系ハウォルチアの多くはハウォルチオプシスHaworthiopsisに分類され、Haworthiaから独立しました。

十二の巻=ファスキアタか?
さて、十二の巻は一般的にはHaworthia(Haworthiopsis) fasciataとされています。ネットで検索しても十二の巻=ファスキアタです。しかし、十二の巻は交配種だからH. fasciataとは別種という意見もありますが、情報が少なくてよくわかりません。
そう言えば、市販されている十二の巻は、葉が開き気味だったり、閉じ気味だったり、やや縦に積み重なったり、結構個体差があるなあとは思っていました。
また、Haworthiopsis attenuataと非常に似ています。どこが違うのでしょうか。比べてみました。

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十二の巻

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アテヌアタ

白点の違いはあるか?
白点については個体差が著しく、白点の色合い、形、密度は野生個体でも様々です。さらに、栽培品は白点が派手な選抜品なので、種類の判別には不適切でしょう。ですから、ファスキアタにしろアテヌアタにしろ、白点だけで見分けることは出来ません。ただし、ファスキアタは葉の内側に白点は着かず、アテヌアタは白点が着くらしいです。確かに、アテヌアタは葉の内側に白点が着きました。しかし、十二の巻にも多少は葉の内側に白点があります。白点は種類を判別する決定打にはならないようです。

ファスキアタとアテヌアタの違い
ファスキアタとアテヌアタの違いは、国内ではあまり議論はありませんが、海外では盛んに議論されています。それによると、ファスキアタとアテヌアタの最大の違いは、葉の繊維なんだそうです。ファスキアタは葉の内側に繊維が沢山あり、葉を折ると繊維が出てきますが、アテヌアタにはないみたいです。
さらに、ファスキアタの葉は厚みがあり水分が多く、葉は生長すると内側にカールしてきます。対して、アテヌアタの葉は細長く、直線的に伸びます。
そう言えば、海外ではアテヌアタは手に入るみたいですが、ファスキアタは入手困難とのことです。
ネットなどでもファスキアタは売っている様子ですが、国内販売のファスキアタは本当のファスキアタなのか十二の巻なのかわかりません。これだけ、十二の巻=ファスキアタが一般化しているため、基本的に区別されずに売られている気がします。

十二の巻は?
私所有の十二の巻は、アテヌアタとは大きく異なります。葉は丸みがあって、ややカールするところはファスキアタと似ています。しかし、葉の繊維についてはよくわかりません。枯れ気味の古い葉が出たら、試しに折ってみたいと思います。十二の巻にファスキアタの遺伝子が入っていれば繊維があるかも知れません。

まとめ
・ファスキアタはあまり市販されていない。
・ファスキアタの葉は繊維質。
・白点だけでは種類の判別は困難。
・十二の巻は由来不明の交配種で、ファスキアタではない。
・アテヌアタは入手可能。
・ネット販売のファスキアタは本物かわからない。

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1月9日に行った鶴仙園での購入品の紹介。

ラベルには、H. maraisii v. notabilis JDV87/197 wolfkloofとあります。長いですね。それに、あまり聞かない名前です。
一体何者なんでしょうか?少し調べてみました。

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Haworthia maraisii var. notabilis JDV87/197

小さいアロエにも見えますが、ハウォルチア属です。マライシィ変種ノタビリスということですが、まずマライシィとは何でしょうか。日本では群蜥蜴というすごい名前がつけられているようです。また、Haworthia maraisiiは1935年に命名されているらしいです。見た目はロゼット型で葉の幅が広く、透明の窓があるハウォルチアらしい姿です。ノタビリスとはあまり似ていませんが。

さて、ノタビリスは、調べた限りでは1938年にHaworthia notabilisとされました。しかし、1976年にHaworthia maraisii var. notabilisと、マライシィの変種扱いとなりました。
さらに、翌年の1977年には、ノタビリスをHaworthia magnificaの変種とする考え方も出てきました。つまりは、Haworthia magnifica var. notabilisです。
しかし、現在ではマライシィ変種とする方が正当とされています。

さあ、後はJDV87/197 wolfkloofの部分です。これは、産地情報などを含んだフィールドナンバーとなります。
JDVは採取者のJakobus D. Venterの略です。87/197は採取地点を示し、North of Robertson, Wolfkloof, Wester Cape, South Africaとのこと。ここでwolfkloofが出てきました。wolfkloofはウルフ渓谷のことみたいですね。つまり、南アフリカ共和国西ケープ州のウルフ渓谷、北ロバートソンで採取したという意味です。
記載学名は、まさかのH. magnifica v. notabilisとあり、マグニフィカの変種としています。ただし、これは登録時の名前なので、マライシィ変種ノタビリスと変換して構いません。
登録年は、10/06/09とありますが、これは中々ひどい。日本では年/月/日の順ですが、海外では異なります。アメリカ式では月/日/年、イギリス式では日/月/年となりますが、どちらか判別出来ません。とりあえず、この個体の採取は2009年であることはわかります。

そんなこんなで、やや情報過多なノタビリスでしたが、非常に整った繊細なロゼットは大変美しいものです。これからも、その美しさを維持していきたいものですね。


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1月9日に鶴仙園に行って来ましたが、その購入品の紹介。マルギナータはずっと欲しかった種類で、特に肉イボが強目な個体を探していました。ですから今回見つけた時は、物凄く嬉しかったです。

さて、ラベルにはH. マルギナータ マリアッチーとあります。調べると、Haworthia marginata v. mariattiらしいです。これはマルギナータ変種マリアッチーという意味です。しかし、それ以外にあまり情報はありませんね。困った…
マルギナータは瑞鶴と呼ばれているみたいですが、白点というか肉イボはあったりなかったりするみたいです。マリアッチーは肉イボが密につくタイプなようです。この、肉イボが場所によりつながる感じがたまりません。

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Tulista marginata var. mariatti

マルギナータは硬葉系ハウォルチアとされてきましたが、最近はツリスタ属になりました。そこで、マルギナータの来歴を振り返ります。

そもそも、マルギナータは最初はアロエとされていました。1783年にAloe marginata Lam.とされたのが、おそらく初命名でしょう。硬葉系ハウォルチア、特に大型のものはアロエ属とされがちでした。

面白いことに、このマルギナータ系以外にも複数の別名がつけられました。イボの有無など変異が大きいので、様々なタイプごとに名前がつけられたのかもしれません。主要な異名は、アルビカンス、ヴィレスケンス、ラミフェラ、レアヴィスです。現在は認められていないこれらの学名についても、簡単に書いてみます。
アルビカンス系は1804年に命名されたAloe albicans Haw.から始まり、1811年にApicra albicans (Haw.) Willd.、1812年にHaworthia albicans (Haw.) Haw.となりました。ヴィレスケンス系は1821年に命名されたHaworthia virescens Haw.から始まり、1829年のAloe virescens (Haw.) Schult. & Schult.f.、1839年のHaworthia marginata var. virescens (Haw.) Uitewaalがあります。ラミフェラ系は1821年に命名されたHaworthia ramifera Haw.1960年のHaworthia marginata var. ramifera (Haw.) H.Jacobsenがあります。レアヴィス系は1821年に命名されたHaworthia leavis Haw.、1960年のHaworthia marginata var. leavis (Haw.) H.Jacobsenがあります。また、1938年にはヴィレスケンスをアルビカンスの変種とするHaworthia albicans var. virescens (Haw.) Bakerもありました。

Aloe marginata Lam.を正当として、1938年にHaworthia marginata (Lam.) Stearnとされました。今でも基本的にハウォルチアとして流通しています。今回も、ラベルは「H. 」、つまりはHaworthiaの略名でした。
1891年にCatevala marginata (Lam.) Kuntzeもありました。
そして、2013年にマルギナータはツリスタ属としてハウォルチア属から独立しました。Tulista marginata (Lam.) G.D.Rowleyが最新の学名です。

ツリスタ属は基本的に大型です。マルギナータも高さ20cmになるそうです。私はTulista pumilaも栽培中ですが、こちらは高さ25cmと巨大に育つとのこと。
他には、T. kingianaやT. minorがあるみたいです。


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昨日に引き続き多肉漁り。
ザ・ガーデン本店ヨネヤマプランテイションへ。そのままの足で、二子玉川のプロトリーフガーデンに向かいました。
午前中は寒くて暗い天気でした。

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あいにくの曇天。

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オーストラリアの珍植物が沢山入っている模様。

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ホワイトゴーストが一杯。

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交配系ハオルチアはお値引き中。

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まだ、コルク層が発達していないかわいい亀甲竜と、昔からお馴染みの懐かしい緋牡丹。

以前、訪れた時はもうちょいありましたが。


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プロトリーフガーデン
さらに寒くなってきて怪しい天気でした。

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サボテンは少々
多肉コーナーはさっぱりと失くなっていました。残念。柱サボテンが階段に閉め出されていました。


とりあえず、季節外れの多肉はヨネヤマプランテイションで、アテヌアータ特アルバとユーフォルビア・アエルギノーサを購入しました。まあ、いつでも買えそうなラインナップですが…

今日はこの後所用がありまして、ゆっくり見る余裕がありませんでした。暖かくなってきたら、ゆっくりと園芸店巡りを再開したいですね。

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ハオルチア・アテヌアータ 特アルバ


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ユーフォルビア・アエルギノーサ

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新年初めての多肉は、1月9日の鶴仙園からスタートです。
雪が降った時は果たして行けるものか心配しましたが、晴天続きで雪も大体溶けて一安心。温かくなりました。

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晴れ渡る西武池袋の屋上。

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朝の鶴仙園

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相変わらずエグい量のハオルチア

多くの多肉やサボテンは水を切って休眠モードでしたが、逆に冬型多肉やハオルチアは元気一杯。最近、ハオルチアに興味があって、実に30分ほどかけてじっくりと見させていただきました。
今回は、H.マルギナータ・マリアッチー、H.maraisii v. notabilis JDV87/197 wolfkloof、十二の巻、紅彩閣、鳳頭、新鳳頭を購入。調べてみると、結構面白い情報がありました。ラベルの名前については思うところがありますが、とりあえずはラベル表記のまま示します。詳細は後程。

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屋上のベンチで一休憩。

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戦利品を覗き込む。

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H.マルギナータ・マリアッチー

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H. maraisii v. notabilis JDV87/197 wolfkloof

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十二の巻

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紅彩閣

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鳳頭

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新鳳頭

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帰りに池袋駅内で北陸物産フェアをやっていたので、飛騨ブラックらーめんなる商品を購入。黒い!


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ギムノカリキウム・エリナケウムはアルゼンチン原産のサボテンの一種です。erinaceumはラテン語でハリネズミの意味です。刺座から出るトゲがギムノカリキウム属の中では多いため、ギムノカリキウムらしくないと言われたりします。ギムノカリキウムの中でも地味で、目立たない種類かも知れません。

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Gymnocalycium erinaceum WR726B

2011年にAmerican Journal of Botanyに掲載されたMOLECULAR PHYLOGENY OF GYMNOCALYCIUM (CACTACEAE) : ASSESSMENT OF ALTERNATIVE INFRAGENERIC SYSTEMS, A NEW SUBGENUS, AND TRENDS IN THE EVOLUTION OF GENUS という論文では、ギムノカリキウム属の遺伝子解析を行い、ギムノカリキウム属内の系統樹を作成しています。このことにより、進化の道筋がわかり、類縁関係がはっきりしました。
ギムノカリキウム属は7亜属に分類され、新天地G. saglionisが祖先的な位置にあるとされました。エリナケウムはギムノカリキウム属ギムノカリキウム亜属に分類されています。遺伝的に近縁な種類は、G.amerhauseri、白蓮G. reductum subsp. reductumがあります。

そう言えば購入時にラベルにG. erinaceumとしか記入されていないと思ったのですが、家に着いてラベルを引き抜いてみたところ、土に刺さって見えなかった部分にR726とありました。フィールドナンバーです。フィールドナンバーは、その植物が採取された時の情報がわかります。
実際にCactus and Succulent Field Number Query (http://www.cl-cactus.com/)というサイトでR726を検索してみました。何故かG. sutterianumがヒットしてしまいました。しかも、R726はWR726のことで、WRはWalter Rauschという採取者の名前の略でした。どうやら、726という地点で3種類のギムノカリキウムを採取したようで、WR726、WR726A、WR726Bが登録されています。
WR726      G. sutterianum
WR726A   G. quehlianum v. rolfianum
WR726B   G. erinaceum
つまり、私のエリナケウムはWR726Bのことでした。
採取情報として、Dean Funes, Cordoba, Arg.とあります。つまり、アルゼンチンのコルドバ州、デアン・フネス近辺でWalter Rauschが採取したということになります。
Walter Rauschはオーストリアの植物学者・探検家で、サボテンの研究者でロビビア属を専門としていたようです。学名でも、Lobivia rauschii、Sulcorebutia rauschii、Gymnocalycium rauschii、Notocactus rauschii、Parodia rauschii、Echinopsis rauschii、Lobivia walteri、Rebutia walteriと、Walter Rauschの名前がつけられています。

このように、一見して地味なサボテンでも、調べてみると沢山の情報が得られて中々面白く感じます。
皆様も背後に隠れて見えなかった情報を調べてみてはいかがでしょうか?


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フィリプシアエあるいはゴリシアナとは?
最近、ゴリシアナあるいはフィリプシアエの名前で売られている多肉ユーフォルビアを見かけます。鶴仙園さんでも、同じ種類に見えるものをゴリシアナ、フィリプシアエの名前で売っていました。栽培している業者が異なるのでしょう。国内ではだいぶ混乱しているようです。
また、フィリプシオイデスなるユーフォルビアもあり、情報の少なさからネットでも違いがよく分からないとの声が見られます。
そこで、フィリプシアエとフィリプシオイデスを入手することが出来ましたので、紹介したいと思います。

フィリプシアエ
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フィリプシアエ Euphorbia phillipsiae
1903年にEuphorbia phillipsiaeとして登録されました。ソマリア原産。ただし、1911年に同じ種類のものを新種のEuphorbia golisanaとして報告されました。しかし、これはフィリプシアエと同種であることが確認されたため、先に命名された学名が優先されますから、フィリプシアエが正式名称です。
ゴリシアナの名前で売られていますが、これはゴリサナから来た読み間違いでしょう。フィリプシアエの名前で統一しないと、混乱が広がったままになってしまいます。

フィリプシオイデス
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フィリプシオイデス Euphorbia phillipsioides
こちらは、フィリプシオイデスと呼ばれる多肉ユーフォルビアで、フィリプシアエと同様にソマリア原産です。ただ、原産地のソマリアでも、フィリプシアエと混同されてきたようです。1992年にEuphorbia phillipsioidesとして正式に報告されて、はじめてフィリプシアエとフィリプシオイデスが別種と認定されるに至りました。ちなみに、学名の語尾の「-oides」は「~に似た」という意味ですから、この場合フィリプシオイデスとは「フィリプシアエに似た」という意味になります。

フィリプシアエとフィリプシオイデスの違い
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フィリプシオイデス(左)とフィリプシアエ(右)
フィリプシアエとフィリプシオイデス、どちらもソマリア原産で名前も似ています。二本のトゲが下向きにつく特徴も同じです。
しかし、トゲの色はフィリプシアエは深い赤色、フィリプシオイデスは白色です。花はフィリプシアエは黄色で開いた形、フィリプシオイデスはクリーム色で筒形です。
似ていますが、違いもはっきりしています。私の記事が、国内の混乱状態が収まる一助となるといいのですが…


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アロエ・ボウィエアはアロエ感が薄い南アフリカ原産のアロエです。一見してチランドシアの様な、あるいはランの塊茎の様な不思議な形状をしています。トゲも弱々しい肉イボが少しありますが、アロエっぽさはあまりありません。

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Aloe bowiea(2020年7月、購入時)
ホームセンターで買いましたが、3980円と超高価でした。丈夫で簡単に仔を吹くだろうに…

アロエ・ボウィエアはもともとアロエとは考えられていませんでした。最初は1824年にBowiea africanaとされて登録されました。Bowieaといえば蒼角殿が1867年にBowiea volubilisとして登録されました。アロエ・ボウィエアが蒼角殿と同じ仲間とされていたというのは面白いですね。

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蒼角殿 Bowiea volubilis

その後、1829年にAloe bowieaとする考え方が出ました。この時点で、アロエかアロエではないか、という議論があったのでしょう。

1905年にBowiea africanaを正当として、Chamaealoe africanaに変更されました。これは、アロエ属ではないけれど、アロエに近いという立ち位置になったのでしょう。ちなみに、Chamaealoeの「chamae」は、「小さい」、「低い」という意味です。英訳するとドワーフ・アロエと言ったところでしょうか。

その後、結局のところAloe bowieaが正式な学名となりました。似た特徴のものをまとめる傾向があり、同じ花の特徴があればすべてアロエ属とされました。

しかし、遺伝子解析の結果を元に、アロエ属は解体される運びになりました。
綾錦がAristaloe、乙姫の舞扇がKumara、千代田錦がGonialoe、ディコトマがAloidendronになりアロエ属ではなくなったので、ボウィエアは?と思いましたが、相変わらずアロエ属のままのようです。アロエ・ボウィエアは何だかんだと変遷をたどったものの、結局のところアロエ属で落ち着きました。

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アフリカ亀甲竜=亀甲竜
亀甲竜は南アフリカ原産の冬型コーデックスです。最近ではメキシコ原産のメキシコ亀甲竜なども入ってきているからか、亀甲竜もアフリカ亀甲竜の名前で売られていることがあります。

名前の由来
英語ではTortoise plant(亀植物)、Elefant foot(象の足)、ホッテントットのパンと呼ばれていますが、よく特徴をあらわしています。亀甲竜の名前も、うまい命名ですね。学名のDioscorea elephantipesも、elephantipesは「象の足」の意味ですから、やはり見た目のイメージはみんな同じみたいです。
また、ホッテントットのパンは、現地では食用にされることからついた名前でしょう。

タイプはあるのか?
亀甲竜はネットでは、2つのタイプがあるのかも?という疑問があるようです。最近販売されている亀甲竜には、割れ目がない黒っぽい球状のものがあります。これをみて、異なるタイプなのではという疑問につながったようです。
実は、これは単純にイモを地中に埋めて育てられていただけです。地中に埋めて育てたほうがイモが早く育つので、業者は地中に埋めて育てて大きくなったら掘り出して、イモが見えるように植えて販売しているのです。
地中から出すと乾燥からイモを守るために、コルク層が発達し始めます。それが生長とともにひび割れて行きます。ですので、2つのタイプがあるわけではなく、育て方次第なのです。
ちなみに、コルク層がない掘り出し個体は、確実に国内実生なので、輸入物は嫌だという人は参考になります。

私の亀甲竜
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亀甲竜 Dioscorea elephantipes
私が育てている亀甲竜は、地中に埋めないで小さいまま育てているため、生長が遅くなかなか大きくなりません。しかし、サイズの割にはコルク層が発達しています。このままゆっくり育てていきます。

こぼれ話
亀甲竜はDioscorea属ですが、これはいわゆるヤマノイモ属です。ですから、食用のヤマノイモはDioscorea japonica、ナガイモはDioscorea batatas(D. polystachya)など、亀甲竜と同じDioscoreaの仲間です。


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ハウォルチア(ハオルチア、ハオルシア、ハワーシア)については、正直あまり詳しくありません。ただ、アロエ属とハウォルチア属の分類が再編成されたのをきっかけに、興味を持ちました。旧アロエ属6属、旧ハウォルチア属3属、ガステリア属、アストロロバ属の計11属をまとめてアロエ類とされています。
旧アロエ属は、アロエ属、アリスタロエ属、アロイデンドロン属、クマラ属については栽培中です。旧ハウォルチア属はハウォルチア属、ハウォルチオプシス属、ツリスタ属を栽培中です。
しかし、もともとアロエに興味があったので、ハウォルチアはオマケ程度であまり調べていませんでした。正直、育て方もよくわかっていないくらいです。

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2021年12月末、オブツーサ(戸外栽培)
ハウォルチアで最も有名かつ入門種なのが、このオブツーサです。透き通った窓があり、雫石とも呼ばれています。
かれこれ10年は育てていますが、基本的に放任です。勝手にどんどん増えては根詰まりを起こして枯れてくるので、生きている仔を挿し木して更新してきました。本当に適当過ぎますね。
普通は弱光線で育てるときれいに仕上がると聞きますが、私は戸外で無遮光栽培しています。そのせいで、あまり葉の透明感が出ませんし、外側の葉が枯れやすいのであまり大きくなりません。
冬も完全戸外栽培です。特に霜除けもしていません。一応、氷点下になるんですけどね。

オブツーサの学名は、かつてはHaworthia obtusaでしたが、これは1825年の命名です。その後、1880年にHaworthia cymbiformis var. truncata、1955年にHaworthia obtusa f. truncataを経て、1999年にHaworthia cooperi var. truncataが最新の命名です。今後もまた変わっていくかもしれません。

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2021年12月末、竜鱗(戸外栽培)
かつて竜鱗や十二の巻は、硬葉系ハウォルチアと呼ばれていましたが、現在はハウォルチオプシスに分類されています。
竜鱗はまだ5~6年しか栽培していませんが、基本的にオブツーサと同じく放任栽培中です。

竜鱗の学名は、かつては1824年にHaworthia tessellataと命名されましたが、2013年にHaworthiopsis tessellataとなりました。

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2021年12月、ツリスタ・プミラ(室内栽培)
かつては硬葉系ハウォルチアでしたが、ハウォルチオプシス属ではなくツリスタ属に分類されました。
特徴は黄色の液が出ることらしいです。さらに、小型で盛んに仔を吹いて群生するハウォルチオプシス属とは異なり、非常に大型です。プミラは特に大型で、高さ25cmにもなるそうです。
まだ購入したばかりなので、念のため室内栽培しています。夏場に葉先が枯れやすいらしいので、気を付けなければならないでしょう。

プミラの学名は、かつては1753年にAloe pumilaと命名されましたが、1809年にHaworthia pumilaとされ、2013年にTulista pumilaとされています。


今回、少しばかりハウォルチアについて調べて見ましたが、思いの外奥が深く種類も沢山あるようです。面白そうなので、ハウォルチア属について勉強してみるつもりです。とりあえず、鶴仙園さんへ行って、目を肥やす必要がありそうです。


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多肉ユーフォルビアには、サボテンに間違われるくらい似ていると言われるものがあります。オベサやホリダは有名ですね。まあでも、多肉ユーフォルビアをお店やイベントで沢山見ていれば、何となくユーフォルビアかな? と一目みてわかってきます。そんな目利きになっても、サボテンと区別し難いユーフォルビアを紹介します。

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閃紅閣 Euphorbia fruticosa
アラビア半島とイエメンが原産、つまり紅海を挟んだ両隣です。
地味でユーフォルビアらしさというか、特徴があまりないため、ユーフォルビアの中でもサボテンに一番似ている気がします。トゲの出方がユーフォルビアらしくありません。しかし、アレオーレ(刺座)がないので、よく見ればサボテンではないことがわかります。
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花はいかにもユーフォルビア

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大正キリン Euphorbia officinarum
多肉ユーフォルビアでは珍しいモロッコ原産。
一般的に使われるEuphorbia echinusは異名。海胆キリンの名前もありますが、あまり使われていないようです。
こちらは、柱サボテンによく似ています。柱状ユーフォルビアの角質化したようなつながったトゲとは異なり、透き通ったトゲが出てきます。
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花は赤い。

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瑠璃晃とは
ドラゴンボールの名前でお馴染みの瑠璃晃ですが、学名はEuphorbia susannaeです。仔を沢山吹いて群生します。特徴的な肉イボは、細かったり太かったり割りと個体差があるみたいですね。
さて、ネットで検索すると上方向にびろびろと間延びしたり、先細りになってしまった株がよく売られています。ブログで縦長になったと書いている人も、まあまあいるみたいです。
そこで、私の瑠璃晃を栽培した生長記録を紹介します。

生長記録
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2020年1月、購入時。丸々していてかわいい。

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2020年5月、生長は早いみたいです。肉イボの数が増えています。初めて蕾がつきましたが、うっかり開花時の写真を撮り忘れました。

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2020年11月、室内に取り込んだところ、大量に開花しました。

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2021年9月、鉢がきつく見えるほど生長しました。

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2021年12月、室内に取り込みました。どっしりした感じがします。また、思いの外、仔が吹きません。
そう言えば、花柄が枯れないでついてるなあと思っていたら、花柄の先から仔が吹いてきました。

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あれ?そんな感じで増えるの?

ネットの情報の怪しさ
そんなこんなで2年間、瑠璃晃を育ててきましたが、特に上に伸びる感じはありません。徒長してしまうというネット情報とは、何が違うのかわかりません。しかし、多肉植物全般の一般的な育て方としては、おそらくは日照不足と、水のやり過ぎが徒長の原因ということになのでしょう。

ネットの情報ではどのような栽培方法が推奨されているのか、いくつかのサイトをのぞいてみました。結果、いくつの栽培方法を書いたサイトでは、夏の直射日光を避けるように書いているようです。しかし、私は真夏でも一切遮光はしていません。こんなに丈夫で日光大好きなのに、とは思いました。思うのですが、栽培方法を書いたサイトは、そのすべてがそうだとは言いませんが、怪しいものが多いように感じます。何より、よそから引っ張ってきた画像を沢山貼り付けていますが、自分で育てた画像がないというのは一体どういうことなんでしょう? これってネットの情報をまとめただけで、自分では育てていないのではないでしょうか。自分で育てた記録を公開している人のブログのほうが、参考になることが多いように思えます。

次に、日本語のサイトで多肉を検索すると、ヒットするのは販売サイトが多いのですが、そこに書かれている育て方は信じないほうがいいみたいです。瑠璃晃に限らず、徒長して縦長になったモヤシみたいな多肉を「こんな大きな○○は手に入らない!」とか書いてあって愕然とします。また、これは多肉の種類に限らず、「レースのカーテンごし」の日射しという決まり文句があるみたいです。レースのカーテンごしで育てたら、サボテンや多肉ユーフォルビア、コーデックスあたりはあっという間に間延びしてしまいますよ。ハオルチアではそれで育つものもありますが、自生地では砂漠に生えているものも多いのですから、しっかり日に当てて引き締まった多肉に育てたいものです。


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ホリダとポリゴナのタイプ
ホリダはポリゴナの変種であるということが、遺伝子解析で判明していますね。
ホリダは有名でよく様々なタイプが売られていますが、ポリゴナはあまり目にしません。しかし、ホリダにしろポリゴナにしろ、結構個体差があるようです。

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ホリダ
トゲは3本で長く、肌はあまり白くならないタイプ。
トゲの長さと本数は個体ごとに異なる。

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ゼブラホリダ
トゲは短く1本。縞模様があり、大柄。

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白磁ホリダ
1本のトゲは長く弱い。白粉が強い。
やたら仔を吹く。

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ポリゴナ
白粉がついてトゲは弱いタイプ。稜が薄く数が多いことが、ポリゴナの特徴。
このポリゴナは生長点をやられてしまい、頭から仔が吹いてきました。仔の新しいトゲはホリダに似た強いトゲ。

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アノプリア
トゲや白粉がないタイプ。おそらく園芸品種。
仔は地下で出てきます。

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紅ホリダ
紅彩閣とホリダの交配種らしい。紅彩ホリダとも呼ばれています。少し白粉がつきます。


ホリダとポリゴナの見分け方?
一応、花がホリダは緑系、ポリゴナは紫系らしいです。しかし、ゼブラホリダの花は明らかに紫系なんですよね。ホリダの品種ではなくポリゴナの品種? あるいは、ホリダとポリゴナが混じっているのかも知れません。
しかし、植物では花の色は割りと変異しやすい部分だけに、見分け方とするには問題がある気もします。ゼブラホリダもただ花色が突然変異で赤くなっただけかもしれません。

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ゼブラホリダの花は赤紫

アノプリアは何系?
アノプリアはポリゴナ系とされていますが、見た目はホリダに似ています。花は紫系でポリゴナとの関連を感じますが、特徴的なジグザグ模様はゼブラホリダの白粉無しバージョンと似ている様な気がします。意外とゼブラホリダの矮性品種なのかも知れませんね。

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アノプリアの花は赤紫



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新年、明けましておめでとうございます。
相も変わらず、今年も多肉植物を愛でていきたいと思っております。

さて、こんなに寒い中、室内に取り込んだ多肉は元気いっぱいで、花芽が出てきたものもあります。
そんな多肉をご紹介。

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花キリン・インペラタエ
斑入りタイプ。一年中咲いてます。

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花キリン・矮性白花タイプ
一年中咲いてます。花は小型ですけど、形は丸みがあってかわいい。

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ユーフォルビア・フランコイシーcv.
一年中咲いてます。株に対して花は大きめ。花茎が長いので、花が目立ちます。

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ユーフォルビア・トゥレアレンシス
ほぼ一年中咲いてます。花は小さくて目立ちません。生長は遅いのですが、とても丈夫。

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ユーフォルビア・キリンドゥリフォリア(筒葉ちび花キリン)
花は下向きなので、分かりにくいです。結構咲いているみたいですが、気がつかないことが多いです。

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ユーフォルビア・ロッシー
塊根性の花キリン。花は小さいけど、可憐な感じ。

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ユーフォルビア・オベサ
ほぼ一年中咲いてます。冬でも戸外栽培していましたが、今年は取り込みました。室内に取り込んだら急激に花芽がふくらんできました。

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闘牛角
多肉ユーフォルビアの中では大きめの花。枝の先端につくようです。

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紅ホリダ
ホリダ系の交配種。すごい目立たない花ですが、開花中です。不定期に咲きます。

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群星冠
花芽がふくらんできました。不思議な形のトゲがつきますが、トゲの中心に花が咲きます。なので、花芽がつかないと特徴的なトゲも出てきません。新しいトゲは真っ赤で非常に美しいので、今から楽しみです。

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ユーフォルビア・バリタ(上)と貴青玉(下)
一年中咲いてます。冬のバリタは日照不足が災いして、短い花茎しか出さないので困ります。

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孔雀丸
花芽らしきものが見えますが、何でこの時期なんでしょうね?

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ユーフォルビア・フィリプシオイデス
先日、木更津カクタス&サキュレントフェアで購入したものですが、花芽がふくらんできたと思いきや、なんとこれで開花中です。せいぜい2mm程度、本当に小さい花ですね。


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